(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】半導体処理ツールにおけるRF電流測定
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230320BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230320BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 A
H01L21/302 101B
C23C16/50
(21)【出願番号】P 2020544396
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019019278
(87)【国際公開番号】W WO2019165296
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプーア・スニル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・トマス
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0168701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内の複数のステーションでプラズマ支援半導体処理を行う方法であって、
a)前記複数のステーションの各々に基板を提供し、
b)RF電力を複数のステーションに供給し、これにより前記ステーション内でプラズマを生成し、前記RF電力は、ステーション間のばらつきを低減するように調節されたRF電力パラメータに従って供給され、
c)前記RF電力の周波数を調整し前記周波数の調整は、
i)前記プラズマの電流を測定し、
前記プラズマの電流を測定することは、
a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、前記誘導素子は、前記電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、前記誘導素子は、前記プラズマを生成および維持するために前記処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、
b)前記プラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、前記誘導素子にわたる前記測定電圧を前記プラズマの前記電流に変換すること、を含み、
ii)i)で測定された前記電流に従って、前記RF電力の前記周波数の変更を決定し、
iii)前記RF電力の前記周波数を調節することを含み、
d)各ステーションで前記基板に対して半導体処理操作を実行すること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである、方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法であって、前記プラズマの前記RF電力周波数(f)の前記誘電素子(L)にわたる前記測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいて前記プラズマの前記電流(I)に変換され、前記線形比例係数は、1/2πfLで表される、方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の方法であって、前記容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積される、方法。
【請求項5】
請求項
1に記載の方法であって、前記容量素子は、約0.017pF以下の容量値を有する、方法。
【請求項6】
請求項
1に記載の方法であって、前記誘導素子は、約610nH以下のインダクタンス値を有する、方法。
【請求項7】
請求項
4に記載の方法であって、前記容量素子は、キャパシタンス値C=εA/dを有し、εは、誘電率であり、Aは、前記容量素子の面積であり、dは、前記容量素子の電極間の距離である、方法。
【請求項8】
請求項
1に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記プラズマの前記RF電力周波数での前記誘電素子のインピーダンスZによって決定される、方法。
【請求項9】
請求項
1または
8に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記電流センサの共振周波数ω
resを決定することによって決定される、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、共振周波数ω
resを含む周波数範囲にわたる前記電流センサのインピーダンスZを決定することによって決定される、方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記誘電素子のインダクタンス値Lおよび前記容量素子のキャパシタンス値Cを決定することによって決定される、方法。
【請求項12】
請求項
11の方法であって、前記RF電力周波数は、約13.56MHzのRF周波数である、方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法であって、前記RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、i)は、第2線形比例係数を用いて前記調整RF電力周波数で前記電流センサによって繰り返される、方法。
【請求項14】
プラズマ支援半導体蒸着のための装置であって、
複数の処理ステーションと、前記処理ステーションの各々は、少なくとも1つのウエハ支持体を備え、少なくとも1つの基板を受け入れるよう構成され、前記複数の処理ステーションは、チャンバ内にあり、
プラズマを生成および維持するために、RF電力を前記チャンバに供給するよう構成されている電源と、
プラズマ電流を測定するよう構成されている電流センサと、
前記RF電力周波数を調整するよう構成されているRF周波数調整器と、
前記複数の処理ステーションに供給される前記RF電力を調節することによって、ステーション間のばらつきを低減するよう構成されている1以上のRF電力アジャスタと、
1以上のコントローラと、
を備え、
前記1以上のコントローラ、前記電源、前記電流センサ、前記RF周波数調整器、および、前記RF電力アジャスタは、通信可能に接続され、前記コントローラは、前記RF電力周波数を調整するように構成されており、
前記RF電力周波数の調整は、
i)前記電流センサを用いて前記プラズマ電流を、
a)前記電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、前記誘導素子は、前記電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、前記誘導素子は、前記プラズマを生成および維持するために前記チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、
b)前記プラズマの前記RF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、前記誘導素子にわたる前記測定電圧を前記プラズマ電流に変換することによって決定し、
ii)i)で測定された前記電流に従って、前記RF電力の前記周波数の変更を決定し、
iii)前記RF周波数調整器を介して前記RF電力の前記周波数を調節し、
iv)各処理ステーションで半導体処理操作を実行する時に、ステーション間のばらつきを低減するために、各ステーションに供給される前記RF電力を調節するように、前記1以上のRF電力アジャスタに命令すること
を含む、装置。
【請求項15】
請求項
14に記載の装置であって、前記半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである、装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の装置であって、前記プラズマの前記RF電力周波数(f)の前記誘電素子(L)にわたる前記測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいて前記プラズマの前記電流(I)に変換され、前記線形比例係数は、1/2πfLで表される、装置。
【請求項17】
請求項
16に記載の装置であって、前記容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積される、装置。
【請求項18】
請求項
14に記載の装置であって、前記容量素子は、約0.017pF以下の容量値を有する、装置。
【請求項19】
請求項
14に記載の装置であって、前記誘導素子は、約610nH以下のインダクタンス値を有する、装置。
【請求項20】
請求項
17に記載の装置であって、前記容量素子は、キャパシタンス値C=εA/dを有し、εは、誘電率であり、Aは、前記容量素子の面積であり、dは、前記容量素子の電極間の距離である、装置。
【請求項21】
請求項
14に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記プラズマの前記RF電力周波数での前記電流センサのインピーダンスZによって決定される、装置。
【請求項22】
請求項
14または
21に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記電流センサの共振周波数ω
resを決定することによって決定される、装置。
【請求項23】
請求項
22に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、共振周波数ω
resを含む周波数範囲にわたる前記電流センサのインピーダンスZを決定することによって決定される、装置。
【請求項24】
請求項
23に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記誘電素子のインダクタンス値Lおよび前記容量素子のキャパシタンス値Cを決定することによって決定される、装置。
【請求項25】
処理チャンバ内でプラズマ支援半導体処理を行う方法であって、
a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、前記誘導素子は、前記電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、前記誘導素子は、前記プラズマを生成および維持するために前記処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、
b)前記処理チャンバ内のステーションで基板に対して半導体処理操作を実行するための前記プラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、前記誘導素子にわたる前記測定電圧を前記プラズマの前記電流に変換すること、
を備える、方法。
【請求項26】
請求項
25に記載の方法であって、前記半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである、方法。
【請求項27】
請求項
26に記載の方法であって、前記プラズマの前記RF電力周波数(f)の前記誘電素子(L)にわたる前記測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいて前記プラズマの前記電流(I)に変換され、前記線形比例係数は、1/2πfLで表される、方法。
【請求項28】
請求項
27に記載の方法であって、前記容量素子は、約0.017pF以下の容量値を有し、前記誘導素子は、約610nH以下のインダクタンス値を有する、方法。
【請求項29】
請求項
