(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】銅及びスルーシリコンビア用途のための化学機械研磨
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230308BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20230308BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20230308BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
C09K3/14 550Z
C09G1/02
C09K3/14 550D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020032056
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2020-06-04
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アレン シュルーター
(72)【発明者】
【氏名】マーク レナード オニール
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-029083(JP,A)
【文献】特開2018-019075(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088371(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)研磨剤、
b)少なくとも2つのキレート剤、
c)酸化剤、及び、
d)水
、
f)有機第四級アンモニウム塩、
を含み、任意選択で、
g)殺生物剤、
h)pH調整剤、
を含む、銅バルク化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記少なくとも2つのキレート剤は、(1)少なくとも1つの有機アミン、及び(2)少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのアミノ酸誘導体、及び、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ誘導体との組み合わせからなる群より選ばれる1つを含む、
前記有機第四級アンモニウム塩は、コリン塩、コリンと他のアニオン性対イオンとの間で形成される塩及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記組成物のpHは5.5~7.5及び7.0~7.35からなる群より選ばれ、前記組成物が腐食防止剤を含まない、組成物。
【請求項2】
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記有機アミンは:
【化1】
(上式中、nは2~12である)
【化2】
(上式中、Rnは有機アルキル基C
nH
2n+1を表し、nは2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、そしてmは2~12である)
【化3】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基であることができ、n及びmは独立して1~12の数値であり、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは2~12である)
【化4】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは2~12である)
【化5】
(上式中、nは1~12である)
【化6】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化7】
(上式中、Rn及びRmは同一の炭素に結合しており、そして同一の又は異なるアルキル基、Rn=HもしくはC
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、sは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、そしてrは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化8】
(上式中、n及びmは独立して1~12の数値である)、及び、
それらの組み合わせからなる群より選ばれる一般分子構造を有する、
請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項3】
前記コリン塩は下記に示す一般分子構造:
【化9】
(上式中、アニオンY
-は重炭酸塩、水酸化物、p-トルエンスルホン酸塩又は二酒石酸塩であることができる)を有し、
前記酸化剤は、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記殺生物剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有し、そして
前記pH調整剤は、(1)pHを酸性に向けて調整するための硝酸、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるか、又は、(2)pHをアルカリ性に向けて調整するための水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるかのいずれかである、請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項4】
前記有機アミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、2-メチル-プロパンジアミン、2-メチル-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-ブタン-1,4-ジアミン、2,3-ジメチル-ペンタン-1,5-ジアミン、2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項5】
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.001~18.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
を含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項6】
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンから選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項7】
0.0005wt%~0.15wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%のエチレンジアミン、グリシン又はアラニン、
0.002wt%~0.01wt%の重炭酸コリン塩、
0.5wt%~3.0wt%の過ヨウ素酸又は過酸化水素、
0.001wt%~0.5wt%の3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール又はベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、
0.0001wt%~0.025wt%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有する殺生物剤、
を含み、前記組成物のpHは7.0~7.35である、請求項1記載の銅化学機械研磨(CMP)組成物。
【請求項8】
銅(Cu)又は銅含有材料及び少なくとも1つの第二の材料を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨する方法であって、
