(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム装置およびコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
H01J 37/21 20060101AFI20230314BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20230314BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H01J37/21
H01J37/244
H01J37/20 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021179113
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2020512575の分割
【原出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マーセン,マルティヌス,ゲラルドス,マリア,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンペニウス,ピーター,ポール
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンウェイ
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0084424(US,A1)
【文献】特開2001-118537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0224985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117114(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0210248(US,A1)
【文献】特開2008-159286(JP,A)
【文献】特開2013-097869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 23/225
H01L 21/66
G01B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶して、コントローラに荷電粒子ビーム装置を制御する方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有するところ、サンプル上でビームレットのアレイを形成することと、
ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出することと、
検出された画像に基づいて焦点面とサンプル
表面との間の離間のレベルを推定することと、
推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させることと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記方法は、ビームレット形成ユニットの合焦素子の合焦パワーを調節して離間のレベルを減少させることを更に含む、
請求項1の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記方法は、サンプルを移動させて離間のレベルを減少させることを更に含む、
請求項1の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記方法は、
ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第1のサブセットを用いてサンプルの第1のスキャンを実施してサンプルの画像を形成することと、
ビームレットの第1のサブセットによって形成されたサンプルの画像に基づいて離間のレベルを減少させることと、
ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第2のサブセットを用いてサンプルの第2のスキャンを実施することと、
を更に含む、
請求項1の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項5】
ビームレットの第1のサブセットは、第2の部分のビームレットのサブセットを含む、
請求項4の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
ビームレットの第1のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、
請求項4の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットを含む、
請求項4の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、
請求項4の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャン条件は、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャン条件とは異なる、
請求項4の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
スキャン条件は、スキャンエリアである、
請求項9の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャンエリアは、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャンエリアよりも小さい、
請求項10の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
スキャン条件は、スキャン周波数である、
請求項9の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャン周波数は、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャン周波数よりも高い、
請求項12の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
スキャン条件は、スキャン方向である、
請求項9の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流とは異なる、
請求項1の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流よりも低い、
請求項15の
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
プロセッサを備える荷電粒子ビーム装置であって、
前記プロセッサは、
ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有するところ、サンプル上でビームレットのアレイを形成し、
ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出し、
検出された画像に基づいて焦点面とサンプル
表面との間の離間のレベルを推定し、
推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させる、
ように構成されている、荷電粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[001] 本願は、2017年9月19日に提出された米国出願第62/560,622号の優先権を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本開示は概して、荷電粒子ビーム装置と、その装置を動作させるシステム及び方法と、に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 集積回路(IC)の製造プロセスにおいて、未完成の又は完成した回路部品は、設計に従って製造され且つ欠陥が無いことを保証するために、検査される。光学顕微鏡を利用する検査システムは、典型的には数百ナノメートルまで低くしたイメージ解像度を有する。そして、イメージ解像度は光の波長によって制限される。IC部品の物理的な寸法は、サブ100ナノメートル又はサブ10ナノメートルにさえ至るまで縮小し続けているため、光学顕微鏡を利用するものよりも高いイメージ解像度を実現可能な検査システムが必要である。
【0004】
[004] 走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)のような、1ナノメートル未満までのイメージ解像度を実現可能な電子ビームベースの顕微鏡は、サブ100ナノメートルのフィーチャ寸法を有するIC部品を検査するための実用可能なツールとして役立つ。
【0005】
