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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/10 20230101AFI20230307BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230307BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H04N25/10
H04N25/70
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018175446
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020048089
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中山 史人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005145(JP,A)
【文献】特開2015-026675(JP,A)
【文献】特開2013-207035(JP,A)
【文献】特開2006-086356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0270594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/10
H04N 25/70
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長域の光を透過する第1透過膜を有する撮像用の複数の第1画素と、
第2波長域の光を透過する第2透過膜を有する焦点検出用の第2画素と、
前記複数の第1画素のうち前記第2画素の隣に並ぶ前記第1画素の周囲に設けられた第1遮光部と、
前記複数の第1画素のうち前記第2画素の隣に並ばない前記第1画素の周囲に設けられた第2遮光部と、
を備え、
前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積が前記第1遮光部の幅によって決定され、
前記第1遮光部の幅は、前記第2遮光部の幅よりも広く、
前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積は、前記第2画素が隣に並ばない前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積よりも小さい撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
2つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積は、1つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積よりも小さい撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
2つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素と前記第2画素との間の前記第1遮光部の幅は、1つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素と前記第2画素との間の前記第1遮光部の幅よりも大きい撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1波長域とは異なる第3波長域の光を透過する第3透過膜を有する撮像用の第3画素を備え、
前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積は、前記第3透過膜の面積よりも小さい撮像素子。
【請求項5】
請求項に記載の撮像素子において、
前記第2画素が隣に並ばない前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積は、前記第3透過膜の面積と略等しい撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1透過膜は、光が入射する面の中心部で所定の厚さとなる領域と、前記所定の厚さよりも厚い周辺部とを有し、
前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記領域は、前記第2画素が隣に並ばない前記第1画素が有する前記領域よりも狭い撮像素子。
【請求項7】
請求項に記載の撮像素子において、
2つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記領域は、1つの前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記領域よりも狭い撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素は、光学系を透過した光のうち前記第1波長域の光を受光して画像生成に用いる信号を出力し、
