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特許7242305物体の表面の高さマップを測定するための方法及びシステム、並びにこの方法で使用されるコンピュータプログラム及びデータキャリア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】物体の表面の高さマップを測定するための方法及びシステム、並びにこの方法で使用されるコンピュータプログラム及びデータキャリア
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20230313BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20230313BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G06T1/00 315
G01B11/24 F
G06T3/00 780
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019002998
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2019133652
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】18151625.3
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス アンナ クアエダッカーズ
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031368(JP,A)
【文献】米国特許第05987189(US,A)
【文献】特開2015-021891(JP,A)
【文献】特開2000-337862(JP,A)
【文献】特開2017-040652(JP,A)
【文献】特開2013-024781(JP,A)
【文献】特表2017-527785(JP,A)
【文献】笹島 和幸,ナノスケールものづくりのための知的計測技術,計測と制御 ,第47巻 第9号,日本,社団法人計測自動制御学会,2008年09月25日,739~743
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G01B 11/24
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み、
各セクションはグリッド位置を含み、各高さマップは、対応する前記セクションの前記グリッド位置における高さデータを含み、
各セット内の前記高さマップのつなぎ合わせによってサブ複合ステッチ高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセットのみを補正する場合、前記重複する高さマップに共通した少なくとも1つのグリッド位置において、前記重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じ、
各セット内の前記高さマップの前記つなぎ合わせによってサブ複合ステッチ高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセット誤差及び傾斜誤差を補正する場合、前記重複する高さマップに共通した少なくとも3つのグリッド位置において、前記重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じる、
方法。
【請求項2】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み、
前記測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することは、
(a)各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付けるステップと、
(b)前記測定高さマップの各々について、前記高さマップの各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成するステップと、
(c)測定高さマップを選択するステップと、
(d)前記選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較するステップと、
(e)前記選択された測定高さマップの前記インデックスのリスト内の前記インデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合、前記別の測定高さマップの前記インデックスのリストを前記選択された測定高さマップの前記インデックスのリストとマージし、前記別の測定高さマップの前記インデックスのリストを破棄するステップと、
(f)前記マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを検索するステップと、
(g)前記マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、前記マージしたインデックスのリスト内で前記インデックスの1回の出現を保持し、前記インデックスの他の全ての出現を前記マージしたインデックスのリストから破棄して、要約マージインデックスリストを取得するステップと、
(h)残りの全ての測定高さマップに対してステップ(c)からステップ(g)を繰り返すステップと、
を含み、残りのインデックスのリストの各々は前記高さマップのセットのうち1つを表す、
方法。
【請求項3】
前記測定高さマップをつなぎ合わせ後、前記サブ複合ステッチ高さマップを複合高さマップに合成すること、
を更に含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することは、セット数を最小限に抑えることを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
サブ複合ステッチ高さマップ間の高さオフセットは、環境温度に基づくドリフトを推定する温度ドリフトモデルデータに基づいて補償される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
サブ複合ステッチ高さマップ間の高さオフセットは、少なくとも1つのスキャン前又はスキャン後の高さマップに基づいて補償される、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記スキャン前高さマップはコンピュータ支援設計すなわちCADデータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記スキャン前又はスキャン後高さマップは、センサ、特に、サブ複合ステッチ高さマップ間の間隙よりも大きい視野を有する光学センサ、又は、少なくとも1つの位置で前記物体の前記表面の各セクションに接触するように構成された接触式センサによって測定された高さデータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み
サブ複合ステッチ高さマップ間の高さオフセットは、少なくとも1つのスキャン前又はスキャン後の高さマップに基づいて補償され、
前記スキャン前の高さマップはコンピュータ支援設計すなわちCADデータを含み、
前記サブ複合ステッチ高さマップの各々と重複を有する前記スキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することと、
各サブ複合ステッチ高さマップの高さデータの第1の平均を計算することと、
前記サブ複合ステッチ高さマップの各々と重複を有する前記スキャン前又はスキャン後高さマップの高さデータの第2の平均を計算することと、
前記第2の平均から前記第1の平均を減算することによって各サブ複合ステッチ高さマップのオフセットを計算することと、
各サブ複合ステッチ高さマップについて、その対応するオフセットを前記サブ複合ステッチ高さマップの前記高さデータから減算し、その後、前記サブ複合ステッチ高さマップを複合高さマップに合成することと、
を含む方法。
