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特許7237996単結晶シリコンインゴットの製造中の不純物の蓄積を決定するための複数のサンプルロッドの成長
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-03
(45)【発行日】2023-03-13
(54)【発明の名称】単結晶シリコンインゴットの製造中の不純物の蓄積を決定するための複数のサンプルロッドの成長
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20230306BHJP
   C30B 15/00 20060101ALI20230306BHJP
   C30B 15/20 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C30B29/06 502Z
C30B29/06 502H
C30B15/00 Z
C30B15/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020572644
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019038928
(87)【国際公開番号】W WO2020005904
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】16/020,701
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】カリシマ・マリー・ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェウ・リュー
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102181919(CN,A)
【文献】特開2016-041638(JP,A)
【文献】特開2002-226295(JP,A)
【文献】特開2012-129308(JP,A)
【文献】米国特許第03551807(US,A)
【文献】特開2018-90466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/06
C30B 15/00
C30B 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン溶融物から単結晶シリコンインゴットを製造するための方法であって、前記方法は、
前記るつぼで多結晶シリコンを加熱して、前記るつぼに第1のシリコン溶融物を形成させるステップと、
前記第1のシリコン溶融物から第1のサンプルロッドを引っ張るステップであって、前記第1のサンプルロッドは、第1のサンプルロッド直径を有する、ステップと、
前記第1のサンプルロッドおよび/または前記第1のシリコン溶融物の品質に関連する第1のサンプルロッドパラメータを測定するステップと、
前記第1のシリコン溶融物から第2のサンプルロッドを引っ張るステップであって、前記第2のサンプルロッドは、第2のサンプルロッド直径を有する、ステップと、
前記第2のサンプルロッドおよび/または前記第1のシリコン溶融物の品質に関連する第2のサンプルロッドパラメータを測定するステップと、
前記第1のシリコン溶融物から第1の製品インゴットを引っ張るステップであって、前記第1の製品インゴットは、直径を有し、前記第1のサンプルロッド直径および前記第2のサンプルロッド直径は、前記製品インゴットの直径よりも小さい、ステップと、
前記るつぼで多結晶シリコンを加熱して、前記るつぼに第2のシリコン溶融物を形成させるステップと、
前記第2のシリコン溶融物から第2の製品インゴットを引っ張るステップであって、前記第2の製品インゴットは、直径を有し、前記第1のサンプルロッド直径および前記第2のサンプルロッド直径は、前記第2の製品インゴットの直径よりも小さく、前記第2のシリコン溶融物から成長した前記第2の製品インゴットの成長条件は、測定された第1のサンプルロッドパラメータと測定された第2のサンプルロッドパラメータとの間の差の変化率に少なくとも部分的に基づいて変化する、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記成長条件は、ホットゾーン構成、サイドヒータ電力、ヒータ形状、るつぼライナーの厚さ、ドーパント濃度、不純物およびドーパント蒸発、ガス流量、およびチャンバ圧力からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサンプルロッドパラメータおよび前記第2のサンプルロッドパラメータは、サンプルロッドの抵抗率であり、第1のサンプルロッド抵抗率および第2のサンプルロッド抵抗率は、ロッドを抵抗率プローブと接触させることによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記第1のサンプルロッド上に平面セグメントを形成するステップであって、前記第1のサンプルロッドの抵抗率は、前記平面セグメント上で測定される、ステップと、
前記第2のサンプルロッド上に平面セグメントを形成するステップであって、前記第2のサンプルロッドの抵抗率は、前記平面セグメント上で測定される、ステップと、
をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、電流を各サンプルロッドに印加して前記サンプルロッドの抵抗を測定するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
