(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-24
(45)【発行日】2023-04-03
(54)【発明の名称】黄色発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230327BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/06
C09K11/06 650
(21)【出願番号】P 2021500341
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2019056774
(87)【国際公開番号】W WO2019179981
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】520365078
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ タイワン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BASF Taiwan Ltd.
【住所又は居所原語表記】Sung Chiang Road, Taipei 104, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンナー シュテファニー マンゴルト
(72)【発明者】
【氏名】ソリン イヴァノヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ケーネマン
(72)【発明者】
【氏名】シアン フー ホン
(72)【発明者】
【氏名】チア ウェイ ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】イェン テ リー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チャン チョウ
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-088248(JP,A)
【文献】特表2014-532288(JP,A)
【文献】国際公開第2017/121833(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/054693(WO,A1)
【文献】特開2013-080685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0345195(US,A1)
【文献】特開平02-223188(JP,A)
【文献】特開2004-006064(JP,A)
【文献】国際公開第2012/168395(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
C09K 11/00 - 11/89
C07D 471/00 - 471/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄色発光素子であって、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する少なくとも1つの青色発光ダイオード、2700K~30000Kの相関色温度を有する少なくとも1つの白色発光ダイオード、またはそれらの組合せから選択される光源と、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体と
を含み、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化1】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、前記示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は前記式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合されており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、前記光源により放出された光の少なくとも一部を吸収し、520~590nmの範囲の波長を含む光を放出し、かつ前記色変換体中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、前記ポリマーの総重量を基準にした前記ポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、前記色変換体の厚さ(μm)である]を満たし、
ここで、前記黄色発光素子の全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出され、かつ前記黄色発光素子は少なくとも80ルーメン/ワットの発光効率を有することを特徴とする、黄色発光素子。
【請求項2】
前記黄色発光素子の全放出放射パワーの高くても0.8%が520nmよりも短い波長範囲で放出される、請求項1記載の黄色発光素子。
【請求項3】
少なくとも25%のウォールプラグ効率を有する、請求項1または2記載の黄色発光素子。
【請求項4】
前記光源が2700K~30000Kの相関色温度を有する白色発光ダイオードであり、前記黄色光の発光効率が前記白色発光ダイオードの発光効率の70%超である、請求項1から3までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項5】
前記黄色発光素子により放出された光スペクトルが、次の式およびパラメーター
((x-h)cos(A)+(y-k)sin(A))
2/(a
2)+((x-h)sin(A)-(y-k)cos(A))
2/(b
2)=1
[式中、h,kおよびa,bは、それぞれxおよびy方向の偏移および半軸であり、Aは、x軸から測定した角度であり、h=0.52、k=0.46、a=0.25、b=0.03、A=-42である]による楕円を有するCIE 1931標準表色系に従った色度座標x,yを有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項6】
前記式Iの少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素が、式I-5もしくはI-7
【化2】
の化合物、または式I-5とI-7の化合物の混合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項7】
前記色変換体が、以下:
a)式(II)
【化3】
[式中、
R
21、R
22は、それぞれ独立して、C
1~C
30-アルキル、C
3~C
8-シクロアルキル、C
6~C
14-アリール、ヘタリールまたはC
6~C
14-アリール-C
1~C
10-アルキレンであって、直前の3つの基における(ヘテロ)芳香族環は、非置換であるか、またはC
1~C
10-アルキルで一置換もしくは多置換されている]のペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
(b)式(III)
【化4】
[式中、
qは、1~4であり、
R
30は、非置換であるか、またはハロゲン、C
1~C
10-アルキルもしくはC
6~C
10-アリールで一置換もしくは多置換されているアリールオキシであり、ここで、R
30基は、
*で示される位置の1つまたは複数にあり、
R
31、R
32は、それぞれ独立して、C
1~C
30-アルキル、C
3~C
8-シクロアルキル、C
6~C
14-アリール、ヘタリール、またはC
6~C
14-アリール-C
1~C
10-アルキレンであり、ここで、直前の3つの基における(ヘテロ)芳香族環は、非置換であるか、またはC
1~C
10-アルキルで一置換もしくは多置換されている]のアリールオキシ置換ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
およびその混合物;
c)式(IV)
【化5】
[式中、
R
43またはR
44のうちの一方の基が、互いに独立してシアノであり、他方の基R
43またはR
44が、シアノ、フェニル、4-シアノフェニル、およびC
1~C
10-アルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルからなる群から選択され、
R
47、R
48、R
49およびR
410は、互いに独立して、水素、シアノ、フェニル、4-シアノフェニル、またはC
1~C
10-アルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルである]のコアシアネート化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物;
およびその混合物;
ならびに
(d)式(V)
【化6】
[式中、
R
51およびR
52は、互いに独立して、水素、それぞれの場合において非置換もしくは置換されたC
1~C
30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C
1~C
30-アルコキシ、C
1~C
30-アルキルチオ、C
3~C
20-シクロアルキル、C
3~C
20-シクロアルキルオキシ、C
6~C
24-アリールおよびC
6~C
24-アリールオキシからなる群から選択され、
R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
510、R
511、R
512、R
513、R
514、R
515、R
516、R
517およびR
518は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、-NE
51E
52、-NR
Ar51COR
A52、-CONR
Ar51R
Ar52、-SO
2NR
A51R
A52、-COOR
Ar51、-SO
3R
Ar52、それぞれの場合において非置換もしくは置換されたC
1~C
30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C
1~C
30-アルコキシ、C
1~C
30-アルキルチオ、C
3~C
20-シクロアルキル、C
3~C
20-シクロアルコキシ、C
6~C
24-アリール、C
6~C
24-アリールオキシおよびC
6~C
24-アリールチオからなる群から選択され、
ここで、R
53とR
54、R
54とR
55、R
55とR
56、R
56とR
57、R
57とR
58、R
58とR
59、R
59とR
510、R
511とR
512、R
512とR
513、R
513とR
514、R
55とR
515、R
515とR
516、R
516とR
517および/またはR
517とR
518は、それらが結合しているビフェニ
リル部分の炭素原子と一緒になって、さらに縮合した芳香族もしくは非芳香族の環系を形成してもよく、ここで、縮合した環系は、非置換もしくは置換されており、
ここで、
E
51およびE
52は、互いに独立して、水素、非置換もしくは置換されたC
1~C
18-アルキル、非置換もしくは置換されたC
2~C
18-アルケニル、非置換もしくは置換されたC
2~C
18-アルキニル、非置換もしくは置換されたC
3~C
20-シクロアルキル、または非置換もしくは置換されたC
6~C
10-アリールであり、
R
Ar51およびR
Ar52は、それぞれ互いに独立して、水素、非置換もしくは置換されたC
1~C
18-アルキル、非置換もしくは置換されたC
3~C
20-シクロアルキル、非置換もしくは置換されたヘテロシクリル、非置換もしくは置換されたC
6~C
20-アリール、または非置換もしくは置換されたヘテロアリールである]の剛直な2,2’-ビフェノキシ架橋を有するペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
およびその混合物;
からなる群から選択される少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)およびその混合物を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項8】
前記少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)が、式IIの化合物、式IIIの化合物およびそれらの混合物から選択される、請求項7記載の黄色発光素子。
【請求項9】
前記式IIの化合物における前記基R
21およびR
22が、それぞれ独立して、C
1~C
18-アルキル、フェニルまたはナフチルから選択され、直前の2つの基の芳香族環は、非置換であるか、または1、2もしくは3個のC
1~C
4-アルキル基で置換されている、請求項7または8記載の黄色発光素子。
【請求項10】
前記式IIIの化合物において、
R
30は、非置換のフェノキシ、またはフッ素、塩素、C
1~C
10-アルキルもしくはフェニルから選択される1もしくは2個の同一もしくは異なる置換基で置換されているフェノキシであり、
R
31、R
32は、それぞれ独立して、C
1~C
10-アルキル、2,6-ジ(C
1~C
10-アルキル)フェニルまたは2,4-ジ(C
1~C
10-アルキル)フェニルから選択され、
qは、2、3もしくは4である、請求項7または8記載の黄色発光素子。
【請求項11】
前記色変換体が、前記少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)を、式(B)
5[%×μm]≦w2×d≦80[%×μm] (B)
[式中、w2は、すべての更なる有機蛍光色素(A)の合算重量と前記ポリマーの総重量を基準にした重量パーセントであり、dは、前記色変換体の厚さ(μm)である]を満たす量で含む、請求項7から10までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項12】
前記ポリマーマトリクスが、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボン酸ポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物から選択されるポリマーを含
む、請求項1から11までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項13】
