(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ガス溶解液供給装置およびガス溶解液供給方法
(51)【国際特許分類】
B01F 21/00 20220101AFI20230308BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20230308BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20230308BHJP
C01B 13/11 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B01F21/00
B01F25/50
B01F35/71
B01F35/213
B01F35/221
C01B13/10 D
C01B13/11 Z
(21)【出願番号】P 2019104150
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕二
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敏史
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋一
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117364(JP,A)
【文献】特開2005-161284(JP,A)
【文献】特開2001-137862(JP,A)
【文献】特開2011-224519(JP,A)
【文献】特開2014-117628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-35/95
C02F 1/50、1/78
C01B 13/10
C01B 13/11
H01L 21/02041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス溶解液の原料となるガスを供給するガス供給部と、
前記ガス溶解液の原料となる液体を供給する液体供給部と、
前記液体供給部から供給された液体に前記ガス供給部から供給されたガスを溶解させてガス溶解液を生成するガス溶解部と、
前記ガス溶解部で生成されたガス溶解液が溜められるガス溶解液タンクと、
前記ガス溶解液タンクからユースポイントにガス溶解液を供給するための供給配管と、
前記ユースポイントに供給されるガス溶解液を前記ガス溶解部に戻すための戻し配管と、
前記戻し配管に設けられ、前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量を測定する流量測定部と、
前記戻し配管に設けられ、前記供給配管内の圧力を一定にする圧力調整部と、
前記戻し配管に設けられた前記流量測定部の測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整する流量調整部と、
を備え、
前記戻し配管は、前記ユースポイントの上流側で前記供給配管から分岐して、前記ガス溶解部へ接続されており、
前記ガス溶解部では、前記液体供給部から供給された液体と前記戻し配管から戻されたガス溶解液に、前記ガス供給部から供給されたガスを溶解させることにより、前記ガス溶解部から前記ガス溶解液タンクへ送られて前記ガス溶解液タンクに溜められるガス溶解液が生成される、ガス溶解液供給装置。
【請求項2】
前記供給配管には、前記ガス溶解液タンクから前記ユースポイントにガス溶解液を送り出すためのポンプが設けられ、
前記ポンプは、エアー駆動式のポンプで構成されている、請求項1に記載のガス溶解液供給装置。
【請求項3】
前記供給配管には、前記ユースポイントに供給されるガス溶解液の流量を測定する第2の流量測定部が設けられ、
前記流量調整部は、前記流量測定部の測定結果と前記第2の流量測定部の測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整する、請求項1または請求項2に記載のガス溶解液供給装置。
【請求項4】
前記戻し配管には、前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度を測定する温度測定部が設けられている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のガス溶解液供給装置。
【請求項5】
前記ガス溶解液タンクの圧力を0~100KPaに調整することができる
他の圧力調整部が設けられている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のガス溶解液供給装置。
【請求項6】
前記ガス溶解液の原料となるガスは、オゾンガスであり、
前記ガス溶解液の原料となる液体は、純水であり、
前記ガス溶解液は、オゾン水である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のガス溶解液供給装置。
【請求項7】
ガス溶解液供給装置で実行されるガス溶解液供給方法であって、
前記ガス溶解液供給方法は、
液体供給部から供給された液体にガス供給部から供給されたガスをガス溶解部で溶解させてガス溶解液を生成することと、
前記ガス溶解部で生成されたガス溶解液をガス溶解液タンクに溜めることと、
前記ガス溶解液タンクから前記ガス溶解液を供給配管を介してユースポイントに供給することと、
前記ユースポイントに供給されるガス溶解液を前記ガス溶解部に戻すための戻し配管において、前記ユースポイントに供給されるガス溶解液のうち前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量を測定することと、
