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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-02
(45)【発行日】2023-03-10
(54)【発明の名称】縮合環化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/28 20060101AFI20230303BHJP
   B01J 31/28 20060101ALI20230303BHJP
   C07C 15/20 20060101ALI20230303BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230303BHJP
【FI】
C07C1/28
B01J31/28 Z
C07C15/20
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019056984
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020158411
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】森中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】前川 健久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英人
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/107549(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0065978(KR,A)
【文献】Chemical Communications,2010年,Vol.46,pp.7241-7243
【文献】Journal of Organic Chemistry,2007年,Vol.72,p.9203-9207
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/28
C07C 15/20
B01J 31/04
B01J 31/28
C07B 61/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)で表される縮合環化合物の製造方法であって、
式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを、パラジウム触媒及び塩基存在下で反応させることを含む、製造方法:
【化1】

式中、
~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素(C)原子、酸素(O)原子及び硫黄(S)原子からなる群より選択される1種以上の原子から構成されている単環、二縮環又は三縮環の芳香環を表し;
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【請求項2】
~Xで表される芳香環それぞれを構成する酸素(O)原子の個数と、硫黄(S)原子の個数と、の総和が、X~Xそれぞれにおいて0個以上2個以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
~Xが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素(C)原子のみから構成される単環、二縮環又は三縮環の芳香環である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、ベンゼン環、ナフタレン環又はフェナントレン環である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
およびXは、置換基を有していてもよい単環の芳香環を表し;
およびXのいずれか一方は、置換基を有していてもよい二縮環又は三縮環の芳香環であり、他方は置換基を有していてもよい単環の芳香環である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
およびXが、同一の芳香環である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
~Xのそれぞれが有していてもよい前記置換基が、電荷輸送性基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記反応が、式(5)~(11)のいずれか1つで表される反応である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法:
【化2】

式(5)中、
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k4は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である:
式(6)~式(10)のそれぞれにおいて、
およびZは、それぞれ独立して、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k4は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k5は0以上2以下の整数である:
式(11)中、
およびZは、それぞれ独立して、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~A、およびAは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k4、およびk6は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である。
【請求項9】
前記電荷輸送性基が、それぞれ独立して、
重水素原子;
フッ素原子、塩素原子;
トリフルオロメチル基;
ペンタフルオロエチル基;
シアノ基;
ニトロ基;
ヒドロキシル基;
チオール基;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基;
置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基;
置換基を有していてもよいシリル基;
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基;
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基;
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基;又は、
式(4)若しくは(4’)で表される基である、請求項7又は8に記載の製造方法:
【化3】

式(4)中、
、Rは、それぞれ独立して、
水素原子;
重水素原子;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結若しくは縮環のヘテロ芳香族基;又は、
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し;
Lは、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、又は、
単結合を表し;
nは、1または2を表し、
Lが単結合の場合、nは1であり、
Lが単結合ではない場合、nは1または2である:
式(4’)中、
~Rは、それぞれ独立して、
水素原子;
重水素原子;
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結若しくは縮環の芳香族炭化水素基;
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結若しくは縮環のヘテロ芳香族基;又は、
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し;
Lは、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、又は、
単結合を表す。
【請求項10】
