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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】ガスバリア性積層体、包装材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/28 20060101AFI20230307BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230307BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230307BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230307BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B32B27/28 102
B32B27/30 102
B32B27/32 C
B65D65/40 D
B32B9/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022542726
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2021045262
(87)【国際公開番号】W WO2022138188
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2020212271
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】新居 正光
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕季
【審査官】静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-025145(JP,A)
【文献】特開2020-100024(JP,A)
【文献】特開2019-166779(JP,A)
【文献】特開2018-171796(JP,A)
【文献】特開2014-144534(JP,A)
【文献】特開2012-076228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材と、
前記第一の基材に接して配置された樹脂層と、
前記樹脂層に接して配置された無機蒸着層と、
前記無機蒸着層に接して配置されたガスバリア性接着剤層と、を含み、
前記樹脂層の膜厚が0.1μm以上5μm以下であり、
前記樹脂層が、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記ガスバリア性接着剤層が、(A1)~(A3)の少なくとも1種のポリエステルポリオール(A)を含むポリオール組成物(X)と、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物(B)を含むポリイソシアネート組成物(Y)とからなる2液型接着剤の硬化塗膜である請求項1に記載の積層体。
(1)オルト配向性多価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A1)
(2)イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A2)
(3)重合性炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A3)
【請求項3】
前記樹脂層の膜厚が0.3μm以上5μm以下である請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
第一の基材と、
前記第一の基材に接して配置された樹脂層と、
前記樹脂層に接して配置された無機蒸着層と、
前記無機蒸着層に接して配置されたガスバリア性接着剤層と、第二の基材を含み、
前記樹脂層の膜厚が0.1μm以上5μm以下であり、
前記樹脂層が、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも一種であり、
前記第一の基材と、前記第二の基材が、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブテンである請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記無機蒸着層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素からなる群から選ばれる少なくとも一種の蒸着層である請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の積層体からなる包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性積層体、当該ガスバリア性積層体を用いて得られる包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品の包装に用いられる包装材料には、流通時等に受ける衝撃、酸素や水分による劣化等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、ガスバリア性等の機能が要求される。内容物を加熱殺菌処理する場合には耐レトルト性、耐熱性等が必要であるし、内容物を確認できるように透明性が要求されることもある。しかしながら必要な機能を一種類の材料で満足するのは難しい。例えばヒートシールにより密閉する場合に用いられる無延伸のポリオレフィンフィルムは熱加工性に優れる一方、酸素バリア性は不十分である。反対にナイロンフィルムはガスバリア性に優れるが、ヒートシール性には劣る。
【0003】
このようなことから、異種のポリマー材料を貼り合せた積層体が包装材料として広く用いられている。一例として、特許文献1、2にあるような、耐衝撃性やガスバリア性などの商品保護機能を有し、外層となる熱可塑性プラスチックフィルムに印刷を施し、シーラント機能を有し、内層となる熱可塑性プラスチックフィルムと接着剤を用いて貼り合せて外層/印刷層/接着層(接着剤)/内層とした積層体が知られている。このような積層体に利用される接着剤として、ポリオールとイソシアネートからなる2液型ポリウレタン系の接着剤が知られている。
【0004】
また、ポリマー材料のみではガスバリア性が不十分な場合には、フィルムにアルミ等の金属や、シリカ、アルミナ等の無機酸化物等を蒸着したフィルムを用いて包装材が形成される。一例として、特許文献3には高分子フィルム基材の少なくとも片面に、酸化珪素、または、酸化アルミニウムの薄膜層を形成した透明性を有する被覆フィルムの該薄膜層面と、ヒートシール性樹脂フィルムとを無機の酸化珪素、または、酸化アルミニウムの材料から選ばれる一種以上の粒子とポリエステルポリオールとイソシアネート化合物を含有するバリア性接着剤を介してドライラミネート法により接着させたことを特徴とするバリア性積層体、及びこれを用いた包装材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-004799号公報
【文献】特開2004-238050号公報
【文献】特開2000-006304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような積層体は、ガスバリア性が安定し難い。金属、金属酸化物の蒸着層を形成する際に、基材となるフィルムにテンションをかけすぎるとフィルムの変形に追従できず、蒸着層にクラックが生じる。また、製袋時や内容物の充填時、運送時の衝撃や、その他様々な事由により蒸着層にはクラックが生じる。このようにして蒸着層にクラックが生じると、設計値通りのガスバリア性を得ることができない。
【0007】
ガスバリア性は周囲の湿度と相関があり、例えばオレフィンフィルムは高湿度下よりも低湿度下の方がガスバリア性に優れ、ポリエチレンテレフタレートレートフィルムは低湿度下よりも高湿度下の方がガスバリア性に優れる。このため、クラックが生じた金属や金属酸化物の蒸着層を有するフィルムを用いた包装材は、周囲の湿度の変化によってガスバリア性が低下するおそれや、気候が異なる地域では十分なガスバリア性が得られないおそれがある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み為されたものであって、使用環境の湿度によらず、また湿度が変動した場合でも安定して優れたガスバリア性を備える積層体、包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第一の基材と、第一の基材に接して配置された樹脂層と、樹脂層に接して配置された無機蒸着層と、無機蒸着層に接して配置されたガスバリア性接着剤層と、を含み、樹脂層の膜厚が0.1μm以上5μm以下である積層体、これを用いて得られる包装材に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体によれば、高湿度下であっても安定的にガスバリア性に優れた積層体、包装材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の積層体の一実施形態を示す概略断面図である。
