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特許7244819熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法
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  • 特許-熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法 図1
  • 特許-熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法 図2
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  • 特許-熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-14
(45)【発行日】2023-03-23
(54)【発明の名称】熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/00 20230101AFI20230315BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20230315BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230315BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230315BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H10N15/00
B82Y30/00
B82Y40/00
H01L29/06 601N
H02N11/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018134108
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020013851
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】516230102
【氏名又は名称】株式会社GCEインスティチュート
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博史
(72)【発明者】
【氏名】坂田 稔
(72)【発明者】
【氏名】前田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】魯 健
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0229013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 15/00
H01L 29/06
H02N 11/00
B82Y 30/00
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、
第1電極部と、
前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、
前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第1基板と、
を備え
前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、
前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むこと
を特徴とする熱電素子。
【請求項2】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、
第1電極部と、
前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、
前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子と、
を備えること
を特徴とする熱電素子。
【請求項3】
前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子、
を、さらに備えること
を特徴とする請求項1記載の熱電素子。
【請求項4】
前記第2電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第1電極部と前記第2方向に離間して対向し、前記第1電極部と電気的に絶縁された第2導電部と、
第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第2導電部と接し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、
を、さらに備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載の熱電素子。
【請求項5】
第2基板、
を、さらに備え、
前記第2導電部及び前記第1電極部のそれぞれは、前記第2基板上に設けられ、
前記第2導電部は、前記第1電極部と同じ導電性材料を含むこと
を特徴とする請求項4記載の熱電素子。
【請求項6】
前記第2導電性支持部は、前記第1導電性支持部と同じ導電性材料を含むこと
を特徴とする請求項4又は5に記載の熱電素子。
【請求項7】
前記第1導電性支持部は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に沿って延び、
前記第2導電性支持部は、前記第3方向に沿って延び、
前記中間部は、前記第1導電性支持部及び前記第2導電性支持部のそれぞれと接すること
を特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の熱電素子。
【請求項8】
前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子と、
前記第3接続可能面の他の一部と電気的に接続された第2端子と、
を、さらに備えること
を特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の熱電素子。
【請求項9】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、
前記熱電素子は、
第1電極部と、
前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、
前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第1基板と、
を備え
前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、
前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むこと
を特徴とする発電装置。
【請求項10】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、
前記熱電素子は、
第1電極部と、
前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、
前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第1基板と、
を備え
前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、
前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むこと
を特徴とする電子機器。
【請求項11】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、
第1電極部、及び前記第1電極部と離間した第1導電部を、第1基板上に形成する工程と、
第2電極部、及び前記第2電極部と離間した第2導電部を、第2基板上に形成する工程と、
第1導電性支持部を前記第1電極部上に、前記第1電極部が露出する露出面を含みつつ形成し、第2導電性支持部を前記第1導電部上に形成する工程と、
前記第2電極部を前記第1電極部の前記露出面と対向させ、前記第2導電部を前記第1導電性支持部に接合し、前記第2電極部を前記第2導電性支持部に接合する工程と、
ナノ粒子を含む中間部を、前記第1電極部、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、前記第2導電性支持部、前記第1基板、及び前記第2基板のそれぞれによって囲まれたギャップ部内に形成する工程と、
を備えること
を特徴とする熱電素子の製造方法。
【請求項12】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた第1電極部と、
前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、
前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、
前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、
を備えること
を特徴とする熱電素子。
【請求項13】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、
前記熱電素子は、
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた第1電極部と、
前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、
前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、
前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、
を備えること
を特徴とする発電装置。
【請求項14】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、
前記熱電素子は、
第1基板と、
前記第1基板上に設けられた第1電極部と、
前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、
前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、
