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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-08
(45)【発行日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ホイップドクリーム
(51)【国際特許分類】
   A23C 13/12 20060101AFI20230309BHJP
   A23C 11/02 20060101ALI20230309BHJP
   A23L 9/20 20160101ALI20230309BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20230309BHJP
   A23L 29/10 20160101ALI20230309BHJP
【FI】
A23C13/12
A23C11/02
A23L9/20
A23D7/00 508
A23L29/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022531811
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022551
(87)【国際公開番号】W WO2021256431
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020102915
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020198609
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 世里子
(72)【発明者】
【氏名】小笠 勇馬
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 明
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-213328(JP,A)
【文献】特開2010-187584(JP,A)
【文献】特開2001-258473(JP,A)
【文献】特開2016-146828(JP,A)
【文献】特開2008-154469(JP,A)
【文献】特開昭61-149064(JP,A)
【文献】特開2016-171764(JP,A)
【文献】特開昭63-022143(JP,A)
【文献】特開昭62-022142(JP,A)
【文献】特開昭60-203139(JP,A)
【文献】特開昭63-157951(JP,A)
【文献】特開平03-094638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
A21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂および210650質量ppmのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、水中油型である、ホイップクリームまたはホイップドクリームであって、
前記油脂100質量部に対して前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.0500.16質量部含み、pHが5.5~7.5である、ホイップクリームまたはホイップドクリーム(ただし、酵素処理タマリンドシードガムを含む態様、カピリンを含む態様、水相に、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含む態様、食用の水中油型乳化物であって、乳清蛋白、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びカラギーナンを含有することを特徴とする水中油型乳化物含む態様を除く)。
【請求項2】
リン脂質を含む、請求項1に記載の、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
【請求項3】
前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分の平均重合度が、2~10である、請求項1または2に記載の、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
【請求項4】
乳脂肪を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の、ホイップクリームまたはホイップドクリームを含む飲食品。
【請求項6】
210650質量ppmのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有させる、水中油型であり、油脂100質量部に対して前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.050~0.16質量部含み、pHが5.5~7.5である、ホイップクリームまたはホイップドクリームの口に含んだ後の風味を持続する方法(ただし、ホイップクリームまたはホイップドクリームは、酵素処理タマリンドシードガムを含む態様、カピリンを含む態様、水相に、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含む態様、食用の水中油型乳化物であって、乳清蛋白、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びカラギーナンを含有することを特徴とする水中油型乳化物を含む態様、を除く)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有するホイップクリームおよびホイップドクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイップドクリームは、ケーキやパンなどのベーカリー食品への、ナッペ、サンド、トッピング、ディップなどの用途に使われてきた。ホイップドクリームに含まれる油脂は、生クリームの場合は乳脂である。しかし、生クリームは、高価であり、また、ホイップ時の終点幅が短いので、取扱が難しい。そこで、植物性油脂を主原料とする植物性クリームが開発されてきた。また、植物性クリームに生クリームの風味を補うため、乳脂と植物性油脂とを含有する、コンパウンドタイプのクリームも開発されてきた。
【0003】
