(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】エンコーダ装置及びその制御方法、駆動装置、ステージ装置、並びにロボット装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20230308BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G01D5/347 110Q
B25J19/02
(21)【出願番号】P 2019199463
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098165
【氏名又は名称】大森 聡
(72)【発明者】
【氏名】阿部 桂
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/126338(WO,A1)
【文献】国際公開第00/52426(WO,A1)
【文献】特開2001-4647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/347
B25J 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部に光を照射し、前記移動部からの光を検出して第1検出信号を出力する第1検出部と、
前記移動部に光を照射し、前記移動部からの光を検出して第2検出信号を出力する第2検出部と、
前記第1検出信号及び前記第2検出信号の少なくとも一方によって前記移動部の移動情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ装置であって、
前記第1検出部及び前記第2検出部を間欠的に駆動するとともに、前記第2検出部の駆動周期を前記第1検出部の駆動周期よりも長くする制御部を備えるエンコーダ装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、前記移動部に設けられたパターンに光を照射する第1発光部と、前記パターンからの光を受光する第1受光部とを有し、
前記第2検出部は、前記パターンに対して前記第1検出部とは異なる位置に配置され、前記パターンに光を照射する第2発光部と、前記パターンからの光を受光する第2受光部とを有する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記移動部の移動により、互いに位相の異なる第1組の検出信号を出力し、
前記第2検出部は、前記移動部の移動により、前記第1組の検出信号に対して異なる位相で変化する第2組の検出信号を出力する請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記第2組の検出信号は、前記移動部の移動に応じて、前記第1組の検出信号に対して位相が1/2周期または1/4周期異なる請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1組の検出信号の前記位相の差に対応する期間に、前記第1発光部を少なくとも2回発光させるとともに、
前記第2発光部の駆動周期を前記第1発光部の駆動周期の2倍に設定する請求項3又は4に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記移動部の移動によって検出される前記第1組及び前記第2組の検出信号の状態の組合せにより、前記第2検出部の駆動周期を短くする請求項3から5のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1組及び前記第2組の検出信号の状態の組合せが一定の状態で所定期間経過すると、前記第2検出部の駆動周期をさらに長く設定する請求項3から5のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2発光部を消灯する請求項7に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1組の検出信号の状態の組合せが変化すると、前記第1検出部の駆動周期を短く設定するとともに、前記第2検出部の駆動周期を前記第1検出部の駆動周期と同じに設定する請求項7又は8に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1検出信号と前記第2検出信号の状態を比較することで、前記移動部の移動情報を求めるための検出信号として前記第1検出信号及び前記第2検出信号の少なくとも一方を選択する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1検出信号と前記第2検出信号の状態を比較することで、前記第1及び第2検出部の少なくとも一方の異常を検知する請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1検出信号と前記第2検出信号の状態により、前記第2検出信号を用いて前記移動情報を求める
請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項13】
前記第2検出部は、前記光の照射および前記光の検出の少なくとも一方を間欠的な駆動周期で行う請求項
12に記載のエンコーダ装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第2検出部の駆動周期を短くし、前記第2検出信号を用いて前記移動情報を求める請求項
13に記載のエンコーダ装置
【請求項15】
前記制御部は、前記移動部の移動による前記第1検出信号と前記第2検出信号との状態によって前記第1または第2検出部の異常を検知する
請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項16】
第1電源及び一次電池または二次電池を含む第2電源を備え、
前記第1電源がオフのときに、前記制御部は前記第2電源の電力を用いて前記第1検出部及び前記第2検出部を駆動する請求項1から
15のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項17】
前記移動部は回転軸を有し、
前記演算部は、前記移動情報として前記回転軸の多回転情報を求める請求項1から
16のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
前記移動部に動力を供給する動力源と、
を備える駆動装置。
【請求項19】
移動物体と、
前記移動物体を移動させる請求項
18に記載の駆動装置と、を備えるステージ装置。
【請求項20】
請求項
18に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置。
【請求項21】
移動部に光を照射し、前記移動部からの光を検出して第1検出信号を出力する第1検出部と、
前記移動部に光を照射し、前記移動部からの光を検出して第2検出信号を出力する第2検出部と、
前記第1検出信号及び前記第2検出信号の少なくとも一方によって前記移動部の移動情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ装置の制御方法であって、
前記第1検出部及び前記第2検出部を間欠的に駆動するとともに、前記第2検出部の駆動周期を前記第1検出部の駆動周期よりも長くすることを含むエンコーダ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、エンコーダ装置の使用方法、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検物の回転角又は回転速度等の位置情報を検出するエンコーダ装置は、ロボット装置などの各種装置に搭載されている。従来のエンコーダ装置として、パターンを発光素子で照明し、そのパターンからの光を受光素子で受光するとともに、その発光素子を間欠的に発光させるようにした装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上述のようなエンコーダ装置は、使用電力を抑制して、検出結果の信頼性の向上を図ることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第1検出信号を出力する第1検出部と、その移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第2検出信号を出力する第2検出部と、その第1検出信号及びその第2検出信号の少なくとも一方によってその移動部の移動情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ装置であって、その第1検出部及びその第2検出部を間欠的に駆動するとともに、その第2検出部の駆動周期をその第1検出部の駆動周期よりも長くする制御部を備えるエンコーダ装置が提供される。