図2】本発明の積層体の一実施形態を示す概略断面図である。
図3】本発明の積層体の一実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<積層体>>
本発明の積層体は、第一の基材と、第一の基材に接して配置された樹脂層と、樹脂層に接して配置された無機蒸着層と、無機蒸着層に接して配置されたガスバリア性樹脂層とを有する。
【0013】
(第一の基材)
第一の基材は、化学的、物理的強度に優れるフィルム、シート(なお以下では特記しない限り、フィルムはフィルムとシートの総称でもある)であれば特に制限なく用いることができる。また、基材は単層フィルムであってもよいし、多層積層フィルムであってもよい。後述する包装材の内容物、種類、内容物充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて適宜選択することができる。
【0014】
第一の基材の具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム、Kコート延伸ポリプロピレンフィルム、Kコート延伸ナイロンフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムが例示されるがこれに限定されない。
【0015】
中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の1軸または2軸延伸ポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の1軸または2軸延伸ポリアミドフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に用いることができる。
【0016】
フィルムの膜厚は特に限定されず、成型性や透明性の観点から、1~300μmの範囲で適宜選択すればよい。好ましくは1~100μmの範囲である。1μmを下回ると強度が不足し、300μmを超えると剛性が高くなり過ぎ、加工が困難になる恐れがある。
【0017】
第一の基材は、何等かの表面処理、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理等の物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理、その他処理が施されたものであってもよい。第一の基材と後述する樹脂層との密着性が悪い場合は、プライマーを用いてコート層を設けてもよい。プライマーとしては従来公知のものを用いることができる。
【0018】
第一の基材は、例えば上述した樹脂から選ばれる1種または2種以上を用い、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等、従来公知の製膜化法により製造することができる。あるいは上述した樹脂から選ばれる2種以上の樹脂を使用し、多層共押し出し製膜化法により製造することができる。フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、テンター方式、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してもよい。
【0019】
第一の基材は、必要に応じて添加剤が含んでいてもよい。具体的には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。添加剤の添加量は、他の性能に影響を与えない範囲で調整する。
【0020】
(樹脂層)
樹脂層は、第一の基材上に積層、共押し出し、吹きつけ、蒸着、またはコーティングにより設けられる。樹脂層の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリアルキルイミン、酸変性オレフィン樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。中でもエチレンビニルアルコール共重体、ポリビニルアルコールのいずれかまたは両方を用いることが好ましい。
【0021】
エチレンビニルアルコール共重合体は、エチレンとビニルエステルの共重合体を加水分解して得ることができる。ビニルエステルとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。酢酸ビニルを用いることが好ましい。
【0022】
エチレンビニルアルコール共重合体におけるエチレン単位の含有量は20モル%以上60モル%以下であることが好ましい。20モル%未満であると、耐屈曲性、粘度安定性、溶融成型時の熱安定性が低下する傾向にある。60モル%を超えるとガスバリア性が低下する傾向にある。エチレン、ビニルエステル以外の成分、例えばプロペン、1-ブテン、イソブチレン、1,3-ブタジエン、酢酸イソプロペニル、酢酸2-プロペニル、スチレン、α-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-(ヒドロキシメチル)-N-ビニルホルムアミドアクリル酸ヒドロキシエチル、メチルビニルケトンおよびジアセトンアクリルアミド等を共重合してもよいが、これらの成分は30モル%以下に留めることが好ましい。
【0023】
ガスバリア性、粘度安定性、溶融成形時の熱安定性、耐湿性等に優れることからエチレンビニルアルコール共重合体のケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。完全ケン化したものであってもよい。ケン化度は、例えば、OMNICソフトウェアにより制御されたNicolet 5700FTIR分光計を用いて、FTIRにより測定することができる。
【0024】
エチレンビニルアルコール共重合体は融点が180℃未満であることが好ましく、130℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度は45℃以上65℃以下であることが好ましい。
【0025】
ポリビニルアルコールは上述したようなビニルエステル共重合体を加水分解して得ることができる。ケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。完全ケン化したものであってもよい。
ポリビニルアルコールの融点は200℃以上であることが好ましい。また、ポリビニルアルコールのガラス転移温度は65℃以上85℃以下であることが好ましい。
【0026】
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールのガラス転移温度、融点は次のようにして測定する。
示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC-7000、以下DSCとする)を用い、試料5mgを20mL/minの窒素気流下で30℃から10℃/minでT℃まで昇温した後10分保持し、その後10℃/minでT℃まで冷却して熱履歴を除去する。T℃にて5分保持した後、再び10℃/minでT℃まで昇温させてDSC曲線を測定し、2度目の昇温工程で観測される測定結果における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点をガラス転移点とし、このときの温度をガラス転移温度とする。また、2度目の昇温工程で観測される吸熱曲線の最大ピーク温度を融点とする。
【0027】
<T≦Tであり、Tは試料のガラス転移温度よりも十分低く、T及びTは試料の融点よりも少なくとも30℃以上高い温度である。一例としてTは200℃であり、Tは-80℃であり、Tは200℃であるが、測定する試料に合わせて適宜調整される。
【0028】
樹脂層の膜厚は0.1μm以上である。樹脂層の無機蒸着層側の平滑性が向上し、よりガスバリア性が低下し難くなることから0.3μm以上であることがより好ましく、0.4μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。上限については特に制限されないが、樹脂層の膜厚が厚くなるに従って後述するガスバリア接着剤との相乗効果が飽和するため、一例として5μm以下であり、3μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。
