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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】出力回路、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20230327BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230327BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20230327BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20230327BHJP
   H03K 17/10 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 621B
G09G3/20 623B
G09G3/20 623D
G09G3/20 623C
G09G3/20 641C
G09G3/20 611J
G02F1/133 550
H03K17/687 A
H03K17/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020188591
(22)【出願日】2020-11-12
(62)【分割の表示】P 2020010508の分割
【原出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117488
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254146(JP,A)
【文献】特開2009-005187(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012140(WO,A1)
【文献】特表平10-500243(JP,A)
【文献】特開2006-178356(JP,A)
【文献】特表2011-501825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0063915(US,A1)
【文献】特開2005-311751(JP,A)
【文献】特開2019-090927(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0002390(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0169783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G02F 1/133
H03K 17/687
H03K 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、
前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、
第1の出力端子と、
ソース及びバックゲートが前記第1のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、
ソース及びバックゲートが前記第2のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、
オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、
オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、
前記第1のスイッチのオンオフ制御を行う第1の電圧制御回路と、
前記第2のスイッチのオンオフ制御を行う第2の電圧制御回路と、を有し
記第1の電圧制御回路は、前記Pチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第1のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Pチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第1のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Pチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第1の制御手段を有し、
前記第2の電圧制御回路は、前記Nチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第2のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Nチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第2のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Nチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第2の制御手段を有することを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記第1の出力端子は、前記正極電圧信号の上限値から前記負極電圧信号の下限値に及ぶ出力電圧範囲を有し、
少なくとも前記第1及び第2のスイッチは、前記出力電圧範囲よりも耐圧の低い素子で構成されることを特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項3】
前記第1の制御手段が、前記Pチャネル型トランジスタのゲートとソース間に接続された第1の容量素子で構成され、
前記第2の制御手段が、前記Nチャネル型トランジスタのゲートとソース間に接続された第2の容量素子で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記正極電圧信号供給回路は、
第1の差動入力信号を受ける第1の差動増幅段と、第1の内部スイッチ群により活性、非活性が制御される第1の出力増幅段を含み、
前記第1の出力増幅段の出力ノードが前記第1のノードに接続され、
前記第1の差動増幅段は、外部からの正極入力信号と前記第1のノードに出力される前記正極電圧信号を前記第1の差動入力信号として受け、
前記第1の出力増幅段は、前記第1の内部スイッチ群により活性とされるときに前記正極電圧信号を前記第1のノードに供給し、前記第1の内部スイッチ群により非活性とされるときに前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断し、
前記負極電圧信号供給回路は、
第2の差動入力信号を受ける第2の差動増幅段と、第2の内部スイッチ群により活性、非活性が制御される第2の出力増幅段を含み、
前記第2の出力増幅段の出力ノードが前記第2のノードに接続され、
前記第2の差動増幅段は、外部からの負極入力信号と前記第2のノードに出力される前記負極電圧信号を前記第2の差動入力信号として受け、
前記第2の出力増幅段は、前記第2の内部スイッチ群により活性とされるときに前記負極電圧信号を前記第2のノードに供給し、前記第2の内部スイッチ群により非活性とされ
るときに前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断することを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項5】
前記正極電圧信号及び前記負極電圧信号を所定のタイミングで切替えて前記第1の出力端子から出力するように前記第1~第4のスイッチ、前記正極電圧信号供給回路及び前記負極電圧信号供給回路、前記第1の電圧制御回路及び前記第2の電圧制御回路を制御する制御部を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項6】
前記制御部は、制御期間として、前記負極電圧信号から前記正極電圧信号に出力を切替えるための過渡期間をなす第1の期間と、前記正極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第2の期間と、前記正極電圧信号から前記負極電圧信号に出力を切替えるための過渡期間をなす第3の期間と、前記負極電圧信号を前記第1の出力端子から出力させる第4の期間を少なくとも設け、
前記第1の期間では、前記正極電圧信号供給回路による前記正極電圧信号の供給を遮断させると共に前記負極電圧信号供給回路による前記負極電圧信号の供給を遮断させ、且つ少なくとも前記第2~第4のスイッチを共にオン状態に制御することで、前記基準電源電圧を前記第1及び第2のノードと、前記第1の出力端子に供給し、
前記第2の期間では、前記負極電圧信号供給回路による前記負極電圧信号の供給を遮断させると共に、前記正極電圧信号供給回路により前記正極電圧信号を前記第1のノードに給させ、且つ、前記第1の電圧制御回路により前記第1及び第4のスイッチをオン状態に制御し、且つ、前記第2及び第3のスイッチを共にオフ状態に制御することで、前記正極電圧信号を前記第1のスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第4のスイッチを介して前記第2のノードに供給し、
前記第3の期間では、前記正極電圧信号供給回路による前記正極電圧信号の供給を遮断させると共に、前記負極電圧信号供給回路による前記負極電圧信号の供給を遮断させ、且つ少なくとも前記第1、第3及び前記第4のスイッチを共にオン状態に制御することで、前記基準電源電圧を前記第1及び第2のノードと、前記第1の出力端子に供給し、
前記第4の期間では、前記正極電圧信号供給回路による前記正極電圧信号の供給を遮断させると共に、前記負極電圧信号供給回路により前記負極電圧信号を前記第2のノードに給させ、且つ、前記第2の電圧制御回路により前記第2のスイッチをオン状態に制御し、且つ、前記第3のスイッチをオン状態、前記第1及び第4のスイッチを共にオフ状態に制御することで、前記負極電圧信号を前記第2のスイッチを介して前記第1の出力端子に供給すると共に、前記基準電源電圧を前記第3のスイッチを介して前記第1のノードに供給することを特徴とする請求項に記載の出力回路。
【請求項7】
第2の出力端子と、
第3及び第4のノードと、
オン状態時に前記第2の出力端子と前記第3のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第3のノードとの接続を遮断する第5のスイッチと、
オン状態時に前記第2の出力端子と前記第4のノードとを接続し、オフ状態時には前記第2の出力端子と前記第4のノードとの接続を遮断する第6のスイッチと、
オン状態時に前記第3のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第3のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第7のスイッチと、
オン状態時に前記第4のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第4のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第8のスイッチと、を更に備え、
前記正極電圧信号供給回路は、前記第1のノード又は前記第3のノードへの前記正極電圧信号の供給又は遮断を制御し、
前記負極電圧信号供給回路は、前記第2のノード又は前記第4のノードへの前記負極電圧信号の供給又は遮断を制御し、
前記第5のスイッチは、ソースが前記第3のノードに接続され、ドレインが前記第2の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され、
前記第6のスイッチは、ソースが前記第4のノードに接続され、ドレインが前記第2の力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の出力回路。
【請求項8】
前記正極電圧信号が前記第1の出力端子へ出力され、且つ、前記負極電圧信号が前記第2の出力端子へ出力される状態と、前記正極電圧信号が前記第2の出力端子へ出力され、且つ、前記負極電圧信号が前記第1の出力端子へ出力される状態とを、所定のタイミングで切り替える制御部を含むことを特徴とする請求項7に記載の出力回路
【請求項9】
請求項1~のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力することを特徴とするデータドライバ
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1に記載の出力回路を複数含み、複数の前記出力回路から正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を出力するデータドライバと、
前記複数の階調電圧信号を受ける複数のデータ線を有する液晶表示パネルと、を有することを特徴とする表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極性及び負極性の電圧を出力する出力回路、表示パネルを駆動する表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大画面の表示装置として、表示デバイスとしてアクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルを用いた液晶表示装置が一般的に知られている。
【0003】
液晶パネルには、2次元画面の垂直方向に夫々伸張する複数のデータ線と、2次元画面の水平方向に夫々伸張する複数のゲート線と、が交叉して配置されている。更に、これら複数のデータ線と、複数のゲート線との各交叉部には、データ線及びゲート線に接続されている画素部が形成されている。
【0004】
液晶表示装置には、かかる液晶パネルと共に、各画素の輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する階調データ信号を1水平走査期間単位のデータパルスでデータ線に供給するデータドライバが含まれている。
【0005】
データドライバは、液晶パネルの劣化を防ぐために、正極性の階調データ信号と負極性の階調データ信号と、を所定のフレーム期間毎に交互に液晶パネルに供給する極性反転駆動を行う。
【0006】
このような極性反転駆動を行う出力回路として、階調データ信号に対応した正極性の駆動電圧及び負極性の駆動電圧を受け、両者のうちの一方を交互に選択して液晶パネルに出力するスイッチ群を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1の図8図10のSW1~SW12を参照)。当該特許文献1に記載の出力回路では、スイッチSW1~SW12を用いることで、正極性の駆動電圧(5V)を出力パッドOUT1から出力している状態(同文献の図8の状態)から負極性の駆動電圧(-5V)を出力パッドOUT1から出力する状態(同文献の図10の状態)に切り替える。
【0007】
更に、このような極性切替を行うにあたり、特許文献1に記載の出力回路では、同文献の図9のように一旦、各スイッチの一端を0Vの状態に設定してから、同文献の図10に示す状態に切り換えている。これにより、各スイッチの耐圧を液晶駆動電圧範囲の1/2の低耐圧素子で構成できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-102211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載のスイッチSW1~SW12を製造するにあたり、これらをMOSトランジスタで構成することが考えられる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の出力回路では、スイッチSW1~SW12のうちで駆動電圧に対応した電流が流れるSW1~SW8をMOSトランジスタで構成した場合には、以下の問題が生じるため簡単には実現できないという問題があった。
【0011】
例えば、特許文献1の図8に示すスイッチSW5をNチャネルMOSトランジスタ(以降、単にNMOSトランジスタと称する)で構成し、正極性の駆動電圧の電圧値の範囲をGND~VDD、負極性の駆動電圧の電圧値の範囲を-VDD~GNDと想定する。
【0012】
この際、スイッチSW5で正極性の駆動電圧を出力する場合には、当該スイッチSW5のゲートにVDDを印加することでオン状態に設定する。これにより、スイッチSW5は自身のソースで受けた正極性の駆動電圧をドレインから出力することになる。
【0013】
かかる構成によると、スイッチSW5は、ソースで受けた正極性の駆動電圧の電圧値がGND、或いはGND付近の比較的低い電圧である場合には、その電圧値を有する駆動電圧を出力することができる。
【0014】
しかしながら、NMOSトランジスタでは、そのソースで受けた正極性の駆動電圧の電圧値がVDD及び(VDD-Vth)間の電圧範囲内にある場合には、このような電圧範囲内の駆動電圧を出力することは出来ない。
【0015】
つまり、スイッチSW5をNMOSトランジスタで構成した場合には、自身が受けた正極性の駆動電圧に対して、出力時の駆動電圧の電圧範囲(高電圧側)が狭くなるという問題が生じる。
【0016】
ところで、特許文献1の図8に示すスイッチSW6によって負極性の駆動電圧を出力している間は、当該スイッチSW5のゲートにGNDを印加することでSW5をオフ状態に設定しておく必要がある。この際、スイッチSW5のゲート及びソースは共にGNDとなるが、これにより、スイッチSW5は、自身のバックゲート(GND印加)からドレインに向けて電流を流すPN接合の状態となる。よって、スイッチSW5をスイッチオフとして機能させることができないという問題が生じる。
【0017】
また、例えば、特許文献1の図8に示すスイッチSW6をPチャネルMOSトランジスタ(以降、単にPMOSトランジスタと称する)で構成し、正極性の駆動電圧の電圧値の範囲をGND~VDD、負極性の駆動電圧の電圧値の範囲を-VDD~GNDと想定する。
【0018】
この際、スイッチSW6で負極性の駆動電圧を出力する場合には、当該スイッチSW6のゲートに-VDDを印加することでオン状態に設定する。これにより、スイッチSW6は自身のソースで受けた負極性の駆動電圧をドレインから出力することになる。
【0019】
かかる構成によると、スイッチSW6は、ソースで受けた負極性の駆動電圧の電圧値がGND、或いはGND付近の比較的高い電圧である場合には、その電圧値を有する駆動電圧を出力することができる。
【0020】
しかしながら、PMOSトランジスタの閾値電圧Vtpに起因して、ソースで受けた負極性の駆動電圧の電圧値が-VDD及び(-VDD+|Vtp|)間の電圧範囲内にある場合には、スイッチSW6は、このような電圧範囲内の駆動電圧を出力することは出来ない。
【0021】
つまり、スイッチSW6をPMOSトランジスタで構成した場合には、自身が受けた負極性の駆動電圧に対して、出力時の駆動電圧の電圧範囲(特に低電圧側)が狭くなるという問題が生じる。
【0022】
ところで、特許文献1の図8に示すスイッチSW5によって上記したように正極性の駆動電圧を出力している間は、当該スイッチSW6のゲートにGNDを印加することでSW6をオフ状態に設定しておく必要がある。この際、スイッチSW6のゲート及びソースは共にGNDとなるが、これにより、スイッチSW6は、自身のドレインからバックゲート(GND印加)に向けて電流を流すPN接合の状態となる。よって、スイッチSW6をスイッチオフとして機能させることができないという問題が生じる。
【0023】
そこで、本願発明は、正極性電圧の信号及び負極性電圧の信号を切り替えて出力可能な出力回路として、低耐圧なMOSトランジスタを用いて小面積化及び低価格化を図ると共に、広い電圧範囲の出力を行うことが可能な出力回路、当該出力回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る出力回路は、基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、第1の出力端子と、ソース及びバックゲートが前記第1のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、ソース及びバックゲートが前記第2のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、前記第1のスイッチのオンオフ制御を行う第1の電圧制御回路と、前記第2のスイッチのオンオフ制御を行う第2の電圧制御回路と、を有し、前記第1の電圧制御回路は、前記Pチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第1のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Pチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第1のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Pチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第1の制御手段を有し、前記第2の電圧制御回路は、前記Nチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第2のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Nチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第2のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Nチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第2の制御手段を有する。
【0025】
また、本発明に係るデータドライバは、基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、第1の出力端子と、ソース及びバックゲートが前記第1のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、ソース及びバックゲートが前記第2のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、前記第1のスイッチのオンオフ制御を行う第1の電圧制御回路と、前記第2のスイッチのオンオフ制御を行う第2の電圧制御回路と、を有し、前記第1の電圧制御回路は、前記Pチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第1のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Pチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第1のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Pチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第1の制御手段を有し、前記第2の電圧制御回路は、前記Nチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第2のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Nチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第2のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Nチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第2の制御手段を有する出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力することを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る表示装置は、基準電源電圧よりも高電圧の正極電圧信号を第1のノードに供給、又は前記正極電圧信号の前記第1のノードへの供給を遮断する正極電圧信号供給回路と、前記基準電源電圧よりも低電圧の負極電圧信号を第2のノードに供給、又は前記負極電圧信号の前記第2のノードへの供給を遮断する負極電圧信号供給回路と、第1の出力端子と、ソース及びバックゲートが前記第1のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第1のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第1のノードとの接続を遮断する第1のスイッチと、ソース及びバックゲートが前記第2のノードに接続されかつドレインが前記第1の出力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成され、オン状態時に前記第1の出力端子と前記第2のノードとを接続し、オフ状態時には前記第1の出力端子と前記第2のノードとの接続を遮断する第2のスイッチと、オン状態時に前記第1のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第1のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第3のスイッチと、オン状態時に前記第2のノードに前記基準電源電圧を印加し、オフ状態時には前記第2のノードへの前記基準電源電圧の印加を停止する第4のスイッチと、前記第1のスイッチのオンオフ制御を行う第1の電圧制御回路と、前記第2のスイッチのオンオフ制御を行う第2の電圧制御回路と、を有し、前記第1の電圧制御回路は、前記Pチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第1のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Pチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第1のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Pチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第1の制御手段を有し、前記第2の電圧制御回路は、前記Nチャネル型トランジスタをオン状態に制御するときに、前記第2のノードに供給される電圧に対して所定の電位差を有する電圧を前記Nチャネル型トランジスタのゲートに与えるとともに、前記第2のノードに供給される電圧の変化に追従して前記Nチャネル型トランジスタのゲート電圧を変化させる第2の制御手段を有する出力回路を複数含み、液晶表示パネルの複数のデータ線を駆動する為の正極性又は負極性の電圧値を有する複数の階調電圧信号を複数の前記出力回路から出力するデータドライバと、前記データドライバから出力された前記複数の階調電圧信号を受ける複数のデータ線を有する液晶表示パネルと、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る出力回路では、第1のノードを介して正極電圧信号を受け、これをオン状態時に出力端子に供給する第1のスイッチを、ソース及びバックゲートが第1のノードに接続され、ドレインが出力端子に接続されたPチャネルトランジスタで構成する。更に、第2のノードを介して負極電圧信号を受け、これをオン状態時に出力端子に供給する第2のスイッチを、ソース及びバックゲートが第2のノードに接続され、ドレインが出力端子に接続されたNチャネルトランジスタで構成する。
【0028】
かかる構成によれば、正極電圧信号及び負極電圧信号を夫々出力する第1及び第2のスイッチを低耐圧のMOSトランジスタで実現することが可能となるので省面積化及び低価格化が図れる。また、かかる出力回路の構成によれば、広い電圧範囲の信号出力が可能となる。また、液晶表示装置のデータドライバの出力部に当該出力回路を適用することで、広い電圧範囲の階調電圧信号を液晶表示パネルのデータ線に供給できるので、画像品質を低下させることなく省面積化及び低価格化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施例としての出力回路100の構成を示す回路図である。
図2】出力回路の内部動作を表すタイムチャートである。
図3】期間T1での出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図4】期間T2での出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図5】期間T3での出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図6】期間T4での出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図7】第2の実施例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
図8】第3の実施例としての出力回路100Aの構成を示す回路図である。
図9】第4の実施例としての出力回路100-1の構成を示す回路図である。
図10】第4の実施例による出力回路の内部動作を表すタイムチャートである。
図11】期間T1での第4の実施例による出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図12】期間T2での第4の実施例による出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図13】期間T3での第4の実施例による出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図14】期間T4での第4の実施例による出力回路の動作形態を表す出力回路の等価回路図である。
図15】第5の実施例としての出力回路100-2の構成を示す回路図である。
図16】第6の実施例としての出力回路100-3の構成を示す回路図である。
図17】第7の実施例としての出力回路100-4の構成を示す回路図である。
図18】第8の実施例としての出力回路200-1の構成を示す回路図である。
図19】第9の実施例としての出力回路300の構成を示す回路図である。
図20】第10の実施例としての出力回路300-1の構成を示す回路図である。
図21】本発明に係る出力回路を含むデータドライバ80を有する表示装置400の構成を示すブロック図である。
図22】データドライバ80の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明に係る出力回路の第1の実施例としての出力回路100の構成を示す回路図である。尚、出力回路100は、正極性の電圧値を有する正極電圧信号Vpi、及び負極性の電圧値を有する負極電圧信号Vniを受け、正極電圧信号Vpiを増幅した正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vniを増幅した負極電圧信号Vnのうちの一方を選択的に出力することが可能な出力回路である。
【0031】
図1に示すように、出力回路100は、正極電圧信号供給回路10A、負極電圧信号供給回路20A、出力選択スイッチ11及び21、スイッチ13及び23、制御部35、及び出力端子DL1を含む。
【0032】
正極電圧信号供給回路10Aは、増幅回路10及びスイッチ15を含む。増幅回路10は、例えば、自身の出力端子と反転入力端子とが互いに接続されているボルテージフォロワのオペアンプである。尚、増幅回路10としては、入力電圧信号Vpiを利得1未満、或いは利得1以上で増幅するものであっても構わない。
【0033】
増幅回路10は、電源電圧VGND及びVDDHが供給され、自身の非反転入力端子で正極性の電圧値を有する正極電圧信号Vpiを受け、正極電圧信号Vpを増幅出力する。
【0034】
尚、正極電圧信号Vpは、
VGND<Vp<VDDH
VGND:基準電源電圧(例えば0V)
VDDH:正極電源電圧(例えば5V)
の範囲内で電圧値が変化する正極性の信号である。
【0035】
増幅回路10は、正極電圧信号Vpを自身の出力端子から出力し、これをスイッチ15に供給する。
【0036】
スイッチ15は、例えばCMOS(Complementary MOS)スイッチにて構成されており、制御信号Sz11に応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ15は、オン状態に設定されている場合に、増幅回路10から出力された正極電圧信号VpをノードNs11を介して出力選択スイッチ11に供給する。
【0037】
尚、増幅回路10としては、上記スイッチ15の機能を含むものを採用してもよい。
【0038】
スイッチ13は、ゲートで制御信号Sr11を受けるNMOSトランジスタである。スイッチ13のドレインはノードNs11に接続されており、ソース及びバックゲートには基準電源電圧VGNDが印加されている。スイッチ13は、自身のゲートで受けた制御信号Sr11が基準電源電圧VGNDを有する場合にオフ状態となる。一方、この制御信号Sr11が正極電源電圧VDDHを有する場合には、スイッチ13はオン状態となり、ノードNs11に基準電源電圧VGNDを印加する。尚、スイッチ13については、以後、NMOSトランジスタスイッチ13とも称する。
【0039】
出力選択スイッチ11は、ゲートで制御信号St11を受けるPMOSトランジスタである。出力選択スイッチ11のソース及びバックゲートはノードNs11に接続されており、ドレインが出力端子DL1に接続されている。出力選択スイッチ11は、ノードNs11が基準電源電圧VGNDのとき、自身のゲートで受けた制御信号St11が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号St11が正極電圧信号Vpに対し所定の電圧差内の負側電圧VGnを有する場合には、出力選択スイッチ11はオン状態となり、ノードNs11と出力端子DL1とを電気的に接続する。尚、出力選択スイッチ11については、以後、PMOSトランジスタスイッチ11とも称する。
【0040】
負極電圧信号供給回路20Aは、増幅回路20及びスイッチ25を含む。増幅回路20は、例えば、自身の出力端子と反転入力端子とが互いに接続されているボルテージフォロワのオペアンプである。尚、増幅回路20としては、入力電圧信号を利得1未満、或いは利得1以上で増幅するものであっても構わない。
【0041】
増幅回路20は、電源電圧VGND及びVDDLが供給され、自身の非反転入力端子で負極性の電圧値を有する負極電圧信号Vniを受け、負極電圧信号Vnを増幅出力する。
【0042】
尚、負極電圧信号Vnは、
VGND>Vn>VDDL
VGND:基準電源電圧(例えば0V)
VDDL:負極電源電圧(例えば-5V)
の範囲内で電圧値が変化する負極性の信号である。
増幅回路20は、負極電圧信号Vnを自身の出力端子から出力し、これをスイッチ25に供給する。
【0043】
スイッチ25は、例えばCMOSスイッチにて構成されており、制御信号Sz21に応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ25は、オン状態に設定されている場合に、増幅回路20から出力された負極電圧信号VnをノードNs21を介して出力選択スイッチ21に供給する。
【0044】
尚、増幅回路20としては、上記スイッチ25の機能を含むものを採用してもよい。
【0045】
スイッチ23は、ゲートで制御信号Sr21を受けるPMOSトランジスタである。スイッチ23のドレインはノードNs21に接続されており、ソース及びバックゲートには基準電源電圧VGNDが印加されている。スイッチ23は、自身のゲートで受けた制御信号Sr21が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号Sr21が負極電源電圧VDDLを有する場合には、スイッチ23はオン状態となり、ノードNs21に基準電源電圧VGNDを印加する。尚、スイッチ23については、以後、PMOSトランジスタスイッチ23とも称する。