【請求項10】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み
サブ複合ステッチ高さマップ間の高さオフセットは、少なくとも1つのスキャン前又はスキャン後の高さマップに基づいて補償され、
前記スキャン前の高さマップはコンピュータ支援設計すなわちCADデータを含み、
前記サブ複合ステッチ高さマップのデータポイントを前記スキャン前又はスキャン後高さマップのグリッド位置に内挿することと、
内挿された前記サブ複合ステッチ高さマップの各々と重複を有する前記スキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することと、
各内挿サブ複合ステッチ高さマップの高さデータの第1の平均を計算することと、
内挿された前記サブ複合ステッチ高さマップの各々と重複を有する前記スキャン前又はスキャン後高さマップの高さデータの第2の平均を計算することと、
前記第2の平均から前記第1の平均を減算することによって各内挿サブ複合ステッチ高さマップのオフセットを計算することと、
各サブ複合ステッチ高さマップ又は内挿サブ複合ステッチ高さマップの各々について、その対応するオフセットを前記サブ複合ステッチ高さマップ又は内挿サブ複合ステッチ高さマップの前記高さデータから減算し、その後、前記サブ複合ステッチ高さマップ又は内挿サブ複合ステッチ高さマップを複合高さマップに合成することと、
を含む方法。
【請求項11】
高さマップの各セットにおける視野の数、1つの視野におけるデータ密度、及び2点間の不確実性のうち少なくとも1つに基づく値が所定の閾値よりも大きい場合に、前記オフセットの減算が実行される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み
前記表面の絶対高さデータが失われた場合、
前記サブ複合ステッチ高さマップに対して第1の面を適合させ、
前記サブ複合ステッチ高さマップから、前記サブ複合ステッチ高さマップに対して適合させた前記第1の面を減算し、
対応する測定高さデータに第2の面を適合させ、
前記サブ複合ステッチ高さマップに、前記対応する測定高さデータに適合させた前記第2の面を加算する、
ことによって、前記表面の前記絶対高さデータを回復することを含む方法。
【請求項13】
前記サブ複合ステッチ高さマップに対して第1の面を適合させることは、前記測定高さデータのサブセットを用いることを含み、前記サブセットは、特に視野の中央における高さデータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サブ複合ステッチ高さマップに対して前記第1の面を適合させることは、対応する視野ごとの平均を用いることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
物体の表面の高さマップを測定する方法であって、
個々のセクションをカバーする視野を有する光学プロフィロメータを用いて、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定された測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を含み
X方向及びY方向の平均画素サイズを計算し、
X方向及びY方向の平均視野サイズを計算し、
前記平均画素サイズ及び前記平均視野サイズからX方向及びY方向の平均フィールド段差サイズを計算し、
全ての高さデータの内挿のための共通X-Yグリッドを生成する、
ことによって、個々のセクション、高さマップのセット、サブ複合ステッチ高さマップ、複合高さマップ、又は前記表面のための共通グリッドを確立するステップを含む方法。
【請求項16】
前記フィールド段差サイズは可変であり、特に疑似ランダムに可変である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
物体の表面エリアの高さマップを測定するためのシステムであって、
前記物体の前記表面の異なるセクションの測定高さマップの高さデータを記憶しているメモリと、
処理ユニットであって、
前記メモリから前記測定高さマップの前記高さデータを検索することと、
前記測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの前記高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で前記測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合ステッチ高さマップにすることと、
を実行するように構成された処理ユニットと、
を備え、
前記処理ユニットは、前記測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化するため、更に、
(a)各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付け、
(b)前記測定高さマップの各々について、前記高さマップの前記各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成し、
(c)測定高さマップを選択し、
(d)前記選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較し、
(e)前記選択された測定高さマップの前記インデックスのリスト内の前記インデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合、前記別の測定高さマップの前記インデックスのリストを前記選択された測定高さマップの前記インデックスのリストとマージし、前記別の測定高さマップの前記インデックスのリストを破棄し、
(f)前記マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを識別し、
(g)前記マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、前記マージしたインデックスのリスト内で前記インデックスの1回の出現を保持し、前記インデックスの他の全ての出現を前記マージしたインデックスのリストから破棄して、要約マージインデックスリストを取得し、
(h)残りの全ての測定高さマップに対してステップ(c)からステップ(g)を繰り返す、
ように構成され、残りのインデックスのリストの各々は前記高さマップのセットのうち1つを表す、システム。
【請求項18】
視野を有する少なくとも1つの光学プロフィロメータを更に備え、前記プロフィロメータは、前記物体の前記表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定するように構成され、前記視野は、個々のセクションをカバーする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理ユニットは更に、前記サブ複合ステッチ高さマップを複合高さマップに合成する、
ように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理ユニットは更に、少なくとも、
各サブ複合ステッチ高さマップを表示するためのディスプレイデバイス、
前記サブ複合ステッチ高さマップの前記高さデータを記憶するためのメモリデバイス、及び/又は、
各サブ複合ステッチ高さマップを印刷するための印刷デバイス、
に対して計算した高さデータを出力するように構成されている、請求項17から19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
コンピュータ命令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ命令がロードされた処理ユニットに、請求項1,2,9,10,12,15,17に記載の方法の前記グループ化することを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項22】