[005] 電子ビームベースの顕微鏡のスループットを向上させるためには、各々が比較的小電流の複数の電子ビームが用いられる。複数の電子ビームは、サンプルの表面上の複数のスキャンエリアを、それぞれに且つ同時にスキャンすることができる。検査にあたって複数の電子ビームが高いイメージ解像度を提供することを保証するためには、複数の電子ビームをサンプル表面上に合焦させ続けるのが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[006] 本開示のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、サンプル上でビームレットのアレイを形成してスキャンするように構成されたビームレット形成ユニットを含む。ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有する。荷電粒子ビーム装置は、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出するように構成されたディテクタと、検出された画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定し、その後、推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させるように構成されたプロセッサと、も含む。
【0007】
[007] 本開示のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置を制御する方法が提供される。方法は、サンプル上でビームレットのアレイを形成することを含む。ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有する。方法は、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出することと、検出された画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することと、推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させることと、も含む。
【0008】
[008] 本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラによって実行される、荷電粒子ビームシステムを制御する方法が提供される。方法は、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することを含む。ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は、焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有する。方法は、推定された離間レベルに基づいて離間のレベルを調節することも含む。
【0009】
[009] 本開示のいくつかの実施形態によれば、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶して、コントローラに、荷電粒子ビームシステムを制御する方法を実行させる。方法は、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することを含む。ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は、焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有する。方法は、推定された離間レベルに基づいて離間のレベルを調節することも含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[010] 添付の図面は、本明細書に組み込まれるとともにその一部を構成するものであって、いくつかの実施形態を図示している。
【0011】
【
図1】[011] 開示される実施形態と一致する制御方法が実施可能である、例示的な荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【
図2(a)】[012] 荷電粒子ビーム装置によって検査中のサンプル上に生成された複数のビームレットのビームレット利用可能範囲及びスキャン領域の平面図を示す図である。
【
図2(b)-(d)】[013] 3つの異なる検査モードにおける、荷電粒子ビーム装置によって検査中のサンプル上に生成された複数のビームレットのスキャン領域の平面図を示す図である。
【
図3】[014] 開示される実施形態と一致する、検査中のサンプル上に荷電粒子ビーム装置によって形成された、ビームレット利用可能範囲、複数の検査ビームレット、及び複数の焦点検知ビームレットの平面図を示す図である。
【
図4(a)-(d)】[015] いくつかの開示される実施形態と一致する、荷電粒子ビーム装置によって形成された複数の検査ビームレットの焦点面に対するサンプル表面の位置を推定する例示的な方法を示す。
【
図5】[016] いくつかの開示される実施形態と一致する、荷電粒子ビーム装置を制御するための例示的な制御システムを示す。
【
図6】[017] いくつかの開示される実施形態と一致する、荷電粒子ビーム装置を用いることによってサンプルを検査する例示的なプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[018] 次に、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態は添付の図面に図示されている。以下の実施形態は電子ビームを利用するという文脈で記載されているが、本開示はこれに限定されるものではない。他の種類の荷電粒子ビームが同様に適用されてもよい。
【0013】
[019] いくつかの開示される実施形態は、荷電粒子ビーム(例えば電子ビーム)装置を提供する。荷電粒子ビーム装置は、サンプル上でビームレットのアレイを形成してスキャンするように構成されたビームレット形成ユニットを含む。ビームレットのアレイの第1の部分(以下、「検査ビームレット」という)は、焦点面上に合焦されるように構成されている。ビームレットのアレイの第2の部分(以下、「焦点検知ビームレット」という)は、焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを含む。焦点面とサンプルとの間の離間のレベルは、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像に基づいて検出することができる。離間のレベルは、ビームレットのアレイの第1の部分がサンプル上に合焦されることを確実にするために、減少可能である。
【0014】
[020] 本明細書において用いられる「又は」という用語は、具体的に別段の規定が無い限り、実行不可能である場合を除いて可能なあらゆる組み合わせを含む。例えば、あるデータベースがA又はBを備え得ると述べられている場合、具体的に別段の規定が無いか実行不可能でない限り、そのデータベースは、A、又はB、又はA及びBを備え得る。2番目の例として、あるデータベースがA、B、又はCを備え得ると述べられている場合、具体的に別段の規定が無いか実行不可能でない限り、そのデータベースは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを備え得る。
【0015】
[021]
図1は、開示される実施形態と一致する制御方法が実施可能である、例示的な荷電粒子ビーム装置100を示す図である。
図1を参照すると、荷電粒子ビーム装置100は、電子源101と、集光レンズ110と、メインアパーチャプレート171と、電子源変換ユニット120と、一次投影結像システム130と、偏向スキャンユニット132と、ビーム分離器160と、を備えており、これらは一次光軸100_1に沿って配置されるとともにこれと整列している。荷電粒子ビーム装置100は、二次投影結像システム150及び電子検出デバイス140も備えており、これらは、一次光軸100_1と平行でない二次光軸150_1に沿って配置されるとともにこれと整列している。荷電粒子ビーム装置100は更に、荷電粒子ビーム装置100によって検査中のサンプル8を支えるサンプルステージ180を備えている。電子源101、集光レンズ110、メインアパーチャプレート171、電子源変換ユニット120、一次投影結像システム130、及び偏向スキャンユニット132は、合わせてビームレット形成ユニットを構成する。
【0016】
[022] 電子源101は、一次光軸100_1上にクロスオーバ101sを有する一次電子ビーム102を放出するように構成されている。電子源変換ユニット120は、電子源101の複数の虚像102_2v及び102_3vを形成するように構成されている。電子源変換ユニット120は、複数のマイクロ偏向器122_2及び122_3を有するマイクロ偏向器アレイ122と、複数のマイクロレンズ123_1,123_2及び123_3を有するマイクロ補償器アレイ123と、複数のビームレット制限開口121_1,121_2及び121_3を含むビームレット制限板121とを備えている。マイクロ偏向器122_2及び122_3は、一次電子ビーム102のビームレット102_2及び102_3をそれぞれ偏向させて、虚像102_2v及び102_3vを形成するとともにビームレット制限板121上に垂直に入射させる。ビームレット制限開口121_1,121_2及び121_3はそれぞれ、一次電子ビーム102の中心部102_1の最外殻電子と、偏向されたビームレット102_2及び102_3とを遮断し、それによってビームレット102_1,102_2及び102_3の電流を制限する。