【0046】
出力選択スイッチ21は、ゲートで制御信号St21を受けるNMOSトランジスタである。出力選択スイッチ21のソース及びバックゲートはノードNs21に接続されており、ドレインが出力端子DL1に接続されている。尚、出力選択スイッチ21については、以後、NMOSトランジスタスイッチ21とも称する。出力選択スイッチ21は、ノードNs21が基準電源電圧VGNDのとき、自身のゲートで受けた制御信号St21が基準電源電圧VGNDを有する場合にオフ状態となる。一方、この制御信号St21が負極電圧信号Vnに対し所定の電圧差内の正側電圧VGpを有する場合には、出力選択スイッチ21はオン状態となり、ノードNs21と出力端子DL1とを電気的に接続する。
【0047】
制御部35は、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnのうちの一方を択一的に出力させる制御信号として、上記した制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21を生成する。なおスイッチ15、25がそれぞれCMOSスイッチで構成される場合は、Sz11、Sz21のそれぞれの相補信号も制御部35で生成される。本発明の各実施例を説明するタイミングチャート図面では、便宜上、CMOSスイッチの制御信号はCMOSスイッチを構成するNMOSトランジスタのゲートに供給される制御信号を示す。
【0048】
図2は、制御信号35が生成する制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21の一例を示すタイムチャートである。
【0049】
尚、図2では、出力回路100が正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnを周期的に交互に切り替えて出力する、いわゆる極性反転駆動を行う場合に制御部35が生成する制御信号の一例を表す。また、図2では、正極電圧信号Vpを出力する正極駆動期間、及び負極電圧信号Vnを出力する負極駆動期間の各々において、各スイッチに対するオンオフ制御と、ノードNs11の電圧V11、ノードNs21の電圧V21、出力端子DL1の電圧の変化と、を表す。尚、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnは、それぞれの極性に対応した電圧範囲内で、単一又は複数のステップ信号や、サイン波などの可変信号であってもよい。
【0050】
図2に示すように、正極駆動期間は少なくとも期間T1及びT2の2つの期間に区分けされ、負極駆動期間についても少なくとも期間T3及びT4の2つの期間に区分けされる。
【0051】
以下に、図2に示す制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21に応じた出力回路100の詳細な動作について、図2並びに図3図6を参照しつつ説明する。尚、図3図6は、期間T1~期間T4各々での出力回路100内の状態を等価的に表す等価回路図である。この際、期間T1の直前(初期状態)は、負極電圧信号供給回路20Aにて生成された負極電圧信号Vnが出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1に供給された状態、つまり、負極駆動期間の期間T4での動作状態にある。また、図3図6において、信号供給が遮断されているHiZ状態の経路を点線で示す。
【0052】
図2において、まず期間T1では、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25は共にオフ状態となり、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、スイッチ13のゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11が供給されるので、スイッチ13はオン状態となり、ノードNs11の電圧V11は基準電源電圧VGNDとなる。また、スイッチ23のゲートには負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21が供給されるので、スイッチ23はオン状態となり、図2に示すようにノードNs21の電圧V21は前の負極駆動期間の負極電圧信号Vnから基準電源電圧VGNDへ引き上げられる。また、出力選択スイッチ11のゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11が供給されるので、図3に示すように出力選択スイッチ11はオフ状態となる。また、出力選択スイッチ21のゲートには電圧VGpを有する制御信号St21が供給されるので、図3に示すように出力選択スイッチ21はオン状態となる。
【0053】
よって、期間T1では、図3に示すように、ノードNs21の電圧V21である基準電源電圧VGNDが、出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1に印加される。
【0054】
このとき、図2に示すように、負極電圧信号Vnであった出力端子DL1の電圧は、出力選択スイッチ21を経由して基準電源電圧VGNDへ引き上げられる。
【0055】
尚、期間T1を通して、スイッチ13の各端子(ゲート、ドレイン、ソース、バックゲート)は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11及びスイッチ23の各端子は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21の各端子のうちのドレイン、ソース、バックゲートは、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21のゲートは、ノードNs21に供給される基準電源電圧VGNDに対し出力選択スイッチ21がオン状態となる所定の電圧差(耐圧)内の正側電圧VGpが印加される。したがって、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0056】
次に期間T2では、スイッチ13のゲートに基準電源電圧VGNDを有する制御信号Sr11が供給されるので、スイッチ13はオフ状態となる。また、スイッチ23のゲートに負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21が継続供給されるので、スイッチ23はオン状態を維持し、ノードNs21の電圧V21は基準電源電圧VGNDとなる。また、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25のうちのスイッチ15のみがオン状態に切り替わる。これにより、正極電圧信号供給回路10Aが生成した正極電圧信号VpがノードNs11に供給される。また、出力選択スイッチ11のゲートには電圧VGnを有する制御信号St11が供給されるので、出力選択スイッチ11はオン状態となる。また、出力選択スイッチ21のゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21が供給されるので、出力選択スイッチ21はオフ状態に切り替わる。
【0057】
よって、期間T2では、図4に示すように、正極電圧信号供給回路10Aで生成された正極電圧信号VpがノードNs11及び出力選択スイッチ11を介して出力端子DL1に印加される。
【0058】
このとき、図4に示すように、出力選択スイッチ21はオフ状態にあり、出力端子DL1との電気的接続が遮断された状態にある。よって、図2に示すように、ノードNs11の電圧V11及び出力端子DL1の電圧は、基準電源電圧VGNDの状態から正極電圧信号Vpに引き上げられる。一方、ノードNs21の電圧V21は図2に示すように、基準電源電圧VGNDの状態を維持する。
【0059】
尚、期間T2を通して、スイッチ13及び出力選択スイッチ21の各端子(ゲート、ドレイン、ソース、バックゲート)は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。スイッチ23の各端子は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ11の各端子のうちのドレイン、ソース、バックゲートは、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11のゲートは、正極電圧信号Vpに対し出力選択スイッチ11がオン状態となる所定の電圧差(耐圧)内の負側電圧VGnが印加される。したがって、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0060】
次に期間T3では、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25は共にオフ状態となり、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、スイッチ13のゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11が供給されるので、スイッチ13はオン状態となり、図2に示すようにノードNs11の電圧V11は正極電圧信号Vpから基準電源電圧VGNDへ引き下げられる。また、スイッチ23のゲートには負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21が引き続き供給されるのでオン状態を維持し、ノードNs21の電圧V21は引き続き基準電源電圧VGNDとなる。また、出力選択スイッチ11のゲートには電圧VGnを有する制御信号St11が引き続き供給されるので、図5に示すように出力選択スイッチ11はオン状態を維持する。また、出力選択スイッチ21のゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21が引き続き供給されるので、図5に示すように出力選択スイッチ21はオフ状態を維持する。
【0061】
よって、期間T3では、図5に示すように、ノードNs11の電圧V11である基準電源電圧VGNDが、出力選択スイッチ11を介して出力端子DL1に印加される。
【0062】
このとき、図2に示すように、正極電圧信号Vpであった出力端子DL1の電圧は、出力選択スイッチ11を経由して基準電源電圧VGNDへ引き下げられる。
【0063】
尚、期間T3を通して、スイッチ13がオフからオンに状態が変化したが、各スイッチの制御電圧範囲に変化はない。したがって、期間T2と同様に、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0064】
次に期間T4では、スイッチ13のゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11が継続供給されるので、スイッチ13はオン状態となり、ノードNs11の電圧V11は引き続き基準電源電圧VGNDとなる。また、スイッチ23のゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号Sr21が供給されるので、スイッチ23はオフ状態となる。また、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25のうちのスイッチ25のみがオン状態に切り替わる。これにより、負極電圧信号供給回路20Aで生成された負極電圧信号VnがノードNs21に供給される。また、出力選択スイッチ11のゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11が供給されるので、出力選択スイッチ11はオフ状態となる。また、出力選択スイッチ21のゲートには電圧VGpを有する制御信号St21が供給されるので、出力選択スイッチ21はオン状態に切り替わる。
【0065】
よって、期間T4では、図6に示すように、負極電圧信号供給回路20Aで生成された負極電圧信号VnがノードNs21及び出力選択スイッチ21を介して出力端子DL1に印加される。
【0066】
このとき、図6に示すように、出力選択スイッチ11はオフ状態にあり、出力端子DL1との電気的接続が遮断された状態にある。よって、図2に示すように、ノードNs21の電圧V21及び出力端子DL1の電圧は、基準電源電圧VGNDの状態から負極電圧信号Vnに引き下げられる。一方、ノードNs11の電圧V11は図2に示すように、基準電源電圧VGNDの状態を維持する。
【0067】
尚、期間T4を通して、スイッチ23及び出力選択スイッチ11の各端子(ゲート、ドレイン、ソース、バックゲート)は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。スイッチ13の各端子は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ21の各端子のうちのドレイン、ソース、バックゲートは、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21のゲートは、負極電圧信号Vnに対し出力選択スイッチ21がオン状態となる所定の電圧差(耐圧)内の正側電圧VGpが印加される。したがって、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0068】
以下に、図2図6に示される駆動制御の特徴について説明する。
【0069】
当該図2図6に示す駆動制御御では、負極性電圧信号Vnの供給期間(T4)から正極電圧信号Vpの供給期間(T2)へ切り替えるとき、切替期間(T1)を設ける。切替期間(T1)で、ノードNs11、Ns21を基準電源電圧VGNDに駆動し、出力選択スイッチ21をオン状態に設定する。負極電圧信号Vnとなっている出力端子DL1を、ノードNs21からの基準電源電圧VGNDに駆動した後、正極電圧信号Vpの供給期間(T2)へ切り替える。また、出力選択スイッチ11をオン状態に制御するゲート電圧を電圧VGn、出力選択スイッチ21をオン状態に制御するゲート電圧を電圧VGpにそれぞれ設定する。これにより、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23が、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0070】
同様に、正極性電圧信号Vpの供給期間(T2)から負極電圧信号Vnの供給期間(T4)へ切り替えるとき、切替期間(T3)を設ける。切替期間(T3)で、ノードNs11、Ns21を基準電源電圧VGNDに駆動し、出力選択スイッチ11をオン状態に設定する。正極電圧信号Vpとなっている出力端子DL1を、ノードNs11からの基準電源電圧VGNDに駆動した後、負極電圧信号Vpの供給期間(T4)へ切り替える。また、出力選択スイッチ11、21をオン状態に制御するゲート電圧を電圧VGn、VGpにそれぞれ設定する。これにより、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、23が、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0071】
なお、正極電圧信号供給回路10を基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差で動作させ、負極電圧信号供給回路20を基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差で動作させることで、出力回路100を基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内で制御させることができる。したがって、出力回路100は出力端子DL1の出力電圧範囲(VDDL<DL1電圧<VDDH)に対して、電圧差が例えば約2分の1の低耐圧の素子で構成することができる。低耐圧の素子(トランジスタ)は、例えばスケーリング則に従って素子サイズを縮小できるので、低耐圧素子で構成した出力回路100は、回路面積を大幅に縮小可能である。
【0072】
ここで、比較として、例えば切替期間(T1)で、スイッチ13及び23を共にオン状態に設定し、ノードNs11とノードNs21を共に基準電源電圧VGNDにショートし、出力選択スイッチ11、21も共にオンとする場合を考える。
【0073】
このとき、前の負極駆動期間に出力端子DL1は負極電圧信号Vnであるため、切替期間(T1)開始直後のノードNs11の電圧は、一時的に、基準電源電圧VGNDと負極電圧信号Vn(例えばVDDL近傍)を出力選択スイッチ11とスイッチ13のそれぞれのオン抵抗で分圧した電圧、すなわち基準電源電圧VGNDより低電圧になり、徐々に基準電源電圧VGNDに戻る。よって、この際スイッチ13は、正極電源電圧VDDHが供給されるゲートと、ノードNs11であるソースとの電圧差が、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差(耐圧)を超過する。
【0074】
また、切替期間(T1)で、スイッチ13及び23を共にオン状態に設定し、ノードNs11とノードNs21を共に基準電源電圧VGNDにショートし、出力選択スイッチ11、21も共にオフとする場合を考える。
【0075】
このとき、前の負極駆動期間に出力端子DL1は負極電圧信号Vnであったため、切替期間(T1)も出力端子DL1は負極電圧信号Vnが保持される。正極電圧信号Vpの供給期間(T2)の開始直後に、出力選択スイッチ11がオンとされると、ノードNs11の電圧は、一時的に、正極電圧信号供給回路10から出力されると正極性電圧信号Vp(例えばVGND近傍)と出力端子DL1の負極電圧信号Vn(例えばVDDL近傍)を正極電圧信号供給回路10の出力抵抗と出力選択スイッチ11のそれぞれのオン抵抗で分圧した電圧、すなわち基準電源電圧VGNDより低電圧になる場合がある。よって、正極電圧信号供給回路10の出力素子が、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差(耐圧)を超過する可能性がある。
【0076】
次に、切替期間(T3)でスイッチ13及び23を共にオン状態に設定し、ノードNs11とノードNs21を共に基準電源電圧VGNDにショートし、出力選択スイッチ11、21も共にオンとする場合を考える。
【0077】
このとき、前の正極駆動期間(T2)に出力端子DL1は正極電圧信号Vpであるため、切替期間(T3)開始直後のノードNs21の電圧は、一時的に基準電源電圧VGNDと正極電圧信号Vp(例えばVDDH近傍)を出力選択スイッチ21とスイッチ23のそれぞれのオン抵抗で分圧した電圧、すなわち基準電源電圧VGNDより高電圧になり、徐々に基準電源電圧VGNDに戻る。よって、この際スイッチ23は、負極電源電圧VDDLが供給されるゲートと、ノードNs21であるソースとの電圧差が、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差(耐圧)を超過する。
【0078】
また、切替期間(T3)で、スイッチ13及び23を共にオン状態に設定し、ノードNs11とノードNs21を共に基準電源電圧VGNDにショートし、出力選択スイッチ11、21も共にオフとする場合を考える。
【0079】
このとき、前の正極駆動期間(T2)に出力端子DL1は正極電圧信号Vpであるたため、切替期間(T3)も出力端子DL1は正極電圧信号Vpが保持される。負極電圧信号Vnの供給期間(T4)の開始直後に、出力選択スイッチ21がオンとされると、ノードNs21の電圧は、一時的に、負極電圧信号供給回路20から出力される負極性電圧信号Vn(例えばVGND近傍)と出力端子DL1の正極電圧信号Vp(例えばVDDH近傍)を負極電圧信号供給回路20の出力抵抗と出力選択スイッチ21のそれぞれのオン抵抗で分圧した電圧、すなわち基準電源電圧VGNDより高電圧になる場合がある。よって、負極電圧信号供給回路20の出力素子が、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差(耐圧)を超過する可能性がある。
【0080】
これに対して、図2図6に示す駆動制御では、出力回路100を基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内で制御させることができる。したがって、出力回路100は出力端子DL1の出力電圧範囲(VDDL<DL1電圧<VDDH)に対して、電圧差が例えば約2分の1の低耐圧素子で構成することができ、省面積の出力回路を実現できる。
【0081】
以上のように、図1に示す出力回路100では、正極電圧信号Vpを出力端子DL1に供給する出力選択スイッチ11を、自身のソース及びバックゲートが互いに接続されているPMOSトランジスタで構成する。また、負極電圧信号Vnを当該出力端子DL1に供給する出力選択スイッチ12を、自身のソース及びバックゲートが互いに接続されているNMOSトランジスタで構成する。
【0082】
ここで、出力選択スイッチ11(PMOSトランジスタ)については、正極電圧信号Vpを出力させる場合には、ゲートに正極電圧信号Vpに対し耐圧内の負側電圧VGnを供給することでオン状態に設定する。また、正極電圧信号Vpを出力しない期間中は、ゲートに基準電源電圧VGNDを供給することで出力選択スイッチ11を確実にオフ状態に設定するために、当該出力選択スイッチ11のソース及びバックゲートに基準電源電圧VGNDを印加する。
【0083】
また、出力選択スイッチ21(NOSトランジスタ)については、負極電圧信号Vnを出力させる場合には、ゲートに負極電圧信号Vnに対し耐圧内の正側電圧VGpを供給することでオン状態に設定する。また、負極電圧信号Vnを出力しない期間中は、ゲートに基準電源電圧VGNDを供給することで出力選択スイッチ21を確実にオフ状態に設定するために、当該出力選択スイッチ21のソース及びバックゲートに基準電源電圧VGNDを印加する。
【0084】
要するに、出力回路100を、以下のような正極電圧信号供給回路、負極電圧信号供給回路、第1~第4のスイッチで構成することで、各スイッチ素子をMOSトランジスタ、特に低耐圧のMOSトランジスタで構成できるようにし、且つ広い電圧範囲の電圧信号を出力可能としたのである。つまり、正極電圧信号供給回路(10A)は、基準電源電圧(VGND)よりも高電圧の正極電圧信号(Vp)を第1のノード(Ns11)に供給、又は正極電圧信号の第1のノードへの供給を遮断する。負極電圧信号供給回路(20A)は、基準電源電圧(VGND)よりも低電圧の負極電圧信号(Vn)を第2のノード(Ns21)に供給、又は負極電圧信号の第2のノードへの供給を遮断する。第1のスイッチ(11)は、オン状態時に第1の出力端子(DL1)と上記第1のノードとを接続し、オフ状態時には第1の出力端子と第1のノードとの接続を遮断する。第2のスイッチ(21)は、オン状態時に第1の出力端子(DL1)と上記第2のノードとを接続し、オフ状態時には第1の出力端子と第2のノードとの接続を遮断する。第3のスイッチ(13)は、オン状態時に第1のノードに基準電源電圧を印加し、オフ状態時には第1のノードへの基準電源電圧の印加を停止する。第4のスイッチ(23)は、オン状態時に第2のノードに基準電源電圧を印加し、オフ状態時には第2のノードへの基準電源電圧の印加を停止する。尚、第1のスイッチは、ソース及びバックゲートが第1のノードに接続され、ドレインが第1の出力端子に接続されたPチャネル型トランジスタで構成され。第2のスイッチは、ソース及びバックゲートが第2のノードに接続され、ドレインが第1の出力端子に接続されたNチャネル型トランジスタで構成されている。
【0085】
したがって、出力回路100によれば、正極電圧信号及び負極電圧信号を切り替えて出力端子から出力する出力回路として、低耐圧のMOSトランジスタを用いて省面積化及び低価格化を図るとことが可能となる。
【実施例2】
【0086】
図7は、本発明に係る出力回路の第2の実施例としての出力回路200の構成を示す回路図である。
【0087】
当該出力回路200は、出力回路100が1系統の負荷に対して正極電圧信号又は負極電圧信号を交互に出力するのに対して、2系統の負荷の一方に正極電圧信号、他方に負極電圧信号を出力し、且つ両者の極性を交互に切り替える極性反転駆動を行うものである。
【0088】
尚、図7に示す出力回路200では、図1に示す正極電圧信号供給回路10Aに代えて正極電圧信号供給回路10Bを採用し、負極電圧信号供給回路20Aに代えて負極電圧信号供給回路20Bを採用し、制御部35に代えて制御部35Aを採用している。更に、図7に示す出力回路200では、出力端子DL2、スイッチ14及び24、出力選択スイッチ12及び22を新たに設けたものであり、それ以外の他の構成は、図1に示すものと同一である。
【0089】
図7において、正極電圧信号供給回路10Bは、正極電圧信号Vp(VGND<Vp<VDDH)の2系統のノードNs11又はNs12への供給、遮断を制御する。負極電圧信号供給回路20Bは、負極電圧信号Vn(VGND>Vn>VDDL)の2系統のノードNs21又はNs22への供給、遮断を制御する。
【0090】
出力選択スイッチ12は、ソース及びバックゲートがノードNs12に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたPMOSトランジスタで構成される。出力選択スイッチ22は、ソース及びバックゲートがノードNs22に接続され、ドレインが出力端子DL2に接続されたNMOSトランジスタで構成される。
【0091】
スイッチ14は、ノードNs12と基準電源電圧VGNDに接続されたNMOSトランジスタで構成される。スイッチ24は、ノードNs22と基準電源電圧VGNDに接続されたPMOSトランジスタで構成される。
【0092】
図7に示す正極電圧信号供給回路10Bは、図1に示す正極電圧信号供給回路10Aに、ノードNs12への正極電圧信号Vpの供給、遮断を制御するスイッチ16を追加したものである。スイッチ16も広い電圧範囲の正極電圧信号Vpを通すため、例えばCMOSスイッチで構成される。尚、正極電圧信号供給回路10Bに含まれる増幅回路10としては、これらスイッチ15、16の機能を含む構成としてもよい。
【0093】
負極電圧信号供給回路20Bは、図1に示す負極電圧信号供給回路20Aに、ノードNs22への負極電圧信号Vnの供給、遮断を制御するスイッチ26を追加したものである。スイッチ26も広い電圧範囲の負極電圧信号Vnを通すため、例えばCMOSスイッチで構成される。尚、負極電圧信号供給回路20Bに含まれる増幅回路20としては、これらスイッチ25、26の機能を含む構成としてもよい。
【0094】
出力選択スイッチ12及び22は、夫々のゲートで受けた制御信号St12及びSt22によってオンオフ制御される。また、スイッチ14及び24は、夫々のゲートで受けた制御信号Sr12及びSr22によりオンオフ制御される。スイッチ16、26は、制御信号Sz12、Sz22によりオン、オフ制御される。尚、図7において、ノードNs12及びNs22の電圧をそれぞれ電圧V12、電圧V22とする。
【0095】
図7に示す出力回路200では、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御する出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、15、23、25の各々は図2の正極駆動期間(T1、T2)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御する出力選択スイッチ12、22及びスイッチ14、16、24、26の各々は、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、15、23、25の負極駆動期間(T3、T4)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnを出力する。また、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御する出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、15、23、25の各々は図2の負極駆動期間(T3、T4)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御する出力選択スイッチ12、22及びスイッチ14、16、24、26の各々は、出力選択スイッチ11、21及びスイッチ13、15、23、25の正極駆動期間(T1、T2)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ正極電圧信号Vpを出力する。
【0096】
制御部35Aは、図1に示す制御部35と同様に、図2に示すタイミングで上記した制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21を生成する。更に、制御部35Aは、前述した信号形態の制御信号Sr12、Sr22、St12、St22、Sz12、Sz22を生成する。なおスイッチ15、16、25、26がそれぞれCMOSスイッチで構成される場合は、Sz11、Sz12、Sz21、Sz22のそれぞれの相補信号も制御部35Aで生成される。
【0097】
ここで、出力端子DL2に接続されている回路(12、14、16、22、24、26)は、出力端子DL1に接続されている回路(11、13、15、21、23、25)と同様な構成である。
【0098】
すなわち、図7に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、図2図6に示す駆動制御が行われる。ただし、出力端子DL2に対する駆動制御については、図2図6に示す駆動制御において、正極電圧信号Vpの供給期間と負極電圧信号Vnの供給期間が入れ替わったものとなる。すなわち、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpが供給されているときは、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnが供給され、出力端子DL1へ負極電圧信号Vpが供給されているときは、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnが供給される。
【0099】
更に、図7に示す出力回路200においても、出力回路100と同様に、各スイッチ素子を低耐圧のMOSトランジスタで構成することができる。また、出力選択スイッチ12及び22は、出力選択スイッチ11、21と同様な形態で制御されることで、広い電圧範囲の信号を出力することができる。したがって出力回路の省面積化及び低価格化を図ることが可能となる。
【実施例3】
【0100】
図8は、本発明に係る出力回路の第3の実施例としての出力回路100Aの構成を示す回路図である。図8においては、制御部35内で制御信号St11を生成する回路として電圧制御回路30を採用し、制御信号St21を生成する回路として電圧制御回路40を採用したものであり、その他の構成は図1と同様である。
【0101】
電圧制御回路30は、スイッチ31及び32を含む。スイッチ31は、オン状態時に基準電源電圧VGNDをノードNg11に印加し、出力選択スイッチ11をオフに制御する。スイッチ32は、オン状態時に正極電圧信号供給回路10Aから出力される正極電圧信号Vpに対し耐圧内の負側電圧VGnをノードNg11に印加し、出力選択スイッチ11をオンに制御する。スイッチ31及び32は、相補的に夫々がオン状態及びオフ状態に設定される。
【0102】
ここで、スイッチ31及び32のうちの一方から印加されたノードNg11の電圧(VGND又はVGn)が、制御信号St11として出力選択スイッチ11のゲートに供給される。尚、電圧VGnは、正極電圧信号Vpに対応して複数の電圧値を有する。例えば、電圧VGnは、基準電源電圧VGNDから出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11の閾値電圧の絶対値を差し引いた電圧より低電圧で、負極電源電圧(VDDL)及び基準電源電圧VGND間の中間の電圧(VDDL+VGND)/2以上の電圧値VGn1と、基準電源電圧VGND以上の電圧値VGn2の2値でもよい。
【0103】
電圧制御回路40は、スイッチ41及び42を含む。スイッチ41は、オン状態時に基準電源電圧VGNDをノードNg21に印加し、出力選択スイッチ21をオフに制御する。スイッチ42は、オン状態時に、負極電圧信号供給回路20Aから出力される負極電圧信号Vnに対し耐圧内の正側電圧VGpをノードNg21に印加し、出力選択スイッチ21をオンに制御する。スイッチ41及び42は、相補的に夫々がオン状態及びオフ状態に設定される。
【0104】
ここで、スイッチ41及び42のうちの一方から印加されたノードNg21の電圧(VGND又はVGp)が、制御信号St21として出力選択スイッチ12のゲートに供給される。尚、電圧VGpは、負極電圧信号Vnに対応して複数の電圧値を有する。例えば、電圧VGpは、基準電源電圧VGNDに出力選択スイッチ(NMOSトランジスタ)21の閾値電圧を加えた電圧より高電圧で、正極電源電圧VDDと基準電源電圧VGND間の中間電圧(VDDH+VGND)/2以下の電圧値VGp1と、基準電源電圧VGND以下の電圧値VGp2の2値でもよい。
【0105】
以下に、電圧制御回路30及び40の実際の動作について説明する。
【0106】
先ず、正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ供給される正極電圧信号Vp1を、出力選択スイッチ(PMOSトランジスタスイッチ)11を介して出力端子DL1へ出力する場合の動作について説明する。このときスイッチ32がオンとされ、出力選択スイッチ11のゲートに電圧VGnが供給される。
【0107】
またこの際、正極電圧信号Vpが正極電源電圧VDDHと基準電源電圧との中間電圧付近以上の電圧信号の場合には、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給される電圧VGnはVGn2(例えば基準電源電圧VGND)とされる。
【0108】
一方、正極電圧信号Vpが正極電源電圧VDDHと基準電源電圧VGNDとの中間電圧付近未満の電圧信号の場合、PMOSトランジスタスイッチ11のゲートに供給される電圧VGnはVGn1(例えば(VDDL+VGND)/2以上であり且つVGND未満の電圧)とされる。
【0109】
これにより、出力選択スイッチ(PMOSトランジスタスイッチ)11は、VGND~VDD間の広い電圧範囲の正極電圧信号を通すことが可能となり、且つ、出力選択スイッチ11のゲート・ソース間電圧が耐圧内に制御される。
【0110】
ここで、正極電圧信号Vpに対応した電圧VGnの電圧値(VGn1、VGn2)の選択は、例えば正極電圧信号Vpの電圧レベルに対応したk(kは2以上の整数)ビットのデジタル信号のうちの上位側の所定のビットDmpで制御してもよい。
【0111】
尚、正極電圧信号Vpを出力端子DL1へ出力する場合、出力選択スイッチ(NMOSトランジスタスイッチ)21はオフ状態に設定する。このとき、ノードNs21は、スイッチ23により基準電源電圧VGNDが供給され、電圧制御回路40のスイッチ41がオン状態となり、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートにも基準電源電圧VGNDが供給される。よって、NMOSトランジスタスイッチ21のゲート及びソースが共に基準電源電圧VGNDとなり、NMOSトランジスタスイッチ21はオフ状態になる。
【0112】
次に、負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ供給される負極電圧信号Vnを、出力選択スイッチ(NMOSトランジスタスイッチ)21を介して出力端子DL1へ出力する場合の動作について述べる。このときスイッチ42がオンとされ、出力選択スイッチ21のゲートに電圧VGpが供給される。
【0113】
またこの際、負極電圧信号Vnが負極電源電圧VDDLと基準電源電圧VGNDとの中間電圧付近未満の電圧信号の場合、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給される電圧VGpはVGp2(例えば基準電源電圧VGND)とされる。
【0114】
一方、負極電圧信号Vnが負極電源電圧VDDLと基準電源電圧VGNDとの中間電圧付近以上の電圧信号の場合、NMOSトランジスタスイッチ21のゲートに供給される電圧VGpはVGp1(例えば(VDDH+VGND)/2以下、VGND超の電圧)とされる。
【0115】
これにより、出力選択スイッチ(NMOSトランジスタスイッチ)21は、VGND~VDDL間の広い電圧範囲の負極電圧信号を通すことが可能となり、且つ、出力選択スイッチ21のゲート・ソース間電圧が耐圧内に制御される。
【0116】
ここで、負極電圧信号Vnに対応した電圧VGpの電圧値(VGp1、VGp2)の選択は、例えば負極電圧信号Vnの電圧レベルに対応したk(kは2以上の整数)ビットのデジタル信号のうちの上位側の所定のビットDmnで制御してもよい。
【0117】
尚、負極電圧信号Vnを出力端子DL1へ出力する場合、出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11はオフ状態に設定する。このとき、ノードNs11は、スイッチ13により基準電源電圧VGNDが供給され、電圧制御回路30のスイッチ31がオン状態となり、PMOSトランジスタ11のゲートにも基準電源電圧VGNDが供給される。よって、PMOSトランジスタ11のゲート、ソースが共に基準電源電圧VGNDとなり、PMOSトランジスタ11はオフ状態となる。
【0118】
かかる構成によれば、電圧制御回路30は、負側電圧VGn~基準電源電圧VGND間の電圧範囲で動作し、電圧制御回路40は、基準電源電圧VGND~正側電圧VGp間の電圧範囲で動作する。よって、電圧制御回路30及び40を共に低耐圧素子で構成することが可能となる。
【0119】
また、上記した電圧制御回路30を図7に示す出力回路200の出力選択スイッチ11及び12各々のゲートに設け、電圧制御回路40を出力選択スイッチ21及び22各々のゲートに設けることで、図7に示す構成でも、広い電圧範囲の電圧信号を出力可能となる。
【0120】
図8の出力回路100Aの制御部35、及び当該制御部35に含まれる電圧制御回路30及び40が生成する制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21の一例を示すタイムチャートは図2と同様である。以下、図2を参照して電圧制御回路30、40の動作を概略説明する。
【0121】
図2において、先ず、期間T1では、電圧制御回路30が基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11を出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11のゲートに供給する。更に、当該期間T1では、電圧制御回路40が期間T1の前の負極駆動期間に供給した電圧VGpを有する制御信号St21を出力選択スイッチ(NMOSトランジスタ)21のゲートに継続供給する。これにより、出力選択スイッチ11及び21をそれぞれオフ、オン状態に設定する。
【0122】
期間T2では、電圧制御回路30が、正極電圧信号Vpの電圧レベルに対応したkビットのデジタル信号のうちの上位側の所定のビットDmpに基づき選択した電圧VGnの電圧値を有する制御信号St11を、出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11のゲートに供給する。更に、当該期間T2では、電圧制御回路40が基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21を出力選択スイッチ(NMOSトランジスタ)21のゲートに供給する。これにより、出力選択スイッチ11及び21をそれぞれオン、オフ状態に設定する。
【0123】
期間T3では、電圧制御回路30が期間T2に供給した電圧VGnを有する制御信号St11を出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11のゲートに継続供給する。更に、当該期間T3では、電圧制御回路40が基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21を出力選択スイッチ(NMOSトランジスタ)21のゲートに供給する。これにより、出力選択スイッチ11及び21をそれぞれオン、オフ状態に設定する。
【0124】
そして、期間T4では、電圧制御回路30が基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11を出力選択スイッチ(PMOSトランジスタ)11のゲートに供給する。更に、当該期間T4では、電圧制御回路40が、負極電圧信号Vnの電圧レベルに対応したkビットのデジタル信号のうちの上位側の所定ビットDmnに基づき、選択した電圧VGpの電圧値を有する制御信号St21を、出力選択スイッチ(NMOSトランジスタ)21のゲートに供給する。これにより、出力選択スイッチ21のオン状態を設定する。
【0125】
尚、上記した点を除く他の制御信号の波形、並びにノードNs11の電圧V11、ノードNs21の電圧V21及び出力端子DL1の電圧については、図2に示すものと同一であるので、その説明は省略する。
【実施例4】
【0126】
図9は、本発明に係る出力回路の第4の実施例としての出力回路100-1の構成を示す回路図である。尚、出力回路100-1は、図1図7及び図8に示す出力回路100、200、100Aと同様に、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnのうちの一方を切り替えて出力することが可能な出力回路である。出力回路100-1は、出力選択スイッチを含む各スイッチを、半導体基板上だけでなく、バックゲートが存在しない例えばガラスやプラスチックなどの絶縁性基板上に形成した薄膜トランジスタ回路でも実現できる出力回路である。
【0127】
図9に示すように、出力回路100-1は、正極電圧信号供給回路10A、負極電圧信号供給回路20A、出力選択スイッチ11a、21a、スイッチ13a、23a、容量素子C11、C21、制御部35、及び出力端子DL1を含む。
【0128】
正極電圧信号供給回路10Aは、増幅回路10及びスイッチ15を含む。増幅回路10は、例えば、自身の出力端子と反転入力端子とが互いに接続されているボルテージフォロワのオペアンプである。尚、増幅回路10としては、入力電圧信号Vpiを利得1未満、或いは利得1以上で増幅するものであっても構わない。
【0129】
増幅回路10は、電源電圧VGND及びVDDHが供給され、自身の非反転入力端子で正極性の電圧値を有する正極電圧信号Vpiを受け、正極電圧信号Vpを増幅出力する。
【0130】
尚、正極電圧信号Vpは、
VGND<Vp<VDDH
VGND:基準電源電圧(例えば0V)
VDDH:正極電源電圧(例えば5V)
の範囲内で電圧値が変化する正極性の信号である。
【0131】
増幅回路10は、正極電圧信号Vpを自身の出力端子から出力し、これをスイッチ15に供給する。
【0132】
スイッチ15は、制御信号Sz11に応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ15は、オン状態に設定されている場合に、増幅回路10から出力された正極電圧信号VpをノードNs11を介して出力選択スイッチ11aに供給する。
【0133】
尚、増幅回路10としては、上記スイッチ15の機能を含むものを採用してもよい。
【0134】
スイッチ13aは、ゲートで制御信号Sr11を受ける例えば薄膜トランジスタ、又はNMOSトランジスタからなる。スイッチ13aのドレインはノードNs11に接続されており、ソースには基準電源電圧VGNDが印加されている。スイッチ13aは、自身のゲートで受けた制御信号Sr11が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号Sr11が正極電源電圧VDDHを有する場合には、スイッチ13aはオン状態となり、ノードNs11に基準電源電圧VGNDを印加する。
【0135】
出力選択スイッチ11aは、ゲートで制御信号St11を受ける例えば薄膜トランジスタ、又はPMOSトランジスタからなる。出力選択スイッチ11aのソースはノードNs11に接続されており、ドレインが出力端子DL1に接続されている。出力選択スイッチ11aは、ノードNs11が基準電源電圧VGNDのとき、自身のゲートで受けた制御信号St11が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号St11が、正極電圧信号Vpに対し所定の電圧差の負側電圧VGnを有する場合には、出力選択スイッチ11aはオン状態となり、ノードNs11と出力端子DL1とを電気的に接続する。
【0136】
出力選択スイッチ11aのソース及びノードNs11には容量素子C11の一端が共通に接続されている。当該容量素子C11の他端は出力選択スイッチ11aのゲートに接続されている。容量素子C11は、出力選択スイッチ11aのゲート(ノードNg11)がハイインピーダンス状態(以後、HiZと記す)のとき、自身の容量に蓄積された電荷により出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧を保持する。
【0137】
負極電圧信号供給回路20Aは、増幅回路20及びスイッチ25を含む。増幅回路20は、例えば、自身の出力端子と反転入力端子とが互いに接続されているボルテージフォロワのオペアンプである。尚、増幅回路20としては、入力電圧信号Vniを利得1未満、或いは利得1以上で増幅するものであっても構わない。
【0138】
増幅回路20は、電源電圧VGND及びVDDLが供給され、自身の非反転入力端子で負極性の電圧値を有する負極電圧信号Vniを受け、負極電圧信号Vnを増幅出力する。
【0139】
尚、負極電圧信号Vnは、
VGND>Vn>VDDL
VGND:基準電源電圧(例えば0V)
VDDL:負極電源電圧(例えば-5V)
の範囲内で電圧値が変化する負極性の信号である。
【0140】
増幅回路20は、負極電圧信号Vnを自身の出力端子から出力し、これをスイッチ25に供給する。
【0141】
スイッチ25は、制御信号Sz21に応じてオン状態又はオフ状態に設定される。スイッチ25は、オン状態に設定されている場合に、増幅回路20から出力された負極電圧信号VnをノードNs21を介して出力選択スイッチ21aに供給する。尚、増幅回路20としては、上記スイッチ25の機能を含むものを採用してもよい。
【0142】
スイッチ23aは、ゲートで制御信号Sr21を受ける例えば薄膜トランジスタ、又はPMOSトランジスタである。スイッチ23aのドレインはノードNs21に接続されており、ソースには基準電源電圧VGNDが印加されている。スイッチ23aは、自身のゲートで受けた制御信号Sr21が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号Sr21が負極電源電圧VDDLを有する場合には、スイッチ23aはオン状態となり、ノードNs21に基準電源電圧VGNDを印加する。
【0143】
出力選択スイッチ21aは、ゲートで制御信号St21を受ける、例えば薄膜トランジスタ又はNMOSトランジスタである。出力選択スイッチ21aのソースはノードNs21に接続されており、ドレインが出力端子DL1に接続されている。出力選択スイッチ21aは、ノードNs21が基準電源電圧VGNDのとき、自身のゲートで受けた制御信号St21が基準電源電圧VGNDを有する場合にはオフ状態となる。一方、この制御信号St21が負極電圧信号Vnに対し所定の電圧差の正側電圧VGpを有する場合には、出力選択スイッチ21aはオン状態となり、ノードNs21と出力端子DL1とを電気的に接続する。
【0144】
出力選択スイッチ21aのソース及びノードNs21には容量素子C21の一端が共通に接続されている。当該容量素子C21の他端は出力選択スイッチ21aのゲートに接続されている。容量素子C21は、出力選択スイッチ21aのゲート(ノードNg21)がハイインピーダンス状態(以後、HiZと記す)のとき、自身の容量に蓄積された電荷により出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧を保持する。
【0145】
制御部35は、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnのうちの一方を択一的に出力させる制御信号として、上記した制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21を生成する。ただし、制御信号St11については、当該制御部35に含まれる電圧制御回路130で生成され、制御信号St21については、この制御部35に含まれる電圧制御回路140で生成される。
【0146】
電圧制御回路130は、スイッチ131及び132を含む。スイッチ131は、オン状態時に基準電源電圧VGNDをノードNg11に印加し、出力選択スイッチ11aをオフ状態に制御する。スイッチ132は、オン状態時に負極電源電圧VDDLをノードNg11に印加し、容量素子C11に出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧に応じた電荷を蓄積する。スイッチ131及び132は、正極電圧信号Vpを出力端子DL1に出力するときは共にオフ状態に設定される。このとき、出力選択スイッチ11aのゲート(ノードNg11)がHiZ状態とされるが、容量素子C11に蓄積された電荷により出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧が保持され、出力選択スイッチ11aはオン状態が保持される。
【0147】
電圧制御回路140は、スイッチ141及び142を含む。スイッチ141は、オン状態時に、基準電源電圧VGNDをノードNg21に印加し、出力選択スイッチ21aをオフ状態に制御する。スイッチ142は、オン状態時に正極電源電圧VDDHをノードNg21に印加し、容量素子C21に出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧に応じた電荷を蓄積する。スイッチ141及び142は、負極電圧信号Vnを出力端子DL1に出力するときは共にオフ状態に設定される。このとき、出力選択スイッチ21aのゲート(ノードNg11)がHiZ状態とされるが、容量素子C21に蓄積された電荷により出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧が保持され、出力選択スイッチ21aはオン状態が保持される。。
【0148】
図10は、図9に示す制御部35、及び当該制御部35に含まれる電圧制御回路130及び140が生成する制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21の一例を示すタイムチャートである。
【0149】
尚、図10では、出力回路100-1が正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnを周期的に交互に切り替えて出力する、いわゆる極性反転駆動を行う場合に制御部35が生成する制御信号の一例を表す。また、図10では、正極電圧信号Vpを出力する正極駆動期間、及び負極電圧信号Vnを出力する負極駆動期間の各々において、各スイッチに対するオンオフ制御と、ノードNs11の電圧V11、ノードNs21の電圧V21、出力端子DL1の電圧の変化も表す。尚、正極電圧信号Vp及び負極電圧信号Vnは、それぞれの極性に対応した電圧範囲内で、単一又は複数のステップ信号や、サイン波などの可変信号であってもよい。
【0150】
図10に示すように、正極駆動期間は少なくとも期間T1及びT2の2つの期間に区分けされ、負極駆動期間についても少なくとも期間T3及びT4の2つの期間に区分けされる。なお、期間T1は、制御信号St11に対してのみ、期間T1A及び期間T1Bに区分けされ、期間T3は、制御信号St21に対してのみ、期間T3A及び期間T3Bに区分けされる。
【0151】
以下に、図10に示す制御信号Sr11、Sr21、St11、St21、Sz11、Sz21に応じた出力回路100-1の詳細な動作について、図10並びに図11図14を参照しつつ説明する。尚、図11図14は、期間T1~期間T4各々での出力回路100内の状態を等価的に表す等価回路図である。この際、期間T1の直前(初期状態)は、負極電圧信号供給回路20Aにて生成された負極電圧信号Vnが出力選択スイッチ21aを介して出力端子DL1に供給された状態、つまり、負極駆動期間の期間T4での動作状態にある。また、図11図14において、信号供給が遮断されているHiZ状態の経路を点線で示す。
【0152】
図10において、まず期間T1では、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25は共にオフ状態となり、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、期間T1では、スイッチ13aのゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11が供給されて、スイッチ13aがオン状態となり、ノードNs11の電圧V11は基準電源電圧VGNDに駆動される。また、スイッチ23aのゲートには負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21が供給されて、スイッチ23aがオン状態となり、図10に示すように、ノードNs21の電圧V21は前の負極駆動期間の負極電圧信号Vnから基準電源電圧VGNDへ引き上げられる。
【0153】
また、期間T1では、電圧制御回路140のスイッチ141及び142は共にオフ状態とされ、出力選択スイッチ21aのゲートには前の負極駆動期間の電圧VGpがHiZ状態で引き続き保持される。なお出力選択スイッチ21aのゲートの電圧VGpは、出力選択スイッチ21aのソースの電圧との電圧差が容量素子C21により保持されているため、ノードNs21の電圧V21の電圧変化と連動して変化する。これにより、図11に示すように出力選択スイッチ21aはオン状態が保持され、ノードNs21に駆動される基準電源電圧VGNDが、出力選択スイッチ21aを介して出力端子DL1に印加される。よって、図10に示すように、負極電圧信号Vnであった出力端子DL1の電圧は、出力選択スイッチ21aを経由して基準電源電圧VGNDへ引き上げられる。
【0154】
また、制御信号St11は期間T1を2つに区分した期間T1Aと期間T1Bで制御される。期間T1の前半の期間T1Aでは、電圧制御回路130のスイッチ131及び132のうちの131がオン状態となり、出力選択スイッチ11aのゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11が供給される。これにより、図11に示すように出力選択スイッチ11aはオフ状態となる。
【0155】
また、制御信号St11の制御は、図10に示すように、出力端子DL1の電圧が基準電源電圧VGNDへ十分引き上げられた後、期間T1の前半T1Aから後半の期間T1Bへ切り替わる。期間T1Bでは、電圧制御回路130のスイッチ131及び132のうちの132がオン状態となり、出力選択スイッチ11aのゲートには負極電源電圧VDDLを有する制御信号St11が供給される。これにより、図11に示すように出力選択スイッチ11aはオン状態に切り替わる。
【0156】
このとき、期間T1Bでは、容量素子C11には、ノードNs11に供給された基準電源電圧VGNDと、出力選択スイッチ11aのゲートに供給された負極電源電圧VDDLとの電圧差(VDDL-VGND)の電荷が蓄積される。出力選択スイッチ11aのゲートは、ノードNs11の電圧に対して出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧差(VDDL-VGND)だけ負側の電圧VGnが保持される。
【0157】
尚、期間T1を通して、スイッチ13aの各端子(ゲート、ドレイン、ソース)は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11a、スイッチ23a及び容量素子C11の各端子は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21aの各端子のうちのドレイン、ソースは、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21aのゲートは、ソースの電圧に対し耐圧内の正側電圧VGpが、HiZ状態で容量素子C21により保持される。したがって、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0158】
次に期間T2では、基準電源電圧VGNDを有する制御信号Sr11がスイッチ13aのゲートに供給され、スイッチ13aがオフ状態となる。また、期間T2では、負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21がスイッチ23aのゲートに引き続き供給され、スイッチ23aはオン状態が維持される。これにより、図12に示すようにノードNs21の電圧V21は基準電源電圧VGNDが維持される。また、期間T2では、電圧制御回路140のスイッチ141及び142のうちの141がオン状態となり、出力選択スイッチ21aのゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21が供給される。これにより、図12に示すように出力選択スイッチ21aはオフ状態となる。また、期間T2では、電圧制御回路130のスイッチ131及び132が共にオフ状態となり、制御信号St11の供給は遮断され、出力選択スイッチ11aのゲート(ノードNg11)がHiZ状態とされる。ただし、容量素子C11には、期間T1Bで蓄積した電圧差(VDDL-VGND)の電荷が保持されているので、出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧(VDDL-VGND)が保持され、出力選択スイッチ11aは期間T2を通してオン状態が保持される。また、期間T2では、制御信号Sz11に応じてスイッチ15がオン状態となり、図12に示すように正極電圧信号供給回路10AからノードNs11へ正極電圧信号Vpが供給される。また、期間T2では、制御信号Sz21によってスイッチ25がオフ状態を維持するので、引き続き負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。なお、期間T2では、出力選択スイッチ11aのゲート電圧VGnは、ノードNs11の電圧変化に対して電圧差(VDDL-VGND)を保持した状態で連動して変化する。なお、図10の制御信号St11の信号波形において、制御信号St11の供給が遮断される期間の信号波形は、出力選択スイッチ11aのゲート電圧波形を破線信号で示す。
【0159】
よって、期間T2では、図12に示すように、出力選択スイッチ11aを介して正極電圧信号Vpが出力端子DL1に供給され、当該出力端子DL1の電圧が図10に示すように基準電源電圧VGNDから正極電圧信号Vpへ変化する。このとき、基準電源電圧VGNDから正極電源電圧VDDHまでの範囲の任意の正極電圧信号Vpに対して、出力選択スイッチ11aは、ゲート・ソース間電圧差(VDDL-VGND)を有し、低オン抵抗の状態が維持されるので、高い電流供給能力(高駆動能力)を発揮することが可能となる。また、期間T2において、正極電圧信号Vpの電圧値が変化する場合でも、出力選択スイッチ11aは、低オン抵抗の状態で、高い電流供給能力(高駆動能力)が実現できる。
【0160】
尚、期間T2を通して、スイッチ13a及び出力選択スイッチ21aの各端子(ゲート、ドレイン、ソース)は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。スイッチ23aの各端子は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ11aの各端子のうちのドレイン、ソースは、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11aのゲートは、ソースの電圧に対し耐圧内の負側電圧VGnが、HiZ状態で容量素子C11により保持される。したがって、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0161】
次に期間T3では、制御信号Sz11及びSz21に応じてスイッチ15及び25が共にオフ状態となり、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aからの電圧信号の供給は遮断される。また、期間T3では、スイッチ23aのゲートには負極電源電圧VDDLを有する制御信号Sr21が引き続き供給されて、スイッチ23aはオン状態が維持され、ノードNs21の電圧V21は基準電源電圧VGNDに駆動される。また、スイッチ13aのゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11が供給されて、スイッチ13aがオン状態となり、図10に示すように、ノードNs11の電圧V11は期間T2の正極電圧信号Vpから基準電源電圧VGNDへ引き下げられる。
【0162】
また、期間T3では、電圧制御回路130のスイッチ131及び132は引き続き共にオフ状態とされ、出力選択スイッチ11aのゲートには期間T2の電圧VGnがHiZ状態で引き続き保持される。なお出力選択スイッチ11aのゲートの電圧VGnは、出力選択スイッチ11aのソースの電圧との電圧差が容量素子C11により保持されているため、ノードNs11の電圧V11の電圧変化と連動して変化する。これにより、図13に示すように出力選択スイッチ11aはオン状態が維持され、ノードNs11に駆動される基準電源電圧VGNDが、出力選択スイッチ11aを介して出力端子DL1に印加される。よって、図10に示すように、正極電圧信号Vpであった出力端子DL1の電圧は、出力選択スイッチ11aを経由して基準電源電圧VGNDへ引き下げられる。
【0163】
また、制御信号St21は期間T3を2つに区分した期間T3Aと期間T3Bで制御される。期間T3の前半の期間T3Aでは、電圧制御回路140のスイッチ141及び142のうちの141がオン状態となり、出力選択スイッチ21aのゲートには基準電源電圧VGNDを有する制御信号St21が供給される。これにより、図13に示すように出力選択スイッチ21aはオフ状態となる。
【0164】
また、制御信号St21の制御は、図10に示すように、出力端子DL1の電圧が基準電源電圧VGNDへ十分引き上げられた後、期間T1の前半T1Aから後半の期間T1Bへ切り替わる。期間T3Bでは、電圧制御回路140のスイッチ141及び142のうちの142がオン状態となり、出力選択スイッチ21aのゲートには正極電源電圧VDDHを有する制御信号St21が供給される。これにより、図13に示すように出力選択スイッチ21aはオン状態に切り替わる。
【0165】
このとき、期間T3Bでは、容量素子C21には、ノードNs21に供給された基準電源電圧VGNDと、出力選択スイッチ21aのゲートに供給された正極電源電圧VDDHとの電圧差(VDDH-VGND)の電荷が蓄積される。出力選択スイッチ21aのゲートは、ノードNs21の電圧に対して出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧差(VDDH-VGND)だけ正側の電圧VGpが保持される。
【0166】
尚、期間T3を通して、スイッチ23aの各端子(ゲート、ドレイン、ソース)は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21a、スイッチ13a及び容量素子C21の各端子は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11aの各端子のうちのドレイン、ソースは、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ11aのゲートは、ソースの電圧に対し耐圧内の負側電圧VGnが、HiZ状態で容量素子C11により保持される。したがって、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0167】
次に期間T4では、基準電源電圧VGNDを有する制御信号Sr21がスイッチ23aのゲートに供給され、スイッチ23aがオフ状態となる。また、期間T4では、正極電源電圧VDDHを有する制御信号Sr11がスイッチ13aのゲートに引き続き供給され、スイッチ13aはオン状態が維持される。これにより、図10に示すようにノードNs11の電圧V11についても、基準電源電圧VGNDが維持される。また、期間T4では、電圧制御回路130のスイッチ131及び132のうちの131がオン状態となり、出力選択スイッチ11aのゲート及び容量素子C11には基準電源電圧VGNDを有する制御信号St11が供給される。これにより、図14に示すように出力選択スイッチ11aはオフ状態となる。また、期間T4では、電圧制御回路140のスイッチ141及び142が共にオフ状態となり、制御信号St21の供給は遮断され、出力選択スイッチ21aのゲート(ノードNg21)がHiZ状態とされる。ただし、容量素子C21には、期間T3Bで蓄積した電圧差(VDDH-VGND)の電荷が保持されているので、出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧差(VDDH-VGND)が保持され、出力選択スイッチ11aは期間T4を通してオン状態が保持される。また、期間T4では、制御信号Sz21に応じてスイッチ25がオン状態となり、図14に示すように負極電圧信号供給回路20AからノードNs21へ負極電圧信号Vnが供給される。また、期間T4では、制御信号Sz11によってスイッチ15がオフ状態を維持するので、引き続き正極電圧信号供給回路10Aからの電圧信号の供給は遮断される。なお、期間T4では、出力選択スイッチ21aのゲート電圧VGpは、ノードNs21の電圧変化に対して電圧差(VDDH-VGND)を保持した状態で連動して変化する。なお、図10の制御信号St21の信号波形において、制御信号St21の供給が遮断される期間の信号波形は、出力選択スイッチ21aのゲート電圧波形を破線信号で示す。
【0168】
よって、期間T4では、図14に示すように、出力選択スイッチ21aを介して負極電圧信号Vnが出力端子DL1に供給され、当該出力端子DL1の電圧が図10に示すように基準電源電圧VGNDから負極電圧信号Vnへ変化する。このとき、基準電源電圧VGNDから負極電源電圧VDDLまでの範囲の任意の負極電圧信号Vnに対して、出力選択スイッチ21aは、ゲート・ソース間電圧差(VDDH-VGND)を有し、低オン抵抗の状態が維持されるので、高い電流供給能力(高駆動能力)を発揮することが可能となる。また、期間T4において、負極電圧信号Vnの電圧値が変化する場合でも、出力選択スイッチ21aは、低オン抵抗の状態で、高い電流供給能力(高駆動能力)が実現できる。
【0169】
尚、期間T4を通して、スイッチ23a及び出力選択スイッチ11aの各端子(ゲート、ドレイン、ソース)は基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。スイッチ13aの各端子は基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDHの間で制御される。出力選択スイッチ21aの各端子のうちのドレイン、ソースは、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDLの間で制御される。出力選択スイッチ21aのゲートは、ソースの電圧に対し耐圧内の正側電圧VGpが、HiZ状態で容量素子C21により保持される。したがって、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21は、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御される。
【0170】
図10図14の駆動制御の特徴は、出力端子DL1の駆動において、負極電圧信号Vnの供給期間(T4)から正極電圧信号Vpの供給期間(T2)へ切り替えるとき、少なくとも切替期間(T1)を設ける。切替期間(T1)で、ノードNs11、ノードNs21及び出力端子DL1を基準電源電圧VGNDに駆動する。また、切替期間の前半(T1A)に出力選択スイッチ11aのゲートを基準電源電圧VGNDとし、切替期間の後半(T1B)に、出力選択スイッチ11aのゲートを負極電源電圧VDDLとする。これにより切替期間の後半(T1B)に、出力選択スイッチ11aのゲート・ソース間電圧差(VDDL-VGND)を保持し、オン状態を維持し得る電荷を容量素子C11に蓄積する。そして、正極電圧信号Vpの供給期間(T2)で、出力選択スイッチ11aのゲートをHiZ状態とし、容量素子C11に保持された電荷に伴うゲート・ソース間電圧差により、出力選択スイッチ11aの低オン抵抗を維持する。これにより、任意の電圧値を有する正極電圧信号Vpに対して高い電流供給能力(駆動能力)を実現できる。また、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21を、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御できる。
【0171】
同様に、正極電圧信号Vpの供給期間(T2)から負極電圧信号Vnの供給期間(T4)へ切り替えるとき、少なくとも切替期間(T3)を設ける。切替期間(T3)で、ノードNs11、Ns21及び出力端子DL1を基準電源電圧VGNDに駆動する。切替期間の前半(T3A)に出力選択スイッチ21aのゲートを基準電源電圧VGNDとし、切替期間の後半(T3B)に、出力選択スイッチ21aのゲートを正極電源電圧VDDHとする。これにより切替期間の後半(T3B)に、出力選択スイッチ21aのゲート・ソース間電圧差(VDDH-VGND)を保持し、オン状態を維持し得る電荷を容量素子C21に蓄積する。そして、負極電圧信号Vnの供給期間(T4)で、出力選択スイッチ21のゲートをHiZ状態とし、容量素子C21に保持された電荷に伴うゲート・ソース間電圧差により、出力選択スイッチ21aの低オン抵抗を維持する。これにより、任意の電圧値を有する負極電圧信号Vnに対して高い電流供給能力(駆動能力)を実現できる。また、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、23a及び容量素子C11、C21を、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御できる。
【0172】
なお、正極電圧信号供給回路10Aを基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差で動作させ、負極電圧信号供給回路20Aを基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差で動作させることで、出力回路100-1を基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内で制御させることができる。したがって、出力回路100-1は出力端子DL1の出力電圧範囲(VDDL<DL1電圧<VDDH)に対して、電圧差が例えば約2分の1の低耐圧の素子で構成することができる。低耐圧の素子(トランジスタ)は、例えばスケーリング則に従って素子サイズを縮小できるので、低耐圧素子で構成した出力回路100は、回路面積を大幅に縮小可能である。
