(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-16
(45)【発行日】2023-03-27
(54)【発明の名称】降伏電圧を高めた高電圧半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20230317BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301D
(21)【出願番号】P 2021530775
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2019076413
(87)【国際公開番号】W WO2020172833
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】スン・チャオ
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0339650(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0014815(US,A1)
【文献】特開2009-260208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧半導体装置であって、
活性領域を有する半導体基板であって、第1の導電型を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記活性領域上に配置されたゲート構造と、
前記ゲート構造の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に配置された少なくとも1つの第1の分離構造と、
前記ゲート構造の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に配置された少なくとも1つの第1のドリフト領域と、を含み、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域は、前記第1の導電型と相補的な第2の導電型を有し、前記少なくとも1つの第1の分離構造は、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域を垂直に貫通
し、
前記少なくとも1つの第1のドリフト領域内に配置された少なくとも1つの第1のドープ領域をさらに含み、前記少なくとも1つの第1の分離構造は、前記少なくとも1つの第1のドープ領域と前記ゲート構造との間に配置され、前記第1のドープ領域は前記第2の導電型を有し、
前記少なくとも1つの第1のドープ領域は、前記ゲート構造の延在方向において前記少なくとも1つの第1の分離構造の2つの対向する縁部の間に配置され、
前記少なくとも1つの第1のドープ領域の底部は、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも浅い、高電圧半導体装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のドリフト領域のドーピング濃度は、前記少なくとも1つの第1のドープ領域のドーピング濃度よりも低い、請求項
1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1のドリフト領域は、上面視において前記少なくとも1つの第1の分離構造を取り囲む、請求項1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板内に配置された第2の分離構造をさらに含み、前記第2の分離構造は、前記活性領域を画定するための開口部を有する、請求項1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の分離構造は前記第2の分離構造から分離されている、請求項
4に記載の高電圧半導体装置。
【請求項6】
前記第2の分離構造の底部は、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも深い、請求項
4に記載の高電圧半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート構造の別の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に配置された少なくとも1つの第2のドープ領域をさらに含み、前記第2のドープ領域は前記第2の導電型を有する、請求項
1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート構造の別の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に配置された少なくとも1つの第2のドリフト領域をさらに含み、前記少なくとも1つの第2のドープ領域は、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域内に配置され、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域は前記第2の導電型を有し、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域のドーピング濃度は、前記少なくとも1つの第2のドープ領域のドーピング濃度よりも低い、請求項
7に記載の高電圧半導体装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2のドープ領域と前記ゲート構造との間で前記半導体基板の前記活性領域内に配置された第3の分離構造をさらに含み、前記第3の分離構造は、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域を垂直に貫通する、請求項
8に記載の高電圧半導体装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2のドープ領域は、前記ゲート構造の延在方向において前記第3の分離構造の2つの対向する縁部の間に配置される、請求項
9に記載の高電圧半導体装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の分離構造は、前記ゲート構造の延在方向に垂直な方向に沿って配置された複数の第1の分離構造を含む、請求項1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の分離構造は、互いに離間され、かつ前記ゲート構造の延在方向に沿って配置された複数の第1の分離構造を含み、前記高電圧半導体装置は、複数の前記第1のドープ領域を含み、前記第1のドープ領域は、前記ゲート構造の前記延在方向に垂直な方向において前記第1の分離構造と完全に重なる、請求項1に記載の高電圧半導体装置。
【請求項13】
高電圧半導体装置の製造方法であって、
第1の導電型を有する半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板は活性領域を有する、ステップと、
前記半導体基板の前記活性領域内に少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップと、
