(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】真円度測定機のパートプログラム自動生成装置、真円度測定装置および真円度測定機のパートプログラム自動生成方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/20 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
G01B5/20 R
(21)【出願番号】P 2018136524
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 樹
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-108852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機に、所定の測定動作を実行させるパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成装置であって、
前記ワークのエッジの前記ワークの回転中心軸線に沿った位置および向きを検出するエッジ検出部と、検出された前記エッジの位置
および向きから前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成部と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定部と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成部と、を有することを特徴とする真円度測定機のパートプログラム自動生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載した真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、
前記断面形状生成部は、前記エッジ検出部で検出された前記エッジの位置
および向きから、前記ワークの片側輪郭形状を生成し、得られた前記片側輪郭形状から前記断面形状を生成することを特徴とする真円度測定機のパートプログラム自動生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、
前記エッジ検出部は、前記ワークの回転中心軸線に沿った前記エッジのZ軸位置および前記回転中心軸線と交差するX軸位置を記録するとともに、前記回転中心軸線に対する前記エッジの向きを記録し、
前記断面形状生成部は、前記エッジ検出部で検出された前記エッジの前記Z軸位置、前記X軸位置および前記エッジの向きに基づいて図形を割り当てることで前記断面形状を生成することを特徴とする真円度測定機のパートプログラム自動生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載した真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、
前記断面形状生成部は、前記回転中心軸線を一辺としかつ前記エッジの位置を頂点とする長方形(正方形を含む)を割り当てることで前記断面形状を生成することを特徴とする真円度測定機のパートプログラム自動生成装置。
【請求項5】
ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機と、測定プログラムに記述された測定動作を前記真円度測定機に実行させる測定制御装置とを有し、
前記測定制御装置は、前記測定プログラムに利用可能なパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成部を有し、
前記パートプログラム自動生成部は、前記ワークのエッジの前記ワークの回転中心軸線に沿った位置および向きを検出するエッジ検出部と、検出された前記エッジの位置
および向きから前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成部と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定部と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成部と、を有することを特徴とする真円度測定装置。
【請求項6】
ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機に、所定の測定動作を実行させるパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成方法であって、
前記ワークのエッジの前記ワークの回転中心軸線に沿った位置および向きを検出するエッジ検出工程と、検出された前記エッジの位置
および向きから前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成工程と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定工程と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成工程と、を行うことを特徴とする真円度測定機のパートプログラム自動生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真円度測定機のパートプログラム自動生成装置、真円度測定装置および真円度測定機のパートプログラム自動生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真円度測定装置は、真円度測定機にコンピュータシステムを用いた測定制御装置を接続して構成される。測定制御装置は、指定された測定プログラムを実行することで、真円度測定機に測定動作を実行させる。
