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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20230301BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20230301BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F28D15/02 102B
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
F28D15/02 102H
H01L23/46 B
H05K7/20 R
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022118984
(22)【出願日】2022-07-26
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】引地 秀太
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 和仁
(72)【発明者】
【氏名】坂井 啓志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 泰海
(72)【発明者】
【氏名】目黒 正大
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-018706(JP,A)
【文献】特開2020-106245(JP,A)
【文献】特開2004-198096(JP,A)
【文献】特開2017-110891(JP,A)
【文献】特開2007-333263(JP,A)
【文献】特開2002-100713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と熱的に接続される受熱部を有するヒートパイプと、前記ヒートパイプの放熱部にて熱的に接続された熱交換部と、を備えたヒートシンクであり、
前記ヒートパイプが、前記受熱部から前記放熱部まで連通し、且つ作動流体が封入された内部空間を有し、
前記受熱部の、前記発熱体と対向する部位が、前記発熱体の延在方向に沿って平坦な平坦部であり、
前記平坦部が、前記発熱体と直接接触し、
前記ヒートパイプが、複数設けられ、複数の前記ヒートパイプが、前記受熱部における径方向の断面形状が第1の形状である第1のヒートパイプと、前記受熱部における径方向の断面形状が前記第1の形状とは異なる第2の形状である第2のヒートパイプと、を含むヒートシンク。
【請求項2】
前記平坦部が、前記ヒートパイプの熱輸送方向且つ前記ヒートパイプの径方向に沿って延在している請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記平坦部が、切削加工された切削部を有する請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記切削部が、前記ヒートパイプの径方向における角部まで延在していることで、前記角部に形成されたR部の少なくとも一部が切削されている請求項3に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記受熱部が、前記ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平である、高さ方向と厚さ方向を有する扁平部を有し、前記扁平部のうち、厚さ方向の部位が前記平坦部を有する請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記扁平部の厚さ方向の部位の前記平坦部が、切削加工された切削部を有する請求項5に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記ヒートパイプが、複数設けられ、前記受熱部にて、複数の前記ヒートパイプが前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、複数の前記ヒートパイプの前記平坦部が、同一平面上に配置されている請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記ヒートパイプが、複数設けられ、前記受熱部にて、複数の前記ヒートパイプが前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、隣接する前記ヒートパイプ同士が、前記受熱部にて直接接している請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項9】
複数の前記ヒートパイプの前記平坦部が、全て、前記発熱体と直接接触する請求項7に記載のヒートシンク。
【請求項10】
前記第1のヒートパイプの熱輸送特性が、前記第2のヒートパイプの熱輸送特性よりも高い請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項11】
前記第1のヒートパイプの受熱部と前記第2のヒートパイプの受熱部が前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、前記第1のヒートパイプの受熱部が前記第2のヒートパイプの受熱部よりも外方向に配置されている請求項1または2に記載のヒートシンク。
【請求項12】
前記ヒートパイプが、前記受熱部から前記ヒートパイプの長手方向に延在した前記受熱部以外の部位に、前記平坦部から離れる方向へ曲げられた曲げ部を有する請求項1または2に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプの熱輸送機能を用いて冷却対象である発熱体の熱を熱交換部へ輸送することで、発熱体を冷却するヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電子部品等の発熱体を含め、多数の部品がますます高密度に搭載されている。また、電子機器の高機能化に伴い、電子部品等の発熱体の発熱量がますます増大している。電子部品等の発熱体を冷却する手段として、ヒートシンクが使用されることがある。また、狭小空間に配置された高発熱量の発熱体であっても確実に冷却するために、冷却対象である発熱体にヒートパイプが熱的に接続され、ヒートパイプの熱輸送機能を用いて発熱体を冷却するヒートシンクが使用されることがある。
【0003】