各サンプルロッドは、サンプルロッドを抵抗率プローブと接触させながらサンプルロッドを保持するクランプを備える測定装置によって固定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、サンプルロッドの抵抗率を測定する前に、熱ドナーキルサイクルで各サンプルロッドをアニールするステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2のサンプルロッドの直径は、それぞれ、第1の製品インゴットの直径の0.50倍未満、および前記第1および第2のサンプルロッドの直径は、それぞれ、第2の製品インゴットの直径の0.50倍未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2のサンプルロッドおよび前記第1および第2の製品インゴットは、それぞれ、少なくとも1,500Ω-cmの抵抗率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のサンプルロッドが成長した後かつ前記第2のサンプルロッドが成長する前に、多結晶シリコンが前記るつぼに追加されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のサンプルロッドパラメータおよび前記第2のサンプルロッドパラメータは、同じパラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のサンプルロッドパラメータおよび前記第2のサンプルロッドパラメータは、溶融物、第1の製品インゴットまたは第2の製品インゴットの不純物濃度に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータは、リン濃度、ホウ素濃度、アルミニウム濃度、ガリウム濃度、ヒ素濃度、インジウム濃度、アンチモン濃度、総不純物濃度、ドーパント濃度、およびサンプルロッドの抵抗率からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のサンプルロッドおよび第2のサンプルロッドの不純物濃度が測定され、前記第1および第2のサンプルロッドの不純物濃度は、1×1012原子/cm未満であり、前記不純物濃度は、フーリエ変換赤外分光法またはフォトルミネッセンスによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、測定された第1のサンプルロッドパラメータおよび/または測定された第2のサンプルロッドパラメータに少なくとも部分的に基づいて、第1の製品インゴットの成長条件を変更するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年6月27日に出願された米国特許出願第16/020,701号の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、複数のサンプルロッドが溶融物から成長する単結晶シリコンインゴットを形成するための方法に関する。溶融物またはインゴットの不純物濃度に関連するパラメータが測定される。いくつかの実施形態では、サンプルロッドは、それぞれ、製品インゴットの直径よりも小さい直径を有する。
【背景技術】
【0003】
半導体電子コンポーネントの製造のほとんどのプロセスの出発材料である単結晶シリコンは、通常、単一の種結晶を溶融シリコンに浸漬し、ゆっくりと抽出して成長させる、いわゆるチョクラルスキー(CZ)プロセスによって調製される。溶融シリコンは、石英るつぼに含まれている間、主に酸素を含む様々な不純物で汚染されている。高度な無線通信用途、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、低電力、低リークデバイスなどの一部の用途では、1500オーム-cm(Ω-cm)以上などの比較的高い抵抗率のウェーハが必要である。
【0004】
高抵抗率のインゴット製造には、高純度のポリシリコンが使用される。高純度のポリシリコンは、るつぼ、ホットゾーン構成、および/またはインゴットプーラ全体に循環するプロセスガスからの不純物で汚染されている可能性がある。これらの不純物は、高抵抗率のインゴットの製造を複雑にし、最小の目標抵抗率でインゴットの部分を減らす(例えば、インゴットの「プライム」部分を減らす)実行の長さに亘って変化する可能性がある。
【0005】
ポリシリコン出発材料の不純物濃度または抵抗率を比較的迅速に経時的にサンプリングすることを可能にする、および/または比較的少量のシリコンが消費される状態で不純物を比較的迅速に測定することを可能にする高抵抗率シリコンインゴットを調製する方法の必要性が存在する。
【0006】
このセクションは、本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、これらは、以下に説明および/または主張される。この議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするための背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられている。したがって、これらの記述は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであることを理解されたい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、るつぼ内に保持されたシリコン溶融物から単結晶シリコンインゴットを製造するための方法に関する。多結晶シリコンがるつぼに追加される。多結晶シリコンを加熱して、るつぼ内にシリコン溶融物を形成させる。第1のサンプルロッドが溶融物から引っ張られる。第1のサンプルロッドは、第1のサンプルロッド直径を有する。第1のサンプルロッドおよび/またはシリコン溶融物の品質に関連する第1のサンプルロッドパラメータが測定される。第2のサンプルロッドが溶融物から引っ張られる。第2のサンプルロッドは、第2のサンプルロッド直径を有する。第2のサンプルロッドおよび/またはシリコン溶融物の品質に関連する第2のサンプルロッドパラメータが測定される。製品インゴットが溶融物から引っ張られる。製品インゴットは、直径を有する。第1のサンプルロッドの直径および第2のサンプルロッドの直径は、製品インゴットの直径よりも小さい。
