(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】検出装置、処理装置、検出方法、及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20230301BHJP
G06T 7/50 20170101ALI20230301BHJP
【FI】
G06T1/00 315
G06T7/50
(21)【出願番号】P 2018216403
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中川 源洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹也
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-312228(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161291(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/50- 7/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出する変形検出部と、
前記検出部の検出結果および前記変形検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え
、
前記算出部は、第1方向における前記物体の空間周波数成分と、前記第1方向と交差する第2方向における前記物体の空間周波数成分とを算出し、
前記変形検出部は、前記算出部から得られる前記第1方向の前記物体の空間周波数成分と前記第2方向の前記物体の空間周波数成分との比較によって、前記第2物体が変形した領域を検出する、検出装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記物体の領域ごとに、前記第1方向における前記物体の空間周波数成分が極大となる第1周波数と、前記第2方向における前記物体の空間周波数が極大となる第2周波数とを算出し、
前記変形検出部は、前記物体において前記第2周波数が第1周波数以上である領域を、前記第2物体が変形した領域と判別する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1方向は鉛直方向に設定され、前記第2方向は水平方向に設定され、
前記変形検出部は、前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体が重力によって変形した領域を検出する、
請求項1または請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1物体は人体を含み、
前記モデル生成部は、前記第1物体のモデル情報として、前記人体の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成する、
請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出し、
前記変形検出部は、前記算出部が算出した前記ピーク周波数が閾値を超える前記物体の領域を検出し、
前記モデル生成部は、前記変形検出部が検出した領域を前記物体から除外した領域に対する前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成する、
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1物体は人体を含み、
前記閾値は、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定される、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出する変形検出部と、
前記検出部の検出結果および前記変形検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、
前記第1物体は人体を含み、
前記モデル生成部は、前記第1物体のモデル情報として、前記人体の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成する、検出装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出し、
前記変形検出部は、前記算出部が算出した前記ピーク周波数が閾値を超える前記物体の領域を検出し、
前記モデル生成部は、前記変形検出部が検出した領域を前記物体から除外した領域に対する前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成する、
請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記第1物体は人体を含み、
前記閾値は、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定される、
請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出する変形検出部と、
前記検出部の検出結果および前記変形検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、
前記算出部は、前記物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出し、
前記変形検出部は、前記算出部が算出した前記ピーク周波数が閾値を超える前記物体の領域を検出し、
前記モデル生成部は、前記変形検出部が検出した領域を前記物体から除外した領域に対する前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成し、
前記第1物体は人体を含み、
前記閾値は、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定される、検出装置。
【請求項11】
前記変形検出部は、前記第2物体が変形した領域を検出し、
前記モデル生成部は、前記変形検出部が検出した前記変形した領域を前記物体から除外した領域に対する前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成する、請求項1
から請求項10のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項12】
前記検出部は、前記物体の各点の位置を検出する位置検出部を含み、
前記算出部は、前記位置を用いて前記物体の空間周波数成分を算出する、
請求項1から
請求項11のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項13】
前記検出部は、前記物体を撮像して前記物体の画像を取得する撮像部を含み、
前記算出部は、前記画像を用いて前記物体の空間周波数成分を算出する、
請求項1から
請求項12のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項14】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出する変形検出部と、
前記検出部の検出結果および前記変形検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモ
デル情報を生成するモデル生成部と、を備え、
前記変形検出部は、前記第1物体の表面から離れる変形をした第2物体の領域を検出する、検出装置。
【請求項15】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出する算出部と、
前記算出部の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出する変形検出部と、
前記物体を検出した検出結果および前記変形検出部の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え
、
前記算出部は、第1方向における前記物体の空間周波数成分と、前記第1方向と交差する第2方向における前記物体の空間周波数成分とを算出し、
