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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ワーク排出機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20230317BHJP
   G01G 19/387 20060101ALI20230317BHJP
   B65G 47/18 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B65G65/48 D
G01G19/387 D
B65G47/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019055339
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020152565
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000107240
【氏名又は名称】ジェーシーシーエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505045322
【氏名又は名称】サンワテクノス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】乗附 順行
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 進
(72)【発明者】
【氏名】日比 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩司
(72)【発明者】
【氏名】平野 隆士
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-178331(JP,U)
【文献】実開昭55-155738(JP,U)
【文献】特公昭38-023076(JP,B1)
【文献】実開昭53-165578(JP,U)
【文献】特開2016-44027(JP,A)
【文献】特開2007-153442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
G01G 19/387
B65G 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間歇的に順次供給される一群のワークを、複数列のコンベアラインに対して振分けて排出するワーク排出機構であって、
所定軸の回りを回転し、前記供給されるワークを所定回転角度において排出し、底部に傾斜面と側面部に開口部を有する管状部材と、
前記所定軸の周回りに均一間隔をおいて配置され、前記所定回転角度において排出されるワークを受け入れる複数の導管であって、当該各導管の出口端がコンベアラインの所定列に供給可能に位置する導管と、
を有するワーク排出機構。
【請求項2】
前記各導管の入口部に接続し、各入口部に対応する孔部を有する板状部材を備えた、請求項1に記載のワーク排出機構。
【請求項3】
前記各導管の出口端に連続して、前記導管内を落下する一群のワークを蓄積・排出する中継ストック機構を有する請求項1又は2に記載のワーク排出機構。
【請求項4】
前記中継ストック機構が、
中空の円筒部材と、
円筒部材の内部に設けられ、前記円筒部材を略水平に貫通する回転軸を回転中心とする楕円状の仕切り部材と、
を備えた請求項3に記載のワーク排出機構。
【請求項5】
前記ワーク排出機構が、コンピュータスケールの排出部に連続して設置されるワーク排出機構である請求項1~4のいずれかに記載のワーク排出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の列を有する所定の容器にワークを供給して製造する物品の製造ラインにおいて、複数列に一群のワークを供給するのに適したワーク排出機構に関する発明である。特に、食品の製造ラインにおいて、複数例の容器に好適に具材等のワークを供給するためのワーク排出機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品の製造ラインにおいては、複数列のカップ状の容器がコンベアラインに設けられた枠体に収納されてコンベアラインにより順次搬送され、当該容器に所定の重量の具材やスープ等のワークが投入される方法が多い。通常、当該製造ラインにおいては、コンベアラインの進行方向に直交する方向(ライン幅方向)に複数のカップ状容器が連続して配置されるように設けられる場合が多く、当該各容器に所定のワーク(具材やスープ等)が間歇的で、ほぼ同時に順次供給される(図4)。
