(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-27
(45)【発行日】2023-04-04
(54)【発明の名称】センサ装置およびセンサ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20230328BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20230328BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20230328BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20230328BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
H01L23/02 J
G01N27/22 Z
G01N27/00 B
G01N27/04 Z
G01N27/12 G
H01L23/02 F
H01L23/02 C
(21)【出願番号】P 2019084723
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】口地 博行
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-097026(JP,A)
【文献】特開2015-148540(JP,A)
【文献】特開2009-288138(JP,A)
【文献】特開2011-114054(JP,A)
【文献】特開2005-354081(JP,A)
【文献】特開2004-184145(JP,A)
【文献】特開2019-028055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
H01L 21/339
H01L 21/54
H01L 23/00-23/04
H01L 23/06-23/10
H01L 23/16-23/26
H01L 27/14-27/148
H01L 29/762
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部を露出させるための開口を備えたセンサ装置であって、
センサ部を有するベース基板と、センサ部を露出するための開口を備えたリッド基板とを有し、前記ベース基板と前記リッド基板とが、前記センサ部の外周部および前記ベース基板の周縁部において気密に接合されているセンサ装置。
【請求項2】
前記ベース基板と前記リッド基板とが金属バンプを介して接合されている請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ部と接続された回路部をさらに有し、前記回路部の接続部が前記センサ部の外周部と前記ベース基板の周縁部との間の前記ベース基板の表面に形成されている請求項1または2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記ベース基板、前記リッド基板、および前記ベース基板と前記リッド基板との接合部で囲まれた領域に接続電極および貫通電極が形成され、ベース基板裏面に形成される接続端子に接続される請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
(A)センサ部がマトリクス状に形成される第1集合基板を準備する工程と、
(B)前記第1集合基板上に重ねられた場合に前記センサ部を露出させる開口がマトリクス状に形成される第2集合基板を準備する工程と、
(C)前記第1集合基板と前記第2集合基板とを、前記センサ部と前記開口とが一致するように重ね合わせ、前記センサ部の外周部、および前記第1集合基板および前記第2集合基板の切断予定領域の前記センサ部側の前記センサ部を囲む領域で接合する工程、
(D)前記第1集合基板および前記第2集合基板を前記切断予定領域で切断し、個片化する工程と
を含むセンサ装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1集合基板の前記センサ部の外周部および前記切断予定領域の前記センサ部側の領域と、前記第2集合基板の前記開口の外周部および前記切断予定領域の前記開口側の領域とを金属バンプを介して接合する請求項5記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属バンプに囲まれた領域に処理回路を形成する工程を含む請求項6記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1集合基板および前記第2集合基板がシリコン基板からなる請求項5~7のいずれか1項に