【0008】
本開示の他の態様は、単結晶シリコンインゴットの不純物濃度をモデル化するための方法に関する。第1のサンプルロッドは、るつぼに配置されたシリコン溶融物から引っ張られる。第1のサンプルロッドは、100mm未満の第1のサンプルロッド直径を有する。第1のサンプルロッドの不純物含有量に関連する第1のサンプルロッドパラメータが測定される。第2のサンプルロッドがシリコン溶融物から引っ張られる。第2のサンプルロッドは、100mm未満の第1のサンプルロッド直径を有する。第2のサンプルロッドの不純物含有量に関連する第2のサンプルロッドパラメータが測定される。単結晶シリコンインゴットの不純物濃度は、測定された第1のサンプルロッドパラメータおよび測定された第2のサンプルロッドパラメータに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0009】
本開示の上記の態様に関連して記載された特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、本開示の上記の態様に組み込まれ得る。これらの改良点と追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで存在する場合がある。例えば、本開示の例示された実施形態のいずれかに関連して以下で論じられる様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上記の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】単結晶シリコンインゴットを形成するための引っ張り装置の概略側面図である。
図2】シリコン溶融物から成長したサンプルロッドである。
図3】その表面に形成された平面セグメントを有するサンプルロッドである。
図4】サンプルロッドの抵抗率を測定するための測定装置である。
図5】サンプルロッドの抵抗率を測定するために使用されるI-V曲線である。
図6】いくつかのショートインゴットについて計算されたシリコン溶融物のホウ素/リン含有量の散布図である。
図7】種端からの様々な位置でのサンプルロッドの抵抗率の散布図である。
図8】例4のリンをドープしたショートインゴット、サンプルロッド、および製品インゴットの抵抗率の散布図である。
図9】例4のホウ素をドープしたショートインゴット、サンプルロッド、および製品インゴットの抵抗率の散布図である。
図10】P型からN型に型が変化した例4のショートインゴット、サンプルロッド、および製品インゴットの抵抗率の散布図である。
図11】例5の第1のサンプルロッド、ショートインゴット、および第2のサンプルロッドの抵抗率の散布図である。
図12】例5の第1のサンプルロッド、ショートインゴット、第2のサンプルロッド、および製品インゴットの抵抗率に基づいて計算されたリン汚染時間の傾向である。
【0011】
対応する参照文字は、図面全体の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の規定は、複数のサンプルロッドを成長させて経時的な溶融物の不純物(例えば、るつぼの溶解によって追加される不純物)に関連する1つまたは複数のパラメータを決定するチョクラルスキー法によって単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。いくつかの実施形態では、パラメータは、その後に成長する製品インゴットの不純物を予測するために使用される。サンプルロッドは、製品インゴットよりも小さい直径を有する(例えば、約150mm未満、約100mm未満、約50mm未満、または約25mm未満の直径)。
【0013】
本開示の実施形態によれば、図1を参照して、製品インゴットは、インゴットプーラ23のるつぼ22内に保持されたシリコン溶融物44からインゴットが引き出される、いわゆるチョクラルスキー法によって成長する。インゴットプーラ23は、結晶成長チャンバ16を規定するハウジング26と、成長チャンバよりも横方向の寸法が小さいプルチャンバ20とを含む。成長チャンバ16は、成長チャンバ16から狭くなったプルチャンバ20に移行する、概してドーム型の上壁45を有する。インゴットプーラ23は、結晶成長中にハウジング26にプロセスガスを導入およびハウジング26からプロセスガスを除去するために使用され得る入口ポート7および出口ポート12を含む。
【0014】
インゴットプーラ23内のるつぼ22は、シリコンインゴットが引き出されるシリコン溶融物44を含む。シリコン溶融物44は、るつぼ22にチャージした多結晶シリコンを溶融することによって得られる。るつぼ22は、インゴットプーラ23の中心長手方向軸Xの周りでるつぼ22を回転させるために、ターンテーブル31に取り付けられている。
【0015】
加熱システム39(例えば、電気抵抗ヒータ)は、シリコンチャージを溶融して溶融物44を生成するためにるつぼ22を取り囲む。加熱システム39はまた、米国特許第8,317,919号明細書に示されるように、るつぼの下に延在できる。加熱システム39は、制御システム(図示せず)によって制御され、その結果、溶融物44の温度は、引っ張りプロセス全体を通して正確に制御される。加熱システム39を取り囲む断熱材(図示せず)は、ハウジング26を通して失われる熱の量を減らすことができる。インゴットプーラ23はまた、溶融物表面の上方に、るつぼ22の熱からインゴットを遮蔽して、固体溶融物界面での軸方向温度勾配を増加させるための熱シールドアセンブリ(図示せず)を含み得る。