【0029】
樹脂層の表面(後述する無機蒸着層と接する面)は、何等かの表面処理、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理等の物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理、その他処理が施されていてもよい。
【0030】
(無機蒸着層)
無機蒸着層は、酸素ガス、水蒸気ガスの透過を防ぐガスバリア性を有する層であり、無機物または無機酸化物からなる蒸着層である。無機物または無機酸化物としてはアルミニウム、アルミナ、シリカ等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、シリカとアルミナの二元蒸着のように2種以上を併用することができる。無機蒸着層は2層以上設けられていてもよい。無機蒸着層が2層以上設けられている場合、それぞれは同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。ガスバリア性の観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。
【0031】
無機蒸着層は上述の樹脂層上に、従来公知の方法により設けることができる。無機蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法(PVD法))や、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法(CVD法))等が挙げられる。
【0032】
無機蒸着層の膜厚は1~200nmであることが好ましい。無機蒸着層がアルミニウム蒸着層である場合、その膜厚は1~100nmであることがより好ましく、15~60nmであることがより好ましく、10~40nmであることがより好ましい。無機蒸着層がシリカまたはアルミナ蒸着層である場合、その膜厚は1~100nmであることが好ましく、10~50nmであることがより好ましく、20~30nmであることがより好ましい。
【0033】
(ガスバリア性接着層)
ガスバリア性接着層は、ガスバリア性接着剤の硬化塗膜であり、無機蒸着層と他の層とを貼り合わせる層である。ガスバリア接着層は無機蒸着層と接して配置される。なお、本明細書においてガスバリア性接着剤とは、3g/m(固形分)で塗布した塗膜の23℃0%RHでの酸素バリア性が300cc/m/day/atm以下、または水蒸気バリア性が120g/m/day以下の、少なくとも一方の条件を満足するものをいう。本発明で好ましく用いられるガスバリア性接着剤としては、下記(A1)~(A3)の少なくとも1種のポリエステルポリオール(A)を含むポリオール組成物(X)と、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物(以下単にイソシアネート化合物(B)ともいう)を含むポリイソシアネート組成物(Y)とからなる2液型接着剤が挙げられる。
【0034】
(1)オルト配向性多価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A1)
(2)イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A2)
(3)重合性炭素-炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A3)
【0035】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられるオルト配向性多価カルボン酸としては、オルトフタル酸又はその酸無水物、ナフタレン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、ナフタレン1,2-ジカルボン酸又はその酸無水物、アントラキノン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、及び2,3-アントラセンカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
【0036】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられる多価カルボン酸は、オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含んでいてもよい。オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和結合含有多価カルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の酸無水物或いはエステル形成性誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の芳香族多価カルボン酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用することができる。中でも、コハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸及びその酸無水物が好ましい。
【0037】
多価カルボン酸が、オルト配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含む場合、多価カルボン酸全量に占めるオルト配向性多価カルボン酸の割合が40~100質量%であることが好ましい。
【0038】
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられる多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコールを含むことがより好ましい。
【0039】
多価アルコールは上記以外の多価アルコールを併用してもよく、例えば1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等の三価以上の多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族等の芳香族多価フェノール等を例示することができる。
【0040】
ポリエステルポリオール(A1)が3個以上の水酸基を有する場合(便宜上ポリエステルポリオール(a1)とする)、水酸基の一部を酸基で変性してもよい。このようなポリエステルポリオールを以下ではポリエステルポリオール(A1’)ともいう。ポリエステルポリオール(A1’)は、ポリエステルポリオール(a1)に、多価カルボン酸またはその酸無水物を反応させて得られる。多価カルボン酸で変性する水酸基の割合は、ポリエステルポリオール(a1)が備える水酸基の1/3以下とすることが好ましい。変性に用いる多価カルボン酸としては、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、オレイン酸、ソルビン酸等が挙げられるがこれに限定されない。
【0041】
ポリエステルポリオール(A2)は、例えば、イソシアヌル環を有するトリオールと、オルト配向性芳香族多価カルボン酸を含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを反応させて得られる。イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。オルト配向性芳香族多価カルボン酸、多価カルボン酸、多価アルコールはポリエステルポリオール(A1)と同様のものを用いることができる。
【0042】
イソシアヌル環を有するトリオール化合物としては1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5-トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を用いることが好ましい。オルト配向性芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸無水物を用いることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコールを用いることが好ましい。
【0043】
ポリエステルポリオール(A3)は、多価カルボン酸、多価アルコールとして重合性炭素-炭素二重結合をもつ成分を使用することにより得られる。
【0044】