複数のヒートパイプが発熱体に熱的に接続されるヒートシンクとして、例えば、ヒートパイプの一端部に前記ヒートパイプの軸線方向に直交する複数の放熱フィンが、所定の間隔にて相互に平行に配列され、放熱フィン間の隙間が一定方向に送風されて放熱フィンから放熱させるヒートシンクであり、放熱フィンの送風方向に対して直交する方向の上端に平板部が設けられ、かつ平板部に通風孔が設けられているヒートシンクが提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、放熱フィンの平板部に通風孔が設けられることで、各放熱フィンの間の空気による熱交換率が向上し、ヒートシンクの放熱効率を向上させるものである。また、特許文献1では、ヒートパイプの他端部は、平板状の受熱ブロックの表面に形成された凹部に嵌合されることで、受熱ブロックに接触、固定されている。冷却対象である発熱体は、受熱ブロックの裏面に接続される。特許文献1では、受熱ブロックを用いることで、ヒートパイプの他端部と発熱体との間における熱的接続の安定性を得ている。従って、特許文献1では、ヒートパイプの他端部は、受熱ブロックを介して冷却対象である発熱体と熱的に接続されている。上記から、発熱体から発生した熱は、先ず、受熱ブロックへ伝達され、さらに、受熱ブロックからヒートパイプの他端部へ伝達される。
【0005】
しかし、特許文献1では、ヒートパイプの受熱部は受熱ブロックを介して発熱体と熱的に接続されているので、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗が大きくなる。また、ヒートパイプの他端部を受熱ブロックに安定的に固定するために、ヒートパイプの他端部を受熱ブロックの凹部にはんだ付けするので、はんだ層の存在により、受熱ブロックからヒートパイプの他端部へ熱が伝達される際の熱抵抗が大きくなる。従って、特許文献1では、ヒートシンクの冷却特性の点で、改善の必要性があった。
【0006】
また、特許文献1は、別途、受熱ブロックを用意する必要があることから、部品点数が増大してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-229523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することで、高発熱量の発熱体に対しても優れた冷却特性を発揮できるヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]発熱体と熱的に接続される受熱部を有するヒートパイプと、前記ヒートパイプの放熱部にて熱的に接続された熱交換部と、を備えたヒートシンクであり、
前記ヒートパイプが、前記受熱部から前記放熱部まで連通し、且つ作動流体が封入された内部空間を有し、
前記受熱部の、前記発熱体と対向する部位が、前記発熱体の延在方向に沿って平坦な平坦部であり、
前記平坦部が、前記発熱体と直接接触するヒートシンク。
[2]前記平坦部が、前記ヒートパイプの熱輸送方向且つ前記ヒートパイプの径方向に沿って延在している[1]に記載のヒートシンク。
[3]前記平坦部が、切削加工された切削部を有する[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[4]前記切削部が、前記ヒートパイプの径方向における角部まで延在していることで、前記角部に形成されたR部の少なくとも一部が切削されている[3]に記載のヒートシンク。
[5]前記受熱部が、前記ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平である、高さ方向と厚さ方向を有する扁平部を有し、前記扁平部のうち、厚さ方向の部位が前記平坦部を有する[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[6]前記扁平部の厚さ方向の部位の前記平坦部が、切削加工された切削部を有する[5]に記載のヒートシンク。
[7]前記ヒートパイプが、複数設けられ、前記受熱部にて、複数の前記ヒートパイプが前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、複数の前記ヒートパイプの前記平坦部が、同一平面上に配置されている[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[8]前記ヒートパイプが、複数設けられ、前記受熱部にて、複数の前記ヒートパイプが前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、隣接する前記ヒートパイプ同士が、前記受熱部にて直接接している[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[9]複数の前記ヒートパイプの前記平坦部が、全て、前記発熱体と直接接触する[7]に記載のヒートシンク。
[10]前記ヒートパイプが、複数設けられ、複数の前記ヒートパイプが、前記受熱部における径方向の断面形状が第1の形状である第1のヒートパイプと、前記受熱部における径方向の断面形状が前記第1の形状とは異なる第2の形状である第2のヒートパイプと、を含む[1]または[2]に記載のヒートシンク。
[11]前記第1のヒートパイプの熱輸送特性が、前記第2のヒートパイプの熱輸送特性よりも高い[10]に記載のヒートシンク。
[12]前記第1のヒートパイプの受熱部と前記第2のヒートパイプの受熱部が前記ヒートパイプの径方向に沿って配置され、前記第1のヒートパイプの受熱部が前記第2のヒートパイプの受熱部よりも外方向に配置されている[10]に記載のヒートシンク。
[13]前記ヒートパイプが、前記受熱部から前記ヒートパイプの長手方向に延在した前記受熱部以外の部位に、前記平坦部から離れる方向へ曲げられた曲げ部を有する[1]または[2]に記載のヒートシンク。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒートシンクの態様では、ヒートパイプの受熱部の、発熱体と対向する部位が、前記発熱体の延在方向に沿って平坦な平坦部であり、前記平坦部が前記発熱体と直接接触することにより、前記受熱部の平坦部に発熱体を安定して接続できるので、受熱ブロックを介さずとも、ヒートパイプの受熱部と発熱体との間における熱的接続の安定性が得られる。従って、本発明のヒートシンクの態様によれば、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができるので、高発熱量の発熱体に対しても優れた冷却特性を発揮できる。
【0011】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記平坦部がヒートパイプの熱輸送方向且つヒートパイプの径方向に沿って延在しているので、ヒートパイプの受熱部と発熱体との間における熱的接続の安定性がさらに確実に得られる。
