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特許7244201加熱調理用液卵及びこれを用いた卵加工品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】加熱調理用液卵及びこれを用いた卵加工品
(51)【国際特許分類】
   A23L 15/00 20160101AFI20230314BHJP
【FI】
A23L15/00 Z
A23L15/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017069023
(22)【出願日】2017-03-13
(65)【公開番号】P2018148870
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-08-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591112371
【氏名又は名称】キユーピー醸造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 康太
(72)【発明者】
【氏名】川島 啓
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】三上 晶子
【審判官】平塚 政宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-023828号公報(JP,A)
【文献】特開平10-174566号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理用液卵であって、
酢酸と、
有機酸としてグルコン酸を含有し、
前記酢酸及び前記有機酸の含有比が、1:0.01~1:1であり、
pHが5.5以上7以下である、
加熱調理用液卵。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理用液卵において、
前記液卵全量に対して、
前記酢酸及び前記有機酸の合計含有量が0.01%以上2%以下である、
加熱調理用液卵。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加熱調理用液卵において、
カリウム、マグネシウム及びカルシウムの合計含有量が200ppm以上である、
加熱調理用液卵。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加熱調理用液卵を用いた、
卵焼成品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加熱調理用液卵を用いた、
卵とじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理用液卵及びこれを用いた卵加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用や業務用として市販されている卵加工品、あるいはレストラン等で提供される卵料理には、厚焼き玉子、スクランブルエッグ、オムレツ、親子丼、かに玉等、やわらかい半熟様の食感が好まれるものがある。
卵は過加熱状態となるとタンパク質の凝固が促進され、水分も抜け、パサパサした硬い食感となりやすい。そのため、卵加工品のやわらかい半熟様の食感を維持することが食品工業上の課題となっている。
【0003】
卵加工品の製造には、あらかじめ割卵され、殺菌処理を施された殺菌済液卵を用いられているが、やわらかい半熟様の食感を維持するために、種々の工夫がなされている。
従来から、糖や、澱粉、ガム類等多糖類の添加などが行われてきたが、その他には、例えば、アルギン酸、ローメトキシルペクチン等のカルシウム反応性のゲル化剤を含有させる方法(特許文献1)、青価が0.4~1.2であるデキストリンを含有させる方法(特許文献2)等がある。
しかしながら、特許文献1に記載の方法ではゲル化剤が加わるために卵のみを焼成した場合の自然な食感が失われやすい。また、特許文献2に記載の方法では、やわらかい半熟様の食感を得るには不十分であった。
したがって、やわらかい半熟様の食感を有する卵加工品を製造するための液卵の技術にはまだ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-000232号公報
【文献】特開2013-066438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、やわらかい半熟様の食感を有する卵加工品を製造するための液卵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、酢酸と特定の有機酸とを含有し、pHが5.5以上7以下である液卵を用いることによりはじめて、卵を加熱調理した際に意外にもやわらかい半熟様の食感が得られること、さらに、過加熱状態となっても上記の食感が維持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)加熱調理用液卵であって、