【0005】
第2の態様によれば、移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第1検出信号を出力する第1検出部と、その移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第2検出信号を出力する第2検出部と、その第1検出信号によってその移動部の移動情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ装置であって、その第1検出信号とその第2検出信号の状態により、その第2検出信号を用いてその移動情報を求める制御部を備えるエンコーダ装置が提供される。
第3の態様によれば、移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出してその移動部の移動に関して互いに位相の異なる第1検出信号と第2検出信号とを出力する検出部と、その移動部の移動によるその第1検出信号とその第2検出信号との組み合わせの変化によってその検出部の異常を検知する制御部と、を備えるエンコーダ装置が提供される。
【0006】
第4の態様によれば、第1~第3の態様のエンコーダ装置と、その移動部に動力を供給する動力供給部と、を備える駆動装置が提供される。
第5の態様によれば、移動物体と、その移動物体を移動させる第3の態様の駆動装置と、を備えるステージ装置が提供される。
第6の態様によれば、第4の態様の駆動装置と、その駆動装置によって相対移動するアームと、を備えるロボット装置が提供される。
第7の態様によれば、移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第1検出信号を出力する第1検出部と、その移動部に光を照射し、その移動部からの光を検出して第2検出信号を出力する第2検出部と、その第1検出信号及びその第2検出信号の少なくとも一方によってその移動部の移動情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ装置の制御
方法であって、その第1検出部及びその第2検出部を間欠的に駆動するとともに、その第2検出部の駆動周期をその第1検出部の駆動周期よりも長くすることを含むエンコーダ装置の使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
【
図2】(A)は
図1中のディスク及び検出部を示す平面図、(B)は
図1中の検出部及び検出回路部等を示す図である。
【
図3】(A)は
図2(B)の4つの検出信号の一例を示す図、(B)は
図2(B)の2つの発光素子の発光タイミングの一例を示す図、(C)は
図2(B)の2つの検出部の検出信号のステートの変遷を示す図、(D)は
図2(B)の2つの発光素子の発光タイミングの別の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態のエンコーダ装置の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図4の使用方法における検出信号のステートの変化の一例を示す図である。
【
図6】(A)は変形例のディスク及び検出部を示す平面図、(B)は
図6(A)の検出部から得られる4つの検出信号の一例を示す図、(C)は
図6(A)の検出部の発光素子の発光タイミングの一例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】(A)は4つの検出信号の変化の一例を示す図、(B)は2つの発光素子の発光タイミングの一例を示す図である。
【
図9】(A)は第3の実施形態のディスク及び検出部を示す平面図、(B)は
図9(A)の検出部等を示す図である。
【
図10】(A)は
図9(B)の検出部から得られる4つの検出信号の一例を示す図、(B)は
図9(B)の発光素子の検出信号の一例を示す図、(C)は
図9(B)の検出部の発光素子の発光タイミングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
第1の実施形態につき
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す。
図1において、エンコーダ装置ECは、モータM(動力供給部)の回転軸SF(移動部)の回転位置情報を検出する。回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部26に供給される。モータ制御部26の制御部27は、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転(例えば、回転位置、回転速度など)を制御する。モータ制御部26は、回転軸SFの回転を制御する。
【0009】
エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転位置情報を検出する位置検出系(位置検出ユニット)2を備える。エンコーダ装置ECは、いわゆる多回転アブソリュートエンコーダである。位置検出系2は、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報を検出する多回転情報検出部3、及び1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する角度検出部4を備える。
【0010】
位置検出系2の少なくとも一部(例えば角度検出部4)は、一例として、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例えば駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の電源(以下
、主電源という。)が電力を供給している状態で、その主電源(第1電源)から電力の供給を受けて動作する。また、位置検出系2の少なくとも一部(例えば多回転情報検出部3)は、一例として、その主電源が電力を供給している状態(電源オンの状態)、及びその主電源が電力を供給していない状態(電源オフの状態、又はバックアップ状態等)で、バッテリ15(第1電源)から電力の供給を受けて動作する。
【0011】
バッテリ15は、一例として一次電池(ボタン電池等)及び充電可能な二次電池を有する。バッテリ15には切替部16が接続されている。モータ制御部26の電源部MCEはその主電源の一部である。電源部MCEが電力を供給している状態(電源オンの状態)では、電源部MCEはバッテリ15の二次電池に充電を行っている。そして、切替部16は、二次電池からの電力を多回転情報検出部3に供給する。一方、電源部MCEが電力の供給を行っていない状態(電源オフの状態)では、その二次電池への充電は行われない。この状態で二次電池の残存電力が多いときには、切替部16はその二次電池からの電力を多回転情報検出部3に供給してもよい。また、電源オフで二次電池の残存電力が少ないときには、切替部16はその一次電池からの電力を多回転情報検出部3に供給してもよい。このため、電源オフの状態でも、位置検出系2(多回転情報検出部3)は、回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(ここでは多回転情報)を検出することができる。
【0012】