重合性炭素-炭素二重結合をもつ多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びその酸無水物、3-メチル-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びその酸無水物等が挙げられる。炭素原子数が少ないほど分子鎖が過剰に柔軟にならずに酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
重合性炭素-炭素二重結合をもつ多価アルコールとしては、2-ブテン-1,4-ジオール等があげられる。
【0045】
上記に加えて重合性炭素-炭素二重結合を有しない多価カルボン酸、多価アルコールを併用してもよい。このような多価カルボン酸、多価アルコールとしては、ポリエステルポリオール(A1)、(A2)と同様のものを用いることができる。多価カルボン酸はコハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、オルトフタル酸及びその酸無水物の少なくとも一種を用いることがより好ましい。多価アルコールはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、エチレングクリコールを用いることがより好ましい。
【0046】
ポリエステルポリオール(A)の水酸基価は、20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎるためポリオール組成物(A)の粘度が高くなり、例えば無溶剤型接着剤として適用する場合の塗工温度を高くする必要がある。水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、接着強度が低下する場合がある。
【0047】
ポリエステルポリオール(A)が酸基を有する場合、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が200mgKOH/gを超える場合、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)との反応が早くなり過ぎ、塗工適性が低下するおそれがある。酸価の下限は特に制限されないが、一例として20mgKOH/g以上である。酸価が20mgKOH/g以上であると分子間の相互作用により良好なガスバリア性や初期凝集力が得られる。ポリエステルポリオール(A)の水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS-K0070に記載の酸価測定法にて測定することができる。
【0048】
ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は300~5000であると接着性とガスバリア性とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が350~3000である。数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求める。
【0049】
ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度は基材への密着性とガスバリア性とのバランスから-30℃以上80℃以下であることが好ましく、0℃以上60℃以下であることがより好ましく、25℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
【0050】
ポリエステルポリオール(A)は、ポリエステルポリオール(A1)~(A3)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000~15000としたポリエステルポリウレタンポリオール、であってもよい。ウレタン伸長したポリエステルポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するため、優れたガスバリア性を持ち、初期凝集力に優れ、ラミネート用の接着剤として優れる。
【0051】
ガスバリア性を有する2液型接着剤の一成分であるポリイソシアネート組成物(Y)は、イソシアネート化合物(B)を含む。イソシアネート化合物(B)としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができ、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。ポリエステルポリオール(A1)~(A3)とジイソシアネート化合物とを、水酸基とイソシアネート基の比率をイソシアネート過剰で反応させて得られるポリエステルポリイソシアネートを用いてもよい。これらは1種または2種以上を併用することができる。
【0052】
また、イソシアネート化合物としてブロック化イソシアネートを用いてもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0053】
中でも、良好なガスバリア性が得られることからキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート由来の骨格を有するイソシアネート化合物を用いることがより好ましい。
【0054】
このようなイソシアネート化合物としては、ジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体が挙げられる。3量体、ビューレット体と比べ、溶剤型接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が良好なことから、接着剤が溶剤型の場合はアダクト体を用いることが好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用できるが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が好ましい。
【0055】
また、ポリオール組成物(X)として、ポリエステルポリオール(A1’)のようにカルボン酸基が残存しているポリエステルポリオールを含む組成物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物(Y)がエポキシ化合物を含んでいてもよい。エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0056】
エポキシ化合物を用いる場合には、硬化を促進する目的で汎用公知のエポキシ硬化促進剤を本発明の目的が損なわれない範囲で適宜添加してもよい。
【0057】
ポリオール組成物(X)として、ポリエステルポリオール(A3)のように重合性炭素-炭素二重結合を有するポリオールを含む組成物を用いる場合には、炭素-炭素二重結合の重合を促進するために公知の重合触媒を併用することができ、一例として遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属錯体は、重合性二重結合を酸化重合させる能力を備える化合物であれば特に限定されない。例えば、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、樹脂酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸等との塩を用いることができる。遷移金属錯体の配合量はポリオール組成物(X)に含まれる樹脂固形分に対して0~10質量部が好ましく、より好ましくは0~3質量部である。
【0058】
ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)とは、ポリオール組成物(X)に含まれる水酸基と、ポリイソシアネート組成物(Y)に含まれるイソシアネート基との当量比が1/0.5~1/10となるよう配合することが好ましく、1/1~1/5となるよう配合することがより好ましい。イソシアネート化合物が過剰の場合、接着剤の硬化塗膜に残留した余剰のイソシアネート化合物が接着層からブリードアウトするおそれがある。一方、ポリイソシアネート組成物(Y)に含まれる反応性の官能基が不足すると、接着強度が不足するおそれがある。
【0059】
ガスバリア性接着剤には、接着性およびガスバリア性を損なわない範囲で各種添加剤を配合してもよい。
【0060】
このような添加剤として、無機充填剤を用いてもよい。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等が挙げられる。特に無機充填剤として板状無機化合物を用いると、接着強度、ガスバリア性、遮光性等が向上するため好ましい。板状無機化合物としては、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物は1種または2種以上を併用することができる。
【0061】