前記変形検出部は、前記算出部から得られる前記第1方向の前記物体の空間周波数成分と前記第2方向の前記物体の空間周波数成分との比較によって、前記第2物体が変形した領域を検出する、処理装置。
【請求項16】
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出することと、
前記物体を検出した検出結果に基づいて、
第1方向における前記物体の空間周波数成分と、前記第1方向と交差する第2方向における前記物体の空間周波数成分とを算出することと、
前記物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、
前記第1方向の前記物体の空間周波数成分と前記第2方向の前記物体の空間周波数成分との比較によって、前記第2物体が変形した領域を検出することと、
前記物体を検出した検出結果および
前記第2物体が変形した領域の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成することと、を含む検出方法。
【請求項17】
コンピュータに、
第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、
第1方向における前記物体の空間周波数成分と、前記第1方向と交差する第2方向における前記物体の空間周波数成分とを算出することと、
前記物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、
前記第1方向の前記物体の空間周波数成分と前記第2方向の前記物体の空間周波数成分との比較によって、前記第2物体が変形した領域を検出することと、
前記物体を検出した検出結果および
前記第2物体が変形した領域の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成することと、を実行させる処理プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
人体を含む第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出することと、
前記物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出することと、
前記物体を検出した検出結果および前記第2物体の変形の検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報として、前記人体の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成することと、を実行させる処理プログラム。
【請求項19】
コンピュータに、
人体を含む第1物体と、前記第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、前記物体の空間周波数成分を算出し、前記物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出することと、
前記物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、前記第2物体の変形を検出し、算出した前記ピーク周波数が、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定され閾値を超える前記物体の領域を検出することと、
前記物体を検出した検出結果および前記ピーク周波数が閾値を超える前記物体の領域を前記物体から除外した領域に対する検出結果に基づいて、前記第1物体のモデル情報を生成することと、を実行させる処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、処理装置、検出方法、及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体を検出する技術として、例えば下記の特許文献1に記載された技術がある。検出される物体は、第1物体(例、人体)と、第1物体に付帯する第2物体物(例、服)とを含む場合がある。第1物体の情報を取得する場合、例えば、第2物体の変形が及ぼす影響を低減可能なことが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、検出部の検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、算出部は、第1方向における物体の空間周波数成分と、第1方向と交差する第2方向における物体の空間周波数成分とを算出し、変形検出部は、算出部から得られる第1方向の物体の空間周波数成分と第2方向の物体の空間周波数成分との比較によって、第2物体が変形した領域を検出する、検出装置が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、検出部の検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、第1物体は人体を含み、モデル生成部は、第1物体のモデル情報として、人体の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成する、検出装置が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、検出部の検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、算出部は、物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出し、変形検出部は、算出部が算出したピーク周波数が閾値を超える物体の領域を検出し、モデル生成部は、変形検出部が検出した領域を物体から除外した領域に対する検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成し、第1物体は人体を含み、閾値は、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定される、検出装置が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、検出部の検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、変形検出部は、第1物体の表面から離れる変形をした第2物体の領域を検出する、検出装置が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、検出部の検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備える検出装置が提供される。
【0005】
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、物体を検出した検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備え、算出部は、第1方向における物体の空間周波数成分と、第1方向と交差する第2方向における物体の空間周波数成分とを算出し、変形検出部は、算出部から得られる第1方向の物体の空間周波数成分と第2方向の物体の空間周波数成分との比較によって、第2物体が変形した領域を検出する、処理装置が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出する変形検出部と、物体を検出した検出結果および変形検出部の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成するモデル生成部と、を備える処理装置が提供される。
【0006】
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出することと、物体を検出した検出結果に基づいて、第1方向における物体の空間周波数成分と、第1方向と交差する第2方向における物体の空間周波数成分とを算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第1方向の物体の空間周波数成分と第2方向の物体の空間周波数成分との比較によって、第2物体が変形した領域を検出することと、物体を検出した検出結果および第2物体が変形した領域の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成することと、を含む検出方法が提供される。
