(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ワイヤグリッド偏光板製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230327BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230327BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G02B5/30
G02B5/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021078248
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2018546486の分割
【原出願日】2017-02-10
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マークル, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン ファン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05402205(US,A)
【文献】特開平06-094939(JP,A)
【文献】特開2000-221349(JP,A)
【文献】特開2011-022255(JP,A)
【文献】特開2012-004564(JP,A)
【文献】特表2015-502668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイをパターン形成するためのシステムであって、該システムは、
レーザーゲージと、
レーザーゲージミラーと、
複数のハーフDyson光学系と
を備え、前記ハーフDyson光学系の各々は、
一次ミラーと、
正レンズと、
回析格子ラインパターンを有する回析格子を含むレチクルと
を備え、前記回析格子ラインパターンは、
中心線と、
複数の回折格子ラインと
を含み、各回折格子ラインが当該回析格子ラインのサイズを示す長さを有し、且つ前記中心線からある距離だけ離れており、前記中心線からの
前記距離が前記中心線からある距離離れた点まで増大するにつれて、前記複数の回折格子ラインの各々の
長さは
非線形に増大する、システム。
【請求項2】
メニスカスレンズと、
基板ステージと
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
更にブリッジを備え、前記ブリッジは、前記基板ステージの上方に離間されており、その上に配置された
前記複数のハーフDyson光学系を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記一次ミラーは、中心に、照射ビームへのアクセスを提供するための開口部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記照射ビームはコリメートされた光で対物回折格子を照射し、いかなるゼロ次回折も除去する手段を提供する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記正レンズは、溶融石英又はフッ化カルシウムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
一次ミラーは、対物面の回折格子からの±1次回折を反射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
方法であって、
アルミニウム被覆を有する基板の上に底部反射防止被覆層を堆積することと、
前記底部反射防止被覆層の上にフォトレジスト層を堆積することと、
前記基板上に位相回折格子マスクを結像することによって、前記基板をパターン形成することと
を含む方法であって、前記位相回折格子マスクは、回析格子ラインパターンを有し、前記回析格子ラインパターンは、
中心線と、
複数の回折格子ラインと
を含み、各回折格子ラインが当該回析格子ラインのサイズを示す長さを有し、且つ前記中心線からある距離だけ離れており、前記中心線からの
前記距離が前記中心線からある距離離れた点まで増大するにつれて、前記複数の回折格子ラインの各々の
長さは
非線形に増大し、
前記基板のパターン形成は、
レーザー照射ビームを一次ミラーの開口部を通して、前記位相回折格子マスクを含むレチクルへ向けることと、
前記レーザー照射ビームを前記レチクルから前記一次ミラーのエッジ近傍の対向領域に回折させることと
を含み、前記方法は更に、
前記基板上に±1次の回折を結像すること
を含む方法。
【請求項9】
前記フォトレジスト層は前記底部反射防止被覆層の上に堆積されて、前記底部反射防止被覆層に接触する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層を現像することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の上
に狭いトレンチの第1のパターンを形成するために、前記基板の
上でアルミニウムエッチングを実施することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基板の上
