(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】フロースルー流体浄化デバイスおよび放射源を収容する手段
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20230228BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230228BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
(21)【出願番号】P 2019545965
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018054073
(87)【国際公開番号】W WO2018153827
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-19
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴパラン,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】加納 一郎
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-061982(JP,U)
【文献】特開2000-061459(JP,A)
【文献】米国特許第05372781(US,A)
【文献】特開平10-043753(JP,A)
【文献】実開平01-174093(JP,U)
【文献】特開2017-176994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/0019/32
C02F 1/32
A61L 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化される流体が入口(3)から出口(7)まで容器(5)の容積(8)を通って流れることができるように配置された容器(5);
ランプ(13)の形態の放射源(13)を収容するための入れ物(10)、ここで入れ物(10)は、UV範囲の波長を有する放射に対して透過性であり、放射を容器(5)の容積(8)に通過させるように構成された境界壁(11)を有する;
入口(3)から出口(7)への流れ方向にバッフル間距離(D)で容器(5)の容積(8)に配置された複数のバッフルプレート(9)、
ここで、バッフルプレート(9)は、入口(3)から出口(7)に流れる流体が、実質的に境界壁(11)に沿い、境界壁(11)およびバッフルプレート(9)間の最短距離を定義する、境界壁(11)およびバッフルプレート(9)の間のギャップ(G)を通るように配置され、および
ここで、バッフルプレート(9)がそれぞれ、境界壁(11)に垂直な表面を流れ方向の上流側に有する、
を含み、
ギャップ(G)が、1.2mm~0.3mmの範囲であ
り、
該ランプが、150~200nmの波長の放射を放出するように構成されたエキシマランプであり、
少なくともギャップに隣接する2つの連続するバッフルプレート(9)の上流面間のバッフル間距離(D)が、4~30mmの範囲である、フロースルー流体浄化デバイス(1)。
【請求項2】
ギャップ(G)が、0.5mm~1.0mmの範囲である、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
バッフルプレート(9)が、少なくともギャップ(G)に隣接する部分において、境界壁(11)に平行な、1.5mm未満の厚み(T)を有する、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
境界壁に沿った流れ方向のバッフルプレート(9)の数が、少なくとも4である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
バッフルプレート(9)が、互いに相互接続されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
バッフルプレート(9)が自己支持要素を形成する、請求項
5に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
容器(5)の内周壁(4)と、バッフルプレート(9)の外周側(9a)および/またはスペーサー(18)の外周側(17a)との間にシール(S)が設けられている、請求項
5または
6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
バッフルプレート(9)が、容器(5)の壁と一体に形成される、請求項1~
4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
バッフルプレート(9)が、金属から形成されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
バッフルプレート(9)が、UV安定性を有するプラスチック材料から形成されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
容器(5)が外側シリンダー(5a)を有し、入れ物(10)の境界壁(11)は、外側シリンダー(5)と内側シリンダー(10a)との間に配置されるバッフルプレート(9)を備えた外側シリンダー(5a)の容積(8)に挿入された内側シリンダー(10a)の外周壁によって形成され;
