(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電子部品および電子部品の接合構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20230314BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230314BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20230314BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230314BHJP
H01L 23/04 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H01L21/88 J
H01L23/12 F
H01L23/04 E
(21)【出願番号】P 2018227195
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒木 新一
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001686(JP,A)
【文献】国際公開第2015/040798(WO,A1)
【文献】特表2018-528622(JP,A)
【文献】特開2017-098402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 23/12
H01L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品において、
表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、
該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1記載の電子部品において、
前記第2の凹部は、前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項1または2いずれか記載の電子部品において、
前記第1の接続電極が形成された前記基材の表面の一部を凹状に切り欠いた第3の凹部を備え、
前記第2の凹部は、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の表面部分、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか記載の電子部品において、
前記第1の接続電極を取り囲む第1の溝を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項5】
基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品が、前記接続電極により別部品に接合する電子部品の接合構造において、
表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面に配置し、
該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備え、
前記第1の凹部と前記第2の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記別部品
に備えた第2の接続電極と接合していることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項6】
基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品が、前記接続電極により別部品に接合する電子部品の接合構造において、
表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、
該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部を備え、
前記別部品上に第2の接続電極が配置し、
該第2の接続電極は、平坦な外周部と、前記貫通電極の凹状の表面に対向する部分から外周端部に達する第4の凹部とを備え、
前記貫通電極表面の第1の凹状の表面と前記第4の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記第2の接続電極の前記外周部と接合していることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項7】
基材の表面から裏面に達する貫通電極と、第1の接続電極とを備えた電子部品が、第2の接続電極を備えた別部品に接合する電子部品の接合構造において、
表面が凹状の前記貫通電極に接続する前記第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、
該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備え、
前記第2の接続電極は、平坦な外周部と、前記貫通電極の凹状の表面に対向する部分から外周端部に達する第4の凹部とを備え、
前記第1の凹部、前記第2の凹部および前記第4の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記第2の接続電極の前記外周部と接合していることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項8】
請求項5または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記第2の凹部は、前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項9】
請求項5または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記第1の接続電極が形成された前記基材の表面の一部を凹状に切り欠いた第3の凹部を備え、