に狭いトレンチの第2のパターンを形成するために、アルミニウム被覆を有する基板の上に底部反射防止被覆層を堆積することと、前記底部反射防止被覆層の上にフォトレジスト層を堆積することと、前記基板上に位相回折格子マスクを結像することによって、前記基板をパターン形成することとを繰り返すことを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記底部反射防止被覆層は前記アルミニウム被覆の上に堆積されて、前記アルミニウム被覆に接触する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記底部反射防止被覆層は、355nmの光を吸収し、400nm以上の光に対して透明な材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記フォトレジスト層を現像することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の
上でアルミニウムエッチングを実施することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
回折格子ラインパターンであって、
中心線と、
複数の回折格子ラインと
を含み、各回折格子ラインが当該回析格子ラインのサイズを示す高さと長さを有し、且つ前記中心線からある距離だけ離れており、前記中心線からの
前記距離が前記中心線からある距離離れた点まで増大するにつれて、前記複数の回折格子ラインの各々の
長さは
非線形に増大する、回折格子ラインパターン。
【請求項18】
前記中心線に近い回折格子ラインの長さは、前記中心線から遠い回折格子ラインの長さを下回る、請求項17に記載の回折格子ラインパターン。
【請求項19】
前記回折格子ラインの長さは、ガウス形状の強度プロファイルを有するレーザー照射ビームの強度に逆比例し、前記回折格子ラインの長さは、レーザー照射ビームの露光時間に比例する、請求項18に記載の回折格子ラインパターン。
【請求項20】
前記中心線に近い回折格子ラインの高さは、前記中心線から遠い回折格子ラインの高さを下回る、請求項17に記載の回折格子ラインパターン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、フラットパネルディスプレイの製造プロセスに関する。より具体的には、液晶ディスプレイ用のワイヤグリッド偏光板を製造するためのシステム及び方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[0002] 液晶ディスプレイ(LCD)は、交差した偏光板の間に挟まれた液晶の光変調特性を利用して、画像を表示するディスプレイである。LCDは、限定するものではないが、高精細度テレビ、コンピュータモニタ、及びモバイル装置などを含む広範囲にわたる応用で利用されている。典型的なLCDでは、液晶セルは互いに直交するように配向された2つのリニア偏光板の間で整列される。
【0003】
[0003] 偏光フィルムはリニア偏光板として使用されてきた。偏光フィルムは、偏光板の導体ライン(conductor line)に対して垂直に偏光された光を透過させ、一方、偏光板の導体ラインに対して平行に偏光された光を反射することができる。しかしながら、偏光フィルムは非常に高価である。実際に、偏光フィルムは多くの場合、LCDパネルの総コストの30%以上を占める。そのため、LCDを偏光させるためには、ワイヤグリッド偏光が使用されてきた。ワイヤグリッド偏光は、追加の膜を適用するのではなく、ワイヤグリッドでガラス基板に直接パターン形成することで実現される。ワイヤグリッド偏光板は、グリッドラインに垂直な電気ベクトルを有する光を選択的に伝達させ、一方で、平行な方向の電気ベクトルを有する光を反射するように、ガラス基板上にパターン形成された微細なパターンドワイヤのアレイを使用する。しかしながら、非常に大きなLCDパネルの微細パターン形成は非常に困難である。
【0004】
[0004] そのため、LCD用のワイヤグリッド偏光板を生成するシステム及び方法のための技術が必要になっている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示は概して、大面積回折格子パターンの生成に有用な干渉リソグラフィを用いた、LCD用ワイヤグリッド偏光板を製造するためのシステム及び方法に関する。一実施形態では、方法は、アルミニウム被覆フラットパネルディスプレイ基板の上に底部反射防止被覆層を堆積すること、底部反射防止被覆層の上にフォトレジスト層を堆積すること、及び、フォトレジスト層を位相回折格子マスクからの画像に露光することを含む。位相回折格子マスクを用いた露光は、ハーフDyson光学系を用いて、基板上に位相回折格子マスクからの±1次回折を結像することによって行われる。複数のハーフDyson光学系は一般的に、大面積基板に対して、グリッド偏光板の微細な幾何学的ラインと間隔をパターン形成するように、平行に用いられる。各ハーフDyson光学系は、一次ミラー、正レンズ及びレチクルを含む。
【0006】
[0006] 一実施形態では、フラットパネルディスプレイをパターン形成するためのシステムが開示される。システムはレーザーゲージ、レーザーゲージミラー及び複数のハーフDyson光学系を含む。各ハーフDyson光学系は、一次ミラー、正レンズ、及びレチクルを含む。