前記ポリマーは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンフラノエートからなる、請求項12に記載の黄色発光素子。
【請求項14】
前記色変換体が、少なくとも1種の光散乱
剤を含む、請求項1から
13までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項15】
前記光散乱剤が、ポリ(メチルメタクリレート)系の散乱剤、シリコーン系の散乱剤またはTiO
2
である、請求項14に記載の黄色発光素子。
【請求項16】
前記色変換体が、量子ドット、ガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物または酸窒化物から選択される少なくとも1種の無機発光材料を含む、請求項1から
15までのいずれか1項記載の黄色発光素子。
【請求項17】
520nm未満の波長の光に感受性がある材料を扱うための作業空間を照明するための、請求項1から
16までのいずれか1項において定義される黄色発光素子の使用。
【請求項18】
全放射パワーの高くても1%が520nm未満のスペクトル範囲内にある黄色光を提供する方法であって、前記方法が、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する少なくとも1つの青色発光ダイオード、2700K~30000Kの相関色温度を有する少なくとも1つの白色発光ダイオード、またはそれらの組合せから選択される光源を提供するステップと、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体を提供するステップと、
(iii)前記光源により放出された光の少なくとも一部を受光するように前記色変換体を配置するステップと
を含み、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化7】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、前記式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、前記示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は前記式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合されており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、前記光源により放出された光の少なくとも一部を吸収し、520~590nmの範囲の波長を含む光を放出することができ、かつ前記色変換体中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、前記ポリマーの総重量を基準にした前記ポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む前記少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、前記色変換体の厚さ(μm)である]を満たす、方法。
【請求項19】
前記色変換体が、請求項6から
16までのいずれか1項において定義されたものである、請求項
18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と色変換体とを含む黄色発光素子であって、黄色発光素子の全放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放射される黄色発光素子に関する。本発明はまた、520nm未満の波長の光に感受性がある材料を扱う作業空間での前記黄色発光素子の使用と、この黄色発光素子を使用することにより全放射パワーの高くても1%が520nmよりも短いスペクトル域内にある黄色光を提供する方法とに関する。
【0002】
発明の背景
フォトレジストは、集積回路のフォトリソグラフィー構造化に使用される。通例、市販のフォトレジストは、近紫外(紫外)から可視スペクトルの約460nmまでにわたる波長に感受性がある。この感受性は突然に終わりとなるわけではないが、520nm未満の放射を放出しないかまたはほとんど放出しない放射源が、フォトリソグラフィールームの照光に使用するために安全であると考えられている。フォトリソグラフィー用途のためにルームを照光する場合、通常、蛍光ランプまたは発光ダイオード(LED)が使用され、これらは、フォトレジストの取り扱いおよび処理中にフォトレジストの望ましくない重合を避けるために520nm未満のほぼすべての波長を抑制するフィルターで覆われている。これらの照明素子は、青色光をほとんど含まない黄色光を発生させる。フィルターを備えた先行技術の照明素子は、フィルターが520nm未満のスペクトル成分を熱に変換するので、高い効率を達成することができない。したがって、より効率の良い黄色発光素子が強く求められている。
【0003】
LEDのスペクトル出力は、LEDから放出された光を吸収し、それをより長い波長の光に変換することができる有機蛍光色素などの蛍光体材料を含む色変換体を用いて変更することができる。国際公開第2012/168395号は、白色光を生成するために青色LEDと組み合わせて使用される色変換体について記載している。色変換体は、少なくとも1種のポリマーと少なくとも1種の有機黄色蛍光着色剤とを含み、有機蛍光着色剤は、式(A)
【化1】
[式中、構造単位は、同一もしくは異なる置換基で一置換または多置換されていてもよく、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよい]の少なくとも1つの構造単位を含む。この参考文献はまた、式(A)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の蛍光体を赤色有機蛍光体と一緒に含む色変換体について記載している。
【0004】
国際公開第2015/019270号は、コアシアネート化ナフタレンベンゾイミダゾール化合物、および黄色蛍光色素としての当該化合物の使用、特に白色光を発生させるための色変換体における当該化合物の使用について記載している。
【0005】
国際公開第2017/121833号は、剛直な2,2’-ビフェノキシ架橋を有するペリレンビスイミド、および色変換体における当該ペリレンビスイミドの使用について記載している。本参考文献はまた、剛直な2,2’-ビフェノキシ架橋を有するペリレンビスイミドと黄色有機蛍光色素とを含む色変換体、および白色光を発生させるための照明素子におけるこれらの色変換体の使用について記載している。
【0006】
これらの参考文献のいずれにも、520nm未満の波長範囲の光をほとんど放出しない照明素子に使用するための有機蛍光色素を含む色変換体の使用について記載されていない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、520nm未満の波長の光に感受性がある材料を扱うルームでの使用、特にフォトリソグラフィー用途でのルーム照明に適した照明素子の色変換体に使用するための有機蛍光色素を提供することである。
【0008】
好ましくは、有機蛍光色素は、以下の特徴のいずれか1つ以上を有しているべきである:
- 青色LEDから放出された光で励起可能;
- 520nm超の幅広い発光スペクトル;
- 高いモル消光係数;
- 高い量子収率;
- 青色光および/または白色光照射条件下での高い光安定性;
- 青色光および/または白色光照射条件下での高い熱安定性;
- 水分および酸素に対する高い化学的安定性;
- 良好な押出し加工性;
- 良好な溶液加工性。
【0009】
驚くべきことに、これらの目的は、(i)青色発光ダイオード(LED)または白色発光ダイオード(LED)またはそれらの組合せから選択される光源と、(ii)本明細書で定義される式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の蛍光色素を含む色変換体とを含む発光素子によって達成され得ることがわかった。
【0010】
発明の概要
したがって、本発明の第1の態様は、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する少なくとも1つの青色発光ダイオード、2700K~30000Kの相関色温度を有する少なくとも1つの白色発光ダイオード、またはそれらの組合せから選択される光源と、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体と
を含む黄色発光素子であって、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化2】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合されており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素は、光源により放出された光の少なくとも一部を吸収し、520~590nmの範囲の波長を含む光を放出し、かつ色変換体中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、ポリマーの総重量を基準にしたポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、色変換体の厚さ(μm)である]を満たし、
ここで、黄色発光素子の全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出され、かつ黄色発光素子は少なくとも80ルーメン/ワットの発光効率を有することを特徴とする、黄色発光素子に関する。
【0011】
本発明による黄色発光素子は、好ましくは、フォトリソグラフィー用途のルーム照明に使用される。
【0012】
本発明の特別な態様は、
(i)光源として、400nm~480nmの発光中心波長を有する青色発光ダイオードまたは3000K~30000Kの相関色温度を有する白色発光ダイオードから選択される少なくとも1つの発光ダイオードと、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体と
を含む黄色発光素子であって、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化3】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合されており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、黄色発光素子の全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出される、黄色発光素子に関する。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、520nm未満の波長の光に感受性がある材料を扱うための作業空間を照光するための、本明細書で定義される前記黄色発光素子の使用が提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、全放射パワーの高くても1%が520nm未満のスペクトル範囲内にある黄色光を提供する方法が提供され、この方法は、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する少なくとも1つの青色発光ダイオード、2700K~30000Kの相関色温度を有する少なくとも1つの白色発光ダイオード、またはそれらの組合せから選択される光源を提供するステップと、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体を提供するステップと、
(iii)光源により放出された光の少なくとも一部を受光するように色変換体を配置するステップと
を含み、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化4】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合されており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素は、光源により放出された光の少なくとも一部を吸収し、520~590nmの範囲の波長を含む光を放出することができ、かつ色変換体中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、ポリマーの総重量を基準にしたポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、色変換体の厚さ(μm)である]を満たす、方法に関する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書および特許請求の範囲に見出すことができる。種々の実施形態の組合せが本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】発光強度と、本発明による発光素子(LD1)の波長およびフィルターを備えた先行技術の発光素子(LD2)の波長との関係を示す図である。
【0017】
本発明の詳細な説明
本明細書に記載される発明は、いくつかの利点を有する:
- 本明細書で定義される黄色発光素子は、有利には、特に半導体製造クリーンルームにおいて、520nm未満の放射に感受性がある材料のためのルーム照光として使用することができる。
- 本明細書で定義される黄色発光素子は、特に、リソグラフィ、プリント回路基板およびマイクロエレクトロニクスの分野において、クリーンルーム(イエロールーム)照光のために使用することができる。
- 本明細書で定義される黄色発光素子は、先行技術の黄色発光素子よりも高い発光効率を有し、ひいてはより低い電気消費量を有する。
- 本明細書で定義される黄色発光素子は、先行技術の素子よりも高いウォールプラグ効率を有する。
【0018】
本発明による黄色発光素子の利点は、式Iの少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素を含む色変換体から生じる。前記蛍光色素は、フィルターが行うように520nm未満の波長を吸収し、それらを熱に変換するのではなく、青色LEDおよび白色LEDにより放出された光をそれぞれ吸収し、より長い波長の光に変換することができる。