28に記載の方法であって、前記容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積され、さらに、前記容量素子は、キャパシタンス値C=εA/dを有し、εは、誘電率であり、Aは、前記容量素子の面積であり、dは、前記容量素子の電極間の距離である、方法。
【請求項30】
請求項
27に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記プラズマの前記RF電力周波数での前記誘電素子のインピーダンスZによって決定される、方法。
【請求項31】
請求項
25または
30に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記電流センサの共振周波数ω
resを決定することによって決定される、方法。
【請求項32】
請求項
31に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、共振周波数ω
resを含む周波数範囲にわたる前記電流センサのインピーダンスZを決定することによって決定される、方法。
【請求項33】
請求項
32に記載の方法であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記誘電素子のインダクタンス値Lおよび前記容量素子のキャパシタンス値Cを決定することによって決定される、方法。
【請求項34】
請求項
33の方法であって、前記RF電力周波数は、約13.56MHzのRF周波数である、方法。
【請求項35】
請求項
34に記載の方法であって、前記RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、b)は、第2線形比例係数を用いて前記調整RF電力周波数で前記電流センサによって繰り返される、方法。
【請求項36】
処理チャンバ内でのプラズマ支援半導体処理のための装置であって、
前記処理チャンバ内の処理ステーションと、前記処理ステーションは、少なくとも1つの基板を受けるよう構成されている少なくとも1つのウエハ支持体を有し、
プラズマを生成および維持するために、RF電力を前記処理チャンバに供給するよう構成されている電源と、
プラズマ電流を測定するよう構成されている電流センサと、
1以上のコントローラと、
を備え、
前記1以上のコントローラ、前記電源、および、前記電流センサは、通信可能に接続され、前記コントローラは、
a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、前記誘導素子は、前記電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、前記誘導素子は、前記プラズマを生成および維持するために前記処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、
b)前記処理チャンバ内のステーションで基板に対して半導体処理操作を実行するための前記プラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、前記誘導素子にわたる前記測定電圧を前記プラズマの前記電流に変換するよう構成されている、装置。
【請求項37】
請求項
36に記載の装置であって、前記半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである、装置。
【請求項38】
請求項
37に記載の装置であって、前記プラズマの前記RF電力周波数(f)の前記誘電素子(L)にわたる前記測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいて前記プラズマの前記電流(I)に変換され、前記線形比例係数は、1/2πfLで表される、装置。
【請求項39】
請求項
38に記載の装置であって、前記容量素子は、約0.017pF以下の容量値を有し、前記誘導素子は、約610nH以下のインダクタンス値を有する、装置。
【請求項40】
請求項
39に記載の装置であって、前記容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積され、さらに、前記容量素子は、キャパシタンス値C=εA/dを有し、εは、誘電率であり、Aは、前記容量素子の面積であり、dは、前記容量素子の電極間の距離である、装置。
【請求項41】
請求項
38に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記プラズマの前記RF電力周波数での前記誘電素子のインピーダンスZによって決定される、装置。
【請求項42】
請求項
36または
41に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記電流センサの共振周波数ω
resを決定することによって決定される、装置。
【請求項43】
請求項
42に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、共振周波数ω
resを含む周波数範囲にわたる前記電流センサのインピーダンスZを決定することによって決定される、装置。
【請求項44】
請求項
43に記載の装置であって、前記線形比例係数は、部分的には、前記誘電素子のインダクタンス値Lおよび前記容量素子のキャパシタンス値Cを決定することによって決定される、装置。
【請求項45】
請求項
44の装置であって、前記RF電力周波数は、約13.56MHzのRF周波数である、装置。
【請求項46】
請求項
45に記載の装置であって、前記RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、b)は、第2線形比例係数を用いて前記調整RF電力周波数で前記電流センサによって繰り返される、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2018年2月23日出願の米国特許出願第62/634,725号「RF CURRENT MEASUREMENT IN SEMICONDUCTOR PROCESSING TOOL」の優先権および利益を主張し、その出願は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
半導体デバイス製造は、半導体処理リアクタ内での半導体ウエハの処理を伴う。典型的な処理は、ウエハに対する材料の蒸着および除去(すなわち、エッチング)を含む。工業規模の製造において、各ウエハは、製造される特定の半導体デバイスの多くのコピーを含み、多くのウエハが、必要とされる量のデバイスを達成する必要がある。半導体処理操作の工業的な実現可能性は、処理条件のウエハ内均一性およびウエハ間再現性に大きく依存する。したがって、所与のウエハの各部分と、処理される各ウエハが、同じ処理条件にさらされることを保証するための努力がなされる。処理条件のばらつきは、処理および製品の全体に許容できないばらつきをもたらす蒸着およびエッチング速度のばらつきを引き起こしうる。
【発明の概要】
【0003】
1以上のコンピュータのシステムが、システムにインストールされ、動作時に、システムに作用を実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの組み合わせを有することで、特定の動作または作用を実行するよう構成されうる。1以上のコンピュータプログラムが、データ処理装置によって実行された時に装置に作用を実行させる命令を備えることで、特定の動作または作用を実行するよう構成されうる。
【0004】
一般的な一態様は、処理チャンバ内の複数のステーションでプラズマ支援半導体処理を行う方法を含む。その方法は、a)複数のステーションの各々に基板を提供し、b)RF電力を複数のステーションに供給し、これによりステーション内でプラズマを生成し、RF電力は、ステーション間のばらつきを低減するように調節されたRF電力パラメータに従って供給され、c)RF電力の周波数を調整し、周波数の調整は、i)プラズマの電流を測定し、ii)i)で測定された電流に従って、RF電力の周波数の変更を決定し、iii)RF電力の周波数を調節することを含み、d)各ステーションで基板に対して半導体処理操作を実行すること、を備える。この態様の別の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および、1以上のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラム、を含み、各々、方法の操作を実行するよう構成される。
【0005】
実施例は、以下の特徴の内の1以上を含んでよい。方法において、半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである。方法において、i)は、a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、誘導素子は、電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、誘導素子は、プラズマを生成および維持するために処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、b)プラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、誘導素子にわたる測定電圧をプラズマの電流に変換することを備える。方法において、プラズマのRF電力周波数(f)の誘電素子(L)にわたる測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいてプラズマの電流(I)に変換され、線形比例係数は、1/2πflで表される。方法において、容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積される。方法において、容量素子は、約0.017pf以下の容量値を有する。方法において、誘導素子は、約610nh以下のインダクタンス値を有する。方法において、線形比例係数は、部分的には、プラズマのRF電力周波数での誘電素子のインピーダンスzによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、電流センサの共振周波数ωresを決定することによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、共振周波数ωresを含む周波数範囲にわたる電流センサのインピーダンスzを決定することによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、誘電素子のインダクタンス値lおよび容量素子のキャパシタンス値cを決定することによって決定される。方法において、RF電力周波数は、約56MHzのRF周波数である。方法において、RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、i)は、第2線形比例係数を用いて調整RF電力周波数で電流センサによって繰り返される。方法において、容量素子は、キャパシタンス値c=Ea/dを有し、Eは、誘電率であり、aは、容量素子の面積であり、dは、容量素子の電極間の距離である。
【0006】