コンピュータ命令を記憶しているデータキャリア、特に不揮発性データキャリアであって、前記コンピュータ命令がロードされた処理ユニットに、請求項1,2,9,10,12,15,17に記載の方法の前記グループ化することを実行させるプログラムを記録した記録媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面の高さマップを測定する分野に関し、更に特定すれば、白色光干渉法、構造化照明顕微鏡法、ポイントフロムフォーカス(Point From Focus)/シェープフロムフォーカス(Shape From Focus)検知、共焦点顕微鏡法、クロマティックポイントセンサアレイ検知、位相シフト干渉法、レーザ干渉法顕微鏡法等を含む、2.5Dもしくは3D光学計測撮像又は光学プロファイリングにおける光学プロフィロメータ(profilometer)によって、そのような高さマップを測定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
2.5D又は3D光学計測撮像システムを用いて物体の表面の高さマップを測定する場合、視野すなわちFOV(field of view)は限定されている。従って、一度に測定できるのは物体の表面のうち限られたエリアだけである。1つの視野よりも大きいエリアを測定するためには、サンプル上の複数の位置における複数の測定を合成しなければならない。
【0003】
複数の視野を合成するための一般的な方法は、スティッチングアルゴリズム(stitching algorithm)を用いることである。スティッチングアルゴリズムでは、測定された複数の高さマップが重複エリアで重複していると仮定して、個々の高さマップの回転及びシフトを組み合わせることで、高さマップの重複エリアにおけるオフセットを最小限に抑える。最も一般的には、これは誤差関数の最小二乗最小化(least square minimization)を用いて行われる。スティッチングアルゴリズム及び方法は、そのようなものとして周知であり、例えば米国特許第5,343,410A号、米国特許第5,991,461A号、米国特許第5,987,189A号等に、広く記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スティッチングアルゴリズムでは、重複エリアにおける欠損データ又は誤ったデータによって致命的な失敗(failure)が生じ得るという問題がある。一例として、光学2.5D表面計測方法は、大きい段差(陰影)、孔、急勾配、又は局所的な低反射率エリアを扱うことができない。従って、一部の物体ではデータに欠落が生じることは避けられない。
【0005】
このことを考慮すると、物体の1つの高さマップ又は一群の高さマップが残りの高さマップから分離している(すなわち有効な重複を有しない)場合、現在のスティッチングアルゴリズム及び方法は機能しなくなる。
【0006】
この状況を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物体の表面の高さマップを測定するための改良された又は代替的な方法及び対応するシステムを提供することが望ましい。また、各視野の1つ以上の個々の高さマップ又は一群以上の高さマップが1つ以上の他の個々の高さマップ又は他の群の高さマップと有効な重複を有しない、物体の表面の高さマップを測定するための改良された又は代替的な方法及び対応するシステムを提供することが望ましい。
【0008】
これらの問題の1つ以上により良好に対処するため、本発明の第1の態様において、物体の表面の高さマップを測定する方法が提供される。この方法は、
個々のセクションをカバーする視野(FOV)を有する光学プロフィロメータを用いて、物体の表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定することと、
測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化することであって、各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、ことと、
各セット内で測定高さマップをつなぎ合わせて(stitch)サブ複合スティッチング高さマップにすることと、
を含む。
【0009】
本発明に従った解決策は、物体の表面のセクションの測定高さマップが他の測定高さマップとの(有効な)重複を介して別の測定高さマップに連結されていない場合のスティッチングの失敗を防止することができる。本発明によれば、第1の測定高さマップについて、この第1の測定高さマップと重複している他の測定高さマップが存在するか否か、及び、第1の測定高さマップと重複している他の測定高さマップと重複している別の測定高さマップが存在するか否かを調査する。そのような重複を示す測定高さマップは、セット内のいずれかの測定高さマップとの重複を有する測定高さマップが見出されなくなるまで、そのセットにおいてグループ化される。残りの測定高さマップが存在する場合は、このプロセスを新たに開始して、残りの測定高さマップがもう存在しなくなるまで、測定高さマップの1つ以上のセットを更に形成する。このプロセスにおいて、測定高さマップのセットは単一の測定高さマップから成る場合がある。このプロセスの後、測定高さマップの1つのセットに属する各測定高さマップは、測定高さマップの他のセットのいかなる測定高さマップとも有効な重複を持たない。従って、測定高さマップのこれらのセットは物体の表面の別個の部分を画定する。ここで、測定高さマップの少なくとも2つのセットが識別されると仮定する。
【0010】
次いで、測定高さマップの各セット内で、高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにする。高さマップの各セット内で、各高さマップは、他の高さマップとの重複を介して、高さマップの同じセット内のいずれかの他の高さマップに連結されるので、サブ複合スティッチング高さマップを構築する場合に高さマップの各セット内でスティッチングの失敗は発生しない。
【0011】
一実施形態において、測定方法は更に、測定高さマップの各セット内でつなぎ合わせるステップの後、サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成することを含む。
【0012】
この合成ステップは、例えばデカルトX、Y、Z座標系又は他の任意の適切な座標系のような、関連付けられた座標系における高さマップの絶対座標データに基づいて実行することができる。このつなぎ合わせは、サブ複合スティッチング高さマップのZ(高さ座標)値を平均することによってZの誤差を低減させる。
【0013】
測定方法の一実施形態において、測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化するステップは、セット数を最小限に抑えることを含む。
【0014】
複合高さマップは上述のように2ステップ手法で生成される、すなわち、最初に測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化してサブ複合スティッチング高さマップを取得し、次いでこれらのサブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成するので、グループ化高さマップのセット数を最小限に抑えることによって、複合高さマップを決定するための処理時間を最小化することができる。
【0015】
測定方法の一実施形態において、測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化するステップは、
(a)各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付けるステップと、
(b)測定高さマップの各々について、高さマップの各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成するステップと、
(c)測定高さマップを選択するステップと、
(d)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較するステップと、
(e)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合、別の測定高さマップのインデックスのリストを選択された測定高さマップのインデックスのリストとマージし、別の測定高さマップのインデックスのリストを破棄するステップと、