前記戻し配管において、前記供給配管内の圧力を一定にする圧力調整を行うことと、
前記戻し配管における前記ガス溶解液の流量の測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整することと、
を含み、
前記戻し配管は、前記ユースポイントの上流側で前記供給配管から分岐して、前記ガス溶解部へ接続されており、
前記ガス溶解部では、前記液体供給部から供給された液体と前記戻し配管から戻されたガス溶解液に、前記ガス供給部から供給されたガスを溶解させることにより、前記ガス溶解部から前記ガス溶解液タンクへ送られて前記ガス溶解液タンクに溜められるガス溶解液が生成される、ガス溶解液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス溶解液供給装置およびガス溶解液供給方法に関し、特に、ガス溶解液の原料となる液体を節約するとともに、生成されるガス溶解液の濃度を一定にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス工場や液晶などの電子部品製造工場における製品の洗浄は、製造プロセスの複雑化、回路パターンの微細化に伴ってますます高度化している。例えば、「機能水」と呼ばれる超純水に高純度のガスまたは高純度ガスと薬品とを溶解した特殊な液体(以後「洗浄液」ともいう)の使用によってシリコンウエハに付着した微粒子、金属、有機物などを除去している。
【0003】
一方、洗浄処理方式としては、複数のシリコンウエハを同時に浸漬及び洗浄操作を繰り返すバッチ処理方式から、多品種少量生産の製品に対応して1枚のウエハごとに薬品洗浄及び超純水洗浄を行う枚葉処理方式が多く採用されるようになっている。枚葉処理方式は、バッチ処理方式と比べて、ウエハ1枚当たりの洗浄工程時間(以後「タクトタイム」ともいう)が長く、洗浄液の使用量が多くなるために、タクトタイムの短縮及び洗浄液使用量の低減が求められている。現状、短時間での効果的な洗浄及び洗浄液使用量を低減するためには、複数の機能水並びに薬品を単独または同時に使用して、短時間で洗浄工程を切り替える高度な洗浄プロセスが行われている。
【0004】
機能水としては、超純水にオゾンガスを溶解したオゾン水が用いられている。オゾン水は、一般的にオゾン水製造装置で製造される。洗浄プロセスの高度化及び複雑化に伴い、短時間での洗浄装置へのオゾン水の供給及び停止が要求される。しかしながら、オゾン水製造装置は一旦オゾン水の製造を停止した場合には、再度、要求オゾン濃度及び要求流量のオゾン水の供給が可能となるまでに一定の時間(以後「立ち上がり時間」ともいう)を要する。したがって、洗浄装置へのオゾン水の供給要求に応じるため、オゾン水をオゾン製造装置にて常時製造し、洗浄装置に連続的に供給している。このため、過剰のオゾン水が供給されることになり、シリコンウエハの洗浄に使用されない未使用のオゾン水は排水として洗浄装置から排出されている。オゾン水製造のために原料水として使用する超純水の使用量が大量であるため、従来、超純水の使用量を削減し、オゾン水供給装置内の循環経路中のオゾン水濃度を設定した濃度に保持するオゾン水製造装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオゾン水供給装置においては、ユースポイントで使用されなかったオゾン水は、オゾン水戻し配管を通って循環槽に戻されることになる。しかしながら、オゾンは自己分解するため、循環中にオゾン濃度が低下してしまうという事態が生じ得る。そのため、オゾン水供給装置において、超純水の使用量を削減することができるとともに、オゾン濃度を安定化できる技術の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ガス溶解液の原料となる液体を節約するとともに、生成されるガス溶解液の濃度を安定化することのできるガス溶解液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガス溶解液供給装置は、ガス溶解液の原料となるガスを供給するガス供給部と、前記ガス溶解液の原料となる液体を供給する液体供給部と、前記液体供給部から供給された液体に前記ガス供給部から供給されたガスを溶解させてガス溶解液を生成するガス溶解部と、前記ガス溶解部で生成されたガス溶解液が溜められるガス溶解液タンクと、前記ガス溶解液タンクからユースポイントにガス溶解液を供給するための供給配管と、前記ユースポイントに供給されるガス溶解液を前記ガス溶解部に戻すための戻し配管と、前記戻し配管に設けられ、前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量を測定する流量測定部と、前記戻し配管に設けられ、前記供給配管内の圧力を一定にする圧力調整部と、前記流量測定部の測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整する流量調整部と、を備えている。
【0009】
この構成によれば、ガス溶解部で液体(液体供給部から供給された液体)にガス(ガス供給部から供給されたガス)を溶解させることによって、ガス溶解液が生成されガス溶解液タンクに溜められる。ガス溶解液タンクからユースポイントに供給されるガス溶解液のうち、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量が測定され、戻し配管に設置された圧力調整部によって、ユースポイントへの供給配管内の圧力を一定にできる。また、測定結果に応じて液体供給部からガス溶解部に供給される液体の流量が調整される。これにより、ガス溶解部に供給される液体の節約が可能になる。
