IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特許7236473多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類
<>
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図1A
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図1B
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図1C
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図1D
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図2
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図3
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図4
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図5
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図6
  • 特許-多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-01
(45)【発行日】2023-03-09
(54)【発明の名称】多重散乱信号に基づく埋設粒子深度値域分類
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20230302BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G01N21/956 A
H01L21/66 J
【請求項の数】 43
(21)【出願番号】P 2020570693
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019036432
(87)【国際公開番号】W WO2019245785
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】62/687,123
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/165,742
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】ユ アレックス
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10732130(US,B2)
【文献】国際公開第2018/067885(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/117568(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/071137(WO,A1)
【文献】特表2009-511878(JP,A)
【文献】特開2007-279040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
H01L 21/64-H01L 21/66
G06T 1/00
G06T 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ビームを生成するように構成された照明源と、
前記照明ビームをサンプルまで導くための1つ又は複数の照明光学部品と、
立体角の第1範囲内の前記照明ビームに応じた前記サンプルからの光を収集するための第1検出器を少なくとも含む第1収集チャネルであって、前記第1収集チャネルは、前記第1検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第1偏光器を更に含む、第1収集チャネルと、
立体角の前記第1範囲とは異なる立体角の第2範囲内の前記照明源からの前記照明ビームに応じた前記サンプルからの光を収集するための第2検出器を少なくとも含む第2収集チャネルであって、前記第2収集チャネルは、前記第2検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第2偏光器を更に含む、第2収集チャネルと、
プログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含む制御装置であって、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
2つ以上の散乱信号を受け取るステップであって、前記2つ以上の散乱信号は、前記第1偏光器の1つ又は複数の方位に基づく前記第1収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号を含み、前記2つ以上の散乱信号は、前記第2偏光器の1つ又は複数の方位に基づく前記第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号を更に含む、ステップと、
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップであって、前記トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有するトレーニングサンプルからの散乱信号を含む、ステップと、
を行わせる制御装置と、
を備え、
前記1つ又は複数の照明光学部品は、対物レンズを含み、
前記立体角の第1範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記サンプルに垂直な方向から第1立体角までの範囲に及ぶ立体角の円錐を含み、
前記立体角の第2範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記第1立体角から、前記第1立体角よりも大きい第2立体角までの範囲に及ぶ立体角の環状分布を含み、
前記2つ以上の散乱信号のそれぞれは、立体角範囲及び偏光の異なる組み合わせを含む、
検査システム。
【請求項2】
前記2つ以上の散乱信号を前記トレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記2つ以上の散乱信号を前記トレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の前記1つ又は複数の欠陥を深度値域に分類するステップを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記深度値域は、
2つ以上の深度値域
を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記深度値域は、
表面の深度値域と、2つ以上の表面下の深度値域と、
を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項5】
前記深度値域は、
表面の深度値域と、4つ以上の表面下の深度値域と、
を含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項6】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記トレーニングデータに基づいて欠陥深度を決定するための1つ又は複数のルールを生成するステップと、
前記サンプル内の前記1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するために前記1つ又は複数のルールを前記2つ以上の散乱信号に適用するステップと、
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記トレーニングデータによって、教師あり学習法、半教師あり学習法、ディープラーニング法の少なくとも1つを含む機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
前記2つ以上の散乱信号を入力として前記機械学習アルゴリズムに提供するステップと、
前記機械学習アルゴリズムの出力に基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するステップと、
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数の欠陥は、
前記サンプル内に埋設された1つ又は複数の粒子
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項9】
前記サンプルは、
半導体ウェーハ
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項10】
前記サンプルは、
基板上に堆積された薄膜
を備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項11】
前記サンプルは、
基板上に堆積された多層薄膜積層体
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
前記立体角の第1範囲は、前記対物レンズの開口数内の立体角の第1サブセットを含み、少なくとも収集角の第2セットが、前記対物レンズの前記開口数内の立体角の第2サブセットを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項13】
前記第1及び第2収集チャネルは、方位的に対称である、請求項12に記載の検査システム。
