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  • 特許-吸収性物品の包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】吸収性物品の包装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20230309BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230309BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A61F13/15 210
A61F13/15 356
A61F13/49 315Z
A61F13/475 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019217373
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021083967
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-06-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 章恵
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕樹
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-185270(JP,A)
【文献】特開2015-123164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開型の吸収性物品と、
前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品は、
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、
前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、
前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有しており、
前記吸収性物品は、前記幅方向に沿った幅折り目と、前記前後方向に沿った前後折り目と、を基点に折り畳まれており、
前記前後折り目は、前記股下域の吸収コアを、前記吸収コアの肌面側同士が向き合うように折り畳むコア前後折り目を有し、
前記吸収性物品と前記包装シートにそれぞれ当接し、前記吸収性物品と前記包装シートを仮接合する仮接合部が設けられており、
前記仮接合部の前記包装シートに対する接合強度は、前記仮接合部の前記吸収性物品に対する接合強度よりも高く、
前記防漏ギャザーは、前記吸収コアよりも肌面側に位置する表面シートに固定された固定部と、前記表面シートに対して起立可能な起立部と、を有し、
前記幅折り目は、前記起立部の前記前後方向の中心を挟んで、前記前後方向に間隔を空けて一対で設けられており、
前記仮接合部の少なくとも一部は、前記幅折り目よりも前記前後方向の外側にそれぞれ配置されている、吸収性物品の包装体。
【請求項2】
展開型の吸収性物品と、
前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品は、
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、
前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、
前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌側に位置する起立性の防漏ギャザーと、を有しており、
前記吸収性物品は、前記幅方向に沿った幅折り目と、前記前後方向に沿った前後折り目と、を基点に折り畳まれており、
前記前後折り目は、前記股下域の吸収コアを、前記吸収コアの肌面側同士が向き合うように折り畳むコア前後折り目を有し、
前記吸収性物品と前記包装シートにそれぞれ当接し、前記吸収性物品と前記包装シートを仮接合する仮接合部が設けられており、
前記仮接合部の前記包装シートに対する接合強度は、前記仮接合部の前記吸収性物品に対する接合強度よりも高く、
前記防漏ギャザーは、前記吸収コアよりも肌面側に位置する表面シートに固定された固定部と、前記表面シートに対して起立可能な起立部と、を有し、
前記仮接合部の少なくとも一部は、展開状態において、前記起立部よりも前記前後方向の外側に位置する、吸収性物品の包装体。
【請求項3】
前記コア前後折り目は、前記吸収コアの前記幅方向の中心を挟んで一対で設けられている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項4】
前記前後折り目は、展開状態において前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に位置し、前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように前記吸収性物品を折り畳む物品前後折り目を有し、
