(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
G01D5/244 E
(21)【出願番号】P 2020509781
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2019009039
(87)【国際公開番号】W WO2019188084
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2018061276
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅彦
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-7696(JP,A)
【文献】特開2018-44859(JP,A)
【文献】特開平7-181058(JP,A)
【文献】特開2004-132977(JP,A)
【文献】特開2006-234697(JP,A)
【文献】特開2010-2267(JP,A)
【文献】特開2006-29792(JP,A)
【文献】特開平6-147918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0301844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
前記移動部の移動に基づき検出信号が発生する信号発生部と、
前記検出信号に基づいて電力供給部から供給される電力によって、前記電力供給部の状態を検出する状態検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記電力供給部から前記状態検出部への電力の供給の有無を切り替える
第1切替部と、
前記位置検出部が前記位置情報を検出するタイミングと前記状態検出部が前記電力供給部の状態を検出するタイミングとを相対的に調整するタイミング調整部と、を備えるエンコーダ装置。
【請求項2】
前記検出信号に基づいて、前記電力供給部から前記位置検出部への電力の供給の有無を切り替える第2切替部を更に備える、請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記タイミング調整部は、前記信号発生部と前記第1切替部との間に配置される、請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記タイミング調整部は、前記第2切替部よりも遅れて前記第1切替部に前記検出信号を入力する、請求項2又は請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記タイミング調整部は、前記位置検出部の検出の動作が完了してから前記位置検出部に対する電力の供給が終了するまでの間に前記状態検出部の検出の動作、及び検出結果の記憶が完了するように、前記第1切替部の切替の動作と前記第2切替部の切替の動作との相対的なタイミングを調整する、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記タイミング調整部は、前記第1切替部よりも遅れて前記第2切替部に前記検出信号を入力する、請求項2又は請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記状態検出部は、前記位置検出部が前記位置情報の検出を開始する前に、前記電力供給部の状態の検出を開始する、請求項6に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記状態検出部は、前記位置検出部が前記位置情報を検出する期間の少なくとも一部と重複する期間に、前記電力供給部の状態を検出する、請求項2から請求項7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記タイミング調整部は、遅延回路を含む、請求項2から請求項8のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記位置検出部は、前記電力供給部とは異なる電源部からの電力の供給が遮断された状態において、前記電力供給部から供給される電力によって前記位置情報を検出し、
前記
第1切替部は
、電源部から前記位置検出部への電力の供給が遮断された状態において、前記検出信号に基づいて前記電力供給部から前記状態検出部への電力の供給の有無を切り替える、請求項
2から請求項9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
前記
第1切替部は、前記電力供給部から前記状態検出部へ電力を供給する経路に設けられるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子のゲート電極には、前記検出信号によって電圧が印加される、請求項
10に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
前記位置検出部は、前記電力供給部とは異なる電源部から供給される電力によって前
記位置情報を検出し、
前記
第1切替部は
、電源部から前記位置検出部へ電力が供給される状態において、制御部から供給される制御信号に基づいて、前記電力供給部から前記状態検出部への電力の供給の有無を切り替える、請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項13】
前記
第1切替部は、前記電力供給部から前記状態検出部へ電力を供給する経路に設けられるスイッチング素子を備え、
前記スイッチング素子のゲート電極には、前記制御信号によって電圧が印加される、請求項
12に記載のエンコーダ装置。
【請求項14】
前記電力供給部はバッテリーを備える、請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項15】
前記状態検出部の検出結果に基づいて、前記バッテリーの寿命情報を算出する寿命算出部を備える
、請求項
14に記載のエンコーダ装置。
【請求項16】
前記状態検出部の検出結果を、前記バッテリーから供給される電力によって記憶する記憶部を備え、
前記寿命算出部は、前記記憶部に記憶された前記状態検出部の検出結果に基づいて、前記バッテリーの寿命情報を算出する、請求項
15に記載のエンコーダ装置。
【請求項17】
前記寿命算出部は、前記バッテリーと異なる電源部から供給される電力によって前記バッテリーの寿命情報を算出する、請求項
15又は請求項
16に記載のエンコーダ装置。
【請求項18】
前記位置検出部は、
電源部から電力が供給される通常状態において
、電源部から供給される電力によって前
記位置情報を検出し、
前記電力供給部からの電力の供給が遮断されるバックアップ状態において、前記電力供給部から供給される電力によって前
記位置情報を検出し、
前記通常状態と前記バックアップ状態とを切り替える第
3切替部を備える、請求項1から1
7のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項19】
前記
電力供給部の状態は、前記
電力供給部が使用される環境の状態、前記
電力供給部の動作の状態、前記
電力供給部の電気的なパラメータの状態、又は前記
電力供給部の自己放電の状態を含む、請求項1
から請求項1
8のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項20】
請求項1から請求項1
9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
前記移動部を駆動する駆動部と、を備える駆動装置。
【請求項21】
請求項
20に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって移動するステージと、を備えるステージ装置。
【請求項22】
請求項
20に記載の駆動装置と、
前記駆動装置によって移動するアームと、を備えるロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダ装置は、ロボット装置などの各種装置に搭載されている(例えば、下記の特許文献1参照)。ロボット装置が所定の処理を終了すると、その主電源がオフにされ、エンコーダ装置は、主電源からの電力の供給が停止される。エンコーダ装置は、例えば、主電源がオフになった場合、主電源と異なる電力供給部(例、バッテリー)から供給される電力によって検出を実行する。このような場合、エンコーダ装置は、例えば、消費電力を低減しつつ、上記電力供給部の状態を検出可能であることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1態様においては、エンコーダ装置を提供する。エンコーダ装置は、移動部の位置情報を検出する位置検出部を備える。エンコーダ装置と、移動部の移動に基づき検出信号が発生する信号発生部を備える。エンコーダ装置は、検出信号に基づいて電力供給部から供給される電力によって、電力供給部の状態を検出する状態検出部を備える。エンコーダ装置は、検出信号に基づいて、電力供給部から状態検出部への電力の供給の有無を切り替える第1切替部を備える。エンコーダ装置は、位置検出部が位置情報を検出するタイミングと状態検出部が電力供給部の状態を検出するタイミングとを相対的に調整するタイミング調整部を備える。
【0006】
本発明の第2態様においては、駆動装置を提供する。駆動装置は、第1態様のエンコーダ装置を備える。駆動装置は、移動部を駆動する駆動部を備える。
【0007】
本発明の第3態様においては、ステージ装置を提供する。ステージ装置は、第2態様の駆動装置を備える。ステージ装置は、駆動装置によって移動するステージを備える。
【0008】
本発明の第4態様においては、ロボット装置を提供する。ロボット装置は、第2態様の駆動装置を備える。ロボット装置は、駆動装置によって移動するアームを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る磁気センサおよび信号発生部を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るエンコーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】第2実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係るエンコーダ装置の通常状態における動作を示すタイミングチャートである。
【
図8】第2実施形態に係るエンコーダ装置のバックアップ状態における動作を示すタイミングチャートである。
【
図9】第3実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係るエンコーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】第4実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
【
図12】第4実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。
【
図13】第5実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。
【
図15】実施形態に係るステージ装置を示す図である。
【
図16】実施形態に係るロボット装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。エンコーダ装置ECは、移動部(例、回転体SF)の位置情報(移動情報、回転位置情報)を検出する。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、ロータリーエンコーダである。移動部は、例えば、回転モータ(動力供給部)の回転体SFであり、移動部の移動は、所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、回転体SFの回転位置情報である。
【0011】
回転体SFは、電動モータなどの駆動装置MTRにおける出力軸(例、電気子と連動する物体、シャフト、回転子)を含む。なお、回転体SFは、駆動装置MTRの出力軸と接続される作用軸でもよい。上記の作用軸は、例えば、駆動装置MTRの出力軸と変速機を介して接続される軸を含む。
【0012】
駆動装置MTRは、本体部MBおよび制御部MCを備える。本体部MB(モータ本体部)は、例えば、回転子、固定子、及びボディを含む。回転子は、電動モータの電気子を含む。固定子は、電動モータの磁石(例、永久磁石)を含む。ボディは、回転子および固定子を収容する。固定子は、ボディと固定され、回転子は、ボディに対して回転可能に支持される。
【0013】
回転子は、電源部PWから供給される電力によって、固定子に対して回転する。電源部PW(第1電源部)は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源である。回転体SFは、回転子と固定され、回転子とともに固定子に対して回転する。
【0014】
制御部MC(モータ制御部)は、エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報に基づいて、回転体SFの駆動を制御する。例えば、制御部MCは、回転位置情報に基づいて、回転子の回転に消費される電力として電源部PWから供給される電力を制御する。制御部MCは、例えば、回転子の角度位置、角速度、及び角加速度の少なくとも一つが目標値に近づくように、本体部MBに供給される電力を制御する。