第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面の
それぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、
第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、
前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、
を備えること
を特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子、発電装置、電子機器、及び熱電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する熱電素子の開発が盛んに行われている。特許文献1には、仕事関数差を有する電極間に発生する、絶対温度による電子放出現象を利用した熱電素子が開示されている。このような熱電素子は、電極間の温度差(ゼーベック効果)を利用した熱電素子に比較して、電極間の温度差が小さい場合であっても発電可能である。このため、より様々な用途への利用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、エミッタ電極層と、コレクタ電極層と、エミッタ電極層及びコレクタ電極層の表面に分散して配置され、エミッタ電極層とコレクタ電極層とをサブミクロン間隔で離間する電気絶縁性の球状ナノビーズとを備え、エミッタ電極層の仕事関数はコレクタ電極層の仕事関数よりも小さく、球状ナノビーズの粒子径は100nm以下である熱電素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6147901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、エミッタ電極層とコレクタ電極層とをサブミクロン間隔で離間した熱電素子では、エミッタ電極層及びコレクタ電極層のそれぞれが、熱電素子の上側と下側とのように上下に設けられる。熱電素子の上下に、エミッタ電極層及びコレクタ電極層が設けられていると、エミッタ電極層及びコレクタ電極層のそれぞれに対する電気的配線の接続を、熱電素子の上側及び下側のそれぞれで行わなければならない。このため、熱電素子への電気的配線の接続が難しい。
【0006】
また、電気的配線の接続工程の前には、熱電素子に対して、例えば外観検査等が行われ、接続工程の後には、例えば導通検査等が行われる。しかし、熱電素子の上下に、エミッタ電極層及びコレクタ電極層が設けられていると、検査の際、熱電素子を上下反転させたり、検査装置のセンサ部を熱電素子の上側と下側との間で移動させたり、検査装置の探針部を熱電素子の上側及び下側のそれぞれに位置させたりしなければならない。このため、熱電素子の検査も難しい。
【0007】
熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査が難しくなると、例えば、熱電素子の生産性が妨げられてしまう可能性がある。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、その目的は、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子、そのような熱電素子を備えた発電装置、そのような熱電素子を含む電子機器、及びそのような熱電素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る熱電素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、第1電極部と、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第1基板と、を備え、前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むことを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る熱電素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、第1電極部と、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る熱電素子は、第1発明において、前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子、を、さらに備えることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る熱電素子は、第1発明又は第2発明において、前記第2電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第1電極部と前記第2方向に離間して対向し、前記第1電極部と電気的に絶縁された第2導電部と、第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第2導電部と接し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、を、さらに備えることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る熱電素子は、第4発明において、第2基板、を、さらに備え、前記第2導電部及び前記第1電極部のそれぞれは、前記第2基板上に設けられ、前記第2導電部は、前記第1電極部と同じ導電性材料を含むことを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る熱電素子は、第4発明又は第5発明において、前記第2導電性支持部は、前記第1導電性支持部と同じ導電性材料を含むことを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る熱電素子は、第4発明~第6発明のいずれか1つにおいて、前記第1導電性支持部は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に沿って延び、前記第2導電性支持部は、前記第3方向に沿って延び、前記中間部は、前記第1導電性支持部及び前記第2導電性支持部のそれぞれと接することを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る熱電素子は、第4発明~第7発明のいずれか1つにおいて、前記第2接続可能面の他の一部と電気的に接続された第1端子と、前記第3接続可能面の他の一部と電気的に接続された第2端子と、を、さらに備えることを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る発電装置は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、前記熱電素子は、第1電極部と、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第1基板と、を備え、前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むことを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る電子機器は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、前記熱電素子は、第1電極部と、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に設けられた、ナノ粒子を含む中間部と、前記第1電極部と前記第1方向に離間して対向し、前記第2電極部と前記第1方向と交差する第2方向に離間して対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第1導電部と接し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第1基板と、を備え、前記第1導電部及び前記第2電極部のそれぞれは、前記第1基板上に設けられ、前記第1導電部は、前記第2電極部と同じ導電性材料を含むことを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る熱電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子の製造方法であって、第1電極部、及び前記第1電極部と離間した第1導電部を、第1基板上に形成する工程と、第2電極部、及び前記第2電極部と離間した第2導電部を、第2基板上に形成する工程と、第1導電性支持部を前記第1電極部上に、前記第1電極部が露出する露出面を含みつつ形成し、第2導電性支持部を前記第1導電部上に形成する工程と、前記第2電極部を前記第1電極部の前記露出面と対向させ、前記第2導電部を前記第1導電性支持部に接合し、前記第2電極部を前記第2導電性支持部に接合する工程と、ナノ粒子を含む中間部を、前記第1電極部、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、前記第2導電性支持部、前記第1基板、及び前記第2基板のそれぞれによって囲まれたギャップ部内に形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0020】
第12発明に係る熱電素子は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子であって、第1基板と、前記第1基板上に設けられた第1電極部と、前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
第13発明に係る発電装置は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子を備えた発電装置であって、前記熱電素子は、第1基板と、前記第1基板上に設けられた第1電極部と、前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