【0007】
[0007] 別の実施形態では、方法が開示される。方法は、基板上にアルミニウム層を、次いで底部反射防止被覆層を堆積すること、反射防止被覆層の上にフォトレジストを堆積すること、位相回折格子マスクを用いてフォトレジスト層をパターン形成すること、及び、基板上に位相回折格子マスクからの±1次回折を結像することを含む。位相回折格子マスクによるパターン形成は、レーザー照射ビームを一次ミラーの中心の開口部を通ってレチクルへ向けること、また、レーザー照射ビームをレチクルから一次ミラーのエッジ近傍の対向領域に回折させることを含む。対向領域からのビームは基板で結合されて干渉し、位相回折格子マスクの上に、回折格子の2倍の空間周波数を有する回折格子パターンを生成する。
【0008】
[0008] 更に別の実施形態では、方法が開示される。方法は、アルミニウム被覆基板の上に底部反射防止被覆層を堆積すること、底部反射防止被覆層の上にフォトレジスト層を堆積すること、基板上に2次回折を結像することによって、フォトレジスト層を第1のパターンでパターン形成することを含む。第1のパターンのパターン形成は、レーザー照射ビームを一次ミラーの中心の開口部を経由してレチクルへ向けること、及び、レチクルから屈折コンポーネントを通って一次ミラーのエッジ近傍の2つの対向領域までレーザー照射ビームを回折させることを含む。これに続いて、フォトレジスト現像工程、エッチング工程、並びに、残存フォトレジスト及び反射防止被覆層を除去する工程が行われる。この具体的な事例では、露光及びエッチングの工程は、基板上の回折格子周期の4分の1になるアルミニウム被覆に配置されたトレンチである。基板を結像することは、第1のパターンのトレンチの間の中間に入る第2の同一のパターンによって作り出されるトレンチ内に配置される第2の同一のパターンによって、フォトレジスト層をパターン形成することを含む。第1の露光に関しては、露光及びエッチングのパラメータは、基板上の回折格子周期の約4分の1になるトレンチを作り出すように設定される。現像、エッチング及びストリッピング工程後、その結果として、微細なアルミニウムラインのグリッドは、どちらかの露光工程によって生成された周期の半分になる回折格子周期を有する。
【0009】
[0009] 本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板パターンを印刷するためのリソグラフィシステムである。
【
図2A】
図1のシステムのハーフDyson光学系である。
【
図2B】
図2AのハーフDyson光学系の一部分の拡大図である。
【
図2C】
図2BのハーフDyson光学系の一部分の拡大図である。
【
図3】
図2AのハーフDyson光学系で使用されうる一次ミラーの平面図である。
【
図4】一実施形態による方法を要約するフロー図である。
【
図5A】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5B】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5C】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5D】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5E】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5F】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5G】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5H】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図5I】本書に記載の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図である。
【
図6】別の実施形態による
図1のシステムのハーフDyson光学系である。
【
図7】位相回折格子マスクの長さに沿って回折が限定されたレーザー照射ビームの強度プロファイルを図解するグラフである。
【
図8】位相回折格子マスクの回折格子ラインに沿ったレーザー照射ビームの強度プロファイルを図解するグラフである。
【
図9】回折格子ラインの高さの変動を位相回折格子マスクの中心線からの距離と共に図解するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0021] 理解を容易にするため、可能な場合、図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号が使用されている。更に、一実施形態の要素を、本明細書に記載された他の実施形態で利用するために有利に適合させてもよい。
【0012】
[0022] 本開示は概して、大面積回折格子パターンの生成に有用な干渉リソグラフィを用いた、LCD用ワイヤグリッド偏光板を製造するためのシステム及び方法に関する。一実施形態では、方法は、アルミニウム被覆フラットパネルディスプレイ基板の上に底部反射防止被覆層を堆積すること、底部反射防止被覆層の上にフォトレジスト層を堆積すること、及び、フォトレジスト層を位相回折格子マスクからの画像に露光することを含む。位相回折格子マスクを用いた露光は、ハーフDyson光学系を用いて、基板上に位相回折格子マスクからの±1次回折を結像することによって行われる。複数のハーフDyson光学系は一般的に、大面積基板に対して、グリッド偏光板の微細な幾何学的ラインと間隔をパターン形成するように、平行に用いられる。各ハーフDyson光学系は、一次ミラー、正レンズ及びレチクルを含む。
【0013】
[0023]
図1は、フラットパネルディスプレイ基板の上にワイヤグリッド偏光板パターンを印刷するためのシステム100である。システム100は、複数のハーフDyson光学系102(6個が表示されている)、レーザーゲージ104、レーザーゲージミラー106及び基板ステージ109を含む。複数のハーフDyson光学系102は、大面積基板を支持するように構成されている基板ステージ109の幅全体にわたって均等に分散されうる。例えば、システム100が約2200ミリメートル(mm)の幅と約2500mmの長さを有するGen 8フラットパネルディスプレイをパターン形成するように構成されているときには、ハーフDyson光学系102の各々の間隔は約367mmになりうる。システム100は、Gen 8、Gen 10及び将来の世代のフラットパネルディスプレイ基板をパターン形成するように構成されうる。
【0014】
[0024]
図1に示したように、システム100は、フラットパネルディスプレイ基板の幅全体の6つのコラムに対応する6つのハーフDyson光学系102を有する。使用時には、各コラムは、フラットパネルディスプレイ基板の13.3mm幅のスキャン経路108を描画するように、平行に動作しうる。ハーフDyson光学系102は、
図1に示したように、基板ステージ109の上方に離間されるブリッジ107の上に配置されうる。
【0015】
[0025]
図2Aはシステム100のハーフDyson光学系102である。ハーフDyson光学系102は、一次ミラー210、正レンズ214、メニスカスレンズ212、及びレチクル216を含む。一次ミラー210は弱い球面ミラーであってもよい。正レンズ214は、ガラスレンズであってよく、或いは、溶融石英、フッ化カルシウム(CaF
2)結晶、又は他の適切な材料から作られうる。レチクル216は、約10mmから約20mmまでの間の高さ、例えば、14mmの厚さと、約1mmから約6.35mmまでの間の幅、例えば、2.286mmの幅を有しうる。
図2Bは、
図2AのハーフDyson光学系102の一部分の拡大図である。
図2Cは、
図2BのハーフDyson光学系102の一部分の一部分の拡大図である。
図2Cに示したように、フラットパネルディスプレイ基板218は、レチクル216に隣接して配置されうる。フラットパネルディスプレイ基板218は、第1の空隙217によってレチクル216から分離されている。第1の空隙217は、約0.1mmから約0.5mmまでの間の幅、例えば約0.25mmの幅を有しうる。レチクル216は、第2の空隙215によって正レンズ214から分離されてもよく、或いは光学ゲル又は光学接着剤又は他の任意の適切な材料によって、光学的に連結されてもよい。第2の空隙215は、約0.1mmから約0.5mmの間の幅、例えば約0.25mmの幅を有しうる。第2の空隙215はまた、光学ゲル又は光学接着剤又は他の任意の適切な材料によって充填されうる。例えば、適切な材料は、露光波長のいずれかの側で光学材料に適合する屈折率を有しうる。
【0016】
[0026]
図3は、ハーフDyson光学系102で使用されうる一次ミラー210の平面図である。一次ミラー210は、中央に配置され、マスク上の照射ビーム211が通り抜け、反射面上にコリメートされる開口部330と、上端部、すなわち一次ミラー210の第1の端部に配置されるエリア332を占める±1次回折を生成する位相回折格子マスクと、下端部、すなわち一次ミラー210の反対の端部に配置されるエリア334とを含みうる。対物面の回折格子からの±1次回折211b及び211cは最終的に、光軸の対向面上の対物面直下に結像されうる。比較的小さな強度を有するゼロ次回折211aは、一次ミラー210の開口部330の後方へ通過する。ゼロ次回折211aは結像しない。言い換えるならば、ゼロ次回折211aは除去され、回折格子ラインの2倍の周波数が結像される結果となる。一次ミラー210の頂点と基板との間の距離は、約50mmから約500mmの間、例えば、約85mmになる。光学系が大きくなるとフィールドサイズも大きくなり、その結果、所定のフィールドを網羅するのに必要なコラム数は減少するが、各光学系のコストは増大する。したがって、フィールドサイズは経済的には問題となりうる。
図1及び
図2A~
図2Cに示したシステムのフィールドサイズは、約2mm×約13.3mmで、開口数(NA)は0.8875で、このような光学系では大きな値になっている。一次ミラー210の非常に小さな部分が使用されており、これが設計最適化プロセスの結果を改善するため、大きなNAが可能になっている。
【0017】
[0027]
図4は、一実施形態による方法400を要約するフロー図である。
図5A~
図5Eは、本書に開示の実施形態により、フラットパネルディスプレイ基板218の上にワイヤグリッド偏光板を製造するステージの概略側断面図を示している。