前記コア前後折り目は、前記物品前後折り目を基点に折り畳まれた第1折り状態において、前記吸収コアを折り畳む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項5】
前記幅折り目は、前記コア前後折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態において、前記吸収性物品を折り畳む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項6】
前記幅折り目は、前記前後方向に間隔を空けて一対で設けられている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項7】
前記仮接合部は、前記吸収コアと重なる領域に配置されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前胴回り域、後胴回り域及び股下域を有する展開型吸収性物品、吸収性物品の包装体、及び吸収性物品の包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前胴回り域、後胴回り域及び股下域を有する展開型吸収性物品が開示されている。特許文献1の展開型吸収性物品は、複数回折り畳まれた状態で袋状の包装シートに収容されている。具体的には、展開型吸収性物品が折り目によって折り畳まれてない展開状態から、吸収コアよりも幅方向の外側に位置し、かつ前後方向に沿った前後折り目を基点に折り畳まれ、次いで、前後折り目を基点に折り畳まれた状態で、吸収性物品の前後方向のほぼ中央に位置し、かつ幅方向に沿った幅折り目を基点に折り畳まれる。このように、前後折り目及び幅折り目を基点に折り畳まれた状態で、包装シートに収容されている(特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-47523号公報
【発明の概要】
【0004】
このように構成された展開型吸収性物品には、使用前に折り畳まれた折り目による折り癖が付いている。幅折り目は、吸収コアの幅方向の全域に亘って肌面側同士が向き合うように折り畳む折り目である。そのため、当該幅折り目によって吸収コアの幅方向の全域に亘って、着用者の股間から離れるように変形し、横漏れが発生するおそれがあった。特に、前胴回り域、後胴回り域及び股下域を有する吸収性物品は、それ自体が身体を覆う部位を備えており、ナプキン等のように着用物品を介して身体に押し当てられるものではなく、吸収性物品自体の折り癖が着用状態の形状に影響しやすい。
【0005】
また、特許文献1の展開型吸収性物品において、折り畳まれた状態の前後方向の長さは、展開状態の約半分であり、折り畳まれた状態の幅方向の長さは、吸収コアの幅方向の長さ以上である。そのため、折り畳まれた状態における前後方向及び幅方向の長さが長く、持ち運び時にコンパクトに吸収性物品を収納し難かった。
【0006】
よって、前胴回り域、後胴回り域及び股下域を有する吸収性物品において、使用前の折り癖に起因する横漏れの発生を抑制でき、使用前にコンパクトに収容できる展開型吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る展開型吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、を有する。前記吸収性物品は、前記幅方向に沿った幅折り目と、前記前後方向に沿った前後折り目と、を基点に折り畳まれている。前記前後折り目は、前記股下域の吸収コアを、前記吸収コアの肌面側同士が向き合うように折り畳むコア前後折り目を有する。
【0008】
一態様に係る展開型吸収性物品の包装体は、前記吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する。前記吸収性物品と前記包装シートにそれぞれ当接し、前記吸収性物品と前記包装シートを仮接合する仮接合部が設けられている。前記仮接合部の前記包装シートに対する接合強度は、前記仮接合部の前記吸収性物品に対する接合強度よりも高い。
【0009】
一態様に係る展開型吸収性物品の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、を有する展開型吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する吸収性物品の包装体の製造方法である。前記股下域の吸収コアを、肌面側同士が向き合うように前後折り目を基点に折り畳む第1工程と、前記第1折り畳み工程によって折り畳まれた吸収性物品を、前記包装シート上に載置する第2工程と、前記第2工程の後に、前記コア前後折り目に沿って前記包装シートを折り畳む第3工程と、前記第3工程の後に、前記包装シート及び前記吸収性物品を、前記幅方向に沿って延びる幅折り目を基点に折り畳む第4工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、肌対向面側から見た吸収性物品の包装体の展開状態の平面図である。
図2図2は、非肌対向面側から見た吸収性物品の包装体の展開状態の平面図である。