本発明の態様に従えば、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出することと、物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出することと、物体を検出した検出結果および第2物体の変形の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成することと、を含む検出方法が提供される。
【0007】
本発明の態様に従えば、コンピュータに、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、第1方向における物体の空間周波数成分と、第1方向と交差する第2方向における物体の空間周波数成分とを算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第1方向の物体の空間周波数成分と第2方向の物体の空間周波数成分との比較によって、第2物体が変形した領域を検出することと、物体を検出した検出結果および第2物体が変形した領域の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成することと、を実行させる処理プログラムが提供される。
本発明の態様に従えば、コンピュータに、人体を含む第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出することと、物体を検出した検出結果および第2物体の変形の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報として、人体の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成することと、を実行させる処理プログラムが提供される。
本発明の態様に従えば、コンピュータに、人体を含む第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出し、物体の領域ごとに空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出し、算出したピーク周波数が、人体において隣り合う関節の間隔に基づいて設定され閾値を超える物体の領域を検出することと、物体を検出した検出結果およびピーク周波数が閾値を超える物体の領域を物体から除外した領域に対する検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成することと、を実行させる処理プログラムが提供される。
本発明の態様に従えば、コンピュータに、第1物体と、第1物体に付帯した第2物体とを含む物体を検出した検出結果に基づいて、物体の空間周波数成分を算出することと、物体の空間周波数成分の算出結果に基づいて、第2物体の変形を検出することと、物体を検出した検出結果および第2物体の変形の検出結果に基づいて、第1物体のモデル情報を生成することと、を実行させる処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る検出装置を示す図である。
【
図3】(A)および(B)は、第1実施形態に係る物体の変形を示す図である。
【
図4】(A)から(C)は、第1実施形態に係る算出部および変形検出部の処理を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る姿勢推定部の処理を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る検出方法を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る検出装置を示す図である。
【
図8】(A)および(B)は、第2実施形態に係る算出部および変形検出部の処理を示す図である。
【
図9】第3実施形態に係る検出装置を示す図である。
【
図10】第4実施形態に係る検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す図である。検出装置1(検出システム)は、例えば、モーションキャプチャ装置、動作検出システム、運動支援システムなどである。検出装置1は、物体Mを検出する。物体Mは、第1物体M1と、第1物体M1に付帯した第2物体M2とを含む。例えば、物体Mは、その構成部を動かして動作する物体又は静止する物体である。
図1において、第1物体M1は人体であり、第2物体M2は人体の少なくとも一部を覆う衣服である。以下の説明において、適宜、第1物体M1を人体M1とし、第2物体M2を付帯物M2とする。
【0010】
人体M1は、例えば、フェンシング、野球、サッカー、ゴルフ、テニス、剣道、アメリカンフットボール、アイスホッケー、又は体操などのスポーツ、ランニング、エクササイズ、ヨガ、ボディビル、ファッションショーなどのウォーキング又はポージング、ゲーム、人物認証、若しくは仕事などにおいて動作する人体である。人体M1は、静止した人体でもよい。また、物体Mは、人体でなくてもよく、例えば、人以外の動物、人型または人以外の動物型のロボット、若しくは動物型以外のロボットでもよい。
【0011】
図1の符号M1aは、人体M1において付帯物M2に覆われた被覆部である。被覆部M1aは、付帯物M2が人体M1の表面に沿って覆う場合、人体M1の形状を仮想的に表す。付帯物M2(例、衣服、タオル、たすき、紙)は、例えば人体M1よりも容易に変形する物体である。例えば、付帯物M2は、動き、風又は重力によって容易に変形して、その一部が人体M1の表面から浮き上がる(離れる)。
図1の符号M2aは、付帯物M2において人体M1の表面から浮き上がるように変形した変形領域(例、人体M1の少なくとも一部に付帯された初期状態の領域とは異なる領域)である。
【0012】
以下の説明において、
図1などに示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系において、Y方向は鉛直方向(重力が働く方向)である。X方向およびZ方向は、それぞれ水平方向である。X、Y、Zの各方向において、適宜、矢印が指す側を+側(例、+Y側)と称し、その反対側を-側(例、-Y側)と称する。例えば、+Y側は鉛直方向の上方であり、-Y側は鉛直方向の下方である。
【0013】
検出装置1は、検出部2と処理装置3とを備える。検出部2は、物体Mを検出する。検出部2は、検出装置1による検出の対象となる対象領域AR(例、検出装置1の検出領域、視野)に配置された物体M(人体M1)を検出する。本実施形態において、検出部2は、物体Mの各点の位置情報を検出する位置検出部を含む。検出部2は、人体M1の位置情報の例として、人体M1の表面上の各点の三次元座標を含む点群データを検出する。検出部2は、第1検出部4と、点群データ生成部5とを含む。
【0014】
第1検出部4は、例えば携帯型の装置(携帯機器)の少なくとも一部である。第1検出部4は、据え置き型の装置の少なくとも一部でもよい。第1検出部4は、処理装置3の内部に設けられてもよい(例、内蔵されてもよい)。また、点群データ生成部5は、処理装置3の外部の装置に設けられてもよい(例、外部接続されてもよい)。例えば、検出部2は、処理装置3の外部の装置であって、第1検出部4で構成されてもよいし、第1検出部4と点群データ生成部5とを内蔵してもよい。上記位置検出部は、第1検出部4および点群データ生成部5を含んでもよく、この場合、検出部2が位置検出部でもよい。また、上記位置検出部は、第1検出部4を含み、点群データ生成部5を含まなくてもよい。検出装置1の一部または全体は、携帯可能な装置(例、情報端末、スマートフォン、タブレット、カメラ付き携帯電話、ウェアラブル端末)でもよい。また、検出装置1の一部または全体は、据え置き型の装置(例、定点カメラ)でもよい。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る検出部を示す図である。第1検出部4は、人体M1の位置情報としてデプスを検出する。第1検出部4は、例えばデプスセンサ(デプスカメラ)を含む。第1検出部4は、所定の点から、対象領域ARに配置される物体の表面における各点までのデプス(位置情報、距離、奥行き、深度)を検出する。所定の点は、例えば、第1検出部4による検出の基準になる位置の点(例、視点、検出元の点、第1検出部4の位置を表す点、後述する撮像素子8の画素の位置)である。
