(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】3Dメモリデバイスをプログラムする方法および関係する3Dメモリデバイス
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20230320BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/04 170
(21)【出願番号】P 2021571434
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2020074401
(87)【国際公開番号】W WO2021155524
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュエペン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】カイカイ・ユ
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0374541(US,A1)
【文献】特表2019-511802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/10
G11C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2のチャネル上に積層された第1のチャネルを含むチャネル積層メモリデバイスをプログラムする方法であって、
第1の期間に、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルをプリチャージするステップと、
前記第1の期間に続く第2の期間に、前記第1のチャネル内のセルの第1のグループの第1のセルから第mのセルまでを順次プログラムすることによって、
前記セルの第1のグループを下から上への方向にプログラムするステップと、
前記第2の期間に、前記第2のチャネル内のセルの第2のグループの第1のセルから第nのセルまでを順次プログラムすることによって、
前記セルの第2のグループを上から下への方向にプログラムするステップと
を
含み、
前記第1のチャネルは、基板上に形成された選択されたビット線およびトップダミー層によって制御され、
前記第2のチャネルは、前記選択されたビット線および前記基板上に形成されたボトムダミー層によって制御され、
セルの前記第1のグループ内の前記第1のセルは、セルの前記第1のグループ内の任意の他のセルよりも前記第2のチャネルに最も近い位置に配置され、
セルの前記第2のグループ内の前記第1のセルは、セルの前記第2のグループ内の任意の他のセルよりも前記第1のチャネルに最も近い位置に配置され、
mおよびnは、1よりも大きい正の整数である
方法。
【請求項2】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルをプリチャージするステップは、
前記第1の期間に第1の電圧を前記選択されたビット線に印加するステップと、
前記第1の期間に第2の電圧を選択されたトップセレクト層に印加するステップと、
セルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内にある選択されたストレージ層、ボトムセレクト層、前記トップダミー層、および前記ボトムダミー層をグランドレベルでバイアスするステップと
を含み、
前記トップダミー層およびセルの前記第1のグループは、前記選択されたトップセレクト層を介して前記選択されたビット線に選択的に結合され、
前記ボトムダミー層およびセルの前記第2のグループは、前記ボトムセレクト層を介してソース線に選択的に結合される
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルをプリチャージするステップは、
前記第1の期間に第3の電圧を前記基板のウェル領域に印加するステップ
をさらに含む
請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の期間に未選択ビット線を、前記未選択ビット線によって制御されるチャネルが前記第1の期間にフローティング状態であることを可能にするようにインヒビットするステップ
をさらに含む
請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記未選択ビット線をインヒビットするステップは、
前記第1の期間にインヒビット電圧を前記未選択ビット線に印加するステップと、
前記第1の期間に第3の電圧を未選択トップセレクト層に印加するステップと
を含む
請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のチャネルまたは前記第2のチャネルをプログラムするステップは、
前記第2の期間にセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の選択されたストレージ層をパス電圧に、次いでプログラム電圧にランピングするステップであって、前記プログラム電圧は、前記パス電圧よりも大きい、ステップ
を含む
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のチャネルまたは前記第2のチャネルをプログラムするステップは、
前記第2の期間にセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の前記選択されたストレージ層をプログラムするときにセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の未選択セルを前記パス電圧でバイアスするステップ
