(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】オンザフライ単一粒子再構成のための畳み込みニューラルネットワークの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 15/00 20060101AFI20230309BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230309BHJP
G06N 3/08 20230101ALI20230309BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
G01N15/00 B
G01N15/00 A
G06T7/00 350C
G06N3/08
H01J37/22 501Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027746
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】エリック フランケン
(72)【発明者】
【氏名】マウリース ペーメン
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-117175(JP,A)
【文献】特表平11-515097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090500(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0322634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数の粒子画像から、少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用して粒子画像のサブセットを抽出することと、
前記粒子画像のサブセットの粒子画像を分類して、同様の粒子画像の少なくとも1つのグループを定義することと、
前記分類された粒子画像と前記同様の粒子画像の少なくとも1つのグループに少なくとも基づいて、粒子の3次元再構成(3D再構成)を形成することと、
前記分類された粒子画像または前記粒子の前記3D再構成の投影に基づいて粒子画像のトレーニングセットを更新することと、を含み、
前記トレーニングセットが、前記少なくとも部分的にトレーニングされたニューラルネットワークに関連付けられ、少なくとも1つの粒子画像の分類および同様の粒子画像の少なくとも1つのグループの定義の、1つまたは複数に応じて自動的に更新され、
前記粒子画像のトレーニングセットを更新することが、
前記粒子の前記3D再構成に基づいて、粒子の例の1つ以上の合成粒子画像を生成することと、
前記1つ以上の合成粒子画像を前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、
前記合成粒子画像のそれぞれに注釈を付けることと、
前記合成粒子画像のそれぞれに学習重みを適用することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記サブセットの前記粒子画像のそれぞれ
が品質について注釈を付け
されており、前記粒子画像のトレーニングセットが、前記注釈が付けられた粒子画像に基づいて更新される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記注釈が、許容または拒絶特性を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
方法であって、
複数の粒子画像から、少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用して粒子画像のサブセットを抽出することと、
前記粒子画像のサブセットの粒子画像を分類して、同様の粒子画像の少なくとも1つのグループを定義することと、
前記分類された粒子画像と前記同様の粒子画像の少なくとも1つのグループに少なくとも基づいて、粒子の3次元再構成(3D再構成)を形成することと、
前記分類された粒子画像または前記粒子の前記3D再構成の投影に基づいて粒子画像のトレーニングセットを更新することと、を含み、
前記トレーニングセットが、前記少なくとも部分的にトレーニングされたニューラルネットワークに関連付けられ、少なくとも1つの粒子画像の分類および同様の粒子画像の少なくとも1つのグループの定義の、1つまたは複数に応じて自動的に更新され、
前記粒子画像のトレーニングセットを前記更新することが、
品質について前記分類された粒子画像のそれぞれをスコアリングすることと、
前記分類された粒子画像のそれぞれに重みを付けることであって、前記重みが学習重みであることと、
前記スコアリングおよび重み付けされた分類された粒子画像を、前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、を含む、
方法。
【請求項5】
許容または拒絶特性によって前記分類された粒子画像のそれぞれに注釈を付けることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
前記粒子の前記3D再構成の2次元投影(2D投影)に基づいて、前記抽出された粒子画像のそれぞれにそれぞれの3D品質マッチングスコアを適用することであって、前記3D再構成の各2D投影が、前記3D再構成の異なる配向に関連付けられることと、
前記抽出された各粒子画像およびそれらのそれぞれの3D品質マッチングスコアを前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
さらに、
自己相似粒子の2次元グループ平均(2Dグループ平均)に基づいて、前記抽出された粒子画像のそれぞれにそれぞれの2D品質マッチングスコアを適用することと、
前記抽出された粒子画像のそれぞれおよびそれらのそれぞれの2D品質マッチングスコアを前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
方法であって、
複数の粒子画像から、少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用して粒子画像のサブセットを抽出することと、
前記粒子画像のサブセットの粒子画像を分類して、同様の粒子画像の少なくとも1つのグループを定義することと、
前記分類された粒子画像と前記同様の粒子画像の少なくとも1つのグループに少なくとも基づいて、粒子の3次元再構成(3D再構成)を形成することと、
前記分類された粒子画像または前記粒子の前記3D再構成の投影に基づいて粒子画像のトレーニングセットを更新することと、を含み、
前記トレーニングセットが、前記少なくとも部分的にトレーニングされたニューラルネットワークに関連付けられ、少なくとも1つの粒子画像の分類および同様の粒子画像の少なくとも1つのグループの定義の、1つまたは複数に応じて自動的に更新され、
前記粒子画像のトレーニングセットを更新することが、
前記粒子の前記3D再構成の2次元投影(2D投影)に基づいて、前記抽出された粒子画像のそれぞれにそれぞれの3D品質マッチングスコアを適用することであって、前記3D再構成の前記2D投影が、前記3D再構成の少なくとも2つの異なる配向に関連付けられることと、