前記半導体基板の前記活性領域上および前記少なくとも1つの第1の分離構造の側方にゲート構造を形成するステップと、
前記ゲート構造の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に少なくとも1つの第1のドリフト領域を形成するステップであって、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域は、前記第1の導電型と相補的な第2の導電型を有する、ステップと、を含み、前記少なくとも1つの第1の分離構造の底部は、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも深
く、
前記少なくとも1つの第1のドリフト領域内に少なくとも1つの第1のドープ領域を形成するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの第1のドープ領域は前記第2の導電型を有し、前記少なくとも1つの第1の分離構造は、前記ゲート構造と前記少なくとも1つの第1のドープ領域との間に配置され、
前記少なくとも1つの第1のドープ領域は、前記ゲート構造の延在方向において前記少なくとも1つの第1の分離構造の2つの対向する縁部の間に配置され、
前記少なくとも1つの第1のドープ領域の底部は、前記少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも浅い、高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1のドリフト領域のドーピング濃度は、前記少なくとも1つの第1のドープ領域のドーピング濃度よりも低い、請求項
13に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップは、前記半導体基板内に第2の分離構造を形成するステップを含み、前記第2の分離構造は、前記活性領域を画定するための開口部を有する、請求項
13に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1の分離構造は前記第2の分離構造から離間している、請求項
15に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1のドープ領域を形成するステップは、前記ゲート構造の別の側方において前記半導体基板の前記活性領域内に少なくとも1つの第2のドープ領域を形成するステップを含み、前記少なくとも1つの第2のドープ領域は前記第2の導電型を有する、請求項
13に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1のドリフト領域を形成するステップは、前記半導体基板内に少なくとも1つの第2のドリフト領域を形成するステップを含み、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域は前記第2の導電型を有し、前記少なくとも1つの第2のドープ領域は、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域内に配置され、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域のドーピング濃度は、前記少なくとも1つの第2のドープ領域のドーピング濃度よりも低い、請求項
17に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップは、前記半導体基板内におよび前記少なくとも1つの第2のドープ領域と前記ゲート構造との間に第3の分離構造を形成するステップを含み、前記第3の分離構造は、前記少なくとも1つの第2のドリフト領域を垂直に貫通する、請求項
18に記載の高電圧半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、降伏電圧を高めた高電圧半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタでは、ドレイン領域がゲート電極と重なるため、ゲート誘起ドレイン漏洩(GIDL)の影響により、ドレイン領域とゲート電極との重なり領域で電気的破壊が生じやすい。特に、フラッシュの周辺回路の用途、例えば3D NANDフラッシュでは、トリナリーレベルセル(TLC)またはクァッドレベルセル(QLC)のためのより高い消去電圧が必要とされるため、TLCまたはQLCを制御するためのMOSトランジスタは、より高い降伏電圧を必要とする。
【0003】
MOSトランジスタの降伏電圧を高めるために、ドレイン拡張MOS(DEMOS)のように、ドレインが拡張され、高い降伏電圧を示すプレーナ型の高電圧MOSトランジスタが開発されている。ドレインでの降伏電圧を高めるために、横方向拡散MOS(LDMOS)などの、ドレイン内に分離構造をさらに有する別の方法が開発されている。しかしながら、これらの方法は、MOSトランジスタの上面領域を拡大し、これはMOSトランジスタを有する装置のサイズの縮小を制限する。また、ゲート電極とドレイン領域との間のゲート酸化物層の厚さを厚くするために階段形状のゲート酸化物層を作製する方法もあるが、この方法では、追加のマスクや追加のプロセスが必要となり、製造コストが増大する。その結果、大面積化することなく、そしてコストを増大させずに、MOSトランジスタの降伏電圧を高めることが常に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、高電圧半導体装置およびその製造方法の実施形態について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置が開示される。高電圧半導体装置は、半導体基板と、ゲート構造と、少なくとも1つの第1の分離構造と、少なくとも1つの第1のドリフト領域とを含む。半導体基板は活性領域を有し、半導体基板は第1の導電型を有する。ゲート構造は、半導体基板の活性領域上に配置される。少なくとも1つの第1の分離構造は、ゲート構造の側方において半導体基板の活性領域内に配置される。少なくとも1つの第1のドリフト領域は、ゲート構造の側方において半導体基板の活性領域内に配置され、少なくとも1つの第1のドリフト領域は、第1の導電型と相補的な第2の導電型を有し、少なくとも1つの第1の分離構造は、少なくとも1つの第1のドリフト領域を垂直に貫通する。
【0006】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置は、少なくとも1つの第1のドリフト領域内に配置された少なくとも1つの第1のドープ領域をさらに含み、少なくとも1つの第1の分離構造は、少なくとも1つの第1のドープ領域とゲート構造との間に配置され、少なくとも1つの第1のドープ領域は第2の導電型を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のドリフト領域のドーピング濃度は、少なくとも1つの第1のドープ領域のドーピング濃度よりも低い。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のドープ領域は、ゲート構造の延在方向において少なくとも1つの第1の分離構造の2つの対向する縁部の間に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のドリフト領域は、上面視において少なくとも1つの第1の分離構造を取り囲む。