をさらに含む
請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の期間に第1の時点においてセルの前記第1のグループ内の前記第1のセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第2の時点においてセルの前記第1のグループ内の前記第mのセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第3の時点においてセルの前記第2のグループ内の前記第1のセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第4の時点においてセルの前記第2のグループ内の前記第nのセルをプログラムするステップであって、前記第1の時点は、前記第3の時点と同じである、ステップと
をさらに含む
請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の期間に第1の時点においてセルの前記第1のグループ内の前記第1のセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第2の時点においてセルの前記第1のグループ内の前記第mのセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第3の時点においてセルの前記第2のグループ内の前記第1のセルをプログラムするステップと、
前記第2の期間に第4の時点においてセルの前記第2のグループ内の前記第nのセルをプログラムするステップであって、前記第3の時点は、前記第2の時点の後に出現する、ステップと
をさらに含む
請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のチャネルと前記第2のチャネルとの間に配設される中間ダミー層をグランドレベルでバイアスするステップ
をさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
メモリデバイスであって、
基板上に形成されている複数のセルと、
前記基板上に形成されている複数のビット線と、
メモリストリングであって、
セルの第1のグループを有し、前記複数のビット線のうちの選択されたビット線および前記基板上に形成されているトップダミー層によって制御される第1のチャネルと、
セルの第2のグループを有し、前記選択されたビット線および前記基板上に形成されているボトムダミー層によって制御される第2のチャネルであって、前記第1のチャネルは、前記第2のチャネル上に積層される、第2のチャネルと
を含むメモリストリングと、
制御ユニットであって、
第1の期間に前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルをプリチャージし、
前記第1の期間に続く第2の期間に、前記第1のチャネル内のセルの前記第1のグループの第1のセルから第mのセルまでを順次プログラムすることによって、
前記セルの前記第1のグループを下から上への方向にプログラムし、
前記第2の期間に、前記第2のチャネル内のセルの前記第2のグループの第1のセルから第nのセルまでを順次プログラムすることによって、
前記セルの前記第2のグループを上から下への方向にプログラムする
ように構成されている制御ユニットと
を
備え、
セルの前記第1のグループ内の前記第1のセルは、セルの前記第1のグループ内の任意の他のセルよりも前記第2のチャネルに最も近い位置に配置され、
セルの前記第2のグループ内の前記第1のセルは、セルの前記第2のグループ内の任意の他のセルよりも前記第1のチャネルに最も近い位置に配置され、
mおよびnは、1よりも大きい正の整数である
メモリデバイス。
【請求項12】
前記トップダミー層およびセルの前記第1のグループを前記選択されたビット線に選択的に結合する選択されたトップセレクト層と、
前記ボトムダミー層およびセルの前記第2のグループをソース線に選択的に結合するボトムセレクト層と
をさらに備える
請求項
11に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルをプリチャージすることを、
前記第1の期間に第1の電圧を前記選択されたビット線に印加し、
前記第1の期間に第2の電圧を前記選択されたトップセレクト層に印加し、
セルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内にある選択されたセル、前記ボトムセレクト層、前記トップダミー層、および前記ボトムダミー層をグランドレベルでバイアスすること
によって行うようにさらに構成される
請求項
12に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記制御ユニットは、前記第1の期間に前記複数のビット線のうちの未選択ビット線を、前記未選択ビット線に関連付けられているチャネルが前記第1の期間にフローティング状態であることを可能にするようにインヒビットするようにさらに構成される
請求項12に記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記第1の期間に前記未選択ビット線をインヒビットすることを、
前記第1の期間に第1の電圧を前記選択されたビット線に印加し、
前記第1の期間に第2の電圧を前記選択されたトップセレクト層に印加し、
セルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内にある選択されたセル、前記ボトムセレクト層、前記トップダミー層、および前記ボトムダミー層をグランドレベルでバイアスすること
によって行うようにさらに構成される