酢酸と、
炭素数が3以上6以下である有機酸から選ばれる1種以上とを含有し、
pHが5.5以上7以下である、
加熱調理用液卵。
(2)(1)の加熱調理用液卵において、
前記炭素数が3以上6以下である有機酸がグルコン酸である、
加熱調理用液卵、
(3)(1)又は(2)の加熱調理用液卵において、
前記液卵全量に対して、
前記酢酸及び前記炭素数が3以上6以下である有機酸の合計含有量が0.01%以上2%以下である、
加熱調理用液卵、
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の加熱調理用液卵において、
カリウム、マグネシウム及びカルシウムの合計含有量が200ppm以上である、
加熱調理用液卵、
(5)(1)乃至(4)のいずれかの加熱調理用液卵を用いた、
卵焼成品。
(6)(1)乃至(5)のいずれかの加熱調理用液卵を用いた、
卵とじ、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱調理時に卵が過度に凝固することなく、やわらかい半熟様の食感の卵加工品を得ることができ、さらに過加熱状態となっても同様の食感を維持することが可能となる。
したがって、製造時に加熱殺菌処理が必要な卵加工品や、喫食時に再加熱される親子丼等の弁当類の品位向上に貢献できる。
加えて、レストラン等でも調理の習熟度合いによらず一定の品位の商品を提供することが可能となり、卵料理の調理オペレーションの簡素化及び負担の軽減と、生産効率の向上に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0009】
<本発明の特徴>
本発明は、酢酸と特定の有機酸とを含有し、pHが5.5以上7以下である液卵を用いることにより、卵を加熱調理した際にやわらかい半熟様の食感が得られ、さらに、加熱調理時に過加熱状態となっても上記の食感が維持されることに特徴を有する。
【0010】
<加熱調理用液卵>
本発明の加熱調理用液卵は、少なくとも卵黄液、卵白液、酢酸及び炭素数3以上6以下の有機酸を1種以上含んであり、加熱調理を行った際に黄色を呈するものをいう。
具体的には、例えば、卵を割卵して得られた全卵液をろ過、殺菌、凍結したもの、これらを乾燥等の各種処理を施した後液状に戻したもの、コレステロール、糖分、リチゾーム等の成分の一部を除去したもの、卵黄液と卵白液とを任意の比率で混合したもの等が挙げられる。
本発明の加熱調理用液卵は、加熱調理した際に卵のやわらかい半熟様の食感を維持できるため、卵加工品の中でも卵のやわらかい半熟様の食感が好まれるメニュー、具体的には、厚焼き玉子、だし巻き卵、オムレツ、スクランブルエッグ、かに玉等の卵焼成品、親子丼の具、カツ丼の具、ウナギの卵とじ等、具材と煮汁を卵で加熱凝固させる卵とじに好適に用いることができる。
さらに、本発明の加熱調理用液卵は、過加熱状態となった場合にも上記の食感が維持できることから、製造後真空パックされて常温で喫食される製品のほか、加熱殺菌が必要な卵加工品、喫食時に再加熱される弁当やレトルトパックの卵とじ等の品位を向上させることも可能となる。
【0011】
<卵>
本発明の卵は、食用に供されるものであれば特に制限はなく、鶏、ウズラ、アヒル等の卵が挙げられる。また、卵の形態は問わず、例えば、殻付き卵を用いてもよいし、液全卵、液卵黄、液卵白のようにあらかじめ割卵されているものを用いてもよい。
【0012】
<酢酸及び炭素数3以上6以下である有機酸>
本発明の加熱調理用液卵は、酢酸及び後述する炭素数3以上6以下である有機酸(以下、有機酸と記載する)の両方を含有することが重要である。酢酸及び有機酸の両方を含有することにより、糖や澱粉等を含有させずとも、卵加工品のやわらかい半熟様の食感を維持することが可能となる。
食感維持のメカニズムは定かではないが、卵タンパク質の一部が適度に変性し、加熱時にタンパク質が過度に凝固することを防いでいるものと推測される。
また、食品工業においては、タンク内にストックされた大量の液卵を用いて種々の卵加工品を製造するが、液卵に対して酢酸のみもしくは後述する有機酸のみを添加した場合には、卵タンパク質の変性が急速に進む。そうすると、タンクに長時間ストックされていた液卵を用いて加熱製造された卵加工品は部分的にゲル様の食感となって品位が低下する。また、変性によってゲル化した卵がストックタンクの配管内に付着して生産ラインのサニタイズ性が低下する、配管詰まりの原因になる等、生産上の問題も生じやすくなる。酢酸及び後述する有機酸の両方を含有する液卵はこのような問題が生じ難く、食品工業上の大量生産に適する。
【0013】
<酢酸>
酢酸は、天然又は合成のもののうち、食用に適するものであれば特に制限されない。
【0014】
<炭素数3以上6以下である有機酸>
