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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置及び収差補正方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20230308BHJP
   H01J 37/28 20060101ALN20230308BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/28 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021558118
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2019045623
(87)【国際公開番号】W WO2021100172
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 真悟
(72)【発明者】
【氏名】土肥 英登
(72)【発明者】
【氏名】程 朝暉
(72)【発明者】
【氏名】数見 秀之
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-216299(JP,A)
【文献】特開昭56-088246(JP,A)
【文献】特開2006-140119(JP,A)
【文献】特開2002-093357(JP,A)
【文献】特開2006-114305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源からの荷電粒子線を試料に照射する荷電粒子光学系と、
前記荷電粒子線と前記試料との相互作用により放出される電子を検出する検出器と、
制御部とを有し、
前記荷電粒子光学系は、前記荷電粒子線の収差を補正する、複数段の多極子を有する収差補正器を備え、
前記多極子は複数の極子を備え、前記複数の極子に対して所定の補正電圧または補正電流が印加されることにより、所定の多極子場を発生させ、
前記収差補正器は、前記荷電粒子線の収差を補正するため、前記複数段の多極子のそれぞれに複数の多極子場を重畳して発生可能であり、
前記制御部は、前記複数段のうちの任意段の多極子に発生させる前記複数の多極子場のいずれか一つの第1多極子場について、前記第1多極子場の発生の前後で前記荷電粒子線を前記試料に照射して前記検出器から検出された電子に基づき得られる観察像のシフトをなくすように、前記第1多極子場を発生させる多極子の前記複数の極子に印加する所定の補正電圧または補正電流の値を補正する荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記複数段のそれぞれの多極子に発生させる複数の多極子場のそれぞれについて、当該多極子場の発生の前後で前記荷電粒子線を前記試料に照射して前記検出器から検出された電子に基づき得られる観察像のシフトがないように、当該多極子場を発生させる多極子の前記複数の極子に印加する所定の補正電圧または補正電流の値を補正する歪み補正を行い、前記複数段のそれぞれの多極子の前記複数の極子に、当該多極子に発生させる複数の多極子場のそれぞれについて前記歪み補正を行った所定の補正電圧または補正電流の値を加算した補正電圧または補正電流を印加することにより、前記複数の多極子場を重畳して発生させる荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御部は、前記第1多極子場の発生前の前記観察像と前記第1多極子場の発生後の前記観察像から前記観察像のシフトを求め、前記観察像のシフトをなくす不均一場を前記第1多極子場に重畳して発生させる荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記多極子の前記複数の極子は、対向する第1の極子対と対向する第2の極子対とを含み、前記第1の極子対間を結ぶ直線と前記第2の極子対間を結ぶ直線とは直交しており、
前記制御部は、前記観察像のシフトをなくす不均一場を、前記第1の極子対が発生させる第1の不均一場と前記第2の極子対が発生させる第2の不均一場とを合成して発生させる荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記多極子の前記複数の極子は、対向する第1乃至第4の極子対を含み、前記第1の極子対間を結ぶ直線と前記第2の極子対間を結ぶ直線と、及び前記第3の極子対間を結ぶ直線と前記第4の極子対間を結ぶ直線とは直交しており、前記第1の極子対のそれぞれは前記第3の極子対のそれぞれと隣接し、前記第2の極子対のそれぞれは前記第4の極子対のそれぞれと隣接しており、
前記制御部は、前記観察像のシフトをなくす不均一場を、前記第1及び前記第3の極子対が発生させる第1の不均一場と、前記第2及び前記第4の極子対が発生させる第2の不均一場とを合成して発生させる荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項5において、