請求項
14に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記制御ユニットは、前記第1のチャネルまたは前記第2のチャネルをプログラムすることを、
前記第2の期間にセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の選択されたセルをパス電圧に、次いでプログラム電圧にランピングすることであって、前記プログラム電圧は、前記パス電圧よりも大きい、こと
によって行うようにさらに構成される
請求項
11に記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記制御ユニットは、前記第1のチャネルまたは前記第2のチャネルをプログラムすることを、
前記第2の期間にセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の前記選択されたセルをプログラムするときにセルの前記第1のグループまたはセルの前記第2のグループ内の未選択セルを前記パス電圧でバイアスすること
によって行うようにさらに構成される
請求項
16に記載のメモリデバイス。
【請求項18】
前記第1のチャネルと前記第2のチャネルとの間に配設される中間ダミー層をさらに含み、前記制御ユニットは、前記中間ダミー層をグランドレベルでバイアスするようにさらに構成される
請求項
16に記載のメモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dメモリデバイスをプログラムする方法および関係する3Dメモリデバイスに関するものであり、より具体的には、チャネル積層3Dメモリデバイスをプログラムする方法および関係するチャネル積層3Dメモリデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリは、様々な電子機器において使用するためによりポピュラーなものとなってきている。たとえば、不揮発性半導体メモリは、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末、モバイルコンピューティングデバイス、非モバイルコンピューティングデバイス、および他のデバイスにおいて応用されている。近年、ビットコストスケーラブル(Bit Cost Scalable)(BiCS)アーキテクチャと称されることがある3次元(3D)積層メモリ構造を使用する超高密度ストレージデバイスが提案されている。たとえば、3D NAND型積層フラッシュメモリデバイスは、導電層と誘電体層とを交互に並べたアレイから形成され得る。メモリホールが層内に開けられ、多数のメモリ層を同時に画成する。次いで、NANDストリングが、適切な材料をメモリホールに充填することによって形成される。メモリセルの制御ゲートは、導電層によって設けられる。
【0003】
シングルレベルセル(SLC)不揮発性メモリは、メモリ素子1個あたり1ビットのみを記憶することしかできないが、マルチレベルセル(MLC)不揮発性メモリは、セル1個あたり複数個のビットを記憶することができる。たとえば、セル1個あたり16個の電圧レベルを有するNANDメモリは、クアッドレベルセル(QLC)メモリと称されることがあり、セル1個あたり4ビットのデータを表現し得る。
【0004】
メモリ密度を最大化するために、チャネル積層3Dメモリデバイスは、複数の従来のプレーナ型メモリアレイを垂直に積層することによって加工され得、ここにおいて、2つの隣接するプレーナ型メモリアレイの間に中間ダミー層が導入される。チャネル積層3Dメモリデバイスをプログラムする先行技術の方法では、セルは、中間ダミー層が特定の電圧レベルにバイアスされた状態で下から上への方向にプログラムされ、それによって、ビット線によって電子が排出されることを可能にする。未選択メモリストリングの昇圧電圧を高めるために、セルをプログラムする前にビット線プリチャージまたはウェル領域プリチャージを行うことがある。しかしながら、異なるセル間の閾値電圧のバラツキがあるので、ウェル領域に対する適切なプリチャージ電圧を決定することは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第2のチャネル内のセルの第2のグループ上に積層された第1のチャネル内のセルの第1のグループを含むチャネル積層メモリデバイスをプログラムする方法を提供する。この方法は、第1のチャネル内のセルの第1のグループを下から上への方向にプログラムすることと、第2のチャネル内のセルの第2のグループを上から下への方向にプログラムすることとを含む。
【0006】
また、本発明は、基板内に形成された複数のセルと、基板内に形成された複数のビット線と、メモリストリングと、制御ユニットとを備えるメモリデバイスを提供する。メモリストリングは、複数のビット線のうちの選択されたビット線、複数のセルのうちのセルの第1のグループ、および基板内に形成されたトップダミー(top dummy)層によって制御される第1のチャネルと、選択されたビット線、複数のセルのうちのセルの第2のグループ、および基板に形成されたボトムダミー(bottom dummy)層によって制御される第2のチャネルとを含み、ここにおいて、第1のチャネルは、第2のチャネル上に積層される。制御ユニットは、第1のチャネルを下から上の方向にプログラムし、第2チャネルを上から下の方向にプログラムするように構成されている。
