(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】部品内蔵基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230322BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H05K1/02 R
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
(21)【出願番号】P 2019085376
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 信孝
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164023(JP,A)
【文献】特開2013-046291(JP,A)
【文献】米国特許第10211149(US,B1)
【文献】特開平06-302715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準パターンを備えた第1の配線層と、
前記第1の配線層上に形成された第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に形成されたキャビティ内で、前記第1の配線層上に搭載された電子部品と、
を有し、
前記基準パターンは、目盛りとして、前記第1の配線層を貫通する複数のスリットを有し、
前記基準パターンは、
平面視で前記電子部品の側面と交差する第1の部分と、
平面視で前記キャビティの側面と交差する第2の部分と、
を有することを特徴とする部品内蔵基板。
【請求項2】
前記第1の絶縁層上に形成された第2の配線層と、
前記第2の配線層上に形成された第2の絶縁層と、
を有し、
前記キャビティは、前記第2の配線層及び前記第2の絶縁層に繋がるように形成され、
前記キャビティ内において、前記第2の配線層の少なくとも一部の上面が前記第2の絶縁層から露出していることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵基板。
【請求項3】
前記基準パターンは、前記電子部品の互いに0度超の角度で交わる2側面
に対応するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の部品内蔵基板。
【請求項4】
前記電子部品は、多角形の平面形状を有し、
前記基準パターンは、前記多角形の少なくとも2辺に対応して、複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項5】
前記基準パターンは、前記第1の部分及び前記第2の部分を複数ずつ有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項6】
前記複数のスリットは、平面視で、前記電子部品の前記側面に平行な方向から傾斜した方向に一定の間隔で配列していることを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項7】
前記複数のスリットは、
第1の平面形状の複数の第1のスリットと、
前記第1の平面形状とは異なる第2の平面形状の複数の第2のスリットと、
を含み、
前記第2のスリットは、一定数の前記第1のスリットの群毎に設けられていることを特徴とする請求項
6に記載の部品内蔵基板。
【請求項8】
基準パターンを備えた第1の配線層を形成する工程と、
前記第1の配線層上に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層にキャビティを形成する工程と、
前記キャビティ内で、前記第1の配線層上に電子部品を搭載する工程と、
を有し、
前記基準パターンは、
平面視で前記電子部品の側面と交差する第1の部分と、
平面視で前記キャビティの側面と交差する第2の部分と、
を有
し、
前記電子部品を搭載する工程の後に、前記第1の部分及び前記第2の部分のうち前記キャビティ内に露出している部分の前記基準パターンに基づいて前記電子部品と前記キャビティとの間の位置精度を確認する工程を有することを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1の絶縁層を形成する工程と前記キャビティを形成する工程との間に、
前記第1の絶縁層上に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層上に第2の絶縁層を形成する工程と、
を有し、
前記キャビティは、前記第2の配線層及び前記第2の絶縁層に繋がり、前記キャビティ内において、前記第2の配線層の少なくとも一部の上面が前記第2の絶縁層から露出するように形成することを特徴とする請求項
8に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【請求項10】
基準パターンを備えた第1の配線層を形成する工程と、
前記第1の配線層上に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層にキャビティを形成する工程と、
前記キャビティ内で、前記第1の配線層上に電子部品を搭載する工程と、
を有し、
前記基準パターンは、
平面視で前記電子部品の側面と交差する第1の部分と、
平面視で前記キャビティの側面と交差する第2の部分と、
を有し、
前記基準パターンが目盛りを有し、
前記目盛りとして、前記第1の配線層を貫通する複数のスリットを形成する工程を有することを特徴とす
る部品内蔵基板の製造方法。
【請求項11】
前記複数のスリットを、平面視で、前記電子部品の前記側面に平行な方向から傾斜した方向に一定の間隔で配列させる工程を有することを特徴とする請求項
10に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品内蔵基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品内蔵基板の製造プロセスでは、レーザ加工によりキャビティを形成し、キャビティ内に電子部品を搭載している(特許文献1)。
【0003】
一般的に、部品内蔵基板に含まれる配線層の配線パターンは、露光装置によるフォトマスク等を用いたフォトリソグラフィにより形成される。その一方で、キャビティは、レーザ加工機を用いた絶縁層へのレーザ光の照射により形成される。レーザ加工機による加工精度は、フォトリソグラフィによる精度よりも低くなる。このため、配線パターンは高精度で形成することができるが、キャビティの位置精度は配線パターンの位置精度よりも低くなる。また、キャビティ内での電子部品に位置ずれが生じることもある。そこで、電子部品の搭載後に、配線層に形成されているアイメントマークと、電子部品に形成されているアライメントマークとの間の距離を測定し、位置精度の確認を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、配線層に形成されているアイメントマークと、電子部品に形成されているアライメントマークとの間の距離の測定のための作業は煩雑である。
【0006】
本開示は、キャビティと電子部品との間の位置精度を容易に確認することができる部品内蔵基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、基準パターンを備えた第1の配線層と、前記第1の配線層上に形成された第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層に形成されたキャビティ内で、前記第1の配線層上に搭載された電子部品と、を有し、前記基準パターンは、目盛りとして、前記第1の配線層を貫通する複数のスリットを有し、前記基準パターンは、平面視で前記電子部品の側面と交差する第1の部分と、平面視で前記キャビティの側面と交差する第2の部分と、を有する部品内蔵基板が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、キャビティと電子部品との間の位置精度を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す断面図である。
【
図2】基準パターンが形成された配線層の構成を示す図である。
【
図3】基準パターンに含まれるスリットを示す図である。
【
図4】配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図6】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図7】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図8】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図9】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図10】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図11】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図12】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図13】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図14】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図15】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図16】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図17】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図18】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法における基準パターンの露出状態の変化を示す図(その1)である。
【
図19】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法における基準パターンの露出状態の変化を示す図(その2)である。
【
図20】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法における基準パターンの露出状態の変化を示す図(その3)である。
【
図21】第1の実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法における基準パターンの露出状態の変化を示す図(その4)である。
【
図22】第1の状態での配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図23】第2の状態での配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図24】第3の状態での配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図25】第4の状態での配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図26】第5の状態での配線層、キャビティ及び電子部品の間の位置関係を示す図である。
【
図27】第2の実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【
図29】基準パターンの配置の第1の変形例を示す図である。
【
図30】基準パターンの配置の第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は部品内蔵基板に関する。
【0012】
[部品内蔵基板の構造]
まず、部品内蔵基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す断面図である。
図2は、基準パターンが形成された配線層の構成を示す図である。
図2は、
図1中の2点鎖線で囲んだ領域19a内の構成を示す。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10は、コア層11と、貫通配線12と、配線層21と、配線層31とを備えたコア配線基板101を有する。部品内蔵基板10は、更に、絶縁層22と、配線層23と、絶縁層24と、配線層25と、絶縁層26と、配線層27と、絶縁層28と、配線層29と、ソルダレジスト層41と、外部接続端子42とを有する。部品内蔵基板10は、更に、絶縁層32と、配線層33と、絶縁層34と、配線層35と、絶縁層36と、配線層37と、絶縁層38と、配線層39と、ソルダレジスト層51とを有する。部品内蔵基板10は、更に、電子部品60を有する。
【0014】
なお、部品内蔵基板10において、便宜上、ソルダレジスト層41が形成される側を一方の側(一方の面)、ソルダレジスト層51が形成される側を他方の側(他方の面)と称する場合がある。本開示においては、平面視とは、一方の側から対象物を視ることをいい、平面形状とは、対象物を一方の側から視た形状のことをいう。但し、部品内蔵基板は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0015】
図1に示すように、部品内蔵基板10において、コア層11の一方の面には配線層21が形成され、他方の面には配線層31が形成されている。配線層21と配線層31とはコア層11の一方の面からコア層11の他方の面に貫通する貫通孔11x内に形成された貫通配線12により電気的に接続されている。配線層21及び31は、各々所定の平面形状にパターニングされている。
【0016】
コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。コア層11には、コア層11を厚さ方向に貫通する貫通孔11xが設けられている。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。また、貫通配線12、配線層21及び配線層31の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0017】
図1に示すように、絶縁層22は、コア層11の一方の面に配線層21を覆うように形成されている。絶縁層22の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層22は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層22の厚さは、例えば30μm~70μm程度とすることができる。
【0018】
配線層23は、絶縁層22の一方の側に形成されている。配線層23は、絶縁層22を貫通し配線層21の一方の面を露出するビアホール22x内に充填されたビア配線、及び絶縁層22の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール22xは、絶縁層24側に開口されていると共に、配線層21の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層23の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層23の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。詳細は後述するが、
図2に示すように、配線層23は、基準パターン110a、110b、110c、110d、120a、120b、120c及び120dを含む。配線層23は第1の配線層の一例である。
【0019】
絶縁層24は、絶縁層22の一方の面に配線層23を覆うように形成されている。絶縁層24の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層24は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層24は第1の絶縁層の一例である。
【0020】
配線層25は、絶縁層24の一方の側に形成されている。配線層25は、絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するビアホール24x内に充填されたビア配線、及び絶縁層24の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール24xは、絶縁層26側に開口されていると共に、配線層23の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層25の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。詳細は後述するが、配線層25は、電子部品60が搭載される領域に、配線層25を貫通する開口パターン25xを有する。配線層25は第2の配線層の一例である。
【0021】
絶縁層26は、絶縁層24の一方の面に配線層25を覆うように形成されている。絶縁層26の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層26は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層26は第2の絶縁層の一例である。
【0022】
配線層27は、絶縁層26の一方の側に形成されている。配線層27は、絶縁層26を貫通し配線層25の一方の面を露出するビアホール26x内に充填されたビア配線、及び絶縁層26の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール26xは、絶縁層28側に開口されていると共に、配線層25の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層27の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0023】
絶縁層26、配線層25及び絶縁層24に、絶縁層26、配線層25及び絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するキャビティ15が形成されている。例えば、キャビティ15は、開口パターン25x及びその周囲の配線層25の一方の面(上面)が絶縁層26から露出するように形成されている。キャビティ15の平面形状は、例えば矩形である。そして、キャビティ15内にて、配線層23の一方の面に、接着剤61を介して電子部品60が搭載されている。電子部品60の平面形状は、例えば矩形である。電子部品60は、例えば半導体チップである。電子部品60が、キャパシタ、インダクタ、抵抗等の受動素子であってもよい。また、半導体チップに再配線を形成した所謂CSP(chip size package)であってもよい。或いは、これらが混在してもよい。電子部品60は、一方の側に電極パッド62を有する。
【0024】
絶縁層28は、絶縁層26の一方の面に、キャビティ15を埋め、配線層27及び電子部品60を覆うように形成されている。絶縁層28の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層28は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0025】
配線層29は、絶縁層28の一方の側に形成されている。配線層29は、絶縁層28を貫通し配線層27の一方の面を露出するビアホール28x内に充填されたビア配線、及び絶縁層28の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール28xは、ソルダレジスト層41側に開口されていると共に、配線層27の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層29の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0026】
ソルダレジスト層41は、絶縁層28の一方の面に、配線層29を覆うように形成されている。ソルダレジスト層41は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダレジスト層41の厚さは、例えば30μm~70μm程度とすることができる。
【0027】
ソルダレジスト層41は、開口部41xを有し、開口部41x内には配線層29の一部が露出している。開口部41x内に露出する配線層29は、半導体チップ等(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部41x内に露出する配線層29を第1パッド29と称する場合がある。
【0028】
第1パッド29の一方の面に金属層が形成されていたり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理が施されていたりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03μm~10μm程度とすることができる。
【0029】
第1パッド29の一方の面に外部接続端子42が設けられている。外部接続端子42としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0030】
但し、ソルダレジスト層41は、配線層29を完全に露出するように設けてもよい。この場合、配線層29の側面とソルダレジスト層41の側面とが接するようにソルダレジスト層41を設けてもよいし、配線層29の側面とソルダレジスト層41の側面との間に隙間ができるようにソルダレジスト層41を設けてもよい。
【0031】
なお、配線層29を構成する配線パターンを絶縁層28の一方の面に引き出して形成し、絶縁層28の一方の面に引き出された配線パターン上に開口部41xを形成してもよい。つまり、配線層29のビアホール28x上以外の部分に、開口部41xを配置してもよい。また、外部接続端子42が設けられていなくてもよい。
【0032】
絶縁層32は、コア層11の他方の面に配線層31を覆うように形成されている。絶縁層32の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0033】
配線層33は、絶縁層32の他方の側に形成されている。配線層33は、絶縁層32を貫通し配線層31の他方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、絶縁層34側に開口されていると共に、配線層31の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層33の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0034】
絶縁層34は、絶縁層32の他方の面に配線層33を覆うように形成されている。絶縁層34の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0035】
配線層35は、絶縁層34の他方の側に形成されている。配線層35は、絶縁層34を貫通し配線層33の他方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、絶縁層36側に開口されていると共に、配線層33の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層35の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0036】
絶縁層36は、絶縁層34の他方の面に配線層35を覆うように形成されている。絶縁層36の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層36は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0037】
配線層37は、絶縁層36の他方の側に形成されている。配線層37は、絶縁層36を貫通し配線層35の他方の面を露出するビアホール36x内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール36xは、絶縁層38側に開口されていると共に、配線層35の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層37の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0038】
絶縁層38は、絶縁層36の他方の面に配線層37を覆うように形成されている。絶縁層38の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層38は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0039】
配線層39は、絶縁層38の他方の側に形成されている。配線層39は、絶縁層38を貫通し配線層37の他方の面を露出するビアホール38x内に充填されたビア配線、及び絶縁層38の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール38xは、ソルダレジスト層51側に開口されていると共に、配線層37の他方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。配線層39の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0040】
ソルダレジスト層51は、絶縁層38の他方の面に、配線層39を覆うように形成されている。ソルダレジスト層51の材料や厚さは、例えば、ソルダレジスト層41と同様とすることができる。
【0041】
ソルダレジスト層51は、開口部51xを有し、開口部51x内には配線層39の一部が露出している。開口部51x内に露出する配線層39は、マザーボード等の実装基板等(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部51x内に露出する配線層39を第2パッド39と称する場合がある。なお、第2パッド39の平面形状は第1パッド29の平面形状よりも大きく、かつ、第2パッド39のピッチは第1パッド29のピッチよりも広い。
【0042】
第2パッド39の他方の面に金属層が形成されていたり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理が施されていたりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03μm~10μm程度とすることができる。また、第2パッド39の他方の面に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子が形成されていてもよい。
【0043】
なお、配線層39を構成する配線パターンを絶縁層38上に引き出して形成し、絶縁層38上に引き出された配線パターン上に開口部51xを形成してもよい。つまり、配線層39のビアホール38x上以外の部分に、開口部51xを配置してもよい。
【0044】
[基準パターンの構成]
ここで、基準パターン110a、110b、110c、110d、120a、120b、120c及び120dについて詳細に説明する。
【0045】
図2に示すように、配線層23には、電子部品60が搭載される予定の部品搭載領域160が設けられている。部品搭載領域160の平面形状は、電子部品60の平面形状と同様に、例えば矩形であり、互いに平行な1対の辺160A及び辺160Cと、互いに平行な1対の辺160B及び160Dとを有する。辺160A及び160Cと、辺160B及び160Dとは互いに直交する。辺160Aは電子部品60の側面60a(
図4参照)と重なり、辺160Bは電子部品60の側面60b(
図4参照)と重なり、辺160Cは電子部品60の側面60c(
図4参照)と重なり、辺160Dは電子部品60の側面60d(
図4参照)と重なる。
【0046】
また、配線層23には、平面視でキャビティ15と重なる予定のキャビティ形成領域115が設けられている。キャビティ形成領域115の平面形状は、キャビティ15の平面形状と同様に、例えば矩形であり、互いに平行な1対の辺115A及び辺115Cと、互いに平行な1対の辺115B及び115Dとを有する。辺115A及び115Cと、辺115B及び115Dとは互いに直交する。辺115Aは開口パターン25xの側面25a(
図4参照)と重なり、辺115Bは開口パターン25xの側面25b(
図4参照)と重なり、辺115Cは開口パターン25xの側面25c(
図4参照)と重なり、辺115Dは開口パターン25xの側面25d(
図4参照)と重なる。
【0047】
平面視で、キャビティ形成領域115は部品搭載領域160を包囲する。部品搭載領域160から視て、辺115Aは辺160Aと平行に辺160Aの外側に位置し、辺115Bは辺160Bと平行に辺160Bの外側に位置し、辺115Cは辺160Cと平行に辺160Cの外側に位置し、辺115Dは辺160Dと平行に辺160Dの外側に位置する。
【0048】
基準パターン110aは、少なくとも辺160Aと交差する。基準パターン110aは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン110aは、例えば、部品搭載領域160内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺160Aと交差する。本実施形態では、辺160Aと交差するように、2つの基準パターン110aが形成されているが、辺160Aと交差する基準パターン110aの数が1でもよく、3以上でもよい。また、基準パターン110aが、辺160Aに加えて辺115Aと交差してもよい。基準パターン110aの2つの直線状の部分は、それぞれ第1の部分の一例である。
【0049】
基準パターン110bは、少なくとも辺160Bと交差する。基準パターン110bは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン110bは、例えば、部品搭載領域160内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺160Bと交差する。本実施形態では、辺160Bと交差するように、1つの基準パターン110bが形成されているが、辺160Bと交差する基準パターン110bの数が2以上でもよい。また、基準パターン110bが、辺160Bに加えて辺115Bと交差してもよい。基準パターン110bの2つの直線状の部分は、それぞれ第1の部分の一例である。
【0050】
基準パターン110cは、少なくとも辺160Cと交差する。基準パターン110cは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン110cは、例えば、部品搭載領域160内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺160Cと交差する。本実施形態では、辺160Cと交差するように、2つの基準パターン110cが形成されているが、辺160Cと交差する基準パターン110cの数が1でもよく、3以上でもよい。また、基準パターン110cが、辺160Cに加えて辺115Cと交差してもよい。基準パターン110cの2つの直線状の部分は、それぞれ第1の部分の一例である。
【0051】
基準パターン110dは、少なくとも辺160Dと交差する。基準パターン110dは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン110dは、例えば、部品搭載領域160内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺160Dと交差する。本実施形態では、辺160Dと交差するように、1つの基準パターン110dが形成されているが、辺160Dと交差する基準パターン110dの数が2以上でもよい。また、基準パターン110dが、辺160Dに加えて辺115Dと交差してもよい。基準パターン110dの2つの直線状の部分は、それぞれ第1の部分の一例である。
【0052】
基準パターン120aは、少なくとも辺115Aと交差する。基準パターン120aは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン120aは、例えば、キャビティ形成領域115内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺115Aと交差する。本実施形態では、辺115Aと交差するように、2つの基準パターン120aが形成されているが、辺115Aと交差する基準パターン120aの数が1でもよく、3以上でもよい。また、基準パターン120aが、辺115Aに加えて辺160Aと交差してもよい。基準パターン120aの2つの直線状の部分は、それぞれ第2の部分の一例である。
【0053】
基準パターン120bは、少なくとも辺115Bと交差する。基準パターン120bは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン120bは、例えば、キャビティ形成領域115内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺115Bと交差する。本実施形態では、辺115Bと交差するように、1つの基準パターン120bが形成されているが、辺115Bと交差する基準パターン120bの数が2以上でもよい。また、基準パターン120bが、辺115Bに加えて辺160Bと交差してもよい。基準パターン120bの2つの直線状の部分は、それぞれ第2の部分の一例である。
【0054】
基準パターン120cは、少なくとも辺115Cと交差する。基準パターン120cは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン120cは、例えば、キャビティ形成領域115内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺115Cと交差する。本実施形態では、辺115Cと交差するように、2つの基準パターン120cが形成されているが、辺115Cと交差する基準パターン120cの数が1でもよく、3以上でもよい。また、基準パターン120cが、辺115Cに加えて辺160Cと交差してもよい。基準パターン120cの2つの直線状の部分は、それぞれ第2の部分の一例である。
【0055】
基準パターン120dは、少なくとも辺115Dと交差する。基準パターン120dは、例えば、一定の間隔で配列し、配線層23を貫通する複数のスリットを含む。基準パターン120dは、例えば、キャビティ形成領域115内で屈曲するVの字型の平面形状を有し、Vの字の2つの直線状の部分がそれぞれ辺115Dと交差する。本実施形態では、辺115Dと交差するように、1つの基準パターン120dが形成されているが、辺115Dと交差する基準パターン120dの数が2以上でもよい。また、基準パターン120dが、辺115Dに加えて辺160Dと交差してもよい。基準パターン120dの2つの直線状の部分は、それぞれ第2の部分の一例である。
【0056】
[スリットの構成]
次に、基準パターン110a、110b、110c、110d、120a、120b、120c及び120dに含まれるスリットについて説明する。ここでは、まず、代表として、
図3を参照しながら、基準パターン110c及び120cに含まれるスリットについて説明する。
図3は、基準パターン110c及び120cに含まれるスリットを示す図である。
図3は、
図2中の2点鎖線で囲んだ領域19b内の構成を示す。基準パターン110a、110b、110c、110d、120a、120b、120c及び120dに含まれるスリットは目盛りの一例である。
【0057】
図3に示すように、基準パターン110cは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列し、配線層23を貫通する複数のスリット111を含む。例えば、各スリット111の平面形状は、辺160Cと平行な2辺の長さが10μmで、辺160Cに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。複数のスリット111は、Vの字形状を構成するように、辺160Cに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、辺160Cに平行な方向での間隔は5μmであり、辺160Cに垂直な方向での間隔は1μmである。例えば、基準パターン110cに含まれるスリット111の数は101個であり、辺160Cに平行な方向で配列の中心に位置するスリット111は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、電子部品60が設計通りに搭載されたときに、両端から第N
C1番目のスリット111が電子部品60により横断されるかを予め設定しておく。
図3に示す例では、電子部品60が設計通りに搭載されたときに、両端から第44番目及び第45個目のスリット111が電子部品60により横断されるようにスリット111が形成されている。基準パターン110cに含まれるスリット111の総数及びN
C1の値は任意である。なお、
図3では、複数のスリット111の全体的な配置を示すために、便宜上、スリット111の各辺の長さ(10μm、5μm)に対し、スリット111の辺160Cに平行な方向での間隔(5μm)を短く図示している。
図22~
図26及び
図28でも同様である。
【0058】
同様に、基準パターン120cは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列し、配線層23を貫通する複数のスリット121を含む。例えば、各スリット121の平面形状は、辺115Cと平行な2辺の長さが10μmで、辺115Cに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。複数のスリット121は、Vの字形状を構成するように、辺115Cに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、辺115Cに平行な方向での間隔は5μmであり、辺115Cに垂直な方向での間隔は1μmである。例えば、基準パターン120cに含まれるスリット121の数は101個であり、辺115Cに平行な方向で配列の中心に位置するスリット121は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、キャビティ15が設計通りに形成されたときに、両端から第N
C2番目のスリット121が配線層25の開口パターン25xにより横断されるかを予め設定しておく。
図3に示す例では、キャビティ15が設計通りに形成されたときに、両端から第44番目及び第45個目のスリット121が開口パターン25xにより横断されるようにスリット121が形成されている。基準パターン120cに含まれるスリット121の総数及びN
C2の値は任意である。なお、
図3では、複数のスリット121の全体的な配置を示すために、便宜上、スリット121の各辺の長さ(10μm、5μm)に対し、スリット121の辺115Cに平行な方向での間隔(5μm)を短く図示している。
図22~
図26及び
図28でも同様である。
【0059】
基準パターン110aは、基準パターン110cと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン110aは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット111を含む。複数のスリット111は、Vの字形状を構成するように、辺160Aに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン110aに含まれるスリット111の数は101個であり、辺160Aに平行な方向で配列の中心に位置するスリット111は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、電子部品60が設計通りに搭載されたときに、両端から第NA1番目のスリット111が電子部品60により横断されるかを予め設定しておく。基準パターン110aに含まれるスリット111の総数及びNA1の値は任意である。
【0060】
基準パターン110bは、基準パターン110cと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン110cは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット111を含む。ただし、基準パターン110cと基準パターン110bとの間では、スリット111の向きが相違し、基準パターン110bに含まれるスリット111の平面形状は、辺160Bと平行な2辺の長さが10μmで、辺160Bに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。複数のスリット111は、Vの字形状を構成するように、辺160Bに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン110bに含まれるスリット111の数は101個であり、辺160Bに平行な方向で配列の中心に位置するスリット111は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、電子部品60が設計通りに搭載されたときに、両端から第NB1番目のスリット111が電子部品60により横断されるかを予め設定しておく。基準パターン110bに含まれるスリット111の総数及びNB1の値は任意である。
【0061】
基準パターン110dは、基準パターン110bと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン110dは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット111を含む。複数のスリット111は、Vの字形状を構成するように、辺160Dに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン110dに含まれるスリット111の数は101個であり、辺160Dに平行な方向で配列の中心に位置するスリット111は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、電子部品60が設計通りに搭載されたときに、両端から第ND1番目のスリット111が電子部品60により横断されるかを予め設定しておく。基準パターン110dに含まれるスリット111の総数及びND1の値は任意である。
【0062】
基準パターン120aは、基準パターン120cと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン120aは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット121を含む。複数のスリット121は、Vの字形状を構成するように、辺115Aに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン120aに含まれるスリット121の数は101個であり、辺115Aに平行な方向で配列の中心に位置するスリット121は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、キャビティ15が設計通りに形成されたときに、両端から第NA2番目のスリット121が配線層25の開口パターン25xにより横断されるかを予め設定しておく。基準パターン120aに含まれるスリット121の総数及びNA2の値は任意である。
【0063】
基準パターン120bは、基準パターン120cと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン120cは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット121を含む。ただし、基準パターン120cと基準パターン120bとの間では、スリット121の向きが相違し、基準パターン120bに含まれるスリット121の平面形状は、辺115Bと平行な2辺の長さが10μmで、辺115Bに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。複数のスリット121は、Vの字形状を構成するように、辺115Bに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン120bに含まれるスリット121の数は101個であり、辺115Bに平行な方向で配列の中心に位置するスリット121は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、キャビティ15が設計通りに形成されたときに、両端から第NB2番目のスリット121が配線層25の開口パターン25xにより横断されるかを予め設定しておく。基準パターン120bに含まれるスリット121の総数及びNB2の値は任意である。
【0064】
基準パターン120dは、基準パターン120bと同様に構成されている。すなわち、図示は省略するが、基準パターン120dは、平面視で、Vの字形状を構成するように配列した、配線層23を貫通する複数のスリット121を含む。複数のスリット121は、Vの字形状を構成するように、辺115Dに平行な方向から傾斜する方向に一定の間隔で配列している。例えば、基準パターン120dに含まれるスリット121の数は101個であり、辺115Dに平行な方向で配列の中心に位置するスリット121は、Vの字の屈曲点に位置する。また、例えば、キャビティ15が設計通りに搭載されたときに、両端から第ND2番目のスリット121が配線層25の開口パターン25xにより横断されるかを予め設定しておく。基準パターン120dに含まれるスリット121の総数及びND2の値は任意である。
【0065】
そして、キャビティ15が形成され、電子部品60が搭載された後では、
図4に示すように、開口パターン25xが絶縁層26から露出している。また、電子部品60から、少なくとも、基準パターン110a、110b、110c及び110dの各々の一部が露出し、配線層25から、少なくとも、基準パターン120a、120b、120c及び120dの各々の一部が露出している。
【0066】
従って、電子部品60の搭載後に、平面視で、電子部品60の側面60aが基準パターン110a内で横断するスリット111と、側面60bが基準パターン110b内で横断するスリット111と、側面60cが基準パターン110c内で横断するスリット111と、側面60dが基準パターン110d内で横断するスリット111とを特定することで、配線層23に対する電子部品60の位置精度を特定することができる。
【0067】
また、配線層25は配線層23に対して十分な位置精度で形成することができるため、配線層23に対する電子部品60の位置精度から、配線層25に対する電子部品60の位置精度を特定することもできる。
【0068】
また、開口パターン25xの側面25aはキャビティ15の一側面を一方の側に延長した面と一致するとみなすことができ、開口パターン25xの側面25bはキャビティ15の他の一側面を一方の側に延長した面と一致するとみなすことができ、開口パターン25xの側面25cはキャビティ15の更に他の一側面を一方の側に延長した面と一致するとみなすことができ、開口パターン25xの側面25dはキャビティ15の残りの一側面を一方の側に延長した面と一致するとみなすことができる。従って、電子部品60の搭載後又はキャビティ15の形成後に、開口パターン25xの側面25aが基準パターン120a内で横断するスリット121と、開口パターン25xの側面25bが基準パターン120b内で横断するスリット121と、開口パターン25xの側面25cが基準パターン120c内で横断するスリット121と、開口パターン25xの側面25dが基準パターン120d内で横断するスリット121とを特定することで、配線層23に対するキャビティ15の位置精度を特定することができる。
【0069】
従って、キャビティ15と電子部品60との間の位置関係も容易に特定することができる。
【0070】
[配線基板の製造方法]
次に、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10の製造方法について説明する。
図5~
図17は、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10の製造方法を示す断面図である。
図18~
図21は、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10の製造方法における基準パターンの露出状態の変化を示す図である。
【0071】
まず、
図5に示すように、支持体としてコア配線基板101を準備する。コア配線基板101はコア層11と、配線層21と、配線層31と、貫通配線12とを有する。コア層11に、一方の面から他方の面に貫通する貫通孔11xが形成され、貫通配線12は貫通孔11x内に形成されている。貫通孔11xは、例えば、ドリルやレーザを用いた加工等により形成することができる。配線層21はコア層11の一方の面に形成され、配線層31はコア層11の他方の面に形成されている。貫通配線12、配線層21及び配線層31は、例えば、めっき法及びフォトリソグラフィ等により形成することができる。なお、コア配線基板101としては、部品内蔵基板10が複数個取れる大判の基板が使用される。つまり、コア配線基板101は、部品内蔵基板10に対応する構造体が形成される複数の領域を有している。
【0072】
コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、100μm~200μm程度とすることができる。また、貫通配線12、配線層21及び配線層31の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0073】
次に、
図6に示すように、コア層11の一方の面に配線層21を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層22を形成する。また、コア層11の他方の面に配線層31を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層32を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布後、硬化させて絶縁層22及び32を形成してもよい。絶縁層22及び32の各々の厚さは、例えば、30μm~70μm程度とすることができる。絶縁層22及び32の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0074】
次に、
図7に示すように、絶縁層22に、絶縁層22を貫通し配線層21の一方の面を露出させるビアホール22xを形成する。また、絶縁層32に、絶縁層32を貫通し配線層31の他方の面を露出させるビアホール32xを形成する。ビアホール22x及び32xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール22x及び32xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール22x及び32xの底部に各々露出する配線層21及び配線層31の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0075】
次に、
図8に示すように、絶縁層22の一方の側に配線層23を形成する。配線層23は、ビアホール22x内に充填されたビア配線、及び絶縁層22の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層23は、ビアホール22xの底部に露出した配線層21と電気的に接続される。
図18に示すように、配線層23は、スリット111(
図3参照)を含む基準パターン110a~110dと、スリット121(
図3参照)を含む基準パターン120a~120dとを備えるように形成する。
【0076】
同様に、絶縁層32の他方の側に配線層33を形成する。配線層33は、ビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層33は、ビアホール32xの底部に露出した配線層31と電気的に接続される。
【0077】
配線層23及び33の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層23及び33の各々の厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。配線層23及び33の各々は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0078】
次に、
図9に示すように、
図6~
図8に示す工程を繰り返すことにより、配線層23に、絶縁層24、配線層25、絶縁層26及び配線層27を順次積層する。また、配線層33に、絶縁層34、配線層35、絶縁層36及び配線層37を順次積層する。但し、配線層と絶縁層は任意の積層数とすることができる。
【0079】
すなわち、絶縁層22の一方の面に配線層23を覆うように絶縁層24を形成する。同様に、絶縁層32の他方の面に配線層33を覆うように絶縁層34を形成する。そして、絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するビアホール24xを形成する。同様に、絶縁層34を貫通し配線層33の他方の面を露出するビアホール34xを形成する。絶縁層24及び34の各々の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層24及び34の各々は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0080】
更に、絶縁層24の一方の側に配線層25を形成する。配線層25は、ビアホール24x内に充填されたビア配線、及び絶縁層24の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層25は、ビアホール24x内に露出した配線層23と電気的に接続される。同様に、絶縁層34の他方の側に配線層35を形成する。配線層35は、ビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層35は、ビアホール34x内に露出した配線層33と電気的に接続される。配線層25及び35の各々の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0081】
更に、絶縁層24の一方の面に配線層25を覆うように絶縁層26を形成する。同様に、絶縁層34の他方の面に配線層35を覆うように絶縁層36を形成する。絶縁層24、配線層25、絶縁層26及び配線層27の形成後には、
図19に示すように、配線層23に形成されている基準パターン110a~110dと基準パターン120a~120dとは、絶縁層26及び絶縁層24(
図9参照)に隠れる。そして、絶縁層26を貫通し配線層25の一方の面を露出するビアホール26xを形成する。同様に、絶縁層36を貫通し配線層35の他方の面を露出するビアホール36xを形成する。絶縁層26及び36の各々の材料や厚さは、例えば、絶縁層22と同様とすることができる。絶縁層26及び36の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0082】
更に、絶縁層26の一方の側に配線層27を形成する。配線層27は、ビアホール26x内に充填されたビア配線、及び絶縁層26の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層27は、ビアホール26x内に露出した配線層25と電気的に接続される。同様に、絶縁層36の他方の側に配線層37を形成する。配線層37は、ビアホール36x内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層37は、ビアホール36x内に露出した配線層35と電気的に接続される。配線層27及び37の各々の材料や厚さは、例えば、配線層23と同様とすることができる。
【0083】
次に、
図10に示すように、絶縁層26、配線層25及び絶縁層24に、絶縁層26、配線層25及び絶縁層24を貫通し配線層23の一方の面を露出するキャビティ15を形成する。キャビティ15は、例えば、配線層25に予め形成してあるアライメントマークとの位置合わせを行いながら、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。キャビティ15の形成後には、
図20に示すように、開口パターン25xが絶縁層26から露出し、開口パターン25xから配線層23の一部が露出する。
【0084】
また、開口パターン25xの側面25aが基準パターン120aと交差し、開口パターン25xの側面25bが基準パターン120bと交差し、開口パターン25xの側面25cが基準パターン120cと交差し、開口パターン25xの側面25dが基準パターン120dと交差する。設計通りにキャビティ15が形成されれば、開口パターン25xの側面25aとキャビティ形成領域115の辺115Aとが重なり、開口パターン25xの側面25bとキャビティ形成領域115の辺115Bとが重なり、開口パターン25xの側面25cとキャビティ形成領域115の辺115Cとが重なり、開口パターン25xの側面25dとキャビティ形成領域115の辺115Dとが重なる。
【0085】
次に、
図11に示すように、キャビティ15内にて、配線層23の一方の面に、接着剤61を介して、一方の側に電極パッド62を有する電子部品60を搭載する。電子部品60は、例えば、配線層25に予め形成してあるアライメントマークと、電子部品60に予め形成してあるアライメントマークとを用いた位置合わせを行いながら、配線層23の一方の面に搭載する。電子部品60の搭載後には、
図21に示すように、電子部品60から配線層23の一部が露出する。
【0086】
また、平面視で、電子部品60の側面60aが基準パターン110aと交差し、電子部品60の側面60bが基準パターン110bと交差し、電子部品60の側面60cが基準パターン110cと交差し、電子部品60の側面60dが基準パターン110dと交差する。設計通りに電子部品60が搭載されれば、平面視で、電子部品60の側面60aと部品搭載領域160の辺160Aとが重なり、電子部品60の側面60bと部品搭載領域160の辺160Bとが重なり、電子部品60の側面60cと部品搭載領域160の辺160Cとが重なり、電子部品60の側面60dと部品搭載領域160の辺160Dとが重なる。
【0087】
電子部品60の搭載後に、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を確認する。以下、キャビティ15及び電子部品60の具体的な状態を参照しながら、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を確認する方法について説明する。
図22は、キャビティ15が設計通りに形成され、電子部品60が設計通りに搭載された第1の状態における、配線層23及び25と、キャビティ15と、電子部品60との間の位置関係を示す図である。
図23は、電子部品60が設計通りに搭載され、キャビティ15に並進方向のずれが生じた第2の状態における、配線層23及び25と、キャビティ15と、電子部品60との間の位置関係を示す図である。
図24は、電子部品60が設計通りに搭載され、キャビティ15に回転方向のずれが生じた第3の状態における、配線層23及び25と、キャビティ15と、電子部品60との間の位置関係を示す図である。
図25は、キャビティ15が設計通りに形成され、電子部品60に並進方向のずれが生じた第4の状態における、配線層23及び25と、キャビティ15と、電子部品60との間の位置関係を示す図である。
図26は、キャビティ15が設計通りに形成され、電子部品60に回転方向のずれが生じた第5の状態における、配線層23及び25と、キャビティ15と、電子部品60との間の位置関係を示す図である。
【0088】
例えば顕微鏡を用いて、開口パターン25xの側面25a~25dが横断するスリット121を、それぞれ基準パターン120a~120d内で特定する。キャビティ15が設計通りに形成されていれば(第1の状態)、
図22に示すように、側面25cは、平面視で、基準パターン120c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット121を横断する。キャビティ15が設計通りに形成されたときに横断するスリット121が両端から第44番目及び第45番目のスリット121となるようにスリット121が形成されているため、この観察結果から、キャビティ15が設計通りに形成されたことを特定できる。
【0089】
これに対し、キャビティ15が並進方向にずれて形成されていれば(第2の状態)、
図23に示すように、側面25cは、平面視で、基準パターン120c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット121の組み合わせとは異なるスリット121を横断する。
図23に示す例では、側面25cが、基準パターン120c内で両端から第46番目及び第47番目のスリット121の組み合わせを横断している。この観察結果から、キャビティ15が辺115Cに垂直な並進方向に2個のスリット121分だけずれて形成されたことを特定できる。また、このずれの方向でのスリット121の間隔は1μmであるため、ずれの量が2μmであることも特定することができる。
【0090】
また、キャビティ15が回転方向にずれて形成されていれば(第3の状態)、
図24に示すように、側面25cは、平面視で、基準パターン120c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット121の組み合わせとは異なるスリット121を横断する。
図24に示す例では、側面25cが、基準パターン120c内で一端から第4
2番目及び第4
3番目の組み合わせを横断し、他端から第46番目及び第47番目の組み合わせを横断している。この観察結果から、キャビティ15が回転方向にずれて形成されたことを確認できる。また、スリット121の、辺115Cに平行な方向での間隔及び辺115Cに垂直な方向での間隔から、回転角度を容易に算出することもできる。
【0091】
開口パターン25xの側面25a、25b、25dについても同様の観察を行うことで、キャビティ15の並進方向及び回転方向の位置精度を特定することができる。
【0092】
また、例えば顕微鏡を用いて、電子部品60の側面60a~60dが横断するスリット111を、それぞれ基準パターン110a~110d内で特定する。電子部品60が設計通りに搭載されていれば(第1の状態)、
図22に示すように、側面60cは、平面視で、基準パターン110c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット111を横断する。電子部品60が設計通りに形成されたときに横断するスリット111が両端から第44番目及び第45番目のスリット111となるようにスリット111が形成されているため、この観察結果から、電子部品60が設計通りに形成されたことを特定できる。
【0093】
これに対し、電子部品60が並進方向にずれて搭載されていれば(第4の状態)、
図25に示すように、側面60cは、平面視で、基準パターン110c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット111の組み合わせとは異なるスリット111を横断する。
図25に示す例では、側面60cが、基準パターン110c内で両端から第49番目及び第50番目のスリット111の組み合わせを横断している。この観察結果から、電子部品60が辺160Cに垂直な並進方向に5個のスリット111分だけずれて形成されたことを確認できる。また、このずれの方向でのスリット111の間隔は1μmであるため、ずれの量が5μmであることも特定することができる。
【0094】
また、電子部品60が回転方向にずれて形成されていれば(第5の状態)、
図26に示すように、側面60cは、平面視で、基準パターン110c内で両端から第44番目及び第45番目のスリット111の組み合わせとは異なるスリット111を横断する。
図26に示す例では、側面60cが、基準パターン120c内で一端から第4
2番目及び第4
3番目の組み合わせを横断し、他端から第46番目及び第47番目の組み合わせを横断している。この観察結果から、電子部品60が回転方向にずれて搭載されたことを確認できる。また、スリット111の、辺160Cに平行な方向での間隔及び辺160Cに垂直な方向での間隔から、回転角度を容易に算出することもできる。
【0095】
電子部品60の側面60a、60b、60dについても同様の観察を行うことで、電子部品60の並進方向及び回転方向の位置精度を特定することができる。
【0096】
更に、側面60aと側面25aとの間に露出しているスリット111の数から、側面60aと側面25aとの間の距離を特定することができる。同様に、側面60bと側面25bとの間に露出しているスリット111の数から、側面60bと側面25bとの間の距離を特定することができ、側面60cと側面25cとの間に露出しているスリット111の数から、側面60cと側面25cとの間の距離を特定することができ、側面60dと側面25dとの間に露出しているスリット111の数から、側面60dと側面25dとの間の距離を特定することができる。
【0097】
キャビティ15及び電子部品60の位置精度の確認後に、
図12に示すように、絶縁層26の一方の面に、キャビティ15を埋め、配線層27及び電子部品60を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層28を形成する。また、絶縁層36の他方の面に配線層37を覆うようにフィルム状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂フィルムをラミネートし、絶縁層38を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を塗布後、硬化させて絶縁層28及び28を形成してもよい。絶縁層26上での絶縁層28の厚さは、例えば、15μm~70μm程度とすることができる。絶縁層38の厚さは、例えば、30μm~70μm程度とすることができる。絶縁層28及び38は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層28の一部はキャビティ15内にも入り込む。このため、絶縁層28の形成に用いる絶縁性樹脂フィルムの厚さが絶縁層22等の形成に用いる絶縁性樹脂フィルムの厚さと同一であっても、絶縁層26上での絶縁層28の厚さが絶縁層22等の厚さより薄くなることがある。
【0098】
次に、
図13に示すように、絶縁層28に、絶縁層28を貫通し配線層27の一方の面及び電子部品60の電極パッド62を露出させるビアホール28xを形成する。また、絶縁層38に、絶縁層38を貫通し配線層37の他方の面を露出させるビアホール38xを形成する。ビアホール28x及び38xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール28x及び38xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール28xの底部に露出する配線層27及び電極パッド62の表面に付着した樹脂残渣と、ビアホール38xの底部に露出する配線層37の表面に付着した樹脂残渣とを除去することが好ましい。
【0099】
次に、
図14に示すように、絶縁層28の一方の側に配線層29を形成する。配線層29は、ビアホール28x内に充填されたビア配線、及び絶縁層28の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層29は、ビアホール28xの底部に露出した配線層27及び電極パッド62と電気的に接続される。
【0100】
同様に、絶縁層38の他方の側に配線層39を形成する。配線層39は、ビアホール38x内に充填されたビア配線、及び絶縁層38の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層39は、ビアホール38xの底部に露出した配線層37と電気的に接続される。
【0101】
次に、
図15に示すように、絶縁層28の一方の面に配線層29を被覆するソルダレジスト層41を形成する(但し、前述のように、ソルダレジスト層41は、配線層29を完全に露出するように形成してもよい)。ソルダレジスト層41は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層29を被覆するように絶縁層28の一方の面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層29を被覆するように絶縁層28の一方の面にラミネートすることにより形成してもよい。同様にして、絶縁層38の他方の面に配線層39を被覆するソルダレジスト層51を形成する。
【0102】
そして、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することでソルダレジスト層41に開口部41xを形成する(フォトリソグラフィ法)。また、ソルダレジスト層51に開口部51xを形成する(フォトリソグラフィ法)。なお、開口部41x及び51xは、レーザ加工法やブラスト処理により形成してもよい。開口部41x及び51xの各々の平面形状は、例えば、円形状とすることができる。開口部41x及び51xの各々の直径は、半導体チップやマザーボードの端子ピッチ等に合わせて任意に設計できる。