前記第2画素は、前記光学系を透過した光のうち前記第2波長域の光を受光して前記光学系の焦点検出に用いる信号を出力する撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2透過膜は、少なくとも前記第1波長域を包含する波長域の光を透過する撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子からの信号に基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子に配置されている撮像画素の一部を、撮像素子上に形成される像の合焦状態を検出する焦点検出画素とする、像面位相差検出型の撮像素子が知られている(例えば特許文献1)。しかし、焦点検出画素に起因する迷光の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-29674号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様による撮像素子は、第1波長域の光を透過する第1透過膜を有する撮像用の複数の第1画素と、第2波長域の光を透過する第2透過膜を有する焦点検出用の第2画素と、前記複数の第1画素のうち前記第2画素の隣に並ぶ前記第1画素の周囲に設けられた第1遮光部と、前記複数の第1画素のうち前記第2画素の隣に並ばない前記第1画素の周囲に設けられた第2遮光部と、を備え、前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積が前記第1遮光部の幅によって決定され、前記第1遮光部の幅は、前記第2遮光部の幅よりも広く、前記第2画素が隣に並ぶ前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積は、前記第2画素が隣に並ばない前記第1画素が有する前記第1透過膜の面積よりも小さい。
発明の第の態様による撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、前記撮像素子からの信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】撮像装置の構成を模式的に示す断面図
図2】第1実施形態の撮像素子を撮像面側から見た部分拡大平面図。
図3】第1実施形態の撮像素子の断面図。
図4】第1実施形態の撮像素子に含まれる画素の断面図。
図5】第2実施形態の撮像素子を撮像面側から見た部分拡大平面図。
図6】第2実施形態の撮像素子に含まれる画素の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(撮像装置の実施形態)
図1は、第1の実施の形態の撮像素子3を用いた撮像装置1の構成を模式的に示す断面図である。撮像装置1は、光学系2、撮像素子3、制御部4、レンズ移動部5、および表示部6を備える。
【0007】
光学系2は、撮像素子3の撮像面(光学系2側の面)に被写体像を結像させる。光学系2は、レンズ2a、フォーカシングレンズ2b、およびレンズ2cから成る。フォーカシングレンズ2bは、光学系2の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカシングレンズ2bは、図中のZ方向に平行な光軸O方向に移動可能に構成されている。
【0008】
レンズ移動部5は、不図示のアクチュエータを有する。レンズ移動部5は、このアクチュエータにより、フォーカシングレンズ2bを光軸O方向に移動させる。撮像素子3は、被写体像を撮像して画像信号を出力する。撮像素子3は、撮像画素と焦点検出画素(AF画素)とを有する。撮像画素は、画像生成に用いる信号(画像信号)を出力する。焦点検出画素は、合焦状態の検出に用いる信号(焦点検出信号)を出力する。制御部4は、撮像素子3等の各部を制御するとともに、撮像素子3により出力された画像信号に画像処理等を施して画像データを生成する。制御部4は、不図示の記録媒体に画像データを記録したり、表示部6に画像データに基づく画像を表示したりする。表示部6は、例えば液晶パネル等の表示部材を有する表示装置である。
【0009】
また、制御部4は、公知の位相差検出方式により光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。具体的に、制御部4は、光学系2による像が撮像素子3の撮像面上に結像するためのフォーカシングレンズ2bの合焦位置を検出する。制御部4は、撮像素子3中の焦点検出画素から出力される焦点検出信号に基づき、現在のフォーカシングレンズ2bの位置と合焦位置とののずれ量を検出する。制御部4が、検出したずれ量に基づいてフォーカシングレンズ2bを移動させることにより、焦点調節が自動で行われる。
【0010】
(撮像素子の第1実施形態)
図2は、第1実施形態の撮像素子3を撮像面側から、すなわち図1の-Z側から見た部分拡大図である。撮像素子3は、図2のX方向およびY方向にピッチ(周期)Pで配列される複数の画素PXを有している。図2では一部を省略して描いているが、画素PXは、X方向およびY方向にそれぞれ例えば1000個以上に渡って多数配列されていても良い。
【0011】
それぞれの画素PXには、緑色カラーフィルタG0,G1,G2、青色カラーフィルタB、赤色カラーフィルタR、焦点検出用カラーフィルタFのうちの、いずれかのカラーフィルタが形成されている。画素PXは、図2に示したように、一例として、いわゆるベイヤー配列で配列されている。
