(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】微細パターンの製造方法およびそれを用いた表示素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/40 20060101AFI20230301BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G03F7/40 511
G03F7/40
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2020514701
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2018078351
(87)【国際公開番号】W WO2019076956
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2017203836
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】池田 宏和
(72)【発明者】
【氏名】野中 敏章
(72)【発明者】
【氏名】遠山 宜亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝秀
【審査官】倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-109165(JP,A)
【文献】特開2016-190417(JP,A)
【文献】特開平06-250379(JP,A)
【文献】特開2001-312060(JP,A)
【文献】特開2001-242636(JP,A)
【文献】特開2007-108483(JP,A)
【文献】特開2001-093816(JP,A)
【文献】特開2004-061668(JP,A)
【文献】特開平11-204399(JP,A)
【文献】特表2004-505319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/40
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(1)基板上に、アルカリ溶解速度が100~3000Åであるノボラック樹脂を含んでなるレジスト組成物を塗布し、レジスト組成物層を形成させる工程、
(2)前記レジスト組成物層を露光する工程、
(3)前記レジスト組成物層を現像し、レジストパターンを形成させる工程、
(4)前記レジストパターンを全面露光する工程、
(5)前記レジストパターンの表面に微細パターン形成組成物を塗布し、微細パターン形成組成物層を形成させる工程、
(6)前記レジストパターンおよび微細パターン形成組成物層を加熱し、前記微細パターン形成組成物層の前記レジストパターン近傍領域を硬化させて不溶化層を形成させる工程、および
(7)前記微細パターン形成組成物層の未硬化部分を除去する工程
を含んでな
り、
前記工程(2)における露光が、開口数が0.08~0.15である投影レンズを用いて行われる、微細パターンの製造方法。
【請求項2】
前記工程(2)における露光が、限界解像度が1.5~5.0μmである露光装置を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(2)における露光量が15~80mJ/cm
2である、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(2)において照射される光が、300~450nmの波長の光を含んでなる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ノボラック樹脂の質量平均分子量が、1,500~25,000である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記レジストパターンを加熱する工程(3-1)をさらに含んでなる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記微細パターン形成組成物が、架橋剤とポリマーと溶媒とを含んでなる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微細パターン形成組成物の細管粘度計により25℃で測定された粘度が、1~120cPである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記微細パターンのシュリンク量が、0.05~1.00μmである、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(6)における加熱が、50~140℃で行われる、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(7)において、前記微細パターン形成組成物層に、水、水に可溶性の有機溶剤と水との混合液、またはアルカリ水溶液を接触させることによって、前記未硬化部分を除去する、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記レジストパターンの断面形状がテーパー形状である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
