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特許7244401アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20230314BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H01L21/68 G
C23C14/04 A
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019204224
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2020141121
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0023240
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 康信
(72)【発明者】
【氏名】菅原 洋紀
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1893309(KR,B1)
【文献】特開2003-186181(JP,A)
【文献】特開2014-160744(JP,A)
【文献】特開2018-003151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
C23C 14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクと基板とのアライメントを行うアライメント装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバの内部に配され、基板を保持する基板保持手段と、
前記真空チャンバの内部に配され、マスクを保持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方を前記基板の厚み方向に移動させることで、前記基板と前記マスクとを近接または離隔させる第1移動機構と、
前記基板の成膜面に沿った面内において、前記基板と前記マスクとの間の相対位置を調整する位置調整機構と、
前記第1移動機構および前記位置調整機構を制御する制御部と、
前記マスクの厚さ情報を取得する厚さ情報取得手段と、を備え、
前記制御部は、前記基板と前記マスクとが離間した第1状態になるように、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第1の距離に制御し、
前記制御部は、前記第1状態に比べて前記基板と前記マスクとが近づき、かつ、前記基板と前記マスクとが離間した第2状態になるように、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第2の距離に制御し、
前記制御部は、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を、前記第1の距離から前記第2の距離に変更するための、前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方の変位量を、前記厚さ情報取得手段によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて制御する
ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置調整機構によって前記基板と前記マスクとの間の相対位置の調整を行う際に、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離が前記第1の距離となるように前記第1移動機構を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1移動機構によって前記基板を前記マスクに密着させる際に、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離が第3の距離と
なるように前記第1移動機構を制御し、
前記制御部は、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を、前記第1の距離から前記第3の距離に変更するための、前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方の変位量を、前記厚さ情報取得手段によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項4】
前記厚さ情報取得手段は、前記マスクに対しその厚さ情報の入力をユーザから受け付ける入力手段であることを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項5】
前記マスクには、それぞれのマスクの識別に用いられる識別子が形成されており、
前記厚さ情報取得手段は、前記マスクごとに付与された識別子を読み取ることによって該識別子に対応するマスクの厚さ情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項6】
前記厚さ情報取得手段は、前記マスクごとに付与された識別子を読み取る読み取り部と、前記マスクの識別子と該マスクの厚さ情報を相互に関連付けて記憶する記憶部とを含むことを特徴とする請求項5に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記厚さ情報取得手段は、前記マスクの厚さ情報を、前記アライメント装置に対して該マスクを搬送する上流側搬送装置から受信することを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記厚さ情報取得手段は、前記真空チャンバの内部に配され、前記マスクの厚さを計測する計測手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項9】
前記厚さ情報取得手段は、前記アライメント装置に対して前記マスクを搬送する搬送経路上の任意の位置に設置されることを特徴とする請求項8に記載のアライメント装置。
【請求項10】
前記アライメント装置は、前記基板に対する成膜が行われる成膜室を含む成膜システムに設けられており、
前記成膜システムは、前記成膜室に搬送される前記マスクを一時収納するマスクストックチャンバと、前記マスクストックチャンバから前記成膜室への前記マスク搬送経路となる搬送室とを含み、
前記厚さ情報取得手段は、前記成膜室、前記搬送室、前記マスクストックチャンバのいずれかに設置されることを特徴とする請求項9に記載のアライメント装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記基板と前記マスクの位置ずれを大まかに調整する第1アライメントと、前記第1アライメントに続いて、前記第1アライメントによる位置ずれ調整よりも高精度で前記基板と前記マスクの位置ずれを調整する第2アライメントとを、順次行うように前記位置調整機構を制御し、
前記制御部は、前記第1アライメントによって位置ずれが調整された前記基板と前記マスクを近接移動させるときに、前記厚さ情報取得手段によって取得される前記マスクの厚さ情報に基づいて前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項12】
前記第1アライメントは、前記マスク上の載置面から前記基板が第1距離だけ離れた第1位置で前記基板と前記マスク上にそれぞれ形成された第1アライメント用マークを撮影した画像に基づいて、前記第1位置において前記基板と前記マスク間の位置ずれを調整することによって行われ、