板状無機化合物は、層間に電荷を有するイオン性のものであってもよいし、電荷を持たない非イオン性のものであってもよい。層間の電荷の有無は接着層のガスバリア性に直接大きな影響を与えない。しかしながらイオン性の板状無機化合物や水に対して膨潤性を有する無機化合物は溶剤型接着剤への分散性が劣り、添加量を増加させると接着剤と増粘したり、チキソ性となったりして塗工適性が低下するおそれがある。このため板状無機化合物層間電化を持たない非イオン性であることが好ましい。
【0062】
板状無機化合物の平均粒径は、特に制限されないが、一例として0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。0.1μmよりも小さいと、酸素分子の迂回経路が長くならず、ガスバリア性の向上が十分には期待できない。平均粒径の上限は特に制限されないが、粒径が大きすぎると塗工方法によっては塗工面にスジ等の欠陥が生じる場合がある。このため、一例として平均粒径は100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。なお本明細書において板状無機化合物の平均粒径とは、板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径をいう。
【0063】
板状無機化合物のアスペクト比は酸素の迷路効果によるガスバリア性の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。
【0064】
板状無機化合物の配合量は任意であるが、一例として、ポリオール組成物(X)、ポリイソシアネート組成物(Y)、板状無機化合物の固形分総質量を100質量としたときに、板状無機化合物の配合量が5~50質量部である。
【0065】
ガスバリア性接着剤が接着促進剤を含んでいてもよい。接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着性を向上させる効果が期待できる。
【0066】
ガスバリア性接着層に耐酸性が必要な場合には、ガスバリア性接着剤が公知の酸無水物を含んでいてもよい。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5-(2,5-オキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0067】
必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0068】
ガスバリア性接着剤が下記一般式(1)または(2)で表される化合物を含んでいてもよい。
【0069】
【化1】
(一般式(1)中、R~Rは、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であるが、少なくとも一つは水素原子であり、nは、1~4の整数を表す。)
【0070】
【化2】
(一般式(2)中、R~Rは、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換基を有してもよいフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基から選ばれる基であり、m、lは1~4の整数、pは0~30の整数、qは0~30の整数を表すが、pとqが共に0である場合を除く。)
【0071】
上記一般式(1)、(2)で表される化合物の具体例としては、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。
【0072】
上記一般式(1)または(2)で表される化合物の配合量は、ガスバリア性接着剤の固形分全量の0.005~10質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがより好ましい。
【0073】
塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合にその配合量は、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)の固形分総量100質量部に対して0.01~5質量部の範囲が好ましい。
【0074】
ポリオール組成物(X)がポリエステルポリオール(A2)を含む場合、重合性炭素-炭素二重結合を反応させる方法として活性エネルギー線を使用することもできる。活性エネルギー線としては公知の技術が使用でき、電子線、紫外線、或いはγ線等の電離放射線等を照射して硬化させることができる。紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。
【0075】
紫外線を照射して硬化させる場合には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカル等を発生する光(重合)開始剤をポリエステルポリオール(A2)100質量部に対して0.1~20質量部程度添加することが好ましい。
【0076】
ラジカル発生型の光(重合)開始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等の水素引き抜きタイプや、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルフェニルケトン等の光開裂タイプが挙げられる。これらの中から単独或いは複数のものを組み合わせて使用することができる。
【0077】
その他、ガスバリア性接着剤が安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、結晶核剤等を含んでいてもよい。これらの各種添加剤は予めポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれか一方、または両方に添加しておいてもよいし、ポリオール組成物(X)とポリイソシアネート組成物(Y)とを混合する際に添加してもよい。
【0078】
本発明で用いられるガスバリア性接着剤は、溶剤型、無溶剤型いずれの形態であってもよい。本明細書において溶剤型接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して塗膜中の有機溶剤を揮発させた後に他の基材と貼り合せる方法、いわゆるドライラミネート法に用いられる形態をいう。用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルオール、キシロール、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれか一方、もしくは両方が上述した有機溶剤を含む。溶剤型の場合、ポリオール組成物(X)またはポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分の製造時に反応媒体として使用された溶剤が、更に塗装時に希釈剤として使用される場合もある。
【0079】
無溶剤型接着剤とは、接着剤を基材に塗工した後に、オーブン等で加熱して溶剤を揮発させる工程を経ずに他の基材と貼り合せる方法、いわゆるノンソルベントラミネート法に用いられる形態をいう。ポリオール組成物(X)およびポリイソシアネート組成物(Y)のいずれもが、上述した有機溶剤を実質的に含まない。ポリオール組成物(X)またはポリイソシアネート組成物(Y)の構成成分や、その原料の製造時に反応媒体として使用された有機溶剤が除去しきれずに、ポリオール組成物(X)やポリイソシアネート組成物(Y)中に微量の有機溶剤が残留してしまっている場合は、有機溶剤を実質的に含まないと解される。また、ポリオール組成物(X)が低分子量アルコールを含む場合、低分子量アルコールはポリイソシアネート組成物(Y)と反応して塗膜の一部となるため、塗工後に揮発させる必要はない。従ってこのような形態も無溶剤型接着剤として扱う。
【0080】
ガスバリア性接着剤が溶剤型である場合、無機蒸着層と後述する印刷層のどちらか一方に、ガスバリア性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布し、オーブン等での加熱により有機溶剤を揮発させた後、他方を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~80℃、エージング時間は12~240時間が好ましい。
【0081】
ガスバリア性接着剤が無溶剤型である場合、無機蒸着層と印刷層のどちらか一方に予め40℃~100℃程度に加熱しておいたガスバリア性接着剤をグラビアロール等のロールを用いて塗布した後、直ちに他方を貼り合せて本発明の積層体を得る。ラミネート後にエージング処理を行うことが好ましい。エージング温度は室温~70℃、エージング時間は6~240時間が好ましい。