レジストパターンの断面形状の深さの10%の部分(D1)におけるパターン幅(L1)と深さの90%の部分(D2)におけるパターン幅(L2)の比率L2/L1が、1.05~18である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を含んでなる、表示素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンを形成させる際、既に形成されたレジストパターン間の分離サイズまたはパターン開口サイズを縮小することにより、より微細なパターンを形成させることができる微細パターンの製造方法、およびそれを用いた表示素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、レジストを用いたパターン形成が行われている。液晶表示素子のレジストプロセスは、例えば300mm×400mmの第1世代のものから、第10世代と言われる2850mm×3050mmの大型の基板にまで適用され、高スループットを達成するために高感度化が求められる。このように超大型のガラス基板へ適用される場合、製造装置を含め、半導体素子製造用のレジストの場合とは、全く要求特性が異なる。例えば、広い基板面全面に対して、レジストパターンサイズの均一性が求められる。また、使用される光源も半導体素子製造用のレジストの場合とは異なり、例えば365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)等の300nm以上の放射線、特にこれらの混合波長が使用されている。また、レジストパターンの形状は、半導体製造分野において矩形が好まれるのに対し、その後の加工において有利であるため、ホール部などの内側側面に傾斜(以下、テーパーという)のついた形状が好まれることがある。
【0003】
最近では、システムLCDとよばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われており、レジストパターンのさらなる高解像化が求められている。一般的にレジストパターンの解像度(解像限界)を上げるためには、レイリーの式:
最小解像度R=k1×λ/NA
焦点深度DOF=k2×λ/NA2
(式中、k1およびk2は定数、λは露光波長、NAは開口数を表す)
によれば、短波長の光源を用いるか、高NA(開口数)の露光プロセスを用いることが必要である。しかし、液晶表示素子製造分野において、光源装置を変更して、露光波長を今以上に短波長化することは困難であり、スループット向上の観点から、高NA化も困難であった(例えば、特許文献1)。
また、半導体素子製造分野には位相シフトマスクや光近接効果補正(OPC)のような微細パターン形成用の技術があるが、液晶表示素子の実製造では、NAが低く、ghi線等の混合波長を使用するため、これらの技術ではよい効果を望めない。このように、半導体素子製造分野におけるパターン微細化技術を表示素子の製造に転用しても、必ずしも成功するとは限らない。
【0004】
その他、半導体素子製造分野であるが、レジストパターンを微細化する方法の一つとして、レジスト組成物からレジストパターンを形成した後、レジストパターン上に被覆層を施し、加熱等することにより、被覆層とレジストパターンの間にミキシング層を形成させ、その後被覆層の一部を除去することによりレジストパターンを太らせ、結果としてレジストパターンの分離サイズあるいはホール開口サイズを縮小してレジストパターンの微細化を図り、実効的に解像限界以下の微細レジストパターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2および3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-195496号公報
【文献】特許3071401号公報
【文献】特開平11-204399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような技術背景の下、本発明者らは表示素子の製造において実用的である微細パターンの製造方法を発見するために、鋭意検討を行った。本発明者らは、露光波長を短波長にすることは高額な装置を導入することを必要とし、さらに光干渉が減るためにレジストパターン形状がテーパー形状ではなく矩形に近づいてしまうため、実用的ではないと考えた。また、DOFの値が大きいとプロセスマージンが広いので、DOFを大きく保つことは有利と考えた。液晶表示素子で一般的に用いられるガラス基板は、表面に数十μm程度の凹凸が存在しているため、DOFが小さいと、その凹凸の影響を受けてパターンの精度が劣化しやすく、歩留まりも悪くなってしまうためである。ここでDOFは上述のレイリーの式からNAの2乗に反比例して小さくなるのでこの点からも、NAを高くして解像度を上げる(上記レイリーの式のRを下げる)ことは実用的ではないと考えた。そこで、本発明者らは、表示素子の製造において解像度を上げる(上記レイリーの式のRを下げる)ために、露光装置(露光波長やレンズ)を変更するのではなく、現像されたレジストパターンを微細化することで、より微細なパターンを得ることを着想し、本発明を完成させるに到った。
本発明は、液晶表示素子製造分野における使用に好適な、実効的に解像限界以下のレジストパターンを製造する方法を提供するものである。具体的には、テーパー形状を有するパターン形状を維持しつつ、限界解像以下の微細パターンを精度よく製造する方法を提供するものである。さらには、本発明によれば、その微細パターン形成方法を含む、素子の製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による微細パターンの製造方法は、
以下の工程:
(1)基板上に、アルカリ溶解速度が100~3000Åであるノボラック樹脂を含んでなるレジスト組成物を塗布し、レジスト組成物層を形成させる工程、
(2)前記レジスト組成物層を露光する工程、