【0010】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置は、半導体基板内に配置された第2の分離構造をさらに含み、第2の分離構造は、活性領域を画定するための開口部を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造は、第2の分離構造から分離される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の分離構造の底部は、少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも深い。
【0013】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置は、ゲート構造の別の側方において半導体基板の活性領域内に配置された少なくとも1つの第2のドープ領域をさらに含み、第2のドープ領域は第2の導電型を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置は、ゲート構造の別の側方において半導体基板の活性領域内に配置された少なくとも1つの第2のドリフト領域をさらに含み、少なくとも1つの第2のドープ領域は、少なくとも1つの第2のドリフト領域内に配置され、少なくとも1つの第2のドリフト領域は第2の導電型を有し、少なくとも1つの第2のドリフト領域のドーピング濃度は、少なくとも1つの第2のドープ領域のドーピング濃度よりも低い。
【0015】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置は、少なくとも1つの第2のドープ領域とゲート構造との間で半導体基板の活性領域内に配置された第3の分離構造をさらに含み、第3の分離構造は、少なくとも1つの第2のドリフト領域を垂直に貫通する。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のドープ領域は、ゲート構造の延在方向において第3の分離構造の2つの対向する縁部の間に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造は、ゲート構造の延在方向に垂直な方向に沿って配置された複数の第1の分離構造を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造は、互いに離間され、かつゲート構造の延在方向に沿って配置された複数の第1の分離構造を含み、高電圧半導体装置は、複数の第1のドープ領域を含み、第1のドープ領域は、ゲート構造の延在方向に垂直な方向において第1の分離構造と完全に重なる。
【0019】
いくつかの実施形態では、高電圧半導体装置の製造方法が開示される。方法は、第1の導電型を有する半導体基板を提供するステップであって、半導体基板は活性領域を有する、ステップと、半導体基板の活性領域内に少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップと、半導体基板の活性領域上および少なくとも1つの第1の分離構造の側方にゲート構造を形成するステップと、ゲート構造の側方において半導体基板の活性領域内に少なくとも1つの第1のドリフト領域を形成するステップを含み、第1のドリフト領域は、第1の導電型と相補的な第2の導電型を有する、ステップと、を含み、少なくとも1つの第1の分離構造の底部は、少なくとも1つの第1のドリフト領域の底部よりも深い。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの第1のドリフト領域内に少なくとも1つの第1のドープ領域を形成するステップをさらに含み、少なくとも1つの第1のドープ領域は第2の導電型を有し、少なくとも1つの第1の分離構造は、ゲート構造と少なくとも1つの第1のドープ領域との間に配置される。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のドリフト領域のドーピング濃度は、少なくとも1つの第1のドープ領域のドーピング濃度よりも低い。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップは、半導体基板内に第2の分離構造を形成するステップを含み、第2の分離構造は、活性領域を画定するための開口部を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造は、第2の分離構造から離間している。
【0024】
実施形態では、少なくとも1つの第1のドープ領域を形成するステップは、ゲート構造の別の側方において半導体基板の活性領域内に少なくとも1つの第2のドープ領域を形成するステップを含み、少なくとも1つの第2のドープ領域は第2の導電型を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域を形成するステップは、半導体基板内に少なくとも1つの第2のドリフト領域を形成するステップを含み、少なくとも1つの第2のドリフト領域は第2の導電型を有し、少なくとも1つの第2のドープ領域は、少なくとも1つの第2のドリフト領域内に配置され、少なくとも1つの第2のドリフト領域のドーピング濃度は、少なくとも1つの第2のドープ領域のドーピング濃度よりも低い。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の分離構造を形成するステップは、半導体基板内におよび少なくとも1つの第2のドープ領域とゲート構造との間に第3の分離構造を形成するステップを含み、第3の分離構造は、少なくとも1つの第2のドリフト領域を垂直に貫通する。
【0027】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作製および使用することを可能にするのにさらに役立つ。
【
図1A】本発明の第1の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。
【
図1B】
図1Aの断面線A-A’に沿った例示的なHV半導体装置の断面図を概略的に示す。
【
図2】第1の実施形態によるHV半導体装置の降伏電圧と、第1の分離構造を有しないHV半導体装置の降伏電圧を概略的に示す。
【
図3】第1の実施形態によるHV半導体装置の例示的な製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図4A】例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の上面図を概略的に示す。
【
図4B】例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の断面図を概略的に示す。
【
図5A】例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の上面図を概略的に示す。