一般的な一態様は、プラズマ支援半導体蒸着のための装置を含む。その装置は、複数の処理ステーションと、処理ステーションの各々は、少なくとも1つのウエハ支持体を備え、少なくとも1つの基板を受け入れるよう構成され、複数の処理ステーションは、チャンバ内にあり、プラズマを生成および維持するために、RF電力をチャンバに供給するよう構成されている電源と、プラズマ電流を測定するよう構成されている電流センサと、RF電力周波数を調整するよう構成されているRF周波数調整器と、複数の処理ステーションに供給されるRF電力を調節することによって、ステーション間のばらつきを低減するよう構成されている1以上のRF電力アジャスタと、1以上のコントローラと、を備え、1以上のコントローラ、電源、電流センサ、RF周波数調整器、および、RF電力アジャスタは、通信可能に接続され、コントローラは、RF電力周波数を調整するように構成されており、RF電力周波数の調整は、a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、誘導素子は、電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、誘導素子は、プラズマを生成および維持するためにチャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、b)プラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、誘導素子にわたる測定電圧をプラズマ電流に変換することによってi)電流センサを用いてプラズマ電流を決定し、ii)i)で測定された電流に従って、RF電力の周波数の変更を決定しiii)RF周波数調整器を介してRF電力の周波数を調節しiv)各処理ステーションで半導体処理操作を実行する時に、ステーション間のばらつきを低減するように、各ステーションに供給されるRF電力を調節するように、1以上のRF電力アジャスタに命令すること、を含む。この態様の別の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および、1以上のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラム、を含み、各々、方法の操作を実行するよう構成される。
【0007】
実施例は、以下の特徴の内の1以上を含んでよい。装置において、半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである。装置において、プラズマのRF電力周波数(f)の誘電素子(L)にわたる測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいてプラズマの電流(I)に変換され、線形比例係数は、1/2πflで表される。装置において、容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積される。装置において、容量素子は、キャパシタンス値c=Ea/dを有し、Eは、誘電率であり、aは、容量素子の面積であり、dは、容量素子の電極間の距離である。装置において、容量素子は、約0.017pf以下の容量値を有する。装置において、誘導素子は、約610nh以下のインダクタンス値を有する。装置において、線形比例係数は、部分的には、プラズマのRF電力周波数での電流センサのインピーダンスzによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、電流センサの共振周波数ωresを決定することによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、共振周波数ωresを含む周波数範囲にわたる電流センサのインピーダンスzを決定することによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、誘電素子のインダクタンス値lおよび容量素子のキャパシタンス値cを決定することによって決定される。
【0008】
一般的な一態様は、処理チャンバ内でプラズマ支援半導体処理を行う方法を含む。その方法、a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、誘導素子は、電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、誘導素子は、プラズマを生成および維持するために処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、b)処理チャンバ内のステーションで基板に対して半導体処理操作を実行するためのプラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、誘導素子にわたる測定電圧をプラズマの電流に変換すること、を備える。この態様の別の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および、1以上のコンピュータストレージデバイスに記録されたコンピュータプログラム、を含み、各々、方法の操作を実行するよう構成される。
【0009】
実施例は、以下の特徴の内の1以上を含んでよい。方法において、半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである。方法において、プラズマのRF電力周波数(f)の誘電素子(L)にわたる測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいてプラズマの電流(I)に変換され、線形比例係数は、1/2πflで表される。方法において、容量素子は、約0.017pf以下の容量値を有し、誘導素子は、約610nh以下のインダクタンス値を有する。方法において、容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積され、さらに、容量素子は、キャパシタンス値c=Ea/dを有し、Eは、誘電率であり、aは、容量素子の面積であり、dは、容量素子の電極間の距離である。方法において、線形比例係数は、部分的には、プラズマのRF電力周波数での誘電素子のインピーダンスzによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、電流センサの共振周波数ωresを決定することによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、共振周波数ωresを含む周波数範囲にわたる電流センサのインピーダンスzを決定することによって決定される。方法において、線形比例係数は、部分的には、誘電素子のインダクタンス値lおよび容量素子のキャパシタンス値cを決定することによって決定される。方法において、RF電力周波数は、約13.56MHzのRF周波数である。方法において、RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、b)は、第2線形比例係数を用いて調整RF電力周波数で電流センサによって繰り返される。
【0010】
一般的な一態様は、処理チャンバ内でのプラズマ支援半導体処理のための装置を含み、その装置は:処理チャンバ内の処理ステーションであって、処理ステーションは、少なくとも1つの基板を受けるよう構成されている少なくとも1つのウエハ支持体を有する、処理ステーションと、プラズマを生成および維持するために、RF電力を処理チャンバに供給するよう構成されている電源と、プラズマ電流を測定するよう構成されている電流センサと、1以上のコントローラと、を備え、1以上のコントローラ、電源、および、電流センサは、通信可能に接続され、コントローラは、a)電流センサ内の誘導素子にわたる電圧を測定し、誘導素子は、電流センサ内の容量素子と電気的に並列であり、誘導素子は、プラズマを生成および維持するために処理チャンバに向かうプラズマ電流に対して電気的に直列であり、b)処理チャンバ内のステーションで基板に対して半導体処理操作を実行するためのプラズマのRF電力周波数に依存する線形比例係数を適用することに部分的に基づいて、誘導素子にわたる測定電圧をプラズマの電流に変換するように構成されている。
【0011】
実施例は、以下の特徴の内の1以上を含んでよい。装置において、半導体処理操作は、蒸着、エッチング、ストリッピング、または、薄膜の除去、の内の1つである。装置において、プラズマのRF電力周波数(f)の誘電素子(L)にわたる測定電圧(V)は、I=V/2πfLに部分的に基づいてプラズマの電流(I)に変換され、線形比例係数は、1/2πflで表される。装置において、容量素子は、約0.017pf以下の容量値を有し、誘導素子は、約610nh以下のインダクタンス値を有する。装置において、容量素子および誘導素子は、プリント回路基板上に集積され、さらに、容量素子は、キャパシタンス値c=Ea/dを有し、Eは、誘電率であり、aは、容量素子の面積であり、dは、容量素子の電極間の距離である。装置において、線形比例係数は、部分的には、プラズマのRF電力周波数での誘電素子のインピーダンスzによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、電流センサの共振周波数ωresを決定することによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、共振周波数ωresを含む周波数範囲にわたる電流センサのインピーダンスzを決定することによって決定される。装置において、線形比例係数は、部分的には、誘電素子のインダクタンス値lおよび容量素子のキャパシタンス値cを決定することによって決定される。装置において、RF電力周波数は、約13.56MHzのRF周波数である。装置において、RF電力周波数は、調整RF電力周波数に変更され、さらに、b)は、第2線形比例係数を用いて調整RF電力周波数で電流センサによって繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】半導体基板上に膜を蒸着するための基板処理装置を示す図。
【0013】
【
図2】プラズマ平衡化ハードウェアを利用しうるマルチステーション基板処理装置の一例を示す図。
【0014】
【
図3】RF周波数調整を用いてRF電源を共有する複数のステーションを備えたマルチステーションプラズマリアクタの一例において様々な構成要素を示す概略図。
【0015】
【
図4A】RF周波数調整およびRF電力パラメータ調節を利用するマルチステーション蒸着処理の処理フローチャート。
【0016】
【
図4B】RF周波数調整を利用するマルチステーション蒸着処理の処理フローチャート。
【0017】
【0018】
【
図6】インライン電流センサのプリント回路基板(PCB)実施例を示す図。
【0019】
【
図7】測定電圧を測定電流に変換するためのフローチャートの一例を示す図。
【0020】
【
図8】特定の周波数について測定電圧と測定電流との間の線形比例関係の一例を示す図。
【0021】
【
図9】インライン電流センサを較正および作動させるためのフローチャートの一例を示す図。
【0022】
【
図10】インライン電流センサを較正および作動させるためのフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明において、多くの具体的な実施例について説明する。ただし、当業者にとって明らかなように、本明細書に開示の技術および装置は、これらの具体的な詳細事項なしに実施されてもよいし、別の要素または処理を用いて実施されてもよい。また、本開示の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知の処理、手順、および/または、構成要素については、詳細に説明していない。
【0024】
RF電流を正確に測定することが、半導体製造ツールの制御およびトラブルシューティングの設定のための方法の主な要件の1つである。RF電流を測定するために開発された技術は、例えば、ピアソンプローブおよびロゴスキーコイルを含むが、これらに限定されない。かかる技術では、電流から生成されるフラックスが、二次コイルに電流を誘導するために用いられる。この誘導電流は、一次流路における電流に比例する電圧を二次コイルで生成する。かかる技術の不利点は、例えば、帯域幅が狭いことを含む。
【0025】
RF電源を共有する複数の処理ステーションを備えた半導体ツールにおいてマルチサイクル蒸着で用いられるRF電力を制御するための装置および方法が提供されている。RF電力お周波数と、RF電力を共有する個々のステーションに印加される電力とが制御される。
【0026】
図1は、半導体基板上に膜を蒸着するための基板処理装置を示す。