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1集合基板および前記第2集合基板の切断の際に、前記切断予定領域の前記第1集合基板と前記第2集合基板との間に充填剤を配置する請求項5~8のいずれか1項に記載のセンサ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置およびセンサ装置の製造方法に関し、特にセンサ部を露出させる開口を備えながら、回路部を封止するセンサ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種のセンサの需要は大幅に高まってきており、例えば車載センサとして、ヘッドライトを明るさに応じて点灯させる照度センサ、4輪のブレーキ、アクセルの制御を行うデータを提供するため、車の姿勢を検知するジャイロセンサ、或いはガソリンタンクの漏れを検知したり、着座している人を検知したりする圧力センサ等、多種多様のセンサが搭載されている。
【0003】
また、最近の低燃費化の流れから、混合ガスを作る際に使用する空気の湿度を検出して、ガソリンと空気の混合比を変化させて低燃費化の対応を図る湿度センサも使用されている。この湿度センサについては、上記のようにエンジン周辺に配置されているものだけでなく、フロントガラスの曇り止めのためや、ガラス表面温度を熱伝導率が高い金属を介して測った温度測定結果と共に雰囲気湿度の測定結果をオートエアコンにフィードバックするシステム等に利用されている。このような車載品に限らず、民生品への新たなセンサの搭載も活発で、スマートフォン、歩数計等に絶対圧計を搭載し、そこから得られる絶対圧の情報から高度を割り出し、3軸加速度センサから歩数をカウントし、それに高度情報を加えることで正確な運動に伴う消費カロリーを算出するヘルスケア向けの展開も活発である。
【0004】
さらに、世界的な環境問題に発展している中国のPM2.5による健康への懸念のため、特に中国市場にて販売が好調である空気清浄機に温度、湿度センサは標準的に搭載されている。この湿度センサについては、湿度の感知方式の違いから抵抗式と静電容量式の2つがあるが、どちらも一般にIDT電極等に被覆させた感湿膜が雰囲気湿度によりに水分が吸着すると、電気的な容量が変化する特性(抵抗式では抵抗値の変化、静電容量式では容量値の変化)を利用したものである。この感湿膜には、有機膜、酸化膜などの様々な種類の材料が用いられており、有機膜としては、例えばポリイミドが用いられる。感湿膜は上記目的から、外気の雰囲気に曝す必要があり、従来は、キャビティ状のセラミックパッケージ等の中にセンサ素子を搭載し、外気導入孔を開けたセラミックリッド等の蓋を被せた中空パッケージを適用していた。
【0005】
しかし、近年のコストダウンの流れから、リードフレーム等のインターポーザ上にセンサ素子を搭載し、一般的な樹脂モールドを行い、その際、チップ上の必要な感湿膜エリアのみを部分的に開口したセンサパッケージ(特許文献1)が上市されるようになった。
【0006】
また、製造方法としては、多数個のチップを集合・形成した集合基板に一括して樹脂モールドを行い、その後、ダイシングソーを用いて切断して個片化するMAP(Mold Array Package)生産方式が採用されており、高い生産性と材料利用率を上げることによる低コスト化が図られている。
【0007】
従来の開口を有するセンサ装置600の構成を
図8に示す。基板602上に、センサチップ604が実装され、これらセンサチップ上の一部(例えば、センサ部)の開口606の位置に金型突起部を押し当てた状態で、金型のキャビティ空間に樹脂603を流し込むことにより、各センサチップの外周部がモールド成型され、封止される。ポリイミド膜等の緩衝材605は、樹脂を流し込む際に、金型突起部の端部とセンサチップとの接触部位から樹脂がセンサ部に漏れないようにセンサチップ604の周縁部に設けられている。
【0008】
このような樹脂モールドセンサパッケージの改良された製造方法としては、特許文献2に突起部を個別または数個ごとに移動可能とした金型を用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3173006号公報
【文献】特開2016-155301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、
図8における緩衝材の形成は、センサチップのウエハプロセスにおいて、薄い皮膜を形成、仮乾燥させた後、露光、現像、加熱等の追加工程が必要であり、材料費、工程数の追加によって、コスト高となっている。さらに温度センサ等ではポリイミドなどの樹脂の使用は吸湿による外乱影響があり好ましくない。
【0011】