多回転情報検出部3は、一例として光学式で多回転情報を検出する。多回転情報検出部3は、回転軸SFに連結された円板状のディスク6に形成された多回転情報検出用のパターン8Sを検出する第1検出部10A、パターン8Sを異なる位置で検出する第2検出部10B、及び検出信号処理部12を有する。検出信号処理部12は、検出回路部13、例えば不揮発性メモリよりなる記憶部14、並びに上述のバッテリ15及び切替部16を有する。ディスク6は、回転軸SFに取り付けられた円板5にボルト17(
図2(A)参照)によって固定されている。円板5は回転軸SFとともに回転するため、ディスク6は回転軸SFと連動して回転する。検出信号処理部12において、検出回路部13は、検出部10A,10Bの検出信号を処理して回転軸SFの回転位置情報(多回転情報等の移動情報)を検出する。記憶部14は、検出回路部13が検出した回転位置情報を記憶する。
【0013】
角度検出部4は、一例として光学式のエンコーダであり、ディスク6の一回転内の位置情報(角度位置情報)を検出する。例えば光学式エンコーダであるとき、角度検出部4は、ディスク6の角度位置検出用のパターン9Sからの光を検出する第1検出部11A、パターン9Sからの光を異なる位置で検出する第2検出部11B、検出部11A,11Bの検出信号を処理して回転軸SFの1回転以内の角度位置を検出する検出回路部21を有する。パターン9Sは、例えばアブソリュートスケール及びインクリメンタルスケールを含む。なお、角度検出部4に関しては、第2検出部11Bを省略することもできる。
【0014】
検出回路部21は、例えばアブソリュートスケールからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置を検出する。また、検出回路部21は、インクリメンタルスケールからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置を検出する。また、ディスク6は、例えば円板5と一体化された部材であってもよい。また、多回転情報検出部3及び角度検出部4は、それぞれ例えば反射型の光学式であるが、それらを透過型の光学式のエンコーダで構成してもよい。
【0015】
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号合成部22を備える。信号合成部22は、位置検出系2による検出結果を演算して処理する。信号合成部22は、合成部23及びデータ通信部24を備える。合成部23は、検出回路部21が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部23は、多回転情報検出部3の記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部23は、検出回路部21からの角度位置情報、
及び多回転情報検出部3からの多回転情報を合成して回転位置情報を算出する。例えば、検出回路部21の検出結果がθ(rad)であり、多回転情報検出部3の検出結果がn回転である場合に、合成部23は、回転位置情報として(2π×n+θ)(rad)を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
【0016】
合成部23は、回転位置情報をデータ通信部24に供給する。データ通信部24は、有線または無線によって、モータ制御部26の通信部MCCと通信可能に接続されている。データ通信部24は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部26の通信部MCCに供給する。モータ制御部26の制御部27は、データ通信部24からの回転位置情報を例えば所定のサンプリングレートで取得する。制御部27は、その回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
【0017】
次に、本実施形態の多回転情報検出部3につき説明する。
図2(A)は
図1中のディスク6及び検出部10A,10Bを示す平面図、
図2(B)は
図1中の多回転情報検出部3の検出部10A,10B及び検出回路部13等を示す図である。
図2(A)に示すように、ディスク6の表面には、回転中心の回りに同心円状の4つの輪帯をそれぞれ1/2にした形状の反射性の第1パターン8A、第2パターン8B、第3パターン8C、及び第4パターン8Dが形成されている。すなわち、パターン8A~8Dはそれぞれ開き角が180°の半輪帯状のパターンであり、第1パターン8Aの直径が最も大きく、第2パターン8B、第3パターン8C、及び第4パターン8Dの順に直径が次第に小さく設定されている。また、第2パターン8Bはその回転中心の回りに第1パターン8Aを180°回転した配置であり、第3パターン8C及び第4パターン8Dはそれぞれその回転中心の回りに第1パターン8A及び第2パターン8Bを時計回りに90°回転した配置である。パターン8A~8Dが
図1のパターン8Sに対応している。パターン8A~8Dの外側には
図1の角度検出部4用のパターン9Sが形成されている。
【0018】
また、第1検出部10Aは、パターン8A~8Dに対向するように配置され、第2検出部10Bは、第1検出部10Aをその回転中心の回りに時計回りに90°回転した位置に配置されている。
図2(B)に示すように、第1検出部10Aは、パターン8A~8Dに検出用の光を照射する発光ダイオード(以下、LEDという)31と、パターン8A,8B,8C,8Dからの反射光を受光する受光素子32A,32B,32C,32Dとを有する。さらに、第1検出部10Aは、受光素子32A,32Bから出力される信号の差分をデジタル化した検出信号MA1を求めるアナログコンパレータ33Aと、受光素子32C,32Dから出力される信号の差分をデジタル化した検出信号MB1を求めるアナログコンパレータ33Bとを有する。検出信号MA1及びMB1は検出回路部13の計数器40に供給される。検出信号MA1及びMB1は、
図3(A)に示すように、ディスク6が1回転(回転角が360°)する期間を1周期とする矩形波信号であり、検出信号MA1に対して検出信号MB1の位相は90°シフトしている。なお、
図3(A)及び(B)の横軸は時間tである。
【0019】
同様に、第2検出部10Bは、パターン8A~8Dに検出用の光を照射する発光ダイオード(以下、LEDという)34と、パターン8A,8B,8C,8Dからの反射光を受光する受光素子35A,35B,35C,35Dとを有する。なお、LED31,34の代わりに半導体レーザ等の任意の発光素子を使用できる。受光素子32A~32D,35A~35Dとしては例えばフォトダイオードを使用できる。
【0020】
さらに、第2検出部10Bは、受光素子35A,35Bから出力される信号の差分をデ
ジタル化した検出信号MA2を求めるアナログコンパレータ36Aと、受光素子35C,35Dから出力される信号の差分をデジタル化した検出信号MB2を求めるアナログコンパレータ36Bとを有する。検出信号MA2及びMB2も検出回路部13の計数器40に供給される。検出信号MA2及びMB2は、
図3(A)に示すように、ディスク6が1回転する期間を1周期とする矩形波信号であり、検出信号MA2に対して検出信号MB2の位相は90°シフトしている。さらに、本実施形態では、第2検出部10Bの位置が第1検出部10Aの位置に対して90°異なっている。このため、
図3(A)に示すように、検出信号MA1,MB1に対して検出信号MA2,MB2の位相は90°(1周期の1/4)シフトしている。一例として、検出信号MA2の位相は検出信号MB1の位相とほぼ等しく、検出信号MB2の位相は検出信号MA1の位相とほぼ180°異なっている。なお、一例として、
図3(A)の検出信号MA1~MB2の変化は、
図2(A)のディスク6を反時計回り(以下、順方向という)に回転したときに得られるものである。
【0021】
図2(B)において、検出回路部13は、計数器40と、予め定められた周期のパルス信号PSを出力する発振回路38と、パルス信号PSを用いてLED31及び34を間欠的に発光させる発光制御部39とを有する。一例として発光制御部39は、パルス信号PSの周期の所定の整数倍の周期TAの駆動信号31LでLED31を発光させるとともに、その周期TAよりも長い周期TBの駆動信号34LでLED34を発光させる。
図3(B)に示すように、一例として駆動信号34Lの周期TBは駆動信号31Lの周期TAの2倍である。このようにLED31,34を間欠的に発光させることによって、第1検出部10A,10Bでの消費電力を抑制できる。