(3)前記レジスト組成物層を現像し、レジストパターンを形成させる工程、
(4)前記レジストパターンを全面露光する工程、
(5)前記レジストパターンの表面に微細パターン形成組成物を塗布し、微細パターン形成組成物層を形成させる工程、
(6)前記レジストパターンおよび微細パターン形成組成物層を加熱し、前記微細パターン形成組成物層の前記レジストパターン近傍領域を硬化させて不溶化層を形成させる工程、および
(7)前記微細パターン形成組成物層の未硬化部分を除去する工程
を含んでなるものである。
【0008】
また、本発明による表示素子の製造方法は、上記の方法を含んでなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、テーパー形状を有する形状を維持しつつ、スペース部またはホール部の寸法縮小率が高く、限界解像以下のパターンを良好かつ経済的に形成させることができる。また、低露光量で、より微細なパターンを製造することができる。
またこのようにして形成された微細レジストパターンをマスクとして用いることにより、基板上に縮小されたパターンを形成することができ、微細パターンを有する素子等を簡単に、かつ歩留まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】微細化されたパターンを形成する方法の説明図
【
図4-1】実施例1~5のレジストパターンおよび微細パターン
【
図4-2】実施例6~11のレジストパターンおよび微細パターン
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。以下、本明細書において、特に限定されない限り、記号、単位、略号、用語は以下の意味を有するものとする。
【0012】
本明細書において、~または-を用いて数値範囲を示した場合、これらは両方の端点を含み、単位は共通する。例えば、5~25モル%は、5モル%以上25モル%以下を意味する。
【0013】
本明細書において、ポリマーが複数種類の繰り返し単位(構成単位)を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。これら共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはこれらの混在のいずれであってもよい。
本明細書において、%は質量%、部は質量部、比は質量比を表す。
【0014】
本明細書において、温度の単位は摂氏(Celsius)を使用する。例えば、20度とは摂氏20度を意味する。
【0015】
[微細パターン形成方法]
本発明による微細パターンの製造方法は、
以下の工程:
(1)基板上に、アルカリ溶解速度が100~3000Åであるノボラック樹脂を含んでなるレジスト組成物を塗布し、レジスト組成物層を形成させる工程、
(2)前記レジスト組成物層を露光する工程、
(3)前記レジスト組成物層を現像し、レジストパターンを形成させる工程、
(4)前記レジストパターンを全面露光する工程、
(5)前記レジストパターンの表面に微細パターン形成組成物を塗布し、微細パターン形成組成物層を形成させる工程、
(6)前記レジストパターンおよび微細パターン形成組成物層を加熱し、前記微細パターン形成組成物層の前記レジストパターン近傍領域を硬化させて不溶化層を形成させる工程、および
(7)前記微細パターン形成組成物層の未硬化部分を除去する工程
を含んでなるものである。
【0016】
以下、本発明による微細パターン形成方法の一例を、工程ごとに、図を参照しつつ、説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、基板上に、アルカリ溶解速度が100~3000Åであるノボラック樹脂を含んでなるレジスト組成物を塗布し、レジスト組成物層を形成させる工程である。
用いられる基板は、特に限定されないが、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。好ましくは、500×600mm2以上の大型ガラス角基板である。基板には、表面にシリコン酸化膜、アルミニウム、モリブデン、クロムなどの金属膜、ITOなどの金属酸化膜、更には半導体素子、回路パターンなどが必要に応じ設けられたものなどでもよい。ここで、前記半導体素子は好適には本発明の表示素子を制御するために用いられる。
【0017】
レジスト組成物を基板上にスリット塗布、スピン塗布等の方法で塗布する。また、塗布法は、前記具体的に示したものに限られず、従来感光性組成物を塗布する際に利用されている塗布法のいずれのものであっても良い。レジスト組成物を基板上に塗布した後、必要に応じて、基板を、70℃から110℃に加熱し、溶媒成分を揮発させ、レジスト組成物層を形成させる。この加熱をプリベーク、または第1の加熱ということがある。加熱(後の工程における加熱においても同様)は、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いて行うことができる。本発明による組成物を適用するレジスト組成物層は、プリベーク後の膜厚が1.0~3.0μmであるものが好ましく、より好ましくは1.3~2.5μm、であるものがより好ましい。
【0018】
[レジスト組成物]
レジスト組成物は、ノボラック樹脂のアルカリ溶解速度が100~3,000Åであるものであれば、特に限定されないが、液晶表示素子製造分野で用いられるレジスト組成物が好適に使用される。
レジスト組成物に含まれるノボラック樹脂は、従来公知の、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基を含む感光剤とを含有する感光性組成物において用いられるノボラック樹脂であれば何れのものでもよく、特に限定されるものではない。本発明において好ましく用いることができるノボラック樹脂は、種々のフェノール類の単独あるいはそれらの複数種の混合物をホルマリンなどのアルデヒド類で重縮合することによって得られる。