前記第2アライメントは、前記基板と前記マスクを前記第1距離より近接させた第2位置で前記基板と前記マスク上にそれぞれ形成された第2アライメント用マークを撮影し、前記基板と前記マスクを再び離隔させた位置において、前記第2アライメント用マークの撮影画像に基づいて前記基板と前記マスク間の位置ずれを調整してから、前記基板と前記マスクを再度前記第2位置に近接させることによって行われ、
前記制御部は、前記第1アライメントによって位置ずれが調整された前記基板と前記マスクを前記第1位置から前記第2位置に近接移動させるときに、前記厚さ情報取得手段によって取得される前記マスクの厚さ情報に基づいて前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項11に記載のアライメント装置。
【請求項13】
更に、前記制御部は、前記第2アライメント用マークの撮影画像に基づいた前記離隔された位置での前記基板と前記マスク間の第2アライメントによる位置ずれ調整の後、前記基板と前記マスクを再び前記第2位置に近接移動させるときに、前記厚さ情報取得手段によって取得される前記マスクの厚さ情報に基づいて前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項12に記載のアライメント装置。
【請求項14】
前記第2位置は、前記基板の中央部が前記マスクの載置面に接触し、前記基板の辺部は前記マスクの載置面から離れる位置であることを特徴とする請求項12に記載のアライメント装置。
【請求項15】
更に、前記制御部は、前記第2アライメントによって位置ずれが調整された前記基板と前記マスクを、前記第2位置から、前記基板が前記マスク上に完全に載置されるまでさらに近接移動させるときに、前記厚さ情報取得手段によって取得される前記マスクの厚さ情報に基づいて前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項14に記載のアライメント装置。
【請求項16】
更に、前記基板を挟んで前記マスクに磁力を印加するための磁力印加手段、および、前記基板を冷却するための冷却手段、の少なくとも一方を前記基板の厚み方向に移動させる第2移動機構を備え、
前記制御部は、前記マスクの厚さ情報に基づいて前記第2移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項17】
基板にマスクを介して成膜する成膜装置であって、
前記基板と前記マスクとをアライメントするアライメント装置を含み、
前記アライメント装置は、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載のアライメント装置であることを特徴とする成膜装置。
【請求項18】
基板とマスクとのアライメントを行うアライメント方法であって、
前記基板の面と平行な面内において、前記基板と前記マスクとの相対位置の調整を行う位置調整工程と、
前記基板と前記マスクとが離間した第1状態になるように、前記基板を保持する基板保持手段と前記マスクを保持するマスク保持手段との前記基板の厚み方向における相対距離を第1の距離に制御する第1距離制御工程と、
前記第1状態に比べて前記基板と前記マスクとが近づき、かつ、前記基板と前記マスクとが離間した第2状態になるように、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第2の距離に制御する第2距離制御工程と、
厚さ情報取得手段により、前記マスクの厚さ情報を取得する厚さ情報取得工程と、を含み、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を、前記第1の距離から前記第2の距離に変更するための、前記基板保持手段及び前記マスク保持手
段の少なくとも一方の変位量を、前記厚さ情報取得工程によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて制御する
ことを特徴とするアライメント方法。
【請求項19】
前記位置調整工程を行う際に前記第1距離制御工程を行うことを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項20】
前記位置調整工程の後に、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第3の距離として、前記基板を前記マスクに密着させる第3距離制御工程をさらに含み、
前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を、前記第1の距離から前記第3の距離に変更するための、前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方の変位量を、前記厚さ情報取得工程によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて制御する
ことを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項21】
前記厚さ情報を取得する工程は、成膜装置内に搬入される前記マスクに対し、その厚さ情報の入力をユーザから受け付ける工程であることを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項22】
前記マスクには、それぞれのマスクの識別に用いられる識別子が形成されており、
前記厚さ情報を取得する工程は、前記マスクごとに付与された識別子を読み取ることによって、該識別子に対応するマスクの厚さ情報を取得する工程であることを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項23】
前記厚さ情報を取得する工程は、成膜装置内に前記マスクを搬送する上流側搬送装置から該マスクの厚さ情報を受信することを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項24】
前記厚さ情報を取得する工程は、成膜装置内に搬入される前記マスクの厚さ情報を厚さ計測手段によって実測することを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項25】
前記基板を挟んで前記マスクに磁力を印加するための磁力印加手段、および、前記基板を冷却するための冷却手段、の少なくとも一方を、前記基板の厚み方向に移動させる移動工程をさらに含み、
前記移動工程において、前記厚さ情報取得手段によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて前記磁力印加手段及び前記冷却手段の少なくとも一方の前記厚み方向における変位量を制御することを特徴とする請求項18に記載のアライメント方法。
【請求項26】
マスクを介して基板に成膜するための成膜方法であって、
請求項18~請求項25のいずれか一項に記載のアライメント方法を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項27】
請求項26に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置、成膜装置、アライメント方法、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネル表示装置として有機EL表示装置が脚光を浴びている。有機EL表示装置は自発光ディスプレイとして、応答速度、視野角、薄型化などの特性が液晶パネルディスプレイより優れており、モニター、テレビ、スマートフォンに代表される各種携帯端末などにおいて、既存の液晶パネルディスプレイを急速に代替している。また、自動車用ディスプレイ等にも、その応用分野が広がっている。