【
図5B】例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の断面図を概略的に示す。
【
図6】本発明の第2の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。
【
図7A】本発明の第3の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。
【
図7B】
図7Aの断面線B-B’に沿った例示的なHV半導体装置の断面図を概略的に示す。
【
図8】本発明の第4の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。
【0029】
本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
特定の構成および配置について説明するが、これは例示のみを目的として行われることを理解されたい。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成および配置を使用できることを認識するであろう。本発明が様々な他の用途にも使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0031】
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「例示的な実施形態(an example embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、あらゆる実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らないことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性を達成することは、当業者の知識の範囲内である。
【0032】
一般に、用語は、文脈における使用から少なくとも部分的に理解され得る。例えば、本明細書で使用される「1つ以上」という用語は、文脈に少なくとも部分的に依存して、任意の特徴、構造、または特性を単数の意味で説明するために使用されてもよく、または特徴、構造、または特性の組み合わせを複数の意味で説明するために使用されてもよい。同様に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」などの用語は、文脈に少なくとも部分的に依存して、単数形の用法を表すか、または複数形の用法を表すと理解されてもよい。
【0033】
本発明における「上に(on)」、「上方に(above)」、および「上方に(over)」の意味は、「上に(on)」が何かの「直接上に(directly on)」を意味するだけでなく、間に中間特徴または層を有する何かの「上に(on)」の意味も含み、「上方に(above)」または「上方に(over)」は何かの「上方に(above)」または「上方に(over)」の意味を意味するだけでなく、間に中間特徴または層を有さずに何かの「上方に(above)」または「上方に(over)」である(すなわち、直接何かの上に)という意味も含むことができるように、最も広く解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。
【0034】
空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の方向に向けられてもよく(90度または他の向きに回転されてもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて同様に解釈されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「基板」という用語は、後続の材料層がその上に追加される材料を指す。基板自体をパターニングすることができる。基板の上に加えられる材料は、パターニングされてもよく、またはパターニングされないままであってもよい。さらに、基板は、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの広範囲の半導体材料を含むことができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、製品またはプロセスの設計段階中に設定される、構成要素またはプロセス動作の特性またはパラメータの所望値または目標値を、所望値を上回るおよび/または下回る値の範囲と共に指す。値の範囲は、製造プロセスまたは公差のわずかな変動に起因し得る。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、対象のフォトマスク構造に関連する特定の技術ノードに基づいて変動し得る所与の量の値を示す。特定の技術ノードに基づいて、用語「約」は、例えば、値の10~30%(例えば、値の±10%、±20%、または±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0037】
本出願を通して使用される場合、「してもよい(may)」という単語は、必須の意味(例えば、義務の意味)ではなく、許容的な意味(例えば、可能性を有する意味)で使用される。「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という単語は、オープンエンドの関係を示し、したがって、含むが限定されないことを意味する。同様に、「有する(have)」、「有する(having)」、および「有する(has)」という単語もまた、オープンエンドの関係を示し、したがって、含むが限定されないことを意味する。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、異なる要素を区別するためのラベルを意味し、それらの数値表示に従う順序を必ずしも意味しなくてもよい。
【0038】
本発明では、以下の説明で説明する異なる実施形態における異なる技術的特徴を互いに組み合わせたり、置き換えたり、混合したりして、他の実施形態を構成することができる。
【0039】
本発明では、以下の実施形態の例示的な高電圧(HV)半導体装置は、フラッシュメモリの周辺回路、パワー装置、または他の適切な装置などの任意の種類の半導体装置に実装することができる。
【0040】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図であり、
図1Bは、
図1Aの断面線A-A’に沿った例示的なHV半導体装置の断面図を概略的に示す。
図1Aおよび
