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  • 特許-多孔質グラファイトペリクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-28
(45)【発行日】2023-04-05
(54)【発明の名称】多孔質グラファイトペリクル
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/62 20120101AFI20230329BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230329BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F7/20 503
G03F7/20 521
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020521289
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018080415
(87)【国際公開番号】W WO2019101517
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】17202767.4
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ナザレヴィッチ,マキシム,アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】クルガノワ,エフゲニア
(72)【発明者】
【氏名】ノッテンブーム,アーノウド,ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ツヴォル,ピーター-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴレス,デイビッド,フェルディナンド
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534077(JP,A)
【文献】特開2014-193804(JP,A)
【文献】特開2011-222378(JP,A)
【文献】特開2007-326732(JP,A)
【文献】特開2009-023871(JP,A)
【文献】特開2006-273712(JP,A)
【文献】国際公開第2016/061225(WO,A1)
【文献】特開2011-173743(JP,A)
【文献】特開2016-080967(JP,A)
【文献】特開2017-083791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置のためのペリクルを製造する方法であって、前記ペリクルを3次元テンプレートにおいて成長させることを含み、前記テンプレートはゼオライトであり、前記ペリクルは90%を超えるEUV透過率を有する、方法。
【請求項2】
前記ゼオライトは、Zeolite A、Zeolite beta、モルデナイト、Zeolite Y、ZSM-5、又は菱沸石から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼオライトは改質ゼオライトであり、前記改質ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされたゼオライトを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、炭素源を提供することと、前記炭素源を前記3次元テンプレートの材料内に進入させることを含み、前記気体状炭素源は少なくとも1つの飽和又は不飽和のC1~C4炭化水素を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記気体状炭素源は、メタン、エタン、エテン、エチン、プロパン、プロペン、プロパジエン、プロピン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブタトリエン、及びブチンのうち少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記3次元テンプレートを第1の温度まで加熱して前記炭素源を炭化させることを含み、前記第1の温度は約350℃から約800℃である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記3次元テンプレートは前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記3次元テンプレートを溶解させて前記炭素質ペリクルを解放する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記3次元テンプレートは、強酸に暴露することで溶解される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記3次元テンプレートは、シリコンウェーハを用いて生成され、前記シリコンウェーハの少なくとも一部がゼオライトに変換されるか、又は前記シリコンウェーハの表面上にゼオライト膜が堆積される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ペリクルの製造における3次元テンプレートの使用であって、前記3次元テンプレートは、その内部に90%を超えるEUV透過率を有するペリクルが製造されるように構成され、前記3次元テンプレートは改質ゼオライトであり、前記改質ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされている、3次元テンプレートの使用。
【請求項12】