図1の装置100は、真空ポンプ118によって真空に維持されうる内部空間内に単一の基板ホルダ108を備えた単一の処理チャンバ102を有する。また、(例えば)膜前駆体、搬送ガスおよび/またはパージガスおよび/または処理ガス、二次反応物質などの供給のために、ガス供給システム101およびシャワーヘッド106が、チャンバに流体接続されている。処理チャンバ内でプラズマを生成するための装置も、
図1に示されている。
図1に概略的に示す装置は、半導体基板に対して化学蒸着(CVD)またはALDなどの膜蒸着動作を実行するための基本的な機器を提供する。
【0027】
簡単のために、処理装置100は、低圧環境を維持するために処理チャンバ本体102を有する独立型の処理ステーションとして図示されている。しかしながら、本明細書に記載するように、複数の処理ステーションが、共通の処理ツール環境に(例えば、共通の反応チャンバ内に)含まれてもよいことがわかる。例えば、
図2は、マルチステーション処理ツールの一実施例を示す。さらに、いくつかの実施例において、処理装置100の1以上のハードウェアパラメータ(上で詳述したパラメータなど)が、1以上のシステムコントローラによってプログラム的に調整されてよいことがわかる。
【0028】
処理ステーション100は、供給シャワーヘッド106に処理ガスを供給するための反応物質供給システム101と流体連通している。反応物質供給システム101は、シャワーヘッド106への供給に向けて処理ガスを混合および/または調整するための混合容器104を備える。1以上の混合容器入口バルブ120が、混合容器104への処理ガスの導入を制御しうる。
【0029】
いくつかの反応物質が、気化およびその後の処理チャンバ102への供給の前に、液体の形態で収容されてよい。
図1の実施例は、混合容器104に供給される液体反応物質を気化させるための気化ポイント103を備える。いくつかの実施例において、気化ポイント103は、加熱された液体注入モジュールであってよい。いくつかの別の実施例において、気化ポイント103は、加熱された気化器であってもよい。さらに別の実施例において、気化ポイント103は、処理ステーションから除外されてもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、気化ポイント103の上流に、液体フローコントローラ(LFC)が、気化および処理チャンバ102への供給に向けて液体の質量流量を制御するために提供されてよい。
【0031】
シャワーヘッド106は、処理ガスおよび/または反応物質(例えば、膜前駆体)を処理ステーションの基板112に供給し、その流れは、シャワーヘッドの上流の1以上のバルブ(例えば、バルブ120、120A、105)によって制御される。
図1に示した実施例において、基板112は、シャワーヘッド106の下方に配置されており、ペデスタル108上に図示されている。シャワーヘッド106は、任意の適切な形状を有してよく、基板112へ処理ガスを供給するための任意の適切な数および配列のポートを有してよい。
【0032】
空間107が、シャワーヘッド106の下方に配置されている。いくつかの実施例において、ペデスタル108は、空間107に基板112を暴露させるため、および/または、空間107の体積を変化させるために、上下されてよい。任意選択的に、ペデスタル108は、空間107内の処理圧力、反応物質濃度などを調節するために、蒸着処理中の一部の間に下げられてよい、および/または、上げられてよい。
【0033】
図1において、シャワーヘッド106およびペデスタル108は、プラズマに電力供給するために、RF電源114および整合回路網116と電気的に接続されている。いくつかの実施例において、プラズマエネルギは、処理ステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、および、プラズマ電力パルスタイミングの内の1以上を制御することにより、(例えば、適切なマシン読み取り可能な命令を有するシステムコントローラを用いて)制御されてよい。例えば、RF電源114および整合回路網116は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で動作されてよい。同様に、RF電源114は、任意の適切な周波数のRF電力を供給してよい。
【0034】
いくつかの実施例において、プラズマは、1以上のプラズマモニタによってその場で監視されてよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力が、1以上のキャパシタンス、電圧、および/または、電流センサ(例えば、VIプローブなどの負荷センサ)によって監視されてよい。かかるセンサの例は、MKS VI-Probe-4100および350を含む。かかるセンサは、キャパシタンス、電圧、電流、および、位相差を測定しうる。特定の実施例において、センサは、RF電源に電気接続されてよく、シャワーヘッドに配置されるか、または、その近くに配置されてよい。かかる実施例において、RF電源から見たインピーダンスは、プラズマのインピーダンスを代表しうる。別のシナリオでは、プラズマ密度および/または処理ガス濃度が、1以上の発光分光法(OES)センサによって測定されてもよい。いくつかの実施例において、1以上のプラズマパラメータが、かかるその場プラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整されてよい。例えば、負荷センサが、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためにフィードバックループで用いられてよい。いくつかの実施例において、他のモニタが、プラズマおよびその他の処理特性を監視するために用いられてもよいことがわかる。かかるモニタは、赤外線(IR)モニタ、音声モニタ、および、圧力変換器を含みうるが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施例において、プラズマは、入力/出力制御(IOC)シーケンシング命令によって制御されてよい。一例において、プラズマ活性化のプラズマ条件を設定するための命令は、処理レシピの対応するプラズマ活性化レシピに含まれてよい。一部の例では、処理レシピは、連続的に配列されてよく、その結果、処理のためのすべての命令が、その処理と同時に実行される。いくつかの実施例において、1以上のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマ処理の前のレシピに含まれてよい。例えば、第1のレシピが、不活性ガス(例えば、ヘリウム)および/または反応ガスの流量を設定するための命令と、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令と、第1のレシピのための時間遅延命令とを含んでよい。次の第2のレシピが、プラズマ発生器を有効にするための命令と、第2のレシピのための時間遅延命令とを含んでよい。第3のレシピが、プラズマ発生器を無効にするための命令と、第3のレシピのための時間遅延命令とを含んでよい。これらのレシピは、本開示の範囲内で、任意の適切な方法でさらに分割および/または反復されてもよいことがわかる。
【0036】
一部の蒸着処理において、プラズマ衝突は、数秒以上のオーダーの持続期間にわたって続く。本明細書に記載の特定の実施例では、はるかに短いプラズマ衝突が、処理サイクル中に適用されてもよい。これらは、50ミリ秒未満のオーダーであってよい(具体的な例において、25ミリ秒)。かかる短いRFプラズマ衝突は、プラズマの迅速な安定化および調整を必要とする。プラズマの迅速な安定化および調整を達成するために、プラズマ発生器は、粗調整要素および微調整要素を含む2操作調整処理を通して構成されてよい。粗調整要素では、インピーダンス整合が、特定のインピーダンスに予め設定されてよい。粗調整要素は、インピーダンスの大きさが、例えば、50オームの値になるように、予め設定されてよい。特定の実施例において、粗調整要素は、インピーダンスの大きさに影響する調節に限定されてよい。微調整要素では、RF周波数は、位相を目標値(ゼロの位相値など)に整合させようと試みるために、ベースライン周波数から浮動することを許容されてよい。従来、高周波プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で生成される。本明細書に開示される様々な実施例において、周波数は、位相を目標値に整合させるために、この標準値とは異なる値に浮動することを許容されてよい。特定の実施例において、微調整要素は、インピーダンスの位相に影響する調節に限定されてよい。インピーダンス整合を所定のインピーダンスに固定した状態で、周波数が浮動することを許容することにより、プラズマをはるかに迅速に安定化させることができる。ALDまたは原子層エッチング(ALE)のサイクルに関連する衝突など、非常に短いプラズマ衝突にとって、プラズマの迅速な安定化が有益でありうる。
【0037】
典型的な蒸着サイクルの最初の1~2ミリ秒間は、プラズマの点火を含む。プラズマの点火後、RF周波数の微調整が、プラズマ位相を目標値に整合させるために実行される。
【0038】
上述のように、1以上の処理ステーションが、マルチステーション基板処理ツールに含まれてよい。
図2は、プラズマ平衡化ハードウェアを利用しうるマルチステーション基板処理装置の一例を示す。装置コストおよび運転費用の両方に関して、
図2に示したようなマルチステーション処理装置の利用により、様々な効率化が達成されうる。例えば、単一の真空ポンプを用いて、すべての4つの処理ステーションについて、消費された処理ガスなどを排気することにより、すべての4つの処理ステーションの単一の高真空環境を作り出すことができる。実施例によっては、各処理ステーションは、ガス供給のための独自の専用シャワーヘッドを有してよいが、同じガス供給システムを共有してもよい。同様に、プラズマ発生装置の特定の要素が、処理ステーション間で共有されてもよい(例えば、電源)が、実施例によっては、特定の態様が、処理ステーションに固有であってもよい(例えば、シャワーヘッドがプラズマ発生電位を印加するために用いられる場合)。この場合も、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または、16、もしくは、それより多い反応チャンバあたりの処理ステーションなど、より多くまたはより少ない数の処理ステーションを処理チャンバごとに用いて、程度の差はあるが、かかる効率化を達成できることを理解されたい。
【0039】
図2の基板処理装置200は、複数の基板処理ステーションを含む単一の基板処理チャンバ214を利用し、各基板処理ステーションは、その処理ステーションでウエハホルダに保持された基板に処理操作を実行するために用いられてよい。この特定の実施例において、マルチステーション基板処理装置200は、図に示すように、4つの処理ステーション201、202、203、および、204を有する。他の同様のマルチステーション処理装置が、実施例と、例えば、所望の並列ウエハ処理レベル、サイズ/スペースの制約、コスト制約などとに応じて、より多くまたはより少ない処理ステーションを有してもよい。
図2には、基板ハンドラロボット226およびコントローラ250も示されている。
【0040】
図2に示すように、マルチステーション処理ツール200は、基板ロードポート220と、ポッド228を通してロードされたカセットから、大気ポート220を通して、処理チャンバ214内、そして、4つの処理ステーション201、202、203、または、204の1つの上に、基板を移動させるよう構成されているロボット226と、を有する。
【0041】