測定プログラムには、測定対象のワークに対して、どのような測定動作を行うかが記述される。測定プログラムを作成する際、基本的な測定動作を予めパートプログラムとして準備しておき、測定プログラムに随時組み込むことが行われている(特許文献1参照)。
パートプログラムの作成には、ワークのCADデータを画面上に表示させて測定箇所をオペレータが指定するオフラインティーチングに基づくパートプログラムの自動生成技術が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2は三次元測定機に関する技術であるが、真円度測定機の測定プログラムにも流用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-260033号公報
【文献】特開2001-319219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献2に記載のパートプログラムの自動生成技術は、自由度の大きな三次元測定機などの測定プログラムに用いられるものであり、高機能である反面、システムとして大規模で設備コストも高騰するうえ、ワークのCADデータが必要であり、CADデータがない状況では実施できないという問題があった。
本発明は、ワークのCADデータがなくても簡単な手順で低コストにパートプログラムを自動生成できる真円度測定機のパートプログラム自動生成装置、真円度測定装置および真円度測定機のパートプログラム自動生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の真円度測定機のパートプログラム自動生成装置は、ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機に、所定の測定動作を実行させるパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成装置であって、前記ワークのエッジを検出するエッジ検出部と、検出された前記エッジの位置から前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成部と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定部と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成部と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明において、真円度測定機の測定対象であるワークは回転体であり、その断面形状は回転中心軸線に対して線対称となる。従って、ワークの回転中心軸線の片側の輪郭形状を生成できれば、全体の断面形状が把握できる。ワークの片側輪郭形状は、ワークのエッジ部分を指定し、当該部分で回転中心軸線に沿ってエッジ検出を行うことで、検出されたエッジの位置およびエッジの向き(上向きか下向きかの別)から推定することができる。
従って、本発明では、ワークのCADデータがなくても、簡易な手順でワークの断面形状を生成することができる。そして、得られた断面形状に測定位置を指定することで、真円度測定機の測定動作を指定するパートプログラムを自動生成することができる。
このように、本発明では、自動生成するパートプログラムの対象をワークが回転体である真円度測定機に限定することで、ワークの断面形状を簡単に生成できる。そして、断面形状の生成は、既存のエッジ検出および図形割り当てなどの処理で行うことができ、かつこれらの処理は一般的なパーソナルコンピュータシステムでも実行可能である。
従って、本発明によれば、ワークのCADデータがなくても、簡単な手順で低コストに、パートプログラムの自動生成を行うことができる。
【0007】
本発明の真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、前記断面形状生成部は、前記エッジ検出部で検出された前記エッジの位置から、前記ワークの片側輪郭形状を生成し、得られた前記片側輪郭形状から前記断面形状を生成することが好ましい。
【0008】
このような本発明では、先ず回転中心軸線に対して片側だけで輪郭形状を生成すればよく、後述する図形の割り当て処理などを片側だけで行うことができ、回転体であるワークの特性を活かして効率のよい処理を行うことができる。
【0009】
本発明の真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、前記エッジ検出部は、前記ワークの回転中心軸線に沿った前記エッジのZ軸位置および前記回転中心軸線と交差するX軸位置を記録するとともに、前記回転中心軸線に対する前記エッジの向きを記録し、前記断面形状生成部は、前記エッジ検出部で検出された前記エッジの前記Z軸位置、前記X軸位置および前記エッジの向きに基づいて図形を割り当てることで前記断面形状を生成することが好ましい。
【0010】
このような本発明では、前記エッジの向きを参照することで、前記エッジの位置に対する断面形状の存在領域を判定することができ、断面形状の生成を効率よく実行できる。
なお、図形の割り当てにあたっては、図形として後述する長方形を用いる方式が利用できる。あるいは、各エッジを複数の線分(回転中心軸線に平行な線分および直交する線分)で順次連結した図形を割り当てる方式が利用できる。
【0011】
本発明の真円度測定機のパートプログラム自動生成装置において、前記断面形状生成部は、前記回転中心軸線を一辺としかつ前記エッジの位置を頂点とする長方形(正方形を含む)を割り当てることで前記断面形状を生成することが好ましい。