【0015】
上記の回転位置情報は、多回転情報と角度位置情報との一方または双方を含む。多回転情報は、回転の数(例、1回転、2回転、多回転)を示す情報を含む。角度位置情報は、1回転未満の角度位置(回転角)を示す情報を含む。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、多回転アブソリュートエンコーダである。この場合に、上記の回転位置情報は、多回転情報および角度位置情報を含む。
【0016】
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。まず、回転位置情報を検出する構成について説明する。エンコーダ装置ECは、位置検出部1と、合成部2と、通信部3とを備える。位置検出部1は、回転体SFの回転位置情報を検出する。位置検出部1は、角度検出部1Aと、多回転検出部1Bとを備える。角度検出部1Aは、回転体SFの角度位置を検出する。多回転検出部1Bは、回転体SFの多回転情報を検出する。
【0017】
角度検出部1Aは、スケールSの一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。角度検出部1Aは、光学式エンコーダと磁気式エンコーダとの一方または双方を含む。本実施形態の角度検出部1Aは、光学式エンコーダを含む。角度検出部1Aは、磁気式エンコーダを含んでもよい。
【0018】
角度検出部1Aは、スケールS、照射部11、検出部12、及び処理部13を備える。スケールSは、回転体SFの移動(例、回転)に基づき検出部12に対して相対的に移動し、検出部12によってスケールSの相対的な位置を検出される。本実施形態におけるスケールSは、回転体SFに固定されている。スケールSは、例えば円板状の部材である。この場合、回転体SF(移動体)の回転方向(移動方向)は、円板状のスケールSの周方向である。スケールSは、例えば、ガラス製、金属製、あるいは樹脂製の部材である。スケールSは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、それぞれ、光学パターン(光学スケール)を含む。
【0019】
照射部11(発光部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する。照射部11は、例えば、発光ダイオード(LED)などの発光素子(例、固体光源)を含む。検出部12(センサ部、受光部)は、照射部11から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光、及び照射部11から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光をそれぞれ検出する。照射部11は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子(例、光電変換素子)を含む。
【0020】
角度検出部1Aは、スケールSのパターンニング情報を検出部12で読み取ることにより、回転体SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。角度検出部1Aが検出するスケールSのパターンニング情報は、例えば、スケールS上の透過パターン(例、スリット)又は反射パターン(例、反射膜)等による明暗のパターンである。
図1において、角度検出部1Aは反射型である。この場合、検出部12は、スケールSで反射した光を検出する。なお、角度検出部1Aは透過型であってもよい。この場合、検出部12は、スケールSを透過した光を検出する。
【0021】
検出部12は、検出結果(受光結果)を示す信号を処理部13へ供給する。処理部13は、検出部12の検出結果を使って、回転体SFの角度位置を検出する。処理部13は、例えば、確度位置情報を処理する角度処理部である。例えば、処理部13は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、処理部13は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行う。処理部13は、上記内挿演算によって、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
【0022】
多回転検出部1Bは、角度検出部1Aの検出対象と同じ回転体SFの多回転情報を検出する。多回転検出部1Bは、磁気式エンコーダと光学式エンコーダとの一方または双方を含む。本実施形態の多回転検出部1Bは、磁気式エンコーダを含む。多回転検出部1Bは、光学式エンコーダを含んでもよい。多回転検出部1Bは、磁石21、磁気検出部22、処理部23、及び記憶部24を備える。
【0023】
磁石21(磁気スケール)は、回転体SFの回転によって、磁気検出部22に対して相対的に回転する。磁石21は、回転体SFに固定されたスケールS(第1の回転体)に設けられる。例えば、スケールSが回転体SFとともに回転し、磁石21は回転体SFと連動して回転する。磁石21は、回転体SFの回転軸AXの回転軸方向と交差する方向に配置される。本実施形態では、磁石21は、回転体SFの回転方向に沿って配置される。磁石21は、例えばリング形状の部材である。
【0024】
磁気検出部22は、回転体SFの外部の部材に対して固定(支持)される。磁石21および磁気検出部22は、回転体SFの回転によって互いの相対位置(相対的な角度位置)が変化する。磁石21が形成する磁気検出部22上の磁界の強さおよび向きは、回転体SFの回転によって変化する。磁気検出部22は、磁石21が形成する磁界を検出する。例えば、磁気検出部22は、磁気センサ25および磁気センサ26を備える。
【0025】
処理部23は、磁石21が形成する磁界を磁気検出部22が検出した結果に基づいて、回転体SFの多回転情報を検出(算出)する。例えば、処理部23は、磁気検出部22の検出結果をA相信号に利用し、かつ磁気センサ26の検出結果をB相信号に利用して、多回転情報を検出する。処理部23は、例えば、多回転情報を処理する多回転処理部である。記憶部24は、処理部23から出力された位置情報(例、多回転情報)を記憶する。例えば、記憶部24は、処理部23が検出した位置情報(多回転情報)を、処理部23からの記憶指令(データの書き込み指令)に基づいて記憶する。
【0026】
なお、磁気検出部22がスケールSに設けられる場合、磁石21は、磁気検出部22と異なる位置で、スケールSの外部に設けられてもよい。例えば、磁石21は、スケールSの回転によって、スケールSに設けられた磁気検出部22と相対的に回転する位置に設けられてもよい。
【0027】
合成部2は、処理部13が検出した上記の第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部2は、多回転検出部1Bの記憶部24から回転体SFの多回転情報を取得する。合成部2は、処理部13からの角度位置情報、及び多回転検出部1Bからの多回転情報を合成し、回転体SFの回転位置情報を算出する。例えば、処理部13の検出結果がθ[rad]であり、多回転検出部1Bの検出結果がn回転である場合に、合成部2は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と角度位置情報とを一組にした情報でもよい。
【0028】
エンコーダ装置ECは、通信部3(例、外部通信部、外部接続インターフェース)を備え、通信部3は、有線または無線によって、制御部MCと通信可能に接続される。通信部3は、例えば、デジタル形式の回転位置情報を、制御部MCに供給(送信)する。制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を適宜復号する。制御部MCは、回転位置情報を使って本体部MBへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、回転体SFの回転を制御する。
【0029】
なお、エンコーダ装置ECは、角度検出部1Aが検出した角度位置情報に基づいて、多回転情報を検出してもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、角度検出部1Aが検出した角度位置が359°であって、次に角度検出部1Aが検出した角度位置が1°である場合に、多回転情報を+1してもよい。エンコーダ装置ECは、角度位置情報に基づいて多回転情報を検出する場合、多回転検出部1Bを備えなくてもよい。また、エンコーダ装置ECは、多回転情報を検出し、角度位置情報を検出しなくてもよい。この場合、駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECと別に、角度位置情報を検出するエンコーダ装置を備えてもよい。
【0030】
次に、エンコーダ装置ECで消費される電力を供給する構成について説明する。エンコーダ装置ECは、電力供給部31を備える。位置検出部1は、電源部PWと電力供給部31とのそれぞれから電力の供給を受けることができる。例えば、位置検出部1は、電源部PWが駆動装置MTRの本体部MBに電力を供給する状態において、電源部PWから電力の供給を受ける。また、位置検出部1は、電源部PWが駆動装置MTRの本体部MBに電力の供給を停止した状態において、電力供給部31から電力の供給を受ける。以下の説明において、適宜、電源部PWから位置検出部1に電力が供給される状態を通常状態と称し、電力供給部31から位置検出部1に電力が供給される状態をバックアップ状態と称する。通常状態とバックアップ状態とは、例えば、重複しないように切り替えられる(択一的に切り替えられる)。
【0031】
まず、上記の通常状態について説明する。通常状態において、駆動装置MTRは、電源部PWから供給される電力を用いて回転体SFを駆動する。通常状態において、多回転検出部1Bは、電源部PWから供給される電力を用いて多回転情報を検出する。また、通常状態において、角度検出部1Aは、電源部PWから供給される電力を用いて角度位置情報を検出する。また、通常状態において、合成部2は、多回転検出部1Bが検出した多回転情報と、角度検出部1Aが検出した角度位置情報とに基づいて、回転位置情報を生成する。そして、通常状態において、合成部2は、電源部PWから供給される電力を用いて、回転位置情報を生成する。通常状態において、通信部3は、電源部PWから供給される電力を用いて、合成部2が生成した回転位置情報を外部(例、制御部MC)に出力(例、送信)する。
【0032】
また、位置検出部1は、電源部PWからの電力の供給が停止された状態において、電源部PWとは異なる電力供給部31(例、バッテリー)から供給される電力を用いて回転体SFの回転位置情報を検出する。以下の説明において、適宜、電力供給部31からエンコーダ装置ECに電力が供給される状態をバックアップ状態と称する。バックアップ状態は、例えば、電源部PWから駆動装置MTRの本体部MBへの電力の供給が停止された状態である。
【0033】
次に、上記のバックアップ状態について説明する。バックアップ状態において、位置検出部1は、多回転情報と角度位置情報との一方または双方を検出する。例えば、位置検出部1は、バックアップ状態において、回転位置情報のうち少なくとも多回転情報を検出する。バックアップ状態において、多回転検出部1Bは、電力供給部31から供給される電力を用いて多回転情報を検出する。
【0034】
例えば、磁気検出部22は、バックアップ状態において、電力供給部31から供給される電力を用いて磁気を検出する。また、処理部23は、バックアップ状態において、電力供給部31から供給される電力を用いて、磁気検出部22の検出結果を処理することで多回転情報を検出(導出)する。記憶部24は、バックアップ状態において、電力供給部31から供給される電力を用いて、処理部23が検出した多回転情報を記憶する。
【0035】
角度検出部1Aは、バックアップ状態において角度位置情報を検出しない。したがって、電力供給部31は、バックアップ状態において角度検出部1Aに電力を供給しない。角度検出部1Aは、電力供給部31から電力が供給されないことによって、角度位置情報を検出しない。角度検出部1Aは、バックアップ状態から通常状態に切り替えられた際に短時間のうちに角度位置情報を検出する。合成部2は、バックアップ状態から通常状態に切り替えられた際に、角度検出部1Aが検出した角度位置情報と、記憶部24に記憶されている多回転情報とに基づいて、回転位置情報を生成する。通信部3は、合成部2が生成した多回転情報を制御部MCに送信する。
【0036】
なお、バックアップ状態において、電力供給部31は、角度検出部1Aに電力を供給してもよい。角度検出部1Aは、バックアップ状態において、電力供給部31から供給される電力を用いて角度位置情報を検出してもよい。この場合、エンコーダ装置ECは、角度検出部1Aが検出した角度位置情報に基づいて、多回転情報を検出してもよい。エンコーダ装置ECが角度位置情報に基づいて多回転情報を検出する場合、電力供給部31は、バックアップ状態において角度検出部1Aに電力を供給し、多回転検出部1Bに電力を供給しなくてもよい。
【0037】