【0003】
有機EL表示装置を構成する有機発光素子(有機EL素子;OLED)は2つの向かい合う電極(カソード電極、アノード電極)の間に発光を起こす有機物層が形成された基本構造を有する。有機EL素子の有機物層と電極金属層は、真空チャンバ内で、画素パターンが形成されたマスクを介して基板に成膜物質を成膜させることで製造される。基板上の所望する位置に所望するパターンで成膜物質を成膜させるためには、基板への成膜が行われる前にマスクと基板との間の相対的位置を精密に調整させる必要がある。
【0004】
このような基板とマスクとの間の相対位置を調整するアライメント方法として、特許文献1に開示された技術のように、基板とマスク上にそれぞれ位置調整(アライメント)用のマークを形成し、これらのアライメントマークを成膜装置に設置されたカメラで撮影し、その撮影画像に基づいて基板とマスクの各アライメントマークが予め定められた所定の位置関係となるように、基板またはマスクを相対移動させる方式が知られている。
【0005】
そして、このようなアライメント方式においては、通常、基板とマスクを互いに離隔し対向させた状態で基板とマスク間の水平位置ずれを相対移動により調整し、位置ずれの調整が完了すると、マスクに対し基板を相対的に下降させて(または基板に対しマスクを相対的に上昇させ)、マスク上に位置調整された基板を載せる(載置する)。続いて、必要に応じてマグネット板等を使用し基板とマスクをさらに密着させることで、マスクを介して基板に成膜させる準備が整う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-176809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにマスクを利用する成膜装置においては、マスクと基板を離隔させた状態でアライメントを行った後、アライメントされた基板をマスク上に移動させ載置することによって、成膜の準備が完了する。このとき、アライメントされた基板をマスク上に載置するに際しては、アライメント工程により位置調整された基板とマスクとの間の相対位置が再びずれてしまうことなく、位置関係が維持されたまま載置されるようにする必要がある。そのためには、まず、基板とマスクとがアライメントされた状態を維持したまま、できるだけ近接した位置まで近づけてから、最終的にマスク上に基板を載置するのが好ましい。つまり、位置ずれ調整が完了した基板をマスクに向かって下降させ(または、マスクを相対的に上昇させ)、基板がマスクに対して可及的に近接する位置まで移動させた後に、載
置動作に移行させるのが望ましい。
【0008】
ところが、成膜工程に使用されるマスクは、マスク毎に個体差があるのが一般的である。本発明者らが鋭意検討した結果、このようなマスク毎の個体差、特にマスクの厚さがマスク毎に異なる場合には、これがアライメントの精度を低下させる一つの原因となることが分かった。つまり、前述のように、アライメント工程によって位置ずれが調整された基板は、マスクに載置する前に、マスクに対して可及的に近接する位置まで移動させるのが望ましいが、アライメントされた基板をマスクに向かって近接移動させる移動量をマスク毎の個体差(厚さの差)を考慮せずに固定値に設定すると、アライメント完了後のマスクへの載置過程において、基板とマスク間の調整された位置関係が、マスクによっては、再びずれてしまう可能性があることが分かった。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑み、マスクの個体差によるアライメント精度低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0011】
すなわち、本発明のアライメント装置は、
マスクと基板とのアライメントを行うアライメント装置であって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバの内部に配され、基板を保持する基板保持手段と、
前記真空チャンバの内部に配され、マスクを保持するマスク保持手段と、
前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方を前記基板の厚み方向に移動させることで、前記基板と前記マスクとを近接または離隔させる第1移動機構と、
前記基板の成膜面に沿った面内において、前記基板と前記マスクとの間の相対位置を調整する位置調整機構と、
前記第1移動機構および前記位置調整機構を制御する制御部と、
前記マスクの厚さ情報を取得する厚さ情報取得手段と、を備え、
前記制御部は、前記基板と前記マスクとが離間した第1状態になるように、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第1の距離に制御し、
前記制御部は、前記第1状態に比べて前記基板と前記マスクとが近づき、かつ、前記基板と前記マスクとが離間した第2状態になるように、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を第2の距離に制御し、
前記制御部は、前記基板保持手段と前記マスク保持手段との前記厚み方向における相対距離を、前記第1の距離から前記第2の距離に変更するための、前記基板保持手段及び前記マスク保持手段の少なくとも一方の変位量を、前記厚さ情報取得手段によって取得された前記マスクの厚さ情報に基づいて制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、マスクの個体差によるアライメント精度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は有機EL表示装置の製造ラインの一部の模式図である。
図2図2は成膜装置の模式図である。
図3図3は基板支持ユニットの模式図である。
図4図4は第1アライメント工程を説明するための図である。
図5図5は第1アライメント工程終了後の基板の移動および挟持方法を示す図である。
図6図6は第2アライメント工程を説明するための図である。
図7図7は第2アライメント工程後の基板の移動および挟持方法を示す図である。
図8図8はマスク識別子とマスクの厚さ情報を関連付けた連関テーブルの例である。
図9図9は有機EL表示装置の全体図及び有機EL表示装置の素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明において、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がない限り、本発明の範囲をこれに限定しようとする趣旨ではない。
【0015】
本発明は、基板に対する高精度の位置調整を行うための技術に関するものである。本発明は、基板の表面に真空蒸着やスパッタリングにより所望のパターンの薄膜(材料層)を形成する装置に好ましく適用できる。基板の材料としては、ガラス、樹脂、金属などの任意の材料を選択でき、また、成膜材料としても、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などの任意の材料を選択できる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL表示装置、薄膜太陽電池)、光学部材などの製造装置に適用可能である。その中でも有機EL表示装置の製造装置は、基板の大型化あるいは表示パネルの高精細化により基板とマスクのアライメント精度のさらなる向上、及び基板とマスクのアライメント工程に要する時間のさらなる短縮が要求されているため、本発明の好ましい適用例の一つである。
