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特許7240497電荷散逸コーティングを施した静電チャック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】電荷散逸コーティングを施した静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230308BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021527179
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019061177
(87)【国際公開番号】W WO2020106521
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】62/769,306
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リプチンスキー, ヤクブ
(72)【発明者】
【氏名】ドネル, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チュン ワン
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-542590(JP,A)
【文献】特開2017-212332(JP,A)
【文献】特開2006-287210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ基板を上部で支持するように構成された静電チャックアセンブリであって、静電チャックアセンブリが、
主電界領域を含む表面と、
主電界領域の周囲部分の上に延在する複数のエンボスを有する第1の絶縁体層と、エンボス間に配置されたコーティングされていない絶縁材料をもたらす第1の導電性コーティングにおける1又は複数の間隙部分を有する第1の導電性コーティングとを含む絶縁材料であって、複数のエンボスは、エンボスの各々が第1の導電性コーティングを有した状態で、静電チャックの外縁から横方向に配置されることにより、導電性コーティングされたエンボスが構成され当該エンボスは、接地に電気的に結合されたエンボスのセット全体にわたって1又は複数の導電性ブリッジを形成し、複数の導電性コーティングされたエンボスが、主電界上及び静電チャックの外縁の上にウエハ基板を支持するように構成された、絶縁材料と、
第1の絶縁体層の下方に配置された第1の電極パターンであって、第1の電極パターンは、間隙部分の下方に縦方向に配置され、エンボスの導電性ブリッジ間に横方向に配置された電極要素を有し、導電性コーティングされたエンボスの遠位部分が、電極要素上を横方向に延在せず、縦方向の隙間を形成して、電極パターンの通電時に第1の電極パターンと導電性ブリッジとの間の電気的結合を減少させる、第1の電極パターンと、
第1の絶縁体層の下方に配置された第2の電極パターンであって、第2の電極パターンが、第1の電極パターンとは反対の極性であり、第1及び第2の電極パターンが、通電時のエンボスの導電性ブリッジ上にウエハ基板をクランプするように構成されている、第2の電極パターンと、
電極パターンの各々のうちの電極とインターリーブ構成で配置された、電気的に結合された複数のエンボスから形成された複数の導電性ブリッジ経路と、
第1の電極パターン及び導電性コーティングされたエンボスを有する表面を支持するように構成された絶縁体と、
を含む、静電チャックアセンブリ。
【請求項2】
導電性ブリッジのうちの少なくとも1つが、静電チャックの縦方向の穴を通して、導電性接地層又は接地のうちの1つに電気的に結合されている、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ
【請求項3】
静電チャックのワークピース接触面の外縁の少なくとも一部を覆う導電経路を更に含み、導電経路が、導電性接地層に電気的に結合された第2の導電性コーティングを含む、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ
【請求項4】
表面上のガスシールリングを更に含み、導電経路が、静電チャックのガスシールリングの少なくとも一部を覆っている、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ
【請求項5】
エンボス上の第1の導電性コーティングが、金属材料又は導電性電荷散逸材料のうちの1つである、請求項1に記載の静電チャックアセンブリ
【請求項6】
ウエハ基板を上部で支持するように構成された静電チャックアセンブリであって、静電チャックアセンブリが、
主電界領域の周囲部分の上に延在する少なくとも1つのエンボスを有する第1の絶縁体層を形成する絶縁材料と、エンボス間のコーティングされていない絶縁材料をもたらす第1の導電性コーティングにおける1又は複数の間隙部分を有する第1の導電性コーティングとを含む主電界領域を含む表面であって、少なくとも1つのエンボスは、第1の導電性コーティングが上部に配置された状態で、静電チャックの外縁から横方向に配置され、導電性コーティングされたエンボスが、静電チャックの縦方向の穴を介して接地に電気的に結合され、第2の導電性コーティングが、縦方向の穴の側壁に沿って延在するとともに縦方向の穴の側壁を覆い、導電性コーティングされたエンボスが、主電界上及び静電チャックの外縁の上にウエハ基板を支持するように構成される、表面と、