ノボラック樹脂を構成するフェノール類としては、例えばフェノール、p-クレゾール、m-クレゾール、o-クレゾール、2,3-ジメチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、2,3,4-トリメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、2,4,5-トリメチルフェノール、メチレンビスフェノール、メチレンビスp-クレゾール、レゾルシン、カテコール、2-メチルレゾルシン、4-メチルレゾルジン、o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノール、2,3-ジクロロフェノール、m-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、p-ブトキシフェノール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2,3-ジエチルフェノール、2,5-ジエチルフェノール、p-イソプロピルフェノール、α-ナフトール、β-ナフトールなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数の混合物として用いることができる。
また、アルデヒド類としては、ホルマリンの他、パラホルムアルデヒデド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒドなどが挙げられ、これらは単独でまたは複数の混合物として用いることができる。
【0019】
本発明に使用されるノボラック樹脂のアルカリ溶解速度は、100~3000Åであり、好ましくは400~1,000Åである。ここで、本発明において、アルカリ溶解速度は、2.38%(±1%が許容される)水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHという)水溶液に対する樹脂膜の溶解時間から測定される。このノボラック樹脂の質量平均分子量は、ポリスチレン換算で、1,500~25,000であることが好ましく、より好ましくは3,000~12,000である。
なお、半導体製造分野で用いられるレジスト組成物のノボラック樹脂のアルカリ溶解速度は、通常100Å以上400Å未満である。
【0020】
本発明のレジスト組成物は、感光剤を含む。感光剤は、好ましくはキノンジアジド基を有する感光剤であり、例えばナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロリドのようなキノンジアジドスルホン酸ハライドと、この酸ハライドと縮合反応可能な官能基を有する低分子化合物または高分子化合物とを反応させることによって得られるものが好ましい。ここで酸ハライドと縮合可能な官能基としては水酸基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好適である。水酸基を有する低分子化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられ、水酸基を有する高分子化合物としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール等が挙げられる。また、キノンジアジドスルホン酸ハライドと水酸基を有する化合物の反応物は、単一エステル化物でもエステル化率の異なる二種以上の混合物であっても良い。これらキノンジアジド基を有する感光剤は、本発明においては、感光性組成物中の樹脂成分100質量部に対し、通常1~30質量部、好ましくは15~25質量部の量で用いられる。
【0021】
本発明のレジスト組成物は、溶剤を含む。溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテー卜等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、γ-ブチロラクトン等のラクトン類等をあげることができる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶剤の配合比は、塗布方法や塗布後の膜厚の要求によって異なる。例えば、スプレーコートの場合は、ノボラック樹脂と感光剤と任意の成分との総質量を基準として、90%以上になったりするが、ディスプレイの製造で使用される大型ガラス基板のスリット塗布では、通常50%以上、好ましくは60%以上、通常90%以下、好ましくは85%以下とされる。
【0022】
本発明に用いられるレジスト組成物に含まれうる構成成分としては、その他には、例えば、界面活性剤、密着増強剤等が挙げられる。
【0023】
<工程(2)>
工程(2)は、レジスト組成物層を露光する工程である。レジスト組成物層を所望のマスクを介してパターニングのため露光する。このときの露光波長は、従来感光性組成物を露光する際に利用されている、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などの単波長や、g線とh線の混合波長、ブロードバンドと呼ばれるg線、h線、i線が混合したものなど、いずれのものであっても良いが、少なくとも300~450nmの波長を含んでなることが好ましく、より好ましくは、350~450nmである。露光量は、15~80mJ/cm2であることが好ましく、より好ましくは20~60mJ/cm2である。
【0024】