【0022】
また、発光制御部39は、駆動信号31Lと同じタイミングで変化する第1検出部10A用のサンプリング信号SSA、及び駆動信号34Lと同じタイミングで変化する第2検出部10B用のサンプリング信号SSBを計数器40に供給する。計数器40では、サンプリング信号SSAに同期して検出信号MA1及びMB1を読み込み、サンプリング信号SSBに同期して検出信号MA2及びMB2を読み込む。なお、
図3(A)等では説明の便宜上、検出信号MA1~MB2は連続的な矩形波信号として表されているが、実際には検出信号MA1~MB2はその矩形波信号から駆動信号31L及び34Lの部分を抜き出した間欠的な信号である。また、本明細書では、一例としてLED31,34を間欠的に発光させるとともに、サンプリング信号SSA,SSBに同期して検出信号MA1~MB2を読み込むことが、検出部10A,10Bを間欠的に駆動することを意味する。また、発光制御部39は、LED31,34を連続点灯させて、周期的に変化するサンプリング信号SSA,SSBを計数器40に供給することによって、計数器40における検出信号MA1~MB2の検出周期(信号検出周期)を制御するものであってもよい。
【0023】
第1検出部10Aが正常に動作している状態では、計数器40は、第1検出部10Aから読み込まれた検出信号MA1,MB1を用いて回転軸SFの多回転情報(回転数など)を求めることができる。例えば検出信号MA1がローレベルからハイレベルに移行したときに検出信号MB1がローレベルの場合(順方向の回転の場合)には計数器40はアップ信号を記憶部14に出力する。一方、検出信号MA1がローレベルからハイレベルに移行したときに検出信号MB1がハイレベルの場合(逆方向の回転の場合)には計数器40はダウン信号を記憶部14に出力する。記憶部14では、そのアップ信号又はダウン信号に応じてそれまでに記憶されている回転数を増減することによって、回転軸SFの回転数(多回転情報)が求められる。さらに、第2検出部10Bが正常に動作している状態では、計数器40は、第2検出部10Bから読み込まれた検出信号MA2,MB2を用いて回転軸SFの多回転情報を求めることができる。本実施形態では、例えば第1検出部10Aが正常に動作しなくなった場合には、第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2を用いて回転軸SFの多回転情報を求めることによって、多回転情報を高精度に求めることができる。
【0024】
次に、本実施形態のエンコーダ装置ECの使用方法の一例につき
図4のフローチャートを参照して説明する。その使用方法においては一例として計数器40が検出部10A,10Bが正常に動作しているかどうかを判定する。その際に、計数器40は例えば検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2のステートの遷移状態を調べる。
図3(A)に示すように、検出信号MA1,MB1の組み合わせには、MA1がハイレベル(以下、Hで表す)でMB1がローレベル(以下、Lで表す)となるステート1(ST1)、MA1,MB1が(H,H)となるステート2(ST2)、MA1,MB1が(L,H)となるステート3(ST3)、及びMA1,MB1が(L,L)となるステート4(ST4)がある。同様に、検出信号MA2,MB2の組み合わせには、MA2,MB2が(L,L)となるステート1(ST1)、MA2,MB2が(H,L)となるステート2(ST2)、MA2,MB2が(H,H)となるステート3(ST3)、及びMA2,MB2が(L,H)となるステート4(ST4)がある。検出信号MA1,MB1の周期をT1とすると、各ステートの周期T2はT1/4である。周期T2は、検出信号MA1,MB1の位相差である90°の位相に相当する期間である。原則として、検出信号MA1,MB1がステート1~4であれば、検出信号MA2,MB2も同じステート1~4である。なお、計数器40の代わりに発光制御部39が検出部10A,10Bが正常に動作しているかどうかを判定してもよい。又は、計数器40及び発光制御部39が協働して検出部10A,10Bが正常に動作しているかどうかを判定してもよい。
【0025】
図2(A)のディスク6が順方向に回転する場合には、
図3(C)に示すように、検出信号MA1,MB1のステートの遷移18A及び検出信号MA2,MB2のステートの遷移18Bは、ステート1、ステート2、ステート3、ステート4、ステート1の順になる。ディスク6が逆方向(時計回り)に回転する場合には、ステートの遷移18A及び18Bは、ステート1、ステート4、ステート3、ステート2、ステート1の順になる。この検出信号MA1~MB2が正常な場合のステートの遷移18A,18Bのパターンは、計数器40内のROM等の記憶部に記憶されている。ただし、例えば検出信号MA1,MB1がステート1とステート2との境界付近にあるような場合には、検出信号MA1,MB1がステート2に遷移しても検出信号MA2,MB2がステート1にあるというように、検出信号MA1,MB1及び検出信号MA2,MB2のステートが異なることもある。計数器40では、一例として検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2のステート遷移を
図3(C)のパターンと比較することによって、検出部10A,10Bの異常の有無を判定できる。
【0026】
図4のステップ102において、発光制御部39は、第1検出部10AのLED31の点灯周期を
図3(B)に示す時点t1で第1周期TAに設定する。検出信号MA1,MB1の周期T1が、回転軸SFが予測される最高回転速度で回転しているときの周期であるとする。このとき、LED31の第1周期TAは、次式のように検出信号MA1,MB1の周期T2の各ステート内(言い替えると、検出信号MA1,MB1の位相差である位相90°に相当する期間)でLED31が少なくとも2回発光するように設定される。これによって、検出信号MA1,MB1の各ステートの周期T2がわずかに変動しても、計数器40は、検出信号MA1,MB1のステートの遷移18Aを正確に検出できる。
【0027】
TA<T2/2=T1/8 …(1)
そしてステップ104において、発光制御部39は、第2検出部10BのLED34を
図3(B)に示す第2周期TBで間欠的に点灯する。次式のように、周期TBは周期TAの1倍より大きくかつ周期TAの2倍以下である。一例として、周期TBは周期TAの2倍に設定してもよい。
【0028】
TA<TB≦2TA …(2)
これは、第2検出部10BのLED34は、検出信号MA2,MB2の周期T2の各ステート内で少なくとも1回発光することを意味する。これによって、計数器40は、検出信号MA2,MB2のステートの遷移18Bを正確に検出できる。検出信号MA1~MB2が正常であれば、駆動信号31L,34Lは
図3(B)のようにそれぞれ一定の周期で出力される。
また、ステップ106において、計数器40はサンプリング信号SSAに同期して検出信号MA1,MB1を読み込み、サンプリング信号SSBに同期して検出信号MA2,MB2を読み込む。計数器40は、読み込んだ検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2のステートの番号(1~4)を記憶する。ここでは、
図5(A)に示すように、検出信号MA1,MB1のステートは1、検出信号MA2,MB2のステートも1であるとする。
図5(A)~(E)は、第1検出部10Aに異常があり、検出信号MB1が常時ローレベル(L)になる例を示している。なお、
図5(A)~(E)において、検出信号MA1,MA2の
図3(C)のステート2及び3に対応するステートでは検出信号MB1のレベルが異なっている。このため、
図5(A)~(E)において、
図3(C)のステート2及び3に対応する検出信号MA1,MA2のステートをそれぞれステート2A及び3Aと表示している。
【0029】