【0016】
引っ張り機構(図示せず)は、機構から下に延びるプルワイヤ24に取り付けられている。この機構は、プルワイヤ24を上下させることができる。インゴットプーラ23は、プーラのタイプに応じて、ワイヤーではなくプルシャフトを有することができる。プルワイヤ24は、シリコンインゴットを成長させるために使用される種結晶6を保持する種結晶チャック32を含む引っ張りアセンブリ58で終端する。インゴットを成長させる際に、引っ張り機構は、種結晶6がシリコン溶融物44の表面に接触するまで種結晶6を下降させる。種結晶6が溶融し始めると、引っ張り機構は、成長チャンバ16を通って種結晶をゆっくりと上昇させ、チャンバ20を引っ張って単結晶インゴットを成長させる。引っ張り機構が種結晶6を回転させる速度および引っ張り機構が種結晶を上昇させる速度(すなわち、引張速度v)は、制御システムによって制御される。
【0017】
プロセスガスは、入口ポート7を通ってハウジング26に導入され、出口ポート12から引き出される。プロセスガスは、ハウジング26内に雰囲気を作り出し、溶融物と雰囲気は、溶融ガス界面を形成する。出口ポート12は、インゴットプーラの排気システム(図示せず)と流体的に連絡している。
【0018】
これに関して、図1に示され、本明細書に記載されるインゴットプーラ23は、例示的なものであり、他の結晶プーラ構成および配置を使用して、特に明記しない限り、単結晶シリコンインゴットを溶融物から引っ張ることができる。
【0019】
本開示の実施形態によれば、多結晶シリコンがるつぼ22に加えられ、加熱システム39が操作されて多結晶シリコンを溶融させた後、複数のサンプルインゴットまたはロッドが溶融物から引っ張られる。一般に、複数のサンプルロッドは、その後に成長する製品インゴットよりも小さい直径を有する(例えば、約150mm未満、約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満)。サンプルロッド5の例を図2に示す。ロッド5は、ロッドが遷移し、種から外側に向かって先細になって目標直径に到達するクラウン21を含む。ロッド5は、引張速度を増加させることによって成長する結晶の一定直径部分25または円筒形本体または単に「本体」を含む。サンプルロッド5の本体25は、比較的一定の直径を有する。ロッド5は、本体25の後にロッドが直径が先細になるテールまたはエンドコーン29を含む。直径が十分に小さくなると、ロッドは、溶融物から分離される。ロッド5は、インゴットのクラウン21および末端33を通って延びる中心長手方向軸Aを有する。
【0020】
第1のサンプルロッドが溶融物から引っ張られた後、第1のサンプルロッドおよび/またはシリコン溶融物の品質に関連する第1のサンプルロッドパラメータが測定される。測定されたパラメータは、リン濃度、ホウ素濃度、総不純物濃度、サンプルロッドの抵抗率、または他の不純物濃度(例えば、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、インジウム、アンチモンなど)などのロッドの不純物構成に関連している可能性がある。
【0021】
本開示の実施形態によれば、第1のロッドが製造された後、第2のサンプルロッドが溶融物から引っ張られる。第2のサンプルロッドは、第1のロッドと同じ直径および/または長さを有し得るか、または異なる直径および/または長さのロッドが製造され得る。第2のサンプルロッドおよび/またはシリコン溶融物の品質に関連する第2のサンプルロッドパラメータが測定される(例えば、不純物に関連するパラメータ)。第1のサンプルロッドパラメータおよび第2のサンプルロッドパラメータは、同じパラメータであり得るか、または他の実施形態のように、異なるパラメータであり得る(例えば、第1のロッドの不純物含有量が測定され、第2のロッドの抵抗率が測定される)。
【0022】
第1および第2のサンプルロッドの成長条件は、当業者が利用できる一般的に任意の適切な成長条件から選択できる。サンプルロッドは、ロックされた種リフト(すなわち、+/-約5mmなどの様々な直径の固定引張速度)またはアクティブ種リフト(目標直径を維持するために変化する引張速度)で成長させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、多結晶シリコンは、第1のサンプルロッドが成長した後、第2のサンプルロッドが成長する前、および/または製品インゴットがその後成長する前に、るつぼに追加されない。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、製品インゴット(例えば、200mm、300mm、450mmの直径のインゴットなどのサンプルロッドよりも大きい直径を有するインゴット)は、第1のサンプルロッドと第2のサンプルロッドの成長の間に成長しない。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサンプルロッドの両方の直径は、約150mm未満または約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満、または約20mm未満(例えば、約5mmから約150mm、約5mmから約100mm、約5mmから約50mm、約5mmから約25mm、または約10mmから約25mm)である。一般に、ロッド5の直径は、いくつかの軸方向位置に沿ってロッドを測定し(例えば、ロッドがクラウンおよび/またはテーパ端を有する場合、ロッドの一定直径部分内)、測定された直径を平均化することによって測定される(例えば、長さ全体に亘って2、4、6、10以上の直径を測定し、平均化する)。いくつかの実施形態では、ロッドのサンプルの最大直径は、約150mm未満または約100mm未満、約50mm未満、約25mm未満、または約20mm未満(例えば、約5mmから約150mm、約5mmから約100mm、約5mmから約50mm、約5mmから約25mm、または約10mmから約25mm)である。