本発明において、露光装置は、限界解像度が1.5~5.0μm、より好ましくは1.5~4.0μmである装置において好適である。ここで、本発明において限界解像度とは、以下のように定義される。
(1)まず、レジスト膜を準備する。レジスト吐出ノズルからレジスト液を基板上に滴下した後、基板をスピンし塗膜を得る塗布方式の場合、レジスト組成物はAZ SFP-1500(10cP)(Merck Performance Materials株式会社製、以下、Merck社製と略記する)を用いる。レジスト吐出ノズルと基板とを相対的に移動することによって塗膜を得る塗布方式の場合、レジスト組成物はAZ SR-210-J(Merck社製)を用いる。ガラス基板上にプリベーク後の膜厚が1.5μmになるようにレジスト組成物を塗布し、ホットプレート上で110℃160秒間プリベークする。得られた膜をレジスト膜とする。
(2)得られたレジスト膜に、5.0μmの1:1ライン&スペースのパターンを有するマスクを用いて露光した後、2.38%TMAH水溶液で23℃60秒間現像を行ってレジストパターンを形成させる。
(3)露光量を変化させた場合、得られるレジストパターンの実測サイズは変化する。このため、露光量とレジストパターンの実測サイズとの関係を表す検量線を作成する。具体的にはマスクのサイズを上記のサイズで固定し、露光量を変化させてレジストパターンを複数形成させ、それらのデータを基に検量線を作成する。この検量線から、レジストパターンの実測サイズが、マスクのサイズ(5.0μmの1:1ライン&スペースのパターン)に一致する露光量Eopを決定する。
(4)露光量を一定にした場合、マスクのサイズを変化させると、レジストパターンの実測サイズも変化する。このため、レジストパターンの実測サイズとの関係を表すグラフを作成する。具体的には、露光量をEopに固定し、マスクのパターンサイズを小さくして、サイズの異なるレジストパターンを複数形成させ、マスクのパターンサイズに対するレジストパターンの実測サイズをプロットする。このとき、マスクのパターンサイズと形成されたレジストパターンの実測値は理論的には比例関係となりそうであるが、実際には、マスクサイズが非常に小さくなると、比例関係からずれが生じる。このようにずれが生じるマスクのサイズを限界解像度とする。具体的にはレジストパターンの実測サイズが、マスクのサイズに対して±10%の範囲を超えるマスクのサイズを限界解像度とする。例えば、
図1は、露光量を一定にしたまま、マスクのサイズを変更した場合のグラフであり、このグラフから求められる限界解像度は約2.4μmである。
【0025】
また、露光は、開口数NAが0.08~0.15、好ましくは0.083~0.145、より好ましくは0.083~0.10、である投影レンズを用いて行われることが好ましい。露光にレンズを使用しない(いわゆるミラープロジェクション方式)場合は、厳密にはNAが存在しないが、上記の限界解像度が同等程度である場合の開口数NAと置き換えて、解釈するものとする。
【0026】
<工程(3)>
工程(3)は、レジスト組成物層を現像し、レジストパターンを形成させる工程である。露光後、アルカリ現像液にて現像することにより、露光部が溶け出し、未露光部だけが残り、ポジパターンが形成される。アルカリ現像液は、TMAH等の第四級アミンの水溶液や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機水酸化物の水溶液が一般的である。ここで、露光部が現像液に溶け出し、未露光部が基板上に残り、レジストパターンが形成される。
【0027】
工程(3)の後に、所望によりレジストパターンを加熱する工程(3-1)をさらに含んでいてもよい。この加熱を、ポストベーク、または第2の加熱ということがある。このポストベークの目的は、エッチング耐性の向上である。ポストベークの温度は、好ましくは110~150℃であり、より好ましくは130~140℃である。ポストベークの時間は、ホットプレートの場合に、好ましくは30~300秒間であり、好ましくは60~180秒間である。
【0028】
図2(a)は、基板1上にレジストパターン2が形成された状態を示す。形成されたレジストパターンの断面形状は、テーパー形状であることが好ましい。本明細書において、テーパー形状とは、
図3に示すように、ホールまたはラインの断面形状を観察し、深さの10%の部分(D1)におけるパターン幅(L1)と深さの90%の部分(D2)におけるパターン幅(L2)の比率L2/L1が1.05以上であることを意味する。L2/L1を、以下でテーパー指数とよぶことがある。
本発明において、レジストパターンがテーパー形状の場合に、その後のドライエッチング等で配線加工を行う際に、なだらかな形状が転写される。逆に、レジストパターンが矩形である場合にはエッチング不良のため、薄膜積層時に断線しやすい。本発明においてテーパー形状のレジストパターンは、D2の深さで同パターン上に接線を引き、基板を水平とした場合、その角度が90度未満であることが好ましく、30~80度であることがより好ましく、35~75度であることがさらに好ましく、40~70度であることがよりさらに好ましい。
レジストパターンのテーパー指数は、1.05~18であることが好ましく、より好ましくは1.05~10である。
【0029】
<工程(4)>
工程(4)は、レジストパターンを全面露光する工程である。350~450nmの露光波長でマスクを介せずあるいはブランクマスク(すべての光が透過)を使って、全面露光を行う。全面露光することにより、最初のパターニング露光時には未露光部であったところが露光されるため、感光剤から酸が発生する。不溶化層形成の際に、この酸が触媒として機能し、架橋を促進すると考えられる。