【0082】
ガスバリア性接着剤の塗布量は、適宜調整する。溶剤型の場合、一例として固形分量が1g/m以上10g/m以下、好ましくは1g/m以上5g/m以下となるよう調整する。無溶剤型の場合、接着剤の塗布量が一例として1g/m以上10g/m以下、好ましくは1g/m以上5g/m以下である。
【0083】
<第一の実施形態>
本発明の積層体は、上記の構成に加え、必要に応じて他の層を含んでいてもよい。本発明の積層体の一実施形態(以下では第一の実施形態ともいう)を図1に示す。第一の実施形態において、積層体は第一の基材層、樹脂層、無機蒸着層、ガスバリア接着層を有し、さらに第一の基材の樹脂層とは反対側の面にヒートシール層を、ガスバリア接着層の無機蒸着層とは反対側の面に印刷層、第二の基材を有する。
【0084】
(シーラント層(1))
第一の実施形態におけるシーラント層は、熱により相互に融着し得るヒートシール性の樹脂を含む層である。他の実施形態におけるシーラント層と区別するため、以下では第一の実施形態におけるシーラント層をシーラント層(1)とする。シーラント層(1)は、ヒートシール性の樹脂と、溶剤とを含むヒートシール剤を、第一の基材に塗布し、溶剤を乾燥させることにより形成される。
【0085】
ヒートシール性樹脂としては、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0086】
ヒートシール剤としては、これらの樹脂を有機溶剤に溶解したタイプ、水または水性の有機溶剤に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール系エマルジョン、エチレン-メタクリル酸系エマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、エチレンビニルアセテート系エマルジョンなどを水または水性の有機溶剤中に分散させたエマルジョンタイプなど、いずれの形態のものであってもよい。
【0087】
有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。
【0088】
水性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル等が挙げられる。
【0089】
ヒートシール剤は、ヒートシール性の樹脂、溶剤以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、ワックス、フィラー、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、粘着付与剤、防腐剤、抗菌剤、防錆剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0090】
ヒートシール剤の塗工方法としては公知の方法が使用できる。例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等を使用できる。また塗工後オーブン等で乾燥工程を設けてもよい。
【0091】
ヒートシール層の膜厚(ヒートシール剤の塗布量(固形分))は任意でよく、一例として、2~12g/mより好ましくは5~10g/mである。
【0092】
(第二の基材層)
第二の基材層としては、第一の基材層に用いられるのと同様のフィルムを用いることができる。
【0093】
(印刷層)
印刷層は、第二の基材層のガスバリア接着層側の面に、文字、図形、記号、その他所望の絵柄等が、リキッドインキを用いて印刷された層である。本明細書においてリキッドインキはグラビア印刷またはフレキソ印刷に用いられる溶剤型のインキの総称である。樹脂、着色剤、溶剤を必須の成分として含むものであってもよいし、樹脂と溶剤を含み、着色剤を実質的に含まない、いわゆるクリアインキであってもよい。印刷層は第二の基材のガスバリア接着層側の全面に設けられていてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。印刷層は、上述のガスバリア接着層を介して無機蒸着層に貼り合わせられる。
【0094】
リキッドインキに用いられる樹脂は特に限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン‐マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を併用できる。好ましくはポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種、あるいは2種以上である。
【0095】
リキッドインキに用いられる着色剤としては、酸化チタン、弁柄、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの無機顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料当の有機顔料、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料が挙げられる。
【0096】
リキッドインキに用いられる有機溶剤は、芳香族炭化水素系有機溶剤を含まないことが好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤などが挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0097】
<第一の実施形態の変形例>
上記実施形態では、印刷層が第二の基材層上に直接設けられる形態について説明したが、印刷層の第二の基材との間に他の層が設けられていてもよい。例えば第二の基材上に直接、またはプライマー層を介してシリカやアルミナ、あるいはこれらの二元蒸着による無機酸化物の蒸着層が設けられていてもよい。さらに、無機酸化物の蒸着層上にガスバリアコート層が設けられていてもよい。プライマー層、無機酸化物の蒸着層、ガスバリアコート層は従来公知のものを用いることができる。
【0098】
また、上記実施形態では印刷層が第二の基材ガスバリア接着層との間に設けられる形態について説明したが、印刷層は省略されていてもよい。あるいは、印刷層は第二の基材層のガスバリア接着層とは反対側の面に設けられていてもよい。これらの場合、第二の基材が直接ガスバリア接着層と接していてもよいし、第二の基材とガスバリア接着層との間に、無機酸化物の蒸着層およびガスバリアコート層のいずれかまたは両方が設けられていてもよい。無機酸化物の蒸着層が設けられる場合、第二の基材上に直接設けてもよいし、プライマーを介していてもよい。
【0099】
<第二の実施形態>
本発明の積層体の他の実施形態(以下では第二の実施形態ともいう)を図2に示す。第二の実施形態において、積層体は第一の基材層、樹脂層、無機蒸着層、ガスバリア接着層を有し、さらに第一の基材の樹脂層とは反対側の面に接着剤を介して貼り合わせられたシーラント層を、ガスバリア接着層の無機蒸着層とは反対側の面に印刷層、第二の基材層を有する。第二の基材、印刷層は第一の実施形態と同様である。
【0100】
(シーラント層(2))
第二の実施形態におけるシーラント層は熱により溶融し相互に融着し得る、ヒートシール性の樹脂を含む層(シーラントフィルム)である。他の実施形態におけるシーラント層と区別するため、以下では第二の実施形態におけるシーラント層をシーラント層(2)とする。シーラントフィルムに好適な樹脂としては、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、その他不飽和カルボン酸で変性した変性オレフィン樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-不飽和カルボン酸の三元共重合体、環状ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。これらの樹脂の1種または2種以上からなる樹脂のフィルム、シート、その他塗布膜等をシーラントフィルムとして使用することができる。
【0101】
シーラントフィルムとしては、未延伸、1軸延伸、2軸延伸のフィルムのいずれも使用することができる。
【0102】
2軸方向に延伸した延伸フィルムは、例えば50~100℃のロール延伸機により2~4倍に縦延伸し、更に90~150℃の雰囲気下でテンター延伸機により3~5倍に横延伸し、引き続いて100~240℃の雰囲気下でテンター延伸機により熱処理することで得られる。あるいは、同時2軸延伸、逐次2軸延伸したものを用いてもよい。
【0103】