【0025】
サンプルロッド5は、任意の適切な長さを有することができる。いくつかの実施形態では、ロッド(例えば、トリミング後)は、約300mm未満、約200mm未満、または約100mm未満(例えば、約25mmから約300mm)の長さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、サンプルロッドおよび/またはシリコン溶融物の品質に関連する第1および/または第2のサンプルロッドパラメータは、溶融物の不純物に関連するパラメータであり得る。例えば、サンプルロッドのホウ素濃度、リン濃度、総不純物濃度、または抵抗率を測定できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、不純物濃度は、フーリエ変換赤外分光法(例えば、低温FTIR)またはフォトルミネッセンスによって測定される。このような方法では、高抵抗率または超高抵抗率の用途に典型的な不純物(例えば、1×1012原子/cm未満の不純物の濃度)など、比較的低い不純物濃度を測定できる。この方法は、全体的な正味のキャリア濃度の決定(すなわち、抵抗率)または特定の不純物(例えば、ホウ素またはリン)の濃度を含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のサンプルロッドの抵抗率が測定される。ロッド5は、インゴットプーラ23から取り外され、抵抗率を測定できるように処理される。インゴットのクラウンとテールは、ワイヤーソーを使用するなどして取り外すことができる。いくつかの実施形態では、ロッド5のトリミングされた端部は、端部を平らにするために研磨される。ロッドの端部をエッチングできる(例えば、混酸エッチング)。ロッド5は、その第1および第2の端部15、17にオーミック接点などのオーミック接点を含むように修正できる。例えば、ロッド5の切断端部15、17は、コロイド銀塗料で塗装され、乾燥され得る。
【0029】
ロッド5の表面に平面セグメント11(図3)が形成されている。平面セグメント11は、ロッド5に沿って軸方向に延びることができる。いくつかの実施形態では、平面セグメント11は、ロッド5の第1の端部15から第2の端部17まで軸方向に延びる。他の実施形態では、平面セグメント11は、その長さに沿って部分的にのみ延びる。
【0030】
平面セグメント11は、研削パッド(例えば、ダイヤモンドグリットパッド)を使用することなどによって、サンプルロッド5の表面を研削することによって形成できる。いくつかの実施形態では、平面セグメントは、電圧プローブとの接触を可能にするのに十分な幅(例えば、約2~4mm)を有する。平面セグメント11は、抵抗率測定の前に、脱イオン水で洗浄し、乾燥することなどによって洗浄できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、サンプルロッド5は、抵抗率を測定する前に急速熱アニールにかけられる。急速熱アニールは、間質酸素クラスターを解離することにより、熱ドナーキルサイクル(すなわち、熱ドナーの消滅)として機能する可能性がある。いくつかの実施形態では、アニールは、約500℃以上、約650℃以上または約800℃以上(例えば、500℃から約1000℃、約500℃から約900℃、または約650℃から約1100℃)の温度で、少なくとも約5秒、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、または少なくとも約3分以上(例えば、約5秒から15分、約5秒から約5分、または約5秒から約3分)行われる。
【0032】
ロッド5の抵抗率は、平面セグメント11から測定できる。本開示のいくつかの実施形態では、電流は、ロッド5を通って流れ、抵抗率プローブは、ロッド5の長さに沿った1つまたは複数の場所で接触される。電流は、端部15、17の1つを介してロッド5に印加され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ロッド5は、図4に示される装置43などの測定装置内に固定されている。測定装置43は、ロッド5を固定するクランプ51を含む。クランプ51は、ロッド5を第1の端部15に向けて固定する第1の支持体53と、ロッド5を第2の端部17に向けて固定する第2の支持体55とを有する。支持体53、55は、ロッドを保持するように構成されている(例えば、調整およびクランプのためにねじ切りされている)。支持体53、55は、ロッド5のトリミングされた端部のオーミック接点に接触し得る。プローブ先端61は、ロッドの平らな平面セグメント上のロッド5に接触させられる。電流は、支持体53、55を通過し、電圧は、プローブ先端61によって測定される。プローブ先端61は、各点で印加される電流/電圧が測定された状態で、ネック5の軸の下に手動で動かされる。図示の装置43では、プローブ先端61は、手動で動かされる。他の実施形態では、プローブ先端61は、アクチュエータによって動かされる。
【0034】
図4の測定装置43は例示的な装置であり、ロッドの抵抗率を固定および/または測定するための任意の適切な装置を、特に明記しない限り使用できる。ロッド(例えば、100mm未満、50mmまたは25mm未満などの一般に細い直径のロッド)および測定装置43の使用により、ロッドをウェーハまたはスラグにスライスすることなく抵抗率を測定できる。
【0035】