【0019】
本発明の文脈では、「蛍光体」という用語は、単一の蛍光体であってもよいし、蛍光体の混合物であってもよい。「蛍光体」という用語は、一次放射によって励起されたときに異なる波長の二次放射を放出する波長変換材料に関する。
【0020】
本発明の文脈では、「蛍光着色剤」という用語は、特定の波長の光を吸収し、それを別の波長の光に変換することができるすべての材料を含む。有機蛍光着色剤は、有機蛍光顔料または有機蛍光色素であってもよい。
【0021】
本発明の文脈では、「有機蛍光色素」という用語は、第1の波長で光を吸収し、吸収した波長よりも長い第2の波長で光を放出する有機色素を指す。
【0022】
本発明の文脈では、「無機発光材料」という用語は、第1の波長で光を吸収し、吸収した光の波長よりも長い第2の波長で光を放出する材料を指す。
【0023】
本発明の文脈では、「LED」または「発光ダイオード」という用語は、素子を介して電流の流れを生成するためにバイアスをかけたときに発光する活性領域を含む無機半導体層のスタック(「チップ」)と、スタックに取り付けられたコンタクトとを有する素子を指す。
【0024】
本発明の文脈では、「発光素子」という用語は、LEDと、ポリマーマトリクス中の少なくとも1種の有機蛍光色素を含む色変換体とを含む素子であって、色変換体は、LEDからの励起光を受光し、励起光よりも長い波長を有する光を放出するように適合されている素子を指す。
【0025】
本発明の文脈では、「ポリマーマトリクス」という用語は、有機蛍光色素が分散または分子状に溶解しているポリマーを指す。
【0026】
本発明の文脈では、「色変換体」という用語は、単に「変換体」とも呼ばれ、特定の波長の光を吸収し、それを第2の(より長い)波長の光に変換することができるすべての物理的素子を意味すると理解される。色変換体は、例えば、照明素子の一部であり、特に青色LEDを光源として利用する照明素子の一部である。
【0027】
色変換体とは異なり、光フィルターは、特定の波長範囲の光を選択的に透過させ、残りの光を吸収する。したがって、フィルターは、より短い波長を有する光をより長い波長を有する光に変換することはできない。
【0028】
量子ドットは、量子力学的特性を示すほど小さい半導体材料でできたナノ結晶のことである。量子ドットは、著しく狭い発光スペクトルを示しており、すなわち、非常に小さいFWHM(半値全幅)を有する。量子ドットの色出力は、結晶の大きさを制御することで調整され得る。量子ドットのサイズが小さいほど、量子ドットはより短い波長の光を放出する。
【0029】
本発明の文脈では、「青色LED」とは、400~480nm、好ましくは420~480nm、より好ましくは440~475nm、最も好ましくは440~460nmの範囲の発光中心波長を有する電磁スペクトルの青色範囲の光を放出するLEDを意味すると理解される。適切な半導体材料は、炭化ケイ素、セレン化亜鉛、ならびに窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)および窒化インジウムガリウム(InGaN)である。LEDは、典型的には、そのピーク波長を中心に集中した狭い波長分布を有する。標準的なInGaNベースの青色LEDは、サファイア基板上に作製され、ピーク発光波長は、通常、445~455nmを中心にしている。
【0030】
本発明の文脈では、「青色発光」または「青色光」という用語は、約400~480nmの範囲の波長を有する光を指す。
【0031】
本発明の文脈では、「波長を有する」または「波長を含む」という用語は、発光が所定の範囲内の波長を有することを示す。
【0032】
本発明の文脈では、「白色発光素子」または「白色LED」という用語は、白色光を生成することができる発光素子を指す。「白色光」とは、人間の観察者によって白色として知覚される光を指す。白色光の特定の実施形態は、約85よりも大きい演色評価数(CRI)を有する光を含む。
【0033】
2700K~30000Kと3000K~30000Kの相関色温度をそれぞれ有する白色発光ダイオードは、2700K~30000Kと3000K~30000Kの相関色温度を有する蛍光体変換型白色LEDを意味すると理解される。白色発光ダイオードは、典型的には、蛍光体変換型白色LEDである。蛍光体変換型白色LEDは、LEDより放出された放射の一部を吸収し、吸収した波長よりも長い異なる波長(色)の光を再放出する1種または複数のフォトルミネッセンス材料(蛍光体材料)を含む。典型的には、LEDは青色光を発生させ、蛍光体は青色光の一部を吸収し、黄色光または黄色光および/もしくは赤色光の組合せを再放出する。LEDにより放出された青色光のうち、蛍光体により吸収されない部分は、蛍光体により放出された光と組み合わされて、人間の観察者には白色に見える光を提供する。蛍光体材料は、無機蛍光体材料および/または有機蛍光体材料(有機蛍光体着色剤もしくは色素とも呼ばれる)であってもよい。現在、蛍光体変換型白色LEDを実現するための3つの概念がある。1つの概念は、青色発光LEDチップを蛍光体材料で覆ったりコーティングしたりすることである。蛍光体はLEDチップの表面に空間を介さずに直接塗布されるので、この構成は「蛍光体オンチップ」構成とも呼ばれる。蛍光体オンチップ構成では、蛍光体の熱的安定性および光化学的安定性が非常に高いことが要求される。したがって、最も一般的に使用される蛍光体は、無機物、例えば希土類イオンがドープされた無機酸化物である。最も広く使用されており、市販されている白色LEDは、セリウムドープイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Ce:YAG)蛍光体でコートされたInGaNチップからの青色光の発光に基づいている(黄色スペクトル範囲(約560nm)での発光)。Ce:YAGの代わりにBOSE蛍光体(BaSr)2SiO2:Eu2+などの他の黄色蛍光体を用いてもよいことは自明である。赤色発光の不足を解消するために、黄色無機蛍光体と橙~赤色無機蛍光体(波長が600nmより長い)、例えば窒化物蛍光体とのブレンドを用いてもよい。別の概念によれば、蛍光体材料は、青色LEDチップから一定の距離にあるポリマーマトリクス中に溶解または分散されている。この構造は、「リモート蛍光体」と呼ばれる。リモート蛍光体材料は、青色LED光源から十分な距離を置いて取り付けられているので、光源からの熱は実質的にリモート蛍光体材料を通過しない。したがって、リモート蛍光体材料は、有機物であってもよい。
【0034】
更なる概念によれば、白色蛍光体変換型LEDは、青色発光LEDチップと、無機黄色蛍光体、例えばセリウムドープイットリウムアルミニウムガーネットとを、少なくとも1種の有機蛍光化合物を含む色変換体と組み合わせたものからなる蛍光体オンチップLEDであって、蛍光体オンチップLEDと色変換体とが空間的に距離を置く(リモート蛍光体配置)蛍光体オンチップLEDである。
【0035】
本発明の文脈では、「黄色発光」または「黄色光」という用語は、520nmに等しいかまたはそれよりも長い波長を有する光、すなわち、全スペクトルパワー分布の高くても1%が520nm未満である光を指す。
【0036】
本発明の文脈では、「黄色発光素子」という用語は、短波長の青色光をほとんど発生させない発光素子、すなわち、全分光パワー分布の高くても1%が520nm以下である光を指す。
【0037】
本発明の文脈では、「放射パワー」という用語は、光源から全光学波長で放射される単位時間当たりのエネルギー(dQ/dt)として定義される。放射パワーの単位は、W(ワット)である。放射パワーは、放射束と呼ばれることもある。分光光度計により積分球を用いて測定される。
【0038】
本発明の文脈では、「スペクトルパワー分布」(SPD)という用語は、特定の光源により生成された光の各波長のパワー(強度)、すなわちスペクトルパワー対波長の分布を記述する。
【0039】
本発明の文脈では、所与のスペクトル分布F(λ)の「中心波長」という用語は、次の平均値として定義される:λc=∫λ・F(λ)dλ/∫F(λ)dλ。
【0040】
本発明の文脈では、「蛍光量子収率(QY)」という用語は、吸収された光子の数に対する放出された光子の数の比として定義される。
【0041】
相関色温度(CCT)はケルビン単位で測定され、これは典型的には、電気光源から放出された白色光の色の見え方を表す。CCTは、CIE国際規格に準拠して決められる。CCTが高い白色光は、CCTが低い白色光に比べて、短波長領域(青色)の強度が相対的に高く、長波長領域(赤色)の強度が相対的に低い。
【0042】
CIE 1931標準表色系によれば、色は特定の色曲線にしたがって人間の目で知覚される。標準視感度曲線Vλは、人間の目の感度の波長依存性を説明するものである。
【0043】
電力から光電力への変換効率は、ウォールプラグ効率(WPE)と呼ばれる。これは、入力された電力に対する総光出力電力の比として定義される。
【0044】
光束(LF)は、光の知覚されるパワーの尺度である。通常、光束は積分球を使用して測定される。可視バンド外の光は寄与しない。
【0045】
発光効率は、1ワット当たりのルーメンで測定され、光源がどの程度効率的に光を生成するかを示す尺度である。これは、光束を電力で割ったものである。
【0046】
本発明の文脈では、可視スペクトル域を含む電磁放射も光として指定される。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合に、単数形の「a」、「an」および「the」は、別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0048】
本発明の文脈における「実質的に」という語は、「完全に」、「全体として」および「すべて」という単語を包含する。この単語は、90%以上、例えば95%以上、特に99%または100%の割合を包含する。
【0049】
この箇所と本明細書全体を通して、化合物または分子部分に関連して使用される接頭辞Cn~Cmは、それぞれ、分子部分または化合物が有することができる可能な炭素原子の数の範囲を示す。
【0050】
「ハロゲン」という用語は、それぞれの場合において、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素を示す。
【0051】
本明細書で使用される「脂肪族基」という用語は、非環式の飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を指す。通常、脂肪族基は、1~100個の炭素原子を有する。脂肪族基の例として、アルキル、アルケニルおよびアルキニルがある。
【0052】
本明細書で使用される「脂環式基」という用語は、通常3~20個の環炭素原子を有する環式の非芳香族飽和もしくは不飽和の炭化水素基を指す。例として、シクロアルカン、シクロアルケンおよびシクロアルキンがある。脂環式基はまた、N、O、SおよびSO2から選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基を含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1~30個の炭素原子(「C1~C30-アルキル」)、1~18個の炭素原子(「C1~C18-アルキル」)、1~12個の炭素原子(「C1~C12-アルキル」)、1~8個の炭素原子(「C1~C8-アルキル」)、1~6個の炭素原子(「C1~C6-アルキル」)、1~4個の炭素原子(「C1~C4-アルキル」)または1~2個の炭素原子(「C1~C2-アルキル」)を有する飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を指す。C1~C2-アルキルは、メチルまたはエチルである。C1~C4-アルキルはさらに、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)または1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)である。C1~C6-アルキルはまた、追加的に、例えば、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピルまたは1-エチル-2-メチルプロピルである。C1~C6-アルキルはまた、追加的に、例えば、n-ペンチルまたはn-ヘキシルである。
【0054】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、(上記で規定される)1~6個の炭素原子(「C1~C6-ハロアルキル」)を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基であって、これらの基の水素原子の一部または全部が、上記で規定されるハロゲン原子で置き換えられているアルキル基を指す。例として、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、1-フルオロプロピル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、1,1-ジフルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、1,2-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1,1,1-トリフルオロ-2-イル、3-クロロプロピル等が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、通常3~8個の炭素原子(「C3~C8-シクロアルキル」)または3~6個の炭素原子(「C3~C6-シクロアルキル」)を有する単環式もしくは二環式の飽和炭化水素基を指す。3~6個の炭素原子を有する単環式基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。3~8個の炭素原子を有する単環式基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが含まれる。7または8個の炭素原子を有する二環式基の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]オクチルが含まれる。好ましくは、シクロアルキルという用語は、3~6個の炭素原子を有する単環式の飽和炭化水素基を表す。
【0056】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、2~30個の炭素原子(「C2~C30-アルケニル」)、例えば、2~20個の炭素原子(「C2~C20-アルケニル」)または3~10個の炭素原子(「C3~C10-アルケニル」)と、任意の位置に1つの二重結合とを有する直鎖もしくは分岐鎖のヒドロカルビル基、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニルを指す。
【0057】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、2~30個の炭素原子(「C2~C30-アルキニル」)、例えば、2~20個の炭素原子(「C2~C20-アルキニル」)または3~10個の炭素原子(「C3~C10-アルキニル」)と、任意の位置に1つの三重結合とを有する直鎖もしくは分岐鎖のヒドロカルビル基、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニルを指す。
【0058】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、3、4、5、6、7もしくは8個の環員(C3~C8-ヘテロシクリル)を有する単環式または二環式の飽和または部分的に不飽和の環系であって、環員としての炭素原子の他に、環員としてO、N、S、SOおよびS(O)2から選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を含む環系を指す。
【0059】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、6~14個、より好ましくは6~10個の炭素原子を有し、いかなる環状ヘテロ原子も含まない、単核、二核または三核(単環式、二環式または三環式)の芳香族ヒドロカルビル基を指す。アリールの例として、特にフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、特にフェニルまたはナフチルが挙げられる。
【0060】
本明細書で使用される「ヘテロアリール(ヘタリール)」という用語は、5~14個の環員を有し、そのうちのいくつかは前述のアリールに由来していてもよく、アリール基本骨格中の少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている、単核、二核または三核(単環式、二環式または三環式)の芳香族環系を指す。好ましいヘテロ原子は、N、OおよびSである。より好ましくは、ヘテロアリール基は、5~13個の環原子を有する。より好ましくは、ヘテロアリール基は、炭素原子の他に、O、SおよびNから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を環要素として有する。
【0061】
本明細書で使用される「アルキレン」(またはアルカンジイル)という用語は、それぞれの場合において、上記で定義されるアルキル基であって、炭素骨格の任意の位置にある1個の水素原子が1つの更なる結合部位で置き換えられており、したがって2価の部分を形成するアルキル基を示す。
【0062】
本明細書で使用される「C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレン」(アラルキルとも呼ばれる)という用語は、本明細書で定義されるように、少なくとも1個の非置換または置換されたアリール基を有するC6~C14-アリール置換アルキル基を指す。アラルキル基のアルキル基は、O、SおよびNRaから選択される1個または複数の非隣接基で中断されていてもよく、ここで、Raは上記で定義されるとおりである。C6~C14-アリール-C1~C10-アルキレンは、好ましくはフェニル-C1~C10-アルキレン、より好ましくはフェニル-C1~C4-アルキレンであり、例えば、ベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェンプロパ-1-イル、2-フェンプロパ-1-イル、3-フェンプロパ-1-イル、1-フェンブタ-1-イル、2-フェンブタ-1-イル、3-フェンブタ-1-イル、4-フェンブタ-1-イル、1-フェンブタ-2-イル、2-フェンブタ-2-イル、3-フェンブタ-2-イルまたは4-フェンブタ-2-イル、好ましくはベンジルおよび2-フェネチルである。
【0063】
光源(i)
本発明の一実施形態では、光源は、400~480nmの発光中心波長を有する青色LEDである。
【0064】
本発明の更なる実施形態では、光源は、2700~30000K、好ましくは3000~30000Kの相関色温度を有する白色LEDである。好ましくは、白色LEDは、3000~20000Kの相関色温度を有する。より好ましくは、白色LEDは、3000~12000Kの相関色温度を有する。例示的な白色LEDは、4000~12000Kの相関色温度を有する白色LED、または4500~12000Kの相関色温度を有する白色LEDである。白色LEDは商業的に入手可能である。
【0065】
好ましくは、本発明の黄色発光素子は、複数のLEDを含み、そのうちすべてが青色LEDである。同様に好ましくは、本発明の黄色発光素子は、複数のLEDを含み、そのうちすべてが白色LEDである。同様に好ましくは、本発明の黄色発光素子は、複数のLEDを含み、それらの一部は青色LEDであり、それらの一部は白色LEDである。
【0066】
色変換体(ii)
色変換体は、光源からの第1の放射の少なくとも一部を吸収するためと、前記第1の放射の第1の波長を第2の放射の第2の波長に変換するために配置されており、ここで、第2の波長は、第1の波長よりも長い。LEDにより放出された光は、いかなる場合も色変換体を通過しなければならない。
【0067】
ポリマーマトリクス
好ましくは、ポリマーマトリクスは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボン酸ポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物から選択されるポリマーを含む。
【0068】
好ましくは、ポリマーマトリクスは、実質的に、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボン酸ポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物からなる。
【0069】
「シリコーン」という用語は、「(ポリ)シロキサン」という用語としても知られている。
【0070】
本発明の第1の態様の一実施形態では、ポリマーマトリクスは、透明なポリマーからなるか、または透明なポリマーを含む。本発明の第1の態様の別の実施形態では、ポリマーマトリクスは、不透明なポリマーを含むか、または不透明なポリマーからなる。
【0071】
特に、ポリマーマトリクス材料は、実質的にまたは完全に、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンフラノエートからなる。
【0072】
ここでは、ポリスチレンとは、とりわけ、スチレンおよび/またはスチレンの誘導体の重合から生じるすべてのホモポリマーまたはコポリマーを意味すると理解される。スチレンの誘導体は、例えば、アルキルスチレン、例えばα-メチルスチレン、オルト-、メタ-、パラ-メチルスチレン、パラ-ブチルスチレン、特にパラ-tert-ブチルスチレン、アルコキシスチレン、例えばパラ-メトキシスチレン、パラ-ブトキシスチレン、パラ-tert-ブトキシスチレンである。一般に、適切なポリスチレンは、平均分子量Mnが10000~1000000g/mol(GPCで測定される)、好ましくは20000~750000g/mol、より好ましくは30000~500000g/molである。
【0073】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、色変換体のマトリクスは、実質的にもしくは完全にスチレンまたはスチレン誘導体のホモポリマーからなる。より具体的には、ポリマーマトリクス材料は完全にポリスチレンからなる。
【0074】
本発明の第1の態様の本発明の更なる好ましい実施形態では、ポリマーマトリクス材料は、実質的にまたは完全に、本出願の文脈ではポリスチレンと同様に見なされるスチレンコポリマーからなる。スチレンコポリマーは、更なる成分として、例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、ビニルカルバゾール、またはモノマーとしてのアクリル酸、メタクリル酸もしくはイタコン酸のエステルを含み得る。適切なスチレンコポリマーは、一般的に、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%のスチレンを含む。別の実施形態では、それらは少なくとも90重量%のスチレンを含む。
【0075】
好ましいスチレンコポリマーは、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-1,1’-ジフェニルエテンコポリマー、アクリル酸エステル-スチレン-アクリロニトリルコポリマー(ASA)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MABS)である。更なる好ましいポリマーは、α-メチルスチレン-アクリロニトリルコポリマー(AMSAN)である。スチレンホモポリマーもしくはコポリマーは、例えば、フリーラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合によって、または有機金属触媒(例えば、チーグラー・ナッタ触媒作用)の影響下で製造することができる。これにより、アイソタクチック、シンジオタクチックもしくはアタクチックなポリスチレンまたはコポリマーが生じ得る。それらは、好ましくはフリーラジカル重合によって製造される。重合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合として実施することができる。適切なポリスチレンの製造は、例えば、Oscar Nuyken, Polystyrenes and Other Aromatic Polyvinyl Compounds, in Kricheldorf, Nuyken, Swift, New York 2005, p.73-150およびその中で引用される参考文献;ならびにElias, Macromolecules, Weinheim 2007, p.269-275に記載されている。
【0076】
本発明の第1の態様の本発明の別の好ましい実施形態では、ポリマーマトリクス材料は、完全にポリエチレンテレフタレートからなる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールとテレフタル酸との縮合によって得られる。
【0077】
本発明の第1の態様の本発明の別の好ましい実施形態では、ポリマーマトリクス材料は、実質的にまたは完全にポリカーボネートからなる。より好ましくは、ポリマーマトリクス材料は、完全にポリカーボネートからなる。ポリカーボネートは、炭酸と芳香族または脂肪族のジヒドロキシル化合物とのポリエステルである。好ましいジヒドロキシル化合物は、例えば、メチレンジフェニレンジヒドロキシル化合物、例えばビスフェノールAである。ポリカーボネートを製造する1つの手段は、界面重合における適切なジヒドロキシル化合物とホスゲンとの反応である。別の手段は、縮合重合における炭酸ジフェニルなどの炭酸のジエステルとの反応である。適切なポリカーボネートの製造は、例えば、Elias, Macromolecules, Weinheim 2007, p.343-347に記載されている。
【0078】
同様により具体的には、ポリマーマトリクス材料は、実質的にまたは完全に2,5-フランジカルボキシレートポリエステルからなる。2,5-フランジカルボキシレートポリエステルは、(i)脂肪族C2~C20-ジオールおよび脂環式C3~C20-ジオールからなる群から選択される少なくとも1種のジオールと、(ii)2,5-フランジカルボン酸および/またはそのエステル形成誘導体と、(iii)任意選択的に、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸ならびに/またはそれらのエステル形成誘導体との反応によって得ることができる。
【0079】
適切な脂肪族C2~C20-ジオールは、好ましくは、線状もしくは分岐状のC2~C15-アルカンジオール、特に線状もしくは分岐状のC2~C10-アルカンジオール、例えばエタン-1,2-ジオール(エチレングリコール)、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール(プロピレングリコール)、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール(ブチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、デカン-1,10-ジオールなどである。適切な脂環式C3~C20-ジオールは、好ましくは、C3~C10-シクロアルキレンジオール、例えば1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘプタンジオールまたは1,4-シクロヘプタンジオールである。他の適切な脂環式C3~C20-ジオールには、1,3-シクロヘキサンジメタノールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール、または2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、またはそれらの組合せが含まれる。特に好ましいジオールは、C2~C6-アルカンジオール、特にエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールおよびそれらの混合物である。さらに特に好ましいのは、エタン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオール、特にエタン-1,2-ジオールである。
【0080】