図3図3は、図1に示す吸収性物品の包装体の折り畳み態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る展開型吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、を有する。前記吸収性物品は、前記幅方向に沿った幅折り目と、前記前後方向に沿った前後折り目と、を基点に折り畳まれている。前記前後折り目は、前記股下域の吸収コアを、前記吸収コアの肌面側同士が向き合うように折り畳むコア前後折り目を有する。吸収コアには、少なくともコア前後折り目による折り癖が形成される。コア前後折り目が、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳む折り目であるため、コア前後折り目よりも幅方向外側の領域は、折り癖によって着用者側に立ち上がる。そのため、股下域の吸収コアの幅方向の側部が折り癖によって着用者側に立ち上がるように変形し、横漏れを抑制できる。また、コア前後折り目によって吸収コアを折り畳むため、折り畳んだ状態の吸収性物品の幅方向の長さを短くし易く、使用前にコンパクトに吸収性物品を収容できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記コア前後折り目は、前記吸収コアの前記幅方向の中心を挟んで一対で設けられてよい。おむつ等の吸収性物品は、不定期で排泄される尿等の排泄物を保持するように構成されており、ナプキンのように断続的に排泄される経血を保持する構成と異なり、身体から密着させずに股下域を配置することが好ましい。一対のコア前後折り目間の領域に対してコア前後折り目よりも外側の領域が立ち上がり、幅方向に沿った断面においてカップ形状となる。そのため、体液を保持する空間をより大きく確保できる。コア前後折り目の近傍が折り癖によって身体から離れ、体液を保持する空間を確保できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記前後折り目は、展開状態において前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に位置し、肌面側同士が向き合うように前記吸収性物品を折り畳む物品前後折り目を有し、前記コア前後折り目は、前記物品前後折り目を基点に折り畳まれた第1折り状態において、前記吸収コアを折り畳んでよい。本態様によれば、物品前後折り目及びコア前後折り目によって幅方向に吸収性物品を折り畳むことができ、使用前の吸収性物品の幅方向の長さをより短くできる。また、物品前後折り目による折り癖は、吸収性物品の肌面側同士が向き合う折り癖となる。幅方向において物品前後折り目を挟んだ両側を、身体側に立ち上げることができ、着用時のフィット性を高めることができる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記幅折り目は、前記コア前後折り目を基点に折り畳まれた第2折り状態において、前記吸収性物品を折り畳んでよい。本態様によれば、幅折り目を基点に折り畳むことにより、吸収性物品の幅方向の長さを短くした状態で、更に吸収性物品の前後方向の長さを短くできる。使用前にコンパクトに吸収性物品を収容できる。また、コア前後折り目によって折り畳んだ後に幅折り目を基点に折り畳むため、コア前後折り目の折り癖がより強くつきやすく、また折られた状態を維持し易くなる。よって、折り癖によって横漏れを抑制する効果をより得やすい。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記幅折り目は、前記前後方向に間隔を空けて一対で設けられてよい。本態様によれば、吸収性物品の前後方向の長さをより短くでき、使用前にコンパクトに吸収性物品を収容できる。
【0016】
一態様に係る展開型吸収性物品の包装体は、前記吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する。前記吸収性物品と前記包装シートにそれぞれ当接し、前記吸収性物品と前記包装シートを仮接合する仮接合部が設けられている。前記仮接合部の前記包装シートに対する接合強度は、前記仮接合部の前記吸収性物品に対する接合強度よりも高い。仮接合部によって包装シートと吸収性物品の相対位置を固定でき、安定して折り畳むことができる。仮接合部は、包装シートに対する接合強度が高く、かつ吸収性物品に対する接合強度が低い。そのため、使用時に包装シートから吸収性物品を剥がした際に、包装シート側に仮接合部が残りやすい。使用時に吸収性物品に仮接合部が付着していないため、使用時に吸収性物品の非肌面側に仮接合部が配置されることに起因する違和感を抑制できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記仮接合部は、前記吸収コアと重なる領域に配置されてよい。吸収コアは、吸収性物品の中でも剛性が高い部材である。比較的剛性が高い吸収コアと重なる領域を、仮接合部によって包装シートに固定することにより、吸収性物品と包装シートの位置を安定させることができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも肌側に位置する起立性の防漏ギャザーを有しており、前記防漏ギャザーは、前記吸収コアよりも肌面側に位置する表面シートに固定された固定部と、前記表面シートに対して起立可能な起立部と、を有し、前記幅折り目は、前記起立部の前後方向の中心を挟んで、前記前後方向に間隔を空けて一対で設けられており、前記仮接合部の少なくとも一部は、前記幅折り目よりも前記前後方向の外側にそれぞれ配置されてよい。