【0017】
[023] 集光レンズ110は、一次電子ビーム102を合焦させるように構成されている。集光レンズ110の合焦パワーは一次電子ビーム102の電流密度を調節するように制御可能であり、それによってビームレット102_1,102_2及び102_3の電流密度が調節される。
【0018】
[024] 一次投影結像システム130は、ビームレット102_1,102_2及び102_3によって形成された電子源101の画像をサンプル8の表面7上に投影して複数のプローブスポット102_1S,102_2S及び102_3Sを形成するように構成されている。一次投影結像システム130は、転写レンズ133と対物レンズ131とを備えている。対物レンズ131は、ビームレット102_1,102_2及び102_3をサンプル8の表面7上に合焦させるように構成されている。対物レンズ131は、前側焦点を有する磁気レンズを含み得る。転写レンズ133は、2つのオフアクシスビームレット102_2及び102_3を、サンプル8の表面7に垂直に着地させるべく、対物レンズ131の前側焦点を通過するように合焦させるように構成されている。集光レンズ110及び一次投影画像システム130のフィールド曲率収差は、複数のビームレット102_1~102_3を、平らな表面すなわち平面ではなく曲面の上に合焦させる。電子源変換ユニット120内の複数のマイクロレンズ123_1~123_3の各々は、複数のビームレット102_1~102_3のうち対応する1つを個々に合焦させることができる。したがって、複数のマイクロレンズは、すべてのビームレットを焦点面上に合焦させるように、又は、ビームレットのうちいくつかを焦点面上に合焦させ他を焦点面からデフォーカスさせるように、設定可能である。焦点面は、サンプル表面と一致するのが望ましい。
【0019】
[025] 偏向スキャンユニット132は、ビームレット102_1,102_2及び102_3を偏向させて、サンプル8の表面7上の各スキャンエリアのプローブスポット102_1S,102_2S及び102_3Sをスキャンするように構成されている。その結果、各スキャンエリアから、プローブスポット102_1S,102_2S及び102_3Sによって、二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seが生成される。二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seは、対物レンズ131によって合焦され、その後ビーム分離器160によってビームレット102_1,102_2及び102_3から分離されるように偏向されて、二次光軸150_1と整列された二次投影結像システム150に進入する。
【0020】
[026] 二次投影結像システム150は、二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seを電子検出デバイス140の複数の検出素子140_1,140_2及び140_3上に合焦させるように構成されている。検出素子140_1,140_2及び140_3の各々は、対応するスキャンエリアの画像信号を提供するように構成されている。二次投影結像システム150は、スキャン防止偏向器151と、少なくとも2つのレンズ152_1及び152_2を含むズームレンズ152と、回転防止磁気レンズ154と、を備えている。ズームレンズ152は、電子検出デバイス140上での二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seのピッチを検出素子140_1,140_2及び140_3のピッチに一致させるように構成されている。スキャン防止偏向器151は、偏向スキャンユニット132がビームレット102_1,102_2及び102_3を偏向させる間、二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seを同期的に偏向させて、対応する検出素子140_1,140_2及び140_3内に維持するように構成されている。回転防止磁気レンズ154は、電子検出デバイス140上での検出素子140_1,140_2及び140_3に対する二次電子ビーム102_1se,102_2se及び102_3seの回転を排除するように構成されている。この回転は、対物レンズ131に含まれる磁気レンズによって導入されるものである。
【0021】
[027]
図1に示される荷電粒子ビーム装置100は、開示される実施形態と一致する制御方法を実施可能な荷電粒子ビーム装置の一例である。開示される実施形態と一致する制御方法は、
図1に示される荷電粒子ビーム装置100の構成要素よりも多いもしくは少ない構成要素を含む、及び/又は、
図1に示される荷電粒子ビーム装置100の構成要素の異なる配置を含む、他の荷電粒子ビーム装置に適用することが可能である。例えば、いくつかの荷電粒子ビーム装置においては、集光レンズ110は備えられていなくてもよい。別の一例として、いくつかの荷電粒子ビーム装置においては、メインアパーチャプレート171は集光レンズ110の上方に設置されていてもよい。
【0022】
[028]
図2(a)は、検査中のサンプル(例えば
図1のサンプル8)上の、ビームレット利用可能範囲200と、荷電粒子ビーム装置(例えば
図1の荷電粒子ビーム装置100)によって生成された複数のビームレット210(例えば
図1の102_1s~102_3s)と、の平面図を示す図である。通常スキャン又は検査スキャンにおいては、各ビームレット210は、偏向ユニット(例えば
図1の偏向スキャンユニット132)によって偏向されて、サンプル上の対応するスキャンエリア220をスキャンする。複数のビームレット210が合わせてサンプルのより大きなスキャン領域230をスキャンして、サンプルのスキャン領域230の画像を取得することができる。複数のビームレット210がスキャン領域230をスキャンした後、サンプルは、次の通常スキャンにおいて複数のビームレット210がサンプルの次のスキャン領域をスキャンすることができるように、サンプルステージ(例えば
図1のサンプルステージ180)によって、荷電粒子ビーム装置のZ方向の一次光軸(例えば、
図1の一次光軸100_1)に垂直なX-Y平面内で移動されてもよい。明確にするため、各通常スキャンはシリアルナンバーNo(i)で標識されてもよく、スキャン領域230(i)は、No(i)スキャンにおけるスキャン領域230を意味する。No(i+1)通常スキャンは、No(i)通常スキャンの次の通常スキャンである。次のスキャン領域230(i+1)は、
図2(b)では現在のスキャン領域230(i)に隣接しており、
図2(c)では現在のスキャン領域230(i)に近接しており、
図2(d)では現在のスキャン領域230(i)から遠く離れている。
図2(b)から
図2(d)の検査モードはそれぞれ、連続リープスキャンモード、短リープスキャンモード、及び長リープスキャンモードと称される。荷電粒子ビーム装置は、3つのモードのうち1つで動作するか、又は、3つのモードのうち1つで動作した後3つのモードのうち別の1つでの動作に変更してもよい。
【0023】
[029] 荷電粒子ビーム装置によって生成される画像の品質は、サンプル上での複数のビームレットの合焦状況(すなわち、複数のビームレットがサンプル上で焦点されるかどうか、又は複数のビームレットの焦点面がサンプルにどの程度接近するか)に密接に関係している。サンプル表面上で複数のビームレットが合焦され得るように荷電粒子ビーム装置を制御するのが有利であろう。しかしながら、サンプルがx-Y平面内を移動して次のスキャン領域を複数のビームレットと整列させるときには、いくつかの要因が合焦状況に影響を及ぼし得る。一方では、サンプル表面が、例えばサンプル表面の局所的な平坦性のばらつき又はZ方向のステージ位置に起因して、焦点面から離れるように移動されることがある。他方では、焦点面が、例えば複数のビームレットを合焦させる合焦レンズ(例えば
図1の集光レンズ110、転写レンズ133、もしくは対物レンズ133)の合焦パワーのドリフト又はサンプル表面上でのチャージアップに起因して、サンプル表面から離れるように変位されることがある。
【0024】
[030] 複数のビームレットの合焦状況を制御する1つの技術は、光学フォーカスセンサを使用してサンプル表面の位置変動を検知し、検知された位置変動をコントローラにフィードバックするというものである。これにより、コントローラはサンプルステージをZ方向で移動するように制御して、サンプル表面の位置変動を排除するか、又は合焦レンズのうち少なくとも1つの合焦パワーを調節し、サンプル表面と一致した焦点面を移動させることができる。合焦レンズの1つ以上のパラメータは、その合焦パワーに影響し得る。したがって、合焦パワーは、パラメータのうち少なくとも1つを変化させることによって調節可能である。よって、調節済みのパラメータとサンプル表面の位置変動との間の関係は、予め較正されなければならない。
