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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】おう吐物回収袋
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20230308BHJP
   A61B 46/20 20160101ALI20230308BHJP
【FI】
A61F5/44 Z
A61B46/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019016985
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020124283
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000200666
【氏名又は名称】泉株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】関 和治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃之
(72)【発明者】
【氏名】多田 邦子
(72)【発明者】
【氏名】西内 まゆみ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-142127(JP,A)
【文献】実開平05-035678(JP,U)
【文献】特開2003-010220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
A61B 46/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有し、かつ袋状に形成された袋状本体部と、防水性の材料からなり、上記袋状本体部の内面又は外面の少なくとも一方に重合して設けられた袋状の防水袋部と、上記袋状本体部における上記開口部に設けられて、接着手段を介して人の顔に接着される装着部と、上記袋状本体部における上記装着部と上記防水袋部の上端との間に設けられて、袋状本体部の内外の通気を許容する通気部を備え、上記装着部を接着手段により人の口を囲繞した状態で顔に接着して使用されることを特徴とするおう吐物回収袋。
【請求項2】
上記袋状本体部は不織布からなり、かつ全体として封筒形となっており、また、袋状本体部の上部の開口部から連続して上記装着部としての一対のフラップが設けられており、該一対のフラップに接着手段としての両面テープが取り付けられており、さらに、上記防水袋部は、袋状本体部の内面に設けられており、上記通気部は、防水袋部の上端部と上記フラップとの間に設けられており、
人の顔の口をフラップで囲繞した状態で両面テープによりフラップを顔に接着して使用されることを特徴とする請求項1に記載のおう吐物回収袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はおう吐物回収袋に関し、例えば処置中の患者の口を覆った状態で顔に装着されて、患者がおう吐した際のおう吐物を回収するためのおう吐物回収袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の口と鼻を覆って顔に装着されて、人がおう吐した際におう吐物を回収するおう吐物回収袋が提案されている(例えば特許文献1~特許文献3)。
このような従来のおう吐物回収袋は、おう吐物を収容する袋状の収容部と、収容部の上端から連続して設けられて人の顔に装着される装着部と、装着部の装着状態を維持する紐部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案公報第3019217号
【文献】特開2016-87382号公報
【文献】特開2011-83317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来のおう吐物回収袋は、構成や形状が複雑であるために、材料の歩留まりが悪くなり、製造コストが高いという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、上部に開口部を有し、かつ袋状に形成された袋状本体部と、防水性の材料からなり、上記袋状本体部の内面又は外面の少なくとも一方に重合して設けられた袋状の防水袋部と、上記袋状本体部における上記開口部に設けられて、接着手段を介して人の顔に接着される装着部と、上記袋状本体部における上記装着部と上記防水袋部の上端との間に設けられて、袋状本体部の内外の通気を許容する通気部を備え、上記装着部を接着手段により人の口を囲繞した状態で顔に接着して使用されるおう吐物回収袋を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、構成が簡略であるために材料の歩留まりが良くなり、製造コストが安く、かつ、装着しやすいおう吐物回収袋を提供することができる。そして、おう吐物回収袋が使用される際には、通気部を介して袋状本体部の内外の通気が許容されるので、おう吐物回収袋を顔に接着して使用する人は無理なく呼吸することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す正面図。
図2図1のII―II線に沿う断面図。
図3図1のおう吐物回収袋の使用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は全体として封筒形に形成されたおう吐物回収袋である。おう吐物回収袋1は、長方形の封筒形に形成された袋状本体部2と、袋状本体部2の内面のほとんどの領域に重合して設けられたビニール製の防水袋部3と、袋状本体部2に形成されて、その開口部2A(上端部)から連続して上方側へ延びる一対のフラップ4,4と、このフラップ4,4の相互に対向する内面に貼り付けられた両面テープ5,5と、フラップ4,4と防水袋部3の上端3A,3Aとの間に設けられた通気部6とを備えている。
【0009】
袋状本体部2は、底2Bと両方の脇部2Cが閉鎖されており、上端の開口部2Aの縁から連続して一対のフラップ4,4が形成されている。フラップ4,4の基部となる開口部2Aの縁は、直線状の折り癖がつけてあり、その部分でフラップ4,4は内外に向けて容易に変形しやすくなっている。