さらに特に好ましいのは、生物学的に誘導された(「生物由来の」)C2~C10-アルカンジオール、特にC2~C6-アルカンジオール、例えばエタン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオールである。生物由来のエタン-1,2-ジオールは、そこに含まれる炭水化物の変換によってリグノセルロース系バイオマス源から得ることができる。バイオマスからC2~C10-アルカンジオールを製造する方法は、当該技術分野において、例えば米国特許出願公開第2011/0306804号明細書から知られている。
【0081】
好ましくは、ジオール成分(i)は、好ましいものとして言及された1種のジオール、特にエタン-1,2-ジオールのみで構成される。ジオール成分(i)はまた、2、3または4種以上の異なるジオールを含み得る。2、3または4種以上の異なるジオールが使用される場合、好ましいものとして上記に挙げたものが好ましい。この場合、成分(i)の総重量を基準にして、好ましくは、エタン-1,2-ジオールが主成分である。
【0082】
2,5-フランジカルボン酸のエステル形成誘導体は、特に2,5-フランジカルボン酸のC1~C10-ジアルキルエステルである。特に好ましいジエステルは、2,5-フランジカルボン酸のC1~C6-ジアルキルエステル、特にジメチルエステルおよびジエチルエステルである。成分(ii)はまた、2,5-フランジカルボン酸の2つ、3つまたは4つ以上の異なるジエステルを含み得る。2,5-フランジカルボン酸は、生物由来の糖から生成することができる。Co、Mnおよび/またはCeを含む触媒を用いた、5-ヒドロキシメチルフルフラールなどの2,5-二置換フランの空気酸化を使用する2,5-フランジカルボン酸の製造経路が、国際公開第2010/132740号、国際公開第2011/043660号、国際公開第2011/043661号、米国特許出願公開第2011/0282020号明細書、米国特許出願公開第2014/0336349号明細書および国際公開第2015/137804号に最近報告されている。2,5-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの製造経路も、例えば国際公開第2011/043661号に記載されている。
【0083】
好ましくは、ポリマーは、(i)脂肪族C2~C20-ジオールおよび脂環式C3~C20-ジオールからなる群から選択される1種のジオールと、(ii)2,5-フランジカルボン酸または2,5-フランジカルボン酸のジエステルとのみで構成される。
【0084】
好ましくは、2,5-フランジカルボン酸ポリエステルは、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ネオペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)およびそれらの混合物からなる群から選択される。特に、本発明による色変換体において使用するためのポリマーマトリクス材料は、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート)およびポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)からなり得るか、またはそれらから実質的になり得る。特に、本発明による色変換体において使用するためのポリマーマトリクス材料は、ポリ(エチレン-2,5-フラン-ジカルボキシレート)からなる。更なる特定の実施形態では、色変換体のポリマーマトリクス材料は、上記に定義される異なる2,5-フランジカルボキシレートポリエステルの混合物(ブレンド)、例えば、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)とポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)とのブレンドを含む。ポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(トリメチレン2,5-フランジカルボキシレート)とも呼ばれ、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(テトラメチレン2,5-フランジカルボキシレート)とも呼ばれ、ポリ(ペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(ペンタメチレン2,5-フランジカルボキシレート)とも呼ばれる。
【0085】
同様に、上記に定義される少なくとも1種のジオール成分(i)と、上記に定義される成分(ii)と、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸ならびに/またはそれらのエステル形成誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の更なる二酸またはジエステル成分(iii)とを反応させることにより得ることができる2,5-フランジカルボキシレートポリエステルが適切である。1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸のエステル形成誘導体は、特にC1~C10-ジアルキルエステルである。特に好ましいエステルは、C1~C6-ジアルキルエステル、特にジメチルエステルおよびジエチルエステルである。成分(ii)と成分(iii)との組合せを使用する場合、成分(ii)は、成分(ii)と(iii)との総重量に対する主要成分である。例として、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-テレフタレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-2,6-ナフタレート)またはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-3,4-フランジカルボキシレート)、好ましくはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-テレフタレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボン酸-co-2,6-ナフタレート)またはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-3,4-フランジカルボキシレート)がある。
【0086】
2,5-フランジカルボキシレートポリエステル(A)は、米国特許出願公開第2,551,731号明細書に記載されているように製造することができる。
【0087】
特に、ポリマーマトリクスは、完全にポリエチレンフラノエートからなる。
【0088】
式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む有機蛍光色素
式Iの構造単位を含む有機蛍光色素(化合物)は、光源から放出された光を完全にまたは部分的に吸収し、それをより長い波長の形態で再放出する。式Iの構造単位を含む有機蛍光色素は、国際公開第2012/168395号から知られている。式Iの構造単位を含む有機蛍光色素は、通常、400~480nmの発光中心波長を有する青色LEDまたは2700K~30000Kの相関色温度を有する白色LEDから生ずる400~500nmの波長範囲の光を吸収する。有利には、それらは520~590nmの幅広い発光スペクトルを有する。
【0089】
式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む好ましい有機蛍光色素は、X1が単結合であるものである。本発明の色変換体における使用に関して、式(I)の構造単位を有する色素は、好ましくは、国際公開第2012/168395号、第28頁の第14行目~第32頁の第5行目および第33頁の第3行目~第37頁の第10行目に記載されている化合物である。
【0090】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の構造単位を有する有機蛍光色素において、(X1-R)は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、テトラリニル、フェノキシであり、これらの各々は、C1~C12-アルキル、C1~C12-アルコキシおよびシアノから互いに独立して選択される同一もしくは異なる基で一置換または多置換されていてもよい。n1は、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0091】
より好ましくは、式(I)の構造単位を有する有機蛍光色素は、式(I-2)、(I-3)、(I-4)、(I-5)、(I-6)、(I-7)、(I-8)、(I-9)、(I-10)、(I-11)、(I-12)、(I-13)、(I-14)、(I-15)、(I-16)、(I-17)、(I-18)、(I-19)、(I-20)、(I-21)、(I-22)、(I-23)、(I-24)、(I-25)、(I-26)、(I-27)、(I-28)、(I-29)、(I-30)、(I-31)、(I-32)、(I-33)、(I-34)、(I-35)、(I-36)、(I-37)、(I-38)、(I-39)、(I-40)、(I-41)、(I-42)、(I-43)、(I-44)、(I-45)、(I-46)、(I-47)、(I-48)、(I-49)、(I-50)、(I-51)、(I-52)、(I-53)、(I-54)、(I-55)の化合物、またはそれらの混合物
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
【化5-5】
およびそれらの混合物
[式中、n1は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10からの数であり、
R
11は、独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]から選択される。
【0092】
特に好ましいのは、式(I-5)、(I-6)、(I-7)および(I-8)の化合物ならびにそれらの混合物である。特に好ましいのは、式(I-5)および(I-7)の化合物、特に式(I-5)の化合物である:
【化6】
【0093】
式Iの構造単位を有する有機蛍光色素は、青色LEDよりも長い波長の光を再放出し、ひいては従来の黄色発光素子に比べて発光効率およびウォールプラグ効率が向上する。520nmよりも短い波長を有する光をより長い波長の光に変換することにより、単に520nm未満の波長をカットしただけの従来の黄色照明素子に比べて発光効率およびウォールプラグ効率の向上につながる。
【0094】
有機蛍光色素(A)
本発明の第1の態様の更なる実施形態では、色変換体は、好ましくは、以下からなる群から選択される少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)およびその混合物を含む:
a)式(II)
【化7】
[式中、
R
21、R
22は、それぞれ独立して、C
1~C
30-アルキル、C
3~C
8-シクロアルキル、C
6~C
14-アリール、ヘタリールまたはC
6~C
14-アリール-C
1~C
10-アルキレンであって、直前の3つの基における(ヘテロ)芳香族環は、非置換であるか、またはC
1~C
10-アルキルで一置換もしくは多置換されている]のペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
(b)式(III)
【化8】
[式中、
qは1~4であり、
R
30は、非置換であるか、またはハロゲン、C
1~C
10-アルキルもしくはC
6~C
10-アリールで一置換もしくは多置換されているアリールオキシであり、ここで、R
30基は、
*で示される位置の1つまたは複数にあり、
R
31、R
32は、それぞれ独立して、C
1~C
30-アルキル、C
3~C
8-シクロアルキル、C
6~C
14-アリール、ヘタリールまたはC
6~C
14-アリール-C
1~C
10-アルキレンであり、ここで、直前の3つの基における(ヘテロ)芳香族環は、非置換であるか、またはC
1~C
10-アルキルで一置換もしくは多置換されている]のアリールオキシ置換ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
およびその混合物;
c)式(IV)
【化9】
[式中、
R
43またはR
44のうちの一方の基が、互いに独立してシアノであり、他方の基R
43またはR
44が、シアノ、フェニル、4-シアノフェニル、およびC
1~C
10-アルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルからなる群から選択され、
R
47、R
48、R
49およびR
410は、互いに独立して、水素、シアノ、フェニル、4-シアノフェニル、またはC
1~C
10-アルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルである]のコアシアネート化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物;
およびその混合物;
ならびに
(d)式(V)
【化10】
[式中、
R
51およびR
52は、互いに独立して、水素、それぞれの場合において非置換もしくは置換されたC
1~C
30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C
1~C
30-アルコキシ、C
1~C
30-アルキルチオ、C
3~C
20-シクロアルキル、C
3~C
20-シクロアルキルオキシ、C
6~C
24-アリールおよびC
6~C
24-アリールオキシからなる群から選択され、
R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
510、R
511、R
512、R
513、R
514、R
515、R
516、R
517およびR
518は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、-NE
51E
52、-NR
Ar51COR
A52、-CONR
Ar51R
Ar52、-SO
2NR
A51R
A52、-COOR
Ar51、-SO
3R
Ar52、それぞれの場合において非置換もしくは置換されたC
1~C
30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C
1~C
30-アルコキシ、C
1~C