【請求項14】
前記第2収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、
前記第2偏光器の2つの直交方位に基づく2つの散乱信号
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項15】
前記第1収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、
前記第1偏光器の単一方位に基づく1つの散乱信号
を含む、請求項14に記載の検査システム。
【請求項16】
前記第1収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、
前記第1偏光器の2つの直交方位に基づく2つの散乱信号
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項17】
前記1つ又は複数の照明光学部品は、前記照明ビームを前記照明源から斜入射角で前記サンプルまで導く、請求項1に記載の検査システム。
【請求項18】
前記2つ以上の散乱信号のうちの少なくとも1つは、
暗視野散乱信号
を含む、請求項17に記載の検査システム。
【請求項19】
前記1つ又は複数の照明光学部品は、前記照明ビームを前記照明源から垂直入射角で前記サンプルまで導く、請求項1に記載の検査システム。
【請求項20】
前記2つ以上の散乱信号のうちの少なくとも1つは、
明視野散乱信号
を含む、請求項19に記載の検査システム。
【請求項21】
前記照明源は、可視波長、紫外波長、遠紫外波長、真空紫外波長、又は極紫外波長の少なくとも1つを含む照明を生成するように構成されている、請求項1に記載の検査システム。
【請求項22】
前記照明源は、2つの波長範囲を含む照明を生成するように構成されており、少なくとも1つの波長範囲は、可視波長を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項23】
前記1つ又は複数の照明光学部品は、前記照明ビームを固定焦点高度にある前記サンプルまで導く、請求項1に記載の検査システム。
【請求項24】
プログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含む制御装置であって、前記プログラム命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに、
1つ又は複数の散乱信号を第1収集チャネルから受け取るステップであって、前記第1収集チャネルは、照明ビームに応じた立体角の第1範囲内のサンプルからの光を収集するための第1検出器を含み、前記第1収集チャネルは、前記第1検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第1調節可能偏光器を更に含み、前記第1収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第1調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている、ステップと、
1つ又は複数の散乱信号を第2収集チャネルから受け取るステップであって、前記第2収集チャネルは、立体角の前記第1範囲とは異なる立体角の第2範囲内の前記照明ビームに応じた前記サンプルからの光を収集するための第2検出器を含み、前記第2収集チャネルは、前記第2検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第2調節可能偏光器を更に含み、前記第2収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第2調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている、ステップと、
前記第1及び第2の収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップであって、前記トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有する少なくとも1つのトレーニングサンプルからの2つ以上のトレーニング散乱信号を欠陥深度の関数として含み、前記2つ以上のトレーニング散乱信号が前記第1収集チャネルからの少なくとも1つのトレーニング信号と前記第2収集チャネルからの少なくとも1つのトレーニング信号とを含む、ステップと、
を行わせる、制御装置を備え、
前記照明ビームを前記サンプルまで導くための1つ又は複数の照明光学部品は、対物レンズを含み、
前記立体角の第1範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記サンプルに垂直な方向から第1立体角までの範囲に及ぶ立体角の円錐を含み、
前記立体角の第2範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記第1立体角から、前記第1立体角よりも大きい第2立体角までの範囲に及ぶ立体角の環状分布を含み、
前記2つ以上の散乱信号のそれぞれは、立体角範囲及び偏光の異なる組み合わせを含む、
検査システム。
【請求項25】
前記2つ以上の散乱信号を前記トレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記2つ以上の散乱信号を前記トレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の前記1つ又は複数の欠陥を深度値域に分類するステップ
を含む、請求項24に記載の検査システム。
【請求項26】
前記深度値域は、
2つ以上の深度値域
を含む、請求項25に記載の検査システム。
【請求項27】
前記深度値域は、
表面の深度値域と、2つ以上の表面下の深度値域と、
を含む、請求項25に記載の検査システム。
【請求項28】
前記深度値域は、
表面の深度値域と、4つ以上の表面下の深度値域と、
を含む、請求項25に記載の検査システム。
【請求項29】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて前記サンプルの1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記トレーニングデータに基づいて欠陥深度を決定するための1つ又は複数のルールを生成するステップと、
前記サンプル内の前記1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するために前記1つ又は複数のルールを前記2つ以上の散乱信号に適用するステップと、
を含む、請求項24に記載の検査システム。
【請求項30】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
教師あり学習法、半教師あり学習法、ディープラーニング法の少なくとも1つを含む機械学習アルゴリズムを前記トレーニングデータによってトレーニングするステップと、
前記2つ以上の散乱信号を入力として前記機械学習アルゴリズムに提供するステップと、
前記機械学習アルゴリズムの出力に基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するステップと、
を含む、請求項24に記載の検査システム。
【請求項31】
前記1つ又は複数の欠陥は、
前記サンプル内に埋設された1つ又は複数の粒子
を含む、請求項24に記載の検査システム。
【請求項32】
前記立体角の第1範囲は、前記対物レンズの開口数内の立体角の第1サブセットを含み、少なくとも収集角の第2セットが、前記対物レンズの前記開口数内の立体角の第2サブセットを含む、請求項24に記載の検査システム。
【請求項33】
前記第1及び第2収集チャネルは、方位的に対称である、請求項32に記載の検査システム。
【請求項34】
前記第2収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第2調節可能偏光器の2つの直交方位に基づく2つの散乱信号を含み、
前記第1収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第1調節可能偏光器の単一方位に基づく1つの散乱信号を含む、請求項33に記載の検査システム。
【請求項35】
前記1つ又は複数の照明光学部品は、前記照明ビームを照明源から斜入射角で前記サンプルまで導く、請求項24に記載の検査システム。
【請求項36】
前記2つ以上の散乱信号のうちの少なくとも1つは、
暗視野散乱信号
を含む、請求項35に記載の検査システム。
【請求項37】
前記1つ又は複数の照明光学部品は、前記照明ビームを照明源から垂直入射角で前記サンプルまで導く、請求項24に記載の検査システム。
【請求項38】
前記2つ以上の散乱信号のうちの少なくとも1つは、
明視野散乱信号
を含む、請求項37に記載の検査システム。
【請求項39】
1つ又は複数の散乱信号を第1収集チャネルから受け取るステップであって、前記第1収集チャネルは、照明ビームに応じた立体角の第1範囲内のサンプルからの光を収集するための第1検出器を含み、前記第1収集チャネルは、前記第1検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第1調節可能偏光器を更に含み、前記第1収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第1調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている、ステップと、