前記第2の凹部は、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の表面部分、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項10】
請求項6または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記第4の凹部は、前記第2の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項11】
請求項6または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記第2の接続電極が形成された前記別部品の表面の一部を凹状に切り欠いた第5の凹部を備え、
前記第4の凹部は、前記第5の凹部上の前記第2の接続電極の表面部分、前記第5の凹部上の前記第2の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項12】
請求項
5記載の電子部品の接合構造において、
前記基材あるいは前記別部品の少なくともいずれかにキャビティを備え、該キャビティ内に電子デバイスを搭載し、該電子デバイスの電極を前記貫通電極を通して外部に引き出すとともに、前記第1の凹部と前記第2の凹部を開放状態とする開口部を前記キャビティ内に開口することを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項13】
請求項5乃至
12いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記第1の接続電極と前記第2の接続電極との接合部を取り囲むように、前記基材に第1の溝、あるいは前記別部品に第2の溝の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする電子部品の接合構造。
【請求項14】
請求項
5乃至13いずれか記載の電子部品の接合構造において、
前記基材および前記別部品がシリコン基板からなることを特徴とする電子部品の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品および電子部品の接合構造に関し、特に貫通電極を備えた電子部品およびその接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯用情報端末機器において、時刻源や制御信号のタイミング源等として水晶などを利用した圧電振動子が用いられている。この種の電子部品は、セラミックパッケージ上に水晶振動子等の電子デバイスを搭載し、金属蓋を接合する中空パッケージ構造が採用されていた。
【0003】
一方で、近年のモバイル機器の小型化に伴い、電子部品の小型化が求められている。本願出願人はこのような要請に対し、特許文献1に記載の発振装置を提案した。
【0004】
この種の電子部品を
図8に示す。シリコン基板からなる基板部1とシリコン基板からなる蓋部2とを接合し、蓋部2に形成されたキャビティ3内に、水晶振動子等の電子デバイス8と信号処理等を行う内部回路9がパッケージングされる構造となっている。キャビティ3内に配置している電子デバイス8等の電極は、基板電極4から貫通電極5を経由して外部電極6に接続されている。また、キャビティ3内の気密性を保持するため、基板部1と蓋部2の外周部は全周にわたり接合材7で接合されている。
【0005】
ところで一般的な製造方法に従うと、厚い蓋部2の表面から裏面に達する貫通電極5は、深い貫通孔を形成した後、貫通孔内を無電極メッキ法あるいは電解メッキ法により金属を充填する方法で形成される。
【0006】
このような製造方法により形成された貫通電極5と外部電極6の接合部の拡大図を
図9(a)に示す。一般的なメッキ法による製造方法では、貫通孔内に充填される金属の端部(蓋部2の表面と裏面)を平坦化することが難しい。その結果、
図9(a)に示すように貫通電極5の表面は平坦化されず凹部10が形成されてしまう。貫通電極5と外部電極6は一体として形成される場合もあるが、その場合も同様に凹部10が形成されてしまう。
【0007】
このように凹部10が形成された外部電極6を平板状の実装基板11に接合した状態を
図9(b)に示す。外部電極6は、実装基板11上の実装基板電極12にハンダ等の接着部材13により接合されるが、凹部10に接着部材13を隙間なく充填することは難しく、凹部10内に接着部材13が充填されず、ボイド14が残ってしまう。同様に、凹部が形成された貫通電極5を基板部1の基板電極4に接合させる場合も、凹部に接着部材13を隙間なく充填させることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
接合部にボイド14が残ってしまうと、ボイド14は接着部材13によって密閉された状態となるため、リフロー工程等の高温処理が施されると、ボイド14内の水蒸気が膨張して接合が破壊されるなどの不具合が生じてしまう。本発明はこのような問題点を解消し、表面が凹状の貫通電極を実装基板等に接合する際、ボイドが原因の不具合の発生を防止することができる電子部品および電子部品の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品において、表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の電子部品において、前記第2の凹部は、前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0012】
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2いずれか記載の電子部品において、前記第1の接続電極が形成された前記基材の表面の一部を凹状に切り欠いた第3の凹部を備え、前記第2の凹部は、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の表面部分、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0013】
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の電子部品において、前記第1の接続電極を取り囲む第1の溝を備えていることを特徴とする。