前記抽出された粒子画像のそれぞれおよびそれらのそれぞれの3D品質マッチングスコアを前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記粒子画像のトレーニングセットを
更新することが、
同様の粒子画像のグループを生成することと、
前記同様の粒子画像のグループを前記粒子画像のトレーニングセットに提供することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、少なくとも前記更新されたトレーニングセットを使用して前記人工ニューラルネットワークを再トレーニングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、少なくとも前記複数の粒子画像から粒子画像の第2のサブセットを抽出するために前記再トレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記粒子に関する事前情報および前記複数の粒子画像を取得するために使用される透過型電子顕微鏡の設定のうちの1つに基づいて、複数の事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークから前記人工ニューラルネットワークを選択することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用して、1つ以上の顕微鏡写真から前記複数の粒子画像を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の粒子画像を選択する行為および前記粒子画像のサブセットを抽出する行為が、
前記少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークによって並行して行われる、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記
粒子画像のトレーニングセットを
更新することが、前記粒子画像の分類または前記3D再構成の投影の生成に応じて開始される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体粒子の低温電子トモグラフィなどの粒子選択に関する。
【背景技術】
【0002】
生体粒子の構造を調べるために、電子顕微鏡が使用されている。通常、粒子試料は、極低温で維持され、画像は、試料の変化を避けるために、(イオンまたは他の荷電粒子ビーム(CPB)を使用して取得されることができるが)低電子ビーム線量によって取得される。その結果、そのような粒子を含む画像は、低コントラストおよび低信号対雑音比を有し、構造判定に使用する画像内の目的の粒子の例を確実に選択することは困難である。多くの場合、ユーザは、面倒で時間のかかる手動プロセスにおいて多数の粒子を選択して調査する。他の場合では、所望の粒子を識別するために畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が使用されている。あいにく、CNNをトレーニングすることは、通常、数百または数千の粒子を識別および/または分類して、特定のCNNを確立するための適切なトレーニングセットを生成する必要がある。特定の粒子について適切なトレーニングセットが利用可能な場合であっても、異なる粒子の識別および分類のためのCNNの開発は、依然として困難である。
【発明の概要】
【0003】
方法は、少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークを使用して、複数の粒子画像から粒子画像のサブセットを抽出することを備える。粒子画像のサブセットの粒子画像が分類され、同様の粒子画像の少なくとも1つのグループを定義する。粒子の3次元(3D)再構成は、分類された粒子画像と、同様の粒子画像の少なくとも1つのグループとに少なくとも基づいて取得される。少なくとも部分的にトレーニングされた人工ニューラルネットワークに関連付けられた粒子画像のトレーニングセットは、分類された粒子画像または粒子の3D再構成の投影に基づいて更新される。通常、トレーニングセットは、粒子画像の分類またはグループ化に応じてすぐに更新される。いくつかの例では、粒子画像のトレーニングセットを更新することは、品質についてサブセットの粒子画像のそれぞれに注釈を付けることを含み、粒子画像のトレーニングセットは、注釈が付けられた粒子画像に基づいて更新される。特定の例では、注釈は、許容または拒絶の特性を備える。さらなる例では、粒子画像のトレーニングセットを更新することは、品質について分類された粒子画像のそれぞれをスコアリングすることと、分類された粒子画像のそれぞれを学習重みによって重み付けすることと、スコアリングされて重みが付けられた分類された粒子画像を粒子画像のトレーニングセットに提供することとを含む。他の代替例では、分類された粒子画像の一部または全てには、許容または拒絶の特性によって注釈が付けられる。
【0004】
他の実施形態によれば、それぞれの3D品質マッチングスコアは、粒子の3D再構成の2次元(2D)投影に基づいて、抽出された粒子画像のそれぞれに適用され、3D再構成の各2D投影は、3D再構成の異なる配向に関連付けられる。そして、抽出された粒子画像およびそれぞれの3D品質マッチングスコアは、粒子画像のトレーニングセットに提供される。さらなる例では、自己相似粒子および抽出された粒子画像の2Dグループ平均に基づいて、抽出された粒子画像のそれぞれにそれぞれの2D品質マッチングスコアが適用され、粒子画像のトレーニングセットにそれぞれの2D品質マッチングスコアが提供される。場合によっては、粒子の3D再構成の2D投影に基づいて、抽出された粒子画像のそれぞれにそれぞれの3D品質マッチングスコアを適用することにより、粒子画像のトレーニングセットが更新され、3D再構成の2D投影は、3D再構成の少なくとも2つの異なる配向に関連付けられる。抽出された粒子画像およびそれぞれの3D品質マッチングスコアは、粒子画像のトレーニングセットに提供される。
【0005】
さらなる例では、粒子画像のトレーニングセットを更新することは、粒子の3D再構成に基づいて例示的な粒子の1つ以上の合成粒子画像を生成することと、粒子画像のトレーニングセットに1つ以上の合成粒子画像を提供することとを含む。典型的な例では、合成粒子画像に注釈が付けられ、学習重みが適用される。さらに他の実施形態では、トレーニングセットは、同様の粒子画像のグループを生成し、同様の粒子画像のグループを粒子画像のトレーニングセットに提供することによって更新される。他の例では、外部ソースからの3D再構成または3Dモデルに基づいて例示的な粒子の合成粒子画像を生成し、粒子画像のトレーニングセットに合成画像を提供することにより、トレーニングセットが更新される。他の例では、少なくとも更新されたトレーニングセットを使用して、人工ニューラルネットワークが再トレーニングされる。再トレーニングされた人工ニューラルネットワークは、少なくとも複数の粒子画像から粒子画像の第2のサブセットを抽出するために適用される。人工ニューラルネットワークは、粒子に関する事前情報および複数の粒子画像を取得するために使用される透過型電子顕微鏡の設定のうちの1つに基づいて、複数の事前トレーニングされた人工ニューラルネットワークから選択されることができる。さらに他の例では、複数の粒子画像は、1つ以上の顕微鏡写真から選択され、複数の粒子画像の選択および粒子画像のサブセットの抽出は、同時に実行される。追加の例では、粒子画像のトレーニングセットを更新することは、粒子画像の分類または3D再構成の投影の生成に応じて開始される。