第14発明に係る電子機器は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子と、前記熱電素子を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品と、を含む電子機器であって、前記熱電素子は、第1基板と、前記第1基板上に設けられた第1電極部と、前記第1基板と第1方向に離間して対向した第2基板と、前記第2基板上に設けられ、前記第1電極部と第1方向に離間して対向し、前記第1電極部とは異なった仕事関数を有する第2電極部と、第1接続可能面、及び前記第1接続可能面と前記第1方向に離間した第2接続可能面のそれぞれを含み、前記第1接続可能面を介して前記第1電極部と電気的に接続され、前記第2接続可能面の一部を介して前記第2基板と対向し、前記第2電極部と電気的に絶縁された第1導電性支持部と、第3接続可能面、及び前記第3接続可能面と前記第1方向に離間した第4接続可能面のそれぞれを含み、前記第3接続可能面の一部を介して前記第2電極部と電気的に接続され、前記第4接続可能面を介して前記第1基板と対向し、前記第1電極部及び前記第1導電性支持部のそれぞれと電気的に絶縁された第2導電性支持部と、前記第1基板、前記第1電極部、前記第2基板、前記第2電極部、前記第1導電性支持部、及び前記第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれた、ナノ粒子を含む中間部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
第1発明に係る熱電素子によれば、第1導電性支持部を備えているので、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能となる。
【0024】
発明に係る熱電素子によれば、第1導電部は、第2電極部と同じ導電性材料を含む。このため、第1導電部及び第2電極部のそれぞれを、第1基板上に同時に形成できる。したがって、例えば、熱電素子の生産性を、さらに向上させることが可能となる。
【0025】
第2発明及び第3発明に係る熱電素子によれば、第1端子を、さらに備えているので、例えば発電装置の電気的部材を、熱電素子に、さらに接続しやすくすることが可能となる。
【0026】
第4発明に係る熱電素子によれば、第2導電部と、第2導電性支持部とを、さらに備えているので、電気的配線と第2電極部との電気的接続ノードの構造を、別の電気的配線と第1電極部との電気的接続ノードの構造と同様の構造とすることが可能となる。したがって、例えば、熱電素子への電気的配線の接続を、さらに容易化することが可能となる。
【0027】
第5発明に係る熱電素子によれば、第2導電部は、第1電極部と同じ導電性材料を含む。このため、第2導電部及び第1電極部のそれぞれを、第2基板上に同時に形成できる。したがって、例えば、熱電素子の生産性を、さらに向上させることが可能となる。
【0028】
第6発明に係る熱電素子によれば、第2導電性支持部は、第1導電性支持部と同じ導電性材料を含む。このため、第1導電性支持部及び第2導電性支持部のそれぞれを、例えば、第1電極部と第1導電部との間、並びに第2電極部と第2導電部との間に、同時に形成できる。したがって、例えば、熱電素子の生産性を、さらに向上させることが可能となる。
【0029】
第7発明に係る熱電素子によれば、第1導電性支持部は、第1方向及び第2方向のそれぞれと交差する第3方向に沿って延び、第2導電性支持部は、第3方向に沿って延び、中間部は、第1導電性支持部及び第2導電性支持部のそれぞれと接する。これにより、中間部を、第1導電性支持部及び第2導電性支持部のそれぞれによって支持することができる。したがって、熱電素子の生産性を、さらに向上させることができる。
【0030】
第8発明に係る熱電素子によれば、第1端子と、第2端子と、を、さらに備えているので、例えば、発電装置の電気的部材を、熱電素子に、さらに接続しやすくすることが可能となる。
【0031】
第9発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子を備えた発電装置を得ることができる。
【0032】
第10発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子を含む電子機器を得ることができる。
【0033】
第11発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子の製造方法を提供できる。
【0034】
第12発明に係る熱電素子によれば、第1導電性支持部を備えているので、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能となる。第11発明によれば、さらに、第2導電性支持部を備えている。そして、ナノ粒子を含む中間部が、第1基板、第1電極部、第2基板、第2電極部、第1導電性支持部、及び第2導電性支持部のそれぞれによって囲まれている。したがって、形成しやすい中間部を得ることもできる。
【0035】
第13発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能であり、形成しやすい中間部を持つ熱電素子を備えた発電装置を提供できる。
【0036】
第14発明によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子を含む電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態に係る発電装置の一例を示す模式断面図である。
図2図2(a)は、第1実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図2(b)は、第1実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。
図3図3(a)は中間部の一例を示す模式断面図、図3(b)は中間部の他の例を示す模式断面図である。
図4図4(a)~図4(f)は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図5図5(a)~図5(d)は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式平面図である。
図6図6(a)は、第2実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図6(b)は、第2実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。
図7図7(a)は、第3実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図7(b)は、第3実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。
図8図8(a)は、第4実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図であり、図8(b)は、第4実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。
図9図9(a)~図9(d)は、熱電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図であり、図9(e)~図9(h)は、熱電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態における熱電素子、発電装置、及び熱電素子の製造方法それぞれの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第3方向Yとする。
【0039】
(第1実施形態)
<発電装置100>
図1は、第1実施形態に係る発電装置の一例を示す模式断面図である。図2(a)は、第1実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図である。図2(b)は、第1実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。図1に示された熱電素子の断面は、図2(a)中のI-I線に沿う。図2(b)に示された熱電素子の断面は、図1中のIIB-IIB線に沿う。
【0040】
図1に示すように、発電装置100は、第1実施形態に係る熱電素子1aと、第1配線101と、第2配線102とを含む。熱電素子1aは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。このような熱電素子1aを備えた発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、熱電素子1aが発生させた電気エネルギーを、第1配線101及び第2配線102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rの一端は第1配線101と電気的に接続され、他端は第2配線102と電気的に接続される。負荷Rは、例えば電気的な機器を示している。負荷Rは、発電装置100を主電源又は補助電源に用いて駆動される。
【0041】
熱電素子1aの熱源としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、及び工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等を利用することができる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、及び生産設備等は人工熱源である。人体、太陽光、及び環境温度等は自然熱源である。熱電素子1aを備えた発電装置100は、例えばIoT(Internet of Things)デバイス及びウェアラブル機器等のモバイル機器や自立型センサ端末の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
【0042】
<熱電素子1a>
熱電素子1aは、例えば、上記人工熱源が発した熱エネルギー、又は上記自然熱源が持つ熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電流を生成する。熱電素子1aは、発電装置100内に設けるだけでなく、熱電素子1a自体を、上記モバイル機器や上記自立型センサ端末等の内部に設けることもできる。この場合、熱電素子1a自体が、上記モバイル機器又は上記自立型センサ端末等の、電池の代替部品又は補助部品となる。
図1図2(b)に示すように、第1実施形態に係る熱電素子1aは、第1電極部11と、第2電極部12と、中間部13と、第1導電部14と、第1導電性支持部15と、第1端子16と、第2導電部17と、第2導電性支持部18と、第2端子19と、を含む。