第1の絶縁体層の下方に配置された第1の電極パターンであって、第1の電極パターンが、間隙部分の下方に縦方向に配置され、導電性コーティングされたエンボスから横方向に離れて配置された電極要素を有し、導電性コーティングされたエンボス又はその上の第1の導電性コーティングの遠位部分が、電極要素上を横方向に延在せず、縦方向の隙間を形成して、第1の電極パターンの通電時に第1の電極パターンと導電性コーティングされたエンボスとの間の電気的結合を減少させる、第1の電極パターンと、
を含む、静電チャックアセンブリ。
【請求項7】
導電性コーティングが、金属材料又は導電性電荷散逸材料のうちの1つである、請求項に記載の静電チャックアセンブリ。
【請求項8】
静電チャックのワークピース接触面の外縁の少なくとも一部を覆う導電経路を更に含み、導電経路が、接地への電気経路に電気的に結合された導電性コーティングを含む、請求項に記載の静電チャックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ加工中にウエハ基板を固定及び支持するために使用される静電チャックの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
静電チャックは、プラテンとも称され、加工用のワークピースを固定及び支持するために使用されている。ワークピース及びワークピースを支持するプラテン表面には、静電気が蓄積する場合がある。ワークピースに蓄積された電荷は、プラテン表面に移動させることができ、プラテン表面に蓄積された電荷は、ワークピースに移動させることができる。電荷の蓄積により、ワークピースの「固着」の問題が生じる可能性がある。一例では、電荷の蓄積が非常に大きくなると、通常のアンクランプ力ではワークピースを解放できない場合がある。例えば、典型的なアンクランプ力は、リフトピンを上昇させてワークピースの裏側に接触させることで得られる。別の例では、リフトピンは、ワークピースの一部を持ち上げることができても、残りの部分はワークピースと接触したままとなる。ワークピースがディスク状の半導体ウエハの場合、ウエハが「傾斜して」プラテンの端に固着しているように見える場合がある。関連するロボットアームがウエハを回収しようとすると、ウエハが適切に係合せず、ウエハがプラテンから押し出される場合もあり、ウエハの損傷及び加工の中断につながる可能性がある。ワークピースの「固着」の別の問題は、「プラテンの周囲のダンス(dancing around the platen)」と称される場合がある。この場合、ワークピースは、加工中又は装填位置でプラテンにクランプされる。半導体ウエハなどの一部の円形又はディスク形状のワークピースでは、ウエハがプラテンの外周に沿って全体的に振動偏位するため、ウエハが落下するという重大なリスクが生じる可能性がある。他の場合では、「ウエハウォーク」が発生する可能性がある。「ウエハウォーク」により、リフト中にウエハ縁部がプラテンに部分的に固着し、リフトピンでウエハがぐらつき、ピンがずれてウエハのハンドリングに問題が生じる可能性がある。電荷の蓄積がワークピースの「固着」の問題を引き起こさない場合でも、ワークピース上に形成されている装置の損傷につながる可能性がある。ワークピースがプラズマと同じチャンバ内に配置されているプラズマドーピングイオン注入装置では、過剰な電荷の蓄積により、ドーピングの不均一性、マイクロローディング、及びアーク放電が発生する可能性もある。このように、一部の場合では、過度の電荷蓄積を回避するために、プラズマドーピングイオン注入装置のスループットが意図的に制限される場合がある。
【0003】
従来の電荷蓄積を制御するための解決策の1つとして、ワークピースがクランプ位置にあるときに、ワークピースの裏側に接触して接地への経路を設ける3つのばね式接地ピンが使用されている。この解決策の欠点の1つは、ばね式接地ピンが3つのピンに制限されていることである。そのため、この接地装置では、過剰な電荷の蓄積を散逸するための有効性は限られたものとなっている。この解決策のもう1つの欠点は、ばね式接地ピンの接触点に鋭利な縁部があり、ワークピースの裏側に損傷を与える可能性があることである。ワークピースの裏側が損傷すると、不要な粒子(汚染)が発生する可能性があるため、一部の加工アプリケーションでは、その発生を制限することが重要となり得る。このように、静電チャックの性能を継続的に改善することが求められている。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における静電チャックとは異なり、本明細書に記載の種々の実施形態は、主にAC及びDCクーロン型チャックに適用可能であり、DCジョンセン-ラーベック(J-R)型チャックも含み得る。種々の実施形態において、静電チャックの最上層の上の電荷散逸層コーティング(又はCDLコーティング)により、電荷散逸のためにその上に配置されるウエハ基板の接地がもたらされる。対照的に、一部の従来の装置では、ウエハ基板とエンボスとの間のクランプ力を低減し、静電チャックの表面での粒子生成を低減するために導電性コーティングが使用されている。これらの設計はまた、チャック表面のエンボスとウエハ基板との間の静電力を分離して低減しようとするため、チャック表面からのウエハ基板のクランプ解除を妨げるものである。本明細書に記載の種々のCDL層及び関連するCDLパターンもまた、下方又は下部に形成された電極パターンに基づいて有利に設計され、CDL層が下方又は下部の電極パターンと重なることが回避される。