(f)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを検索するステップと、
(g)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、マージしたインデックスのリスト内でインデックスの1回の出現を保持し、インデックスの他の全ての出現をマージしたインデックスのリストから破棄して、統合(condensed)マージインデックスリストを取得するステップと、
(h)残りの全ての測定高さマップに対してステップ(c)からステップ(g)を繰り返すステップと、
を含み、残りのインデックスのリストの各々は高さマップのセットのうち1つを表す。
【0016】
コンピュータシステムのプロセッサで実行されるコンピュータ命令としてプログラミングされたアルゴリズムによって上記のステップ(a)から(h)を実行した結果、高さマップのセットが形成され、高さマップの各インデックスリストによって規定される。更に、上記のステップ(a)から(h)の結果、このように形成される高さマップのセット数は最小限に保たれる。
【0017】
測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化してサブ複合スティッチング高さマップを取得する際、重複している高さマップが識別される。識別された場合、第1のケースでは、重複している高さマップ間に高さオフセットのみが存在し得る。第2のケースでは、重複している高さマップ間に高さオフセットと傾斜誤差が存在し得る。双方のケースで、グループ化を実行するためには重複が有効である必要がある。高さマップの重複の有効性を決定するため、各ケースで異なる手法が用いられる。
【0018】
第1のケースを参照すると、測定方法の一実施形態において、各セクションはグリッド位置を含み、各高さマップは対応するセクションのグリッド位置における高さデータを含み、各セット内の高さマップのつなぎ合わせによってサブ複合スティッチング高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセットのみを補正する場合、重複する高さマップに共通した少なくとも1つのグリッド位置において、重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じる。
【0019】
第2のケースを参照すると、測定方法の一実施形態において、各セクションはグリッド位置を含み、各高さマップは対応するセクションのグリッド位置における高さデータを含み、各セット内の高さマップのつなぎ合わせによってサブ複合スティッチング高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセット誤差及び傾斜誤差を補正する場合、重複する高さマップに共通した少なくとも3つのグリッド位置において、重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じる。
【0020】
測定方法の一実施形態において、サブ複合スティッチング高さマップ間の高さオフセットは、少なくとも1つのスキャン前又はスキャン後の高さマップに基づいて補償される。
【0021】
スキャン前高さマップは、物体の部分の相対空間位置を規定するデータのような、コンピュータ支援設計すなわちCADデータを含むことができる。
【0022】
スキャン前又はスキャン後高さマップは、センサによって測定された高さデータを含み得る。センサは、サブ複合スティッチング高さマップ間の間隙よりも大きい視野(FOV)を有する光学センサとすればよい。従って、センサによって測定された高さデータは、サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成するための基準データを与える。別の実施形態において、センサは、少なくとも1つの位置で物体の表面の各セクションに接触するように構成された接触式センサである。このように接触式センサが接触する異なる位置の各々の高さは、サブ複合スティッチング高さマップの各高さデータに関連付けられる。その後、取得された全ての高さデータを相関付けて、サブ複合スティッチング高さマップ間の高さオフセットを補償することができる。
【0023】
測定方法の一実施形態において、サブ複合スティッチング高さマップ間の高さオフセットは、(変動する可能性のある)環境温度に基づくドリフトを推定する温度ドリフトモデルデータに基づいて補償される。
【0024】
測定方法の一実施形態において、スキャン前又はスキャン後高さデータ(データポイント)が利用可能である場合、測定方法は、
サブ複合スティッチング高さマップの各々と重複を有する(すなわち重複表面エリア内にある)スキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することと、
各サブ複合スティッチング高さマップの高さデータの第1の平均を計算することと、
スキャン前又はスキャン後高さマップの対応する重複する高さデータ(すなわち重複表面エリアにおける高さデータ)の第2の平均を計算することと、
第2の平均から第1の平均を減算することによって各サブ複合スティッチング高さマップのオフセットを計算することと、
各サブ複合スティッチング高さマップについて、その対応するオフセットをサブ複合スティッチング高さマップの高さデータから減算し、その後、サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成することと、
を更に含む。
【0025】
測定方法の代替的な実施形態において、スキャン前又はスキャン後高さデータ(データポイント)が利用可能である場合、測定方法は、
サブ複合スティッチング高さマップのデータポイントをスキャン前又はスキャン後高さマップのグリッド位置に内挿することと、
内挿サブ複合スティッチング高さマップの各々と重複を有する(すなわち重複表面エリア内にある)スキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することと、
各内挿サブ複合スティッチング高さマップの高さデータの第1の平均を計算することと、
スキャン前又はスキャン後高さマップの対応する重複する高さデータ(すなわち重複表面エリアにおける高さデータ)の第2の平均を計算することと、
第2の平均から第1の平均を減算することによって各内挿サブ複合スティッチング高さマップのオフセットを計算することと、
各サブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップの各々について、その対応するオフセットをサブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップの高さデータから減算し、その後、サブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成することと、
を更に含む。
【0026】
測定方法の後者の2つの実施形態の一実施形態において、オフセットの減算が実行されるのは、高さマップの各セットにおける視野の数、1つの視野(FOV)におけるデータ密度、及び2点間の不確実性のうち少なくとも1つに基づく値が所定の閾値よりも大きい場合のみである。閾値は、オフセットの計算及び減算によって高さ計算の結果が改善される可能性を示すように機能する。
【0027】
一実施形態において、測定方法は、表面の絶対高さデータが失われた場合、
サブ複合スティッチング高さマップに対して第1の面を適合させ、
サブ複合スティッチング高さマップから第1の適合させた面を減算し、
対応する測定高さデータに第2の面を適合させ、
サブ複合スティッチング高さマップに第2の適合させた面を加算する、
ことによって、表面の絶対高さデータを回復することを更に含む。
【0028】
対応する測定高さデータは、センサによって測定された高さデータを含むスキャン前又はスキャン後高さマップとすることができる。上記のように、センサは、例えば光学センサ又は接触式センサとすればよい。
【0029】