【0012】
このような本発明では、回転中心軸線を一辺としかつエッジの位置を頂点とする長方形を用いることで、断面形状の生成を効率よく実行できる。例えば、複数のエッジが検出されているとき、各エッジに対して各々を頂点とする複数の長方形を割り当て、これらを合成してその最外周の輪郭形状(片側輪郭形状)を生成することができる。さらに、得られた片側輪郭形状を、回転中心軸線に対して反対側に転写することで、回転中心軸線に対して線対称の断面形状を生成することができる。
【0013】
本発明の真円度測定装置は、ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機と、測定プログラムに記述された測定動作を前記真円度測定機に実行させる測定制御装置とを有し、前記測定制御装置は、前記測定プログラムに利用可能なパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成部を有し、前記パートプログラム自動生成部は、前記ワークのエッジを検出するエッジ検出部と、検出された前記エッジの位置から前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成部と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定部と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成部と、を有することを特徴とする。
【0014】
このような本発明では、真円度測定機のパートプログラム自動生成装置に関して説明した通りの作用効果により、ワークのCADデータがなくても簡単な手順で低コストにパートプログラムの自動生成を行うことができる。
【0015】
本発明の真円度測定機のパートプログラム自動生成方法は、ワークを載置する回転テーブルおよび前記ワークの任意の表面位置を測定可能なプローブを有する真円度測定機に、所定の測定動作を実行させるパートプログラムを自動生成するパートプログラム自動生成方法であって、前記ワークのエッジを検出するエッジ検出工程と、検出された前記エッジの位置から前記ワークの断面形状を生成する断面形状生成工程と、生成された前記断面形状に測定位置を指定する測定位置指定工程と、生成された前記断面形状および指定された前記測定位置から前記パートプログラムを生成するパートプログラム生成工程と、を行うことを特徴とする。
【0016】
このような本発明では、真円度測定機のパートプログラム自動生成装置に関して説明した通りの作用効果により、ワークのCADデータがなくても簡単な手順で低コストにパートプログラムの自動生成を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ワークのCADデータがなくても簡単な手順で低コストにパートプログラムを自動生成できる真円度測定装置、真円度測定機のパートプログラム自動生成装置および自動生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の真円度測定装置の一実施形態を示す模式図。
【
図2】前記実施形態の測定制御装置を示すブロック図。
【
図3】前記実施形態のエッジ検出工程を示す模式図。
【
図4】前記実施形態のエッジ検出位置の表示画面を示す図。
【
図5】前記実施形態のワークの片側輪郭形状の推定画面を示す図。
【
図6】前記実施形態のワークの断面形状の表示画面を示す図。
【
図7】前記実施形態の測定位置の指定画面を示す図。
【
図8】前記実施形態で実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に基づく真円度測定装置1が示されている。
真円度測定装置1は、真円度測定機2と、これを制御する測定制御装置10とを備えている。
【0020】
真円度測定機2は、測定対象物であるワークWを載置する回転テーブル3と、ワークWの任意の表面位置を測定可能なプローブ4とを有する。
プローブ4は、コラム5で支持されるとともに、コラム5に設置された移動機構によりX軸(図中左右方向)およびZ軸(図中上下方向)に変位可能である。
回転テーブル3は、Z軸方向に延びる回転中心軸線Cまわりに回転可能であり、本体ケース6に格納された駆動モータにより回転駆動される。
【0021】
測定制御装置10は、いわゆるパーソナルコンピュータなどのコンピュータシステムで構成され、測定プログラムを実行することで、この測定プログラムに記述された測定動作を真円度測定機2に実行させることができる。
図2に示すように、測定制御装置10は、ディスプレイパネルなどの表示部11およびキーボードやマウスなどの操作部12を有するとともに、ソフトウェアにより構成されるパートプログラム自動生成部20および測定動作制御部30を有する。
ここで、本実施形態のパートプログラム自動生成部20は、本発明のパートプログラム自動生成装置に該当する。
【0022】
パートプログラム自動生成部20は、ワークWのエッジ(
図3のエッジE1~E3)を検出するエッジ検出部21と、検出されたエッジの位置からワークWの断面形状(
図6の断面形状H)を生成する断面形状生成部22と、生成された断面形状に測定位置(
図7の測定位置M1,M2)を指定する測定位置指定部23と、生成された断面形状および指定された測定位置からパートプログラムを生成するパートプログラム生成部24と、を有する。
【0023】
エッジ検出部21は、ワークWのエッジを検出する。
図3において、ワークWは小径の軸部W1の中間に大径の拡張部W2を有する回転体であり、その軸部W1の上面の周縁がエッジE1、拡張部W2の上面の周縁がエッジE2、拡張部W2の下面の周縁がエッジE3とされている。