デバイスが、外側シリンダー(5a)の軸方向端部と係合する少なくとも1つの端部キャップ(20、21)を有し、内側シリンダー(10a)を外側シリンダー(5a)内の所定の位置に保持し、外側シリンダー(5a)を液密に閉鎖するように構成される、
請求項1~
10のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
境界壁(11)が、石英ガラスを含むか、または石英ガラスから形成される、請求項1~
11のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
放射源(13)が、境界壁(11)によって容器(5)の容積(8)内の流体から分離されるように配置される、請求項1~
12のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは純水または超純水に含まれる有機物を酸化することにより、流体を浄化するためのフロースルー流体浄化デバイスに関する。本発明はまた、好ましくは、最大処理体積が2l/minである実験室規模の浄水用途向けに設計された、かかるフロースルー流体浄化デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
流体がデバイスの容器を流れる間にUV-C放射にさらされ、流体に含まれる有機物を酸化することにより、流体を浄化する、好ましくは純水または超純水を製造する可能性を提供するデバイスが知られている。
超純水は、ASTM D5127標準を超え、総有機炭素(TOC)が5パーツ・パー・ビリオン(ppb)未満の最高品質の試薬グレードの水として定義できる。
【0003】
DIN 5031パート7によれば、UV放射は、100nm~380nmの範囲の波長を持つ放射として定義されている。280nmより短い波長を含むこの範囲のサブ範囲はUV-C範囲であり、200nmより短い波長を含むさらなるサブ範囲は真空UV-C範囲(VUV)である。
本発明が関係する浄化は、UV-C放射により誘発される有機酸化反応によって、デバイスを流れる流体中のTOC含有量を減少させることを目的とする。
【0004】
UV放射による酸化に基づいた一般的なフロースルー浄化デバイスは、放射線源として水銀ガスランプを使用する。ランプは、容器を流れる流体を照射するように配置される。UV照射によって誘発される酸化反応において、流体に含まれる有機物が炭酸塩と、炭酸塩以外の中間イオンを含む副産物とに分解され、浄化後に流体からろ過して取り除くことができる。酸化反応は、水分子を、ラジカル、中性およびイオン性中間体を含む異なる反応性中間体に分解する中間ステップを含む。次いで、ラジカル中間体は、流体に含まれる有機物を二酸化炭素および水に酸化する。185nmの波長のUV光は、かかるラジカル中間体を効果的に生成すると知られている。
【0005】
殺菌水の浄化にエキシマランプを使用することも知られている。かかるランプは、例えば、キセノンガスのエキシマ状態への励起に基づいている。励起および非励起中に放出される放射の波長は、172nm以下である(ランプにおいて使用されるガスに依存)。この波長は、浄水用途のために直接使用するには低すぎるため、非常に低い水透明度を有する。
【0006】
WO 2014/148325A1は、かかるエキシマランプをランプ上の半透明コーティングと組み合わせて使用して、放出される波長をより長い波長にシフトすることを開示している。ただし、追加のコーティングはコストを追加し、UV露出によるコーティングの経時劣化により寿命が短くなり、コーティングが放射線の約50%を吸収し、吸収されたエネルギーの50%しか元にもどらないため、性能が低下する。
【0007】
WO 95/15294A1は、滅菌手段としてイオン化UV放射を利用する水および他の流体用の滅菌器を開示している。放射源としての円筒形UVランプが、管状の空気チャンバーの中央に収納され、その空気チャンバーは引き換えに、一方の軸方向端部の入口から反対側の軸方向端部の出口に流体が流れて通る細長い露出チャンバーを形成するハウジングの内部に同軸に位置される。同軸に並べられたトロイダルディスクの形態のバッフルの配列が、露出チャンバーの内部に広がり、各バッフルが軸方向の延長に沿って流体がチャンバーを流れる際に流体の通過を部分的にブロックする。各バッフルには、バッフルのエッジとチャンバーの内周壁との間にチャネルが提供され、チャンバー壁に隣接する部分で流体がバッフルを通過できるようにし、隣り合うバッフルのチャネルは互いにずらされており、流体がチャンバーの長さを超えるときに、波状の乱流が生成される。したがって、流体ストリームは、放射源に向かって、および放射源から離れるように連続的に迂回される。空気チャネルは、オゾンの共生成のために空気チャンバーを通り、オゾンが次に、UV放射での水の処理の前または後に水と反応してもよい。このフロースルーデバイスにおいて、浄化される流体のかなりの部分が、放射線源から比較的大きな距離を置いてデバイスを通過する可能性があり、それにより潜在的に不完全な浄化に悩まされる可能性がある。
【0008】