また、緩衝材を用いない場合、開口の樹脂/センサ部表面界面からの水分侵入のリスクもあり、さらには開口金型とセンサのクリアランスを取る必要があり、小型化の障害となっている。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点を解消し、センサ部を露出させる開口を備えた各種センサ装置であって、感度が高く、低コストで製造でき、小型化が可能な、信頼性の高いセンサ装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、センサ領域を露出させる開口を有するセンサ装置において、上記目的を達成するため、樹脂モールドによる封止ではなく、センサ部を有するベース基板とセンサ部を露出させるための開口を有するリッド基板とを重ね合わせ、ベース基板とリッド基板とを、センサ部の外周部(すなわち、開口の外周部)とベース基板の周縁部において気密に接合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、
[1]センサ部を露出させるための開口を備えたセンサ装置であって、
センサ部を有するベース基板と、センサ部を露出するための開口を備えたリッド基板とを有し、前記ベース基板と前記リッド基板とが、前記センサ部の外周部および前記ベース基板の周縁部において気密に接合されているセンサ装置、
[2]前記ベース基板と前記リッド基板とが金属バンプを介して接合されている上記[1]記載のセンサ装置、
[3]前記センサ部と接続された回路部をさらに有し、前記回路部の接続部が前記センサ部の外周部と前記ベース基板の周縁部との間の前記ベース基板の表面に形成されている上記[1]または[2]記載のセンサ装置、
[4]前記ベース基板、前記リッド基板、および前記ベース基板と前記リッド基板との接合部で囲まれた領域に接続電極および貫通電極が形成され、ベース基板裏面に形成される接続端子に接続される上記[1]~[3]のいずれかに記載のセンサ装置、
[5](A)センサ部がマトリクス状に形成される第1集合基板を準備する工程と、
(B)前記第1集合基板上に重ねられた場合に前記センサ部を露出させる開口がマトリクス状に形成される第2集合基板を準備する工程と、
(C)前記第1集合基板と前記第2集合基板とを、前記センサ部と前記開口とが一致するように重ね合わせ、前記センサ部の外周部、および前記第1集合基板および前記第2集合基板の切断予定領域の前記センサ部側の前記センサ部を囲む領域で接合する工程、
(D)前記第1集合基板および前記第2集合基板を前記切断予定領域で切断し、個片化する工程と
を含むセンサ装置の製造方法、
[6]前記第1集合基板の前記センサ部の外周部および前記切断予定領域の前記センサ部側の領域と、前記第2集合基板の前記開口の外周部および前記切断予定領域の前記開口側の領域とを金属バンプを介して接合する上記[5]記載のセンサ装置の製造方法、
[7]前記金属バンプに囲まれた領域に処理回路を形成する工程を含む上記[6]記載のセンサ装置の製造方法、
[8]前記第1集合基板および前記第2集合基板がシリコン基板からなる上記[5]~[7]のいずれかに記載のセンサ装置の製造方法、
[9]前記第1集合基板および前記第2集合基板の切断の際に、前記切断予定領域の前記第1集合基板と前記第2集合基板との間に充填剤を配置する[5]~[8]のいずれかに記載のセンサ装置の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサ部を有するベース基板と、センサ部を露出するための開口を備えたリッド基板とを有し、前記ベース基板と前記リッド基板とが、前記センサ部の外周部および前記ベース基板の周縁部において気密に接合されているセンサ装置とすることにより、センサ部を露出させた、感度が高く、低コストで製造でき、小型化が可能な、信頼性の高い物理量検出が可能となる。
【0016】
また、本発明のセンサ装置の製造方法によれば、(A)センサ部がマトリクス状に形成される第1集合基板を準備する工程と、(B)前記第1集合基板上に重ねられた場合に前記センサ部を露出させる開口がマトリクス状に形成される第2集合基板を準備する工程と、(C)前記第1集合基板と前記第2集合基板とを、前記センサ部と前記開口とが一致するように重ね合わせ、前記センサ部の外周部、および前記第1集合基板および前記第2集合基板の切断予定領域の前記センサ部側の前記センサ部を囲む領域で接合する工程と、(D)前記第1集合基板および前記第2集合基板を前記切断予定領域で切断し、個片化する工程とを含むものとすることにより、感度が高く、信頼性の高い小型のセンサ装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施態様であるセンサ装置の平面説明図である。
【
図2】
図1のセンサ装置のII-II断面の説明図である。
【
図3】