【0006】
いくつかの例によれば、方法は、1つ以上のコンピュータ可読媒体に、粒子精選に関連付けられた複数のトレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の定義を記憶することを備える。他の例では、リージョナルCNN(R-CNN)、完全畳み込みネットワーク、プレーンバニラニューラルネットワーク、多層パーセプトロン(MLP)、リカレントニューラルネットワーク(RCN)、U-Net、または他の機械学習技術が使用されることができる。便宜上、CNNを参照して例が説明される。トレーニングされたCNNは、選択された粒子タイプに関連付けられた画像のテストセットに適用され、トレーニングされたCNNのテストセットへの適用に基づいて、優先ニューラルネットワーク(または一連の優先ニューラルネットワーク)が、選択した粒子タイプに関連付けられた粒子画像の識別のために選択される。通常、トレーニングされたCNNは、選択された粒子タイプ以外の粒子によって最初にトレーニングされる。さらなる例では、粒子画像のテストセットを使用して、選択された優先ニューラルネットワーク(またはネットワークセット)が再トレーニングされる。他の例では、優先ニューラルネットワークはN層を含み、Nは3よりも大きい整数であり、再トレーニングは、転移学習を使用して優先ニューラルネットワークのN層未満を再トレーニングすることを備える。いくつかの例では、粒子画像のテストセットは、粒子タイプに関連付けられたモデルに基づいている。いくつかの特定の例では、粒子画像のテストセットは、粒子タイプに関連付けられているとして選択された複数の電子顕微鏡写真に基づいて取得される。他の実施形態では、トレーニングされた畳み込みニューラルネットワークは、広域ネットワークを介して取得されるか、または1つ以上のコンピュータ可読媒体に記憶される。典型的な例では、特定の粒子タイプに関連付けられた1つ以上の粒子画像が優先ニューラルネットワークを使用して選択され、いくつかの例では、これらの選択された粒子画像は、優先ニューラルネットワークの再トレーニングに使用される。さらなる例では、選択された粒子タイプに関連付けられた画像のテストセットは、選択された粒子のモデルに基づいている。さらに他の例では、選択された粒子のモデルに基づいて、画像のセットにノイズを追加し、画像のセットのコントラストを低下させることにより、画像のテストセットが取得される。
【0007】
電子顕微鏡システムは、試料の画像を生成するように構成された電子カラムを備える。プロセッサは、複数の事前定義されたニューラルネットワークによって粒子画像のテストセットを処理し、処理に基づいて優先ニューラルネットワークを選択するように構成されている。試料の画像の少なくとも一部は、選択されたタイプの粒子を識別するために、優先ニューラルネットワークによって処理される。場合によっては、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、優先ニューラルネットワークによって画像の一部を処理するために記憶されたプロセッサ実行可能命令を有する。さらなる例では、通信接続部は、複数の所定のニューラルネットワークの定義を受信し、優先ニューラルネットワークの選択のために定義をプロセッサに接続するように構成されている。さらに他の代表的な例では、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、トレーニングセットを記憶している。追加の実施形態では、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、優先ニューラルネットワークによって画像の一部を処理するために記憶されたプロセッサ実行可能命令を有する。
【0008】
システムは、プロセッサと、プロセッサに接続され且つ電子顕微鏡写真からの粒子選択のための畳み込みニューラルネットワークを選択するためのプロセッサ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読媒体とを備える。いくつかの例では、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、CNNの選択のための少なくとも1つのサンプルデータセットを記憶している。他の例では、通信接続部は、プロセッサに接続され、プロセッサによる評価のために少なくとも1つのCNNを提供する。追加の例によれば、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、粒子選択のために選択されたCNNを再トレーニングするためのプロセッサ実行可能命令を記憶している。さらに他の例では、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体は、選択されたCNNの選択された層のみを再トレーニングするためのプロセッサ実行可能命令を記憶している。
【0009】
開示された技術の前述および他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付図面を参照してより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、電子顕微鏡または他の撮像システムによって生成された画像から関心のある粒子を精選するためのシステムを示している。
【
図2】
図2は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって選択された粒子を使用した構造判定のプロセスを示している。
【
図3】
図3は、顕微鏡写真から粒子画像を選択し、粒子選択に使用されるCNNを修正する代表的な方法を示している。
【
図4】
図4は、粒子選択に使用される代表的なCNNを示している。
【
図5】
図5は、CNNの選択および修正の制御のための代表的なユーザインターフェースの一部を示している。
【
図6】
図6は、粒子を識別するための顕微鏡写真の評価においてCNNを使用するための代表的なコンピューティング環境を示している。
【
図7】
図7は、モデルデータまたは測定データに基づいて選択されたCNNを更新する代表的な方法を示している。
【
図8】
図8は、「オンザフライ」処理を含む代表的な方法を示している。
【
図9】
図9は、粒子精選の代表的な方法を示している。
【
図10】
図10は、トモグラフィ再構成に基づく粒子精選および構造判定を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願および特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。さらに、用語「含む(includes)」は、「含む(comprises)」の意味である。さらに、用語「接続された(coupled)」は、接続されたアイテム間の中間要素の存在を必ずしも排除するものではない。
