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特許7251897澱粉系食材の炒め物用調味料、及び該調味料を使用した炒め物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】澱粉系食材の炒め物用調味料、及び該調味料を使用した炒め物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20230328BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20230328BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20230328BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20230328BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L5/10 Z
A23L7/109 A
A23L7/10 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018218111
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020080692
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池田 はるな
(72)【発明者】
【氏名】江尻 麗子
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-113145(JP,A)
【文献】特開2016-198028(JP,A)
【文献】国際公開第2004/045311(WO,A1)
【文献】特開2016-101138(JP,A)
【文献】超簡単パラパラ炒飯 cookpad,2018年07月29日,https://cookpad.com/recipe/5178256,レシピID:5178256
【文献】油を使わずマヨネーズで実際に料理してみた,2015年07月28日,https://news.mynavi.jp/article/20150728-a180/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/
A23L 5/
A23L 7/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相が水相であり、油脂を25~50質量%、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム0.2~0.5質量%、及び糖類を固形分換算で15~25質量%含有する澱粉系食材の炒め物用調味料。
【請求項2】
前記油脂が、20℃で液状の油脂である請求項1に記載の澱粉系食材の炒め物用調味料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の澱粉系食材の炒め物用調味料と澱粉系食材とを加熱しながら混合する澱粉系食材の炒め物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉系食材の炒め物調理に好適な調味料、及び該調味料を使用した炒め物の製造方法に関するものである。より詳しくは、調理する際に、米粒や麺が互いに結着せず、食感に優れた、チャーハン、焼きうどん等が得られる、澱粉系食材の炒め物用調味料、及び、該調味料を用いて調理する澱粉系食材の炒め物の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
炒め物料理は世界中で広く好まれて食される料理レシピのひとつであり、強火で食品素材を炒めて調理される。特に、澱粉系食材の炒め物料理である、炒飯等の炒め加工米飯や、焼うどん等の炒め加工麺は、澱粉の糊化によって米や麺が互いに付着しやすく、調理時に材料が上手く混ざらず、調理ムラが起きることで部分的な固化や焦げが発生し、食感を損なう問題があった。また、調理後も、時間の経過とともに、澱粉によって互いが結着したり、食材同士がべたつきやすくなる問題があった。
【0003】
これまで、大量に炒め加工する際に、熟練した経験を要することなく、食品が本来持っている風味、食感を維持しつつ、ロースト感、炒め感、調理感を付与した澱粉性加工食品を製造する方法として、澱粉性食材を、水溶性ヘミセルロース及び水不溶性食物繊維の存在下に炒め加工することを特徴とする、澱粉性加工食品の製造法が報告されている(特許文献1)。また、炒め調理時の澱粉系食材と調理器具との付着性を抑制できるだけでなく、食材を美味しく炒め調理することができる油脂組成物として、HLBが4.7~8である乳化剤を食用油脂に配合した油脂組成物が報告されている(特許文献2)。
しかしながら、加熱調理する際の澱粉系食材の結着を抑制し、食感に優れた炒め物を提供するには改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-316495号公報
【文献】特開2016-101138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、加熱調理する際に、米粒や麺が互いに結着せず、食感に優れた、チャーハン、焼きうどん等が得られる、澱粉系食材の炒め物用調味料、及び、該調味料を使用した炒め物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、連続相が水相であり、特定量の油脂、加工澱粉、及び糖類を含有する調味料が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0007】
(1)連続相が水相であり、油脂を10~65質量%、加工澱粉を0.1~5.0質量%、及び糖類を固形分換算で5~50質量%含有する澱粉系食材の炒め物用調味料。
(2)前記加工澱粉が、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含有する(1)に記載の澱粉系食材の炒め物用調味料。
(3)前記油脂が、20℃で液状の油脂である(1)又は(2)に記載の澱粉系食材の炒め物用調味料。