前記塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、ピバル酸カリウム又はピバル酸セシウムである、請求項1~のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合環化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物などの縮合環化合物が使用されることがある。しかし、該縮合環化合物の実用的な製造方法は限られている。
【0003】
非特許文献1~3は、塩化第二鉄(FeCl)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)、オルトクロラニルなどの酸化剤を用いた縮合環化合物の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Journal of the American Chemical Society 2019,141,p3-10
【文献】Organic. Letters, 2011,Vol.13,No.7,p1634-1637
【文献】Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, p.12224-12228
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、より簡易なプロセスで、酸化剤を用いずとも縮合環化合物を製造できる方法を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物などの縮合環化合物の製造方法について、本発明者は更なる研究を重ねた。その結果、非特許文献1~3に開示される縮合環化合物の製造方法は、大気中において不安定な酸化剤を反応基質に対して大量に使用するため、ハンドリング性が悪いこと、酸化剤の後処理を要することに加え、設備の腐食劣化を招く可能性があることがわかった。
鋭意研究の結果、本発明者は、所定の構造を有する化合物(後述の式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物)を反応基質とし、触媒及び塩基存在下で反応させることで、縮合環化合物である式(3)で表される化合物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の一態様に係る製造方法は、以下のとおりである。
式(3)で表される縮合環化合物の製造方法であって、
式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを、触媒及び塩基存在下で反応させることを含む、製造方法:
【化1】

式中、
~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素(C)原子、酸素(O)原子および硫黄(S)原子からなる群より選択される1種以上の原子から構成されている単環、二縮環又は三縮環の芳香環を表し;
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、より簡易なプロセスで、酸化剤を用いずとも縮合環化合物を製造できる方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(3)で表される化合物を合成しようとするにあたり、非特許文献1~3について本発明者が更なる研究を重ねたところ、以下の知見を得た。
非特許文献1~3に係る縮合環化合物の製造方法では、塩化第二鉄(FeCl)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)、オルトクロラニルなどの酸化剤を用いて製造されている。しかし、これらの酸化剤はしばしば大気中で不安定のため、ハンドリング性が悪く、また、使用時において安全に反応を進行させるための制御が煩雑となる。加えて、非特許文献1~3に係る製造方法では、反応基質に対して酸化剤を大過剰に用いる必要があるため、大規模な製造においては好ましくないことがわかった。さらには、非特許文献1に係る製造方法では、酸化剤を基質に対して5当量以上用いるため、コスト高につながり、また、酸化剤の後処理も必要となる。
【0010】
本発明者等は、上記の難点を解消するべく更に研究検討を重ねた結果、特定の反応基質を用いれば、当該酸化剤に由来する問題を解決し得ることを見出した。
本発明の一態様に係る製造方法は、特定の構造を有するジアリール化合物と特定の構造を有するアルキン化合物とを反応基質に用いることで、より簡易なプロセスで、酸化剤を用いずとも式(3)の縮合環化合物を製造することができる。
そのため、本発明の一態様に係る製造方法は、酸化剤を用いることが必須である従来の製造方法よりも反応を安全に制御しやすく、種々の縮合環化合物の製造に適用可能である。
また、酸化剤を用いる従来の製造方法の場合、環化前駆体の合成と、該環化前駆体を用いた環化反応の実施という二段階の反応工程が必須である。これに対して、本発明の一態様に係る製造方法によれば、環化前駆体の合成と、続く環化反応までをワンポットで行うことができ、式(3)の縮合環化合物が得ることができる。そのため、非常に簡略化されたプロセスを実現できる。
さらに、本発明の一態様にかかる製造方法によれば、多量の酸化剤の使用を必要としないため、コストを低減することができる。
加えて、本発明の一態様に係る製造方法によれば、従来の製造方法と比較して、より高収率で式(3)の縮合環化合物を得ることができる。
【0011】
以下、本発明の一態様に係る縮合環化合物の製造方法についてより詳細に述べる。
【0012】
<縮合環化合物の製造方法>
本発明の一態様に係る製造方法は、
式(3)で表される縮合環化合物の製造方法であって、
式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを、触媒及び塩基存在下で反応させることを含む:
【0013】
【化2】
【0014】
式中、
~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素(C)原子、酸素(O)原子および硫黄(S)原子からなる群より選択される1種以上の原子から構成されている単環、二縮環又は三縮環の芳香環を表し;
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。
【0015】
式(1)~(3)における各記号の定義は、それぞれ、以下のとおりである。
<X~Xについて>
~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい単環、二縮環又は三縮環の芳香環を表す。該単環、二縮環又は三縮環の芳香環は、炭素(C)原子、酸素(O)原子、硫黄(S)原子からなる群より選択される1種以上の原子から構成されている。
~Xがこれらの芳香環であると、従来の酸化剤を用いた方法では環化反応を制御することが極めて難しいものと想定される。ところが、本態様にかかる製造方法は、X~Xがこれらの芳香環であっても環化反応を良好に制御し、所望の縮合環化合物をより高収率で得ることができる。
また、同様の理由から、単環、二縮環又は三縮環の芳香環であるX~Xで表されるそれぞれの芳香環においては、その芳香環を構成する酸素(O)原子の個数と、硫黄(S)原子の個数と、の総和が0個以上2個以下であることが好ましく、X~Xで表されるそれぞれの芳香環が炭素(C)原子のみから構成される単環、二縮環又は三縮環の芳香環であることがより好ましい。さらに、同様の理由から、X~Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、ベンゼン環、ナフタレン環又はフェナントレン環であることが特に好ましい。
【0016】
さらに、原料の入手容易性の観点から、XおよびXは、置換基を有していてもよい単環の芳香環を表し;XおよびXのいずれか一方は、置換基を有していてもよい二縮環、又は三縮環の芳香環であり、他方は置換基を有していてもよい単環の芳香環であることが好ましい。
【0017】
さらにまた、XおよびXが、同一の芳香環であることが好ましい。XおよびXが同一の芳香環であると、式(1)で表される化合物の式(2)で表される化合物との反応によるフェナントレン形成時における異性体の生成を低減することができる。すなわち、式(1)で表される化合物が、XおよびXを連結する単結合を挟んで対称となるため、非対称の場合と比較して、所望の縮合環化合物をより高収率で得ることができる。
