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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】積層体及び靴底
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/32 20060101AFI20230314BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230314BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230314BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B32B5/32
B32B27/40
B32B27/18 D
A43B13/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022562513
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2022004163
(87)【国際公開番号】W WO2022219891
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2021067629
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雅美
(72)【発明者】
【氏名】坂元 保
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-302059(JP,A)
【文献】特開2002-052551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A43B 13/04,13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のウレタン発泡層と、第二のウレタン発泡層とを有し、
前記第一のウレタン発泡層の密度が、0.8g/cm3以上1.2g/cm3以下であり、
前記第二のウレタン発泡層の密度が、0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下であり、
前記第二のウレタン発泡層において、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μmを超える範囲における発泡セルの平均セル径をa(μm)、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μm以下の範囲における発泡セルの平均セル径をb(μm)としたとき、b/aが、1.2未満であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記第一のウレタン発泡層が、帯電防止剤(E)として、第4級アンモニウム塩(E1)と、有機金属塩(E2)とを含むものであり、前記第4級アンモニウム塩(E1)と前記有機金属塩(E2)との質量比(E1/E2)が、1/1以上10/1以下である請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記第一のウレタン発泡層における静電防止剤(E)の含有率が、4.0質量%未満である請求項1又は2載の積層体。
【請求項4】
前記第二のウレタン発泡層が、帯電防止剤(E’)として、第4級アンモニウム塩(E1’)と、有機金属塩(E2’’)とを含むものであり、前記第4級アンモニウム塩(E1’)と前記有機金属塩(E2’)との質量比(E1’/E2’)が、1/1以上10/1以下である請求項1~3のいずれか1項記載の積層体。
【請求項5】
前記第二のウレタン発泡層における帯電防止剤(E’)の含有率が、3.0質量%以下である請求項1~4のいずれか1項載の積層体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の積層体を有することを特徴とする靴底。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及び靴底に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業場等における静電気爆発を防止する観点から、人体に着用する靴、衣類、手袋等に使用される樹脂及び繊維に静電性能を付与する検討がなされており、例えば静電気帯電防止靴の靴底等に応用されている。
【0003】
樹脂に制電性を付与する方法として、導電性物質、イオン性物質等からなる帯電防止剤を樹脂成形品の表面にコーティング、または樹脂中に内部添加する方法が行われている。これらの方法をポリウレタン樹脂に応用した事例として、例えば、1)カーボンブラック、導電フィラー等を添加する方法、2)イオン性界面活性剤の塗布または添加する方法、3)過塩素酸、チオシアン酸または硝酸等のアルカリ金属塩を添加する方法、4)アルキル硫酸第四級アンモニウムや第四級アンモニウムパークロレートを添加する方法、5)置換スルホン酸第四級アンモニウム等の非金属系帯電防止化合物、スルホン酸金属塩等の金属系帯電防止化合物及び極性有機溶媒を添加する方法等が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-060682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、着用する靴、衣類、手袋等の材料は要求される性能を満たすため、密度の異なる構成体となしていることが多い。例えば、静電気帯電防止靴では、地面・床などに設置する面は耐摩耗性、耐擦傷性、耐加水分解性などの観点から高密度成型体となっており、人体に接する面は耐屈曲性、ソフト感などの観点から低密度成型体で、それらが接着した構成体となっている。
【0006】
ウレタン樹脂は自己接着性がある事から、製造時には高密度部分を成型した後、低密度部分を連続成型し、構成体を得ることができる。しかしながら、静電性能を発揮させるために樹脂中に内部添加した帯電防止剤の影響で、構成体の接着性が阻害されることがある。靴底の生産場所は工賃が安価な東南アジアにシフトしており、特に高温多湿下での連続成型でこの接着性悪化を引き起こすことが問題になっている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、高温多湿下の連続成形を行った場合でも、各層間の接着性が良好である積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、各層の密度及び各層に含まれる発泡セル径の大きさいを特定範囲とした場合に、各層間の接着性が良好となることを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明の積層体は、第一のウレタン発泡層と、第二のウレタン発泡層とを有し、前記第一のウレタン発泡層の密度が、0.8g/cm3以上1.2g/cm3以下であり、前記第二のウレタン発泡層の密度が、0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下であり、前記第二のウレタン発泡層において、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μmを超える範囲における発泡セルの平均セル径をa(μm)、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μm以下の範囲における発泡セルの平均セル径をb(μm)としたとき、b/aが、1.2未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体は、高温多湿下の連続成形を行った場合でも、各層間の接着性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積層体は、第一のウレタン発泡層と、第二のウレタン発泡層とを有する。