【0030】
<工程(5)>
工程(5)は、レジストパターンの表面に微細パターン形成組成物を塗布し、微細パターン形成組成物層を形成させる工程である。微細パターン形成組成物の塗布は、従来知られた何れの方法であってもよいが、レジスト組成物の塗布のときと同様の方法で行われることが好ましい。このとき、微細パターン形成組成物の膜厚は、任意の量でよいが、例えばベアシリコン上で塗布した場合に、3.0~6.0μm程度が好ましい。塗布後、必要に応じてプリベークし(例えば、60~90℃、15~90秒)、微細パターン形成組成物層を形成させる。
図2(b)は、形成されたレジストパターン上に、微細パターン形成組成物を塗布し、微細パターン形成組成物層3が形成された状態を示す。
【0031】
[微細パターン形成組成物]
本発明による微細パターン形成組成物は、特に限定されないが、好ましくは、架橋剤とポリマーと溶媒とを含んでなる。本発明による微細パターン形成組成物の粘度は、1~120cPであることが好ましく、より好ましくは、10~80cPである。ここで粘度は、細管粘度計により25℃で測定したものである。
【0032】
架橋剤としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アミノ系架橋剤等が有効であるが、酸によって架橋を生じる水溶性の架橋剤であれば特に限定されるものではない。好適には、メトキシメチロールメラミン、メトキシエチレン尿素、グリコールウリル、イソシアネート、ベンゾグアナミン、エチレン尿素、エチレン尿素カルボン酸、(N-メトキシメチル)-ジメトキシエチレン尿素、(N-メトキシメチル)メトキシヒドロキシエチレン尿素、N-メトキシメチル尿素、またはこれらの群から選ばれる2以上の架橋剤の組み合わせが挙げられる。好ましくはメトキシメチロールメラミン、メトキシエチレン尿素、(N-メトキシメチル)-ジメトキシエチレン尿素、(N-メトキシメチル)メトキシヒドロキシエチレン尿素、N-メトキシメチル尿素、またはこれらの群から選ばれる2以上の架橋剤の組み合わせである。
【0033】
ポリマーとしては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、オキサゾリン含有水溶性樹脂、水性ウレタン樹脂、ポリアリルアミン樹脂。
ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体等が有効であるが、酸性成分存在下で架橋反応を生じるものであれば特に限定されない。好適には、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリルアミン樹脂、またはポリビニルアルコールオキサゾリン含有水溶性樹脂、が挙げられる。
【0034】
溶媒としては、前記の架橋剤、ポリマーおよび必要に応じて用いられるその他の添加剤を溶解するためのものである。このような溶媒は、レジストパターンを溶解させないことが必要である。好ましくは、水または水を含有する溶剤が挙げられる。また、水に水溶性有機溶媒を混合して用いることもできる。このような水溶性有機溶媒としては、水に対し0.1%以上溶解する溶媒であれば特に制限はなく、例えばイソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。これら溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
その他の微細パターン形成組成物に含まれうる添加剤としては、例えば、界面活性剤、酸または塩基、可塑剤、レベリング剤等が挙げられる。その他の微細パターン形成組成物に含まれうる添加剤のより好適な例としては界面活性剤、可塑剤、レベリング剤等が挙げられる。
【0036】
界面活性剤は、塗布性や溶解性を向上させるために有用である。
界面活性剤の量は、微細パターン形成組成物の総質量に対して、0.01~5質量%であることが好ましく、0.05~3質量%であることがより好ましい。
【0037】
酸または塩基は、処理液のpHを調整したり、添加成分の溶解性を改良するために用いられる。用いられる酸または塩基は本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択できるが、例えばカルボン酸、アミン類、アンモニウム化合物が挙げられる。これらには、脂肪酸、芳香族カルボン酸、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アンモニウム化合物が包含され、これらは任意の置換基により置換されていても、置換されていなくてもよい。
酸の量は、微細パターン形成組成物の総質量に対して、0.005~0.1質量%であることが好ましい。また塩基の量は、微細パターン形成組成物の総質量に対して、0.01~0.3質量%であることが好ましい。
【0038】
<工程(6)>
工程(6)は、レジストパターンおよび微細パターン形成組成物層を加熱し、微細パターン形成組成物層のレジストパターン近傍領域を硬化させて不溶化層4を形成させる工程である。この工程における加熱を、ミキシングベーク、または第3の加熱というということがある。
図2(c)は、形成された微細パターン形成組成物層とレジストパターンとをミキシングベークした後に、不溶化層が形成された状態を示す。ミキシングベークにより、例えば、レジスト組成物中のポリマーと、微細パターン形成組成物層中のポリマーとが、架橋剤によって架橋され、レジストパターンの近傍領域が硬化し、不溶化層が形成される。ミキシングベークの温度およびベーク時間は、使用されるレジスト、微細パターン形成組成物で使用される材料、ターゲットとする微細パターンの線幅などにより適宜決定される。ミキシングベークの温度は、50~140℃であることが好ましく、より好ましくは80~120℃である。ベーク時間は、ホットプレートの場合に、90~300秒であることが好ましく、より好ましくは150~240秒である。