【0003】
このような容器に対するワークの供給においては、従来まで振動を利用したパーツフィーダ等の機器が利用される場合が多かったが、近年、当該供給する重量をより正確にするために、コンピュータスケール等の、より供給重量精度が高く、より高速で充填が可能な機器が利用されることが望まれている。そして、このようなより供給重量精度が高く、より高速で充填が可能な機器の場合、当該サイズが大型化する場合が多い。
【0004】
その一方、前記コンベアラインにおける幅方向の当該容器同士の間隔は狭い場合が多い。すなわち、コンベアラインの進行方向に平行な容器同士のライン(以下、“列”とする)同士の間隔が狭いことが多い。
そのため、上記のような製造ラインにおいて、より供給重量精度が高く、より高速で充填が可能でサイズが大きな計量・供給装置を利用しようとしたとしても、前記列同士の間隔が狭い場合が多いため、当該コンピュータスケール等の大きな機器をコンベアラインの各列ごとに配置することが困難な場合が多かった。
【0005】
そこで、コンピュータスケールのようなより供給重量精度が高く、より高速で充填が可能な一台のワーク供給機器から供給されるワークをコンベアラインにおける2~4程度の複数列に迅速に振分けて供給する方法が考えられる。このような振り分け機構についての例えば以下の先願特許が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-182824号
【0007】
上記目的のワークの供給においても上述の先行技術に記載される振分け機構を利用することができるが、振分け方向が2方向となっており、振分け列が限定される。また、コンピュータスケールのような供給重量精度が高く、より高速で充填が可能な機器を利用する場合、振動を可能な限り少なくすることが好ましい。このため、他の方法も検討する余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは、順次、間歇的に供給される一群のワークに対して、コンベアラインにおける各列に対して振動が少なく、迅速に振分けするワーク排出機構を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らの鋭意研究の結果、コンピュータスケールのようなワーク供給機器からの排出ワークが2~4程度のライン列をカバーできるように、当該ワーク供給機器から所定時間間隔で排出される具材等のワークを各列ごとに迅速に振り分ける振分け機構として、所定軸の回りを回転し、前記供給されるワークを所定回転角度において排出する管状部材を利用することが計量機への振動の影響も少なく、有効であることを見出した。
【0010】
そして、当該回転管状部材と、前記所定軸の周回りに均一間隔をおいて配置され、前記所定回転角度において排出されるワークを受け入れる複数の導管であって、当該各導管の出口端がコンベアラインの所定列に供給可能に位置する導管を有するワーク排出機構とすることで、上記の目的を達成できることを見出した。
すなわち、本願第一の発明は、
“間歇的に順次供給される一群のワークを、複数列のコンベアラインに対して振分けて排出するワーク排出機構であって、当該ワーク排出機構が、
所定軸の回りを回転し、前記供給されるワークを所定回転角度において排出する管状部材と、
前記所定軸の周回りに均一間隔をおいて配置され、前記所定回転角度において排出されるワークを受け入れる複数の導管であって、当該各導管の出口端がコンベアラインの所定列に供給可能に位置する導管と、
を有するワーク排出機構。“、である。
【0011】
また、前記各導管の入口部に接続し、各入口部に対応する孔部を有する板状部材を備えることが好ましい。
すなわち、本願第二の発明は、
“前記各導管の入口部に接続し、各入口部に対応する孔部を有する板状部材を備えた、請求項1に記載のワーク排出機構。”、である。
【0012】
さらに、前記各導管の出口端に連続して、前記導管内を落下する一群のワークを蓄積・排出する中継ストック機構を備えることが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
“前記各導管の出口端に連続して、前記導管内を落下する一群のワークを蓄積・排出する中継ストック機構を有する請求項1又は2に記載のワーク排出機構。”、である。