1)半導体基材を提供すること、
2)研磨パッドを提供すること、
3)a)研磨剤、
b)少なくとも2つのキレート剤、
c)酸化剤、及び、
d)水
、
f)有機第四級アンモニウム塩、
を含み、任意選択で、
g)殺生物剤、
h)pH調整剤、
を含む、Cu化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記少なくとも2つのキレート剤は、(1)少なくとも1つの有機アミン、及び(2)少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのアミノ酸誘導体、及び、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ誘導体との組み合わせからなる群より選ばれる1つを含む、
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記有機アミンは、
【化10】
(上式中、nは2~12である)
【化11】
(上式中、Rnは有機アルキル基C
nH
2n+1を表し、nは2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、mは2~12である)
【化12】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基であることができ、n及びmは独立して1~12の数値であり、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは2~12である)
【化13】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは2~12である)
【化14】
(上式中、nは1~12である)
【化15】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化16】
(上式中、Rn及びRmは同一の炭素に結合しており、そして同一の又は異なるアルキル基、Rn=HもしくはC
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、sは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、そしてrは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化17】
(上式中、n及びmは独立して1~12の数値である)、及び、
それらの組み合わせからなる群より選ばれる一般分子構造を有し、
前記有機第四級アンモニウム塩はコリン塩、コリンと他のアニオン性対イオンとの間で形成される塩及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして、
前記組成物のpHは5.5~7.5及び7.0~7.35からなる群より選ばれ、前記組成物が腐食防止剤を含まない、組成物を提供すること、
4)前記少なくとも1つの表面を前記研磨パッド及び前記Cu化学機械研磨組成物と接触させること、及び、
5)前記少なくとも1つの表面を研磨して、銅又は銅含有材料を除去すること、
の工程を含む、方法。
【請求項9】
前記コリン塩は下記に示す一般分子構造:
【化18】
(上式中、アニオンY
-は重炭酸塩、水酸化物、p-トルエンスルホン酸塩又は二酒石酸塩であることができる)を有し、
前記酸化剤は、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記殺生物剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有し、そして
前記pH調整剤は、(1)pHを酸性に向けて調整するための硝酸、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるか、又は、(2)pHをアルカリ性に向けて調整するための水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるかのいずれかである、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項10】
前記有機アミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、2-メチル-プロパンジアミン、2-メチル-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-ブタン-1,4-ジアミン、2,3-ジメチル-ペンタン-1,5-ジアミン、2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項11】
Cu化学機械研磨組成物は、
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.001~18.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
を含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項12】
Cu化学機械研磨組成物は、
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンから選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項13】
Cu化学機械研磨組成物は、
0.0005wt%~0.15wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%のエチレンジアミン、グリシン又はアラニン、
0.002wt%~0.01wt%の重炭酸コリン塩、
0.5wt%~3.0wt%の過ヨウ素酸又は過酸化水素、
0.001wt%~0.5wt%の3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール又はベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、
0.0001wt%~0.025wt%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有する殺生物剤、
を含み、前記組成物のpHは7.0~7.35である、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項14】
前記第二の材料は、Ta、TaN、Ti及びTiN膜からなる群より選ばれるバリア層、及び、TEOS、低-k及び超低-k膜からなる群より選ばれる誘電体層からなる群より選ばれ、そして、Cuの除去速度対第二の材料の除去速度は、500:1以上である、請求項8記載の化学機械研磨する方法。
【請求項15】
銅(Cu)又は銅含有材料及び少なくとも1つの第二の材料を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨するためのシステムであって、
1)半導体基材を提供すること、
2)研磨パッドを提供すること、
3)a)研磨剤、
b)少なくとも2つのキレート剤、
c)酸化剤、及び、
d)水
、
f)有機第四級アンモニウム塩、
を含み、任意選択で、
g)殺生物剤、
h)pH調整剤、
を含む、Cu化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記少なくとも2つのキレート剤は、(1)少なくとも1つの有機アミン、及び(2)少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのアミノ酸誘導体、及び、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ誘導体との組み合わせからなる群より選ばれる1つを含む、
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記有機アミンは、
【化19】
(上式中、nは2~12である)
【化20】
(上式中、Rnは有機アルキル基C
nH