【0010】
そのうえ、ガス溶解部に供給される液体の流量(液体供給部から供給される液体の流量と、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量をあわせた総流量)を一定にすれば、ガス溶解部に供給するガスの流量を一定にすることにより、気液の接触時間を一定にすることができ、ガスの溶解効率を一定にすることができるため、液体供給部から供給される液体の流量によって、発生オゾンガス濃度を制御するのみで容易に、生成されるガス溶解液の濃度を一定にすることができる。
【0011】
また、本発明のガス溶解液供給装置では、前記供給配管に、前記ガス溶解液タンクから前記ユースポイントにガス溶解液を送り出すためのポンプが設けられ、前記ポンプは、エアー駆動式のポンプで構成されててもよい。
【0012】
この構成によれば、ガス溶解液タンクからユースポイントにガス溶解液を送り出すためのポンプとして、エアー駆動式のポンプが用いられるので、ポンプの温度上昇が抑制され、その結果、ガス溶解液の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度上昇が抑えられるので、ガス溶解部でガスの溶解度が低下する(温度上昇に起因してガスが溶解しにくくなる)のを抑制することができる。エアー駆動式のポンプとしては、例えば、べローズポンプやダイヤフラムポンプなどを用いることができる。
【0013】
また、本発明のガス溶解液供給装置では、前記供給配管に、前記ユースポイントに供給されるガス溶解液の流量を測定する第2の流量測定部が設けられ、前記流量調整部は、前記流量測定部の測定結果と前記第2の流量測定部の測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整してもよい。
【0014】
この構成によれば、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量が測定されるだけでなく、ガス溶解液タンクからユースポイントに供給されるガス溶解液が測定され、それらの測定結果に応じて液体供給部からガス溶解部に供給される液体の流量が調整される。これにより、ガス溶解部に供給される液体の節約が可能になる。
【0015】
また、本発明のガス溶解液供給装置では、前記戻し配管に、前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度を測定する温度測定部が設けられてもよい。
【0016】
この構成によれば、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度を測定することができるので、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度を把握してコントロールしやすくなる。これにより、戻し配管からガス溶解部に戻されるガス溶解液の温度上昇を抑えることができ、ガス溶解部でガスの溶解度が低下する(温度上昇に起因してガスが溶解しにくくなる)のを抑制することができる。
【0017】
また、本発明のガス溶解液供給装置では、前記ガス溶解液の原料となるガスは、オゾンガスであり、前記ガス溶解液の原料となる液体は、純水であり、前記ガス溶解液は、オゾン水であってもよい。
【0018】
この構成によれば、ガス溶解部に供給される純水の節約が可能になる。そのうえ、生成されるオゾン水の濃度(オゾン濃度)を一定にすることができる。
【0019】
本発明のガス溶解液供給方法は、液体供給部から供給された液体にガス供給部から供給されたガスをガス溶解部で溶解させてガス溶解液を生成し、前記ガス溶解部で生成されたガス溶解液をガス溶解液タンクに溜め、前記ガス溶解液タンクからユースポイントに供給し、前記ユースポイントに供給されるガス溶解液のうち前記ガス溶解部に戻されるガス溶解液の流量を測定し、前記測定結果に応じて、前記液体供給部から前記ガス溶解部に供給される液体の流量を調整する。
【0020】
この方法によっても、上記の装置と同様に、ガス溶解部に供給される液体の節約が可能になる。そのうえ、生成されるガス溶解液の濃度を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ガス溶解液の原料となる液体を節約するとともに、生成されるガス溶解液の濃度を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態におけるガス溶解液供給装置の構成を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるガス溶解液供給装置の他の例の構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態におけるガス溶解液供給装置の更に他の例の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態のガス溶解液供給装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、純水にオゾンガスを溶解させてオゾン水を生成するオゾン水供給装置等の場合を例示する。
【0024】
本発明の実施の形態のオゾン水供給装置の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態のオゾン水供給装置を示す説明図である。