【0025】
[031] 焦点面とサンプル表面との間の離間のレベルを直接検知することのできる方法を提案する。開示される実施形態においては、荷電粒子ビーム装置がサンプル上にビームレットのアレイを形成し、そのアレイは、複数の検査ビームレットと、検査ビームレットの周りに複数の焦点検知ビームレットと、を含む。複数の検査ビームレットは、通常スキャンにおいてはサンプル表面のスキャン領域と一致した状態に維持される焦点面上に合焦される。焦点検知ビームレットは、焦点面に対して異なるデフォーカスレベルを有するように構成されている。焦点検知ビームレットによって形成された画像は、焦点面とサンプル表面との間の離間の実際のレベルを推定するために用いることができる。画像は、通常スキャン又は高速スキャンで取得することができる。高速スキャンにおいては、焦点検知ビームレット又はプラス1つもしくはいくつかの検査ビームレットがサンプルをスキャンする。通常スキャンにおいては、焦点検知ビームレットが、検査ビームレットと一緒にサンプルをスキャンする。2回の通常スキャンの合間に1回以上の高速スキャンがあってもよい。
【0026】
[032] 本明細書において用いられる場合、焦点面とは、多数のビームレットの焦点が位置している仮想平面を指す。あるビームレットのデフォーカスレベルとは、そのビームレットの焦点と基準点(例えば基準ビームレットの焦点)又は基準平面(例えば複数の検査ビームレットの焦点面)との間の、荷電粒子ビーム装置の一次光軸に平行なZ方向の距離を指す。
【0027】
[033]
図3は、開示される実施形態と一致する、検査中のサンプル上に荷電粒子ビーム装置によって形成された、ビームレット利用可能範囲300、複数の検査ビームレット310、及び複数の焦点検知ビームレット350の平面図を示す図である。焦点検知ビームレット350は、複数の検査ビームレットの外側且つビームレット利用可能範囲300の範囲内に配置されている。いくつかの実施形態においては、焦点検知ビームレットは、複数の検査ビームレット310に近接するとともにこれらを囲んでいる。検査ビームレット310及び焦点検知ビームレット350はいずれも、荷電粒子ビーム装置(例えば
図1の装置100)によって形成されたビームレットのアレイに属する。通常スキャンにおいては、各検査ビームレット310は、偏向ユニット(例えば
図1の偏向スキャンユニット132)によって偏向されて、サンプルの対応する検査スキャンエリア320をスキャンする。合わせて、複数の検査ビームレット310が検査スキャン領域330をスキャンしてもよい。各焦点検知ビームレット350は、偏向ユニットによって偏向されて、サンプルの焦点検知スキャンエリア360をスキャンする。したがって、荷電粒子ビーム装置によって得られる画像は、検査スキャン領域330及び焦点検知スキャンエリア360の画像を含む。
【0028】
[034]
図4(a)から
図4(d)は、焦点面とサンプル表面との間の離間のレベルを検知するために、検査スキャン領域330及び焦点検知スキャンエリア360の画像がどのように用いられ得るのかを図示している。No(i)通常スキャンにおいては、
図4(a)に示されるように、ビームレット410_1,410_2,410_3,410_4及び410_5は、複数の検査ビームレット310が合焦される焦点面430に対して、それぞれデフォーカスレベル-2,-1,0,1及び2を有する。焦点面430とサンプル表面440との間には離間ギャップ490がある。ビームレット410_1,410_2,410_4及び410_5は、複数の焦点検知ビームレット350のうちの4つである。ビームレット410_3は、複数の検査ビームレット310のうちの1つであってもよいし、又は複数の焦点検知ビームレット350のうちの1つであってもよい。ビームレット410_1の焦点420_1は焦点面430よりも下に位置しており、焦点420_1と焦点面430との間の距離は負の任意の2単位(例えば-100nm)である。ビームレット410_2の焦点420_2は焦点面430よりも下に位置しており、焦点420_2と焦点面430との間の距離は負の任意の1単位(例えば-50nm)である。ビームレット410_3の焦点420_3は焦点面430に位置している。ビームレット410_4の焦点420_4は焦点面430よりも上に位置しており、焦点420_4と焦点面430との間の距離は正の任意の1単位(例えば50nm)である。そして、ビームレット410_5の焦点420_5は焦点面430よりも上に位置しており、焦点420_5と焦点面430との間の距離は正の任意の2単位(例えば100nm)である。ビームレット410_1から410_5の様々なデフォーカスレベルは、ビームレット410_1から410_5にそれぞれ対応するマイクロレンズ(例えば
図1のマイクロレンズ123_1~123_3)の合焦パワーを調節することによって実現可能である。
【0029】
[035]
図4(b)は、ビームレット410_1,410_2,410_3,410_4及び410_5によって焦点面430上に形成されるプローブスポット450_1,450_2,450_3,450_4及び450_5の画像を図示している。プローブスポット450_1から450_5の寸法は、ビームレット410_1,410_2,410_4及び410_5も焦点面430上に合焦される場合には、同一になるであろう。プローブスポット410_1,410_2,410_4及び410_5の寸法は、その各々のデフォーカスレベルの絶対値に伴って増加する。
図4(b)に示されるように、プローブスポット450_3はプローブスポット450_1から450_5の中で最も小さく、プローブスポット450_2と450_4とは略同一でプローブスポット450_3よりも大きく、プローブスポット450_1及び450_5は略同一でプローブスポット450_2及び450_4よりも大きい。
【0030】
[036]
図4(c)は、ビームレット410_1,410_2,410_3,410_4及び410_5によってサンプル表面440上に形成されるプローブスポット460_1,460_2,460_3,460_4及び460_5の画像を図示している。
図4(c)に示されるように、プローブスポット450_1から450_5の一つ一つの寸法は、ビームレット410_1から410_5のうち対応する1つのデフォーカスレベルと、サンプル表面440と焦点面430との間の離間ギャップ490との組み合わせに関係している。焦点420_2はサンプル表面440と一致しており、焦点420_1は焦点面430よりもサンプル表面440に近接しており、焦点420_3~420_5はサンプル表面440よりも焦点面430に近接している。したがって、プローブスポット460_1及び460_2はそれぞれプローブスポット450_1及び450_2よりも小さく、プローブスポット460_3,460_4及び460_5はそれぞれプローブスポット450_3,450_4及び450_5よりも大きい。よって、プローブスポット460_2がプローブスポット460_1から460_5の中で最も小さくなる。
【0031】
[037]
図4(d)は、焦点面430及びサンプル表面440上でのビームレット410_1から410_5のビームレット測定を図示している。具体的には、曲線470は、ビームレット410_1から410_5によって焦点面430上に形成されるプローブスポット450_1から450_5の寸法を、ビームレット番号順に、すなわちビームレット410_1からビームレット410_5まで表す。曲線480は、ビームレット410_1から410_5によってサンプル表面440上に形成されるプローブスポット460_1から460_5の寸法を表す。焦点面430がサンプル表面440と一致する場合、サンプル表面440上の分布の形は曲線470と同一になるであろう。焦点面430に対するビームレット410_1から410_5のデフォーカスレベルは既に分かっているので、曲線470の形は既に分かっている。曲線470と曲線480とを比較することによって、曲線480の形は曲線470の形と同一ではなく、したがってサンプル表面440は焦点面430と一致しないと判定することができる。また、曲線480の最小点は、曲線470と比較してビームレット1つ左にずれているので、サンプル表面440は焦点面430よりも下に配設されており、任意の1単位の離間レベル(例えばギャップ490)を有すると判定することができる。プローブスポット460_1から460_5の寸法は、ビームレット410_1~410_5によってスキャンされるスキャンエリアの画像において直接測定することはできないが、それらの画像を解析することによって間接的に測定可能である。例えば、スキャンエリアをスキャンするビームレットのプローブスポット寸法が小さいほど、スキャンエリアの画像は鮮明になる。したがって、プローブスポット寸法は画像の鮮明さによって表現することができ、よって
図4(d)の各ビームレット測定は対応する画像の鮮明さであってもよい。鮮明さは、画像をフーリエ解析で解析することによって測定可能である。
【0032】