文献US 2007/0003430A1は、流体内のウイルスなどの微生物を不活性化する方法を開示している。不活性化プロセスは、180~320nm、好ましくは225~290nmの放射線を放出し、細長い反応チャンバーに囲まれた細長いUVランプに基づき、このチャンバーを通ってUVランプの長さに沿って向けられた一次フローが入口から出口へと生成される。循環する二次フローは一次フローに重ねられ、一次および二次フローの両方は、反応チャンバー内に配置された回転アジテーターによって、またはUVランプを囲み、UVランプの周りをらせん状に回転しUVランプに近づくがUVランプにかみ合わず、D字型の断面を持つらせん状のチャネルを定義する、螺旋状に巻かれたチューブによって、生成される。このフロースルー浄化は比較的複雑で、高い生産コストを有する。
【0009】
UV放射を使用する従来技術の浄化デバイスは、水銀ベースのUVランプを頻繁に使用して、所望の波長の放射を製造する。しかしながら、水銀ベースのUVランプは、水銀の危険な性質のため、取り扱いや特別な処理または廃棄手順に細心の注意を払う必要があるため、一般に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決すべき目的は、流体を浄化するため、好ましくは純水または超純水を製造するためのフロースルー流体浄化デバイスであって、水銀ランプの使用を回避し、高い浄化効率を有し、費用対効果の高い、前記デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するフロースルー流体浄化デバイスによって達成される。好ましい態様は、従属請求項に定義されている。
【0012】
本発明のフロースルー流体浄化デバイスは、浄化される流体が入口から出口まで容器の容積(volume)を通って流れることができるように配置された容器;ランプの形態の放射源を収容するための入れ物、ここで入れ物は、UV範囲の、好ましくは150nm~200nm、より好ましくは172±8nmの波長を有する放射に対して透過性であり、放射を容器の容積に通過させるように構成された境界壁を有する;入口から出口への流れ方向にバッフル間距離で容器の容積に配置された複数のバッフルプレート、ここで、バッフルプレートは、入口から出口に流れる流体が、実質的に境界壁に沿い、境界壁およびバッフルプレート間の最短距離を定義する、境界壁およびバッフルプレートの間のギャップを通るように配置され、およびここで、バッフルプレートがそれぞれ、流れ方向に垂直な少なくとも1つの表面を流れ方向の上流側に有する、を含む。
【0013】
本発明によるデバイスにおけるバッフルプレートおよびバッフルプレートと放射線源への境界壁との間の狭いギャップは、境界壁に沿って小さな流体壁厚みを生成し、それにより、水を透過する透過率は比較的低い、150nm~200nmの範囲の比較的低波長のエキシマランプのような水銀を含まない放射源を使用しても、実質的にすべての流体が放射線に露出される。さらに、バッフルは、特に流体の流れ方向に垂直な少なくとも1つの表面を有することにより、放射源への境界壁のすぐ近くで流体にちょうど十分な乱流を生成し、流体の流れは層流ではないが、デバイスの長さに沿ってフローレートを減少することなく相互混合される。相互混合は、流体の放射線への均一な露出時間を確保し、デバイスを通過した流体の均一な純度レベル、すなわち低TOCを生じさせ、特定のフローレートおよび特定のランプサイズで、より高いTOC減少を達成することができる。
【0014】
さらに、既存のデバイスにおいて、より低強度のランプを使用することができるか、またはランプの経年変化がパフォーマンスに与える影響がより小さい。また、より複雑な有機物をイオン化する能力が向上する。
実質的に全ての流体は、狭窄部として機能し、流体の流れを狭める境界壁とバッフルプレートとの間のギャップにより、境界壁に沿った狭いゾーンに流れるように強制されるため、流体の流れを通る放射性の完全な透過が達成される。
【0015】
好ましい態様によれば、境界壁とバッフルプレートとの間のギャップ、すなわち最も短い距離は、2.0mm以下、好ましくは1.2mm~0.3mmの範囲、より好ましくは0.5mm~1.0mmの範囲である。好ましくは、バッフルプレートは、少なくともギャップに隣接する部分において、境界壁に平行な、1.5mm未満、好ましくは1.0mm未満の厚みを有する。
【0016】
活性酸化層が小さいほど、すなわち薄いほど、TOC濃度をより効率的に減少させることができる。さらに、より小さいギャップサイズは、より良好な乱流の製造をもたらす。一方で、ギャップサイズが小さくなると、およびバッフルプレートの厚みによって定義されるギャップ長が長くなると、デバイスを通る流体の全体的なフローレート、したがって圧力降下が減少する。好ましいギャップのサイズと寸法は、流体のフローレートと流体の純度レベルとの間の最適なバランスを提供し、したがってデバイスの全体的な効率を向上させる。
【0017】
他の好ましい態様によれば、少なくともギャップに隣接する2つの連続するバッフルプレートの上流面間の流れ方向のバッフル間距離は、4~30mmの範囲、好ましくは10および20mmの間、より好ましくはおよそ10mmである。好ましくは、境界壁に沿った流れ方向のバッフルプレートの数は、少なくとも4、好ましくは8~12である。
これらの範囲のバッフル間距離およびバッフルの数は、デバイスを通る毎時120リットル(l/h)のフローレートで最高の性能および消化効率を提供するように決定された。より高いフローレートの場合、デバイスのスケールアップを実行できる。
【0018】
