(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230309BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230309BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H05K3/46 N
H01L23/12 Q
(21)【出願番号】P 2019045783
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 大輔
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0156883(US,A1)
【文献】特開2017-152536(JP,A)
【文献】特開2004-006576(JP,A)
【文献】特開2015-079795(JP,A)
【文献】特表2010-537403(JP,A)
【文献】特開2016-162851(JP,A)
【文献】特開2017-022408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 3/46
H01L 23/12-23/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が半導体チップ搭載面となる第1絶縁層、及び前記半導体チップ搭載面の反対面である外部接続面、を有する配線基板であって、
前記半導体チップ搭載面の側に半導体チップと接続されるパッドが突出し、
前記パッドは、
柱状部と、
前記柱状部の一端に連続に形成され、前記柱状部から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部と、を有し、
前記パッドは、前記テーパ部から前記柱状部の全体にわたって一体に形成されたものであり、
前記柱状部の一部は、前記第1絶縁層に被覆され、
前記柱状部の他部及び前記テーパ部は、前記第1絶縁層の前記一方の面から突出
し、
前記柱状部の一部と前記柱状部の他部は、連続的に形成された段差のない1つの側面を有する配線基板。
【請求項2】
前記柱状部は円柱状である請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記テーパ部は円錐台状である請求項1又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層の一方の面の反対面である他方の面と接する第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の前記第1絶縁層と接する面の反対面である他方の面に形成された配線パターン、及び前記配線パターンと一体に形成され、前記第2絶縁層を貫通して前記柱状部の他端と接するビア配線、を含む配線層と、を有し、
前記ビア配線は、前記配線パターンの側から前記柱状部の他端の側に近づくに従って横断面積が小さくなるテーパ状である請求項1乃至3の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層は、他方の面から内方に窪み、前記柱状部の他端を底面とする凹部を備え、
前記凹部の内部には、前記第2絶縁層が充填されている請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記ビア配線は、前記凹部の内部に充填された前記第2絶縁層を貫通して前記柱状部の他端と接する請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、感光性樹脂を主成分とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2絶縁層の他方の面側に、前記外部接続面を備えた第3絶縁層を有し、
前記第3絶縁層は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする請求項4乃至7の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項9】
半導体チップ搭載面、及び前記半導体チップ搭載面の反対面である外部接続面、を有し、前記半導体チップ搭載面の側に半導体チップと接続されるパッドが突出した配線基板の製造方法であって、
基体上に金属層が形成された支持体を準備し、前記金属層の上面に犠牲層
及び一方の面が前記半導体チップ搭載面となる第1絶縁層を順次形成する工程と、
前記第1絶縁層及び前記犠牲層を
連続的に貫通し前記金属層の上面を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部内に露出する前記金属層の上面に
前記犠牲層から前記第1絶縁層に至るパッドを形成する工程と、
前記
第1絶縁層よりも前記外部接続面側の層となる絶縁層及び配線層を形成する工程と、
前記基体を除去する工程と、
前記金属層をウェットエッチングで除去する工程と、
前記犠牲層を除去する工程と、を有し、
前記ウェットエッチングで除去する工程では、前記パッドの前記金属層と接していた側にサイドエッチが生じ、前記パッドは、柱状部と、前記柱状部の一端側に連続に形成され、前記柱状部から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部と、を有する形状とな
り、