抵抗率プローブは、両方のプローブ先端が平面セグメント11と接触している2点プローブであり得る。電圧差は、2つのプローブ先端間で測定される。例えば、抵抗率は、「2点プローブを使用したシリコンバーの抵抗率の試験方法」と題されたSEMI標準MF397-0812に準拠した2点プローブで測定できる。これは、関連する全ての一貫した目的のために参照により本明細書に組み込まれる。結晶タイプ(すなわち、N型またはP型)を決定するために、2端子または3端子整流法を使用できる。このようなタイプの決定は、「外因性半導体材料の導電率タイプの試験方法」と題されたSEMI標準MF42-0316に準拠して実行できる。これは、関連する全ての一貫した目的のために参照により本明細書に組み込まれる。2端子と3端子の両方の整流方法は、非常に高い抵抗率のシリコンに対してロバストな方法である。
【0036】
電圧は、長さ全体の様々な点で測定できる。測定された電圧とサンプルの長さおよび平均直径を使用して、電流-電圧曲線の傾きを決定するなどして抵抗率を計算できる(例えば、以下の例1)。
【0037】
第1および第2のサンプルロッドが分析された後(例えば、不純物濃度または抵抗率などのパラメータが測定される)、第1のサンプルロッドおよび第2のサンプルロッドの測定されたパラメータが比較され得る。パラメータの違いは、溶融物の品質に関する時間依存の情報を提供する。例えば、パラメータが変化する速度を測定できる(例えば、経時的な不純物濃度または抵抗率の変化)。
【0038】
追加のサンプルインゴットを成長させて、成長条件(例えば、溶融物の不純物)に関連するさらなる時間関連情報を提供できる。いくつかの実施形態では、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9および/または第10のサンプルロッドが溶融物から引っ張られる(例えば、各ロッドの直径が約150mm未満、約100未満、約50mm未満、約25mm未満、または約20mm未満である)。溶融物から引っ張られた各サンプルロッドの不純物含有量に関連するサンプルロッドパラメータを測定できる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1および第2のサンプルロッド(および場合により後続の各ロッド)は、約5.5ppma未満の酸素含有量などの比較的低い酸素含有量を有する。他の実施形態では、各サンプルロッドの酸素含有量は、5.2ppma未満、5.0ppma未満、3.5ppma未満、約3ppma未満、またはさらには約2.5ppma未満である。いくつかの実施形態では、サンプルロッド5は、転位がない。
【0040】
いくつかの実施形態では、製品インゴットは、サンプルロッドが成長した後に溶融物から成長する。第1のサンプルロッドの直径および第2のサンプルロッドの直径は、製品インゴットの直径よりも小さい。例えば、サンプルロッドの直径は、製品インゴットの直径の0.75倍未満、0.50倍未満、約0.25倍未満、または製品インゴットの直径の0.1倍未満であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、ロッド5は、結晶プーラで成長した製品インゴットのネック部分の直径に概ね対応する直径を有する。例えば、ロッドは、50mm未満、25mm未満、または20mm未満の直径を有し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、多結晶シリコンは、製品インゴットの成長中に(例えば、バッチプロセスのように)追加されない。製品インゴットを成長させ、るつぼに多結晶シリコンを再充填した後、追加のサンプルロッドを成長させることができる。他の実施形態では、多結晶シリコンは、製品インゴットが成長するときに溶融物に追加される(例えば、連続チョクラルスキー法のように)。
【0043】
測定された第1のサンプルロッドパラメータおよび測定された第2のサンプルロッドパラメータを使用して、製品インゴットおよび/または他の溶融物から引っ張られた1つまたは複数のその後に成長する製品インゴット(例えば、第1の製品インゴットが成長した後にるつぼに形成された第2の溶融物)の成長条件を調整できる。例えば、製品インゴットの成長条件は、測定された第1のサンプルロッドパラメータおよび/または第2のサンプルロッドパラメータに少なくとも部分的に基づいて変更され得る。成長条件の例には、ホットゾーン構成、サイドヒータ出力、ヒータ形状、るつぼライナーの厚さ、ドーパント濃度、不純物とドーパントの蒸発、ガス流量、および/またはチャンバ圧力が含まれる。いくつかの実施形態では、第1のサンプルロッドパラメータおよび/または第2のサンプルロッドパラメータは、るつぼ溶解(例えば、るつぼ溶解中の不純物入力)、ホットゾーン汚染またはガス流不純物と相関している。
【0044】
いくつかの実施形態では、単結晶シリコンインゴット(例えば、サンプルロッドと同じ溶融物から引っ張られた製品インゴットまたは第2の溶融物から引っ張られた製品インゴット)の不純物含有量に関連するパラメータは、少なくとも部分的に、第1および第2のサンプルロッドパラメータから決定される(例えば、モデル化される)。例えば、製品インゴットの不純物濃度または抵抗率は、少なくとも部分的に、第1のサンプルロッドパラメータと第2のサンプルロッドパラメータとの間の差の変化率から決定される。あるいは、またはさらに、製品インゴットの不純物に関連するパラメータは、第1のサンプルロッドパラメータおよび第2のサンプルロッドパラメータがモデルに入力されているモデルから決定され得る。一般に、溶融物の不純物の時間依存変化を使用するモデルなど、製品インゴットの不純物を予測するために当業者が利用できる任意のモデルを使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、測定された第1のサンプルロッドパラメータおよび測定された第2のサンプルロッドパラメータは、多結晶シリコン溶融物に追加されるドーパントの量を調整するために使用される。第1のサンプルロッドを成長させる前にある量のドーパントを溶融物に加え、第1のサンプルロッドを成長させた後、第2のサンプルロッドを成長させる前に、ある量のドーパント(例えば、同じドーパントまたは異なるドーパント)を加えることができる。いくつかの実施形態では、ある量のドーパントが、第2のサンプルロッドが成長した後、製品インゴットが成長する前に追加される。他の実施形態では、ドーパントは、第1および第2のサンプルロッドのいずれかの成長の前に追加されない。