ここで、緑色カラーフィルタG0,G1,G2は、緑色の波長域の光を選択的に透過する透過膜である。なお、緑色カラーフィルタG0,G1,G2のそれぞれの分光透過特性は基本的には同一である。後述するように、画素PXを、緑色カラーフィルタG0,G1,G2のぞれぞれの面積に応じて区別して説明する必要があるため、面積に応じてそれぞれ異なる符号を付加している。緑色カラーフィルタG0,G1,G2を総称して、または個別に、緑色カラーフィルタGとも呼ぶ。なお、カラーフィルタの面積は、光が撮像素子3に入射する方向(+Z方向)と交差する平面(XY平面)における面積であり、すなわちカラーフィルタが光を透過する部分の面積である。
【0012】
青色カラーフィルタBは青色の波長域の光を選択的に透過する透過膜であり、赤色カラーフィルタRは赤色の波長域の光を選択的に透過する透過膜である。なお、選択に透過するとは、その波長域の光を、他の波長域の光に比べて高い透過率で透過する、という意味である。緑色カラーフィルタGを有する画素PXは相対的に緑色光に感度の高い撮像画素となるので、以下ではG画素とも呼ぶ。青色カラーフィルタBを有する画素PXは相対的に青色光に感度の高い撮像画素となるので、以下ではB画素とも呼ぶ。赤色カラーフィルタRを有する画素PXは相対的に赤色光に感度の高い撮像画素となるので、以下ではR画素とも呼ぶ。
【0013】
焦点検出画素PX4,PX6に設けられている焦点検出用カラーフィルタFは、一例として、緑色カラーフィルタGと同様に、緑色の波長域の光を選択的に透過する透過膜である。ただし、緑色の波長域に加えて青色の波長域の光も選択的に透過する透過膜を用いても良く、緑色の波長域に加えて赤色の波長域の光も選択的に透過する透過膜を用いても良い。あるいは、青色の波長域の光と赤色の波長域の光を選択的に透過する透過膜を用いても良く、すべての波長域の光を透過する透過膜を用いても良い。
【0014】
焦点検出用カラーフィルタFとして、緑色の波長域の光を選択的に透過する透過膜を使用すると、人間の目の視感度と同様に緑色の波長域の光を重視して合焦状態の検出を行えるメリットがある。一方、焦点検出用カラーフィルタFとして、多くの波長域の光を透過する透過膜を使用すると、より多くの光量を用いた、すなわち暗所に強い合焦状態の検出を行うことができる。
【0015】
緑色カラーフィルタG、青色カラーフィルタB、赤色カラーフィルタR、および焦点検出用カラーフィルタFを総称して、または個々に、カラーフィルタCFとも呼ぶ。
カラーフィルタCFのXY面内の形状は、一例として正方形である。
緑色カラーフィルタGを、第1波長域を選択的に透過する第1透過膜と解釈することもできる。焦点検出用カラーフィルタFを、第2波長域を透過する第2透過膜と解釈することもできる。
【0016】
図3は、撮像素子3の部分断面図を示す。図3は、図2に示した破線CLの部分(画素PX1から画素PX6の一部まで)のXZ断面を、+Y方向から見た図を示している。
図3に示したように各画素PXは、図3中の下から順に、光電変換部PD、配線33、第1平坦化層34、カラーフィルタCF、第2平坦化層35、およびマイクロレンズ36を有している。光電変換部PDは、一例としてシリコン等の半導体で形成されたフォトダイオードを含み、光電変換部PDに入射した光を電荷に変換する。光電変換部PDで変換された電荷は、不図示の増幅トランジスタ等のトランジスタにより増幅され、配線33を経由して、画像信号として図1に示した制御部4に読み出される。
【0017】
第1平坦化層34および第2平坦化層35は、それらの表面(-Z側の端面)の凹凸を低減するために設けられている、ガラスや樹脂等の可視光に対して透明な成分から成る層である。第2平坦化層35の上(-Z側)にはマイクロレンズ36が設けられており、マイクロレンズ36は各画素PXに入射した光を集光して光電変換部PDに伝達する。
光学系2による像がマイクロレンズ36の表面付近に形成されるときに、像が最もシャープに撮像される。ただし、マイクロレンズ36の表面は凹凸があるため基準面としての撮像面とするには不適であるので、本明細書では、第2平坦化層35とマイクロレンズ36との界面を、撮像面として説明する。ただし、撮像面として、その上下(Z方向)に多少ずれた位置にある面を想定しても構わない。
【0018】
各画素PXのカラーフィルタCFは、撮像面と平行な第1平坦化層34の上端面(-Z側端面)に、形成されている。それぞれのカラーフィルタCFの間には、遮光部材31が設けられている。遮光部材31は、樹脂または金属を含む材料で形成することができる。
また、各画素PXの光電変換部PDの間には、絶縁部材37が形成されている。
【0019】
焦点検出画素PX4の光電変換部PDの入射面(-Z側の端面)には、光電変換部PDの入射面の概ね左半分(-X側)を遮光する遮蔽部32が設けられている。図3には示していないが焦点検出画素PX6の光電変換部PDの入射面にも、その概ね右半分(+X側)を遮光する遮蔽部32が設けられている。
これらの焦点検出画素PX4,PX6による合焦状態の検出の原理や検出方法は、特許文献1等に開示され公知であるので、説明は省略する。
【0020】
なお、遮蔽部32を設ける位置は、上述の光電変換部PDの入射面に限られるわけではなく、マイクロレンズ36から光電変換部PDの入射面までの間のどこかに設ければ良い。
図2においては、各画素PXについて、カラーフィルタCF、遮光部材31、および遮蔽部32のみを表示し、マイクロレンズ36および光電変換部PD等の他の部材については表示を省略している。
【0021】
以下、図2および図3を参照して、緑色カラーフィルタG0,G1,G2のそれぞれの面積が等しいとした場合に発生する問題を説明する。