植物性クリームやコンパウンドクリームの開発における主要な課題の1つは、乳風味の強化である。そして、植物性クリームやコンパウンドクリームの乳風味を強化する各種提案がなされてきた。例えば、特許文献1は、一定量以上のカリウム含量とし、且つ、蛋白質/カリウムの値を一定範囲とする濃厚でありながらすっきりした乳風味を有する加糖ホイップクリームを開示する。また、特許文献2は、乳に由来する蛋白を0.5~3重量%含有し、遠心分離した水相部に含まれるカルシウムイオンが30~100mg/100gに調整された、油脂含量15~50重量%の起泡性水中油型乳化物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-184637号公報
【文献】WO2010-084541
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記提案は、関与成分の含有量や比率を細かく調整するものであり、簡易に採用できるものではなかった。
【0006】
本開示の課題は、ホイップクリームまたはホイップドクリームの風味を強化する簡易な方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、ホイップドクリームにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有させることにより、ホイップドクリームを口に含んだ後の風味の持続性が向上することを見出した。ホイップドクリームを口に含んだ後の風味の持続性が向上することにより、ホイップドクリームの風味がより豊かに感じられる(強化されて感じられる)。これにより本開示は完成された。すなわち、本開示は以下の態様であり得る。
【0008】
[1]5~5500質量ppmのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有する、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
[2]油脂100質量部に対してポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.001~2質量部含む、[1]のホイップクリームまたはホイップドクリーム。
[3]前記ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分の平均重合度が、2~10である、[1]または[2]の、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
[4]乳脂肪を含む、[1]~[3]の何れか1つの、ホイップクリームまたはホイップドクリーム。
[5][1]~[4]の何れか1つの、ホイップクリームまたはホイップドクリームを含む飲食品。
[6]ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有させる、ホイップクリームまたはホイップドクリームの風味を持続する方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、ホイップクリームまたはホイップドクリームの風味を持続させる方法を提供することができる。また、本開示により、風味の持続性が向上したホイップクリームまたはホイップドクリームを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示について詳細に例示説明する。なお、本開示において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。なお、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。
【0011】
本開示において、クリームは、生クリーム、および生クリームに準じて使用される油脂組成物、例えば植物性クリーム、コンパウンドクリームなどの総称である。すなわち、本開示において、クリームは、生クリームおよびその代替油脂組成物を示す用語であり、いずれも乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)において定義されるクリームに限定されるものではなく、乳主原表示の全乳脂クリーム、植物性クリーム、コンパウンドクリームなどを包含する。
【0012】
本開示において、ホイップクリーム(起泡性乳化物)は、ホイップ(起泡化、含気泡化)できるクリームである。本開示において、ホイップドクリームは、ホイップされた(含気泡状態にある)クリームである。本開示のホイップクリームは、水を最外相とする、水中油型(O/W型)または水中油中水型(W/O/W型)であり得る。しかし、水中油中水型(W/O/W型)を形成するには比較的多量のPGPRが必要とされ、PGPRの異味が感じられる可能性があるため、本開示のホイップクリームは、好ましくは起泡性水中油型乳化物である。
【0013】
本開示において、ホイップクリームおよびホイップドクリームの風味は、ホイップクリームまたはホイップドクリームを食したときに感じられる風味を意味する。例えば、多くの場合、ホイップクリームおよびホイップドクリームは。乳風味、バニラ風味、ヨーグルト風味、カスタード風味、チョコレート風味、抹茶風味など、多くの人が食経験上思い浮かべることができる風味を有する。それゆえ、それらの風味で、ホイップクリームおよびホイップドクリームの風味は代表され得る。本開示の一態様によれば、ホイップクリームおよびホイップドクリームは、好ましくは、乳風味、バニラ風味、カスタード風味から選ばれる1種以上の風味を有する。
【0014】
本開示のホイップクリームは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(以下、PGPRと表記することがある)を含有する。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの製造方法は公知であり、例えば、主にヒマシ油から得られるリシノレイン酸とポリグリセリンとのエステル化反応により得られる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分は、重合したグリセリンの数(重合度)が異なる複数のポリグリセリンの混合物であり、平均重合度で表記され得る。ポリグリセリンの平均重合度は、例えば、混合物の水酸基価から算出できる。本開示のホイップクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのポリグリセリン部分の平均重合度は、好ましくは2~10程度であり、より好ましくは2~8程度であり、さらに好ましくは3~6程度である。