【0046】
第1および第2のサンプルロッドおよび製品インゴットが引っ張られるポリシリコンは、半導体グレードのポリシリコンであり得る。半導体グレードのポリシリコンを使用する場合、いくつかの実施形態では、ポリシリコンは、4,000Ω-cmを超える抵抗率を有し、0.02ppba以下のホウ素またはリンを含む。
【0047】
サンプルロッドが引っ張られ、オプションでドーパントが溶融物に追加された後、製品インゴットが溶融物から引き出される。製品インゴットは、第1および第2のサンプルロッドの直径よりも大きい直径を有する(すなわち、第1および第2のサンプルロッドの一定直径部分の直径は、インゴットの一定直径部分の直径よりも小さい)。製品インゴットは、約150mmの直径、または他の実施形態のように、約200mm、約300mm以上(例えば、450mm以上)の直径を有し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、溶融物は、比較的純粋であり、および/または比較的高い抵抗率の製品インゴットを達成するために補償される。いくつかの実施形態では、製品インゴットは、少なくとも約1,500Ω-cm、または他の実施形態のように、少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、または約1,500Ω-cmから約50,000オーム-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmの抵抗率を有する。あるいは、またはさらに、第1および第2のサンプルロッドは、少なくとも約1,500Ω-cm、または少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、約1,500Ω-cmから約50,000Ω-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmの抵抗率を有し得る。
【0049】
単結晶シリコンインゴットを製造するための従来の方法と比較して、本開示の方法は、いくつかの利点を有する。第1および第2のサンプルロッドを成長させ、溶融物の不純物の変化(例えば、るつぼの溶解によって加えられる不純物)に関連するパラメータを測定することによって、時間依存情報(例えば、不純物の変化)を経時的に決定できる。比較的小さな直径のサンプルロッドを成長させることにより(例えば、直径200mm以上の製品インゴットと比較して約100mm未満、約50mm未満または約25mm未満)、ロッドの成長の間の多結晶シリコンの追加を排除することができ、多結晶シリコンの追加に起因する不純物への変化を排除することができる。これにより、るつぼの溶解および/またはホットゾーン汚染の不純物寄与効果を分離できる。
【0050】
比較的小さい直径のサンプルロッドは、比較的少量の溶融物を消費し(例えば、15kg、20kg、または50kg以上の溶融物を消費する可能性がある全直径のショートインゴットと比較して、1kg未満、0.5kg未満、または約0.25kg以下)、サンプリングプロセス(例えば、分離)に起因する不純物の蓄積を低減する。るつぼ内の溶融深さの変化を無視して、複数のサンプルロッドを製造できる。サンプルロッドは、比較的迅速に成長させることができる(例えば、20時間、30時間、40時間、または50時間の成長時間を伴う可能性があるフルサイズのショートインゴットと比較して、約12、10、または5時間以下)。
【0051】
比較的純粋なポリシリコンを使用して比較的高抵抗率の製品インゴットを製造する実施形態では、変換赤外分光法またはフォトルミネッセンスを使用することにより、不純物含有量(例えば、ホウ素および/またはリン)を測定できる。
【0052】
サンプルロッドの抵抗率を測定して、溶融物および/または製品インゴットの不純物濃度および/または抵抗率を決定する実施形態では、抵抗率は、4点または2点プローブによってロッドから直接比較的迅速に(例えば、8時間以下または6時間以下)測定でき、時間の経過とともに不純物が蓄積するために変化する可能性のあるほぼリアルタイムの間接抵抗率測定を提供する。
【0053】
本開示のプロセスは、以下の例によってさらに説明される。これらの例は、限定的な意味で見られるべきではない。
例1:I-V曲線からの抵抗率の決定
【0054】
サンプルロッドの電圧を軸方向に測定し(例えば、図4の装置を使用して)、印加電流と測定電圧を記録した。図5は、生成されたI-V曲線を示している。サンプルの形状とI-V曲線の傾きを使用して、サンプルの抵抗率は6139オーム-cmであると決定された。
例2:溶融および溶解したるつぼ壁の推定ホウ素およびリン含有量
【0055】
図6は、製品インゴットの製造前に製造された多数のショートインゴットのシリコン溶融物の計算されたリン/ホウ素含有量を示している。P/Bは、ショートインゴットの抵抗率を測定し、既知量のP/Bドーパントを溶融物に追加し、製品インゴットの抵抗率を測定して、抵抗率挙動のモデルに基づいて計算した。これらのパラメータを使用して、開始ポリシリコンチャージからるつぼ溶解までの開始P/Bの濃度を計算できる。
【0056】
図6に示されるデータ点のうち、データ点の10~20%は、初期ポリシリコンチャージのP/B含有量に追加のP/B含有量を示した。これは、ホウ素とリンの濃度が一般にるつぼの溶解によって影響を受けることを示している。図6の不明確な時間依存性は、るつぼの寄与がロットおよびプロセス時間によって異なる可能性があることを示している。