上述のとおり、第1実施形態の撮像素子3においては、各色のカラーフィルタCFがいわゆるベイヤー配列で配列されている。そして、ベイヤー配列であれば本来は青色カラーフィルタBが配列されるべき画素PX(B画素)のうちの一部は、焦点検出用画素PX4,PX6に置き換えられ、青色カラーフィルタBの代わりに、焦点検出用カラーフィルタFが配置されている。
【0022】
B画素から置き換えられた焦点検出用画素PX4,PX6においては、光電変換部PDに入射する光の量、および光電変換部PDで発生する電荷の量は、ベイヤー配列本来のB画素の場合に比べて増加する。
シリコンフォトダイオードは緑色の波長域の光に対する感度が、青色の波長域の光に対する感度よりも高い。従って、焦点検出用カラーフィルタFの分光透過特性が緑色カラーフィルタGと同一である場合には、本来のB画素の場合に比べて、より高感度の波長域の光が入射するため、光電変換部PDで発生する電荷の量が増大する。
焦点検出用カラーフィルタFが、青、赤、緑のうちの2色以上の波長域の光を透過する場合には、本来のB画素の場合に比べて、入射する光の波長域が増え光電変換部PDに到達する光の量が増大し、より多くの電荷が生じる。
【0023】
その結果、焦点検出用画素PX4内の光電変換部PDで発生した電荷のうち、隣接する撮像画素PX3,PX5に漏れ出す電荷e1,e2の量も、焦点検出用画素PX4,PX6が本来のB画素であった場合に比べて増大する。
その結果、隣接する撮像画素PX3,PX5,PX8,PX9等では、それぞれの光電変換部PDに蓄積される電荷が、焦点検出用画素PX4,PX6がB画素であった場合に比べて増大し、出力される画像信号が増大する恐れがある。
【0024】
さらに、焦点検出用画素PX4が本来のB画素である場合に比べ、隣接する撮像画素PX3,PX5,PX8,PX9では、各画素の光電変換部PDに入射する光の量が、焦点検出用画素PX4を経由して侵入する迷光により増大する恐れがある。
図3に示すように、撮像素子3に対して大きな入射角で入射する光線L1,L2は、1つの画素PXのマイクロレンズ36およびカラーフィルタCFに入射した後、その一部が遮光部31を透過して、隣接する画素PXのカラーフィルタCFを透過して、その隣接する画素の光電変換部PDに入射して光電変換される。
【0025】
光線L1の場合、G画素である画素PX1のマイクロレンズ36および緑色カラーフィルタG0に入射した後、一部が遮光部31を透過して、隣接するB画素である画素PX2の青色カラーフィルタBを透過して、画素PX2の光電変換部PDに入射して光電変換される。
この場合には、画素PX1と画素PX2のカラーフィルタCFの透過特性が異なり、光線L1は緑色カラーフィルタG0で青および赤の波長域の光が減光され、青色カラーフィルタBで緑および赤の波長域の光が減光される。よって、光線L1は全ての波長域においてある程度減光されるため、光線L1によって画素PX2の光電変換部PDで発生する電荷は、比較的少量で済む。
【0026】
一方、光線L2は、焦点検出画素PX4のマイクロレンズ36および焦点検出用カラーフィルタFに入射した後、一部が遮光部31を透過して、隣接するG画素である画素PX5の緑色カラーフィルタG2を透過して、画素PX5の光電変換部PDに入射して光電変換される。
この場合に、焦点検出用カラーフィルタFが、緑の波長域の光を透過する場合には、光線L2のうちの緑の波長域の光は、それほど減光されることなく画素PX5の光電変換部PDに入射する。これにより、画素PX5の光電変換部PDには、光線L2による電荷が、比較的多く発生してしまう恐れがある。
【0027】
光線L3は、焦点検出画素PX4のマイクロレンズ36および焦点検出用カラーフィルタFに入射した後、画素PX4の光電変換部PDに入射するが、さらに絶縁部材37を透過して、隣接する画素PX5の光電変換部PDに入射して光電変換される。光線L3によっても、画素PX5が出力する画像信号は、焦点検出用画素PX4が本来のB画素である場合に比べて、増大する恐れがある。
【0028】
以上で述べた、焦点検出画素PX4,PX6からの電荷の漏れ出し、および迷光の侵入は、いずれも、焦点検出画素PX4,PX6に隣接する画素PXの画像信号を増大させ、すなわちノイズ成分として作用する。
特に、画素PX5は、X方向の両側で焦点検出画素PX4,PX6のそれぞれと隣接しているため、焦点検出画素PX4,PX6の双方からのノイズ成分を受ける恐れが高い。
なお、これらのノイズ成分はいずれも微量ではあるが、人間の目は一様な明るさおよび色の画像の中の部分的な明るさまたは色相の変化に対して極めて敏感であるため、撮像された画像の画質を大きく低下させてしまうことになる。
【0029】
第1実施形態の撮像素子3においては、各G画素が有する緑色カラーフィルタG0,G1,G2の面積を、そのG画素に隣接する焦点検出画素PX4,PX6の数に応じて異ならせる。これにより、各G画素が出力する画像信号の大きさを、各G画素が焦点検出画素PX4,PX6に隣接しているか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。
【0030】
各G画素が有する緑色カラーフィルタG0,G1,G2の面積について、図2を参照して説明する。
図2中の緑色カラーフィルタG0は、G画素であって、そのG画素に隣接して焦点検出画素PX4,PX6が配置されていない画素PXに配置されている。ここで、隣接するとは、緑色カラーフィルタGの境界であるいずれかの辺が、焦点検出画素PX4,PX6の焦点検出用カラーフィルタFの境界であるいずれかの辺と対向していることを言う。
【0031】
図2に示したように、緑色カラーフィルタG0の周囲の遮光部材31の幅はγであるので、緑色カラーフィルタG0の1辺の長さは(P-γ)であり、面積S0は、1辺の長さの二乗であるから、
S0=(P-γ) ・・・ 式(1)
である。
なお、面積S0は、
S0=(P+γ-2γ) ・・・ 式(2)
とも表すことができ、式(2)を用いると、後述する面積S1および面積S2との大小関係の比較が容易になる。
【0032】
図2中の緑色カラーフィルタG1は、G画素であって、そのG画素に隣接して1つの焦点検出画素PX4,PX6が配置されている画素PX3,PX8,PX9に配置されている。緑色カラーフィルタG1の周囲の遮光部材31の幅はβであり、βは上述のγよりも大きい。緑色カラーフィルタG1の1辺の長さは(P+γ-2β)であり、面積S1は、1辺の長さの二乗であるから、
S1=(P+γ-2β) ・・・ 式(3)
である。
上述のように、β>γであるから、式(2)と式(3)を比べると、緑色カラーフィルタG1の面積S1は緑色カラーフィルタG0の面積S0よりも小さい。
【0033】
図2中の緑色カラーフィルタG2は、G画素であって、そのG画素に隣接して2つの焦点検出画素PX4,PX6が配置されている画素PX5,PX7に配置されている。なお、図2では表示を省略しているが、画素PX7の+X側に隣接して、焦点検出画素PX4と同様の焦点検出画素が配置されているものとしている。
緑色カラーフィルタG2の周囲の遮光部材31の幅はαであり、αは上述のγおよびβよりも大きい。緑色カラーフィルタG2の1辺の長さは(P+γ-2α)であり、面積S2は、1辺の長さの二乗であるから、
S2=(P+γ-2α) ・・・ 式(4)
である。
上述のように、α>β>γであるから、式(2)、式(3)および、式(4)とを比べると、緑色カラーフィルタG2の面積S2は緑色カラーフィルタG1の面積S1よりも小さく、
S0 > S1 > S2 ・・・ 式(5)
である。
【0034】
上述のように、緑色カラーフィルタG1,G2の面積を減少させることにより、緑色カラーフィルタG1,G2を透過する光の量を減少させることができ、その緑色カラーフィルタG1,G2を有するG画素の感度を低下させることができる。従って、緑色カラーフィルタGの面積S0,S1,S2を、それと隣接する焦点検出画素PX4,PX6の数に応じて変更することにより、焦点検出画素PX4,PX6からのノイズの増大を、面積の減少による感度低下で相殺することができる。これにより、各G画素が出力する画像信号の大きさを、各G画素が焦点検出画素PX4,PX6に隣接しているか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。
【0035】
さらに、緑色カラーフィルタGの面積を、緑色カラーフィルタGの間に設けている遮光部材31の幅α,β,γを変更して変更することにより、G画素が受ける焦点検出画素PX4,PX6から受ける迷光自体を低減することもできる。
上述の通り、図3中の光線L2は、焦点検出画素PX4のマイクロレンズ36に入射した後に、画素PX5の光電変換部PDに入射する迷光である。画素PX5が焦点検出画素PX4に隣接するため、第1実施形態の撮像素子3においては、画素PX5の緑色カラーフィルタG2の周囲の遮光部材31の幅はαに設定されている。
【0036】
一方、上述の光線L1が透過する画素PX1と画素PX2の間の遮光部材31の幅は、αよりも小さいγである。従って、光線L2は、遮蔽部材31により、光線L1よりも強く吸収される。よって、本例においては、上述した画素PX5の光電変換部PDでの光線L2による電荷が、画素PX2の光電変換部PDでの光線L1による電荷に比べて、比較的多く発生してしまう問題が解消または緩和される。
【0037】
図2に示したカラーフィルタFおよび遮光部材31について、緑色カラーフィルタGと焦点検出用カラーフィルタFとの間のそれぞれに設けられている遮光部材31は、第1遮光部と解釈することもできる。また、緑色カラーフィルタGと青色カラーフィルタBまたは赤色カラーフィルタRとの間のそれぞれに設けられている遮光部材31は、第2遮光部と解釈することもできる。第1遮光部の幅α,βを、第2遮光部の幅γよりも広く設定することにより、焦点検出画素PX4,PX6に隣接するG画素の光電変換部PDに入射する光の量を、焦点検出画素PX4,PX6に隣接しないG画素の光電変換部PDに入射する光の量よりも低下させると解釈することもできる。
【0038】
また、緑色カラーフィルタGの面積の変化により、緑色カラーフィルタGを透過して、光電変換部PDに入射する光の量を、緑色カラーフィルタGの面積の変化に比例する量以上に変化させることもできる。
図4を参照して、その現象を説明する。
【0039】
図4は、図3に示した撮像素子3の断面図から、1つの画素PXのマイクロレンズ36、カラーフィルタCF(G0,G2)および遮光部31を拡大して示したものである。図4(a)は、画素PX1の拡大図であり、図4(b)は、画素PX5の拡大図である。
なお、カラーフィルタCFおよび遮光部材31の形成工程では、始めに第1平坦化層34上に遮光部材31をリソグラフィ等で形成し、その後にカラーフィルタCFをリソグラフィ等で形成している。カラーフィルタCFは、遮光部材31による段差の上に塗布等の手段で成膜されているため、遮光部材31の影響により、カラーフィルタCFの厚さは、中心部の厚さTcに比べて、周辺部の厚さTl,Trの方が厚くなっている。
【0040】