本発明の加熱調理用液卵は、酢酸のほか、炭素数が3以上6以下である有機酸を含有する。これらの有機酸は食用に用いられるものであればよく、具体的には、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等が挙げられ、天然又は合成のもののうち、食用に適するものであれば特に制限されない。
本発明においては、卵のやわらかい半熟様の食感を得る観点から、上記有機酸のうち、特にグルコン酸を含有させた場合にやわらかい半熟様の食感と卵の食味とに優れた卵加工品が得られる。
【0015】
<酢酸及び炭素数3以上6以下の有機酸の添加方法>
前記酢酸及び前記有機酸は、酢酸そのものあるいは有機酸そのものとして添加してもよいし、これらを含有する食品素材、例えば、柑橘類、リンゴ等の果汁、清酒、ワイン、醸造酢、合成酢、出汁、エキス類、はちみつ等を添加してもよい。また、グルコノラクトン等の有機酸前駆体があるものはこれを添加してもよい。
【0016】
<加熱調理用液卵のpH>
本発明の加熱調理用液卵のpHは5.5以上7以下であり、さらに6以上7以下であるとよい。
加熱調理用液卵のpHが前記範囲より高いと、加熱調理後のやわらかい半熟様の食感に乏しく、pHが前記範囲より低いと、酸味が強くなり卵の食味が損なわれる。
なお、加熱調理用液卵のpHは、前記酢酸及び前記有機酸の添加によって調整することが可能であるが、その他に必要に応じて、酢酸塩、前記有機酸の塩、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、卵殻、貝殻カルシウム等、食品に一般的に用いられるpH調整剤を用いればよい。
【0017】
<酢酸と炭素数3以上6以下の有機酸の合計含有量>
前記酢酸及び前記有機酸の合計含有量は、卵の食味を損なわずにやわらかい半熟様の食感を維持できる観点から、加熱調理用液卵全量に対して0.01%以上2%以下がよく、さらに0.1%以上1%以下であるとよい。
【0018】
<酢酸と炭素数3以上6以下の有機酸の含有比>
本発明の加熱調理用液卵における前記酢酸及び前記有機酸の含有比は、やわらかい半熟様の食感を維持できる観点から、1:0.01~1:1であるとよく、さらに1:0.05~1:0.5であるとよい。
【0019】
<カリウム、カルシウム、マグネシウム>
本発明の加熱調理用液卵は、加熱調理の際に卵のやわらかい半熟様の食感を得やすくし、前記酢酸及び前記有機酸に由来する酸味・酸臭をマスキングして卵本来の味わいを感じやすくする観点から、さらにカリウム、カルシウム及びマグネシウムを含有するのがよい。食感維持のメカニズムは定かではないが、前記酢酸及び有機酸の効果を補助し、卵タンパクの変性をコントロールするものと推測される。
カリウム、カルシウム及びマグネシウムは、食用に適するものであれば由来は特に制限されない。前記酢酸及び有機酸を食品素材として添加する場合には、その食品素材に由来するものでもよく、上述したpH調整剤に由来するものでもよい。また、添加物指定されている物質、例えば、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、にがり等として添加してもよい。
【0020】
<カリウム、カルシウム、マグネシウム>
本発明の加熱調理用液卵におけるカリウム、カルシウム及びマグネシウムの合計含有量は、200ppm以上、さらに250ppm以上となるようにすると、卵のやわらかい半熟様の食感がより得られやすくなり、好ましい。
カリウム、カルシウム及びマグネシウムの合計含有量の上限は特に制限されないが、エグ味等で卵の食味を損なわない観点から、2000ppm以下がよく、さらに1500ppm以下であるとよい。
【0021】
<その他の原料>
本発明においては、本発明の必須原料である酢酸、炭素数3以上6以下の有機酸以外の原料を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、配合することができる。
具体的には、例えば、食塩、醤油、その他の調味料、各種アミノ酸、各種ビタミン、各種ペプチド、各種ミネラル、アスパルテーム、フェニルアラニン等の甘味料、キサンタンガム、カラギーナン、デンプン、加工デンプンなどの増粘多糖類、着色料、香料、保存料等が挙げられる。
【0022】
以下、本発明について、実施例、比較例及び試験例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
【実施例
【0023】
[実施例1]
表1の配合に準じ、液全卵、酢酸、グルコン酸、カリウム、カルシウム及びマグネシウムを混合し、本発明の加熱調理用液卵を得た。
【0024】
実施例2~7、比較例1~4についても、表1の配合に準じ、実施例1と同様の方法で加熱調理用液卵を得た。
【0025】
[試験例1]加熱調理用液卵のpH
加熱調理用液卵のpHは、下記の測定装置及び方法により測定した。
<測定方法>
