(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-23
(45)【発行日】2023-03-31
(54)【発明の名称】部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
(21)【出願番号】P 2019075899
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 裕一
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/185438(WO,A1)
【文献】特開2016-096170(JP,A)
【文献】特開2014-107431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性樹脂層及び導体層を備えるビルドアップ層と、
前記絶縁性樹脂層に形成されたキャビティと、
前記キャビティの底面上に接着層を介して接続される電子部品と、
前記電子部品の四隅に対向するように、前記キャビティの底面上に配置された台座と、
前記キャビティ内に充填され、前記電子部品及び前記台座を被覆する充填樹脂層と
を有
し、
前記台座は、前記接着層よりも厚いことを特徴とする部品内蔵基板。
【請求項2】
前記台座は、前記キャビティの深さよりも薄いことを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項3】
前記台座は、前記電子部品の接着面の対向する2辺に沿った位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項4】
前記台座は、前記電子部品の接着面の外周を囲む位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項5】
前記台座は、
直方体形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項6】
前記台座は、前記電子部品の接着面の角を挟む2辺に沿った
L字形状の断面を有することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項7】
絶縁性樹脂層及び導体層を備えるビルドアップ層と、
前記絶縁性樹脂層に形成されたキャビティと、
前記キャビティの底面上に接着層を介して接続される電子部品と、
前記電子部品の四隅に対向するように、前記キャビティの底面上に配置された台座と、
前記キャビティ内に充填され、前記電子部品及び前記台座を被覆する充填樹脂層と
を有し、
前記台座は、1辺が前記電子部品の接着面の角に対向する三角形状の断面を有することを特徴とす
る部品内蔵基板。
【請求項8】
前記キャビティは、底面に前記導体層を露出させるように形成されることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項9】
絶縁性樹脂層及び導体層を備えるビルドアップ層と、
前記絶縁性樹脂層に形成されたキャビティと、
前記キャビティの底面上に接着層を介して接続される電子部品と、
前記電子部品の四隅に対向するように、前記キャビティの底面上に配置された台座と、
前記キャビティ内に充填され、前記電子部品及び前記台座を被覆する充填樹脂層と
を有し、
前記台座は、前記キャビティ内に収まるように配置され、前記台座の上面すべてが前記充填樹脂層によって被覆されることを特徴とす
る部品内蔵基板。
【請求項10】
絶縁性樹脂層及び導体層を備えるビルドアップ層を形成する工程と、
前記ビルドアップ層にキャビティを形成する工程と、
形成されたキャビティの底面上に、接着材を介して電子部品を配置するとともに、前記電子部品の四隅に対向するように前記キャビティの底面上に台座を形成する工程と、
前記電子部品及び前記台座を被覆するように前記キャビティ内に絶縁性樹脂を充填する工程と、
前記接着材と、充填された前記絶縁性樹脂とを硬化する工程と、
を有することを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高密度な部品実装を実現するために、例えばコンデンサなどの部品を基板の内部に内蔵する部品内蔵基板が注目されている。部品内蔵基板は、例えば絶縁性のビルドアップ樹脂層と導体層とからなる層を積層した基板にキャビティを設け、部品が配置されたキャビティ内にビルドアップ樹脂を充填することで製造される。
【0003】
部品は、例えば接着材などによって、基板内部の導体層に接着される。具体的には、キャビティの底面に露出する導体層に、半硬化状態の接着材によって部品が仮接着され、接着材が半硬化状態のままキャビティ内にビルドアップ樹脂が充填される。そして、ビルドアップ樹脂が熱硬化される際に、同時に半硬化状態の接着材が熱硬化されることにより、基板に内蔵された部品が導体層に接着される。そして、部品上方のビルドアップ樹脂にはビアが形成され、ビアを介して部品の導体層と基板表面の配線とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-96170号公報
【文献】特開2006-019441号公報
【文献】特開2012-191204号公報
【文献】特開2014-107431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ビルドアップ樹脂がキャビティ内に充填される際には、部品上方に充填されるビルドアップ樹脂によって部品が下向きに押圧される。このため、部品下方の半硬化状態の接着材が全周方向へ押し出される。このとき、部品が例えば直方体形状である場合には、下面外周の4辺の中央付近ではそれぞれの辺のみから外方へ接着材が流出するのに対し、四隅付近では角から放射状に接着材が流出するとともに、それぞれの角を挟む2辺からも接着材が流出する。すなわち、部品の下面外周の四隅付近から、より多くの接着材が流出しやすい。結果として、部品の下面外周の四隅付近において接着材の厚さが薄くなり、部品は中央付近が高く四隅が低い形状に撓んだ状態で接着される。
【0006】
また、例えば部品の熱膨張率よりも接着材の熱膨張率が大きい場合には、熱硬化後の冷却過程において、接着材の方が大きく収縮することになり、部品の撓んだ状態が助長される。
【0007】
このように部品が撓んだ状態で接着されると、部品の上方では、ビルドアップ樹脂の厚さにばらつきが生じることになる。すなわち、部品の中央付近では上方のビルドアップ樹脂が薄く、部品の四隅付近では上方のビルドアップ樹脂が厚くなる傾向がある。そして、部品上方のビルドアップ樹脂に逆円錐台形状のビアが形成されると、ビルドアップ樹脂の厚さのばらつきにより、位置によってビア底の径が異なる。具体的には、部品の中央付近よりも四隅付近の上方においてビルドアップ樹脂厚が大きいため、四隅付近の上方のビアの方が深くなり、ビア底の径が小さくなることがある。この結果、部品の電極とビアの接続面積が小さくなり、部品とビアを介した配線との接続信頼性が低下するという問題がある。
【0008】
さらに、部品の中央付近上方においてビルドアップ樹脂厚が小さいため、部品の電極と基板表面の配線との距離が小さくなり、絶縁信頼性が低下するという問題もある。
【0009】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、部品と配線の接続信頼性及び絶縁信頼性を向上することができる部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が開示する部品内蔵基板は、1つの態様において、絶縁性樹脂層及び導体層を備えるビルドアップ層と、前記絶縁性樹脂層を前記導体層の一面まで切り欠いて形成されたキャビティ内に位置し、前記導体層の一面上に接着層を介して接続される電子部品と、前記キャビティ内の前記導体層の一面上であって、前記電子部品の接着面の少なくとも角部分の周囲に形成される台座と、前記キャビティ内に充填され、前記電子部品及び前記台座を被覆する充填樹脂層とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法の1つの態様によれば、部品と配線の接続信頼性及び絶縁信頼性を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る部品内蔵基板の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る部品内蔵基板の製造方法を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、ビルドアップ工程の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、キャビティ形成工程の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、台座形成工程の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、部品搭載工程の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、部品埋め込み工程の具体例を示す図である。
【
図10】
図10は、レーザビア加工工程の具体例を示す図である。
【
図12】
図12は、ソルダーレジスト形成工程の具体例を示す図である。
【
図15】
図15は、台座の配置のさらに他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、一実施の形態に係る部品内蔵基板の構成を示す図である。
図1においては、部品内蔵基板の断面を模式的に示している。
【0015】
部品内蔵基板は、積層構造となっており、大きく分けてビルドアップ層100とソルダーレジスト層200を有する。そして、ビルドアップ層100には、部品310が埋設されている。ビルドアップ層100は、さらに第1層110、第2層120、第3層130及び充填樹脂層140に分かれる。第1層110、第2層120及び第3層130には、隣接する層間がビアによって接続される導体層150が含まれる。以下においては、
図1に示すように、第1層110が最下層であり、ソルダーレジスト層200が最上層であるものとして説明するが、部品内蔵基板は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられて良い。
【0016】
第1層110は、絶縁性のビルドアップ樹脂層と導体層150とから形成されている。第1層110を形成するビルドアップ樹脂は、熱硬化により硬化し、第1層110内部の導体層150を所定の位置に保持する。
【0017】
第2層120は、第1層110の上方に隣接して積層され、絶縁性のビルドアップ樹脂層と導体層150とから形成されている。第2層120を形成するビルドアップ樹脂は、熱硬化により硬化し、第2層120内部の導体層150を所定の位置に保持する。第2層120内部の導体層150は、第1層110内部の導体層150とビアによって接続されている。
【0018】
第3層130は、第2層120の上方に隣接して積層され、絶縁性のビルドアップ樹脂層と導体層150とから形成されている。第3層130を形成するビルドアップ樹脂は、熱硬化により硬化し、第3層130内部の導体層150を所定の位置に保持する。第3層130内部の導体層150は、第2層120内部の導体層150とビアによって接続されている。第2層120及び第3層130には、部品310が埋設されている。
【0019】
充填樹脂層140は、後述する部品埋め込み工程において、キャビティ内に充填される充填樹脂340と連続して形成される層である。充填樹脂層140の表面には配線が施され、これらの配線がソルダーレジスト層200によって被覆される。充填樹脂層140には、部品埋め込み工程の後ビアが形成されて、第3層130内部の導体層150又は部品310の電極と充填樹脂層140表面の配線とが接続される。充填樹脂層140を形成する樹脂は、第1層110から第3層130のビルドアップ樹脂層と同様の樹脂であっても良い。
【0020】
導体層150は、例えば銅などの金属から形成され、各層のビルドアップ樹脂層によって所定の位置に保持される。隣接する層の導体層150は、各層に形成されるビアを介して接続され、通電可能となっている。また、第2層120内部の導体層150には、部品310が接着材320によって接着されている。そして、部品310の周囲の導体層150上には、部品310の下面からの接着材320の流出を抑制する台座330が形成されている。
【0021】
ソルダーレジスト層200は、ビルドアップ層100の表面に配置された配線を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層200は、例えばパターン印刷などにより塗膜形成される。例えば半導体チップなどの外部部品が搭載される部分には、ソルダーレジスト層200に開口が設けられ、ビルドアップ層100表面の配線に接続するバンプ210が形成される。
【0022】
部品310は、例えばコンデンサなどの電子部品であり、第2層120及び第3層130に埋設される。すなわち、部品310の周囲に充填樹脂340が充填されることにより、部品310がビルドアップ層100に埋め込まれている。部品310の下面は、接着材320によって第2層120の導体層150に接着される接着面である。
【0023】
部品310は、例えば直方体形状を有し、部品310の下面の周囲には台座330が形成されている。具体的には、少なくとも部品310の下面の四隅の周囲に、略直方体形状の台座330が設置されている。台座330は、例えばビルドアップ樹脂層と同様の絶縁性樹脂を材料とし、第2層120の導体層150上に設置されて部品310とともに埋設される。台座330の高さは、接着材320の層の厚さよりも高く、部品310を搭載するために第2層120及び第3層130に形成されるキャビティの深さよりも低い。
【0024】
台座330が少なくとも部品310の下面の四隅の周囲に設置されることにより、充填樹脂340が充填される際に部品310が上方から押圧されても、部品310の下面の四隅付近において接着材320の外方への流出が制限される。これにより、部品310の下面の4辺の中央付近と、下面の四隅付近とにおける接着材320の厚さの相違を小さくすることができる。結果として、接着材320によって接着される部品310の撓みを抑制することができ、部品310の上方のビルドアップ樹脂厚を均一に近づけることができる。
【0025】
このように、部品310の周囲に台座330が設置されるため、接着材320の流出が制限されて部品310の撓みが抑制され、部品310上方のビルドアップ樹脂厚が均一に近づく。そして、部品310上方のビルドアップ樹脂に形成されるビアのビア底の径が揃うため、ビアの接続信頼性を向上することができるとともに、適切なビルドアップ樹脂厚が確保されるため、絶縁信頼性を向上することができる。
【0026】
次いで、上記のように構成された部品内蔵基板の製造方法について、具体的に例を挙げながら、
図2のフロー図を参照して説明する。
【0027】
まず、ビルドアップ工程において、ビルドアップ層100の第1層110から第3層130が積層される(ステップS101)。すなわち、例えば
図3に示すように、ビルドアップ樹脂層に導体層150が保持された第1層110から第3層130が積層され、層間の導体層150はビアを介して接続される。このとき、部品310が内蔵される予定の領域には、導体層150は配置されない。
図3の例では、第2層120及び第3層130の中央付近に部品310が内蔵される予定であるため、この領域には導体層150が保持されていない。
【0028】
そして、部品が内蔵される予定の領域に、キャビティが形成される(ステップS102)。具体的には、例えば
図4に示すように、第2層120及び第3層130のビルドアップ樹脂層が切り欠かれてキャビティ160が形成される。キャビティ形成工程は、例えばCO2レーザを用いてビルドアップ樹脂層のザグリ加工をすることにより実現可能である。キャビティ160の底面には、第2層120の導体層150が露出する。キャビティ160は、例えば部品310が収まるサイズの直方体形状である。したがって、キャビティ160の底面の長方形は、部品310の下面の長方形よりも大きい。
【0029】
キャビティ160の底面には、台座330が形成される(ステップS103)。具体的には、例えば
図5に示すように、キャビティ160の周縁部に、例えばディスペンサ又はインクジェットプリンタなどにより非感光性又は感光性の絶縁性樹脂が噴出され、噴出された絶縁性樹脂が熱又は紫外線などにより硬化されることにより台座330が形成される。台座330を形成する絶縁性樹脂は、ビルドアップ樹脂層と同様の樹脂であっても良い。また、台座330の高さは、後に部品310を接着する接着材320の層の厚さよりも高く、キャビティ160の深さよりも低い。
【0030】
台座330の高さが接着材320の層の厚さよりも高いため、台座330は、部品310の下面から流出する接着材320を堰き止め、接着材320の移動を制限することができる。また、台座330の高さがキャビティ160の深さよりも低いため、キャビティ160の開口部が台座330によって狭められることがなく、キャビティ160内に充填樹脂340を良好に充填することができる。
【0031】
ここで、台座330が形成される位置について、
図6を参照して説明する。
図6は、キャビティ160を上方から見た平面図である。
図6に示すように、キャビティ160の底面には、第2層120の導体層150が長方形状に露出しており、この導体層150上の中央には、部品310が搭載される予定の部品搭載領域315がある。そして、台座330は、部品搭載領域315と重ならないキャビティ160周縁部に形成される。すなわち、台座330は、長方形状の部品搭載領域315の周囲のうち、少なくとも部品搭載領域315の四隅の周囲に形成される。
【0032】
そして、キャビティ160内の部品搭載領域315に部品310が搭載される(ステップS104)。具体的には、例えば
図7に示すように、部品搭載領域315の導体層150上に、接着材320によって部品310が仮接着される。この時点では、接着材320は半硬化状態であり、変形及び流動する可能性がある。なお、
図7に示すように、接着材320の層の厚さは、台座330の高さよりも薄い。
【0033】
上記の台座形成工程(ステップS103)と部品搭載工程(ステップS104)の順序は入れ替え可能である。すなわち、キャビティ160内に部品310が仮接着された後に、部品310の周囲に台座330が形成されても良い。
【0034】
キャビティ160内に台座330が形成され、部品310が搭載されると、充填樹脂340がキャビティ160内に充填され、部品310が埋め込まれる(ステップS105)。すなわち、例えば
図8に示すように、キャビティ160内の空間に充填樹脂340が充填され、同時に部品310の上方に伸展する充填樹脂層140が形成される。これにより、部品310がビルドアップ層100に埋め込まれ、基板に部品310が内蔵される。
【0035】
充填樹脂340が充填され充填樹脂層140が形成される段階では、部品310が上方の樹脂によって押圧され、半硬化状態の接着材320が部品310の下面から外方へ流出する。具体的には、例えば
図9に示すように、部品310の周縁部分の接着材320が部品310への圧力によって外方へ移動し、部品310の全周方向に流出接着材325が発生する。
【0036】
ただし、本実施の形態においては、少なくとも部品310の下面の四隅の周囲に台座330が形成されているため、流出接着材325が発生する領域が制限されている。すなわち、台座330によって、部品310の下面の四隅の外方の空き領域が塞がれているため、部品310の下面の四隅から接着材320が流出する余地が縮小されている。したがって、流出接着材325は、主に部品310の下面外周の4辺から法線方向にのみ発生し、四隅から放射状に多くの接着材320が流出することはない。この結果、部品310の下面外周の4辺の中央付近と四隅付近とから流出する接着材320の量が均等化され、接着材320の層の厚さが均一になる。
【0037】
キャビティ160内に充填樹脂340が充填され充填樹脂層140が形成されると、これらの樹脂が熱硬化される。同時に、部品310下方の接着材320も熱硬化される。このとき、接着材320の層の厚さが均一であるため、熱硬化されても部品310が撓むことはない。換言すれば、部品310の下面及び上面の平坦性を保つことができ、部品310の上方のビルドアップ樹脂厚を均一にすることができる。
【0038】
そして、第3層130の導体層150及び部品310の電極と基板表面の配線とを接続するためのビアが形成される(ステップS106)。すなわち、例えば
図10に示すように、ビルドアップ層100の表面から第3層130の導体層150に接続するビア141と、ビルドアップ層100の表面から部品310の電極に接続するビア142とが例えばレーザ加工により形成される。
【0039】
ビア141、142は、円柱に近い逆円錐台形状であるため、ビルドアップ層100の表面における径が最も大きく、ビア底の径が最も小さい。第3層130の導体層150の上面は平坦であるため、ビア141については、ビア141の位置によらず深さ及びビア底の径の大きさは一定になる。また、本実施の形態においては、部品310が撓んでいないため部品310の上面が平坦であり、ビア142についても、ビア142の位置によらず深さ及びビア底の径の大きさが一定になる。これにより、部品310の電極に接触するビア底の面積が一定になり、部品310の電極とビア142の接続信頼性を向上することができる。
【0040】
ビア141、142が形成された位置には、基板表面の配線が形成される(ステップS107)。すなわち、例えば
図11に示すように、ビア141の位置に配線143が形成され、ビア142の位置に配線144が形成される。配線143、144の形成は、例えばSAP(Semi Additive Process)により行われる。SAPでは、例えばドライフィルムレジストの露光及び現像が行われるが、本実施の形態においては、ビルドアップ層100の表面が平坦であるため、露光及び現像の精度を良好にすることができる。すなわち、本実施の形態においては、部品310が撓んでいないため、部品310の上方においてもビルドアップ層100の表面が平坦であり、微細な配線144を形成することが可能である。
【0041】
配線143は、ビア141を介して第3層130の導体層150に接続し、配線144は、ビア142を介して部品310の電極に接続する。本実施の形態においては、部品310が撓んでいないため部品310の上方のビルドアップ樹脂厚が均一であり、部品310の電極と基板表面の配線143、144との間に一定の距離を確保することができる。この結果、部品310の電極と基板表面の配線との絶縁信頼性を向上することができる。
【0042】
基板表面の配線143、144は、ソルダーレジスト層200が形成されることにより(ステップS108)、被覆される。ソルダーレジスト層200は、絶縁性樹脂のパターン印刷などによって塗膜形成される。そして、基板表面の配線143、144に対応する位置には、例えば