【0039】
<工程(7)>
工程(7)は、微細パターン形成組成物層の未硬化部分を除去する工程である。
図2(d)は、微細パターン形成組成物層の未硬化部分を除去され、微細パターン5が形成された状態を示す。未硬化部分の除去方法については特に限定されないが、微細パターン形成組成物層に、水、水に可溶性の有機溶剤と水との混合液、またはアルカリ水溶液を接触させることによって、前記未硬化部分を除去することが好ましい。より好ましくは、イソプロピルアルコールを含む水溶液、TMAHを含む水溶液である。なお、除去の条件によって、不溶化層の厚さが変化することがある。例えば、液体との接触時間を長くすることで、不溶化層の厚さは薄くなることがある。以上の処理により、パターンのスペース部分が実効的に微細化され、微細パターン5を得ることができる。
【0040】
ここで、
図2(d)に示すように、レジストパターンのボトムの位置と微細パターンのボトムの位置との距離をシュリンク量6と定義する。シュリンク量は、0.05~1.00μmであることが好ましく、より好ましくは、0.10~0.50μmである。シュリンク量の測定方法は、例えば、断面観察により、レジストパターンのボトムのスペース幅またはホール径を4点測定し、平均スペース幅またはホール径(S
1)とし、同様に微細パターン形成後の平均スペース幅またはホール径(S
2)を測定する。S
2-S
1を2で割った値をシュリンク量として、算出することができる。
微細パターンの断面形状は、テーパー形状であることが好ましい。テーパー指数は、好ましくは1.05~18であり、より好ましくは1.05~10であり、さらに好ましくは1.2~8であり、よりさらに好ましくは1.5~8である。
【0041】
微細パターン形成後に、必要に応じて、さらなる加熱をすることができる。本発明において、この加熱をセカンドポストベークまたは第4の加熱とよぶことがある。セカンドポストベークにより、微細パターンのスペース部分がさらに微細化された、高精細パターンを得ることができる。この工程では、微細パターンに熱フローが起こり、パターンの変形が起こると考えられる。セカンドポストベークの温度は、好ましくは100~145℃であり、より好ましくは100~120℃である。ベーク時間は、ホットプレートの場合に90~300秒であることが好ましく、より好ましくは150~240秒である。
高精細パターンの断面形状は、テーパー形状であることが好ましい。高精細パターンのテーパー指数は、ポストベークすることによってより大きくすることができる。したがって、パターンの形状をより好ましい形状に調整することが可能である。具体的には高精細パターンのテーパー指数は、好ましくは1.05~18であり、より好ましくは1.05~10であり、さらに好ましくは1.2~9であり、よりさらに好ましくは1.3~8であり、なおよりさらに好ましくは1.8~8である。
【0042】
<表示素子の製造方法>
形成された微細パターンは、基板加工に利用することができる。具体的には、微細パターンをマスクとして、下地となる各種基板を、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、イオン注入法、金属めっき法などを用いて、加工することができる。例えば、ドライエッチングやウェットエッチングによって基板を蝕刻加工して凹部を形成させ、その凹部に導電性材料を充填して回路構造を形成させたり、金属メッキ法によって微細パターンで覆われていない部分に金属層を形成させて回路構造を形成させたりすることもできる。
【0043】
微細パターンをマスクとして、所望による加工を行った後、微細パターンは除去される。その後、必要に応じて、基板にさらに加工がされ、表示素子が形成される。これらのさらなる加工は、従来知られている任意の方法を適用することができる。
【0044】
本発明において表示素子とは、表示面に画像(文字を含む)を表示する素子を意味する。表示素子とは、好適にはフラットパネルディスプレイ(FPD)である。FPDとは、好適には液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(OLED)ディスプレイ、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)であり、より好適には液晶ディスプレイである。
【0045】
以降において本発明を実施例により説明する。これらの実施例は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限することを意図しない。
【0046】
<実施例1>
4インチシリコンウエハにレジスト組成物であるAZ SFP-1500(10cP)(Merck社製)をスピンコーター(Dual-1000、リソテックジャパン株式会社製)で塗布し、レジスト組成物層を形成させた。なお、AZ SFP-1500(10cP)のノボラック樹脂のアルカリ溶解速度は約500Åである。