図1に示すように、オゾン水供給装置1は、オゾンガスの原料ガスを供給する原料ガス供給部2と、オゾン水の原料となるオゾンガスを原料ガスから生成する放電部3と、オゾン水の原料となる純水を供給する純水供給部4と、純水供給部4から供給された純水に原料ガス供給部2から供給されたガスを溶解させてオゾン水を生成するガス溶解部5と、ガス溶解部5で生成されたオゾン水が溜められる気液分離タンク6を備えている。
【0025】
放電部3は、放電により原料ガスからオゾンガスを発生させる機能を備えている。原料ガスとしては、酸素ガスを主成分としたガスが用いられ、例えば、酸素ガスと窒素ガスの混合ガス、酸素ガスと炭酸ガスの混合ガス、酸素ガスと窒素ガスと炭酸ガスの混合ガス、酸素ガス、空気などが用いられる。また、原料ガス供給部2は、原料ガス供給部2から放電部3に供給する原料ガスの流量を調整することにより、ガス溶解部5に供給するオゾンガスの流量を調整する機能を備えている。
【0026】
純水供給部4は、純水供給部4からガス溶解部5に供給する純水の流量を測定する純水流量計7と、純水供給部4からガス溶解部5に供給する純水の流量を調整する純水流量調整部8を備えている。
【0027】
ガス溶解部5としては、例えば、エジェクタやアスピレータを使用することができる。エジェクタやアスピレータは、ベンチュリー効果を利用してオゾンガスを純水に溶解させることができる。エジェクタやアスピレータを使用した場合、中空糸膜を用いたオゾン溶解タンクに比べて、定期交換が不要になり、溶解率も向上する。
【0028】
気液分離タンク6は、ガス溶解部5で溶解できなかったオゾンガスとオゾン水とを分離するためのタンクであり、オゾン水やオゾンガスに接する部分が、オゾン水やオゾンガスに耐性を有する材料(例えば、フッ素樹脂など)で構成されている。そして、気液分離タンク6は、気液分離タンク6に溜められたオゾン水の水位を測定する水位計9と、気液分離タンク6に溜められたオゾンガス(未溶解のオゾンガス)を酸素ガスに分解するオゾンガス分解器10を備えている。また、オゾン水供給装置1には、気液分離タンク6内の圧力を一定に保つ第1圧力調整部11が設けられている。
【0029】
また、オゾン水供給装置1は、気液分離タンク6に溜められたオゾン水をユースポイント(半導体製造装置など)に送り出すためのポンプ12と、気液分離タンク6からユースポイントにオゾン水を供給するための供給配管13と、ユースポイントに供給するオゾン水を循環させてガス溶解部5に戻すための戻し配管14を備えている。
【0030】
ポンプ12は、例えば、エアー駆動式のポンプで構成されている。ポンプ12は、オゾン水やオゾンガスに接する部分が、オゾン水やオゾンガスに耐性を有する材料(例えば、フッ素樹脂など)で構成されている。エアー駆動式のポンプとしては、例えば、べローズポンプやダイヤフラムポンプなどを用いることができる。
【0031】
戻し配管14には、ガス溶解部5に戻されるオゾン水の流量を測定する第1流量計15が設けられている。また、供給配管13には、ユースポイントに供給されるオゾン水の流量を測定する第2流量計16が設けられている。また、供給配管13には、ユースポイントに供給されるオゾン水の圧力を測定する圧力センサ17が設けられており、戻し配管14には、供給配管13と戻し配管14内の圧力を一定に保つ第2圧力調整部18が設けられている。
【0032】
第2圧力調整部18は、圧力センサ17で測定したオゾン水の圧力が一定になるように、開度を調整し制御する機能を備えている。また、
図2に示すように、供給配管13に第3圧力調整部26を設置して圧力を調整してもよい。
【0033】
純水流量調整部8は、第1流量計15と第2流量計16の測定結果に応じて、純水供給部4からガス溶解部5に供給する純水の流量を調整する。なお、第2流量計16は必ずしも必要ではない。第2流量計16が設けられていない場合には、純水流量調整部8は、ユースポイントで未使用時の第1流量計15の測定結果に応じて、純水供給部4からガス溶解部5に供給する純水の流量を調整する。
【0034】
原料ガス供給部2は、ガス溶解部5に供給される液体の流量(純水供給部4からガス溶解部5に供給される純水の流量と、戻し配管14からガス溶解部5に供給されるオゾン水の流量をあわせた総流量)に応じて、オゾンガスの原料ガスの流量を調整することにより、放電部3からガス溶解部5に供給するオゾンガスの流量を調整する。
【0035】
戻し配管14には、ガス溶解部5に戻されるオゾン水の温度を測定する温度計19が設けられている。なお、この温度計19は、必ずしも必要ではない。また、戻し配管14には、ガス溶解部5に供給されるオゾン水の濃度を計測するための濃度計20と、濃度計20のゼロ点を計測するためのゼロ点計測配管21が設けられている。
【0036】
供給配管13には、ユースポイントに供給するオゾン水の一部をドレンから排水するための排水配管22が、分岐して設けられている。また、純水供給部4とガス溶解部5とを接続する配管には、純水供給部4の下流側に第1バルブ23が設けられており、ガス溶解部5の上流側に第2バルブ24が設けられている。さらに、戻し配管14には、第2圧力調整部18の下流側に第3バルブ25が設けられている。
【0037】
このような本実施の形態のガス溶解液供給装置によれば、ガス溶解部5で純水にオゾンガスを溶解させることによって、オゾン水が生成され気液分離タンク6に溜められる。気液分離タンク6からユースポイントに供給されるオゾン水のうち、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の流量が測定され、測定結果に応じて液体供給部からガス溶解部5に供給される純水の流量が調整される。これにより、ガス溶解部5に供給される純水の節約が可能になる。