ペリクルの製造のための3次元テンプレートであって、前記3次元テンプレートは、その内部に90%を超えるEUV透過率を有するペリクルが製造されるように構成され、前記テンプレートはゼオライトを含み、前記ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされている、3次元テンプレート。
【請求項13】
ゼオライトの内部細孔構造に実質的に対応する3次元構造を有するペリクルであって、前記ペリクルは炭素質であり、90%を超えるEUV透過率を有する、ペリクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2017年11月21日に出願されたEP出願第17202767.4号の優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、リソグラフィ装置のためのペリクルを製造する方法、この製造方法に従って作製されたペリクルの使用、リソグラフィ装置のためのペリクルを製造するための3次元テンプレートの使用、及びリソグラフィ装置において使用されるペリクルに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)からのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板にパターンを投影するためリソグラフィ装置が用いる放射の波長は、その基板上に形成することができるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nm内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を用いたリソグラフィ装置を使用すると、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長の電磁放射を使用できる)よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、パターニングデバイスを通過するか又はパターニングデバイスを反射して、基板上に像を形成する。浮遊粒子(airborne particles)又は他の形態の汚染からパターニングデバイスを保護するため、ペリクルを提供することができる。パターニングデバイスの表面上の汚染は、基板上に製造欠陥を引き起こす可能性がある。
【0006】
[0006] ペリクルは、パターニングデバイス以外の光学コンポーネントを保護するためにも提供することができる。また、ペリクルを用いて、相互に密閉されたリソグラフィ装置の領域間にリソグラフィ放射のための通路を提供できる。ペリクルは、スペクトル純度フィルタのようなフィルタとしても使用することができる。リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置内部は、過酷な環境であることがあるので、ペリクルは優れた化学的及び熱的な安定性を示す必要がある。
【0007】
[0007] 既知のペリクルは例えば、シリコン膜、窒化シリコン、グラフェン又はグラフェン誘導体、カーボンナノチューブ、又は他の膜材料のような、自立膜(freestanding membrane)を含み得る。マスクアセンブリは、パターニングデバイス(例えばマスク)を粒子汚染から保護するペリクルを含むことができる。ペリクルがペリクルフレームによって支持されることで、ペリクルアセンブリを形成できる。ペリクルは、例えばペリクル境界領域をフレームにのり付けすることでフレームに取り付ければよい。フレームは、永続的に又は着脱可能にパターニングデバイスに取り付けることができる。
【0008】
[0008] 使用中、リソグラフィ装置におけるペリクルの温度は、約500℃から1000℃の間のいずれか又はそれ以上に上昇する。こういった高温はペリクルに損傷を与える可能性があり、従って、ペリクルの動作温度を低下させてペリクル寿命を改善するため、熱を放散する方法を改良することが望まれている。
【0009】
[0009] 自立グラフェン膜又は他の炭素ベースの膜を含むペリクルのような炭素質ペリクルの寿命は限定され得ること、及び、炭素ベースのペリクルはリソグラフィ装置で使用される場合に特定の欠点があり得ることがわかっている。
【0010】
[00010] グラフェンペリクルは、1つ以上の平行な薄いグラフェン層を含む。このようなペリクルは、例えば約6~10nmの厚さであり、高い密度を示し得る。このようなグラフェンペリクルの構造のため、ペリクルを通過するEUV放射の均一性は実質的に変化しない。しかしながら、製造される方法に応じて、一部のグラフェンペリクルは比較的低い材料強度を有する場合がある。グラフェンは、既知の材料の中で最も強い材料ではないものの、最も強い既知の材料の中の1つであるが、グラフェンペリクルが上に生成される基板によって生じるグラフェン層表面のラフネスは、ペリクルの強度に悪影響を及ぼす。ペリクルの使用中、ペリクルが用いられるリソグラフィ装置にガスを流すことがある。また、露光中、ペリクルはEUV放射から著しい熱負荷を受ける。このようなファクタによって誘起されるペリクルの応力変動の結果、ペリクルが充分に強くない場合はペリクルに損傷が加わる可能性がある。ペリクルが破壊し、リソグラフィ装置の様々な部分を汚染する恐れがある。これは望ましくない。
【0011】
[00011] 別のタイプの炭素質ペリクルはカーボンナノチューブに基づくものである。このようなペリクルは、多層グラフェンペリクルと同じ高密度の平行な層構造を持たず、メッシュ状のカーボンナノチューブのネットワークで形成されている。カーボンナノチューブベースのペリクルの境界は多層グラフェンペリクルの境界よりも画定されておらず、カーボンナノチューブは、例えば散乱のため、ペリクルを通過する放射ビームの均一性を変化させる可能性がある。放射ビームの均一性の変化は最終生成物に反映され得るので、これは望ましくない。リソグラフィ機械によって極めて高い精度が要求されることを考慮すると、放射ビームの均一性のわずかな差でさえ、露光性能の低下を招く恐れがある。しかしながら、カーボンナノチューブに基づくペリクルの利点は、このようなペリクルは強いのでリソグラフィ装置で使用するための強度要件を満たせることである。