【0012】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の全ての新規性および非自明性を有する特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴もしくはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在する、または問題が解決されることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0013】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜上、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明方法が並び替えを包含することを理解されるものとする。例えば、順に記載される動作は、いくつかの場合では、並び替えまたは同時に実行されてもよい。さらに、単純化のために、添付の図面は、開示されたシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、および装置とともに使用され得る様々な方法を示さないことがある。さらに、説明は、開示された方法を説明するために、「製造する(produce)」および「提供する(provide)」のような用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、様々であり、当業者には容易に認識できる。
【0014】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような表現は、多くの使用された機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている(better)、小さい(smaller)、またはその他の点で望ましい(otherwise preferable)必要はない。例は、「上に」、「下に」、「上の」、「下の」等として示される方向を参照して説明される。これらの用語は、説明の便宜上使用されているが、特定の空間的方向性を示唆するものではない。
【0015】
本開示は、一般に、低温電子トモグラフィおよび単一粒子分析に関する。以下で使用される場合、「粒子精選」とは、透過型電子顕微鏡によって得られた画像から、1つ以上の所定の粒子タイプに対応する画像部分を選択することを指す。しかしながら、開示されたアプローチは、光学顕微鏡などの他のタイプの撮像システムによって使用されることができる。典型的な例では、関心のある粒子は、撮像前に凍結された生物学的粒子である。本明細書で使用される場合、「画像」とは、ユーザによって視認可能な視覚画像、または記憶され、もしくは記憶可能であり、且つ視認可能な画像を生成するために使用されることができるデータセットを指す。そのようなデータ画像は、JPEG、TIFF、ビットマップ、または他のデータ型など、様々なデータ形式とすることができる。最も実用的な例では、画像は、結合されることができる一連の画像フレームとして取得される。以下で説明するように、画像フレーム間のドリフトは、結合して最終画像を形成する前に補償されることができる。多くの例では、画像は2次元であるが、3次元画像も使用可能であり、「画像」という用語は、電子トモグラフィによって生成されるような2次元または3次元画像を指す。場合によっては、「粒子」という用語は、通常透過型電子顕微鏡(TEM)または他の撮像システムによって撮像されるように位置する物理粒子を指すが、場合によっては、物理的粒子によって生成される画像データ部分を指す。以下の例では、関心のある物理的粒子に対応する比較的高い可能性を有する画像部分を選択するために、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのニューラルネットワークが選択される。しかしながら、データを使用してパラメータを調整する他の機械学習モデルには、CNNだけでなく、K最近傍、サポートベクタマシン、および全ての種類のニューラルネットワークなどが使用されることができる。便宜上、TEM画像およびその他の画像は「顕微鏡写真」と呼ばれる。場合によっては、以前にトレーニングされたニューラルネットワークは、トレーニングセットに追加されることができる追加画像を使用してトレーニングまたは再トレーニングされると見なされる。そのような再トレーニングは、新たに追加された画像のみ、または新たに追加された画像と初期トレーニングセットの画像との組み合わせを使用することができる。モデリングによって得られた新たに追加された画像の場合、コントラストが調整(通常は低減)されることができ、ノイズが追加されて測定画像により良好に対応させることができる。いくつかの例では、粒子精選において使用されるCNN(または他の機械学習アプローチ)などのネットワークは、顕微鏡写真の処理中に更新され、更新後に追加粒子または以前に分析された粒子に適用されることができる。
【0016】
実施例1
図1を参照すると、構造判定または他の用途のために粒子を精選するための代表的なシステム100は、意図するタイプの粒子の識別および不要な粒子の拒絶のために粒子担持基板の画像を画像プロセッサ104に提供する通常は透過型電子顕微鏡(TEM)である撮像システム102を含む。TEMまたは他の電子顕微鏡は、一般に、電子ビーム源、電子光学系、および本明細書では電子ビームカラムと呼ばれる電子ビームベースの画像をキャプチャまたは生成する電子検出システムを含む。粒子識別は、撮像システム102によって生成される画像の品質が一般に制限されているため、困難であり得る。画像プロセッサ104は、撮像システム102または上述した別個のローカル処理装置に関連付けられたプロセッサ、またはローカルもしくはワイドエリアネットワーク106を介して撮像システム102に接続されたリモートプロセッサによって実装されることができる。
図1に示すように、ローカル畳み込みニューラルネットワーク(CNN)ライブラリ112は、画像プロセッサ104に接続され且つプロセッサ実行可能命令および1つ以上のCNNを定義する値の記憶を含むコンピュータ可読媒体に記憶される。さらに、調査中の粒子または同様の粒子に関連付けられた粒子モデル、およびCNNライブラリ112に記憶されたCNNの1つ以上の補足トレーニングデータの記憶のために、コンピュータ可読媒体110、114が提供される。単一のメモリまたは記憶装置は、これら全てに使用されることができ、一部または全ては、リモートで記憶されてネットワーク106を介して利用可能とすることができる。例えば、リモートCNNライブラリ108およびリモート構造プロセッサ120は、ネットワーク106を介して画像プロセッサ104と通信している。画像プロセッサ104はまた、撮像システム102に対してリモートに配置されることもできる。いくつかの例では、リモートCNNライブラリの仕様は、ローカルCNNライブラリ112などのローカル記憶装置に転送される。
【0017】
画像プロセッサ104は、撮像システム102によって得られた画像を処理して、後続の構造分析または他の目的のために粒子画像を選択する。新たに標的化された粒子タイプを処理する際、標的化された粒子タイプに適合したニューラルネットワークを確立するためのトレーニングセットは、一般に利用可能でなく、ローカルCNNライブラリ112および/またはリモートCNNライブラリ108からの1つ以上のCNNが、どの利用可能なCNNが優れた結果を提供すると思われるかを確認するために、手動で識別された比較的少数の標的化された粒子画像を処理することによって選択される。さらに、メモリ110に記憶された補足トレーニングデータに任意の新たに識別された粒子画像が追加されることができ、1つ以上の選択されたライブラリCNNには、追加のトレーニングのために新たに識別された粒子画像が提供されることができる。いくつかの例では、構造プロセッサ120は、ネットワーク106を介して接続され、トレーニングセットにおいて使用するためのシミュレートされた画像を提供する。通常、構造プロセッサ120は、選択された粒子の3D表現を生成し、さらに、3D構造の2D投影を提供することができる。そのような画像は、様々なノイズ寄与およびコントラスト関数を含むことができ、これらの画像は、補足トレーニングデータとともにメモリ110に記憶されることができる。例えば、シミュレートされた画像にノイズが追加されることができ、画像のコントラストが低下されて、測定画像をより良好に近似させることができる。