袋状本体部2は、合成樹脂を材料とした不織布からなり、全体として縦長の長方形状に形成されている。そのため、袋状本体部2自体は、その全域において内外が通気可能となり、通気性を備えている。
袋状本体部2の内面における底2Bの位置から開口部2Aの少し下方の位置まで、袋状をした防水袋部3が重合させて配置されている。防水袋部3は、防水性を有する薄いビニールからなり、長方形の袋状をしたこの防水袋部3の底3Bと両方の脇部3C,3Cは、それらの箇所に対応する袋状本体部2の底2B及び両方の脇部2Cと一体に溶着されて気密が保持されている。また、防水袋部3における上端3Aの開口部よりも少し下方側の箇所3Dは、その部分に重合する袋状本体部2の内面に直線状に溶着されている。このように、本実施例においては、袋状本体部2の内面の略全域に近い領域に、防水性を備えた防水袋部3を重合させて配置している。それにより、おう吐物回収袋1を使用する際に、一対のフラップ4,4を左右の手でつまんで袋状本体部2の開口部2Aを広げると、防水袋部3の上端3Aの開口部が開くようになっている。
【0010】
装着部としてのフラップ4,4における対向面(内面)には、略全域にわたって両面テープ5,5の内面が貼り付けられており、各両面テープ5の外面には剥離紙5Aが付されている。
おう吐物回収袋1を使用する際には、使用する人が一対のフラップ4,4の両面テープ5,5の剥離紙5A,5Aを剥がしてから、フラップ4,4の中央部の縁を手でつまんで左右に押し広げることで開口部2A、フラップ4,4を楕円状に開口させ、そこに人の口をあてがってから両面テープ5,5を顔(口のまわり)に貼り付ける。それによって、紐を用いることなく、おう吐物回収袋1が顔に装着されるようになっている(図3参照)。このように、本実施例では、フラップ4,4が顔に装着される装着部となっており、両面テープ5,5が顔にフラップ4,4を装着するための接着手段となっている。
【0011】
防水袋部3の上端3Aは、袋状本体部2の上端の開口部2A(フラップ4の基部)よりも2cm程度、下方側に位置させてあり、それによって、上端3Aと開口部2A(フラップ4の基部)の間と袋状本体部2の箇所には、防水袋部3が重合しない通気部6が形成されている。この通気部6が設けられた箇所は防水袋部3によって被覆されないので、通気部6を介して袋状本体部2の内外が通気可能となっている。そのため、図3に示したように、おう吐物回収袋1を人の顔に装着した際においても、使用する人は通気部6を介して容易に呼吸できるようになっている。
【0012】
本実施例のおう吐物回収袋1は紐等が付属していないので、使用する前の状態では、厚さ2mm程度の扁平な長方形状となり、嵩張りが少なくなっている。したがって、本実施例のおう吐物回収袋1は、多数枚を重ねた状態での箱への収納や取り出しが容易であり、保管スペースも小さく済むようになっている。
おう吐物回収袋1を使用する際には、前述したように、両面テープ5,5の剥離紙5A,5Aを剥がしてから、装着部としてのフラップ4,4を上下に広げて開口部2Aを略楕円状とし、そこに口をいれてから両面テープ5,5を顔に貼り付ければ良い。このように、本実施例では、紐などを用いることなく、両面テープ5,5によっておう吐物回収袋1全体を顔に装着できるので、装着が容易である。
そして、装着後の使用状態では、両面テープ5,5が口を囲繞して顔に接着されているが、フラップ4,4の隣接位置に通気部6,6が設けられているので、使用する人は通気部6を介して無理なく呼吸をすることができる(図3参照)。
そして、おう吐物回収袋1を顔に装着した状態で、使用している人がおう吐した場合には、そのおう吐物は開口部2Aから防水袋部3内に収容されるようになっている。なお、おう吐物が防水袋部3内に回収されても、装着部としてのフラップ4,4は両面テープ5,5により顔に貼り付いたままとなっているので、おう吐物の重量によってフラップ4,4が顔からはずれることはない。防水袋部3は防水性のビニールからなり、袋状本体部2の内面の略全域に近い位置に重合して配置されているので、防水袋部3内のおう吐物が袋状本体部2に漏れることはない。
さらに、使用後におう吐物回収袋1を顔から外す際には、装着部としてのフラップ4を両面テープ5,5に接着力に抗してひき剥がせば良い。そしてその後、一対のフラップ4,4の両面テープ5,5を相互に接着させることで、開口の略全域を閉鎖することができ、その状態においておう吐物回収袋1を廃棄すれば良い。
【0013】
以上のように、本実施例のおう吐物回収袋1は、従来のものとは異なり、紐部を備えておらず、全体として長方形の封筒形となっている。そして、使用する際には装着部としてのフラップ4,4を上下に開いてから両面テープ5,5によってフラップ4,4を人の顔に貼り付ければよい。
本実施例のおう吐物回収袋1は、構成が簡略であるため、これを製造する際の材料の歩留まりが良好である。そのため、製造コストが安く、かつ、装着及び取り外しが容易なおう吐物回収袋1を提供できる。また、おう吐物回収袋1は、使用状態においても、通気部6を介して使用する人が無理なく呼吸することができるので、装着時の違和感を減少させることができる。
【0014】
なお、上記実施例においては、袋状本体部2の内側(内面)に防水袋部3を重合させて設けているが、袋状本体部2の外側(外面)に防水袋部3を重合させて設けても良い。
また、通気部6,6は、一方のフラップ4の隣接位置だけに設けても良い。つまり、この場合は、他方のフラップ4の基部の位置まで、防水袋部3の上端3Aが伸びた構成であっても良い。
また、通気部6,6としては、つぎのような構成であってもよい。すなわち、袋状本体部3の内面の全域に防水袋部3を重合させて設けて、つまり、図1における通気部6,6の領域も防水袋部3ですべて覆って、該覆った通気部6,6の領域に複数のパンチ穴を形成するようにしても良い。
また、上記実施例においては、おう吐物回収袋1を長方形の封筒形に形成しているが、全体として台形状やフラスコ状に形成しても良い。
さらに、上記実施例においては、装着部としてのフラップ4,4によって口を取り囲んで両面テープで顔に接着しているが、フラップ4,4によって口と鼻の両方を覆うようにしても良い。
【符号の説明】
【0015】
1‥おう吐物回収袋 2‥袋状本体部
2A‥開口部 3‥防水袋部
4,4‥フラップ(装着部) 5,5‥両面テープ(接着手段)
6‥通気部
図1
図2
図3