【0014】
本願請求項5に係る発明は、基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品が、前記接続電極により別部品に接合する電子部品の接合構造において、表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面に配置し、該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備え、前記第1の凹部と前記第2の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記別部品に備えた第2の接続電極と接合していることを特徴とする。
【0015】
本願請求項6に係る発明は、基材の表面から裏面に達する貫通電極と、該貫通電極上に配置した接続電極とを備えた電子部品が、前記接続電極により別部品に接合する電子部品の接合構造において、表面が凹状の前記貫通電極に接続する第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部を備え、前記別部品上に第2の接続電極が配置し、該第2の接続電極は、平坦な外周部と、前記貫通電極の凹状の表面に対向する部分から外周端部に達する第4の凹部とを備え、前記貫通電極表面の第1の凹状の表面と前記第4の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記第2の接続電極の前記外周部と接合していることを特徴とする。
【0016】
本願請求項7に係る発明は、基材の表面から裏面に達する貫通電極と、第1の接続電極とを備えた電子部品が、第2の接続電極を備えた別部品に接合する電子部品の接合構造において、表面が凹状の前記貫通電極に接続する前記第1の接続電極が前記基材表面上に配置し、該第1の接続電極は、少なくとも平坦な外周部と、該外周部に囲まれ前記貫通電極の表面の第1の凹部から外周端部に達する第2の凹部とを備え、前記第2の接続電極は、平坦な外周部と、前記貫通電極の凹状の表面に対向する部分から外周端部に達する第4の凹部とを備え、前記第1の凹部、前記第2の凹部および前記第4の凹部が開放状態で、前記第1の接続電極の前記外周部が前記第2の接続電極の前記外周部と接合していることを特徴とする。
【0017】
本願請求項8に係る発明は、請求項5または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記第2の凹部は、前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0018】
本願請求項9に係る発明は、請求項5または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記第1の接続電極が形成された前記基材の表面の一部を凹状に切り欠いた第3の凹部を備え、前記第2の凹部は、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の表面部分、前記第3の凹部上の前記第1の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0019】
本願請求項10に係る発明は、請求項6または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記第4の凹部は、前記第2の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0020】
本願請求項11に係る発明は、請求項6または7いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記第2の接続電極が形成された前記別部品の表面の一部を凹状に切り欠いた第5の凹部を備え、前記第4の凹部は、前記第5の凹部上の前記第2の接続電極の表面部分、前記第5の凹部上の前記第2の接続電極の全部あるいは表面の一部を切り欠いた部分で構成されていることを特徴とする。
【0021】
本願請求項12に係る発明は、請求項5記載の電子部品の接合構造において、前記基材あるいは前記別部品の少なくともいずれかにキャビティを備え、該キャビティ内に電子デバイスを搭載し、該電子デバイスの電極を前記貫通電極を通して外部に引き出すとともに、前記第1の凹部と前記第2の凹部を開放状態とする開口部を前記キャビティ内に開口することを特徴とする。
【0022】
本願請求項13に係る発明は、請求項5乃至12いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記第1の接続電極と前記第2の接続電極との接合部を取り囲むように、前記基材に第1の溝、あるいは前記別部品に第2の溝の少なくともいずれかを備えていることを特徴とする。
【0023】
本願請求項14に係る発明は、請求項5乃至13いずれか記載の電子部品の接合構造において、前記基材および前記別部品がシリコン基板からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電子部品および電子部品の接合構造は、接合を形成する際にボイドが残ったとしても、ボイドを密閉状態としない電極構造を採用することで、ボイドに起因する不具合の発生を未然に防止することができる。
【0025】
本発明の電子部品をシリコン基板で構成すると、熱膨張率が等しい材料からなる部材同士を接合する構成となり、優れた密閉性のパッケージ構造を実現することができる。特に本発明をキャビテイ内に電子デバイスを搭載する構造の電子部品の接合構造に採用した場合、ボイドが残る可能性がある第1の凹部を開放状態とする開口部をキャビティ内に開口するように構成することで、接合部の外周部は全周にわたり従来から採用されていた接合材を容易に形成することができ、密閉性を保持しながら、ボイドによる不具合の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図9】従来の電子部品を実装基板に接合した場合の接合構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る電子部品は、貫通電極上に接合時にボイドが残る可能性のある凹部がある場合に、ボイドを密閉せず開放状態に保つ接合構造を容易に形成することができる構成としている。また凹部がある電子部品を別部品に接合する接合構造においても、ボイドを密閉せず開放状態に保つ接合構造を形成することができる構成としている。以下、本発明の電子部品および電子部品の接合構造について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