【0018】
実施例2
図2を参照すると、粒子精選の代表的なワークフロー200は、選択された粒子が分布するTEMグリッド202を提供することを含む。いくつかの例では、TEMグリッド202は、複数の孔を含むいわゆる「孔あき」炭素被覆TEM支持体または箔である。粒子は、孔の一部もしくは全て、またはグリッド202の他の場所に位置する氷層に保持されることができる。204において、1つ以上のグリッド領域の画像(「顕微鏡写真」とも呼ばれる)が取得され、206において、特定のグリッド領域が選択される。
図2に示すように、画像部分208、210は、グリッド202の孔に対応する。212において、画像の最終部分または一連の画像の対応する部分が選択される。場合によっては、明らかな焦点ずれ、大部分の氷の汚染、または、炭素支持体の画像のみを含み且つ孔領域は含まないことに起因して顕微鏡写真が選択されない。完璧な粒子精選アプローチでは、顕微鏡写真の手動選択は、不要とすることができる。一連の画像が使用される場合、214において、個々の画像が互いに位置合わせされ、ドリフト(試料の動き)の影響を低減する。画像コントラストは、例えば、画像取得に関連付けられたコントラスト伝達関数を使用して216において調整されることができ、218において、さらなる調査のために1つ以上の顕微鏡写真が選択される。場合によっては、過度のドリフトや低解像度を示す画像、または過度の氷の厚さに関連付けられた画像は拒絶される。選択された画像220は、222において、本明細書で説明されるように選択およびトレーニングされた適切なニューラルネットワークを用いて処理される。粒子画像は、3次元粒子形状の2次元への投影であり、粒子は、一般に互いに位置合わせされていないことから、粒子画像は、同様に位置合わせされず、224において、粒子画像は、配向に基づいて位置合わせおよび分類される。次に、結果の粒子画像が226においてトレーニングセットに追加され、代替ニューラルネットワークのトレーニングに使用することができ、または、優先ニューラルネットワークの一部もしくは全ての層、または利用可能なネットワークセットの一部もしくは全てのニューラルネットワークに追加トレーニングを提供することができる。典型的な例では、選択された粒子画像は、230において、3次元構造判定のために通信される。
【0019】
実施例3
図3を参照すると、特定のタイプの粒子を選択する方法300は、302において、1つ以上の粒子サンプルを電子ビームに曝露することと、304において、関連画像を取得することとを備える。306において、コントラスト伝達関数補正が画像に適用され、一連の画像からの画像フレームが位置合わせされて合成される。308において、さらなる処理のためにいくつかの画像(顕微鏡写真)が選択される。310において、複数のCNNが選択された画像に適用されて、粒子画像を精選および分類し、粒子配列を示す。312において、共通のタイプおよび配列の粒子の平均粒子画像が表示されることができる。314において、好ましい粒子タイプの最終粒子セットが選択され、316において、選択された粒子画像の一部または全てが使用され、粒子構造を推定することができる。
【0020】
314において最終粒子セットを選択すると、選択された粒子セットが使用され、粒子選択に使用されるニューラルネットワークを改良したり、他のニューラルネットワークをトレーニングもしくは改訂したりすることができる。320において、最終粒子セットがトレーニングセットに追加されるべきか含まれるかが判定される。そうである場合、322において、1つ以上のニューラルネットワークが最終粒子セットに基づいて再トレーニングまたは改訂されるべきかどうかが判定されることができる。その場合、1つ以上のニューラルネットワークが324において改訂される。CNNの改訂後、またはトレーニングセットの更新に最終粒子セットが使用されず、CNNが改訂されない場合、302において、追加の粒子サンプルが曝露されることができる。さらに、改訂されたCNNが適用され、以前に選択された粒子を再精選することができる。少ないセットの例に基づいて、粒子の精選中に再トレーニングが開始されることができる。1つのCNNが優れた選択肢であると思われる場合、このCNNは、再トレーニングされることができるが、他のCNN(後で使用されることがない)は、トレーニングされることができない。いくつかの例では、一連のCNNが再トレーニングされ、更新されたトレーニングセットを考慮して上位CNNが選択される。
【0021】
実施例4
図4を参照すると、好ましいタイプの粒子の選択のために電子顕微鏡画像を処理するための代表的なニューラルネットワーク400は、N層402
1、・・・、402
Nを備え、Nは正の整数である。典型的な実際の例では、Nは、3、5、10、15またはそれ以上である。ニューラルネットワーク400の層404
1の初期セットは、典型的には、層402
1、402
2などの1つ、2つ、またはそれ以上の畳み込み層(陰影なしのボックスとして示される)と、追加層402
3とを含み、最終セットの層404
3は、層402
N-1、402
N(陰影付きのボックスとして示される)を含み、中間層404
2は、層402
K-1、402
Kなどの層を含み、Kは、N未満の正の整数である。これらの層グループのいずれも、任意の層タイプの層を多かれ少なかれ含むことができる。最終層402
Nは、典型的には、完全に接続された層であり、粒子画像が選択された粒子タイプに関連付けられているか否かを示すために分類層と呼ばれる。通常、1つ以上の初期層は、畳み込み層であるが、様々な層タイプ、アクティベーション関数、および重み値のいずれかが使用されることができる。特定のニューラルネットワークのトレーニングは、バックプロパゲーション法に基づくことができる。いくつかの例では、特定のトレーニングされたニューラルネットワークは、粒子精選のために選択され、関心のある粒子タイプに関連付けられた追加画像に基づいて再トレーニングされる。これは、粒子精選に使用される初期ニューラルネットワークが他の粒子タイプの粒子データを使用してトレーニングされている場合に特に有用であり得る。関心のある粒子タイプの追加データが選択されると、そのようなニューラルネットワークは、より良好に調整されることができる。さらに、場合によっては、そのようなニューラルネットワークの選択された層のみが再トレーニングされる。例えば、設定404
1、404
2、404
3の一部もしくは全て、または他の層または層のセットが再トレーニングされることができる。
【0022】
実施例5