シーラント層に易剥離性のシーラントフィルム(イージーピールフィルム)を用いてもよい。易剥離性のシーラントフィルムとしては、界面剥離タイプ、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプの何れも適用可能であり、後述する包装材の種類や要求特性に応じて適宜選択することができる。易剥離性の指標としては、包装材の種類や要求特性に応じて適宜設定されるが、一例としてシール強度が2~20N/15mmである。例えばポリプロピレンと高密後ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体などを組み合わせた相分離系のポリマーブレンドにより易剥離性を発現させることができる。
【0104】
シーラントフィルムの膜厚は任意に選択し得るが、例えば後述する包装材に適用する場合には5~500μmの範囲で選択される。10~250μmであることがより好ましく、15~100μmであることがさらに好ましい。5μmを下回ると包装材料として充分なラミネート強度が得られず、さらに耐突き刺し性等も低下する恐れがある。250μmを超えるとコスト上昇を招くと共にフィルムが硬くなり、作業性が低下する。
【0105】
シーラント層(2)は、シーラントフィルムの少なくとも一方の面上に無機蒸着層を備えていてもよい。このような無機蒸着層は、基材が備える無機蒸着層と同様の材質、方法にて形成することができる。基材層と同様に、シーラントフィルム上に設けた無機蒸着層上に、さらにバリアコート層を設けるなどしてもよい。
【0106】
(接着層)
接着層は、ラミネート用接着剤の硬化塗膜である。シーラント層(2)は、接着層を介して第一の基材と貼り合わせられる。用いられる接着剤は、上述したガスバリア性接着剤であってもよいし、ガスバリア性を有しない汎用のラミネート用接着剤であってもよい。このようなラミネート用接着剤としては、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を含む2液硬化型のものを例示することができ、溶剤型、無溶剤型のいずれも好ましく用いることができる。
【0107】
ラミネート用接着剤は第一の基材層側に塗布された後、ヒートシール層と貼り合わせられてもよいし、ヒートシール層側に塗布された後、第一の基材と貼り合わせられてもよい。ラミネート用接着剤の塗布方法や、エージング条件、塗布量はガスバリア接着層と同様でよい。
【0108】
<第二の実施形態の変形例>
第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様に第二の基材層と印刷層との間(印刷層を設けない場合、もしくは印刷層が第の基材のガスバリア接着層とは反対側の面に設けられる場合には、第二の基材層とガスバリア接着層との間)にプライマー層、無機酸化物の蒸着層、ガスバリアコート層を設けることができる。
【0109】
<第三の実施形態>
本発明の積層体の他の実施形態(以下では第三の実施形態ともいう)を図3に示す。第三の実施形態において、積層体は第一の基材層、樹脂層、無機蒸着層、ガスバリア接着層を有し、さらにガスバリア接着層の無機蒸着層とは反対側の面にシーラント層を、第一の基材の樹脂層とは反対側の面に接着剤を介して貼り合わせられた印刷層、第二の基材層を有する。各層については、第二の実施形態と同様である。
【0110】
未延伸のシーラントフィルムは伸びやすく接着剤を塗工するのが困難である。またガスバリア性接着剤が溶剤型である場合、シーラントフィルムに接着剤を塗工すると、接着層の溶剤を揮発させるための乾燥装置を通過する間にシーラントフィルムが変形するおそれがある。このため第三の実施形態ではガスバリア性接着剤は通常無機蒸着層上に塗布される。この場合、ガスバリア性接着剤を塗布する際にローラーと擦れたり、シーラントフィルムほどではないものの、やはり乾燥装置を通過する際に第一の基材層が変形し、これに追従できなかったりして無機蒸着層が損傷する。しかしながら本発明では無機蒸着層が損傷した場合であってもガスバリア性の低下を抑制することができる。
【0111】
<第三の実施形態の変形例>
第三の実施形態においても、第一の実施形態と同様に第二の基材層と印刷層との間(印刷層を設けない場合、もしくは印刷層が第の基材のガスバリア接着層とは反対側の面に設けられる場合には、第二の基材層とガスバリア接着層との間)にプライマー層、無機酸化物の蒸着層、ガスバリアコート層を設けることができる。
【0112】
<<包装材>>
本発明の積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。
【0113】
本発明の包装材は、例えば、本発明の積層体のヒートシール層を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラントフィルムの面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0114】
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調製粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、本発明の包装材はタバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、化粧品、真空断熱材などの包装材料としても使用され得る。
【0115】
あるいは、本発明の包装材は、本発明の積層体を使用した蓋材であってもよい。
【実施例
【0116】
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。配合組成その他の数値は特記しない限り質量基準である。
【0117】
<接着剤の調製>
(接着剤1)
(ポリオール組成物X1の調製)
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコールを879.37部、無水フタル酸1580.52部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.10部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を200℃に保持した。酸価が5.0mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、設計官能基数N=2、水酸基価=125のポリエステルポリオールを得た。さらに60℃に加熱しながら希釈溶剤として酢酸エチル1000部、リン酸0.6部を入れて1時間攪拌し、ポリオール組成物X1を得た。
【0118】
(ポリイソシアネート組成物Y1)
三井化学製「タケネートD-110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体不揮発成分75.0% NCO%11.5%)をポリイソシアネート組成物Y1とした。
【0119】
(接着剤1の調製)
ポリオール組成物X1:100部とポリイソシアネート組成物Y1:25部とを混合し、酢酸エチルで希釈してガスバリア性の接着剤1を得た。
【0120】
(接着剤2)
(ポリイソシアネート組成物Y2)
4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート36部、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート19部を撹拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えた反応容器内に仕込み、窒素ガス下で攪拌し、60℃まで加熱した。数平均分子量400のポリプロピレングリコール(以下、「PPG」と略記する。)を11部、数平均分子量1000のPPGを22部、数平均分子量2000のPPGの11部を数回に分けて滴下し、5~6時間攪拌しウレタン化反応を終了させた。得られたポリイソシアネートのNCO基含有率は、13.5%であった。これをポリイソシアネート組成物Y2とした。
【0121】
(接着剤2の調製)
ポリオール組成物X1:100部とポリイソシアネート組成物Y2:40部とを混合し、酢酸エチルで希釈してガスバリア性の接着剤2を得た。
【0122】
(接着剤3)
(ポリオール組成物X3)
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、冷却コンデンサー、滴下漏斗を備えた反応容器にひまし油73.98部、ポリプロピレングリコール(分子量約4000)51.02部を入れて70℃に加熱しながら撹拌し、ミリオネートMN(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物)2.55部を、滴下漏斗を用いて滴下し、更に4時間撹拌し、ポリオール組成物X3を得た。水酸基価は115.0mgKOH/gであった。
【0123】