測定方法の後者の変形の一実施形態において、第1の面を適合させるステップは、優れた結果を維持しながら計算の労力を軽減するため、測定高さデータのサブセットを用いることを含む。サブセットは視野の中央における高さデータを含み得る。あるいは、第1の面を適合させるステップは、対応する視野ごとの平均を用いることを含み得る。
【0030】
一実施形態において、測定方法は、
X方向及びY方向の平均画素サイズを計算し、
X方向及びY方向の平均視野(FOV)サイズを計算し、
平均画素サイズ及び平均視野(FOV)サイズからX方向及びY方向の平均フィールド段差サイズを計算し、
全ての高さデータの内挿のための共通X-Yグリッドを生成する、
ことによって、個々のセクション、高さマップのセット、サブ複合スティッチング高さマップ、複合高さマップ、又は表面のための共通グリッドを確立するステップを更に含む。
【0031】
測定方法の後者の変形の一実施形態において、フィールド段差サイズは可変であり、特に疑似ランダムに可変であり得る。
【0032】
第2の態様において、本発明は、物体の表面エリアの高さマップを測定するためのシステムを提供する。このシステムは、
物体の表面の異なるセクションの測定高さマップの高さデータを記憶しているメモリと、
処理ユニットであって、
メモリから測定高さマップの高さデータを検索し、
測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化し、各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない、
各セット内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにする、
ように構成された処理ユニットと、
を備える。
【0033】
一実施形態において、測定システムは、
視野(FOV)を有する少なくとも1つの光学プロフィロメータを更に備え、プロフィロメータは物体の表面の異なるセクションの高さデータをそれぞれが含む高さマップを測定するように構成され、視野(FOV)は個々のセクションをカバーする。
【0034】
測定システムの一実施形態において、処理ユニットは更に、
サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成する、
ように構成されている。
【0035】
測定システムの一実施形態において、処理ユニットは、測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化するため、更に、
(a)各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付け、
(b)測定高さマップの各々について、高さマップの各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成し、
(c)測定高さマップを選択し、
(d)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較し、
(e)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合、別の測定高さマップのインデックスのリストを選択された測定高さマップのインデックスのリストとマージし、別の測定高さマップのインデックスのリストを破棄し、
(f)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを識別し、
(g)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、マージしたインデックスのリスト内でインデックスの1回の出現を保持し、インデックスの他の全ての出現をマージしたインデックスのリストから破棄して、統合マージインデックスリストを取得し、
(h)残りの全ての測定高さマップに対してステップ(c)からステップ(g)を繰り返す、
ように構成され、残りのインデックスのリストの各々は高さマップのセットのうち1つを表す。
【0036】
測定システムの一実施形態において、処理ユニットは更に、少なくとも、
各サブ複合スティッチング高さマップを表示するためのディスプレイデバイス、
サブ複合スティッチング高さマップの高さデータを記憶するためのメモリデバイス、及び/又は、
各サブ複合スティッチング高さマップを印刷するための印刷デバイス、
に対して計算した高さデータを出力するように構成されている。
【0037】
本発明の第1の態様の測定方法又は本発明の第2の態様の測定システムの実施形態において、光学プロフィロメータは、白色光干渉計すなわちWLI、位相シフト干渉計すなわちPSI、クロマティックポイントセンサすなわちCPSのアレイ、ポイントフロムフォーカス/シェープフロムフォーカスすなわちPFF/SFFセンサ、共焦点顕微鏡、構造化照明顕微鏡すなわちSIM、及びレーザ干渉計顕微鏡すなわちLIMを含む光学プロフィロメータの群から選択される。
【0038】
第3の態様において本発明は、コンピュータ命令を含むコンピュータプログラムを提供する。これは、コンピュータ命令がロードされた処理ユニットに、本発明の第1の態様に従った方法のグループ化ステップを実行させる。
【0039】
第4の態様において本発明は、コンピュータ命令を記憶しているデータキャリア、特に不揮発性データキャリアを提供する。これは、コンピュータ命令がロードされた処理ユニットに、本発明の第1の態様に従った方法のグループ化ステップを実行させる。
【0040】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照して更に理解され、同様の参照符号が同様の部分を示す添付図面に関連付けて検討されることで、いっそう容易に認められよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A図1Bと共に、物体の表面の高さマップを測定するための本発明に従った方法の実施形態のフロー図を示す。
図1B図1Aと共に、物体の表面の高さマップを測定するための本発明に従った方法の実施形態のフロー図を示す。
図1C】本発明に従った方法の実施形態のステップのフロー図を示す。
図1D】本発明に従った方法の実施形態のステップのフロー図を示す。
図1E】本発明に従ったシステムのコンポーネントのブロック図を示す。
図2A】本発明に従って高さマップが測定される、連結されていない表面部分を含む物体の一部の斜視図を示す。
図2B図2Aの物体の表面を測定する方法及びシステムにおいて座標を規定するための相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸を含む軸系を示す。
図3図2Aの物体の表面の上面図であり、いくつかの視野といくつかの重複エリアを示す。
図4】複数の視野について測定された高さマップを示す。
図5】測定高さマップを測定高さマップのセットにグループ化することを示す。
図6A】測定高さマップの第1のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6B】測定高さマップの第1のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6C】測定高さマップの第2のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6D】測定高さマップの第2のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6E】測定高さマップの第3のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6F】測定高さマップの第3のセットにおいて測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6G】測定高さマップの第4のセットにおいて測定高さマップを処理してサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図6H】測定高さマップの第4のセットにおいて測定高さマップを処理してサブ複合スティッチング高さマップにした結果を示す。