【0012】
[第一のウレタン発泡層]
前記第一のウレタン発泡層は、ウレタン樹脂の発泡体から構成される。前記ウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等が挙げられる。本発明において、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂とは、分子鎖中に、ポリエステルに由来する単位を有するウレタン樹脂を表すものとする。
【0013】
前記第一のウレタン発泡層の密度は、好ましくは0.8g/cm3以上、より好ましくは0.9g/cm3以上であり、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.1g/cm3以下である。
【0014】
前記第一のウレタン発泡層の硬度は、日本工業規格 JIS K 7312-1996(硬さ試験)に準拠して、スプリング硬さ試験(タイプC)で測定した場合、好ましくは50以上、より好ましくは60以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは90以下である。
【0015】
前記第一のウレタン発泡層において、発泡セル径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。
【0016】
本発明において、発泡セル径とは、ウレタン発泡体の破断面において、観察される発泡セルの長径を表すものとする。前記発泡セル径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができ、発泡セル径の平均値は、発泡セル50個以上について測定した発泡セルの平均値を表すものとする。
【0017】
前記第一のウレタン発泡層は、主剤(i)及び硬化剤(ii)を含む第一のポリウレタン樹脂組成物を発泡させ、成形、硬化させることにより製造することができる。
【0018】
前記主剤(i)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含むものであることが好ましい。
【0019】
前記ウレタンプレポリマー(A)は、ポリオール(A1)及びポリイソシアネート(A2)の反応物であることが好ましく、イソシアネート基を有するものであることが好ましい。前記イソシアネート基は、ウレタンプレポリマー(A)の末端にあることが好ましい。
【0020】
前記ポリオール(A1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の高分子量ポリオール;低分子量ポリオール等が挙げられる。前記ポリオール(A1)は、2官能又は3官能以上のポリオールであってもよい。
【0021】
前記ポリエステルポリオールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、低分子量ポリオールと、ポリカルボン酸とを反応して得られるポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルポリオール;これらを共重合して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0022】
前記ポリエステルポリオールの原料である低分子量ポリオールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、分子量が50以上300未満のポリオールが挙げられ、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオール(ジオール又は3官能以上のポリオール);1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ポリオール(ジオール又は3官能以上のポリオール);ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビスフェノールSi2、ジヒドロキシナフタレン及びビスフェノールF等の芳香族ポリオール(ジオール又は3官能以上のポリオール);前記芳香族ポリオールのアルキレンオキサイド付加物;ソルビトール、ショ糖、アコニット糖等の糖類;アミン化合物などが挙げられる。中でも、脂肪族ポリオールが好ましく、前記脂肪族ポリオールの炭素原子数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4である。前記脂肪族ポリオールの含有率は、前記ポリエステルポリオールの原料である低分子量ポリオール中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量以上であり、上限は100質量%である。
【0023】
前記ポリエステルポリオールの原料であるポリカルボン酸としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ポリカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;無水マレイン酸等のそれらの無水物又はエステル化物等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリカルボン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
【0024】
前記ポリエーテルポリオールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(PEPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリオキシブチレングリコール、ポリオキシペンチレングリコール、ポリオキシヘキシレングリコール等の炭素原子数2~6(好ましくは炭素原子数2~4)のオキシアルキレン単位を有するポリエーテルポリオール等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオールは、直鎖、分岐、環状の何れの構造を有していてもよい。
【0025】
前記ポリエーテルポリオールは、2官能ポリオール又は3官能以上のポリオールであってもよく、2官能ポリオールであることが好ましい。
【0026】
前記ポリカーボネートポリオールは、炭酸及び炭酸エステルと、多価アルコールとをエステル化反応させて得られるものである。前記多価アルコールとしては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0027】