(4)(1)~(3)のいずれか1つに記載の澱粉系食材の炒め物用調味料と澱粉系食材とを加熱しながら混合する澱粉系食材の炒め物の製造方法
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、米飯、麺類等の澱粉系食材及び具材を、同時にフライパン等に入れて加熱しながら混ぜるだけで、調理時に米粒や麺が互いに結着せず、喫食時には、表面が滑らかで、適度な硬さで歯切れよい食感の、焼きうどん、チャーハン等が得られる、澱粉系食材の炒め物用調味料、及び、該調味料を用いて調理された澱粉系食材の炒め物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔澱粉系食材の炒め物用調味料〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、連続相が水相であり、特定量の油脂、加工澱粉、及び糖類を含有する。具体的には、本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、加工澱粉と糖類とが溶解した水相中に、油脂が乳化又は分散した状態にあり、好ましくは水中油型乳化物である。
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、澱粉系食材を炒める時だけでなく、炒め終了直前、又は調理後に味付けする目的でも使用することができる。本発明における澱粉系食材の炒め物とは、炒飯、ピラフ等の炒め加工米飯類、焼そば、焼うどん、スパゲッティー等の炒め加工麺類、その他これらに類する料理を指す。また、本発明における澱粉系食材の炒め物とは、調理前の食材全体に占める澱粉系食材(米飯類、麺類等)の割合が50質量%以上のもの指す。
【0010】
〔水相〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、水相を含有する。本発明における水相とは、水及び親水性原料の混合物を指す。前記親水性原料としては、水溶性又は水分散性で食用のものであれば特に限定されない。例えば、各種だし汁、食酢、醤油、食塩等の調味料、呈味料、エキス類、香料、増粘多糖類、食品素材の粉砕物、本発明の加工澱粉、本発明の糖類等が挙げられる。また、水は、食酢、醤油等の液体原料に含有されるものや、清水等で加水されるものが挙げられる。
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料の水相の含有量は、該水相が連続相となる量であれば特に限定されない。なお、本発明の炒め物用調味料の水分は、各原料に含まれる水分(清水等で加水されるものを含む)を合算して求めることができる。また、配合水以外の原料の水分は、常法の乾燥減量法(105℃,4時間)により求めることができる。本発明の炒め物用調味料中の水分は、10~80質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましく、25~40質量%が最も好ましい。
【0011】
〔油脂〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、油脂を10~65質量%含有する。前記油脂の含有量は、15~60質量%が好ましく、20~55質量%がより好ましく、25~50質量%が最も好ましい。前記油脂の含有量が上記の範囲にあると、加熱調理時に米粒や麺が互いに結着しない炒め物が得られる。
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料中に含まれる油脂は、食用油であれば特に限定されないが、大豆油、菜種油、コーン油、ヤシ油、パーム油、中鎖脂肪酸油、米油、ゴマ油、綿実油、ひまわり油、紅花油、亜麻仁油、シソ油、オリーブ油、落花生油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油、アボカド油、及び香味オイル(ハーブオイル、ガーリックオイル等)等から選択される1種の油脂又はこれらのうち2種以上を組み合わせた混合油脂が挙げられる。また、これらの油脂の分別油、硬化油、エステル交換油等を用いることもできる。また、前記油脂は、20℃で液状の油脂が好ましい。20℃で液状の油脂は、具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、中鎖脂肪酸油、米油、ゴマ油、綿実油、ひまわり油、紅花油、亜麻仁油、シソ油、オリーブ油、落花生油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、アボカド油等が挙られ、好ましくは、大豆油、菜種油、及びゴマ油から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
〔加工澱粉〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、加工澱粉を0.1~5.0質量%含有する。前記加工澱粉の含有量は、0.1~3.0質量%が好ましく、0.2~1.0質量%がより好ましく、0.2~0.5質量%が最も好ましい。前記加工澱粉の含有量が上記の範囲にあると、喫食時に、表面が滑らかで、適度な硬さで歯切れよい食感の炒め物が得られる。
なお、本発明の加工澱粉は、食品に一般的に使用されている加工澱粉であれば特に限定されないが、オクテニルコハク酸デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプンや、それらの塩等が使用でき、それらから選ばれる1種または2種以上を使用することができる。また、本発明の加工澱粉は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムを含有することが好ましい。
【0013】
〔糖類〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、糖類を固形分換算で5~50質量%含有する。前記糖類の含有量は、固形分換算で7~30質量%が好ましく、10~25がより好ましく、15~20質量%が最も好ましい。前記糖類の含有量が上記の範囲にあると、適度な硬さで歯切れよい食感の炒め物が得られる。