【0016】
第1検出部4は、照射部6、光学系7、及び撮像素子8を備える。照射部6は、対象領域AR(空間、検出領域)に光La(例、パターン光、照射光)を照射(例、投影)する。光学系7は、例えば結像光学系(撮像光学系)を含む。撮像素子8は、例えば、CMOSイメージセンサあるいはCCDイメージセンサを含む。撮像素子8は、2次元的に配列された複数の画素を有する。撮像素子8は、光学系7を介して、対象領域ARを撮像する。撮像素子8は、光Laの照射によって対象領域ARの物体から放射される光Lb(赤外光、戻り光、反射光)を検出する。
【0017】
第1検出部4は、例えば、照射部6から照射される光Laのパターン(例、強度分布)と、撮像素子8によって検出された光Lbのパターン(強度分布、撮像画像)とに基づいて、撮像素子8の各画素に対応する対象領域AR上の点から、撮像素子8の各画素までのデプスを検出する。第1検出部4は、その検出結果として、対象領域ARにおけるデプスの分布を表したデプスマップ(例、デプス画像、奥行き情報、距離情報)を処理装置3(
図1参照)に出力する。第1検出部4は、人体M1の位置情報として、デプスマップを処理装置3に出力する。
【0018】
なお、第1検出部4は、TOF(time of flight)法によってデプスを検出するデバイスでもよい。第1検出部4は、TOF法以外の手法でデプスを検出するデバイスでもよい。第1検出部4は、例えば、レーザスキャナ(例、レーザ測距器)を含み、レーザスキャンによってデプスを検出してもよい。第1検出部4は、例えば、位相差センサを含み、位相差法によってデプスを検出してもよい。第1検出部4は、例えば、DFD(depth from defocus)法によってデプスを検出してもよい。また、第1検出部4は、例えばステレオカメラを含み、複数の視点から対象物OBを撮像した撮像画像を用いて、三角測量によってデプスを検出してもよい。
【0019】
なお、第1検出部4は、赤外光以外の光(例、可視光)を物体Mに照射し、物体Mから出射する光(例、可視光)を検出してもよい。第1検出部4は、例えばステレオカメラなどを含み、複数の視点から物体Mを検出(例、撮像)してもよい。第1検出部4は、複数の視点から物体Mを撮像した撮像画像を用いて、三角測量によってデプスを検出してもよい。第1検出部4は、光学的な手法以外の手法(例、超音波を用いたスキャン)でデプスを検出してもよい。
【0020】
図1の説明に戻り、点群データ生成部5は、第1検出部4が検出したデプスに基づいて、人体M1の位置情報として物体の点群データを生成する。
図1において、第1検出部4が処理装置3の外部に設けられ(外付けされ、外部接続され)、点群データ生成部5が処理装置3の内部に設けられる(内蔵される)。処理装置3は、第1検出部4と通信可能に接続される。第1検出部4は、その検出結果を処理装置3に出力する。処理装置3は、第1検出部4から出力された検出結果を処理する。
【0021】
処理装置3は、点群データ生成部5、算出部11、変形検出部12、モデル生成部13、及び記憶部14を備える。記憶部14は、例えば、不揮発性のメモリ、ハードディスク(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。記憶部14は、処理装置3で処理される元データ、及び処理装置3で処理されたデータ(例、処理装置3で生成されたデータ)を記憶する。記憶部14は、点群データの元データとして、第1検出部4から出力されるデプスマップを記憶する。デプスマップは、例えば、対象領域ARの各点におけるデプスを階調値で表したグレースケールの画像で表される。この画像において、各画素は対象領域ARの各点に対応し、各画素の階調値は対象領域ARの各点におけるデプスに対応する。
【0022】
点群データ生成部5は、物体Mの位置情報として点群データを生成する点群処理を実行する。点群データ生成部5は、記憶部14からデプスマップを読み出し、デプスマップから平面画像への透視変換などによって、点群データを算出する。点群データ生成部5は、デプスマップの各画素の階調値(デプスの測定値)に基づいて、各画素に相当する実空間上の点の3次元座標を算出する。以下の説明において、適宜、1つの点の三次元座標を点データと称する。点群データは、複数の点データを一組にしたデータである。
【0023】
実施形態に係る処理装置3は、物体Mの位置情報(例、点群データ)に基づいて、物体Mの少なくとも一部のモデル情報を生成する。モデル情報は、例えば3次元のCGモデルデータであり、物体Mの形状情報を含む。第1物体M1(人体M1)の形状情報は、例えば、人体M1の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を含む。第1物体M1の形状情報は、第1物体M1の形状を表す点群データとサーフェス情報との一方または双方を含んでもよい。人体M1のサーフェス情報については、後に
図7等で説明する。また、モデル情報は、物体Mの少なくとも一部のテクスチャ情報を含んでもよい。テクスチャ情報は、例えば、物体表面の文字や図形、模様、質感、パターン、凹凸を規定する情報、特定の画像、及び色彩(例、有彩色、無彩色)の少なくとも1つの情報を含む。
【0024】
図1において、人体M1の動き等によって付帯物M2が時間的に変形した変形領域M2aは、人体M1の表面から離れて浮き上がっている。この場合、物体M(付帯物M2および人体M1)の外形は、変形領域M2aの部分において人体M1の外形とかけ離れている。実施形態に係る処理装置3は、検出部2の検出結果に基づいて、付帯物M2の変形領域M2aの少なくとも一部を検出(例、推定、特定、判別)する。そして、処理装置3は、検出した変形領域M2aを物体Mから除外した部分に対する検出部2の検出結果に基づいて、人体M1のモデル情報を生成する。そのため、処理装置3は、人体M1の高精度なモデル情報を取得可能である。
【0025】
次に、
図1、
図3(A)および(B)、並びに
図4(A)から(C)を参照しつつ、処理装置3において、付帯物M2の変形を検出する処理について説明する。
図3(A)および
図3(B)は、第1実施形態に係る物体の変形を示す図である。
図3(A)には、概念図として、物体Mにおいて変形した変形部M3を示した。符号MFは、変形部M3の表面を平面で近似した近似平面である。近似平面MFは、変形部M3の表面の各点からの距離の二乗和が最小になる平面である。符号D1は、近似平面MFに平行な方向から選択される第1方向である。符号D2は、近似平面MFに平行、かつ第1方向D1と交差(例、直交)する方向から選択される第2方向である。符号D3は、近似平面MFに直交する方向に設定される第3方向である。
【0026】
また、符号Fは、変形部M3に働く力(例、張力)である。力Fの方向は、例えば既知である。例えば、力Fが重力である場合、力Fの方向は、鉛直方向である。ここでは、力Fの方向が第1方向D1であるとする。変形部M3には、力F(例、張力)によって、しわM4(変形)が発生する。しわM4は、凸部M4aと凹部M4bとを含む。凸部M4aは、近似平面MFに対して、第3方向D3の一方側(例、物体Mの外側)に向かって突出した部分である。凹部M4bは、近似平面MFに対して、第3方向D3の一方側(例、物体Mの外側)に向かって窪んだ部分である。凸部M4aおよび凹部M4bは、それぞれ、力Fに平行な第1方向D1に延びている。凸部M4aと凹部M4bとは、第1方向D1に交差する第2方向D2に並んでいる。
【0027】
第3方向D3における変形部M3の表面の位置(座標)は、第1方向D1において変化量が小さい。例えば、凸部M4aにおける第3方向D3の座標は、第1方向D1においてほぼ一定である。また、凹部M4bにおける第3方向D3の座標は、第1方向D1においてほぼ一定である。変形部M3の表面の空間周波数成分は、第1方向D1において、低周波数成分の比率が高い。また、第3方向D3における変形部M3の表面の位置(座標)は、第2方向D2において、第1方向D1に比べて変化量が大きい。変形部M3の表面の空間周波数成分は、第2方向D2において、第1方向D1に比べて高周波数成分の比率が高い。