吸収性物品において仮接合部と重なる領域は、使用時に展開した状態において包装シート側に引っ張られる力がかかる。防漏ギャザーの起立部の前後方向の中心よりも前後方向の外側に、仮接合部が配置されているため、仮接合部を介して包装シート側に引っ張られる。このとき、仮接合部が幅折り目よりも外側に配置されているため、幅折り目を基点として幅折り目よりも前後方向の外側の領域がより展開し易い。よって、幅折り目間に位置する起立部が立ち上がり易くなる。防漏ギャザーの起立性が向上することにより、横漏れをより抑制できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも肌側に位置する起立性の防漏ギャザーを有しており、前記防漏ギャザーは、前記吸収コアよりも肌面側に位置する表面シートに固定された固定部と、前記表面シートに対して起立可能な起立部と、を有し、前記仮接合部の少なくとも一部は、展開状態において、前記起立部よりも前記前後方向の外側に位置してよい。吸収性物品において仮接合部と重なる領域は、展開状態において包装シート側に引っ張られる力がかかる。防漏ギャザーの起立部よりも前後方向の外側の領域が、仮接合部を介して包装シート側に引っ張られることにより、起立部が立ち上がり易くなる。防漏ギャザーの起立性が向上することにより、横漏れをより抑制できる。
【0020】
一態様に係る展開型吸収性物品の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、着用者の前胴回りを覆う前胴回り域と、前記着用者の後胴回りを覆う後胴回り域と、前記前胴回り域と前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、を有する展開型吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を有する吸収性物品の包装体の製造方法である。前記股下域の吸収コアを、肌面側同士が向き合うように前後折り目を基点に折り畳む第1工程と、前記第1折り畳み工程によって折り畳まれた吸収性物品を、前記包装シート上に載置する第2工程と、前記第2工程の後に、前記コア前後折り目に沿って前記包装シートを折り畳む第3工程と、前記第3工程の後に、前記包装シート及び前記吸収性物品を、前記幅方向に沿って延びる幅折り目を基点に折り畳む第4工程と、を有する。第1工程において吸収性物品を折り畳んだ後に、第3工程において吸収性物品の折り目に沿って包装シートを折り畳むことにより、一旦折り畳んだ吸収性物品を、再度折り畳むことができる。そのため、更にコンパクトに折り畳むことができる。特に、使い捨ておむつのように幅方向の長さが比較的長い吸収性物品において、好適に適用できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記第3工程は、折り畳んだ包装シート同士が重なるように折り畳み、包装接合部を介して重なった包装シート同士を接合してよい。包装接合部を介して包装シート同士を接合することにより、折り畳んだ包装シートが展開せずに折り畳んだ状態を維持でき、吸収性物品をよりコンパクトに収容できる。
【0022】
(2)展開型吸収性物品及び吸収性物品の包装体の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る展開型吸収性物品10及び吸収性物品の包装体1について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
図1は、吸収性物品の包装体1の肌対向面側から見た展開平面図であり、図2は、吸収性物品の包装体1の非肌対向面側から見た展開平面図である。なお、展開状態とは、後述する前後折り目FL及び幅折り目FWのいずれによっても折り畳まれていない状態である。図1及び図2に示す平面図は、吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。吸収性物品の包装体1(以下、包装体1とする)は、展開型吸収性物品10(以下、吸収性物品とする)と、吸収性物品10を個別に包装する包装シート100と、を有する。展開型吸収性物品とは、後述する胴回り域の外側部を接合するサイド接合部が形成されていない吸収性物品であり、着用時にファスニングテープ等の止着部材を介して胴回り域の外側部を接合する吸収性物品である。吸収性物品10としては、例えば、吸収性物品を例示できる。
【0024】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。
【0025】
吸収性物品10は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、着用者に向かう肌対向面側T1及び肌対向面側T1と反対側に向かう非肌対向面側T2に延びる厚み方向Tと、を有してよい。吸収性物品10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)を覆う領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)を覆う領域である。股下域S3は、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域であり、着用者の股下を覆う領域である。