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0028】
前記高分子量ポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物が開環付加重合したポリオール;カプロラクトンモノマーの開環重合により得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリエーテルエステルポリオール;芳香族ポリエステルポリオール;アクリルポリオール;ポリオレフィンポリオール;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ポリエーテルエステルポリオールの存在下、アクリロニトリルやスチレン等のエチレン性不飽和単量体を重合したポリマーポリオールなども使用できる。
【0029】
前記高分子量ポリオール中、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオール(好ましくはポリエステルポリオール)の合計の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0030】
前記高分子量ポリオールの水酸基価は、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは35mgKOH/g以上、さらに好ましくは55mgKOH/g以上であり、好ましくは225mgKOH/g以下、より好ましくは120mgKOH/g以下である。前記ポリエステルポリオールの水酸基価が前記範囲にあると、後述するウレタンプレポリマー(A)の粘度を抑制することができる。本発明において、高分子量ポリオールの水酸基価は、JIS K 1557-1に準拠して測定することができる。
【0031】
前記ポリオール(A1)中、高分子量ポリオールの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0032】
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール(EG)、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール等の脂肪族ジオール類;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環族ジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の水酸基含有化合物などが挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール(EG)が好ましい。前記低分子量グリコールは、直鎖、分岐、環状の何れの構造を有していてもよい。
【0033】
前記低分子量ポリオールの分子量は、好ましくは50以上であり、好ましくは300以下、より好ましくは200以下である。前記低分子量グリコールの分子量がかかる範囲であるならば、ポリオール成分として併用した場合に、目標とした硬度の成形品が得られやすい。
【0034】
前記ポリイソシアネート(A2)としては、1種又は2種以上を用いることができ、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートのいずれであってもよい。前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ;前記脂環式ポリイソシアネートとしては、あるいはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ;前記芳香族ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI;その4,4’体、2,4’体又は2,2’体、若しくはそれらの混合物、クルードMDI)、カルボジイミド変性MDI(変性MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ-ト(TDI;その2,4体、又は2,6体、若しくはそれらの混合物)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、ポリオール成分との反応性、湿気(水)との反応性、及び作業性等に優れることから、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、MDI、TDIがより好ましく、加熱溶融させて使用する際の蒸気圧が低いMDIが特に好ましい。
【0035】
前記ポリイソシアネート(A2)に含まれるイソシアネート基と、前記ポリオール(A1)に含まれる水酸基のモル比(NCO/OH)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0036】
前記ポリオール(A1)と、前記ポリイソシアネート(A2)との反応は、無溶剤下で行なってもよく、有機溶剤中で行ってもよい。前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;トルエン等の芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤は、反応途中又は反応終了後に、減圧加熱や薄膜留去等により除去することが望ましい。
【0037】
前記ポリオール(A1)と、前記ポリイソシアネート(A2)との反応温度は、例えば、50~90℃が好ましく、反応時間は、例えば2~24時間が好ましく、反応圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。反応方式は、例えば、バッチ、半連続、連続など、公知の反応方式を選択することができる。
【0038】
前記ポリオール(A1)と、前記ポリイソシアネート(A2)との反応雰囲気は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気であってもよく、乾燥空気雰囲気であってもよく、密閉条件下などの水分が混入しない条件であってもよい。
【0039】
前記ポリオール(A1)と、前記ポリイソシアネート(A2)とを反応させる際、必要に応じてウレタン化触媒を共存させてもよい。前記触媒は、原料仕込工程、反応工程の任意の段階で適宜加えることができる。また、触媒の添加方法は、一括、分割、連続などであってよい。
【0040】
前記ウレタン化触媒としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジブチルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン等の含窒素化合物;チタンテトラブトキシド、ジブチルスズオキシド、ジラウリン酸ジブチルスズ、2-エチルカプロン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルカプロン酸亜鉛、グリコール酸モリブデン、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物;塩化鉄、塩化亜鉛等の無機化合物などが挙げられる。
【0041】
前記ウレタンプレポリマー(A)は、末端にイソシアネート基を有する。前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量は、好ましくは150~350g/mol、より好ましくは200~300g/molである。ウレタンプレポリマーのイソシアネート基当量が前記範囲にあることで、ウレタンプレポリマーの粘度を抑制することができる。前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基当量は、JIS K1603-2007
プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法第一部:イソシアネート基含有率の求め方に準拠して測定することができる。
【0042】
前記硬化剤(ii)は、イソシアネート基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物(B)(以下、「化合物(B)」という場合がある。)を含むものであることが好ましい。
【0043】
前記化合物(B)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリオールやポリアミンなどの活性水素原子含有化合物等が挙げられる。
【0044】
前記化合物(B)としてのポリオール(B1)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、前記ポリオール(A1)として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の高分子量ポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールがより好ましい。
【0045】
前記高分子量ポリオール中、3官能以上のポリオールの含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0046】
前記ポリオール(B1)中、高分子量ポリオールの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0047】
前記ポリオール(B1)中、低分子量ポリオールの含有量は、前記高分子量ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
【0048】
前記化合物(B)中、ポリオール(B1)の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0049】
前記化合物(B)としてのポリアミン(B2)としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族又は脂環式アミン化合物;フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ポリアミノクロロフェニルメタン化合物等の芳香族アミン化合物などが挙げられる。
【0050】
前記化合物(B)としては、ポリオール(B1)が好ましい。
【0051】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、さらに、帯電防止剤(E)を含むことが好ましい。前記帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩(E1)、有機金属塩(E2)、イオン液体(E3)、帯電防止剤(E4)、帯電防止助剤(E5)等が挙げられ、第4級アンモニウム塩(E1)、有機金属塩(E2)、イオン液体(E3)が好ましく、第4級アンモニウム塩(E1)、有機金属塩(E2)がより好ましい。前記第一のウレタン発泡層における前記帯電防止剤(E)の含有率としては、より一層優れた剥離強度および帯電防止性が得られる点、並びに、前記b/aの値を本発明で規定する範囲に調整しやすい点から、前記0.1質量%以上4.0質量%未満が好ましく、3.15質量%以上3.95質量以下がより好ましい。
【0052】
前記第4級アンモニウム塩(E1)は、カチオン成分及びアニオン成分を含むものであり、カチオンとして第4級アンモニウム塩を含むものである。
【0053】
前記アニオン成分としては、硫酸エステルアニオン及びスルホン酸アニオンからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、硫酸エステルアニオンを含むことがより好ましい。前記硫酸エステルアニオンとしては、メチル硫酸エステルアニオン、エチル硫酸エステルアニオン、プロピル硫酸エステルアニオン、ブチル硫酸エステルアニオン、ペンチル硫酸エステルアニオン、ヘキシル硫酸エステルアニオン、ヘプチル硫酸エステルアニオン及びオクチル硫酸エステルアニオン等の炭素原子数1~10(好ましくは炭素原子数1~5)のアルキル基を有するアルキル硫酸エステルアニオン等が挙げられる。前記スルホン酸アニオンとしては、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、ペンタンスルホン酸アニオン、ヘキサンスルホン酸アニオン、ヘプタンスルホン酸アニオン、オクタンスルホン酸アニオン等の炭素原子数1~10(好ましくは炭素原子数1~5)のアルキル基を有するアルカンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0054】
前記第4級アンモニウムカチオンは、以下の式(1)で表されるカチオンであることが好ましい。
【0055】
【化1】
【0056】
[式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0057】
1、R2、R3、R4で表される脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ブタデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ブタデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基(以下、「前記アルキル基に相応するアルケニル基」ともいう。)などが挙げられ、アルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0058】
1、R2、R3、R4で表される脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1~15、より好ましくは1~12である。また、R1、R2、R3、R4で表される脂肪族炭化水素基の合計の炭素原子数は、好ましくは4~40、より好ましくは6~30、さらに好ましくは10~20である。R1、R2、R3、R4の少なくとも1つは、炭素原子数3~20(好ましくは4~15)の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0059】
前記第4級アンモニウム塩(E1)は、硫酸エステルアニオンと、式(1)で表される第4級アンモニウムカチオンとの組合せであることが好ましい。
【0060】
なお前記第4級アンモニウム塩(E1)と後述するイオン液体(E3)とは、いずれも、カチオン成分とアニオン成分とから構成されるものであるが、第4級アンモニウム塩は、分子性の溶媒に溶解し、溶媒を介してのみイオン伝導性が発現するのに対して、イオン液体は、分子性の溶媒を添加しなくともイオン伝導性を発現するという点で異なる。
【0061】
前記第4級アンモニウム塩(E1)の含有率は、前記ポリウレタン樹脂成形体中、好ましくは0.5質量部%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
【0062】
前記有機金属塩(E2)としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド金属塩等のビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド金属塩;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン金属塩等のトリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メタン金属塩;アルキルスルホン酸金属塩;ベンゼンスルホン酸金属塩;アルキルベンゼンスルホン酸金属塩;硫酸エステル金属塩等が挙げられる。
【0063】
前記有機金属塩(E2)の金属成分としては、例えば有機溶媒への溶解性の観点から、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、もしくはマグネシウム等のアルカリ土類金属が好ましく、なかでもリチウムが特に好ましい。
【0064】
前記有機金属塩(E2)の含有率は、前記ポリウレタン樹脂成形体中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0065】
前記第4級アンモニウム塩(E1)と前記有機金属塩(E2)との質量比(E1/E2)としては、より一層優れた剥離強度および帯電防止性が得られる点、並びに、前記b/aの値を本発明で規定する範囲に調整しやすい点から、1/1以上10/1以下の範囲が好ましく、3/1以上8/1以下の範囲がより好ましい。
【0066】
前記イオン液体(E3)は、大気圧(1013hPa)下において、融点が100℃以下である塩を表し、大気圧(1013hPa)下、常温(25℃)で液体であることが好ましい。前記イオン液体(E3)は、カチオン成分として、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン及び第4級アンモニウムカチオンからなる群より選ばれる1種以上を含む。ただし、前記イオン液体(E3)は、前記第4級アンモニウム塩(E1)とは異なる。
【0067】
前記イオン液体(E3)としては、例えば、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムスルホン酸メチル塩、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムエチル硫酸塩、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムチオシアネート、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムアセテート、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムスルホン酸メチル塩、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムエチル硫酸塩、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムチオシアネート、1-ブチル-3-メチル-イミダゾリウムアセテートなどが挙げられ、これらの中では、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムエチル硫酸塩、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムチオシアネートが、帯電防止性能により優れることから、好ましい。これらは単独使用でも2種以上を併用してもいい。
【0068】
前記イオン液体(E3)の含有率は、ポリウレタン樹脂成形体中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0069】
前記帯電防止剤(E4)としては、メタンスルホン酸エステル誘導体、p-トルエンスルホン酸エステル誘導体等のカチオン性制電性化合物などが挙げられる。
【0070】
前記帯電防止助剤(E5)としては、環状ケトン類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ラクトン系単量体類などが挙げられる。前記環状ケトン類としては、例えばシクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等及びその誘導体等、あるいはソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えばソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等、あるいはラクトン系単量体類としては、例えばβ-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-クロトノラクトン等のラクトンモノマー等が挙げられる。
【0071】
前記静電防止剤の全部又は一部は、主剤(i)に含まれていてもよく、均一混合性及び硬化反応制御の観点から、全部が硬化剤(ii)に含まれていることが好ましい。
【0072】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、発泡剤を含むことが好ましい。発泡剤を含むことで、ポリウレタン樹脂組成物を発泡させることができる。発泡剤としては、水が好ましい。前記発泡剤の含有量は、前記化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.4質量部以下である。発泡剤の含有量が前記範囲にあると、安定した発泡状態の実現が容易である。
【0073】
前記ウレタン樹脂組成物は、さらに、発泡助剤を含んでいてもよい。前記発泡助剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、メチレンクロライド、ペンタン等の低沸点(例えば50℃以下、好ましくは40℃以下)の化合物(炭化水素化合物又はハロゲン化炭化水素化合物、好ましくはハロゲン化炭化水素化合物)が挙げられる。
【0074】
前記発泡剤及び前記発泡助剤は、一部又は全部が、主剤(i)及び硬化剤(ii)の少なくとも一方に含まれていればよく、全部が硬化剤(ii)に含まれていることが好ましい。
【0075】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、さらに、触媒(D)を含むことが好ましい。前記触媒(D)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、パルミチルジメチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエチルエーテル、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチルイミダゾール、N-エチルモルフォリン、トルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン等のアミン化合物、あるいはジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物などが挙げられる。前記触媒(D)としては、発泡性制御の観点から、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノエチルエーテルがより好ましい。
【0076】
前記触媒(D)の含有量は、前記化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。前記触媒(D)の含有量が前記範囲にあることで、発泡状態の安定化が容易となる。
【0077】
前記触媒(D)は、一部又は全部が、主剤(i)及び硬化剤(ii)の少なくとも一方に含まれていればよく、全部が、硬化剤(ii)に含まれていることがより好ましい。
【0078】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、他の添加剤を含んでいてもよい。前記他の添加剤としては、難燃剤、整泡剤、鎖伸長剤、可塑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、耐光安定剤、酸化防止剤等が挙げられる。前記整泡剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリジメチルシロキサンやポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロック共重合体等のシリコン系化合物、金属石鹸、アルキルフェノールや脂肪酸のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物等の界面活性剤などが挙げられる。前記可塑剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、アジペート系ポリエステル可塑剤、安息香酸系ポリエステル可塑剤等が挙げられる。前記他の添加剤は、主剤(i)に含まれていてもよく、硬化剤(ii)に含まれていてもよい。
【0079】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、前記主剤(i)と、前記硬化剤(ii)を混合することにより製造することができる。主剤(i)及び硬化剤(ii)に含まれる全成分中、イソシアネート基と、水酸基及び-NH-基等の活性水素原子含有基とのモル比(NCO/活性水素原子含有基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.85以上であり、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。前記モル比(NCO/活性水素原子含有基)が前記範囲にあることで、得られるポリウレタン樹脂成形体の強度、屈曲性及び耐摩耗性を高めることができる。
【0080】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物を発泡させる際、前記発泡剤を用いてもよく、中空ビーズを添加してもよく、機械的発泡又は化学的発泡を行ってもよい。また、低圧発泡成形機、射出発泡成形機等の発泡成形機を使用することができる。
【0081】
前記第一のウレタン発泡層は、モールド成形法(成形機より吐出した混合発泡液をモールドにオープン注入する)、インジェクション成形法(成形機の吐出口に直結したクローズドモールドに混合発泡液を直接射出する)等により成形することができる。
【0082】
前記成形型(モールド)としては、上型、下型からなるオープン型;平面状型;筒状型;凹型クローズドモールド等を用いることができる。前記成形型の材質としては、鉄、アルミ等の金属;エポキシ樹脂等の樹脂を採用することができる。
【0083】
[第二のウレタン発泡層]
前記第二のウレタン発泡層は、ウレタン樹脂の発泡体から構成される。前記ウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等が挙げられる。本発明において、例えば、ポリエステル系ウレタン樹脂とは、分子鎖中に、ポリエステルに由来する単位を有するウレタン樹脂を表すものとする。
【0084】
前記第二のウレタン発泡層の密度は、好ましくは0.3g/cm3以上、より好ましくは0.4g/cm3以上であり、好ましくは0.7g/cm3以下、より好ましくは0.6g/cm3以下である。
【0085】
前記第二のウレタン発泡層の硬度は、日本工業規格 JIS K 7312-1996(硬さ試験)に準拠して、スプリング硬さ試験(タイプC)で測定した場合、好ましくは40以上、より好ましくは50以上であり、好ましくは90以下、より好ましくは80以下である。
【0086】
前記第二のウレタン発泡層において、発泡セル径は、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
【0087】
前記第二のウレタン発泡層において、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μmを超える範囲における発泡セルの平均セル径をa(μm)、前記第一のウレタン発泡層との界面から200μm以下の範囲における発泡セルの平均セル径をb(μm)としたとき、b/aは、1.2未満であり、好ましくは1.15以下、さらに好ましくは1.1以下であり、例えば0.7以上、0.8以上、0.9以上であってもよい。前記b/aの値を調整する方法としては、例えば、帯電防止剤(E)を調整する方法が挙げられる。
【0088】
前記第二のウレタン発泡層は、主剤(i’)及び硬化剤(ii’)を含む第二のポリウレタン樹脂組成物を発泡させ、成形、硬化させることにより製造することができる。
【0089】
前記主剤(i’)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A’)を含むものであることが好ましい。
【0090】
前記ウレタンプレポリマー(A’)は、ポリオール(A1’)及びポリイソシアネート(A2’)の反応物であることが好ましく、イソシアネート基を有するものであることが好ましい。前記イソシアネート基は、ウレタンプレポリマー(A’)の末端にあることが好ましい。
【0091】
前記ポリオール(A1’)としては、前記ポリオール(A1)として例示した化合物と同様の化合物を例示することができ、前記ポリイソシアネート(A2’)としては、前記ポリイソシアネート(A2)として例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。
【0092】
前記ポリイソシアネート(A2’)に含まれるイソシアネート基と、前記ポリオール(A1’)に含まれる水酸基のモル比(NCO/OH)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。
【0093】
前記ポリオール(A1’)と、前記ポリイソシアネート(A2’)との反応は、無溶剤下で行なってもよく、有機溶剤中で行ってもよい。前記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;トルエン等の芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。前記有機溶剤は、反応途中又は反応終了後に、減圧加熱や薄膜留去等により除去することが望ましい。
【0094】
前記ポリオール(A1’)と、前記ポリイソシアネート(A2’)との反応温度は、例えば、50~90℃が好ましく、反応時間は、例えば2~24時間が好ましく、反応圧力は、常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。反応方式は、例えば、バッチ、半連続、連続など、公知の反応方式を選択することができる。
【0095】
前記ポリオール(A1’)と、前記ポリイソシアネート(A2’)との反応雰囲気は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気であってもよく、乾燥空気雰囲気であってもよく、密閉条件下などの水分が混入しない条件であってもよい。
【0096】
前記ポリオール(A1’)と、前記ポリイソシアネート(A2’)とを反応させる際、必要に応じて上記したウレタン化触媒を共存させてもよい。前記触媒は、原料仕込工程、反応工程の任意の段階で適宜加えることができる。また、触媒の添加方法は、一括、分割、連続などであってよい。
【0097】
前記ウレタンプレポリマー(A’)のイソシアネート基当量は、好ましくは150~350g/mol、より好ましくは200~300g/molである。ウレタンプレポリマーのイソシアネート基当量が前記範囲にあることで、ウレタンプレポリマーの粘度を抑制することができる。前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基当量は、JIS K1603-2007 プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法第一部:イソシアネート基含有率の求め方に準拠して測定することができる。
【0098】
前記硬化剤(ii’)は、イソシアネート基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物(B’)(以下、「化合物(B’)」という場合がある。)を含むものであることが好ましい。
【0099】
前記化合物(B’)としては、1種又は2種以上を用いることができ、例えば、ポリオールやポリアミンなどの活性水素原子含有化合物を挙げることができる。
【0100】
前記化合物(B’)としてのポリオール(B1’)としては、前記ポリオール(B1)として例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等の高分子量ポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールがより好ましい。
【0101】
前記高分子量ポリオール中、3官能以上のポリオールの含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
【0102】
前記ポリオール(B1’)中、高分子量ポリオールの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0103】
前記ポリオール(B1’)中、低分子量ポリオールの含有量は、前記高分子量ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
【0104】
前記化合物(B’)中、ポリオール(B1’)の含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下である。
【0105】
前記化合物(B’)としてのポリアミン(B2’)としては、ポリアミン(B2)として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。
【0106】
前記化合物(B’)としては、ポリオール(B1’)が好ましい。
【0107】
前記第二のポリウレタン樹脂組成物は、さらに、帯電防止剤(E’)を含むことが好ましい。前記帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩(E1’)、有機金属塩(E2’)、イオン液体(E3’)、帯電防止剤(E4’)、帯電防止助剤(E5’)等が挙げられ、第4級アンモニウム塩(E1’)、有機金属塩(E2’)、イオン液体(E3’)が好ましく、第4級アンモニウム塩(E1’)、有機金属塩(E2’)がより好ましい。
【0108】
前記第4級アンモニウム塩(E1’)と前記有機金属塩(E2’)との質量比(E1’/E2’)としては、より一層優れた剥離強度および帯電防止性が得られる点、並びに、前記b/aの値を本発明で規定する範囲に調整しやすい点から、1/1以上10/1以下の範囲が好ましく、3/1以上8/1以下の範囲がより好ましい。
【0109】
前記第4級アンモニウム塩(E1’)、前記有機金属塩(E2’)、、イオン液体(E3’)、帯電防止剤(E4’)、帯電防止助剤(E5’)、としては、前記第4級アンモニウム塩(E1)、前記有機金属塩(E2)、イオン液体(E3)、帯電防止剤(E4)、帯電防止助剤(E5)として例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。
【0110】
前記第二のウレタン発泡層における前記帯電防止剤(E’)の含有率としては、より一層優れた剥離強度および帯電防止性が得られる点、並びに、前記b/aの値を本発明で規定する範囲に調整しやすい点から、前記0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましい。
【0111】
前記静電防止剤の全部又は一部は、主剤(i’)に含まれていてもよく、均一混合性及び硬化反応制御の観点から、全部が硬化剤(ii’)に含まれていることが好ましい。
【0112】
前記第二のウレタン樹脂組成物は、上記した発泡剤を含むことが好ましく、上記した発泡助剤を含んでいてもよい。前記発泡剤及び前記発泡助剤は、一部又は全部が、主剤(i’)及び硬化剤(ii)の少なくとも一方に含まれていればよく、全部が硬化剤(ii’)に含まれていることが好ましい。
【0113】
前記第一のポリウレタン樹脂組成物は、さらに、触媒(D’)を含むことが好ましい。前記触媒(D’)としては、前記触媒(D)として例示した化合物と同様の化合物を挙げることができる。
【0114】
前記触媒(D’)の含有量は、前記化合物(B’)100質量部に対して、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。前記触媒(D’)の含有量が前記範囲にあることで、発泡状態の安定化が容易となる。
【0115】
前記触媒(D’)は、一部又は全部が、主剤(i’)及び硬化剤(ii’)の少なくとも一方に含まれていればよく、全部が、硬化剤(ii’)に含まれていることがより好ましい。
【0116】
前記第二のポリウレタン樹脂組成物は、上記した他の添加剤を含んでいてもよい。前記他の添加剤は、主剤(i’)に含まれていてもよく、硬化剤(ii’)に含まれていてもよい。
【0117】
前記第二のポリウレタン樹脂組成物は、前記主剤(i’)と、前記硬化剤(ii’)を混合することにより製造することができる。主剤(i’)及び硬化剤(ii’)に含まれる全成分中、イソシアネート基と、水酸基及び-NH-基等の活性水素原子含有基とのモル比(NCO/活性水素原子含有基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.85以上であり、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。前記モル比(NCO/活性水素原子含有基)が前記範囲にあることで、得られるポリウレタン樹脂成形体の強度、屈曲性及び耐摩耗性を高めることができる。