2n+1を表し、nは2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、mは2~12である)
【化21】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは2~12である)
【化22】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して2~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは2~12である)
【化23】
(上式中、nは1~12である)
【化24】
(上式中、Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=C
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、pは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、qは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化25】
(上式中、Rn及びRmは同一の炭素に結合しており、そして同一の又は異なるアルキル基、Rn=HもしくはC
nH
2n+1及びRm=C
mH
2m+1であることができ、n及びmは独立して1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、sは1~12、1~6及び1~3からなる群より選ばれ、そしてrは1~6、1~4及び1~3からなる群より選ばれる)
【化26】
(上式中、n及びmは独立して1~12の数値である)、及び、
それらの組み合わせからなる群より選ばれる一般分子構造を有し、
前記有機第四級アンモニウム塩はコリン塩、コリンと他のアニオン性対イオンとの間で形成される塩及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして、
前記組成物のpHは5.5~7.5及び7.0~7.35からなる群より選ばれ、前記組成物が腐食防止剤を含まない、組成物を提供すること、
の工程を含み、前記銅(Cu)又は銅含有材料及び少なくとも1つの第二の材料を含む前記少なくとも1つの表面の少なくとも一部を前記研磨パッド及び前記Cu化学機械研磨組成物の両方と接触させる、システム。
【請求項16】
前記コリン塩は下記に示す一般分子構造:
【化27】
(上式中、アニオンY
-は重炭酸塩、水酸化物、p-トルエンスルホン酸塩又は二酒石酸塩であることができる)を有し、
前記酸化剤は、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、
前記殺生物剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有し、そして
前記pH調整剤は、(1)pHを酸性に向けて調整するための硝酸、塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるか、又は、(2)pHをアルカリ性に向けて調整するための水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれるかのいずれかである、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記有機アミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、2-メチル-プロパンジアミン、2-メチル-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-ブタン-1,4-ジアミン、2,3-ジメチル-ペンタン-1,5-ジアミン、2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれ、そして
前記アミノ酸又はアミノ酸誘導体は、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.001~18.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
を含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
0.0025wt%~2.5wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%の、(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びブチレンジアミンから選ばれる少なくとも1つの有機アミン及び(2)グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸、
0.001wt%~0.05wt%の重炭酸コリン塩、
含み、前記組成物のpHは5.5~7.5である、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
0.0005wt%~0.15wt%のコロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、
合計で0.5~10.0wt%のエチレンジアミン、グリシン又はアラニン、
0.002wt%~0.01wt%の重炭酸コリン塩、
0.5wt%~3.0wt%の過ヨウ素酸又は過酸化水素、
0.001wt%~0.5wt%の3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール又はベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、
0.0001wt%~0.025wt%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる活性成分を有する殺生物剤、
を含み、前記組成物のpHは7.0~7.35である、請求項15記載のシステム。
【請求項21】
前記第二の材料は、Ta、TaN、Ti及びTiN膜からなる群より選ばれるバリア層、及び、TEOS、低-k及び超低-k膜からなる群より選ばれる誘電体層からなる群より選ばれ、そして、Cuの除去速度対第二の材料の除去速度は、500:1以上である、請求項15記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2019年2月28日に提出された米国出願番号第62/811,874号の利益を主張する。出願番号第62/798,638号の開示を参照により本明細書に取り込む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、一般に、半導体ウエハの化学機械的平坦化又は化学機械研磨(CMP)に関する。より具体的には、本発明は、広範又は高度ノード銅又はスルーシリコンビア(TSV)CMP用途のための高度かつ調整可能なCu膜除去速度に関する。CMP研磨配合物、CMP研磨組成物又はCMP研磨スラリーは本発明において交換可能である。
【0003】
銅は、抵抗率が低く、信頼性が高くそしてスケーラビリティが高いために、集積電子デバイスの製造に使用される相互接続金属に現在選択されている材料である。銅の化学機械的平坦化法は、低い金属損失で包括的な平坦化を実現しながら、インレイドトレンチ構造から銅の過載物を除去するために必要である。
【0004】
技術ノードの進歩に伴い、金属損失を低減する必要性がますます重要になっている。また、新しい研磨配合物は、高い除去速度、バリア材料に対する高い選択性及び低い欠陥率も維持しなければならない。
【0005】