前記犠牲層を除去する工程では、前記柱状部の一部は、前記第1絶縁層に被覆され、前記柱状部の他部及び前記テーパ部は、前記第1絶縁層の前記一方の面から突出し、前記柱状部の一部と前記柱状部の他部は、連続的に形成された段差のない1つの側面を有する形状となる配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記パッドは、前記テーパ部から前記柱状部の全体にわたって一体に形成される請求項9に記載に配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップと接続されるパッドを有する配線基板が知られている。このような配線基板において、例えば、半導体チップと接続されるパッドの表面が半導体チップが搭載される側の絶縁層の表面と面一となる場合がある。この場合、はんだを用いた半導体チップ実装において、余分なはんだが絶縁層の表面上を横方向に広がるため、隣接するパッド同士が短絡するおそれがある。
【0003】
そこで、半導体チップと接続されるパッドを半導体チップが搭載される側の絶縁層の表面から突出させた構造が検討されている。この構造では、半導体チップ実装において、余分なはんだが絶縁層の表面から突出するパッドの側面に回り込むため、隣接するパッド同士が短絡するおそれを低減できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年は半導体チップと接続されるパッドの狭ピッチ化が進んでおり、半導体チップ実装時に隣接するパッド同士が短絡するおそれを低減するためには、更なる対策が必要であった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体チップ実装時に隣接するパッド同士が短絡するおそれを低減可能なパッド形状を有する配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、一方の面が半導体チップ搭載面となる第1絶縁層、及び前記半導体チップ搭載面の反対面である外部接続面、を有する配線基板であって、前記半導体チップ搭載面の側に半導体チップと接続されるパッドが突出し、前記パッドは、柱状部と、前記柱状部の一端に連続に形成され、前記柱状部から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部と、を有し、前記パッドは、前記テーパ部から前記柱状部の全体にわたって一体に形成されたものであり、前記柱状部の一部は、前記第1絶縁層に被覆され、前記柱状部の他部及び前記テーパ部は、前記第1絶縁層の前記一方の面から突出し、前記柱状部の一部と前記柱状部の他部は、連続的に形成された段差のない1つの側面を有する。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、半導体チップ実装時に隣接するパッド同士が短絡するおそれを低減可能なパッド形状を有する配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る配線基板を例示する図である。
【
図2】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】本実施形態に係る配線基板の奏する効果について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
[配線基板の構造]
まず、本実施形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、本実施形態に係る配線基板を例示する図であり、
図1(a)は断面図、
図1(b)は
図1(a)のパッド12近傍の部分拡大斜視図である。
【0012】
図1を参照すると、配線基板1は、絶縁層11と、パッド12と、絶縁層13と、配線層14と、絶縁層15と、配線層16と、絶縁層17と、配線層18と、絶縁層19と、配線層20と、絶縁層21と、配線層22とを有する。配線基板1の平面形状は、例えば、正方形状とすることができる。但し、これには限定されず、配線基板1は任意の平面形状としてよい。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、配線基板1のパッド12側を上側又は一方の側、配線層22側を下側又は他方の側とする。又、各部位のパッド12側の面を一方の面又は上面、配線層22側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置できる。又、平面視とは対象物を絶縁層11の上面11aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を絶縁層11の上面11aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
配線基板1は、半導体チップ搭載面、及び半導体チップ搭載面の反対面である外部接続面を有する配線基板である。絶縁層11の上面11aが半導体チップ搭載面となり、絶縁層21の下面21bが外部接続面となる。配線基板1の半導体チップ搭載面側には1つ又は複数の半導体チップが搭載可能であり、外部接続面側には他の配線基板や半導体装置が接続可能である。
【0015】
絶縁層11は、感光性の絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層である。『感光性の絶縁性樹脂を主成分とする』とは、感光性の絶縁性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、絶縁層11は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層11に用いる感光性の絶縁性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等が挙げられる。絶縁層11の厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。
【0016】