【0015】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSYグリスターCR-310、CR-500、CR-ED、CRS-75など、太陽化学株式会社製のサンソフトNo.818DG、818R、818SK、818Hなど、理研ビタミン株式会社製のポエムPR-300など、が適宜使用できる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、2種以上を併用してもよい。
【0016】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームに含まれるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、5~5500質量ppm(0.0005~0.55質量%)であり、好ましくは15~3000質量ppmであり、より好ましくは30~1200質量ppmであり、さらに好ましくは120~900質量ppmであり、ことさらに好ましくは200~850質量ppmであり、なお一層好ましくは300~800質量ppmであり、最も好ましくは550~800質量ppmである。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が上記範囲程度であると、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの異味はほとんど感じられない。そして、ホイップクリームまたはホイップドクリームとして口に含んだ後の風味の持続性が良好である。
【0017】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、ホイップクリームに含まれる油脂の含有量を100質量部とした場合のポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量の割合が、好ましくは0.001~1.5質量部であり、より好ましくは0.01~1質量部であり、さらに好ましくは0.09~0.3質量部であり、ことさらに好ましくは0.12~0.23質量部であり、最も好ましくは0.14~0.22質量部である。ホイップクリームに含まれる油脂の含有量とPGPRの含有量との割合が、上記範囲程度であると、ホイップクリームまたはホイップドクリームとして口に含んだ後の風味の持続性が良好である。
【0018】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、リン脂質を含み得る。ホイップクリームに含まれるリン脂質は、特に限定されない。しかし、実用上は、レシチンに含まれるリン脂質が適用できる。レシチンは、動植物界に広く存在する界面活性能を有する数種のリン脂質の混合物である。レシチンは、工業的には、大豆あるいは菜種などの油糧種子、または、卵黄などの動物原料から得られる。例えば、大豆レシチンには、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノ-ルアミン、ホスファチジルイノシト-ル、およびホスファチジルセリンなどのリン脂質が混合状態で含まれている。また、市販のレシチンとしては、一般的な粗製レシチン以外にも、これを脱油して得られる精製粉末レシチン、レシチンの成分を分画して得られる分画レシチン、レシチンに酵素を作用させて得られる酵素処理レシチン、あるいはレシチンを水素添加して得られる水素添加レシチンなども使用できる。
【0019】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームにリン脂質としてレシチンを使用する場合、レシチンに含まれるリン脂質含有量は、例えば、アセトン不溶物含有量として求めることができる。レシチンのアセトン不溶物含量は、例えば、次のようにして求められる。試料2gをビーカーに計りとり、氷冷したアセトン300ミリリットルを加え、十分攪拌して30分間放置する。上澄み液を質量既知のガラス濾過器で吸引ろ過し、さらに氷冷したアセトン30ミリリットルで3回不溶物を洗浄して、不溶物の全量をガラス濾過器に移し入れる。ガラス濾過器に氷冷したアセトンを満たし、吸引した後、ガラス濾過機を減圧下で乾燥させ、質量を測定する。ガラス濾過機の質量の増加分が、アセトン不溶物の質量である。(不溶物の質量/試料採取量)×100がアセトン不溶物(質量%)となる。例えば、粗製大豆レシチンのアセトン不溶物含有量は、約60~65質量%である。また、リン脂質の含有量は、高周波プラズマ発光分光法などによりリンの含有量を測定し、25を乗じてもよい。
【0020】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームに含まれるリン脂質の含有量は、好ましくは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量との合計が6000質量ppm以下となるように調整される。ホイップクリームに含まれるリン脂質とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの合計含有量は、好ましくは、5000質量ppm以下、4000質量ppm以下、3000質量ppm以下、2500質量ppm以下、2000ppm以下、であり得る。ホイップクリームに含まれるリン脂質とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの合計含有量の下限は、500質量ppm以上、800ppm以上、1000ppm以上、1200ppm以上、であり得る。ホイップクリームに含まれるリン脂質とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの合計含有量の上限値と下限値とは、任意に組み合わせてもよい。ホイップクリームに含まれるリン脂質とポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとの合計含有量が上記範囲程度であると、ホイップクリームを起泡化しやすい。