【0012】
[00012] 従って、EUVリソグラフィ装置のようなリソグラフィ装置において使用できる充分な強さがあり、例えば90%を超える高いEUV透過率を有し、ペリクルを通過する放射ビームの均一性に悪影響を及ぼさない炭素質ペリクルを製造するための方法を提供することが望まれている。
【0013】
[00013] 本出願は一般にリソグラフィ装置の文脈で、特にEUVリソグラフィ装置の文脈でペリクルに言及するが、本発明はペリクル及びリソグラフィ装置だけに限定されず、本発明の主題が他の任意の適切な装置又は環境において使用され得ることは認められよう。
【0014】
[00014] 例えば、本発明の方法はスペクトル純度フィルタにも等しく適用することができる。プラズマを用いてEUV放射を発生させるもの等のEUV源は、実際には、所望の「帯域内の」EUV放射を放出するだけでなく、望ましくない(帯域外の)放射も放出する。この帯域外の放射で最も注目すべきものは、深UV(DUV)放射範囲(100~400nm)である。更に、例えばレーザ生成プラズマEUV源等のいくつかのEUV源の場合、例えば10.6ミクロンのレーザから放出される放射は帯域外放射(例えばIR放射)の源となり得る。
【0015】
[00015] リソグラフィ装置では、いくつかの理由でスペクトル純度が望まれる。1つの理由は、レジストが帯域外波長の放射に対して感応性であるので、レジストがそのような帯域外放射に露光されると、レジストに適用される露光パターンの像品質が劣化する恐れがあることである。更に、例えばいくつかのレーザ生成プラズマ源における赤外線放射のような帯域外放射は、リソグラフィ装置内のパターニングデバイス、基板、及び光学系の望ましくない不必要な加熱を引き起こす。このような加熱は、これらの要素の損傷、寿命の短縮、及び/又はレジストコート基板に投影され適用されるパターンの欠陥もしくはディストーションを発生させる恐れがある。
【0016】
[00016] スペクトル純度フィルタはペリクルとして使用することができ、その逆も同様である。従って、本出願において「ペリクル」に対する言及は、「スペクトル純度フィルタ」に対する言及でもある。本出願では主としてペリクルに言及するが、特徴(features)の全てはスペクトル純度フィルタにも等しく適用できる。
【0017】
[00017] リソグラフィ装置(及び/又は方法)では、レジストコート基板にパターンを適用するため用いられる放射の強度損失を最小限に抑えることが望ましい。その理由の1つは、例えば露光時間を短縮すると共にスループットを増大するには、基板にパターンを適用する際にできる限り多くの放射を利用できるのが理想的であることである。同時に、リソグラフィ装置を通過して基板に入射する望ましくない放射の(例えば帯域外の)放射量を最小限に抑えることが望ましい。更に、リソグラフィ方法又は装置において使用されるペリクルが適正な寿命を有すること、並びに、ペリクルが暴露され得る高い熱負荷及び/又はペリクルが暴露され得る水素(例えばH及びHOを含むフリーラジカル種)の結果として経時的に急速に劣化しないことを保証することが望ましい。従って、改良された(又は代替的な)ペリクル、例えば、リソグラフィ装置及び/又は方法における使用に適したペリクルを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0018】
[00018] 本発明は、ペリクルを製造する既知の方法及び既知のペリクルに伴う上述の問題を検討して行われた。
【0019】
[00019] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置のためのペリクルを製造する方法であって、ペリクルを3次元テンプレート材料において成長させることを含む方法が提供される。
【0020】
[00020] 現在既知の炭素ベースのペリクルは、事実上、固体の層状2次元材料に基づいている。例えば、グラフェンペリクルは複数のグラフェン層を含む。同様に、シリコンペリクルは固体シリコンウェーハ上に製造され、金属のような他の保護キャップ層材料で覆われている場合も覆われていない場合もある。このように、これらのペリクル材料は表面上に複数の層として成長され、2次元であり、固体であるか、又は内部に空隙がほとんど存在しない(すなわち低間隙率)。一方、カーボンナノチューブに基づくペリクルは、内部に著しい空隙空間を有するが不規則である(disordered)カーボンナノチューブの不規則メッシュを含み、これは散乱のために通過する放射ビームの均一性に悪影響を及ぼす。規則的かつ明確に画定された3次元構造のペリクルを提供することが望まれている。
【0021】
[00021] 3次元テンプレート内でペリクルを製造すると、規則的かつ明確に画定された3次元構造のペリクルが得られることがわかっている。また、本発明の方法に従って製造されたペリクルの構造は、カーボンナノチューブのペリクルと同様に多孔質であるが、より規則的かつ明確に画定された3次元構造を有し、これが、リソグラフィ装置で使用するために充分な強度と、ペリクルにおける温度及び応力の変化に対応するために充分な柔軟性とを提供する。驚くべきことに、得られるペリクルは90%を超える許容可能EUV透過率を有すると共に、通過する放射ビームの均一性に悪影響を及ぼさないことがわかった。
【0022】