[038] 離間レベルを正確且つ迅速に推定するために、検査ビームレット310と焦点検知ビームレット350とは、特性及びスキャン条件が異なり得る。例えば、各焦点検知ビームレット350の電流は、サンプル上でのチャージアップを制御するように、各検査ビームレット310の電流とは異なっていて(例えばそれより低くて)もよい。各焦点検知ビームレット350のスキャンエリアの寸法、スキャン周波数又はスキャン方向は、サンプル上でのチャージアップ及びスループットを制御するように、各検査310のそれとは異なっていてもよい。例えば、各焦点検知ビームレット350のスキャンエリアは、焦点検知ビームレットに起因するチャージアップの影響を低減するべく、各検査ビームレット310のスキャンエリアより小さくてもよい。また、焦点検知ビームレット350は、検査モード及びサンプル特徴に関して使い分けられ得る。
【0033】
[039] 荷電粒子ビーム装置が
図2(b)及び
図2(c)に示される連続リープスキャンモード又は短リープスキャンモードで動作する場合、次の検査スキャン領域230(i+1)は現在の検査スキャン領域230(i)に非常に近接し、現在のNo(i)通常スキャンと次のNo(i+1)通常スキャンとの間の時間間隔は非常に小さい。したがって、サンプルが現在の検査スキャン領域230(i)から次の検査スキャン領域230(i+1)へと移動されるとき、サンプル表面440及び焦点面430の位置は実質的に変わらないと仮定するのが合理的である。換言すれば、現在のNo(i)通常スキャンにおける焦点面430とサンプル表面440との間の離間のレベルは、次のNo(i+1)スキャンにおいては同じままであろう。現在のNo(i)通常スキャンにおいて推定される離間レベルは、次のNo(i+1)通常スキャンにおける焦点面430とサンプル表面440との間の離間のレベルの合理的な推定である。次のNo(i+1)通常スキャンを開始する前に、
図4(d)で得られた推定される離間レベルに基づいて、検査ビームレットのサンプル表面440と焦点面430との間の離間ギャップ490は、検査ビームレットが次のNo(i+1)通常スキャンにおいてサンプル表面440上に合焦され得るように、調節され得る。いくつかの実施形態においては、離間ギャップ490は、例えば、サンプルステージ(例えば
図1のサンプルステージ180)を任意の1単位だけ上昇させ、ひいてはサンプル表面440も焦点面430と一致するように任意の1単位だけ上昇させることによって、縮小可能である。いくつかの代替的な実施形態においては、離間ギャップ490は、焦点面430が表面の平面430と一致するように任意の1単位だけ降下されるように、荷電粒子ビーム装置内の1つ以上の合焦レンズ(例えば
図1の対物レンズ131、転写レンズ133、又は集光レンズ110)の合焦パワーを調節することによって、縮小可能である。合焦レンズの1つ以上のパラメータは、その合焦パワーに影響し得る。したがって、合焦パワーは、パラメータのうち少なくとも1つを変化させることによって調節可能である。いくつかの代替的な実施形態においては、離間ギャップ490は、サンプル表面440を上昇させるとともに焦点面430を下降させることによって縮小可能である。
【0034】
[040] 荷電粒子ビーム装置が
図2(d)に示される長リープスキャンモードで動作する場合、次の検査スキャン領域230(i+1)は現在の検査スキャン領域230(i)に近接しておらず、現在のNo(i)通常スキャンと次のNo(i+1)通常スキャンとの間の時間間隔はあまり小さくない。したがって、サンプルが現在の検査スキャン領域230(i)から次の検査スキャン領域230(i+1)へと移動されるとき、サンプル表面440及び焦点面430の位置は実質的に変化し得ると仮定するのが合理的である。換言すれば、次のNo(i+1)通常スキャンにおける焦点面430とサンプル表面440との間の離間のレベルは、現在のNo(i)通常スキャンにおけるそれとは実質的に異なり得る。この場合、次のNo(i+1)通常スキャンにおける焦点面430とサンプル表面440との間の離間のレベルを推定するには、3つの手法がある。第1の手法では、前述の技術を使用して、光学フォーカスセンサを用いることによってサンプル表面440の位置変動を求め、次のNo(i+1)通常スキャンにおける離間のレベルは、現在のNo(i)通常スキャンにおいて推定される離間レベルとサンプル表面440の推定される位置変動との合計に等しいものと推定することができる。第2の手法では、第1のステップが、第1の手法で求められた推定される離間レベルの見地からサンプル表面440と焦点面430との間の離間ギャップ490を縮小すること、第2のステップが、高速スキャンにおいて複数の焦点検知ビームレットにより離間ギャップ490を検出することである。第2のステップでは、複数の焦点検知ビームレットのうち全部又は一部のみが対応する焦点検知スキャンエリアをスキャンし、
図4(a)から
図4(d)に示される方法を用いて離間レベルを推定する。第2のステップで得られる、推定される離間レベルが、次のNo(i+1)通常スキャンにおける離間レベルと考えられる。第3の手法では、複数の焦点検知ビームレットのうち全部又は一部のみが対応する焦点検知スキャンエリアを高速スキャンでスキャンし、
図4(a)から
図4(d)に示される方法を用いて離間レベルを推定する。推定される離間レベルが、次のNo(i+1)通常スキャンにおける離間レベルと考えられる。3つの手法のうちいずれか1つによって得られる、推定される次のNo(i+1)通常スキャンにおける離間のレベルに基づいて、サンプル表面440と焦点面430との間の離間ギャップ490は、次のNo(i+1)通常スキャンが開始する前に、検査ビームレットが次のNo(i+1)通常スキャンにおいてサンプル表面440上に合焦され得るように、調節されることが可能である。上述したように、離間ギャップ490は、サンプル表面440及び/又は焦点面430をZ方向で移動させることによって縮小可能である。
【0035】
[041] 連続リープスキャンモードでは、次の検査スキャン領域230(i+1)は、現在の検査スキャン領域230(i)に隣接している。No(i+1)スキャンの検査スキャンエリアのうち1つ以上は、No(i)通常スキャンの対応する1つ以上の焦点検知ビームレットによって既にスキャン済みであり、No(i+1)通常スキャンの焦点検知スキャンエリアのうち1つ以上は、No(i)通常スキャンの対応する1つ以上の検査ビームレットによって既にスキャン済みである。いくつかの電荷がスキャン済みの検査スキャンエリア及び焦点検知スキャンエリアに構築されていてもよく、それらの電荷はNo(i+1)通常スキャンにおける検査ビームレット及び焦点検知ビームレットの合焦状況に影響し得る。電荷の量を減らすために、各焦点検知ビームレットの電流を各検査ビームレットの電流よりも小さく設定してもよい(例えば、
図1において、焦点検知ビームレットに対応する各ビーム制限開口の寸法は検査ビームレットに対応する各ビーム制限開口の寸法よりも小さい)。電荷の影響を低減させるために、焦点検知ビームレット350は、検査ビームレット310に対して非対称的に配置され得る。例えば、
図3に示されるように、3つの焦点検知ビームレット350と2つの焦点検知ビームレット350とが、検査スキャン領域330の左側及び右側にそれぞれ配置される。次の検査スキャン領域230(i+1)の左側が現在の検査スキャン領域230(i)に隣接しているときには、No(i+1)通常スキャンの検査スキャンエリアにおける電荷の構築を回避するために、検査スキャン領域330の右側にある焦点検知ビームレット350は、使用できない(例えば、対応するマイクロ偏向器によって偏向され、
図1のビームレット制限板121によって遮断される)。同様に、次の検査スキャン領域230(i+1)の右側が現在の検査スキャン領域230(i)に隣接しているときには、検査スキャン領域330の左側にある焦点検知ビームレット350は使用できない。
【0036】
[042] 短リープスキャンモードでは、次の検査スキャン領域230(i+1)は、現在の検査スキャン領域230(i)に近接している。したがって、連続リープスキャンモードで起こることが短リープスキャンモードにおいても起こるであろう。前述の解決策は、短リープスキャンモードにおいても用いられ得る。長リープスキャンモードでは、次の検査スキャン領域230(i+1)は、現在の検査スキャン領域230(i)から遠く離れている。したがって、連続リープスキャンモードで起こることは長リープスキャンモードにおいては起こらないであろう。しかしながら、
図4(a)から
図4(d)のサンプル表面440と焦点430との間の離間のレベルを推定するのに第2及び第3の手法が用いられる場合には、いくつかの電荷が焦点検知スキャンエリアに構築され得る。電荷は、検査スキャンエリアが焦点検知スキャンエリアに近接している検査ビームレットの合焦状況に影響し得る。電荷を減らすために、各焦点検知ビームレットの電流を各検査ビームレットの電流よりも小さく設定してもよいし、又は焦点検知ビームレットのうちいくつかのみが用いられてもよい。また、各焦点検知スキャンエリアは各検査スキャンエリアより小さく設定されてもよい。例えば、第3の手法を用いて離間レベルを推定するときには、偏向スキャンユニット132は、使用中の各焦点検知ビームレットを、No(i+1)スキャンにおける振幅よりも小さい振幅で偏向させる。更に、No(i+1)通常スキャンにおいては、各焦点検知スキャンエリアは各検査スキャンエリアよりも高速にスキャンされてもよい。例えば、第3の手法を用いて離間レベルを推定するときには、偏向スキャンユニット132は、使用中の各焦点検知ビームレットを、No(i+1)通常スキャンにおけるスキャン周波数よりも高い周波数で偏向させる。そして、各焦点検知スキャンエリアは、No(i+1)通常スキャンにおいて各検査スキャンエリアがスキャンされる方向とは異なる方向でスキャンされてもよい。