【0043】
第2電極部12は、第1電極部11と第1方向Zに離間して対向する。第2電極部12は、第1電極部11とは異なった仕事関数を有する。熱電素子1aでは、第1電極部11は、例えば白金(仕事関数:約5.65eV)を含み、第2電極部12は、例えばタングステン(仕事関数:約4.55eV)を含む。仕事関数が大きい電極部はアノード(コレクタ電極)として機能し、仕事関数が小さい電極部はカソード(エミッタ電極)として機能する。熱電素子1aでは、第1電極部11がアノードであり、第2電極部12がカソードである。なお、第1電極部11をカソードとし、第2電極部12をアノードとしてもよい。このような熱電素子1aでは、仕事関数差を有する第1電極部11と第2電極部12との間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用される。このため、熱電素子1aは、第1電極部11と第2電極部12との温度差が小さい場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。さらに、熱電素子1aは、第1電極部11と第2電極部12との間に温度差がない場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
【0044】
中間部13は、第1電極部11と第2電極部12との間に設けられている。中間部13は、ナノ粒子を含む。中間部13は、例えば、第2電極部(カソード)12から放出された電子を、第1電極部(アノード)11へと移動させる部分である。
【0045】
第1導電部14は、第1電極部11と第1方向Zに離間して対向し、第2電極部12と第2方向Xに離間して対向する。第1導電部14は、第2電極部12と電気的に絶縁されている。
【0046】
第1導電性支持部15は、第1接続可能面15a及び第2接続可能面15bのそれぞれを含む。第1接続可能面15a及び第2接続可能面15bのそれぞれは、第1方向Zと交差、例えば直交する平面を含む。第2接続可能面15bは、第1接続可能面15aと第1方向Zに離間している。互いに離間された第1接続可能面15aと第2接続可能面15bとは、例えば第1導電性支持部15が含む導電物によって電気的に接続されている。第1導電性支持部15は、第1接続可能面15aを介して第1電極部11と電気的に接続されている。第2接続可能面15bの一部は、第1電極部11と第1導電部14との間に位置し、例えば、第1導電部14と接している。なお、第1導電性支持部15は、第1導電部14と電気的に接続されていても、電気的に絶縁されていてもどちらでもよい。第1導電性支持部15は、第2電極部12と電気的に絶縁されている。
【0047】
第2接続可能面15bの他の一部は、熱電素子1aの外側に露出されている。第2接続可能面15bの他の一部には、電気的部材、例えば電気的配線又は電気的端子を接続することが可能である。熱電素子1aでは、第1端子16が、第2接続可能面15bの他の一部と電気的に接続されている。第1端子16は、第1導電性支持部15を介して第1電極部11と電気的に接続される。また、第1端子16は、第1配線101と電気的に接続可能である。第1端子16は、さらに、第1導電部14と電気的に接続されていてもよい。この場合、第1導電性支持部15は、第1導電部14と電気的に接続されていることが好ましい。熱電素子1aに第1端子16が設けられていると、例えば、熱電素子1aを発電装置100に用いる際、発電装置100の電気的部材、例えば第1配線101を熱電素子1aに、さらに接続しやすくすることが可能である。ただし、第1端子16は、省略することもできる。この場合、第1配線101が、例えば、第2接続可能面15bの他の一部に電気的に接続される。
【0048】
第1導電性支持部15は、例えば、熱電素子1aの第1側面31から第2側面32にかけて第3方向Yに延びる(図2(a)及び図2(b)参照)。第1側面31及び第2側面32のそれぞれは、第2方向Xに沿った側面である。第1側面31と第2側面32とは、第3方向Yに沿って互いに対向する。
【0049】
第2導電部17は、第2電極部12と第1方向Zに離間して対向し、第1電極部11と第2方向Xに離間して対向する。第2導電部17は、第1電極部11と電気的に絶縁されている。
【0050】
第2導電性支持部18は、第1導電性支持部15と第2方向Xに離間して対向する。第2導電性支持部18第2導電性支持部18は、第3接続可能面18a及び第4接続可能面18bのそれぞれを含む。第3接続可能面18a及び第4接続可能面18bのそれぞれは、第1方向Zと交差、例えば直交する平面を含む。第4接続可能面18bは、第3接続可能面18aと第1方向Zに離間している。互いに離間された第3接続可能面18aと第4接続可能面18bとは、例えば第2導電性支持部18が含む導電物によって電気的に接続されている。第3接続可能面18aの一部は、第2電極部12と第2導電部17との間に位置し、例えば、第2電極部12と電気的に接続されている。第2導電性支持部18は、第4接続可能面18bを介して第2導電部17と接している。なお、第2導電性支持部18は、第2導電部17と電気的に接続されていても、電気的に絶縁されていてもどちらでもよい。第2導電性支持部18は、第1電極部11及び第1導電性支持部15のそれぞれと電気的に絶縁されている。
【0051】
第3接続可能面18aの他の一部は、熱電素子1aの外側に露出されている。第3接続可能面18aの他の一部には、電気的部材、例えば電気的配線又は電気的端子を接続することが可能である。熱電素子1aでは、第2端子19が、第3接続可能面18aの他の一部と電気的に接続されている。第2端子19は、第2導電性支持部18を介して第2電極部12と電気的に接続される。また、第2端子19は、第2配線102と電気的に接続可能である。第2端子19は、第2電極部12と、さらに電気的に接続されていてもよい。熱電素子1aに第2端子19が設けられていると、例えば、熱電素子1aを発電装置100に用いる際、発電装置100の電気的部材、例えば第2配線102を熱電素子1aに、さらに接続しやすくすることが可能である。ただし、第2端子19は、省略することもできる。この場合、第2配線102が、例えば、第3接続可能面18aの他の一部に電気的に接続される。
【0052】
第1実施形態に係る熱電素子1aは、例えば、第1基板21と、第2基板22と、第1封止部材23と、第2封止部材24と、を、さらに含む。
【0053】
第2電極部12及び第1導電部14のそれぞれは、第1基板21上に設けられている。第1基板21は、絶縁性を有する。第1基板21は、例えば、板状の石英を含む。第1基板21上において、第2電極部12は、第1スリット25を挟んで第2方向Xに第1導電部14から離間している。第1スリット25が存在する箇所において、第1基板21は、中間部13を挟んで第1方向Zに第1電極部11から離間している。第1スリット25は、例えば、熱電素子1aの第1側面31から第2側面32にかけて第3方向Yに延びる(図2(a)参照)。
【0054】
第1電極部11及び第2導電部17のそれぞれは、第2基板22上に設けられている。第2基板22は、絶縁性を有する。第2基板22は、第1基板21と同様に、例えば、板状の石英を含む。第2基板22上において、第1電極部11は、第2スリット26を挟んで第2方向Xに第2導電部17から離間している。第2スリット26が存在する箇所において、第2基板22は、中間部13を挟んで第1方向Zに第2電極部12から離間している。第2スリット26は、例えば、第1側面31から第2側面32にかけて第3方向Yに延びる(図2(a)及び図2(b)参照)。
【0055】
第1封止部材23及び第2封止部材24は、それぞれ、第1側面31及び第2側面32上に設けられている。第1封止部材23及び第2封止部材24のそれぞれは、絶縁性を有する。第1封止部材23は、第1側面31上において、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、及び第2基板22のそれぞれと接合されている。第2封止部材24は、第2側面32上において、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、及び第2基板22のそれぞれと接合されている。第1封止部材23及び第2封止部材24のそれぞれは、例えば絶縁性樹脂を含む。絶縁性樹脂の例としては、フッ素系絶縁性樹脂を挙げることができる。
【0056】
熱電素子1aは、ギャップ部13aを含む。ギャップ部13aは、例えば、外界から隔離された空間を含む。ギャップ部13aは、例えば、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、第2基板22、第1封止部材23、及び第2封止部材24のそれぞれによって区画されている。中間部13は、ギャップ部13a内に設けられる。中間部13は、ギャップ部13a内において、例えば、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、第2基板22、第1封止部材23、及び第2封止部材24のそれぞれと接する。
【0057】
このような熱電素子1aでは、第1接続ノード16aの位置を、第1導電性支持部15を用いて第1電極部11が存在する側(例えば熱電素子1aの下側LS(図1参照))から、第2電極部12が存在する側(例えば熱電素子1aの上側US(図1参照))に転換することができる。第1接続ノード16aは、例えば、第1配線101と第1電極部11との電気的接続ノードである。このため、第1接続ノード16aの位置を、熱電素子1aの上側USに転換できると、例えば、第1配線101及び第2配線102のそれぞれの接続を、例えば、熱電素子1aの上側USだけで行うことが可能となる。
【0058】
したがって、熱電素子1aでは、電気的配線の接続を、熱電素子の上側及び下側のそれぞれで行う熱電素子と比較して、電気的配線の接続を容易化することが可能である。また、第1端子16及び第2端子19のそれぞれの形成又は接続についても、例えば、熱電素子1aの上側USだけで行うことができる。したがって、熱電素子1aでは、電気的端子の形成又は接続についても、容易化することが可能である。
【0059】
また、熱電素子1aでは、第1接続ノード16aを、第2電極部12が存在する側(例えば熱電素子1aの上側US)に転換できるので、検査の際、熱電素子1aを上下反転させたり、検査装置のセンサ部を熱電素子1aの上側USと下側LSとの間で移動させたり、探針部を熱電素子の上側及び下側のそれぞれに位置させたりする必要もない。したがって、熱電素子1aの検査も容易化することが可能である。