図7】サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1A及び図1Bは共に、物体の表面の高さマップを測定するための本発明に従った方法の実施形態のフロー図を示す。
【0043】
この方法では、ブロック100で示されている準備ステップとして、個々のセクションをカバーする視野すなわちFOVを有する光学プロフィロメータを用いて、物体の表面の異なるセクションの高さマップを測定する。そのような高さマップを取得するための方法は当技術分野において周知であり、本明細書では詳細な検討は行わない。ここで、図3を参照して更に詳しく説明されるように、各高さマップの表面エリアは1つ以上の他の高さマップの表面エリアと重複すると仮定される。言い換えると、表面の各セクションの表面エリアは1つ以上の他のセクションの表面エリアと重複する。
【0044】
準備ステップの結果、測定された高さマップの高さマップデータが各セクションで利用可能となる。そのような高さマップデータは、測定された高さマップごとに、相互に直交したX軸、Y軸、及びZ軸を有するデカルト座標系で見られるように、各々がX座標、Y座標、及びZ座標を有する点の集合を含むことができる。Z座標は高さ値を示す。
【0045】
ブロック102で示されているように、複数の又は全ての高さマップからの測定高さマップデータを用いて、X軸方向及びY軸方向の双方の平均画素サイズ、平均フィールドサイズ(又はX方向及びY方向のセクションサイズ)、並びにX方向及びY方向の平均フィールド段差サイズ又はセクション段差サイズを決定することができる。これらの値(平均画素サイズ、平均フィールドサイズ、及び平均フィールド段差サイズ)を用いて、高さマップデータが内挿される共通X-Yグリッドを生成できる。
【0046】
この後、ブロック104に示されている次のステップにおいて、測定高さマップの高さマップデータを共通X-Yグリッドに内挿する。
【0047】
高さマップデータ及び/又は内挿された高さマップデータは不揮発性コンピュータメモリに記憶することができ、更に、処理対象の高さマップデータ及び/又は内挿された高さマップデータはコンピュータ処理システムによって検索することができる。有効データを含まない測定高さマップの高さマップデータ及び/又は内挿された高さマップデータは、メモリから除去して、メモリ空間を節約すると共に計算時間を短縮することができる。
【0048】
ブロック100、102、及び104で示されるようなステップは、既存の高さマップスティッチング方法から既知である。
【0049】
次に、本発明に従って、測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化する。各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有する。各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない。1セットのグループ化された測定高さマップをつなぎ合わせて、サブ複合スティッチング高さマップを形成することができる。
【0050】
このグループ化プロセスでは以下のステップが実行される。
【0051】
ブロック106で示されているように、各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付ける。
【0052】
ブロック108で示されている次のステップでは、測定高さマップの各々について、その高さマップの各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成する。
【0053】
上述のように、各セクションはグリッド位置を含み、各高さマップは対応するセクションのグリッド位置における高さデータを含む。
【0054】
各セット内の高さマップのつなぎ合わせによってサブ複合スティッチング高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセットのみを補正する場合、重複する高さマップに共通した少なくとも1つのグリッド位置において、重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じる。異なる高さマップの有効高さデータは同一であるか、又は少なくとも1つのグリッド位置で異なる場合がある。
【0055】
各セット内の高さマップのつなぎ合わせによってサブ複合スティッチング高さマップにすることで重複する高さマップ間の高さオフセット誤差及び傾斜誤差を補正する場合、重複する高さマップに共通した少なくとも3つのグリッド位置において、重複する高さマップのそれぞれに有効高さデータが存在するならば、有効な重複が生じる。異なる高さマップの有効高さデータは同一であるか、又は少なくとも1つのグリッド位置で異なる場合がある。
【0056】
高さマップ間の重複のサイズが高さマップの横方向サイズの半分よりも小さい場合、直接隣接した高さマップのみが有効な重複を有する可能性がある。有効な重複のチェックを直接隣接した高さマップのみに限定することによって、有効に重複する高さマップを見出すための検索時間を大幅に短縮することができる。
【0057】
ブロック108に従ってインデックスのリストを生成した後、ブロック110に示されているような次のステップでは、測定高さマップを選択する。
【0058】
次いで、ブロック112に示されている次のステップにおいて、選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較する。
【0059】
この比較ステップでは判断ステップが行われる。判断ステップでは、ひし形114で示されているように、選択された測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合(パスY)、ブロック116に示されているように、この別の測定高さマップのインデックスのリストを選択された測定高さマップのインデックスのリストとマージする。この別の測定高さマップのインデックスのリストを破棄する。一致が見出されなかった場合は、パスNに従い、方法はブロック112のステップに戻って、選択された測定高さマップのインデックスを、次の測定高さマップのインデックスが存在する場合はこれと比較する。
【0060】
ブロック118に示されている次のステップでは、マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを検索する。
【0061】
この検索ステップでは判断ステップが行われる。判断ステップでは、ひし形120で示されているように、マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、ブロック122で示されているように、マージしたインデックスのリスト内でこのインデックスの1回の出現を保持し、ブロック124で示されているように、このインデックスの他の全ての出現をマージしたインデックスのリストから破棄して、統合マージインデックスリストを得る。
【0062】
ブロック110、112、116、118、122、及び124、並びにひし形114及び120に従ったステップを、ひし形126、パスYで示されているように、残りの全ての測定高さマップに対して繰り返す。残りの測定高さマップがもう存在しない場合は、パスNに従って次のステップを行う。
【0063】
この時点で全ての測定高さマップは測定高さマップのグループに分割され、各グループは1つ以上のインデックスのリストによって表され、インデックスの数はグループのメンバである測定高さマップの数と等しいことに留意するべきである。1つのグループ内の全ての測定高さマップは、同一グループ内の少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有する。このようにして、任意のグループ内の全ての測定高さマップのセットのスティッチングの成功が保証される。
【0064】
ブロック128で示されている次のステップでは、測定高さマップの各グループの測定高さマップのセットをつなぎ合わせて、そのグループのサブ複合スティッチング高さマップを得る。任意選択的に、重み付け係数として品質係数を用いてスティッチングアルゴリズムのロバスト性を増大することも可能である。