エッジ検出部21は、真円度測定機2に指令を出し、プローブ4を移動させてエッジE1~E3の位置を検出する。例えば、プローブ4の接触子(スタイラス先端)を拡張部W2の上面近くの周面に接触させ、上方へ移動させてエッジE1を検出し、そのX軸位置、Z軸位置および角の向きを記録する。エッジE1は上方へ移動させて検出されるため、上向きの角となる。同様にエッジE2,E3のX軸位置、Z軸位置および角の向きを記録する。エッジE3では、プローブ4の接触子を下方へ移動させて検出されるため、下向きの角として記録される。
【0024】
断面形状生成部22は、エッジ検出部21で検出されたエッジE1~E3の位置から、ワークWの断面形状を生成する。
図4に示すように、断面形状生成部22は、エッジ検出部21で検出されたX軸位置およびZ軸位置を参照して、メモリ上に展開される仮想平面にエッジE1~E3をプロットするとともに、エッジE1~E3を含む仮想平面の画像を測定制御装置10の表示部11に表示する。
【0025】
図5に示すように、断面形状生成部22は、プロットされたエッジE1~E3に対して、回転中心軸線Cを一辺としかつエッジE1~E3の位置を頂点とする長方形(正方形を含む)を割り当てる。
例えば、エッジE1に対しては、エッジE1が上向きの角部(拡張部W2の上面の周縁)であるため、一辺が回転中心軸線Cに沿いかつ下方へ延びる長方形R1が割り当てられる。長方形R1の下側の辺はZ軸の0位置とされる。
【0026】
同様に、エッジE2は上向きの角部であり、下向きに延びる長方形が割り当てられ、エッジE3は下向きの角部であり、上向きに延びる長方形が割り当てられる。ただし、エッジE2,E3は各々のX軸位置が等しいので、各々に割り当てられる長方形は一体として扱われ、各々を2つの頂点とする長方形R2が割り当てられる。つまり、長方形R2は、一辺が回転中心軸線Cに沿いかつ上下辺がエッジE2,E3を通るものとされる。
【0027】
これらの長方形R1,R2により、回転中心軸線Cの片側(
図5の右側)には、ワークWの片側輪郭形状Hh(ワークWの断面形状Hのうち回転中心軸線Cの片側に表れる輪郭形状)が生成される。
図6に示すように、回転中心軸線Cの片側で得られた片側輪郭形状Hhを、回転中心軸線Cを軸として反転させることで、回転中心軸線Cの両側にワークWの断面形状Hが生成される。
以上の処理により、断面形状生成部22において、エッジE1~E3の情報からワークWの断面形状Hが生成される。
【0028】
測定位置指定部23は、断面形状生成部22により生成されたワークWの断面形状Hに対し、測定位置つまりワークWにおける測定すべき位置を指定する。
図7に示すように、測定位置指定部23は、測定制御装置10の表示部11に断面形状Hを表示する。そして、操作部12からのユーザの操作により、例えば画面上のポインタ13により測定位置M1,M2を指定する。測定位置M1,M2は、回転体であるワークWの測定軌跡を指定するZ軸位置の情報であり、X軸位置の指定情報は無視される。
なお、
図7に示す例では「回転測定要素」と「直動測定要素」とが選択可能になっている。回転測定とは、真円度測定等、回転テーブルを回転させて測定することであり、直動測定とは、真直度測定等、回転テーブルを回転せずに、プローブをZ軸もしくはX軸方向に移動させて測定することである。
図7では、ユーザにより「回転測定要素」が選択されている。
【0029】
パートプログラム生成部24は、断面形状生成部22により生成されたワークWの断面形状Hを基準とし、測定位置指定部23で指定された測定位置M1,M2を参照して、ワークWの測定位置M1,M2をプローブ4で測定する動作を記述したパートプログラムを生成する。パートプログラムの生成は、既存のプログラム作成手順が適宜利用できる。
【0030】
次に、本実施形態の真円度測定装置1における動作について説明する。
図8において、真円度測定装置1による測定動作を行う際には、先ずユーザが測定対象のワークWを真円度測定装置1にセットする(処理S1)。
真円度測定装置1の測定制御装置10は、測定動作の開始にあたり、表示部11に表示されるダイヤログ等によりパートプログラムの自動生成について問い合わせるので、これに対してユーザが自動生成の要否を選択する(処理S2)。
【0031】
パートプログラムの自動生成を行う場合、測定制御装置10はパートプログラム自動生成部20を起動する。
パートプログラム自動生成部20は、エッジ検出部21により真円度測定機2を動作させ、プローブ4でワークWのエッジ検出を行う(
図3参照、処理S11)。次に、断面形状生成部22により、検出したエッジE1~E3を画面に表示し(
図4参照、処理S12)、エッジE1~E3に対応する長方形R1,R2を表示し(
図5参照、処理S13)、これによりワークWの断面形状Hを生成する(
図6参照、処理S14)。
【0032】
パートプログラム自動生成部20は、得られた断面形状Hを表示して適切か否かをユーザに確認する(処理S15)。断面形状Hが適切でなければ、ユーザが画面上で図形編集を行って断面形状Hの修正を行う(処理S16)。
次に、パートプログラム自動生成部20は、測定位置指定部23により、断面形状Hの上に測定を行う測定位置M1,M2を指定し(
図7参照、処理S17)、断面形状Hおよび測定位置M1、M2からワークWの該当位置をプローブ4で測定するためのパートプログラムを生成する(処理S18)。
【0033】
ワークWのパートプログラムが生成できたら、測定制御装置10は測定動作制御部30を起動する。
測定動作制御部30は、測定プログラム編集部31により、生成されたワークWのパートプログラムを含む測定プログラムを編集し(処理S3)、測定動作指令部32により、得られた測定プログラムに基づいて真円度測定機2が動作制御され、プローブ4でワークWの測定が実行される(処理S4)。測定動作指令部32のもとでのワークWの測定動作は、同じ形状の複数のワークWに対して繰り返し行うことができ、終了判定により終了する(処理S5)。