銅CMPは、例えばUS9,3065,806、US20160314989、US20130092651、US20130078811、US8,679,980、US 8,791,019、US8,435,421、US7,955,520、US20130280910、US20100221918、US8,236,695、TWI385226、US20120094490、US7,955,520、US20040175942、US6773476、US8236695、US20090053896、US8,586,481、US20100221918、US20170271172、US2017035139、US20110070736、US20080254628及びUS20100015807など、当該技術分野で行われている。
【0006】
しかしながら、開示された配合物は、高度技術ノードにとってますます困難になる、高いCu除去速度の性能要件を満たすことができなかった。
【0007】
本発明は、先端技術ノードCu CMP用途のための高いCu除去速度の挑戦的な要件を満たすために開発されたバルク銅CMP研磨配合物を開示する。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本明細書には、銅及びスルーシリコンビア(TSV)CMP用途のためのCMP研磨組成物、方法及びシステムが記載されている。
【0009】
1つの態様において、本明細書の発明は、銅バルク及びスルーシリコンビア(TSV)のための化学機械研磨(CMP)組成物であって、該組成物は、
a)研磨剤、
b)少なくとも2つのキレート剤、
c)酸化剤、
d)水、
を含み、場合により、
e)腐食防止剤、
f)有機第四級アンモニウム塩、
g)殺生物剤、及び、
h)pH調整剤、
を含み、
前記少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、そして
前記組成物のpHは3.0~12.0であり、好ましくは5.5~7.5であり、より好ましくは7.0~7.35である、組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの銅又は銅含有表面を含む半導体基材を化学機械研磨する方法であって、
i.半導体基材を提供すること、
ii.研磨パッドを提供すること、
iii.a)研磨剤、
b)酸化剤、
c)少なくとも2つのキレート剤、及び、
d)水、
を含み、場合により、
e)腐食防止剤、
f)有機第四級アンモニウム塩、
g)殺生物剤、及び、
h)pH調整剤、
を含む、化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、そして
前記組成物のpHは3.0~12.0であり、好ましくは5.5~7.5であり、より好ましくは7.0~7.35である、組成物を提供すること、
iv.前記半導体基材を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させること、及び、
v.前記半導体基材を研磨すること、
の工程を含み、
前記少なくとも1つの銅又は銅含有表面の少なくとも一部は、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物の両方と接触される、方法を提供する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、選択的化学機械研磨の方法であって、
a)第一の材料及び少なくとも1つの第二の材料を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を提供すること、
b)研磨パッドを提供すること、
c)化学機械研磨又はスルーシリコンビア(TSV)組成物であって、
i.研磨剤、
ii.酸化剤、
iii.少なくとも2つのキレート剤、及び、
iv.水、
を含み、場合により、
v.腐食防止剤、
vi.有機第四級アンモニウム塩、
vii.殺生物剤、及び、
viii.pH調整剤、
を含み、前記少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤は、アミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、
前記組成物のpHは3.0~12.0であり、好ましくは5.5~7.5であり、より好ましくは7.0~7.35である組成物を提供すること、
d)前記半導体基材を研磨して、前記第一の材料を選択的に除去すること、
の工程を含み、
前記第一の材料の除去速度/前記第二の材料の除去速度は500:1以上であり、好ましくは1000:1以上であり、より好ましくは3000:1以上であり、そして、
前記第一の材料は銅であり、前記第二の材料は、Ta、TaN、Ti及びTiN膜などのバリア層、TEOS、低-k膜及び超低-k膜などの誘電体層からなる群より選ばれる、方法は提供される。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1つの銅又は銅含有材料表面を含有する半導体基材を化学機械研磨するシステムであって、
1)半導体基材、
2)研磨パッド、
3)a)研磨剤、
b)酸化剤、
c)少なくとも2つのキレート剤、及び、
d)水、
を含み、場合により、
e)腐食防止剤、
f)有機第四級アンモニウム塩、
g)殺生物剤、
h)pH調整剤、
を含む、化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、
前記組成物のpHは3.0~12.0であり、好ましくは5.5~7.5であり、より好ましくは7.0~7.35である、組成物、
を含み、前記少なくとも1つの銅又は銅含有表面の少なくとも一部を前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物の両方と接触させる、システムは提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
使用される研磨粒子としては、限定するわけではないが、コロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、アルミナをドープしたシリカ粒子などのコロイドシリカの格子内で他の金属酸化物によってドープされたコロイドシリカ粒子、α型、β型及びγ型の酸化アルミニウムを含むコロイド酸化アルミニウム、コロイド状及び光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド酸化セリウム、ナノサイズのアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなどの無機金属酸化物粒子、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、単峰、双峰、多峰型コロイド研磨粒子、有機ポリマーベースの軟質研磨剤、表面被覆又は変性研磨剤、又は、他の複合材粒子、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0014】
腐食防止剤としては、限定するわけではないが、芳香環に窒素原子を含む複素芳香族化合物のファミリーが挙げられ、例えば、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール及びベンズイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、ならびにテトラゾール及びテトラゾール誘導体である。
【0015】
殺生物剤としては、限定するわけではないが、ダウケミカル社のKathon(商標)、Kathon(商標)CG/ICP IIが挙げられる。それらは5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0016】
酸化剤としては、限定するわけではないが、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0017】
少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤は、アミノ酸又はアミノ酸誘導体である。
【0018】