【0013】
次に、前記ストック部は、中空の円筒部材を垂直に配置し、当該円筒部材内に略楕円状の回転板を装着し、「受ける」「排出する」の2動作を、1動作で実現するワークの蓄積・排出機構を有する中継部材とすることが好ましい。
すなわち、本願第四の発明は、
“前記中継ストック機構が、
中空の円筒部材と、
当該円筒部材の内部に設けられ、前記円筒部材を略水平に貫通する回転軸を回転中心とする楕円状の仕切り部材と、
を備えた請求項1~3のうちいずれかに記載のワーク排出機構。“、である。
【0014】
次に、上記の各ワーク排出機構は、コンピュータスケール等のコンピュータスケールの排出部に連続して利用されることが好ましい。
すなわち、本願第五の発明は、
“前記ワーク排出機構が、コンピュータスケールの排出部に連続して設置されるワーク排出機構である請求項1~4のいずれかに記載のワーク排出機構。”、である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施態様のワーク排出機構を含めた、コンベアラインに対するワーク供給システム全体を示した正面模式図である。
図2】本発明の第一実施態様のワーク排出機構の斜視図である。
図3】本発明の第一実施態様の中継ストック機構の斜視図である。
図4】複数列のコンベアラインを示す斜視模式図である。
図5】本発明の第一実施態様の管状部材と導管を備えたワーク排出機構の斜視図である。
図6】本発明の第二実施態様の管状部材と導管を備えたワーク排出機構の斜視図である。
図7】本発明の管状部材と導管を備えたワーク排出機構の他の実施態様の斜視図である。
図8】本発明の第一実施態様の中継ストック機構の第一中継ストックストック部の正面図である。
図9】本発明の第一実施態様における中継ストック機構からコンベアライン上の容器への供給例の手順を示した正面模式図である。
図10】コンピュータスケールの配置を示した例の斜視模式図及び平面模式図である。
図11】振分シュートを示した正面図である。
図12】本発明の第二実施態様のワーク排出機構を含めたコンベアラインに対するワーク供給システム全体を示した正面模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ワーク排出機構
3 管状部材
5 導管
7 中継ストック機構
9 第一中継ストック部
11 第二中継ストック部
13 開口部
15 固定部材
21 円筒部材
23 仕切り部材
25 振分けシュート部材
50 コンピュータスケール
60 コンベアライン
CP カップ状容器
W ワーク
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施態様について図面を参照しつつ説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
図1は、本発明のワーク排出機構1を含めた、コンベアライン60に対するワーク供給システム全体を示した正面模式図を示したものである。図2は、本発明の第一実施態様のワーク排出機構1の斜視図である。図3は本発明の第一実施態様の中継ストック機構7の斜視図である。
【0018】
図1に示すワーク供給システムは、コンベアライン60の複数列に対して、ワークを間歇的に供給するためのワーク供給システムの第一の実施態様の正面全体図を示したものである。本発明の第一の実施態様のワーク供給システムは、コンピュータスケール50を利用したワーク供給システムの例を示している。
前記コンピュータスケール50の下方に本発明のワーク排出機構1を有しており、当該ワーク排出機構1は間歇的に回転する管状部材3と、当該管状部材3が所定角度において排出するワークWが通過する3つの導管5と、各導管5から排出されるワークWを収納する中継ストック機構7であって、上下二段に設置された第一中継ストック部9及び第二中継ストック部11を有している。
【0019】
そして、第二中継ストック部11をより排出されたワークWを受け入れるカップ状容器CPと当該カップ状容器CPを搬送するコンベアライン60を有している。
本発明のワーク排出機構を含むワーク供給システムについては、あらゆるタイプのワークを供給する装置に対応することができるが、特に以下の説明においてはコンピュータスケール50より間歇的に順次・供給されるワークWにつき、本発明のワーク排出機構1による振り分け手段によって、コンベアライン60の各列に振り分ける態様を記載している。 以下に本発明の内容を具体的に説明する。