図5は、粒子選択のためのCNNを選択、管理、および更新するための例示的なユーザインターフェース510のスクリーンショット500を示している。示されている例では、CNNのライブラリからのCNNが評価されることをユーザが示すためのチェックボックス514が設けられている。CNNライブラリは、ユーザがコンピュータマウスまたはタッチスクリーンなどのポインティングデバイスを使用して評価のために一部または全てを選択することができるようにボックス516に表示されることができる。他の選択肢では、評価のために追加のCNNの検索を開始するためのチェックボックス518が設けられる。選択された場合、ユーザインターフェース510の追加部分は、検索場所、期間、またはその他の検索属性を示すことができる。特定の粒子の構造に基づくモデリングを介して追加のトレーニングデータを生成するために、チェックボックス520が設けられる。取得またはモデル化された結果によるトレーニングセットの更新を許可するために、チェックボックス522が設けられる。変更は、それぞれ、選択ボタン530、532を使用して確認または破棄されることができ、選択ボタン534によって追加のトレーニング用に1つ以上のCNNが選択されることができる。上述したように、1つ以上のCNNが再トレーニングされることができ、1つ以上のCNN層が再トレーニングに使用するために選択されることができる。個々の粒子の注釈もまた追加されることができ、選択ボタン535は、注釈を許可し、再トレーニングに使用される分類や重みなどの粒子特性を表示することができるユーザインターフェースへのアクセスを提供する。粒子注釈が使用され、誤って選択された粒子または優先粒子の選択を文書化することができる。
【0023】
実施例6
図6および以下の説明は、開示された技術が実装されることができる例示的なコンピューティング環境の簡潔で一般的な説明を提供することを意図している。必須ではないが、開示された技術は、パーソナルコンピュータ(PC)によって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで記述される。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するまたは特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、開示された技術は、携帯デバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサまたはプログラム可能な消費者電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む他のコンピュータシステム構成で実施することができる。開示された技術はまた、タスクが通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによって実行される分散型コンピュータ環境においても実行することができる。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶デバイスの両方に位置することができる。他の例では、処理は、FPGAまたはその他のプログラム可能もしくは専用プロセッサに基づいている。
【0024】
図6を参照すると、開示された技術を実施する例示的なシステムは、1つ以上の処理ユニット602、システムメモリ604およびシステムメモリ604を含む様々なシステムコンポーネントと1つ以上の処理ユニット602を連結するシステムバス606を含み、例示的な汎用PC600の形態である、一般的な目的のコンピュータデバイスを含む。システムバス606は、任意のバスアーキテクチャを利用した、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスを含む数種のバス構造物のどれであってもよい。例示的なシステムメモリ604は、読取専用メモリ(ROM)608およびランダムアクセスメモリ(RAM)610を含む。ROM608には、PC600内の要素間の情報の転送を助ける基本ルーチンを包有する基本入出力システム(BIOS)612が記憶されている。システムメモリ604は、それぞれ、CNNライブラリ、トレーニング手順、およびトレーニングセットの記憶のための部分610A、601B、610Cを含むことができる。あるいは、これらの一部または全ては、リモートコンピュータから取得されることができる。
【0025】
例示的なPC600は、さらに、ハードディスクから読み書きするためのハードディスクドライブ、取り外し可能な磁気ディスクから読み書きするための磁気ディスクドライブ、および取り外し可能な光ディスク(CD-ROMや他の光媒体など)から読み書きするための光ディスクドライブなどの1つ以上の記憶装置630を含む。このような記憶装置は、それぞれ、ハードディスクドライブインターフェース、磁気ディスクドライブインターフェース、および光学ドライブインターフェースによってシステムバス606に接続することができる。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、PC600用のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性記憶を提供する。他のコンピュータ可読媒体は、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、CD、DVD、RAM、ROMなどのような、PCによってアクセス可能なデータを記憶することができ、例示的な動作環境において使用が可能である。
【0026】
複数のプログラムモジュールは、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータを含む記憶装置630に記憶されることができる。ユーザは、キーボードおよびマウスなどのポインティングデバイスなどの1つ以上の入力装置640を介して、コマンドおよび情報をPC600に入力することができる。他の入力装置は、デジタルカメラ、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信機、スキャナなどを含むことができる。これらおよび他の入力装置は、しばしば、システムバス606に連結されるシリアルポートインターフェースを介して1つ以上の処理ユニット602に接続されるが、パラレルポート、ゲームポート、またはユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェースによって接続されてもよい。モニタ646または他のタイプのディスプレイ装置もまた、ビデオアダプタなどのインターフェースを介してシステムバス606に接続されている。スピーカおよびプリンタ(図示せず)などの他の周辺出力装置が含められてもよい。
【0027】
PC600は、リモートコンピュータ660などの1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク環境で動作することができる。いくつかの例では、1つ以上のネットワークまたは通信接続部650が含まれる。リモートコンピュータ660は、他のPC、サーバ、ルータ、ネットワークPC、またはピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードであってもよく、典型的には、PC600に関して上述した要素の多くまたは全てを含むが、
図6には記憶装置662のみ図示されている。パーソナルコンピュータ600および、またはリモートコンピュータ660は、論理ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)に接続することができる。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットでは通常である。