少なくとも2つのキレート剤は、少なくとも2つのアミノ酸の組み合わせ、少なくとも2つのアミノ酸誘導体の組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ酸誘導体の組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つの有機アミンの組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸誘導体と少なくとも1つの有機アミンの組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ誘導体及び少なくとも1つの有機アミンの組み合わせであることができる。例として、2つのキレート剤は、グリシン及びエチレンジアミンであることができる。
【0019】
アミノ酸及びアミノ酸誘導体としては、限定するわけではないが、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
有機アミンキレート剤は、以下に示すような一般分子構造を有する。
【0021】
構造(a)の有機アミンは、分子の両端に末端基として2つの第一級アミン官能基を有する。
【化1】
【0022】
nは2~12の数値である。
【0023】
例えば、有機アミンは、n=2、3又は4として、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン又は1,4-ブタンジアミンである。
【0024】
構造(b)の有機アミンも、分子の両端に末端基として2つの第一級アミン官能基を有する。
【化2】
【0025】
アルキル基は、2つの末端第一級アミン官能基を結合している。アルキル基はRn=CnH2n+1を表し、nは2~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0026】
mは2~12の数値であることができる。
【0027】
2つの末端第一級アミン官能基の間の結合アルキル基Rnは、分岐鎖アルキル基であることもできる。
【0028】
【0029】
Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基であることができ、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であり、n又はmは2~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0030】
pは2~12であり、好ましくは2~6であり、より好ましくは2~3である。
【0031】
【0032】
Rn及びRmは同一の炭素原子に結合している。Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは2~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0033】
qは2~12であり、好ましくは2~6であり、より好ましくは2~3である。
【0034】
2つの第一級アミン部分を有する有機ジアミン化合物は、二元キレート剤として記載されうる。
【0035】
他の分子構造の有機ジアミン分子も、CMPスラリー中のキレート剤として使用できる。
【0036】
構造(e)の有機ジアミン分子を以下に示す。
【化5】
【0037】
有機ジアミンは、一端に1つの末端第一級アミン官能基と、分子の他端のβ炭素原子に結合した別の第一級有機アミンを有する。
【0038】
γなどの他の位置で他の炭素原子に結合している第二の第一級アミン官能基が存在することができ、第一の第一級アミン官能基は同じ分子の末端第一級アミン官能基として維持される。
【0039】
nは2~12の数値である。
【0040】
【0041】
Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0042】
qは1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3である。
【0043】
pは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0044】
【0045】
Rn及びRmは同一の炭素に結合している。Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0046】
rは1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3である。
【0047】
sは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0048】
例としては、限定するわけではないが、2-メチル-プロパンジアミン、2-メチル-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジアミン、2-ジメチル-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-ブタン-1,4-ジアミン、2,3-ジメチル-ペンタン-1,5-ジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミンが挙げられる。
【0049】
2つの第一級アミン官能基を有する芳香族有機分子は、本発明のCu CMPスラリー中のキレート剤の1つとして使用できる。
【0050】
例えば、芳香族有機アミンは、以下に示すとおりの(h)及び(i)に示すとおりの一般分子構造を有する。
【化8】
【0051】
構造(i)において、n及びmは同一又は異なることができ、1~12であることができる)
【0052】
有機第四級アンモニウム塩としては、限定するわけではないが、重炭酸コリンなどのコリン塩、又は、コリンと他のアニオン性対イオンとの間に形成される他のすべての塩が挙げられる。
【0053】
コリン塩は、以下に示す一般分子構造を有することができる。
【化9】
(上式中、アニオンY
-は重炭酸塩、水酸化物、p-トルエンスルホン酸塩、二酒石酸塩及び他の適切なアニオン性対イオンであることができる)
【0054】
発明の詳細な説明
業界標準はより小さなデバイス特徴に向かう傾向があるので、広範及び高度ノード用途で高い調整可能なCu除去速度を提供する新規のCuバルク金属研磨スラリーに対するニーズが継続的に高まっている。
【0055】
本明細書に記載されている銅バルクCMP又はスルーシリコンビア(TSV)研磨組成物は、高くかつ調整可能なCu膜除去速度、銅膜と誘電体膜との間の高い選択性、銅膜とバリア膜との間の高い選択性、及び、適切な腐食防止剤の使用によるより優れたCu膜腐食防止の要求を満たす。
【0056】
CMP研磨組成物は、研磨剤、
a)酸化剤、
b)少なくとも2つのキレート剤、及び、
c)水、
を含み、場合により、
d)腐食防止剤、
e)有機第四級アンモニウム塩、
f)殺生物剤、及び、
g)pH調整剤、
を含み、前記少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、ここで、少なくとも1つのキレート剤はアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、そして、
前記組成物のpHは3.0~12.0であり、好ましくは5.5~7.5であり、より好ましくは7.0~7.35である。
【0057】
Cu CMP研磨組成物は、高くかつ調整可能なCu除去速度と、低いバリア膜及び誘電体膜の除去速度を提供し、それにより、Cu膜 対 Ta、TaN、Ti及びTiNなどの他のバリア膜、及び/又は、TEOS、低-k、超低-k膜などの誘電体膜の非常に高くかつ望ましい選択性を提供する。
【0058】
化学機械研磨組成物はまた、パッド汚染のないCu CMP性能を提供し、研磨パッド寿命を延ばし、より安定した終点検出を可能にする。
【0059】