図12に示すように、ソルダーレジスト層200に開口201が設けられる。開口201は、例えばフォトリソグラフィ又はレーザなどが用いられて形成される。これらの開口201の位置には、例えば半導体チップなどの外部部品が配置される。
【0043】
そこで、開口201には、めっき又は半田ボールなどにより、バンプ210が形成される(ステップS109)。バンプ210は、基板表面の配線143、144と外部部品との接点となる。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、積層されたビルドアップ層にキャビティを形成し、キャビティの底面に接着材で部品を仮接着するとともに、少なくとも部品下面の四隅の周囲に台座を形成する。そして、キャビティに樹脂を充填して部品及び台座を埋め込んだ後、充填した樹脂とともに接着材を熱硬化する。このため、充填時に部品上方の樹脂が部品を下向きに押圧しても、部品の下面から外方への接着材の流出が台座によって制限され、部品下方の接着材の層の厚さが均一になる。これにより、接着材の熱硬化時に部品が撓むことがなく、部品上方のビルドアップ樹脂厚が均一になる。結果として、部品上方に形成されるビアの深さが揃うため、ビア底の径が一定の大きさになり、ビアによる接続信頼性を向上することができる。また、部品の電極と基板表面の配線との距離が一定になり、絶縁信頼性を向上することができる。
【0045】
なお、上記一実施の形態においては、台座330が部品310の下面の四隅の周囲に配置されるものとしたが、他の位置にも台座が配置されても良い。例えば
図13に示すように、部品搭載領域315の対向する2辺に沿って台座330が配置されても良い。また、例えば
図14に示すように、部品搭載領域315の外周を囲む位置に、それぞれの辺に沿って台座330が配置されても良い。さらに、例えば
図15に示すように、部品搭載領域315の各辺の中央付近に対向して台座330が配置されても良い。いずれの場合も、台座330は、少なくとも部品310の下面の四隅の周囲に配置される。そして、これらの場合でも、部品310の下面の四隅から周囲への接着材320の流出が制限されるため、上記一実施の形態と同様の効果が得られる。
【0046】
また、上記一実施の形態においては、部品310が直方体形状であるものとして説明したが、部品の形状は直方体形状に限定されない。部品の形状が直方体形状でない場合にも、少なくとも部品の下面の角の周囲に台座が配置される。これにより、接着面である部品の下面の角から周囲への接着材の流出が制限されるため、上記一実施の形態と同様の効果が得られる。
【0047】
さらに、部品と同様に、台座の形状も直方体形状に限定されない。具体的には、例えば
図16に示すように、部品搭載領域315の角を挟む2辺に沿った略L字形状の断面を有する台座330が、部品搭載領域315の角の周囲に配置されても良い。また、例えば
図17に示すように、1辺が部品搭載領域315の角に対向する三角形状の断面を有する台座330が、部品搭載領域315の角の周囲に配置されても良い。台座330がこれらの形状であっても、部品310の下面の四隅から周囲への接着材320の流出が制限されるため、上記一実施の形態と同様の効果が得られる。
【0048】
上記一実施の形態においては、キャビティ160の底面に位置する部品搭載領域315を有する導体層150が他の導体層150とビアによって接続されているものとしたが、これに限定されない。例えば、部品搭載領域315を有する導体層150が、他の導体層150と接続されない浮島となっていても良い。
【0049】
また、上記一実施の形態においては、キャビティ160内に部品310が搭載されて充填樹脂340が充填された後に、接着材320が充填樹脂340とともに熱硬化されるものとしたが、接着材320はより早い段階で熱硬化されても良い。すなわち、例えば部品310が仮接着された後、充填樹脂340が充填される前に、部品310を押圧しながら接着剤320が熱硬化されても良い。この場合でも、部品310押圧時に部品310の下面の四隅から周囲への接着材320の流出が制限されるため、上記一実施の形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
100 ビルドアップ層
110 第1層
120 第2層
130 第3層
140 充填樹脂層
150 導体層
160 キャビティ
200 ソルダーレジスト層
210 バンプ
310 部品
320 接着材
330 台座
340 充填樹脂