例3:ショートインゴットとサンプルロッドの比較
【0057】
製品ロッドとほぼ同じサイズの直径(例えば、200mmの引っ張り装置で約200mm)を有する単結晶のショートサンプルインゴット(「ショートインゴット」)を、図1と同様の引っ張り装置で成長させた。結晶をトリミングし、混酸エッチング(MAE)にかけた。結晶スラグを800℃で3分間急速熱アニールし、ラップ仕上げした。抵抗率を測定するためにスラグを4点プローブと接触させ、3回の測定で平均した。
【0058】
サンプルロッド(「サンプルロッド」)は、ショートインゴットが成長した後、同じ引っ張り装置でロック種リフトモードで成長させた。ロッドの直径は、その長さ全体で変化し、17~23mmの範囲内で、平均20mmであった。サンプルロッドをトリミングして研磨し、ロッドの一方の端からもう一方の端まで延びる平らなセグメントを形成した。ロッドを800℃で3分間急速熱アニールした。インゴットの抵抗率は、図4に示される装置と同様の測定装置と2点プローブを使用して測定した。成長条件の違いを以下の表1に示す。
【0059】
【0060】
表1:直径200mmのサンプルインゴットと直径約17~23mmのサンプルロッドの成長条件
【0061】
サンプルロッドの長さ全体で測定された抵抗率とサンプルインゴットからのスラグの抵抗率を図7に示す。
【0062】
ショートインゴットのサンプル準備時間は、26時間で、トリミング、混酸エッチング、急速熱アニール、スラブ切断、研削(例えば、ダイヤモンドパッドを使用)、ラッピング、4点プローブによる測定が含まれていた。一方、サンプルロッドのサンプル準備時間は、6時間で、トリミング、混酸エッチング、急速熱アニール、フラット研削(ダイヤモンドパッドを使用)、ラッピング、2点プローブによる測定が含まれていた。
例4:シリコンメルトの抵抗率の傾向
【0063】
製品インゴットと同じ直径(200mm)を有するショートインゴットをシリコン溶融物(N型の場合はリンをドープ)から成長させた。次に、直径が約17mmのサンプルロッドを成長させ、続いて製品インゴットを成長させた。ショートインゴットと製品インゴットのスラグの抵抗率を4点プローブで測定した。
【0064】
サンプルロッドの端部を切断し、ロッド上に平面セグメントを形成した。サンプルロッドの平面セグメントに沿った抵抗率は、2点プローブによって測定された。スラグの抵抗率とサンプルロッドに沿った抵抗率の変化を図8に示す。
【0065】
ショートインゴット、サンプルロッド、および製品インゴットは、同じ抵抗率測定が行われるPドープ溶融物(ホウ素ドープ)用に成長させた。ショートインゴットの抵抗率、サンプルロッドに沿った抵抗率の変化、および製品インゴットの抵抗率を図9に示す。
【0066】
ショートインゴット、サンプルロッド、および製品インゴットを第2のPドープ溶融物(ホウ素ドープ)用に成長させ、同じ抵抗率測定を行った。ショートインゴットの抵抗率、サンプルロッドに沿った抵抗率の変化、および製品インゴットの抵抗率を図10に示す。図10に示されるように、サンプルロッドと製品インゴットのスラグとの間で結晶型がN型に反転した。
【0067】
図8図10に示されるように、溶融物の抵抗率は、時間の経過とともに定常状態ではなく、製品インゴットの抵抗率は、不純物量の変化(例えば、るつぼの溶解による)の影響を受ける。サンプルロッドの抵抗率の傾向は、製品インゴットの抵抗率と一致する。サンプルロッドの抵抗率の変化は、サンプルロッドがサンプルロッドの両端間のg値の差が無視できる程度で成長したため、g値の変化ではなく時間の経過とともに変化した。異なる時間間隔での複数のサンプルロッドの成長は、製品インゴットの種端抵抗率目標をより有効にし、製品インゴットの軸方向抵抗率を改善する。
例5:複数のサンプルロッドで示されるリンの蓄積
【0068】
ホウ素をドープしたシリコン溶融物を調製し、複数のサンプルロッドとショートインゴットが溶融物から引っ張られた。第1のサンプルロッド(約17mm)を成長させ、続いてショートインゴットを成長させた。ショートインゴットの後に、第2のサンプルロッド(約17mm)を成長させた。図11に、サンプルロッドとショートインゴットの抵抗率を示す。最初のサンプルロッドとショートインゴットとの間で型の変更が発生した。図12は、第1のサンプルロッド、ショートインゴット、第2のサンプルロッド、および製品インゴットのそれぞれから計算されたリンの蓄積を示している。図12に示されるように、第1のサンプルロッドから第2のサンプルロッドへの一時的な変化は、時間の経過に伴う溶融物中のリンの蓄積をより正確に推定する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「約」、「実質的に」、「本質的に」および「ほぼ」という用語は、寸法、濃度、温度、または他の物理的または化学的特性または性質の範囲と組み合わせて使用される場合、例えば、丸め、測定方法、またはその他の統計的変動に起因する変動を含む、特性または性質の範囲の上限および/または下限に存在する可能性のある変動をカバーすることを意味する。
【0070】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」、「含む」および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。特定の方向(例えば、「上」、「下」、「側面」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、説明されているアイテムの特定の向きを必要としない。
【0071】
本開示の範囲を逸脱することなく、上記の構成および方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12