【0065】
ブロック128で示されたステップの後、ブロック134で示されているように、サブ複合スティッチング高さマップを合成して、物体の表面をカバーする複合高さマップを得ることができる。
【0066】
サブ複合スティッチング高さマップ間に生じ得る高さオフセットは、物体の表面の少なくとも1つのスキャン前又はスキャン後の高さマップに基づいて補償することができる。スキャン前高さマップは、コンピュータ支援設計すなわちCADデータを含み得る。スキャン前高さマップは、これに加えて又はこの代わりに、センサによって測定された高さデータを含み得る。また、高さデータはスキャン後高さマップにおいてセンサにより測定することも可能である。センサは、対象方向のサブ複合スティッチング高さマップ間の間隙よりも大きい視野を有する光学センサ、又は、特に、少なくとも1つの位置で物体の表面の各セクションに接触するように構成された接触式センサとすればよい。更に、サブ複合スティッチング高さマップ間の高さオフセットは、環境温度に基づくドリフトを推定する温度ドリフトモデルデータに基づいて補償することも可能である。
【0067】
図1Cのフロー図及び図1Dの代替的なフロー図で示されているように、ブロック128で示されるステップとブロック134で示されるステップとの間に、スキャン前又はスキャン後の高さマップのデータポイントに基づいて、異なるオフセット補償ステップを実行することができる。
【0068】
図1Cを参照すると、ブロック128で示されたステップの後、ブロック130aで示されているように、サブ複合スティッチング高さマップの各々と重複を有するスキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することができる。
【0069】
次いでブロック130bで示されているように、各サブ複合スティッチング高さマップの高さデータの第1の平均を計算することができる。
【0070】
次いでブロック130cで示されているように、スキャン前又はスキャン後高さマップの対応する重複する高さデータの第2の平均を計算することができる。
【0071】
次いでブロック130dに示されているように、第2の平均から第1の平均を減算することによって各サブ複合スティッチング高さマップのオフセットを計算できる。ブロック130eに示されているように、各サブ複合スティッチング高さマップについて、その対応するオフセットをサブ複合スティッチング高さマップの高さデータから減算し、その後、ブロック134に従ってサブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成することができる。
【0072】
図1Dを参照すると、ブロック128に示されたステップの後、ブロック132aで示されているように、サブ複合スティッチング高さマップのデータポイントをスキャン前又はスキャン後高さマップのグリッド位置に内挿することができる。
【0073】
次いでブロック132bに示されているように、内挿サブ複合スティッチング高さマップの各々と重複を有するスキャン前又はスキャン後高さマップのデータポイントを計算することができる。
【0074】
ブロック132cで示されている次のステップとして、各内挿サブ複合スティッチング高さマップの高さデータの第1の平均を計算することができる。
【0075】
次いでブロック132dで示されているように、スキャン前又はスキャン後高さマップの対応する重複する高さデータの第2の平均を計算することができる。
【0076】
ブロック132eに示されている次のステップとして、第2の平均から第1の平均を減算することによって各内挿サブ複合スティッチング高さマップのオフセットを計算できる。ブロック132fで示されているように、各サブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップの各々について、その対応するオフセットをサブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップの高さデータから減算し、その後、ブロック134に従ってサブ複合スティッチング高さマップ又は内挿サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成することができる。
【0077】
図1Eは、本発明に従った物体の表面エリアの高さマップを測定するためのシステムのブロック図を示す。このシステムは、物体の表面の異なるセクションの測定高さマップの高さデータを記憶しているメモリ152と、処理ユニット154と、を少なくとも含む。高さデータは、視野すなわちFOVを有する少なくとも1つのプロフィロメータ150によって測定され、メモリ152に出力することができる。プロフィロメータ150は、表面の高さの異なるセクションの高さマップを測定するように構成され、FOVは個々のセクションをカバーし、各高さマップは高さデータを含む。
【0078】
処理ユニット154は、ロードされた対応するコンピュータ命令を実行した場合、
メモリから測定高さマップの高さデータを検索し、
測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化し、このとき各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有し、各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たないようにグループ化し、
各セット内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにする、
ように構成されている。
【0079】
処理ユニット154は更に、サブ複合スティッチング高さマップを複合高さマップに合成するように構成できる。
【0080】
特に、処理ユニット154は、測定高さマップを高さマップの別々のセットにグループ化するため、更に、
(a)各測定高さマップにインデックスを関連付けることによって、全ての測定高さマップにインデックスを付け、
(b)測定高さマップの各々について、高さマップの各々と有効な重複を共有する他の測定高さマップに関連付けられたインデックスのリストを生成し、
(c)測定高さマップを選択し、
(d)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内の各インデックスを、他の全ての測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスと比較し、
(e)選択された測定高さマップのインデックスのリスト内のインデックスの1つと別の測定高さマップのインデックスのリスト内の1又は複数のインデックスとの一致が見出された場合、別の測定高さマップのインデックスのリストを選択された測定高さマップのインデックスのリストとマージし、別の測定高さマップのインデックスのリストを破棄し、
(f)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスを識別し、
(g)マージしたインデックスのリスト内で2回以上出現するインデックスが識別された場合、マージしたインデックスのリスト内でインデックスの1回の出現を保持し、インデックスの他の全ての出現をマージしたインデックスのリストから破棄して、統合マージインデックスリストを取得し、
(h)残りの全ての測定高さマップに対してステップ(c)からステップ(g)を繰り返す、
ように構成され、上記処理後に残ったインデックスのリストの各々は高さマップのセットのうち1つを表す。
【0081】
計算された高さデータは、処理ユニット154から、高さマップ、特にサブ複合スティッチング高さマップ又は複合高さマップを表示するためのディスプレイデバイス162と、高さマップ、特にサブ複合スティッチング高さマップ又は複合高さマップの高さデータを記憶するためのメモリデバイス160と、高さマップ、特にサブ複合スティッチング高さマップ又は複合高さマップを印刷するための印刷デバイス164と、のうち少なくとも1つに出力することができる。
【0082】