図2に示した処理チャンバ214は、4つの処理ステーション201、202、203、および、204を提供する。RF電力は、RF電力システム213で生成され、ステーション201~204の各々に供給される。RF電力システムは、1以上のRF電源(例えば、高周波数(HFRF)源および低周波数(LFRF)源)と、インピーダンス整合モジュールと、フィルタと、を備えてよい。特定の実施例において、電源は、高周波数源または低周波数源だけに限定されてもよい。特に明記しない限り、記載した蒸着処理は、高周波電力だけを用いることとする。RF電力システムの供給システムは、リアクタに関して対称であり、高いインピーダンスを有する。この対称性およびインピーダンスの結果として、各ステーションに供給される電力の量がおおよそ等しくなる。RF電力の小さい差(5~15%のオーダー)が、供給システム構成要素の公差、ステーションのアライメント、温度差、および、処理条件から生じうる。
【0042】
インピーダンス整合モジュール内の可変キャパシタの不正確な調整、または、RF電源からの電流の不正確な測定を含むが、これらに限定されない理由によるRF電力の小さい差は、様々な膜特性(例えば、組成、厚さ、密度、架橋結合の量、化学的性質、反応の完了、応力、屈折率、誘電率、硬度、エッチング選択比、安定性、密封性など)のウエハ間不均一性を引き起こしうる。個々のステーションでプラズマ電力を微調整し、変化するステーション条件に動的に反応する能力は、ウエハ間不均一性を減少させうる。本方法および装置は、マルチステーションリアクタに限定されず、本明細書に開示する方法および装置は、複数の処理領域がRF電源を共有する他のRF電力システムに適用されることに注意されたい。
【0043】
図2は、処理チャンバ214内の処理ステーション201、202、203、および、204の間で基板を移送するための基板移送装置290の一実施例も示す。任意の適切な基板移送装置が用いられてよいことがわかる。非限定的な例は、ウエハカルーセルおよびウエハハンドラロボットを含む。
【0044】
図2は、処理ツール200およびその処理ステーションの処理条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ250の一実施例も示す。システムコントローラ250は、1以上のメモリデバイス256と、1以上のマスストレージデバイス254と、1以上のプロセッサ252と、を備えてよい。プロセッサ252は、1以上のCPU、ASIC、汎用コンピュータ、および/または、専用コンピュータ、1以上のアナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、1以上のステッパモータコントローラボードなどを含みうる。
【0045】
いくつかの実施例において、システムコントローラ250は、個々の処理ステーションの動作を含む処理ツール200の動作の一部または全部を制御する。システムコントローラ250は、プロセッサ252上でマシン読み取り可能なシステム制御命令258を実行してよく、いくつかの実施例において、システム制御命令258は、マスストレージデバイス254からメモリデバイス256にロードされる。システム制御命令258は、タイミング;気体および液体反応物質の混合;チャンバおよび/またはステーションの圧力;チャンバおよび/またはステーションの温度;ウエハ温度;目標電力レベル;RF電力レベル;RF暴露時間;基板ペデスタル、チャック、および/または、サセプタの位置;ならびに、処理ツール200によって実行される特定の処理の他のパラメータ、を制御するための命令を備えてよい。これらの処理は、基板への膜の蒸着に関連する処理など、様々なタイプの処理を含みうるが、それらに限定されない。システム制御命令258は、任意の適切な方法で構成されてよい。例えば、処理ツール構成要素の動作を制御するために、様々な処理ツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトが書かれてよい。システム制御命令258は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラム言語でコードされてよい。いくつかの実施例において、システム制御命令258は、ソフトウェアで実装され、別の実施例において、命令は、ハードウェアで実装されてもよく(例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)内にロジックとしてハードコードされる)、また、別の実施例において、ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせとして実装されてもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、システム制御ソフトウェア258は、上述の様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を備えてよい。例えば、1以上の蒸着処理の各工程が、システムコントローラ250による実行のための1以上の命令を備えてよい。例えば、一次膜蒸着処理のための処理条件を設定するための命令が、対応する蒸着レシピに含まれてよく、キャッピング膜蒸着についても同様である。いくつかの実施例において、レシピは、連続的に配列されてよく、その結果、処理のためのすべての命令が、その処理と同時に実行される。
【0047】
システムコントローラ250に関連付けられたマスストレージデバイス254および/またはメモリデバイス256に格納された他のコンピュータ読み取り可能な命令および/またはプログラムが、いくつかの実施例において用いられてもよい。プログラムまたはプログラムセクションの例は、基板位置決めプログラム、処理ガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、および、プラズマ制御プログラムを含む。
【0048】
いくつかの実施例において、システムコントローラ250に関連したユーザインターフェースがあってよい。ユーザインターフェースは、表示スクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。
【0049】
いくつかの実施例において、システムコントローラ250によって調整されるパラメータは、処理条件に関してよい。非限定的な例として、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベル、周波数、および、暴露時間など)などが挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供されてよく、ユーザインターフェースを用いて入力されうる。
【0050】
処理を監視するための信号が、様々な処理ツールセンサから、システムコントローラ250のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてよい。処理を制御するための信号は、処理ツール200のアナログおよびデジタル出力接続で出力されてよい。監視されうる処理ツールセンサの非限定的な例は、マスフローコントローラ(MFC)、圧力センサ(圧力計など)、熱電対、負荷センサ、OESセンサなどを含む。適切にプログラムされたフィードバックアルゴリズムおよび制御アルゴリズムが、処理条件を維持するためにこれらのセンサからのデータと共に用いられてよい。
【0051】
システムコントローラ250は、蒸着処理を実施するためのマシン読み取り可能な命令を提供しうる。命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、RF電力パラメータ(電圧、位相、キャパシタンス、インピーダンス、位相、負荷電力など)のばらつきのようなステーション間のばらつき、周波数調整パラメータ、圧力、温度など、様々な処理パラメータを制御してよい。命令は、本明細書に記載の様々な実施例に従って、膜スタックのその場蒸着を行うために、インピーダンス整合モジュール内の可変キャパシタンスの制御、または、RF電源からプラズマへ供給される電力の測定に基づく電流源の制御など、パラメータの制御を行ってよいが、制御は、それらに限定されない。
【0052】
システムコントローラは、通例、1以上のメモリデバイスと、装置が本明細書に記載の処理に従って動作を実行するようにマシン読み取り可能な命令を実行するよう構成されている1または複数のプロセッサと、を備える。本発明に開示の基板ドープ処理に従って動作を制御するための命令を含むマシン読み取り可能な非一時的媒体が、システムコントローラに接続されてよい。
【0053】
マルチサイクル蒸着処理およびマルチステーション半導体処理装置のための様々な他の構成が、2014年5月15日出願の米国仮特許出願第61/994,025号に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
図3は、RF周波数調整を用いてRF電源を共有する複数のステーションを備えたマルチステーションプラズマリアクタの一例において様々な構成要素を示す概略図である。図に示すように、RF電源301(高周波数RF電源であってよい)が、配電ネットワーク321を介して複数のステーション351に供給される。HFRFは、約2~60MHz、または、約13.56MHzの周波数を有してよい。別の実施例において、低周波数RF電源が、高周波数RF電源に加えてまたはその代わりに用いられてもよい。低周波数RF電源は、約100kHz~約1MHz、または、約400kHzの周波数を有してよい。一部の市販のRF電源は、RF電力の周波数を調整する機能を備える。かかるRF電源の例は、Advanced Engineer社のParamoutシリーズ、MKS社のSurePowerシリーズ、Comdel社のCB、CLX、および、CDXシリーズ、ならびに、Huettinger社のTruPlasmaシリーズを含む。
【0055】
RF電源301からの電力は、固定整合モジュール303を含みうるインピーダンス整合システムを通して送られてよい。高周波数および低周波数RF電源の両方を含む特定の実施例において、ハイパスフィルタおよび/またはローパスフィルタも存在してよい。さらに、特定の実施例において、RF電源からの電力は、自動整合モジュールを通して送られてよい。高周波数RF電源に追加するか、その代わりに設けるかにかかわらず、低周波数RF電源を備える実施例では、低周波数電力が、固定または自動整合のいずれかを通して送られてよい。特定の実施例において、自動整合モジュールが、RF電力周波数をプラズマの負荷の設定インピーダンスに整合させるために用いられてよい。別の実施例において、RF電力周波数をプラズマの負荷の設定インピーダンスに自動的に整合させることのない固定整合モジュールが用いられてもよい。
【0056】
図3に示した実施例において、RF電源301は、配電ネットワーク321に接続されている。配電ネットワーク321は、RF電源301によって生成されたRF電力を複数のステーション351の各々に供給しうる。配電ネットワーク321は、複数のステーション351の各々のためのRFアジャスタ323に接続されている。複数のステーション351の各々について、RFアジャスタ323は、シャワーヘッド353の前の電力パラメータセンサ333に接続されている。電力パラメータセンサ333は、電圧、電力、キャパシタンス、インピーダンス、位相、負荷電力、または、OESセンサなど、以前に開示された任意のタイプのセンサであってよい。RF電源301は、RFコントローラ343から命令を取得して、ステーションに配分されるRF電力の周波数を変化させてよい。命令は、1以上の電力パラメータセンサ333によって検出された電圧、電流、キャパシタンス、インピーダンス、位相、または、負荷電力に従った周波数調整であってよい。別の実施例において、さらなるセンサが、すべてのステーション351におけるプラズマの位相を代表する最終位相を測定してもよい。次いで、RFコントローラ343は、さらなるセンサによって測定された最終位相に従って、ステーションに供給されるRF電力の周波数を変化させてよい。特定の実施例において、RFコントローラ343は、インピーダンスの位相がゼロまたはゼロ付近になるようにRF電力の周波数を変化させるための命令(例えば、コード)を含んでよい。
図3に示した実施例において、RFコントローラ343は、個々のステーションの上流でRF電源301からのRF電力の周波数を変化させてよい。
【0057】