1つ又は複数の散乱信号を第2収集チャネルから受け取るステップであって、前記第2収集チャネルは、立体角の前記第1範囲とは異なる立体角の第2範囲内の前記照明ビームに応じた前記サンプルからの光を収集するための第2検出器を含み、前記第2収集チャネルは、前記第2検出器に入射する前記サンプルからの前記光の偏光を制御するための第2調節可能偏光器を更に含み、前記第2収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号は、前記第2調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている、ステップと、
前記第1及び第2収集チャネルからの前記1つ又は複数の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップであって、前記トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有する少なくとも1つのトレーニングサンプルからの2つ以上のトレーニング散乱信号を欠陥深度の関数として含み、前記2つ以上のトレーニング散乱信号が前記第1収集チャネルからの少なくとも1つのトレーニング信号と前記第2収集チャネルからの少なくとも1つのトレーニング信号をと含む、ステップと、
を含み、
前記照明ビームを前記サンプルまで導くための1つ又は複数の照明光学部品は、対物レンズを含み、
前記立体角の第1範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記サンプルに垂直な方向から第1立体角までの範囲に及ぶ立体角の円錐を含み、
前記立体角の第2範囲は、
前記対物レンズの開口数内の、前記第1立体角から、前記第1立体角よりも大きい第2立体角までの範囲に及ぶ立体角の環状分布を含
前記2つ以上の散乱信号のそれぞれは、立体角範囲及び偏光の異なる組み合わせを含む、
検査方法。
【請求項40】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記トレーニングデータに基づいて欠陥深度を決定するための1つ又は複数のルールを生成するステップと、
前記サンプル内の前記1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するために前記1つ又は複数のルールを前記2つ以上の散乱信号に適用するステップと、
を含む、請求項39に記載の検査方法。
【請求項41】
前記2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定するステップは、
前記トレーニングデータによって、教師あり学習法、半教師あり学習法、ディープラーニング法の少なくとも1つを含む機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
前記2つ以上の散乱信号を入力として前記機械学習アルゴリズムに提供するステップと、
前記機械学習アルゴリズムの出力に基づいて、前記サンプル内の1つ又は複数の欠陥の前記深度を決定するステップと、
を含む、請求項39に記載の検査方法。
【請求項42】
前記2つ以上の散乱信号のそれぞれが測定パラメータの異なる組み合わせに対応し、該測定パラメータが、照明ビームの波長をさらに含み、前記選択された収集チャネルが前記第1収集チャネルと前記第2収集チャネルの一方を含む、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項43】
前記2つ以上の散乱信号のそれぞれが測定パラメータの異なる組み合わせに対応し、該測定パラメータが、照明ビームの波長をさらに含み、前記選択された収集チャネルが前記第1収集チャネルと前記第2収集チャネルの一方を含む、
請求項24に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、欠陥検査に関し、より具体的には、欠陥の深度決定に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がHaiping Zhang及びAlex Yuであり、2018年6月19日に出願された、名称が「EMBEDDED PARTICLE DEPTH BINNING USING CHANNEL BASED METHOD BY MORE THAN TWO SCANS」である米国仮特許出願第62/687,123号の米国特許法第119条(e)項の下での利益を主張し、この出願は、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
3Dメモリ積層体等の半導体デバイスは、何十又は何百もの薄膜層を含むことがある多層薄膜積層体を含む。かかる多層薄膜積層体は、薄膜層のうちのいずれかに埋設された欠陥の影響を受けることがあり、一般的に、欠陥周波数及び欠陥が生じている深度の両方を監視することが望ましい。例えば、欠陥深度データは、欠陥の影響を受ける特定の作製ステップを正確に指摘してもよい。しかし、それぞれの層の堆積後に多層サンプルを検査することは、一般に望ましくなく及び/又は非実用的である。したがって、多層サンプルが、一般に、複数層又は更に薄膜積層体全体の堆積の後に、欠陥について検査されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0103247号
【文献】米国特許第6181420号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄膜積層体の数が増加するにつれて、埋設欠陥についての深度情報を決定することが、課題の増加を呈する。例えば、多層積層体内の埋設欠陥の深度が、一般に、集束イオンビーム(FIB)ミリング等の侵襲性手法を用いて正確に決定されることがある。しかし、侵襲性測定技術は、時間がかかることがあり、そして、製造サンプルよりもむしろ代表的な試験サンプルにだけ適用されることがある。そのため、上記の欠陥を除去するシステム及び方法を考案することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検査システムが、本開示についての1つ又は複数の例示的実施形態に従って開示される。一例示的実施形態では、システムは、照明ビームを生成するように構成された照明源を含む。別の一例示的実施形態では、システムは、照明ビームをサンプルまで導くための1つ又は複数の照明光学部品を含む。別の一例示的実施形態では、システムは、少なくとも第1検出器を含む第1収集チャネルを含むことにより、立体角の第1範囲内の照明ビームに応じたサンプルからの光を収集する。別の一例示的実施形態では、第1収集チャネルは、第1偏光器を更に含むことにより、第1検出器に入射するサンプルから光の偏光を制御する。別の一例示的実施形態では、システムは、少なくとも第2検出器を含む第2収集チャネルを含むことにより、立体角の第2範囲内の照明源からの照明に応じたサンプルからの光を収集する。別の一例示的実施形態では、第2収集チャネルは、第2偏光器を更に含むことにより、第2検出器に入射するサンプルからの光の偏光を制御する。別の一例示的実施形態では、システムは、制御装置を含む。別の一例示的実施形態では、制御装置は、2つ以上の散乱信号を受け取り、2つ以上の散乱信号は、第1偏光器の1つ又は複数の方位に基づく第1収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号と、第2偏光器の1つ又は複数の方位に基づく第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号と、を含む。別の一例示的実施形態では、制御装置は、2つ以上の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいてサンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定し、トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有するトレーニングサンプルからの散乱信号を含む。
【0007】
検査システムが、本開示の1つ又は複数の例示的実施形態に従って開示される。一例示的実施形態では、システムは、制御装置を含む。別の一例示的実施形態では、制御装置は、第1収集チャネルから1つ又は複数の散乱信号を受け取る。別の一例示的実施形態では、第1収集チャネルは、照明ビームに応じた立体角の第1範囲内のサンプルからの光を収集するための第1検出器を含み、そして、第1検出器に入射するサンプルから光の偏光を制御するための第1調節可能偏光器を更に含み、第1収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号は、第1調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている。別の一例示的実施形態では、制御装置は、第2収集チャネルから1つ又は複数の散乱信号を受け取る。別の一例示的実施形態では、第2収集チャネルは、立体角の第2範囲内の照明ビームに応じたサンプルからの光を収集する第2検出器を含み、第2検出器に入射するサンプルからの光の偏光を制御するための第2調節可能偏光器を更に含み、第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号は、第2調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている。別の一例示的実施形態では、制御装置は、第1及び第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいてサンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定し、トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有するトレーニングサンプルからの散乱信号を含む。