【0118】
前記第二のポリウレタン樹脂組成物を発泡させる際、前記発泡剤を用いてもよく、中空ビーズを添加してもよく、機械的発泡又は化学的発泡を行ってもよい。また、低圧発泡成形機、射出発泡成形機等の発泡成形機を使用することができる。
【0119】
前記第二のウレタン発泡層は、モールド成形法(成形機より吐出した混合発泡液をモールドにオープン注入する)、インジェクション成形
法(成形機の吐出口に直結したクローズドモールドに混合発泡液を直接射出する)等により成形することができる。
【0120】
前記成形型(モールド)としては、上型、下型からなるオープン型;平面状型;筒状型;凹型クローズドモールド等を用いることができる。前記成形型の材質としては、鉄、アルミ等の金属;エポキシ樹脂等の樹脂を採用することができる。
【0121】
本発明の積層体は、第一のウレタン発泡層を形成した後、第一のウレタン発泡層上に、第二のウレタン発泡層を形成することで製造することができる。
【0122】
本発明の積層体は、高温多湿下で成形した場合でも、各層間の接着性が良好であり、靴底として有用である。
【実施例
【0123】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0124】
〔調製例1:主剤(X)の調製〕
反応容器に、イソシアネート成分として、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「4,4’MDI」と略称。商標:ミリオネート MT、日本ポリウレタン工業株式会社製)543部と、カルボジイミド変性MDI(商標:コスモネート LL、三井化学ポリウレタン株式会社製)28.6部を仕込み、攪拌を開始した。
【0125】
次いで、ポリオール成分として、ポリオールa(エチレングリコール(EG)/1,4-ブチレングリコール(1,4BG)とアジピン酸(AA)から合成された水酸基価56.1mgKOH/gのポリエステルポリオール。EG/1,4BG=5/5モル比のもの。)443.5部を分割で仕込み混合し、窒素気流下60℃で8時間反応を行い、NCO当量250のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)を含有する主剤(X)を得た。
【0126】
〔調製例2:1層目硬化剤(Y11)の調製〕
イソシアネート基反応性化合物(B1)としてポリオールb(2M1,3PD/1,4BGとAAから合成された水酸基価74.8のポリエステルポリオール。2M1,3PD/1,4BG=6/4モル比のもの)98.0部と、EG7.6部、発泡剤として水(C)0.17部、触媒(D)としてトリエチレンジアミン(TEDA)1.00部、N-エチル-N,N-ジメチル-N-ドデシルアンモニウムエチル硫酸塩7.2部、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム1.2部を配合し、充分に撹拌、混合して、硬化剤(Y11)を調製した。
【0127】
〔調製例3~6:1層目硬化剤(Y12)~(Y15)の調製〕
ポリオール、帯電防止剤の組成を表1に示すように変更したこと以外は調製例2と同様にして、硬化剤(Y12)~(Y15)を得た。
【0128】
【表1】
【0129】
〔調製例7:2層目硬化剤(Y21)の調製〕
イソシアネート基反応性化合物(B2)としてポリオールc(EG/1,4BGとAAから合成された水酸基価56のポリエステルポリオール。EG/1,4BG=5/5モル比のもの。)96.00部と、EG8.10部、発泡剤として水(C)0.35部、触媒(D)としてトリエチレンジアミン(TEDA)0.80部、N-エチル-N,N-ジメチル-N-ドデシルアンモニウムエチル硫酸塩4.8部、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.80部を配合し、充分に撹拌、混合して、硬化剤(Y21)を調製した。
【0130】
〔調製例8~11:2層目硬化剤(Y22)~(Y25)の調製〕
ポリオール、帯電防止剤の組成を表2に示すように変更したこと以外は調製例7と同様にして、硬化剤(Y22)~(Y25)を調製した。
【0131】
【表2】
【0132】
〔実施例1〕
≪2液硬化型発泡ポリウレタン構成体の製造≫
構造体を作成する室内を室温30℃、相対湿度80%に調整した。次いで、混合容器に前記主剤(X)と前記硬化剤(Y11)を、(X)/(Y11)=100/111質量比で配合し攪拌、混合して、本発明の2液硬化型発泡ポリウレタン樹脂組成物(A-1)を調整して、40℃に予め加熱した金型(100mm×200mm×8mm)中に160gを注入し、直ちに金型の蓋をした後、40℃で2.5分間放置し、第1層目を作成した。金型から取り出し、その後、(100mm×200mm×20mm)の金型内に第1層目を入れた。
【0133】
混合容器に前記主剤(X)と前記ポリオールコンパウンド(Y21)を、(X)/(Y21)=100/107質量比で配合し攪拌、混合して、本発明の2液硬化型発泡ポリウレタン樹脂組成物(B-1)を調整して、第一層目を入れた金型(100mm×200mm×20mm)中に120g注入し、直ちに金型の蓋をした後、40℃で3.5分間放置し、その後に、できあがった発泡成形品を取り出した。
【0134】
〔実施例2〕
1層目、2層目の樹脂組成物の組成を、それぞれ表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0135】
〔比較例1〕
≪2液硬化型発泡ポリウレタン構成体の製造≫
構造体を作成する室内を室温30℃、相対湿度80%に調整した。混合容器に前記主剤(X)と前記硬化剤(Y13)を、(X)/(Y13)=100/150質量比で配合し攪拌、混合して、本発明の2液硬化型発泡ポリウレタン樹脂組成物(A-3)を調整して、40℃に予め加熱した金型(100mm×200mm×8mm)中に160gを注入し、直ちに金型の蓋をした後、40℃で2.5分間放置し、第1層目を作成した。金型から取り出し、その後、(100mm×200mm×20mm)の金型内に第1層目を入れた。
【0136】
混合容器に前記主剤(X)と前記ポリオールコンパウンド(Y23)を、(X)/(Y23)=100/127質量比で配合し攪拌、混合して、本発明の2液硬化型発泡ポリウレタン樹脂組成物(B-1)を調整して、第一層目を入れた金型(100mm×200mm×20mm)中に120g注入し、直ちに金型の蓋をした後、40℃で3.5分間放置し、その後に、できあがった発泡成形品を取り出した。
【0137】
〔比較例2~3〕
1層目、2層目の樹脂組成物の組成を、それぞれ表3に示すように変更したこと以外は、比較例1と同様にして、積層体を得た。
【0138】
【表3】
【0139】
本発明である実施例1及び2は、高い剥離強度を示した。同時に優れた帯電防止性能を有していた。
【0140】
一方、比較例1~3は、いずれかも前記b/a値が、本発明で規定する範囲を超える態様であるが、剥離強度が劣っていた。