RFアジャスタ323は、RFコントローラ343によって制御される。RFコントローラ343は、各ステーション351でセンサ333からの測定値に基づいて決定された量によって、個々のステーションでのRF電力を変化させてよい。特定の実施例において、RFアジャスタ323は、可変キャパシタであってよい。RFコントローラ343は、可変キャパシタのキャパシタンスを変化させることができるステッパモータ(図示せず)を制御してよい。キャパシタンスを変化させるためのその他の方法が用いられてもよい。例えば、RFアジャスタ323は、個々のスイッチを備えたキャパシタのバンクでもあってもよい。RF電力は、指定された値を有する複数のキャパシタをアクティブにする(オンにする)ことによって制御されてよい。例えば、キャパシタは、1pF、2pF、4pF、8pF、および、16pFのシャントキャパシタンスをステーションへ追加するように選択されてよい。この例では、アクティブ(オン)および非アクティブ(オフ)のキャパシタのすべての組合せで、1pFの分解能で0pF~31pFの範囲を網羅する。どのキャパシタをアクティブにするかを選択することにより、コントローラは、ステーションへのRF電力を変更することができる。このデジタル制御は、特に、幅広いキャパシタンスを網羅する必要がある場合に、ステッパモータを用いて可変キャパシタを制御するよりも高速でありうる。利用可能な空間および必要な制御量に応じて、当業者は、1以上のキャパシタを用いて特定の量だけRF電力を変化させるRFアジャスタを設計できる。
【0058】
別の実施例において、RFアジャスタ323は、可変コイルインダクタであってもよい。RFコントローラ343は、ステーションに供給されるRF電力に影響するように可変コイルインダクタを制御してよい。特定の実施例において、RFアジャスタは、キャパシタおよびインダクタに限定されない。特定の実施例において、他のRFアジャスタ323が、共振回路または抵抗回路など、RFアジャスタ電力を変化させるための異なるメカニズムを利用してもよい。
【0059】
センサ333は、少なくとも1つのRF電力パラメータを測定する。測定されるRF電力パラメータは、電圧、電流、キャパシタンス、インピーダンス、位相、または、負荷電力であってよい。RF電力パラメータを測定して、測定値をRFコントローラ343へ提供するために、市販のプローブが用いられてよい。非RFパラメータを測定して、RFコントローラ343のためのソース信号として用いることも可能である。例えば、ステーションプラズマまたは基板温度センサからの光放射が、ステーション特性を測定し、それらをアジャスタコントローラ343へ供給することができる。光放射システムは、ステーションプラズマによって放射された光を収集するために、各ステーションの近くに設置されてよい。基板温度センサが、基板の下に組み込まれた遠隔赤外線検出システムを用いてよい。センサ333が、複数のRF電力パラメータを測定してもよいし、複数のセンサが、複数のRF電力パラメータを測定するために、特定の実施例において用いられてもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、RFアジャスタは、マルチステップ処理(マルチサイクルALD処理など)を通して固定された値または値の範囲に設定されてよい。かかる実施例において、1以上のRF電力パラメータのリアルタイム検知、および、RF電力のステーション間の供給の調節は、ほとんどまたは全く必要ない。
【0061】
いくつかの実施例において、RFアジャスタ323は、RF電源301の発生器インピーダンスおよびプラズマの負荷インピーダンスを自動整合するために用いられる。例えば、RFアジャスタ323は、2つの可変キャパシタを備えうる。第1可変キャパシタは、直列(調整)キャパシタであってよく、第2可変キャパシタは、シャント(負荷)キャパシタであってよい。2つの可変キャパシタは、反射を最小化して電力伝達を最大化するために、プラズマの負荷インピーダンスがRF電源301の発生器インピーダンス(例えば、50オーム)に整合されるように調整されうる。
【0062】
特定の実施例において、RFアジャスタ323を通して流れる電流が、インピーダンス整合の有無を示しうる。例えば、最大電流または最小電流を示す電流測定値は、発生器インピーダンスおよび負荷インピーダンスが整合しないことを示す。様々な実施例において、RFコントローラ343は、センサ333と通信して、RFアジャスタ323を通して流れる電流の測定値を取得し、RFコントローラ343は、RFアジャスタ323と通信して、最大電流または最小電流から電流を変化させるように、例えば、RFアジャスタ323の可変キャパシタを制御する。
【0063】
本明細書に開示する電流センサは、センサ333内にあるものに限定されず、RFアジャスタ323の電流を測定するものにも限定されない。本明細書に開示する電流センサは、本明細書に記載のマルチステーションプラズマリアクタ内の様々な構成要素の電流を測定するために用いられてよく、他の半導体装置における電流の測定にも用いられてよいことを理解されたい。
【0064】
様々な実施例において、センサ333は、様々な技術を用いて電流を測定できる。電流測定技術の例は、ピアソンプローブ、ロゴスキーコイルなどを含む。かかる技術において、一次流路において電流から生成されるフラックスが、二次コイル内に電流を誘導するために用いられる。この誘導電流は、一次流路における電流に比例する電圧を二次コイルで生成する。いくつかのシナリオにおいて、電流測定のためのかかる技術は、高価、狭帯域幅であり、高い変動性を示す。
【0065】
或る種の実施例において、センサ333は、マルチステーションプラズマリアクタ内の構成要素のインライン電流を測定する広帯域電流センサである。いくつかの実施例において、センサ333は、少なくともインダクタおよびキャパシタを備える。非限定的な例として、インダクタは、低い値であってよく、電流の主な流路として機能することができ、キャパシタは、それにわたる電圧を測定できる高インピーダンス回路をもたらしうる低い値のキャパシタ(例えば、<1pF)であってよい。
【0066】
広い周波数帯域幅にわたって電流検知を提供するよう構成されているセンサ333の実施例を動作させる方法の一例が、
図5のセンサ500の実施例および
図7のフローチャートを参照して示されている。
図5に示すように、キャパシタCが、インダクタLと並列に接続されて、並列LC回路を形成している。図に示すセンサ500の実施例は、RFアジャスタ323、RF電源301、配電ネットワーク321、固定整合モジュール303、または、プラズマを含むがそれらに限定されない構成要素において電流を測定するために、直列で備えられうる。
図5の図の例において、センサ500は、RF電源501からプラズマ511へ流れる電流を測定している。電流が測定される場所に直列にセンサ500が挿入された場合、センサ500の電流に比例する電圧VがインダクタLにわたって生じ、電圧Vが測定される(工程705)。インダクタの電圧は、例えば、RFアジャスタ323、RF電源301、配電ネットワーク321、固定整合モジュール303、または、プラズマの特定の動作周波数に対して決定される(工程710)周波数依存比例係数に基づいて、センサ500の電流に線形比例する。測定電圧Vに周波数依存比例係数を適用することにより、測定電流が得られる(工程715)。
【0067】
図8は、測定電圧を測定電流に変換するための周波数依存比例係数の一例を提供する。一例として、約5Vの測定電圧は、約6Aの測定電流に変換することができ、約10Vの測定電圧は、約12Aの測定電流に変換することができ、それにより、約1.2の比例係数に対応する。センサ500内のハードウェアの変更もセンサ500の交換も必要とせずに、インダクタLの測定電圧を電流値に変換するために用いられる比例係数を変化させることにより、センサ500を用いて、異なる周波数で電流を測定できることを理解されたい。
【0068】
センサ500は、インダクタLの端子で電圧を測定するための電圧測定装置521に接続するためのインターフェースを備えてよい。電圧測定装置は、当業者に周知の様々なアーキテクチャの任意の1つで実装されてよい。いくつかの実施例において、電圧測定は、オシロスコープで実行されてよい。様々な実施例において、データ取得、入力/出力コントローラなどの装置と共に電圧の測定を容易にするために、電圧分配器および/またはピーク検出回路が用いられる。電圧測定装置は、センサ500と一体化されてもよいし、入力/出力ポートを通してセンサ500とインターフェース接続してもよい。
【0069】
広い周波数帯域幅にわたって電流検知を提供するよう構成されているセンサ333のPCBレイアウトの一例が、
図6にセンサ600として示されている。いくつかの実施例において、PCB電流検知ボードは、さらなる能動素子も受動素子も必要としないため、センサ600は、簡単でコスト効率よく製造できる。センサ600は、誘電素子605を備える。様々な実施例において、誘電素子605は、非常に低い値のインダクタンスを提供し、電流の主な流路(スルーライン)として機能する。ラインのインダクタンスは、ラインの長さおよび幅のサイズ(例えば、PCBボードサイズ)に依存する。センサ600は、さらに、容量素子610を備える。容量素子610は、式C=εA/dを用いて計算および/または測定することができ、ここで、εはボード材料の誘電率、Aはパッチの面積、dはボードの厚さである。ボードの背面(図示せず)は、容量素子610のための電極として機能する同様の平行パッチを有することを理解されたい。幅広い実施例において、容量素子は、非常に低いキャパシタンスを提供し、それにわたる電圧が測定される非常に高インピーダンスの回路を生成する。
図6の例に示すように、正面プレート接続615および背面プレート接続620が、容量素子610内のキャパシタプレートを、誘電素子605を有するスルーラインに電気接続する。特定の実施例において、センサ600は、様々なサイズの4つの点付きのパッチによって示すように、1以上の微調整キャパシタを備える(それらの内の1つは、微調整キャパシタ625として識別される)。7cm×7cmのPCB電流検知ボードのサンプル実施例に対して、発明者は、約610nHのインダクタンスおよび約0.017pFのキャパシタンスを観察した。サンプルPCB電流検知ボードは、100Wで約18Vを提供し、3kWで約53Vまで増大した。より小さいボードは、インダクタンス、キャパシタンス、および、測定電圧を下げることができることを理解されたい。さらに、同じセンサボードを電圧および電流の測定に利用することができること、そして、同じノードポイントが利用される場合、位相差が正確でありうることを理解されたい。
【0070】
いくつかの実施例において、センサ333内のインダクタLの測定電圧と電流との間の線形の関係を示す周波数依存比例係数は、較正測定値に基づいて決定されうる。例えば、センサ333は電流源に接続されてよく、インダクタLは電圧計に接続されてよく、電流源は、特定の周波数で電流量の傾斜(0アンペアから12アンペアまで、など)を実行するよう構成されてよい。結果として得られる電圧と電流量との関係は、特定の周波数に対する比例係数を導出するために利用できる。電流量の傾斜は、異なる周波数に対する異なる比例係数を取得するために、異なる周波数で実行されうる。
【0071】
特定の実施例において、センサ333は、理論計算または製造仕様に基づいて推定されたインダクタンスL値および/またはキャパシタンスC値を用いて電流Iを決定するために利用されうる。様々な実施例において、センサ333は、インダクタンスまたはキャパシタンスの値の較正測定値なしでも、高い精度を提供できる。例えば、実際のキャパシタ値が推定キャパシタ値から100%だけ高い(例えば、1pFから2pF)場合、測定電流の誤差は、<0.0073%に抑制され、さらに、実際のキャパシタ値が推定キャパシタ値から50%だけ低い(例えば、1pFから0.5pF)場合、測定電流の誤差は、<0.0037%に抑制される。
【0072】
様々な実施例において、センサ333は、