それにより、電極とCDL層との間のクランプ力の形成が回避され、代わりに、電極とウエハとの間で、CDL層に対してクランプ力が形成される。一部の静電チャックの実施形態では、CDL層と電極層の電極要素との間に狭い横方向の隙間が形成され、CDL要素の部分とそれぞれの層/パターンの電極要素との間に縦方向に重なりがないことが保証される。従来技術のチャック設計では、導電性コーティング層と電極パターンのかかる重なりは問題ではなく、一部の場合では、ウエハとチャック表面との間の潜在的な摩擦によって生成される粒子の数を減らし、DC J-Rスタイルの静電チャックのエンボスの周りのクランプ力を回避するために、エンボスの周りにのみ導電性材料の隙間が存在している。一部の従来技術の装置では、エンボスの上部を接続する導電性配線は、CDL層と電極パターン層との間に薄い誘電体層が挿入されているため、導電性配線の一部が実際には下方及び/又は下部の電極パターンの種々の部分の上に配置されて望ましくない干渉を引き起こすため、本明細書に開示される様々な実施形態に悪影響を及ぼす。
【0005】
本明細書に記載の実施形態におけるウエハの接地、及び全体としての接地機構は、連続的であり、チャック本体のスルーホールの内側のCDLコーティングを通して、かつチャックの基部又はその近くで接地に延在するチャックの少なくとも1つの外縁まで生じる。したがって、種々のチャックの実施形態はまた、CDL/電極パターンが電極(複数可)に干渉せず、ウエハにクランプ力を生じさせないため、連続的な接地を有する。対照的に、従来技術のチャックでは、接地は、中央スルーホールを通る金属片又はストリップによって提供され、ウエハの接地は、静電チャックのクランプ電圧がオフにされた後にのみ生じる。従来技術の静電チャック装置とは更に対照的に、種々のウエハ接触表面構成を提供する様々な実施形態が説明され、当該構成には、ウエハ基板と接触しているその上に形成されたCDL層を備えたシリコンベースのエンボスと、ウエハと接触しているシリコンベースのエンボスの下方又は下部に形成されたCDL層と、ウエハ基板と接触している上部の導電性カーボンコーティング(下方のCDL層パターンと実質的に同様のパターンを有している)を備えた、シリコンベースのエンボス(複数可)の下方又は下部に形成されたCDL層と、が含まれる。更に、半導体ベースのエンボスの下方又は下部に導電性コーティング層を埋め込み、電界コーティングを施して、ACクーロン型の静電チャックの性能を向上させている。
【0006】
一実施形態では、ウエハ加工中にウエハ基板をその上に支持するための静電チャックアセンブリが提供され、チャックアセンブリは、主電界領域の周囲部分の上に延在する複数のエンボスがその上に形成された第1の絶縁体層を形成する絶縁材料を含むワークピース接触面の主電界領域を含み、複数のエンボスは、エンボスの各々が上部に配置された導電性コーティングを有した状態で、静電チャックの外縁から横方向に配置され、導電性コーティングは、接地に電気的に結合されたエンボスのセット全体にわたって1又は複数の導電性ブリッジを形成するように構成され、主電界領域の第1の絶縁体層は、エンボス間に配置された、導電性コーティングされていない絶縁材料の間隙部分を含み、複数の導電性コーティングされたエンボスは、主電界上及び静電チャックの外縁の上にウエハ基板を支持するように構成される。静電チャックはまた、第1の絶縁体層の下方又は下部に配置された第1の電極パターンを含み、第1の電極パターンは、絶縁材料の間隙部分の下方に縦方向に配置され、エンボスの導電性ブリッジ間に横方向に配置された電極要素を有する。ここで、導体コーティングされたエンボスの遠位部分は、電極要素上を横方向に延在せずに、縦方向の隙間を形成し、それにより、電極パターンの通電時に、電極パターンと導電性ブリッジとの間の電気的結合が防止される。また、第1の電極パターンと、その上に導体コーティングされたエンボスを有するワークピース接触面とを支持して動作可能な静電チャックアセンブリを形成する絶縁体も含まれる。本実施形態では、導体コーティングされたエンボスの上部と電極要素との間の横方向間隔は、電極パターンの非通電時にウエハ基板からの電荷散逸を最大化するように構成可能である。
【0007】
別の例示的な実施形態では、ウエハ加工後に基板が静電チャックに固着するのを防止しながら、ウエハ基板を静電チャックに静電的にクランプする方法が提供され、この方法には、静電チャックのワークピース接触面上に配置され、その上に延在住する複数のエンボスと、第1の絶縁体層の下方に配置された少なくとも1つの電極パターンとを含む静電チャックを提供する工程が含まれる。この方法には、その上に導電性コーティングを有する複数のエンボス上にウエハ基板を配置する工程が含まれ、導体コーティングされたエンボスは、静電チャックの外縁から横方向に配置され、導体コーティングされたエンボスは、接地に電気的に結合され、ウエハ基板と接触している導電性ブリッジを形成する。この方法にはまた、電極パターンに通電して、コーティングされたエンボスによって形成された導電性ブリッジにウエハ基板を物理的にクランプする工程が含まれ、一方の電極パターンの電極要素は、縦方向の隙間を形成するように導体コーティングされたエンボスから横方向に離れて配置され、この縦方向の隙間により、電極要素と導体コーティングされたエンボスとの間の電気的結合が防止される。関連する実施形態では、この方法には、導体コーティングされたエンボス間に絶縁材料の間隙を形成し、電極要素上に縦方向に配置して、基板をクランプ解除するときに電極パターンを非通電にした後、電荷が接地に移動するための低抵抗経路を設ける工程が更に含まれる。別の関連する実施形態では、この方法には、電極パターンの非通電時にウエハ基板からの電荷散逸を最大化するように、導体コーティングされたエンボスの上部と電極要素との間の横方向間隔を構成する工程が含まれる。