本明細書に開示されるCuバルクCMP研磨組成物に使用される研磨粒子としては、限定するわけではないが、コロイドシリカ又は高純度コロイドシリカ、アルミナをドープしたシリカ粒子などのコロイドシリカの格子内で他の金属酸化物によってドープされたコロイドシリカ粒子、α型、β型及びγ型の酸化アルミニウムを含むコロイド酸化アルミニウム、コロイド状及び光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド酸化セリウム、ナノサイズのアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなどの無機金属酸化物粒子、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、単峰、双峰、多峰型コロイド研磨粒子、有機ポリマーベースの軟質研磨剤、表面被覆又は変性研磨剤、又は、他の複合材粒子、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
コロイドシリカはケイ酸塩から作ることができ、高純度コロイドシリカはTEOS又はTMOSから作ることができる。コロイドシリカ又は高純度コロイドシリカは、単峰又は多峰型の狭い又は広い粒子サイズ分布、様々なサイズ及び、球形、繭の形、集合体の形及び他の形を含む様々な形を有することができる。
【0061】
ナノサイズの粒子も、球形、繭、集合体及び他の形などの様々な形状を有することができる。
【0062】
Cu CMPスラリー中に使用される研磨剤の粒子サイズは5nm~500nmの範囲であり、好ましいサイズは10nm~250nmの範囲であり、より好ましいサイズは25nm~100nmの範囲である。
【0063】
本発明のCuバルクCMP研磨組成物は、好ましくは0.0025wt%~25wt%の研磨剤を含み、研磨剤の好ましい濃度は、0.0025wt%~2.5wt%の範囲である。研磨剤の最も好ましい濃度は、0.005wt%~0.15wt%の範囲である。
【0064】
有機第四級アンモニウム塩としては、限定するわけではないが、重炭酸コリンなどのコリン塩、又は、コリンと他のアニオン性対イオンとの間に形成される他のすべての塩が挙げられる。
【0065】
コリン塩は下記に示す一般分子構造を有することができる。
【化10】
(上式中、アニオンY
-は、重炭酸塩、水酸化物、p-トルエンスルホン酸塩、二酒石酸塩及び他の適切なアニオン性対イオンであることができる)
【0066】
CMPスラリーは、0.005wt%~0.25wt%の第四級アンモニウム塩を含み、好ましい濃度は0.001wt%~0.05wt%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.002wt%~0.01wt%の範囲である。
【0067】
様々なペルオキシ無機又は有機酸化剤又は他のタイプの酸化剤を使用して、金属銅膜を酸化銅の混合物に酸化し、キレート剤及び腐食防止剤とのその迅速な反応を可能にすることができる。酸化剤としては、限定するわけではないが、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい酸化剤は過酸化水素である。
【0068】
CMPスラリーは0.1wt%~10wt%の酸化剤を含み、好ましい濃度は0.25wt%~3wt%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.5wt%~2.0wt%の範囲である。
【0069】
開示された銅バルクCMPスラリーに使用される腐食防止剤は、先行技術で報告されている腐食防止剤であることができる。腐食防止剤としては、限定するわけではないが、芳香環に窒素原子を含む複素芳香族化合物のファミリーが挙げられ、1,2,4-トリアゾール、アミトロール(又は3-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール及びベンゾイミダゾール誘導体、ピラゾール及びピラゾール誘導体、ならびにテトラゾール及びテトラゾール誘導体である。
【0070】
CMPスラリーは0.005wt%~1.0wt%の腐食防止剤を含み、好ましい濃度は0.01wt%~0.5wt%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.025wt%~0.25wt%の範囲である。
【0071】
本発明のCu化学機械研磨組成物のより安定した貯蔵期間を提供するための活性成分を有する殺生物剤を使用することができる。
【0072】
殺生物剤としては、限定するわけではないが、ダウケミカル社のKathon(商標)、Kathon(商標) CG/ICP IIが挙げられる。それらは5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0073】
CMPスラリーは、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤を含み、好ましい濃度は0.0001wt%~0.025wt%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.0001wt%~0.01wt%の範囲である。
【0074】
場合により、酸性又は塩基性化合物又はpH調整剤を使用して、CuバルクCMP研磨組成物のpHを最適化されたpH値に調整することができる。
【0075】
pH調整剤としては、限定するわけではないが、以下のもの:硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸及びそれらの混合物が挙げられる。pH調整剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、有機アミン及びpHをよりアルカリ性の方向に調整するために使用できる他の化学試薬などの塩基性pH調整剤も挙げられる。
【0076】
CMPスラリーは0wt%~1wt%のpH調整剤を含み、好ましい濃度は0.01wt%~0.5wt%の範囲であり、そして、最も好ましい濃度は0.1wt%~0.25wt%の範囲である。
【0077】
Cu研磨組成物のpHは約3.0~約12.0であり、好ましいpH範囲は5.5~7.5であり、そして最も好ましいpH範囲は7.0~7.35である。
【0078】
CMPスラリーは0.1wt%~18wt%の少なくとも2つのキレート剤を含み、使用される少なくとも2つのキレート剤の合計の好ましい濃度範囲は0.5wt%~15wt%であり、そして、使用される少なくとも2つのキレート剤の合計の最も好ましい濃度範囲は2.0wt%~10.0wt%である。
【0079】
少なくとも2つのキレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン及びそれらの組み合わせからなる群より独立して選ばれ、少なくとも1つのキレート剤はアミノ酸又はアミノ酸誘導体である。
【0080】
少なくとも2つのキレート剤は、少なくとも2つのアミノ酸の組み合わせ、少なくとも2つのアミノ酸誘導体の組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ酸誘導体の組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つの有機アミンの組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸誘導体と少なくとも1つの有機アミンの組み合わせ、少なくとも1つのアミノ酸と少なくとも1つのアミノ誘導体及び少なくとも1つの有機アミンの組み合わせであることができる。例として、2つのキレート剤はグリシン及びエチレンジアミンであることができる。
【0081】
少なくとも2つのキレート剤は錯化剤として使用され、酸化されたCu膜表面との反応を最大化して、柔らかなCuキレート剤層を形成し、Cu CMPプロセス中にすばやく除去されるため、幅広い又は高度ノード銅又はTSV(スルーシリコンビア)CMP用途のために高くかつ調整可能なCu除去速度を達成する。
【0082】
アミノ酸及びアミノ酸誘導体としては、限定するわけではないが、グリシン、D-アラニン、L-アラニン、DL-アラニン、β-アラニン、バリン、ロイシン、イソルシエン、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、 アスパラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸などが挙げられる。
【0083】
有機アミンキレート剤は、以下に示すとおりの一般分子構造を有する。
【0084】
構造(a)の有機アミンは、分子の両端に末端基として2つの第一級アミン官能基を有する。
【化11】
【0085】
nは2~12の数値である。
【0086】
例えば、有機アミンは、n=2、3又は4として、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン又は1,4-ブタンジアミンである。
【0087】
構造(b)の有機アミンも、分子の両端に末端基として2つの第一級アミン官能基を有する。
【化12】
【0088】
アルキル基は、2つの末端第一級アミン官能基を結合している。アルキル基はRn=CnH2n+1であり、nは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0089】
mは2~12の数値であることができる。
【0090】
2つの末端第一級アミン官能基の間の結合アルキル基Rnは、分岐鎖アルキル基であることもできる。
【0091】
【0092】
Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基であることができ、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であり、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0093】
pは2~12であり、好ましくは2~6であり、より好ましくは2~3である。
【0094】
【0095】
Rn及びRm基は同一の炭素原子に結合している。Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0096】
qは2~12であり、好ましくは2~6であり、より好ましくは2~3である。
【0097】
2つの第一級アミン部分を有する有機ジアミン化合物は、二元キレート剤として記載されうる。
【0098】
他の分子構造を有する有機ジアミン分子は、CMPスラリー中のキレート剤としても使用できる。
【0099】
構造(e)の有機ジアミン分子を以下に示す。
【化15】
【0100】
有機ジアミンは、一端に1つの末端第一級アミン官能基と、分子の他端のβ炭素原子に結合した別の第一級有機アミンを有する。
【0101】
γなどの他の位置で他の炭素原子に結合している第二の第一級アミン官能基が存在することができ、第一の第一級アミン官能基は同じ分子に末端第一級アミン官能基として維持する。
【0102】
nは2~12の数値である。
【0103】
【0104】
Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0105】
qは1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3である。
【0106】
pは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0107】
【0108】
Rn及びRmは同一の炭素に結合している。Rn及びRmは同一の又は異なるアルキル基、Rn=CnH2n+1及びRm=CmH2m+1であることができ、n又はmは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0109】
rは1~6であり、好ましくは1~4であり、より好ましくは1~3である。
【0110】
sは1~12であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
【0111】
例としては、限定するわけではないが、2-メチル-プロパンジアミン、2-メチル-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジアミン、2-ジメチル-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-ブタン-1,4-ジアミン、2,3-ジメチル-ペンタン-1,5-ジアミン及び2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミンが挙げられる。
【0112】
2つの第一級アミン官能基を有する芳香族有機分子は、本発明のCu CMPスラリー中のキレート剤の1つとして使用できる。
【0113】
例えば、芳香族有機アミンは、以下に示すとおりの(h)及び(i)に示すとおりの一般分子構造を有する。
【化18】
【0114】
構造(i)において、n及びmは同一であっても又は異なっていてもよく、1~12であることができる。
【0115】
本明細書に記載の関連の方法及びシステムは、銅を含む基材の化学機械平坦化のための上述の組成物の使用を伴う。
【0116】
これらの方法において、基材(例えば、Cu又はCu含有表面又はCuプラグを有するウエハ又は基材)を、CMP研磨機の回転可能なプラテンに固定して取り付けられた研磨パッド上に下向きに置く。このようにして、研磨及び平坦化される基材は、研磨パッドと直接接触して配置される。ウエハキャリアシステム又は研磨ヘッドを使用して、基材を所定の位置に保持し、プラテン及び基材を回転させながらCMP処理中に基材の裏面に下向きの圧力をかける。研磨組成物(スラリー)を、CMP処理中にパッドに(通常は連続的に)塗布し、材料を除去して基材を平坦化する。
【0117】
本明細書に記載の研磨組成物及び関連の方法ならびにシステムは、銅表面を有するほとんどの基材又は銅基材を含む、多種多様な基材のCMPに効果的である。
実験セクション
研磨パッド 研磨パッド、IC1010パッド又はその他の研磨パッドをCu CMPで使用し、ダウケミカルズカンパニーから供給された。
パラメータ:
Å:オングストローム-長さの単位
BP:psi単位の背圧
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
CS:キャリア速度
DF:ダウンフォース:CMP中に課される圧力、単位psi
min:分
ml:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド/平方インチ
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm単位(1分あたりの回転数)
SF:研磨液の流量、ml/分
除去速度
Cu RR1.0psi CMPツールの下向き圧力1.0psiで測定された銅除去速度
Cu RR2.0psi CMPツールの下向き圧力2.0psiで測定された銅除去速度
Cu RR3.0psi CMPツールの下向き圧力3.0psiで測定された銅除去速度
Cu RR4.0psi CMPツールの下向き圧力4.0psiで測定された銅除去速度
【実施例】
【0118】
一般的な実験手順
組成物中のすべての百分率は特に明記しない限り質量%である。
【0119】
以下に示す例において、CMP実験は、以下に示す手順及び実験条件を使用して実行した。実施例で使用されたCMPツールは、Applied Materials, 3050 Boweres Avenue, Santa Clara, California, 95054によって製造された200mmMirra(登録商標)ポリッシャである。Dow Chemicals Companyから供給されたIC1010パッド又は他のタイプの研磨パッドはブランケットウエハ研磨研究用のプラテン上で使用された。25個のダミー酸化物(TEOS前駆体からプラズマ増強CVDによって堆積、PETEOS)ウエハを研磨することにより、パッドを試運転した。ツールの設定及びパッドの試運転を確認するために、2つのPETEOSモニタを、Air Products Chemicals Inc.のPlanarization Platformにより供給されたSyton(登録商標)OX-Kコロイドシリカによりベースライン条件で研磨した。研磨実験は、厚さが80KオングストロームのブランケットCuウエハ、Ta及びTEOSブランケットウエハを使用して行った。これらのブランケットウエハは、Silicon Valley Microelectronics,1150 Campbell Ave,CA,95126から購入した。