(ポリイソシアネート組成物X3)
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、冷却コンデンサー、滴下漏斗を備えた反応容器にミリオネートMN(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物)114.00部を入れて70℃に加熱しながら撹拌し、ポリプロピレングリコール(分子量約400)28.16部、ポリプロピレングリコール(分子量約1000)58.44部を、滴下漏斗を用いて2時間かけて滴下し、更に4時間撹拌し、ポリイソシアネート組成物Y3を得た。JIS-K1603に従い測定したNCO%は13.5%であった。
【0124】
(接着剤3の調製)
ポリオール組成物X3:50部とポリイソシアネート組成物Y3:100部とを混合して非ガスバリア性の接着剤3を得た。
【0125】
<構成例1の積層体の製造>
(実施例1)
膜厚18μmのOPPフィルム1を用い、常法に従って樹脂層、アルミニウム蒸着層が積層された積層体を得た。次いで膜厚20μmのOPPフィルム2に、接着剤1を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥して接着層を形成した。接着層を介してアルミニウム蒸着層とOPPフィルム2を貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、実施例1の積層体を得た。樹脂層の膜厚は1μmであり、ケン化度95%以上、エチレン比率48モル%、ガラス転移温度50℃、融点157℃のエチレンビニルアルコール共重合体を用いた。
【0126】
(比較例1)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の積層体を得た。
【0127】
<構成例2の積層体の製造>
(実施例2)
膜厚25μmのOPPフィルム1を用い、常法に従っての一方の面に、樹脂層、アルミニウム蒸着層が形成され、他方の面にヒートシール剤による膜厚0.5μmのヒートシール層が形成された積層体を得た。次いで膜厚20μmのOPPフィルム2に、接着剤1を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥して接着層を形成した。接着層を介してアルミニウム蒸着層とOPPフィルム2を貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、実施例2の積層体を得た。樹脂層は実施例1と同様のエチレンビニルアルコール共重合体を用いた。
【0128】
(比較例2)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は実施例2と同様にして比較例2の積層体を得た。
【0129】
<構成例3の積層体の製造>
(実施例3)
膜厚18μmのOPPフィルム1を用い、常法に従って樹脂層、アルミニウム層が積層された積層体を得た。次いで膜厚19μmのOPPフィルム2に、接着剤2を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させて接着層を形成した。接着層を介してアルミニウム蒸着層とOPPフィルム2とを貼り合わせた。続いてOPPフィルム1上に、上記と同様にして接着層を形成し、接着層を介して膜厚40μmのLLDPEフィルムと貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、実施例3の積層体を得た。ポリビニルアルコールを用い、膜厚0.34μmの樹脂層を形成し、続いて、樹脂層上に膜厚40nmのアルミニウム蒸着層を形成した。樹脂層の膜厚は0.34μmであり、ケン化度99.5%のポリビニルアルコールを用いた。
【0130】
(比較例3)
接着剤2に換えて接着剤3を用いた以外は実施例3と同様にして比較例3の積層体を得た。
【0131】
<構成例4の積層体の製造>
(実施例4)
膜厚18μmのOPPフィルム1を用い、常法に従って樹脂層、アルミニウム層が積層された積層体を得た。次いで膜厚30μmのOPPフィルム2に、接着剤1を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させて接着層を形成した。接着層を介してアルミニウム蒸着層とOPPフィルム2を貼り合わせた。続いてOPPフィルム1上に、上記と同等にして接着層を形成し、接着層を介して膜厚25μmのCPPフィルムと貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、実施例4の積層体を得た。樹脂層の膜厚は0.6μmであり、実施例3と同様のポリビニルアルコールを用いた。
【0132】
(比較例4)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は実施例4と同様にして比較例4の積層体を得た。
【0133】
<構成例5の積層体>
(実施例5)
膜厚18μmのOPPフィルム1を用い、常法に従って実施例4と同様の樹脂層、アルミニウム層が積層された積層体を得た。次いで膜厚30μmのOPPフィルム2に、接着剤3を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させて接着層を形成した。接着層を介してOPPフィルム1とOPPフィルム2を貼り合わせた。続いてアルミニウム蒸着層上に、接着剤1を用いた以外は上記と同様にして接着層を形成し、接着層を介して膜厚25μmのCPPフィルムと貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、実施例5の積層体を得た。
【0134】
(比較例5)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は実施例5と同様にして比較例5の積層体を得た。
【0135】
<構成例4’の積層体>
(比較例6)
膜厚25μmのOPPフィルム1上にアルミニウム蒸着層が積層された積層体を得た(樹脂層の形成を省略した)。次いで膜厚30μmのOPPフィルム2に、接着剤1を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させて接着層を形成した。接着層を介してアルミニウム蒸着層とOPPフィルム2を貼り合わせた。続いてOPPフィルム1上に、上記と同等にして接着層を形成し、接着層を介して膜厚25μmのCPPフィルムと貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、比較例6の積層体を得た。
(比較例7)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は比較例6と同様にして比較例7の積層体を得た。
【0136】
<構成例5’の積層体>
(比較例8)
膜厚25μmのOPPフィルム1上にアルミニウム蒸着層が積層された積層体を得た(樹脂層の形成を省略した)。次いで膜厚30μmのOPPフィルム2に、接着剤1を、バーコーターを用いて塗膜量3.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させて接着層を形成した。接着層を介してOPPフィルム1とOPPフィルム2を貼り合わせた。続いてアルミニウム蒸着層上に、上記と同様にして接着層を形成し、接着層を介して膜厚25μmのCPPフィルムと貼り合わせた後、40℃/2日間のエージングを行い、比較例8の積層体を得た。
【0137】
(比較例9)
接着剤1に換えて接着剤3を用いた以外は比較例8と同様にして比較例9の積層体を得た。
【0138】
<評価>
(屈曲試験後の酸素透過率)
エージングが終了した実施例、比較例の積層体を30cm×20cmのサイズに調整し、ASTM F392に準じてゲルボフレックステスター(BE-1006恒温槽付ゲルボフレックステスター、テスター産業(株))にて屈曲試験を行った。尚、屈曲試験は440°/90mm、直動65mm、23℃にて屈曲回数10回の条件で実施した。ゲルボフレックス処理後の23℃90%RHの酸素透過率(cc/m・day・atm)を測定し、結果を表にまとめた。
【0139】
(水蒸気透過率)
エージングが終了した積層体を、システック・イリノイ社製水蒸気透過率測定装置7002を用いて等圧法により、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。結果を表1-3にまとめた。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
実施例、比較例から明らかなように、本発明の積層体は、高湿度下、屈曲試験後であっても優れたガスバリア性を示した。
図1
図2
図3