【0008】
更に別の例示的な実施形態では、ウエハ基板を上部で支持するように構成された静電チャックアセンブリが提供され、チャックアセンブリは、主電界領域の周囲部分の上に延在する少なくとも1つのエンボスがその上に形成された第1の絶縁体層を形成する絶縁材料を含む主電界領域を含むワークピース接触面を含み、少なくとも1つのエンボスは、導電性コーティングがその上に配置された状態で、静電チャックの外縁から横方向に配置され、導電性コーティングは、静電チャックの縦方向のスルーホールを介して接地に電気的に結合され、主電界領域の第1の絶縁体層は、少なくとも1つのエンボスのいずれかの側に配置された導電性材料でコーティングされていない絶縁性材料の間隙部分を含み、導体コーティングされたエンボスは、主電界上及び静電チャックの外縁の上でウエハ基板を支持するように構成される。当該アセンブリはまた、絶縁材料の間隙部分の下方に縦方向に配置され、導体コーティングされたエンボスから横方向に離れて配置された電極要素を有する第1の絶縁体層の下方又は下部に配置された第1の電極パターンを含み、エンボス導電性コーティングの遠位部分は、電極要素上を横方向に延在せずに、縦方向の隙間を形成し、それにより、電極パターンの通電時に、電極パターンと導体コーティングされたエンボスとの間の電気的結合が防止される。関連する実施形態では、導電性コーティングは、金属材料又は導電性電荷散逸材料のうちの1つである。静電チャックはまた、静電チャックのワークピース接触面の外縁の少なくとも一部を覆う導電経路を更にもたらし、導電経路は、接地への電気経路に電気的に結合された導電性コーティングを含む。
【0009】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の更に他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示しており、説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0010】
前述の説明は、以下の本発明の例示的な実施形態のより具体的な説明から明らかであり、添付の図面に示されているように、同様の参照文字は、異なる図の全体にわたって同じ部分を指す。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに本発明の実施形態を説明することに重点が置かれている。更に、構成要素が互いに隣接して示されている場合、明確にするために、構成要素の間にわずかな間隔を空けて示されていても、構成要素は互いに電気的に接触する可能性があることを理解されたい。これは、図面を参照して本明細書の説明の文脈から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による静電チャックの上面図である。
図2図1の静電チャックの分解図であり、本発明の実施形態による、静電チャックのワークピース接触面上及びその中に形成された導電経路及び電極パターンの種々の層及びインターリーブ構成を示す。
図3図1の静電チャックの拡大側面図であり、本発明の実施形態による、導電性コーティングでコーティングされた少なくとも1つのエンボスと、静電チャックの縁部に配置され、導電性接地層に結合された導電経路とを含む。
図4】本発明の実施形態による、絶縁層の上及び下の電極のセットと重ならない導電性要素の上に配置された少なくとも1つのエンボスを含む静電チャックの別の実施形態の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は種々の修正及び代替の形態に適しているが、特定の実施形態は、例として図面に示され、以下に詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある全ての修正物、同等物、及び代替物を網羅することを意図している。
【0013】
以下の説明では、静電チャックの新規なウエハ基板クランプ解除構造の種々の例示的な実施形態、及びかかる構成を使用して静電チャックが非通電された後にウエハ基板の「固着」をもたらす電荷蓄積を低減する方法が提供される。局所的な表面電荷は、外部電圧がない場合であっても、意図しないウエハクランプにつながる可能性がある。したがって、静電チャック内の電荷蓄積を制御するプラテン又はチャック構成を改良することも必要である。
【0014】
ここで図を参照すると、図1及び2は、それぞれ、ウエハ基板の(静電チャックからウエハ基板を取り外すのが困難となる)「固着」を軽減するように設計された静電チャック100の上面図及び分解図であり、新規の構成及びウエハクランプ方法を介して、電極パターンが非通電されて、ウエハ基板加工後に静電チャックからウエハ基板を「アンクランプ」又はクランプ解除する。電荷を接地に導くための導電経路を設けて固着の問題も軽減するような、明らかに類似した構造が存在する可能性があるものの、本明細書に開示される実施形態では、互いにブリッジ形成され、静電チャックの表面の上のウエハ基板を支持する接地に接続された隆起エンボス上の導電性経路を設けている。更に、隆起エンボスから離れた、横方向に離間された電極パターン及び電極要素により、導電性コーティングされたエンボスと電極要素との間のウエハクランプ中の電気的結合が低減又は排除され、これにより、低抵抗経路が作成されて、クランプ解除後にウエハの残留電荷が直ちに接地に移動する。かかる新規の導電性ブリッジ及び電極パターン構成はまた、「島部」(主電界領域の絶縁体層の摩耗部分)に蓄積された電荷が、ウエハ基板から導電性ブリッジを介して接地への電荷散逸に影響を与えたり、遅延させないように、クランプ中に導電性ブリッジ(複数可)に蓄積された電荷を大幅に低減又は排除する。