他の好ましい態様によれば、バッフルプレートは、スタックに配置され、かつ、互いに相互接続され(好ましくはバッフル間距離を定義するスペーサーを介して)、容器とは別に事前に組み立てられ、容器の容積に簡単に取り付けることができる自己支持要素を形成する。好ましくは、容器の内周壁およびバッフルプレートの間にシールが設けられ、シールは別個の構成要素または材料として提供されるか、特定の弾性と容器の内寸よりわずかに大きい外寸を持っている場合、バッフルの材料によって形成することができる。
【0019】
バッフルプレートの自己支持要素は、生産およびメンテナンスの容易さおよびコストに関して利点を提供する。さらに、サイズ、容量、スループットが異なるさまざまなデバイスを、モジュール構造における少数の異なる構成要素で簡単にセットアップすることができる。
【0020】
他の好ましい態様によれば、バッフルプレートは、スペーサーと相互接続されたディスクとして形成され、ここでバッフルは金属、好ましくはステンレス鋼から形成してもよい。
この態様は、異なるスペーサーを使用してバッフル間距離を簡単に変更できる可能性、およびバッフルを簡単に生産、すなわち、金属などのシート材料からバッフルを打ち抜くことにより生産する可能性を提供する。特に、ステンレス鋼は、製薬産業、食品産業などにおける使用に好ましい材料であり、本発明の文脈において、金属(特にステンレス鋼)は、放射線源の波長に対して良好なUV安定性を有し、流体と相互作用しないように不活性である。
【0021】
別の好ましい態様によれば、バッフルプレートは、容器の内周壁と一体に形成される。好ましくは、バッフルプレートは、UV安定性を有するプラスチック材料、好ましくはフルオロポリマー材料、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、PEEK、PFA、またはポリエーテルイミド(PEI)、またはPEから形成され、好ましくは金属コーティングが施されている。
【0022】
バッフルプレートの材料としてプラスチック材料を使用すると、特定の範囲で、小さな生産上の欠陥を克服できる材料の弾性により、金属などと比較して厳しい製造公差を満たす必要がなくなる。副次的な効果として、容器の寸法に関連したバッフルプレートの適切な寸法設定と併せて、プラスチック材料の柔軟性によりシールが自動的に提供される。
【0023】
好ましくは、プラスチック材料に含まれるベンゾフェノンなどのUV安定剤によってUV安定性を到達することができ、フリーラジカルの形成を防ぎ、デバイスの耐用年数を延ばすことができる。
さらに、金属コーティングは、バッフルプレートの原料として金属を使用する上記の利点を提供するが、比較的高価な原料金属をより効果的に使用するため、この効果を低コストで達成することができる。
【0024】
別の好ましい態様によれば、容器は外側シリンダーを有し、入れ物の境界壁は、外側シリンダーと内側シリンダーとの間に配置されるバッフルプレートを備えた外側シリンダーの容積に挿入された内側シリンダーの外周壁によって形成され、デバイスは、外側シリンダーの軸方向端部と係合する少なくとも1つの端部キャップを有し、内側シリンダーを外側シリンダー内の所定の位置に保持し、外側シリンダーを液密(fluid tightly)に閉鎖するように構成される。外側および内側シリンダーおよびバッフルプレートは、好ましくは同心である。
【0025】
別の好ましい態様によれば、境界壁は、石英ガラスを含むか、または実質的に完全に石英ガラスから形成される。
別の好ましい態様によれば、放射源は、UV範囲、好ましくは150nm~200nm、より好ましくは172±8nmの波長の放射を放出するように構成されたエキシマランプであり、ここで放射源は、境界壁によって容器の容積内の流体から分離されるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一態様による浄化デバイスの概略断面図を示す図である。
【
図3】放射源(ランプ)と、バッフルのない容器のフロースルー容積との間の境界壁付近の流れ状況を示す概略図である。
【
図4】右側に、放射線源(ランプ)と、バッフルのある容器のフロースルー容積との間の境界壁付近の流れ状況を、左側に流れのシミュレーションを示す概略図である。
【
図5】光の波長および水中の透過深さの関数としてのUV光の強度を示す図表である。
【
図6】本発明の一態様による、バッフルプレートのスタックを備えた浄化デバイスの拡大概略断面図である。
【
図8】好ましい態様によるフロースルー浄化デバイスの側面図である。
【
図9】
図8のフロースルー浄化デバイスの断面図である。
【
図10】
図8のフロースルー浄化デバイスの分解斜視図である。
【0027】
好ましい態様の詳細な説明
以下、付随する図面を参照して本発明の態様を説明する。
本発明によるデバイスは、酸化反応を利用して純水または超純水を製造するために水のTOC含有量を低減するのに特に適しているが、本発明はこの適用分野に限定されず、流体の流れを放射線源に露出させるフロースルーデバイスに一般的に適用することができる。
【0028】
光酸化反応としても知られる、放射線によって誘発される酸化反応は、有機炭素を含む流体中で、放射線、本文脈において水銀を含まないエキシマランプを放射線源として使用して生成可能な200nm未満の波長の放射線に露出されると生じさせる可能性がある。放射線に露出されると、流体内に含まれる有機炭素化合物が酸化し、炭酸塩と炭酸塩以外の中間イオンを含む副産物が形成される。
【0029】