【0034】
前述した処理S2において、既にワークWのパートプログラムが作成済である場合など、ユーザが自動生成をしない選択した場合、処理S11~S18は省略され、処理S2から直ちに処理S3に移行し、測定動作を行う(処理S4~S5)。
ここで、本実施形態の処理S11~S18が、本発明のパートプログラム自動生成方法に該当する。
【0035】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態において、真円度測定機2の測定対象であるワークWは回転体であり、その断面形状Hは回転中心軸線Cに対して線対称となる。従って、ワークWの回転中心軸線Cの片側の輪郭形状を生成できれば、全体の断面形状が把握できる。ワークの片側輪郭形状Hhは、ワークWのエッジ部分を指定し、当該部分で回転中心軸線Cに沿ってエッジ検出を行うことで、検出されたエッジE1~E3の位置(Z軸位置およびX軸位置)およびエッジE1~E3の向き(上向きか下向きかの別)から推定することができる。
【0036】
従って、本実施形態では、ワークWのCADデータがなくても、簡易な手順でワークWの断面形状Hを生成することができる。そして、得られた断面形状Hに測定位置M1,M2を指定することで、真円度測定機2の測定動作を指定するパートプログラムを自動生成することができる。
このように、本実施形態では、自動生成するパートプログラムの対象をワークWが回転体である真円度測定機2に限定することで、ワークWの断面形状Hを簡単に生成できる。そして、断面形状Hの生成は、既存のエッジ検出および図形割り当てなどの処理で行うことができ、かつこれらの処理は一般的なパーソナルコンピュータシステムで構成された測定制御装置10でも実行可能である。
従って、本実施形態によれば、ワークWのCADデータがなくても、簡単な手順で低コストに、パートプログラムの自動生成を行うことができる。
【0037】
本実施形態において、断面形状生成部22は、エッジ検出部21で検出されたエッジE1~E3の位置から、ワークWの片側輪郭形状Hhを生成し、得られた片側輪郭形状Hhから全体の断面形状Hを生成するようにした。
このため、本実施形態では、先ず回転中心軸線Cに対して片側にある片側輪郭形状Hhを生成すればよく、長方形R1,R2の割り当て処理などを片側だけで行うことができ、回転体であるワークWの特性を活かして効率のよい処理を行うことができる。
【0038】
本実施形態において、エッジ検出部21は、ワークWの回転中心軸線Cに沿ったエッジE1~E3のZ軸位置および回転中心軸線Cと交差するX軸位置を記録するとともに、回転中心軸線Cに対するエッジE1~E3の向きを記録し、断面形状生成部22は、エッジ検出部21で検出されたエッジE1~E3のZ軸位置、X軸位置およびエッジE1~E3の向きに基づいて図形を割り当てることで片側輪郭形状Hhないし断面形状Hを生成するようにした。
このため、本実施形態では、断面形状Hの生成にあたって、エッジE1~E3の向きを参照することで、エッジE1~E3の位置に対する断面形状Hの存在領域(エッジE1~E3の上下どちら側にあるか)を判定することができ、断面形状Hの生成を効率よく実行できる。
【0039】
本実施形態において、断面形状生成部22は、回転中心軸線Cを一辺としかつエッジE1~E3の位置を頂点とする長方形R1,R2を割り当てることで片側輪郭形状Hhないし断面形状Hを生成するようにした。
このため、本実施形態では、回転中心軸線Cを一辺としかつエッジE1~E3の位置を頂点とする長方形R1,R2を用いることで、断面形状Hの生成を効率よく実行できる。
【0040】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、断面形状生成部22において断面形状Hを生成する際に、先ず回転中心軸線Cの片側で長方形R1,R2を割り当てて片側輪郭形状Hhを生成し、これを反転して断面形状Hを生成していた。しかし、片側輪郭形状Hhの生成は省略してもよく、例えばエッジE1~E3を頂点としかつ回転中心軸線Cに関して線対称な長方形R1,R2を割り当てて断面形状Hを生成してもよい。
【0041】
前記実施形態では、断面形状Hの前段階である片側輪郭形状Hhの生成に長方形R1,R2の割り当てを行ったが、他の図形を用いてもよい。例えば、複数の線分(回転中心軸線に平行な線分および直交する線分)でエッジE1~E3を順次連結した図形としてもよく、あるいはエッジE1~E3を通るように回転中心軸線Cに平行な直線および回転中心軸線Cと直交する直線を引き、その一部を用いてエッジE1~E3を結ぶ図形を生成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、真円度測定機のパートプログラム自動生成装置、真円度測定装置および真円度測定機のパートプログラム自動生成方法に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1…真円度測定装置、10…測定制御装置、11…表示部、12…操作部、13…ポインタ、2…真円度測定機、20…パートプログラム自動生成部、21…エッジ検出部、22…断面形状生成部、23…測定位置指定部、24…パートプログラム生成部、3…回転テーブル、30…測定動作制御部、31…測定プログラム編集部、32…測定動作指令部、4…プローブ、5…コラム、6…本体ケース、C…回転中心軸線、E1,E2,E3…エッジ、H…断面形状、Hh…片側輪郭形状、M1,M2…測定位置、R1,R2…長方形、W…ワーク、W1…軸部、W2…拡張部。