【0007】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に例示されている好ましい実施形態の次の詳細な説明を読んだ後であれば、当業者にはたぶん明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるチャネル積層3Dメモリデバイスに関連付けられている1つのプレーナ型NANDストリングを例示する上面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるチャネル積層3Dメモリデバイスに関連付けられている1つのプレーナ型NANDストリングの等価回路を例示する図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、メモリセルの読出しおよびプログラミングを並行して行うための読出し/書込み回路を有する3Dメモリデバイスを例示する図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、プレーナ型構成のメモリセルのアレイの一例示的な構造を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるチャネル積層メモリデバイスの一例示的な構造を例示する図である。
【
図6】本発明の一実施形態による
図5に描かれているチャネル積層メモリデバイスにおける垂直NANDストリングの断面図を例示する代表的な図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるチャネル積層メモリデバイスをプログラムする方法を例示するフローチャートである。
【
図8】
図7に描かれている方法を実行するときの関係する信号線のレベルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態によるチャネル積層3Dメモリデバイスに関連付けられている1つのプレーナ型NANDストリングを例示する上面図である。
図2は、その等価回路を例示する図である。NAND構造を使用するフラッシュメモリシステムでは、複数のトランジスタが直列に配置構成され、2つのセレクトゲートの間に挟装され、これらはNANDストリングと称される。
図1および
図2に描かれているプレーナ型NANDストリングは、直列に結合され、トップセレクトゲートTSG(ドレイン側)とボトムセレクトゲートSG_B(ソース側)との間に挟装されているトップダミートランジスタTDTと、4つのストレージトランジスタST1~ST4と、ボトムダミートランジスタBDTとを含む。トップセレクトゲートTSGは、プレーナ型NANDストリングをビット線コンタクトを介してビット線に接続するように配置構成されており、トップセレクトゲート線SGTLに適切な電圧を印加することによって制御され得る。ボトムセレクトゲートBSGは、プレーナ型NANDストリングをソース線に接続するように配置構成されており、ボトムセレクトゲート線BSGLに適切な電圧を印加することによって制御され得る。トップダミートランジスタTDT、ボトムダミートランジスタBDT、およびストレージトランジスタST1~ST4の各々は、制御ゲートとフローティングゲートとを含む。たとえば、ストレージトランジスタST1は、制御ゲートCG1とフローティングゲートFG1とを含み、ストレージトランジスタST2は、制御ゲートCG2とフローティングゲートFG2とを含み、ストレージトランジスタST3は、制御ゲートCG3とフローティングゲートFG3とを含み、ストレージトランジスタST4は、制御ゲートCG4とフローティングゲートFG4とを含み、トップダミートランジスタTDTは、制御ゲートCG_DTとフローティングゲートFG_DTとを含み、ボトムダミートランジスタBDTは、制御ゲートCG_DBとフローティングゲートFG_DBとを含む。制御ゲートCG1は、ワード線WL1に接続され、制御ゲートCG2は、ワード線WL2に接続され、制御ゲートCG3は、ワード線WL3に接続され、制御ゲートCG4は、ワード線WL4に接続され、制御ゲートCG_DTは、トップダミーワード線TDWLに接続され、制御ゲートCG_DBは、ボトムダミーワード線BDWLに接続される。
【0010】
例示を目的として、
図1および
図2は、プレーナ型NANDストリングにおける読出し/書込み動作のための4つのメモリセル(ストレージトランジスタST1~ST4)と、読出し/書込みテストのための2つのダミーセル(トップダミートランジスタTDTおよびボトムダミートランジスタBDT)とを示している。他の実施形態では、プレーナ型NANDストリングは、8個のメモリセル、16個のメモリセル、32個のメモリセル、64個のメモリセル、128個のメモリセルなどを含み得る。しかしながら、プレーナ型NANDストリング内のメモリセルまたはダミーセルの数は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0011】
NAND構造を使用するプレーナ型フラッシュメモリシステムに対する典型的なアーキテクチャは、複数のプレーナ型NANDストリングを含む。各プレーナ型NANDストリングは、セレクト線SGBLによって制御されるそのボトムセレクトゲートBSGによってソース線に接続され、セレクト線SGTLによって制御されるそのトップセレクトゲートTSGによってその関連付けられているビット線に接続される。各ビット線と、そのビット線にビット線コンタクトを介して接続されているそれぞれのプレーナ型NANDストリングは、メモリセルのアレイの列を含む。ビット線は、複数のNANDストリングと共有される。典型的には、ビット線は、ワード線と直交する方向にNANDストリングの上を走り、1つまたは複数のセンスアンプに接続されている。
【0012】