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料中に含まれる糖類は、特に限定されないが、砂糖、ショ糖、異性化液糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、水飴、蜂蜜等、転化糖、乳糖、シロップ、オリゴ糖、糖アルコール類等から選択される、1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。ここで、砂糖は、黒糖等の含蜜糖、並びに、上白糖、グラニュー糖、及び三温糖の分蜜糖等を、異性化液糖は、高果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖等を、及び、糖アルコール類はソルビトール、ラクチトール、還元パラチノース、マンニトール、還元澱粉糖化物等を含む。これらのうち、砂糖、ショ糖、異性化液糖、果糖、ぶどう糖、水飴、及び還元澱粉糖化物が好ましく、砂糖、異性化液糖、及び還元澱粉糖化物から選ばれる1種又は2種以上が特に好ましく用いられる。
なお、本発明の炒め物用調味料中に含まれる糖類は、本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料中に含まれる加工澱粉とは明確に区別される。
【0014】
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料中に含まれる糖類が液体状の糖類を含む場合は、液体状の糖類から水分を除いたものが、糖類の固形分に相当する。したがって、澱粉系食材の炒め物用調味料中に含まれる糖類が、液体状の糖類と固体状の糖類とを含む場合は、液体状の糖類中の固形分と固体状の糖類との合計量を、糖類の固形分換算の値として用いる。なお、液体状の糖類の固形分は、常法の乾燥減量法(105℃,4時間)により求めることができる。
【0015】
〔粘度〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、品温20℃における粘度が、好ましくは100~30000mPa・s、より好ましくは1000~20000mPa・s、さらにより好ましくは3000~15000mPa・s、最も好ましくは5000~10000mPa・sである。粘度が上記の範囲にあると、加熱調理時に米粒や麺が互いに結着しない炒め物が得られる。
なお、本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料の粘度は、BM型粘度計(ローターNo.3,12rpm,品温:20℃(10000mPa・sを超える場合は、6rpm))を用いて求めることができる。
【0016】
本発明では、澱粉系食材の炒め物用調味料の粘度を上記範囲内に設定するために増粘多糖類を配合することができる。前記増粘多糖類は、特に限定されないが、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、タマリンドシードガム、グアーガム等が使用でき、それらから選ばれる1種または2種以上を配合することができる。また、これらの増粘多糖類の配合量は、他の配合成分との兼ね合いで一概には範囲を規定しがたいが、おおむね0~3質量%でよい。
【0017】
〔その他の原料〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、本発明の効果を損なわない範囲で、乳化剤、各種だし汁、食酢、醤油、食塩等の調味料、呈味料、エキス類、香料、食品素材の粉砕物等を含有することができる。
【0018】
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、前記加工澱粉、油脂、及び糖類(固形分換算)の含有量が上記の範囲であると、さらに、
1)調理後、時間が経っても米粒や麺が互いに結着しない、
2)喫食時に、油っぽさを感じない、
3)調理後、時間が経っても皿底に本発明の調味料が落ちない、
などの副次的な効果を有する。
【0019】
〔製造方法〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、通常の調味料の製造方法に従って製造できる。以下、本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料の製造方法の一例を説明する。
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料の製造は、油脂以外の原料(加工澱粉、糖類、増粘多糖類、醤油、食塩、水等)を加熱撹拌して原料を均一に分散させる。加熱攪拌は加圧、減圧又は常圧下で可能であり、通常は常圧下で行われる。加熱温度に特に制限はなく、原材料が溶解、殺菌がなされる温度であればよく、通常は40~95℃の温度で、好ましくは60~95℃の温度で行われる。攪拌は原料の均一な分散等がなされるものであればどのようなものでも実施することができ、例えば、プロペラ、ホモミキサー、ブレンダー、ディスパー、パドルミキサー、コロイドミル、連続ミキサー、スタティックミキサー、超音波等の攪拌機又は方法を用いることができる。その後、60℃以下まで冷却し、得られたものに油脂を加え、混合して乳化又は分散することによって、澱粉系食材の炒め物用調味料を得る。
【0020】
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、ホットパック殺菌又はレトルト殺菌されていてもよい。澱粉系食材の炒め物用調味料をホットパック殺菌する方法及びホットパックの材質等に特に制限はなく、従来公知の方法及び材質のものを用いることができる。ホットパック充填条件についても特に制限はなく、従来公知の条件でよく、例えば45℃以上の温度、好ましくは60℃以上の温度で行うことができる。また、澱粉系食材の炒め物用調味料をレトルト殺菌する方法及びレトルト殺菌に用いる容器に特に制限はなく、従来公知の方法等を用いることができる。レトルト殺菌の方法としては、例えば120℃、30~60分等でよい。また、105~115℃の温度でのセミレトルト、130℃以上の温度のハイレトルト等であってもよい。
【0021】
〔澱粉系食材の炒め物の製造方法〕
本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料を使用した炒め物の製造方法は、調理するにあたり、フライパンや中華鍋等の調理器具に本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料を、米飯、麺類等の澱粉系食材と共に入れ(他の具材を含んでもよい)、従来の炒め物調理時と同様に加熱しながら混合するだけの操作でよい。また、本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、炒める時だけでなく、炒め終了直前、又は調理後に味付けする目的でも使用することができる。本発明の澱粉系食材の炒め物用調味料は、澱粉系食材を含む具材全体の重量(100質量%)に対して、5~20質量%を目安に添加することができる。
【実施例
【0022】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0023】
〔澱粉系食材の炒め物用調味料の製造〕
表1及び2に示した配合に従い、油脂(キャノーラオイル)以外の原料を撹拌機付きの加温可能な容器に投入し、撹拌混合しながら品温が90℃になるまで加熱保持して均一に混合した。次に、品温が50℃になるまで冷却後、混合液に油脂を投入して、攪拌混合し、澱粉系食材の炒め物用調味料(実施例1~5、比較例1~3)を製造した。また、通常、チャーハンや焼うどんの調理で使用される油脂として、キャノーラオイルを対照例とした。
また、表中の加工澱粉は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(商品名:C*EmTex 06369、Cargill社製)を使用した。
【0024】
製造した澱粉系食材の炒め物用調味料の粘度は、BM型粘度計(ローターNo.3,12rpm,品温:20℃(10000mPa・sを超える場合は、6rpm))で測定した。測定結果を表1及び2に示す。表中の「糖類の固形分換算値(質量%)」は、果糖ブドウ糖液糖から水分を除いた固形分を算出した数値、又は上白糖の配合量である。また、表中の「水分(質量%)」は、果糖ブドウ糖液糖、及び醤油の水分を算出し、加水した水の含量と合計した数値である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
〔澱粉系食材の炒め物用調味料の評価〕
上記で製造した澱粉系食材の炒め物用調味料を用いて、チャーハン、又は焼うどんを製造して各種の評価を行った。
1.チャーハンの調理方法
フライパン(直径26cm)に澱粉系食材の炒め調理用油脂組成物(対照例、実施例1~5、比較例1~3)15gを入れ、中火で1分間温めた。次に、炊き上げた白飯200gを入れ、炒めた。その後、皿に移して10分間放冷した。
2.焼うどんの調理方法
フライパン(直径26cm)に澱粉系食材の炒め調理用油脂組成物(対照例、実施例1~5、比較例1~3)15gを入れ、中火で1分間温めた。次に、うどん麺135gを入れ、炒めた。その後、皿に移して10分間放冷した。
【0028】
3.調理時の澱粉系食材の結着の評価
上記で調理したチャーハン、又は焼うどんについて、調理時の食材の結着の程度について下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
(採点基準)
2点:対照例を使用した炒め物よりも結着が無く、混ぜ易い。
1点:2点の評価よりも若干結着があるが、混ぜ易い。
0点:対照例を使用した炒め物と同等か、それ以上の結着があり、混ぜ難い。
(評価基準)
9以上10以下:◎(非常に良好)
6以上8以下 :○(良好)
0以上5以下 :×(不良)
【0029】
4.調理後の澱粉系食材の結着の評価
上記で調理したチャーハン、又は焼うどんについて、調理後の食材の結着の程度について下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
2点:対照例を使用した炒め物よりも結着が無く、ほぐれ易い。
1点:2点の評価よりも若干結着があるが、ほぐれ易い。
0点:対照例を使用した炒め物と同等か、それ以上の結着があり、ほぐれ難い。
(評価基準)
9以上10以下:◎(非常に良好)
6以上8以下 :○(良好)
0以上5以下 :×(不良)
【0030】
5.喫食時の油っぽさの評価
上記で調理したチャーハン、又は焼うどんについて、喫食時の油っぽさについて下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
2点:対照例を使用した炒め物よりも油っぽさを感じない。
1点:対照例を使用した炒め物よりも油っぽさを感じないが、2点の評価よりも若干油っぽさを感じる。
0点:対照例を使用した炒め物と同等か、それ以上の油っぽさを感じる。
(評価基準)
9以上10以下:◎(非常に良好)
6以上8以下 :○(良好)
0以上5以下 :×(不良)
【0031】
6.喫食時の表面が滑らかな食感の評価
上記で調理したチャーハン、又は焼うどんについて、喫食時の表面が滑らかな食感について下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
2点:対照例を使用した炒め物よりも表面が滑らかな食感である。
1点:対照例を使用した炒め物よりも表面が滑らかな食感であるが、2点の評価よりも若干表面がざらついた食感である。
0点:対照例を使用した炒め物と同等か、又は、表面がざらついた食感である。
【0032】
7.喫食時の適度な硬さで歯切れよい食感の評価
上記で調理したチャーハン、又は焼うどんについて、喫食時の歯切れよい食感について下記の採点基準に従って採点をし、5人の合計点から下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表3に示す。
2点:対照例を使用した炒め物よりも適度な硬さで歯切れよい食感である。
1点:対照例を使用した炒め物よりも適度な硬さで歯切れよい食感であるが、2点の評価よりも若干硬さが劣る食感である。
0点:対照例を使用した炒め物と同等か、又は、硬さが劣る食感である。
【0033】
8.総合評価
上記のチャーハン、及び焼うどんの評価結果から、下記の基準に従って総合評価した。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
評価結果に“×”を含まず、“◎”が4~5個 :◎(非常に良好)
評価結果に“×”を含まず、“◎”が3個以下 :○(良好)
評価結果のいずれかに“×”がある :×(不良)
【0034】
【表3】