図4(a)に示した画素PX1の場合、遮光部31の幅がγと比較的小さいので、緑色カラーフィルタG0の幅(1辺)W10(=P-γ)は比較的大きい。そのため、緑色カラーフィルタG0の厚さが厚くなる周辺部380Lと周辺部380Rとの間隔も比較的広い。その結果、マイクロレンズ36からの光線L11~L12の大部分は、緑色カラーフィルタG0の周辺部380L,380Rを通らずに、厚さの薄い中心部(概ね厚さがTcである領域A0)を通ることになる。
【0041】
一方、図4(b)に示した画素PX5の場合、遮光部31の幅がαと比較的大きいので、緑色カラーフィルタG2の幅(1辺)W11(=P+γ-2α)は比較的小さい。そのため、緑色カラーフィルタG2の厚さが厚くなる周辺部382Lと周辺部382Rとの間隔も比較的狭く、その結果、概ね厚さがTcである領域A2も、上述の領域A0に比べて狭い。その結果、マイクロレンズ36からの光線L11~L1の周辺部分は、緑色カラーフィルタG2の周辺部380L,380Rを通ることとなり、より多くの光が緑色カラーフィルタG2によって吸収され、光量が低下する。従って、緑色カラーフィルタGの面積の低下に比例する量以上に、光量を低下させることができる。
【0042】
これらの迷光の低減や、緑色カラーフィルタGの厚さの実質的な増大による光量の低減のいずれについても、焦点検出画素PX4,PX6からのノイズの増大を相殺する。従って、各G画素が出力する画像信号の大きさを、各G画素が焦点検出画素PX4,PX6に隣接しているか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。
【0043】
なお、図2においては、青色カラーフィルタBおよび赤色カラーフィルタRの面積は、焦点検出画素PX4,PX6に隣接しない緑色カラーフィルタG0の面積S0と同じであるとしている。しかし、青色カラーフィルタBおよび赤色カラーフィルタRの面積は、面積S0に限られるものではなく、面積S0以上、または面積S0以下の面積であっても良い。なお、画素間の迷光による悪影響を抑え、かつ高感度な撮像素子3を実現するためには、青色カラーフィルタBおよび赤色カラーフィルタRの面積は、上記の面積S0と同じであることが望ましい。
【0044】
(撮像素子の第2実施形態)
図5は、第2実施形態の撮像素子3aを撮像面側から、すなわち図1の-Z側から見た部分拡大図である。第2実施形態の撮像素子3aの、第1実施形態の撮像素子3との相違点は、遮光部材31を有しないことであり、それ以外は第1実施形態の撮像素子3と同様であるため、共通する部材には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0045】
撮像素子3aは、遮光部材31を有しないため、図5に示したとおり、1つの画素PXのカラーフィルタCFは、隣接する画素のカラーフィルタCFと、直接接している。撮像素子3aにおいても、焦点検出画素PX14,PX16は、焦点検出用カラーフィルタFを有しており、隣接する画素に対して、迷光や電荷の漏れ等によりノイズを与える恐れがある。
【0046】
撮像素子3aにおいても、焦点検出画素PX14,PX16に隣接するG画素の緑色カラーフィルタGの面積を、これらに隣接しないG画素の緑色カラーフィルタGの面積より小さくすることで、上記の迷光や電荷の漏れ等によるノイズを相殺することができる。
G画素のうち、画素PX12,PX13,PX14,PX18,PX19は、1つの焦点検出画素PX14,PX16に隣接し、画素PX15,PX17は、2つの焦点検出画素PX14,PX16に隣接している。なお、不図示ではあるが、PX17の+X側に隣接して、焦点検出画素PX14と同様の焦点検出画素が配置されているものとする。
【0047】
一例として、図5に示すように、焦点検出画素PX14,PX16の焦点検出用カラーフィルタFを、隣接するG画素に向かって拡張することにより、緑色カラーフィルタG0,G1,G2のそれぞれの面積を異ならせることができる。拡張された焦点検出用カラーフィルタFのX方向およびY方向の長さは、δ(δ>P)である。
【0048】
焦点検出画素PX14,PX16に隣接しない緑色カラーフィルタG0は、焦点検出用カラーフィルタFの拡張の影響を受けないため、その面積S10はピッチPの二乗(P)となる。1つの焦点検出画素PX14,PX16と隣接する緑色カラーフィルタG1は、焦点検出用カラーフィルタFの拡張により1つの辺に沿った部分の面積が減るため、その面積S11は上述のS10よりも面積が減少する。2つの焦点検出画素PX14,PX16と隣接する緑色カラーフィルタG2は、焦点検出用カラーフィルタFの拡張により2つの辺に沿った部分の面積が減るため、その面積S12は上述のS11よりも面積が減少する。これにより、その緑色カラーフィルタG1,G2を有するG画素の感度を低下させることができる。
【0049】
従って、緑色カラーフィルタGの面積S10,S11,S12を、それと隣接する焦点検出画素PX14,PX16の数に応じて変更することにより、焦点検出画素PX14,PX16からのノイズの増大を、面積の減少による感度低下で相殺することができる。これにより、各G画素が出力する画像信号の大きさを、各G画素が焦点検出画素PX14,PX116に隣接しているか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。
【0050】
また、上述の第1実施形態で述べた緑色カラーフィルタGの厚さの実質的な増大による光量の低減は、第2実施形態でも実現することができる。
図6を参照して、その現象を説明する。