図1Bに示すように、この実施形態によって提供されるHV半導体装置100は、半導体基板102と、少なくとも1つの第1の分離構造106と、少なくとも1つの第1のドリフト領域108と、少なくとも1つの第1のドープ領域110と、少なくとも1つの第2のドープ領域112と、ゲート構造114とを含む。半導体基板102は、HV半導体装置100を形成するための活性領域AAを有する。いくつかの実施形態では、半導体基板102は、任意選択的に、内部に形成された第1の導電型を有するウェル領域118を含むことができ、ウェル領域118は、HV半導体装置100のベースとして機能することができる。このとき、半導体基板102は、第1の導電型を有していてもよいし、第1の導電型と相補する第2の導電型を有してもよいが、本発明はこれに限定されない。HV半導体装置100の閾値電圧は、例えばウェル領域118のドーピング濃度に基づいて調整することができる。半導体基板102がウェル領域118と同じ導電型を有する場合、ウェル領域118のドーピング濃度は、半導体基板102のドーピング濃度よりも高くてもよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、ウェル領域118は、上面視において活性領域AAを覆うことができる。いくつかの実施形態では、半導体基板102は、内部に形成されたウェル領域を含まなくてもよく、半導体基板は、HV半導体装置100のベースとして機能する第1の導電型を有する。いくつかの実施形態では、半導体基板102は、HV半導体装置100を形成するための任意の適切な材料を含む。例えば、半導体基板102は、シリコン、シリコンゲルマニウム、炭化ケイ素、シリコンオンインシュレータ(SOI)、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)、ガラス、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、および/または他の適切なIII-V族化合物を含むことができるが、これらに限定されない。本発明において、上面視は、半導体基板102の上面に垂直な垂直方向VDと称してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、HV半導体装置100は、任意選択的に、活性領域AAを画定するための開口部116aを有する第2の分離構造116をさらに含んでもよい。例えば、第2の分離構造116はHV半導体装置100の要素を取り囲み、それにより、第2の分離構造116は、HV半導体装置100を同じ半導体基板102内に形成された他の装置から絶縁することができる。いくつかの実施形態では、第2の分離構造116は、シャロートレンチアイソレーション(STI)または他の適切な種類の分離構造であってもよい。
【0042】
ゲート構造114は、半導体基板102の活性領域AA上に配置される。この実施形態では、ゲート構造114は、第1の方向D1に沿って活性領域AAを横切って延在するストリップ構造であってもよい。いくつかの実施形態では、ゲート構造114は、活性領域AAを横切っていなくてもよい。いくつかの実施形態では、ゲート構造114は、HV半導体装置100のゲートとして機能するゲート電極132と、ゲート電極132と半導体基板102との間に配置されたゲート誘電体層134とを含むことができる。いくつかの実施形態では、ゲート構造114は、ゲート電極132およびゲート誘電体層134の側壁に配置されたスペーサをさらに含むことができる。
【0043】
第1の分離構造106は、ゲート構造114の側方において半導体基板102の活性領域AA内に配置される。ゲート構造114の延在方向(例えば、第1の方向D1)における第1の分離構造106の幅W1は、第1の方向D1における活性領域AAの幅よりも小さい。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106は、第2の分離構造116から分離される。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106は、STIまたは他の適切な種類の分離構造であってもよい。第2の方向D2における第1の分離構造106の幅は、装置特性の要件に従って調整することができる。
【0044】
第1のドリフト領域108は、上面視において、半導体基板102の活性領域AA内であって、第1の分離構造106の少なくとも3つの側方に配置されており、第1の分離構造106は、第1のドリフト領域108を垂直に貫通している。言い換えれば、第1の分離構造106の底部106Bは、第1のドリフト領域108の底部108Bよりも深い。第1の分離構造106は垂直方向VDに沿って第1のドリフト領域108を貫通してもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108は、上面視において第1の分離構造106を横方向に取り囲んでもよい。したがって、上面視における第1のドリフト領域108の形状は、「O」字状またはリング状であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106の縁部106E1または縁部106E2は、第2の分離構造116に接続されてもよいので、第1のドリフト領域108は、第1の分離構造106の他の3つの側方に配置されてもよい。第1のドリフト領域108は、第1の導電型と相補的な第2の導電型を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108は、上面視においてゲート構造114と部分的に重なってもよい。いくつかの実施形態では、第1の方向D1における第1のドリフト領域108の幅W2は、第2の分離構造116によって画定されてもよく、したがって、第1の方向D1における活性領域AAの幅に実質的に等しくてもよい。
【0045】
第1のドープ領域110は第1のドリフト領域108内に配置され、第1のドリフト領域108に包含され、第1の分離構造106は、第1のドープ領域110とゲート構造114との間に配置される。第1のドープ領域110は第2の導電型を有し、第1のドリフト領域108のドーピング濃度は、第1のドープ領域110のドーピング濃度よりも低い。第1のドープ領域110は、HV半導体装置100のドレイン/ソースとして機能してもよい。一実施形態では、第1のドープ領域110は、他の外部装置または電源に接続されるためのHV半導体装置100のドレイン/ソース端子として使用されてもよい、すなわち、第1のドリフト領域108は、第1のドープ領域110のみを介して他の外部装置に電気的に接続される。第1の分離構造106は第1のドープ領域110とゲート構造114との間に配置され、第1の分離構造106は第1のドリフト領域108を垂直に貫通するので、第1のドープ領域110からゲート構造114の下の半導体基板102またはウェル領域118への電流経路CP(
図1Aに示される矢印によって示される)は、第1の分離構造106の周りにあるべきであり、第1の分離構造106の直下にはないことに留意されたい。したがって、第1の分離構造106の配置は、ゲート構造114上の第1のドープ領域110からの電界の影響を低減することができ、それによってHV半導体装置100のドレイン/ソースにおける降伏電圧を高めることができる。第1の方向D1における第1の分離構造106の幅W1を広げることによって、電流経路CPを長くすることができる。この実施形態では、第1の方向D1における第1の分離構造106の幅W1は、第1の方向D1における第1のドープ領域110の幅W3以上であってもよい。例えば、第1の方向D1における第1の分離構造106の幅W1は、第1の方向D1における第1のドープ領域110の幅W3と、第1の方向D1における第1のドリフト領域108の幅W2との間であってもよい。言い換えれば、第1のドープ領域110は、第1の方向D1における第1の分離構造106の2つの対向する縁部106E1、106E2(すなわち、第2の分離構造116に近い縁部)の間に配置され、第1のドープ領域110は、ゲート構造114の延在方向に垂直な方向(例えば、第2の方向D2)において第1の分離構造106と完全に重なり合うので、第1のドープ領域110からゲート構造114の下の半導体基板102またはウェル領域118への電流経路CPを増加させることができ、それによってHV半導体装置100のドレイン/ソースにおける降伏電圧をより顕著に高める。また、降伏電圧は、例えば、第1の分離構造106の幅W1に基づいて調整されてもよい。