図1に概略的に示されるように、浄化デバイス1は、容器5の軸方向の端部(
図1の姿勢において、外側容器5aの垂直上側)に位置する浄化される流体の入口3、および容器5の反対側の軸方向端部(
図1の姿勢において、外側シリンダー5aの垂直下側)に位置する浄化された流体の出口7を有する外側シリンダー5aを備えた軸方向に細長い円筒容器5を一般に有する。浄化される流体の露出ゾーンは、入口3と出口7との間にあり、アクティブな反応器の長さを定義する。入口3および出口7の特定の構造および位置は、デバイス1の露出ゾーンを通る連続的な流れを作り出すことができる限り、特に重要ではない。
【0030】
重力を利用して流体を露出ゾーンに強制的に流すために、
図1に示すように、入口3が垂直上側に、出口7が垂直下側に位置するようにデバイス1を配置できる。より好ましくは、流体中の気泡の構築を効果的に抑制するために、流体をデバイス1の垂直下側の入口3から垂直上側の出口7まで強制するためのポンプ(図示せず)を使用して、デバイス1を上下逆さまに作動させる。垂直姿勢は、後述するバッフルプレートが容器5の縦方向にほぼ垂直である円周周りの分布を均等にするため好ましい。
【0031】
この概略的な態様において、8個のバッフルプレート9が、容器5の外側シリンダー5aの内部の露出ゾーンに配置されている。各バッフルプレート9は、容器5を通る流体の流れ方向に対応する外側シリンダー5aの縦軸に実質的に垂直な2つの水平面を有する。バッフルプレート9はまた、流体の流れ方向に平行であり、後述する内側容器または入れ物の壁(境界壁11)に面する垂直面を有する。本発明は、8個のバッフルプレート9に限定されず、例えば4個、好ましくは8~12個のバッフルプレートを含むことができる。バッフルプレート9の最適な数は、容器の長さと直径、すなわち所望のフローボリュームに関連して判断することができる。たとえば、最適な性能を提供するために、およそ10cmの露出ゾーン(アクティブなリアクターの長さ)およびおよそ25mmの外側シリンダーの内径を有するデバイスにおいては、10個のバッフルプレートが、最適なパフォーマンスを提供すると判断されている。
【0032】
バッフルプレート9は、1.5mm未満、好ましくは1.0mm未満の厚みTを有し、金属、好ましくはステンレス鋼のシートまたはプレート材料、またはUV安定性を有するプラスチック材料、好ましくはフルオロポリマー材料、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、PEEK、PFA、またはポリエーテルイミド(PEI)、またはPE、好ましくは金属コーティングが施されているものから形成されても良い。
【0033】
バッフルプレート9は、この態様において、外側シリンダー5aの内周壁4の表面と一体に形成され、外側シリンダー5aに挿入され内側シリンダー10aの内部空間に流体が入らないように容器に密封される内側シリンダー10aの外径よりも大きい内径を有する中心穴を有する。したがって、内側シリンダー10aは、外側シリンダー5の容積8内の露出ゾーンへの境界壁11を形成する。
【0034】
内側シリンダー10aは、外側シリンダー5の内部に同心円状に配置され、内部に放射線源(エキシマランプ)13を収容する入れ物10aを形成し、浄化すべき流体が流れる容器5の容積8の露出ゾーンからこれを分離する。したがって、内側シリンダー10aの境界壁11は、少なくともUV範囲の波長、好ましくは少なくとも150nm~200nm、より好ましくは172±8nmの波長の放射に対して透過性である。
【0035】
バッフルプレート9は、隣接するそれぞれのバッフルプレートの上流水平表面の間で容器5の軸方向に所定の距離(バッフル間距離)Dをもって配置される。境界壁11に沿った上流表面間の流れ方向のバッフル間距離Dは、4~30mm、好ましくは10~20mm、より好ましくは約10mmである。
【0036】
透過率の要件とUV安定性を満たすために、内側シリンダー10aまたは少なくともその境界壁11は、UV領域、好ましくは少なくとも150nm~200nmの範囲の放射線を透過する石英材料で作られているか、これを少なくとも関連部分に含む。石英ガラス(溶融石英)は、アモルファス(非結晶)形のシリカから形成され、溶融温度を下げるために通常ガラスに添加される他の成分を含まないという点で、従来のガラスとは異なる。したがって、石英ガラスは、高い融点(通常のガラスと比較して)、高い化学純度および抵抗、高い耐熱性、熱衝撃に対する高い耐性を備えた低い熱膨張、および高い耐放射線性を備える。好ましく使用される溶融石英は、合成溶融石英である。さらに、(合成)溶融石英は、UV領域でのソラリゼーションを防ぎ、赤外領域でいくつかの吸収ピークを有する一酸化水素(OH)をある程度の含有量含んでもよい。
【0037】
放射源は、エキシマ(エキシプレックス)分子の自然放出により生成される紫外線源であるエキシマランプ13(または「エキシランプ」)である。動作中のエキシマランプ13によって放射される主波長は、エキシマランプの作動ガス充填に依存する。望ましい範囲の放射線を生成する適格な作動ガスは、Ar、Kr、I2、F2、およびXe2である。エキシマランプは準単色光源で、紫外(UV)および真空紫外(VUV)スペクトル領域の広い波長範囲において高出力スペクトル密度で動作することができる。エキシマランプの動作は、励起二量体(エキシマ)の形成および結合励起エキシマ状態から弱結合基底状態への遷移に基づいており、UV光子放射をもたらす。エキシマランプの放射波長は、エキシマ分子としても知られる作動ガスによって特定される。本発明のデバイスにおける使用のために特に好ましいエキシマランプは、キセノンガス(Xe2)を使用するものである。