【0060】
また、熱電素子1aでは、第2接続ノード19aの位置を、例えば熱電素子1aの上側USに、第2導電性支持部18を用いて維持する。第2接続ノード19aは、例えば、第2配線102と第2電極部12との電気的接続ノードである。第2接続ノード19aの位置を、第2導電性支持部18を用いて維持することで、例えば、第2接続ノード19aの構造を、第1接続ノード16aの構造と同様の構造とすることが可能となる。したがって、例えば、熱電素子への電気的配線の接続を、さらに容易化することが可能となる。例えば、第2導電性支持部18の第1方向Zに沿った厚さと、第1導電性支持部15の第1方向Zに沿った厚さとを、ほぼ等しくすると、第2接続可能面15b及び第3接続可能面18aのそれぞれの高さ位置を、互いに揃えることができる。第2接続可能面15b及び第3接続可能面18aのそれぞれの高さ位置が揃うと、第1配線101及び第2配線102のそれぞれの接続工程を、さらに容易化できる。また、第1端子16及び第2端子19のそれぞれの形成又は接続工程についても、さらに容易化できる。
【0061】
さらに、熱電素子1aでは、ギャップ部13aが、例えば、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、第2基板22、第1封止部材23、及び第2封止部材24のそれぞれによって区画される。
【0062】
このため、ギャップ部13aは、第2電極部12及び第1導電部14のそれぞれが設けられた第1基板21と、第1電極部11及び第2導電部17のそれぞれが設けられた第2基板22と、を用意し、これらの第1基板21と第2基板22との間に、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれを設けるだけで得ることもできる。このため、中間部13を設けるためのギャップ部13aの形成も容易化できる。したがって、熱電素子1aによれば、形成しやすい中間部13を得ることができる。
【0063】
以下、第1実施形態に係る熱電素子1a及び発電装置100の構成を、さらに詳細に説明する。
【0064】
<<第1電極部11及び第2電極部12>>
第1電極部11及び第2電極部12それぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば1nm以上1μm以下である。より好ましくは、1nm以上50nm以下である。第1電極部11と第2電極部12との間の第1方向Zに沿った距離(電極間ギャップ)は、例えば、10μm以下の有限値である。より好ましくは、10nm以上100nm以下である。
【0065】
第1電極部11及び第2電極部12それぞれの第1方向Zに沿った厚さ、並びに電極間ギャップのそれぞれを、上記範囲内に設定することにより、例えば、熱電素子1aの第1方向Zに沿った厚さを薄くできる。これは、例えば、複数の熱電素子1aを、第1方向Zに沿ってスタックさせる場合に有効である。また、電極間ギャップを、上記範囲内に設定することにより、電子を効率良く放出させることが可能になるとともに、電子を第2電極部(カソード)12から第1電極部(アノード)11へ、効率よく移動させることも可能となる。
【0066】
第1電極部11の材料、及び第2電極部12の材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
熱電素子1aでは、第1電極部11と第2電極部12との間に仕事関数差が生じればよい。したがって、第1電極部11及び第2電極部12の材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。第1電極部11及び第2電極部12の材料として、金属の他、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。このような金属化合物の例としては、例えば六ホウ化ランタン(LaB6)を挙げることができる。
【0067】
第1電極部11及び第2電極部12の材料として、非金属導電物を選ぶことも可能である。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
【0068】
第1電極部11又は第2電極部12の材料として、高融点金属(refractory metal)以外の材料を選ぶと、以下に説明される利点を、さらに得ることができる。本明細書において、高融点金属は、例えば、W、Nb、Mo、Ta、及びReとする。第1電極部(アノード)11に、例えばPtを用いた場合、第2電極部(カソード)12には、Al、Si、Ti、及びLaB6の少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0069】
Al及びTiの融点は、上記高融点金属より低い。したがって、Al及びTiからは、上記高融点金属に比較して、加工しやすい、という利点を得ることができる。
【0070】
Siは、上記高融点金属に比較して、その形成が、さらに容易である。したがって、Siからは、上記加工のしやすさに加え、熱電素子1aの生産性がより向上する、という利点を、さらに得ることができる。
【0071】
LaB6の融点は、Ti及びNbより高い。しかし、LaB6の融点は、W、Mo、Ta、及びReより低い。LaB6は、W、Mo、Ta、及びReに比較して加工しやすい。しかも、LaB6の仕事関数は、約2.5~2.7eVである。LaB6は、上記高融点金属に比較して電子を放出させやすい。したがって、LaB6からは、熱電素子1aの発電効率の更なる向上が可能、という利点を、さらに得ることができる。
【0072】
なお、第1電極部11及び第2電極部12のそれぞれの構造は、上記材料を含む単層構造の他、上記材料を含む積層構造とされてもよい。
【0073】
<<中間部13>>
図3(a)は、中間部の一例を示す模式断面図である。
図3(a)に示すように、中間部13は、例えば、複数のナノ粒子131と、溶媒132と、を含む。複数のナノ粒子131は、溶媒132内に分散されている。中間部13は、例えば、ナノ粒子131が分散された溶媒132を、ギャップ部13a内に充填することで得られる。
【0074】
ナノ粒子131は、例えば導電物を含む。ナノ粒子131の仕事関数の値は、例えば、第1電極部11の仕事関数の値と、第2電極部12の仕事関数の値との間にある。例えば、ナノ粒子131の仕事関数の値は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲とされる。これにより、第1電極部11と第2電極部12との間に放出された電子eを、ナノ粒子131を介して、例えば、第2電極部(カソード)12から第1電極部(アノード)11へと移動させることができる。これにより、中間部13内にナノ粒子131がない場合に比較して、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
【0075】
ナノ粒子131の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、ナノ粒子131の仕事関数の値は、第1電極部11の仕事関数の値と、第2電極部12の仕事関数の値との間にあればよい。したがって、ナノ粒子131の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。
【0076】
ナノ粒子131の粒子径は、例えば、電極間ギャップの1/10以下の有限値とされる。具体的には、ナノ粒子131の粒子径は、2nm以上10nm以下である。また、ナノ粒子131は、例えば、平均粒径(例えばD50)3nm以上8nm以下の粒子径を有してもよい。平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。ナノ粒子131の粒子径を、例えば、電極間ギャップの1/10以下とすると、ギャップ部13a内に、ナノ粒子131を含む中間部13を形成しやすくなる。これにより、熱電素子1aの生産に際し、作業性を向上させることもできる。
【0077】
ナノ粒子131は、その表面に、例えば絶縁膜131aを有する。絶縁膜131aの材料の例としては、絶縁性金属化合物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属化合物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えばドデカンチオール)等を挙げることができる。絶縁膜131aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような絶縁膜131aをナノ粒子131の表面に設けておくと、電子eは、例えば、第2電極部(カソード)12と1ナノ粒子131との間、並びにナノ粒子131と第1電極部(アノード)11との間を、トンネル効果を利用して移動できる。このため、例えば、熱電素子1aの発電効率の向上が期待できる。
【0078】
溶媒132には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃~35℃)以上の環境下において、熱電素子1aを用いた場合であっても、溶媒132の気化を抑制することができる。これにより、溶媒132の気化に伴う熱電素子1aの劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、及びアルカンチオール等を挙げることができる。
【0079】
溶媒132は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。これにより、例えば、第1スリット25及び第2スリット26のそれぞれの中に、溶媒132を充填するだけで、第1電極部11と第2導電部17との電気的な絶縁、及び第2電極部12と第1導電部17との電気的な絶縁のそれぞれを、実現することができる。
【0080】
図3(b)は、中間部の他の例を示す模式断面図である。
図3(b)に示すように、中間部13は、溶媒132を含まず、ナノ粒子131のみを含むようにしてもよい。
【0081】
中間部13が、ナノ粒子131のみを含むことで、例えば、熱電素子1aを、高温の環境下に用いる場合であっても、溶媒132の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温の環境下における熱電素子1aの劣化を抑制することが可能となる。
【0082】
<<第1導電部14及び第2導電部17>>