【0037】
[043]
図5は、いくつかの開示される実施形態と一致する、荷電粒子ビーム装置(例えば
図1の荷電粒子ビーム装置100)を制御するための例示的な制御システム500を図示している。制御システム500は、荷電粒子ビーム装置内に備えられていてもよい。代替的には、制御システム500は、有線又は無線通信インターフェイスを介して荷電粒子ビーム装置に接続されていてもよい。
【0038】
[044]
図5に図示されるように、制御システム500は、プロセッサ510とメモリ520とを備えている。プロセッサ510は、様々な種類の処理装置を含み得る。例えば、プロセッサ510は、マイクロプロセッサ、プリプロセッサ(画像プリプロセッサなど)、グラフィックスプロセッサ、中央処理装置(CPU)、サポート回路、デジタルシグナルプロセッサ、集積回路、現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、又は荷電粒子ビーム装置を制御するためのアプリケーションを実行するのに適した任意の他の種類のデバイスを含み得る。いくつかの実施形態においては、プロセッサ510は、任意の種類のシングル又はマルチコアプロセッサを含んでいてもよい。
【0039】
[045] メモリ520は、任意の種類の非一時的な記憶デバイス又はコンピュータ可読媒体を含み得る。例えば、メモリ520は非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。非一時的な媒体の一般的な形態は、例えば、ハードドライブ、コンパクトディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記録媒体、CD-ROM、任意の他の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM,PROM、及びEPROM、FLASH-EPROM、又は任意の他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び同じもののネットワーク化されたバージョンを含む。メモリ520は、プロセッサ510によって実行されたときに、開示された実施形態と一致する様々な方法をプロセッサ510に実行させることのできる、様々なモジュールを記憶することができる。
図5に図示される例示的な実施形態においては、メモリ520は、ステージ制御モジュール522、ビームレット制御モジュール524、画像処理モジュール526、及び離間調節モジュール528を含む。
【0040】
[046] 概して、モジュールとは、他の構成要素(例えば集積回路の一部)と共に使用されるように設計されたパッケージ化された機能性ハードウェアユニット又は関係する機能のうちある特定の機能を実行する(コンピュータ可読媒体上に記憶された)プログラムの一部であり得る。モジュールは、エントリポイント及びエグジットポイントを有していてもよく、例えばJava,Lua,C又はC++などのプログラミング言語で書かれていてもよい。ソフトウェアモジュールは、コンパイルされて実行可能なプログラムにリンクされ、動的リンクライブラリにインストールされるか、又は、例えばBASIC,Perl,もしくはPythonなどのインタプリタ型プログラミング言語(interpreted programming language)で書かれていてもよい。ソフトウェアモジュールは、他のモジュール又はソフトウェアモジュール自身から呼び出し可能であってもよく、及び/又は検出されたイベント又は割り込みに応じて起動されてもよいことがわかるであろう。演算装置上で実行されるように構成されたソフトウェアモジュールは、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、フラッシュドライブ、磁気ディスク、もしくは任意の他の非一時的媒体などのコンピュータ可読媒体上に、又はデジタルダウンロードとして、提供されてもよい(そして、実行の前にインストール、復元、もしくは復号化を必要とする圧縮された又はインストール可能なフォーマットで元々記憶されていてもよい)。そのようなソフトウェアコードは、演算装置による実行のために、部分的に又は完全に、実行中の演算装置のメモリデバイス上に記憶され得る。ソフトウェア命令は、EPROMのようなファームウェアに埋め込まれてもよい。更に、ハードウェアモジュールは、ゲート及びフリップフロップなどの接続された論理ユニットで構成されていてもよく、及び/又は、プログラム可能ゲートアレイもしくはプロセッサなどのプログラム可能ユニットで構成されていてもよいことがわかるであろう。本明細書に記載されているモジュール又は演算装置の機能性は、好適にはソフトウェアモジュールとして実装されるが、ハードウェア又はファームウェアで表されてもよい。概して、本明細書に記載されているモジュールは、他のモジュールと組み合わせることが可能であるか、又は物理的な編成もしくは記憶装置に関係なくサブモジュールに分割されることが可能な論理モジュールを指す。
【0041】
[047] ステージ制御モジュール522は、プロセッサ510によって実行されるとき、プロセッサ510に、サンプルステージ(例えば
図1のサンプルステージ180)をX,Y及びZ方向のうち1つ以上で目標位置へと移動させるように制御させることができる。目標位置は、ユーザによってユーザ入力デバイスを介して入力されてもよいし、又は、画像処理モジュール526のような制御システム500内の他の構成要素によって決定されてもよい。いくつかの実施形態においては、ステージ制御モジュール522は、複数のスキャン領域が荷電粒子ビーム装置によって検査され得るように、サンプルステージを、複数の目標位置に順次移動するように制御してもよい。いくつかの実施形態においては、目標位置は、最適化された合焦条件を達成するように画像処理モジュール526(以下で説明する)によって決定されるZ方向の位置であってもよい。
【0042】
[048] ビームレット制御モジュール524は、プロセッサ510によって実行されるとき、荷電粒子ビーム装置内の様々な構成要素を制御することによって、プロセッサ510に、荷電粒子ビーム装置によって形成される複数のビームレットの様々な特性を制御させることができる。例えば、ビームレット制御モジュール524は、複数のマイクロ偏向器(例えば
図1のマイクロ偏向器122_2又は122_3)及び/又は複数のビームレット開口(例えば
図1のビームレット制限開口121_1,121_2又は121_3)及び/又は複数のマイクロレンズ(例えば
図1のマイクロレンズ123_1,123_2又は123_3)を制御して、焦点面上に合焦する複数の検査ビームレットと、焦点面に対して様々なデフォーカスレベルを有する1つ以上の焦点検知ビームレットとを形成してもよい。ビームレット制御モジュール524は、荷電粒子ビーム装置内のビームレットのアレイを合焦させる焦点レンズ(例えば
図1の対物レンズ131、転写レンズ133又は集光レンズ110)のうち1つ以上の合焦パワーを制御することによって、焦点面の位置を制御してもよい。合焦レンズの各々の1つ以上のパラメータは、その合焦パワーに影響し得る。したがって、ビームレット制御モジュール524は、パラメータのうち少なくとも1つを変化させることによって合焦パワーを調節可能である。また、ビームレット制御モジュール524は、ビームレット開口(例えばビームレット制限開口121_1,121_2又は121_3)のアパーチャを制御することによって、ビームレットの寸法及び/又は電流を制御することもできる。そして、ビームレット制御モジュール524は、ビームレット制限板(例えばビームレット制限板121)によって遮断されたビームレットを偏向させるようにマイクロ偏向器(例えばマイクロ偏向器122_2又は122_3)を制御することもできる。ビームレット制御モジュール524は更に、偏向スキャンユニット(例えば偏向スキャンユニット132)を制御することによって、ビームレットのスキャンエリア、スキャン方向又はスキャン周波数を制御することができる。
【0043】
[049] 画像処理モジュール526は、プロセッサ510によって実行されるとき、プロセッサ510に、ビームレットによってサンプル上に形成され検出ユニット(例えば電子検出デバイス140)によって収集された画像を処理させるとともに、検査ビームレットの焦点面に対するサンプル表面の位置(例えばサンプル表面と焦点面との間の離間レベル)を推定させることができる。例えば、画像処理モジュール526は、検査ビームレット及び/又は焦点検知ビームレットによってサンプル上に形成されたプローブスポットの寸法を解析して、
図4(a)から
図4(d)に関して説明した方法を用いることにより、離間レベルを推定してもよい。別の一例としては、画像処理モジュール526は、画像に対してフーリエ解析を行って離間レベルを推定してもよい。
【0044】