【0012】
本発明のヒートシンクの態様によれば、前記平坦部が切削加工された切削部を有することにより、平坦部の平面度がさらに向上して、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに低減することができる。なお、ヒートパイプの平坦部が切削加工されると、前記平坦部に切削された跡が形成されるので、切削部の有無は肉眼にて判別することができる。
【0013】
平坦部を形成する平坦加工にあたり、ヒートパイプの径方向における平坦部の角部に、R部が形成される。本発明のヒートシンクの態様によれば、前記平坦部の切削部が、ヒートパイプの径方向における角部まで延在して、前記角部に形成されたR部の少なくとも一部が切削されていることにより、受熱部の、発熱体と対向する部位において、平坦部の面積割合が増大するので、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに低減することができる。
【0014】
本発明のヒートシンクの態様によれば、受熱部が、ヒートパイプの熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平である、高さ方向と厚さ方向を有する扁平部を有し、前記扁平部のうち、厚さ方向の部位が平坦部を有することにより、ヒートシンクの受熱部の設置スペースを増大させることなく、多数のヒートパイプを冷却対象である発熱体と熱的に接続することができる。
【0015】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ヒートパイプが複数設けられ、ヒートパイプの受熱部にて、複数のヒートパイプがその径方向に沿って配置され、複数のヒートパイプの平坦部が同一平面上に配置されていることにより、複数のヒートパイプが設けられていても、複数のヒートパイプの受熱部と発熱体との間における熱的接続の安定性が得られる。従って、発熱体から複数のヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができる。
【0016】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ヒートパイプが複数設けられ、受熱部にて、複数のヒートパイプがその径方向に沿って配置され、隣接するヒートパイプ同士が受熱部にて直接接していることにより、複数のヒートパイプの受熱部同士が、相互に熱伝達可能となるので、複数のヒートパイプの熱的負荷を均一化することができる。
【0017】
本発明のヒートシンクの態様によれば、複数のヒートパイプの平坦部が、全て、発熱体と直接接触することにより、複数のヒートパイプの全てについて、発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに低減することができる。
【0018】
本発明のヒートシンクの態様によれば、複数のヒートパイプが、受熱部における径方向の断面形状が第1の形状である第1のヒートパイプと、受熱部における径方向の断面形状が前記第1の形状とは異なる第2の形状である第2のヒートパイプと、を含むことにより、第1のヒートパイプと第2のヒートパイプの熱輸送特性の差を調整することが可能となる。従って、本発明の上記ヒートシンクの態様によれば、発熱体にホットスポット等の温度ムラが発生していても、発熱体に対して優れた冷却特性を発揮できる。
【0019】
本発明のヒートシンクの態様によれば、ヒートパイプが、受熱部からヒートパイプの長手方向に延在した前記受熱部以外の部位に、平坦部から離れる方向へ曲げられた曲げ部を有することにより、発熱体が狭小空間に設置されていても、ヒートパイプが、狭小空間を避けながら受熱部以外の部位へ伸延することができる。従って、本発明の上記ヒートシンクの態様によれば、狭小空間に設置されている発熱体であっても、優れた冷却特性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの平面図である。
図3】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの一端部方向から視た正面図である。
図4】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの一端部の底面の概要を示す説明図である。
図5】本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられたヒートパイプの径方向の断面形状を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの一端部の概要を正面方向から示す説明図である。
図7】本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの一端部の概要を正面方向から示す説明図である。
図8】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの一端部の底面の概要を示す説明図である。
図9】本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクに備えられたヒートパイプの伸延状態を示す説明図である。
図10】ヒートシンクに備えられたヒートパイプの受熱部に平坦部を形成する前の状態を示す説明図である。
図11】ヒートシンクに備えられたヒートパイプの受熱部に平坦部を形成した後の状態を示す、本発明のヒートシンクの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの平面図である。図3は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの一端部方向から視た正面図である。図4は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクの一端部の底面の概要を示す説明図である。図5は、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクに備えられたヒートパイプの径方向の断面形状を示す説明図である。
【0022】
図1、2に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク1は、ヒートシンク1の冷却対象である発熱体101と熱的に接続される受熱部(蒸発部)22を有するヒートパイプ11と、ヒートパイプ11の放熱部(凝縮部)23にて熱的に接続された熱交換部40と、を備えている。ヒートパイプの本数は、1本でもよく、複数本でもよいが、ヒートシンク1では、複数(8本)のヒートパイプ11、11、11・・・が備えられている。また、熱交換部40は、複数の放熱フィン41が並列配置されて形成されている。