【0020】
─複数列を有するコンベアライン─
本第一の実施態様のワーク排出機構1は、図4に示すように食品の製造ラインにおけるコンベアライン60、すなわち複数列を有し、所定方向に順次搬送されるコンベアライン60において、当該コンベアライン60上に配置された各カップ状容器CPにワークW(乾燥具材や菓子等)を順次供給する場合を想定している。
【0021】
図4に示すように複数列の容器CPがコンベアライン60により順次搬送され、当該容器に所定の重量の具材やスープ等のワークWが投入される形態を意図している。当該製造ラインにおいては、コンベアライン60の進行方向に直交する方向(ライン幅方向)に複数の容器CPが連続して配置されており、当該各容器に所定のワークW(具材やスープ等)が間歇的に、ほぼ同時に順次供給される。
【0022】
─ワーク─
本発明によるワークWとは、食品等の乾燥具材やスープ、菓子等を想定しているが、これに限定されるものでないことは勿論である。通常、食品の製造ラインにおける乾燥具材等は大きさや形において完全には同一でなく、形状において多少違いが存在する場合がほとんどである。コンピュータスケールはこのような乾燥食品等の所定量を計量・排出する場合に優れている。すなわち、本発明においては、供給するワークがそのような形状の大小を有する食品等の場合において本発明は好適に適用することができる。
【0023】
特に本願の供給の対象物となるワークはコンベアラインにおいて容器に順次供給するタイプであり、特にカップ入りの即席カップ麺や菓子等に使用する乾燥食品に対して好適に適用できる。具体的には、即席麺(カップ麺又は袋麺)に使用されているフリーズドライや熱風乾燥、あるいは、油熱乾燥(フライ処理)又は焼成等された粒子状の乾燥具材(肉系具材、野菜系具材)や粉末スープ(顆粒スープ)等や乾燥した粒子状の菓子(フリーズドライ、熱風乾燥あるいは、油熱乾燥(フライ処理)又は焼成等されたもの)に好適に適用できる。
【0024】
また、最終的に供給するワークをコンピュータスケール等のワークの供給装置から1回の排出における排出(供給)重量として0.5~20.0g程度が好適である。また、1.0g~10.0g程度とするのがより好ましい。また、さらに好ましくは、2.0g~5.0g程度である。
【0025】
─ワーク排出機構(回転排出機構)─
本発明の第一の実施態様のワーク排出機構1は、鉛直方向の回転軸の回りを間歇的に回転する管状部材であって、所定の回転角度においてワークを排出することは可能な管状部材5を有する。
本発明の第一の実施態様においては、図5(a)に示すように当該管状部材5は、鉛直方向の回転軸を中心として回転し、底部を有しかつ当該底部に傾斜部を有し、傾斜端部に開口部13を設けている態様を示している。
【0026】
当該管状部材5に上部より供給されるワークWは当該管状部材5の管内を通過し、上記回転軸が開口部を向けている方向に向けて、開口部13から斜め下方向に排出されることになる。
尚、本発明における間歇的に回転する管状部材3は図5に示したタイプの他、例えば、図6に示すような下端部を弯曲させたようなタイプであってもよい。
また、第一の実施態様においては、図5に示すように、上記開口部から排出可能な回転角度は120°ごとになるように設定されており、当該位置において導管5の入口部にワークを排出できるように構成されている(図5(b))。各導管5を経由して、ワークWはコンベアライン60の各列にワークWを誘導して落下されるように構成されている。
【0027】
さらに、本発明の第一の実施態様においては、当該導管5の入口部を固定させるために、円盤状の固定部材15が用いられており、当該固定部材15において120°ごとに孔部が設けられており、当該孔部に連続して導管5の接続部が設けられている。
このように管状部材3が間歇的に回転するだけでコンベアライン60上の各列への順次の供給を可能とすることができ、間歇的でかつ迅速に供給されるコンピュータスケール等から供給されるワークWをコンピュータスケール50等の計量機に対して振動の影響も少なくしつつ、順次、迅速に複数列に振分けることが可能となる。
【0028】
また、当該導管5は、前記ワークWを重力の方向に従い、下方に落下させるために設けられており、素材は特に限定されないが、柔軟性のある素材が利用しやすい。また、外部が蛇腹状の柔軟性のある形態でも可能である。また、下方部にワークWが落下しやすいようにワークWが接触する内面が摩擦の小さな材質・構造を用いることが好ましい。また、管状部材3の回転には所定の動力部をベルト等を介して連結させることで可能となる。