図1または2のセンサ装置のリッド基板と、ベース基板との分解斜視図である。
【
図4】センサ装置のベース基板の第1集合基板の一実施態様を示す説明図である。
【
図5】センサ装置のリッド基板の第2集合基板の一実施態様を示す説明図である。
【
図6】
図4の第一集合基板と
図5の第2集合基板とを接合させたセンサ装置集合基板を示す説明図である。
【
図7】
図6のセンサ装置集合基板を個片化して得られたセンサ装置のリッド基板と、金属バンプと、ベース基板との分解斜視図である。
【
図8】従来の開口を有するセンサ装置の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のセンサ装置について、添付の
図1~3を参照して説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、以下に説明する部材、材料等は、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。また、図面において、同一符号は同等あるいは同一のものを示す。
【0019】
図1は本発明の一実施態様であるセンサ装置のリッド基板側から見た平面説明図であり、そのII-II断面図である
図2と、分解斜視図である
図3と共に本発明のセンサ装置を説明する。センサ装置100は、ベース基板101の中央に検出部であるセンサ部103を備え、センサ部103は、リッド基板102に設けられた開口104により露出しており、ベース基板101上の接続電極107や貫通電極109などは、センサ部の外周部およびベース基板の周縁部の接合材(105、106)でリッド基板102により封止されている。そして、ベース基板101には、その裏面に接続電極端子108が設けられ、貫通電極109によりベース基板上の接続電極107と接続することができる。
【0020】
本発明の一実施態様においては、センサ装置は、センサ部103と接続された、例えばセンサ部の制御回路やセンサ部から出力される信号の処理回路等を含む回路部をさらに有し(図示せず)、回路部の接続部がセンサ部103の外周部とベース基板の周縁部との間のベース基板101の表面に形成されており、
図2および
図3中の接続電極107などが相当する。また。別の実施態様において、ベース基板101、リッド基板102、およびベース基板と前記リッド基板との接合部(105、106)で囲まれた領域に接続電極107および貫通電極109が形成され、ベース基板101裏面に形成される接続端子108に接続される。
【0021】
ベース基板101の材質は、目的とする物理量検出に影響を及ぼさない絶縁性の材料であれば、特に限定されるものではなく、例えば、セラミックス、ガラス、シリコン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂、UV硬化樹脂などの合成樹脂材料などが挙げられる。また、センサの感度の観点からはシリコン、セラミックまたはガラスなどの吸湿等の影響を受けない材料が好ましく、またセンサ装置に処理回路などの回路部を内蔵させる場合には、シリコンが最も好ましい。
【0022】
ベース基板101の形状は、特に限定されるものではなく、矩形、円形、楕円形などとすることができる。
【0023】
リッド基板102の材質は、上述のベース基板101と同様の材料から選択することができる。センサの感度の観点からはシリコン、セラミックまたはガラスなどの吸湿等の影響を受けない材料が好ましい。また、製造上の観点からは、開口104を容易に作製できる材料や、ベース基板101となる第1集合基板と同じ材料を用いることが好ましい。
【0024】
センサ部103は、検出対象である物理量を検出する領域(センシング領域)であり、その構造は、特に限定されるものではなく、検出対象に適した構造が採用される。本発明の態様によれば、センサ部103をすべて外部に露出させることが可能である。センサ部103は、ベース基板101上に直接形成してもよく、あるいは別部材で作製したセンサ素子としてベース基板101に実装させてもよい。
【0025】
開口104は、センサ部103を露出させるためのものであり、貫通穴である。センサ部全体を露出させるように、センサ部の形状にあわせたセンサ部よりも一回り大きなものが好ましい。センサ部以外の領域の活用のためには、開口は大き過ぎないことが好ましい。
【0026】
接続電極107、接続端子108および貫通電極109としては、公知の電極材料を用いることができ、例えば、銅、アルミニウム、金、白金、クロム、ニッケル、チタンからなる材料が挙げられる。
【0027】
また、貫通電極109は、例えば、ドライエッチングで貫通孔を開けたのち、貫通孔壁面を酸化し、金属(金等)メッキや導電性ポリシリコン等の導電性物質を埋め込むことによって形成されており、この導電性物質の充填により気密に保たれる。