第1導電部14は、第1基板21上に、第1スリット25を挟んで第2方向Xに第2電極部12から離間して設けられている。同様に、第2導電部17は、第1基板21上に、第2スリット26を挟んで第2方向Xに第1電極部11から離間して設けられている。
【0083】
このように、第1スリット25及び第2スリット26を、それぞれ、第1導電部14と第2電極部12との間、並びに第2導電部17と第1電極部11との間に設ける。これにより、第1スリット25及び第2スリット26のそれぞれの中に、例えば、絶縁性の溶媒132を充填することで、第1導電部14と第2電極部12との間、並びに第2導電部17と第1電極部11との間を、簡単に電気的に絶縁することができる。したがって、熱電素子1aの生産性を、さらに向上させることが可能となる。
【0084】
第1導電部14は、第2電極部12と同じ導電性材料を含むことが好ましい。例えば、第2電極部12がWを含む導電性材料であれば、第1導電部14もWを含む導電性材料とする。第1導電部14が第2電極部12と同じ導電性材料を含むと、例えば、第1導電部14及び第2電極部12のそれぞれを、第1基板21上に同時に形成できる。
【0085】
同様に、第2導電部17は、第1電極部11と同じ導電性材料を含むことが好ましい。例えば、第1電極部11がPtを含む導電性材料であれば、第2導電部17もPtを含む導電性材料とする。これにより、第2導電部17及び第1電極部12のそれぞれを、第2基板22上に同時に形成できる。
【0086】
このように、第1導電部14の形成工程と第2電極部12の形成工程との併合が可能、並びに第2導電部17の形成工程と第1電極部11の形成工程との併合が可能となることで、熱電素子1aの生産性を、さらに向上させることも可能となる。
【0087】
第1導電部14の第1方向Zに沿った厚さは、例えば、第2電極部12の第1方向Zに沿った厚さと等しいことが好ましい。これにより、第1導電部14及び第2電極部12のそれぞれを備えた第1基板21を、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれに固定する際、第1基板21が傾きにくくなる。このため、熱電素子1aの組み立て性を、良好とすることもできる。
【0088】
同様に、第2導電部17の第1方向Zに沿った厚さは、例えば、第1電極部11の第1方向Zに沿った厚さと等しいことが好ましい。これにより、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれを、第2導電部17及び第1電極部11のそれぞれを備えた第2基板22に形成又は固定する際、第1導電性支持部15の形成位置又は固定位置の高さと、第2導電性支持部18の形成位置又は固定位置の高さとを等しくできる。したがって、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれの形成の容易化、又は熱電素子1aの組み立て性についても、良好とすることができる。
【0089】
<<第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18>>
第1導電性支持部15は、例えば、第2導電性支持部18と同じ導電性材料を含むことが好ましい。これにより、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18を、それぞれ第1電極部11及び第2導電部17上に同時に形成できる。したがって、熱電素子1aの生産性を、さらに向上させることが可能となる。
【0090】
第1導電性支持部15の第1方向Zに沿った厚さは、例えば、第2導電性支持部18の第1方向Zに沿った厚さと等しいことが好ましい。これにより、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれの第1方向Zの高さを等しくすることが可能となる。したがって、例えば、第1導電部14及び第2電極部12のそれぞれを備えた第2基板22を、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれに固定する際、第2基板22が傾きにくくなる。したがって、熱電素子1aの組み立て性を、良好とすることができる。
【0091】
第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれは、例えば、熱電素子1aの第1側面31から第2側面32にかけて第3方向Yに延びる形状を有することが好ましい。これにより、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれを、第2導電部17及び第1電極部11のそれぞれを備えた第2基板22に形成又は固定するだけで、ギャップ部13aの第3方向Yに沿った部分を区画することができる。中間部13は、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれと第3方向Yに沿って接する。これにより、中間部13を、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれによって支持することができる。したがって、熱電素子1aの生産性を、さらに向上させることができる。
【0092】
熱電素子1aでは、電極間ギャップの第1方向Zに沿った距離を、例えば、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれの第1方向に沿った厚さによって規定することもできる。このため、電極間ギャップの設計等における自由度を高めることが可能となる。また、電極間ギャップの第1方向Zに沿った距離を、例えば、球状ナノビーズを用いて規定する場合に比較して、電極間ギャップのバラツキ(生産される複数の熱電素子1a)を抑制しやすくなる。したがって、生産される複数の熱電素子1aのそれぞれにおいて、電気エネルギーの発生量のバラツキを小さくすることも可能となる。また、熱電素子1aでは、中間部13内に、電極間ギャップを規定する球状ナノビーズを設ける必要もない。中間部13内に設けられた球状ナノビーズは、例えば電気エネルギーの発生を阻害する可能性がある。したがって、中間部13内に球状ナノビーズを必要としない熱電素子1aによれば、電気エネルギーの発生量の向上、及び電気エネルギーの発生効率の向上のそれぞれを、さらに促進することも可能である。
【0093】
第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれの材料としては、例えば、アノードとして機能する電極部(仕事関数が大きい電極部:例えば第1電極部11)の仕事関数以下、カソードとして機能する電極部(仕事関数が小さい電極部:例えば第2電極部12)以上である導電物を選べばよい。
【0094】
<<第1基板21及び第2基板22>>
第1基板21及び第2基板22のそれぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば10μm以上2mm以下である。第1基板21及び第2基板22のそれぞれの材料としては、絶縁性の材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、ガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。
【0095】
第1基板21及び第2基板22のそれぞれは、薄板状であっても、フレキシブルなフィルム状であってもよい。例えば、第1基板21又は第2基板22を、フレキシブルなフィルム状とする場合には、例えばPET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
【0096】
第1基板21の第2方向Xに沿った幅Wx21は、例えば、第2基板22の第2方向Xに沿った幅Wx22よりも狭い。これにより、例えば、第1導電部14が第2接続可能面15bの一部と接し、第2電極部12が第3接続可能面18aの一部と接するようにするだけで、第2接続可能面15bの他の一部、及び第3接続可能面18aの他の一部のそれぞれを、熱電素子1aの外側に、簡単に露出させることもできる。したがって、熱電素子1aの生産性を高めることが可能である。
【0097】
第1基板21及び第2基板22と間には、第1電極部11、第2電極部12、及び中間部13のそれぞれが挟まれる。このため、第1基板21及び第2基板22を備えることで、第1電極部11、第2電極部12、及び中間部13のそれぞれの、外力や環境変化に伴った劣化や変形を抑制することもできる。したがって、熱電素子1aの耐久性を高めることが可能である。
【0098】
<<第1配線101及び第2配線102>>
第1配線101及び第2配線102のそれぞれには、導電性を有する材料が用いられる。第1配線101及び第2配線102のそれぞれの材料の例としては、ニッケル、銅、銀、金、タングステン、及びチタンを挙げることができる。第1配線101及び第2配線102のそれぞれの構造は、熱電素子1aにおいて生成された電流を負荷Rへ供給できる構造であれば、任意に設計することができる。
【0099】
<熱電素子1aの動作>
熱エネルギーが熱電素子1aに与えられると、例えば、第2電極部(カソード)12から中間部13に向けて電子eが放出される。放出された電子eは、中間部13から第1電極部(アノード)11へと移動する(図3(a)又は図3(b)参照)。電流は、第1電極部11から第2電極部12に向かって流れる。このようにして、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。
【0100】
放出される電子eの量は、熱エネルギーに依存する他、第1電極部(アノード)11の仕事関数と、第2電極部(カソード)12の仕事関数との差に依存する。また、放出される電子eの量は、第2電極部12の仕事関数が小さい材料ほど、多くなる傾向がある。
【0101】
移動する電子eの量は、例えば、第1電極部11と第2電極部12との仕事関数差を大きくすること、及び電極間ギャップを小さくすることで増やすことができる。例えば、熱電素子1aが発生させる電気エネルギーの量は、上記仕事関数差を大きくすること、及び上記電極間ギャップを小さくすること、の少なくともいずれか1つを考慮することで増加させることができる。
【0102】
<熱電素子1aの製造方法>
次に、熱電素子1aの製造方法の一例を、説明する。
図4(a)~図4(f)は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。図5(a)~図5(d)は、第1実施形態に係る熱電素子の製造方法の一例を示す模式平面図である。図4(a)に示す断面は、図5(a)中のIVA-IVA線に沿う。図4(b)に示す断面は、図5(b)中のIVB-IVB線に沿う。図4(c)に示す断面は、図5(c)中のIVC-IVC線に沿う。図4(e)に示す断面は、図5(d)中のIVE-IVE線に沿う。