本発明の第1の実施例について、
図8で説明した電子部品のように蓋部2に貫通電極5が形成され、蓋部2の表面に外部電極6が接続している場合を例にとり説明する。
図1は、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部であって切欠部15の中央部における一部断面図(a)、外部電極6の上面からみた平面図(b)、実装構造の貫通電極5の中央部であって切欠部15の中央部における一部断面図(c)をそれぞれ示している。
【0029】
図1(a)に示すように、蓋部2(基材に相当)には、表面から図示しない裏面に達する貫通電極5が形成され貫通電極5の表面は凹状となっており、この貫通電極5上に外部電極6(第1の接続電極に相当)が積層している。図に示すように外部電極6の表面も貫通電極5の表面形状同様凹状となっており、凹部10(第1の凹部に相当)が形成されている。外部電極6の外周部(凹部10の周辺)は、蓋部2上に形成されるため平坦な形状となっている。また本実施例の外部電極6には
図1(b)に示すように、凹部10が形成された領域まで外部電極6の一部を切り欠いた切欠部15(第2の凹部に相当)が形成されている。
【0030】
このような構造の外部電極6を実装基板11(別部品に相当)に接合する場合、
図1(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板11(別部品に相当)の実装基板電極12が接合する。その際、外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接着部材13によって接合する。一方、凹部10に達する切欠部15が形成された領域には接着部材13がない状態となり、ボイドが発生する可能性がある凹部10と切欠部15が開放状態となる。また接着部材13が実装基板電極12上に存在した場合であっても、切欠部15によって実装基板電極12表面に間隙ができ、凹部10と切欠部15が開放状態に保たれる。外部電極6の外周部6aと実装基板電極12の接合は、切欠部15を除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0031】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【実施例2】
【0032】
次に第2の実施例について説明する。上記第1の実施例では切欠部15を形成するため外部電極6の全部を切り欠いたが、外部電極6の表面の一部を切り欠いて切欠部15を形成することもできる。具体的には、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部であって切欠部15の中央部における一部断面図を
図2(a)に、外部電極6の上面からみた平面図を
図2(b)に、実装構造の貫通電極5の中央部であって切欠部15の中央部における一部断面図を
図2(c)にそれぞれ示す。
【0033】
上記第1の実施例と同様に、本実施例の外部電極6には
図2(b)に示すように、凹部10が形成された領域まで外部電極6の一部を切り欠いた切欠部15(第2の凹部に相当)が形成されている。本実施例では、上記第1の実施例と異なり、その切欠部15の底面に外部電極6の一部が残る構造となっている(
図2a)。
【0034】
このような構造の外部電極6を実装基板11に接合する場合、
図2(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板11の実装基板電極12が接合する。その際、外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接着部材13によって接合する。一方、凹部10に達する浅い切欠部15であっても、ボイドが発生する可能性がある凹部10と切欠部15が開放状態となる。また接着部材13が実装基板電極12上に存在した場合であっても、切欠部15によって実装基板電極12表面に間隙ができ、凹部10と切欠部15が開放状態に保たれる。外部電極6の外周部6aと実装基板電極12の接合は、切欠部15を除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0035】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【実施例3】
【0036】
次に第3の実施例について説明する。上記第1、第2の実施例では外部電極6の一部を切り欠いて切欠部15(第2の凹部に相当)を形成したが、蓋部2(基材に相当)の表面の一部を凹状に切り欠いて段部16(第3の凹部に相当)を形成し、この段部16上に外部電極(第1の接続電極に相当)を形成することで、上記実施例の切欠部15(第2の凹部に相当)に相当する部分を形成することもできる。
【0037】
具体的には、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部であって段部16の中央部における一部断面図を
図3(a)に、外部電極6の上面からみた平面図を
図3(b)に、実装構造の貫通電極5の中央部であって段部16の中央部における一部断面図を
図3(c)にそれぞれ示す。
【0038】
本実施例では
図3(a)に示すように、貫通電極5の周囲の一部に蓋部2の表面の一部を凹状に切り欠いた段部16が形成されている。この段部16の深さを適宜設定することで、外部電極6の表面は、貫通電極5の中央部の凹部10が形成された表面の高さと、それに連続する段部16の延出方向の表面の高さが同じとなり、外周部6aより低い平坦な外周部6b(第2の凹部に相当)が形成される。