【0028】
ベース基板101とリッド基板102とは、接合材(105、106)によりセンサ部の外周部とベース基板の周縁部とで接合されている。接合材(105、106)としては、低融点金属、例えばAu-Sn合金、Au-Pb合金、Ag、Auなどの金属などを使用することができ、例えば、ベース基板101およびリッド基板102の対応する領域に金属膜を設け、金属バンプを介して接合することができる。これにより、ベース基板101、リッド基板102、およびベース基板101とリッド基板102との接合部で囲まれた領域はより気密性が高まり、水分侵入のリスクは軽減されたものになる。したがって、このベース基板101、リッド基板102、およびベース基板101とリッド基板102との接合部で囲まれた領域には、ベース基板の表面に回路部を設けることができる。
【0029】
本発明のセンサ装置の製造方法は、(A)センサ部がマトリクス状に形成される第1集合基板を準備する工程と、(B)第1集合基板上に重ねられた場合にセンサ部を露出させる開口がマトリクス状に形成される第2集合基板を準備する工程(C)第1集合基板と第2集合基板とを、センサ部と開口とが一致するように重ね合わせ、センサ部の外周部、および第1集合基板および第2集合基板の切断予定領域のセンサ部側のセンサ部を囲む領域で接合する工程、(D)第1集合基板および第2集合基板を切断予定領域で切断し、個片化する工程とを含むセンサ装置の製造方法であることを特徴とする。また、上記センサ装置についての説明は、センサ装置の製造方法の説明においても適用されるものとする。
【0030】
以下、
図4~7を用いて本発明のセンサ装置の製造方法の一実施態様を説明するが、
図4~7は、第1集合基板200のセンサ部103の外周部および切断予定領域400のセンサ部側の領域に第1金属膜105aおよび第2金属膜106aをそれぞれ形成しておき、第2集合基板300の開口104の外周部および切断予定領域400の開口側の領域に第3金属膜105bおよび第4金属膜106bをそれぞれ形成しておき、金属バンプ(105、106)を介して第1集合基板200と第2集合基板300とを接合するセンサ装置の製造方法の一例である。
【0031】
まず、センサ部103がマトリクス状に形成される第1集合基板200を準備する。第1集合基板200には、センサ部103とセンサ部の外周部に形成された第1金属膜105a(
図7参照)と、ベース基板周囲に形成された第2金属膜106a(
図7参照)とを備える複数のベース基板101が、切断予定領域400を介して連続してマトリクス状に形成されている(
図4参照)。センサ部103は、ベース基板101上に直接形成してもよく、あるいは別部材で作製したセンサ素子としてベース基板101に実装させてもよい。また、第1集合基板におけるベース基板101のマトリクスのピッチは、センサ装置に適した大きさとなるように、適宜設定することができる。金属膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、めっき法、種々の印刷法などにより成膜・パターン形成することができる。これらの方法は、一般的な半導体装置の製造工程で用いられる方法と同じ方法となる。なお、
図4においては、センサ部外縁部に形成される第1金属膜105aおよびベース基板周囲に形成される第2金属膜106aは、その上に接合材としての金属バンプ(105、106)が設けられているため、図示されていない。
【0032】
また、第1集合基板200の各ベース基板101上には、第1金属膜105aおよび第2金属膜106aに囲まれた領域に、接続電極107および貫通電極109を形成し、ベース基板101の裏面に接続端子108を形成する。接続電極107は、センサ部と貫通電極とを接続させるために設けられる。センサ部103と接続電極107との接続は、例えば、センサ部103の下部、ベース基板内を通り、ベース基板101の表面で接続電極107に接続される。接続電極107および接続端子108の形状は、特に限定されるものではないが、センサ装置の小型化の観点から平板状、または薄膜状であることが好ましく、スパッタリング法、真空蒸着法、めっき法、種々の印刷法などにより成膜・パターン形成することができる。これらの方法は、一般的な半導体装置の製造工程で用いられる方法と同じ方法となる。
【0033】
貫通電極109の形成は、上述したように、例えば、ドライエッチングで貫通孔を開けたのち、貫通孔壁面を酸化し、金属(金等)メッキや導電性ポリシリコン等の導電性物質を埋め込むことによって形成されており、この導電性物質の充填により気密に保たれる。
【0034】