【0051】
図6(a)は、図5中の画素PX11を拡大して示した断面図であり、図6(b)は、図5中の画素PX15を拡大して示した断面図である。
図6(a),図6(b)では、図4(a),図4(b)と同様に、マイクロレンズ36とカラーフィルタCFのみを拡大して表示している。
なお、図6では、カラーフィルタCFの形成工程において、第1平坦化層34の上に緑色カラーフィルタGを形成する前に、焦点検出用カラーフィルタF、青色カラーフィルタB、赤色カラーフィルタRを形成したものとしている。
【0052】
緑色カラーフィルタGは、焦点検出用カラーフィルタFおよび青色カラーフィルタBによる段差が形成された後に形成されるので、これらの段差の影響により、中心部の厚さTcに比べて、周辺部の厚さTl,Trの方が厚くなっている。
図6(a)に示した画素PX11の場合、緑色カラーフィルタの幅W20(=P)が比較的大きい。そのため、緑色カラーフィルタG0の厚さが厚くなる周辺部390Lと周辺部390Rとの間隔も比較的広い。その結果、マイクロレンズ36からの光線L11~L12の大部分は、緑色カラーフィルタG0の周辺部390L,390Rを通らずに、厚さの薄い中心部(概ね厚さがTcである領域A10)を通ることになる。
【0053】
一方、図6(b)に示した画素PX15の場合、緑色カラーフィルタG2の幅W21(=2P-δ)は比較的小さい。そのため、緑色カラーフィルタG2の厚さが厚くなる周辺部392Lと周辺部392Rの間隔も比較的狭く、その結果、概ね厚さがTcである領域A12も、上述の領域A10に比べて狭い。その結果、マイクロレンズ36からの光線L11~L1の周辺部分は、緑色カラーフィルタG2の厚さの厚い周辺部392L,392Rを通ることとなり、より多くの光が緑色カラーフィルタG2によって吸収され、光量が低下する。従って、第2実施形態の撮像素子3aにおいても、緑色カラーフィルタGの面積の低下に比例する以上に、光量を低下させることができる。
【0054】
なお、第2実施形態においては、焦点検出用カラーフィルタFと緑色カラーフィルタGの分光透過特性が同じ場合には、緑色カラーフィルタGの面積と焦点検出用カラーフィルタFの面積を増減させること自体によっては画素の感度の増減は期待できない。しかし、緑色カラーフィルタGの面積を増減することにより付加的に生じる、上述の緑色カラーフィルタGの厚さの実質的な増減により、焦点検出用カラーフィルタFと緑色カラーフィルタGの分光透過特性が同じ場合であっても、G画素の感度の増減できる。
【0055】
第2実施形態においても、焦点検出用カラーフィルタFと緑色カラーフィルタGの分光透過特性が異なる場合には、緑色カラーフィルタGの面積と焦点検出用カラーフィルタFの面積を増減させること自体によって、焦点検出画素PX14,PX16に隣接して配置されるG画素の感度を変更することができる。
【0056】
以上の第1実施形態および第2実施形態において、各画素PXの配列は、必ずしもベイヤー配列に限られるものではない。また、画素PXのピッチは、X方向とY方向で異なっていても良く、画素PXおよびカラーフィルタCFの1辺の長さもX方向とY方向で異なっていても良い。
また、焦点検出画素PX14,PX16に隣接して配置される画素PXは、必ずしも上述のG画素には限定されず、相対的に緑以外の光に対する感度が高い画素であっても良い。
また、光電変換部PDはシリコンからなるフォトダイオードに限らず、有機膜によるフォトダイオードまたはフォト抵抗体であっても良い。
また、上述の実施形態の撮像装置は、第1実施形態の撮像素子3に代えて、第2実施形態の撮像素子3aを備えるものであっても良い。
【0057】
上述した第1実施形態および第2実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1実施形態または第2実施形態の撮像素子3,3aは、第1の観点からは、第1波長域の光を透過する第1透過膜Gを有する第1画素(G画素)と、第2波長域の光を透過する第2透過膜Fを有する第2画素(焦点検出画素)とを備え、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積は、第2画素(焦点検出画素)が隣接しない第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積よりも小さい構成を有している。
この構成により、各第1画素(G画素)が出力する画像信号の大きさを、各第1画素(G画素)が、第2画素(焦点検出画素)に隣接するか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。すなわち、従来、焦点検出画素の近傍の画素で発生していた画像信号の大きさの変化を低減し、より均一で高画質な画像信号を出力することができる。
【0058】
(2)2つの第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積は、1つの第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積よりも小さい構成とすることで、第1画素(G画素)が、1つまたは2つの第2画素(焦点検出画素)に隣接する場合と、第2画素(焦点検出画素)に隣接しない場合とで、各第1画素(G画素)が出力する画像信号の大きさを概ね等しくすることができる。