【0023】
ヒートパイプ11は、その内部空間が、密封されており、さらに減圧処理された熱輸送部材である。ヒートパイプ11の内部空間は、受熱部22から放熱部23まで連通しており、作動流体(図示せず)が封入されている。
【0024】
複数のヒートパイプ11、11、11・・・は、いずれも、一端部12において発熱体101と熱的に接続され、他端部13において熱交換部40と熱的に接続されている。従って、複数のヒートパイプ11、11、11・・・は、いずれも、一端部12が受熱部22として機能し、他端部13が放熱部23として機能する。複数のヒートパイプ11、11、11・・・は、いずれも、一端部12と他端部13を結ぶ長手方向がヒートパイプ11の熱輸送方向となっている。ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・にてヒートパイプ群10が形成されている。ヒートパイプ群10は、それぞれのヒートパイプ11がその径方向に沿って並列配置されている。ヒートシンク1では、それぞれのヒートパイプ11が一列に並列配置されている。
【0025】
また、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・が、発熱体101の延在方向に沿って一列に並列配置されている。上記から、ヒートパイプ11の一端部12は、発熱体101の延在方向に沿って一列に並列配置されている。また、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の一端部12、12、12・・・は、略同一平面上に一列に並列配置されている。なお、ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の一端部12、12、12・・・の上面を覆うように、カバー部材110が取り付けられている。
【0026】
図2に示すように、ヒートパイプ11では、一端部12の平面視の形状は略直線状であり、一端部12と他端部13の間に位置する中央部(断熱部)14の平面視の形状も略直線状である。ヒートパイプ11の中央部14は、積極的な熱の出入りのない部位である。従って、ヒートパイプ群10では、ヒートパイプ11の一端部12から中央部14にわたって、平面視略直線状の部位が横並びに配置されている。
【0027】
ヒートシンク1では、ヒートパイプ11について、熱交換部40と熱的に接続された他端部13に、ヒートパイプ11の長手方向における曲げ部15が形成されている。従って、複数のヒートパイプ11、11、11・・・は、いずれも、平面視略L字状となっている。また、右側に位置するヒートパイプ11の曲げ部15は、右方向の曲げであるのに対し、左側に位置するヒートパイプ11の曲げ部15は、左方向の曲げである。つまり、左側に位置するヒートパイプ11と右側に位置するヒートパイプ11について、曲げ部15の曲げ方向が反対となっている。
【0028】
複数のヒートパイプ11、11、11・・・は、いずれも、曲げ部15により、熱交換部40の長手方向に対して略平行方向に他端部13が延びる態様となっている。熱交換部40は、放熱フィン41の主面(平面部)が、ヒートパイプ11の一端部12の伸延方向に対して略平行方向に配置されるように、複数の放熱フィン41、41、41・・・が並列配置されている。放熱フィン41は、薄い平板状の部材である。ヒートシンク1では、熱交換部40の長手方向に対して平行方向に延びるヒートパイプ11の他端部13が、熱交換部40の長手方向の端部まで達している。
【0029】
図1、2に示すように、熱交換部40の外観形状は略直方体である。熱交換部40は、外観形状が略直方体である第1の放熱フィン群42と、第1の放熱フィン群42に隣接した外観形状が略直方体である第2の放熱フィン群43とが積層された構造となっている。第1の放熱フィン群42も第2の放熱フィン群43も、平板状の支持体45上に取り付けられた複数の放熱フィン41、41、41・・・が、熱交換部40の長手方向に対して略平行方向に並列配置されている構造となっている。
【0030】
第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群43との間に、ヒートパイプ11の他端部13が挿入されている。第1の放熱フィン群42と第2の放熱フィン群43との間に、他端部13が配置されることで、熱交換部40とヒートパイプ11が熱的に接続されている。
【0031】
図3、4に示すように、ヒートシンク1では、ヒートパイプ11の受熱部22のうち、発熱体101と対向する部位が、発熱体101の延在方向に沿って平坦な平坦部25となっている。平坦部25は、ヒートパイプ11の熱輸送方向且つヒートパイプ11の径方向に沿って平面状に延在している。また、ヒートシンク1では、平坦部25は、平坦面となっているので、発熱体101と直接接触することができる。ヒートシンク1では、ヒートパイプ11の平坦部25は、発熱体101と直接接触している。
【0032】
ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・にて形成されているヒートパイプ群10は、ヒートパイプ11の受熱部22において、複数のヒートパイプ11、11、11・・・がヒートパイプ11の径方向に沿って並列に配置されている。また、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の平坦部25、25、25・・・が、同一平面上に配置されている。従って、ヒートパイプ群10は、複数の平坦部25、25、25・・・が、同一平面上に連なって延在した平坦領域26を有している。
【0033】
また、ヒートシンク1では、隣接するヒートパイプ11同士が、受熱部22にて直接接している。すなわち、受熱部22において、ヒートパイプ11の長手方向を形成する側面が、隣接する他のヒートパイプ11の長手方向を形成する側面と直接接している。また、ヒートシンク1では、隣接するヒートパイプ11の平坦部25同士が、平坦部25の角部にて直接接している。上記から、ヒートパイプ群10の平坦領域26は、複数の平坦部25、25、25・・・が同一平面上に連続しており、一つの連絡した平坦面の態様となっている。
【0034】