【0018】
単環、二縮環、三縮環の芳香環であるX~Xが有していてもよい置換基としては、特に制限はなく、例えば、電荷輸送性基、重合性基、架橋性基、活性基、標識基、等が挙げられる。これらの置換基の中でも、有機導電材料として有用な縮合環化合物を製造することができるため、電荷輸送性基が好ましい。
【0019】
<電荷輸送性基について>
電荷輸送性基とは、電荷を輸送する機能を有する置換基である。電荷とは、正孔、電子、又はその両方である。
電荷輸送性基としては、例えば、下記の(a-1)~(a-17)で示される置換基が挙げられる。
(a-1)重水素原子、
(a-2)フッ素原子、塩素原子、
(a-3)トリフルオロメチル基、
(a-4)ペンタフルオロエチル基、
(a-5)シアノ基、
(a-6)ニトロ基、
(a-7)ヒドロキシル基、
(a-8)チオール基、
(a-9)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(a-10)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
(a-11)置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
(a-12)置換基を有していてもよいシリル基、
(a-13)炭素数2~10の飽和炭化水素基を置換基として有していてもよいボロニル基、
(a-14)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、
(a-15)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、又は、
(a-16)式(4)で表される基、若しくは
(a-17)(4’)で表される基:
【0020】
【化3】
【0021】
式(4)中、
、Rは、それぞれ独立して、
(r-1)水素原子、
(r-2)重水素原子、
(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(r-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、または、
(r-5)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し;
Lは、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、または、
単結合を表し;
nは、1または2を表し、
Lが単結合の場合、nは1であり、
Lが単結合ではない場合、nは1または2である。
nが2の場合、複数のR~Rは、同一であっても異なっていてもよい。
式(4’)中、
~Rは、それぞれ独立して、
(r-1)水素原子、
(r-2)重水素原子、
(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(r-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、または、
(r-5)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し;
Lは、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、または、
単結合を表す。
【0022】
<(a-9)について>
(a-9)に係わる、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基等が挙げられる。また、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基は、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0023】
(a-9)の芳香族炭化水素基は置換基を有してもよく、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を置換基として有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。
【0024】
置換基を有してもよいホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。このうち、置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、又は、縮環のヘテロ芳香族基を置換基として有するホスフィンオキシド基が好ましい。具体的には、例えば、ジフェニルホスフィンオキシド等、2つのアリール基で置換されたホスフィンオキシド基が挙げられる。
【0025】
置換基を有してもよいシリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。このうち、置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、又は、縮環のヘテロ芳香族基を置換基として有するシリル基が好ましい。具体的には、例えば、トリフェニルシリル基等、3つのアリール基で置換されたシリル基が挙げられる。
【0026】
炭素数2~10の飽和炭化水素基を置換基として有していてもよいボロニル基としては、例えば、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基等が挙げられる。
【0027】
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0028】
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
<(a-10)について>
(a-10)に係わる、炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基は、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を芳香環上に含有する炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基である。該ヘテロ芳香族基としては、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジン基、チアントレニル基等が挙げられる。
【0030】
(a-10)のヘテロ芳香族基は置換基を有してもよく、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0031】
<(a-11)について>
(a-11)である、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。このうち、置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、例えば、前述した(a-9)で例示した置換基を有するホスフィンオキシド基と同じものが挙げられる。
【0032】
<(a-12)について>
(a-12)である、置換基を有していてもよいシリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。このうち、置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、例えば、前述した(a-9)で例示した置換基を有するシリル基と同じものが挙げられる。
【0033】
<(a-13)について>
(a-13)である、炭素数2~10の飽和炭化水素基を置換基として有していてもよいボロニル基としては、例えば、前述した(a-9)で例示した炭素数2~10の飽和炭化水素基を置換基として有するボロニル基と同じものが挙げられる。
【0034】
<(a-14)について>
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、例えば、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0035】
<(a-15)について>
炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0036】
<(a-16)について>