【0016】
<電子デバイスの製造ライン>
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成の一部を模式的に示す上視図である。図1の製造ラインは、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルの場合、例えば、約1800mm×1500mmや約900mm×1500mmのサイズの基板に有機ELの成膜を行った後、当該基板をカットし、複数の小サイズのパネルが製作される。有機EL表示装置の製造ラインの成膜クラスタ1は、一般的に、図1に示すように、基板10に対する処理(例えば、成膜)が行われる複数の成膜室110と、使用前後のマスクが収納されるマスクストックチャンバ120と、その中央に配置される搬送室130とを備えている。
【0017】
搬送室130内には、複数の成膜室110間において基板10を搬送し、また、成膜室110とマスクストックチャンバ120との間でマスクを搬送するための搬送ロボット140が設けられている。搬送ロボット140は、例えば、多関節アームに、基板10又はマスクを保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0018】
成膜システムとしての成膜クラスタ1には、基板10の流れ方向において、上流側から送られる基板10を成膜クラスタ1に搬送するパス室150と、この成膜クラスタ1で成膜処理が完了した基板10を下流側の他の成膜クラスタに搬送するためのバッファ室160とが連結されている。搬送室130の搬送ロボット140は、上流側のパス室150から基板10を受け取って、当該成膜クラスタ1内の成膜室110の一つに搬送する。また、搬送ロボット140は、当該成膜クラスタ1での成膜処理が完了した基板10を複数の成膜室110の一つから受け取って、下流側に連結されたバッファ室160に搬送する。バッファ室160と更に下流側のパス室150との間には、基板10の方向を変える旋回室170が設けられている。これにより、上流側成膜クラスタと下流側成膜クラスタで基板の方向を同じ方向にすることができ、基板処理が容易になる。
【0019】
マスクストックチャンバ120には、成膜室110での成膜工程に使用されるマスク及び使用済みマスクが、2つのカセットに分かれて収納される。搬送ロボット140は、使用済みマスクを成膜室110からマスクストックチャンバ120のカセットに搬送し、マスクストックチャンバ120の他のカセットに収納された新しいマスクを成膜室110に搬送する。
【0020】
成膜室110、マスクストックチャンバ120、搬送室130、バッファ室160、旋回室170などの各チャンバは、有機EL表示パネルの製造過程で、高真空状態に維持される。各成膜室110にはそれぞれ成膜装置(本実施形態においては蒸着装置)が設けられている。搬送ロボット140との基板10の受け渡し、基板10とマスクの相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置によって自動で行われる。各成膜室の成膜装置は、蒸発源の違いやマスクの違いなど細かい点で相違する部分はあるものの、基本的な構成(特に基板の搬送やアライメントに関わる構成)は、ほぼ共通している。以下、各成膜室の成膜装置の共通構成について説明する。なお、以下の説明では、成膜時に基板の成膜面が重力方向下方を向いた状態で成膜されるデポアップの構成について説明する。ただし、本発明においては、これに限定はされず、成膜時に基板の成膜面が重力方向上方を向いた状態で成膜されるデポダウンの構成を採用することもできるし、基板が垂直に立てられた状態、すなわち、基板の成膜面が重力方向と略平行な状態で成膜が行われる構成(サイドデポ)を採用することもできる。
【0021】
<成膜装置>
図2は、成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いる。成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行となるよう固定された場合、基板の短手方向(短辺に平行な方向)をX方向、長手方向(長辺に平行な方向)をY方向とする。またZ軸まわりの回転角をθで表す。なお、Z方向は「第1の方向」に相当し、X方向は「第1の方向と交差する第2の方向」に相当し、Y方向は「第1の方向および第2の方向と交差する第3の方向」に相当する。
【0022】
成膜装置は、真空チャンバ200を有する。真空チャンバ200の内部は、真空雰囲気か、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。真空チャンバ200の内部には、基板支持ユニット210と、マスク220と、マスク台221と、冷却板230と、蒸発源240が設けられる。
【0023】
基板支持ユニット210は、搬送ロボット140から受け取った基板10を支持しながら搬送する手段であり、基板ホルダとも呼ばれる。マスク220は、基板10上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンをもつメタルマスクであり、マスク220を支持するマスク支持ユニットとしての枠状のマスク台221の上に固定されている。
【0024】
成膜時にはマスク220の上に基板10が載置される。したがって、マスク220は基板10を載置する載置体としての役割も担う。冷却板230は、成膜時に基板10(のマスク220と接触する面とは反対側の面)に密着し、成膜時における基板10の温度上昇を抑えることで、有機材料の変質や劣化を抑制するための板状部材である。冷却板230はマグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板とは、磁力によってマスク220を引き付けることで、成膜時の基板10とマスク220の密着性を高める部材である。すなわち、基板10とマスク220を密着させる密着手段(マグネット板)は、基板10及びマスク220のうちの少なくとも一方の温度を調整する(典型的には冷却する)温度調整手段を兼ねていてもよい。
【0025】
蒸発源240は、蒸着材料を収容する容器(ルツボ)、容器を加熱するヒータ、蒸着材料が放出されることを停止するためのシャッタ、シャッタなど各種部材を駆動するための駆動機構、成膜される膜の厚みを認識するための蒸発レートモニタなどから構成される(いずれも不図示)。なお、本実施形態では成膜源として蒸発源240を用いる蒸着装置について説明するが、本発明においては、これに限定はされず、成膜源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタリング装置にも適用可能である。
【0026】
真空チャンバ200の上部(外側)には、基板Zアクチュエータ250(移動機構)、クランプZアクチュエータ251、冷却板Zアクチュエータ252、Xアクチュエータ(不図示)、Yアクチュエータ(不図示)、θアクチュエータ(不図示)が設けられている。これらのアクチュエータは、例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成される。基板Zアクチュエータ250は、基板支持ユニット210の全体を昇降(Z方向(第1の方向)移動)させるための駆動手段である。クランプZアクチュエータ251は、基板支持ユニット210の挟持機構(後述)を開閉させるための駆動手段である。
【0027】