【0046】
第2のドープ領域112は、第1のドリフト領域108とは反対側のゲート構造114の別の側方において半導体基板102の活性領域AA内に配置される。第2のドープ領域112は第2の導電型を有し、HV半導体装置100のソース/ドレインとして機能することができ、これは、第2のドープ領域112が、他の外部装置または電源に接続されるためのHV半導体装置110のソース/ドレイン端子として使用され得ることを意味する。
【0047】
いくつかの実施形態では、HV半導体装置100は、任意選択的に、第2のドープ領域112に面するゲート構造114の側方において半導体基板102の活性領域AA内に配置された少なくとも1つの第2のドリフト領域130をさらに含んでもよく、第2のドープ領域112は、第2のドリフト領域130内に配置され、第2のドリフト領域130によって包含される。このような状況では、第2のドリフト領域130は第2の導電型を有し、第2のドリフト領域130のドーピング濃度は、第2のドープ領域112のドーピング濃度よりも低く、第2のドリフト領域130は、第2のドープ領域112のみを介して他の外部装置に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、第2のドリフト領域130は、上面視においてゲート構造114と部分的に重なってもよい。この状況では、第1のドリフト領域108と第2のドリフト領域130との間およびゲート構造114の下の半導体基板102またはウェル領域118は、HV半導体装置100のチャネル領域104を形成することができる。いくつかの実施形態では、第2のドリフト領域130の幅W5は、第1の方向D1における活性領域AAの幅と実質的に等しくてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、HV半導体装置100は、任意選択的に、第2のドープ領域112に面するゲート構造114の側方において半導体基板102の活性領域AA内に配置された少なくとも1つの第3の分離構造136をさらに含んでもよい。第3の分離構造136は、第2のドープ領域112とゲート構造114との間に配置される。第2のドリフト領域130は、上面視において第3の分離構造136の少なくとも3つの側方に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のドリフト領域130は、上面視において第3の分離構造136を横方向に取り囲んでもよい。したがって、上面視における第2のドリフト領域130の形状も、「O」字状またはリング状であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の分離構造136の縁部は第2の分離構造116に接続されてもよいので、第2のドリフト領域130は、第3の分離構造136の3つの側方に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の分離構造136は、第2のドリフト領域130を垂直に貫通してもよい。言い換えれば、第3の分離構造136の底部136Bは、第2のドリフト領域130の底部130Bよりも深い。いくつかの実施形態では、第1の方向D1における第3の分離構造136の幅W4は、第1の方向D1における第2のドリフト領域130の幅W5よりも小さい。第2の方向D2における第3の分離構造136の幅は、装置特性の要件に従って調整することができる。いくつかの実施形態では、第3の分離構造136は、第2の分離構造116から分離される。いくつかの実施形態では、第3の分離構造136は、STIまたは他の適切な分離構造であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のドープ領域110、第1のドリフト領域108および第1の分離構造106はそれぞれ、ゲート構造114に関して第2のドープ領域112、第2のドリフト領域130および第3の分離構造136に対して対称であってもよい。
【0049】
第3の分離構造136は第1の分離構造106と同様であるか、または同じ構造を有するので、第3の分離構造136は、第1の分離構造106と同じ機能を有してもよい。したがって、第3の分離構造136の配置は、ゲート構造114上の第2のドープ領域112からの電界の影響を低減することができ、それによってHV半導体装置100のソース/ドレインにおける降伏電圧を高めることができる。この実施形態では、第1の方向D1における第3の分離構造136の幅W4は、第1の方向D1における第2のドープ領域112の幅W6と、第1の方向D1における第2のドリフト領域130の幅W5との間にある。言い換えれば、第2のドープ領域112は、第1の方向D1における第3の分離構造136の2つの対向する縁部136E1、136E2の間に配置され、第2のドープ領域112は、ゲート構造114の延在方向に垂直な方向(例えば、第2の方向D2)において第3の分離構造136と完全に重なり合うので、第2のドープ領域112からゲート構造114の下の半導体基板102またはウェル領域118への電流経路を増加させることができ、それによってHV半導体装置100のソース/ドレインにおける降伏電圧をより顕著に高める。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の導電型および第2の導電型はそれぞれp型およびn型であり、したがってHV半導体装置100はn型トランジスタであるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の導電型および第2の導電型はまた、それぞれn型およびp型であってもよく、そのため、HV半導体装置100はp型トランジスタである。
【0051】
上述のHV半導体装置100のように、第1の分離構造106の深さDP1は第1のドリフト領域108の深さDP2よりも深く、第1の分離構造106の幅W1は第1のドープ領域110の幅W3よりも大きいため、ドレイン/ソースにおける降伏電圧を大幅に高めることができる。同様に、第3の分離構造136の配置は、ソース/ドレインにおける絶縁破壊電圧を著しく高めることができる。第1の分離構造106の深さDP1および第3の分離構造136の深さは、それぞれ例えば300nmであってもよい。第1のドリフト領域108の深さDP2は第1の分離構造106の深さDP1よりも浅いため、HV半導体装置100のチャネル領域104のチャネル長CLは、約1μmになるように制御されてもよいことに留意されたい。第1のドリフト領域の深さが300nmよりも大きいなど、第1の分離構造よりも大きくなるように製造される場合、チャネル領域のチャネル長を2μmよりも大きくする必要があり、それによってHV半導体装置のサイズの縮小が制限される。しかしながら、この実施形態のHV半導体装置100では、第1の分離構造106の深さDP1が第1のドリフト領域108の深さDP2よりも深いことによって、降伏電圧を高めることができるだけでなく、チャネル領域104のチャネル長CLも維持または低減することができる。