上述のとおり、X~Xが有していてもよい置換基は、上記式(4)で表される基であってもよい。式(4)において、L、R、R、nの定義はつぎのとおりである。
【0037】
式(4)において、R、Rは、それぞれ独立して、(r-1)水素原子、(r-2)重水素原子、(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、(r-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、又は、(r-5)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
、Rが置換基を有する場合、R、Rは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0038】
上記(r-3)である、置換基を有してもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基の定義は、その置換基の定義を除き、上記(a-9)において記載した炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基の定義と同じである。
(r-3)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、又はN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。
【0039】
なお、上記炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基としては、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
上記炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0040】
上記(r-4)である、置換基を有してもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基の定義は、その置換基の定義を除き、前述した(a-10)で例示した炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基と同じものが挙げられる。また、炭素数3~20の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基であることがより好ましい。
なお、(r-4)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、又はN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。これらの置換基は、例えば、前述した(r-3)の置換基と同じ定義である。
【0041】
上記(r-5)である、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基の定義は、上記(a-9)において示した定義と同じである。
【0042】
式(4)において、Lは、メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基;メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基;メチル基若しくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基;又は単結合を表す。
上記フェニレン基としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等が挙げられる。
上記ナフチレン基としては、例えば、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,8-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基等が挙げられる。
上記ビフェニレン基としては、例えば、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-4,3’-ジイル基、ビフェニル-4,2’-ジイル基、ビフェニル-3,3’-ジイル基、ビフェニル-3,2’-ジイル基、ビフェニル-2,2’-ジイル基等が挙げられる。
【0043】
式(4)において、nは、1又は2の整数を表す。Lが単結合の場合、nは1の整数である。Lが単結合ではない場合、nは1又は2の整数である。
なお、nが2である場合、R及びRは2つずつ存在するが、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
<(a-17)について>
上述のとおり、X~Xが有していてもよい置換基は、上記式(4’)で表される基であってもよい。
式(4’)において、L、R、Rは、式(4)で説明した定義と同じものとすることができる。また、式(4’)において、Rは、式(4)で説明したRの定義と同じものとすることができる。
【0045】
<好ましい反応>
上記した本実施形態の反応としては、式(5)~(11)のいずれか1つで表される反応が好ましい。非特許文献3では、酸化剤を用いた縮合環化合物の製造方法を開示している。しかし、酸化条件では、骨格中の立体的に混みあった炭素原子(fjоrd-regiоnとも呼ばれる)が、周辺の隣接炭素原子と追加の環化反応を形成するため、環化を段階的に制御することが困難である。また、分子間の酸化的なカップリングも進行するため、所望の骨格の多量体が複製しやすい。そのため、式(5)~(11)の反応により得られる化合物は、従来の方法では合成が特に難しい。本発明の一態様によれば、このような従来条件では合成困難な式(5)~(11)の反応により得られる化合物についても、より容易に得ることができ、好ましい。
【0046】
【化4】
【0047】
式(5)中、
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k4は、それぞれ、0以上4以下の整数である:
k1~k4の合計が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
式(6)~式(10)のそれぞれにおいて、
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k4は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり;
k5は0以上2以下の整数である:
k1~k5の合計は2以上の整数であってもよく、k1~k5の合計が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
式(11)中、
およびZは、それぞれ独立に、臭素原子又はヨウ素原子を表し;
~A、およびAは、それぞれ独立に、電荷輸送性基を表し;
k1~k4、およびk6は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数である;
k1~k4、およびk6の合計が2以上の整数である場合、複数のA~A、およびAは、同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
<k1~k6について>
k1~k4、およびk6は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数である。k5は、0以上2以下の整数である。
なお、式(5)におけるk1~k4、式(6)~(10)におけるk1~k5、式(11)におけるk1~k4、およびk6について、それぞれの合計が2以上の整数である場合、式(5)におけるA~A、式(6)~式(10)におけるA~A、式(11)におけるA~AおよびAは複数存在する。例えば、式(5)におけるk1~k4の合計(k1+k2+k3+k4の和)が2である場合、A~Aのうちいずれか2つが式(5)において存在する。このように複数の置換基が存在する場合、それらは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
原料入手の容易性の点で、式(5)におけるk1~k4の合計、式(6)~式(10)それぞれにおけるk1~k5の合計、式(11)におけるk1~k4、およびk6の合計が、それぞれ4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、0又は1であることが特に好ましい。