冷却板Zアクチュエータ252は、冷却板230を昇降させるための駆動手段である。Xアクチュエータ、Yアクチュエータ、θアクチュエータ(以下、まとめて「XYθアクチュエータ」と呼ぶ)は基板10のアライメントのための駆動機構(位置調整機構)である。XYθアクチュエータは、基板支持ユニット210及び/又は冷却板230の全体を、X方向(第2の方向)に移動させることがき、かつY方向(第3の方向)に移動させることができ、かつθ方向に回転させる機能を備えている。本実施形態では、θ回転させるθアクチュエータをXアクチュエータ及び、Yアクチュエータとは別に設ける構成としたが、XアクチュエータとYアクチュエータの組み合わせによってθ回転させる構成を採用することもできる。なお、本実施形態では、マスク220を固定した状態で基板10のX,Y,θを調整する構成としたが、マスク220の位置を調整し、又は、基板10とマスク220の両者の位置を調整することで、基板10とマスク220のアライメントを行ってもよい。このように、位置調整機構(XYθアクチュエータ)は、基板10及びマスク220のうちの少なくとも一方を、X方向、及び、Y方向のうちの少なくともいずれか一方の方向に移動させて、基板10とマスク220との間の相対位置を調整する機能を備えている。
【0028】
真空チャンバ200の上部(外側)には、基板10及びマスク220のアライメントのために、基板10及びマスク220それぞれの位置を測定するカメラ260、261が設けられている。カメラ260,261は、真空チャンバ200に設けられた窓を通して、基板10とマスク220を撮影する。その画像から基板10上のアライメントマーク及びマスク220上のアライメントマークを認識することで、各々のXY位置やXY面内での相対ずれを計測することができる。
【0029】
短時間で高精度なアライメントを実現するために、大まかに位置合わせを行う第1アライメント(「ラフアライメント」とも称す)と、高精度に位置合わせを行う第2アライメント(「ファインアライメント」とも称す)の2段階のアライメントを実施することが好ましい。その場合、低解像だが広視野の第1アライメント用のカメラ260と狭視野だが高解像の第2アライメント用のカメラ261の2種類のカメラを用いるとよい。本実施形態では、基板10及びマスク220それぞれについて、対向する一対の辺の2箇所に付されたアライメントマークを2台の第1アライメント用のカメラ260で測定し、基板10及びマスク220の4隅(或いは対角の2か所)に付されたアライメントマークを4台の第2アライメント用のカメラ261で測定する。アライメントマーク及びその測定用カメラの数は、特に限定されず、例えば、ファインアライメントの場合、基板10及びマスク220の2隅に付されたマークを2台のカメラ261で測定するようにしてもよい。
【0030】
成膜装置は、制御部270を有する。制御部270は、基板Zアクチュエータ250、クランプZアクチュエータ251、冷却板Zアクチュエータ252、XYθアクチュエータ、及びカメラ260,261の制御の他、基板10の搬送及びアライメント、蒸発源の制御、成膜の制御などの機能を有する。制御部270は、例えば、プロセッサー、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部270の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラム(コンピュータプログ
ラム)をプロセッサーが実行することにより実現される。なお、メモリやストレージは、「コンピュータに基板とマスクのアライメントを行うアライメント方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」に相当する。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部270の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、成膜装置ごとに制御部270が設けられていてもよいし、1つの制御部270が複数の成膜装置を制御してもよい。
【0031】
本実施形態に係る成膜装置は、成膜装置内に搬入されたマスク220に対し厚さ情報を取得するためのマスク厚さ情報取得手段280を備えている。制御部270は、マスク厚さ情報取得手段280によって取得されるマスク厚さ情報に基づいて、マスク220への載置のためにアライメントされた基板10をマスク220に向かって(またはマスク220を基板10に向かって)近接移動させるときの移動量(移動位置)を可変的に制御する。マスク厚さ情報取得手段280の具体的な実施形態、及びマスク厚さ情報に基づいたアライメント完了後の基板移動位置制御に関する詳細については後述する。
【0032】
<基板支持ユニット>
図3を参照して基板支持ユニット210の構成を説明する。図3は基板支持ユニット210の斜視図である。基板支持ユニット210は、挟持機構によって基板10の周縁を挟持することにより、基板10を保持しながら搬送する手段である。具体的には、基板支持ユニット210は、基板10の4辺それぞれを下から支持する複数の支持具300が設けられた支持枠体301と、各支持具300との間で基板10を挟み込む複数の押圧具302が設けられたクランプ部材303とを有する。支持具300と押圧具302が対となって1つの挟持機構が構成される。図3の例では、基板10の短辺に沿って3つの支持具300が配置され、長辺に沿って6つの挟持機構(支持具300と押圧具302のペア)が配置されており、長辺2辺を挟持する構成となっている。ただし、挟持機構の構成は図3の例に限られず、処理対象となる基板のサイズや形状あるいは成膜条件などに合わせて、挟持機構の数や配置を適宜変更される。なお、支持具300は「フィンガプレート」とも呼ばれ、押圧具302は「クランプ」とも呼ばれる。
【0033】
搬送ロボット140から基板支持ユニット210への基板10の受け渡しは、例えば次のように行われる。まず、クランプZアクチュエータ251によりクランプ部材303を上昇させ、押圧具302を支持具300から離隔させることで、挟持機構を解放状態にする。搬送ロボット140によって支持具300と押圧具302との間に基板10を導入した後、クランプZアクチュエータ251によってクランプ部材303を下降させ、所定の押圧力で押圧具302を支持具300に押し当てる。これにより、押圧具302と支持具300との間で基板10が挟持される。この状態で基板Zアクチュエータ250により基板支持ユニット210を駆動することで、基板10を昇降(Z方向移動)させることができる。すなわち、移動機構である基板Zアクチュエータ250によって、基板10を、マスク220の表面または基板10の成膜面に垂直な第1の方向(Z方向)に移動させ、基板10とマスク220とを近接または離隔させることができる。なお、クランプZアクチュエータ251は基板支持ユニット210と共に上昇または下降するため、基板支持ユニット210が昇降しても挟持機構の状態は変化しない。
【0034】
図3中の符号101は、基板10の4隅に付された第2アライメント用のアライメントマークを示し、符号102は、基板10の短辺中央に付された第1アライメント用のアライメントマークを示している。
【0035】
<アライメント>
図4は第1アライメント工程を示す図面である。図4(a)は、搬送ロボット140から基板支持ユニット210に基板10が受け渡された直後の状態を示す。基板10は自重によりその中央が下方に撓んでいる。次に、図4(b)に示すように、クランプ部材303を下降させて、押圧具302と支持具300からなる挟持機構により基板10の左右の辺部が挟持される。
【0036】