図9のフロー例に示すように、較正測定値に基づいたインダクタンスおよびキャパシタンスの値を用いて動作されうる。例えば、センサ333のための較正測定値は、共振周波数測定値を含む(工程905)。例えば、並列LC回路の1端子は、インダクタLおよびキャパシタCを含み、可変周波数発生器に接続され、並列LC回路の第2端子は、例えば、電気的接地に接続される。センサ333は、キャパシタCおよびインダクタLの端子での共振周波数ω
resを検出するための共振計に接続するためのインターフェースを備えてよい。共振計は、センサ333と一体化されてもよいし、入力/出力ポートを通してセンサ333とインターフェース接続してもよい。共振計は、当業者に周知の様々なアーキテクチャの任意の1つで実装されてよい。例えば、共振周波数では、最小の電流がセンサ333を通して流れ、共振計は、センサ333を流れる電流を測定する電流計を備えてよい。この例について続けると、周波数範囲にわたって可変周波数発生器の出力を掃引することによって実行される周波数スキャンにおいて、電流最小値対周波数のプロットは、センサ333内の並列LC回路の共振周波数ω
resを示す。並列LC回路の共振周波数は、LおよびCの値の特性であり、その関係性は、角周波数ω
res=1/sqrt(LC)またはヘルツ周波数=1/(2πsqrt())で表される。例えば、並列LC回路内のインダクタンスLまたはキャパシタンスCを増大させると、共振周波数が減少する。
【0073】
いくつかの実施例において、共振周波数を決定するための周波数掃引の一部としてまたは別個に、周波数曲線に対するインピーダンスZの測定値も取得されうる(工程910)。特定の実施例において、インピーダンス測定値は、電圧および電流の測定値から導出され、ここで、インピーダンスは、V/Iの比である。インピーダンス、電圧、および/または、電流の測定装置は、当業者に周知の様々なアーキテクチャの任意の1つで実装されてよい。インピーダンスZ対周波数の関係は、Z=V/I=|(jωL)/(1-ω2LC)|として表現されうる。
【0074】
幅広い実施例において、共振周波数と、インピーダンスZ対周波数ωの関係とを決定するために利用できる較正測定値は、2つの未知の値(すなわち、LおよびC)を導出するために利用できる2つの既知の値(すなわち、ωres(またはfres)およびZ)を提供する(工程915)。具体的には、式ωres=1/sqrt(LC)およびZ=V/I=|(jωL)/(1-ω2LC)|は、周波数ω依存の式L=(Z/ω)(1-(ω2/ωres
2))およびC=1/(ωres
2L)に再構成されうる。次いで、較正に基づいたLおよびCの決定は、特定の動作周波数ω=2πfでのインピーダンスZを決定することなどによって、周波数依存線形比例係数を決定するためにインライン電流検知用のセンサ333の動作中に利用される(工程920)。非限定的な例として、I=C(dV/dt)またはC=I/(dV/dt)を含むがこれらに限定されない式により、特定のキャパシタンスCの値および測定されたキャパシタの電圧の変化率に対する電流Iの導出が可能になる。
【0075】
様々な実施例において、センサ333は、
図10のフロー例に示すように動作されうる。上述の較正測定値は、共振周波数を決定するために利用できる(工程1005)。例えばセンサ333の実施例における容量素子610は、式C=εA/dを用いて計算および/または測定することができ、ここで、εはボード材料の誘電率、Aはパッチの面積、dはPCBボードの厚さである(工程1010)。インダクタンスLは、既知のCおよび既知の共振周波数から決定することができ、ここで、ω
res=1/sqrt(LC)またはf
res=1/(2πsqrt(LC))である(工程1015)。誘電素子の電圧が測定される(工程1020)。誘電素子LのインピーダンスZ
LがZ
L=jωLであるので、誘電素子Lの測定電圧Vは、測定電流Iに変換することができ(工程1025)、ここで、I=V/2πfLであり、fは、特定の動作周波数を表し、ω=2πfである。
【0076】
いくつかの実施例において、センサ333内の並列LC回路は、Q値に基づいて特徴付けられうる。Q値は、並列LC回路の帯域幅選択性を表し、C/Lの比に比例する。例えば、インダクタンスLが高いほどおよび/またはキャパシタンスCが低いほど、Q値は低くなり、センサ333に対するより広い帯域幅に対応する。
【0077】
いくつかの実施例において、センサ333内の並列LC回路は、潜在的なノイズ信号を含む帯域幅に対する広帯域電流検知能力を提供する。特定の実施例において、センサ333の帯域幅特性は、Q値を変化させることまたは中心周波数をシフトさせることを含むがこれらに限定されない技術によって潜在的なノイズ信号を排除するために調節されうる。様々な実施例において、フィルタが、潜在的なノイズ信号をフィルタアウトするためにセンサ333に接続されてよい。フィルタは、当業者に周知の様々なアーキテクチャの任意の1つを用いて実装されてよい。本明細書で用いるフィルタという用語は、単一のフィルタ要素、または、複数のフィルタ要素に対応する等価なフィルタを含むことを理解されたい。様々な実施例において、フィルタは、2~60MHzの範囲内の周波数信号(13.56MHzなどであるがこれに限定されない)を通過させる。或る種の実施例において、フィルタは、100kHz~約1MHzの範囲の周波数信号(400kHzなどであるがこれに限定されない)を通過させる。
【0078】
センサ333内のインダクタおよびキャパシタは各々、当業者に周知の様々なアーキテクチャの任意の1つを用いて実装されてよい。本明細書で用いるキャパシタ(またはインダクタ)という用語は、単一のキャパシタ(またはインダクタ)要素、もしくは、複数のキャパシタ(またはインダクタ)要素に対応する等価なキャパシタ(またはインダクタ)を含むことを理解されたい。或る種の実施例において、キャパシタは可変キャパシタである、および/または、インダクタは可変インダクタである。例えば、可変キャパシタおよび/または可変インダクタは、組み込み微調整メカニズムとしてセンサ333の周波数特性を変化させるために調節されうる。非限定的な例として、RF電源コントローラ343は、可変キャパシタ/インダクタのキャパシタンス/インダクタンスを変化させることができるステッパモータを制御してもよいし、RFコントローラ343は、個々のスイッチを備えたキャパシタ/インダクタのバンクを制御してもよい。
【0079】
RF電流を測定するためのセンサ333の実施例は、正確かつ安価で、帯域幅が広く、容易に製造でき(例えば、PCBパッケージなど)、簡単な較正手順を含むことができることを理解されたい。様々な実施例において、センサ333は、キャパシタの電圧が電流に線形比例するように、組み込み微調整メカニズムを備えうる。すでに詳述したように、比例係数は、周波数と共に変化し、センサ333は、比例係数を変化させることによって任意の周波数で利用できる。
【0080】
特定の実施例において、センサ333は、インダクタ、キャパシタ、マルチステーションプラズマリアクタ内の構成要素と直列接続するためのインターフェース、電圧測定装置に接続するためのインターフェースを備えており、ここで、インダクタおよびキャパシタは、並列に配置され、インダクタの値は、インダクタがセンサ333を流れる電流の主な流路になるように構成され、キャパシタの値は、キャパシタが電圧測定装置のためのインターフェースにわたって高いインピーダンスを生成するように構成される。様々な実施例において、センサ333は、共振周波数を決定し、インピーダンス対周波数の関係を決定し、共振周波数と、インピーダンス対周波数の関係とに基づいて、センサ333内の対応するインダクタおよびキャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスの値を決定する方法を用いて較正される。
【0081】
各ステーション351は、接地されたペデスタル357と連動して動作するシャワーヘッド353を含む。供給される電力および周波数は、例えば、ステーションあたり約50~6,000Wの範囲内で、処理ガスからプラズマを生成するのに十分である。電力レベルは、実施例に従って変化してよい。RF電力は、シャワーヘッド353を介してステーション処理領域に接続され、RF電力が印加された時にプラズマを生成または維持する。プラズマは、様々なメカニズムによって基板上に材料を蒸着させる。例えば、プラズマは、処理ガスを分解させて、基板表面上で反応させる。図の実施例において、RF電流は、ペデスタル357で接地され、ペデスタル357は、接地331に接続されている。特定の別の実施例において、RF電流は、チャンバ内の別の位置(シャワーヘッドなど)に接地されてもよい。
【0082】
上述した半導体ツールは、プラズマ平衡化に用いられてよい。プラズマ平衡化は、短いサイクル期間を有するマルチサイクル蒸着処理(ALDおよび原子層エッチング(ALE)など)で特に有利でありうる。原子層エッチング法は、以下の米国特許においてさらに論じられており、それらの特許の各々は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる:米国特許第7,416,989号「ADSORPTION BASED MATERIAL REMOVAL PROCESS」、米国特許第7,977,249号「METHODS OF REMOVING SILICON NITRIDE AND OTHER MATERIALS DURING FABRICATION OF CONTACTS」、米国特許第8,187,486号「MODULATING ETCH SELECTIVITY AND ETCH RATE OF SILICON NITRIDE THIN FILMS」、米国特許第7,981,763号「ATOMIC LAYER REMOVAL FOR HIGH ASPECT RATIO GAPFILL」、および、米国特許第8,058,179号「ATOMIC LAYER REMOVAL PROCESS WITH HIGHER ETCH AMOUNT」。
【0083】
短いサイクル期間を有するマルチステップ蒸着処理のプラズマ活性化工程は、短時間でありうる。プラズマ活性化工程の期間は、約150ミリ秒以下(例えば、約50ミリ秒)でありうる。期間が短いことにより、プラズマの一貫性の制御が、処理の均一性に影響を有する。プラズマ平衡化は、プラズマの一貫性を制御するために用いられてよい。
【0084】
図4Aは、RF周波数調整およびRF電力パラメータ調節を利用するマルチステーション蒸着処理の処理フローチャートである。
図4Aに記載の処理は、上述したALDサイクルの工程3など、蒸着処理における様々な工程に適用できる。蒸着手順の文脈でその処理を論じているが、処理の要素は、任意のプラズマ支援半導体処理に適用されてよい。
【0085】
操作401で、基板が提供される。基板は、マルチステーションツールの1以上のステーションに提供されてよい。基板は、ステーションに基板をロードすることによって提供されてもよいし、基板は、以前の操作により(以前のサイクルからなど)ステーション内にすでにあってもよい。
【0086】
基板が提供された後、ガス流が操作403で確立され、圧力が設定点に安定化される。操作405で、RF電力の生成を開始する。RF電力は、HFRF、LFRF、もしくは、HFRFおよびLFRFの両方であってよい。操作405の前、電極(典型的には、シャワーヘッド)と、基板との間のインピーダンスは、開回路のインピーダンスと同様に、非常に高い可能性がある。操作405で、RF電力が、プラズマを点火するために生成および印加されてよい。RF電力は、インピーダンスの大きさが、特定の抵抗値(50オームの抵抗値など)に固定されるように印加されてよい。RF電力は、固定周波数で印加されてよい。固定周波数は、RF電力の所定の周波数であってよい。特定の別の実施例において、操作405で生成されるRF電力の周波数は、固定周波数に従わなくてもよい。かかる実施例において、操作405の周波数は、アルゴリズム、ユーザ入力、蒸着処理の以前の操作からのフィードバックを用いるなど、様々な方法で変更されてよい。特定の実施例において、操作405は、5ミリ秒未満の期間など、制限された期間にわたって持続してよい。