隣接する前記第1の極子対の極子及び前記第3の極子対の極子とは極性が同じであり、隣接する前記第2の極子対の極子及び前記第4の極子対の極子とは極性が同じである荷電粒子線装置。
【請求項7】
請求項5において、
隣接する前記第1の極子対の極子及び前記第3の極子対の極子とは極性が異なり、隣接する前記第2の極子対の極子及び前記第4の極子対の極子とは極性が異なる荷電粒子線装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記多極子の前記複数の極子の先端を結んで形成される円の直径をφ、前記多極子間の距離をdとするとき、5φ>d>0.5φの関係を有する荷電粒子線装置。
【請求項9】
請求項1において、
操作画面を表示する表示装置を有し、
前記制御部は、前記操作画面より指定された、前記任意段の多極子の前記第1多極子場について、前記第1多極子場を発生させる前記複数の極子に印加する所定の補正電圧または補正電流の値を補正する荷電粒子線装置。
【請求項10】
荷電粒子線装置の収差補正方法であって、
前記荷電粒子線装置は、荷電粒子線の収差を補正する収差補正器と、前記荷電粒子線と試料との相互作用により放出される電子を検出する検出器と、前記収差補正器の制御を行う制御部とを備え、
前記収差補正器は複数段の多極子を備え、
前記多極子は複数の極子を備え、前記複数の極子に対して所定の補正電圧または補正電流が印加されることにより、複数の多極子場を重畳して発生させ、
前記荷電粒子線の収差を補正するため、前記収差補正器の前記多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の理論値を算出するための収差補正テーブルと、前記収差補正器の前記多極子の歪みを補正するため、前記収差補正器の前記多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の補正値を算出するための歪み補正テーブルとを記憶し、
前記制御部は、
前記荷電粒子線の収差を測定し、
測定された前記荷電粒子線の収差と前記収差補正テーブルとを用いて、前記荷電粒子線の収差を補正するために前記収差補正器の前記多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の理論値を求め、
前記複数段のそれぞれの多極子に発生させる前記複数の多極子場のそれぞれについて、当該多極子場の発生の前後で前記荷電粒子線を前記試料に照射して前記検出器から検出された電子に基づき得られる観察像のシフトを求め、前記歪み補正テーブルを用いて、前記観察像のシフトをなくすような当該多極子場を発生させるために当該多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の補正値を求め、
前記複数段の多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧を、前記理論値を前記補正値により補正することにより求める収差補正方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記歪み補正テーブルは、前記複数段のそれぞれの多極子ごとに、前記観察像のシフトをなくす不均一場を発生させる補正電流または補正電圧を前記補正値として格納する収差補正方法。
【請求項12】
請求項10において、
前記制御部は、前記複数段の多極子の前記複数の極子に印加する補正電流または補正電圧を前記収差補正器に印加し、
前記荷電粒子線の光軸調整を行う収差補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置、及び収差補正装置を備えた荷電粒子線装置の収差補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細化の進展した半導体デバイスの半導体製造プロセスでは、荷電粒子線装置を用いて試料のパターン形状の寸法計測や欠陥検査を行う。寸法計測や欠陥検査に用いられる走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)は、真空中で細く絞った電子線で試料表面を走査し、試料から放出される2次電子を検出して、モニタ上に試料表面の拡大像を表示することができる。試料から放出される2次電子の信号強度は、電子線の入射位置の試料のパターン形状に応じて変わるため、SEMは試料表面の微細な凹凸を信号強度の強弱として検出できる。
【0003】
電子線は、電子のエネルギーのばらつきに起因する色収差、球面収差に代表される幾何収差、電子の波動性に起因した回折収差などの影響を受けて1点には集束しない。収差の影響が大きくなるほど電子線のビーム径が大きくなるため、SEM画像の分解能は低下する。寸法計測や欠陥検査に用いられる低加速電圧の電子線では、上記した収差の影響が特に大きい。これら収差の影響を低減するため、高解像度のSEM画像を取得可能な検査または計測装置用の走査電子顕微鏡では、色収差や幾何収差を補正する収差補正器が搭載されているものがある。
【0004】
収差補正器は多段の多極子で構成され、多極子に複数種の多極子場を重畳して発生させて収差を補正する。しかし、収差補正器が発生する多極子場は、収差補正器の加工・組立・電源出力等の製造ばらつきに対して鋭敏であり、収差補正器が発生する多極子場の分布は理論的に定義される場の分布と乖離(以下では、この乖離を多極子の歪みと呼ぶ)するためである。多極子の歪みがあると、理論通りの収差補正が行えない。