次に、電力供給部31の各部について説明する。電力供給部31は、信号発生部33と、整流部34と、切替部35と、バッテリー36とを備える。信号発生部33は、回転体SFの移動に基づき検出信号が発生する。信号発生部33は、移動部(例、回転体SF)の移動(例、回転)に伴う磁界の変化によって電気信号(検出信号)が発生する。この電気信号は、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部33には、例えば、回転体SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、信号発生部33には、多回転検出部1Bが回転体SFの多回転情報の検出に用いる磁石21が形成する磁界の変化によって、検出信号が発生する。信号発生部33は、上記の位置検出部1とは異なる部材であって、回転体SFの回転によって、磁石21との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部33には、例えば、信号発生部33と磁石21との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
【0038】
図2は、第1実施形態に係る磁気センサおよび信号発生部を示す図である。
図2(A)には磁石21、磁気検出部22、及び信号発生部33の斜視図を示した。
図2(B)には、回転体SFの方向から見た磁石21、磁気検出部22、磁気センサ26、及び信号発生部33の平面図を示した。
【0039】
磁石21は、回転によって回転体SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石21は、例えば回転体SFと同軸の円環状の部材である。磁石21の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転体SFとほぼ垂直である。
図2(B)に示すように、磁石21は、4極に着磁した永久磁石である。磁石21は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。磁石21において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
【0040】
以下の説明において、
図1に示した駆動装置MTRの本体部MBに対してスケールSと同じ側から見た場合の反時計回りの回転を、適宜、順回転という。また、順回転と反対周りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。
【0041】
ここで、磁石21に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置21aで表し、位置21aから90°回転した角度位置を位置21bで表す。また、位置21bから90°回転した角度位置を位置21cで表し、位置21cから90°回転した位置を位置21dで表す。位置21cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。
【0042】
位置21aから反時計回りに180°の第1区間において、磁石21の外周側にN極が配置されており、磁石21の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね磁石21の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置21bにおいて最大となり、位置21aの近傍および位置21cの近傍で最小となる。
【0043】
位置21cから反時計回りに180°の第2区間において、磁石21の内周側にN極が配置されており、磁石21の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、磁石21の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置21dにおいて最大となり、位置21aの近傍および位置21cの近傍で最小となる。
【0044】
このように、磁石21が形成する磁界の径方向の向きは、位置21aにおいて反転し、位置21cにおいて反転する。磁石21は、磁石21の外部に固定された座標系に対し、磁石21の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。所定の角度位置において、信号発生部33は、磁石21の主面(例、スケールSのパターニング面と平行な面)の法線方向(例、回転体SFの軸方向と平行な方向)から見て磁石21と重なる位置に配置されている。
【0045】
本実施形態において、信号発生部33は、第1信号発生部33aおよび第2信号発生部33bを備える。第1信号発生部33aおよび第2信号発生部33bは、それぞれ、電気信号を発生するユニットである。第1信号発生部33aおよび第2信号発生部33bは、それぞれ、磁石21と非接触に設けられる。信号発生部33が備えるユニットの数は、
図2において2つ(第1信号発生部33a、第2信号発生部33b)であるが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0046】
第1信号発生部33aは、第1感磁性部41および第1発電部42を備える。第1感磁性部41および第1発電部42は、それぞれ、磁石21の外部に固定されている。第1感磁性部41および第1発電部42は、それぞれ、磁石21の回転に伴って磁石21上の各位置との相対位置が変化する。例えば、
図2(B)では、第1信号発生部33aから反時計回りに45°の位置に、磁石21の位置21bが配置されており、この状態から磁石21が順方向(反時計回り)に1回転すると、信号発生部33の近傍を位置21b、位置21c、位置21d、位置21aが、この順に通過する。
【0047】
第1感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。第1感磁性部41には、磁石21の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果、バルクハウゼン効果)が生じる。第1感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石21の径方向に設定されている。第1感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
【0048】
第1発電部42は、第1感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42には、第1感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。信号発生部33は、磁石21が所定の位置に配置された際に、検出信号が発生する。例えば、
図2(B)に示した磁石21の位置21aまたは位置21cが信号発生部33の近傍を通過する際に、第1発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、第1発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号(電気信号)を出力可能であり、外部(例、
図1の電源部PW)からの電力供給がなくても動作可能である。
【0049】
第1発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石21の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石21の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
【0050】
図2(A)に示すように、第1感磁性部41および第1発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。第1発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。第1発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、第1信号発生部33aの外部へ取り出し可能である。
【0051】
第2信号発生部33bは、第1信号発生部33aが配置される角度位置から0°より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に、配置される。第1信号発生部33aの角度位置と第2信号発生部33bの角度位置との角度は、45°以上135°以下の範囲から選択され、
図2(B)では約90°である。
【0052】
第2信号発生部33bは、第1信号発生部33aと同様の構成である。第2信号発生部33bは、第2感磁性部45および第2発電部46を備える。第2感磁性部45および第2発電部46は、それぞれ、第1感磁性部41および第1発電部42と同様である。第2感磁性部45および第2発電部46は、ケース47に収納されている。ケース47には端子47aおよび端子47bが設けられている。第2発電部46で発生した電力は、端子47aおよび端子47bを介して、第2信号発生部33bの外部へ取り出し可能である。
【0053】
なお、上述の信号発生部33の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部33は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力(例、電気信号)を発生してもよい。また、信号発生部33が備える発電ユニットの数は、適宜変更可能であり、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、信号発生部33の配置についても適宜変更可能である。
【0054】
磁気検出部22は、磁気センサ25および磁気センサ26を含む。磁気センサ25は、回転体SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部33a)に対して0°より大きく90°未満の角度位置で配置される。磁気センサ26は、回転体SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部33a)に対して90°より大きく180°未満の角度位置で配置される。
【0055】
ここで、回転体SFが一方向に回転しているとする。第1信号発生部33aは、例えば、その近傍を磁石21の位置21aが通過する際に、端子43aから端子43bへ流れる電流パルス(例、正の電流パルス)が発生する。また、第1信号発生部33aは、例えば、その近傍を磁石21の位置21cが通過する際に、端子43bから端子43aへ流れる電流パルス(例、負の電流パルス)が発生する。このように、第1信号発生部33aは、回転の向き、及びその近傍を通過する磁石21の位置に基づいて、電流パルスの向き(正負)が変化する。第2信号発生部33bは、第1信号発生部33aと同様に電流パルス(例、正の電流パルス、負の電流パルス)が発生する。
【0056】
図1の説明に戻り、整流部34は、信号発生部33と電気的に接続されている。整流部34は、信号発生部33から入力される電流(例、電流パルス)を整流する。整流部34は、例えば、全波整流を行う整流器を含む。例えば、整流部34は、第1信号発生部33aから入力される負の電流パルスを正の電流パルスに変換して、正の電流パルスを出力する。例えば、整流部34は、第1信号発生部33aの近傍を磁石21の位置21aが通過する際と、第1信号発生部33aの近傍を磁石21の位置21cが通過する際とのそれぞれにおいて、正の電流パルスを出力する。なお、整流部34は、半波整流を行うものでもよい。また、電力供給部31は、整流部34を備えなくてもよい。
【0057】
バッテリー36は、バックアップ状態において、信号発生部33で発生する検出信号(例、電流パルス)に基づいて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー36は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池を含む。バッテリー36は、リチウムイオン二次電池などの二次電池を含んでもよい。また、バッテリー36は、一次電池および二次電池を含んでもよい。
【0058】
なお、エンコーダ装置ECは、バッテリー36を備えなくてもよい。この場合、エンコーダ装置ECは、バッテリー36を接続可能な端子を備え、バッテリー36を備えない状態で提供されてもよい。バッテリー36は、例えば、上記の端子が取り付けられたケースにバッテリー36が収容されることで、エンコーダ装置ECに接続されてもよい。エンコーダ装置ECは、例えば、バッテリー36の交換が可能であり、バッテリー36が装着されていない状態で提供されてもよい。
【0059】
切替部35は、信号発生部33で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー36から位置検出部1への電力の供給の有無を切り替える。切替部35は、位置検出部1とバッテリー36との間であってバッテリー36から位置検出部1に電力が供給される経路(例、回路、配線)に設けられる。また、切替部35は、信号発生部33で発生した検出信号が伝わる経路(例、回路、配線)に配置される。切替部35は、例えば、整流部34の出力端子と接続される。切替部35には、例えば、信号発生部33で発生して整流部34で整流された検出信号が入力される。
【0060】
切替部35は、信号発生部33で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー36から位置検出部1への電力の供給を開始させる。例えば、切替部35は、信号発生部33で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー36から位置検出部1への電力の供給を開始させる。また、切替部35は、信号発生部33で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー36から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部35は、信号発生部33で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー36から位置検出部1への電力の供給を停止させる。