図3、4に示すように、ヒートシンク1では、ヒートパイプ11の受熱部22が、ヒートパイプ11の熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平形状である。すなわち、ヒートパイプ11の受熱部22が、高さ方向Hと高さ方向Hの寸法よりも小さい寸法である厚さ方向Tを有する扁平形状である扁平部30を有し、扁平部30のうち、厚さ方向Tの部位が平坦部25となっている。また、ヒートパイプ11の長手方向を形成する側面が、扁平部30の高さ方向Hの部位であり、ヒートパイプ11の扁平部30の高さ方向Hの部位が、隣接する他のヒートパイプ11の扁平部30の高さ方向Hの部位と直接接している。なお、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・は、その径方向の断面形状が、いずれも略同じとなっている。
【0035】
図4に示すように、平坦部25を形成するためのヒートパイプ11の平坦加工後に、さらに、必要に応じて、平坦部25は、切削加工されて切削部31が形成されていてもよい。平坦部25が切削加工された領域である切削部31を有することにより、平坦部25の平面度がさらに向上する。ヒートシンク1では、平坦部25に切削加工が施されており、従って、平坦部25は、切削部31を有している。また、ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・を並列に配置したヒートパイプ群10を形成した後に、平坦部25に切削加工が施されている。切削部31には、切削された跡が形成され、また、切削されていない部位(非切削部)32と比較して光沢を有する等の特徴を有している。
【0036】
ヒートシンク1では、扁平部30のうち、厚さ方向Tの部位が平坦部25を有するので、扁平部30の厚さ方向Tの部位が、切削加工された切削部31を有している。切削部31は、平坦部25全体に形成されていてもよく、平坦部25の一部領域、例えば、平坦部25のうち、発熱体101が熱的に接続される部位とその近傍(発熱体101が直接接触する部位とその近傍)にのみ、切削部31が形成されていてもよい。切削部31の平面度は、平坦部25と発熱体101との熱的接続性が向上する点から、低いほど好ましい。なお、平面度は、接触式三次元測定により得られる値である。
【0037】
図4では、説明の便宜上、平坦部25のうち、発熱体が熱的に接続される部位とその近傍にのみ、切削部31が形成されている態様としている。また、カバー部材110の底面には切削部31を形成しても、切削部31を形成しなくてもよいが、図4では、説明の便宜上、平坦部25と同一平面上に位置するカバー部材110の底面のうち、ヒートパイプ11の切削部31と連続して、カバー部材110の底面の一部領域まで切削部31が延在している態様としている。従って、ヒートパイプ11の平坦部25に熱的に接続される発熱体が、カバー部110まで延在する大きな寸法であっても、ヒートパイプ11の平坦部25と発熱体との熱的接続性が優れている。
【0038】
図5に示すように、ヒートパイプ11に平坦部25を形成するための平坦加工にあたり、ヒートパイプ11の径方向における平坦部25の角部16に、R部が形成される。しかし、ヒートシンク1では、切削部31が、ヒートパイプ11の径方向における角部16まで延在していることで、角部16に形成されたR部の少なくとも一部が切削されている。従って、ヒートパイプ11の角部16に形成されたR部のうち、平坦部25に近いR部の少なくとも一部が平坦化されている。上記から、ヒートパイプ11では、切削部31を形成することにより、平坦部25が拡幅されている。
【0039】
ヒートパイプ11のコンテナの肉厚は、ヒートシンク1の使用状況等により適宜選択可能である。ヒートパイプ11の平坦部25には切削部31が形成されているので、平坦部25の切削部31は、ヒートパイプ11の非切削部32と比較して、若干、肉薄となっている。
【0040】
発熱体101は、ヒートパイプ11の平坦部25に熱的に接続されていればよい。ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の平坦部25、25、25・・・が、全て、発熱体101と直接接触する態様で、発熱体101がヒートパイプ11の平坦部25に熱的に接続されている。
【0041】
ヒートパイプ11に使用されるコンテナの材質としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、ヒートパイプ11のコンテナに封入される作動流体としては、コンテナの材料との適合性に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。また、放熱フィン41の材質は、特に限定されず、例えば、銅、銅合金等の金属を挙げることができる。
【0042】
次に、第1実施形態例に係るヒートシンク1の使用方法例について説明する。発熱体101の直上及びその近傍に複数のヒートパイプ11、11、11・・・の平坦部25、25、25・・・が、全て、発熱体101と直接接触するように、ヒートシンク1のヒートパイプ群10を設置する。発熱体101から放出された熱は、直接、ヒートパイプ11の一端部12に形成された平坦部25へ伝達される。このとき、平坦部25は、ヒートパイプ11の受熱部22として機能する。ヒートパイプ11の一端部12へ伝達された熱は、ヒートパイプ11の熱輸送作用によって、ヒートパイプ11の一端部12からヒートパイプ11の他端部13へ輸送される。ヒートパイプ11の他端部13へ輸送された熱は、ヒートパイプ11の他端部13から複数の放熱フィン41を有する熱交換部40へ伝達される。このとき、ヒートパイプ11の他端部13は、放熱部として機能する。熱交換部40へ伝達された熱は、熱交換部40の熱交換作用(放熱作用)によって、熱交換部40からヒートシンク1の外部環境へ放出されることで、発熱体101を冷却することができる。
【0043】
上記の通り、ヒートパイプ11の受熱部22の、発熱体101と対向する部位が、発熱体101の延在方向に沿って平坦な平坦部25であることにより、受熱部22の平坦部25に発熱体101を安定して接続できるので、受熱ブロックを介さずとも、ヒートパイプ11の受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られる。従って、ヒートシンク1では、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができるので、高発熱量の発熱体101に対しても優れた冷却特性を発揮できる。また、ヒートシンク1では、別途、受熱ブロック等の、ヒートパイプ11の接続・固定部材を用意する必要がないので、部品点数を低減でき、ヒートシンク1の製造コストを抑えることができる。
【0044】