【0028】
図3(B)の符号M2bは、変形領域M2aの一部の領域(以下、部分領域という)である。部分領域M2bは、
図3(A)の変形部M3に相当する。
図3(B)において、変形領域M2aは、鉛直方向(Y方向)の重力を受けて変形しており、
図3(A)の第1方向は、例えば
図3(B)のY方向である。変形領域M2aにおいて、しわM4はY方向と交差する方向(例、X方向)に並んでいる。
図3(A)の第2方向D2は、例えば、
図3(B)のX方向である。部分領域M2bの空間周波数成分は、X方向(第2方向D2)において、Y方向(第1方向D1)に比べて高周波数成分の比率が高い。
【0029】
実施形態に係る処理装置3(
図1参照)は、物体Mの空間周波数の異方性に基づいて、物体Mの変形を検出する。算出部11は、検出部2の検出結果に基づいて、物体Mの空間周波数成分を算出する。例えば、検出部2は物体Mの各点の位置を検出し、算出部11は、検出部2が検出した位置を用いて物体Mの空間周波数を算出する。以下の説明において、適宜、物体Mの少なくとも一部の空間周波数成分を算出する処理を、周波数解析処理と称する。変形検出部12は、算出部11の算出結果に基づいて、第2物体M2の変形を検出(推定)する。以下の説明において、適宜、物体Mの少なくとも一部の変形を検出する処理を、変形検出処理と称する。
【0030】
図4(A)から(C)は、第1実施形態に係る算出部および変形検出部の処理を示す図である。算出部11は、点群データ生成部5が生成した点群データを検出部2の検出結果として用いて、周波数解析処理を実行する。算出部11は、点群データ生成部5が生成した点群データを記憶部14から読み出して、周波数解析処理を実行する。算出部11は、検出部2の検出結果(例、点群データ)を用いたフーリエ変換によって、各空間周波数に対する空間周波数成分(パワー)の分布(パワースペクトル)を算出する。算出部11は、二次元のフーリエ変換によって、
図3(A)に示した第1方向D1における空間周波数成分と、第2方向D2における空間周波数成分とを算出する。
【0031】
算出部11は、物体Mの領域ごとに、周波数解析処理を実行する。
図4(A)の符号AR2は、
図1の対象領域ARから選択される領域である。算出部11は、対象領域ARを複数の領域に分割し、分割された複数の領域の1つを領域AR2(解析対象の領域)として選択する。領域AR2は、例えば、
図3(B)の部分領域M2bに相当する。
【0032】
周波数解析処理において、算出部11は、物体Mを複数の領域に分割した各領域の点群データに基づいて、領域ごとの近似平面MF(
図3(A)参照)を算出する。例えば、算出部11は、各領域の点群データに対して最小二乗法を適用して、近似平面MFを算出する。算出部11は、近似平面MFを、予め設定された第1方向D1(例、鉛直方向、Y方向)に平行という条件を満たす平面として算出する。算出部11は、近似平面MFに平行、かつ予め設定された第1方向D1(例、鉛直方向、Y方向)に直交する方向を第2方向D2(例、水平方向、X方向)に設定する。
【0033】
算出部11は、各領域の点群データに対して二次元フーリエ変換を施し、予め設定された第1方向D1および設定した第2方向D2に基づいて、第1方向D1の空間周波数成分と、第2方向D2の空間周波数成分とを算出する。
図4(B)のKyは、実空間上のY方向に対応する周波数空間(周波数領域)上の方向(以下、第1軸方向と称する)である。
図4(B)のKxは、実空間上のX方向に対応する周波数空間上の方向(以下、第2軸方向と称する)である。
【0034】
図4(B)の符号AR3は、
図4(A)のしわM4に対応する周波数空間上の領域である。符号P1は、しわM4に対応する領域AR3においてパワーが極値(この場合、極大)となるピーク周波数である。符号Kpは、直流成分に対応する原点0とピーク周波数P1とを結ぶ方向である。
図4(C)には、方向Kpの座標(空間周波数)に対するパワーの分布を表すパワースペクトルを示した。
【0035】
算出部11は、物体Mの領域ごとに、空間周波数に対するパワーの分布を表すパワースペクトルを算出する。パワースペクトルの原点およびその周囲には、直流成分に対応するパワーの極大を有する低周波数成分の分布が表れる。算出部11は、パワースペクトルにおいて低周波数成分の分布を除く領域からパワーが極大となるピーク周波数P1を検出する。付帯物M2(衣類)に発生するしわM4の実空間上のスケール(サイズ)は、付帯物M2の材質(例、物性値)に基づいて予め調べておくことができる。算出部11は、しわM4のスケールに対応して予め設定される空間周波数のバンドにおいてパワーが極大となる場合に、パワーが極大となる位置をしわM4に対応するピーク周波数P1として検出してもよい。
【0036】
算出部11は、第1軸方向Kyにおけるピーク周波数P1の座標を、第1方向における物体Mの空間周波数成分が極大となる第1周波数f1として算出する。また、算出部11は、第2軸方向Kxにおけるピーク周波数P1の座標を、第2方向における物体Mの空間周波数成分が極大となる第2周波数f2として算出する。算出部11は、算出した第1周波数f1および第2周波数f2を、部分領域M2bの位置および大きさを示す情報と関連付けて、記憶部14に記憶させる。
【0037】
変形検出部12は、算出部11から得られる第1方向D1(Y方向)の物体Mの空間周波数成分と第2方向D2(X方向)の物体Mの空間周波数成分との比較によって、第2物体M2(付帯物M2、衣類)が変形した変形領域M2aを検出する。
図3(B)で説明したように、付帯物M2に第1方向D1の力Fが作用した場合、付帯物M2の変形によるしわM4は、第1方向D1に交差する第2方向D2に並び、変形によって第1方向D1と第2方向D2とで空間周波数成分の異方性が表れる。変形検出部12は、空間周波数成分の異方性に基づいて、第2物体M2(付帯物M2、衣類)が変形した変形領域M2aを検出する。例えば、第1方向D1が鉛直方向(Y方向)に設定され、第2方向D2が水平方向(X方向)に設定される場合、変形検出部12は、変形領域M2aとして、第2物体M2が時間的な変化(この場合、重力)によって変形した領域を検出する。
【0038】
変形検出部12は、物体Mにおいて第2周波数f2が基準値の第1周波数f1以上である領域を、第2物体M2が変形した変形領域M2aと判別する。変形検出部12は、物体Mの部分領域M2bごとに、記憶部14から第1周波数f1および第2周波数f2を読み出す。変形検出部12は、第1周波数f1と第2周波数f2とを比較し、第2周波数f2が第1周波数f1以上であると判定した場合に、部分領域M2bが変形領域M2aに属すると判定する。
【0039】
変形検出部12は、分割された複数の領域(部分領域M2b)のそれぞれについて、変形領域M2aに属するか否かを判定することによって、変形領域M2aの少なくとも一部を検出する。変形検出部12は、変形検出処理の処理結果として、部分領域M2bが変形領域M2aに属するか否かを示す属性情報(例、フラグ)を生成する。変形検出部12は、部分領域M2bの位置と上記属性情報とを関連付けて記憶部14に記憶させる。
【0040】
図1の説明に戻り、モデル生成部13は、検出部2の検出結果および変形検出部12の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成する。モデル生成部13は、変形検出部12が検出した変形領域M2a(変形した付帯物M2)を物体Mから除外した領域に対する検出部2の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成する。例えば、モデル生成部13は、変形検出部12が検出した変形領域M2aの位置情報を第1物体M1の位置情報として用いないで、第1物体M1のモデル情報を生成する。モデル生成部13は、第1物体M1を変形領域M2aと区別して、第1物体M1のモデル情報を生成する。モデル生成部13は、変形領域M2aが第1物体M1と異なる物体(第2物体M2、付帯物M2)に属する領域(部分)であると判別(識別)して、第1物体M1のモデル情報を生成する。