【0173】
なお、図10において、正極駆動期間の期間T2では、1個の正極電圧信号Vpを出力端子DL1へ出力する駆動制御例を示しているが、正極電圧信号供給回路10Aから電圧値の異なる複数個の正極電圧信号Vpを連続出力し、出力端子DL1へ出力するように駆動制御してもよい。同様に、負極駆動期間の期間T4では、1個の負極電圧信号Vnを出力端子DL1へ出力する駆動例を示しているが、負極電圧信号供給回路20Aから電圧値の異なる複数個の負極電圧信号Vnを連続出力し、出力端子DL1へ出力するように駆動制御してもよい。また必要に応じて、切替期間(T1、T3)の前又は後に別の制御を加えても構わない。
【0174】
また、上記実施例では、正極駆動期間と負極駆動期間を交互に切り替える駆動制御例を説明したが、電源投入時や電源オフ時では、電源電圧の立上げや立下げに応じた制御が行われる。例えば、電源電圧の立上げや立下げ時には、出力端子に接続される容量性負荷を基準電源電圧に駆動するため、例えば、正極電圧信号供給回路10A及び負極電圧信号供給回路20Aの電圧信号の供給は遮断し(スイッチ15及び25を共にオフ)、出力選択スイッチ11a、21a、スイッチ13a及び23aが共にオン状態となるように制御しても良い。
【実施例5】
【0175】
図15は、本発明に係る出力回路の第5の実施例としての出力回路100-2の構成を示す回路図である。尚、出力回路100-2は、図9に示す出力回路100-1の容量素子C11に代えてトランジスタのゲート容量C11aを採用し、容量素子C21に代えてトランジスタのゲート容量C21aを採用した構成である。その他の構成は、図9に示すものと同一である。よって、トランジスタのゲート容量C11a及びC21aを除く他の構成の説明については省略する。
【0176】
トランジスタのゲート容量C11aは、出力選択スイッチ11aと同一導電型、例えばPチャネル型のトランジスタからなる。つまり、トランジスタのゲート容量C11aは、自身のドレイン及びソース同士が互いに接続されており、その接続点がノードNs11に接続され、自身のゲートは出力選択スイッチ11aのゲート(ノードNg11)に接続されるPチャネル型トランジスタで構成されている。
【0177】
トランジスタのゲート容量C21aは、出力選択スイッチ21aと同一導電型、例えばNチャネル型のトランジスタからなる。つまり、トランジスタのゲート容量C21aは、自身のドレイン及びソース同士が互いに接続されており、その接続点がノードNs21に接続され、自身のゲートは出力選択スイッチ21aのゲート(ノードNg21)に接続されるNチャネル型トランジスタから構成されている。
【0178】
すなわち、図15に示す出力回路100-2では、容量C11a及びC21aをトランジスタのゲート容量で実現したものであり、全体の構成は図9に示す出力回路100-1と同様である。容量C11a、C21aをトランジスタのゲート容量で構成することにより、個別の容量素子形成のためのプロセス工程を追加(コスト増加)することなく、トランジスタのプロセス工程で形成可能となる。
【実施例6】
【0179】
図16は、本発明に係る出力回路の第6の実施例としての出力回路100-3の構成を示す回路図である。尚、出力回路100-3は、図9に示すスイッチ13a及び23aに代えて図1に示すスイッチ13及び23を採用し、図9に示す出力選択スイッチ11a及び21aに代えて図1に示す出力選択スイッチ11及び21を採用した構成である。その他の構成、及び回路全体の動作は図9に示す出力回路100-1と同一である。ただし、出力回路100-3を実現するにあたり、少なくともスイッチ13、23、出力選択スイッチ11及び21については、バックゲートが存在する例えばシリコン基板などの半導体基板上に形成したMOS構造を採用する。
【実施例7】
【0180】
図17は、本発明に係る出力回路の第7の実施例としての出力回路100-4の構成を示す回路図である。尚、出力回路100-4は、電圧制御回路130に含まれるスイッチ131に代えてスイッチ131aを採用し、電圧制御回路140に含まれるスイッチ141に代えてスイッチ141aを採用した点を除く他の構成は、図9に示すものと同一である。
【0181】
スイッチ131aは、オン状態時に、出力選択スイッチ11aのゲートとノードNs11とを接続する。すなわち、スイッチ131aがオン状態時には、出力選択スイッチ11aのソース及びゲートが短絡されるので、スイッチ131のオン状態時と同様に、出力選択スイッチ11aがオフ状態に設定される。
【0182】
スイッチ141aは、オン状態時に、出力選択スイッチ21aのゲートとノードNs21とを接続する。すなわち、スイッチ141aがオン状態時には、出力選択スイッチ21aのソース及びゲートが短絡されるので、スイッチ141のオン状態時と同様に、出力選択スイッチ21aがオフ状態に設定される。
【実施例8】
【0183】
図18は、本発明に係る出力回路の第8の実施例としての出力回路200-1の構成を示す回路図である。尚、出力回路200-1は、図7と同様に、2系統の出力端子DL1及びDL2のうちの一方の出力端子から正極電圧信号Vpを出力し、他方の出力端子から負極電圧信号Vnを出力し、且つ所定のタイミングで両者の極性を切り替える、いわゆる極性反転駆動を行う出力回路である。
【0184】
図18に示す出力回路200-1では、図7に示す半導体基板上に形成されたMOSトランジスタからなるスイッチ13、14、23及び24に代えて、スイッチ13a、14a、23a、24aを採用している。また、当該出力回路200-1では、図7に示す半導体基板上に形成されたMOSトランジスタからなる出力選択スイッチ11、12、21及び22に代えて、出力選択スイッチ11a、12a、21a及び22aを採用している。出力回路200-1のスイッチ13a、14a、23a、24a及び出力選択スイッチ11a、12a、21a、22aは、絶縁性基板上に形成された薄膜トランジスタで構成されてもよく、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタで構成されてもよい。但し、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタの場合には、バックゲートの接続は図7に示すスイッチ13、14、23、24及び出力選択スイッチ11、12、21、22と同様とされる。
【0185】
また、図18に示す出力回路200-1では、出力選択スイッチ11a、12a、21a及び22a各々のゲート及びソース間に、容量素子C11、C12、C21及びC22を夫々個別に接続している。
【0186】
更に、図18に示す出力回路200-1では、制御信号St11、St12、St21、St22については、図7と同様の制御部35Aを備え、当該制御部35Aに含まれる電圧制御回路130、130A、140及び140Aで生成している。
【0187】
尚、図18では、電圧制御回路130、130A、140及び140Aの内部の記載は省略しているが、電圧制御回路130及び130Aは、夫々が図9に示す電圧制御回路130と同一の内部構成を有し、電圧制御回路140及び140Aは、夫々が図9に示す電圧制御回路140と同一の内部構成を有する。更に図18では、制御部35Aの記載を省略している。
【0188】
図18に示す出力回路200-1においても、図9に示す出力回路100-1と同様に、図10図14に示す駆動制御が行われる。ただし、出力端子DL2に対する駆動制御については、図10図14に示す駆動制御において、正極駆動期間と負極駆動期間が入れ替わったものとなる。すなわち、出力端子DL1へ正極電圧信号Vpを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御する出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、15、23a、25の各々は図10図14の正極駆動期間(T1、T2)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御する出力選択スイッチ12a、22a及びスイッチ14a、16、24a、26の各々は、図10図14の出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、15、23a、25の負極駆動期間(T3、T4)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ負極電圧信号Vnを出力する。また、出力端子DL1へ負極電圧信号Vnを出力するとき、出力端子DL1への出力を制御する出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、15、23a、25の各々は図10の負極駆動期間(T3、T4)と同じオン、オフ制御が行われる。このとき出力端子DL2への出力を制御する出力選択スイッチ12a、22a及びスイッチ14a、16、24a、26の各々は、出力選択スイッチ11a、21a及びスイッチ13a、15、23a、25の正極駆動期間(T1、T2)と同様の制御が行われ、出力端子DL2へ正極電圧信号Vpを出力する。
【0189】
図18に示す出力回路200-1においても、図9に示す出力回路100-1と同様に、任意の電圧値を有する正極電圧信号Vp又は負極電圧信号Vnの出力端子DL1、DL2への出力動作に対して高い電流供給能力(駆動能力)を実現できる。また、出力回路200-1を構成する各素子を、基準電源電圧VGNDと正極電源電圧VDDH間の電源間電圧差、又は、基準電源電圧VGNDと負極電源電圧VDDL間の電源間電圧差のいずれかの耐圧の範囲内に制御できる。
【実施例9】
【0190】
図19は、本発明に係る出力回路の第9の実施例としての出力回路300の構成を示す回路図である。尚、図19に示す出力回路300は、正極電圧信号供給回路10Aに代えて正極電圧信号供給回路10Cを採用し、負極電圧信号供給回路20Aに代えて負極電圧信号供給回路20Cを採用した構成である。その他の構成は図9に示すものと同一である。
【0191】
よって、当該他の構成についての説明は省略し、以下に正極電圧信号供給回路10C及び負極電圧信号供給回路20Cの内部構成の説明を行う。
【0192】
正極電圧信号供給回路10Cは、図9に示す正極電圧信号供給回路10Aのスイッチ15の機能を担う内部スイッチ15a~15d、Pチャネル型の出力トランジスタ17P、Nチャネル型の出力トランジスタ17N、及び差動増幅段18を有する。出力トランジスタ17P、17Nは、正極電圧信号供給回路10Cの出力増幅段を構成する。Pチャネル型の出力トランジスタ17Pは、ドレインがノードNs11に接続され、ソースが正極電源電圧VDDHに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ17Nは、ドレインがノードNs11に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。差動増幅段18は、自身の非反転入力端子で正極電圧信号Vpiを受けると共に、正極電圧信号供給回路10CからノードNs11の電圧V11として出力される正極電圧信号を自身の反転入力端子で受ける。
【0193】
差動増幅段18は、正極電圧信号Vpiと電圧V11との電圧差に対応して電圧値が変動する第1及び第2の差動出力信号を生成し、これを内部スイッチ15a、15cを介して出力トランジスタ17P、17Nのゲートに供給する。内部スイッチ15b、15dは、出力トランジスタ17P、17Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続される。内部スイッチ15a、15cと内部スイッチ15b、15dは相補的に制御され、内部スイッチ15a、15cがオンのとき、内部スイッチ15b、15dはオフとされる。このとき、差動増幅段18の第1及び第2の差動出力信号が出力トランジスタ17P、17Nのゲートに供給され、出力トランジスタ17P、17Nが活性化し、ノードNs11へ正極電圧信号が供給される。すなわち、正極電圧信号供給回路10Cは、正極電圧信号Vpiに応じた正極電圧信号V11をノードNs11へ増幅出力するボルテージフォロワ構成とされる。一方、内部スイッチ15a、15cがオフのとき、内部スイッチ15b、15dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ17P、17Nが非活性化され、ノードNs11への正極電圧信号の供給は停止される。
【0194】
ここで、正極電圧信号供給回路10Cでは、内部スイッチ15a及び15cをオン状態、15b及び15dをオフ状態に制御することで、図9の正極電圧信号供給回路10Aのスイッチ15のオン状態と等価な状態を実現できる。また、正極電圧信号供給回路10Cでは、内部スイッチ15a及び15cをオフ状態、15b及び15dをオン状態に制御することで、図9の正極電圧信号供給回路10Aのスイッチ15のオフ状態と等価な状態を実現できる。
【0195】
図19に示す正極電圧信号供給回路10Cによれば、図9に示される正極電圧信号供給回路10Aに比べて、増幅回路10の出力端から出力端子DL1までの経路上のスイッチ15がなくなり、正極電圧信号供給回路10Cの出力インピーダンスが小さくなる。よって、正極電圧信号供給回路10Cの駆動能力を高めることが可能となる。
【0196】
負極電圧信号供給回路20Cは、図9に示す負極電圧信号供給回路20Aのスイッチ25の機能を担う内部スイッチ25a~25d、Pチャネル型の出力トランジスタ27P、Nチャネル型の出力トランジスタ27N、及び差動増幅段28を有する。出力トランジスタ27P、27Nは、負極電圧信号供給回路20Cの出力増幅段を構成する。Pチャネル型の出力トランジスタ27Pは、ドレインがノードNs21に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ27Nは、ドレインがノードNs21に接続され、ソースが負極電源電圧VDDLに接続される。差動増幅段28は、自身の非反転入力端子で負極電圧信号Vniを受けると共に、負極電圧信号供給回路20CからノードNs21の電圧V21として出力される負極電圧信号を自身の反転入力端子で受ける。
【0197】
差動増幅段28は、負極電圧信号Vniと電圧V21との電圧差に対応して電圧値が変動する第3及び第4の差動出力信号を生成し、内部スイッチ25a、25cを介して出力トランジスタ27P、27Nのゲートに供給する。内部スイッチ25b、25dは、出力トランジスタ27P、27Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続される。内部スイッチ25a、25cと内部スイッチ25b、25dは相補的にオンオフ制御され、内部スイッチ25a、25cがオンのとき、内部スイッチ25b、25dはオフとされる。このとき、差動増幅段28の第3及び第4の差動出力信号が出力トランジスタ27P、27Nのゲートに供給され、出力トランジスタ27P、27Nが活性化し、ノードNs21へ負極電圧信号が供給される。すなわち、負極電圧信号供給回路20Cは、負極電圧信号Vniに応じた負極電圧信号V21をノードNs11へ増幅出力するボルテージフォロワ構成とされる。一方、内部スイッチ25a、25cがオフのとき、内部スイッチ25b、25dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ27P、27Nが非活性化され、ノードNs21への負極電圧信号の供給は停止される。
【0198】
ここで、負極電圧信号供給回路20Cでは、内部スイッチ25a及び25cをオン状態、25b及び25dをオフ状態に制御することで、図9の負極電圧信号供給回路20Aのスイッチ25のオン状態と等価な状態を実現できる。また、負極電圧信号供給回路20Cでは、内部スイッチ25a及び25cをオフ状態、25b及び25dをオン状態に制御することで、図9の負極電圧信号供給回路20Aのスイッチ25のオフ状態と等価な状態を実現できる。
【0199】
図19に示す負極電圧信号供給回路20Cによれば、図9に示される負極電圧信号供給回路20Aに比べて、増幅回路20の出力端から出力端子DL1までの経路上のスイッチ25がなくなり、負極電圧信号供給回路20Cの出力インピーダンスが小さくなる。よって、負極電圧信号供給回路20Cの駆動能力を高めることが可能となる。
【実施例10】
【0200】
図20は、本発明に係る出力回路の第10の実施例としての出力回路300-1の構成を示す回路図である。尚、図20に示す出力回路300-1は、正極電圧信号供給回路10Bに代えて正極電圧信号供給回路10Dを採用し、負極電圧信号供給回路20Bに代えて負極電圧信号供給回路20Dを採用した構成である。その他の構成は図18に示すものと同一である。よって、当該他の構成についての説明は省略し、以下に正極電圧信号供給回路10D及び負極電圧信号供給回路20Dの内部構成の説明を行う。
【0201】
正極電圧信号供給回路10Dは、図18に示す正極電圧信号供給回路10Aのスイッチ15の機能を担う内部スイッチ15a~15d、Pチャネル型の出力トランジスタ17P、Nチャネル型の出力トランジスタ17N、及び差動増幅段18を有する。更に、正極電圧信号供給回路10Dは、図18に示す正極電圧信号供給回路10Aのスイッチ16の機能を担う内部スイッチ16a~16d、Pチャネル型の出力トランジスタ19P、Nチャネル型の出力トランジスタ19N、帰還スイッチ57及び59を有する。
【0202】
出力トランジスタ17P、17N、及び、出力トランジスタ19P、19Nは、正極電圧信号供給回路10Dの第1の出力増幅段(17P、17N)及び第2の出力増幅段(19P、19N)を構成する。Pチャネル型の出力トランジスタ17Pは、ドレインがノードNs11に接続され、ソースが正極電源電圧VDDHに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ17Nは、ドレインがノードNs11に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。Pチャネル型の出力トランジスタ19Pは、ドレインがノードNs12に接続され、ソースが正極電源電圧VDDHに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ19Nは、ドレインがノードNs12に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。差動増幅段18は、自身の非反転入力端子で正極電圧信号Vpiを受けると共に、正極電圧信号供給回路10DからノードNs11の電圧V11又はノードNs12の電圧V12として出力される正極電圧信号を帰還スイッチ57又は59を介して自身の反転入力端子で受ける。
【0203】
差動増幅段18は、電圧V11又は電圧V12と、正極電圧信号Vpiとの電圧差に対応して電圧値が変動する第1及び第2の差動出力信号を生成し、これを内部スイッチ15a、15cを介して出力トランジスタ17P、17Nのゲートへ、又は、内部スイッチ16a、16cを介して出力トランジスタ19P、19Nのゲートにそれぞれ供給する。内部スイッチ15b、15dは、出力トランジスタ17P、17Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続され、内部スイッチ16b、16dは、出力トランジスタ19P、19Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続される。
【0204】
また、内部スイッチ15a、15cと内部スイッチ15b、15dは相補的に制御され、内部スイッチ15a、15cがオンのとき、内部スイッチ15b、15dはオフとされる。このとき、差動増幅段18の第1及び第2の差動出力信号が出力トランジスタ17P、17Nのゲートに供給され、出力トランジスタ17P、17Nが活性化し、ノードNs11へ正極電圧信号が供給される。一方、内部スイッチ15a、15cがオフのとき、内部スイッチ15b、15dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ17P、17Nが非活性化され、ノードNs11への正極電圧信号の供給は停止される。
【0205】
また、内部スイッチ16a、16cと内部スイッチ16b、16dは相補的に制御され、内部スイッチ16a、16cがオンのとき、内部スイッチ16b、16dはオフとされる。このとき、差動増幅段18の第1及び第2の差動出力信号が出力トランジスタ19P、19Nのゲートに供給され、出力トランジスタ19P、19Nが活性化し、ノードNs12へ正極電圧信号が供給される。一方、内部スイッチ16a、16cがオフのとき、内部スイッチ16b、16dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ19P、19Nが非活性化され、ノードNs12への正極電圧信号の供給は停止される。
【0206】
帰還スイッチ57及び59は周期的に且つ相補的にオン状態又はオフ状態に設定される。ここで、帰還スイッチ57がオン状態、帰還スイッチ59がオフ状態に設定された場合には、ノードNs11の電圧V11が差動増幅段18の反転入力端子に供給される。一方、帰還スイッチ57がオフ状態、帰還スイッチ59がオン状態に設定された場合には、ノードNs12の電圧V12が差動増幅段18の反転入力端子に供給される。
【0207】
負極電圧信号供給回路20Dは、図18に示す負極電圧信号供給回路20Aのスイッチ25の機能を担う内部スイッチ25a~25d、Pチャネル型の出力トランジスタ27P、Nチャネル型の出力トランジスタ27N、及び差動増幅段28を有する。更に、負極電圧信号供給回路20Dは、図18に示す負極電圧信号供給回路20Aのスイッチ26の機能を担う内部スイッチ26a~26d、Pチャネル型の出力トランジスタ29P、Nチャネル型の出力トランジスタ29N、帰還スイッチ67及び69を有する。
【0208】
出力トランジスタ27P、27N、及び、出力トランジスタ29P、29Nは、負極電圧信号供給回路20Dの第1の出力増幅段(27P、27N)及び第2の出力増幅段(29P、29N)を構成する。Pチャネル型の出力トランジスタ27Pは、ドレインがノードNs21に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ27Nは、ドレインがノードNs21に接続され、ソースが負極電源電圧VDDLに接続される。Pチャネル型の出力トランジスタ29Pは、ドレインがノードNs22に接続され、ソースが基準電源電圧VGNDに接続される。Nチャネル型の出力トランジスタ29Nは、ドレインがノードNs22に接続され、ソースが負極電源電圧VDDLに接続される。差動増幅段28は、自身の非反転入力端子で負極電圧信号Vniを受けると共に、負極電圧信号供給回路20DからノードNs21の電圧V21又はノードNs22の電圧V22として出力される負極電圧信号を帰還スイッチ67又は69を介して自身の反転入力端子で受ける。
【0209】
差動増幅段28は、電圧V21又は電圧V22と、負極電圧信号Vniとの電圧差に対応して電圧値が変動する第3及び第4の差動出力信号を生成し、これを内部スイッチ25a、25cを介して出力トランジスタ27P、27Nのゲートへ、又は、内部スイッチ26a、26cを介して出力トランジスタ29P、29Nのゲートに供給する。内部スイッチ25b、25dは、出力トランジスタ27P、27Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続され、内部スイッチ26b、26dは、出力トランジスタ29P、29Nのゲート・ソース間にそれぞれ接続される。
【0210】
また、内部スイッチ25a、25cと内部スイッチ25b、25dは相補的に制御され、内部スイッチ25a、25cがオンのとき、内部スイッチ25b、25dはオフとされる。このとき、差動増幅段28の第3及び第4の差動出力信号が出力トランジスタ27P、27Nのゲートにそれぞれ供給され、出力トランジスタ27P、27Nが活性化し、ノードNs21へ負極電圧信号が供給される。一方、内部スイッチ25a、25cがオフのとき、内部スイッチ25b、25dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ27P、27Nが非活性化され、ノードNs21への正極電圧信号の供給は停止される。
【0211】
また、内部スイッチ26a、26cと内部スイッチ26b、26dは相補的に制御され、内部スイッチ26a、26cがオンのとき、内部スイッチ26b、26dはオフとされる。このとき、差動増幅段28の第3及び第4の差動出力信号が出力トランジスタ29P、29Nのゲートにそれぞれ供給され、出力トランジスタ29P、29Nが活性化し、ノードNs22へ負極電圧信号が供給される。一方、内部スイッチ26a、26cがオフのとき、内部スイッチ26b、26dはオンとされる。このとき、出力トランジスタ29P、29Nが非活性化され、ノードNs22への負極電圧信号の供給は停止される。
【0212】
帰還スイッチ67及び69は周期的に且つ相補的にオン状態又はオフ状態に設定される。ここで、帰還スイッチ67がオン状態、帰還スイッチ69がオフ状態に設定された場合には、ノードNs21の電圧V21が増幅回路28の反転入力端子に供給される。一方、帰還スイッチ67がオフ状態、帰還スイッチ69がオン状態に設定された場合には、ノードNs22の電圧V22が増幅回路28の反転入力端子に供給される。
【0213】
ここで、正極電圧信号供給回路10Dでは、内部スイッチ15a及び15cをオン状態、15b及び15dをオフ状態、帰還スイッチ57をオン状態に制御することで、図18の正極電圧信号供給回路10Bのスイッチ15のオン状態と等価な状態を実現できる。また、正極電圧信号供給回路10Dでは、内部スイッチ16a及び16cをオン状態、16b及び16dをオフ状態、帰還スイッチ59をオン状態に制御することで、図18の正極電圧信号供給回路10Bのスイッチ16のオン状態と等価な状態を実現できる。
【0214】
また、負極電圧信号供給回路20Dでは、内部スイッチ25a及び25cをオン状態、25b及び25dをオフ状態、帰還スイッチ67をオン状態に制御することで、図18の負極電圧信号供給回路20Bのスイッチ25のオン状態と等価な状態を実現できる。また、負極電圧信号供給回路20Dでは、内部スイッチ26a及び26cをオン状態、26b及び26dをオフ状態、帰還スイッチ69をオン状態に制御することで、図18の負極電圧信号供給回路10Bのスイッチ26のオン状態と等価な状態を実現できる。
【0215】
よって、図20に示す正極電圧信号供給回路10Dによれば、図18に示される正極電圧信号供給回路10Bに比べて、増幅回路10の出力端から出力端子DL1までの経路上のスイッチ15がなくなり、正極電圧信号供給回路10Dの出力インピーダンスが小さくなる。更に、正極電圧信号供給回路10Dによれば、図18に示される正極電圧信号供給回路10Bに比べて、増幅回路10の出力端から出力端子DL2までの経路上のスイッチ16がなくなり、正極電圧信号供給回路10Dの出力インピーダンスが小さくなる。よって、正極電圧信号供給回路10Dの駆動能力を高めることが可能となる。
【0216】
また、図20に示す負極電圧信号供給回路20Dによれば、図18に示される負極電圧信号供給回路20Bに比べて、増幅回路20の出力端から出力端子DL1までの経路上のスイッチ25がなくなり、負極電圧信号供給回路20Dの出力インピーダンスが小さくなる。更に、正極電圧信号供給回路10Dによれば、図18に示される正極電圧信号供給回路10Bに比べて、増幅回路20の出力端から出力端子DL2までの経路上のスイッチ26がなくなり、負極電圧信号供給回路20Dの出力インピーダンスが小さくなる。よって、負極電圧信号供給回路20Dの駆動能力を高めることが可能となる。
【実施例11】
【0217】
図21は、本発明に係る出力回路を有するデータドライバ80を含む液晶表示装置400の概略構成を示すブロック図である。
【0218】
図21において、画素単位毎の液晶表示デバイスを含むアクティブマトリクス型表示パネル20には、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)の水平走査ラインS1~Smと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の自然数)のデータ線D1~Dnとが形成されている。水平走査ライン及びデータ線の各交叉部には、画素を担う表示セルが形成されている。表示セルは、少なくともスイッチ素子と画素電極とを含み、水平走査ラインの走査パルスに応じてスイッチ素子がオン状態となるときに、データ線の階調電圧信号がスイッチ素子を介して画素電極に印加され、画素電極に印加された階調電圧に応じて液晶表示デバイスの輝度が制御される。なお図21において、具体的な表示セルの構成は記載を省略している。
【0219】
駆動制御部65は、制御信号等も一体化された映像信号VDを受け、当該映像信号VD中から水平同期信号に基づくタイミング信号を生成して走査ドライバ70に供給する。また、駆動制御部65は、映像信号VDに基づき各種の制御信号群、並びに各画素の輝度レベルを例えば8ビットの輝度階調で指す画素データPDの系列を生成してデータドライバ80に供給する。
【0220】
走査ドライバ70は、駆動制御部65から供給されたタイミング信号に基づき、水平走査パルスを表示パネル20の水平走査ラインS1~Smの各々に順次印加する。
【0221】
データドライバ80は、例えばLSI(Large Scale Integrated Circuit)等の半導体装置に形成されている。データドライバ80は、駆動制御部65から供給された画素データPDを1水平走査ライン分、つまりn個毎に、各画素データPDに対応した階調電圧を有する階調電圧信号G1~Gnに変換する。そして、データドライバ80は、当該階調電圧信号G1~Gnを表示デバイス20のデータ線D1~Dnに印加する。
【0222】
なお、走査ドライバ70又はデータドライバ80は、回路の一部又は全てが表示パネルと一体形成されてもよい。またデータドライバ80は、複数個のLSIで構成されてもよい。
【0223】
図22は、データドライバ80の内部構成を示すブロック図である。
【0224】
図22に示すように、データドライバ80は、シフトレジスタ600、データレジスタラッチ回路700、レベルシフト回路800、レベル電圧発生回路500、デコーダ回路900、及び出力増幅回路2000を含む。また表示コントローラ(不図示)から供給される制御信号や映像デジタル信号を受けて、ドライバ内部で必要なクロック信号や制御信号を生成し、映像デジタル信号とのタイミング調整を行った信号群を出力するインターフェイス回路(不図時)も含む。図22では、説明の便宜上、インターフェイス回路の詳細は省略する。
【0225】
シフトレジスタ600は、スタートパルスに応じて、クロック信号CLKに同期してラッチの選択を行う為の複数のラッチタイミング信号を生成し、データレジスタラッチ回路700に供給する。
【0226】
データレジスタラッチ回路700は、映像デジタル信号、極性反転信号(POL)、タイミング制御信号等を受けて、シフトレジスタ600から供給されたラッチタイミング信号の各々に基づき、映像デジタル信号を所定個毎に取り込み、該所定個の映像デジタル信号をラッチタイミングでレベルシフト回路800に供給する。
【0227】
なおデータレジスタラッチ回路700は、極性反転信号(POL)に基づき、正極又は負極に対応したレベルシフタ80P又は80Nへ映像デジタル信号を選択出力する。
【0228】
レベルシフト回路800は、正極用レベルシフタ80Pと負極用レベルシフタ80Nを備える。正極用レベルシフタ80Pは、映像デジタル信号を正極アナログ電圧(VGND/VDDH)振幅のデジタル信号に変換する。負極用レベルシフタ80Nは、映像デジタル信号を負極アナログ電圧(VGND/VDDL)振幅のデジタル信号に変換する。データレジスタラッチ回路700から供給された所定個の映像デジタルデータ信号は、極性反転信号(POL)に応じて、正極用レベルシフタ80P又は負極用レベルシフタ80Nに送られ、極性毎に対応するアナログ電圧振幅に拡幅され、正極デコーダ90P又は負極デコーダ90Nへ送られる。
【0229】
デコーダ回路900は、2出力毎に正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組で構成される。なおデコーダ回路900内の極性毎のデコーダ90P、90Nの並び順は変更可能である。
【0230】
レベル電圧発生回路500は、互いに電圧値が異なる複数のレベル電圧を正極用と負極用を生成し、デコーダ90P、90Nへそれぞれ供給する。
【0231】
デコーダ回路900は、正極デコーダ90Pと負極デコーダ90Nの組の2出力を単位として、レベルシフト処理後の映像デジタル信号に対応したレベル電圧を、上記した複数のレベル電圧の中から選択し、極性毎に選択したレベル電圧を出力増幅回路2000に供給する。
【0232】
出力増幅回路2000は、例えば図7の出力回路200で構成される。出力増幅回路2000は、極性反転信号(POL)とスイッチ制御信号群を受け、デコーダ回路900で選択された極性毎のレベル電圧をそれぞれ演算増幅して、極性反転信号(POL)に応じてデータドライバの2つの出力端子毎に、一方に正極電圧信号(Vp)、他方に負極電圧信号(Vn)を出力する。なお出力増幅回路2000では、極性反転信号(POL)に応じて、例えば図7の出力回路200の制御信号Sz11、Sz12、Sz21、Sz22が制御され、スイッチ15、16、25、26のオン、オフが切り替わる。他のスイッチも、スイッチ15、16、25、26のオン、オフに連動して制御される。また、デジタル信号の上位側の所定ビットDmp及びDmnを用いる場合には、正極デコーダ90Pのアナログ振幅のデジタル信号の上位側の所定ビットDmpを出力増幅回路2000へ入力し、負極デコーダ90Nのアナログ振幅のデジタル信号の上位側の所定ビットDmnを出力増幅回路2000へ入力する構成とする。
【0233】
図22のデータドライバのブロック図において、アナログ電圧振幅の電圧範囲を有するブロックは、レベルシフト回路800、デコーダ回路900、出力増幅回路2000とレベル電圧発生回路500である。そのうち正極レベルシフタ80P及び正極デコーダ90Pは正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)、負極レベルシフタ80N及び負極デコーダ90Nは負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)で動作する。
【0234】
またレベル電圧発生回路500は、正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)とに分けて構成することができる。出力増幅回路2000も正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)と負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)のそれぞれの耐圧の素子で構成することができる。
【0235】
すなわち、図22のデータドライバは、出力端子へは負極電圧信号と正極電圧信号のVDDL~VDDHの電圧範囲の液晶駆動電圧信号が出力されるが、データドライバを構成する素子は、液晶駆動電圧範囲の約2分の1の正極アナログ電圧範囲(VGND~VDDH)又は負極アナログ電圧範囲(VGND~VDDL)で動作可能な低耐圧素子で構成することができる。低耐圧のトランジスタの場合、例えば、ゲート絶縁膜を薄くすることができ、駆動回路を構成するトランジスタが小さい面積で実現できるようになる。また耐圧が下がることで、素子間隔も狭くできるようになる。このように図22のデータドライバは、省面積で構成できるため、低価格化が可能になる。
【符号の説明】
【0236】
10A 正極電圧信号供給回路
20A 負極電圧信号供給回路
11、21 出力選択スイッチ
13、23 スイッチ
35 制御部
80 データドライバ
100 出力回路
400 表示装置
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