特に、ヒートシンク1では、平坦部25がヒートパイプ11の熱輸送方向且つヒートパイプ11の径方向に沿って延在しているので、ヒートパイプ11の受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性がさらに確実に得られる。
【0045】
また、ヒートシンク1では、受熱部22の平坦部25が、発熱体101と直接接触しているので、受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られるとともに、発熱体101から受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができ、結果、発熱体101に対して優れた冷却特性を発揮できる。
【0046】
また、ヒートシンク1では、平坦部25が平面度のさらに向上した切削部31を有することにより、発熱体101とヒートパイプ11の受熱部22との間の熱的接続性がさらに向上するので、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに低減することができる。また、ヒートシンク1では、平坦部25の切削部31が、ヒートパイプ11の径方向における角部16まで延在して、角部16に形成されたR部の少なくとも一部が切削されて平坦化されているので、受熱部22の、発熱体101と対向する部位において、平坦部25の面積割合が増大し、発熱体101から受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに確実に低減することができる。
【0047】
また、ヒートシンク1では、ヒートパイプ11の受熱部22が、ヒートパイプ11の熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平である扁平部30を有し、扁平部30のうち、厚さ方向Tの部位が平坦部25を有するので、ヒートシンク1の設置スペースを増大させることなく、多数のヒートパイプ11を冷却対象である発熱体101と熱的に接続することができる。従って、ヒートシンク1では、狭小空間に設置された発熱体101であっても、優れた冷却特性を発揮できる。
【0048】
また、ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の平坦部25、25、25・・・が同一平面上に配置されているので、複数のヒートパイプ11、11、11・・・が設けられていても、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られる。従って、発熱体101から複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができ、また、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の熱的負荷を均一化することができる。
【0049】
また、ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・がその径方向に沿って並列に配置され、隣接するヒートパイプ11同士が受熱部22にて直接接しているので、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・同士が、相互に熱伝達可能となるので、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の熱的負荷を均一化することができる。
【0050】
また、ヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の平坦部25、25、25・・・が、全て、発熱体101と直接接触することができるので、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の全てについて、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗をさらに低減することができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第2実施形態例に係るヒートシンクについて、第1実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成は同じなので、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素に関しては、同じ符号を用いて説明する。図6は、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクの一端部の概要を正面方向から示す説明図である。
【0052】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、8本のヒートパイプ11からヒートパイプ群10が形成されていたが、これに代えて、図6に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、6本のヒートパイプ11からヒートパイプ群10が形成されている。
【0053】
本発明のヒートシンクでは、冷却対象である発熱体101の発熱量、寸法等、ヒートシンクの使用条件等に応じて、ヒートパイプ11の本数は、適宜選択可能である。ヒートシンク2では、例えば、第1実施形態例に係るヒートシンク1よりも、冷却対象である発熱体101の発熱量が少ない、発熱体101の寸法が小さい等の使用条件から、第1実施形態例に係るヒートシンク1よりも、ヒートパイプ11の本数を減らした態様となっている。
【0054】
ヒートシンク2でも、ヒートシンク1と同様に、ヒートパイプ11は、その熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平形状である。すなわち、ヒートパイプ11の受熱部22が、高さ方向と高さ方向の寸法よりも小さい寸法である厚さ方向とを有する扁平形状である扁平部30を有し、扁平部30のうち、厚さ方向の部位が平坦部25となっている。
【0055】
ヒートシンク1よりもヒートパイプ11の本数を減らしたヒートシンク2でも、発熱体101と対向する受熱部22の部位が、発熱体101の延在方向に沿って平坦な平坦部25であることにより、受熱部22の平坦部25に発熱体101を安定して接続できるので、受熱ブロック等のヒートパイプ11の接続・固定部材を介さずとも、ヒートパイプ11の受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られる。また、ヒートシンク2でも、ヒートパイプ11の受熱部22は発熱体101と直接接触している。従って、ヒートシンク2でも、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができる。