【0018】
[0028]
図4に示した方法400は工程410で、
図5Aに示したように、アルミニウム被覆561を有しうるフラットパネルディスプレイ基板218の上方に底部反射防止被覆(BARC)層560を堆積することによって開始される。BARC層560は、アルミニウム被覆されたフラットパネルディスプレイ基板218の上に堆積され、フラットパネルディスプレイ基板218に接触しうる。BARC層560は、任意の適切なBARC材料を含みうる。BARC層560は、以下で説明するフォトレジスト層562が、エッチングされたラインパターンからはぎ取られるまで、方法400の全体にわたってBARC層560が所定の位置に留まりうるように、355nm光を吸収し、400nm及びこれを超える光に対して透明な材料を含みうる。BARC層560の堆積は、フラットパネルディスプレイ基板218の表面全体にわたって、臨界寸法(CD)の制御をもたらす。
【0019】
[0029] 工程420では、
図5Bに示したように、フォトレジスト層562が、BARC層560の上方に堆積される。フォトレジスト層562は、BARC層560の上に堆積され、BARC層560に接触しうる。フォトレジスト層562は、任意の適切なフォトレジスト材料を含みうる。
【0020】
[0030] 工程430では、位相回折格子マスクからの2次回折、±1次回折は、
図2Bに示したように、基板218上のレチクル216の第1の部分216aから投影される。具体的には、
図2A及び
図2Bに示したように、レーザー照射ビーム211は、一次ミラー210の開口部330を通って投影される。一次ミラー210の開口部330は、ゼロ次回折211aが通るように同じ場所にあり、これによって、いかなるゼロ次回折も基板に届くのを防止する。ゼロ次回折を除去することによって、結像される回折格子ラインの周波数は2倍になる。レーザーは商用の16ワット(W)/355ナノメートル(nm)であってよい。レーザー照射ビーム211は、一次開口部330及び正レンズ214を通過し、レチクル216に鉛直に入射するコリメートされたビームを形成する。
【0021】
[0031] より具体的には、レーザー照射ビーム211は、位相回折格子マスクが配置されるレチクル216の底面から回折し、±1次回折211b及び211cは、
図2に示したように、一次ミラー210のエッジ近傍の向かい合う側の2つのエリア332及び334に進む。一次ミラーで反射し、屈折コンポーネントを2回目に通過した後、±1次回折211b及び211cはコリメートされ、両者が干渉する場所で重ね合わせられ、レチクル216上の回折格子パターンの2倍の空間周波数を有するフリンジパターンを基板218の上に形成する。
【0022】
[0032] フラットパネルディスプレイ基板218が結像された後、フラットパネルディスプレイ基板218のフォトレジスト層562は現像され、回折格子パターンが現れる。方法400は更に、レジストパターンをアルミニウム層に転写し、レジスト層と反射防止層をはぎ取る工程440を含み、フォトレジスト層562とBARC層560をはぎ取った後、基板上に残存しているのは、アルミニウムワイヤ561の微細グリッドだけである。
図5Cにはパターン形成されたフォトレジスト層562が、
図5Dにはパターン転写工程が、また、
図5Eには結果として残るアルミニウムワイヤのグリッドが示されている。
【0023】
[0033] システム100では、例えば、均等に分散配置されたDyson光学系102が採用されるため、フラットパネルディスプレイ基板218は基板ステージ109を用いてハーフDyson光学系102下でスキャンされ、スキャンの終端では、フラットパネルディスプレイ基板218は直交方向にステップインされて反対方向にスキャンされ、フラットパネルディスプレイ基板218全体の上に位相回折格子パターンを結像する。
【0024】
[0034] 一実施例では、Gen 8基板をパターン形成するため、方法400を実行するようにシステム100が使用されるときには、スキャン経路108は約13.3mmの幅を有する。基板全体をパターン形成するためには、約30回のスキャンが実行されなければならない。スキャニングは、複数のハーフDyson光学系102下で基板ステージ109を移動することによって行われる。レーザーゲージ104は、整数個のフリンジまでのステップ距離を正確に設定して維持するための基準として、レーザーゲージミラーを使用する。理想的には、ハーフDysonシステム102の光軸とレーザー照射ビームの軸は、アッベのオフセット誤差を最小限に抑えるため、基板表面上の直線に沿って配置されなければならない。スキャン速度は最大ステージ速度によって制限されうる。最大ステージ速度は、約0.1メートル/秒(m/s)から約3m/sの間で、例えば、約2m/sになりうる。各スキャンは、約1.66秒を要する。したがって、Gen 8基板全体をスキャンし、パターン形成するには、約49.8秒を要する。
【0025】
[0035] 回折格子周期比率までエッチングされるライン幅は、露光量とエッチングシステムパラメータを変えることによって、約1:4の比率まで低減することができる。これは、残存する過大なアルミニウムラインに、第2の露光と回折格子周期を半分にするエッチング工程を交互に行う余地を残す。第1のパターンが露光、現像、及びエッチングされた後、第2の露光でフラットパネルディスプレイ基板218上に第2の同一のパターンを交互に配置するため、工程410から工程440が反復されうる。