【0103】
まず、図4(a)及び図5(a)に示すように、第2電極部12及び第1導電部14を、第1基板21上に形成する。例えばスパッタリング法又は蒸着法等を用いて、真空環境下においてPt等の導電物を第1基板21上に堆積し、導電物膜を第1基板21上に形成する。次いで、第1スリット25を、導電物膜に形成する。これにより、第2電極部12と、第2電極部12と第2方向Xに離間した第1導電部14のそれぞれが、第1基板21上に形成される。第1スリット25は、例えば集束イオンビーム法、エッチング法、及びリフトオフ法等を用いることで形成することができる。また、第2電極部12及び第1導電部14は、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いて、常圧環境下において形成することも可能である。
【0104】
次に、図4(b)及び図5(b)に示すように、第1電極部11及び第2導電部17を、第2基板22上に形成する。第1電極部11及び第2導電部17についても、例えば、第2電極部12及び第1導電部14の形成方法と同様な方法にて形成することができる。また、第2電極部12及び第1導電部14の形成工程、並びに第1電極部11及び第2導電部17の形成工程の順番は、任意である。これら2つの工程は、別々の成膜装置等を用い、パラレルに進行されてもよい。
【0105】
次に、図4(c)及び図5(c)に示すように、第1導電性支持部15を第1電極部11上に、第1電極部11が露出する露出面11aを含みつつ形成し、第2導電性支持部18を第2導電部17上に形成する。第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18についても、例えば、第2電極部12及び第1導電部14の形成方法と同様な方法にて形成することができる。
【0106】
例えば、導電物を、第1電極部11、第2導電部17電極部、及び第2基板22のそれぞれの上に堆積し、導電物膜を、第1電極部11、第2導電部17電極部、及び第2基板22のそれぞれの上に形成する。次いで、第3スリット27を、導電物膜に、第1電極部11及び第2スリット26のそれぞれが露出されるように形成する。第3スリット27は、第1側面31から第2側面32にかけて第3方向Yに沿って延びる(第1側面31及び第2側面32:図2(a)及び図2(b)参照)。これにより、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18のそれぞれが、第1電極部11、及び第2導電部17上に、同時に形成することができる。導電物膜の形成には、例えば、スパッタリング法又は蒸着法等を用いることができる。第3スリット27の形成には、例えば、集束イオンビーム法、エッチング法、及びリフトオフ法等を用いることができる。また、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18の形成には、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレイ印刷法等を用いることもできる。
【0107】
次に、図4(d)に示すように、第2電極部12を第1電極部11の露出面11aと対向させ、第1導電部14を第1導電性支持部15に接合し、第2電極部12を第2導電性支持部18に接合する。これにより、ギャップ部13aが得られる。図4(d)で示す段階では、ギャップ部13aは、例えば、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、及び第2基板22のそれぞれによって囲まれている。図4(d)で示す段階では、ギャップ部13aは、例えば、第1側面31及び第2側面32のそれぞれにおいて、開放されている(第1側面31及び第2側面32:図2(a)及び図2(b)参照)。
【0108】
次に、図4(e)に示すように、ナノ粒子を含む中間部13を、ギャップ部13a内に形成する。中間部13は、例えば、ナノ粒子が分散された溶媒132を、開放された第1側面31及び第2側面32の少なくとも1つから、ギャップ部13a内へ注入することで形成することができる。溶媒132は、例えば、毛細管現象(毛細管力)によってギャップ部13a内に保持される。
【0109】
次に、図4(f)及び図5(d)に示すように、第1封止部材23及び第2封止部材24のそれぞれを、第1側面31及び第2側面32上に形成する。第1封止部材23は、第1側面31上において、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、及び第2基板22のそれぞれと接合される。第2封止部材24は、第2側面32上において、第1電極部11、第2電極部12、第1導電部14、第1導電性支持部15、第2導電部17、第2導電性支持部18、第1基板21、及び第2基板22のそれぞれと接合される。これにより、ギャップ部13aは密閉され、例えば、中間部13が含む溶媒132の漏れ等が、より確実に抑制される。
【0110】
次に、同じく図4(f)及び図5(d)に示すように、第1端子16を第2接続可能面15b上に形成し、第2端子19を第3接続可能面18a上に形成する。第1端子16及び第2端子19のそれぞれは、例えば、熱電素子1aの上側USに形成することができる。
【0111】
例えば、第2接続可能面15b及び第3接続可能面18aのそれぞれに対して外観検査を行う場合には、外観検査装置のセンサ部を、熱電素子1aの上側USに位置させればよい。
【0112】
第1端子16及び第2端子19等の導通検査を行う場合には、導通検査装置の探針部を、熱電素子1aの上側USに位置させればよい。
【0113】
第1実施形態に係る熱電素子1aは、例えば、上述したような製造方法によって製造することができる。
【0114】
なお、発電装置100を得るには、例えば、第1配線101を第1端子16に接続し、第2配線102を第2端子19に接続すればよい。発電装置100を使用する際には、第1配線101と第2配線102との間に、負荷Rを接続すればよい。
【0115】
このように、第1実施形態によれば、熱電素子への電気的配線の接続や、熱電素子の検査を容易化することが可能な熱電素子、発電装置、及び熱電素子の製造方法を提供できる。
【0116】
(第2実施形態)
<熱電素子1b>
図6(a)は、第2実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図である。図6(b)は、第2実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。図6(b)に示す断面は、図6(a)中のVIB-VIB線に沿う。
【0117】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2実施形態に係る熱電素子1bが、第1実施形態に係る熱電素子1aと異なるところは、例えば、第1基板21が第1充填孔41及び第2充填孔42のそれぞれを有し、第3封止部材43と、第4封止部材44と、を、さらに含むことである。
【0118】
第1充填孔41は、第1基板21を貫通し、例えば、第1スリット25を介してギャップ部13aに達する。第2充填孔42は、第1基板21及び第2電極部12を貫通し、ギャップ部13aに達する(断面は省略されている)。
【0119】
第3封止部材43は、第1充填孔41の中から第1基板21の表面上にかけて設けられている。第4封止部材44は、第2充填孔42の中から第1基板21の表面上にかけて設けられている。ギャップ部13aは、第3封止部材43及び第4封止部材44のそれぞれによって密閉される。第3封止部材43及び第4封止部材44のそれぞれには、例えば、絶縁性樹脂が用いることができる。絶縁性樹脂の例としては、フッ素系樹脂を挙げることができる。
【0120】
第1充填孔41及び第2充填孔42のそれぞれは、例えば、ナノ粒子131が分散された溶媒132をギャップ部13a内に充填するとき、又はナノ粒子131をギャップ部13a内に充填するときに、使用される。
【0121】
充填方法としては、例えば、第1充填孔41から溶媒132、又はナノ粒子131を充填しつつ、第2充填孔42から吸引(例えば真空引き)する。これにより、溶媒132、又はナノ粒子131を、ギャップ部13a内に、より隙間なく充填することができる。このため、ギャップ部13a内において、溶媒132の充填効率、又はナノ粒子131の充填効率を高めることができる。したがって、熱電素子1bによれば、電気エネルギーの発生量をさらに増加させることが可能となる。
【0122】
充填後、第1充填孔41を第3封止部材43で封止し、第2充填孔42を第4封止部材44で封止する。
【0123】
熱電素子1bのように、第1充填孔41及び第2充填孔42のそれぞれを、例えば、第1基板21に設けるようにしてもよい。なお、充填孔の数は、2つに限られることはなく、任意である。また、充填孔を設ける箇所は、第1基板21に限らず、第2基板22であってもよいし、第1導電性支持部15及び第2導電性支持部18の少なくとも1つであってもよい。
【0124】
(第3実施形態)
<熱電素子1c>
図7(a)は、第3実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図である。図7(b)は、第3実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。図7(b)に示す断面は、図7(a)中のVIIB-VIIB線に沿う。
【0125】
図7(a)及び図7(b)に示すように、第3実施形態に係る熱電素子1cが、第1実施形態に係る熱電素子1aと異なるところは、第1端子16及び第2端子19のそれぞれが、例えば、第2方向Xに沿って第2基板22の外側へ引き出されていること、である。
【0126】
熱電素子1cのように、第1端子16及び第2端子19のそれぞれは、第2基板22の外側へ引き出すことも可能である。第1端子16及び第2端子19のそれぞれを引き出すと、第1端子16と第1配線101との電気的接続箇所から、第2端子19と第2配線102との電気的接続箇所までの距離を大きく設定することが可能となる。このため、例えば、第1端子16と第1配線101との接続、並びに第2端子19と第2配線102との接続を、より容易化することが可能となる。したがって、例えば、発電装置100の組み立て性が、さらに良好となる、という利点を得ることができる。