【0026】
吸収性物品10は、着用時に前胴回り域S1と後胴回り域S2を接合する止着部材を有してよい。止着部材は、ファスニングテープ90によって構成されてよい。ファスニングテープ90は、後胴回り域S2において幅方向Wの外側に延出し、前胴回り域S1の非肌面に止着可能に構成されている。吸収性物品10は、着用者の脚回りを囲む脚回り開口部35を有してよい。脚回り開口部35は、吸収性物品10の外側部において幅方向Wの内側に凹んでいる。脚回り開口部35は、股下域S3に配置されている。なお、股下域S3は、脚回り開口部35が設けられた領域であってもよい。ファスニングテープ90が止着した状態で、吸収性物品10には、着用者の胴回り囲むウエスト開口と、着用者の脚回り囲む一対の脚回り開口と、が形成される。ウエスト開口部は、前胴回り域S1の前端縁と、後胴回り域S2の後端縁とによって形成され、脚回り開口は、脚回り開口部35によって形成されてよい。
【0027】
吸収性物品10は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、少なくとも股下域S3に配置されている。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、図示しないコアラップによって覆われてよい。吸収コア31とコアラップによって吸収体が構成されてよい。コアラップは、ティッシュ又はSMS不織布によって構成され、吸収コア31の肌対向面側T1と吸収コア31の非肌対向面側T2に配置されてよい。
【0028】
吸収性物品10は、吸収コア31よりも肌対向面側T1に位置する肌側シート20を有する。肌側シート20は、吸収コア31を覆い、かつ吸収性物品10の全体に亘って配置されている。本実施形態の肌側シート20は、表面シート21と一対のサイドシート22を含む。なお、コアラップを有する吸収性物品にあっては、肌側シート20は、コアラップよりも肌対向面側T1に位置するシートである。表面シート21は、吸収コア31の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。サイドシート22は、表面シート21の両外側部を覆うように配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。
【0029】
一対のサイドシート22のそれぞれは、起立性の防漏ギャザー60を構成してよい。防漏ギャザー60は、吸収コア31よりも肌側に位置する。防漏ギャザー60は、表面シート21に固定された固定部64と、表面シート21に対して起立可能な起立部63と、を有する。サイドシート22の内側部は、折り返されて重なってよい。重なったサイドシート22間には、前後方向Lに伸縮する防漏弾性部材61が設けられてよい。防漏弾性部材61は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。防漏ギャザーの起立部63は、防漏弾性部材61の収縮によって肌対向面側T1に起立し、吸収性物品10の幅方向の中心の側方において横漏れを防ぐ壁を形成する。固定部64は、起立部63の起立支点となる。固定部64は、サイドシート22と表面シート21が接合されている。起立部63は、サイドシート22が表面シート21に接合されてなく、防漏弾性部材61によって収縮可能な部分であり、非伸長状態の防漏弾性部材61が配置された部分を含まない。固定部64は、起立部63よりも後側に位置する後固定部64Aと、起立部63よりも幅方向Wの外側に位置する幅固定部64Bと、起立部63よりも前側に位置する前固定部64Cと、を有する。
【0030】
吸収性物品10は、吸収コア31よりも非肌対向面側T2に位置する非肌側シート25を有する。非肌側シート25は、吸収コア31を覆い、かつ吸収性物品の全体に亘って配置されている。本実施形態の非肌側シート25は、裏面シート23と外装シート24を含む。なお、コアラップを有する吸収性物品にあっては、非肌側シート25は、コアラップよりも非肌対向面側T2に位置するシートである。裏面シート23は、液不透過性のシートであり、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。外装シート24は、裏面シート23の非肌対向面側T2に設けられてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。裏面シート23の幅方向Wの長さは、外装シート24の幅方向Wの長さよりも短く、裏面シート23の前後方向Lの長さは、外装シート24の前後方向Lの長さよりも短くてよい。
【0031】