【0028】
LANネットワーキング環境において使用される場合、PC600は、ネットワークインターフェースを介してLANに接続される。WANネットワーキング環境において使用される場合、PC600は、通常、インターネットなどのWANを介した通信を確立するためのモデムまたは他の手段を含む。ネットワーク環境では、パーソナルコンピュータ600に関連して示されたプログラムモジュールまたはその一部は、リモートメモリ記憶装置またはLANもしくはWAN上の他の場所に記憶されてもよい。示されているネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段が使用されてもよい。
【0029】
実施例7
図7を参照すると、特定のタイプの粒子を精選するためのニューラルネットワークを提供する方法700は、702において、特定の粒子タイプに基づいてトレーニングされる必要のない1つ以上のCNNを取得することを含む。特定の粒子タイプに関連付けられた粒子画像のセットの処理に基づいて、ライブラリCNNの1つ(または複数)が704として選択されることができる。CNNライブラリまたはライブラリサーバ706は、候補CNNをローカルに記憶するかまたはネットワークを介して候補CNNを検索するように構成されることができる。708において取得した顕微鏡写真から粒子が選択され、必要に応じて、選択された粒子は、メモリ712に記憶されている更新されたトレーニングセットに追加されることができる。場合によっては、更新されたトレーニングセットは、粒子を含む画像(TEM顕微鏡写真など)の取得に使用される撮像システムから離れている。あるいは、粒子モデリングが使用され、顕微鏡写真を取得するために使用されるTEMからローカルまたはリモートとすることができるサーバ/メモリ714を使用して追加のトレーニングセットデータを生成することができる。更新されたCNNまたはCNNの更新された選択が716において意図される場合、716において更新されたトレーニングセットおよび/またはモデルデータが使用される。選択された粒子を使用したトレーニングに基づく更新されたCNN(または新たに選択されたCNN)は、以前に使用された顕微鏡写真だけでなく、以前に検査されていない顕微鏡写真の評価にも使用されることができる。方法700は、追加の顕微鏡写真の評価中に実行されることができ、利用可能になり次第、更新が使用されることができる。
【0030】
実施例8
図8を参照すると、代表的な方法800は、802としてTEM顕微鏡写真を取得すること、および804として顕微鏡写真から粒子画像を選択することを含む。粒子画像は、必要に応じて、CNN、他のNN、または他の機械学習方法によって選択されることができる。806において、選択された粒子画像は、例えば、CNN、他のNN、または他の機械学習方法によって処理され、「良好な」粒子を選択する、すなわち、804において取得されたものよりも優れた粒子セットを提供する。804、806において使用されるCNNまたは他のアプローチは、同じであっても異なっていてもよい。810において、選択された粒子画像は、配向に基づいて分類され、812において、3D再構成のために提供される。3D再構成が使用され、814において、トレーニングセットとして使用されることができるまたは818においてCNNトレーニングのトレーニングセットに追加されることができる追加の2D投影を提供することができる。さらに、806における良好な粒子選択の後、816において、選択された粒子の一部または全てが、トレーニングセットに追加するためにまたはトレーニングセットを形成するために、ユーザによって識別されることができる。810における分類後、共通の分類を有する粒子は、811において、合成されるかまたはユーザ補正が適用され、合成粒子は、818においてCNNトレーニング用に提供される。
図8に示すように、複数のトレーニングされたCNNが提供されることができる。これらのCNNの一部または全ては、追加の粒子データまたはモデルデータが利用可能になると評価されることができ、これらのCNNの一部または全て(選択されていないものも含む)は、追加の粒子またはモデルデータを使用して再トレーニングされることができる。追加の顕微鏡写真が処理されているときに、少なくともステップ811、814、816は、「オンザフライ」で実行されることができる。いくつかの代替例では、815において、調査中のものと同様の粒子の構造が選択されることができ、814において、1つ以上の選択された「類似」に基づく人工的な例が使用され、人工的な例(2D投影)を生成することができる。
【0031】
図8を参照して上述したように、粒子画像は、TEM顕微鏡写真または他の2次元画像から選択され、示されるように処理されることができる。しかしながら、粒子画像はまた、電子トモグラフィ画像または処理用の他の3D画像などの3D画像の一部として選択されることもできる。3D画像部分の場合、810において、2D分類の代わりに配向に基づく3D分類が使用され、812における3D再構成は不要である。
【0032】
実施例9
図9を参照すると、方法900は、902において、1組の顕微鏡写真または他の画像904から1つ以上の顕微鏡写真または他の画像を取得することを含む。906において、粒子画像のサブセットが、画像部分から粒子画像を優先的に識別するために選択されるニューラルネットワークによって抽出される。単一の顕微鏡写真または複数の顕微鏡写真から複数の粒子画像が取得されることができる。806において使用されるニューラルネットワークは、他のタイプの粒子の粒子データによってトレーニングされるか、他の方法でトレーニングされることができ、調査のために選択された粒子タイプの粒子画像なしでトレーニングが行われたことに注意するために部分的にトレーニングされたと見なされることができる。908において、抽出された粒子画像は、例えば粒子の向きに基づいて分類され、同様の粒子画像のグループを生成することができる。通常、顕微鏡写真の粒子の配向は制御されておらず、粒子画像の位置合わせは、その後の構造判定を改善することができる。抽出された粒子画像は、2つ以上の配向グループ、または他の粒子特性に基づくグループに関連付けられることができる。例えば、顕微鏡写真または他の画像904のセットが複数の粒子タイプに関連付けられている場合、複数の粒子タイプおよび配向に対応するグループ(および配向サブグループ)が形成されることができる。
【0033】
910において、抽出、分類およびグループ化された粒子画像が使用されて粒子の3D再構成を生成することができ、911において、3D再構成を使用して粒子の1つ以上の2D投影が形成される。これらの2D投影は、906において粒子画像を抽出する際に使用されるニューラルネットワークを再トレーニングするために使用されることができる粒子画像に対応する。さらに、912において、粒子構造のモデルに基づいて追加の粒子画像が生成されることができる。そのような粒子画像は、顕微鏡写真または他の粒子測定から得られた粒子画像と区別するために「合成」と呼ばれる。
【0034】