【0021】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、油脂を、好ましくは15~55質量%、より好ましくは22~50質量%、さらに好ましくは27~49質量%、ことさら好ましくは29~48質量%、最も好ましくは31~47質量%含み得る。ホイップクリームに含まれる油脂は、油脂として配合されるもの以外に、原材料に含まれる油脂も含める。例えば、原材料の一部に全脂粉乳が含まれる場合、全脂粉乳に含まれる油脂(乳脂)も、ホイップクリームに含まれる油脂に含める。ホイップクリームは、適量の油脂を含有することで、風味を持続し易い。ホイップクリームに含まれる油脂の含有量(油分)の測定は、ソックスレー抽出法など、従来公知の方法を適用できる。
【0022】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、油脂として植物油脂のみを含有する植物性クリームであり得る。植物油脂は食用に適する限り特に限定されない。植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、およびそれら分別油、硬化油、エステル交換油などが挙げられる。植物油脂は、1種単独で、あるいは2種以上で使用され得る。ホイップクリームに含まれる植物油脂は、油脂を構成する脂肪酸の全量中にラウリン酸を、好ましくは、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、含有し得る。ホイップクリームに含まれる植物油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量の上限は特に限定されない。しかし、好ましくは、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、であり得る。ホイップクリームに含まれる植物油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量の下限と上限は、任意に組み合わせ得る。ホイップクリームに含まれる植物油脂の構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が上記程度であると、ホイップクリームまたはホイップドクリームとして口に含んだ後の風味の持続性が良好である。
【0023】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、乳脂肪(乳脂)を含むコンパウンドクリームであり得る。ホイップクリームに含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量は、好ましくは0.5~60質量%であり、より好ましくは2~40質量%であり、さらに好ましくは4~24質量%である。ホイップクリームに含まれる乳脂肪は、牛、ヤギ、馬などの乳に含まれる油脂であり、好ましくは牛の乳に含まれる油脂である。ホイップクリームに含まれる乳脂肪は、バター、バターオイル、バターオイル分別油、生クリーム、牛乳、濃縮乳、練乳、チーズ、全脂粉乳など、およびそれらの発酵物など、に含まれる形で存在し得る。
【0024】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、水を、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%、さらに好ましくは40~70質量%、ことさら好ましくは45~65質量%含み得る。ホイップクリームに含まれる水は、水として配合されるもの以外に、原材料に含まれる水も含める。例えば、原材料の一部に、水飴が含まれる場合、水飴に含まれる水も、ホイップクリームに含まれる水に含める。また、ホイップクリームに使用(配合)される水は、飲食用に適すれば特に限定されない。水は、例えば、水道水、蒸留水、ミネラルウオーターなどが使用できる。ホイップクリームに含まれる水の含有量(水分)の測定は、常圧加熱乾燥法、カールフィッシャー法など、従来公知の方法を適用できる。
【0025】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームのpHは好ましくは中性である。すなわち、ホイップクリームのpHは、好ましくは5~8程度であり、より好ましくは5.5~7.5程度であり、さらに好ましくは6~7程度である。ホイップクリームのpHが上記範囲程度であると、酸味が立たないので、ホイップクリームまたはホイップドクリームとして口に含んだ後の、乳風味、バニラ風味、カスタード風味などの風味の持続性が良好である。
【0026】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、油脂、水、以外にも、ホイップクリームに一般的に使用されるその他成分を含有してもよい。その他成分としては、例えば、呈味素材、甘味料、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤、安定剤、などが挙げられる。呈味素材としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、発酵乳、練乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、卵黄パウダー、加糖卵黄などの卵製品、ココアパウダー、カカオペースト、抹茶パウダー、イチゴパウダー、豆乳、ココナッツミルク、青汁など、各種の、種実類、果実類、豆類、ハーブ類、が挙げられる。甘味料としては、ショ糖(砂糖)、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、液糖、水あめ、キシリトール、エリスリトールなどの糖類および糖アルコール類、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ソーマチンなどの非糖質甘味料、が挙げられる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤としては、例えば、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリソルベートなどが挙げられる。安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムのようなガム類、コーンスターチ、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、微細セルロース、ゼラチン、寒天、ペクチンなどの他、リン酸塩のような塩類が挙げられる。これらのその他の成分は、一種類のみで使用してもよいし、二種類を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本開示のホイップクリームの製造方法は特に限定されない。ホイップクリームの製造には、従来公知の方法が適用できる。一例としては、油脂を融解し、油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて調製した水相も調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させる。この予備乳化物を均質化処理することにより、ホイップクリームが製造できる。また、必要に応じて殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよい。また、前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を適用してもよい。均質化処理の後は、好ましくは、冷却、エージングの工程が適用され得る。上記の、予備乳化、均質化、殺菌、冷却など各工程の、温度、圧力、時間などの条件は、従来公知の条件を適用できる。