【0049】
k1、k2及びk5は、縮合環化合物をより収率良く得る観点から、0、又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
k3、k4及びk6は、原料入手の容易性の点で、0、1又は2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【0050】
<A~Aについて>
~Aで表される基は、それぞれ独立して電荷輸送性基を表す。A~Aで表される基の定義は、式(1)~(3)における単環、二縮環、三縮環の芳香環が有していてもよい電荷輸送性基と同じ定義であり、好ましい範囲についても同じである。
~Aが置換基を有する基の場合、A~Aは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
~Aにおける電荷輸送性基が置換基を有してもよい基である場合に、その置換基の定義についても、式(1)~(3)において定義したものと同じである。例えば、A~Aが、置換基を有する炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有する炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、上記(a-9)で例示した置換基と同じものが挙げられる。
【0051】
1~Aの具体例としては、以下に示す(1)~(24)の基等が好ましい例として挙げられる。
【0052】
(1):メチル基、エチル基、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、重水素原子
【0053】
(2):フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基
【0054】
(3):4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-フェニルビフェニル基、2-フェニルビフェニル基
【0055】
(4):1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフチル)フェニル基、4-(2-ナフチル)フェニル基、3-(1-ナフチル)フェニル基、3-(2-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフチル)フェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基
【0056】
(5):2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基
【0057】
(6):1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基
【0058】
(7):1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基
【0059】
(8):2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基
【0060】
(9):2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基
【0061】
(10):2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基
【0062】
(11):1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基
【0063】
(12):2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基
【0064】
(13):2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基
【0065】
(14):2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-フェニル-2-キノキサリル基、6-キノキサリル基、2,3-ジメチル-6-キノキサリル基、2,3-ジフェニル-6-キノキサリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基
【0066】
(15):2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基
【0067】
(16):2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基
【0068】
(17):9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基
【0069】
(18):2-チアントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基
【0070】
(19):1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基
【0071】
(20):4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基
【0072】
(21):4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(1-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基
【0073】
(22):4-(3,5-ジフェニルトリアジン-1-イル)フェニル基、4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基
【0074】
(23):2-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、2-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基
【0075】
(24):N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基、N,N-ビス(3-ビフェニルイル)-アミノ基、N-フェニル-4-ビフェニルアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニルアミノ基、N-(4-ビフェニル)-4-p-ターフェニルアミノ基、N-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-4-ビフェニルアミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基
【0076】
式(5)~(10)において、A~Aは、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、又は、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、若しくはメトキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基、カルバゾリル基、又は、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、若しくはフェニル基で置換された基;
4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル基、4,6-ビス(4-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(3-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、ジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルシリル基、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、メチル基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニリル)アミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニリルアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、又は4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基であることが好ましい。