さらに、ステップ108において、計数器40は検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を読み込み、2組の検出信号のステートの番号を求める。そして、ステップ110において、計数器40は、読み込んだ複数回の第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1を用いて回転軸SFの多回転情報(回転情報)を求めて記憶部14に記憶させる。なお、その多回転情報を求める際に、検出信号MA2,MB2を用いてもよい。また、ステップ112において、計数器40はステップ108で求めた検出信号MA1,MB1のステートと、検出信号MA2,MB2のステートとを比較する。次のステップ114において、その2つのステートの番号が一致している場合には、検出信号MA1,MB1及び検出信号MA2,MB2は正常であると判定して動作はステップ108に戻り、回転情報の検出を継続する。
【0030】
一方、ステップ114において、
図5(B)に示すように、その2つの検出信号のステートが異なる場合には、検出信号MA1,MB1又はMA2,MB2に異常があるとみなして、動作はステップ116に移行する。この場合、
図5(B)に示すように、検出信号MA2,MB2がステート2(H,L)に遷移したとしても、検出信号MA1,MB1のステート2Aのレベル(H,L)はステート1のレベルと同じである。すなわち、検出信号MA1,MB1はステート1にあるとみなせるため、ステートの遷移18A及び18B間で不一致が生じている。これに応じてステップ116において、計数器40は、第1検出部10A及び第2検出部10Bの少なくとも一方が異常であることを示すために、発光制御部39に供給しているアラーム信号AS0をハイレベルに設定する。そして、発光制御部39は、
図3(D)に示すように、時点t2で第2検出部10BのLED34の点灯周期を第1周期TA(LED31と同じ点灯周期)に設定する。これは、第1検出部10Aに異常がある可能性があるため、予め検出信号MA2,MB2を用いて回転情報の検出を行う場合に備えたものである。そして、ステップ118において、計数器40は検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を読み込み、2組の検出信号のステートの番号を求める。
【0031】
次のステップ120において、計数器40は、ステップ112と同様に検出部10A,10Bの検出信号のステートの遷移を比較し、第1検出部10Aのステートの遷移18Aが予測通りか否かを判定する。ステートの遷移18Bが
図5(A)(ステート1)から
図5(C)(ステート2)に移行した後、
図5(D)(ステート1)に移行する場合には、第2検出部10Bのステートがステート1とステート2との境界付近で変動していたのみで、第1検出部10Aのステートがステート1に停止していたのは問題ない、すなわち検
出信号MA1,MB1のステートの遷移18Aは予測通りであると判定できる。この際に動作はステップ122に移行し、計数器40は、第2検出部10Bのステートの遷移18Bが予測通りか否かを判定する。ここではステートの遷移18Bが予測通りであるため、動作はステップ124に移行し、計数器40はアラーム信号AS0をローレベルに戻す。そして、発光制御部39は、
図3(D)の時点t3で第2検出部10BのLED34の点灯周期を第2周期TBに戻す。この後、ステップ126で、検出部10A,10Bのうちの例えば第1検出部10Aの検出信号を用いる回転情報の検出が継続される。
【0032】
一方、ステップ122で第2検出部10Bのステートの遷移18Bが予測通りでない場合、例えばステートの遷移18Bがステート1からステート2,4を経ることなくステート3に移行したような場合には、動作はステップ128に移行する。この場合には第2検出部10Bに異常があると判定されるため、計数器40は発光制御部39に供給している第2検出部10B用のアラーム信号AS2をハイレベルに設定する。これに応じて発光制御部39は第2検出部10BのLED34を消灯する。そして、ステップ130において、第1検出部10Aの検出信号を用いる回転情報の検出が継続される。この際にLED34は消灯しているため、電力消費量が抑制できる。
なお、ステップ128において、計数器40は、アラーム信号AS2をハイレベルに設定するとともに、
図1のモータ制御部26の制御部27に、第2検出部10Bのみが異常であるが、回転情報の検出は可能であることを示す第2検出部10Bのアラーム情報(不図示)を供給してもよい。これに応じて、一例として管理者(不図示)は次のメンテナンスの機会に第2検出部10Bの交換等を行うことができる。
【0033】
また、ステップ120で第1検出部10Aのステートの遷移18Aが予測通りでない場合には、動作はステップ132に移行する。ステートの遷移18A,18Bが例えば
図5(C)から
図5(E)に移行した場合、第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2は(H,H)であり、ステート3に移行しているが、第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1は(L,L)はステート3Bすなわちステート4を示している。この際に、第2検出部10Bはステート1からステート2を経てステート3に移行しているために正常であると判定し、第1検出部10Aはステート1から突然にステート4に移行しているため、第1検出部10Aのステートの遷移18Aは予測通りでない(またステートも一致していない)、すなわち第1検出部10Aが異常であると判定できる。そして、ステップ132で、第2検出部10Bのステートの遷移18Bが予測通りである場合には、第2検出部10Bが正常であるため、動作はステップ134に移行して、計数器40は発光制御部39に供給している第1検出部10Aに関するアラーム信号AS1をハイレベルに設定する。そして、発光制御部39は第1検出部10AのLED31を消灯する。次のステップ136において、第2検出部10Bの検出信号を用いる回転情報の検出が行われる。この際にLED31は消灯しているため、電力消費量が抑制できる。
なお、ステップ134において、計数器40は、アラーム信号AS1をハイレベルに設定するとともに、制御部27に、第1検出部10Aのみが異常であるが、回転情報の検出は可能であることを示す第1検出部10Aのアラーム情報(不図示)を供給してもよい。これに応じて、一例として管理者(不図示)は次のメンテナンスの機会に第1検出部10Aの交換等を行うことができる。
【0034】
一方、ステップ132で第2検出部10Bのステートの遷移18Bが予測通りでない場合には、第2検出部10Bも異常であるため、動作はステップ138に移行して、計数器40はアラーム信号AS1及びAS2をともにハイレベルに設定する。このとき、発光制御部39では、検出部10A及び10Bがともに異常であることを示すアラーム情報(不図示)を
図1のモータ制御部26の制御部27に供給する。そして、発光制御部39はLED31,34の発光を停止し、例えば制御部27は管理者(不図示)にそのアラーム情報を受信した旨を知らせる。これに応じてその管理者は例えば検出部10A,10Bのメ
ンテナンス(交換等)を行うことができる。
【0035】
この動作によれば、2つの検出部10A,10Bを備えているため、一方の検出部10A,10Bに異常が生じた場合には、他方の検出部10A,10Bで回転情報の検出を継続できる。また、例えば第1検出部10Aの検出信号を用いて回転情報を検出している際には、第2検出部10BのLED34を、第1検出部10AのLED31の点灯周期TAの例えば2倍の周期TBで間欠的に点灯して検出部10A,10Bの異常の有無を判定しているため、消費電力を抑制できる。このため、バッテリ15の交換等のメンテナンスの頻度を少なくできる。
【0036】