30-アルキルチオ、C
3~C
20-シクロアルキル、C
3~C
20-シクロアルコキシ、C
6~C
24-アリール、C
6~C
24-アリールオキシおよびC
6~C
24-アリールチオからなる群から選択され、
ここで、R
53とR
54、R
54とR
55、R
55とR
56、R
56とR
57、R
57とR
58、R
58とR
59、R
59とR
510、R
511とR
512、R
512とR
513、R
513とR
514、R
55とR
515、R
515とR
516、R
516とR
517および/またはR
517とR
518は、それらが結合しているビフェニル部分の炭素原子と一緒になって、さらに縮合した芳香族もしくは非芳香族の環系を形成してもよく、ここで、縮合した環系は、非置換もしくは置換されており、
ここで、
E
51およびE
52は、互いに独立して、水素、非置換もしくは置換されたC
1~C
18-アルキル、非置換もしくは置換されたC
2~C
18-アルケニル、非置換もしくは置換されたC
2~C
18-アルキニル、非置換もしくは置換されたC
3~C
20-シクロアルキル、または非置換もしくは置換されたC
6~C
10-アリールであり、
R
Ar51およびR
Ar52は、それぞれ互いに独立して、水素、非置換もしくは置換されたC
1~C
18-アルキル、非置換もしくは置換されたC
3~C
20-シクロアルキル、非置換もしくは置換されたヘテロシクリル、非置換もしくは置換されたC
6~C
20-アリール、または非置換もしくは置換されたヘテロアリールである]の剛直な2,2’-ビフェノキシ架橋を有するペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド化合物;
およびその混合物;
ならびにそれらの混合物。
【0095】
少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)は、光源から放出された光を吸収することができ、かつ/または式Iの構造単位を有する有機蛍光色素から放出された光を吸収することができる。少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)は、好ましくは520~750nm、より好ましくは520~700nm、さらにより好ましくは520~630nmの波長範囲で発光する。これらの値は、発光スペクトルにおいて最大発光係数を有する波長を指す。
【0096】
式IIの化合物
式IIの化合物は、当該技術分野において、例えば、米国特許第4,379,934号明細書または米国特許第4,446,324号明細書から周知である。それらは、従来のプロセス、例えば、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸またはその二無水物をアミンと縮合させることによって製造することができる。
【0097】
好ましくは、式IIの化合物において、R21およびR22は、線状のC1~C18アルキル、分岐状のC3~C18アルキル、C4~C8-シクロアルキル、C1~C10アルキルで一置換もしくは多置換されていてもよいフェニルまたはナフチルである。好ましくは、R21およびR22は、同じ意味を有する。一実施形態では、式IIにおけるR21およびR22は、国際公開第2009/037283号、第16頁の第19行目~第25頁の第8行目に記載されているように、いわゆる燕尾置換を有する化合物を表す。好ましい実施形態では、R21およびR22は、互いに独立して、1-アルキルアルキル、例えば、1-エチルプロピル、1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシルまたは1-ヘキシルヘプチルである。より好ましくは、R21およびR22は、C1~C18-アルキル、フェニルまたはナフチルであって、直前の2つの基の芳香族環は、非置換であるか、または1、2もしくは3個のC1~C4-アルキル基で置換されている。さらにより好ましくは、式IIにおけるR21およびR22は、2,4-ジ(tert-ブチル)フェニル、2,4-ジ(イソプロピル)フェニル、2,6-ジ(tert-ブチル)フェニル、2,6-ジ(イソプロピル)フェニル、特に2,6-ジイソプロピルフェニルである。
【0098】
式IIの好ましい化合物は、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(CAS番号:82953-57-9)である。
【0099】
式IIIの化合物
式IIIのアリールオキシ置換ペリレンイミド化合物は、当技術分野において公知である。式IIIの化合物の適切な例として、例えば、国際公開第2007/006717号、特に第1頁の第5行目~第22頁の第6行目;米国特許第4,845,223号明細書、特に第2欄の第54行目~第6欄の第54行目;国際公開第2014/122549号、特に第3頁の第20行目~第9頁の第11行目;欧州特許第3072887号明細書および国際公開第2018/065502号、特に第36頁の第13行目~第38頁の第16行目;国際公開第2018/134263号、特に第22頁の第12行目~第24頁の第3行目に記載のペリレン誘導体がある。式IIIの化合物は、通常、赤色の蛍光色素である。好ましいのは、R31およびR32が、それぞれ独立して、C1~C10-アルキル、2,6-ジ(C1~C10-アルキル)フェニルおよび2,4-ジ(C1~C10-アルキル)フェニルから選択される式IIIの化合物である。より好ましくは、R31およびR32は同一である。特に好ましくは、R31およびR32は、それぞれ2,6-ジイソプロピルフェニルまたは2,4-ジ-tert-ブチルフェニルである。R30は、好ましくは、非置換のフェノキシ、またはフッ素、塩素、C1~C10-アルキルもしくはフェニルから選択される1もしくは2個の同一もしくは異なる置換基で置換されているフェノキシである。好ましくは、qは、2、3もしくは4、特に2もしくは4である。
【0100】
式IIIの化合物は、例えば、国際公開第2007/006717号、米国特許第4,845,223号明細書、および国際公開第2014/122549号に記載されている方法と同じように製造することができる。
【0101】
式IIIの適切な有機蛍光色素は、例えば、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジ(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジ(p-tert-オクチルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(p-tert-オクチルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジフェノキシペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジフェノキシペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジ(2,6-ジフェニルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,6-ジフェニルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,3-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2-フェニルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2-イソプロピルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2-フェニルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,4-ジフェニルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(3-フルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(3-クロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,3-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,5-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,6-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,3-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキイシミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,6-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,5-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミドである。
【0102】
特に、式IIIの化合物は、化合物III-1、III-2、III-3、III-4、III-5またはIII-6およびそれらの混合物から選択される:
【化11】
【0103】
特に好ましいのは、式III-4の化合物、すなわちN,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミドである。
【0104】
式IVの化合物
式IVのコアシアネート化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物は、国際公開第2015/019270号から知られている。式IVの化合物の例は、化合物
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
である。
【0105】
式IVの特に適切な化合物は、R43またはR44のうちの一方がシアノであり、他方の基R43またはR44が、フェニル、4-シアノフェニル、およびC1~C10-アルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルである化合物である。同様に、式IVの特に適切な化合物は、基R47、R48、R49およびR410のうちの2つがフェニルであり、他方の2つの基R47、R48、R49およびR410が水素である化合物である。これらの中で、より好ましいのは、化合物IV-1、IV-2、IV-3、IV-4およびそれらの混合物、特に化合物IV-1である。同様に、より好ましいのは、化合物IV-13、IV-14、IV-15、IV-16およびそれらの混合物、特に化合物IV-13である。
【0106】
式Vの化合物
式Vの化合物は、国際公開第2017/121833号の主題である。R
51およびR
52が、互いに独立して、非置換であるか、または1、2もしくは3個のC
1~C
6-アルキルで置換されているフェニルからなる群から選択され、かつR
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58、R
59、R
510、R
511、R
512、R
513、R
514、R
515、R
516、R
517およびR
518がそれぞれ水素である式Vの化合物が好ましい。上記に定義される式Vの化合物は、好ましくは式V.1
【化13】
の化合物である。
【0107】
好ましくは、色変換体は、黄色発光素子の発光効率および/またはウォールプラグ効率を向上させるために、少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)、特に、520~630nmの波長で発光する蛍光色素を含み、520nm未満の発光を減少させる。
【0108】
好ましくは、少なくとも1種の更なる有機蛍光色素(A)は、式IIの化合物、式IIIの化合物およびそれらの混合物から選択される。
【0109】
したがって、本発明の第1の態様の好ましい実施形態によれば、色変換体は、式Iの少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の他に、式IIの少なくとも1種の化合物を含む。
【0110】
本発明の第1の態様のこの好ましい実施形態によれば、色変換体は、より好ましくは、式I-5の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(式IIIの化合物)とを含む。
【0111】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態によれば、色変換体は、式I-7の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(式IIIの化合物)とを含む。
【0112】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施形態によれば、色変換体は、式I-5の化合物と、式I-7の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリネテトラカルボン酸ジイミド(式IIの化合物)とを含む。
【0113】
本発明の第1の態様の更なる好ましい実施形態によれば、色変換体は、式Iの少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の他に、式IIの少なくとも1種の化合物と式IIIの少なくとも1種の化合物とを含む少なくとも1種の有機蛍光色素を含む。
【0114】
本発明の第1の態様のこの好ましい実施形態によれば、色変換体は、より好ましくは、式I-5の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミドと、化合物III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6およびそれらの混合物からなる群から選択される式IIIの化合物、特に式III-4の化合物とを含む。
【0115】
本発明の第1の態様のこの好ましい実施形態によれば、色変換体は、より好ましくは、式I-7の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミドと、化合物III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6およびそれらの混合物からなる群から選択される式IIIの化合物、特に式III-4の化合物とを含む。