そのレジスト組成物層をホットプレートで110℃、160秒プリベークした。プリベーク後のレジスト組成物層の膜厚は1.5μmであった。その後、理論上、Line=3.0μm、Space=3.0um、となるようにマスクをセットし、ステッパー(FX-604(NA=0.1)、ニコン製)で23.0mJ/cm2で、レジスト組成物層をg線、h線混合波長で露光した。23℃のTMAH2.38%現像液で60秒間現像し、レジストパターンを形成させた。得られたレジストパターンをホットプレートで135℃、180秒間ポストベークした。ポストベーク後のレジストパターンを露光機(PLA-501F、キヤノン社製)で全面露光した。このときの波長は、g線、h線、i線混合波長であった。微細パターン形成組成物として、AZ R200(Merck社製)の固形成分を1.48倍にしたものを準備し、これをAZ R200(11%)とした。スピンコーター(MS-A100、ミカサ社製)でAZ R200(11%)をレジストパターンの表面に塗布し、微細パターン組成物層を形成させた。微細パターン形成組成物層をホットプレートで100℃、180秒ミキシングベークをすることにより不溶化層を形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は4.0μmであった。最後にR2 Developer(Merck社製)で現像することにより、未硬化部分を除去し、微細パターンが得られた。
【0047】
<実施例2>
ホール直径3.0μmとなるようにマスクをセットし、露光量46.0mJ/cm2とし、レジスト組成物層の膜厚が2.4μmであったこと以外は、実施例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。その後、実施例1と同様にして、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0048】
<実施例3>
実施例1と同様に、レジストパターンを形成させた。その後、微細パターン形成組成物として、AZ R602(Merck社製)の固形成分を3.04倍にした組成物(22%)を用い、未硬化部分の除去に水を用いた以外は、実施例1と同様に、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、2.5μmであった。
【0049】
<実施例4>
実施例1と同様に、レジストパターンを形成させた。その後、ミキシングベークの温度を120℃とし、未硬化部分の除去にTMAH0.1%の水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0050】
<実施例5>
実施例2と同様に、レジストパターンを形成させた。その後、ミキシングベークの温度を120℃とした以外は、実施例2と同様にして、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0051】
<実施例6>
ミキシングベーク後の膜厚が3.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にして、微細パターンを形成させた。
【0052】
<実施例7>
実施例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。その後、微細パターン形成組成物として、AZ R200(11%)100質量部に対して界面活性剤メガファックF-410(DIC株式会社製)を0.17質量部添加した組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0053】
<実施例8>
実施例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。その後、微細パターン形成組成物として、AZ R200(11%)100質量部に対して界面活性剤サーフロンS-241(AGCセイミケミカル株式会社製)を0.17質量部添加した組成物を用いた以外は、実施例1と同様に、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0054】
<実施例9>
実施例1と同様にして、レジストパターンを形成させた。その後、微細パターン形成組成物として、AZ R200の架橋剤量を2.09倍、その他の固形成分を1.37倍にした組成物を用い、未硬化部分の除去にTMAH0.1%の水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0055】
<実施例10>
実施例1と同様に、レジストパターンを形成させた。微細パターン形成組成物として実施例9で用いた微細パターン形成組成物100質量部に対して1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(東京化成工業株式会社製)を0.08質量部添加した組成物を用いた以外は、実施例9と同様に、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0056】
<実施例11>
実施例1と同様に、レジストパターンを形成させた。その後、微細パターン形成組成物として実施例9で用いた微細パターン形成組成物100質量部に対してペンタエチレンヘキサミン(東京化成工業株式会社製)を0.08質量部添加した組成物を用いた以外は、実施例9と同様にして、微細パターンを形成させた。ミキシングベーク後の膜厚は、3.5μmであった。
【0057】
実施例1~11で得られたレジストパターンおよび微細パターンは、以下の
図4-1および
図4-2の通りであり、それぞれの減少幅およびシュリンク量は表1の通りである。得られたパターンの測長はSEM(JSM-7100F、日本電子社製)で行い、スペースまたはホールの減少幅およびシュリンク量を算出した。
【表1】
【0058】
パターン形状の評価
得られたレジストパターンおよび微細パターンの断面を観察することにより、テーパー指数(L2/L1)を算出し、得られた結果を表2に示す。
【表2】
【符号の説明】
【0059】
1.基板
2.レジストパターン
3.微細パターン形成組成物層
4.不溶化層
5.微細パターン
6.シュリンク量