上述のように、本実施形態のエンコーダ装置ECは、回転軸SF(移動部)のディスク6に光を照射してディスク6からの光を検出して検出信号MA1,MB1(第1検出信号)を出力する第1検出部10Aと、ディスク6に光を照射してディスク6からの光を検出して検出信号MA2,MB2(第2検出信号)を出力する第2検出部10Bと、検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2の少なくとも一方によって回転軸SFの多回転情報(移動情報)を求める計数器40(演算部)と、を備えるエンコーダ装置である。そして、エンコーダ装置ECは、第1検出部10A及び第2検出部10Bを間欠的に駆動(点灯)するとともに、第2検出部10Bの駆動周期TB(LED34の点灯周期)を第1検出部10Aの駆動周期TA(LED31の点灯周期)よりも長くする発光制御部39(制御部)を備えている。一例として、検出部10Aの駆動周期とは、LED31の点灯周期及び受光素子32A~32Dのサンプリング周期を意味している。また、エンコーダ装置ECの使用方法は、第1検出部10A及び第2検出部10Bを間欠的に駆動するとともに、回転軸SFの多回転情報を求める期間の少なくとも一部で、第2検出部10Bの駆動周期TBを第1検出部10Aの駆動周期TAよりも長くするステップ102,104を含んでいる。
【0037】
本実施形態によれば、2つの検出部10A,10Bを備えているため、仮に一方の検出部に異常が生じても他方の検出部の検出信号を使用することによって、回転軸SFの回転位置情報の検出結果の精度又は信頼性を向上できる。また、LED31及びLED34を間欠的に駆動しているため、使用電力を抑制できる。さらに、少なくとも一部の期間でLED34の駆動周期(点灯周期)をLED31の駆動周期よりも長くしているため、使用電力をさらに抑制できる。
【0038】
また、本実施形態において、LED31の駆動周期TAを回転軸SFの予測される最高回転速度の1周期の1/8以下(検出信号MA1,MB1の位相差(90°)の1/2以下)に設定し、かつLED34の駆動周期TBをLED31の駆動周期TAの1倍より大きく2倍以下に設定した場合には、検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2の各ステート内でそれぞれ少なくとも2回又は1回、検出信号MA1~MB2及びMA2,MB2のサンプリングを行うことができる。このため、その2組の検出信号のステートの遷移を正確に検出することができ、使用中に2つの検出部10A,10Bのどちらかに異常が生じた場合に、その異常の発生を正確に認識可能であるとともに、使用電力をさらに抑制できる。
【0039】
なお、上述の実施形態では以下のような変形が可能である。まず、上述の実施形態の
図4のステップ110において、検出信号MA1,MB1が正常であれば、計数器40は検出信号MA1,MB1(第1検出信号)のみを用いて回転軸SFの多回転情報を求めてもよい。この際に、LED31は連続に点灯し、LED34は消灯していてもよい。そして、例えばステートの遷移18A,18Bの比較によって、第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1が正常でないことが分かった場合には、ステップ136において、計数器40は検出信号MA2,MB2(第2検出信号)を用いて回転軸SFの多回転情報を求めて
もよい。この際に、LED34を連続に点灯し、LED31は消灯していてもよい。この動作によって、使用電力を抑制して回転情報の信頼性を向上できる。
【0040】
次に、上述の実施形態では
図2(A)に示すように、第1検出部10Aと第2検出部10Bとの間の角度は90°である。これに対して、
図6(A)の変形例に示すように、ディスク6上で第1検出部10Aに対して180°の角度で第2検出部10Bを配置してもよい。この変形例では、ディスク6を回転したときに第1検出部10Aから得られる検出信号MA1,MB1が
図6(B)に示す2相の矩形波信号であるとする。このとき、第2検出部10Bから得られる検出信号MA2,MB2は、
図6(B)に示すように、例えば
図3(A)の対応する信号の位相を90°シフトさせた矩形波信号となる。言い替えると、検出信号MA2,MB2は検出信号MA1,MB1を1周期の1/2(180°)シフトさせた信号である。
【0041】
この変形例においては、ステート1(ST1)~ステート4(ST4)における検出信号MA1,MB1の組み合わせは
図3(A)の例と同じである。これに対して、ステート1~ステート4における検出信号MA2,MB2の組み合わせは、(L,H)、(L,L)、(H,L)及び(H,H)となり、
図3(A)の例とは異なっている。この変形例においても、通常は
図6(C)に示すように、第1検出部10AのLED31は周期TAの駆動信号31Lで点灯し、第2検出部10BのLED34は周期TBの駆動信号34Lで点灯する。そして、検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を読み込み、これらの信号のステートを比較することによって、回転軸SFの回転情報の検出、及び検出部10A,10Bの異常の有無の判定を行うことができる。
【0042】
また、上述の実施形態では、
図2(B)に示すように、2つの受光素子32A,32B及び32C,32Dの検出信号からアナログコンパレータ33A及び33Bを用いて2相の検出信号MA1,MB1を生成し、同様に4つの受光素子35A~35Dの検出信号から2相の検出信号MA2,MB2を生成している。これに対して、例えば受光素子32A及び32Cの検出信号と対応する参照信号との比較から2相の検出信号MA1,MB1を生成してもよい。2相の検出信号MA2,MB2も同様に生成できる。この場合には、
図2(A)のディスク6からパターン8B及び8Dを省略し、第1検出部10Aから受光素子32B,32Dを省略し、第2検出部10から受光素子35B,35Dを省略できるため、ディスク6の構成及び検出部10A,10Bの構成を簡素化できる。
【0043】
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき
図7及び
図8を参照して説明する。なお、
図7及び
図8において
図4及び
図3に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施形態のエンコーダ装置は、
図1及び
図2(A),(B)に示すエンコーダ装置ECと同じであり、エンコーダ装置ECの計測対象は
図1の回転軸SFである。以下、本実施形態のエンコーダ装置ECの使用方法の一例につき
図7のフローチャートを参照して説明する。その使用方法は回転軸SFが停止している場合にさらに消費電力を低減する方法を含む。
図8(A)は本実施形態の第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1及び第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2の変化の一例を示す。
図8(A)において、検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2はステート2(ST2)の状態が連続している。このように同じステートが継続している場合に、回転軸SFが停止しているとみなすことができる。
【0044】
まず、
図7のステップ102において、第1検出部10AのLED31が
図8(B)に示すように第1周期TAの駆動信号31Lで点灯され、ステップ104において、第2検出部10BのLED34が例えば2倍の第2周期TBの駆動信号34Lで点灯される。そして、ステップ106において、計数器40は検出信号MA1,MB1及びMA2,MB
2を読み込む。さらに、ステップ108において、計数器40は次の検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を読み込む。そして、ステップ110において、計数器40は、読み込んだ複数回の第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1を用いて回転軸SFの多回転情報(回転情報)を求めて記憶部14に記憶させる。なお、その多回転情報を求める際に、検出信号MA2,MB2を用いてもよい。
【0045】
次にステップ142において、計数器40は、第1検出部10A及び第2検出部10Bの前回及び今回読み込んだ検出信号のステートを比較する。そして、ステップ144において、2回の検出信号のステートが一致していない場合には、回転軸SFが回転しているものとみなして、動作はステップ108に戻る。一方、ステップ144において、