[050] 離間調節モジュール528は、プロセッサ510によって実行されるとき、プロセッサ510に、画像処理モジュール526によって得られた結果に基づいてサンプル表面と検査ビームレットの焦点面との間の離間レベルを調節するように、荷電粒子ビーム装置を制御させることができる。いくつかの実施形態においては、離間調節モジュール528がステージ制御モジュール522に信号を送信して、サンプル表面が検査ビームレットの焦点面と一致し得るように、ステージの位置をZ方向で制御してもよい。いくつかの代替的な実施形態においては、離間調節モジュール528がビームレット制御モジュール524に信号を送信して、サンプル表面が検査ビームレットの焦点面と一致し得るように、検査ビームレットの焦点面の位置を制御してもよい。
【0045】
[051]
図6は、いくつかの開示される実施形態と一致する、荷電粒子ビーム装置(例えば
図1の荷電粒子ビーム装置100)を用いることによってサンプルを検査する例示的なプロセス600を図示している。荷電粒子ビーム装置は、検査対象のサンプル(例えば
図1のサンプル8)上でビームレットのアレイを形成及びスキャンすることができる。ビームレットのアレイは、焦点面上に合焦する複数の検査ビームレット650と、焦点面に対して様々なデフォーカスレベルを有する複数の焦点検知ビームレット660と、を含む。プロセス600は、制御システム(例えば
図5の制御システム500)によって制御された荷電粒子ビーム装置によって実行され得る。
【0046】
[052] まず、ステップ610において、荷電粒子ビーム装置は長移動を実行して、サンプルを支えるサンプルステージ(例えば
図1のサンプルステージ180)を、サンプルの第1のスキャン領域が下に位置するとともに複数の一次ビームレット650と垂直方向に整列される目標位置へと移動させる。例えば、制御システム500のステージ制御モジュール522が、サンプルステージを、X-Y平面内で目標位置へと移動するように制御してもよい。
【0047】
[053] 次に、ステップ612において、荷電粒子ビーム装置はサンプル表面の第1のスキャン領域に対して高速スキャンを実行して、第1のスキャン領域と一次ビームレット650の焦点面との間の離間レベルを検出する。高速スキャンは、荷電粒子ビーム装置によって形成されるビームレットの第1のサブセットを用いることによって実行されてもよい。
図6に図示される例においては、ビームレットの第1のサブセットは、焦点検知ビームレット660のサブセットのみを含む。換言すれば、ステップ612における高速スキャンは焦点検知ビームレット660のサブセットを用いることによって実行され、その一方で検査ビームレット650及び残りの焦点検知ビームレット(図示しない)はサンプル表面をスキャンしない。これは、例えば制御システム500のビームレット制御モジュール524によってマイクロ偏向器(例えばマイクロ偏向器122_2及び122_3)を制御して、検査ビームレット650及び残りの焦点検知ビームレットを、これらのビームレットがサンプル表面に入射しないように、サンプル表面以外の方向に向かって偏向させることによって、達成することができる。いくつかの代替的な実施形態においては、高速スキャンに用いられるビームレットの第1のサブセットは、検査ビームレット650のサブセットと焦点検知ビームレット660のサブセットとを含む。また、ステップ612における高速スキャンの際、各ビームレットは、比較的小さなビームレットスキャンエリア又はサンプル表面上の単一の線をスキャンしてもよい。
図6に図示される例においては、各焦点検知ビームレット660はサンプル表面上の単一の線670をスキャンする。
【0048】
[054] 高速スキャンの実行後、ステップ614において、制御システム(例えば制御システム500の画像処理モジュール526)は、ビームレットの第1のサブセットによってサンプル表面上に形成された画像を解析して、第1のスキャン領域のサンプル表面と一次ビームレット650の焦点面との間の離間レベルを推定する。いくつかの実施形態においては、
図4(a)から
図4(d)に図示される方法を実施して離間レベルを推定しもよい。
【0049】
[055] 離間レベルが決定されると、制御システム(例えば制御システム500の離間調節モジュール528)は、ステップ614において、第1のスキャン領域のサンプル表面が焦点面と一致し得るように、検査ビームレットの焦点面に対する第1のスキャン領域のサンプル表面の離間レベルを調節する。いくつかの実施形態においては、制御システム(例えばステージ制御モジュール522)が、サンプルステージをZ方向で移動させ、それによってサンプルの位置をZ方向で調節して、第1のスキャン領域のサンプル表面と一次ビームレットの焦点面との間の離間レベルを減少させてもよい。いくつかの代替的な実施形態においては、制御システム(例えばビームレット制御モジュール524)が、1つ以上のレンズ(例えば対物レンズ131及び/又は転写レンズ133)の合焦パワーを調節して、サンプル表面が焦点面と一致するように検査ビームレットの焦点面の位置を移動させてもよい。
【0050】
[056] ステップ616において、荷電粒子ビーム装置は、サンプル表面の第2のスキャン領域に対して通常スキャンを実行する。いくつかの実施形態においては、第2のスキャン領域は、ステップ612で高速スキャンが実行される第1のスキャン領域と重なっていてもよい。いくつかの代替的な実施形態においては、第2のスキャン領域は、第1のスキャン領域にすぐ隣接していてもよい。これは、例えば制御システム500のステージ制御モジュール522によってサンプルステージを制御して、サンプルを、第2のスキャン領域が下に位置するとともに複数の一次ビームレット650と垂直方向に整列される位置へと移動させることによって達成され得る。
【0051】
[057] ステップ616の通常スキャンは、荷電粒子ビーム装置によって形成されるビームレットの少なくとも第2のサブセットによって実行されてもよい。
図6に図示される実施形態においては、通常スキャンは、検査ビームレット650及び焦点検知ビームレット660のすべてを用いて実行される。いくつかの代替的な実施形態においては、ビームレットの第2のサブセットは、検査ビームレット550のサブセットと焦点検知ビームレット560のサブセットとを含む。いくつかの代替的な実施形態においては、ビームレットの第2のサブセットは、検査ビームレット550のサブセットのみ又はすべてを含む。通常スキャンが実行されるとき、サンプル表面と焦点面との間の離間レベルは、先のステップ614において最小にまで減少されている。したがって、通常スキャンにおいて得られる画質は、離間レベルが調節されていない場合と比較して、向上する。
【0052】
[058] 通常スキャンの実行後、ステップ618において、制御システムは、ビームレットの第2のサブセットによってサンプル表面上に形成された画像を解析して、第2のスキャン領域のサンプル表面と検査ビームレット650の焦点面との間の離間レベルを推定する。その後、制御システムは、サンプル表面が焦点面と一致するように離間レベルを調節する。ステップ618の実行の仕方はステップ614のそれと同様であり、したがってステップ618の詳細な記載は繰り返さない。ステップ618の完了後、サンプル表面の他の領域を検査するために、ステップ616及び618が繰り返し実行されてもよい。
【0053】
[059] いくつかの実施形態においては、荷電粒子ビーム装置は、任意の将来のスキャンに、ステップ614において調節された離間レベルを用いる。つまり、ステップ618は省略され得る。その代わりに、荷電粒子ビーム装置は、ステップ616の通常スキャンを繰り返し実行して、ステップ614で調節された同じ離間レベルに基づき、サンプル表面の他の領域を検査する。通常スキャン後の画像の解析及び離間レベルの再調節は不要であるため、検査スループットゲインを向上させることができる。もっとも、これらの実施形態は、サンプル表面全体が比較的平坦であると仮定され、したがって離間レベルが実質的には変動しないときにのみ、実施され得るものであることがわかる。
【0054】
[060] 実施形態は更に、以下の条項を用いて記載することもできる。
【0055】
1.サンプル上でビームレットのアレイを形成及びスキャンするように構成されたビームレット形成ユニットであって、ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有する、ビームレット形成ユニットと、
ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出するように構成されたディテクタと、
検出された画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定し、その後、推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させるように構成されたプロセッサと、
を備える、荷電粒子ビーム装置。
【0056】
2.ディテクタは、ビームレットのアレイによって形成された画像の信号をそれぞれ検出する検出素子のアレイを含む、条項1の装置。
【0057】
3.プロセッサは更に、ビームレット形成ユニットの合焦素子の合焦パワーを調節して離間のレベルを減少させるように構成されている、条項1の装置。