図3は、本発明の一実施形態による、メモリセルのページ(または他のユニット)の読出しおよびプログラミングを並行して行うための読出し/書込み回路を有するプレーナ型メモリデバイス100を例示する図である。プレーナ型メモリデバイス100は、メモリセルのアレイ(2次元または3次元)10と、制御回路20と、読出し/書込み回路30Aおよび30Bと、行デコーダ40Aおよび40Bと、列デコーダ50Aおよび50Bと、コントローラ60とを備える。1つの実施形態において、様々な周辺回路によるメモリアレイ10へのアクセスは、アレイの反対側で対称的に実装され、各側のアクセス線と回路の密度は半分に縮小される。読出し/書込み回路30Aおよび30Bは、複数のセンスブロックSBを含み、これは1ページ分のメモリセルが並行して読み出されるか、またはプログラムされることを可能にする。メモリセルのアレイ10は、行デコーダ40Aおよび40Bを介してワード線によって、列デコーダ50Aおよび50Bを介してビット線によって、アドレス指定可能である。典型的な一実施形態において、メモリセル10、制御回路20、読出し/書込み回路30Aおよび30B、行デコーダ40Aおよび40B、ならびに列デコーダ50Aおよび50Bは、メモリチップ70上に製造され得る。コマンドおよびデータは、信号線82を介してホストとコントローラ60との間で転送され、信号線84を介してコントローラ60とメモリチップ70との間で転送される。複数のダミーセル、ダミーワード線、およびダミービット線(図示せず)は、メモリデバイス100の完成後に読出し/書込みテストを実行するために、メモリアレイ10の側面に沿って典型的に配置されているダミーストレージ領域DMX1~DMX2およびDMY1~DMY2内に敷設され得る。
【0013】
制御回路20は、メモリセルのアレイ10に対してメモリ操作を実行するために、読出し/書込み回路30Aおよび30Bと協働するように構成されている。制御回路20は、状態機械22と、オンチップアドレスデコーダ24と、電力制御モジュール26とを含む。状態機械22は、メモリ操作のチップレベル制御を行うように構成される。オンチップアドレスデコーダ24は、ホストまたはメモリコントローラによって使用されるアドレスと、行デコーダ40A、40Bおよび列デコーダ50A、50Bによって使用されるハードウェアアドレスとの間のアドレスインタフェースを提供するように構成される。電力制御モジュール26は、各メモリ操作時にワード線およびビット線に供給される電力および電圧を制御するように構成される。
【0014】
図4は、本発明の一実施形態による、プレーナ型構成のメモリセルのアレイ10の一例示的な構造を示す図である。メモリセルのアレイ10は、BLOCK1~BLOCKIで示されるメモリセルの複数のブロックに分割され、ここにおいて、Iは正の整数であり、典型的には大数に等しい。ブロックは、ビット線BL1~BLMおよびワード線WL1~WLNの共通セットを介してアクセスされるNANDストリングのセットを含み、ここにおいて、MおよびNは1よりも大きい整数である。NANDストリングの一方の端子は、トップセレクトゲート(トップセレクトゲート線TSGLによって制御される)を介して対応するビット線に接続され、別の端子は、ボトムセレクトゲート(ボトムセレクトゲート線BSGLによって制御される)を介してソース線に接続される。各ブロックは、典型的には、多数のページに分割される。1つの実施形態において、ブロックは従来の消去の単位であり、ページは従来のプログラミングの単位である。しかしながら、消去/プログラムの他の単位も使用できる。
【0015】
一実施形態において、メモリセルのアレイ10は、p型基板と、p型基板内のnウェルと、nウェル内のpウェルとを含む三重ウェルを含む。チャネル領域、ソース領域、およびドレイン領域は、典型的には、pウェル内に位置決めされる。pウェルおよびnウェルは、p型基板の一部とみなされ、ここにおいて、メモリセルのアレイ10全体が1つのpウェル内にあり、pウェル内のトレンチはNANDストリング間の電気的絶縁をもたらす。別の実施形態において、メモリセルのアレイ10は、n型基板と、n型基板内のpウェルと、pウェル内のnウェルとを含む三重ウェルを含む。pウェルおよびnウェルは、n型基板の一部とみなされ、ここにおいて、チャネル領域、ソース領域、およびドレイン領域は、典型的には、nウェル内に位置決めされる。しかしながら、NANDストリング内のメモリセルの実装は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
図5は、本発明の一実施形態によるチャネル積層メモリデバイス500の一例示的な構造を例示する図である。チャネル積層メモリデバイス500は、おおざっぱに言うと、
図4のメモリセルのアレイ10の複数をx-y平面に対して垂直になるように傾斜させることによって形成され得る。この例では、各y-z平面は、
図4のページ構造に対応し、複数のそのような平面がx軸に沿って異なる配置にある。グローバルビット線の各々は、頂部を横切って、関連付けられているセンスアンプ(図示せず)につながる。ワード線、ソースプレート、およびセレクトゲート線はx軸に沿って走り、NANDストリングは底部で共通のソースプレートに接続されている。
【0017】
複数のNANDストリングは、基板のx-y平面に垂直である、垂直方向、すなわちz方向に延在する。メモリセルは、垂直方向のビット線がワード線を通過するところに形成される。ローカルビット線とワード線との間の電荷トラップ層は、電荷を蓄積し、このことは、ワード線(ゲート)が取り囲む垂直ビット線(チャネル)にワード線が結合されて形成されるトランジスタの閾値電圧に影響を及ぼす。そのようなメモリセルは、ワード線の積層を形成し、次いでメモリセルが形成されるべき場所にメモリホールをエッチングすることによって形成され得る。次いで、メモリホールは、電荷トラップ層を裏打ちされ、好適なローカルビット線/チャネル材料(絶縁のための好適な誘電体層を有する)を充填される。プレーナ型NANDストリングと同様に、セレクトゲートを含むトップセレクト層およびボトムセレクト層は、垂直NANDストリングのいずれかの端部に配置され、垂直NANDストリングが外部要素に選択的に接続されるか、または外部要素から絶縁されることを可能にする。そのような外部要素は、一般的には、多数のNANDストリングにサービスを提供する共通ソース線またはビット線などの導電線である。垂直NANDストリングは、プレーナ型NANDストリングと同様の方式で動作し得、いずれかのSLC/MLC/QLC動作が可能である。