【0038】
エキシマランプは水銀を使わず、無電極であり、放電は無線周波数エネルギーに基づく。したがって、このランプは、ON/OFF切り替えサイクルの数に関連する経年変化の影響を有さない。およそ30秒の予熱時間を必要とする水銀ランプと比較して、エキシマランプは本質的に瞬時に、すなわち10ミリ秒未満で動作可能である。例えば、キセノンガス(Xe2)を作動ガスとして使用する場合、放出される放射の主波長は172nmである。一方、クリプトンを作動ガスとして使用する場合、主波長は146nmである。さらに、エキシマランプは一般的な電気廃棄物として廃棄することができ、水銀ランプのような特別な処理または廃棄手順を必要としない。
【0039】
本発明において好ましく使用されるエキシマランプ13の放射の主波長は、好ましくは200nm未満、好ましくは150nm~200nm、最も好ましくは純粋なキセノンガスを使用する場合の172nmであり、好ましくはピーク強度に対して±8nmの半帯域幅であり、ここで、164nm~180nmの範囲にピーク強度の50%以上がまだある。
【0040】
内側シリンダー10aの境界壁11と、正面すなわちバッフルプレート9の垂直面9bとの間に、流体が入口から出口まで露出ゾーンを通過しなければならないギャップGが形成される。これらのギャップG(境界壁11の外周面に垂直な方向、すなわち円筒構造の場合は半径方向に測定したとき)は、2.0mm以下、好ましくは1.2mm~0.3mmの範囲、より好ましくは0.5mm~1.0mmの範囲である。
【0041】
図2および
図3に示すように、エキシマランプ13は、放射線、例えばUV光を流体中の境界壁11に隣接する領域(活性酸化層)15へ放出する。
図5に示すように、エキシマランプ13の(短い)波長により、放出される光の強度は、流体内の光の透過深さが増すにつれて急速に減少する。したがって、バッフルプレート9と境界壁との間のギャップGのサイズは、流体をギャップGと境界壁11に沿って押し込むことによって作り出された流体層の厚み全体を照射および透過するために、比較的小さな値に設定される。さらに、バッフルプレート9の上面または上流面9aは、境界壁11に沿った流れ方向に対して直角に設定されているため、流体に小さな乱流を生成する。距離が小さいほど、乱流は大きくなる。これらの内部乱流は、流体の一部を交互に間隔を置いて内側シリンダー11の境界壁に向かって、または遠ざけ、したがって活性酸化層15に出入りすることにより、境界壁近くの活性酸化層15内の流体を混合する。したがって、層流を防ぐことができ、バッフルプレートを通過する流体の流れ全体が実質的に同じレベルのUV露出を受ける。
図4は、120l/hのフローレートでの予想される流動挙動の概念図(右側)および、40l/hでの流れの実際のシミュレーション結果(左側)を示す。本発明では、デバイス1に入る全ての流体がギャップGを通過しなければならない、すなわち、流体が放射線に露出されていない部分で容積8を通るバイパス流を回避することが重要である。
【0042】
次に、
図6を参照して、さらに好ましい態様を説明する。
図6において、説明の便宜上、放射源、入口および出口などの要素は省略されている。上記の態様とは異なり、バッフルプレート91は外側のシリンダー5aの内面と一体に形成されていないが、バッフルプレート91は所定の間隔(バッフル間距離)Dでスタックに配置され、内側シリンダー10aの境界壁11を取り囲むように、容器5(外側シリンダー5a)の内部容積8に取り付けられている自立要素を形成する。この態様において、バッフルプレート91のそれぞれと一体に形成されたスペーサー18によってバッフル間の間隔が維持される。
【0043】
図7に示される別の態様において、自立要素は、一定のバッフル間距離Dを維持するために隣接するディスク92の間に配置され、円周に分布するスペーサーとして機能するボルト19によって軸方向に相互接続される中央穴92aを有するディスク92の形態のシート材料、すなわちステンレス鋼またはプラスチック材料から作られたバッフルによって形成される。中央穴92aは、流体の流れのための所望のギャップGを形成するために、境界壁11として機能する内側シリンダー10aの外周壁よりも十分に大きな直径を有するように寸法決めされる。ディスク92の外周を、材料の正確な寸法設定により、外側シリンダー5の内周壁4に対してシールすることができ、ある程度の弾性により(ディスクの寸法が外側シリンダーの断面よりもわずかに大きいプラスチック材料の場合)、または外周縁に取り付けられた別のシールにより、当該要素の外側シリンダー5への軽い圧入をもたらす。
【0044】