(3)第1波長域とは異なる第3波長域の光を透過する第3透過膜B,Rを有する第3画素(B画素,R画素)を備え、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積は、第3透過膜B,Rの面積よりも小さい構成とすることで、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)と第3画素(B画素,R画素)とが出力する画像信号の大きさのばらつきを抑えることができる。
(4)第2画素(焦点検出画素)が隣接しない第1画素(G画素)が有する第1透過膜Gの面積は、第3透過膜B,Rの面積と略等しい構成とすることで、第1画素(G画素)と第3画素(B画素,R画素)とが出力する画像信号の大きさのばらつきを抑えることができる。
【0059】
(5)第1実施形態または第2実施形態の撮像素子3,3aは、第2の観点からは、第1波長域の光を透過し、所定の厚さTcとなる領域(A0,A2,A10,A12)を有する第1透過膜Gを有する第1画素(G画素)と、第2波長域の光を透過する第2透過膜Fを有する第2画素(焦点検出画素)と、を備え、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する領域(A2,A12)は、第2画素(焦点検出画素)が隣接しない第1画素(G画素)が有する領域(A0,A10)よりも狭い構成を有している。
この構成により、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)においては、マイクロレンズ36からの光線L11~L1の周辺部分は、第1透過膜Gの厚さの異なる周辺部380L,380R,382L,382Rを通ることとなり、第1透過膜Gによる光の吸収量が異なるため、出力する画像信号の量を増減することができる。
【0060】
(6)2つの第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する領域は、1つの第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が有する領域よりも狭い構成とすることで、第1画素(G画素)が、1つまたは2つの第2画素(焦点検出画素)に隣接する場合と、第2画素(焦点検出画素)に隣接しない場合とで、各第1画素(G画素)が出力する画像信号の大きさを概ね等しくすることができる。
(7)第1透過膜Gの周辺部の厚さは、所定の厚さTcよりも厚い構成とすることで、第2画素(焦点検出画素)が隣接する第1画素(G画素)が出力する画像信号の量を、第2画素(焦点検出画素)が隣接しない第1画素(G画素)が出力する画像信号の量に比べて、低減することができる。
【0061】
(8)第1実施形態の撮像素子3は、第3の観点からは、第1波長域の光を透過する第1透過膜Gを有する第1画素(G画素)と、第2波長域の光を透過する第2透過膜Fを有する第2画素(焦点検出画素)と、第1波長域とは異なる第3波長域の光を透過する第3透過膜B,Rを有する第3画素と、第1透過膜Gおよび第2透過膜Fの間に第1遮光部31と、第1透過膜Gおよび第3透過膜B,Rの間に第2遮光部31と、を備え、第1遮光部31の幅α,βは、前記第2遮光部31の幅γよりも広い構成を備えている。
この構成により、各第1画素(G画素)が出力する画像信号の大きさを、各第1画素(G画素)が、第2画素(焦点検出画素)に隣接するか否かに関わらず、概ね等しくすることができる。すなわち、従来、焦点検出画素の近傍の画素で発生していた画像信号の大きさの変化を低減し、より均一で高画質な画像信号を出力することができる。(9)第1画素(G画素)は、光学系を透過した光のうち第1波長域の光を受光して画像生成に用いる信号を出力し、第2画素(焦点検出画素)は、光学系を透過した光のうち第2波長域の光を受光して光学系の焦点検出に用いる信号を出力する構成とすることで、第2画素(焦点検出画素)に隣接する第1画素(G画素)からも、第2画素(焦点検出画素)に起因するノイズを受けない(ノイズが相殺された)出力信号を得ることができる。これにより、さらに第2画素(焦点検出画素)の配置の自由度が増すという効果も得られる。
【0062】
(10)第2透過膜Fは、少なくとも第1波長域を包含する波長域の光を透過する構成とすることで、人間の目の視感度に合わせた焦点検出、または多くの波長域の光による多くの光量を用いた、すなわち暗所に強い焦点検出を行うことができる。
【0063】
(11)実施形態の撮像装置は、上述の第1実施形態または第2実施形態の撮像素子3,3aと、撮像素子3,3aからの信号に基づいて画像データを生成する生成部とを備える。
この構成により、従来、焦点検出画素の近傍の画素で発生していた画像信号の大きさの変化を低減することができ、より均一で高画質な画像データを生成することができる。
【0064】
上述では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、各実施形態および変形例は、それぞれ単独で適用しても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1:撮像装置、2:撮像レンズ、3:撮像素子、4:制御部、5:レンズ移動部、
PX:画素30、G0,G1,G2:緑色カラーフィルタ、B:青色カラーフィルタ、R:赤色カラーフィルタ、F:焦点検出用カラーフィルタ、31:遮光部材、32:遮蔽部、33:配線、34:第1平坦化層、35:第2平坦化層、35:マイクロレンズ、PD:光電変換部、37:絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6