【0061】
例えば、信号発生部33にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部35は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー36から位置検出部1への電力の供給を開始させる。切替部35は、上記電気信号のレベル(電位)がハイレベルへ立ち上がってから所定の時間経過後に、バッテリー36から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部35は、上記電気信号のレベル(電位)がハイレベルから所定のレベルに立ち下がった際に、バッテリー36から位置検出部1への電力の供給を停止させる。
【0062】
切替部35は、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転検出部1B)に接続される。例えば、バッテリー36は、バックアップ状態において、切替部35を介して多回転検出部1Bに電力を供給する。磁気検出部22は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて磁気を検出する。処理部23は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて磁気検出部22の検出結果を処理する。処理部23は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて、多回転情報を導出する。記憶部24は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて、処理部23の処理結果(多回転情報)を記憶する。
【0063】
なお、切替部35は、角度検出部1Aに接続されてもよい。バッテリー36は、バックアップ状態において、切替部35を介して角度検出部1Aに電力を供給してもよい。角度検出部1Aは、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて角度位置情報を検出してもよい。エンコーダ装置ECは、バックアップ状態においてバッテリー36から供給される電力を用いて、角度検出部1Aが検出した角度位置情報に基づいて多回転情報を検出してもよい。記憶部24は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて、角度位置情報を記憶してもよい。また、記憶部24は、バックアップ状態において、バッテリー36から供給される電力を用いて、角度位置情報に基づいて検出された多回転情報を記憶してもよい。
【0064】
本実施形態において、切替部35は、通常状態とバックアップ状態とを切り替える第2の切替部である。切替部35(第2の切替部)は、例えば、電源部PWから切替部35へ電力が供給されるか否かに基づいて、通常状態とバックアップ状態とを切替る。例えば、切替部35は、バッテリー36からの電流が流れる経路(例、回路、配線)に配置される電磁スイッチを含む。この電磁スイッチは、電源部PWと電気的に接続され、電源部PWから電力が供給されるか否かに基づいて、開閉(オンオフ)が切り替わる。
【0065】
上記電磁スイッチは、例えば、電磁石および一対の端子(入力端子、出力端子)を含む。例えば、入力端子はバッテリー36と接続され、出力端子は切替部35の出力端子と接続される。入力端子と出力端子とは、例えば、互いに接触するように弾性体によって支持される。上記電磁石は、電源部PWから電力が供給される通常状態において、磁力が発生する。この磁力は、入力端子と出力端子とが互いに離れるように、作用する。これにより、一対の端子が互いに非接触になり、回路が導通しない状態(遮断状態、開状態、オフ状態)になる。また、上記電磁スイッチは、電源部PWから電力が供給されないバックアップ状態で電磁石に磁界が発生せず、一対の端子が弾性体によって互いに接触する。切替部35は、電磁スイッチの一対の端子が互いに接触した状態において、信号発生部33から検出信号が伝わることで、バッテリー36からの電流が流れる経路(例、回路、配線)を導通する状態(閉状態、オン状態)にする。
【0066】
なお、切替部35(第2の切替部)は、上記の態様に限定されない。例えば、上記電磁スイッチは、信号発生部33から出力される検出信号が伝わる経路(例、回路)に配置されてもよい。また、第2の切替部は、外部(例、駆動装置MTRの制御部MC)から制御信号が供給されることで、通常状態とバックアップ状態とを切り替えてもよい。
【0067】
なお、切替部35は、通常状態とバックアップ状態とを切り替えなくてもよい。また、通常状態とバックアップ状態とを切り替える第2の切替部は、切替部35と別に設けられてもよい。例えば、第2の切替部は機械式スイッチを含み、オペレータは、機械式スイッチを操作することで通常状態とバックアップ状態とを切り替えてもよい。また、エンコーダ装置ECは、第2の切替部を備えなくてもよい。
【0068】
エンコーダ装置ECは、電力供給部31がバックアップ状態において安定して動作することで、バックアップ状態から通常状態に切り替わった際に回転体SFの回転位置情報(例、回転体SFの初期位置)を高精度に検出可能である。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、電力供給部31の電力を用いて電力供給部31の状態を検出可能である。電力供給部31の状態を検出することは、例えば電力供給部31をバックアップ状態において安定して動作させることに寄与する。エンコーダ装置ECは、電力供給部31の消費電力を低減しつつ電力供給部31の状態(例、温度や湿度などの環境状態、電圧や電気などの電気的パラメータ、又は温度や電圧のようなバッテリーの自己放電に関する状態に基づく、消耗状態又は劣化状態を示す指標)を検出することで、例えば電力供給部31の消耗を抑制することができる。
【0069】
次に、上記した電力供給部31の状態を検出する構成について説明する。エンコーダ装置ECは、切替部51と、状態検出部52(監視部)と、寿命算出部53とを備える。状態検出部52は、検出信号に基づいて電力供給部31から供給される電力によって、電力供給部31の状態を検出する。このように、状態検出部52は、バッテリー36から供給される電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する。状態検出部52は、例えば、バッテリー36の状態を表す指標値を検出する。
【0070】
状態検出部52は、電力供給部31の状態を検出した検出結果(例、温度、湿度、気圧、正常又は異常、電圧、内部抵抗(出力インピーダンス)など)を、記憶部24に記憶させる。状態検出部52は、電力供給部31の状態を検出することで、電力供給部31の状態を監視する(観察する)。また、状態検出部52は、通常状態又はバックアップ状態において、電力供給部31の状態(状況)確認のために、エンコーダ装置ECが起動時(例、電源部PWがオンになった時)に記憶部24から最新(前回)の検出結果を取得するように構成される。
【0071】
バッテリー36の状態は、例えば、バッテリー36が使用される環境の状態(環境状態)、バッテリー36の動作の状態(動作状態)、バッテリー36の電気的なパラメータの状態、及びバッテリー36の自己放電の状態(自己放電状態)の少なくとも一つを含む。バッテリー36の動作時又は停止時の環境状態は、例えば、エンコーダ装置ECの状態検出部52が不図示の温度センサ又は湿度センサ等を備える場合、バッテリー36が配置される環境(例、エンコーダ装置ECの内部)の温度と湿度との一方または双方を含む。
【0072】
バッテリー36の動作状態は、例えば、状態検出部52が電力検出部を備える場合、バッテリー36から出力される電流と電圧との一方または双方を含む。バッテリー36の自己放電状態は、例えば、状態検出部52が温度センサと電力検出部とを備える場合、バッテリー36の温度と、端子間電圧との一方または双方を含む。また、本実施形態におけるバッテリー36の状態は、バッテリー寿命の指標となり、後述の寿命情報の算出に用いられる。
【0073】
図3は、第1実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。信号発生部33の第1端子(例、
図2(A)の端子43a)は、整流部34の端子34aと接続されている。信号発生部33の第2端子(例、
図2(A)の端子43b)は、整流部34の端子34bと接続されている。整流部34の端子34cは、回路の基準電位になる接地端子と接続される。整流部34の端子34d(出力端子)は、配線PLに接続される。配線PLのノードN1は、抵抗55を介して、回路の基準電位になる接地端子と接続される。
【0074】
配線PLのノードN2は、切替部51と接続されている。切替部51は、例えば、スイッチング素子56を含む。スイッチング素子56は、電力供給部31から状態検出部52へ電力を供給する経路に設けられる。スイッチング素子56の端子56a(例、ソース電極)は、バッテリー36の電極(例、正極または負極)と接続される。スイッチング素子56の端子56b(例、ドレイン電極)は、状態検出部52の入力端子57aと接続される。
図3に示すように、状態検出部52は、例えば、電力検出部57(例、電圧計、電流計)を含む。スイッチング素子56の端子56c(例、ゲート電極、制御端子)は、配線PLのノードN2と接続されている。スイッチング素子56の端子56cには、検出信号によって電圧が印加される。スイッチング素子56は、端子56cに閾値以上の電圧が印加されると、端子56aと端子56bとの間(例、チャネル領域)が導通する状態になる。
【0075】
また、整流部34の端子34dは、切替部35と接続されている。切替部35は、スイッチング素子58を含む。スイッチング素子58の端子58a(例、ソース電極)は、バッテリー36の電極(例、正極または負極)と接続されている。スイッチング素子58の端子58b(例、ドレイン電極)は、電力調整部59(後述する)の入力端子59aと接続されている。スイッチング素子58の端子58c(例、ゲート電極、制御端子)は、整流部34の端子34dと接続されている。スイッチング素子58の端子58cには、検出信号によって電圧が印加される。スイッチング素子58は、端子58cに閾値以上の電圧が印加されると、端子58aと端子58bとの間(例、チャネル領域)が導通する状態になる。
【0076】
本実施形態に係る電力供給部31は、電力調整部59を備える。電力調整部59(例、電圧調整部)は、バッテリー36から供給される電力(例、電圧)を調整する。例えば、電力調整部59は、バッテリー36から供給される電力の電圧を所定電圧へ調整(例、変換、昇圧、降圧)する。電力調整部59の出力端子59bは、位置検出部1に接続されている。電力供給部31は、電力調整部59によって所定電圧に調整された電力を位置検出部1に供給する。
【0077】
スイッチング素子58および電力調整部59は、レギュレータを含む。例えば、スイッチング素子58の端子58aは、レギュレータの入力端子に相当する。また、電力調整部59の出力端子59bは、レギュレータの出力端子に相当する。スイッチング素子58の端子58cは、レギュレータの制御端子に相当する。このレギュレータは、信号発生部33で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いて、スイッチング素子58の動作を制御する。レギュレータは、制御端子(スイッチング素子58の端子58c)に閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子59bの電位を所定電位に維持する。レギュレータの出力電圧(上記の所定電圧)は、例えば、位置検出部1の動作電圧(例、3V)である。
【0078】
次に、
図2から
図4を参照して、エンコーダ装置ECの動作のタイミングについて説明する。
図4は、第1実施形態に係るエンコーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4において、「信号発生部出力」は、信号発生部33(
図3参照)で発生する検出信号のレベルに相当する。ここでは、「信号発生部出力」として、整流部34によって整流された検出信号のレベルを示した。また、「電力調整部出力」は、電力調整部59(
図3参照)から出力される電圧のレベル(例、電力調整部59の出力端子59bの電位)に相当する。
図4において、「H」はハイレベルを表し、「L」はローレベルを表す。
【0079】
また、
図4の「位置検出部検出動作」は、位置検出部1が回転体SFの回転位置情報を検出するタイミングを表す。以下の説明において、位置検出部1が回転体SFの回転位置情報を検出する動作を、適宜、回転位置情報の検出動作という。
図4の各検出動作について、「ON」は検出動作の実行中を表し、「OFF」は検出動作の停止中を表す。「電力検出部入力」は、電力検出部57(状態検出部52)に入力される電力のレベル(例、電力検出部57の入力端子57aの電圧)を表す。「電力検出部検出動作(状態検出部検出動作)」は、電力検出部57がバッテリー36の状態を検出するタイミングを表す。