【0058】
4.プロセッサは更に、サンプルを移動させて離間のレベルを減少させるように構成されている、条項1の装置。
【0059】
5.ビームレットのアレイの第2の部分の1つのビームレットが焦点面上に合焦される、条項1から4のいずれか一項の装置。
【0060】
6.プロセッサは更に、
ビームレット形成ユニットを制御して、ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第1のサブセットを用いてサンプルの第1のスキャンを実施してサンプルの画像を形成し、
サンプルの画像に基づいて離間のレベルを減少させ、
ビームレット形成ユニットを制御して、ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第2のサブセットを用いてサンプルの第2のスキャンを実施する、
ように構成されている、条項1から5のいずれか一項の装置。
【0061】
7.ビームレットの第1のサブセットは、第2の部分のビームレットのサブセットを含む、条項6の装置。
【0062】
8.ビームレットの第1のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、条項6の装置。
【0063】
9.ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットを含む、条項6及び8のいずれか一項の装置。
【0064】
10.ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、条項6,7及び8のいずれか一項の装置。
【0065】
11.ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットを含む、条項7の装置。
【0066】
12.第2の部分の各ビームレットのスキャン条件は、第1の部分の各ビームレットのスキャン条件とは異なる、条項11の装置。
【0067】
13.スキャン条件は、スキャンエリアである、条項12の装置。
【0068】
14.第2の部分の各ビームレットのスキャンエリアは、第1の部分の各ビームレットのスキャンエリアよりも小さい、条項13の装置。
【0069】
15.スキャン条件は、スキャン周波数である、条項12の装置。
【0070】
16.第2の部分の各ビームレットのスキャン周波数は、第1の部分の各ビームレットのスキャン周波数よりも高い、条項15の装置。
【0071】
17.スキャン条件は、スキャン方向である、条項12の装置。
【0072】
18.第2の部分は、第1の部分に近接し且つ第1の部分を囲む、条項1から17のいずれか一項の装置。
【0073】
19.第2の部分は、第1の部分に対して非対称に配置されている、条項18の装置。
【0074】
20.第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流とは異なる、条項1から19のいずれか一項の装置。
【0075】
21.第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流よりも低い、条項20の装置。
【0076】
22.第2のスキャンにおけるサンプルのスキャン領域とは異なる、第1のスキャンにおけるサンプルのスキャン領域を更に備える、条項6から21のいずれか一項の装置。
【0077】
23.荷電粒子ビーム装置は、電子ビーム装置である、条項1から22のいずれか一項の装置。
【0078】
24.荷電粒子ビーム装置の制御方法であって、
ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有するところ、サンプル上でームレットのアレイを形成することと、
ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像を検出することと、
検出された画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することと、
推定されたレベルに基づいて離間のレベルを減少させることと、
を備える、方法。
【0079】
25.ビームレット形成ユニットの合焦素子の合焦パワーを調節して離間のレベルを減少させることを更に備える、条項24の方法。
【0080】
26.サンプルを移動させて離間のレベルを減少させることを更に備える、条項24の方法。
【0081】
27.ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第1のサブセットを用いてサンプルの第1のスキャンを実施してサンプルの画像を形成することと、
ビームレットの第1のサブセットによって形成されたサンプルの画像に基づいて離間のレベルを減少させることと、
ビームレットのアレイのうち少なくともビームレットの第2のサブセットを用いてサンプルの第2のスキャンを実施することと、
を更に備える、条項24の方法。
【0082】
28.ビームレットの第1のサブセットは、第2の部分のビームレットのサブセットを含む、条項27の方法。
【0083】
29.ビームレットの第1のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、条項27の方法。
【0084】
30.ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットを含む、条項27の方法。
【0085】
31.ビームレットの第2のサブセットは、第1の部分のビームレットと、第2の部分のビームレットのサブセットと、を含む、条項27の方法。
【0086】
32.第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャン条件は、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャン条件とは異なる、条項27の方法。
【0087】
33.スキャン条件は、スキャンエリアである、条項32の方法。
【0088】
34.第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャンエリアは、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャンエリアよりも小さい、条項33の方法。
【0089】
35.スキャン条件は、スキャン周波数である、条項32の方法。
【0090】
36.第1のスキャンにおける各ビームレットのスキャン周波数は、第2のスキャンにおける各ビームレットのスキャン周波数よりも高い、条項35の方法。
【0091】
37.スキャン条件は、スキャン方向である、条項32の方法。
【0092】
38.第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流とは異なる、条項24の方法。
【0093】
39.第2の部分の各ビームレットの電流は、第1の部分の各ビームレットの電流よりも低い、条項38の方法。
【0094】
40.コントローラによって実行される、荷電粒子ビームシステムを制御する方法であって、
ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有するところ、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することと、
推定されたレベルに基づいて離間のレベルを調節することと、
を備える、方法。
【0095】
41.コントローラの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令のセットを記憶して、コントローラに荷電粒子ビームシステムを制御する方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
ビームレットのアレイの第1の部分は焦点面上に合焦され、ビームレットのアレイの第2の部分は焦点面に対してデフォーカスレベルを有する少なくとも1つのビームレットを有するところ、ビームレットのアレイによって形成されたサンプルの画像に基づいて焦点面とサンプルとの間の離間のレベルを推定することと、
推定されたレベルに基づいて離間のレベルを調節することと、
を備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0096】
[061] 開示される実施形態の荷電粒子ビーム装置は、複数の検査ビームレットの焦点面に対して様々なデフォーカスレベルを有する複数の焦点検知ビームレットを用いて、サンプル表面と焦点面との間の離間レベルを検出する。光学フォーカスセンサのみを用いるシステムと比較して、開示される実施形態の荷電粒子ビーム装置は、向上した焦点性能、より良好な画像解像度、及び安定性を提供する。
【0097】
[062] 本発明を様々な実施形態との関連で説明してきたが、当業者には、本明細書の検討及び本明細書に開示される発明の実施から、本発明の他の実施形態が明らかになるであろう。本明細書及び実施例は例示的なものとしてのみ考えられることが意図されており、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示される。