【0028】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームの製造において、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGPR)は任意の工程において添加され得る。PGPRは、例えば、油相の調製時に、融解された油脂に油溶性のその他成分とともに溶解されてもよい。また、PGPRは、水相の調製時に、加温された水に分散されてもよい。また、PGPRは、均質化処理前の予備乳化物に添加されてもよい。しかし、PGPRは油溶性であるのため、好ましくは融解した油脂に添加溶解される。
【0029】
本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、植物油脂および/または乳脂肪を油相の油脂とする、PGPRを含む乳化物であり得る。また、本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、植物油脂と乳脂肪(バター、バターオイル、バターオイル分別油など)とを含む混合油脂を油相の油脂とする、PGPRを含む乳化物であり得る。また、本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、PGPRを含む植物性クリームと、PGPRを含まない生クリーム(含む濃縮乳)および/またはコンパウンドクリームおよび/または植物性クリームとを含む混合物であり得る。また、本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、PGPRを含むコンパウンドクリームと、PGPRを含まない生クリーム(含む濃縮乳)および/またはコンパウンドクリームおよび/または植物性クリームとを含む混合物であり得る。
【0030】
本開示のホイップドクリームは、起泡化された状態であることを除いては、本開示の上記ホイップクリームに準じる。すなわち、本開示のホイップドクリームに含有される、PGPRの性状および含有量、油脂や水の性状および含有量、その他の成分などは、本開示の上記ホイップクリームに準じる。しかし、本開示のホイップドクリームは、5~5500質量ppmのPGPRを含有する限り、その態様は限定されない。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、本開示のホイップクリームが起泡化されたものであり得る。また、本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有する(ホイップド)クリームとPGPRを含有しない(ホイップド)クリームとが混合されたホイップドクリームであり得る。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、ホイップクリームが起泡化される際に、PGPRが添加された、ホイップドクリームであり得る。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有するホイップクリームに、糖類などが混合された後、起泡化されたホイップドクリームであり得る。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、PGPRを含有する、起泡化されたホイップクリームと起泡化されないホイップクリームとの混合物、であり得る。
【0031】
本開示のホイップドクリームを得るために起泡化は、従来公知の方法が適用できる。例えば、ボウルに取ったホイップクリームを、ホイッパーを使って手でホイップしてもよいし、電動泡立て器を使ってホイップしてもよい。また、大容量ミキサーを使用してホイップしてもよい。ホイップドクリーム(ホイップクリーム)は、氷結晶がない状態で(フリーザーを使用しないで)起泡化され得る。ホイップドクリームのオーバーラン(起泡化の程度、含気量)は特に限定されない。ホイップドクリームの用途に応じて、適宜適当なオーバーランを設定すればよい。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームのオーバーランは、好ましくは100~180%であり、より好ましくは120~160%である。なお、ホイップドクリームのオーバーランは、ホイップクリームの増加体積の割合(%)であり、以下の数式(1)で表される。オーバーランの値が大きいほど、起泡化の度合いが大きい。オーバーランの測定は、好ましくは約5~約10℃(より好ましくは約7℃)の品温を有するホイップクリームを用いて、約20℃の環境下で行われてもよい。ホイップ終了後の温度は、約11~約15℃であり得る。
・オーバーラン(%)=[(定容積のホイップ前のクリーム質量-定容積のホイップ後のクリーム質量)/(定容積のホイップ後のクリーム質量)]×100 (1)
【0032】
本開示のホイップクリームまたはホイップドクリームは、製菓製パン用、調理用、飲料用など、従来のホイップクリームまたはホイップドクリームの用途に使用できる。本開示の一態様によれば、ホイップクリームは、コーヒーゼリー、ムースなどの上掛け用途にそのまま使用され、複合食品の一素材となり得る。本開示の一態様によれば、ホイップドクリームは、例えば、ケーキやパンなどのベーカリー食品への、ナッペ、サンド、トッピングなどの用途に使用され、複合食品の一素材となり得る。
【実施例
【0033】
以下、本開示を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本開示は以下の実施例の内容に限定して解釈されない。
【0034】
<乳化剤のスクリーニング>