【0120】
実施例
この実施例において、参照1スラリーは3.78wt%(1×として)の単一キレート剤グリシン、0.18915wt%(1×として)のアミトロール(又は3-アミノ-1,2,4-トリアゾール)、0.00963wt%(1×として)の重炭酸コリン(CBC)、0.037575wt%(1×として)の高純度コロイドシリカ及び0.0001wt%の殺生物剤を含み、pHは7.2に調整されていた。
【0121】
参照番号2のスラリーは、0.004wt%の単一キレート剤エチレンジアミン(EDA)、0.18915wt%のアミトロール、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.037575wt%の高純度コロイドシリカ及び0.0001wt%の殺生物剤を含み、pHは7.2に調整されていた。
【0122】
実施例組成物1は、3.78wt%のグリシン、0.004wt%のエチレンジアミン、0.18915wt%のアミトロール、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.037575wt%の高純度コロイドシリカ及び0.0001wt%の殺生物剤を含み、pHは7.2に調整されていた。
【0123】
3つのスラリーはすべて、使用時にそれぞれ1.5wt%のH2O2を酸化剤として使用した。CMP研磨スラリーのpHは7.2であった。
【0124】
参照1は、使用時に1×グリシン、1×アミトロール、1×CBC、1×シリカとも記載され、参照2は、使用時に1×EDA、1×アミトロール、1×CBC、1×シリカとも記載され、そして、実施例組成物は、使用時に1×グリシン、1×EDA、1×アミトロール、1×CBC、1×シリカとも記載され、以下の表に示すとおりである。
【0125】
例1
CuバルクCMP研磨スラリーを使用した研磨結果を表1に示
す。
【表1】
【0126】
表1に示す結果のように、Cu CMP研磨組成物(実施例組成物1)は、2つのキレート剤を使用したときに、単一のキレート剤のみを使用して得られたCu除去速度と比較して、種々のダウンフォースでより高いCu膜除去速度を提供した。
【0127】
Cu除去速度は、エチレンジアミン及びグリシンを4.0psiのダウンフォースで2つのキレート剤として使用するときに、単一のキレート剤としてエチレンジアミンのみを使用する場合の2550Å/分から、又は、単一のキレート剤としてグリシンのみを使用する場合の27832Å/分から31154Å/分まで増加した。
【0128】
例2
この実施例では、参照3のスラリーは、3.78wt%の単一キレート剤アラニン、0.18915wt%のアミトロール、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.037575wt%の高純度コロイドシリカ及び0.0001wt%の殺生物剤を含み、そしてpHは7.2に調整されていた。
【0129】
実施例組成物2は、3.78wt%のアラニン、0.004wt%のエチレンジアミン、0.18915wt%のアミトロール、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.037575wt%の高純度コロイドシリカ及び0.0001wt%の殺生物剤を含み、そしてpHは7.2に調整されていた。
【0130】
3つのスラリーはすべて、使用時にそれぞれ1.5wt%のH
2O
2を酸化剤として使用した。CMP研磨スラリーのpHは7.2であった。
【表2】
【0131】
表2に示す結果のように、Cu CMP研磨組成物は、2つのキレート剤を使用したときに、単一のキレート剤のみを使用して得られたCu除去速度と比較して、種々のダウンフォースで比較的により高いCu膜除去速度を提供した。
【0132】
例3
例3において、両方のCu CMP研磨組成物は、それぞれ3.78wt%及び0.004wt%の同じwt%濃度で2つのキレート剤であるグリシン及びエチレンジアミン(EDA)、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.0001wt%の殺生物剤及び0.037575wt%の高純度コロイドシリカを含んだ。アミトロールは、実施例組成物3では使用されたが、実施例組成物4では使用されなかった。両方の研磨組成物は約7.2のpH値を有する。
【0133】
研磨組成物中のアミトロールがCu除去速度に及ぼす影響を試験し、表3に示した。
【0134】
表3に示す結果のように、2.0psiのダウンフォースでは、Cu除去速度は、CMP研磨組成物で使用されるアミトロールありの19044Å/分からアミトロールなしの25809Å/分に増加した。
【表3】
【0135】
表3にさらに示す結果のように、3.0psiのダウンフォースでは、Cu除去速度は、CMP研磨組成物で使用されるアミトロールありの37851Å/分からアミトロールなしの51892Å/分に増加した。
【0136】
表3に示す結果は、アミトロールの有無にかかわらず、望ましい高いCu除去速度に調整できることを明確に示している。
【0137】
例4
ベース組成物は:それぞれ3.78wt%及び0.004wt%のグリシン及びエチレンジアミン(EDA)の2つのキレート剤、0.00963wt%の重炭酸コリン、0.0001wt%の殺生物剤、0.037575wt%の高純度コロイドシリカ、0.18915wt%のアミトロールを含んだ(H2O2なし)。異なる濃度の過酸化水素(H2O2)をベース組成物に添加して、表4に示すような様々な組成物を形成した。それらの組成物を使用して2.0psiのダウンフォースでのCu除去速度を測定した。
【0138】
2.0psi DFでのCu除去速度の結果を表4に示す。
表4に示す結果のように、試験されたH2O2の範囲である1.0wt%~3.0wt%で高いCu除去速度は得られた。
【0139】
さらに、高いCu除去速度はH
2O
2の濃度差を使用して調整可能であった。例えば、使用時にH
2O
2を1.5%に変化させることにより、2.0psiDFでのより高いCu除去速度が37706Å/分で達成された。
【表4】
【0140】
例5
例5において、非常に高いCu膜研磨除去速度を達成するように、表5に記載されているような実施例の銅CMP研磨組成物は調整及び変更された。
【0141】
Cu研磨組成物及び様々な負荷ダウンフォースで得られる対応するCu除去速度を表5に示す。
【表5】
【0142】
表5に示す結果のように、高いCu除去速度は、キレート剤グリシン及び腐食防止剤アミトロールの濃度を変更するか、又は、研磨組成物からアミトロールを除去することにより、達成及び調整可能であった。
【0143】
さらに、アミトロールを除去し、研磨組成物中の第一のキレート剤グリシン濃度を増加させた後に、74055Å/分という非常に高いCu除去速度は4.0psiのダウンフォースで達成された。
【0144】
例6
例6において、グリシン及びエチレンジアミンをデュアルキレート剤として使用する実施例のCMP研磨組成物(表6に示すとおり)を使用して、2.0psiのDF条件でCu:Ta及びCu:TEOS選択性を得た。
【0145】
研磨結果及びCu:Ta及びCu:TEOSの選択性をすべて表6に示す。
【表6】
【0146】
表6に示す結果のように、2.0psiのダウンフォース条件では、Ta膜及びTEOS膜の両方の除去速度は0Å/分であった。したがって、Cu:Ta及びCu:TEOSの選択性は非常に高かった。
【0147】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、上述の説明に照らして、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかであることは明白である。したがって、一般的な発明概念の主旨又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされてもよい。