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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ガス精製装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20230320BHJP
   B01D 53/053 20060101ALI20230320BHJP
   C01B 23/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
B01D53/047
B01D53/053
C01B23/00 A
C01B23/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022037827
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】武井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】村上 真二
(72)【発明者】
【氏名】三沢 悟
(72)【発明者】
【氏名】副島 達雄
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-052757(JP,A)
【文献】特開2015-163392(JP,A)
【文献】特開2007-190314(JP,A)
【文献】特開2018-083731(JP,A)
【文献】特開2007-119326(JP,A)
【文献】特開2017-148807(JP,A)
【文献】特開2020-189757(JP,A)
【文献】特開2001-347125(JP,A)
【文献】特開2004-148258(JP,A)
【文献】特開2014-065619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/04-53/12
C01B 13/02
C01B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを供給する原料ガス供給経路と、
該原料ガス供給経路に設けられる原料ガスを圧縮するポンプと、
圧縮された原料ガスが導入される吸着剤を充填した吸着筒と、
前記吸着筒で精製された精製ガスを取り出す精製ガス導出経路とを備え、
前記吸着筒が、昇圧工程、吸着工程、再生工程を順次行うことによりガス分離を行う圧力変動吸着分離法によって原料ガスを精製するガス精製装置において、
前記精製ガス導出経路に背圧弁と精製ガス用圧力調整器を設け、
前記背圧弁と精製ガス用圧力調整器との間の前記精製ガス導出経路に、高純度ガス供給源からの前記精製ガス以上の純度のガスである高純度ガスを供給する高純度ガス供給経路が合流し、
前記高純度ガス供給経路に高純度ガス用圧力調整器を備え、
圧力の関係が、前記背圧弁の1次側の設定圧力の方が前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力よりも大きく、前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力の方が精製ガス用圧力調整器の2次側設定圧力よりも大きく、
前記原料ガスが、ガス利用設備から回収された回収ガスであって、
前記原料ガス供給経路は、前記回収ガスを貯留する回収ガスタンクの入口側と接続し、
前記精製ガス導出経路は、前記回収ガスタンクの出口側と接続していることを特徴とするガス精製装置。
【請求項2】
前記吸着筒で精製された精製ガスの一部を貯留する精製ガスタンクを設け、前記精製ガスタンクを前記高純度ガス供給源とすることを特徴とする請求項1記載のガス精製装置。
【請求項3】
前記吸着筒の出口側と前記ポンプの吸引側とをつなぐ残留ガス回収経路を設け、前記残留ガス回収経路は圧力調整器を備え、
前記ポンプの吐出側の原料ガス供給経路にマスフローコントローラを設けるとともに、前記マスフローコントローラをバイパスするバイパス経路を設け、前記バイパス経路はバルブを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のガス精製装置。
【請求項4】
原料ガスを供給する原料ガス供給経路と、
該原料ガス供給経路に設けられる原料ガスを圧縮するポンプと、
圧縮された原料ガスが導入される吸着剤を充填した吸着筒と、
前記吸着筒で精製された精製ガスを取り出す精製ガス導出経路とを備え、
前記吸着筒が、昇圧工程、吸着工程、再生工程を順次行うことによりガス分離を行う圧力変動吸着分離法によって原料ガスを精製するガス精製装置において、
前記精製ガス導出経路に背圧弁と精製ガス用圧力調整器を設け、
前記背圧弁と精製ガス用圧力調整器との間の前記精製ガス導出経路に、高純度ガス供給源からの前記精製ガス以上の純度のガスである高純度ガスを供給する高純度ガス供給経路が合流し、
前記高純度ガス供給経路に高純度ガス用圧力調整器を備え、
圧力の関係が、前記背圧弁の1次側の設定圧力の方が前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力よりも大きく、前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力の方が精製ガス用圧力調整器の2次側設定圧力よりも大きく、
前記吸着筒の出口側と前記ポンプの吸引側とをつなぐ残留ガス回収経路を設け、前記残留ガス回収経路は圧力調整器を備え、
前記ポンプの吐出側の原料ガス供給経路にマスフローコントローラを設けるとともに、前記マスフローコントローラをバイパスするバイパス経路を設け、前記バイパス経路はバルブを備えていることを特徴とするガス精製装置。
【請求項5】
前記吸着筒を複数備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のガス精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス精製装置に関し、詳しくは、圧力変動吸着分離法(PSA:Pressure Swing Adsorption)を用いたガス分離装置により、吸着筒が昇圧、均圧工程時であっても、高純度の精製ガスの供給を継続できるガス精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造、熱処理、リークテスト、分析などの分野では様々なガスが用いられている。特に希ガス(ヘリウム、アルゴン等)のような比較的高価なガスについては、ガス使用設備での使用後に、回収し再利用することが望まれている。
【0003】
そこで、回収したガスに含まれる不純物を除去し、再利用する希ガス回収システム(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-083731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の希ガス回収システムでは、回収したガスの全量を精製して再利用している。不必要に高純度まで精製するとロスが増大してしまうという課題があった。そのため、精製純度を必要最低限に留めるほうがガス回収のメリットを享受しやすい。必要最低限の精製純度になるよう回収ガスの一部だけを抜き取って精製し、得られた高純度のガスを回収ガスに戻すようにすれば、精製装置で処理するガス量が最小限となるため精製によるロスを削減することが可能である。
【0006】
また、吸着式のガス精製装置により、回収ガスの一部のみ抜き取って精製する場合、昇圧工程時に回収ガスの抜取り及び精製ガスの吐出を停止させてしまうと、回収ガスの不純物濃度が上昇してしまう。また2筒以上の吸着筒を有するガス分離装置では吸着工程終了時に吸着筒内に残るガスを再生終了後の吸着筒へ回収する均圧工程により、収率を向上させることが可能である。しかし、均圧工程時にガスの抜取り及び精製ガスの吐出を停止させてしまうと、その間に回収ガスの不純物濃度が上昇してしまう。
【0007】
よって、昇圧工程及び均圧工程中であっても、一定流量で回収ガスの抜取りと精製ガスの吐出を継続する必要がある。また、精製装置側に抜き取るガスの量と、精製後に戻す精製ガスの量が釣り合わないと、回収ガスの圧力が変動してしまうため再利用しづらくなってしまうという課題もあった。
【0008】
また、そもそも回収ガスの再利用する場合に限らず、PSAによるガス分離装置の昇圧工程及び均圧工程中であっても、精製ガスの吐出が継続できるようにすることは好ましい。
【0009】
そこで本発明は、簡単な機器構成で、複雑な制御等は不要で、昇圧工程及び均圧工程中であっても、高純度ガスの吐出が継続可能なガス精製装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のガス精製装置は、原料ガスを供給する原料ガス供給経路と、該原料ガス供給経路に設けられる原料ガスを圧縮するポンプと、圧縮された原料ガスが導入される吸着剤を充填した吸着筒と、前記吸着筒で精製された精製ガスを取り出す精製ガス導出経路とを備え、前記吸着筒が、昇圧工程、吸着工程、再生工程を順次行うことによりガス分離を行う圧力変動吸着分離法によって原料ガスを精製するガス精製装置において、前記精製ガス導出経路に背圧弁と精製ガス用圧力調整器を設け、前記背圧弁と精製ガス用圧力調整器との間の前記精製ガス導出経路に、高純度ガス供給源からの前記精製ガス以上の純度のガスである高純度ガスを供給する高純度ガス供給経路が合流し、前記高純度ガス供給経路に高純度ガス用圧力調整器を備え、圧力の関係が、前記背圧弁の1次側の設定圧力の方が前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力よりも大きく、前記高純度ガス用圧力調整器の2次側の設定圧力の方が精製ガス用圧力調整器の2次側設定圧力よりも大きくなっていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のガス精製装置は、前記吸着筒を複数備えていることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明のガス精製装置は、前記原料ガスが、ガス利用設備から回収された回収ガスであって、前記原料ガス供給経路は、前記回収ガスを貯留する回収ガスタンクの入口側と接続し、前記精製ガス導出経路は、前記回収ガスタンクの出口側と接続していることを特徴としている。
【0013】
また、前記吸着筒で精製された精製ガスの一部を貯留する精製ガスタンクを設け、前記精製ガスタンクを前記高純度ガス供給源としてもよい。
【0014】
さらに、前記吸着筒の出口側と前記ポンプの吸引側とをつなぐ残留ガス回収経路を設け、前記残留ガス回収経路は圧力調整器を備え、前記ポンプの吐出側の原料ガス供給経路にマスフローコントローラを設けるとともに、前記マスフローコントローラをバイパスするバイパス経路を設け、前記バイパス経路はバルブを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガス精製装置によれば、昇圧工程や均圧工程時においても、吸着筒による精製ガスに代えて、高純度ガス供給源からの高純度ガスが吐出されるため、連続的に精製ガスと同程度以上の高純度ガスの供給の継続が可能である。また、バルブ等による供給ガス切替ではない(断続的な供給ガス流路切替ではない)ため、圧力の変動は最小限に抑えられる。
【0016】
さらに、ガス利用設備から回収された回収ガスの一部を抜き取って精製可能としているので、精製装置の小型化およびロス削減が可能である。また、回収ガスのラインと並列に設置することができ、既設配管の切断や間隔の拡張は不要であるため、既設ガスラインにも設置が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のガス精製装置の第1形態例を示す系統図である。
図2】本発明のガス精製措置の第2形態例を示す系統図である。
図3】本発明のガス精製措置の第3形態例を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明のガス精製装置の第1形態例を示す系統図である。本形態例に示すガス精製装置1は、ガス利用設備100において使用されたガスを回収し、再利用する際の回収ガスの一部を精製するものである。
【0019】
ガス利用設備100で使用された回収ガスは、回収ガス導入経路L10により回収ガスタンク101の入口側から導入され、回収ガスタンク101に貯留されながら、回収ガスタンク101の出口側から導出され、回収ガスリターン経路L11を介して、ガス利用設備100に戻すことにより再利用される。
【0020】
ガス精製装置1は、回収ガスタンク101の入口側に接続される原料ガス供給経路L1と、原料ガス供給経路L1に設けられ、回収ガスの一部を原料ガスとして抜き取るポンプ2と、吸着剤を充填した2つの吸着筒(第1吸着筒3a,第2吸着筒3b)を使用した2筒式の圧力変動吸着式ガス分離装置(PSA装置)3と、PSA装置3によって精製されたガスを取り出し、回収ガスタンク101の出口側に接続される精製ガス導出経路L2とを備えている。
【0021】
PSA装置3は、吸着筒3a,3bの各工程の切替プログラムによって図示しないバルブを自動開閉することにより、ポンプ2によって圧縮されて適当な圧力に昇圧した原料ガスを導入して筒内を所定の圧力にする昇圧工程、吸着剤に不純物を吸着させて原料ガスを精製して精製ガスを取り出す吸着工程(製品取出工程)、一方の吸着筒内に残留するガスを他方の吸着筒に送り出す均圧減圧工程、吸着剤に吸着していた不純物を脱着させて吸着剤を再生する再生工程、他方の吸着筒内からガスを受け入れる均圧昇圧工程の各工程を2筒の吸着筒3a,3bで交互に繰り返して実施することにより、精製ガスを連続的に供給するものである。
【0022】
精製ガス導出経路L2には、PSA装置3の下流側に吸着筒の圧力を維持するための背圧弁4が設けられ、背圧弁4の下流側に精製ガス用圧力調整器(レギュレータ)5が設けられている。
【0023】
背圧弁4と精製ガス用圧力調整器5の間の精製ガス導出経路L2には、高純度ガス供給源7からの高純度ガスを供給する高純度ガス供給経路L3が合流している。高純度ガス供給経路L3には、高純度ガス用圧力調整器6が設けられている。背圧弁4と、各圧力調整器5,6とで区切られる配管部分が、マニホールド部Mを形成している。
【0024】
本形態例における高純度ガス供給源7は、PSA装置3で精製される精製ガスと同程度以上の純度のガスを貯留した高圧ガス容器である。
【0025】
ここで、圧力の関係を以下になるように設定する。
・背圧弁4の1次側の設定圧力の方が高純度ガス用圧力調整器6の2次側の設定圧力よりも大きい。
・高純度ガス用圧力調整器6の2次側の設定圧力の方が精製ガス用圧力調整器5の2次側設定圧力よりも大きい。
・精製ガス用圧力調整器5の2次側設定圧力は、回収ガスの圧力、すなわち供給先の圧力以上である。
【0026】
このような圧力の関係に設定することにより、PSA装置3が各工程を切り替えている時、特にいずれかの吸着筒が昇圧工程、均圧減圧(昇圧)工程であっても、常に回収ガスの純度を維持することができる。
【0027】
ポンプ2により回収ガスの一部が昇圧(圧縮)されて第1吸着筒3aに導入され、昇圧工程が実施される。回収ガスの一部が抜き取られる分だけ回収ガスタンク101中の回収ガスの量は減少するが、昇圧途上の第1吸着筒3aからは精製ガスを取り出すことができない。しかしながら、高純度ガス供給源7からの高純度ガスが、高純度ガス用圧力調整器6及び精製ガス用圧力調整器5を介して、精製ガス導出経路L2から回収ガスタンク101に供給される。このように、一方の吸着筒が昇圧工程にあっても、回収ガスの抜き取りと、高純度ガスの供給が停止されないため、回収ガスの純度が維持される。
【0028】
第1吸着筒3aの昇圧工程が終了すると、吸着工程が実施される。第1吸着筒3aから精製されるガスの圧力が背圧弁4の設定圧力まで上昇すると、背圧弁4の二次側にガスが流れ、マニホールド部M内の圧力が上昇する。マニホールド部Mの圧力が、高純度ガス用圧力調整器6の設定圧以上になると、高純度ガス供給源7からの供給は自動で停止し、第1吸着筒3aから精製されるガスのみが、精製ガス導出経路L2から回収ガスタンク101に供給される。
【0029】
吸着工程が終了すると、第1吸着筒3aに残るガスを、再生工程が終了した第2吸着筒3bに回収する(第1吸着筒3aは均圧減圧工程、第2吸着筒3bは均圧昇圧工程)。この間、回収ガスタンク101からの抜取りは停止させない。抜き取った回収ガスは排気してもよいし、別途タンクに貯めてもよい。
【0030】
均圧減圧(昇圧)工程の間は、吸着筒3a,3bからも精製ガスが取り出されないため、マニホールド部Mの圧力は低下する。マニホールド部Mの圧力が、高純度ガス用圧力調整器6の設定圧以下になると、自動で高純度ガスの供給が開始されるため、回収ガスの純度が維持される。
【0031】
第1吸着筒3aは均圧減圧工程が終了すると再生工程に、第2吸着筒3bは均圧昇圧工程が終了すると昇圧工程が実施される。このように、各工程が順次切り替わったとしても、均圧や昇圧中もガスの抜取りおよび高純度ガスの吐出が停止しないため、回収ガスの純度は維持できる。
【0032】
図2は本発明の第2形態例であるガス精製装置を示すものである。第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。
【0033】
第2形態例におけるガス精製装置20は、精製ガス導出経路L2の背圧弁4の1次側から分岐される分岐経路L4を設け、精製ガスタンク8に接続するようにするとともに、高純度ガス供給経路L3を精製ガスタンク8に接続したものである。
【0034】
いずれかの吸着筒が吸着工程である時に、精製ガスの一部を精製ガスタンク8に貯めるようにし、第1形態例の高純度ガス供給源7の代わりに、昇圧工程及び均圧減圧(昇圧)工程時の高純度ガス供給源とすることができる。
【0035】
図3は本発明の第3形態例であるガス精製装置を示すものである。第1形態例、第2形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。
【0036】
第3形態例におけるガス精製装置30は、吸着筒内に残留するガスを原料ガスに戻すために、各吸着筒3a,3bの出口側と原料ガス供給経路L1のポンプ2の吸引側とを接続する残留ガス戻し経路L5が設けられている。残留ガス戻し経路L5には減圧弁9が設けられている。
【0037】
ポンプ2の吐出側の原料ガス供給経路L1にマスフローコントローラ(MFC)10を設けるとともに、マスフローコントローラ10をバイパスするバイパス経路L6を設け、バイパス経路L6には自動弁であるバルブ11を備えている。
【0038】
本形態例では、均圧減圧工程と再生工程の間に、再生工程の初期段階として、残留ガス戻し工程が行われる。残留ガス戻し工程は、均圧減圧工程によって、吸着工程後の残留ガスを他の吸着筒に回収するが、さらに残留しているガスを再生工程の初期段階で、残留ガス戻し経路L5により、原料ガス供給経路L1に合流させるものである。減圧弁9を設けることにより、吸着筒の圧力によらずポンプ2の吸引圧力を大気圧に保つことが可能である。
【0039】
残留ガス戻し工程による戻りガスの分、原料ガスの流量が一時的に増加するため、バルブ11を介し、バイパス経路L6を通じて、吸着工程中の吸着筒への導入流量を増加させる。他の吸着筒が残留ガス戻し工程が終了し再生工程になった際の、吸着工程においてはマスフローコントローラ10で流量制御しながら精製することが可能である。
【0040】
本形態例にあるように、本発明は、排気によるロスを削減するプロセスにも適用可能なものである。
【0041】
なお、本発明は上述の各形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【0042】
上述の各形態例では、2筒式のPSA装置であったが、吸着筒の数は1筒のみであっても、3筒以上であってもよい。また、再生工程については、真空ポンプによる減圧やヒータで加熱するものであってもよい。
【0043】
また、ガス利用設備100としては、半導体製造装置等が挙げられるが、特に限定されるものではない。回収ガス(原料ガス)についても、一例として、不純物成分ガスとして空気を含むヘリウム(希ガス)が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0044】
吸着剤についても、回収ガス(原料ガス)や、吸着すべき不純物に応じて、適宜決定されるものであり、複数の吸着剤を積層充填してもよい。
【0045】
また,原料ガスや精製ガスのレシーバータンクを設けてもよいし、ガス精製装置の前後に微量不純物除去装置、粉塵フィルター等を取り付けてもよい。
【0046】
また、第3形態例における減圧弁9は、減圧弁に限らず、コントロールバルブ、圧力調整弁等の圧力調整器を設けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,20,30…ガス精製装置、2…ポンプ、3…PSA装置、3a…第1吸着筒、3b…第2吸着筒、4…背圧弁、5…精製ガス用圧力調整器、6…高純度ガス用圧力調整器、7…高純度ガス供給源、8…精製ガスタンク、9…減圧弁、10…マスフローコントローラ、11…バルブ、100…ガス利用設備、101…回収ガスタンク
L1…原料ガス供給経路、L2…精製ガス導出経路、L3…高純度ガス供給経路、L4…分岐経路、L5…残留ガス戻し経路、L6…バイパス経路、L10…回収ガス導入経路、L11…回収ガスリターン経路
【要約】
【課題】 簡単な機器構成で、昇圧工程及び均圧工程中であっても、高純度ガスの吐出が継続可能なガス精製装置を提供する。
【解決手段】 原料ガス供給経路L1と、原料ガス供給経路に設けられるポンプ2と、吸着筒3と、吸着筒3で精製された精製ガスを取り出す精製ガス導出経路L2とを備え、吸着筒3が、昇圧工程、吸着工程、再生工程を順次行うことによりガス分離を行う圧力変動吸着分離法によって精製するガス精製装置1において、精製ガス導出経路L2に背圧弁4と精製ガス用圧力調整器5を設け、その間の精製ガス導出経路L2に、高純度ガス供給源7からの高純度ガスを供給する高純度ガス供給経路L3が合流し、高純度ガス用圧力調整器6を備えている。圧力の関係が、背圧弁4の1次側設定圧力が高純度ガス用圧力調整器6の2次側設定圧力よりも大きく、高純度ガス用圧力調整器6の2次側設定圧力が精製ガス用圧力調整器5の2次側設定圧力よりも大きい。
【選択図】 図1
図1
図2
図3