安定したサポートのために、通常の配分で最低3本のボルト19で十分であるが、より多く使用することもできる。この態様は、示された解決策に限定されず、スペーサー18および接続手段の異なる組み合わせが、自立バッフル要素の「梯子様」構造を達成するために可能である。構造は必ずしも堅固な方法で自立する必要はない。内側シリンダー11へのギャップGおよびバッフル間距離Dを維持しながら、事前に取り付けられたユニットとして容器5の外側シリンダー5aに挿入し、その内周面4に対してシールできる十分な安定性を提供しなければならないだけである。挿入すると、バッフル91、92は外側シリンダー5の位置に保持される。組立時間およびコストを削減する別の改変は、外周から半径方向に一体的に突出する多数のラグまたはストリップを有するシート材料からバッフルディスク92を打ち抜くことである。これらのラグまたはストリップは、その後ディスクの平面から曲げることができ、その後、バッフル間距離Dを維持するためのスペーサー18として機能することができる。ラグを備えたディスクは、接続されていない外側シリンダーに挿入することができ、またはラグを事前に隣接するディスクを相互に接続してユニットを形成することができる。自立式のモジュール化された構造は、製造およびメンテナンスのコストおよび労力を削減でき、さまざまな部品の数を減らしたデバイス1の多数の変形例を提供することができる。
【0045】
図8、
図9および
図10は、本発明のデバイスの実際の例を、外部からの側面図、部分断面図、およびエキシマランプを示さない爆発図で示している。デバイスのさまざまな要素は、前述の概略図の態様と同じ参照符号で識別される。
【0046】
容器5には、軸方向に配列された複数のシリンダー部5b、5c、5dおよび5eが溶着(welding)により互いに接続され、液密の外側シリンダー5a(外側シリンダーアセンブリ)が形成されている。好ましくは、シリンダー部は、タングステン不活性ガス(TIG)溶着によって互いに接続される。TIG溶着は、非消耗タングステン電極を使用して溶着部を製造し、金属フィラーの有無にかかわらず実行できるアーク溶着プロセスであり、後者の場合は自生溶着として知られており、当該態様のために最も好ましい溶着方法である。溶着ゾーンは、強力でクリーンな接続をもたらす不活性シールドガスによって大気汚染から保護されており、TIG溶着は高レベルのプロセス制御を提供し、したがって溶着される薄い材料に特に適している。ここで、オービタル溶着は、接続されるシリンダー部の円筒形状のため、TIG溶着に最も好ましい溶着方法である。オービタル溶着において、アークは静的なワークピースを中心に360°機械的に回転する。
【0047】
外側シリンダー5aの露出ゾーンを形成するシリンダー部5eは、外側シリンダー周壁から半径方向内側に突出する一体に形成されたバッフルプレート9を有する。
入口3および出口7(
図9における回転位置では見えない)が、酸化ゾーンを定義する外側シリンダー5aの軸方向の端部に隣接して置かれる別々のシリンダー部5c、5dに形成され、露出ゾーンを形成するシリンダー部に別々のコネクターによって、または溶着によって一体的に接続されている(
図8および
図9に示すように)。
【0048】
外側シリンダー5aの2つの軸端の1つを閉じるように配置された2つの端部キャップ20、21は、外側コネクター5aのロッキングシリンダー部16(または5b)、17(または5b)にスナップ接続(後述する)で取り外し可能に係合する。したがって、端部キャップは、シリンダー5の内側容積を液密に閉じ、そこで流体は、その軸方向端部で環境へと流れる。
【0049】
液密の外側シリンダー5a(外側シリンダーアセンブリ)を形成するために溶着により互いに接続されたシリンダー部分5b、5cおよび5eは、シリンダー部5dを除き、全て同じ基本的な「カップまたはポット様」デザインおよび本質的に同一の外寸を有する。この基本デザインのために、シリンダー部5b、5cおよび5eはそれぞれ、金属、好ましくはステンレス鋼から、打ち抜かれたシート材料を底がバッフルプレート9および外周壁を形成する「カップまたはポット様」形状に変形(深絞り)することにより形成され、外側シリンダー5aの外壁を形成する。UV安定性の利点に加えて、金属は、放射源の動作によって生成された熱を環境、すなわち空気に放散する機能も提供する。したがって、水温の上昇を抑えることができる。
【0050】
ロッキングシリンダー部16、17(5b)は、露出ゾーンを形成するシリンダー部5eおよび入口を備えたシリンダー部5cと同様の「カップまたはポット様」デザインのシリンダー部であるが、周壁のロック用開口として機能する4つの穴25を有する違いがある。当該態様におけるロッキングシリンダー部16、17(5b)は同一であるが、外側のシリンダー5aで反対の向きに接続されているため、これらの底はどちらの場合も内側に位置する。
【0051】
これは、周囲の周壁に関して他の「カップまたはポット型」シリンダー部と同一であるが、底を有さない単一の異なるシリンダー部5dの使用を必要とする。この場合、出口7は、このリング状のシリンダー部5dに設けられる。もちろん、露出ゾーンを形成するシリンダー部分5eの1つの代わりにリング状のシリンダー部(底なし)を使用し、隣接するシリンダー部を方向付けることも可能であり、シリンダー部5eであっても入口/出口を備えたシリンダー部5cであっても、外側のシリンダー5aを形成するシリンダー部のスタックにおいて、逆向きの底を備える。
【0052】