配線基板1の半導体チップ搭載面の側(絶縁層11の上面11a側)に、半導体チップと接続されるパッド12が突出している。パッド12は、例えば、エリアアレイ状やペリフェラル状に配置される。パッド12の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0017】
パッド12は、横断面積が略一定の柱状部121と、柱状部121の一端側に連続に形成され、柱状部121から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部122とを有する。テーパ部122の先端側は平面である。柱状部121は例えば円柱状であり、テーパ部122は例えば円錐台状である。この場合、柱状部121の直径は例えば25μm程度、テーパ部122の上面の直径は例えば20μm程度とすることができる。又、パッド12のピッチは、例えば、40μm程度とすることができる。
【0018】
柱状部121の一部は絶縁層11に被覆され、柱状部121の他部及びテーパ部122は絶縁層11の上面11aから突出している。絶縁層11の上面11aから突出する柱状部121の他部及びテーパ部122の合計の高さ(上面11aからの突出量)は、例えば、10μm程度である。この場合、柱状部121の他部の高さとテーパ部122の高さとの比率に制限はなく、適宜決定できるが、例えば、1:1(柱状部121の他部の高さが5μm、テーパ部122の高さが5μm)とすることができる。又、柱状部121の絶縁層11に被覆されている部分の高さは、例えば、5μmとすることができる。
【0019】
絶縁層11の下層には、絶縁層11の下面11bと接する絶縁層13が配置されている。絶縁層13の材料や厚さは、例えば、絶縁層11と同様とすることができる。絶縁層13は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層11は、下面11bから内方に窪み、柱状部121の他端を底面とする凹部11xを備え、凹部11xの内部には絶縁層13が充填されている。後述する配線層14を構成するビア配線は、凹部11xの内部に充填された絶縁層13を貫通して柱状部121の他端と接している。但し、絶縁層11は凹部11xを備えていなくてもよい。この場合、絶縁層11の下面11bと柱状部121の他端とは、例えば、面一とすることができる。
【0020】
配線層14は、絶縁層13の下面側に形成されており、パッド12と電気的に接続されている。配線層14は、絶縁層13の下面に形成された配線パターン、及び配線パターンと一体に形成され、絶縁層13を貫通しパッド12の柱状部121の他端を露出するビアホール13x内に充填されたビア配線を含んでいる。ビアホール13xは、絶縁層15側に開口されている開口部の径が柱状部121の他端によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。つまり、配線層14を構成するビア配線は、配線層14を構成する配線パターンの側から柱状部121の他端の側に近づくに従って横断面積が小さくなるテーパ状(例えば、円錐台状)とすることができる。
【0021】
配線層14の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層14は、複数の導体層が積層された積層膜であってもよい。配線層14は、後述の配線層20及び22よりも配線密度が高く(ライン/スペースが狭く)、かつ配線層20及び22よりも薄い。本明細書では、ライン/スペースが8μm/8μm以下の配線層を配線密度が高い配線層とする。配線層14のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm~3μm/3μm程度とすることができる。配線層14を構成する配線パターンの厚さは、例えば、1~3μm程度とすることができる。
【0022】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが2μm/2μmと記載されていた場合、配線幅が2μmで隣り合う配線同士の間隔が2μmであることを表す。
【0023】
絶縁層13の下層には、配線層14の配線パターンを被覆し、絶縁層13の下面と接する絶縁層15が配置されている。絶縁層15の材料や厚さは、例えば、絶縁層11と同様とすることができる。絶縁層15は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0024】
配線層16は、絶縁層15の下面側に形成されており、配線層14と電気的に接続されている。配線層16は、絶縁層15の下面に形成された配線パターン、及び配線パターンと一体に形成され、絶縁層15を貫通し配線層14の配線パターンの下面を露出するビアホール15x内に充填されたビア配線を含んでいる。ビアホール15xは、絶縁層17側に開口されている開口部の径が配線層14の配線パターンの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層16の材料、配線層16を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層14と同様とすることができる。配線層16を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層14と同様とすることができる。
【0025】
絶縁層15の下層には、配線層16の配線パターンを被覆し、絶縁層15の下面と接する絶縁層17が配置されている。絶縁層17の材料や厚さは、例えば、絶縁層11と同様とすることができる。絶縁層17は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0026】