包装シート100は、吸収性物品10を個別に包装するシートである。包装シート100は、吸収性物品10と共に折り畳まれていてもよいし、吸収性物品10と別に折り畳まれていてもよい。包装シート100は、展開状態において矩形のシートである。包装シート100は、フィルム又は不織布によって構成されてよい。吸収性物品10及び包装シート100は、幅方向Wに沿った幅折り目FWと、前後方向Lに沿った前後折り目FLと、を基点に折り畳まれている。前後折り目FLは、一対の第1前後折り目FL1と、一対の第2前後折り目FL2と、一対の第3前後折り目FL3と、を有してよい。第1前後折り目FL1は、本発明の「物品前後折り目」を構成し、第2前後折り目FL2は、本発明の「コア前後折り目」を構成する。幅折り目FWは、第1幅折り目FW1と第2幅折り目FW2を有してよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2は、吸収性物品10及び包装シート100の両方を折り畳む折り目であってよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2は、前後方向Lに間隔を空けて一対で設けられてよい。
【0032】
次いで、図3に基づいて、吸収性物品の包装体1の製造方法における折り畳み工程について説明する。なお、包装体の製造方法は、以下において説明する折り畳み工程を含んでいればよく、折り畳み工程以外の工程については、周知の工程を用いることができる。また、以下の折り畳み態様の説明においては、吸収性物品10と包装シート100の両方を折り畳む包装体の折り畳み態様を説明するが、変形例において、吸収性物品10のみを折り畳んでもよい。吸収性物品10及び包装シート100の展開状態(図3(A)に示す状態)において、吸収性物品10を、第1前後折り目FL1を基点に折り畳む。図3(B)は、第1前後折り目FL1を基点に折り畳んだ第1折り状態を示している。次いで、第1折り状態において、吸収性物品10を、第2前後折り目FL2を基点に折り畳む第1工程を有する。第1折り状態において、第2前後折り目FL2は、第1前後折り目FL1よりも幅方向Wの内側に位置する。なお、第1工程は、第1折り状態において第2前後折り目FL2を基点に吸収性物品10を折り畳む工程であってもよいし、展開状態において第2前後折り目FL2を基点に吸収性物品10を折り畳む工程であってもよい。第1工程によって折り畳まれた吸収性物品10を、包装シート100上に載置する第2工程を有する。図3(C)は、第2前後折り目FL2を基点に折り畳んだ第2折り状態であって、第2工程の後の状態を示している。第2工程の後に、包装シート100を、第3前後折り目FL3に沿って包装シート100を折り畳む第3工程を有する。第3工程は、吸収性物品10の第2前後折り目FL2に沿った第3前後折り目FL3を基点に包装シート100を折り畳む。第3前後折り目FL3の幅方向Wの位置は、第2前後折り目FL2と略一致している。換言すると、第3前後折り目FL3は、第2前後折り目FL2に沿って形成されてよい。図3(D)は、一対の第3前後折り目FL3のうち一方の第3前後折り目FL3を基点に折り畳まれた状態であり、図3(E)は、一対の第3前後折り目FL3の両方を基点に折り畳んだ第3折り状態を示している。第3工程は、折り畳んだ包装シート100同士が重なるように折り畳み、包装接合部101を介して重なった包装シート100同士を接合してもよい。包装接合部101を介して包装シート100同士を接合することにより、折り畳んだ包装シートが展開せずに折り畳んだ状態を維持でき、吸収性物品10をよりコンパクトに収容できる。
【0033】
次いで、第3工程の後に、包装シート100及び吸収性物品10を、幅方向Wに沿って延びる幅折り目FWを基点に折り畳む第4工程を有する。第4工程は、第1幅折り目FW1を基点に、吸収性物品10及び包装シート100を折り畳む。図3(F)は、第1幅折り目FW1を基点に折り畳んだ第4折り状態を示している。第4工程は、第4折り状態において、第2幅折り目FW2を基点に、吸収性物品10及び包装シート100を折り畳む工程を有してよい。図3(G)は、第2幅折り目FW2を基点に折り畳んだ第5折り状態を示している。このようにして、吸収性物品10を包装シート100によって個別に包装し、包装体1をコンパクトに形成できる。また、使用時の吸収性物品10には、前後折り目FLと幅折り目FWによる折り癖が形成される。
【0034】
複数の前後折り目のうち少なくとも一部の前後折り目FLは、吸収コア31に重なってよい。本実施の形態では、第2前後折り目FL2及び第3前後折り目FL3は、吸収コア31に重なっており、第1前後折り目FL1は、吸収コア31に重なっていない。前後折り目FLによって吸収コア31を折り畳むことにより、前後折り目FLが吸収コア31に重ならない構成と比較して、折り畳んだ状態の吸収性物品10の幅方向Wの長さを短くしやすい。よって、製品の幅方向Wの長さが比較的長いおむつであっても、使用前にコンパクトに吸収性物品10を収容できる。
【0035】
第2前後折り目FL2は、股下域S3の吸収コア31を、吸収コア31の肌面側同士が向き合うように折り畳む。換言すると、第2前後折り目FL2は、吸収コア31に重なっており、吸収コア31を谷折りする折り目である。第2前後折り目FL2が、吸収性物品10の肌面側同士が向き合うように折り畳む折り目であるため、第2前後折り目FL2よりも幅方向W外側の領域は、使用時に折り癖によって着用者側に立ち上がる。そのため、股下域S3の吸収コア31の幅方向Wの側部が折り癖によって着用者側に立ち上がるように変形する。仮に幅折り目FWの折り癖によって吸収コア31が着用者の股間から離れるように変形した場合であっても、第2前後折り目FL2の折り癖によって着用者の股間の側方を覆うことができ、横漏れを抑制できる。なお、第1前後折り目FL1は、少なくとも股下域S3の吸収コア31に重なっていてよく、本実施の形態のように吸収コア31の前後方向Lの全域に亘って吸収コア31に重なっていてもよい。