端部キャップ20、21は、プラグ様デザインを有し、円筒状の環状本体、および端部キャップをロッキングシリンダー部16、17に取り外し可能に取り付けるために、ロッキングシリンダー部16、17の穴25と係合するように配置されている脚24の自由端から半径方向外側に突出するフック様突起24aが設けられている点で接続部分として機能する4つの弾性脚24を含む。脚24は、円筒状の環状本体の外周に等間隔で分布し、そこから上方に突出し、半径方向外側に傾斜している。端部キャップ20、21の円筒状の本体は、ロッキングシリンダー部16、17の内径よりもわずかに小さい外径を有し、本体の内径は、内側シリンダー10aの外径よりもわずかに大きい。脚は、端部キャップ20、21の本体に一体的に接続されているため、端部キャップ20、21全体の外径は、ロッキングシリンダー部16、17の内径よりも大きくなる。端部キャップ20、21をロッキングシリンダー部16、17に挿入することにより、脚が弾性に抗して半径方向内側に押され、端部キャップ20、21がそれぞれのロッキングシリンダー部16、17に完全に挿入され、フック状突起24aがそれぞれの穴と位置合わせされると、突起はスナップする、すなわち、端部キャップ20、21のそれぞれの穴の所定の位置にカチッとはまり、穴に形状固定保持される。
【0053】
容器内部の圧力、すなわち、この圧力により生じる反力が接続部分に作用する。したがって、これらの力に耐え、および操作中に脚が破損すること、または突起が穴から滑り落ちることを防ぐように、突起の寸法、それらの形状、脚の強度および弾性、およびそれらの数を選択する必要がある。操作中の容器内部の圧力は最大24barであり、これは接続部分に作用する3000Nに相当する。本発明はもちろん4本の脚に限定されない。端部キャップは、プラスチック材料、好ましくはバッフルプレートに関連して上記で説明した材料のように紫外線安定性を有する材料から一体構成要素として形成することができる。
【0054】
端部キャップ20、21を挿入する前に、放射線源(エキシマランプ)13の入れ物として機能する内側シリンダー10aを外側シリンダー5に挿入する。エキシマランプ13は、内側シリンダーが外側シリンダーに挿入される前または後に内側シリンダーに挿入することができる。エキシマランプは、適切なコネクターによって、取り外し可能であっても、固定式であっても、内側シリンダーに固定することができる。
図8および
図9に示されるように、エキシマランプ13は、デバイス1の軸方向端部の1つから突出する電気コネクター13aを有し、それにより、それを動作させるための電流を印加することができる。
【0055】
端部キャップを挿入する前に、Oリング22、23をそれぞれ内側シリンダー10aにフィットさせ、ロッキングシリンダー部5bの底の中央の穴と内側シリンダー10aとの間にあるギャップを覆うまで所定の位置に置く(
図9および
図10参照)。端部キャップが完全に挿入され、ロッキングシリンダー部と係合すると、Oリングが所定の位置に圧縮され、処理される流体が流れる容器5の内側容積の液密が確保される。同時に、圧縮されたOリングは、外側シリンダー5の所定位置に内側シリンダー10a(エキシマランプ13を受け入れる)も保持および固定する。
【0056】
したがって、エキシマランプ13を挿入/除去するための内側シリンダーの挿入開口は、メンテナンスおよび製造を容易にするために、端部キャップを取り付けることにより、内側および外側シリンダーの間の容器の内側容積を閉じた後でも、デバイスの外部にアクセスできる。言い換えると、後でデバイスに取り付けることのできるエキシマランプ13を備えずに、デバイス全体を事前に製造することができ、あるいはデバイスの他の部分を洗浄または修理するためにエキシマランプを交換および/または一時的に取り外すことができる。また、内側のシリンダーによって形成された入れ物にフィットする限り、同じデバイスで異なる放射線源を使用できる。
【0057】
スタックされた、すなわち軸方向に整列され溶着された、実質的に同一の基本デザインのシリンダー部から形成されている外側シリンダー5aの構造は、製造の単純さおよびコストに関して利点を提供する。さらに、軸方向の長さ、容量、スループットが異なるさまざまなデバイスを、モジュール構造における少数の異なる構成要素で簡単にセットアップできる。酸化ゾーンの軸方向の長さがより長いデバイスは、出口での浄化水のTOCを低くすることができる。
【0058】
上記のように、外側シリンダー5aは、その軸方向の両端に2つの端部キャップ20、21を提供することにより閉じられている。それにも関わらず、外側シリンダー5aの軸方向の一端に端部キャップ20、21を1つだけ設け、底が完全に閉じられ、外側シリンダー5aを形成するシリンダー部のスタック内の最後から2番目のシリンダー部に溶着により接続された別のシリンダー部(図示せず)を設けることにより他端を閉じることも可能である。さらに、端部キャップ(単数または複数)20、21は、Oリングを圧縮するために必要な軸方向の力を加えるバジョネットまたはネジ式の接続など、他の取り外し可能な接続手段によって外側のシリンダー5aに接続することもでき、または破壊せずに取り外せない方法で、すなわち溶着または接着によって固定して取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0059】
参照
1 デバイス
3 入口
4 内周壁
5 外側容器
5a 外側シリンダー
5b、5c、5d、5e シリンダー部
7 出口
8 容積
9、91 バッフルプレート
【0060】
10 入れ物
10a 内側シリンダー
11 境界壁
13 放射線源(エキシマランプ)
15 活性酸化層
16、17 ロッキングシリンダー部
18 スペーサー
19 ボルト
【0061】
20、21 端部キャップ
22、23 Oリング
24 脚
24a 突起)
25 穴
D バッフル間距離
G ギャップ
T 厚み