【0077】
<式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の反応>
式(1)で表されるジアリール化合物と、式(2)で表されるジアリールアルキン化合物とを、触媒及び塩基存在下で反応させ、式(3’)で表されるフェナントレン化合物を経由し、直接的に式(3)で表される縮合環化合物を得ることができる。
【0078】
【化5】
【0079】
式(1)又は式(2)で表される原料化合物は、公知の方法に基づいて合成することができ、あるいは市販されている化合物を用いることもできる。
【0080】
触媒としては、収率の観点から、パラジウム系の触媒が好ましい。
パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ピバル酸パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラフルオロほう酸塩)、トリス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。なかでも、収率の観点から、酢酸パラジウム(II)がより好ましい。
上記パラジウム触媒を使用する際、必要に応じて配位子となる化合物を用いてもよい。配位子としては、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリターシャリーブチルホスフィン(PBu)、ジターシャリーブチルメチルホスフィン(PBuMe)、トリシクロへキシルホスホニウムテトラフルオロボレート(PCy・HBF)、トリt-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBu・HBF)、ジt-ブチルメチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBuMe・HBF)、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド(IPR・HCl)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,2-ビス(ジシクロへキシルホスフィノ)エタン、トリアダマンチルホスフィン等が挙げられる。なかでも、収率の観点から、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリターシャリーブチルホスフィン(PBu)、ジターシャリーブチルメチルホスフィン(PBuMe)、トリシクロへキシルホスホニウムテトラフルオロボレート(PCy・HBF)、トリt-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBu・HBF)、ジt-ブチルメチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBuMe・HBF)が好ましく、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy)、トリターシャリーブチルホスフィン(PBu)、ジターシャリーブチルメチルホスフィン(PBuMe)、トリt-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBu・HBF)、ジt-ブチルメチルホスホニウムテトラフルオロボレート(PBuMe・HBF)がより好ましい。
【0081】
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、t-ブトキシカリウム、ピバル酸カリウム、ピバル酸セシウムが挙げられる。これらの塩基を用いると、より高収率となるため好ましい。なかでも、収率の観点から、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、又はピバル酸セシウムが好ましく、酢酸カリウム、又は酢酸ナトリウムがより好ましい。
【0082】
溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。なかでも、収率の観点から、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミドが好ましい。
【0083】
反応温度としては、収率の観点から、室温以上200℃以下であることが好ましく、110℃以上200℃以下がより好ましく、130℃以上200℃以下が特に好ましい。ここで、室温とは10℃以上30℃以下を意味する。
反応雰囲気としては、触媒活性を維持する観点から、乾燥した窒素、又は乾燥したアルゴン雰囲気が好ましい。
【0084】
以上説明した本発明の一態様に係る製造方法は、前述したように、非特許文献1,2に代表される従来の縮合環化合物の製造方法と比較して、酸化剤を用いなくとも、より簡易なプロセスで縮合環化合物を製造することができる。
【0085】
式(3)で表される縮合環化合物は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光層材料、電子輸送材料、電子注入材料として使用できる。更に、式(3)で表される縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子への使用に限られず、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも使用でき、特に限定されない。
【実施例
【0086】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。なお、実施例で用いた分析方法及び測定方法を以下のとおりである。
【0087】
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー社製 マルチステーションLC-8020
測定条件:カラム Inertsil ODS-3V(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)、
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[NMR測定]
NMR測定は、JEOL JNM-ECA-600 (日本電子社製)を用いて行った。
【0088】
[実施例1](ジベンゾ[g,p]クリセンの合成)
【0089】
【化6】
【0090】
窒素気流下、25mLネジ口試験管に1-ブロモ-2-(フェニルエチニル)-ベンゼン 51.4mg(0.20mmol)、2-ヨードビフェニル 56mg(0.20mmol)、酢酸パラジウム 8.96mg(0.04mmol)、トリシクロへキシルホスホニウムテトラフルオロボレート 21.4mg(0.06mmol)、酢酸カリウム 58.8mg(0.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド 2mLを加え、密閉し、130℃で18時間撹拌した。室温まで冷却後、2mLのジクロロメタンを加え希釈した。不溶物を濾過にて除去した後、4mLの純水を添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製し、ジベンゾ[g,p]クリセンの淡黄色粉末を34.7mg(収率53%)単離した。
【0091】
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(CDCl);7.56-7.72(m,8H),8.67-8.75(m,8H)
【0092】
以上の実施例1によれば、ワンポットでのジベンゾ[g,p]クリセンの合成が可能であり、非特許文献1~3に記載の方法と比較して、極めて簡易なプロセスでジベンゾ[g,p]クリセンの合成を実現できることがわかった。また、非特許文献2に記載の方法では、ジベンゾ[g,p]クリセンはconversionが14%程度である一方で、実施例1では収率53%でジベンゾ[g,p]クリセンが得られるため、非常に高収率での縮合環化合物の製造が可能であることがわかった。