【0103】
必要に応じ、開口部41x及び51xの各々の底部に露出する配線層29(第1パッド29)の一方の面及び配線層39(第2パッド39)の他方の面に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。また、金属層の形成に代えて、開口部41x及び51xの各々の底部に露出する配線層29の一方の面及び配線層39の他方の面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0104】
次に、
図16に示すように、第1パッド29上に、第1パッド29上に金属層等が形成されている場合には金属層等の上に、外部接続端子42を形成する。外部接続端子42としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0105】
外部接続端子42の形成方法の一例では、例えば、まず、第1パッド29上に、第1パッド29上に金属層等が形成されている場合には、金属層等の上に、表面処理剤としてのフラックスを塗布する。そして、はんだボールを搭載し、240℃~260℃程度の温度でリフローする。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。このようにして、外部接続端子42を形成することができる。
【0106】
外部接続端子42の形成後、
図17に示すように、切断線Cに沿って部品内蔵基板10を切断し、個片化する。部品内蔵基板10は、切断線Cに沿ってスライサー等で切断することにより個片化される。
【0107】
このようにして、第1の実施形態に係る部品内蔵基板10を製造することができる。なお、部品内蔵基板10の個片化は、
図15に示す工程の後で、外部接続端子42を形成せずに行ってもよい。つまり、部品内蔵基板10に外部接続端子42を含ませなくてもよい。
【0108】
このような方法によれば、配線層23の基準パターン110a~110d及び120a~120dを用いてキャビティ15及び電子部品60の位置精度を容易に確認することができる。そして、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を容易に確認しながら、部品内蔵基板10を製造することができる。
【0109】
また、本実施形態では、平面視で、電子部品60の各側面に垂直な方向に並ぶように2つの基準パターンが設けられている。例えば、側面60Aに垂直な方向に並ぶように基準パターン110a及び120aが設けられている。このため、顕微鏡を用いた観察を行う場合に、1視野で、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を確認しやすい。
【0110】
更に、本実施形態では、平面視で、基準パターン110a~110dが少なくとも2箇所で電子部品60の側面60a~60dの各々と交差している。このため、電子部品60の回転方向の位置精度を特定することができる。
【0111】
なお、基準パターン110a~110dが1箇所で電子部品60の側面60a~60dの各々と交差していてもよい。この場合でも、少なくとも並進方向の位置精度を特定することができる。この場合、後述の変形例のように、特徴的なスリット112が含まれていることが好ましい。
【0112】
キャビティ15及び電子部品60の位置精度の確認の結果、予め定められている基準が満たされていない場合には、その後の処理を省略してもよい。この場合、キャビティ15を形成する際に用いるレーザ装置等の調整や、電子部品60の搭載に用いる装置等の調整を行った後で、新たに部品内蔵基板10の製造を開始してもよい。
【0113】
キャビティ15及び電子部品60の位置精度の確認の頻度は特に限定されない。例えば、部品内蔵基板10の製造毎に行ってもよく、ロット生産する場合はロットの先頭のみで行ってもよい。
【0114】
キャビティ15及び電子部品60の位置精度を確認する方法は、顕微鏡を用いる方法に限定されない。例えば、カメラ等の撮像装置により画像を取得し、この画像の画像処理等により、基準パターン120a~120d又は110a~110dを基準にした位置精度の確認を行ってもよい。
【0115】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、部品内蔵基板10及び半導体チップを含む半導体パッケージに関する。
図27は、第2の実施形態に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【0116】
図27に示すように、第2の実施形態に係る半導体パッケージ20は、部品内蔵基板10と、部品内蔵基板10上に実装された半導体チップ71とを有する。半導体チップ71は電極パッド72及びバンプ73を有しており、電極パッド72がバンプ73を介して外部接続端子42に接続されている。また、部品内蔵基板10と半導体チップ71との間にアンダーフィル樹脂74が充填されている。
【0117】
このような半導体パッケージ20を製造するには、例えば、部品内蔵基板10の外部接続端子42と半導体チップ71の電極パッド72及びバンプ73とが対応する位置に来るように、部品内蔵基板10上に半導体チップ71を配置する。そして、例えば230℃程度に加熱し、外部接続端子42(はんだボール)を構成するはんだ及びバンプ73を構成するはんだを融解させ、部品内蔵基板10の第1パッド29と半導体チップ71の電極パッド72とを電気的及び機械的に接続する。そして、部品内蔵基板10と半導体チップ71との間にアンダーフィル樹脂74を充填する。
【0118】
(変形例)
次に、種々の変形例について説明する。
【0119】
図28は、スリットの変形例を示す図である。
図28に示す変形例では、基準パターン110cにスリット111の他に、スリット112が含まれる。各スリット112の平面形状は、辺160Cと平行な2辺の長さが20μmで、辺160Cに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。つまり、スリット112は、辺160Cと平行な方向でスリット111よりも長い。そして、複数のスリット112が、それらの間に挟まれるスリット111の数が一定となるように配置されている。例えば、隣り合うスリット112の間に9個のスリット111が挟まれるようにして配置されている。隣り合うスリット112の間に4個のスリット111が挟まれるようにして配置されていてもよい。
【0120】
同様に、基準パターン120cにスリット121の他に、スリット122が含まれる。各スリット122の平面形状は、辺115Cと平行な2辺の長さが20μmで、辺115Cに垂直な2辺の長さが5μmの長方形である。つまり、スリット122は、辺115Cと平行な方向でスリット121よりも長い。そして、複数のスリット122が、それらの間に挟まれるスリット121の数が一定となるように配置されている。例えば、隣り合うスリット122の間に9個のスリット121が挟まれるようにして配置されている。隣り合うスリット122の間に4個のスリット121が挟まれるようにして配置されていてもよい。
【0121】
他の基準パターン110a、110b、110d、120a、120b及び120dについても、同様にスリット112又は122が含まれている。
【0122】
このような変形例によれば、電子部品60が横断するスリット111又は112がどの位置に配置されているスリットなのか、より一層特定しやすく、また、開口パターン25xが横断するスリット121又は122がどの位置に配置されているスリットなのか、より一層特定しやすくすることができる。
【0123】
図29は、基準パターンの配置の第1の変形例を示す図である。
図29に示す変形例では、基準パターン110aが辺115A及び160Aを横断するように形成され、基準パターン110bが辺115B及び160Bを横断するように形成され、基準パターン110cが辺115C及び160Cを横断するように形成され、基準パターン110dが辺115D及び160Dを横断するように形成されている。その一方で、第1の実施形態における基準パターン120a、120b、120c及び120dに相当する基準パターンは形成されていない。
【0124】
このような変形例によっても、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を容易に確認することができる。
【0125】
図29に示すように、基準パターン110a、110b、110c及び110dがキャビティ形成領域115の外側でVの字型に屈曲していてもよい。
【0126】
図30は、基準パターンの配置の第2の変形例を示す図である。
図30に示す変形例では、基準パターン110a、110b、120a及び120bが形成され、第1の実施形態における基準パターン110c、110d、120c及び120dに相当する基準パターンは形成されていない。
【0127】
このような変形例によっても、キャビティ15及び電子部品60の位置精度を容易に確認することができる。すなわち、電子部品60の少なくとも互いに0度超の角度で交わる2側面に対応するように基準パターンが設けられていれば、配線層23の一方の面に平行な方向でのキャビティ15及び電子部品60の位置精度を容易に確認することができる。
【0128】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0129】
10 部品内蔵基板
15 キャビティ
20 半導体パッケージ
23 配線層(第1の配線層)
24 絶縁層(第1の絶縁層)
25 配線層(第2の配線層)
25x 開口パターン
26 絶縁層(第2の絶縁層)
60 電子部品
110a~110d、120a~120d 基準パターン
111、112、121、122 スリット
115 キャビティ形成領域
115A~115D、160A~160D 辺
160 部品搭載領域