【0029】
尚、上記の環状部材3を用いた回転排出機構のほか、他の実施態様として図7に示すように、排出可能な角度位置を90°ごとにする場合(a)や、排出可能角度を180°ごと(b)とする場合も可能である。このように所定角度の回転だけでワークWの振分けが可能であるので、迅速にかつ計量機(コンピュータスケール等)への振動の影響も少なくワークを排出できるという効果を奏することができる。
また、このように管状部材3の構造を種々の態様に限定することで、様々な供給態様を実現することができる。回転角度については特に限定されず、導管5の大きさ等を変えることでより小さくすることも可能である。
【0030】
─中継ストック機構─
本発明の第一の実施態様においては、上述のワーク排出機構1によるワーク排出機構とともに排出されたワークWをカップ状容器CPに投入前に、一旦、保持する中継ストック機構7を有している。
中継ストック機構7を有しない場合、上述のワーク排出機構1から直接にカップに供給されることになるが、この場合、ワーク排出機構1からその下方部のカップ状容器CPまでの距離が大きいとワークWが下方向に勢いをもって落下するための、カップ状容器内に着地した際にワークWの破損やワークWの跳ね等が生じて問題となる場合もある。
【0031】
そこで、このような場合には中継ストック機構7によってワークWをカップ状容器CPへの供給直前に一旦、ストックして保持し、その後に当該ストックを開放することによって、カップ内にワークWを穏やかにカップ内に供給することができる。
また、ワーク排出機構1からのワークWの供給は、各レーンごとにタイムラグが生じることになるが、このように中継ストック機構7を設けることで、すべてのレーンへのワークへの供給を同時に行うことができる。
【0032】
本発明の第一の実施態様における中継ストック機構7においては、図3に示すように、中継ストック機構7が上下二段に設けられた第1中継ストック部9及び第2中継ストック部11を有する。このように二段にすることで、下段の第二中継ストック部11においてワークWの供給を行いつつ、上段の第一中継ストック部9においてワークWの収納を行うことができるため、ワークWの受け入れから排出までの時間を短縮することができる。
【0033】
それぞれの中継ストック部(9、11)は図3に示すように、中空の円筒部材21と、当該円筒部材21の内部に設けられ、前記円筒部材を略水平に貫通する回転軸を回転中心とする楕円状の仕切り部材23とを備えている。
当該仕切り部材23が図8の(a)又は(b)の状態であると、上方より落下してきたワークWを一旦ストックすることができ、ストック後において、図(a)又は図(b)の矢印周りに仕切り部材を回転軸に従って左右に回転させると、ストックされていたワークを下方向に排出することができる。尚、本発明にいう楕円状とは、当然に円の形状も含むことは勿論である。
【0034】
また、中継ストック部についても本実施態様においては、円筒形の部材を利用しているがこれに限定されず、例えば角柱状の筒状部材であってもよいことは勿論である。尚、角柱状の場合、仕切り部材も方形状としてよいことは勿論である。
尚、第一及び第二ストック部(9,11)内の仕切り部材23の回転は、コンベアライン60の進行に同期して回転させることで順次、ワークWをコンベアライン60上の各カップ状容器CP内に供給することができる。
【0035】
また、図3に示すように中継ストック部(9,11)を上下二段に直列に複数連結しておくことで計量機等のワーク供給装置(例えばコンピュータスケール)からの供給と、カップ状容器CPへの排出の時間差を持たせることができるため、トラブル発生等の対応等の管理上の種々の面からの対応がし易くなる。但し、本実施態様においては二段の場合を示しているが、当該中継ストック機構7については、一段であってもよいことは勿論である。
【0036】
図8において矢印方向に回転後においては、上部よりワークWの受け入れ状態となるため、次に供給されるワークWをストックできることになる。このように、ワークWの供給→ストック→ワークWの下方向への排出(仕切り部材23の回転)→ワークWの供給→ストック→ワークWの下方向への排出(仕切り部材23の回転)を繰り返すことによって、順次移送されるコンベアライン上のカップ状容器CPに順次ワークWを供給することができる。