【0039】
このような構造の外部電極6を実装基板11に接合する場合、
図3(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板11の実装基板電極12が接合する。その際、外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接着部材によって接合する。一方、凹部10から連続する、外周部6aより低い平坦な外周部6bには接着部材13がない状態となり、ボイドが発生する可能性がある凹部10と外周部6bが開放状態となる。また接着部材13が実装基板電極12上に存在した場合であっても、段部16によって実装基板電極12表面に間隙ができ、凹部10が開放状態に保たれる。外部電極6の外周部6aと実装基板電極12の接合は、外周部6bを除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0040】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【0041】
なお本実施例においては、上記実施例1、実施例2で説明したように外部電極6の外周部6bの全部あるいは表面の一部を切り欠く切欠部15を付加することが可能である。この場合切欠部15の表面が、対向する実装基板電極12表面から切欠部15の深さ分だけ離れて配置するため、ボイドが発生する可能性がある凹部10と切欠部15が確実に開放状態となり好ましい。
【実施例4】
【0042】
次に第4の実施例について説明する。上記実施例1乃至実施例3の説明では、蓋部2(基材に相当)に形成した外部電極6(第1の接続電極に相当)の構造について説明したが、本発明は実装基板11(別部品に相当)に形成された実装基板電極12(第2の接続電極に相当)に切欠部15aを形成することも可能である。具体的には、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部における一部断面図を
図4(a)に、実装基板電極12の上面からみた平面図を
図4(b)に、実装構造の貫通電極5の中央部であって切欠部15aの中央部における一部断面図を
図4(c)にそれぞれ示す。
【0043】
本実施例では
図4(b)に示すように、実装状態となったとき蓋部2に形成された貫通電極5上の外部電極6表面の凹部10が形成される領域まで実装基板電極12の一部を切り欠いた切欠部15a(第4の凹部に相当)が形成されている。
【0044】
このような構造の実装基板電極12を備えた実装基板11と凹部10が形成された蓋部2を接合すると、
図4(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部と実装基板11の実装基板電極12が接合する。その際、外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接着部材13によって接合する。一方、凹部10に達する切欠部15aが形成された領域には接着部材13がない状態となり、ボイドが発生する可能性がある凹部10と切欠部15aが開放状態となる。また接着部材13が外部電極6上に存在した場合であっても、切欠部15aによって外部電極6表面に間隙ができ、凹部10と切欠部15aが開放状態に保たれる。外部電極6の外周部と実装基板電極12の接合は、切欠部15aを除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0045】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【実施例5】
【0046】
次に第5の実施例について説明する。上記第4の実施例では切欠部15aを形成するため実装基板電極12の全部を切り欠いたが、実装基板電極12の表面の一部を切り欠いて切欠部15aを形成することもできる。具体的には、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部における一部断面図を
図5(a)に、実装基板電極12の上面からみた平面図を
図5(b)に、実装構造の貫通電極5の中央部であって切欠部15aの中央部における一部断面図を
図5(c)にそれぞれ示す。
【0047】
上記第4の実施例と同様に、本実施例では
図5(b)に示すように、実装状態となったときに蓋部2に形成された貫通電極5上の外部電極6表面の凹部10が形成される領域まで実装基板電極12の一部を切り欠いた切欠部15aが形成されている。本実施例では、上記第4の実施例と異なり、その切欠部15aの底面には実装基板電極12の一部が残る構造となっている(
図5c)。
【0048】
このような構造の実装基板電極12を備えた実装基板11と凹部10が形成された蓋部2を接合すると、
図5(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板11の実装基板電極12が接合する。その際、外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接着部材13によって接合する。一方、凹部10に達する切欠部15aが形成された領域では接着部材13がない状態となり、ボイドが発生する可能性がある凹部10と切欠部15aが開放状態となる。また接着部材13が外部電極6上に存在した場合であっても、切欠部15aによって外部電極6表面に間隙ができ、凹部10と切欠部15aが開放状態に保たれる。外部電極6の外周部と実装基板電極12の接合は、切欠部15aを除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0049】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【実施例6】
【0050】
次に第6の実施例について説明する。上記第4、第5の実施例では実装基板電極12の一部を切り欠いて切欠部15aを形成したが、実装基板11の表面の一部を凹状に切り欠いて段部16a(第5の凹部に相当)を形成し、この段部16a上に実装基板電極12(第2の接続電極に相当)を形成することで、上記実施例の切欠部15a(第4の凹部に相当)に相当する部分を形成することもできる。