【0041】
本実施形態に係るモデル生成部13は、第1物体M1のモデル情報として、人体M1の骨格と姿勢との一方または双方を表す情報を生成する。モデル生成部13は、点群データ生成部5と姿勢推定部16とを含む。姿勢推定部16は、人体M1の少なくとも一部の姿勢を推定する姿勢推定処理を実行する。ここで、
図1および
図5を参照しつつ、姿勢推定処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係る姿勢推定部の処理を示す図である。
【0042】
姿勢推定部16は、点群データ生成部5が生成した点群データに基づいて、姿勢推定処理を実行する。姿勢推定部16は、点群データから得られる人体M1の形状に対して、認識処理(例、パターン認識、形状認識、骨格認識)を実行する。姿勢推定部16は、認識処理によって、人体M1の特徴部分(例、特徴点)の位置情報を生成する。人体M1の特徴部分は、例えば、人体M1のうち他の部分と区別可能な部分である。人体M1の特徴部分は、例えば、人体M1の末端部(手先、足先、頭部)と、関節と、末端部とその隣の関節との間の中間部と、隣り合う2つの関節の間の中間部と、の少なくとも1つを含む。特徴部分の位置情報は、例えば、特徴部分を代表する点の座標(例、3次元座標)を含む。
【0043】
図5において、符号Q1から符号Q9は、それぞれ、姿勢推定部16が推定した特徴部分に相当する。符号Q1は頭部であり、符号Q2は肩、符号Q3は背中(背骨中央)、符号Q4は腰、符号Q5は膝、符号Q6は足首、符号Q7は肘、符号Q8は手首、符号Q9は手先である。
【0044】
ここで、変形領域M2aが第1物体M1に属するものとして特徴部分を推定する場合を想定する。
図5の符号Qxは、変形領域M2aが第1物体M1に属するものとして、推定される背中(背骨中央)である。
図5において、人体M1は前かがみの姿勢であり、変形領域M2aは、人体M1の腹から前方に垂れた部分である。変形領域M2aを人体M1の腹とし、腹側の表面と背側の表面との中間に背骨が存在するとした場合、背中Qxの位置は、背中Q3と比べて人体M1の腹側にシフトした位置として推定される。
【0045】
本実施形態に係る姿勢推定部16は、変形領域M2aの少なくとも一部を、第1物体M1(人体M1)と異なる物体(付帯物M2)に属する部分であると識別し、第1物体M1から除外して姿勢推定処理を実行するので、特徴部分(例、背中Q3)を高精度に推定可能である。姿勢推定部16は、上記認識処理の結果として、各特徴部分の位置と、各特徴部分の情報(例、属性情報、名称(背中、腰))と、2つの特徴部分の接続関係を示す接続情報とを一組にした姿勢情報(例、骨格情報、スケルトンデータ)を生成する。姿勢推定部16は、上記姿勢情報を
図1の記憶部14に記憶させる。
【0046】
姿勢推定部16は、上記姿勢情報に基づいて、人体M1の姿勢を推定する。姿勢推定部16は、接続関係がある一対の特徴部分を結ぶ第1線と、第1線に接続され、接続関係がある一対の特徴部分を結ぶ第2線との相対位置(例、角度)に基づいて、第1線および第2線を含む部分の姿勢を推定する。ここで、上記第1線は膝Q5と腰Q4とを結ぶ大腿部Q11であるとし、上記第2線は、腰Q4と背中Q3とを結ぶ背骨Q12であるとする。姿勢推定部16は、大腿部Q11と背骨Q12とがなす角度αを算出する。姿勢推定部16は、大腿部Q11と背骨Q12とがなす角度αが閾値以下である場合、腰が曲がった姿勢であると判定する。姿勢推定部16は、大腿部Q11と背骨Q12とがなす角度αが閾値よりも大きい場合、腰が伸びた姿勢であると判定する。
【0047】
姿勢推定部16は、人体M1の予め設定された各特徴部分について上述のように姿勢を推定することで、人体M1の一部または全体の姿勢を推定する。姿勢推定部16は、変形領域M2aの少なくとも一部を第1物体M1から除外して姿勢推定処理を実行するので、人体M1において隣り合う特徴部分の相対位置を高精度に推定することができ、姿勢を高精度に推定することができる。
【0048】
なお、姿勢推定部16は、物体の姿勢を定義した姿勢定義情報を参照して、姿勢を推定してもよい。上記の姿勢定義情報は、例えば、姿勢の種類を表す情報と、各特徴部分の相対位置を定義する情報とを一組にした情報である。姿勢の種類を表す情報は、例えば、歩行姿勢、座位、ヨガのポーズ名など姿勢の名称である。各特徴部分の相対位置を定義する情報は、例えば、大腿部Q11と背骨Q12とがなす角度αの範囲あるいは閾値である。姿勢推定部16は、上記姿勢情報と上記姿勢定義情報とを照合して、人体M1の姿勢を推定(識別)してもよい
【0049】
次に、上述の検出装置1の動作に基づいて、実施形態に係る検出方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係る検出方法を示すフローチャートである。検出装置1の構成については、適宜、
図1を参照する。ステップS1において、検出部2は、物体Mの各点の位置情報を検出する。ステップS1の処理は、ステップS2の処理およびステップS3の処理を含む。ステップS2において、第1検出部4は、所定の点(例、視点、第1検出部4の位置)から各点までのデプスを検出する。ステップS3において、点群データ生成部5は、デプスの検出結果に基づいて、点群データを生成する。
【0050】
ステップS4において、算出部11は、位置情報に基づいて物体Mの空間周波数成分を算出する。算出部11は、点群データ生成部5が生成した点群データを位置情報として用いて、上記の周波数解析処理を実行する。算出部11は、物体Mを複数の領域に分割し、分割された領域(例、部分領域M2b)ごとに周波数解析処理を実行する(
図4参照)。算出部11は、物体Mの領域ごとに、第1方向D1の物体Mの空間周波数成分と、第2方向D2の物体Mの空間周波数成分とを算出する。算出部11は、第1方向D1の物体Mの空間周波数成分が極大となる第1周波数f1(
図4参照)を算出する。また、算出部11は、第2方向D2の物体Mの空間周波数成分が極大となる第2周波数f2(
図4参照)を算出する。
【0051】
ステップS5において、変形検出部12は、物体Mの空間周波数成分に基づいて第2物体M2の変形を検出する。変形検出部12は、ステップS4において算出部11が算出した空間周波数成分に基づいて、上記の変形検出処理を実行する。変形検出部12は、部分領域M2b(
図4参照)ごとに、第1周波数f1と第2周波数f2とを比較し、第2周波数f2が第1周波数f1以上である場合に、この部分領域M2bが変形領域M2a(
図1参照)に属すると判定する。
【0052】
ステップS6において、モデル生成部13は、変形の検出結果に基づいて第1物体M1のモデル情報を生成する。ステップS6の処理は、ステップS7の処理およびステップS8の処理を含む。ステップS7において、姿勢推定部16は、第2物体M2が変形した領域を除外して物体Mの特徴部分を検出する。姿勢推定部16は、ステップS5において変形検出部12が検出した変形領域M2aを物体Mから除外した領域が第1物体M1に属する領域であると識別して、物体M(第1物体M1)の特徴部分を検出する(
図5参照)。そして、ステップS8において、姿勢推定部16は、特徴部分の相対位置に基づいて第1物体M1の姿勢を推定する。
【0053】
本実施形態に係る検出装置1は、空間周波数成分に基づいて物体Mの変形を検出し、変形の検出結果に基づいて第1物体M1のモデル情報を生成するので、第2物体M2の変形が第1物体M1のモデル情報に及ぼす影響を低減可能である。例えば、検出装置1は、変形領域M2aを除外して第1物体M1のモデル情報を生成する場合、第1物体M1の高精度なモデル情報を取得可能である。例えば、
図1において、第2物体M2(例、付帯物M2)は、第1物体M1(例、人体M1)の表面に沿う部分が第1物体M1の形状を近似的に表すが、変形領域M2aにおいて第1物体M1との形状の差が大きいことがある。検出装置1は、変形領域M2aを除外して第1物体M1の形状を検出することによって、第1物体M1の形状を高精度に検出することができ、例えば第1物体M1の姿勢を高精度に推定することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る算出部11は、点群データに基づいて空間周波数成分を算出するが、デプスマップに対してフーリエ変換を施して空間周波数成分を算出してもよい。また、本実施形態に係る検出装置1は、第1方向D1の空間周波数成分と第2方向D2の空間周波数成分との比較によって変形領域M2aを検出するが、検出部2による物体Mの検出タイミングが異なる複数の検出結果で空間周波数成分を比較して、変形領域M2aを検出してもよい。