尚、仕切り部材23の回転には所定の動力部を利用すればよく、種々のモータ等を利用することができる。
【0037】
─ワークの供給のための機構─
本発明においては、一群のワークを本発明のワーク排出機構1に供給する機構が必要となる。当該供給機構については、コンピュータスケール50を始め、様々な機構を利用することができる。
コンピュータスケール50は通常、種々の分野で利用されている。コンピュータスケールは、重量が均一ではない食品等の対象物を可能な限り目的の重量になるようにして供給するため、予め複数のホッパに少量の供給する対象となる物品を収納し、それぞれのホッパにおいてその重量を測定しておく。次に、当該複数のホッパのうち、任意の複数のホッパの重量を組み合わせて、選択することで目的の重量に最も近いホッパの組合せとなるような組合せを決定する。
【0038】
そして、当該決定された組合せのホッパそれぞれから物品を排出して所定の供給先に供給する方法を実現した装置である。
ここで、特に円形タイプのコンピュータスケールの場合、複数のホッパ及び当該ホッパに供給するフィーダが必要とされるため、必然的に全体のサイズが大型化することが多い。一方、通常、乾燥食品の製造ラインにおいては、コンベアの進行方向に直交する形で複数の供給対象となる列が設けられる場合が多く、当該列同士の間隔が小さいことがほとんどである。
【0039】
そのため、このような乾燥食品の製造ラインにおいて、コンピュータスケールを利用しようとすると、当該列同士の間隔が小さい場合が多いため、当該コンピュータスケールのサイズが大きいことから製造ライン上において配置することが困難な場合が多かった。
本発明のワーク排出機構を用いることで、コンピュータスケールのような大型化する機器であっても、コンベアの複数列への供給をカバーすることができるため、コンベアラインにおいてコンピュータスケールの利用が可能になる。
【0040】
図1においては、一台のワーク排出機構ごとに3列(レーン)をカバーできるように構成している。すなわち、12列(レーン)をカバーするのに4台の上述のワーク排出機構1を設置した例を示しているが、例えば、回転角度をより、小さくすることで、より多くのレーンをカバーできるようにすることも可能である。例えば、図7(a)に示す態様であれば、4個の導管5が設けられており、4列(レーン)をカバーすることが可能となる。
【0041】
本第一の実施態様におけるコンピュータスケールの供給回数、すなわち、管状部材からのワークの排出回数については、特に限定されないが、概ね50回/分が可能である。また、100回/分以上が好ましい。さらに、120回/分以上であることがより好ましい。従って、一台のコンピュータスケールによって3列のレーンをカバーするように構成すると、コンベアレーンのカップ状容器に対するワークの供給回数は、管状部材からのワークの排出回数×1/3/分程度になる。
【0042】
─コンベアラインに対するワーク供給の流れについて─
以下に、図1に示すコンベアラインに対するワーク供給の流れについて説明する。特に以下の例では、カップ入り即席麺の製造ラインにおける流れを説明する。コンベアライン60においてはすでに麺塊が収納されたカップ状容器が間歇的に搬送されており、当該麺塊入りのカップ状容器内に具材を供給する場合について説明する。
コンピュータスケールには、カップ麺の用の乾燥具材の決められた量(概ね1.0g~10.0g程度)を供給するように設定されている。4台の各コンピュータスケールは迅速に重量の組み合わせを見出し、当該所定重量に最も近い重量の組合せについて、迅速にかつ間歇的に下方に排出する。
【0043】
一回の排出ごとに下方の管状部材3は120°づつ回転し当該位置において、コンピュータスケール50から供給されるワークWを受け入れ、周回りに3カ所配置された導管5の入口に排出する。そして、当該導管5を経由して中継ストック部7に順次ワークWを供給するように設定されている。
【0044】
すなわち、導管5を通過した一群のワークWは、図9に示すようにまず、第一中継ストック部9に順次収納され(図9(a)→(b))、隣接する導管5に一群のワークWが続いて通過して、第一中継ストック部9のすべてにワークWが収納された状態で、仕切り部材23が回転して、第二中継ストック部11にワークWを移動させる(図9(b)→(c))。また、第二中継ストック部11に先に収納されていたワークWは、第一中継ストック部9にワークの収納が終了する前に、コンベアライン上のカップ状容器にワークWを適宜のタイミングで供給する(図9(b)→(c))。
【0045】