続いて、図4(c)に示すように、基板10がマスク220から所定の高さで離れた状態(基板10とマスク220とが所定の間隔だけ離れた状態)で、第1アライメントが行われる。第1アライメントは、XY面内(マスク220の表面または基板10の成膜面に平行な方向)において、基板10とマスク220との相対位置を大まかに調整する第1の位置調整処理であり、「ラフアライメント」とも称される。第1アライメントでは、カメラ260によって基板10に設けられた基板アライメントマーク102とマスク220に設けられたマスクアライメントマーク(不図示)を認識し、各々のXY位置やXY面内での位置ずれを計測し、位置合わせを行う。つまり、第1アライメントは、マスク220上の載置面から基板10が第1距離だけ離れた第1位置で基板10とマスク220上にそれぞれ形成された第1アライメント用マークを撮影した画像に基づいて、この第1位置において基板10とマスク220間の位置ずれを調整することによって行われる。第1アライメントに用いるカメラ260は、大まかな位置合わせができるように、低解像だが広視野なカメラである。位置合わせの際には、基板10(基板支持ユニット210)の位置を調整してもよいし、マスク220の位置を調整してもよいし、基板10とマスク220の両者の位置を調整してもよい。
【0037】
第1アライメント処理が完了すると、図5(a)に示すように基板10を下降させる。そして、図5(b)に示すように、基板10がマスク220に接触する前に、押圧具302を上昇させて挟持機構を解放状態にする。次に、図5(c)に示すように、解放状態(非挟持状態)のまま、基板支持ユニット210を、第2アライメントを行う位置まで下降させた後、図5(d)に示すように、挟持機構により基板10の周縁部を再挟持する。なお、第2アライメントを行う位置とは、基板10とマスク220との間の位置ずれを計測するために基板10をマスク220上に仮置きした状態となる位置であり、例えば、支持具300の支持面(上面)がマスク220の載置面よりも少し高い位置である。このとき、基板10の少なくとも中央部はマスク220に接触し、基板10の周縁部のうち挟持機構により支持されている左右の辺部はマスク220の載置面からやや離れた(浮いた)状態となる。なお、本実施形態では、第1アライメントの終了後、第2アライメントのための計測位置に基板10を下降する際において、基板を解放した状態で下降させると説明したが、本発明はこれに限らず、基板挟持機構で基板を挟持した状態で下降させてもよい。
【0038】
図6(a)から図6(d)は第2アライメントを説明する図である。第2アライメントは、高精度な位置合わせを行うアライメント処理であり、「ファインアライメント」とも称される。まず、図6(a)に示すように、カメラ261によって基板10に設けられた基板アライメントマーク101とマスク220に設けられたマスクアライメントマーク(不図示)を認識し、各々のXY位置やXY面内での位置ずれを計測する。カメラ261は、高精度な位置合わせができるように、狭視野だが高解像なカメラである。計測された位置ずれが閾値を超える場合には、位置合わせ処理が行われる。以下では、計測された位置ずれが閾値を超える場合について説明する。
【0039】
計測された位置ずれが閾値を超える場合には、図6(b)に示すように、基板Zアクチュエータ250を駆動して、基板10を上昇させてマスク220から離す。図6(c)では、カメラ261によって計測された位置ずれに基づいてXYθアクチュエータを駆動して、位置合わせを行う。位置合わせの際には、基板10(基板支持ユニット210)の位置を調整してもよいし、マスク220の位置を調整してもよいし、基板10とマスク22
0の両者の位置を調整してもよい。
【0040】
その後、図6(d)に示すように、再び、基板10を、第2アライメントを行う位置まで下降させて、基板10をマスク220上に載置する。そして、カメラ261によって基板10及びマスク220のアライメントマークの撮影を行い、位置ずれを計測する。計測された位置ずれが閾値を超える場合には、上述した位置合わせ処理が繰り返される。位置ずれが閾値以内になった場合には、図7(a)~図7(b)に示すように、基板10を挟持したまま基板支持ユニット210を下降させ、基板支持ユニット210の支持面とマスク220の高さを一致させる。これにより、基板10の全体がマスク220上に載置される。このように、第2アライメントは、基板10とマスク220を第1距離より近接させた第2位置で基板10とマスク220上にそれぞれ形成された第2アライメント用マークを撮影し、基板10とマスク220を再び離隔させた位置において、第2アライメント用マークの撮影画像に基づいて基板10とマスク220間の位置ずれを調整してから、基板10とマスク220を再度第2位置に近接させることによって行われる。
【0041】
以上の工程により、マスク220上への基板10の載置処理が完了すると、図7(c)に示すように、冷却板Zアクチュエータ252を駆動して、冷却板230を下降させ基板10に密着させる。これにより、成膜装置による成膜処理(蒸着処理)が行われる準備が完了する。
【0042】
本実施形態では、図6(a)~図6(d)に示すように、挟持機構により基板10を挟持したまま第2アライメントを繰り返す例を説明したが、基板10をマスク220上に載置する際に挟持機構を解放状態にしたり、挟持機構の挟力を弱めたり(挟持を緩めたり)してもよい。
【0043】
なお、本実施形態では、図7(c)の状態、すなわち、冷却板230を下降させて(または、冷却板230とは別途にマグネット板が設けられる場合は、冷却板230に続きマグネットも共に下降させて)マスク220上に載置された基板10をマスク220と密着させた状態で成膜処理(蒸着処理)が行われる。しかしながら、これに限定されることはなく、基板10とマスク220が密着したら、押圧具302を上昇させて挟持機構を解放状態にし、基板Zアクチュエータ250を駆動して支持具300を更に下降させてから成膜処理(蒸着処理)が行われるようにしても良い。
【0044】
<マスク厚さ情報取得手段>
以下、マスク厚さ情報に基づいたアライメント完了後の基板移動位置制御について詳細に説明する。
【0045】
上記の通り、本実施形態では、まず、基板10とマスク220を離隔させた状態で、カメラ260の撮影結果に従って、XY面内における基板10とマスク220の相対位置を大まかに調整するラフアライメント(第1アライメント)が行われる(図4(c)参照)。そして、ラフアライメントによる位置調整が終わると、アライメントされた状態を維持したまま基板10をマスク220に近接した位置まで下降させる。具体的には、前述の実施形態では、基板10の中央部はマスク220に接触し、基板10の左右辺部はマスク220の載置面から少し離れた位置まで基板10を下降させるようにしている(図5(d)参照)。ただし、本発明は、そのような制御に限定されることはない。つまり、アライメント完了後、アライメントされた基板とマスクを近接移動させるときの「近接」とは、基板の一部がマスクと接触する位置まで移動させる場合のみならず、物理的な接触直前のぎりぎりまで近づくように移動させることも含まれる。
【0046】
本実施形態においては、上記のようなアライメント工程によって、位置ずれが調整され
た基板をマスクに近接移動させるときの目標移動位置(移動量)を、使用するマスクの厚さ情報に基づいて制御する。つまり、制御部270は、第1アライメントによって位置ずれが調整された基板10とマスク220を第1位置から第2位置に近接移動させるときに、マスク厚さ情報取得手段280によって取得されるマスク220の厚さ情報に基づいて移動機構を制御する。より具体的には、成膜装置内に搬入されたマスク220に対し、その厚さ情報を取得し、取得された厚さ情報に基づいて基板Zアクチュエータ250の駆動によって基板10がマスク220に向かって近接移動する移動量を制御する。言い換えれば、アライメントされた基板10をマスク220に向かって近接移動させるときの移動量をマスク毎の厚さの差に応じて補正する。これにより、アライメント完了後のマスクへの載置過程において、基板とマスク間の調整された位置関係がマスクの個体差により再びずれてしまうことを抑制することができる。