【0080】
図2(B)で説明したように、第1信号発生部33aは、その近傍を磁石21の位置21aが通過する際と、その近傍を磁石21の位置21cが通過する際とのそれぞれにおいて、電流パルスが発生する。また、第2信号発生部33bは、その近傍を磁石21の位置21aが通過する際と、その近傍を磁石21の位置21cが通過する際とのそれぞれにおいて、電流パルスが発生する。例えば、信号発生部33(第1信号発生部33a、第2信号発生部33b)は、回転体SFが1回転する間に、電流パルスが4回発生する。
図4において、符号Tは、回転体SFが1回転する期間に相当する。「信号発生部出力」は、回転体SFが1回転する期間に、信号発生部33で流パルスが4回発生することに対応して、「L」から「H」へ4回立ち上がる。
【0081】
「信号発生部出力」が立ち上がると、切替部35(
図3参照)のスイッチング素子58は、端子58cの電位が閾値以上になり、端子58aと端子58bとの間が導通する状態になる。スイッチング素子58の端子58aと端子58bとの間が導通する状態になると、バッテリー36から電力調整部59に電力が供給され、「電力調整部出力」が「L」から「H」に立ち上がる。「電力調整部出力」が「H」になると、電力調整部59から位置検出部1に所定電圧の電力が供給され、位置検出部1は、回転体SFの回転位置情報を検出する(「位置検出部検出動作」が「ON」)。
【0082】
また、「信号発生部出力」が立ち上がると、切替部51(
図3参照)のスイッチング素子56は、端子56cの電位が閾値以上になり、端子56aと端子56bとの間が導通する状態になる。スイッチング素子56の端子56aと端子56bとの間が導通する状態になると、バッテリー36から電力検出部57に電力が供給され、「電力検出部入力」が「L」から「H」に立ち上がる。電力検出部57は、バッテリー36から電力が供給されると、バッテリー36の状態(例、バッテリー36から出力される出力電圧)を検出する(「電力検出部検出動作」が「ON」)。
【0083】
図1の説明に戻り、切替部51は、信号発生部33で発生する検出信号に基づいて、電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替える。例えば、切替部51は、バックアップ状態における電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を、信号発生部33で発生する検出信号に基づいて切り替える。
【0084】
なお、切替部51は、通常状態において、検出信号に基づいて電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替えてもよい。切替部51は、通常状態において、検出信号と異なる信号に基づいて電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替えてもよい。切替部51は、通常状態において、電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替えなくてもよい。
【0085】
切替部51は、例えば、信号発生部33で発生した検出信号を制御信号に用いて、バッテリー36から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替える。以下の説明において、適宜、切替部(例、切替部35、切替部51)が回路の導通状態(閉状態)と遮断状態(開状態)とを切り替える動作を切替動作という。切替部51は、バックアップ状態において、切替部35による切替動作と同期して、切替動作を実行する。切替部51は、バックアップ状態において、切替部35による切替動作と所定のタイミングで、切替動作を実行する。切替部51は、バックアップ状態において、電力供給部31から位置検出部1に電力が供給される期間の少なくとも一部の期間に、電力供給部31から状態検出部52に電力を供給させる。
【0086】
切替部51は、バッテリー36から状態検出部52に電力が供給される経路(例、回路、配線)に設けられる。また、切替部51は、信号発生部33と電気的に接続される。例えば、切替部51は、信号発生部33と切替部35との間のノードN2に接続される。切替部51は、例えば、整流部34の出力端子と接続される。切替部51には、例えば、信号発生部33で発生して整流部34で整流された検出信号がノードN2を介して入力される。
【0087】
そして、切替部51は、信号発生部33で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー36から状態検出部52への電力の供給を開始させる。例えば、切替部51は、信号発生部33で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー36から状態検出部52への電力の供給を開始させる。また、切替部51は、信号発生部33で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー36から状態検出部52への電力の供給を停止させる。例えば、切替部51は、信号発生部33で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー36から状態検出部52への電力の供給を停止させる。
【0088】
例えば、信号発生部33にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部51は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー36から状態検出部52への電力の供給を開始させる。また、切替部51は、上記電気信号のレベル(電位)がハイレベルに立ち上がってから所定の時間経過後に、バッテリー36から状態検出部への電力の供給を停止させる。
【0089】
状態検出部52は、切替部51を介して電力供給部31から供給される電力を用いて、電力供給部31の状態を検出する。例えば、状態検出部52は、バックアップ状態において、信号発生部33における検出信号の発生に基づいてバッテリー36から状態検出部52へ供給される電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する。状態検出部52は、バッテリー36から状態検出部52へ電力が供給されている期間に、バッテリー36の状態を検出した検出結果を記憶部24に出力する。記憶部24は、バックアップ状態において、信号発生部33における検出信号の発生に基づいてバッテリー36から位置検出部1に供給される電力を用いて、状態検出部52から出力された検出結果を記憶する。
【0090】
寿命算出部53は、状態検出部52の検出結果に基づいて、バッテリー36の寿命情報を算出する。寿命情報は、例えば、放電終止電圧に達する時間、バッテリー36の残量、バッテリー36から供給される電力によって位置検出部1が動作可能な時間、及びバッテリー36から供給される電力が位置検出部の消費電力に対して不足する時期の少なくとも1つを含む。
【0091】
寿命算出部53は、記憶部24に記憶されている状態検出部52の検出結果を読み出して、寿命情報を算出する。寿命算出部53は、例えば、通常状態において電源部PWから供給される電力を用いて、寿命情報を算出する。寿命算出部53は、例えば、バックアップ状態において記憶された状態検出部52の検出結果を通常状態において読み出し、通常状態において寿命情報を算出する。寿命算出部53は、算出した寿命情報を外部へ出力(報知)する。寿命算出部53は、寿命情報を通信部3に出力し、通信部3は、寿命情報を外部(例、制御部MC)に出力(送信)する。
【0092】
上記したように、状態検出部52は、バッテリー36から出力される電力(出力電圧)を検出する。状態検出部52は、バッテリー36の負極と正極との間の電圧を出力電圧として検出する。ここで、バッテリー36の出力電圧は、バッテリー36の残量に基づき変化する。例えば、バッテリー36の残量が減少した場合、バッテリー36の出力電圧も減少する。寿命算出部53は、状態検出部52が検出した電力供給部31(この場合、バッテリー36)の状態(例、出力電圧)を用いて、バッテリー36の寿命情報(例、バッテリー36の残量の推定値)を算出する。例えば、バッテリー36の出力電圧と残量との関係を示す出力特性情報(例、数式、テーブルデータ)が記憶部(例、記憶部24)に予め記憶されており、寿命算出部53は、この記憶部24から出力特性情報を取得して、バッテリー36の寿命情報を算出する。また、寿命算出部53は、温度センサの検出結果及び電力検出部57の検出結果の双方を用いて、バッテリー36の寿命情報を算出してもよい。なお、バッテリー36の自己放電率は温度などの環境状態に依存するため、寿命算出部53は、温度と自己放電率との関係を示す温度特性情報が予め記憶された記憶部(例、記憶部24)から該温度特性情報を取得し、温度センサの検出結果と温度特性情報とを用いて所定期間におけるバッテリー36の自己放電率を算出できる。そして、寿命算出部53は、この自己放電率に基づいて寿命情報を算出する。
【0093】
例えば、寿命算出部53は、算出したバッテリー36の残量の推定値が所定値未満である場合、バッテリー36の残量の推定値が所定値未満であることを示す寿命情報(報知情報、報知信号)を出力する。寿命算出部53は、算出された寿命情報をもとにバッテリー36の交換又はその交換時期を知らせる寿命情報を外部へ出力してもよい。
【0094】
上記寿命情報は、位置検出部1で消費される電力に対してバッテリー36から供給される電力が不足する可能性があることを示すワーニング信号を含んでもよい。また、上記寿命情報は、例えば、位置検出部1で消費される電力に対してバッテリー36から供給される電力が不足していることを示すアラーム信号を含んでもよい。また、上記寿命情報は、バッテリー36の交換が推奨されることを音(例、アラーム音)あるいは光(例、LEDの点灯、点滅)などで報知する際の制御信号(例、報知信号)を含んでもよい。
【0095】
上記寿命情報は、エンコーダ装置ECの誤動作あるいは動作不良の発生を抑制することに寄与する。例えば、ユーザは、エンコーダ装置ECから出力される寿命情報に基づいて、電力供給部31をメンテナンスすること(例、バッテリー36を交換すること)ができる。この場合、電力供給部31は、例えば、バックアップ状態において位置検出部1が正常に動作可能なように、電力を供給可能である。エンコーダ装置ECは、例えば、バックアップ状態において、電力供給部31および位置検出部1が正常に動作することにより、回転体SFの回転位置情報を高精度に検出できる。
【0096】
本実施形態において、検出信号のレベル(
図4の「信号発生部出力」)は、間欠的(断続的、選択的、一時的)にハイレベルになる。また、状態検出部52は、通常状態又はバックアップ状態において、検出信号に基づいて、常時ではなく間欠的(断続的、選択的、一時的)に電力供給部31の状態を検出する。状態検出部52が電力供給部31(例、バッテリー36)の状態を間欠的に検出する場合、例えば、電力供給部31(例、バッテリー36)の消耗が抑制される。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、電力供給部31の消耗を抑制しつつ、バックアップ状態において回転体SFの回転位置情報を高精度に検出できる。また、実施形態に係るエンコーダ装置ECは、電力供給部31の長寿命化を実現し、安定して動作可能である。
【0097】
なお、電力供給部31は、寿命算出部53に電力を供給してもよい。寿命算出部53は、電力供給部31から供給される電力を用いて寿命情報を算出してもよい。例えば、バックアップ状態において、電力供給部31が寿命算出部53に電力を供給し、寿命算出部53は、電力供給部31から供給される電力を用いて寿命情報を算出してもよい。この場合、状態検出部52は、バッテリー36の状態を検出した検出結果を記憶部24に記憶させなくてもよい。
【0098】
また、状態検出部52は、その検出結果を、位置検出部1の記憶部24と異なる記憶部(第2の記憶部)に記憶させてもよい。この場合、電力供給部31は、位置検出部1に対して第1の期間に電力を供給し、上記第2の記憶部に対して第2の期間に電力を供給してもよい。第2の記憶部は、第2の期間において電力供給部31から供給される電力を用いて、状態検出部52の検出結果を記憶してもよい。第2の期間は、第1の期間の少なくとも一部と重複してもよい。また、第2の期間は、第1の期間と重複しなくてもよい。
【0099】
なお、エンコーダ装置ECは、寿命算出部53を備えなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、状態検出部52がバッテリー36の状態(例、温度)を検出した検出結果を、エンコーダ装置ECの外部(例、制御部MC)に出力してもよい。エンコーダ装置ECから寿命情報が出力される装置(寿命情報の出力先の装置)は、状態検出部52の検出結果を処理してもよい。この場合、例えば、寿命算出部53は、寿命情報の出力先の装置(例、制御部MC)に設けられてもよい。例えば、寿命算出部53は、制御部MCに設けられ、エンコーダ装置ECから出力されるバッテリー36の状態の情報を用いて、バッテリー36の寿命情報を算出してもよい。
【0100】
なお、寿命算出部53は、上記のバッテリーの残量の推定値、放電終止電圧に達する時間、動作可能時間の推定値、及び電力不足時期の推定値の少なくとも1つを算出しなくてもよい。また、寿命算出部53は、バッテリー36の寿命情報として、上記のバッテリーの残量の推定値、動作可能時間の推定値、及び電力不足時期の推定値以外の値を算出してもよい。例えば、寿命算出部53は、バッテリーの残量、放電終止電圧に達する時間、動作可能時間、あるいは電力不足時期のレベル(程度)を2または3以上の段階で表す情報を算出してもよい。