【0018】
図6は、本発明の一実施形態による
図5に描かれているチャネル積層メモリデバイス500における垂直NANDストリングの断面図を例示する代表的な図である。前述したように、各垂直NANDストリングは、
図1に描かれている複数のプレーナ型NANDストリングを積層することによって形成され得る。例示を目的として、
図6に描かれている垂直NANDストリングは、
図1に描かれている2つのプレーナ型NANDストリングを積層することによって形成され、これは、選択されたときに、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループ、および第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループを提供することができる。上から下に向かって、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループは、トップダミー層(トップダミートランジスタ)および複数のセル(ストレージトランジスタ)に関連付けられ、一方、第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループは、複数のセルおよびボトムダミー層(ボトムダミートランジスタ)に関連付けられる。1つまたは複数の中間ダミー層が、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループと第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループとの間に配設される。第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループおよび第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループは、直列に結合され、トップセレクト層(トップセレクトゲート)とボトムセレクト層(ボトムセレクトゲート)との間に挟装される。
【0019】
図7は、本発明の一実施形態によるチャネル積層メモリデバイス500をプログラムする方法を例示するフローチャートである。例示を目的として、チャネル積層メモリデバイス500内の選択された垂直NANDストリングおよび未選択垂直NANDストリングがアドレス指定される。選択された垂直NANDストリングは、複数のビット線BL1~BLMおよびワード線WL1~WLNの共通セットのうちの選択されたビット線によって制御される複数のセル(選択されたメモリセル)を含む。選択されたNANDストリングの複数のメモリセルのうち、選択されたセルと称される、プログラムされるべきセルは、選択されたビット線と、ワード線WL1~WLNの共通セットのうちの選択されたワード線とによって制御される。同様に、未選択垂直NANDストリングは、複数のビット線BL1~BLMおよびワード線WL1~WLNの共通セットのうちの未選択ビット線によって制御される複数の未選択セル(未選択メモリセル)を含む。各垂直NANDストリングのトップダミー層は、ダミーストレージ領域DMX1内に敷設され、各垂直NANDストリングのボトムダミー層は、ダミーストレージ領域DMX2内に敷設され、これは
図1および
図2に描かれているとおりである。
図7のフローチャートは、次のステップを含む。
ステップ710:第1の期間に、選択された垂直NANDストリングの第1のチャネルCH1および第2のチャネルCH2をプリチャージする。
ステップ720:第1の期間に、未選択垂直NANDストリングのチャネルがフローティング状態になることを可能にするように未選択垂直NANDストリングをインヒビットする。
ステップ730:第1の期間に続く第2の期間に、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループを、下から上への順序でプログラムする。
ステップ740:第2の期間に、第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループを上から下への順序でプログラムする。
【0020】
1つの実施形態において、制御回路20、読出し/書込み回路30Aおよび30B、行デコーダ40Aおよび40B、列デコーダ50Aおよび50B、ならびに/またはコントローラ60のうちの1つまたは任意の組合せは、
図7に描かれているようにプログラミングのプロセスを実行することができる制御ユニットと称され得る。
【0021】
図8は、
図7に描かれている方法を実行するときの関係する信号線のレベルを例示する図である。関係する信号線のバイアス状態は、次のTable 1(表1)にまとめられている。
【0022】
【0023】
ステップ710において、選択された垂直NANDストリングの第1のチャネルCH1および第2のチャネルCH2は、第1の期間T1の間、選択された/未選択ワード線、ボトムセレクト層、およびダミー層をグランドレベルGNDでバイアスしながら、選択されたビット線および選択されたトップセレクト層にバイアス電圧VCC1およびVCC2をそれぞれ印加することによって、プリチャージされ得る。一実施形態において、VCC1=VCC2である。しかしながら、正のバイアス電圧VCC1およびVCC2の値は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