図2Aは、連結されていない表面201、202、203、及び204を有する物体200の一部を概略的に示している。物体200は、図2Bに示されているような相互に直交したX軸、Y軸、及びZ軸を有する直交座標系に関連付けられている。物体200は単なる例として提示されている。本発明の方法、システム、及びソフトウェアは、例えばZ方向に傾斜した表面、角度の付いた表面、又は湾曲した表面のような、もっと複雑な表面を有する物体を処理することも可能である。表面201、202、及び203は実質的に矩形であり、部分的に円形のくぼみを有する。表面204は実質的に円形である。
【0083】
図3図2Aの物体200の上面図を示し、表面201、202、203、及び204は灰色エリアで示されている。X軸及びY軸(単位はmm)が示されている。光学プロフィロメータの視野は破線で示され、各視野すなわちFOVは、X方向の寸法が約0.13mm、Y方向の寸法が約0.11mmの表面を有する。物体200について、25の視野(FOV1からFOV25)が示されている。例として、FOV2は矩形302で示され、FOV19は矩形319で示されている。視野1から視野25は重複している。例として、FOV8はFOV9と重複し、その重複フィールドは矩形389で示され、FOV7はFOV12と重複し、その重複フィールドは矩形3712で示されている。
【0084】
図3から、視野11、12、14、15、18、及び23は物体200の表面部分を全くカバーしていないように見える。
【0085】
図4は、図3に従って物体200の表面を光学プロフィロメータでスキャンし、物体200の表面の25の重複する視野を生成することによって得られた高さマップを、準3次元図で示している。一例として、FOV1、6、9、13、20、及び21では、傾斜誤差及びオフセット誤差を示す各高さマップ401、406、409、413、420、及び421が得られる。別の例として、FOV5及び17では、オフセット誤差を示す各高さマップ405、417が得られる。視野11、12、14、15、18、及び23では、これらの視野で意味のあるZ座標が存在しないため、高さマップが得られないことがわかる。
【0086】
図5は、測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化した結果を示している。各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有する。各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない。測定高さマップのセットIは、視野1から10の高さマップを含む。測定高さマップのセットIIは、視野19、20、24、及び25の高さマップを含む。測定高さマップのセットIIIは、視野16、17、21、及び22の高さマップを含む。測定高さマップのセットIVは、視野13の高さマップを含む。
【0087】
図6AはセットIの高さマップを示し、図6BはセットI内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップ601にした結果を示す。図6CはセットIIの高さマップを示し、図6DはセットII内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップ602にした結果を示す。図6EはセットIIIの高さマップを示し、図6FはセットIII内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップ603にした結果を示す。図6GはセットIVの高さマップを示し、図6HはセットIV内で測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップ604にした結果を示す。実際には、高さマップを1つだけ含むセットIVではつなぎ合わせを省略することができるが、傾斜誤差及びオフセット誤差の補正が必要となる可能性がある。
【0088】
図7は、例えばスキャン前又はスキャン後の結果を用いて、サブ複合スティッチング高さマップ601、602、603、及び604を、高さマップ601、602、603、及び604からそれぞれ計算された高さマップ701、702、703、及び704を含む複合高さマップに合成した結果を示している。
【0089】
上記で詳しく説明したように、物体の表面の高さマップを測定するための方法及びシステムにおいて、以下のステップが実行される。個々のセクションをカバーする視野すなわちFOVを有する光学プロフィロメータを用いて、物体の表面の異なるセクションの高さマップを測定する。各高さマップは高さデータを含む。測定高さマップを別々のセットの高さマップにグループ化する。各セット内で、そのセットの高さマップの各々は、そのセットの少なくとも1つの他の高さマップとの有効な重複を有する。各高さマップは1つのセットに属し、別のセットの高さマップとは有効な重複を持たない。各セット内で、測定高さマップをつなぎ合わせてサブ複合スティッチング高さマップにする。サブ複合スティッチング高さマップを複合高さに合成する。
【0090】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化できる本発明を単に例示しているに過ぎないことは理解されよう。従って、本明細書に開示される具体的な構造及び機能の詳細は限定とは解釈されず、単に特許請求の範囲のための基礎として、及び、実質的にいかなる適切な詳細構造でも本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものとする。更に、本明細書で使用される用語及び語句は、限定でなく、本発明の理解可能な記載を与えることを意図している。
【0091】
本明細書で用いる場合、「a/an(1つの)」という用語は、1又は2以上として定義される。本明細書で用いる場合、複数(plurality)という用語は、2又は3以上として定義される。本明細書で用いる場合、別の(another)という用語は、少なくとも第2の又はそれ以上のものとして定義される。本明細書で用いる場合、含む(including)及び/又は有する(having)という用語は、備える(comprising)(すなわちオープンランゲージであり、他の要素又はステップを排除しない)として定義される。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、特許請求の範囲又は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0092】
単に特定の手段(measures)が相互に異なる従属請求項に列挙されているからといって、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないというわけではない。
【0093】
本明細書で用いる場合、結合される(coupled)という用語は接続される(connected)として定義されるが、これは必ずしも直接的にではなく、必ずしも機械的にではない。
【0094】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙された、いくつかのアイテムの機能を果たす場合がある。
【0095】
本明細書で用いる場合、コンピュータプログラム等の用語は、コンピュータシステムで実行するために設計された命令シーケンスとして定義される。プログラム、コンピュータプログラム、又はソフトウェアアプリケーションは、コンピュータシステムで、特にその処理ユニットで実行するために設計されたサブルーチン、関数、手順、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共用ライブラリ/動的負荷ライブラリ、及び/又はその他の命令シーケンスを含み得る。
【0096】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体のような適切な不揮発性媒体上に記憶及び/又は分配することができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線の電気通信システムを介して等の他の形態で分配することも可能である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7