実施例1~7及び比較例1~4の加熱調理用液卵を撹拌しながら電極を浸し、3分後に指示された値を加熱調理用液卵のpHとした。
<測定装置>
機器:FiveEasyPlus pH meter型番FEP20(METTLER TOLEDO製)
電極:LE438複合電極(METTLER TOLEDO製)
【0026】
[試験例2]カリウム、カルシウム及びマグネシウム量の測定
加熱調理用液卵中のカリウム、カルシウム及びマグネシウム量は、キャピラリー電気泳動法を用いて間接吸光法により測定した。
<標準溶液>
1000ppmのアンモニア溶液0.5mLと、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンの各標準原液(1000ppm)0.5mLずつを、50mLのメスフラスコに入れてメスアップし、標準溶液とした。
<泳動試薬>
0.6mol/Lの2-ヒドロキシイソ酢酸1mL、0.8mol/Lのイミダゾール溶液0.5mL、1.2%18-CROWN-6.99%1mL、酢酸0.1mLを60mLのメスフラスコに入れてメスアップし、泳動試薬とした。
<測定装置>
機器:キャピラリー電気泳動装置CAPI‐3300(大塚電子(株)製)
キャピラリー:フューズドシリカ 内径100μm、外径0.375mm、長さ725mm
<測定条件>
使用ファイル:(新)陽イオン
検出波長:215nm
波長下限:200nm
波長上限:280nm
波長間隔:5nm
サンプル注入:落差25mm、30sec
泳動条件:定電圧15.0kV
分析時間:9~10分間
<測定方法>
加熱調理用液卵を100倍希釈した希釈液卵を試験溶液とし、標準添加法により測定した。
【0027】
[試験例3]官能評価
官能評価は、実施例1~7及び比較例1~4の加熱調理用液卵を、下記の条件で加熱凝固させて得た蒸し卵焼きを専門パネル10名で食し、下記の評価基準に沿って評点し、その平均点を評価値とした。
<蒸し卵焼きの製造条件>
実施例1~7及び比較例1~4の加熱調理用液卵200mLを250mLのパウチに充填して密封し、85℃の湯につけて10分間加熱して、蒸し卵焼きを得た。
<評価基準>
5:やわらかい半熟様の食感が非常に好ましい
4:やわらかい半熟様の食感である
3:対照と同程度である
2:対照よりもやや硬く、やわらかい食感に乏しい
1:対照よりも硬く、ぼそぼそしている
【0028】
【表1】
【0029】
表1より、酢酸と有機酸を含有させ、pHが5.5以上7以下である加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(実施例1~7)は、対照と比較してやわらかい半熟様の食感であった。特に、pHが6以上7以下、酢酸と有機酸の合計含有量が0.2以上2%以下、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの合計含有量が200ppm以上である加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(実施例1~3、5、6)は、やわらかい半熟様の食感が非常に好ましいものであり、特に酢酸とグルコン酸を併用した加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(実施例1~3)は、卵の食味にも優れる好ましいものであった。
【0030】
一方、酢酸のみを含有させた加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(比較例1)は、対照と同程度の食感ではあったが、部分的にゲル様の食感が感じられ、好ましいものではなかった。
有機酸のみを含有させた加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(比較例2、3)は対照よりも硬い食感となり、やわらかい食感に乏しいものであった。
酢酸と有機酸を併用し、pHが5.5未満である加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(比較例4)は、やわらかい食感は有するものの一部が十分に凝固せずに液状であり、酸のツンとした臭いも強く感じられ、卵焼きの食味として好ましいものではなかった。
グルコン酸カリウムを含有させ、pHが7を超える加熱調理用液卵を用いて製した蒸し卵焼き(比較例5)は、対照と比較して硬い食感となり、好ましくなかった。
【0031】
[実施例8]
液全卵97.5%、グルコン酸酢2.5%及びカルシウム475ppmを混合し、本発明の加熱調理用液卵を得た。得られた加熱調理用液卵の酢酸含有量は1.1%、グルコン酸含有量は0.05%であった。
得られた加熱調理用液卵150g、和風だし65g、鶏肉100g、玉ねぎ100gを用意し、和風だし、鶏肉、玉ねぎを鍋に入れて火が通るまで加熱した後、加熱調理用液卵を回し入れてさらに5分間加熱し、親子丼の具を得た。
得られた親子丼の具は、やわらかい半熟様の食感であり、卵の食味にも優れる好ましいものであった。