【0038】
本実施の形態では、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の流量が測定されるだけでなく、気液分離タンク6からユースポイントに供給されるオゾン水が測定され、それらの測定結果に応じて液体供給部からガス溶解部5に供給される純水の流量が調整される。これにより、ガス溶解部5に供給される純水の節約が可能になる。
【0039】
例えば、ユースポイントでのオゾン水の使用量がゼロの場合には、第1流量計15で測定した流量が最大値となり、第2流量計16で測定した流量がゼロとなる。このような測定結果が得られた場合には、第2バルブ24を閉じることにより、ガス溶解部5に供給される純水を節約することができる。
【0040】
また、ユースポイントでのオゾン水の使用量が変化した場合には、第1流量計15と第2流量計16の測定結果に応じて、第2バルブ24を開けて、ガス溶解部5に供給される純水の流量を純水流量調整部8で調整する。これにより、ガス溶解部5に供給される純水を節約することができる。
【0041】
このとき、ガス溶解部5に供給される液体の流量(液体供給部から供給される純水の流量と、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の流量をあわせた総流量)を一定にすれば、ガス溶解部5に供給するオゾンガスの流量を一定にすることにより、気液の接触時間を一定にすることができ、オゾンガスの溶解効率を一定にすることができる。すなわち、容易に生成されるオゾン水の濃度を一定にすることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、気液分離タンク6からユースポイントにオゾン水を送り出すためのポンプ12として、エアー駆動式のポンプが用いられるので、ポンプ12の温度上昇が抑制され、その結果、オゾン水の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の温度上昇が抑えられるので、ガス溶解部5でオゾンガスの溶解度が低下する(温度上昇に起因してオゾンガスが溶解しにくくなる)のを抑制することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態では、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の温度を測定することができるので、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の温度を把握してコントロールしやすくなる。これにより、戻し配管14からガス溶解部5に戻されるオゾン水の温度上昇を抑えることができ、ガス溶解部5でオゾンガスの溶解度が低下する(温度上昇に起因してオゾンガスが溶解しにくくなる)のを抑制することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、気液分離タンク6の圧力を0~100KPaに調整することができる第1圧力調整部11が設けられているので、気液分離タンク6に圧力を高くすることによって溶解度が上昇し供給オゾンガス量を少なくできる。但し、圧力を上げすぎるとエアー駆動式ポンプ12の動作を阻害し、ユースポイントから未使用用オゾン水が戻せなくなるので、気液分離タンク6の圧力の範囲は0~100KPaが望ましい。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0046】
例えば、以上の説明では、純水にオゾンガスを溶解させてオゾン水を生成する循環式オゾン水供給装置1を例示して説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。すなわち、原料となるガスはオゾンガスに限られず、また、原料となる液体も純水に限られない。例えば、純水に二酸化炭素を溶解させて炭酸水を製造してもよく、純水に窒素を溶解させて窒素水を製造してもよい。また、純水に水素を溶解させて水素水を製造してもよい。その他、本発明は、機能水を製造するためのガス溶解に適用することができる。
【0047】
また、以上の説明では、戻し配管14がユースポイントに供給される前(ユースポイントの上流側)で分岐して設けられる例について説明したが、
図3に示すように、戻し配管14はユースポイントを経由して(ユースポイントの下流側に)設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかるガス溶解液供給装置は、ガス溶解液の原料となる液体を節約するとともに、生成されるガス溶解液の濃度を安定化することができるという効果を有し、例えば、純水にオゾンガスを溶解させてオゾン水を生成するオゾン水供給装置等として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 オゾン水供給装置
2 原料ガス供給部
3 放電部(ガス供給部)
4 純水供給部(液体供給部)
5 ガス溶解部
6 気液分離タンク(ガス溶解液タンク)
7 純水流量計
8 純水流量調整部
9 水位計
10 オゾンガス分解器
11 第1圧力調整部
12 ポンプ
13 供給配管
14 戻し配管
15 第1流量計(流量測定部)
16 第2流量計(第2の流量測定部)
17 圧力センサ
18 第2圧力調整部
19 温度計(温度測定部)
20 濃度計
21 ゼロ点計測配管
22 排水配管
23 第1バルブ
24 第2バルブ
25 第3バルブ
26 第3圧力調整部