【0047】
以上のような制御を行うために、本実施形態に係る成膜装置は、成膜装置内に搬入されたマスク220に対し、その厚さ情報を取得するためのマスク厚さ情報取得手段280を備えている。マスク厚さ情報取得手段280の具体的な実施形態、すなわち、マスク220の厚さ情報を取得するための詳細な方法としては、以下のように、いくつかの方法(態様)が考えられる。
【0048】
第1の態様としては、成膜装置内に搬入されるマスク220の厚さ情報を、成膜装置を使用するユーザが直接操作端末を介して入力することができる。つまり、成膜装置内に搬入されるマスク220ごとに、ユーザによる厚さ情報の入力を受け付け、ユーザが該マスクの厚さ情報を、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力手段を通じて直接手作業で入力することで、成膜装置にマスク厚さ情報を取得させることができる。成膜装置の制御部270は、このユーザからの入力により取得された各マスク220の厚さ情報に基づいて、前述したアライメントされた基板をマスクに近接移動させるときの目標移動位置(移動量)が調整されるように、基板Zアクチュエータ250の駆動を制御する。
【0049】
第2の態様としては、マスクの厚さ情報を、それぞれのマスクを識別することができる識別子と共に予めテーブルとして記憶部に格納しておき、この識別子の読み取り、及びテーブルの参照によって厚さ情報を取得することもできる。有機EL表示素子の製造ラインに投入されるマスクは、製造ラインでの工程制御管理等の目的で、マスクごとに識別子(ID)が付与される。この識別子は、例えば、バーコードなどの形態として各マスクに付与される。本態様におけるマスク厚さ情報取得手段280は、このようにマスクごとに付与された識別子を読み取ることができる読み取り部と、マスク識別子と該マスクの厚さ情報を相互に関連付けて連関テーブルとして格納する記憶部を備える。図8は、記憶部に格納される連関テーブルの一例を示している。つまり、連関テーブルは、各マスクの識別子と、該識別子のマスクの厚さ情報とを、少なくとも含む。本実施形態に係るマスク厚さ情報取得手段280は、成膜装置内にマスク220が搬入されるとき、該マスク220にバーコードなどの形態で付与されたマスク識別子を前記読み取り部で読み取り、この読み取られた識別子に基づいて前記記憶部に格納された連関テーブルを参照することで、該識別子に対応する厚さ情報を取得することができる。
【0050】
第3の態様としては、マスクを成膜装置内に搬送するマスク搬送システムの上流側搬送装置または該上流側搬送装置を制御する制御装置から、通信によってマスク厚さ情報を取得するようにしても良い。前述したように、有機EL表示装置の製造ラインの成膜クラスタ1は、マスク搬送システムの上流側搬送装置から搬送されてきたマスクを成膜室110内に搬入する前に一時収納するマスクストックチャンバ120を備えている。マスクストックチャンバ120は、複数のマスクを複数の段で構成されたカセットに収納し、必要に応じて成膜工程に使用されるマスクをカセットから順次引き出し、成膜室110を構成する成膜装置内に搬入する。本実施形態におけるマスク厚さ情報取得は、マスクがマスク搬
送システムの上流側搬送装置から搬送されてきてマスクストックチャンバ120に収納されるときに、成膜装置が搬送中の各マスクに対する厚さ情報についても該上流側搬送装置または該上流側搬送装置を制御する制御装置から通信によって受信することで行われる。
【0051】
前述した第2の態様の実施形態が、成膜装置が識別子の読み取りによって各マスクを識別し、その識別結果から相応するマスクの厚さ情報を、テーブル参照を通じて取得する方法であるのに対して、本第3の態様の実施形態は、成膜装置内での別途のマスク識別動作は行われず、マスクの厚さ情報自体を、該マスクを搬送する上流側装置から直接受信するようにする方式である。つまり、マスク搬送システムの上流側装置からマスクストックチャンバ120側にマスクが搬送されてくる際に、例えば、カセットの段ごとに、1番目の段に収納されるマスクは第1の厚さ、2番目の段に収納されるマスクは第2の厚さ、などのように、搬送中の各マスクの厚さ情報も成膜装置が受信するようにすることで、成膜装置は、マスクストックチャンバ120のカセットから各マスクを順次搬出する際にそれぞれのマスクの厚さ情報を確認することができる。
【0052】
マスク厚さ情報を取得するための第4の態様としては、マスクの厚さを計測で測定する計測手段を成膜クラスタ内に設置することもできる。つまり、厚さ計測手段を使用して成膜装置内に搬入されるマスクの厚さ情報を実測で取得することもできる。厚さ計測手段は、成膜クラスタ1内において、マスクが位置する任意の位置に設置することができる。前述したように、マスク搬送システムの上流側装置から搬送されてきたマスクは、マスクストックチャンバ120に一時収納されてから、搬送ロボットによって搬送室130を経由し、成膜室110を構成する成膜装置内に搬入される。マスクの厚さを測定する計測手段は、このマスク搬送経路上の任意の位置、つまり、マスクストックチャンバ120内、または、搬送室130内、または、成膜装置を構成する成膜室110内のうち、いずれに設置しても構わない。実測で厚さを計測する手段の具体的な構成としては、任意の公知の厚さ計測手段の構成を採用することができ、特定の厚さ実測手段の構成に限定されない。
【0053】
本実施例に係る成膜装置の制御部270は、このようにして取得された各マスクの厚さ情報に合わせて、前述したように、アライメントされた基板をマスクに向かって近接移動させるときの目標移動位置(移動量)が調整されるように、基板Zアクチュエータ250の駆動を制御する。これにより、アライメント完了後のマスクへの載置過程において、基板とマスク間の調整された位置関係がマスクの個体差によって再びずれてしまうことを抑制することができる。また、特に、マスクの厚さ情報を取得する実施形態として、前述した構成のうち、第2~4の態様の実施形態の構成によると、マスク厚さ情報をユーザが直接手作業で入力する際の入力ミスの可能性を避けることができ、マスクの個体差によるアライメント精度低下をより確実に抑制することができる。
【0054】
以上の説明では、第1アライメント、すなわち、基板とマスクの相対位置を大まかに調整するラフアライメントを中心に、位置合わせ工程後の基板とマスクを相対的に近接移動させる動作について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1アライメントの後に行われるファインアライメント(第2アライメント)においても、本発明を適用することができる。前述したように、ファインアライメントは、ラフアライメント(第1アライメント)による位置合わせ動作の後、基板10をマスク220近くに近接させた状態(図5(d)、図6(a)参照)で、コーナー部に設置した高解像度カメラ261によって基板10及びマスク220上の各アライメントマークを撮影し、計測された位置ずれが閾値を超える場合には、基板10を再び上昇させてマスク220から離隔させ(図6(b))、この離隔状態でXYθアクチュエータを駆動させて位置合わせを行った後(図6(c))、再び基板の中央部一部がマスク220上に載置される計測位置まで基板10を下降させマスク220に近接させる(図6(d))。そして、この基板とマスク間の離隔と近接動作は、以上の位置合わせ動作で基板とマスク間の位置ずれが所定の閾値以内とな