配線層18は、絶縁層17の下面側に形成されており、配線層16と電気的に接続されている。配線層18は、絶縁層17の下面に形成された配線パターン、及び配線パターンと一体に形成され、絶縁層17を貫通し配線層16の配線パターンの下面を露出するビアホール17x内に充填されたビア配線を含んでいる。ビアホール17xは、絶縁層19側に開口されている開口部の径が配線層16の配線パターンの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層18の材料、配線層18を構成する配線パターンの厚さは、例えば、配線層14と同様とすることができる。配線層18を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、配線層14と同様とすることができる。
【0027】
絶縁層17の下層には、配線層18の配線パターンを被覆し、絶縁層17の下面と接する絶縁層19が配置されている。絶縁層19の材料や厚さは、例えば、絶縁層11と同様とすることができる。絶縁層19は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0028】
配線層20は、絶縁層19の下面側に形成されており、配線層18と電気的に接続されている。配線層20は、絶縁層19の下面に形成された配線パターン、及び配線パターンと一体に形成され、絶縁層19を貫通し配線層18の配線パターンの下面を露出するビアホール19x内に充填されたビア配線を含んでいる。ビアホール19xは、絶縁層21側に開口されている開口部の径が配線層18の配線パターンの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0029】
配線層20の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層20を構成する配線パターンの厚さは、配線層14、16、及び18よりも厚く、例えば、10~20μm程度とすることができる。配線層20を構成する配線パターンは、配線層14、16、及び18に比べて配線密度が低い(ライン/スペースが広い)。配線層20を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、20μm/20μm程度とすることができる。
【0030】
絶縁層19の下層には、配線層20の配線パターンを被覆し、絶縁層19の下面と接する絶縁層21が配置されている。絶縁層21は、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層である。『非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする』とは、熱硬化性樹脂以外にフィラー等の他の成分を含有してもよいことを意味する。例えば、絶縁層21は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0031】
絶縁層21に用いる非感光性の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等を挙げることができる。絶縁層21の厚さは、例えば、30~100μm程度とすることができる。
【0032】
絶縁層21は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布等の補強部材を含浸しても構わない。
【0033】
又、絶縁層21は、例えば、補強部材を有する非感光性の熱硬化性樹脂の第1層の両面に、補強部材を有しない非感光性の熱硬化性樹脂の第2層を積層した構造としても構わない。この場合、2つの第2層に用いる熱硬化性樹脂の種類や厚さは独立に決定できる。つまり、2つの第2層には、同一の熱硬化性樹脂を用いてもよいし、異なる熱硬化性樹脂を用いてもよい。2つの第2層は、同一の厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。又、2つの第2層の何れか一方がフィラーを含有してもよいし、双方がフィラーを含有してもよい。又、双方がフィラーを含有する場合、フィラーの種類や含有量は同一としてもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
配線層22は、絶縁層21の下面21b側に形成されており、配線層20と電気的に接続されている。配線層22は、絶縁層21の下面21bに形成されたパッド、及びパッドと一体に形成され、絶縁層21を貫通し配線層20の配線パターンの下面を露出するビアホール21x内に充填されたビア配線を含んでいる。ビアホール21xは、絶縁層21の下面21b側に開口されている開口部の径が配線層20の配線パターンの下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0035】
配線層22の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層22を構成するパッドの厚さは、配線層14、16、及び18よりも厚く、例えば、10~20μm程度とすることができる。配線層22を構成するパッドの直径は、パッド12の柱状部121の直径よりも大きく、例えば150μm程度とすることができる。配線層22を構成するパッドの間隔は、例えば、200μm程度とすることができる。
【0036】
なお、絶縁層21の下面21bは外部接続面であり、配線層22を構成するパッドは他の配線基板や半導体装置と電気的に接続可能である。
【0037】
[配線基板の製造方法]
次に、配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図5は、本実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、1つの配線基板を作製する工程の例を示すが、配線基板となる複数の部分を作製し、その後個片化して各配線基板とする工程としてもよい。なお、