図8(A)の2回目のステート2(ST2)のように、2回の検出信号のステートが一致している場合には、回転軸SFが停止しているものとみなして、動作はステップ146に移行する。そして、計数器40は、発光制御部39に供給している静止状態信号AS3をハイレベルに設定する。これに応じて、
図8(B)の時点t4に示すように、発光制御部39は駆動信号34Lを連続的にローレベルにすることによって、第2検出部10BのLED34を消灯する。さらに、回転軸SFが停止しているため、駆動信号31Lの周期を第2周期TBに広く設定して、第1検出部10AのLED31を第2周期TBで点灯してもよい。なお、LED34を消灯する代わりに、LED34の点灯周期を例えば周期TBの2倍又は3倍等の整数倍のように、周期TBより長く設定するのみでもよい。
【0046】
そして、ステップ148で、計数器40は、第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1を読み込み、ステップ150で2回(今回及び前回)の検出信号MA1,MB1のステートの番号が一致するかどうか、すなわち回転軸SFの停止が継続しているか否かを調べる。2回のステートが一致する場合には、ステップ148に移行して第1検出部10Aの検出信号の読み込みを行う。また、ステップ150において、
図8(A)の時点t5(ステート2からステート3に移行するとき)のように、2回のステートが一致していない場合には、動作はステップ152に移行する。この場合には、計数器40は静止状態信号AS3をローレベルに戻すが、回転軸SFの回転速度が急速に速くなる可能性がある。そこで、発光制御部39は、駆動信号31L及び34Lを周期TAより短い周期に設定することによって、検出部10A,10BのLED31,34を第1周期TAより短い周期で点灯する。そして、ステップ154において、計数器40は点灯周期に対応するサンプリング信号SSA,SSBに同期して第1検出部10Aの検出信号MA1,MB1(又は第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2)を読み込む。そして、ステップ156において、計数器40は読み込んだ検出信号MA1,MB1等を用いて回転軸SFの回転情報を算出し、求めた回転情報を記憶部14に記憶させる。その後、一例として
図4のステップ112に移行して、第1検出部10A又は第2検出部10Bのどちらに異常があるかを判定する。なお、ステップ112に移行する代わりに、
図7のステップ154に戻ってもよい。
【0047】
本実施形態のエンコーダ装置ECの使用方法によれば、第1検出部10A及び第2検出部10Bの検出信号のステート(状態の組合せ)が一定の状態で周期TB(所定期間)が経過したとき、回転軸SFが静止していることを示す静止状態信号AS3をハイレベルに設定するステップ146と、その静止状態信号AS3に応じて第2検出部10BのLED34の駆動周期をさらに長くするステップ146とを有する。このように回転軸SFが停止した場合には、第2検出部10BのLED34を消灯するか、又は点灯周期を長く設定しているため、回転情報の検出結果の信頼性を低下させることなく消費電力をさらに抑制できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、回転軸SFが回転を開始したときには、第1検出部10A及び第2検出部10BのLED31,34を第1周期TAより短い周期で点灯させている
(ステップ152)。このため、回転軸SFの回転速度が急激に増加しても、多回転情報等を高精度に検出することができる。
なお、本実施形態では、ステップ144において、検出部10A,10Bの検出信号のステートが同じ状態が2回継続したときに回転軸SFが停止していると判定している。しかしながら、その検出信号のステートが同じ状態が例えばn回(nは3以上の所定の整数)継続したときに、回転軸SFが停止していると判定してもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、計数器40が検出信号MA1~MB2を用いて多回転情報を求めているが、検出信号MA1~MB2に異常がないときには、計数器40は検出信号MA1,MB1(第1の検出信号)を用いて多回転情報を求めてもよい。そして、第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2を発光制御部39にも供給しておき、例えば計数器40で検出信号MA1,MB1に異常があると判定した場合に、計数器40からのアラーム信号に応じて発光制御部39(制御部)が第2検出部10Bの検出信号MA2,MB2(第2の検出信号)を用いて多回転情報を求めてもよい。
また、第2検出部10Bにおいては、LED34からの光の照射、及び検出信号MA2,MB2の発光制御部39による検出の少なくとも一方を間欠的な駆動周期で行うようにしてもよい。
また、計数器40は、第1及び第2の検出信号の組み合わせの変化によって検出部10A,10Bの異常を検知する制御部とみなすことも可能である。
【0050】
[第3の実施形態]
第3の実施形態につき
図9及び
図10を参照して説明する。なお、
図9及び
図10において
図2及び
図3に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図9(A)は本実施形態のエンコーダ装置ECAのディスク6及び検出部10C,10Dを示す平面図、
図9(B)はエンコーダ装置ECAの検出部10C,10D及び検出回路部13等を示す図である。
図9(A)において、ディスク6の表面にはパターン8A~8Dの内側に、パターン8A~8Dと同心円状に反射性の輪帯状のパターン8Eが形成されている。また、ディスク6に対向するように、第1検出部10Cに対して90°の角度間隔で第2検出部10Dが配置されている。
【0051】
図9(B)において、第1検出部10Cは、ディスク6のパターン8A~8D及びパターン8Eを照明するLED31と、パターン8A~8Dからの反射光を受光する受光素子32A~32Dと、パターン8Eからの反射光を受光する受光素子32Eとを有する。パターン8Eは連続した輪帯状であるため、受光素子32Eの検出信号は、LED31が発光している期間は高レベルである。このため、受光素子32Eの検出信号をLED31の発光信号31LSと称する。発光信号31LSは計数器40Aに供給される。計数器40Aは発光信号31LSからLED31の異常の有無を認識できる。第1検出部10Cのこの他の構成は
図2(B)の第1検出部10Aと同様であり、計数器40Aには検出信号MA1,MB1も供給されている。
【0052】
また、第2検出部10Dは、ディスク6のパターン8A~8D及びパターン8Eを照明するLED34と、パターン8A~8Dからの反射光を受光する受光素子35A~35Dと、パターン8Eからの反射光を受光する受光素子35Eとを有する。受光素子32Eの検出信号は、LED34が発光している期間は高レベルである。受光素子32Eの検出信号(以下、LED34の発光信号と称する)34LSは計数器40Aに供給される。計数器40Aは発光信号34LSからLED34の異常の有無を認識できる。第2検出部10Dのこの他の構成は
図2(B)の第2検出部10Bと同様であり、計数器40Aには検出信号MA2,MB2も供給されている。LED31,34は発光制御部39Aによって間欠的に発光される。
【0053】
計数器40Aは、サンプリング信号SSA,SSBに同期して検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を読み取り、読み取った検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2を処理して回転軸SFの多回転情報(回転情報)を求める。また、計数器40Aは、発光信号31LS又は34LSがローレベルになったときにはLED31又は34に異常があるものと判定し、それぞれ発光制御部39Aに供給されているアラーム信号AS4又はAS5をハイレベルに設定する。これに応じて発光制御部39Aはそれぞれ例えばLED31又は34の駆動電力を0にする。これによって無駄な電力の消費を抑制できる。この他の構成及び効果は第1の実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態のエンコーダ装置ECAの使用方法の一例につき