[00022] 3次元テンプレートはゼオライトとすることができる。ゼオライトは、吸収剤及び触媒として一般的に使用される微細孔性アルミノケイ酸材料である。これらは、小分子が進入できる規則的な内部細孔構造を有する。
【0023】
[00023] ゼオライトは任意の適切なゼオライトとすればよい。例えばゼオライトは、Zeolite A、Zeolite Beta、モルデナイト、Zeolite Y、又は菱沸石とすればよい。これらは最も一般的に使用されると共に最も容易に入手可能なゼオライトであるが、他のゼオライトも本発明に適切であると見なされることは認められよう。
【0024】
[00024] ゼオライトは改質ゼオライトとすることができる。改質ゼオライトは、適切な材料がドーピングされたゼオライトを含み得る。適切な材料は、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上を含む。驚くべきことに、これらの元素のうち1つ以上でゼオライトをドーピングすることにより、ゼオライトの細孔内で炭化が発生し得る温度が低下することがわかった。ドーピングは、イオン交換のような任意の適切な手段によって実行できる。例えば、ゼオライト内のナトリウムイオンをランタンイオンと交換すればよい。
【0025】
[00025] 方法は、好ましくは気体状炭素源である炭素源を提供することを含み得る。炭素源は3次元テンプレート材料内へ進入することができる。3次元テンプレートは細孔の内部ネットワークを含むので、炭素源材料は3次元テンプレート内に充満することができる。
【0026】
[00026] 炭素源は飽和又は不飽和のC1~C4炭化水素とすればよい。5以上の炭素原子を有する炭化水素を使用できるが、これらは周囲温度で液体であるので吸収プロセスが遅くなる。むろん、3次元テンプレート内への吸収が周囲温度よりも高い温度で発生する場合、より長い鎖の炭化水素を使用できる。炭化水素は好ましくは線状である。
【0027】
[00027] 適切な炭素源の例は、メタン、エタン、エタン、エチン、プロパン、プロペン、プロパジエン、プロピン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブタトリエン、及びブチンを含む。炭素源は主として炭素を提供することが目的であるので、不飽和炭化水素を用いることが好ましい。これらは有利な炭素対水素比を有し、飽和炭化水素よりも反応性が高いからである。例えば、好適な炭素源はエチンである。エチンは最も反応性が高く、また小さいので、3次元テンプレート内へ容易に拡散できるからである。
【0028】
[00028] 方法は、3次元テンプレート材料を第1の温度まで加熱して炭素源を炭化させることを含み得る。一度炭素源が3次元テンプレートの内部細孔内へ進入したら、材料を加熱してこれを炭化させる。炭化プロセスは、上述した金属イオンによる3次元材料のドーピングによって増強される。金属イオンは、強いカーバイド結合を形成するために選択される。ドーピングを行わない場合、炭素源を炭化するのに必要な温度が大幅に高くなり、結果として炭素は3次元テンプレートの表面にのみ形成されるので、炭素源が含まれる3次元材料の内部細孔構造に実質的に対応する炭素質ネットワークを形成しない。
【0029】
[00029] 第1の温度は約350℃から約800℃とすることができ、好ましくは約650℃である。ドーピングを行わない場合は、炭化のために800℃を超える温度が必要である。
【0030】
[00030] この後、3次元材料を第1の温度よりも高い第2の温度に加熱することができる。第2の温度は約850℃以上とすればよい。第2の高い温度に加熱すると、炭素はいっそう高秩序(highly ordered)となり、従って更に強くなる。
【0031】
[00031] 一度加熱が完了したら、3次元テンプレートを溶解することによって炭素質ペリクルを取り出す。3次元テンプレートがゼオライトである場合、ゼオライトを塩酸又はフッ酸のような強酸に暴露することで溶解し、次いで水酸化ナトリウムのような高温塩基性溶液に暴露すればよい。ゼオライトを溶解するための厳密な方法は与えられた例に限定されず、炭素質ペリクルを残しながらゼオライトを溶解する任意の適切な方法を用いればよい。
【0032】
[00032] 3次元材料は、既知の手段によってシリコンウェーハから調製することができる。好ましくは、シリコンウェーハは単結晶シリコンである。シリコンウェーハからの調製によって、ゼオライトの厳密な厚さ及び性質を制御できる。このため、必要なペリクルの厳密な性質に応じて、大きい細孔を有するものや小さい細孔を有するものといった様々なゼオライトを調製することができる。
【0033】
[00033] シリコンウェーハの表面の一部をゼオライト材料に変換するか、又はシリコンウェーハの表面上にゼオライト材料を調製することができる。これら双方の技法は当技術分野において既知である。ゼオライトの厚さは、約50nm~約150nm、約80nm~約120nmとすることができ、好ましくは約100nmである。ゼオライトが薄すぎる場合、得られるペリクルはEUVリソグラフィ装置で使用するため必要な強度を有するのに充分な厚さでない可能性がある。一方、ゼオライトが厚すぎる場合、得られるペリクルは厚すぎるので、例えば90%未満のような望ましくない低いEUV透過率を有する可能性がある。ペリクルの厳密な厚さは、所望の厚さが満足されるまでペリクルから材料を除去することによって達成できる。
【0034】
[00034] 本発明の第2の態様によれば、ペリクルの製造における3次元テンプレートの使用が提供される。
【0035】
[00035] 上述したように、現在既知であるペリクルは表面上に2次元層を形成することによって製造される。3次元テンプレート内部に生成される既知のペリクルは存在しない。3次元テンプレートを用いると、極めて規則的かつ予想可能な構造のペリクルを形成することができる。得られるペリクルは既存のグラフェンペリクルよりも強く、また、カーボンナノチューブベースのペリクルのように放射ビームの望ましくない回折又は散乱を発生させない。
【0036】
[00036] 3次元テンプレートは、本発明の第1の態様に関連付けて記載されたいずれかのゼオライトとすればよい。
【0037】
[00037] 本発明の第3の態様によれば、ペリクルの製造のための3次元テンプレートが提供される。
【0038】
[00038] 好ましくは、ペリクルは炭素質ペリクルである。
【0039】
[00039] 好ましくは、3次元テンプレートは、本発明の第1の態様を参照して記載されているようなゼオライトである。
【0040】
[00040] 本発明の第4の態様によれば、ゼオライトの内部細孔構造に実質的に対応する3次元構造を有するペリクルが提供される。ペリクルは好ましくは炭素質である。
【0041】
[00041] 3次元テンプレートを用いて製造される既知のペリクルは存在しないので、ゼオライトの内部細孔構造に実質的に対応する3次元構造を有する既知のペリクルは存在しない。上述したように、これによって、強度が高く、ペリクルを通過する放射ビームの均一性を阻害しないペリクルが提供される。
【0042】
[00042] 本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様に従った方法によって得られるか又は得ることができるリソグラフィ装置のためのペリクルが提供される。
【0043】
[00043] 既知のペリクル製造方法の限界のため、また、今まで3次元テンプレートを用いて作製されるペリクルが存在しなかったため、リソグラフィ装置で使用するため充分な強さの規則的な3次元秩序を有するペリクルを作製する方法は存在しなかった。
【0044】
[00044] 本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様の方法に従って製造された、又は、本発明の第4もしくは第5の態様に従ったペリクルのリソグラフィ装置における使用が提供される。
【0045】
[00045] まとめると、本発明の方法は、EUVリソグラフィ装置における使用に適したペリクル、特に炭素質ペリクルの製造を可能とする。このようなペリクルを製造することは、これまで不可能であった。本発明の方法に従って製造されるペリクルは、ペリクルの使用時に達成される高温及びリソグラフィ装置の使用中にペリクルに加わる機械的な力に耐えることができる。既知のペリクルは、こういった高温や機械的な力によって損傷する。更に、規則的な3次元構造のペリクルを有することは、放射ビームがペリクルを通過する際にその均一性が悪影響を受けないことを意味する。ゼオライトの内部細孔構造に実質的に対応する3次元構造は、リソグラフィ装置で使用するために充分な強度だけでなく、使用中の温度及び/又は圧力の変化に耐えるのに充分な柔軟性をペリクルに与える。
【0046】
[00046] これより、ゼオライトの細孔構造内に形成された炭素質ペリクルを参照して、本発明について説明する。しかしながら、本発明はペリクルに限定されず、スペクトル純度フィルタにも等しく適用できることは認められよう。更に、得られる材料の大きい表面積のため、これはバッテリ又はキャパシタのような電荷蓄積デバイスにも使用できる。従って、方法、使用、及び生成物はペリクル及びリソグラフィの文脈で記載されるが、そのような方法、使用、及び生成物は、バッテリ及びキャパシタ用のコンポーネントの製造においても使用することができる。
【0047】
[00047] これより、添付の概略図面を参照して単に一例として本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の一実施形態に従ったリソグラフィ装置及び放射源を含むリソグラフィシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[00048] 図1は、本発明の一実施形態に従って、本発明の第4及び第5の態様に従った又は本発明の第1の態様の方法に従って製造されたペリクル15を含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは放射源SO及びリソグラフィ装置LAを含む。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを発生するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を備えている。照明システムILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にこれを調節するよう構成されている。投影システムは、放射ビームB(この時点でマスクMAによってパターン付与されている)を基板Wに投影するよう構成されている。基板Wは、以前に形成されたパターンを含む場合がある。これが当てはまる場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBを、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。この実施形態では、ペリクル15は放射経路内に示され、パターニングデバイスMAを保護している。ペリクル15を任意の必要な位置に配置できること、及びリソグラフィ装置内のミラーのいずれかを保護するために使用できることは認められよう。
【0050】
[00049] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは全て、外部環境から隔離できるように構成及び配置することができる。放射源SO内に、大気圧より低い圧力のガス(例えば水素)を提供してもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に、真空を提供してもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPS内に、大気圧よりも充分に低い圧力の少量のガス(例えば水素)を提供してもよい。