【0055】
例えば、検出部2は、第1タイミングと、第1タイミングと異なる第2タイミングとのそれぞれにおいて物体Mを検出してもよい。算出部11は、第1タイミングにおける検出部2の検出結果に基づいて、物体Mの第1空間周波数成分を算出してもよい。また、算出部11は、第2タイミングにおける検出部2の検出結果に基づいて、物体Mの第2空間周波数成分を算出してもよい。変形検出部12は、第1空間周波数成分と第2空間周波数成分との比較によって、変形領域M2aの少なくとも一部を検出してもよい。例えば、変形検出部12は、物体Mの一部の領域に関して、第1空間周波数成分(パワー)がピークとなる空間周波数に対して、第2空間周波数成分(パワー)がピークとなる空間周波数が高周波数へシフトしている場合、この領域が第2タイミングにおいて変形していると判定してもよい。
【0056】
本実施形態において、第1方向D1は鉛直方向に設定されるが、第1方向D1は、鉛直方向と異なる方向に設定されてもよい。第1方向D1は、第2物体M2(付帯物M2)に力が働くと想定される方向に設定されてもよい。例えば、第1方向D1は、第2物体M2(付帯物M2)に水平方向の力が働くことが想定される場合、水平方向に設定されてもよい。また、第1方向D1および第2方向D2は、予め設定されてもよいし、検出部2の検出結果に基づいて設定されてもよい。例えば、検出部2の検出結果に対してフーリエ変換を施して得られるパワースペクトル(
図4(B)、(C)参照)において、パワーが極大となるピーク周波数P1と原点0とを結ぶ方向(Kp)に対応する実空間上の方向を第2方向とし、第2方向に交差(例、直交)する方向を第1方向に設定してもよい。
【0057】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図7は、第2実施形態に係る検出装置を示す図である。
図8は、第2実施形態に係る算出部および変形検出部の処理を示す図である。
【0058】
本実施形態に係る検出装置1は、例えば第1物体M1の微細な構造(例、髪の毛、皮膚のしわ、頭部)に対応する検出結果の少なくとも一部を除外して、第1物体M1のモデル情報を生成する。本実施形態に係るモデル生成部13は、点群データ生成部5とサーフェス情報生成部17とを備える。点群データ生成部5は、第1実施形態で説明したように、第1検出部4が検出した物体Mのデプスに基づいて、物体Mの形状情報として点群データを生成する。
【0059】
算出部11は、物体Mの領域ごとに、空間周波数成分が極大となるピーク周波数を算出する。
図8において、符号AR4は、人体M1の頭部の領域であり、髪の毛などの微細な構造を含む。符号P2は、領域AR4に対応するパワースペクトルにおいて、パワーが極大となるピーク周波数である。f3は、第1軸方向Kyにおけるピーク周波数P2の座標(空間周波数)である。f4は、第2軸方向Kxにおけるピーク周波数P2の座標(空間周波数)である。ピーク周波数P2の空間周波数は、原点0からピーク周波数P2までの距離(f3の二乗とf4の二乗との和の平方根)で表される。例えば、髪の毛は衣服のしわに比べて微細な構造であり、ピーク周波数P2は、ピーク周波数P1よりも高周波数である。
【0060】
算出部11は、物体Mの領域ごとに、空間周波数成分(パワー)が極大となるピーク周波数を算出する。変形検出部12は、算出部11が算出したピーク周波数が閾値V1を超える物体Mの領域(以下、高周波領域と称する)を検出する。閾値V1は、例えば、人体M1における可動域のスケールに相当する空間周波数未満に設定される。人体M1における可動域のスケールは、例えば、隣り合う関節の間隔(例、肘と肩との間隔)である。
図8において、ピーク周波数P2は、原点を中心として半径が閾値V1の円の領域AR5の外側に配置される。この場合、変形検出部12は、ピーク周波数P2に対応する領域AR4を高周波領域として検出(特定)する。領域AR4は、例えば、人体M1の可動域(腕、足、首)に比べて微細な構造が支配的な領域と推定される。
【0061】
モデル生成部は、変形検出部12が検出した高周波領域を物体Mから除外した領域に対する検出部2の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成する。サーフェス情報生成部17は、第1物体M1のモデル情報(例、形状情報)としてサーフェス情報を算出するサーフェス処理を実行する。
【0062】
サーフェス情報は、例えばポリゴンデータ、ベクタデータ、及びドローデータの少なくとも1つを含む。サーフェス情報は、物体の表面上の複数の点の座標と、複数の点間の連結情報とを含む。連結情報(例、属性情報)は、例えば、物体表面の稜線(例、エッジ)に相当する線の両端の点を互いに関連付ける情報を含む。また、連結情報は、例えば、物体表面(サーフェス)の輪郭に相当する複数の線を互いに関連付ける情報を含む。
【0063】
サーフェス情報生成部17は、高周波領域を物体Mから除外した領域に対する検出部2の検出結果(例、点群データ)に基づいて、サーフェス処理を実行する。例えば、サーフェス情報生成部17は、変形検出部12が検出した高周波領域に関する点群データを用いないで、サーフェス処理を実行する。サーフェス情報生成部17は、サーフェス処理において、点群データに含まれる複数の点から選択される点とその近傍の点との間の面を推定する。
【0064】
また、サーフェス情報生成部17は、サーフェス処理において、点群データを点間の平面情報を持つポリゴンデータに変換する。サーフェス情報生成部17は、例えば、最小二乗法を用いたアルゴリズムにより、点群データをポリゴンデータへ変換する。このアルゴリズムは、例えば、点群処理ライブラリに公開されているアルゴリズムを適用したものでもよい。サーフェス情報生成部17は、算出したサーフェス情報を記憶部14に記憶させる。
【0065】
なお、モデル情報は、物体Mのテクスチャ情報を含んでもよい。モデル生成部13は、3次元の点座標及びその関連情報で規定された面のテクスチャ情報を生成してもよい。テクスチャ情報は、例えば、物体表面の文字や図形、模様、質感、パターン、凹凸を規定する情報、特定の画像、及び色彩(例、有彩色、無彩色)の少なくとも1つの情報を含む。モデル生成部13は、生成したテクスチャ情報を記憶部14に記憶させてもよい。
【0066】
また、モデル情報は、画像の空間情報(例、照明条件、光源情報)を含んでもよい。光源情報は、物体Mに対して光(例、照明光)を照射する光源の位置、この光源から物体Mへ光が照射される方向(照射方向)、この光源から照射される光の波長、及びこの光源の種類のうち少なくとも1項目の情報を含む。モデル生成部13は、例えば、ランバート反射を仮定したモデル、アルベド(Albedo)推定を含むモデルなどを利用して、光源情報を算出してもよい。モデル生成部13は、生成した空間情報を記憶部14に記憶させてもよい。モデル生成部13は、テクスチャ情報と空間情報との一方または双方を生成しなくてもよい。
【0067】
本実施形態に係る検出装置1は、例えば第1物体M1の微細な構造(例、髪の毛、皮膚のしわ)に対応する検出結果の少なくとも一部を除外して、第1物体M1のモデル情報を生成する。この場合、検出装置1は、第1物体M1の外形を推定する上で、第1物体M1の微細な構造がノイズとして影響を及ぼすことを低減可能である。また、上記した各実施形態において、検出装置1のモデル生成部13は、変形検出部12によって特定された変形領域M2aの部分を他の部分(被覆部M1a、人体M1)に対して強調したモデル情報を生成してもよい。例えば、モデル生成部13は、変形領域M2aを相対的に強調した画像を生成し、その生成した画像を人体M1のモデル情報に重畳させて変形領域M2aが強調された新たなモデル情報を生成する。