図10を参照して説明する。本実施形態においても、
図10(C)に示すように、LED31の駆動信号31Lの周期を第1周期TAに、LED34の駆動信号34Lの周期を第2周期TBに設定する。これによって、LED31及び34はそれぞれ第1周期TA及び第2周期TBで間欠的に発光する。その後、例えば時点t4で、検出信号MA1,MB1及びMA2,MB2が同じステート2(ST2)を繰り返した場合には、回転軸SFが停止したと判定し、LED31を第2周期TBで点灯し、LED34は消灯する。
【0055】
その後、例えば時点t6で発光信号31LSが常時ローレベルになった場合には、計数器40Aは第1検出部10CのLED31に異常が生じたものと判定し、アラーム信号AS4をハイレベルに設定する。この際に検出信号MA1,MB1のレベルは不定又は不安定になる可能性がある。これに応じて発光制御部39Aは、駆動信号31Lを常時ローレベルに設定してLED31を完全に消灯させ、駆動信号34Lを第2周期TBに設定してLED34を第2周期TBで点灯させる。さらに、計数器40は第2検出部10Dの検出信号MA2,MB2を用いて回転軸SFの多回転情報を求める。これによって、回転軸SFの停止中に仮に第1検出部10CのLED31の出力が低下したような場合に、第2検出部10DのLED34を間欠駆動して検出信号MA2,MB2を用いて回転軸SFの多回転情報を継続して検出できる。さらに、その後で時点t7で検出信号MA2,MB2のステートが変化して回転軸SFの回転が検出されたような場合には、駆動信号34Lの周期を短く設定して、LED34をより短い周期で点灯してもよい。
【0056】
上述のように本実施形態のエンコーダ装置ECAによれば、検出部10C,10DのLED31,34の出力をモニタする受光素子32E,35Eを設けたため、例えば故障等でLED31又は34の出力が低下した場合にはその出力の低下を認識できる。この場合、故障したLED31又は34に供給する電力を0にして、故障していないLED31又は34を間欠的に点灯することで、無駄な電力の消費を抑制できるとともに、回転軸SFの回転情報の検出を継続できる。また、本実施形態において、LED31及び34の出力が低下し、アラーム信号AS4及び5がともにハイレベルに設定された場合には、発光制御部39Aはエンコーダ装置ECAに異常がある旨のアラーム情報を
図1のモータ制御部26に送信してもよい。この後は例えば検出部10C,10Dの交換等のメンテナンスが行われる。
【0057】
なお、本実施形態においても、第1検出部10Cと第2検出部10Dとの間の角度を180°に設定してもよい。
なお、上述の実施形態においては、第1検出部10A,10C及び第2検出部10B,10DのLED31,34がともに間欠的に発光されているが、LED31,34の少なくとも一方を間欠的に発光させてもよい。また、LED31,34の一方を間欠的に発光させる場合、それらのうちの他方は連続的に発光させてもよい。この場合でも、消費電力を抑制できる。
【0058】
また、上述の実施形態において、位置検出系2は、位置情報として回転軸SF(移動部
)の回転位置情報(移動情報)を検出するが、移動情報として所定方向の位置、速度、加速度の少なくとも一つを検出してもよい。エンコーダ装置EC,ECAは、ロータリーエンコーダを含んでもよいし、リニアエンコーダを含んでもよい。また、エンコーダ装置EC,ECAは、反射型のエンコーダであるが、透過型のエンコーダであってもよい。
【0059】
[駆動装置]
駆動装置の一例について説明する。
図11は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。なお、エンコーダ装置ECの代わりにエンコーダ装置ECAを備えていてもよい(以下同様)。
【0060】
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してディスク6が固定される。このディスク6の固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
【0061】
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、
図1に示したモータ制御部26が本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリ交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
【0062】
[ステージ装置]
ステージ装置の一例について説明する。
図12は、ステージ装置STGを示す。このステージ装置STGは、
図11に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、回転テーブル(移動物体)TBを取り付けた構成である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
【0063】
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が回転テーブルTBに伝達される。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
【0064】
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリ交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
ロボット装置の一例について説明する。
図13は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、
図13には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
【0065】
第1アームAR1は、腕部91、軸受91a、及び軸受91bを備えている。第2アームAR2は、腕部92及び接続部92aを有する。接続部92aは、関節部JTにおいて、軸受91aと軸受91bの間に配置されている。接続部92aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて 軸受91aと軸受91bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受91bに挿入される側の端部は、軸受91bを貫通して減速機RGに接続されている。
【0066】
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。
図13に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのディスク6が取り付けられている。
【0067】
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部92aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力により、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
【0068】
ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリ交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
2…位置検出系、3…多回転情報検出部、4…角度検出部、6…ディスク、8A~8D…半輪帯状のパターン、8E…輪帯状のパターン、10A,10C…第1検出部、10B,10D…第2検出部、13…検出回路部、14…記憶部、15…バッテリ、22…信号合成部、26…モータ制御部、31,34…LED、32A~32E,35A~35E…受光素子、33A,33B,36A,36B…アナログコンパレータ、39,39A…発光制御部、40,40A…計数器、EC,ECA…エンコーダ装置、SF…回転軸、M…モータ、AR1…第1アーム、AR2…第2アーム、MTR…駆動装置、RBT…ロボット装置、STG…ステージ装置