【0005】
特許文献1には、「多極子からなる収差補正器を搭載した装置において、荷電粒子を用いて試料表面を観察する場合において、多極子の機械的・電気的ズレによって生じる寄生2極子場と寄生4極子場を補正するため設けられた、寄生2極子場補正装置、寄生4極子場補正装置と、前記収差補正器のある段のX、Y方向に多極子場を所定量ずらした時における補正値を予め記憶しておく記憶手段と、該記憶手段に記憶していた補正量を用いて寄生2極子場と寄生4極子場を補正する補正手段」を有する構成が開示されている。
【0006】
特許文献2には、「荷電粒子線装置を構成する光学系について収差係数を測定して収差補正量を計算する。同時に、収差補正器に印加される電源制御値の現在値を測定する。収差補正量と電源制御値の現在値に基づいて、収差補正器に発生する寄生収差量を抑制する寄生収差調整量を算出する。」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-114305号公報
【文献】特開2013-149492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、収差補正器が有する多極子の歪みを寄生場として捉え、その寄生場を複数の寄生多極子場に展開している。特許文献1と特許文献2に記載の技術も、この考え方にしたがって、多極子の歪みの影響を低減するものである。
【0009】
特許文献1では、寄生場を寄生2極子場と寄生4極子場に展開して寄生場を補正する。このため、多極子ごとに多極子場の単位強度あたりの寄生2極子場補正量と寄生4極子場補正量とをあらかじめ記憶しておくことにより、多極子場を寄生2極子場、寄生4極子場の補正を行った上で発生させる。
【0010】
特許文献2には、多極子場強度に対する寄生収差補正量の関係が多極子場強度により変化する場合、経時的に変化する場合であっても、その影響を加味して寄生収差補正量を決定する。
【0011】
いずれの場合も、多極子が発生させる多極子場の強度に応じて補正量が決められることになる。しかしながら、発明者らの検討によれば、収差量の計測データに収差量に比例して収差計測誤差が含まれる。このため、発生させる多極子場の強度に応じて補正量を定めると、収差計測誤差により寄生場を補正するための補正量は、本来必要とする補正量と乖離することによって、収差補正の精度が低下する。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、多極子場の強度に応じて補正量を決定することなく、収差補正器を備えた荷電粒子線装置において多極子の歪みによる寄生場を直接的に抑制し、高精度な収差補正を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施の態様である荷電粒子線装置は、荷電粒子源からの荷電粒子線を試料に照射する荷電粒子光学系と、荷電粒子線と試料との相互作用により放出される電子を検出する検出器と、制御部とを有し、荷電粒子光学系は、荷電粒子線の収差を補正する、複数段の多極子を有する収差補正器を備え、多極子は複数の極子を備え、複数の極子に対して所定の補正電圧または補正電流が印加されることにより、所定の多極子場を発生させ、収差補正器は、荷電粒子線の収差を補正するため、複数段の多極子のそれぞれに複数の多極子場を重畳して発生可能であり、制御部は、複数段のうちの任意段の多極子に発生させる第1多極子場について、第1多極子場の発生の前後で荷電粒子線を試料に照射して検出器から検出された電子に基づき得られる観察像の移動をなくすように、第1多極子場を発生させる複数の極子に印加する所定の補正電圧または補正電流の値を補正する。
【0014】
本発明の他の実施の態様である荷電粒子線装置の収差補正方法は、荷電粒子線装置は、荷電粒子線の収差を補正する収差補正器と、荷電粒子線と試料との相互作用により放出される電子を検出する検出器と、収差補正器の制御を行う制御部とを備え、収差補正器は複数段の多極子を備え、多極子は複数の極子を備え、複数の極子に対して所定の補正電圧または補正電流が印加されることにより、所定の多極子場を発生させ、荷電粒子線の収差を補正するため、収差補正器の多極子の複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の理論値を算出するための収差補正テーブルと、収差補正器の多極子の歪みを補正するため、収差補正器の多極子の複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の補正値を算出するための歪み補正テーブルとを記憶し、制御部は、荷電粒子線の収差を測定し、測定された荷電粒子線の収差と収差補正テーブルとを用いて、荷電粒子線の収差を補正するために収差補正器の多極子の複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の理論値を求め、複数段のそれぞれの多極子に発生させる複数の多極子場のそれぞれについて、当該多極子場の発生の前後で荷電粒子線を試料に照射して検出器から検出された電子に基づき得られる観察像のシフトを求め、観察像のシフトと歪み補正テーブルとを用いて、当該多極子場を発生させるために多極子の複数の極子に印加する補正電流または補正電圧の補正値を求め、複数段の多極子の複数の極子に印加する補正電流または補正電圧を、理論値を補正値により補正することにより求める。
【発明の効果】
【0015】
多極子の歪みのある場合においても寄生場を直接的に抑制することで、高精度に収差補正できる。
【0016】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】多極子の歪みの補正方法を説明する図である。
図2】収差補正器を搭載した走査電子顕微鏡の概略図である。
図3A】収差補正器による収差補正のフローチャートである。
図3B】ステップS109の詳細なフローチャートである。
図4】収差補正器が各多極子に発生させる多極子場の種類を示す図である。
図5】制御部のハードウェア構成例である。
図6】歪み補正を行うための直交座標系の例を示す図である。
図7】段間相互作用がもたらす課題を説明する図である。
図8】簡易モードの操作画面例である。
図9】精密モードの操作画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を用いて、本実施例における多極子の歪みによる寄生場の補正方法について説明する。収差補正器は多段に積み重ねられた多極子により構成されている。図1では、収差補正器を構成する任意の1段の多極子101を通過する一次電子(電子ビーム)のビーム形状を示している。ただし、電子ビームのビーム形状を正確に図示するのは困難であり、模式的に表記している。
【0019】
図1の第1段(最上段)は多極子場の印加のない状態を示す。多極子101の中心軸を電子ビーム103が通過し、このときの電子ビーム103のビーム形状は円形である。
【0020】
この例での多極子101は12の極子102を有しており、12の極子102それぞれが発生する電場(極子が電極の場合)あるいは磁場(極子が磁極の場合)の大きさを制御することにより、多極子場を重畳して発生させることができる。電子ビームのビーム形状は多極子が発生する多極子場の作用を受けて変形する。収差のないビーム形状が真円であるとすると、実際には収差の影響を受けて、真円から変形を生じたビーム形状を有する電子ビームが収差補正器に入射される。多極子で構成される収差補正器は、電子ビームに多極子場の作用によってビーム形状の変形を補正する逆収差を与え、電子ビームのビーム形状を真円(理想形状)に近づけることで、色収差あるいは幾何収差を補正するものである。
【0021】
図1の第2段は、多極子101が歪みのない6極子場を印加したときのビーム形状を示しており、このときの電子ビーム104のビーム形状は6極子場の作用を受けて、三角形に変形している。また、多極子101が歪みのない6極子場を発生させている場合、電子ビームの重心ずれが生じないため、観察像シフトが生じない。このことを図では、電子ビーム104の重心105が多極子101の中心に位置していることで示している。
【0022】
図1の第3段は、多極子101が歪みのある6極子場を印加したときのビーム形状を模式的に示しており、このときの電子ビーム106のビーム形状は歪みの影響を受けて、理想形状の三角形とは異なる多角形状に変形するとともに、電子ビーム106の重心107は多極子101の中心とは異なる位置に位置するようになる。これは、歪みの影響により、電子ビームの重心ずれが生じ、観察像シフトが生じることを表している。この歪みは収差補正器の加工・組立・電源出力等の製造ばらつきに由来して生じるものであるため、避けることができない。
【0023】
図1の第4段(最下段)に、本実施例による歪み補正方法を示す。本実施例の歪み補正方法では、歪みによって生じる観察像シフトに着目する。12の極子102の一部の極子(ここでは極子102c)が発生する電場あるいは磁場の大きさを調整することによって不均一場を重畳させ、電子ビーム108のビーム形状の重心109が多極子101の中心に位置するようにする。これにより、製造ばらつきに由来する歪みが不均一場によって打ち消されることになり、電子ビーム108のビーム形状も理想形状である三角形となる。なお、ここでは調整される極子が1つの例を示したが、調整される極子の数は、発生させる不均一場に応じて単数、複数、いずれの場合もあり得る。
【0024】
なお、6極子場の例を示したが、4極子場、8極子場についても同様であり、また、収差補正器には極子の種類によって分類される磁界主体型と静電主体型との2種類があるが、どちらの型についても効果を得ることができる。
【0025】
収差補正のために多極子が発生させる多極子場は、いずれも多極子の歪みがなければ観察像の移動を生じさせることがない。本実施例ではこの性質を利用し、多極子ごとの多極子場ごとに、観察時に実際に発生させる多極子場について、観察像の移動をなくすように不均一場を発生させる補正を行うことで、精度よく多極子の歪みの影響を除くことができる。
【0026】
図2に収差補正器を搭載した走査電子顕微鏡の概略図を示す。陰極201、第1陽極202及び第2陽極203は荷電粒子源(電子銃)を構成し、電子銃制御部223により制御される。電子銃制御部223が陰極201と第1陽極202との間に引出電圧を印加することにより、陰極201から所定の電流密度で一次電子が放出される。さらに陰極201と第2陽極203との間に印加される加速電圧により、一次電子は加速されて後段に放出される。
【0027】
放出された一次電子は、その励磁電流が第1コンデンサレンズ制御部224により制御される第1コンデンサレンズ204により集束される。第1コンデンサレンズ204により集束された一次電子は、対物可動絞り205の開口部で所定の電流量に制限される。対物可動絞り205を通過した一次電子は、その励磁電流が第2コンデンサレンズ制御部225で制御される第2コンデンサレンズ206により光軸に対して平行なビーム軌道に調整される。
【0028】
第2コンデンサレンズ206を通過した一次電子は、収差補正器209に入射し、色収差、幾何収差あるいはその両方を補正する電子軌道に調整される。収差補正器209の励磁電流と印加電圧は収差補正器制御部227により制御される。収差補正器209を通過した一次電子は、その励磁電流が第3コンデンサレンズ制御部229で制御される第3コンデンサレンズ211により光軸214上の適切な位置に集束される。第3コンデンサレンズ211で集束された一次電子は、その励磁電流が対物レンズ制御部234で制御される対物レンズ218でステージ219に配置されたウェハ220に集束される。対物レンズ218の励磁電流は、ステージ制御部235により制御される試料高さ計測器222で計測されたワーキングディスタンスに基づいて設定される。
【0029】
ステージ219にはリターディング電圧制御部236で制御されるリターディング電源221が接続されている。リターディング電源221で対物レンズ218とウェハ220との間に電圧を発生させることにより、一次電子を減速させる。
【0030】
第1偏向器制御部233で制御される第1走査偏向器217により一次電子はウェハ220上を2次元に走査される。一次電子とウェハ220との相互作用により二次電子が発生する。発生した二次電子は対物レンズ218を通過し、二次電子変換板212上で広がりを持ったスポットを形成する。二次電子は第1走査偏向器217によって二次電子変換板212上を走査され、二次電子変換板212との相互作用により三次電子が発生する。三次電子は、E×B制御部232により印加電圧及び励磁電流が制御されるE×B偏向器213によって検出器制御部231により制御される検出器215の方向へ偏向され、検出器215によって検出される。検出された三次電子は電気信号に変換され、制御部238で演算され、表示装置237にSEM画像として表示される。SEM像の視野を移動させる場合は、ステージ制御部235によりステージ219を動かすか、第1偏向器制御部233で制御されるイメージシフト偏向器216によって一次電子のウェハ220上の照射位置を移動させる。
【0031】
収差補正器209の中心軸が光軸214に対してずれている場合、収差補正器209に入射する一次電子は第2偏向器制御部226で制御される2段偏向器208により、収差補正器209から射出された一次電子は第3偏向器制御部228で制御される2段偏向器210で光軸150に合わせる。
【0032】
非点補正器制御部230により制御される非点補正器207は、電子光学系の寄生非点収差を補正する。
【0033】
収差補正器209は、図1に示した多極子が多段に積み重ねられて構成される収差補正器であり、色収差と幾何収差とを補正可能である。例えば、4極-8極子系収差補正器の場合、収差補正器209の各段の多極子で所定の4極、8極電磁場を形成する。多極子に12極の極子(電極・磁極)を用いると4極、8極のほか、双極、6極、12極電磁場を重畳して発生できる。
【0034】
なお、本実施例の収差補正器を搭載する荷電粒子線装置は図2に示す走査電子顕微鏡に限られず、走査透過電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査イオン顕微鏡や集束イオンビーム装置などにも適用可能である。
【0035】
図3Aに制御部238が実行する収差補正器209による収差補正のフローチャートを示す。本フローによる収差補正を行うタイミングは特に限定されない。寸法計測や欠陥検査を開始する前のタイミングに限られず、加速電圧などの光学条件を変えるときや、気圧や気温などが大きく変化したときなどが挙げられる。
【0036】
収差補正を開始し(ステップS100)、まず、ステージ制御部235によりステージ219を観察位置に移動させる(ステップS101)。後述する収差を計測するための調整用サンプルが標準試料としてステージ219に搭載されている場合には、調整用サンプルがSEMの視野に入るようにステージ219を移動させる。
【0037】
ステップS102では、SEM画像取得のための光学条件を設定する。光学条件としては、電子銃制御部223が制御する加速電圧、リターディング電圧制御部236が制御するリターディング電圧、コンデンサレンズ制御部224,225,229が制御するコンデンサレンズの励磁電流、対物レンズ制御部234が制御する対物レンズの励磁電流、各種偏向器の励磁電流等を含む。
【0038】
ステップS103では、設定された光学条件に合わせて、収差補正器209の補正電流または補正電圧を設定する。
【0039】
ステップS104では、収差補正器209の電子ビーム入射側に設けられた2段偏向器208及び電子ビーム出射側に設けられた2段偏向器210により、収差補正器209の中心軸と光軸214に合わせるよう調整する。
【0040】
ステップS105では、SEM画像の鮮鋭度を上げるため、収差補正器209により非点収差を補正する。
【0041】
ステップS106では、例えば調整用サンプルのSEM画像から収差を計測する。収差の計測には公知の計測方法を用いることができる。ここで計測された収差が目標の収差量以下であるかを判定し(ステップS107)、目標の収差量以下であれば、収差補正のフローを終了する(ステップS110)。一方、目標の収差量よりも大きい場合には、収差の大きさに応じて収差補正器を構成する多極子の各極子に印加する補正電流または補正電圧の値を計算する。この段階での電流値または電圧値は、多極子が歪みを有さない、すなわち理論的に定義される多極子場を発生させる補正電流または補正電圧の値である(ステップS108)。
【0042】
図4に、収差補正のために収差補正器209が各多極子に発生させる多極子場の種類を示す。各行は、収差補正器209が補正する色収差または幾何収差を示しており、1次収差~3次収差までを補正する。各列は、多極子の段を示している。この例では、収差名称として列記された1次~3次までの色収差または幾何収差を補正するため、1段目の多極子には、枠401に囲った極子場を重畳して発生させる必要がある。所定次数の色収差または幾何収差ごとに、補正するための多極子場の大きさの比率は理論的に定まるため、補正すべき各収差の大きさに応じて、各極子に印加する補正電流または補正電圧は理論的に算出できる。ただし、この理論値のままでは、収差補正器209の各多極子のもつ歪みの影響により、十分な収差補正の効果が得られない。
【0043】
ステップS109では、多極子の歪みによる影響を除去するよう収差補正器を構成する多極子の各極子に印加する補正電流または補正電圧を補正する(この補正を以下、「歪み補正」という)。このステップの詳細については後述する。この後、歪み補正後の収差補正器209による収差の計測を行う(ステップS106)。計測された収差が目標の収差量以下になるまで、収差補正器209の歪み補正を繰り返し実行する。なお、最終的にステップS106で計測された収差が目標の収差量以下になったと判定されたときには、その収差補正器の条件を記録しておくことが望ましい。
【0044】
図3BにステップS109の詳細なフローチャートを示す。まず、寄生収差の補正を行う多極子を選択する(ステップS300)。例えば、第1段の多極子を選択する。続いて、当該多極子が出力する多極子場を選択する(ステップS301)。例えば、枠401に含まれる多極子場(図4を参照)のいずれか、例えば、収差ImA1を補正するための斜め4極子場を選択する。続いて、ステップS108(図3Aを参照)で演算した補正電流または補正電圧を、第1段の多極子の各極子に印加し、収差ImA1を補正するための斜め4極子場を発生させる(ステップS302)。
【0045】
ステップS303では、収差ImA1を補正するための斜め4極子場を発生させたことによる観察像のシフトを検出する。もし、第1段の多極子の歪みがなければ、発生される斜め4極子場はビーム形状を変形させるだけで、観察像のシフトを発生させることはない。そこで、ステップS304では観察像のシフトをなくすよう、多極子場の分布を補正する。具体的には、観察像の重心を多極子の中心に移動させるような向きと大きさをもつ不均一場を重畳すればよい。このため、制御部238は、多極子場印加の前後での重心の位置ずれと位置ずれを補正するために各極子に印加する補正電流または補正電圧の補正量とを表形式(テーブル)で保持しておく。このような多極子場の分布の補正を、当該多極子が発生させる全ての多極子場について繰り返す(ステップS305)。これにより、図4の例では、第1段の多極子が発生させる8種類の多極子場のそれぞれについて、多極子場を印加したときに観察像のシフトが発生しないよう、歪み補正された補正電流または補正電圧が求められる。第1段の多極子が発生させる全ての多極子場について歪み補正が終了すれば、他段の多極子についても同様に多極子場のそれぞれについて分布補正を実行する(ステップS306)。
【0046】
第1段の多極子の例では、8種類の多極子場についてそれぞれステップS305で求めた各極子に印加する補正電流または補正電圧の総和を各極子に印加することにより、それぞれ多極子場の分布が補正された8種類の多極子場が重畳して発生される。
【0047】
その後、収差補正器209に歪み補正を行った補正電流または補正電流を設定し、光軸の調整(ステップS307)及び非点収差の補正(ステップS308)を行う。これらはそれぞれ図3AにおけるステップS104、S105と同じ処理である。
【0048】
なお、ステップS303における観察像としては、試料パターン(例えば、調整用サンプルのパターン)像を用いてもよいし、電子源像を用いてもよい。試料パターン像を用いる場合には、第1走査偏向器217により電子ビームを2次元に走査させることで試料パターン像を得ることができるので、多極子場印加前後の試料パターンの重心の移動から観察像のシフトを求める。試料パターンの重心の移動から観察像のシフトを求めるため、高精度な計測が可能になる。一方、電子源像を用いる場合には、第2走査偏向器制御部240で制御される第2走査偏向器239により電子ビームを対物可動絞り205上で走査する。このとき、ウェハ220に到達可能な一次電子は対物可動絞り205の形状に制限される。収差がなければ対物可動絞り205の形状の電子源像が観測され、収差がある場合には収差によって歪んだ電子源像が観測され、多極子場印加前後の電子源像の重心の移動から観察像のシフトを求める。以上のように、試料パターンあるいは電子源像のいずれの観察像を用いても、SEM画像から多極子場の分布を測定することができる。
【0049】
図5に制御部238のハードウェア構成例を示す。制御部238は、プロセッサ501、RAM(Random Access Memory)502、記憶装置503、入出力インタフェース504、表示インタフェース505、ネットワークインタフェース506、入出力ポート507を含み、これらはバス508により通信可能に結合されている。入出力インタフェース504は、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置509と接続され、表示インタフェース505は、表示装置237に接続され、GUI(Graphical User Interface)を実現する。なお、入力装置509の他、音声によりユーザの指示を入力可能としてもよい。ネットワークインタフェース506はネットワークと接続するためのインタフェースである。ネットワークを介して接続される別の端末(図示せず)から命令や荷電粒子線装置が取得した画像データを送受信可能としてもよい。入出力ポート507は図2に示した荷電粒子線装置の荷電粒子光学系、検出器を構成する機器の制御部や荷電粒子線装置に設けられたセンサ(例えば、気圧計など)と接続され、命令やセンシングデータの送受信を行う。
【0050】
記憶装置503は通常、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成され、制御部238が実行するプログラムやプログラム実行に必要なテーブル、荷電粒子線装置が取得した画像データなどを記憶する。RAM502はプロセッサ501の命令により、プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等を一時的に記憶する。プロセッサ501は、記憶装置503からRAM502にロードしたプログラムを実行する。
【0051】
記憶装置503には、荷電粒子線装置を制御するためのプログラム、制御用データ、画像データが格納されるが、ここでは本実施例に特に関連するプログラム、制御用データだけを示している。収差補正プログラム510は、図3A及び図3Bに示したフローを実行するプログラムであり、その中のルーチンとして収差計測部511(ステップS106の処理を実行)、歪み検出部512(ステップS303の処理を実行)、歪み補正部513(ステップS304の処理を実行)を示している。
【0052】
また、収差補正テーブル521は、ステップS108において使用されるテーブルであって、収差計測部511が計測した収差を補正するために収差補正器209に印加する補正電流または補正電圧を理論的に算出するためのテーブルである。歪み補正テーブル522は、ステップS304において使用されるテーブルであって、歪み検出部512が検出した観察像のシフトを補正するための補正電流または補正電圧の補正量を算出するためのテーブルである。
【0053】
なお、歪み補正においては、観察像の重心を多極子の中心に移動させるよう不均一場を発生させる必要がある。このとき、観察像のシフトを直交座標系上で把握すると移動量から補正量の換算を容易に行うことができ、また、直交軸を形成する固定された極子により多極子場の分布補正を行うことになるため、歪み補正の再現性を高めることができる。
【0054】
図6に歪み補正を行うための直交座標系の例を示す。図6上段(直交座標系1)に示すように、直交座標系は互いに直交するh軸(黒色)、v軸(灰色)からなり、両軸は多極子の中心Oで交わる。多極子の歪みを示すビーム形状の重心600を始点とし、多極子の中心Oを終点とするベクトルだけ多極子場を移動させるには、h軸、v軸上に投影した大きさでh軸方向、v軸方向の不均一場を発生させればよい。h軸方向の不均一場を発生させる極子は極子102h1と極子102h2の極子対であり、v軸方向の不均一場を発生させる極子は極子102v1と極子102v2の極子対である。
【0055】