【0052】
図2は、第1の実施形態によるHV半導体装置の降伏電圧と、第1の分離構造を有しないHV半導体装置の降伏電圧を概略的に示す。
図2に示すように、第1の分離構造を有しないHV半導体装置は、ドレインにおいて約30Vの降伏電圧を有することができるが、上記実施形態のHV半導体装置100は、ドレインにおいて約40Vの降伏電圧を有することができる。このため、上記実施形態のHV半導体装置100の降伏電圧が大幅に高まる。
【0053】
図3は、第1の実施形態によるHV半導体装置の例示的な製造方法を概略的に示すフローチャートである。
図4A、
図5Aおよび
図1Aは、例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の上面図を概略的に示す。
図4B、
図5Bおよび
図1Bは、例示的な方法の異なるステップにおける例示的な構造の断面図を概略的に示す。本実施形態のHV半導体装置の製造方法は、以下のステップを含むが、これらに限定されない。まず、
図3、
図4Aおよび
図4Bに示すように、ステップS10を実行して半導体基板102を提供する。いくつかの実施形態では、半導体基板102を提供するステップは、半導体基板102内にウェル領域118を形成するステップをさらに含むことができる。その後、ステップS12が実行されて、少なくとも1つの第1の分離構造106が形成される。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106を形成するステップは、活性領域AAを画定するために半導体基板102内に第2の分離構造116を形成するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106を形成するステップは、任意選択的に、半導体基板102内に第3の分離構造136を形成するステップをさらに含んでもよく、すなわち、第1の分離構造106、第2の分離構造116および第3の分離構造136は同時に形成されてもよい。したがって、第1の分離構造106の底部106B、第2の分離構造116の底部116B、および第3の分離構造136の底部136Bは、同じレベルに位置する。いくつかの実施形態では、第1の分離構造106の底部106Bは、ウェル領域118の底部118Bよりも浅くてもよい。
【0054】
続いて、
図3、
図5Aおよび
図5Bに示すように、ステップS14を実行して、半導体基板102上にゲート構造114を形成する。具体的には、半導体基板102上に誘電体層および導電層を順次積層した後、1つのステップまたは異なるステップで導電層および誘電体層をパターニングして、ゲート電極132およびゲート誘電体層134を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ゲート構造114を形成するステップは、ゲート電極132およびゲート誘電体層134を取り囲むスペーサを形成するステップをさらに含むことができる。ゲート構造114が形成された後、ステップS16が実行され、ゲート構造114の側方において半導体基板102の活性領域内に第1のドリフト領域108が形成される。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108を形成するステップは、第1のドリフト領域108とは反対側のゲート構造114の別の側方において半導体基板102の活性領域内に第2のドリフト領域130を形成するステップをさらに含んでもよい。これにより、第1のドリフト領域108と第2のドリフト領域130との間にチャネル領域104を形成することができる。例えば、第1のドリフト領域108および第2のドリフト領域130は、ゲート構造114および上記分離構造をマスクとして利用する自己整合プロセスによって形成されてもよい。このような状況では、チャネル領域104のチャネル長CLは、ゲート構造114によって画定され得る。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108および第2のドリフト領域130を形成するステップは、追加のフォトマスクを利用することによって実行されてもよく、そのような状況では、チャネル領域104のチャネル長CLは、第1のドリフト領域108および第2のドリフト領域130によって画定される。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108および第2のドリフト領域130を形成するステップは、第1の分離構造106、第2の分離構造116および第3の分離構造136を形成する前に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のドリフト領域108および第2のドリフト領域130を形成するステップは、ゲート構造114を形成する前に実行されてもよい。第1のドリフト領域108の深さDP2は第1の分離構造106の深さDP1よりも浅いため、第1のドリフト領域108のアニール時間は長くしすぎる必要はない。したがって、動作電圧が40V程度のHV半導体装置100では、チャネル長CLを1μm程度に容易に制御して短くすることができ、動作電圧が約10V以上のHV半導体装置100では、チャネル長CLを1μm未満に短縮することができる。
【0055】
図3、
図1Aおよび
図1Bに示すように、別のフォトマスクを利用することによって、第1のドリフト領域108に第1のドープ領域110を形成し、第2のドリフト領域130に第2のドープ領域112を形成するステップS18を実行する。これにより、本実施形態のHV半導体装置100を形成することができる。第1のドープ領域110および第2のドープ領域112は上記分離構造をマスクとして利用することによって形成されないので、形成された第1のドープ領域110は第1の分離構造106から離間されてもよく、形成された第2のドープ領域112は第3の分離構造136から離間されてもよい。いくつかの実施形態では、ゲート構造114はゲートラストプロセスによって形成されてもよいので、ゲート構造114は、第1のドープ領域110および第2のドープ領域112の形成後に形成されてもよい。
【0056】
HV半導体装置およびその製造方法は、上記実施形態に限定されず、他の好ましい実施形態を有してもよい。説明を簡単にするために、以下の各実施形態における同一の構成要素には同一の符号を付している。なお、実施形態間の相違点を比較しやすくするために、以下の説明では、異なる実施形態間の相違点を詳細に説明し、同一の特徴について冗長に説明しない。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。本実施形態で提供されるHV半導体装置200は、HV半導体装置200が一方の端子(ドレインまたはソース)において高い降伏電圧を有し得る点で、第1の実施形態とは異なる。具体的には、HV半導体装置200は、第1の実施形態における第2のドリフト領域および第3の分離構造を含まない。この実施形態では、HV半導体装置200は、半導体基板102内にあって、第2のドープ領域112の隣にコンタクトドープ領域238をさらに含んでもよい。コンタクトドープ領域238は、第2のドープ領域112を形成した後に形成されてもよく、第2の導電型を有する。いくつかの実施形態では、HV半導体装置200は、ウェル領域を含まなくてもよい。