914において、分類された粒子画像、2D再構成、または合成粒子画像のいずれかに注釈が付けられたり、スコアリングされたりまたは重み付けされたりすることができる。例えば、粒子画像は、関心のある粒子に対応するものとして認められ、そのまま許容されるようにラベル付け/注釈付けされることができる一方で、他の粒子画像は、関心のある粒子に対応するものとして認められず、拒絶のために注釈付けされることができる。許容または拒絶で示された粒子画像は、922において、追加のニューラルネットワークのトレーニング/再トレーニングに使用されることができる。
図9に示すように、トレーニングセットは、916において、分類された粒子画像および分類された粒子画像のグループに基づいて、注釈、スコア、または重みを有してまたは有さずに更新されることができる。同様に、918において、注釈、スコア、または重みを有するまたは有しない2D投影に基づく粒子画像が使用され、トレーニングセットを更新することができる。920において、合成画像が使用され、注釈、スコア、または重みを有してまたは有さずにトレーニングセットを更新することができる。
図9に示すように、これらのトレーニングセットの更新は、並行して、連続して、または同時にまたは他の方法で実行されることができる。一例では、追加の粒子画像または関連付けられた注釈、スコア、または重みが利用可能になると、トレーニングセットがすぐに更新される。通常、そのような更新は、更新の各々またはグループが利用可能になると自動的に生成される。916、918、920で示される1つ以上の更新は、自動化されるか、すぐに実行されるか、または複数の更新が利用可能になるとバッチモードで使用されることができる。ニューラルネットワークの再トレーニング(またはニューラルネットワークの選択)は、自動とすることができるか、即時とすることができるか、または複数の更新もしくは更新のバッチが利用可能になるまで遅延させることができる。典型的な例では、1つ以上の更新に応じて、922においてニューラルネットワークが自動的に再トレーニングされる。好ましい例では、トレーニングセットの更新に応じて、実質的に即座に再トレーニングが行われる。通常、トレーニングセットに追加(または削除)が行われると、906において使用されるニューラルネットワークが粒子画像処理中に繰り返し更新されるように、再トレーニングが開始される。いくつかの例では、一部または全てのニューラルネットワークの更新の開始に関連して、930において一連の選択肢から適切なニューラルネットワークが選択されることができる。したがって、必要に応じて、ニューラルネットワークは、置き換えられることができる。
【0035】
いくつかの例では、1つ以上の顕微鏡写真または1つ以上の粒子画像のセットは、粒子選択に使用されるニューラルネットワークがトレーニングセットに対する更新に基づく再トレーニングによって洗練されるにつれて、繰り返し処理される。各粒子画像または選択された粒子画像が共通のニューラルネットワーク構成によって処理されることができるが、異なるトレーニングセットを考慮して変更されるように、反復は自動とすることができる。反復処理は、必要に応じて、所定の時間または時間間隔で停止または実行されることもできる。
【0036】
粒子選択に関連付けられた3D画像部分も処理されることができる。例えば、電子トモグラフィ画像によって作成された画像が使用されることができ、粒子に関連付けられた部分が選択されることができる。処理される画像部分は3D部分であるため、910における3D再構成は不要であり、処理が3D画像部分に基づいているため、911において形成されるような2D投影は、通常使用されない。ニューラルネットワークのトレーニングおよびトレーニングセットもまた、3D画像を使用する。
【0037】
実施例10
前述の例は、2次元画像に基づいているが、
図10に示すように、ボリューム(すなわち、3次元)画像は、同様に処理されて、粒子を選択し、および/または構造を推定することができる。
図10を参照すると、方法1000は、1002においてTEM画像の傾斜シリーズを取得することを含む。1004において、画像の傾斜シリーズは、位置合わせされて処理され、トモグラフィ再構成を生成する。傾斜シリーズの位置合わせは、通常、軸を中心に試料を傾斜させることによって合成される投影が取得される透過電子トモグラフィに関連付けられる。正確なトモグラフィ再構成のために、傾斜軸に対する傾斜角度が使用され、傾斜シリーズの位置合わせにおいていかなる配向の変化も補償または除去される必要がある。
【0038】
1006において、1つ以上のニューラルネットワークが使用され、調査対象の粒子に関連付けられたトモグラフィ画像部分を選択する。1007において、1012における追加のCNNトレーニングにおいて使用するために、これらの粒子の一部もしくは全てが選択されることができるか、またはいずれも選択されることができない。関連付けられた画像部分を使用して、1つ以上のCNNがトレーニングまたは再トレーニングされることができる。1008において、トモグラフィ画像部分が分類および位置合わせされ、1012における追加のCNNトレーニングにおいて使用するために、これらの画像部分の一部もしくは全てが提供されることができるか、またはいずれも提供されることができない。1010において、分類および位置合わせされた画像部分が使用され、アーチファクトが補正された3D再構成を生成する。通常、ブラインド領域または「ウェッジの欠落」による影響は補償される。1016において、再構成が使用され、1012におけるCNNトレーニングにおいて使用するための人工的な例を生成することができる。1006において使用される1つ以上のCNNは、1018において以前にトレーニングされたCNNのセットから提供されることができる。上述したように、事前のCNNトレーニングは、他のタイプの粒子に関連付けられた画像部分に基づくことができるが、関心のある粒子と同様であるように見えることがある。
【0039】
例示された実施形態は、本開示の原理から逸脱することなく、配置および詳細において変更され得ることが認識されるであろう。例えば、ソフトウェアにおいて示された例示された実施形態の要素は、ハードウェアで実装されてもよく、逆もまた同様である。また、任意の例の技術は、他の例の1つ以上で説明されている技術と組み合わせることができる。したがって、添付の特許請求の範囲および精神に含まれる全ての主題を発明として主張する。
【符号の説明】
【0040】
100 システム
102 撮像システム
104 プロセッサ
106 ローカルもしくはワイドエリアネットワーク
108 リモートCNNライブラリ
110、114 コンピュータ可読媒体、メモリ
112 ローカルCNNライブラリ
120 リモート構造プロセッサ
202 TEMグリッド
208、210 画像部分
200 ワークフロー
202 TEMグリッド
208 画像部分
210 画像部分
220 画像
400 ニューラルネットワーク
4021、・・・、402N、4041、4042、4043 層
500 スクリーンショット
510 ユーザインターフェース
514、518、520、522 チェックボックス
516 ボックス
530、532、534、535 選択ボタン
600 汎用PC
602 処理ユニット
604 システムメモリ
606 システムバス
608 ROM
610 RAM
610A、601B、610C 部分
612 BIOS
630、662 記憶装置
640 入力装置
646 モニタ
650 通信接続部
660 リモートコンピュータ
706 CNNライブラリまたはライブラリサーバ
712 メモリ
714 サーバ/メモリ
904 画像