このようにワークを「受ける」「排出する」の2動作を、1動作で実現することができるため迅速にワークを供給できることが可能となる。
各カップ状容器にワークWが供給された状態でコンベアライン60は進行し(図9(d)矢印)、次の各カップ状容器CPに対する具材(ワーク)Wの供給が準備される。以下の同様に具材(ワーク)の供給がなされる。
【0046】
また、ワークWのカップ状容器CPへの投入は、所定の時間間隔において順次行われる。当該時間間隔はコンベアライン60におけるカップ状容器CPの搬送タイミングと同間隔となるように調整されている。
すなわち、コンベアライン60に対する第二ストック部11からのカップ状容器CPへのワークWの供給の後、次の各列のカップ状容器へのワークの供給前までに、コンピュータスケール50から管状部材3→各導管5の3回分の排出がなされ、3回×4台=12列分の当該排出された一群のワークWが、第一ストック部9の全列(レーン)に収納された状態となる。
【0047】
そして、第二ストック部11においてすでに収納されてあったワークWが仕切り部材23の回転によりカップ状容器CPに供給され、ワークWのカップ状容器CPへの供給が完了した後、当該第一ストック部9の仕切り部材23が回転して、第二ストック部11に次のワークWを供給する。
このようなタイミングを伴うサイクルの繰り返しによって順次、コンベアライン上の各カップに一群のワーク(具材)が供給されていく。
尚、上記のストック部位における仕切り部材23の回転タイミング、第一ストック部9から第二ストック部11へのワークWの供給方法等は一例を示したものであり、適宜、変更・調整ができることが勿論である。
【0048】
─他の実施態様─
図1においては、コンピュータスケールの配置をラインの進行方向に対して直交する水平方向(ライン幅方向)に連続に配置した例を示したが、コンピュータスケールの配置態様はこれに限られない、
本発明のコンピュータスケール50を生産ラインにおいて利用する場合においては、図1に示した態様の他、種々の利用態様が考えられる。一例として図10には、12列の製造ラインにおいて4台のコンピュータスケール50を配置した場合の配置例について示す。このように、生産ラインにおいてその進行方向の前後に千鳥態様にコンピュータスケールを配置することでスペースを確保する方法も可能である。
【0049】
尚、当該各コンピュータスケールの供給先には、図1の場合と同様に複数列のワーク排出機構1(管状部材3、導管5)等が設ける。また、当該導管5の排出先には図1の中継ストック機構7が設置されており、ワークWのコンベアライン60上のカップ状容器CPへの供給が可能となっている。
【0050】
次に、中継ストック機構7については、本発明の実施例1においては、円筒部材21と当該円筒部材内を回転する仕切り部材23を利用するタイプを示したが、これに限定されず、例えば、通常の開閉式やスライド式のシャッター形式であってもよいことは勿論である。さらに、図11に示すような左右に開閉する底部を設けた、複数列にワークを供給可能な振分けシュート部材25を利用してもよい。当該振分けシュート部材25によって、2列のコンベア列に供給することが可能となる。
【0051】
また、図3に示す中継ストック機構7の下方部に図11の振分けシュート部材25を配置する態様も可能である。この場合、一本の導管5から落下するワークWを中継ストック機構7を経て、振分けシュートにさらにストックした後、左右に振り分けて排出することで当該ワークをさらに2列のカップ状容器(枠体)に振分け供給することができる。
すなわち、図11に示したように、第1段目のシュート部材25の下に設けられた第2段目のシュート部材25において左右いずれかの底部を開放することにより隣接する2列に対して交互に供給できるような態様を取ることができる。
【0052】
具体的には、図1図2に示すように一台のコンピュータスケール50について3つの導管5が対応できるように構成しておき、当該導管5→中継ストック部7を経て、排出される一群のワークWをさらに、図11の振分けシュート25を利用することで、12列のコンベアラインを2台のコンピュータスケールで供給することができる(図12)。
上記の他、コンベアラインへのワークの排出・供給方法については、上記に限定されずシュート・排出ユニット等の部材を適宜組み合わせることで種々の形態が可能であることは勿論である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12