【0101】
また、制御部MCは、寿命算出部53が算出したバッテリー36の寿命情報を用いて、エンコーダ装置ECを備える装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の異常を検出してもよい。例えば、制御部MCは、バッテリー36の寿命情報の値が所定値未満である場合、エンコーダ装置ECを備える装置においてエンコーダ装置ECが取り付けられた部分に異常があると判定してもよい。また、制御部MCは、寿命算出部53が算出したバッテリー36の寿命情報を用いた異常の検出結果を外部へ報知してもよい。また、制御部MCは、寿命算出部53が算出したバッテリー36の寿命情報を制御などに利用してもよい。
【0102】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図5は、第2実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、制御部61(エンコーダ制御部)を備える。制御部61は、切替部51に制御信号を供給する。位置検出部1は、通常状態において、電力供給部31とは異なる電源部PWから供給される電力によって位置情報を検出する。切替部51は、電源部PWから位置検出部1へ電力が供給される状態(通常状態)において、所定のタイミング(例、定期的又は不定期的なタイミング、制御部MCからの指示タイミング、又は検出信号に基づく位置検出部1の動作後のタイミング)で制御部61から供給される制御信号に基づいて、電力供給部31から状態検出部52への電力の供給の有無を切り替える。
【0103】
切替部51は、通常状態において制御部61の制御信号に基づいて切替を実行し、バックアップ状態において信号発生部33の検出信号に基づいて切替を実行する。状態検出部52は、通常状態において、制御部61の制御信号に基づいてバッテリー36から供給される電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する。寿命算出部53は、状態検出部52の検出結果に基づいて寿命情報を算出する。寿命算出部53は、例えば、算出した寿命情報を制御部61に出力する。制御部61は、例えば、寿命算出部53が算出した寿命情報を、通信部3を介して外部(例、制御部MC)に出力する。
【0104】
図6は、第2実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。本実施形態において、エンコーダ装置ECは、切替部62(第2の切替部)を備える。切替部62は、切替部35と別に設けられる。切替部62の端子62aは、電力供給部31の出力端子(例、電力調整部59の出力端子59b)と接続されている。切替部62の端子62bは、電源部PWと接続される。端子62bと電源部PWとの間には、適宜、電力調整部(例、変圧器)が設けられる。通常状態において、切替部62の端子62bには電源部PWから所定電圧が印加される。切替部62の端子62cは、位置検出部1へ電力を供給する経路と接続されている。切替部62は、端子62aと端子62cとが導通する状態と、端子62bと端子62cとが導通する状態とを切り替えることができる。
【0105】
制御部61は、切替部62に制御信号を供給する。切替部62は、制御部61から供給される制御信号に基づいて、端子62aと端子62cとが導通する状態と、端子62bと端子62cとが導通する状態とを切り替える。例えば、通常状態において、制御部61は、切替部62を制御して端子62bと端子62cとを導通させる。この状態において、電源部PWは、切替部62を介して位置検出部1に電力を供給する。位置検出部1は、電源部PWから供給される電力を用いて、回転体SF(
図5参照)の回転位置情報を検出する。
【0106】
制御部61は、通常状態からバックアップ状態に切り替える際に、端子62aと端子62cとを導通させる制御信号を切替部62に供給する。切替部62は、制御部61から供給される制御信号に基づいて、端子62aと端子62cとを導通させる。端子62aと端子62cとが導通すると、電力供給部31は、切替部62を介して位置検出部1に電力を供給可能になる。この状態において、電力供給部31は、検出信号に基づいて位置検出部1に電力を供給し、位置検出部1は、電力供給部31から供給される電力を用いて、回転体SF(
図5参照)の回転位置情報を検出する。
【0107】
制御部61は、バックアップ状態から通常状態に切り替える際に、端子62bと端子62cとを導通させる制御信号を切替部62に供給する。例えば、制御部61は、
図5に示した駆動装置MTRが起動された際に電源部PWから電力の供給を受けて、切替部62に制御信号を供給する。制御部61は、例えば、電源部PWから電力の供給が開始されてから短時間のうちに、切替部62に制御信号を供給する。切替部62は、制御部61から供給される制御信号に基づいて、端子62bと端子62cとを導通させる。端子62bと端子62cとが導通すると、電源部PWは、位置検出部1に電力を供給する。なお、切替部62は、第1実施形態で説明したように、電源部PWから供給さえる電力によって動作する磁気スイッチを含んでもよい。この場合、制御部61は、切替部62を制御しなくてもよい。
【0108】
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、切替部63を備える。切替部63は、例えば、信号発生部33で発生する検出信号を有効とするか否かを切替可能である。切替部63は、例えば、検出信号が立ち上がった際に切替部51のスイッチング素子56の端子56aと端子56bとを導通させるか否かを、切替可能である。切替部63は、例えば、検出信号が立ち上がった際に切替部35のスイッチング素子58の端子58aと端子58bとを導通させるか否かを、切替可能である。
【0109】
切替部63は、スイッチング素子64を含む。スイッチング素子64の端子64a(例、ソース電極)は、配線PLのノードN1と抵抗55との間のノードN3に接続されている。スイッチング素子64の端子64b(例、ドレイン電極)は、回路の基準電位になる接地端子と接続されている。スイッチング素子64の端子64c(例、ゲート電極)は、制御部61と接続されている。
【0110】
切替部63は、制御部61から制御信号が供給されると、スイッチング素子64の端子64cに所定電圧が印加され、端子64aと端子64bとの間(例、チャネル領域)が導通する。端子64aと端子64bとの間が導通する状態において、信号発生部33の検出信号が立ち上がった場合、検出信号の電流は、スイッチング素子64を介して回路の接地端子へ流れる。この場合、スイッチング素子56の端子56cは、電位が閾値未満である状態に保持され、スイッチング素子56の端子56aと端子56bとの間が導通しない状態に保持される。この場合、例えば、切替部51に対する検出信号の入力が無効になる。同様に、スイッチング素子58の端子58cは、電位が閾値未満である状態に保持され、スイッチング素子58の端子58aと端子58bとの間が導通しない状態に保持される。この場合、例えば、切替部35に対する検出信号の入力が無効になる。
【0111】
本実施形態において、切替部51は、スイッチング素子65を備える。スイッチング素子65は、電力供給部31から状態検出部52へ電力を供給する経路に設けられる。スイッチング素子65の端子65a(例、ソース電極)は、バッテリー36の電極(例、正極または負極)と接続されている。スイッチング素子65の端子65b(例、ドレイン電極)は、状態検出部52(例、電力検出部57の入力端子57a)に接続されている。スイッチング素子65の端子65c(例、ゲート電極)は、制御部61と接続されている。スイッチング素子65の端子65cには、制御部61から供給される制御信号によって電圧が印加される。
【0112】
スイッチング素子65は、端子65cに所定電圧が印加されると、端子65aと端子65bとの間(例、チャネル領域)が導通する状態になる。端子65aと端子65bとの間が導通する状態になると、バッテリー36は、スイッチング素子65を介して電力検出部57に電力を供給する。電力検出部57は、バッテリー36から供給される電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する。制御部61は、端子65aと端子65bとの間を導通する状態にさせる制御信号をスイッチング素子65に供給することによって、電力検出部57に検出動作を実行させる。制御部61は、スイッチング素子65に制御信号を供給するタイミングによって、電力検出部57がバッテリー36の状態を検出するタイミングを制御可能である。
【0113】
図7は、第2実施形態に係るエンコーダ装置の通常状態における動作を示すタイミングチャートである。
図8は、第2実施形態に係るエンコーダ装置のバックアップ状態における動作を示すタイミングチャートである。
図7および
図8において、「電源切替スイッチ」は、
図6の切替部62に相当する。「P1」は、切替部62の端子62aが端子62cと導通する状態を表す。例えば、「電源切替スイッチ」が「P1」である場合、バッテリー36は、位置検出部1へ電力を供給可能である。また、「P2」は、切替部62の端子62bが端子62cと導通する状態を表す。例えば、「電源切替スイッチ」が「P2」である場合、電源部PWは、位置検出部1へ電力を供給する。
【0114】
「第1スイッチ」は、
図6の切替部35に相当する。「第1スイッチ」の「ON」は、スイッチング素子58の端子58aと端子58bとの間が導通する状態であることを表す。「第1スイッチ」の「OFF」は、スイッチング素子58の端子58aと端子58bとの間が導通しない状態であることを表す。「第1スイッチ」が「ON」であり、かつ「「電源切替スイッチ」が「P1」である場合、バッテリー36は、切替部35を介して位置検出部1に電力を供給する。
【0115】
「第2スイッチ」および「第3スイッチ」は、
図6の切替部51に相当する。「第2スイッチ」の「ON」は、スイッチング素子56の端子56aと端子56bとの間が導通する状態であることを表す。第2スイッチ」の「OFF」は、スイッチング素子56の端子56aと端子56bとの間が導通しない状態であることを表す。「第2スイッチ」が「ON」である場合、バッテリー36は、スイッチング素子56を介して電力を電力検出部57に供給する。
【0116】
「第3スイッチ」の「ON」は、スイッチング素子65の端子65aと端子65bとの間が導通する状態であることを表す。「第3スイッチ」の「OFF」は、スイッチング素子65の端子65aと端子65bとの間が導通しない状態であることを表す。「第3スイッチ」が「ON」である場合、バッテリー36は、スイッチング素子65を介して電力を電力検出部57に供給する。
【0117】
まず、
図6および
図7を参照して、通常状態におけるエンコーダ装置ECの動作について説明する。制御部61は切替部62に制御信号を供給し、切替部62は、時刻T1において、バックアップ状態(「電源切替スイッチ」が「P1」)から通常状態(「電源切替スイッチ」が「P2」)へ切り替える。また、制御部61は、切替部63に制御信号を供給し、切替部63は、切替部51および切替部35のそれぞれに対する検出信号の入力が有効である状態(「信号発生部スイッチ)が「ON」)から無効である状態(「信号発生部スイッチ)が「OFF」)へ切り替える。
【0118】
「信号発生部スイッチ」が「OFF」の状態において、検出信号が立ち上がった場合(「信号発生部出力」が「H」)、検出信号の電流は、切替部63を介して回路の接地端子へ流れる。この場合、スイッチング素子58の端子58cは、電位が閾値未満である状態を維持し、「第1スイッチ」が「OFF」の状態が維持される。「第1スイッチ」が「OFF」である場合、スイッチング素子58を介してバッテリー36から位置検出部1へ電力を供給する経路(例、供給線)は遮断されており、バッテリー36は、位置検出部1へ電力を供給しない。
【0119】
スイッチング素子56についても同様に、スイッチング素子56の端子56cは、電位が閾値未満である状態を維持し、「第2スイッチ」が「OFF」の状態が維持される。「第2スイッチ」が「OFF」である場合、スイッチング素子58を介してバッテリー36から位置検出部1へ電力を供給する経路は遮断されている。
【0120】
制御部61は、切替部51のスイッチング素子65に制御信号を供給し、スイッチング素子65の端子65cには所定電圧が印加される。これにより、スイッチング素子65は端子65aと端子65bとの間が導通する状態となる(「第3スイッチ」が「ON」)。「第3スイッチ」が「ON」である状態において、バッテリー36は、スイッチング素子65を介して電力検出部57に電力を供給する(「電力検出部入力」が「H」)。電力検出部57は、バッテリー36から供給された電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する(「電力検出部検出動作」が「ON」)。
【0121】
次に、
図6および
図8を参照して、バックアップ状態におけるエンコーダ装置ECの動作について説明する。制御部61は切替部62を制御し、切替部62は、時刻T2において、通常状態(「電源切替スイッチ」が「P2」)からバックアップ状態(「電源切替スイッチ」が「P1」)へ切り替える。また、制御部61は、切替部63を制御し、切替部63は、切替部51および切替部35のそれぞれに対する検出信号の入力が無効である状態(「信号発生部スイッチ)が「OFF」)から有効である状態(「信号発生部スイッチ)が「ON」)へ切り替える。