【0056】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第3実施形態例に係るヒートシンクについて、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成は同じなので、第1、第2実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素に関しては、同じ符号を用いて説明する。図7は、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクの一端部の概要を正面方向から示す説明図である。
【0057】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・は、その径方向の断面形状が、いずれも略同じとなっていたが、これに代えて、図7に示すように、第3実施形態例に係るヒートシンク3では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の受熱部22、22、22・・・における径方向の断面形状が、複数のヒートパイプ11、11、11・・・の間で異なる態様となっている。
【0058】
ヒートシンク3では、複数のヒートパイプ11、11、11・・・が、受熱部22における径方向の断面形状が第1の形状である第1のヒートパイプ11-1と、受熱部22における径方向の断面形状が前記第1の形状とは異なる第2の形状である第2のヒートパイプ11-2と、を含んでいる。上記から、ヒートシンク3では、受熱部22におけるヒートパイプ11の径方向の断面形状は、複数種類(2種類)となっている。ヒートシンク3では、説明の便宜上、6本のヒートパイプ11、11、11・・・のうち、第1のヒートパイプ11-1が2本、第2のヒートパイプ11-2が4本となっている。
【0059】
ヒートシンク3では、第1のヒートパイプ11-1の受熱部22と第2のヒートパイプ11-2の受熱部22がヒートパイプ11の径方向に沿って並列に配置されており、第1のヒートパイプ11-1の受熱部22が第2のヒートパイプ11-2の受熱部22よりも外方向に配置されている。上記から、第2のヒートパイプ11-2の受熱部22は、第1のヒートパイプ11-1の受熱部22間に装入されている。
【0060】
ヒートシンク3では、第1のヒートパイプ11-1の径方向の断面の面積は、第2のヒートパイプ11-2の径方向の断面の面積よりも大きい。従って、第1のヒートパイプ11-1の熱輸送特性が、第2のヒートパイプ11-2の熱輸送特性よりも高くなっている。また、第1のヒートパイプ11-1の受熱部22における径方向の断面形状は、第2のヒートパイプ11-2の受熱部22における径方向の断面形状よりも、幅広且つ高さの低い態様となっている。
【0061】
ヒートシンク3でも、ヒートシンク1、2と同様に、第1のヒートパイプ11-1は、その熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平形状である。すなわち、第1のヒートパイプ11-1の受熱部22が、高さ方向と高さ方向の寸法よりも小さい寸法である厚さ方向とを有する扁平形状である扁平部30を有し、扁平部30のうち、厚さ方向の部位が平坦部25となっている。また、第2のヒートパイプ11-2は、その熱輸送方向に対して直交方向の断面形状が扁平形状である。すなわち、第2のヒートパイプ11-2の受熱部22が、高さ方向と高さ方向の寸法よりも小さい寸法である厚さ方向とを有する扁平形状である扁平部30を有し、扁平部30のうち、厚さ方向の部位が平坦部25となっている。
【0062】
ヒートシンク3では、第1のヒートパイプ11-1と第2のヒートパイプ11-2の熱輸送特性の差を調整することが可能となる。従って、発熱体101にホットスポット等の温度ムラが発生していても、ホットスポットの部位には、相対的に熱輸送特性の高い第1のヒートパイプ11-1を熱的に接続し、ホットスポットではない部位には、相対的に熱輸送特性の低い第2のヒートパイプ11-2を熱的に接続することで、受熱部22を小型化しつつ、温度ムラが発生している発熱体101に対して優れた冷却特性を発揮できる。
【0063】
受熱部22における径方向の断面形状が異なるヒートパイプ11を備えたヒートシンク3でも、発熱体101と対向する受熱部22の部位が、発熱体101の延在方向に沿って平坦な平坦部25であることにより、受熱部22の平坦部25に発熱体101を安定して接続できるので、受熱ブロック等のヒートパイプ11の接続・固定部材を介さずとも、ヒートパイプ11の受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られる。また、ヒートシンク3でも、ヒートパイプ11の受熱部22は発熱体101と直接接触している。従って、ヒートシンク3でも、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第4実施形態例に係るヒートシンクについて、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと主要な構成は同じなので、第1~第3実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素に関しては、同じ符号を用いて説明する。図8は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクの一端部の底面の概要を示す説明図である。図9は、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクに備えられたヒートパイプの伸延状態を示す説明図である。
【0065】
図8、9に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、ヒートパイプ11が、受熱部22からヒートパイプ11の長手方向に延在した受熱部22以外の部位51に、平坦部25から離れる方向へ曲げられた曲げ部50を有している。ヒートシンク4では、受熱部22と断熱部14の境界部近傍に、曲げ部50が設けられている。曲げ部50は、段差状であり、段差部となっている。段差状の曲げ部50は、ヒートパイプ11の受熱部22の高さ方向Hに沿って曲げられている。
【0066】