【0015】
再び図1及び2、そして図3を参照すると、静電チャック100は、主電界領域102を含み、主電界領域102は、主電界領域102の表面103上に形成された複数のエンボス110を有する絶縁材料104を含む。一例の実施形態では、エンボス110は、主電界領域102と同じ絶縁材料から形成され、別の実施形態では、エンボスは、別の絶縁材料、又は用途に応じてエンボスを形成する他の任意の適切な材料から形成されている。チャック100は更に、導電性ブリッジ120を含み、導電性ブリッジ120は、金属コーティングなどの導電性コーティング、又は1又は複数のエンボス110上に形成された電荷散逸特性を有する材料から作られたコーティングから形成されている。この例示的な実施形態では、導電性ブリッジ120は、チャック100の本体を通して形成される1又は複数の中央スルーホール150を介して導体経路108Cに物理的及び電気的に結合されている。かかる中央ホール150は、接地109又は108Bの下方の接地層に結合された導体経路108Cで裏打ちされている。
【0016】
この例示的な実施形態では、チャック100は更に、第1の電極パターン130を含み、第1の電極パターン130は、主電界領域102内に、第2の電極パターン132を有する主電界領域102の絶縁層104の上面103の下方に形成され、第2の電極パターン132もまた、主電界領域102及び主電界領域102の上面103の下方に形成されている。第1の電極パターン130及び第2の電極パターン132を使用して、それらが個別に通電されるときに、ウエハ基板が静電チャック100の表面にクランプされる。この例示的な実施形態では、チャック100はまた、第3の電極パターン134及び第4の電極パターン136を含み、第3の電極パターン134及び第4の電極パターン136は、第1及び第2の電極パターンに隣接し、主電界領域102の上面103の下方の絶縁層104に形成されている。チャック100のこの例示的な実施形態には、第5の電極パターン138及び第6の電極パターン140も含まれ、第5の電極パターン138及び第6の電極パターン140は、第3の及び第4の電極パターンに隣接し、主電界領域102の上面103の下方の絶縁層104に形成されている。チャック100では、エンボス110を備えた導電性ブリッジ120が、種々の電極パターンとともに放射状パターンで形成されているが、本発明は、必ずしもかかる電極及び導電性ブリッジパターン又は構成に限定されるものではない。更に、本明細書に開示される種々の実施形態は、これがウエハ加工要件によって駆動されるため、特定の数の電極パターン及び電極要素に限定されない。
【0017】
図1~3を参照すると、導電性ブリッジ又は経路120と、絶縁層104及び静電チャック100のワークピース接触面101に形成された電極パターン130及び132のインターリーブ構成を示す静電チャック100の拡大図が示されている。エンボス110の上部は点状に示されているが、エンボス上部又はキャップは、導電性ブリッジ120の一部として金属又は電荷散逸コーティングでコーティングされている。(隙間を形成する)絶縁材料152の間隙が、導体コーティングされたエンボス110間に形成され、間隙は、要素130A及び130Bなどの電極要素上に縦方向に配置される。絶縁材料間隙152は、電極要素が通電され、下方の電極要素によって結合力が形成されるときに、ウエハ基板がチャック100にクランプされる領域又は隙間をもたらす。
【0018】
再び図3を参照すると、静電チャック100の一部の拡大側面図が示されている。この例示的な実施形態では、チャック100は、誘電体(セラミック材料など)104、接合層(例えば、ポリマー又は他の種類の接着剤)105、及び第2の絶縁体層(セラミック基板)106の連続層から形成される。エンボス110は、上面103を有する第1の絶縁体層104上の主電界領域102上に形成される。エンボス110は、導電性コーティング120でコーティングされている。チャック100は、静電チャック100の縁部107上に配置された導電経路108Aを含む。静電チャック100は、導電性接地層108Bに結合され、次に接地109に結合される。導電性接地層108Bは、静電チャックの第2の絶縁体層106の下方又は下部に配置され、導電性接地層は、エンボス110の少なくとも1つの導電性ブリッジに電気的に接触する。この例示的な実施形態では、導電性コーティングされたエンボス110の上部と電極要素130Bとの間に横方向間隔160Aが存在し、この間隔関係は、電極パターンの非通電時にウエハ基板からの電荷散逸を最大化するように構成可能である。関連する例では、横方向間隔160Bは、電極130Aの遠位部分とエンボス110上の導電性コーティング120の遠位部分との間の間隔又は隙間(上記の間隙152を参照)を表している。一例の実施形態では、導電性接地層108Bは、静電チャックの接地ピン又は部材(図示せず)に電気的に接触する。
【0019】