金属バンプ105、106は、第1集合基板200および第2集合基板300のいずれに形成してもよい。第1集合基板200に形成する場合には、センサ部103の外周部および切断予定領域400のセンサ部側の領域にそれぞれ形成される第1金属膜105aおよび第2金属膜106aのそれぞれに金属バンプ(105、106)が形成される。金属バンプの製造方法は、例えば、ペースト状にしてスクリーン印刷法やメッキ法などによって形成される。
【0035】
一方、第1集合基板上に重ねられた場合に前記センサ部を露出させる開口がマトリクス状に形成される第2集合基板300を準備する。第2集合基板300には、ベース基板101のマトリクスと縦横それぞれ同じピッチで複数のリッド基板102を切断予定領域400を介して連続してマトリクス状に形成し、第1集合基板200上に重ねられたとき、センサ部103を露出させる開口104を備える(
図5参照)。第2集合基板300におけるリッド基板102のマトリクス形状を第1集合基板200におけるベース基板101のマトリクス形状と縦横それぞれ同じピッチとすることにより、第1および第2の集合基板(200、300)同士を重ねあわせて金属バンプ(105、106)を介して接合し、複数のセンサ装置100が切断予定領域400を介して連続してマトリクス状に形成されたセンサ装置集合基板500(
図6)を得ることができる。
【0036】
第2集合基板300の各リッド基板201に形成される、センサ部103を露出させる開口104は、第2集合基板300を金型形成により作製する場合には、基板の作成と同時に形成することができる。また、開口104は、第2集合基板300を用意した後、機械加工などにより形成してもよい。
【0037】
本発明の一実施態様においては、ベース基板101を有する第1集合基板200の、センサ部103の外周部に形成される第1金属膜105aおよび切断予定領域400のセンサ部側の領域に形成される第2金属膜106aにより囲まれた領域に、処理回路などの回路部の回路パターンが形成される(図示せず)。
【0038】
得られたセンサ装置集合基板500は、切断予定領域400で切断し、個片化する(
図6参照)。この工程は、公知のダイシングソーなどを用いて、例えば
図6の切断予定領域400にダイシングソーを走行させることにより、切断予定領域400を除去することで行うことができる。ここで、第2集合基板300に設けられている開口104は、本工程の前に、開口面をシート材で被覆し、本工程においてセンサ装置集合基板500を第1集合基板200側からシート材を切断しないように切断することが好ましい。このように開口104をシート材で被覆することにより、個片化が容易となるのみならずセンサ部への異物の混入を防ぐことができる。なお、
図7は、個片化されたセンサ装置のリッド基板と、接合材と、ベース基板との分解斜視図を示している。
【0039】
本発明の一実施態様においては、第1集合基板と第2集合基板とを接合した後、第1集合基板と第2集合基板との切断の際に、切断予定領域400の第1集合基板と第2集合基板との間に充填剤を配置する。充填剤としては、シリコーン樹脂など各種接着部材などを用いることができる。
【0040】
また、個片化後、電気的検査やセンサのキャリブレーションを行う場合には、上述したように開口をシート材で被覆した後、センサ装置集合基板の第1集合基板側の面にもシート材を貼り付け、第2集合基板側から第1集合基板に貼られたシート材を切断しないように切断し、その後、第2集合基板に貼られたシート材を剥離し、センサ表面を露出させ、センサ装置が、第1集合基板に貼られたシート材に整列配置された状態で行うことが好ましい。
【0041】
シート材としては、ポリ塩化ビニル基材あるいはポリオレフィン基材上にUV硬化または加熱により接着力を無くすことのできる接着層を備えたダイシングテープなどが好ましく用いられる。
【0042】
センサ装置100による測定対象は、特に限定されるものではないが、光、温度、湿度、圧力、位置、抵抗、電気的容量、各種化学物質等などが挙げられ、特に検出部を完全に露出できることから、光、温度、湿度などの検出に有利である。
【符号の説明】
【0043】
100 センサ装置
101 ベース基板
102 リッド基板
103 センサ部
104 センサ部を露出させるための開口
105 接合材
106 接合材
105a センサ部の外周部に形成された第1金属膜
105b 開口の外周部に形成された第3金属膜
106a 切断予定領域のセンサ部側の領域に形成された第2金属膜
106b 切断予定領域の開口側の領域に形成された第4金属膜
107 接続電極
108 接続端子
109 貫通電極
200 第1集合基板
300 第2集合基板
400 切断予定領域
500 センサ装置集合基板
600 センサ装置
601 導電領域
602 基板
603 樹脂
604 センサチップ
605 ポリイミド樹脂
606 センサ領域を露出させるための開口