【0122】
「信号発生部スイッチ」が「ON」である場合、
図4と同様に、検出信号が立ち上がるたびに(「信号発生部出力」が「H」)、バッテリー36は、位置検出部1に電力を供給する(「電力調整部出力」が「H」)。位置検出部1は、バッテリー36から供給される電力を用いて、回転位置情報を検出する(「位置検出部検出動作」が「ON」)。また、「信号発生部スイッチ」が「ON」である場合、検出信号が立ち上がるたびに、バッテリー36は、スイッチング素子56を介して電力検出部57に電力を供給する(「電力検出部入力」が「H」)。電力検出部57は、バッテリー36から供給される電力を用いて、バッテリー36の状態を検出する(「電力検出部検出動作」が「ON」)。
【0123】
制御部61は、例えば、電源部PWから供給される電力を用いて、エンコーダ装置ECの各部を制御する。制御部61は、例えば、バックアップ状態において切替部51のスイッチング素子65を制御しない。スイッチング素子65は、バックアップ状態において、端子65aと端子65bとの間が遮断された状態を維持する(「第3スイッチ」が「OFF」)。なお、電力供給部31は、制御部61に電力を供給してもよい。例えば、制御部61は、電力供給部31から供給される電力を用いて、エンコーダ装置ECの少なくとも一部を制御してもよい。
【0124】
制御部61が状態検出部52(例、電力検出部57)に検出動作を実行させるタイミングは、任意に設定される。制御部61は、スイッチング素子65の端子65cに所定電圧を印加するタイミング(例、切替動作を実行させるタイミング)によって、バッテリー36からスイッチング素子65を介して電力検出部57へ電力を供給するタイミングを制御可能である。バッテリー36からスイッチング素子65を介して電力検出部57へ電力を供給するタイミングは任意に設定される。
【0125】
制御部61は、位置検出部1の検出結果に基づいて、状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。例えば、制御部61は、回転体SFが予め設定された角度(例、360°、10回転)だけ回転したことを位置検出部1が検出した場合に、スイッチング素子65を制御して、電力検出部57にバッテリー36の状態を検出させてもよい。また、制御部61は、位置検出部1が予め定められた回数(例、100回、1000回)だけ検出動作を実行するたびに、状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。また、制御部61は、所定の周期(例、1分、1時間、1日)で、状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。
【0126】
通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度は、バックアップ状態における状態検出部52の検出動作の頻度よりも低く設定されてもよい。例えば、
図8(バックアップ状態)において、電力検出部57は、回転体SFが1回転する間に、検出動作を4回実行する。制御部61は、例えば
図7に示すように、回転体SFが1回転する間に電力検出部57による検出動作を、バックアップ状態よりも低頻度で(例、1回)実行させてもよい。通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度は、予め設定される固定値でもよい。例えば、通常状態における状態検出部52の検出動作の回数は、固定値の1回に設定されてもよいし、固定値の2回以上に設定されてもよい。
【0127】
通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度は、ユーザの使用環境などによって変えられるように、可変値でもよい。例えば、制御部61は、状態検出部52の検出結果と寿命算出部53の算出結果(寿命情報)との一方または双方に基づいて、通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度を設定してもよい。例えば、制御部61は、状態検出部52の検出結果から推定されるバッテリー36の残量が第1残量である場合に、通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度を第1頻度に設定する。制御部61は、状態検出部52の検出結果から推定されるバッテリー36の残量が第1残量よりも少ない第2残量である場合に、通常状態における状態検出部52の検出動作の頻度を第1頻度よりも高頻度の第2頻度又は低頻度の第3頻度に設定してもよい。
【0128】
制御部61は、通常状態において、電源部PWからエンコーダ装置ECへの電力供給が停止されることを予告する予告情報に基づいて、状態検出部52による検出動作を実行させてもよい。例えば、制御部MCは、上記予告情報として、駆動装置MTRを休止(例、シャットダウン)することを表す情報をエンコーダ装置ECの制御部61に供給してもよい。制御部61は、駆動装置MTRから上記予告情報を受けたことをトリガーとして、状態検出部52に検出動作を実行させ、状態検出部52の検出結果と寿命算出部53が算出した寿命情報との一方または双方を、外部(例、制御部MC)に出力してもよい。制御部61は、通常状態からバックアップ状態へ切り替えられる際に、状態検出部52に検出動作を実行させ、状態検出部52の検出結果と寿命算出部53が算出した寿命情報との一方または双方を、外部(例、制御部MC)に出力してもよい。
【0129】
また、制御部61は、外部(例、制御部MC、エンコーダ装置ECを検査する検査装置、メンテナンス装置)から指令(例、状態検出指令)を受けて、状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。また、制御部61は、外部(例、制御部MC、検査装置、メンテナンス装置)から指令(例、状態出力指令)を受けて、状態検出部52の検出結果と寿命算出部53の算出結果との一方または双方を、外部へ出力してもよい。
【0130】
制御部61は、切替部63を制御することによって、状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。例えば、制御部61は、切替部63を制御することによって、通常状態において間欠的(断続的、一時的)に、信号発生部33の検出信号を有効に設定してもよい。例えば、通常状態において検出信号が有効に設定された状態において、バッテリー36は、検出信号に基づいて切替部51を介して電力を状態検出部52(例、電力検出部57)に供給してもよい。例えば、通常状態において検出信号が有効に設定された状態において、状態検出部52は、バッテリー36から供給される電力を用いてバッテリー36の状態を検出してもよい。エンコーダ装置ECは、切替部63の制御によって状態検出部52に検出動作を実行させる場合、スイッチング素子56を備えなくてもよい。また、切替部63は、信号発生部33と整流部34との間に設けられてもよい。例えば、切替部63は、検出信号が伝わる回路を遮断する(開く)ことで、検出信号の発生の有無を切り替えてもよい。
【0131】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図9は、第3実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、タイミング調整部68を備える。
【0132】
タイミング調整部68は、位置検出部1が移動部(例、回転体SF)の位置情報を検出するタイミングと、状態検出部52が電力供給部31の状態を検出するタイミングとを相対的に調整する。タイミング調整部68は、例えば、信号発生部33と切替部51との間に配置される。例えば、タイミング調整部68は、整流部34と切替部51との間に配置される。タイミング調整部68は、例えば、遅延回路を含む。例えば、切替部51には、切替部35よりも遅れて検出信号が入力される。例えば、切替部51は、切替部35が検出信号に基づいて回路を遮断から導通へ切り替えた後に、回路を遮断から導通へ切り替える。
【0133】
図10は、第3実施形態に係るエンコーダ装置の動作を示すタイミングチャートである。検出信号が立ち上がると(「信号発生部出力」が「H」)、バッテリー36は、切替部35を介して位置検出部1に電力を供給する(「電力調整部出力」が「H」。位置検出部1は、バッテリー36から供給される電力が安定すると、回転位置情報を検出する(「位置検出部検出動作」が「ON」)。
【0134】
状態検出部52(例、電力検出部57)には、位置検出部1よりも遅れてバッテリー36から電力が供給される。状態検出部52は、位置検出部1が回転位置情報の検出動作を開始した後に、バッテリー36の状態を検出する検出動作を開始する(「電力検出部検出動作」が「ON」)。例えば、電力検出部57は、位置検出部1が回転位置情報の検出動作を終了した後に、バッテリー36の状態の検出動作を開始する。電力検出部57は、例えば、位置検出部1に所定電圧の電力が供給されている間に、バッテリー36の状態の検出動作を完了する。電力検出部57は、その検出結果を、位置検出部1に所定電圧の電力が供給されている間に、記憶部24に記憶させる。タイミング調整部68は、例えば、位置検出部1の検出動作が完了してから位置検出部1に対する電力の供給が終了するまでの間に状態検出部52の検出動作および検出結果の記憶が完了するように、切替部51の切替動作と切替部35の切替動作との相対的なタイミングを調整する。
【0135】
バッテリー36の出力電圧は、例えば、位置検出部1が検出動作中であることによって低下することがある。電力検出部57は、位置検出部1の検出動作と重複しない期間にバッテリー36の状態を検出する場合、例えば、位置検出部1の検出動作によってバッテリー36の状態が変化している期間を避けて、バッテリー36の状態を検出することができる。位置検出部1は、状態検出部52の検出動作よりも前に回転位置情報を検出する場合、例えば、電力の供給が終了するまでに検出動作の完了が間に合わないことを避けることができる。
【0136】
なお、状態検出部52は、位置検出部1が回転位置情報を検出する期間の少なくとも一部と重複する期間に、電力供給部31の状態を検出してもよい。また、状態検出部52は、位置検出部1が回転位置情報の検出を開始する前に、電力供給部31の状態の検出を開始してもよい。例えば、タイミング調整部68は、切替部35に対する検出信号の入力を、切替部51に対する検出信号の入力よりも遅延させてもよい。
【0137】
また、状態検出部52は、その検出結果を記憶部24と異なる記憶部(第2の記憶部)に記憶させる場合、バッテリー36が位置検出部1へ電力の供給を停止した後に、電力供給部31の状態の検出を終了してもよい。例えば、バッテリー36は、切替部35を介して第2の記憶部に電力を供給し、状態検出部52は、バッテリー36から第2の記憶部に電力が供給されている間に、バッテリー36の状態を検出した検出結果を第2の記憶部に記憶させてもよい。
【0138】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図11は、第4実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、切替部51は、
図1等に示した切替部35を兼ねている。
【0139】
図12は、第4実施形態に係るエンコーダ装置の回路構成を示す図である。状態検出部52(例、電力検出部57の入力端子57a)は、切替部51と電力調整部59との間のノードN4に接続されている。切替部51が回路を導通する状態へ切り替えると、バッテリー36は、切替部51および電力調整部59を介して、電力を位置検出部1に供給する。また、切替部51が回路を導通する状態へ切り替えると、バッテリー36は、切替部51を介して電力検出部57に電力を供給する。
【0140】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
図13は、第5実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態に係るエンコーダ装置ECの制御部61は、信号発生部33における検出信号の発生に基づいて、切替部51を制御する(後述する)。
【0141】
エンコーダ装置ECは、電源部PWから電力を供給可能であるか否かを検出する検出部71(例、電力検出部、電源検出部)を備える。検出部71は、電源部PWから切替部62へ電力が供給される経路のノードN5に接続される。検出部71は、例えばノードN5の電位を検出する。検出部71は、検出した電位が所定のレベル以上である場合に、電源部PWから切替部62へ電力を供給可能であると判定する。検出部71は、電源部PWから切替部62へ電力を供給可能であると判定した場合、切替部62を制御して、端子62bと端子62cとを導通させる。検出部71は、端子間の導通または遮断を制御する制御信号を切替部62へ供給することによって、切替部62を制御する。端子62bと端子62cとが遮断された状態から導通した状態に切り替えられると、電源部PWは、切替部62を介して位置検出部1へ電力を供給する。このようにして、切替部62は、バックアップ状態から通常状態へ切り替える。
【0142】