図2(a)~
図4(b)は
図1とは上下が反転して描かれているため、
図2(a)~
図4(b)の説明では
図1の説明と上下の表記が反対となる。
【0038】
まず、
図2(a)に示す工程では、基体101上に剥離層102及び金属層103を順次形成された支持体100を準備し、金属層103の上面に犠牲層110を形成する。基体101は、例えば、ガラス板や金属板等である。金属層103は、例えば、銅層である。金属層103は、例えば、銅層上にチタン層が積層された積層構造としてもよい。金属層103の厚さは、例えば、1~5μm程度とすることができる。
【0039】
犠牲層110としては、例えば、デスミア処理で除去が容易な感光性樹脂を用いる。犠牲層110は、紫外線硬化剥離層とデスミア処理で除去が容易な感光性樹脂の層とをこの順番で積層した構造としてもよい。又、犠牲層110として熱硬化性樹脂を用いてもよい。犠牲層110の厚さは、例えば、10μm程度とすることができる。なお、犠牲層110の厚さは、最終的にパッド12が絶縁層11の上面11aから突出する突出量と略一致する。
【0040】
次に、
図2(b)に示す工程では、犠牲層110上に絶縁層11を形成する。具体的には、例えば、犠牲層110上に液状又はペースト状の感光性の絶縁性樹脂を塗布後、硬化しない程度の温度で加熱して半硬化状態の絶縁層11を形成する。絶縁層11の材料や厚さは、前述の通りである。
【0041】
次に、
図2(c)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により、絶縁層11及び犠牲層110を貫通し、金属層103の上面を露出する開口部110xを形成する。開口部110xを形成後、絶縁層11及び犠牲層110を硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、フォトリソグラフィ法に代えて、レーザ加工法等により開口部110xを形成してもよい。
【0042】
次に、
図2(d)に示す工程では、例えば、金属層103を給電層とする電解めっき法により、開口部110x内に露出する金属層103の上面に電解めっき層であるパッド12を形成する。パッド12の材料や厚さ、直径等は、前述の通りである。但し、この時点では、パッド12の横断面積は略一定であり、パッド12の形状は、例えば、円柱状である。なお、絶縁層11には、パッド12の上面を露出する凹部11xが形成される。但し、絶縁層11は凹部11xを備えていなくてもよい。この場合、絶縁層11の上面とパッド12の上面とは、例えば、面一とすることができる。
【0043】
次に、
図3(a)に示す工程では、絶縁層11上及び凹部11x内に絶縁層13を形成する。絶縁層13は、例えば、絶縁層11と同様の方法で形成できる。絶縁層13の材料や厚さは、前述の通りである。
【0044】
次に、
図3(b)に示す工程では、例えば、フォトリソグラフィ法により絶縁層13にビアホール13xを形成後、絶縁層13を硬化温度以上に加熱して硬化させる。そして、例えば、セミアディティブ法を用いて配線層14を形成する。具体的には、まず、ビアホール13xの内壁を含む絶縁層13の表面及びビアホール13x内に露出するパッド12の表面に、無電解めっき法やスパッタ法によりシード層を形成する。
【0045】
シード層としては、例えば、厚さ100~350nm程度の銅層を用いることができる。又、シード層として、厚さ20~50nm程度のチタン層と厚さ100~300nm程度の銅層をこの順番で積層した積層膜を用いてもよい。シード層の下層にチタン層を形成することにより、絶縁層13と配線層14との密着性を向上できる。チタンに代えて、窒化チタン等を用いても構わない。なお、チタンや窒化チタンは、銅よりも耐腐食性の高い金属である。
【0046】
次に、シード層の上面の全体に感光性のレジスト層(例えば、ドライフィルムレジスト)を形成し、レジスト層を露光及び現像し、配線層14を形成する部分を露出する開口部を形成する。そして、シード層を給電層とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層の上面に電解めっき層(例えば、銅層)を形成する。次に、レジスト層を剥離した後、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層14が形成される。
【0047】
次に、
図3(c)に示す工程では、
図3(a)及び
図3(b)と同様の工程を繰り返して絶縁層15、配線層16、絶縁層17、及び配線層18を順次形成する。絶縁層15、配線層16、絶縁層17、及び配線層18の材料や厚さは、前述の通りである。
【0048】
次に、
図4(a)に示す工程では、
図3(a)及び
図3(b)と同様の工程を繰り返して、絶縁層19及び配線層20を順次形成する。絶縁層19及び配線層20の材料や厚さは、前述の通りである。
【0049】
次に、
図4(b)に示す工程では、絶縁層21及び配線層22を順次形成する。絶縁層21を形成するには、例えば、非感光性の熱硬化性樹脂を主成分とする半硬化状態のフィルム状の絶縁性樹脂を準備する。そして、絶縁層21上に、この絶縁性樹脂を、配線層20を被覆するようにラミネートし、加熱及び加圧しながら硬化させる。絶縁層21の材料や厚さは、前述の通りである。なお、前述のように、絶縁層21は、例えば、補強部材を有する非感光性の熱硬化性樹脂の第1層の両面に、補強部材を有しない非感光性の熱硬化性樹脂の第2層を積層した構造としても構わない。
【0050】