【0036】
おむつ等の吸収性物品は、不定期で排泄される尿等の排泄物を保持するように構成されており、ナプキンのように断続的に排泄される経血を保持する構成と異なり、身体から密着させずに股下域を配置することが好ましい。第2前後折り目FL2は、吸収コア31の幅方向Wの中心31WCに位置してよい。このような構成によれば、吸収コア31の幅方向Wの中心31WCが着用者から離れ、第2前後折り目FL2を挟んだ両側が着用者側に立ち上がるように変形する。このとき、第2前後折り目FL2の近傍が身体から離れ、体液を保持する空間を確保できる。より好適には、吸収コア31の幅方向Wの中心31WCを挟んで一対で設けられてよい。吸収コア31の幅方向Wの中心31WCは、吸収性物品10の幅方向Wの中心に一致してよい。このような構成によれば、一対の第2前後折り目FL2によって挟まれた領域に対して第2前後折り目FL2よりも外側の領域が立ち上がり、幅方向に沿った断面においてカップ形状となる。一対の第2前後折り目FL2によって挟まれた領域は、身体から密着せずに股下域に沿って配置され易く、カップ形状によって体液を保持する空間を確保できる。また、第2前後折り目FL2よりも外側の領域が立ち上がることで横漏れを抑制できる。
【0037】
第1前後折り目FL1は、展開状態において吸収コアよりも幅方向の外側に位置し、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように吸収性物品を折り畳む折り目であってよい。第2前後折り目FL2は、第1前後折り目FL1を基点に折り畳まれた第1折り状態において、吸収コア31を折り畳んでよい。第1前後折り目FL1を基点に吸収性物品10を折り畳んで、吸収性物品10の幅方向の長さを短くした状態で、第2前後折り目FL2を基点に吸収性物品10を折り畳んで、更に吸収性物品10の幅方向の長さを短くできる。そのため、使用前の吸収性物品10の幅方向Wの長さをより短くできる。また、第1前後折り目FL1による折り癖は、吸収性物品10の肌面側同士が向き合う折り癖となる。幅方向Wにおいて第1前後折り目FL1を挟んだ両側を、身体側に立ち上げることができ、着用時のフィット性を高めることができる。
【0038】
第1前後折り目FL1及び第2前後折り目FL2を基点に吸収性物品10を折り畳んだ後に、第3前後折り目FL3を基点に包装シート100を折り畳んでよい。このような構成によれば、一旦折り畳んだ吸収性物品10を、再度折り畳むことができる。そのため、更にコンパクトに折り畳むことができる。特に、使い捨ておむつのように幅方向の長さが比較的長い吸収性物品において、好適に適用できる。
【0039】
幅折り目FWは、第2前後折り目FL2を基点に折り畳まれた第2折状態において、吸収性物品10を折り畳んでよい。なお、第2折り状態は、上述のように、第1前後折り目FL1及び第2前後折り目FL2を基点に折り畳んだ状態であってもよいし、第1前後折り目FL1を有しない形態にあっては、第2前後折り目FL2のみを基点に折り畳んだ状態であってもよい。幅折り目を基点に折り畳むことにより、吸収性物品10の幅方向Wの長さを短くした状態で、更に吸収性物品10の前後方向Lの長さを短くできる。使用前にコンパクトに吸収性物品10を収容できる。また、第2前後折り目FL2によって折り畳んだ後に幅折り目FWを基点に折り畳むため、第2前後折り目FL2の折り癖がより強くつきやすく、また折られた状態を維持し易くなる。よって、折り癖によって横漏れを抑制する効果をより得やすい。
【0040】
幅折り目FWは、前後方向Lに間隔を空けて一対で設けられてよい。換言すると、幅折り目FWは、前後方向Lに離間した第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2を有してよい。吸収性物品10の前後方向Lの長さをより短くでき、使用前にコンパクトに吸収性物品10を収容できる。
【0041】
図2に示すように、包装体1は、仮接合部50を有してよい。仮接合部50は、吸収性物品10と包装シート100にそれぞれ当接し、使用前の包装状態において吸収性物品10と包装シートを仮接合する。仮接合部50を設けることにより、包装シート100によって吸収性物品10が折り畳まれた状態を維持でき、使用前によりコンパクトに収容できる。また、仮接合部50によって包装シート100と吸収性物品10の相対位置を固定でき、安定して折り畳むことができる。仮接合部50の包装シート100に対する接合強度は、仮接合部50の吸収性物品10に対する接合強度よりも高い。仮接合部50は、包装シート100に対する接合強度が高く、かつ吸収性物品に10対する接合強度が低い。そのため、使用時に包装シート100から吸収性物品10を剥がした際に、包装シート100側に仮接合部50が残りやすい。使用時に吸収性物品10に仮接合部50が付着していないため、使用時に吸収性物品10の非肌面側に仮接合部50が配置されることに起因する違和感を抑制できる。
【0042】