検出部71は、検出した電位が所定のレベル以下である場合に、電源部PWから切替部62へ電力を供給不能であると判定する。検出部71は、電源部PWから切替部62へ電力を供給不能であると判定した場合、切替部62を制御して、端子62aと端子62cとを導通させる。検出部71は、端子間の導通または遮断を制御する制御信号を切替部62へ供給することによって、切替部62を制御する。端子62aと端子62cとが遮断された状態から導通した状態に切り替えられると、電力供給部31(例、バッテリー)は、検出信号に基づいて、切替部62を介して位置検出部1へ電力を供給する。このようにして、切替部62は、通常状態からバックアップ状態へ切り替える。なお、切替部62および検出部71は、第1実施形態で説明した電磁スイッチでもよい。
【0143】
制御部61は、通常状態において、電源部PWから供給される電力を用いて切替部51を制御する。また、制御部61は、バックアップ状態において、電力供給部31(例、バッテリー36)から供給される電力を用いて切替部51を制御する。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、電力供給部31から制御部61へ電力を供給するか否かを切り替える切替部72を備える。切替部72は、電源部PWから制御部61へ電力を供給する状態と、電力供給部31から電力を供給する状態とを切り替える。
【0144】
切替部72は、端子72a、端子72b、及び端子72cを備える。端子72aは、バッテリー36の電極と接続される。端子72bは、電源部PWと接続される。端子72cは、制御部61の電源端子61aと接続される。切替部72は、端子72aと端子72cとが導通する状態と、端子72bと端子72cとが導通する状態とを切替可能である。端子72aと端子72cとが導通すると、バッテリー36から制御部61へ電力が供給される。端子72bと端子72cとが導通すると、電源部PWから制御部61へ電力が供給される。
【0145】
エンコーダ装置ECは、電源部PWから電力を供給可能であるか否かを検出する検出部73(例、電力検出部、電源検出部)を備える。検出部73は、電源部PWから切替部72へ電力が供給される経路のノードN6に接続される。検出部73は、例えばノードN6の電位を検出する。検出部73は、検出した電位が所定のレベル以上である場合に、電源部PWから切替部72へ電力を供給可能であると判定する。検出部73は、電源部PWから切替部72へ電力を供給可能であると判定した場合、切替部72を制御して、端子72bと端子72cとを導通させる。検出部73は、端子間の導通または遮断を制御する制御信号を切替部72へ供給することによって、切替部72を制御する。
【0146】
検出部73は、検出した電位が所定のレベル以下である場合に、電源部PWから切替部72へ電力を供給不能であると判定する。検出部73は、電源部PWから切替部72へ電力を供給不能であると判定した場合、切替部72を制御して、端子72aと端子72cとを導通させる。検出部73は、端子間の導通または遮断を制御する制御信号を切替部72へ供給することによって、切替部72を制御する。端子72aと端子72cとが導通する状態に切り替えられると、電力供給部31(例、バッテリー)は、切替部72を介して制御部61へ電力を供給する。なお、切替部72および検出部73は、第1実施形態で説明した電磁スイッチなどでもよい。
【0147】
制御部61の入力端子61bは、信号発生部33から検出信号が伝わる経路に接続される。入力端子61bは、例えば、配線PLのノードN7に接続される。制御部61の出力端子61cは、切替部51におけるスイッチング素子56の端子56c(例、ゲート電極)に接続される。制御部61は、信号発生部33の検出信号が立ち上がった際に、入力端子61bの電位が所定のレベル以上になることをトリガーとして、出力端子61cから制御信号を切替部51へ供給(出力)する。
【0148】
制御部61が切替部51へ制御信号を供給すると、電力供給部31(例、バッテリー36)は、切替部51を介して状態検出部52(例、電力検出部57)へ電力を供給する。例えば、切替部51は制御信号に基づいてスイッチング素子56の端子56aと端子56bとの間が導通した状態になり、電力供給部31は状態検出部52へ電力を供給する。状態検出部52は、電力供給部31から供給される電力を用いて、電力供給部31の状態を検出する。なお、制御部61は、状態検出部52を含んでもよい。上記した構成において、通常状態又はバックアップ状態において、制御部61は、電力供給部31から供給される電力を用いて、電力供給部31の状態として、信号発生部33の状態(信号発生部33から検出信号が正常に出力されているかどうかの正常状態又は異常状態)を検出してもよい。例えば、制御部61は、電力供給部31(バッテリー36)から電力が供給されている期間の所定の時間内に入力端子61bに検出信号が入力されない場合、信号発生部33または検出信号が伝わる経路が異常状態であると検出(判定)してもよい。
【0149】
なお、制御部61は、入力端子61bの電位が所定のレベル以上となる回数に基づいて、切替部51へ制御信号を供給してもよい。この場合、制御部61は、入力端子61bの電位がハイレベルに立ち上がった回数をカウントし、この回数が所定の値になった際に制御信号を切替部51へ出力してもよい。また、制御部61は、検出信号が所定の回数だけ立ち上がるごとに、切替部51を制御することによって電力供給部31(例、バッテリー36)の状態を状態検出部52(例、電力検出部57)に検出させてもよい。
【0150】
また、制御部61は、検出信号に基づいて状態検出部52に検出動作を実行させる第1モードと、任意に設定されるタイミングで状態検出部52に検出動作を実行させる第2モードとを切替可能でもよい。例えば、制御部61は、通常状態において、外部(例、駆動装置MTRの制御部MC)から指令を受けた場合に、上記の第1モードと第2モードとを切り替えてもよい。制御部61は、通常状態において、第2モードがデフォルトに設定され、任意に設定されるタイミングで状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。そして、制御部61は、外部から指令を受けた場合に、第2モードを第1モードに一時的に変更して、検出信号に基づいて状態検出部52に検出動作を実行させてもよい。
【0151】
なお、電力供給部31は、検出信号に基づいて制御部61へ電力を供給してもよい。例えば、制御部61の電源端子61aは、切替部35の出力端子(例、スイッチング素子58の端子58b)と接続されてもよい。また、制御部61の電源端子61aは、電力調整部59の出力端子59bと接続されてもよい。エンコーダ装置ECは、電力供給部31が検出信号に基づいて制御部61へ電力を供給する場合、切替部72および検出部73を備えなくてもよい。
【0152】
なお、エンコーダ装置ECは、電力供給部31から制御部61への電力の供給の有無を切り替えなくてもよい。例えば、制御部61の電源端子61aは、電力供給部31(例、バッテリー36の電極)と常時接続されてもよい。この場合、エンコーダ装置ECは、切替部72および検出部73を備えなくてもよい。また、切替部62および検出部71は、切替部72および検出部73を兼ねていてもよい。例えば、切替部62の端子62cは、制御部61の電源端子61aと接続され、かつ位置検出部1と接続されてもよい。
【0153】
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。
図14は、実施形態に係る駆動装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。駆動装置MTRは、例えば、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転体SFと、回転体SFを回転駆動する本体部MB(駆動部)と、回転体SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
【0154】
回転体SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。エンコーダ装置ECは、スケールSが回転体SFに固定され、駆動装置MTRの本体部MBに取り付けられる。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、
図1などに示した制御部MCが本体部MBを制御する。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、安定して動作可能であり、駆動装置MTRも安定して動作可能である。
【0155】
なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。また、駆動装置MTRは、移動部を回転させる装置でなくてもよく、例えば、移動部を直線移動させるリニアモータなどでもよい。
【0156】
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。
図15は、実施形態に係るステージ装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。ステージ装置STGは、駆動装置MTRによって移動するステージST(移動物体)を備える。
【0157】
ステージSTは、駆動装置MTRの回転体SFのうち負荷側端部SFaに取り付けられている。ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。
【0158】
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転体SFを回転させる。ステージSTは、回転体SFを介して伝達される動力によって回転する。駆動装置MTRの負荷側端部SFaとステージSTとの間には、例えば、減速機等が配置される。エンコーダ装置ECは回転体SFの回転位置情報を検出し、ステージ装置STGは、例えば、エンコーダ装置ECの検出結果に基づいて、ステージSTの角度位置を検出することができる。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、安定して動作可能であり、ステージ装置STGも安定して動作可能である。
【0159】
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。
図16は、実施形態に係るロボット装置を示す図である。
図16には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略装置または簡略化する。
【0160】
ロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを備える。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転体SF2と一体的に設けられている。回転体SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転体SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
【0161】
駆動装置MTR(
図14参照)の回転体SFのうち負荷側端部は、減速機RGに接続されている。減速機RGは、駆動装置MTR(
図14参照)の回転体SFの回転を、所定の減速比で減速して回転体SF2に伝達する。また、駆動装置MTR(
図14参照)の回転体SFのうち反負荷側端部には、エンコーダ装置ECが取り付けられている。
【0162】
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転体を回転させる。この回転体の回転は、減速機RGを介して回転体SF2に伝達される。回転体SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、第2アームAR2は、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転体の回転位置情報を検出する。ロボット装置RBTは、例えば、エンコーダ装置ECの検出結果を用いることによって、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、安定して動作可能であり、ロボット装置RBTも安定して動作可能である。
【0163】
なお、実施形態に係るロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、複数の関節を備える各種ロボット装置(例、双腕多軸型ロボット)でもよい。複数の関節を備えるロボット装置の場合、そのロボット装置は各関節(各軸)又は一部の関節に本実施形態のエンコーダ装置ECが配置される。
【0164】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2018-061276、及び、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0165】
1・・・位置検出部、1A・・・角度検出部、1B・・・多回転検出部、S・・・スケール、31・・・電力供給部、33・・・信号発生部、36・・・バッテリー、51・・・切替部、52・・・状態検出部、53・・・寿命算出部、56・・・スイッチング素子、58・・・スイッチング素子、61・・・制御部、62・・・切替部(第2の切替部)、64・・・スイッチング素子、65・・・スイッチング素子、68・・・タイミング調整部、EC・・・エンコーダ装置、PW・・・電源部、SF・・・回転体、ST・・・ステージ、MTR・・・駆動装置、RBT・・・ロボット装置、STG・・・ステージ装置