ステップ720において、未選択の垂直NANDストリングは、第1の期間T1の間、未選択トップセレクト層をバイアス電圧VCC3でバイアスしながら、未選択ビット線に正のインヒビット電圧VINHを印加することによって、インヒビットされ得る。そのような状況下では、未選択NANDストリングは、フローティング状態になり、それによって選択されたワード線上のプログラムディスターブを低減し得る。一実施形態において、VCC2=VCC3である。しかしながら、正のバイアス電圧VCC2およびVCC3の値は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】
ステップ730または740において、各選択されたワード線は、選択されたワード線をパス電圧VPASSに、次いでプログラム電圧VPGMにランピングし、未選択ワード線をパス電圧VPASSでバイアスし、選択されたビット線をバイアス電圧VCC5でバイアスし、未選択ビット線をインヒビット電圧VINHでバイアスし、選択されたトップセレクト層をバイアス電圧VCC6でバイアスし、未選択トップセレクト層、ダミー層、ボトムセレクト層、およびウェル領域をグランドレベルGNDでバイアスすることによってプログラムされ得る。
【0026】
第1のチャネルCH1が第2のチャネルCH2上に積層されるチャネル積層メモリデバイス500では、第2の期間T2において、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループは、下から上への順序でプログラムされ、第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループは、上から下への順序でプログラムされる。より具体的には、プログラムされるべき第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループに関連付けられている第1の選択されたセルは、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループに関連付けられている任意の他のセルよりも第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループに最も近い位置に配置されるセルであり、プログラムされるべき第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループに関連付けられている最後の選択されたワード線は、第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループに関連付けられている任意の他のセルよりも第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループから最も遠い位置に配置されるセルである。同様に、プログラムされるべき第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループに関連付けられている第1の選択されたセルは、第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループに関連付けられている任意の他のセルよりも第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループに最も近い位置に配置されるセルであり、プログラムされるべき第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループに関連付けられている最後の選択されたセルは、第2のチャネルCH2内のセルの第2のグループに関連付けられている任意の他のセルよりも第1のチャネルCH1内のセルの第1のグループから最も遠い位置に配置されるセルである。その一方で、ウェル領域は、第1の期間T1に、グランドレベルに等しいか、またはそれよりも高いバイアス電圧VCC4でバイアスされ得る。
【0027】
本発明において、チャネル積層メモリデバイス500は、複数のプレーナ型NANDメモリデバイスを各々QLC構造内に敷設されたメモリセルのアレイと積層することによって加工され得る。
【0028】
結論として、本発明のチャネル積層メモリデバイス500では、上側スタック上に配置されている1つまたは複数のチャネルは、下から上への方向にプログラムされ、一方、下側スタック上に配置されている1つまたは複数のチャネルは、上から下への方向にプログラムされる。このようにして、上側スタック上に配置されているチャネル内の電子は、ビット線によって排出され得、一方、下側スタック上に配置されているチャネル内の電子は、ウェル領域によって排出され得、それによって、未選択メモリストリングの昇圧電圧を高め、さらにはウェル領域のプリチャージ電圧のマージンをより大きくすることを可能にする。
【0029】
当業者であれば、本発明の教示を保ちつつデバイスおよび方法の多数の修正形態および改変形態が形成され得ることを容易に観察するであろう。したがって、上記の開示は、付属の請求項の範囲によってのみ限定されるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0030】
10 メモリセル、メモリアレイ、メモリセルのアレイ
20 制御回路
22 状態機械
24 オンチップアドレスデコーダ
26 電力制御モジュール
30A、30B 読出し/書込み回路
40A、40B 行デコーダ
50A、50B 列デコーダ
60 コントローラ
70 メモリチップ
82、84 信号線
100 プレーナ型メモリデバイス
500 チャネル積層メモリデバイス