再び図1~3を参照すると、静電チャック又はチャックアセンブリ100は、ウエハ基板を上部で支持するように設計されており、特に、主電界領域上及びチャック100の縁の上にウエハ基板を支持する複数のエンボスを有する。複数のエンボス110は、静電チャックの外縁107から横方向に配置され、エンボス110の各々は、その上に配置された導電性コーティング121を有する。導電性コーティングは、接地109に電気的に結合されたエンボス110のセット全体にわたって1又は複数の導電性ブリッジ120を形成するように構成され、主電界領域102の第1の絶縁体層104は、エンボス110間に配置された、導電性コーティングされていない絶縁材料の間隙部分152を含む。第1の絶縁体層104の下方又は下部に配置された第1の電極パターン130は、絶縁材料の間隙部分152の下方に縦方向に配置され、エンボス110の導電性ブリッジ120間に横方向に配置された電極要素130A及び130Bを有し、エンボス導電性コーティングの遠位部分は、電極要素130A及び130B上に横方向に延在せず、それにより、電極パターンの通電時に、電極パターンと導電性ブリッジとの間の電気的結合が防止される。一実施形態では、導電性ブリッジ120のうちの少なくとも1つは、静電チャック100の縦方向の穴150を介して、導電性接地層108B又は接地109のうちの1つに電気的に結合されている。
【0020】
本実施形態では、静電チャック100は、導電経路108を任意に含み、導電経路108は、導電性接地層108Bに電気的に結合された導電性コーティングを含む導電経路108Aで、静電チャック100のワークピース接触面101の外縁107の少なくとも一部を覆う。関連する実施形態では、静電チャック100は、ワークピース接触面101上にガスシールリング(図示せず)を含み、導電経路108Aは、静電チャック100のガスシールリングの少なくとも一部を覆う。種々の例示的な実施形態では、導電経路は、炭素ベースの材料、ドープされた炭素ベースの材料、又は窒素材料でドープされた水素化炭素のうちの1つを含む。種々の実施形態において、主電界領域102は、シリコンベース及びポリマーベースの材料のうちの1つを含む。
【0021】
上記の静電チャック構成は、ウエハ基板を静電チャックにクランプする独自の方法も提供し、当該方法により、摩耗した静電チャックの問題に対処することができ、又は、エンボスと導電性ブリッジ120又はエンボス110との間に形成された電荷の「島部」を有する摩耗したチャックのために操作を停止する必要がないという点で、ユーザの製造工程を延長することができる。したがって、ウエハ加工後に基板が静電チャックに固着するのを防止しながら、ウエハ基板を静電チャック100に静電的にクランプする方法が提供され、静電チャック100には、主電界領域102の上面103上に配置され、静電チャックのワークピース接触面101の上に延在する複数のエンボス110と、第1の絶縁体層104の下方又は下部に配置された、電極要素130A及び130Bを有する少なくとも1つの電極パターン130と、が含まれる。この方法には、その上に導電性コーティング121を有する複数のエンボス110上にウエハ基板を配置する工程が含まれ、導体コーティングされたエンボス110は、静電チャック100の外縁107から横方向に配置され、導体コーティングされたエンボス110は、接地109に電気的に結合され、ウエハ基板と接触している導電性ブリッジ120を形成する。この方法にはまた、電極パターン130に通電して、コーティングされたエンボス110によって形成された導電性ブリッジ120にウエハ基板を物理的にクランプする工程が含まれ、電極パターンの電極要素130A及び130Bは、導体コーティングされたエンボス110から横方向に離れて配置され、電極要素と導体コーティングされたエンボスとの間の電気的結合が防止される。関連する実施形態では、この方法には、導体コーティングされたエンボス110と、電極要素130A及び130Bの各々の上に縦方向に配置された絶縁間隙152との間に絶縁材料152の間隙を形成する工程が更に含まれる。絶縁材料間隙152は、電極要素が通電され、結合力が形成されてウエハに加えられたときに、ウエハ基板がチャック100にクランプされる領域をもたらす。有利には、導体コーティングされたエンボス110は、通電時にエンボスが電極要素をクランプ又は結合しないため、基板をクランプ解除するときに電極パターンを非通電にした後、電荷が経路導電性ブリッジ120を介して接地に移動するための低抵抗経路をもたらす。別の関連する実施形態では、この方法には、電極パターンの非通電時にウエハ基板からの電荷散逸を最大化するように、導体コーティングされたエンボス110の上部と電極要素130A(又は130B)との間に横方向間隔160Aを構成する工程が含まれる。関連する実施形態では、横方向間隔は160Bであり、導電性コーティングの遠位端から下方に配置された電極130Bの端部までの空間である。
【0022】