【0116】
本発明の第1の態様のこの好ましい実施形態によれば、色変換体は、より好ましくは、式I-5の化合物と、式I-7の化合物と、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミドと、化合物III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6およびそれらの混合物からなる群から選択される式IIIの化合物、特に式III-4の化合物とを含む。
【0117】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、上記で定義される式II、式III、式IV、式IVおよび式Vの化合物から選択される少なくとも1種の更なる有機蛍光色素は、ポリマーマトリクス中に埋め込まれている。
【0118】
色変換体が2種以上の蛍光色素を含む場合、本発明の一実施形態では、複数の蛍光色素が1つの層の中に互いに並んで存在することが可能である。別の実施形態では、色変換体は、一般的に、1種または複数の蛍光色素を含む複数のポリマー層から構成された多層構造を有する。
【0119】
他の添加剤
本発明の第1の態様の更なる好ましい実施形態によれば、色変換体は、散乱剤(散乱体)を含む。
【0120】
適切な光散乱剤は、無機白色顔料、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、リトポン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウムであって、DIN 13320に準拠した平均粒径0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm、より好ましくは0.15~0.4μmを有する。これらの散乱剤は、典型的には、それぞれの場合において散乱体を含む層のポリマーを基準にして、0.01~2.0重量%、好ましくは0.05~0.5重量%、より好ましくは0.1~0.4重量%の量で含まれる。
【0121】
適切な光散乱有機剤の例には、ポリ(アクリレート);ポリ(アルキルメタクリレート)、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE);シリコーン系の散乱剤、例えば、加水分解ポリ(アルキルトリアコキシシラン)、変性二酸化ケイ素ビーズ、例えばポリ(アルキルシルセスキオキサン)、特にポリ(メチルシルセスキオキサン)およびそれらの混合物が含まれる。通常、これらの光散乱剤の大きさ(平均直径-重量平均)は、0.5~50μm、好ましくは1~10μmの範囲である。これらの散乱剤は、典型的には、ポリマー100重量部当たり1~10重量部の量で含まれる。有用な散乱剤は、例えば、PMMA系の散乱剤3~5重量%とシリコーン系の散乱剤1.5~2重量%との混合物である。
【0122】
欧州特許出願公開第634445号明細書に記載されているように、コア/シェル形態を有するビニルアクリレートをベースとするポリマー粒子をTiO2と組み合わせて含有する光散乱組成物も適している。
【0123】
好ましくは、少なくとも1種の散乱剤は、ポリ(メチルメタクリレート)系の散乱剤、シリコーン系の散乱剤またはTiO2である。同様に好ましくは、散乱剤は、ポリ(メチルシルセスキオキサン)である。
【0124】
さらに、色変換体は、無機発光材料または複数の無機発光材料を含んでいてもよい。無機発光材料は、好ましくは、量子ドット、ガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物および酸窒化物から選択される。ガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物および酸窒化物の適切な例は、以下の表Iにまとめられている:
【表1】
【0125】
適切な量子ドットは、直径が約20nm以下の半導体材料のナノ結晶である。量子ドットには、Siベースのナノ結晶、II~VI族化合物半導体ナノ結晶、III~V族化合物半導体ナノ結晶、IV~VI族化合物ナノ結晶およびそれらの混合物のうちの1つが含まれ得る。II~VI族化合物半導体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HggZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTeおよびHgZnSTeからなる群から選択される1つを含み得る。III-V族化合物半導体ナノ結晶は、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAsおよびInAlPAsからなる群から選択される1つを含み得る。IV~VI化合物半導体ナノ結晶はSnTeであってもよい。
【0126】
量子ドットの形でナノ結晶を合成するために、量子ドットを、有機金属化学蒸着もしくは分子線エピタキシーなどの蒸着によって、または有機溶媒に1種以上の前駆体を加えて結晶を成長させる湿式化学プロセスによって製造してもよい。
【0127】
色変換体が無機発光材料を含有する場合、無機発光材料は、無機発光材料と有機蛍光色素との総量を基準にして量が少ない方の成分である。
【0128】
好ましくは、色変換体は、いかなる無機発光材料も含まない。適切なマトリクス材料は、更なる構成要素として、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、帯電防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。そのような安定剤は、当業者に知られている。
【0129】
適切な酸化防止剤またはラジカル捕捉剤は、例えば、フェノール類、特に立体障害フェノール、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、または立体的障害アミン(HALS)である。この種の安定剤は、例えば、BASF社からIrganox(登録商標)の商品名で販売されている。場合によっては、酸化防止剤およびラジカル捕捉剤は、例えば、BASF社からIrgafos(登録商標)の商品名で販売されているように、ホスファイトまたはホスホナイトなどの二次安定剤によって補うことができる。
【0130】
適切な紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール類、例えば2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BTZ)、トリアジン類、例えば(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(HPT)、ヒドロキシベンゾフェノン(BP)またはオキサルアニリドである。この種の紫外線吸収剤は、例えば、BASF社からUvinul(登録商標)の商品名で販売されている。
【0131】
好ましくは、ポリマーマトリクスは、いかなる酸化防止剤またはラジカル捕捉剤も含まない。
【0132】
一実施形態では、適切なマトリクス材料は、ガラス繊維で機械的に強化されている。
【0133】
色変換体は、任意選択的にバッキング層などの更なる構成要素を含み得る。
【0134】
バッキング層は、色変換体に機械的安定性を付与するのに役立つ。バッキング層の材料のタイプは、それが透明で、かつ所望の機械的強度を有してさえいれば、重要ではない。バッキング層に適した材料は、例えば、ガラスまたは透明な剛直性有機ポリマー、例えばポリカーボネート、ポリスチレンもしくはポリメタクリレートもしくはポリメチルメタクリレートである。
【0135】
バッキング層は、一般的に、0.1mm~10mm、好ましくは0.2mm~5mm、より好ましくは0.3mm~2mmの厚さを有する。
【0136】
本発明の一実施形態では、色変換体は、国際公開第2012/152812号に開示されているように、酸素および/または水に対する少なくとも1つのバリア層を有する。バリア層に適したバリア材料の例として、例えば、ガラス、石英、金属酸化物、SiO2、Al2O3層とSiO2層との交互の層で構成される多層システム、窒化チタン、SiO2/金属酸化物多層材料、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルブチレート(PBT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)に由来するポリマーおよびエチレンビニルアルコール(EVOH)に由来するポリマーが挙げられる。
【0137】
バリア層の好ましい材料は、ガラス、またはAl2O3層とSiO2層との交互の層で構成される多層システムである。
【0138】
好ましくは、適切なバリア層は、酸素に対して低い透過性を有する。
【0139】
より好ましくは、適切なバリア層は、酸素および水に対して低い透過性を有する。
【0140】
上記で定義される式Iの構造単位を有する少なくとも1種の有機蛍光色素の濃度は、色変換体のポリマー層の厚さ、ポリマーの種類および選択された光源の関数として設定される。薄いポリマー層が使用される場合、式Iの構造単位を有する有機蛍光色素の濃度と、存在する場合には、少なくとも1種の更なる有機蛍光色素の濃度とは、一般的に、厚いポリマー層の場合よりも高い。青色LEDが光源として使用される場合、式Iの構造単位を有する有機蛍光色素の濃度と、存在する場合には、少なくとも1種の更なる有機蛍光色素の濃度とは、白色LEDが光源として使用される場合に比べて高い。本発明の一実施形態では、色変換体の厚さは、0.001~10ミリメートル、好ましくは0.001~5ミリメートル、より好ましくは0.01~3ミリメートルである。
【0141】
別の実施形態では、色変換体の厚さは、0.2~5ミリメートル、好ましくは0.3~3ミリメートル、より好ましくは0.4~2ミリメートルである。
【0142】
別の実施形態では、色変換体の厚さは、25~1000マイクロメートル(μm)であり、好ましくは35~400マイクロメートル、特に50~300マイクロメートルである。
【0143】
最も好ましい実施形態では、色変換体の厚さは、50~2000μm、好ましくは200~1500μm、より好ましくは700~1200μmである。
【0144】
発光素子の全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出される黄色照明を達成するためには、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントと色変換体の厚さとの積が、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、ポリマーの総重量を基準にしたポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、色変換体の厚さ(μm)である]を満たしていなければならない。
【0145】
したがって、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、通常、ポリマーマトリクス材料100部当たり0.01~2重量部である。好ましくは、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、通常、ポリマーマトリクス材料100部当たり0.01~0.3重量部である。
【0146】
好ましくは、色変換体は、少なくとも1種の更なる有機蛍光色素を、式(B)
5[%×μm]≦w2×d≦80[%×μm] (B)
[式中、w2は、すべての更なる有機蛍光色素(A)の合算重量とポリマーの総重量を基準にした重量パーセントであり、dは、色変換体の厚さ(μm)である]を満たす量で含む。
【0147】
したがって、すべての更なる有機蛍光色素(A)の合算重量の重量パーセントは、通常、ポリマーマトリクス材料100部当たり0.002~1.6重量部である。好ましくは、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、ポリマーマトリクス材料100部当たり0.002~1.0重量部、より好ましくはポリマーマトリクス材料100部当たり0.002~0.5重量部、最も好ましくはポリマーマトリクス材料100部当たり0.002~0.2重量部である。
【0148】
本発明による黄色発光素子は、520nmよりも短い波長範囲に含まれる放射パワーのパーセントが非常に低いことを特徴とする。
【0149】
青色LEDにより放出された放射のうち、520nmよりも短い放射パワーの少なくとも99%が吸収され、その全部または大部分がより長い波長範囲に変換されることで、黄色光が作り出される。白色LEDにより放出された放射は、2つの波長範囲、すなわち520nmよりも短い波長範囲と、520nm以上の波長範囲とを含む。520nmよりも短い波長範囲の放射のうち、少なくとも99%が吸収され、その全部または大部分がより長い波長範囲に変換されることで、黄色光が作り出される。
【0150】
色変換体は、押出、印刷、コーティングまたは成形などの異なるプロセスによって製造することができる。
【0151】
1つの方法では、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む蛍光色素と、所望される場合には、少なくとも1種の更なる蛍光色素(A)と、所望される場合には、散乱粒子(散乱体)と、他の構成要素とを、押出成形によりポリマー中で混合する。その後、それを溶融加工(押出)して、ポリマーマトリクス中で蛍光材料のフィルム/プレート/射出成形品を製造することができる。
【0152】
代替方法では、ポリマーと、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む蛍光色素と、所望される場合には、少なくとも1種の更なる蛍光色素(A)と、所望される場合には、散乱粒子(散乱体)と、他の構成要素とを、適切な溶媒に溶解させてもよい。次いで、得られた溶液/分散液を、ガラスなどの基材上にコートする。溶媒が乾燥した後、基材からフィルムを剥離する。
【0153】
別の代替方法では、インクジェット印刷またはスクリーン印刷などの印刷技術を使用して、色変換体を製造することができる。
【0154】