るまで繰り返される。本発明は、この第2アライメント(ファインアライメント)による位置合わせ工程(図6(c))の後に基板10とマスク220を相対的に近接移動させるとき(図6(d))にも適用可能である。つまり、この基板10とマスク220間の相対近接移動のときに、前述した各マスクの厚さ情報を利用することで、マスク個体差によるアライメント精度低下を抑制することができる。このように、制御部270は、第2アライメント用マークの撮影画像に基づいた離隔された位置での基板10とマスク220間の第2アライメントによる位置ずれ調整の後、基板10とマスク220を再び第2位置(基板10の中央部がマスク220の載置面に接触し、基板10の辺部はマスク220の載置面から離れる位置)に近接移動させるときに、厚さ情報取得手段280によって取得されるマスク220の厚さ情報に基づいて移動機構を制御することもできる。
【0055】
また、本発明は、第2アライメントの後、基板10をマスク220上に完全に載置するときにも同様に適用することができる。つまり、図7を参照して前述したように、第2アライメント(ファインアライメント)によって位置ずれが閾値以内になると、最終的に基板10の全体がマスク220上に完全に載置されるように基板支持ユニット210をさらに下降させるが、このときにも本発明に従い、マスクの厚さ情報に基づいて基板支持ユニット210の下降移動量が調整されるように基板Zアクチュエータ250の駆動を制御することができる。このように、制御部270は、第2アライメントによって位置ずれが調整された基板10とマスク220を、第2位置から、基板10がマスク220上に完全に載置されるまでさらに近接移動させるときに、厚さ情報取得手段280によって取得されるマスク220の厚さ情報に基づいて移動機構を制御することもできる。
【0056】
さらに、本発明は、以上のようにしてマスク220上に基板10が載置された後、図7(c)に示すように、この載置アセンブリ(マスク220と、マスク200上に載置された基板10とからなる組み合わせを「載置アセンブリ」と称する)に向かって冷却板230を下降させるとき(または、冷却板230とは別にマグネット板が設置される場合、冷却板230に続いてマグネット板も下降させるとき)にも適用可能である。つまり、各マスクに厚さの差があると、マスク上に基板が載置された載置アセンブリにも個体差が生じる可能性があるが、本発明に従って、載置アセンブリに向かって冷却板を下降移動させるときの移動量もマスクの厚さ情報に基づいて調整されるように、冷却板Zアクチュエータ252の駆動を制御しても良い。すなわち、成膜装置は、基板10を挟んでマスク220に磁力を印加するための磁力印加手段であるマグネット板(不図示)または基板10を冷却するための冷却手段である冷却板230を上昇または下降させる第2移動機構(冷却板Zアクチュエータ252またはマグネット板Zアクチュエータ(不図示))を備えてもよい。そして、制御部270が、マスク厚さ情報取得手段280によって取得されたマスクの厚さ情報に基づいて、第2移動機構を制御するようにしてもよい。
【0057】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施形態の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0058】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図9(a)は有機EL表示装置60の全体図、図9(b)は1画素の断面構造を表している。図9(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン
発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0059】
図9(b)は、図9(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R,66G,66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R,66G,66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R,66G,66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0060】
図9(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を含む複数の層で形成されてもよい。また、第1電極64と正孔輸送層65との間には第1電極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極68と電子輸送層67の間にも電子注入層が形成されことができる。
【0061】
次に、有機EL表示装置の製造方法の一例について具体的に説明する。まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)および第1電極64が形成された基板63を準備する。第1電極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0062】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の成膜装置に搬入し、基板支持ユニットにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0063】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の成膜装置に搬入し、基板支持ユニットにて保持する。基板とマスクとのアライメント(第1アライメント及び第2アライメント)を行い、基板をマスクの上に載置し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。発光層66Rの成膜と同様に、第3の成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。電子輸送層67まで形成された基板をスパッタリング装置に移動し、第2電極68を成膜し、その後プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0064】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる
発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0065】
上記実施例は本発明の一例を示したものであり、本発明は上記実施例の構成に限られず、その技術思想の範囲内において適宜変形しても構わない。上記実施例では成膜装置または成膜方法について詳細に説明したが、本発明はたとえば、マスクと基板とをアライメントするアライメント装置やアライメント方法にも適用可能である。また、本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラム(ソフトウェア)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出して実行する処理において、そのプログラム、及び該プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 基板
220 マスク
250 基板Zアクチュエータ(移動機構)
270 制御部
280 マスク厚さ情報取得手段
図1
図2
図3
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図9