上記から、ヒートシンク4では、ヒートパイプ11の断熱部14は、ヒートパイプ11の受熱部22よりも高い位置へ向かって伸延し、ヒートパイプ11の放熱部(図示せず)は、ヒートパイプ11の受熱部22よりも高い位置に配置されている。また、ヒートシンク4では、さらに、ヒートパイプ11の一端部12の先端52近傍にも、平坦部25から離れる方向へ曲げられた曲げ部50を有している。一端部12の先端52近傍の曲げ部50も、段差状であり、段差部となっている。一端部12の先端52近傍における段差状の曲げ部50も、ヒートパイプ11の受熱部22の高さ方向Hに沿って曲げられている。従って、一端部12の先端52は、ヒートパイプ11の受熱部22よりも高い位置に配置されている。
【0067】
ヒートシンク4では、ヒートパイプ11のうち、発熱体101と対向する平坦部25の部位は、発熱体101に向かって突出している。一方で、発熱体101と対向しない一端部12の先端52、断熱部14及び放熱部は、発熱体101と対向する平坦部25の部位よりも、高さ方向Hに向かって離れた位置に設けられている。
【0068】
ヒートシンク4でも、平坦部25に切削加工が施されており、従って、平坦部25は、切削部31を有している。また、平坦部25と同一平面上に位置するカバー部材110の底面のうち、ヒートパイプ11の切削部31と連続して、カバー部材110の底面の一部領域まで切削部31が延在している。
【0069】
ヒートシンク4では、ヒートパイプ11が、受熱部22からヒートパイプ11の長手方向に延在した受熱部22以外の部位51に、平坦部25から離れる方向へ曲げられた曲げ部50を有し、また、一端部12の先端52近傍に、平坦部25から離れる方向へ曲げられた曲げ部50を有することにより、発熱体101が狭小空間に設置されていても、ヒートパイプ11が、狭小空間を避けながら受熱部22以外の部位へ伸延することができる。従って、ヒートシンク4では、狭小空間に設置されている発熱体101であっても、優れた冷却特性を発揮できる。
【0070】
また、ヒートパイプ11に段差状の曲げ部50が形成されたヒートシンク4でも、発熱体101と対向する受熱部22の部位が、発熱体101の延在方向に沿って平坦な平坦部25であることにより、受熱部22の平坦部25に発熱体101を安定して接続できるので、受熱ブロック等のヒートパイプ11の接続・固定部材を介さずとも、ヒートパイプ11の受熱部22と発熱体101との間における熱的接続の安定性が得られる。また、ヒートシンク4でも、ヒートパイプ11の受熱部22は発熱体101と直接接触している。従って、ヒートシンク4でも、発熱体101からヒートパイプ11の受熱部22へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することができるので、発熱体101に対して優れた冷却特性を発揮できる。
【0071】
次に、ヒートパイプ25の受熱部22に平坦部25を形成する方法について説明する。ここでは、第1の実施形態例に係るヒートシンク1を用いて、平坦部25を形成する方法について説明する。なお、図10は、ヒートシンクに備えられたヒートパイプの受熱部に平坦部を形成する前の状態を示す説明図である。図11は、ヒートシンクに備えられたヒートパイプの受熱部に平坦部を形成した後の状態を示す、本発明のヒートシンクの説明図である。
【0072】
先ず、径方向の断面形状が円形状であるヒートパイプを用意し、少なくとも受熱部に対応する部分について扁平加工を行って、扁平部30を有するヒートパイプ211を作製する。次に、図10に示すように、扁平部30を有するヒートパイプ211をカバー部110に挿入して、複数(図10では、8本)のヒートパイプ211、211、211・・・を備えたヒートパイプ群210を形成する。このとき、発熱体に対向するヒートパイプ211の部位は、カバー部110の底面から扁平部30の一部が突出した突出部212を有している。
【0073】
次に、図11に示すように、ヒートパイプ211の突出部212対して、平坦化加工を行って、平坦部25を形成する。平坦化加工としては、例えば、突出部212をカバー部110方向へ塑性変形させる塑性変形処理が挙げられる。平坦化加工により、平坦部25とカバー部110の底面は、略同一平面上に位置する。上記工程により、ヒートパイプ25の受熱部22に平坦部25が形成されたヒートシンク1を作製することができる。
【0074】
次に、本発明のヒートシンクの他の実施形態例について、以下に説明する。
【0075】
上記各実施形態例では、ヒートパイプの受熱部のうち、発熱体と対向する部位が平坦部となっていたが、ヒートパイプの受熱部のうち、発熱体と対向する部位のみに平坦部が形成されていてもよく、ヒートパイプの受熱部全体のみに平坦部が形成されていてもよく、ヒートパイプの受熱部だけではなく、ヒートパイプの受熱部以外の部位にも、平坦部が形成されていてもよい。
【0076】
また、上記各実施形態例では、ヒートパイプの受熱部が、厚さ方向の部位が平坦部となっている扁平形状である扁平部を有していたが、ヒートパイプの受熱部のみが上記扁平部を有していてもよく、ヒートパイプの受熱部だけではなく、ヒートパイプの受熱部以外の部位も、上記扁平部を有していてもよい。また、上記各実施形態例では、ヒートパイプは、厚さ方向の部位が平坦部となっている扁平部を有していたが、ヒートパイプの受熱部のうち、発熱体と対向する部位に平坦部が形成されていれば、ヒートパイプの径方向の形状は特に限定されず、これに代えて、扁平部を有していない形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のヒートシンクは、広汎な分野で利用可能であるが、狭小化された空間に搭載された高発熱量の発熱体に対しても、優れた冷却性能を発揮できるので、例えば、データセンター等で使用されるサーバ等、高性能の電子部品が使用される分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1、2、3、4 ヒートシンク
11 ヒートパイプ
12 一端部
13 他端部
22 受熱部
23 放熱部
25 平坦部
30 扁平部
31 切削部
40 熱交換部
【要約】      (修正有)
【課題】発熱体からヒートパイプの受熱部へ熱が伝達される際の熱抵抗を低減することで、高発熱量の発熱体に対しても優れた冷却特性を発揮できるヒートシンクを提供する。
【解決手段】発熱体と熱的に接続される受熱部を有するヒートパイプと、前記ヒートパイプの放熱部にて熱的に接続された熱交換部と、を備えたヒートシンクであり、前記ヒートパイプが、前記受熱部から前記放熱部まで連通し、且つ作動流体が封入された内部空間を有し、前記受熱部の、前記発熱体と対向する部位が、前記発熱体の延在方向に沿って平坦な平坦部であり、前記平坦部が、前記発熱体と直接接触するヒートシンク。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11