【0068】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図9は、第3実施形態に係る検出装置を示す図である。本実施形態に係る検出装置1は、例えば第1物体M1のモデル情報に基づいてレンダリング処理を実行し、レンダリング処理によって得られる画像を表示する。本実施形態に係る検出装置1(検出システム)は、モデル生成部13と、レンダリング処理部18(レンダリング処理装置、情報処理装置)と、入力装置19と、表示装置20とを備える。
【0069】
レンダリング処理部18は、例えば、グラフィックス プロセッシング ユニット(GPU)を含む。なお、レンダリング処理部18は、CPUおよびメモリが画像処理プログラムに従って各処理を実行する態様でもよい。レンダリング処理部18は、例えば、描画処理、テクスチャマッピング処理、シェーディング処理の少なくとも一つの処理を行う。
【0070】
レンダリング処理部18は、描画処理において、例えば、モデル情報の形状情報に定められた形状を任意の視点から見た推定画像(例、再構築画像)を算出できる。以下の説明において、形状情報が示す形状をモデル形状という。レンダリング処理部18は、例えば、描画処理によって、モデル情報(例、形状情報)からモデル形状(例、推定画像)を再構成できる。レンダリング処理部18は、例えば、算出した推定画像のデータを記憶部14に記憶させる。
【0071】
また、レンダリング処理部18は、テクスチャマッピング処理において、例えば、推定画像上の物体の表面に、モデル情報のテクスチャ情報が示す画像を貼り付けた推定画像を算出できる。レンダリング処理部18は、推定画像上の物体の表面に、対象物と別のテクスチャを貼り付けた推定画像を算出することができる。
【0072】
レンダリング処理部18は、シェーディング処理において、例えば、モデル情報の光源情報が示す光源により形成される陰影を推定画像上の物体に付加した推定画像を算出できる。また、レンダリング処理部18は、シェーディング処理において、例えば、任意の光源により形成される陰影を推定画像上の物体に付加した推定画像を算出できる。
【0073】
入力装置19は、処理装置3に対する各種情報(例、データ、指令)の入力に利用される。ユーザは、入力装置19を操作することによって、処理装置3に対して各種情報を入力可能である。入力装置19は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル、及び音声入力デバイス(例、マイク)の少なくとも一つを含む。
【0074】
表示装置20は、処理装置3から出力される画像のデータに基づいて、この画像を表示する。例えば、処理装置3は、レンダリング処理部18が生成した推定画像のデータを表示装置20に出力する。表示装置20は、処理装置3から出力された推定画像のデータに基づいて、推定画像を表示する。表示装置20は、例えば、液晶ディスプレイを含む。表示装置20および入力装置19は、タッチパネルなどでもよい。
【0075】
本実施形態に係るモデル生成部13は、物体Mから変形領域M2aの少なくとも一部を除いた物体(例、第1物体M1、人体M1)の形状を表すモデル情報を生成する。レンダリング処理部18は、例えば、変形領域M2aが人体M1の形状に及ぼす影響を低減した推定画像を生成可能である。ユーザは、例えば、衣服の変形の影響が低減された人体M1の推定画像を見ることができる。
【0076】
なお、検出装置1は、入力装置19を備えなくてもよい。例えば、検出装置1は、各種の指令、情報が通信を介して入力される形態でもよい。また、検出装置1は、表示装置20を備えなくてもよい。例えば、検出装置1は、レンダリング処理により生成された推定画像のデータを通信を介して表示装置へ出力し、この表示装置が推定画像を表示してもよい。レンダリング処理部18は、
図9において処理装置3に設けられるが、処理装置3の外部の装置に設けられてもよい。上記外部の装置は、処理装置3と通信可能に接続されるクラウドコンピュータでもよい。
【0077】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図10は、第3実施形態に係る検出装置を示す図である。本実施形態において、検出部2は、第1検出部4及び第2検出部21を含む。第2検出部21は、物体Mを撮像する撮像部であり、撮像によって物体Mを検出する。第2検出部21は、例えば、物体Mのカラー画像(例、RGB画像)または白黒画像(例、グレイ画像)を取得する。
【0078】
本実施形態において、検出部2は物体Mを撮像して物体Mの画像を取得し、算出部11は、検出部2が取得した画像を用いて物体Mの空間周波数を算出する。例えば、算出部11は、第2検出部21が撮像した撮像画像(例、物体Mを含むRGB画像)をフーリエ変換することによって、物体Mの空間周波数を算出する。変形検出部12は、算出部11が算出した物体Mの空間周波数に基づいて、物体Mの変形を検出する。そして、モデル生成部13は、第1検出部4の検出結果および変形検出部12の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成する。この場合、例えば、モデル生成部13は、第1検出部4の検出結果から、変形検出部12が検出した変形領域M2aの検出結果を除外して、第1物体M1のモデル情報を生成する。
【0079】
なお、算出部11は、第1検出部4の検出結果に基づいて物体Mの空間周波数を検出し、かつ第2検出部21の検出結果に基づいて物体Mの空間周波数を検出してもよい。また、変形検出部12は、第1検出部4の検出結果に基づく物体Mの空間周波数と、第2検出部21の検出結果に基づく物体Mの空間周波数とに基づいて、物体Mの変形を検出してもよい。
【0080】
なお、第2検出部21は、例えばステレオカメラを含み、複数の位置から物体Mを撮像して物体Mの各点の位置情報(例、デプス)を算出してもよい。モデル生成部13は、第2検出部21の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成してもよい。例えば、算出部11は、第1検出部4の検出結果に基づいて物体Mの空間周波数を算出し、変形検出部12は、第1検出部4の検出結果に基づく物体Mの空間周波数に基づいて、物体Mの変形を検出してもよい。そして、モデル生成部13は、第2検出部21の検出結果から、変形検出部12が第1検出部4の検出結果に基づいて検出した変形領域M2aの検出結果を除外して、第1物体M1のモデル情報を生成してもよい。
【0081】
なお、モデル生成部13は、第1検出部4の検出結果と、第1検出部4の検出結果に基づいて変形検出部12が検出した変形とに基づいて第1物体M1の第1のモデル情報を生成し、かつ第2検出部21の検出結果と、第2検出部21の検出結果に基づいて変形検出部12が検出した変形とに基づいて第1物体M1の第2のモデル情報を生成してもよい。また、モデル生成部13は、上記第1のモデル情報を生成しなくてもよく、この場合、検出装置1は、第1検出部4を備えなくてもよい。
【0082】
上述の実施形態において、処理装置3は、例えばコンピュータシステムを含む。処理装置3は、記憶部14に記憶されている処理プログラムを読み出し、この処理プログラムに従って各種の処理を実行する。この処理プログラムは、コンピュータに、第1物体M1と、第1物体M1に付帯した第2物体M2とを含む物体Mを検出した検出結果に基づいて、物体Mの空間周波数成分を算出することと、物体Mの空間周波数成分の算出結果に基づいて、第2物体M2の変形を検出することと、物体Mを検出した検出結果および第2物体M2の変形の検出結果に基づいて、第1物体M1のモデル情報を生成することと、を実行させる。この処理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例、非一時的な記録媒体、non-transitory tangible media)に記録されて提供されてもよい。
【0083】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0084】
1・・・検出装置、2・・・検出部、3・・・処理装置、5・・・点群データ生成部、11・・・算出部、12・・・変形検出部、13・・・モデル生成部、D1・・・第1方向、D2・・・第2方向、M・・・物体、M1・・・第1物体(人体)、M2・・・第2物体(付帯物)、f1・・・第1周波数、f2・・・第2周波数