直交座標系1は、軸方向が対向する極子を結ぶ直線上に一致する例であるが、隣接する極子間に軸方向を配置することも可能である。そのような例を直交座標系2-1,2として示す。直交座標系2-1,2とでは、h軸とv軸とが入れ替わった関係にある。いずれの場合も、h軸方向の不均一場は4つの極子102h1a,102h1b,102h2a,102h2bにより、v軸方向の不均一場は4つの極子102v1a,102v1b,102v2a,102v2bにより発生させられる。なお、直交座標系2-1,2は、図に示されるように、極子対102h1a,102h2a間を結ぶ直線と極子対102v1a,102v2a間を結ぶ直線とは直交し、極子対102h1b,102h2b間を結ぶ直線と極子対102v1b,102v2b間を結ぶ直線とは直交し、極子102h1aと極子102h1b、極子102h2aと極子102h2b、極子102v1aと極子102v1b、極子102v2aと極子102v2bとは隣接している。ただし、図6中段、下段に示されるように、直交座標系2-1の場合は、隣接する極子同士の極性が同じであるのに対し、隣接する極子同士の極性が逆になっている。6極子場の補正には、直交座標系1を用いるのがよく、8極子場の補正には直交座標系2-1または2-2を用いるのがよい。
【0056】
ところで、小型の収差補正器の場合には、異なる段の多極子の極子同士の間の相互作用(以下、段間相互作用という)が無視できない大きさとなってくる。図7を用いて本課題について説明する。図7の例では、収差補正器209は多極子701~704で構成されている。ここで、多極子は内径(ここでは、多極子の極子の先端を結んで形成される円の直径をいう)φを有し、隣接する多極子間は距離dを有するものとする。
【0057】
距離dが十分な大きさを有していれば、段間相互作用がない、もしくは無視できるため、多極子の歪みにより生じる寄生場710と歪みを補正するための不均一場711とは光軸上の同じ位置に作用し、互いに打ち消される。ところが、段間相互作用の存在により、寄生場710と不均一場711との作用点が光軸方向(Z軸方向)にずれる。この場合、不均一場711により寄生場710により打ち消すことができなくなる。
【0058】
しかしながら、図3Bを用いて説明した歪み補正方法では、多極子ごと、多極子場ごとに収差量の大きさに応じて発生させる多極子場に対して直接的に歪み調整を行うことで、歪み補正により新たな収差を発生させることがない。このため、歪み補正において段間相互作用の影響を最小限に抑えられる。収差補正器において、5φ>dの場合に段間相互作用の影響が表れてくるが、本実施例の歪み補正方法においてはd>0.5φであれば、段間相互作用の影響なく歪み補正が可能である。
【0059】
図8図9に本実施例の歪み補正を行う操作画面例を示す。図8は簡易モードの操作画面800の例である。操作画面800は、観察像を表示する画像表示領域801、観察条件設定領域802、収差補正簡易調整領域803を有している。観察条件設定領域802には、例えば観察像の撮影倍率、撮影フレーム数、ステージ移動等を入力する入力ボックスが設けられている。収差補正簡易調整領域803は、図3A~Bを実行するフローを進めるためのボタンが設けられている。例えば、STEP1は光学条件の設定(ステップS102)を行う設定ボタン、STEP2は光軸調整(ステップS104)を行う設定ボタン、STEP3は非点収差の修正(ステップS105)を行う設定ボタン、STEP4は収差補正(ステップS106~S109)を行う設定ボタンである。これにより、複雑な調整を必要とする収差補正を容易に手順通り実行できる。
【0060】
図9は精密モードの操作画面900の例である。操作画面900は、簡易モードの操作画面800の操作画面に加えて、収差補正精密調整領域901を有している。収差補正精密調整領域901は、図3Bのフローを適宜ユーザがマニュアルで補正量を指定しながら実行することを可能にする。例えば、多極子場の分布補正を行う多極子の段数の指定、多極子場の指定、分布補正のための補正量の指定、分布補正のための補正量の自動計算が行える。
【符号の説明】
【0061】
101,701~704:多極子、102:極子、103,104,106,108:電子ビーム、105,107,109:重心、201:陰極、202:第1陽極、203:第2陽極、204,206,211:コンデンサレンズ、205:対物可動絞り、207:非点補正器、208,210:2段偏向器、209:収差補正器、212:二次電子変換板、213:E×B偏向器、214:光軸、215:検出器、216:イメージシフト偏向器、217:第1走査偏向器、218:対物レンズ、219:ステージ、220:ウェハ、221:リターディング電源、222:試料高さ計測器、223:電子銃制御部、224,225,229:コンデンサレンズ制御部、226:第2偏向器制御部、227:収差補正器制御部、228:第3偏向器制御部、230:非点補正器制御部、231:検出器制御部、232:E×B制御部、233:第1偏向器制御部、234:対物レンズ制御部、235:ステージ制御部、236:リターディング電圧制御部、237:表示装置、238:制御部、239:第2走査偏向器、240:第2走査偏向器制御部、501:プロセッサ、502:RAM、503:記憶装置、504:入出力I/F、505:表示I/F、506:ネットワークI/F、507:入出力ポート、508:バス、509:入力装置、510:収差補正プログラム、511:収差計測部、512:歪み検出部、513:歪み補正部、521:収差補正テーブル、522:歪み補正テーブル、710:寄生場、711:不均一場、800,900:操作画面。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9