(乳化剤の準備)
以下の乳化剤を準備した。

モノグリセリン脂肪酸エステル
・オレイン酸モノグリセリン(商品名:サンソフトO-30V、略称:O-30V、太陽化学株式会社製)

モノグリセリン有機酸エステル
・コハク酸オレイン酸モノグリセリン(商品名:サンソフトNo.683CB、略称:No.683CB、太陽化学株式会社製)
・クエン酸オレイン酸モノグリセリン(商品名:サンソフトNo.623M、略称:No.623M、太陽化学株式会社製)

ソルビタン脂肪酸エステル
・モノオレイン酸ソルビタン(商品名:サンソフトNo.81S、略称:No.81S、太陽化学株式会社製)

ショ糖脂肪酸エステル
・ショ糖エルカ酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルER-290、略称:ER-290、三菱ケミカルフーズ株式会社製)

プロピレングリコール脂肪酸エステル
・プロピレングリコールモノオレエート(商品名:サンソフトNo.25-ODV、略:No.25-ODV、太陽化学株式会社製)

ポリグリセリン脂肪酸エステル
・デカオレイン酸デカグリセリン(商品名:リョートーポリグリエステルO-50D、略称:O-50D、三菱ケミカルフーズ株式会社)
・デカオレイン酸デカグリセリン(商品名:サンソフトQ-1710U、略称:Q-1710U、太陽化学株式会社製)
・トリオレイン酸ペンタグリセリン(商品名:サンソフトA-173E、略称:A-173E、太陽化学株式会社製)
・モノオレイン酸ジグリセリン(商品名:サンソフトQ-17D:略称:Q-17D、太陽化学株式会社製)

ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
・ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:SYグリスターCRS-75、略称:CRS-75、阪本薬品工業株式会社製)
・ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:ポエムPR-300、略称:PR-300、理研ビタミン株式会社)
・ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818H、略称:818H、太陽化学株式会社製)
・ペンタグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818R、略称:818R、太陽化学株式会社製)
・テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818DG、略称:818DG、太陽化学株式会社製)
・トリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818JC、略称:818JC、太陽化学株式会社製)
【0035】
(乳化剤含有風味油脂の調製)
1L容のビーカーに各乳化剤を0.25gずつ量り取った。各ビーカーに、60℃に加温した、0.1質量%のバニラフレーバー(商品名:バニラオイルAB37260、小川香料株式会社製)を含むパーム中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製)を、総量が500gなるまで加え、評価用のサンプルとした。各評価用のサンプルは、各乳化剤を500質量ppm含有する。
【0036】
(乳化剤含有風味油脂の評価)
乳化剤を何も含まない0.1質量%のバニラフレーバーを含むパーム中融点画分を比較対照とした。以下の評価基準にしたがって、油脂を含む食品の風味評価に熟練したパネラー5名により、評価用サンプルを口に含んだ際の風味を評点した。評点の合計により、評価用サンプルを総合評価した。当該評価により、ホイップクリームまたはホイップドクリームにおける風味の持続性が推認できる。結果を表1に示した。

評価基準 評点
対照と比較してバニラ風味が強く持続する 2点
対照と比較してバニラ風味が持続する 1点
対照と変わらない 0点
対照よりもバニラ風味が弱く感じる -1点

総合評価
◎:8点以上 風味の持続性に非常に優れている
〇:5点以上7点以下 風味の持続性に優れている
△:2点以上4点以下 対照との差異が分かりにくい
×:1点以下 対照と差異がない
【0037】
【表1】
【0038】
<ホイップドクリームによる評価1>
(ホイップクリーム用油脂の調製)
表2の配合に従って、例1~7のホイップクリーム用油脂を調製した。すなわち、80質量部のパーム核硬化油(日清オイリオグループ株式会社製)と20質量部のパーム中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製)とを加温混合し、混合油脂(例1の油脂、構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸含有量37質量%)を調製した。2質量部のヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818H、略称:818H、太陽化学株式会社製)と98質量部の前記混合油脂とを加温混合し、2質量%濃度の818H含有ホイップクリーム用油脂を得た(例2の油脂)。前記例2のホイップクリーム用油脂を混合油脂で適宜希釈することにより、例3~7のホイップクリーム用油脂を調製した。
【0039】
【表2】

【0040】
(ホイップクリームおよびホイップドクリームの調製)
表3の配合に従って、例1~7のホイップクリーム用油脂を使用したホイップクリームを調製した。すなわち、以下の(1)~(4)の製造手順に従って調製した。調製したホイップクリームのpHは6.6であった。そして、調製した各ホイップクリームについて、100質量部のホイップクリームに対して7質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてオーバーラン160%までホイップすることにより、例8~14のホイップドクリームを調製した。調製したホイップドクリームは、風味評価まで7℃で保存した。

(1)水に、水以外の水相成分を混合し、70℃の水相を調製した。
(2)1~7の各油脂を含む油相を投入して撹拌乳化しながら、80℃まで昇温した。
(3)次いでホモゲナイザーを用いて微細均質化した。
(4)得られた乳化物を氷水に浸漬して冷却後、5℃で12時間以上静置した。
【0041】
【表3】

【0042】
(ホイップドクリームの風味評価)
例1のホイップクリーム用油脂を使用した例8のホイップドクリームを比較対照とした。以下の評価基準にしたがって、油脂を含む食品の風味評価に熟練したパネラー5名により、例9~14のホイップドクリームを口に含んだ際の風味を評点した。評点の合計により、例9~14のホイップドクリームを総合評価した。結果を表4に示した。