【0127】
また、第1端子16を第1導電部14から離し、第2端子19を第2電極部12から離すことも可能である。この場合、第5封止部材45を、第2接続可能面15b、第1導電部14、及び第1基板21それぞれの上に、第3方向Yに沿って設けることも可能である。同様に、第6封止部材46を、第3接続可能面18a、第2電極部12、及び第1基板21のそれぞれの上に、第3方向Yに沿って設けることも可能である。
【0128】
熱電素子1cのように、第5封止部材45及び第6封止部材46のそれぞれを、さらに備えることで、例えば、ギャップ部13aの密閉性を、さらに高めることができる、という利点を得ることができる。
【0129】
なお、第3実施形態は、第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0130】
(第4実施形態)
<熱電素子1d>
図8(a)は、第4実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式平面図である。図8(b)は、第4実施形態に係る熱電素子の一例を示す模式断面図である。図8(b)に示す断面は、図8(a)中のVIIIB-VIIIB線に沿う。
【0131】
図8(a)及び図8(b)に示すように、第4実施形態に係る熱電素子1dが、第3実施形態に係る熱電素子1cと異なるところは、第1導電部14及び第2導電部17のそれぞれが省略されていること、である。
【0132】
熱電素子1dのように、第1導電部14及び第2導電部17のそれぞれは、省略することが可能である。この場合、第1導電性支持部15は、第2接続可能面15bの一部を介して第1基板21と対向、例えば接し、第2導電性支持部18は、第4接続可能面18bを介して第2基板22と対向、例えば接する。また、第1導電性支持部15は、第1スリット25を挟んで第2方向Xに第2電極部12から離間し、第2導電性支持部18は、第2スリット26を挟んで第2方向Xに第1電極部11から離間する。
【0133】
また、熱電素子1dでは、図8(b)に示すように、第2接続可能面15bの第1方向Zにおける高さ位置は、第3接続可能面18aの第1方向Zにおける高さ位置と変わることがある。しかし、第2接続可能面15bの高さ位置と第3接続可能面18aの高さ位置との間には差が生じていてもよい。また、第1実施形態において説明したように、第1電極部11及び第2電極部12それぞれの第1方向Zに沿った厚さは、例えば1nm以上1μm以下である。より好ましくは、1nm以上50nm以下である。したがって、第1電極部11及び第2電極部12それぞれの第1方向Zに沿った厚さを、上記範囲内とすることで、高さ位置の差は、例えば1μm以下に抑制することが可能である。
【0134】
なお、第4実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態の少なくとも1つと組み合わせることも可能である。
【0135】
(第5実施形態)
<電子機器>
実施形態のそれぞれにおいて説明した熱電素子及び発電装置は、例えば電子機器に搭載することが可能である。以下、電子機器の実施形態のいくつかを説明する。
【0136】
図9(a)~図9(d)は、熱電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。図9(e)~図9(h)は、熱電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
【0137】
図9(a)に示すように、電子機器(エレクトリックプロダクト)500は、電子部品(エレクトロニックコンポーネント)501と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
【0138】
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えばCPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器が含まれる。
【0139】
主電源502は、例えば電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(-)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
【0140】
補助電源503は、熱電素子である。熱電素子は、実施形態のそれぞれにおいて説明した熱電素子1a~1dの少なくとも1つを含む。以下、熱電素子1a~1dを総称して、熱電素子1という。熱電素子1のアノード(例えば第1電極部11)は、電子部品501のGND端子(GND)、又は主電源502のマイナス端子(-)、又はGND端子(GND)とマイナス端子(-)とを接続する配線と、電気的に接続される。熱電素子1のカソード(例えば第2電極部12)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)、又は主電源502のプラス端子(+)、又はVcc端子(Vcc)とプラス端子(+)とを接続する配線と、電気的に接続される。電子機器500において、補助電源503は、例えば主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
【0141】
図9(b)に示すように、主電源502は、熱電素子1とされてもよい。熱電素子1のアノードは、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。熱電素子1のカソードは、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。図9(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される熱電素子1と、熱電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。熱電素子1は、独立した電源(例えばオフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、熱電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。図9(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
【0142】
図9(c)に示すように、電子部品501が熱電素子1を備えていてもよい。熱電素子1のアノードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線と電気的に接続される。熱電素子1のカソードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のVcc配線と電気的に接続される。この場合、熱電素子1は、電子部品501の、例えば補助電源503として使うことができる。
【0143】
図9(d)に示すように、電子部品501が熱電素子1を備えている場合、熱電素子1は、電子部品501の、例えば主電源502として使うことができる。
【0144】
図9(e)~図9(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電装置100を備えていてもよい。発電装置100は、電気エネルギーの源として熱電素子1を含む。
【0145】
図9(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される熱電素子1を備えている。同様に、図9(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品が別の電子部品と離れているような電子機器に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、熱電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。熱電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
【0146】
図9(a)~図9(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子1と、熱電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
【0147】
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器の例は、例えばロボット等を挙げることができる。さらに、熱電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品の例は、例えば可動センサ端末等を挙げることができる。
【0148】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。また、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0149】
1a~1d:熱電素子、
11:第1電極部、
11a:露出面、
12:第2電極部、
13:中間部、
13a:ギャップ部、
131:ナノ粒子、
131a:絶縁膜、
132:溶媒、
14:第1導電部、
15:第1導電性支持部、
15a:第1接続可能面、
15b:第2接続可能面、
16:第1端子、
16a:第1接続ノード、
17:第2導電部、
18:第2導電性支持部、
18a:第3接続可能面、
18b:第4接続可能面、
19:第2端子、
19a:第2接続ノード、
21:第1基板、
22:第2基板、
23:第1封止部材、
24:第2封止部材、
25:第1スリット、
26:第2スリット、
27:第3スリット、
31:第1側面、
32:第2側面、
41:第1充填孔、
42:第2充填孔、
43:第3封止部材、
44:第4封止部材、
45:第5封止部材、
46:第6封止部材、
100:発電装置、
101:第1配線、
102:第2配線、
500:電子機器、
501:電子部品、
502:主電源、
503:補助電源、
US:上側、
LS:下側、
R :負荷、
Wx21:第1基板21の第2方向Xに沿った幅、
Wx22:第2基板22の第2方向Xに沿った幅、
X:第2方向、
Y:第3方向、
Z:第1方向、
Vcc:Vcc端子、
GND:GND端子、
+:プラス端子、
-:マイナス端子、
e:電子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9