【0087】
プラズマが適切に点火された後、処理は、操作407に進んでよい。操作407以降には、全電力が供給される。操作407~419が、蒸着処理の工程の残り期間中に繰り返される。したがって、
図4Aの処理がALDサイクルの工程3で用いられる場合、操作407~419は、工程3の終わりまで繰り返される。操作407で、プラズマのインピーダンスが測定されてよい。
図4Aに記載の処理の間、化学反応と、処理ステーション内の環境条件の変化が、プラズマのインピーダンスの変化につながりうる。インピーダンスは、プラズマのインピーダンスを測定するために通例用いられる任意のセンサによって測定されてよい。測定されるインピーダンスは、RF電力の供給源から見たインピーダンスであってよい。RF電力の供給源から見たインピーダンスは、本開示の他で記載したセンサによって測定されてよい。例えば、RF電力の供給源に導電的に接続されたロードセンサが、RF電力の供給源から見たインピーダンスを測定してよい。
【0088】
操作408で、RF電力の周波数は、工程407で測定されたインピーダンスに従って調整されてよい。半導体処理ツールの特定の実施例は、コントローラと、検出されたインピーダンスにRF電力周波数を整合させるための関連する命令と、を備えてよい。命令は、プロットに基づいてもよいし、式に従ってもよいし、必要なRF電力周波数を計算するその他の方法に従ってもよい。例えば、RF電力周波数は、インピーダンスの位相が可能な限りゼロ値に近づくように調整されてよい。インピーダンスが半導体処理中に変化すると、RF電力周波数は、それに従って操作408で調節されてよい。特定の実施例において、インピーダンスは、各ステーションでのインピーダンスの平均として測定されてよい。別の実施例が、個々のステーションでのインピーダンスを測定する機能を備えてもよい。上述のように、操作407および408は、インピーダンスの変化の可能性により、蒸着処理工程の終わりまで連続的に実行される。
【0089】
操作409で、RF電力パラメータが、ステーション間でのばらつきを決定するために、各ステーションで測定されてよい。RF電力パラメータは、プラズマがステーション内で生成された後に測定されてよく、各ステーション内の動作インピーダンスを反映する。このパラメータは、電圧、電流、キャパシタンス、インピーダンス、位相、負荷電力、ステーションに供給される電力、または、それらの任意の組みあわせ、であってよい。
【0090】
RF電力パラメータ測定値は、操作411において各ステーションのための設定点と比較されてよい。RF電力平衡化の特定の実施例において、設定点は、蒸着処理のすべてのサイクルで同じであってよい。別の実施例において、設定点は、蒸着処理のサイクル間で変化してもよい。例えば、設定点は、各ステーションに供給された測定電力の平均であってよい。さらに別の実施例において、設定点は、各ステーションで異なってもよい。この比較は、ローカルコントローラ、RFアジャスタ用の中央コントローラ、または、ツール全体のためのシステムコントロールで実行されてよい。
【0091】
共通のRF源を共有するすべてのステーションに供給される総RF電力は、RF発生器での電力設定点、プラズマ負荷のインピーダンス、および、RFネットワークのインピーダンスに依存する。RFアジャスタは、主に、ステーション間の配電に影響を与える。総電力へのアジャスタの影響は、通常、二次的である。特定のケースにおいて、用いられるRFアジャスタのタイプによっては、1つのステーションのRF電力の低減が、その他のステーションのRF電力を増大させうる。それらのケースにおいて、コントローラは、ステーション間のRF電力相互作用を考慮に入れた調節を決定してもよいし、測定値が設定点に対する閾値限界内に入るまで何回も調節を単に繰り返してもよい。
【0092】
特定のケースにおいて、絶対RF電力レベルが望ましい。このケースでは、RF電力が各ステーションで測定され、2つの調節が実行されうる。例えば、第1に、発生器出力での総電力が、ステーション設定点の合計に一致するように変更される。第2に、ステーションRFアジャスタが、設定点に従って電力を分割するように調整される。調節(総電力対分割)の順序は、逆であってもよい。その手順は、電力分割が設定点に対する閾値限界内に入るまで繰り返される。
【0093】
操作413で、測定RF電力パラメータ分布は、設定点と比較されてよい。差が閾値よりも大きい場合、各ステーションでのアジャスタ変更が、操作415で決定されてよい。必要なアジャスタ変更は、ステーションごとに異なりうる。いくつかのステーションが、アジャスタ変更を全く必要とせず、その他のステーションが、アジャスタ変更を必要とする場合がある。このアジャスタ変更は、RFコントローラまたは別のコントローラによって決定されてよい。調節されるパラメータまたはRF特性は、測定されたRF電力パラメータとは異なってよいことに注意されたい。一例において、RF電力が測定され、キャパシタンスまたはインピーダンスが調節されてよい。
【0094】
必要なアジャスタ変更は、操作417でステーションRF特性を調節するために適用されてよい。特定の実施例において、ステーションインピーダンスは、操作417においてアジャスタ変更量だけ調節されてよい。次いで、インピーダンスおよびステーションRF電力パラメータは、操作407から再び開始して測定されてよく、RF電力周波数および電力パラメータの調節サイクルは、蒸着処理が完了するまで継続してよい。
【0095】
操作411で測定されて操作413で比較された電力パラメータが許容範囲内にある場合、半導体処理は、操作419で継続する。次いで、処理は、蒸着処理が完了するまで操作407から開始し続けてよい。本開示における特定の実施例の記載は、蒸着処理の文脈でなされているが、蒸着に加えてまたはその代わりに、エッチング、ストリッピング、または、基板からの薄膜除去などを含むがそれらに限定されない他の半導体処理操作が、開示されている電流測定技術に対して想定されることを理解されたい。さらに、開示されている電流測定技術は、半導体処理操作(例えば、蒸着、エッチング、ストリッピング、洗浄など)のための複数の半導体処理ステーションで、均一および/または反復可能な処理条件(例えば、RF電力など)を提供することを容易にし、それによって、半導体製造の歩留まりを改善することを理解されたい。
【0096】
様々な実施例において、操作407~419のシーケンスは、異なる順序で配列されてもよい。例えば、操作409(およびおそらく操作409~419)は、操作407の前に実行されてもよい。別の実施例において、操作407~408は、操作409~419と並行して実行されてもよい。さらに別の実施例において、測定操作407および409は、調整および調節操作408および411~419の前に実行されてもよい。
【0097】
電力平衡化の文脈では、処理中の連続的なRF電力制御が、少なくとも2つの理由で必要とされうる。1つの可能性は、意図的なRF電力曲線に従うことである。設定点は、処理シーケンス中に経時的に変化してよい。RFアジャスタは、設定点が変化した時に特定の配電を維持するために用いられてよい。別の可能性において、ステーションRF電力は、処理中に変動する傾向を有しうるため、動的フィードバックに基づいて調節される必要がある。
【0098】
特定の実施例において、半導体処理操作は、単一のマルチステーションリアクタ内での複数の異なる蒸着処理を含んでよい。複数の異なる蒸着処理は、異なる材料、特に、下層にある基板と接触するバリア層または核形成層、核形成層の上部のバルク層、バルク層の上部のキャッピング層などの材料層、を蒸着してよい。これらの個々の層は、比較的類似した(または異なる)組成を有してよい。いくつかのケースにおいて、異なる蒸着処理は、異なる処理ガスを用いてよい。半導体処理操作が複数の異なる蒸着処理を有する場合、典型的には、異なるレシピが、異なる蒸着処理に対して用いられる。かかるケースにおいて、個々のステーションのための異なるRF電力パラメータ設定点が、異なるレシピに対して用いられてよい。特定の実施例において、設定点の差は、異なるレシピのための初期アジャスタ設定の間の差異につながる。かかる初期アジャスタ設定は、蒸着処理のレシピに含まれるかまたはその一部であってよい。異なる蒸着処理の異なるレシピは、異なる処理の初期アジャスタ設定の差異を反映しうる。かかるケースにおいて、別個の処理に対する初期アジャスタ設定は、事前のシミュレーションまたは試験の結果を通して決定されてよい。特定の実施例において、最初に生成されてステーションに供給されたRF電力周波数は、個々のレシピに対して異なるステーションごとの電力設定にあってよい。かかる実施例において、RFアジャスタは、本明細書に記載の技術に従って、蒸着処理中にさらに調整されてよい。特定の実施形態において、初期のアジャスタ位置は、蒸着処理が複数サイクルにわたって実行された時に最小量のRFアジャスタ調整をもたらすように計算されたアジャスタ位置であってよい。
【0099】
図4Bは、RF周波数調整を利用するマルチステーション蒸着処理の処理フローチャートである。
図4Bは
図4Aと類似するが、
図4Aが、蒸着処理中にRF周波数調整およびRF電力パラメータ調節の両方を利用する処理について記載している一方で、
図4Bは、蒸着処理中にRF周波数調整のみを利用する処理について記載している。
【0100】
図4Bの処理フローチャートは、RF周波数調整を利用する蒸着処理に利用された処理であってよい。特定の実施例は、複数の異なる蒸着処理を含む半導体処理操作の個々の蒸着処理について処理4Bに示された処理を用いてよい。複数の異なる蒸着処理は、本明細書に記載のように、異なる材料を蒸着してよい。別の実施形態では、単一の蒸着処理のみが用いられる。いずれにしても、ステーション間のRF電力調節は固定され、蒸着処理の前に設定されてよい。典型的には、処理は、蒸着中に適切なRF電力調節を決定するために、RF電力パラメータのフィードバックを利用しない。
【0101】
図4Bの処理フローチャート420において、操作421および423は、それぞれ、
図4Aの操作401および403と同様である。
図4Bの操作425において、複数のステーションに対するRF調節が決定される。複数のステーションに対するRF調節は、RF電力の生成および基板の処理の前に決定される。RF調節は、履歴データ、計算、または、試行錯誤を通して決定されてよい。
【0102】
RF調節が操作425で実行された後、処理は、操作427に進んでよい。操作427、429、および、431は、それぞれ、
図4Aの操作405、407、および、408と同様である。操作433で、現在のサイクルが、各ステーションに対して処理され、処理は、所望の回数のサイクルにわたって繰り返される。所望の回数のサイクルの各々の間、操作427、429、および、431は、RF電力周波数が、測定されたインピーダンスの要件に従って連続的に調整されるように、繰り返される。RF電力周波数は、本開示の他で記載した技術に従って調整されてよい。
【0103】
いくつかの実施例において、本明細書に記載のセンサ333の実施例などを用いて、
図4Aおよび
図4Bで言及したインピーダンス測定の代わりにまたはそれに加えて、キャパシタンスおよび/または電流が測定されることを理解されたい。さらに、いくつかの実施例において、RF電力の周波数は、本明細書におけるセンサ333の実施例などを用いて、
図4Aおよび
図4Bで言及した測定インピーダンスの代わりにまたはそれに加えて測定されたキャパシタンスおよび/または電流に基づいて調整されることを理解されたい。
【0104】
マルチステーション半導体処理装置のための電力平衡化のための様々な他の構成および装置が、2012年10月9日発行の米国特許第8,282,983号に記載されており、その特許は、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。