【0051】
具体的には、蓋部2に形成された貫通電極5上に外部電極6が積層形成された電子部品の貫通電極5の中央部における一部断面図を
図6(a)に、実装基板電極12の上面からみた平面図を
図6(b)に、実装構造の貫通電極5の中央部であって段部16aの中央部における一部断面図を
図6(c)にそれぞれ示す。
【0052】
本実施例では
図6(b)に示すように、実装状態となったときに蓋部2に形成された貫通電極5上の外部電極6表面の凹部10が形成される領域まで実装基板11の表面の一部を凹状に切り欠いて段部16a(第5の凹部に相当)が形成されている。この段部16aの深さを適宜設定することで、実装基板電極12の表面は、貫通電極5の中央部の凹部10が形成された領域から連続し、凹部10より突出する外周部6aが形成された領域まで、所望の寸法だけ離間した状態となり、上記実施例の切欠部15aに相当する領域(第4の凹部に相当)が形成される。
【0053】
このような構造の実装基板電極12を備えた実装基板11と凹部10が形成された蓋部2を接合すると、
図6(c)に示すように外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板11の実装基板電極12が接合する。その際、外部電極6の平坦な外周部6aと実装基板電極12がはんだ等の接合部材13によって接合する。一方、段部16aによって低くなった実装基板電極12には接着部材13がない状態となり、ボイドが発生する可能性がある凹部10と段部16a上の実装基板電極12が開放状態になる。また接着部材13が実装基板電極12上あるいは外部電極6上に存在した場合であっても、段部16aによって実装基板電極12表面に間隙ができ、凹部10が開放状態に保たれる。外部電極6の外周部6aと実装基板電極12の接合は、段部16aが形成領域を除いて貫通電極5を取り囲むように形成されるため、接着強度は十分に保つことができる。
【0054】
このような接合構造とすることで、凹部10に密閉されたボイドが発生することはなくボイドが原因の不具合の発生を防止することができる。
【0055】
なお、本実施例においては、上記実施例4、実施例5で説明したように段部16a上の実装基板電極12の全部あるいは表面の一部を切り欠いて形成した切欠部15aを付加することが可能である。この場合、切欠部15aの表面が、対向する外部電極6表面から切欠部15aの深さ分だけ離れて配置するため、ボイドが発生する可能がある凹部10と切欠部15aが確実に開放状となり好ましい。
【実施例7】
【0056】
次に第7の実施例について説明する。上記説明した接合構造では、はんだ等の接着部材13を用いて接合を形成している。ここで接着部材の種類によっては、流動性が高く、接合構造を形成する際、凹部10に連通する部分に流れ込み凹部10を閉塞してしまう可能性がある。そのような不具合を防止するため、接合を形成するために必要な量の接着部材13を残し不要な接着部材13を取り除くことが好ましい。そこで、たとえば
図6で説明した電子部品の場合、基板電極12の周囲に接合を形成する際に余分な接合部材13が流れ込む溝部17(第2の溝に相当)を形成しても良い(
図7b、
図7c)。
【0057】
この溝部17は、
図7に示すように接合が形成する領域全周に配置することは必ずしも必要ではない。凹部10を開放状態に保つため、不要な接合部材が流れ込む位置に適宜配置すればよい。
【0058】
また
図7(c)に示す接合構造では、接合を形成する際に蓋部2が上側に、実装基板11を下側に配置しているため、接合時に接着部材13が実装基板11側に流れ込む配置となっている。そのため実装基板11に溝部17を形成している。これに対し例えば、
図7に示す配置とは逆に、蓋部2が下側に、実装基板11を上側に配置する場合には、接合時に接着部材13が蓋部2側の流れ落ちる配置となるため、蓋部2に溝部17(第1の溝に相当)を形成すれば良い。このような溝部17は、上述した実施例のいずれにも付加することができる。
【実施例8】
【0059】
次に第8の実施例について説明する。上記説明した接合構造を備えた電子部品を形成することができる。具体的には、先に
図8で説明したように、シリコン基板からなる基板部1とシリコン基板からなる蓋部2とを接合し、蓋部2に形成されたキャビティ3内に水晶振動子等の電子デバイス8をパッケージングする。貫通電極5は、
図8に示すように蓋部2に形成する代わりに、基板部1に形成しても良い。
【0060】
この種の電子デバイスは、キャビティ3内を気密状態で封止する必要があるので、基板部1と蓋部2を接合するために、上記説明した実施例の接合構造を採用する際には、ボイドが発生する可能性のある凹部を開放状態とする切欠部15、15b等は、キャビティ内に開口するように配置すれば、平板状の基板部1と蓋部2とを接合材7で密閉することができる。
【0061】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものないことは言うまでもなく、切欠部の形状や数等は適宜設定すればよい。また、段部を形成する際には、基材表面に例えば絶縁膜を積層形成しておき、この絶縁膜を除去することで段部を形成する構成としても良い。さらにまた、蓋部2に形成した凹部10を開放状態に保つ方法と、実装基板11に形成した凹部10を開放状態に保つ方法を適宜組み合わせることも可能である。
【0062】
貫通電極5に接続する外部電極6や、実装基板11上の実装基板電極12は、ボイドが発生する可能性がある凹部10を開放状態とする切欠部15、15aを形成しない場合には、必ずしも必須の構成ではない。例えば、
図1(c)に示す例において、貫通電極5が信号伝達等の機能を持たない場合には実装基板電極12は不要となり、直接実装基板11に接合する構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1:基板部、2:蓋部、3キャビティ、4:基板電極、5:貫通電極、6:外部電極、7:接合材、8:電子デバイス、9:内部回路、10:凹部、11:実装基板、12:実装基板電極、13:接着部材。14:ボイド、15:切欠部、16:段部、17:溝部