導電経路又はブリッジ120は、例えば、約0.1~3ミクロンの厚さを有する炭素ベースの材料で作製されてもよい。これは、適切な表面抵抗率を達成するためにドープされてもよい。例えば、導電性コーティングは、炭素ベースのコーティングと接地との間で測定した場合、約10オーム/平方未満の表面抵抗率、例えば、約10オーム/平方~約10オーム/平方の表面抵抗率を有してもよい。導電経路はまた、例えば、約0.1~3ミクロンの厚さの、窒素がドープされた水素化炭素のフィルムから作製されてもよい。導電経路108A及び108Cは、それぞれ、チャックの縁の周囲及びスルーホールを覆い、静電チャック本体の側面を包む導電性コーティングであり得る。更に、スパッタされたアルミニウム又は他の金属の層などの導電性接地層108Bは、チャックのセラミック層106の下に配置され得、チャックの縁の周囲の導電経路108Aに結合され得る。導電性接地層は、例えば、接地ピン及び/又は導電性接着剤の下地層を使用して、接地109に接触する。導電性接地層は、例えば、約0.1~3ミクロンの厚さのアルミニウム層であってもよい。チャック表面103の主電界領域102は、主電界領域102の周囲領域の上に延在するエンボス110を備えたシリコンベースの材料表面であってもよい。主電界領域102と接地との間の表面抵抗率は、約10~約1012オーム/平方の範囲、例えば、1010オーム/平方の範囲であってもよく、一方、導電経路108Aと接地との間の表面抵抗率は、約10オーム/平方であってもよい。導電経路が静電チャックのワークピース接触面に短い距離だけ延在していれば、導電経路と接地との間の表面抵抗率が低くても、潜在的に悪影響はない。静電チャック100はまた、例えばアルミニウム製のベース層(及び本明細書に記載の他の実施形態)を含んでもよい。静電チャックは、ガス穴、リフトピン、及び他の標準的な構成要素(図示せず)を更に含んでもよい。
【0023】
ここで図4を参照すると、静電チャック200の別の実施形態の拡大側面図が示されており、これには絶縁層209の上に配置され、絶縁層204の下方又は下部に配置された電極230A及び230Bのセット上で縦方向に重ならない導電性要素208C上に配置された少なくとも1つのエンボス210が含まれている。この例示的な実施形態では、チャック200は、誘電体(セラミック材料など)204、接合層(例えば、ポリマー又は誘電体接着剤などの他の種類の接着剤)205及び第2の絶縁体層(セラミック基板)206の連続層から、基板106と同様のベース基板上に形成される。エンボス210は、チャック200の最上面203の大部分をコーティングする絶縁体層209上の主電界領域202上に形成され、導電性要素208C上に形成される。導電性要素208Cは、第1の絶縁体層204上に形成される。導電性要素208Cは、導電経路208Aの上部と同一平面上にあり、チャック100と同様に、導体と電極との間に縦方向の間隙を残す関係を維持することに留意されたい。この構成により、電極230A及び230Bが加工中に基板をクランプすることを可能にしながら、1又は複数のエンボス210上のウエハ基板を支持し、次に、チャック200がオフにされたときに、導電性要素208Cがウエハから電荷を散逸させてから、ウエハ基板を持ち上げるか、又は取り外すことができる。任意に、エンボス210は、電荷散逸を促進するために導電性コーティングでコーティングされる。また、静電チャック200の縁部207上に配置された導電経路208Aは、中央スルーホール導体208Dとともに、導電性接地層208Bに結合される。接地層208Bは、接地209に結合されている。導電性接地層208Bは、静電チャックの第2の絶縁体層206の下方又は下部に配置され、導電性接地層は、少なくとも1つの導電性要素208C(又は関連する実施形態において必要な場合はエンボス210の導電性ブリッジ)に電気的に接触する。この例示的な実施形態では、エンボス210の上部及び導電性要素208Cと電極要素230Aとの間に横方向間隔260Aが存在しており、この間隔関係は、電極パターンの非通電時にウエハ基板からの電荷散逸を最大化するように構成可能である。同様に、横方向間隔260Bが、エンボス210と導電性要素208Cとの間に設けられる。横方向間隔260A及び260Bは、電極230Aの遠位部分と導電性要素208C及びエンボス210の遠位部分との間の間隔又は隙間(絶縁間隙152など)を表す。一実施形態では、導電性接地層208Bは、静電チャック200の接地ピン又は部材(図示せず)に電気的に接触する。本実施形態では、チャック200は、任意に、接地209に結合された中央スルーホール250に形成された接地導体208Dを含む。
【0024】
図1及び3に示されるチャック100と同様に、チャックアセンブリ200は、ウエハ基板を上部で支持するように設計され、特に、主電界領域202上及びチャック200の縁部207の上にウエハ基板を支持する複数のエンボス210を有する。この例示的な実施形態では、複数のエンボス210は、静電チャックの外縁207から横方向に配置され、エンボス210の各々は、導電性要素208C(又は任意でその上の導電性コーティング)を有し、導電性要素208Cの各々は、接地209に電気的に結合される電荷散逸のための経路を潜在的に形成する。第1の電極パターン230は、第1の絶縁体層204の下方又は下部に配置され、絶縁材料の間隙部分の下方に縦方向に配置された電極要素230A及び230Bを有する。チャック200及び電極パターン230は、隣接する横方向間隔又は間隙260A及び260Bを含み、当該間隙は、導電性要素208Cと電極との間に横方向に配置される。導電性要素208Cの遠位部分は、電極要素230A及び230B上に横方向に延在しないように構成され、それにより、電極パターン230の通電時に、電極パターンとその上に位置する導電性要素208Cとの間の電気的結合が防止される。一実施形態では、導電性要素208Cのうちの少なくとも1つは、静電チャック200内の導体208Dを介して、縦方向の中央ホール250を介して導電性接地層208B又は接地209のうちの1つに電気的に結合される。