【0008】
検査方法が、本開示の1つ又は複数の例示的実施形態に従って開示される。一例示的実施形態では、方法は、第1収集チャネルから1つ又は複数の散乱信号を受け取ることを含む。別の一例示的実施形態では、第1収集チャネルは、照明ビームに応じた立体角の第1範囲内のサンプルからの光を収集する第1検出器を含み、そして、第1検出器に入射するサンプルからの光の偏光を制御するための第1調節可能偏光器を更に含み、第1収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号は、第1調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている。別の一例示的実施形態では、方法は、第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号を受け取ることを含む。別の一例示的実施形態では、第2収集チャネルは、立体角の第2範囲内の照明ビームに応じたサンプルからの光を収集する第2検出器を含み、そして、第2検出器に入射するサンプルからの光の偏光を制御するための第2調節可能偏光器を更に含み、第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号は、第2調節可能偏光器の1つ又は複数の偏光状態に基づいている。別の一例示的実施形態では、方法は、第1及び第2収集チャネルからの1つ又は複数の散乱信号をトレーニングデータと比較することに基づいてサンプル内の1つ又は複数の欠陥の深度を決定することを含み、トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を有するトレーニングサンプルからの散乱信号を含む。
【0009】
理解すべきは、上記の概要及び以下の詳細な説明は、単に例示的で説明的であるにすぎず、必ずしもクレームされるような発明の限定であるわけではないことである。添付図面が、明細書の一部に組み込まれてこれを構成し、そして、概要と共に本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多数の長所が、以下の添付図面への参照によって当業者によってより良好に理解されることがある。
【0011】
図1A】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う検査システムを示す概念図である。
図1B】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う検査ツールを示す概念図である。
図1C】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、斜入射角における照明に応じた立体角の2つの異なる範囲内のサンプルからの光と関連する散乱信号を生成するための2つの収集チャネルを含む検査ツールを示す概念図である。
図1D】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直入射角での照明に応じた立体角の2つの異なる範囲内のサンプルからの光と関連する散乱信号を生成するための2つの収集チャネルを含む検査ツールを示す概念図である。
図2】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、異なる深度にある埋設欠陥と関連するシミュレートされた散乱信号とともに基板上に堆積された酸化物材料と窒化物材料の交互する層対を含む多層サンプルについての側面図である。
図3】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、サンプル内の欠陥の深度を決定するための方法において実行されるステップを示す流れ図である。
図4】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、第1及び第2測定条件をそれぞれ用いるサンプルと関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロットである。
図5】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、第3及び第4測定条件をそれぞれ用いるサンプルと関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロットである。
図6】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、それぞれ第5及び第6測定条件を用いるサンプルと関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロットである。
図7】本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、第7及び第8測定条件をそれぞれ用いるサンプルに関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、開示される主題への言及が詳細になされ、当該主題が添付図面において示される。本開示は、特定の実施形態及びその具体的特性に関して特に表され説明されている。本明細書で記述される実施形態は、限定ではなく、むしろ例示的である。形式及び詳細における様々な変形及び修正が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく成されてもよいことが、当業者に直ちに明らかになるはずである。
【0013】
本開示の実施形態は、1つ又は複数の光学走査に基づいた、サンプル内の埋設欠陥の非侵襲性の深度決定を目的とする。ここで認識されるのは、欠陥の光散乱識別特性が、広範囲にわたる構造要因及び測定条件に一般に依存することである。例えば、欠陥散乱信号は、欠陥及びサンプル両方の構造及び構成に依存することがある。埋設粒子、クラック、又は空隙を含むがこれに限定されない多重タイプの欠陥が、作製されたサンプル内に存在することがある。散乱信号は、それで、周囲材料に関連してこれらの欠陥のサイズ、構造、及び構成に依存することがある。別の一例として、光散乱識別特性が、測定条件に依存してもよく、当該測定条件としては、入射光のスペクトル、入射光の偏光、収集された光の偏光、又は光が収集される立体角等であり、これに限定されない。
【0014】
したがって、異なる測定条件によって生成された多重光学散乱信号が利用されて、散乱信号から欠陥深度情報を抽出してもよい。本開示についての追加実施形態は、異なる測定構成に基づいて2つ以上の散乱信号を提供する多重チャネル検査システムを目的とする。これに関して、埋設欠陥の深度は、2つ以上の散乱信号の比較に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、多重チャネル検査システムは、多重測定構成によって、サンプルに照明ビームを導いてサンプルから光を収集してもよい。例えば、多重チャネル検査システムは、サンプルの単一走査中に、立体角の2つの異なる範囲においてサンプルから光を収集するように構成された2つ以上のチャネルを含んでもよい。更に、それぞれのチャネルが、偏光器を含むことにより、収集光の偏光を制御してもよい。したがって、それぞれのチャネルは、収集光の偏光と入射照明ビームとの異なる組合せに基づいて、様々な散乱信号を提供してもよい。
【0015】
本開示の追加実施形態は、固定焦点高度において散乱信号を生成するように導かれる。例えば、多重散乱信号が、対物レンズに対して固定焦点位置にあるサンプルによって生成されて、サンプルを照明及び/又はサンプルからの光を収集してもよい。これに関して、多重散乱信号は、効率的に正確に生成されてもよい。
【0016】
本開示の更なる実施形態は、埋設欠陥の深度決定を誘導するためのトレーニングデータを生成することを目的とする。例えば、トレーニングデータは、既知の深度に既知の欠陥を含む校正サンプルについての分析に基づいてもよい。トレーニングデータは、(例えば、既知の場所にある既知の欠陥を用いて作製されたトレーニングサンプルからの)実験データのいずれかの組合せ、及び(例えば、既知の場所にある既知の欠陥を有するサンプルによる散乱信号のシミュレーションからの)シミュレーションデータを含んでもよい。
【0017】
本開示の更なる実施形態は、トレーニングデータに基づいて欠陥深度と散乱信号との間の関係を同定することを目的とする。例えば、トレーニングデータが用いられて、一連の散乱信号比較に基づいて欠陥を深度値域に分類するためのルールを決定してもよい。別の一例として、トレーニングデータが、機械学習アルゴリズムのためのトレーニングデータとして用いられてもよい。
【0018】
本開示の追加実施形態は、異なる測定構成における2つ以上の散乱信号及び欠陥深度と散乱信号との間で同定された関係に基づいて、未知の欠陥(例えば、生産ラインサンプル)を含む関心のサンプルの欠陥の深度を決定することを目的とする。いくつかの場合、測定された欠陥の深度値が、直接決定されていてもよい。いくつかの場合、欠陥が、選択された深度範囲(例えば、値域)に分類される。
【0019】
様々な技術が用いられて、2つ以上の散乱信号及び欠陥深度と散乱信号との間で同定された関係に基づいて欠陥深度を決定してもよい。いくつか実施形態では、1セットのルールが、トレーニングデータに基づいて生成され、次いで、欠陥深度を決定するために用いられる。例えば、(選択された測定コンフィギュレーションと関連する)第1セットの散乱信号の比較が、表面下の欠陥から表面レベルの欠陥を識別してもよく、一方、第2セットの散乱信号が、残りの深度範囲(例えば、値域)から第1深度範囲(例えば、第1値域)内の欠陥を識別してもよいこと等であってもよい。これに関して、それぞれの関心の深度範囲内の欠陥が、異なる散乱信号同士の間の選択された一連の比較に基づいて識別されてもよい。別の一例として、欠陥深度が、多次元パターン認識技術によって決定されてもよい。例えば、機械学習アルゴリズムは、トレーニング段階中のトレーニングデータに基づいて、欠陥深度と散乱信号との間の関係を決定するためにトレーニングされてもよい。検査段階中に、関心のサンプルにおける欠陥深度が、関心のサンプルからの散乱信号に基づいて、機械学習アルゴリズムによって提供されてもよい。
【0020】
ここで図1~6を参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う検査システム100がより詳細に説明される。
【0021】
図1Aは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う検査システム100を示す概念図である。一実施形態では、検査システム100は、サンプルの1つ又は複数の性質を特性評価するように構成された検査ツール102を含む。別の一実施形態では、検査システム100は、検査ツール102に通信可能に結合された制御装置104を含む。別の一実施形態では、制御装置104は、メモリ媒体108又はメモリ上に保持されたプログラム命令を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ106を含む。制御装置104の1つ又は複数のプロセッサ106は、当該技術分野で公知のいずれかの処理要素を含んでもよい。この意味で、1つ又は複数のプロセッサ106は、アルゴリズム及び/又は命令を実行するように構成されたいずれかのマイクロプロセッサタイプのデバイスを含んでもよい。更に、メモリ媒体108は、当該技術分野で公知のいずれかの記憶媒体を含んでもよく、当該記憶媒体は、関連する1つ又は複数のプロセッサ106によって実行可能なプログラム命令を記憶するのに適している。例えば、メモリ媒体108は、非一過性メモリ媒体を含んでもよい。追加の例では、メモリ媒体108として、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光学記憶デバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ等が挙げられるが、これに限定されない。更に留意するのは、メモリ媒体108は、1つ又は複数のプロセッサ106と共に共通の制御装置ハウジング内に収容されてもよいことである。
【0022】
制御装置104の1つ又は複数のプロセッサ106は、本開示全体を通して説明した様々なプロセスステップのうちのいずれかを実行してもよい。例えば、制御装置104の1つ又は複数のプロセッサ106は、サンプルと関連する検査ツール102から散乱信号を受け取り、散乱信号に基づいて1つ又は複数の欠陥についての深度情報を決定してもよい。
【0023】
図1Bは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、検査ツール102を示す概念図である。一実施形態では、検査ツール102は、照明ビーム112を生成するための照明源110を含む。照明ビーム112は、1つ又は複数の選択された光の波長を含んでもよく、当該光は、紫外線(UV)放射、可視放射、又は赤外線(IR)放射を含むが、これに限定されない。例えば、照明源110は、約266nmの波長を有する照明ビーム112を提供してもよいが、提供する必要はない。
【0024】
照明源110は、1つ又は複数の狭帯域レーザ源、1つ又は複数の広帯域レーザ源、1つ又は複数のスーパーコンティニュームレーザ源、1つ又は複数の白色光レーザ源等を含んでもよいが、これに限定されない。別の一実施形態では、照明源110は、レーザ維持プラズマ(LSP)源等であって、これに限定されないレーザ駆動光源(LDLS)を含む。例えば、照明源110は、LSPランプ、LSP電球、又はプラズマ状態にレーザ源によって励起されると、広帯域照明を放出してもよい1つ又は複数の要素を具備するのに適したLSPチャンバを含んでもよいが、これに限定されない。これに関して、照明源110は、高いコヒーレンス(例えば、高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明ビーム112を提供してもよい。別の一実施形態では、照明源110は、ランプ源を含む。別の一例として、照明源110は、アークランプ、放電ランプ、無電極ランプ等を含んでもよいが、これに限定されない。これに関して、照明源110は、低いコヒーレンス(例えば、低い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明ビーム112を提供してもよい。
【0025】
別の一実施形態では、照明源110は、同調可能照明ビーム112を提供する。例えば、照明源110は、照明の同調可能源(例えば、1つ又は複数の同調可能レーザ等)を含んでもよい。別の一例として、照明源110は、同調可能フィルタに結合された広帯域照明源を含んでもよい。
【0026】
照明源110は、いずれかの時間プロファイルを有する照明ビーム112を更に提供してもよい。例えば、照明ビーム112は、連続時間プロファイル、変調型時間プロファイル、パルス型時間プロファイル等を有してもよい。
【0027】
別の一実施形態では、照明源110は、照明経路116を経由してサンプル114まで照明ビーム112を導き、サンプル114から発出する放射を、収集経路118を経由して収集する。照明経路116は、照明ビーム112を修正及び/又は調節するのに適した1つ又は複数の照明ビーム調節構成要素120を含んでもよい。例えば、1つ又は複数の照明ビーム調節構成要素120は、1つ又は複数の偏光器、1つ又は複数のフィルタ、1つ又は複数のビームスプリッタ、1つ又は複数の拡散器、1つ又は複数のホモジェナイザ、1つ又は複数のアポタイザ、1つ又は複数のビームシェーパ、あるいは1つ又は複数のレンズを含んでもよいが、これに限定されない。
【0028】
別の一実施形態では、照明経路116は、照明集束要素122を用いて、サンプルステージ124上に配設されたサンプル114上に照明ビーム112を集束させてもよい。別の一実施形態では、収集経路118は、サンプル114からの光を収集するための収集集束要素126を含んでもよい。例えば、検出器130は、サンプル114から散乱された及び/又は反射された収集光128を受け取ってもよい。別の一例として、検出器130は、サンプル114によって生成された収集光128(例えば、照明ビーム112の吸収と関連する発光等)を受け取ってもよい。
【0029】
別の一実施形態では、検査ツール102は、サンプル114から発出する放射を、収集経路118を通して捕捉するように構成された1つ又は複数の検出器130を含む。検出器130は、サンプル114から受け取られた照明を測定するのに適した当該技術分野で公知のいずれかのタイプの光学検出器を含んでもよい。例えば、検出器130は、電荷結合デバイス(CCD)検出器、相補金属酸化物半導体(CMOS)検出器、時間遅延積分(TDI)検出器、光電子倍増管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を含んでもよいが、これに限定されない。別の一実施形態では、検出器130は、収集光128の波長を識別するのに適した分光検出器を含んでもよい。
【0030】
収集経路118は、収集光128を誘導する及び/又は修正するための任意の数の収集ビーム調節要素132を更に含んでもよく、当該収集ビーム調節要素は、1つ又は複数のレンズ、1つ又は複数のフィルタ、1つ又は複数の偏光器、あるいは1つ又は複数の位相板を含むが、これに限定されない。これに関して、検査ツール102は、検出器130に入射する光の偏光を制御してもよい。更に、検査ツール102は、任意タイプの検査及び/又は計測ツールとして動作してもよく、当該ツールは、照明についての1つ又は複数の角度を有する分光楕円偏光計、ミューラーマトリックス要素を(例えば、回転式補償器を用いて)測定するための分光楕円偏光計、単一波長楕円偏光計、角度分解式楕円偏光計(例えば、ビームプロファイル楕円偏光計)、分光反射率計、単一波長反射率計、角度分解式反射率計(例えば、ビームプロファイル反射率計)、又は散乱計等であるが、これに限定されない。
【0031】
別の一実施形態では、示してはいないが、検査ツール102は、サンプル114を囲む環境の構成及び/又は圧力を調節するのに適したチャンバを含む。例えば、検査ツール102は、サンプル114を囲む環境の構成及び/又は圧力を制御するために、1つ又は複数のガスタンク、1つ又は複数のバルブ、1つ又は複数のホース、1つ又は複数のポンプ、1つ又は複数の圧力調節装置等を含んでもよい。別の一実施形態では、検査ツール102は、サンプル114を囲む環境として、不活性ガス、又は照明源110によって提供される波長に実質的に透明なガスを提供するように構成されている。
【0032】
ここで留意するのは、図1Bに示す検査ツール102は、サンプル114のマルチアングル照明及び/又は1つ又は複数の検出器130上での多重散乱信号の収集を容易にすることにより、連続して又は同時に多重散乱信号を生成してもよいことである。
【0033】
検査ツール102は、当該技術分野で公知のいずれかのタイプの撮像を提供するように更に構成されてもよく、当該撮像は、明視野撮像、暗視野撮像、位相差撮像等であるが、これに限定されない。例えば、検査ツール102は、いずれかの入射角でサンプル114まで照明ビーム112を導いてもよい。更に、検査ツール102は、照明経路116及び/又は収集経路118内に開口又は位相板のいずれかの組合せを含んでもよい。
【0034】
ここで図1C及び1Dを参照して、斜及び垂直入射に基づく検査ツール102の機器構成が、より詳細に説明される。図1C及び1Dの検査ツール102の機器構成は、異なる範囲の立体角を含む散乱信号を生成するための2つの収集チャネルを含む。しかし、理解すべきは、図1C及び1Dの検査ツール102の機器構成は、単に例示目的で提供されており、限定として解釈されてはならないことである。むしろ、検査ツール102は、任意の数の立体角範囲に基づく任意の数の収集チャネルを提供してもよい。
【0035】
図1Cは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、斜入射角での照明に応じた立体角の2つの異なる範囲内のサンプル114からの光と関連する散乱信号を生成するための2つの収集チャネルを含む検査ツール102を示す概念図である。これに関して、図1Cに示す検査ツール102は、サンプル114についての暗視野撮像を提供してもよいが、これに限定されない。一実施形態では、検査ツール102は、サンプル114から発出する放射を収集するための対物レンズ134を含む。別の一実施形態では、検査ツール102は、収集光128の第1部分128aを第1検出器130aまで導き、そして、収集光128の第2部分128bが第2検出器130bまで伝播することを可能にするように構成されたミラー136を含む。更に、集束レンズ138が、収集光128の第2部分128bを第2検出器130bに集束させてもよい。これに関して、第1部分128aは、収集光128の立体角の第1範囲を含んでもよく、第2部分128bは、収集光128の立体角の第2範囲を含んでもよい。
【0036】
更に、ミラー136は、収集光128を方位的に対称なチャネルに分割することを提供するように成形されてもよいが、そうである必要はない。例えば、収集光128の第1部分128aは、(例えば、対物レンズ134の光軸140から第1立体角142までの範囲に及ぶ)立体角の方位的に対称な円錐を含んでもよく、そして、収集光128の第2部分128bは、(例えば、第1立体角142から第2立体角144までの範囲に及ぶ)立体角の方位的に対称な環状リングを含んでもよい。
【0037】
図1Dは、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、垂直入射角での照明に応じた立体角の2つの異なる範囲内のサンプル114からの光と関連する散乱信号を生成するための2つの収集チャネルを含む検査ツール102を示す概念図である。一実施形態では、図1Dに示すように、照明源110は、照明ビーム112を垂直入射角でサンプル114まで導くように構成されている。したがって、収集光128の第1部分128aは、明視野散乱信号に関連してもよいが、そうである必要はなく、そして、収集光128の第2部分128bは、暗視野散乱信号と関連してもよいが、そうである必要はない。
【0038】
図1C及び1Dを概して参照すると、検査ツール102は、異なる測定機器構成と関連する様々な散乱信号を提供するように構成されてもよい。例えば、照明ビーム調節構成要素120は、照明偏光器146を含むことにより、照明ビーム112の偏光をいずれかの選択された偏光状態に調整してもよい。別の一例として、収集ビーム調節要素132は、収集光128の第1部分128aの偏光をいずれかの選択された偏光状態に調整するための第1収集偏光器148、及び/又は収集光128の第2部分128bの偏光をいずれかの選択された偏光状態に調整するための第2収集偏光器150を含んでもよい。
【0039】
様々な散乱信号が、同時に又は連続して生成されてもよい。例えば、選択された偏光状態によって構成された収集光128の第1部分128a及び第2部分128bに関連する散乱信号が、同時に収集されてもよい。更に、追加の散乱信号が、検査ツール102の機器構成(例えば、照明ビーム112の波長、照明ビーム112の偏光、及び/又は収集光128のいずれかの部分の偏光)を修正した後に連続して生成されてもよい。
【0040】
しかし、理解すべきは、図1B~1D及び関連する説明は、単に例示のために提供されており、限定として解釈されるべきではないことである。検査ツール102は、多重散乱信号を生成するのに適したいずれかの機器構成を提供するように構成可能であってもよい。例えば、検査ツール102は、任意の数の立体角範囲内に収集光128を含む散乱信号を生成するのに適した任意の数の分割ミラー(例えば、ミラー136)、開口、マスク等を含んでもよい。例えば、検査ツールは、3つ以上のチャネルを提供して、3つ以上の立体角範囲と関連する散乱信号を生成してもよい。更に、検査ツール102は、任意の数の照明源に基づいて明視野又は暗視野散乱信号のいずれかの組合せを提供するように構成されてもよい。
【0041】
ここで図2を参照すると、欠陥深度と散乱信号との間の関係が、概して説明される。埋設欠陥の散乱信号は、概して様々な要因に依存する場合があり、当該要因は、欠陥深度、欠陥の構成、サンプル114の構成、入射光の偏光、及び収集光の偏光等であるが、これに限定されない。したがって、埋設欠陥と関連する深度情報は、散乱信号の測定値から抽出されてもよい。更に、様々な測定機器構成を用いて散乱信号を測定することは、追加の深度依存データを提供することによって、深度決定の感度及び頑健さを増加させてもよい。それに加えて、いずれかの予想される欠陥だけでなくサンプル114の構成についての事前の知見が用いられて、散乱信号に基づいて欠陥深度を更に決定してもよい。例えば、散乱挙動が、所定のサンプル内での異なる深度にある異なる欠陥構成に対してモデル化されるか又は実験的に分析されることにより、トレーニングデータを提供してもよい。次いで、トレーニングデータが用いられて、関心のサンプル内の欠陥の深度決定を誘導してもよい。
【0042】
図2は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う多層サンプル114についての側面図であり、当該多層サンプルは、異なる深度にある埋設欠陥210(この場合、シリカ球)に関連するシミュレートされた散乱信号208a~eと共に、基板206(例えば、シリコン等)上に堆積された酸化物材料202と窒化物材料204との交互する層対を含む。例えば、光学測定条件とX方向に沿った斜角での照明との所定のセットの下で、サンプル114の表面上の欠陥210aの散乱部位が、散乱信号208aを提供してもよく、深さ6層目の欠陥210bが、散乱信号208bを提供してもよく、深さ20層目の欠陥210cが、散乱信号208cを提供してもよく、深さ34層目の欠陥210dが、散乱信号208dを提供してもよく、深さ48層目の欠陥210eが、散乱信号208eを提供してもよい。
【0043】
図2に示すように、散乱信号208a~eは、Z方向に関して測定されるとき、異なる立体角(例えば、図1Cに示す収集光128の立体角の第1範囲及び立体角の第2範囲、等)で散乱信号を測定することによって捕捉されてもよい態様における深度の関数として変化する。例えば、表面レベルの欠陥210aと関連する散乱信号208aは、低い立体角に対して相対的に高い信号強度、及びより高い立体角に対して次第に減少する信号強度を呈する。しかし、深さ6層目の欠陥210bと関連する散乱信号208bは、立体角の関数としてより均一に分散された信号強度を呈する。更に、散乱信号208c~208eによって示すように、散乱強度は、欠陥深度が増大するにつれて、概して減少し、立体角がより大きい程、より集中した状態になる。(例えば、図1C等に示すように)別個の散乱信号を様々な範囲の立体角に提供する検査ツール102は、別個の立体角範囲内で捕捉された散乱強度の比較に基づいて、異なる深度にある粒子の間に差異を認めることがある。
【0044】
それに加えて、散乱信号208a~eを概して参照すると、信号強度は、概してZ方向について方位的に対称であるけれども、X軸に沿って指向性が増加している(例えば、前方散乱及び/又は後方散乱する)。したがって、方位的な非対称性を感知する検査ツール102が、異なる方位角における散乱強度の比較に基づいて、異なる深度にある粒子の間に差異を認めることがある。
【0045】
更に、図2に示さないけれども、散乱光(例えば、収集光128)の偏光は、欠陥深度の関数として変化する場合があり得る。したがって、入射ビーム(例えば、照明ビーム112)の偏光と収集信号(例えば、収集光128)との異なる比較に基づく散乱信号の測定が用いられることにより、異なる深度にある粒子の間に差異を認めてもよい。例えば、表面にある又はその近くにある欠陥210が、入射光(例えば、照明ビーム112)の偏光状態を保持する光を散乱させてもよく、一方、表面のずっと下の欠陥210が、入射光と異なる偏光状態のパワーの増加を表すことがあってもよいが、そうである必要はない。
【0046】
理解すべきは、図2及び関連する説明が、単に例示目的のためにだけ提供され、限定として解釈されるべきではないことである。例えば、サンプル114は、サンプル容積内に埋設された欠陥210を有する中実のサンプル、埋設欠陥210を有する厚膜、又は任意の数の薄膜層を有する多層薄膜積層体を含むいずれかのタイプのサンプルを含んでもよいが、これに限定されない。別の一例として、サンプル114は、いずれかの構成の1つ又は複数の層を含んでもよく、図2に示すような酸化物又は窒化物層に限定されない。更に、埋設欠陥210は、周囲材料と同じか又は異なる構成の粒子、クラック、又は空隙であって、これに限定されないものを含むいずれかのタイプの埋設欠陥であってもよい。したがって、欠陥210の深度の関数としての散乱信号208の変動が、変化することがある。更に、図2に示す散乱信号208a~eは、特定の測定機器構成と関連するシミュレーションを表し、1つの非限定的なセットの仮定を組み込む。これに関して、図2の欠陥210及び散乱信号208a~eは、散乱信号208が欠陥深度の関数として変化する態様についての非限定的な例を単に提供するにすぎない。
【0047】
図3は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、サンプル内の欠陥の深度を決定するための方法300において実施されるステップを示す流れ図である。検査システム100に関連して本明細書において以前に説明した実施形態及び実現技術は、方法300にまで拡張するように解釈されなければならないことを出願人は、注記する。しかし、更に注記するのは方法300は、検査システム100の構成に限定されないことである。
【0048】
一実施形態では、方法300は、トレーニングサンプル内の既知の深度に既知の欠陥の散乱信号を含むトレーニングデータを生成するステップ302を含む。例えば、トレーニングデータは、サンプル(例えば、サンプル114)内の様々な深度にある代表的な欠陥(例えば、欠陥210)と関連する散乱信号を含んでもよい。更に、トレーニングデータ内のサンプルのサイズ及び構成並びに欠陥が、検査の期待条件とマッチングするように選択されてもよい。例えば、期待される(例えば、設計される)サンプルの構造及び構成が、典型的には周知であり、製造環境内で厳格に制御されている。期待される欠陥のタイプ、構造、及び/又は構成が、また、十分に既知であることにより、トレーニングデータが様々な深度の対応する散乱信号を含んでもよい場合があり得る。しかし、また、欠陥のタイプ、構造、及び/又は構成は、所定のプロセスについて十分に理解されていなくてもよい。したがって、トレーニングデータが広範囲にわたる欠陥と関連する散乱信号を含むことにより、検査が、欠陥深度を決定するだけでなく、欠陥を分類するために用いられてもよい。
【0049】
トレーニングデータは、当該技術分野で公知のいずれかの技術によって生成されてもよい。一実施形態では、トレーニングデータは、異なる測定機器構成を用いる、1つ又は複数のトレーニングサンプルの多重測定(例えば、散乱信号)に基づいて生成される。例えば、検査されるべき関心のサンプルを代表するトレーニングサンプルは、既知の深度にある選択された欠陥によって作製されてもよい。トレーニングサンプルは、次いで、検査ツール(例えば、検査ツール102等)を用いて検査されることにより、異なる測定機器構成を用いて欠陥と関連する複数の散乱信号を生成してもよい。別の一実施形態では、トレーニングデータは、1つ又は複数のトレーニングサンプルについてのシミュレーションに基づいて生成される。例えば、検査されるべき関心のサンプルを代表するトレーニングサンプルのシミュレーションされたバージョンが、生成されてもよい。更に、関心のサンプルを検査するのに用いられるべき検査ツールによって生成されたものを代表する多重散乱信号が、シミュレーションされてもよい。シミュレーションは、厳密結合波解析(RCWA)等であって、これに限定されない当該技術分野で公知のいずれかの技術を用いて実行されてもよい。
【0050】
別の一実施形態では、方法300は、トレーニングデータに基づいて、サンプルにおける散乱信号と欠陥深度との間の関係を同定するステップ304を含む。更に、ステップ304は、トレーニングデータ内に存在する多重欠陥タイプ、構造、及び/又は構成について、サンプルにおける散乱信号と欠陥深度との間の関係を同定することを含んでもよい。
【0051】
別の一実施形態では、方法300は、検査ツールの2つ以上の測定機器構成と関連するサンプル(例えば、関心のサンプル)の2つ以上の散乱信号を受け取るステップ306を含んでもよい。例えば、検査ツール(例えば、検査ツール102)は、照明ビームによって試験サンプルを照明し、そして、照明ビームに応じた、試験サンプルから散乱された及び/又は反射された光に基づいて散乱信号を生成してもよい。更に、2つ以上の散乱信号は、トレーニングデータを生成するのに用いられる測定機器構成に対応してもよい。これに関して、トレーニングデータは、試験サンプルを代表してもよい。
【0052】
本明細書で以前に説明したように、2つ以上の散乱信号は、測定パラメータの異なる組合せと関連してもよく、当該測定パラメータは、照明ビームの波長、照明ビームの偏光、収集光の偏光、及び光がサンプルから収集される立体角等であるが、これに限定されない。更に、2つ以上の散乱信号は、連続して又は同時に収集されてもよい。例えば、図1C及び1Dに示す検査ツール102は、異なる立体角範囲と関連する2つの散乱信号を同時に生成してもよい。照明ビーム112の波長、照明ビーム112の偏光、又は収集チャネル内の収集光128の偏光についての様々な組合せによる追加の走査が、また、任意の数の散乱信号を提供するように生成されてもよい。
【0053】
別の一実施形態では、方法300は、欠陥深度と(例えば、ステップ304において決定された)散乱信号との間で同定された関係、及び(例えば、ステップ306において提供された)サンプルと関連する2つ以上の散乱信号に基づいてサンプル内の欠陥の深度を決定するステップ308を含んでもよい。
【0054】
トレーニングデータに基づく散乱信号とサンプル内の欠陥深度との間の関係は、当該技術分野で公知のいずれかの技術を用いて生成されてもよい。一実施形態では、異なる測定機器構成によって生成された散乱信号が比較されることにより、欠陥深度を抽出するのに用いられてもよい一連のルール又はパターンを決定してもよい。これに関して、ステップ304は、ルールベースの値域分類を実装してもよく、当該値域分類において、一連の分析ステップが、選択された測定機器構成による散乱信号に基づいて、欠陥を深度範囲に分類するように規定されてもよい。例えば、(選択された測定機器構成と関連する)第1セットの散乱信号についての比較が、表面下の欠陥から表面レベルの欠陥を区別してもよく、第2セットの散乱信号が、残りの深度範囲(例えば、値域)から第1深度範囲(例えば、第1値域)内の欠陥を区別してもよく、以下同様であり得る。これに関して、関心のそれぞれの深度範囲内の欠陥が、異なる散乱信号の間で選択された一連の比較に基づいて区別されてもよい。
【0055】
ここで図4~7を参照すると、図2に示す多層サンプル114に基づく欠陥範囲への欠陥深度についてのルールベースの値域分類は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従って概して説明される。図4~7は、多重測定条件と関連するサンプル114と関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロットである。したがって、トレーニングデータは、5つの場所に位置する欠陥についての測定を含み、当該欠陥とは、サンプル114の表面上の欠陥210a、深さ6層目に位置する欠陥210b、深さ20層目に位置する欠陥210c、深さ34層目に位置する欠陥210d、及び深さ48層目に位置する欠陥210eである。これらの5つの場所(表面、深さ6層目、深さ20層目、深さ34層目、及び深さ48層目)は、したがって、5つの異なる深度値域を表してもよく、当該深度値域へと未知の欠陥を有する関心の追加サンプルの欠陥が分類されてもよい。理解すべきは、深度値域の数及び分布は、単に例示目的のために提供されており、限定として解釈されてはならないことである。
【0056】
図4~7は、検査ツール(例えば、検査ツール102)によって生成された散乱信号を表してもよいが、必ずしもそうでなくてもよく、当該検査ツールは、立体角の3つの異なる範囲内の図2に示すサンプル114から発出する光と関連する散乱信号を生成するための3つのチャネルを有する。これに関して、図4~7に示す様々な散乱信号は、照明ビーム112の波長、照明ビーム112の偏光、収集光128の偏光、及び収集光128の立体角についての異なる組合せを表してもよい。
【0057】
図4は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、第1及び第2測定条件をそれぞれ用いるサンプル114と関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロット400である。第1測定条件によって測定された欠陥の強度値が、Y軸に沿ってプロットされており、そして、第2条件を用いて測定された欠陥の強度値が、X軸に沿ってプロットされている。プロット400によって示すように、表面の欠陥210aは、埋設欠陥210b~eから容易に区別可能である。例えば、境界線402が、埋設欠陥210b~eから表面の欠陥210aを区別するように画定されてもよい。したがって、表面レベルの欠陥は、第1及び第2測定条件を用いて散乱信号を生成すること、及び境界線402上方にある欠陥を表面の欠陥として値域分類することによって、関心のサンプルに埋設された欠陥から区別されてもよい。以下で規定するように、したがって、追加のルールが用いられて、埋設欠陥を値域分類してもよい。
【0058】
図5は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、それぞれ第3及び第4測定条件を用いるサンプル114と関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロット500である。第3測定条件によって測定された欠陥の強度値が、Y軸に沿ってプロットされており、そして、第4条件を用いて測定された欠陥の強度値が、X軸に沿ってプロットされている。プロット500によって示すように、深さ6層目の欠陥210b及び深さ20層目の欠陥210cは、深さ34層目の欠陥210d及び深さ48層目の欠陥210eから容易に区別可能である。例えば、境界線502は、深さ6又は20層目に埋設された欠陥210b~210cを、深さ34又は48層目に埋設された欠陥210d~210eから区別するように画定されてもよい。したがって、およそ深さ6又は20層目の深度に埋設された関心のサンプルにおける欠陥は、第3及び第4測定条件を用いて散乱信号を生成すること、及び境界線502に基づいて欠陥を値域分類することによって、およそ深さ34又は48層目の深度に埋設された欠陥から区別されてもよい。以下で規定するように、したがって、追加のルールが用いられて、欠陥深度を更に改良してもよい。
【0059】
図6は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、それぞれ第5及び第6測定条件を用いるサンプル114と関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロット600である。第5測定条件を用いて測定された欠陥の強度値が、Y軸に沿ってプロットされており、そして、第6条件を用いて測定された欠陥の強度値が、X軸に沿ってプロットされている。プロット600が示すように、深さ6層目の欠陥210bは、深さ20層目の欠陥210cと容易に区別可能である。例えば、境界線602は、深さ6層目に埋設された欠陥210bを、深さ20層目に埋設された欠陥210cから区別するように画定されてもよい。したがって、およそ深さ6層目の深度に埋設された関心のサンプルにおける欠陥は、第5及び第6測定条件を用いて散乱信号を生成すること、及び、境界線602に基づいて欠陥を値域分類することによって、およそ深さ20層目の深度に埋設された欠陥から区別されてもよい。下記で規定されるように、追加のルールが次に用いられて、残りの欠陥についての欠陥深度を更に改善してもよい。
【0060】
図7は、本開示の1つ又は複数の実施形態に従う、それぞれ第7及び第8測定条件を用いるサンプル114と関連する散乱信号を含むトレーニングデータについてのプロット700である。第7測定条件によって測定された欠陥の強度値が、Y軸に沿ってプロットされており、そして、第8条件を用いて測定された欠陥の強度値が、X軸に沿ってプロットされている。プロット700が示すように、深さ34層目の欠陥210dは、深さ48層目の欠陥210eから容易に区別可能である。例えば、境界線702は、深さ34層目に埋設された欠陥210dを、深さ48層目に埋設された欠陥210eから区別するように規定されてもよい。したがって、およそ深さ34層目の深度に埋設された関心のサンプルにおける欠陥が、第7及び第8測定条件を用いて散乱信号を生成すること、及び、境界線702に基づいて欠陥を値域分類することによって、およそ深さ48層目の深度に埋設された欠陥から区別されてもよい。
【0061】
関心のサンプルにおける欠陥の深度は、したがって、8つの散乱信号を生成すること、及び、連続して、トレーニングデータに基づき上記で規定されたルールに基づいて様々な散乱信号を比較することによって深度範囲(例えば、値域)へと分類されてもよい。更に、これらの散乱信号は、連続して又は同時に生成されてもよい。例えば、図1C及び1Dに示す検査ツール102は、異なる立体角範囲及び偏光と関連する3つの散乱信号を同時に生成するように構成されている。したがって、図1C及び1Dに示す検査ツール102は、3つの検査パスにおいて最大9つの散乱信号を生成してもよい。更に、理解すべきは、図4~7及び関連する説明は、単に例示目的のために提供されており、限定として解釈されてはならないことである。欠陥深度値域分類のためのルールは、散乱信号のいずれかの組合せを比較することによって生成されてもよい。例えば、図4~7は、(例えば、一意的な測定条件1~8と関連する)8つの異なる散乱信号についての比較を示すけれども、欠陥深度値域分類のためのルールが、また、いずれかの選択された散乱信号と2つ以上の追加の散乱信号との比較に基づいてもよい。別の一実施形態では、欠陥深度値域分類のためのルールは、(例えば、図1C及び1Dに示す検査ツール102等によって生成された)異なる立体角範囲及び偏光による9つの異なる散乱信号を用いて生成されてもよい。それに追加して、欠陥深度値域分類のためのルールは、立体角範囲又は偏光のいずれかの組合せを用いる測定を提供するように構成された検査ツール102を用いて生成されてもよい。更に、深度値域分類のために導出されたルールは、関心のサンプルの具体的な特性(例えば、層の数及び構成)並びに欠陥のタイプ及び構成に依存して変化することがある。
【0062】
別の一実施形態では、欠陥深度は、多次元パターン認識技術によって決定されてもよい。例えば、機械学習アルゴリズムは、トレーニング段階中にトレーニングデータに基づいて欠陥深度と散乱信号との間の関係を決定するようにトレーニングされてもよい。
【0063】
多次元パターン認識は、当該技術分野で公知のいずれかの解析技術を用いて実行されてもよく、当該解析技術は、分類、ソーティング、クラスタリング、外れ値検出、信号応答計測、回帰分析、例ベースの解析(例えば、最近傍解析等)、次元縮退(例えば、因子分析、特徴抽出、主成分分析等)、教師あり学習(例えば、人工ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等)、半教師あり学習(例えば、生成モデル等)、教師なし学習(例えば、ベクトル量子化等)、ディープラーニング、又はベイズ統計学等であるが、これに限定されない。理解すべきは、解析技術及びいずれかの関連するラベルは、単に例示目的のために提供されており、限定を意図していないことである。
【0064】
更に、関心のサンプル(例えば、試験サンプル)の欠陥深度は、検査段階中に機械学習アルゴリズムによってステップ308において提供されてもよい。例えば、関心のサンプルからの散乱信号は、入力として機械学習アルゴリズムに提供されてもよく、そして、欠陥深度(欠陥値又は値域のいずれか)は、ステップ302において同定された欠陥深度と散乱信号との間の関係に基づいて出力として提供されてもよい。
【0065】
別の一実施形態では、方法300は、散乱信号に基づいて欠陥を分類することを含む。例えば、方法300は、埋設欠陥の1つ又は複数の特性を抽出することを含んでもよく、当該特性は、欠陥の構成、サイズ、構造、又はタイプ(例えば、粒子、クラック、空隙等)等であるが、これに限定されない。本明細書で以前に説明したように、トレーニングデータは、多重欠陥(例えば、異なる構成、サイズ、構造、又はタイプを有する欠陥)と関連する散乱信号を含んでもよい。したがって、欠陥特性は、深度決定に関して本明細書で説明したのと同じ又は実質的に類似する技術を用いて決定されてもよく、当該技術は、ルールベースの分類又は多次元パターン分類技術等であるが、これに限定されない。
【0066】
別の一実施形態では、散乱信号は、固定焦点高度においてサンプルによって生成される。これに関して、検査ツール(例えば、検査ツール102)内のサンプルは、照明及び/又は収集光学部品(例えば、図1C及び1Dの対物レンズ134、図1Bの照明集束要素122及び/又は収集焦点調節要素126等)に対して固定高度に設置されてもよい。ここで認識されるのは、固定焦点高度において散乱信号を提供することは、走査信号の正確で効果的な生成を容易にしてもよいことである。例えば、走査中に(例えば、検査ツール102のサンプルステージ124を用いて)サンプルの焦点調節高度を変化させることは、固定焦点高度において信号を散乱させることよりも比較的長い取得時間を必要とすることがあり、これは処理能力に悪影響を及ぼすことがある。特に、サンプルの2次元部分にわたって欠陥を特性評価するのに適した(例えば、図2のX-Y平面内の)2次元サンプル走査のサンプル取得時間は、多重焦点高度において信号を散乱させることが必要とされる場合、極端に長くなることがある。更に、多重焦点高度において散乱信号を取得することは、散乱信号の正確度に悪影響を及ぼすことがある誤差(例えば、サンプルステージ124の位置合せ誤差)をもたらすことがある。
【0067】
本明細書で説明した主題は、時には、別の構成要素内に収容された、又はそれに接続された異なる構成要素を示す。理解すべきは、かかる示した構成が、単に例示的であるにすぎないこと、及び、実際に、同じ機能を達成する多くの別の構成が、実装されてもよいことである。概念上の意味において、同じ機能を達成するための構成要素のいずれかの配列は、所望の機能が達成されるように、効果的に「関連させられる」。それゆえに、特定の機能を達成するために本明細書で組み合わされたいずれか2つの構成要素が、所望の機能が構成又は中間構成要素にかかわらず達成されるように互いに「関連している」と考えられてもよい。同様に、そのように関連したいずれか2つの構成要素は、また、所望の機能を達成するように互いに「接続されている」又は「結合されている」と考えられてもよく、そして、そのように関連しているいずれか2つの構成要素は、また、所望の機能を達成するために互いに「接続可能である」と考えられてもよい。結合可能であることの特定の例としては、物理的に相互作用可能であること、及び/又は物理的に構成要素を相互作用すること、及び/又は無線で相互作用可能であること、及び/又は無線で構成要素を相互作用すること、及び/又は論理的に相互作用可能であること、及び/又は論理的に構成要素を相互作用することが挙げられるが、これに限定されない。
【0068】
本開示及びそれの付随する利益のうちの多くは、前述の説明によって理解されるであろう。そして、様々な変化が、開示された主題から逸脱することなく、又はそれの具体的な利点の全てを犠牲にすることなく、構成要素の形式、構成、及び配列において成されてもよいことが明らかになるであろう。説明した形式は、単に説明的であるにすぎず、そして、かかる変化を包含し、含むことを以下のクレームが意図している。更に、本発明が添付クレームによって規定されることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7