色変換体は、任意の所望の幾何学的配置であってもよい。色変換体は、例えば、フィルム、シートまたはプラークの形態であってもよい。同様に、有機蛍光着色剤を含有するマトリクスは、液滴の形態もしくは半球状の形態であってもよく、または凸面および/もしくは凹面、平坦面もしくは球面を有するレンズの形態であってもよい。「鋳込法」とは、LEDまたはLEDを含むコンポーネントが、有機蛍光着色剤を含むポリマーで完全に埋没されるか、または包囲される実施形態を指す。
【0155】
色変換体が1つの層からなるか、またはそれらが積層構造を有する場合、好ましい実施形態では、個々の層は連続しており、かつ穴部または中断部を有しない。
【0156】
本発明に従って使用される色変換体は、リモート蛍光体配置で使用される。この場合、色変換体は、LEDから空間的に分離されている。一般に、LEDと色変換体の間の距離は、0.1cm~50cm、好ましくは0.2~10cm、最も好ましくは0.5~3cmである。色変換体とLEDとの間は、空気、希ガス、窒素または他のガスまたはそれらの混合物などの異なる媒体であってもよい。
【0157】
色変換体は、例えば、LEDの周りに同心円状に配置され得るか、または平面形状を有し得る。色変換体は、例えば、小板、シートまたはフィルムの形をとることができ、液滴の形であるか、または製膜品の形をとることができる。
【0158】
黄色発光素子
黄色発光素子は、全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出されることを特徴とする。
【0159】
好ましくは、黄色発光素子の全放出放射パワーのうち、高くても0.8%が520nmよりも短い波長範囲で放出されることを特徴とする。
【0160】
好ましくは、黄色発光素子は、少なくとも25%からのウォールプラグ効率を有する。
【0161】
好ましくは、光源が2700K~30000Kの相関色温度を有する白色発光ダイオードである場合、黄色光の発光効率は、白色発光ダイオードの発光効率の70%超、より好ましくは75%超である。本発明の好ましい実施形態では、本発明による照明素子は、いかなるフィルターも含まない。
【0162】
好ましくは、黄色発光素子により放出された光は、次の式およびパラメーターによる楕円を有するCIE 1931標準表色系に従った色度座標x,yを有することを特徴とする:
((x-h)cos(A)+(y-k)sin(A))2/(a2)+((x-h)sin(A)-(y-k)cos(A))2/(b2)=1
[式中、h,kおよびa,bは、それぞれx,y方向の偏移および半軸であり、Aは、x軸から測定した角度であり、h=0.52、k=0.46、a=0.25、b=0.03、A=-42である]。
【0163】
本発明による黄色発光素子の特に有利な点は、520nmよりも短い波長の光に感受性がある材料を扱う作業空間の照明、例えば、安全で再現性のあるレジスト処理を可能にするクリーンルーム内の環境照明にそれを使用できることである。
【0164】
したがって、本発明の第2の態様は、520nm未満の波長範囲の光に感受性がある材料を扱うための作業空間を照明するための、上記で定義される黄色発光素子の使用に関する。本発明による黄色照明素子は、青色または白色LEDから放出された青色光を光源として使用し、黄色発光素子の全放出放射パワーの高くても1%が520nmよりも短い波長範囲で放出されるので、マイクロエレクトロニクス製造工場、特にフォトレジスト処理のために有利に使用することができる。
【0165】
本発明の第3の態様は、全放射束の高くても1%が520nm未満のスペクトル範囲内にある黄色光を提供するための方法に関するものであり、この方法は、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する少なくとも1つの青色発光ダイオード、2700K~30000Kの相関色温度を有する少なくとも1つの白色発光ダイオード、またはそれらの組合せから選択される光源を提供するステップと、
(ii)ポリマーマトリクス中に少なくとも1種の有機蛍光色素およびその混合物を含む少なくとも1つの色変換体を提供するステップと、
(iii)光源から放出された光の少なくとも一部を受光するように色変換体を配置するステップと
を含み、前記少なくとも1種の有機蛍光色素は、式(I)
【化14】
[式中、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1個以上のCH基は、窒素で置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ以下のように定義される:
n1は、式(I)の各構造単位の0~(10-p1)の数であり、ここで、p1は、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環中の窒素で置き換えられたCH単位の数であり、
X1は、化学結合、O、S、SO、SO
2、NR
1であり、かつ
Rは、脂肪族基、環式脂肪族基、アリール、ヘテロアリールであって、これらの各々は置換基を有していてもよく、
芳香族環もしくはヘテロ芳香族環もしくは環系であって、これらの各々は式(I)の構造単位の他の芳香族環に縮合しており、または
X1が化学結合でない場合にはF、Cl、Br、CNもしくはHであり、
ここで、
2つのR基は結合して1つの環状基を生じてもよく、
X1およびRは、n1>1の場合、同一であっても異なっていてもよく、
R
1は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキルであって、その炭素鎖が1つもしくは複数の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO
2-部分を含んでいてもよく、かつ一置換もしくは多置換であってもよいC
1~C
18-アルキルまたはシクロアルキル、一置換もしくは多置換であってもよいアリールまたはヘテロアリールである]の少なくとも1つの構造単位を含み、
ここで、式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素は、光源により放出された光の少なくとも一部を吸収し、520~590nmの範囲の波長を含む光を放出し、かつ色変換体中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントは、式(A)
20[%×μm]≦w1×d≦100[%×μm] (A)
[式中、w1は、ポリマーの総重量を基準にしたポリマーマトリクス中の式(I)の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1種の有機蛍光色素の重量パーセントであり、dは、色変換体の厚さ(μm)である]を満たす。
【0166】
光源と色変換体については、上記の内容が参照される。
【0167】
色変換体の製造
使用した材料
光源:
LED1:白色LED(Lextar 5000K tube;管径:27mm;管長さ:2ft(60.96cm)/4ft(121.92cm)
LED2:450nmの発光を有する青色LED(Philips Fortimo)
LED3:白色LED(東芝4918K)
LED4:白色LED(東芝3092K)
LED5:白色LED、4528K
色変換体:
PC:ビスフェノールAとホスゲンとの重縮合物をベースにした透明なポリカーボネート(奇美実業社製PC110またはFormosa Idemitsu社製A2200またはCovestro社製Makrolon LED 2245)。
二酸化チタン:TiO2ルチル顔料:Kronos(登録商標)2233-Kronos社製またはKronos(登録商標)2230
ポリメチルシルセスキオキサン:HSP-200、2μm、SAU applied materials,Ltd.(台湾)
【0168】
色素1:黄色蛍光化合物であって、国際公開第2012/168395号の例10に記載されているように得られ、続けてクロマトグラフィーで精製した、以下の色素1:
【化15】
化合物である色素1を含む混合物を更なるカラムクロマトグラフィーに供して、純粋な標題化合物を得た。λ最大発光:536nm(ポリカーボネート中)。
【0169】
色素2:N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(CAS番号:82953-57-9)であって、以下の色素2:
【化16】
λ最大発光:548および578nm(ポリカーボネート中)。
この化合物は市販されている。
【0170】
色素3:N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4;9,10-テトラカルボン酸ジイミドであって、BASF SE(ドイツ)から市販されている、以下の色素3:
【化17】
λ最大発光:615nm(ポリカーボネート中)。
【0171】
色変換体の製造方法:
色変換体1の製造:
色変換体1の製造のために、ポリカーボネート(PC110)、TiO2(Kronos(登録商標)2233)および表IIに記載の色素を二軸コンパウンダーで混合・配合して均質なペレットにし、乾燥後にPC系染色ペレットをさらに円形状の成形型を用いて管に押出した。押出管の厚さは0.8mmであり、外径は27mmであった。
【0172】
【0173】
色変換体2および3の製造:
色変換体の製造のために、Makrolonポリカーボネート、色素およびTiO2(Kronos 2233)を所望の濃度に従って一緒に押出した(表IIIを参照)。材料の量は、ポリマーポリカーボネートの量を基準にして重量%で示される。押出成形によりフィルムを製造した。フィルム厚は、色変換体2が222μm、色変換体3が276μmであった。
【0174】
【0175】
色変換体4および5の製造:
色変換体の製造のために、PC(A2200)、色素およびTiO2(Kronos 2230)およびポリメチシルセスキオキサンを、それぞれ所望の濃度に従って一緒に押出した(表IVを参照)。材料の量は、ポリマーポリカーボネートの量を基準にして重量%で示される。押出成形によりフィルムを製造した。フィルム厚は、各変換体について800μmであった。
【0176】
【0177】
照明素子の特性評価
使用した照明素子は以下のとおりである:
照明素子1(LD1):
色変換体1を励起するための光源としてLED1を用いた。色変換体1(押出管)を2ft(60.96cm)または4ft(121.92cm)の長さに切断し、LED1を色変換体1に挿入して固定した。LED1を点灯させると、LED1の白色光が色変換体1に吸収され、次いで青色光を一切含まない黄色光に変換された。
【0178】
照明素子2(LD2):蛍光灯Osram L18W/62(比較用)
照明素子3(LD3):Laser tek社製Yellow Tube(イエローチューブ)、LED T8(比較用)
照明素子4(LD4):HapoLight社製Yellow Tube(イエローチューブ)、LED T8(比較用)
【0179】
この素子の表面から照射された光を、積分球U-1000(D=100cm、AMA Optics社製、台湾)とCCD分光器LE-5400(大塚電子株式会社製、日本)を備えた光度測定ツールを用いて、素子から照射された全光量を測定する光度測定に供した。測定された放射輝度スペクトルは、すべての関連する測光データ、例えばケルビン[K]でのCCT(=相関色温度)、黒体放射(Planck-curve)(BBL)からの色点の距離、ルーメン/ワットでの発光効率、ウォールプラグ効率(=WPE)を導き出すために使用した。結果を表Vに示す。
【0180】
【0181】
表Vから、比較光源LD2、LD3およびLD4と同様に本発明の光源LD1も、黒体軌跡から離れすぎて白色として知覚されないことがわかる。さらに、本発明の発光素子は、先行技術の発光素子に比べて、発光効率およびウォールプラグ効率が著しく高い値を示す。特に、本発明の発光素子は、フィルターを使用した先行技術の発光素子LD2と比較して、発光効率が244%高い。
【0182】
図1は、LD1およびLD2が、520nm未満のスペクトル範囲では、ほぼ発光していないことを示している。
【0183】
以下の表VIは、波長が望まれない520nm未満の臨界スペクトル範囲における本発明のLD1と比較LD2の放射パワーを比較する。
【0184】
【0185】
表VIから、本発明の発光素子は、先行技術の発光素子LD2に比べて、520nm未満の放射パワーをより良好に除去していることがわかる。
【0186】
色変換体2および3の測定のために、バックライトとしてLED2を用いた。この素子の表面から照射された光を、積分球ISP500-100とCCD検出器CAS140CT-156(Instrument Systems社製、ミュンヘン)を備えた光度測定ツールを用いて、素子から照射された全光量を測定する光度測定に供した。測定された放射輝度スペクトルは、すべての関連する測光データ、例えばケルビン[K]でのCCT(=相関色温度)、黒体放射(Planck-curve)(BBL)からの色点の距離、ルーメン/ワットでの発光効率、ウォールプラグ効率(=WPE)を導き出すために使用した。結果を表VIIに示す。
【0187】
【0188】
表VIは、青色光の99%超が色変換体2と3の両方に吸収されていることを示している。
【0189】
色変換体4の測定のために、バックライトとしてLED3およびLED4を用いた。
【0190】
照明素子5(LD5):
色変換体4を励起するための光源としてLED3を用いた。LED3を点灯させると、LED3の白色光が色変換体4に吸収され、次いで黄色光に変換された。
【0191】
照明素子6(LD6):
色変換体4を励起するための光源としてLED4を用いた。LED4を点灯させると、LED4の白色光が色変換体4に吸収され、次いで黄色光に変換された。
【0192】
照明素子7(LD7):
色変換体5を励起するための光源としてLED5を用いた。LED5を点灯させると、LED5の白色光が色変換体5に吸収され、次いで黄色光に変換された。
【0193】
この素子の表面から照射された光を、積分球ISP500-100とCCD検出器CAS140CT-156(Instrument Systems社製、ミュンヘン)を備えた光度測定ツールを用いて、素子から照射された全光量を測定する光度測定に供した。測定された放射輝度スペクトルは、すべての関連する測光データ、例えばケルビン[K]でのCCT(=相関色温度)、黒体放射(Planck-curve)(BBL)からの色点の距離、発光効率およびウォールプラグ効率を導き出すために使用された。結果は、表VIIIおよびIXに示す。
【0194】
【0195】