ポリマー表面の静電チャックには、ポリマーとワークピースとの接触を維持しながら、チャック表面とワークピースから接地に電荷を移動させる機能も備わっており、これにより、金属汚染の問題を回避し、静電チャック表面を再生できる。一例には、チャック表面の主電界領域における約10~約1010オーム/平方の表面抵抗率を有するポリマー表面静電チャックと、チャックの端から接地への例えば約10オーム未満の高導電経路と、が含まれる。本明細書に記載の種々の導電経路は、例えば、物理蒸着(PVD)によって形成されたアルミニウムコーティング、又は炭素ベースのコーティング、例えば窒素がドープされた水素化炭素などの別の導電性コーティングから形成されてもよい。接着コーティング層には、窒化物、酸化物、炭化物、及びこれらの非化学量論的バージョン、例えば、SiO、窒化ケイ素、酸化物又は炭化ケイ素を含むがこれらに限定されない、シリコン含有窒化物、酸化物、炭化物の少なくとも1つが含まれてもよい。接着コーティング層はまた、炭素又は炭素の窒化物化合物を含んでもよく、ダイヤモンドライクカーボンを含んでもよい。チャックのポリマー表面は、例えば、カーボンナノチューブ充填ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリイミドなどのカーボンナノチューブ充填ポリマーであってもよい。カーボンナノチューブ表面の表面抵抗率は、例えば、約10~約1010オーム/平方の範囲であってもよい。カーボンナノチューブ表面は、例えば、Entegris社の「Electrostatic Chuck with Polymer Protrusions」と題する公開されたPCT国際特許出願WO2010/132640(A2)号に記載されているものと同様の方法で、反応性イオンエッチングによる積層及びパターニングによって形成されてもよく、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。カーボンナノチューブを充填したポリマー表面の利点は、抵抗率が材料全体で均一であり、時間の経過又は洗浄によって摩耗したり、すり減ったりしないことであり得る。
【0025】
本発明による実施形態は、接地への導電性の高い経路を設けることにより、静電チャックによる基板加工のペースを考慮して、十分に短い時間でウエハ基板及び静電チャックから電荷をブリードアウトし、ウエハの固着又はその他のウエハのハンドリングの問題を防止又は軽減することを可能にする。この点に関して、本発明の実施形態による接地への導電経路の表面抵抗率は、静電チャックが存在するプロセスによって許容される時間内に電荷を接地に供給するのに十分である必要があることに留意されたい。例えば、1ワークピースあたり10秒の加工時間の場合と、1ワークピースあたり1秒の加工時間の場合とでは、必要な時間で電荷を接地に供給するには、表面抵抗率に1桁の差が必要になる。インプラントプロセスの場合、10分の1秒のサイクル時間で、本明細書に記載されている表面抵抗率がサポートされるが、必要に応じて他の表面抵抗率を使用することもできる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ワークピース接触面」という用語は、静電チャックの使用中に、静電チャックによってクランプされたワークピースに接触する面を意味する。本発明による実施形態は、AC及びDCクーロンチャック及びジョンセン-ラーベックチャックとともに使用することができる。更に、導電性コーティングが本明細書に記載される場合、種々の異なる可能な導電性材料が使用され得ること、例えば、ドープされたシリコンベースの材料、アルミニウムなどの金属又は別の材料が炭素ベースの材料の代わりに使用され得ることが理解される。導電経路の実効表面抵抗率を下げるために、研磨が使用されてもよい。一実施形態では、静電チャックの主電界領域用の炭化ケイ素と、導電経路用の高濃度にドープされた炭化ケイ素との組み合わせにより、二重構造を形成することができる。本発明の一実施形態による静電チャックは、例えば、反応性イオンエッチングプロセスを使用して再生されてもよい。更に、本発明による実施形態は、様々なシステムで使用することができ、当該システムには、ビームラインイオン注入装置、プラズマドーピングイオン注入装置、プラズマ浸漬イオン注入システム、フラッドイオン注入装置、集束プラズマシステム、プラズマシースを変調するシステム、エッチングシステム、光学ベースの加工システム、及び化学蒸着システムを含むがこれらに限定されない。本明細書で説明される種々の静電チャックアセンブリは、ウエハ加工システムの一部として、静電チャックシステム環境において印加電圧源(AC又はDC)で動作するように構成される。
【0027】
米国特許第7,623,334号、同第7,724,493号、同第8,861,170号、及び同第9,692,325号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
本発明の種々の実施形態は、その詳細を説明する目的で、かつ当業者が本発明を作成及び使用することを可能にする目的で、上記に記載されている。開示される実施形態の詳細及び特徴は、多くの変形例及び修正例が当業者に容易に明らかであるため、限定することを意図するものではない。したがって、本開示の範囲は、広く解釈され、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的同等物の範囲及び精神に含まれる全ての変形例及び修正例を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4