【0026】
[0036] 第1の露光で生成された各アルミニウムワイヤ561の中央でエッチング工程が行われるように、第2の露光は結像位置の微調整と組み合されうる。これは
図5F~
図5Iに示されている。例えば、方法400が一回完了すると、フラットパネルディスプレイ基板218は、150nmのラインを200nmピッチで有しうる。第2の露光のための基板位置は、第1の位置から100nmだけオフセットされる。同一の位相回折格子マスクを用いて、工程430及び工程440が反復された後、フラットパネルディスプレイ基板218は、100nmの周期を有する等しいラインと離間パターンを有しうる。
【0027】
[0037] アルミニウム層に作られるトレンチの幅は、レジストパラメータ、露光量及びエッチングパラメータに依存する。例えば、ポジとして作用するレジストが使用される場合には、より狭いトレンチを実現するため、少ない露光量と侵襲力の弱いエッチングが使用されうる。
【0028】
[0038]
図6は、別の実施形態により、システム100で使用されうるハーフDyson光学系602である。ハーフDyson光学系602は、一次ミラー610、正レンズ614、及びレチクル616を含む。一次ミラー610は弱い球面ミラーであってもよい。正レンズ614は、ガラスレンズであってもよい。レチクル616は、約10mmから約20mmまでの間の高さ、例えば、14mmの高さと、約1mmから約6.35mmまでの間の厚み、例えば、2.286mmの厚みを有しうる。レーザー照射ビーム611は、正レンズ614を通過し、レチクル616に鉛直に入射するコリメートされたビームを形成する。
【0029】
[0039] 上述の実施形態は偏光板を製造するプロセスの利用を想定しているが、本開示のプロセスはまた、計測学及び高出力レーザービームの圧縮伸長を含む、多種多様な応用が見出されている回折格子の製造にも利用されうる。更に、本書に記載の方法及びシステムは、自己整合型インプリントリソグラフィ(SAIL)と併せて使用されうる。SAILプロセスは高いスループットと高い歩留まり率を有し、コスト効率がより高い。SAILは、材料の堆積、マスクによるインプリンティング、及びエッチングからなる3つの工程処理フローを含む。具体的には、この方法とシステムは、SAILマスクの位相回折格子を形成するために使用されうる。すなわち、SAILは本書に記載の方法の回折格子を形成するために使用されうる。
【0030】
[0040] 本開示のもう1つの目的は、フィールド全体に一様な照射を提供することである。レーザー照射ビーム211はガウス分布形状を有する。フィールド全体に一様な露光量を提供するために、当該の点での照射ビームの強度に応じて、ラインの長さが変化する回折格子を照射するように、レーザー照射ビーム211のガウス分布形状が使用されうる。
【0031】
[0041]
図7は、回折格子の長さに沿ったレーザー照射ビーム211のガウス分布プロファイルを示すグラフである。曲線の一部分770は、隣接ビームと重ならないレーザー照射ビーム211の一部分を示している。端部780a及び780bは、隣接ビームと重なる曲線の一部分を示している。端部780a及び780bの露光量は、オーバーラップ領域で重なり合った露光量が一様な値になるように、100%から0%まで直線的に漸減する。端部780a及び780bが漸減されているため、重なり誤差は小さく、急激な露光差を生ずることがなく、継ぎ目がないように見える露光量の重ね合わせが可能になる。
【0032】
[0042]
図8は、回折格子ラインに沿ったレーザー照射ビーム211のプロファイルを示すグラフである。より具体的には、
図8は、当該プロファイルで最も長い回折格子ラインでのレーザー照射ビーム211のプロファイルを示している。
【0033】
[0043]
図9は、中心線からの距離に対する回折格子ラインの高さ(又は長さ)の変動を示すグラフである。露光量を制御するため、レーザー照射ビーム211は中心で最も強くなるため、中心に最も近い回折格子ラインはより短いか、高さが低くなり、例えば、約0.03mmになる。回折格子に沿って、フィールドのエッジ方向に移動するにつれて、回折格子ラインの長さは次第に長くなるか、高さが増し、例えば、約0.1mmの長さになる。
図7~
図8に示したように、レーザー照射ビーム211の積分強度に反比例するように回折格子ラインの長さを変えると、その結果、フィールド全体にわたって同一の露光量がもたらされる。露光量とは、露光される基板上の点での時間的な積分強度である。露光時間は回折格子ラインの長さ、又は高さに比例する。
【0034】
[0044]
図7~
図9に示したように、フィールド全体にわたって回折格子ラインの長さを変えることによって、基板上の露光量は制御されうる。より具体的には、レーザー照射ビーム211が全く一様でないガウス分布形状を有するという事実にも関わらず、フィールド全体にわたる回折格子ラインの長さを変えることによって、回折格子の一端から他端まで一様な露光量がもたらされる。
【0035】
[0045] 以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。