評価基準 評点
対照と比較して好ましい乳様風味が強く持続する 2点
対照と比較して好ましい乳様風味が持続する 1点
対照と変わらない 0点
対照と比較して好ましくない風味を感じる -1点

総合評価
◎:8点以上 風味の持続性に非常に優れている
〇:5点以上7点以下 風味の持続性に優れている
△:2点以上4点以下 対照との差異が分かりにくい
×:1点以下 対照と差異がないか、好ましくない風味がある
【0043】
【表4】

【0044】
<ホイップドクリームによる評価2>
例1のホイップクリーム用油脂を使用したホイップクリームと生クリーム(タカナシ乳業株式会社製、乳脂肪45質量%)とを質量比で、90:10と80:20に、混合して、2種類のコンパウンドタイプのホイップクリームを調整した。100質量部のホイップクリームに対して10質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてオーバーラン120%までホイップしたホイップドクリームを、それぞれ例15、例16のホイップドクリームとした。同様に、例4のホイップクリーム用油脂を使用したホイップクリームと生クリーム(タカナシ乳業株式会社製、乳脂肪45%)とを質量比で、90:10と80:20に、混合して、2種類のコンパウンドタイプのホイップクリームを調整した。100質量部のホイップクリームに対して10質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてオーバーラン120%までホイップしたホイップドクリームを、それぞれ例17、例18のホイップドクリームとした。例16~18のホイップドクリームについて、例15のホイップドクリームを対照として、<ホイップドクリームによる評価1>と同様の風味評価を行った。結果を表5に示した。
【0045】
【表5】

【0046】
<ホイップドクリームによる評価3>
上記例5の油脂に使用したヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818H、略称:818H、太陽化学株式会社製)の替わりに、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818DG、略称:818DG、太陽化学株式会社製)を用いた例19の油脂(818DG含有量1000質量ppm)を調製した。<ホイップドクリームによる評価1>と同様に、例19の油脂を使用したホイップクリームをオーバーランが160%になるように起泡化し、例20のホイップドクリームを得た。例8のホイップドクリームを対照として、<ホイップドクリームによる評価1>と同様に、例20のホイップドクリームの風味評価を行ったところ、◎の総合評価が得られた。
【0047】
<ホイップドクリームによる評価4>
(ホイップドクリーム用油脂の調製)
65質量部のパーム中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製)、18質量部のパーム油(日清オイリオグループ株式会社製)、12質量部のエステル交換パーム分別油(日清オイリオグループ株式会社製)、および5質量部のエステル交換硬化パーム核油混合油、を加温混合し、混合油脂(例21の油脂、構成脂肪酸全量に占めるラウリン酸含有量1.2質量%)を調製した。0.15質量部のヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(商品名:サンソフト818H、略称:818H、太陽化学株式会社製)と99.85質量部の前記混合油脂とを加温混合し、0.15質量%濃度の818H含有ホイップクリーム用油脂を得た(例22の油脂)。
【0048】
(ホイップクリームおよびホイップドクリームの調製)
表6の配合に従って、例21、例22のホイップクリーム用油脂を使用したホイップクリームを<ホイップドクリームによる評価1>と同様の方法で調製した。調製したホイップクリームのpHは6.5であった。100質量部のホイップクリームに対して10質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてオーバーラン160%までホイップしたホイップドクリームを、それぞれ例23、例24のホイップドクリームとした。また、表7の配合に従って、例21、例22のホイップクリーム用油脂を使用したホイップクリームを<ホイップドクリームによる評価1>と同様の方法で調製した。調製したホイップクリームのpHは6.5であった。100質量部のホイップクリームに対して10質量部の砂糖を加えて卓上ホイッパーを用いてオーバーラン160%までホイップしたホイップドクリームを、それぞれ例25、例26のホイップドクリームとした。調製したホイップドクリームは、風味評価まで7℃で保存した。
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
(ホイップドクリームの風味評価)
例21のホイップクリーム用油脂を使用した例23のホイップドクリームを比較対照として。例22のホイップクリーム用油脂を使用した例24のホイップドクリームの風味評価を、<ホイップドクリームによる評価1>と同様に行った。また、例21のホイップクリーム用油脂を使用した例25のホイップドクリームを比較対照として。例22のホイップクリーム用油脂を使用した例26のホイップドクリームの風味評価を、<ホイップドクリームによる評価1>と同様に行った。結果を表8に示した。
【0052】
【表8】