【0058】
図7Aは、本発明の第3の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図であり、
図7Bは、
図7Aの断面線B-B’に沿った例示的なHV半導体装置の断面図を概略的に示す。本実施形態で提供されるHV半導体装置300は、HV半導体装置300がゲート構造114の延在方向に垂直な方向(例えば、第2の方向D2)に沿って配列された複数の第1の分離構造306を含む点で、第1の実施形態とは異なる。この実施形態では、各第1の分離構造306は、第1の実施形態の第1の分離構造と同様または同じであってもよく、第2の方向D2における各第1の分離構造306の幅は、装置特性の要件に従って調整されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の分離構造306の少なくとも1つの幅W1は、第1のドープ領域110の幅W3と第1のドリフト領域108の幅W2との間であってもよく、第1の分離構造306の別の1つの幅W1は、第1のドープ領域110の幅W3よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の分離構造306の少なくとも1つの底部306Bは、第1のドリフト領域108の底部108Bよりも深くてもよく、第1の分離構造306の別の1つの底部306Bは、第1のドリフト領域108の底部108Bよりも浅くてもよい。いくつかの実施形態では、HV半導体装置300は、任意選択的に、第2の方向D2に沿って配置された複数の第3の分離構造336を含んでもよい。第3の分離構造336の構造は、第1の分離構造306と同様または同じであってもよく、詳細には説明しない。
【0059】
図8は、本発明の第4の実施形態による例示的なHV半導体装置の上面図を示す概略図である。本実施形態で提供されるHV半導体装置400は、HV半導体装置400がゲート構造114の延在方向(例えば、第1の方向D1)に沿って配列された複数の第1の分離構造406を含む点で、第1の実施形態とは異なる。この実施形態では、第1の分離構造406は互いに離間しており、HV半導体装置400はまた、第1のドリフト領域108内に配置され、かつ第1の方向D1に沿って配置された複数の第1のドープ領域410を含むことができる。各第1の分離構造406は、第1の実施形態の第1の分離構造106と同様または同じであってもよく、第1のドリフト領域108を垂直に貫通するので、詳細は説明しない。各第1の分離構造406は、各第1のドープ領域410からチャネル領域までの電流経路CPを増加させるように、対応する第1のドープ領域410とゲート構造114との間に配置されてもよい。具体的には、第1のドープ領域410は、ゲート構造114の延在方向に垂直な方向(例えば、第2の方向D2)において第1の分離構造406と完全に重なる。すなわち、第1の方向D1における各第1の分離構造406の幅は、第1の方向D1における対応する第1のドープ領域410の幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、HV半導体装置400はまた、複数の第1のドリフト領域108を含んでもよく、第1の分離構造406のうちの一方および第1のドープ領域410のうちの一方は、各第1のドリフト領域108内に配置される。いくつかの実施形態では、HV半導体装置400は、任意選択的に、第1の方向D1に沿って配置された複数の第3の分離構造436と、第2のドリフト領域130内に配置され、かつ第1の方向D1に配置された複数の第2のドープ領域412とを含むことができる。第3の分離構造436の構造は、第1の分離構造406と同様または同じであってもよく、第2のドリフト領域130を垂直に貫通するので、詳細は説明しない。各第3の分離構造436は、対応する第2のドープ領域412とゲート構造114との間に配置されてもよく、第1の方向D1における各第3の分離構造436の幅は、各第2のドープ領域412からチャネル領域への電流経路を増加させるように、第1の方向D1における対応する第2のドープ領域412の幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、HV半導体装置400はまた、複数の第2のドリフト領域130を含んでもよく、第2の分離構造436のうちの一方および第2のドープ領域412のうちの一方は、各第2のドリフト領域130内に配置される。
【0060】
開示されたHV半導体装置およびその製造方法を使用することによって、ドープ領域とゲート構造との間の分離構造の深さをドリフト領域の深さよりも深くすることができ、第1の方向における分離構造の幅をドープ領域の幅よりも大きくすることができるので、チャネル領域のチャネル長を増加させることなくドレイン/ソースにおける降伏電圧を著しく高めることができ、またはチャネル領域のチャネル長を減少させることができる。
【0061】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにするので、他の者は、当業者の技術の範囲内で知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、そして本発明の一般的な概念から逸脱することなく、様々な用途のためにこのような特定の実施形態を容易に修正および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書に提示される本発明および指針に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内にあることが意図される。本明細書の表現または用語は、本明細書の用語または表現が本発明および指針に照らして当業者によって解釈されるように、限定ではなく説明を目的とするものであることを理解されたい。
【0062】
本発明の実施形態は、指定された機能およびそれらの関係の実装を示す機能的構成要素を用いて上述されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では任意に定義されている。指定された機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0063】
発明の概要および要約書のセクションは、発明者(複数可)によって企図される本発明のすべてではないが1つ以上の典型的な実施形態を記載することができ、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものでは決してない。
【0064】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。