次に、絶縁層21に、絶縁層21を貫通し配線層20の上面を露出させるビアホール21xを形成する。ビアホール21xは、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール21xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール21xの底部に露出する配線層20の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0051】
次に、例えば、前述と同様にセミアディティブ法を用いて、配線層22を形成する。配線層22の材料や厚さは、前述の通りである。
【0052】
次に、
図4(c)に示す工程では、
図4(b)の構造体を上下反転させ、
図4(b)に示す基体101及び剥離層102を除去する。基体101及び剥離層102は、剥離層102の効果により機械的な力を加えることで容易に剥離可能である。すなわち、支持体100の主要部分を容易に除去できる。
【0053】
次に、
図5(a)及び
図5(b)に示す工程では、
図4(c)に示す金属層103をウェットエッチングで除去する。なお、
図5(b)は、
図5(a)のパッド12近傍の部分拡大図である。
【0054】
図5(b)に示すように、ウェットエッチングの際に、パッド12の金属層103と接していた側にサイドエッチSが生じる。なお、金属層103を除去するためのウェットエッチングでは、パッド12の金属層103と接していた側のみにサイドエッチSが生じ、パッド12の上面外周部が除去されてパッド12の上面側にテーパが形成される。これにより、パッド12は、横断面積が略一定の柱状部121と、柱状部121の一端側に連続に形成され、柱状部121から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部122とを有する形状となる。テーパ部122の先端側は平面である。柱状部121は例えば円柱状であり、テーパ部122は例えば円錐台状である。
【0055】
次に、
図5(c)に示す工程では、
図5(a)及び
図5(b)に示す犠牲層110を除去する。パッド12の上面側にサイドエッチSが存在し、パッド12と犠牲層110の密着が弱まっているため、犠牲層110を除去する際のパッド12へのストレスを抑制できる。
【0056】
犠牲層110が感光性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる場合、例えば、デスミア処理又はプラズマエッチングにより犠牲層110を除去できる。犠牲層110が紫外線硬化剥離層と熱硬化性樹脂の層との積層構造の場合、犠牲層110に紫外線を照射することで紫外線硬化剥離層と感光性樹脂の層を同時に除去できる。犠牲層110の除去により、柱状部121の一部は絶縁層11に被覆され、柱状部121の他部及びテーパ部122は絶縁層11の上面11aから突出する。以上の工程により、配線基板1が完成する。
【0057】
なお、
図2(b)に示す絶縁層11を形成する工程は必須ではない。但し、絶縁層11を形成することで、パッド12の柱状部121の一部が絶縁層11で被覆されるため、パッド12の抜け防止の効果が得られる。
【0058】
ここで、比較例を示しながら、配線基板1の奏する効果について説明する。
図6は、本実施形態に係る配線基板の奏する効果について説明する図である。
図6において、200は、半導体基板210に突起電極220が形成された半導体チップであり、300は、はんだである。
【0059】
図6(a)に示す比較例1に係る配線基板1Xは円錐台状のパッド12xを有している。円錐台状のパッド12xは、パッド12xが狭ピッチ化した場合に、隣接するパッド12x同士がA部で短絡する懸念が高くなる。
【0060】
又、
図6(b)に示す比較例2に係る配線基板1Yは円柱状のパッド12yを有している。円柱状のパッド12yは、パッド12yが狭ピッチ化した場合に、隣接するはんだ300がB部で短絡する懸念が高くなる。
【0061】
これに対して、
図6(c)に示すように、配線基板1のパッド12は、横断面積が略一定の柱状部121と、柱状部121の一端側に連続に形成され、柱状部121から離れるに従って横断面積が小さくなるテーパ部122とを有する。柱状部121は例えば円柱状であり、テーパ部122は例えば円錐台状である。この場合、パッド12が狭ピッチ化した場合でも、柱状部121の存在により、隣接するパッド12同士が短絡する懸念が低くなる。又、テーパ部122の存在により、パッド12が狭ピッチ化した場合に、隣接するはんだ300が短絡する懸念も低くなる。
【0062】
このように、配線基板1は、柱状部121とテーパ部122とを備えたパッド12を有するため、パッド12が狭ピッチ化した場合でも、半導体チップ実装時に隣接するパッド12同士が短絡するおそれを低減可能である。
【0063】
又、平坦性の高い支持体100の金属層103上でパッド12を作製すること、及びパッド12の高さを犠牲層110の厚さで制御することから、パッド12の高さバラつきを小さくできる。その結果、パッド12と半導体チップとの接続信頼性を向上できる。
【0064】
又、パッド12は、テーパ部122を有することで、はんだを用いて半導体チップと接合する際に、ボイドの噛み込みが起きにくいという効果も奏する。
【0065】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 配線基板
11、13、15、17、19、21 絶縁層
11a 上面
11b、21b 下面
11x 凹部
12 パッド
13x、15x、17x、19x、21x ビアホール
14、16、18、20、22 配線層
100 支持体
101 基体
102 剥離層
103 金属層
110 犠牲層
121 柱状部
122 テーパ部