仮接合部50は、吸収性物品の非肌面と、包装シート100の内面(吸収性物品側の面)と、を仮接合してよい。仮接合部50は、少なくとも1個設けられていてよいが、好適には、前後方向Lに離間して複数設けられ、幅方向Wに離間して複数設けられてよい。仮接合部50は、ホットメルト型接着剤等の接着剤であってもよいし、フック部材等のメカニカルファスナであってもよい。例えば、包装シートの内面に、フック部材を有するフックシートを接合し、フック部が吸収性物品の非肌側シート25を構成する不織布に仮接合するように構成してよい。
【0043】
仮接合部50は、吸収コア31と重なる領域に配置されてよい。吸収コア31は、吸収性物品10の中でも剛性が高い部材である。比較的剛性が高い吸収コア31と重なる領域を、仮接合部50によって包装シート100に固定することにより、吸収性物品10と包装シート100の位置を安定させることができる。本実施の形態の仮接合部50は、4個設けられており、吸収コア31の幅方向Wの中心31WCに対する両側、かつ吸収コア31の前後方向Lの中心31LCに対する両側に、それぞれ設けられている。
【0044】
幅折り目FWは、防漏ギャザー60の起立部63の前後方向Lの中心を挟んで一対で配置されてよい。防漏ギャザー60の起立部63の前後方向Lの中心は、防漏弾性部材61が収縮状態で配置された領域の前後方向Lの中心であってもよいし、後固定部64Aの前端縁と前固定部64Cの後端縁との間隔の前後方向Lの中心であってもよい。仮接合部50の少なくとも一部は、幅折り目FWよりも前後方向Lの外側にそれぞれ配置されてよい。より詳細には、第1幅折り目FW1は、防漏ギャザー60の起立部63の前後方向Lの中心よりも後側に位置する。第1幅折り目FW1よりも後側に、4つの仮接合部50のうち2つの仮接合部が配置されている。第2幅折り目FW2は、第1幅折り目FW1よりも前側に位置し、防漏ギャザー60の起立部63の前後方向Lの中心よりも前側に位置する。第2幅折り目FW2よりも前側に、4つの仮接合部50のうち2つの仮接合部50が配置されている。吸収性物品10において仮接合部50と重なる領域は、使用時に展開した状態において包装シート100側に引っ張られる力がかかる。防漏ギャザー60の起立部63の前後方向Lの中心よりも前後方向Lの外側に、仮接合部50が配置されているため、仮接合部50を介して包装シート100側に引っ張られる。このとき、仮接合部50が幅折り目FWよりも外側に配置されているため、幅折り目FWを基点として幅折り目FWよりも前後方向Lの外側の領域がより展開し易い。よって、幅折り目FW間に位置する起立部63が立ち上がり易くなる。防漏ギャザー60の起立性が向上することにより、横漏れをより抑制できる。
【0045】
仮接合部50の少なくとも一部は、展開状態において、防漏ギャザー60の起立部63よりも前後方向Lの外側に位置してよい。仮接合部50は、起立部63全体に対する前後方向の外側に位置してもよいし、防漏弾性部材61が収縮状態で配置された領域よりも前後方向Lの外側に位置してよい。この構成によれば、吸収性物品において仮接合部50と重なる領域は、展開状態において包装シート100側に引っ張られる力がかかる。防漏ギャザー60の起立部63よりも前後方向Lの外側の領域が、仮接合部50を介して包装シート100側に引っ張られることにより、起立部63が立ち上がり易くなる。防漏ギャザー60の起立性が向上することにより、横漏れをより抑制できる。
【0046】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0047】
上述の実施形態では、コア前後折り目を構成する第2前後折り目FL2は、一対で設けられているが、一対でなくてもよい。すなわち、コア前後折り目は、少なくとも一本形成されていればよい。また、上述の実施形態では、第2前後折り目FL2を基点に吸収性物品を折り畳んだ後に、第3前後折り目FL3を基点に包装シートを折り畳んでいる。しかし、変形例において、第2前後折り目を基点に、吸収性物品及び包装シートの両方を同時に折り畳んでもよい。また、変形例において、物品前後折り目を構成する第1前後折り目FL1を有してなく、展開状態において第2前後折り目FL2を基点に折り畳んでもよい。また、変形例において、包装シート100を折り畳む第3前後折り目FL3を有してなくてもよく、吸収性物品10を折り畳んだ後に、袋状の包装シートに収容してもよい。また、変形例において、幅折り目FWは、第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2の両方を備えずに一方のみであってもよいし、第3幅折り目以上の数の折り目が設けられてもよい。また、変形例において、前後折り目FLは、第4前後折り目以上の数の折り目が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本態様によれば、使用前の折り癖に起因する横漏れの発生を抑制でき、使用前にコンパクトに収容できる展開型吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0049】
1:吸収性物品の包装体、10:展開型吸収性物品、31:吸収コア、50:仮接合部、60:防漏ギャザー、63:起立部、100:包装シート、FL:前後折り目、FL1:第1前後折り目(物品前後折り目)、FL2:第2前後折り目(コア前後折り目)、FW:幅折り目
図1
図2
図3