【0051】
[00050] 図1に示されている放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)源と呼ぶことができるタイプである。例えばCOレーザとすることができるレーザ1は、レーザビーム2によって、燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)等の燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4へ向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2はプラズマ形成領域4においてスズに入射する。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を生成する。プラズマイオンの脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。
【0052】
[00051] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(時として、より一般的に法線入射放射コレクタと称される)によって収集及び合焦される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmのような所望の波長を有するEUV放射)を反射するよう配置された多層構造を有し得る。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有することができる。第1の焦点はプラズマ形成領域4にあり、第2の焦点は以下で検討するように中間焦点6にあり得る。
【0053】
[00052] レーザ1は放射源SOとは分離させることができる。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、レーザ1から放射源SOへ、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)を用いて渡すことができる。レーザ1及び放射源SOは共に放射システムと見なすことができる。
【0054】
[00053] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは、ポイント6で合焦されてプラズマ形成領域4の像を形成し、これは照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射ビームBが合焦されるポイント6を中間焦点と呼ぶことができる。放射源SOは、中間焦点6が放射源の閉鎖構造9の開口8に又は開口8の近くに位置するように配置されている。
【0055】
[00054] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調節するよう構成された照明システムIL内に進む。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、放射ビームBに所望の断面形状と所望の角度分布を与える。放射ビームBは、照明システムILから出射し、支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射しパターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことも可能である。
【0056】
[00055] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入射する。投影システムは、基板テーブルWTによって保持された基板Wに放射ビームBを投影するよう構成された複数のミラー13、14を備えている。投影システムPSは、放射ビームに縮小率を適用することで、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成できる。例えば、縮小率4を適用することができる。図1において投影システムPSは2つのミラー13、14を有するが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6個のミラー)を含むことができる。
【0057】
[00056] 図1に示されている放射源SOは、図示されていないコンポーネントを含み得る。例えば、放射源内にスペクトルフィルタを提供することができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に対して実質的に透過性であるが、赤外線放射のような他の波長の放射を実質的に阻止することができる。
【0058】
[00057] 本発明に従った例示的な方法において、ゼオライトの形態の3次元テンプレートが提供される。これは、シリコンウェーハに基づいて、又は他の任意の適切な手段によって形成されている場合がある。例示的なゼオライトはZeolite-Yであり、ナトリウムイオンの少なくとも一部がイオン交換によってランタンイオンに交換されている。ゼオライトに、エチンガスを含む炭素源を供給し、エチンガスをゼオライトの内部細孔内へ拡散させる。エチンガスを炭化し、ゼオライトの内部構造に実質的に対応する炭素構造をゼオライト内部に形成するため、ゼオライトを約650℃に加熱する。この後、更に高秩序の炭素質ペリクルを提供するため、ゼオライトを約850℃に加熱する。次いで、ペリクルを回収するため、フッ酸に溶解させることでゼオライトを溶解する。
【0059】
[00058] このように、得られるペリクルの構造を制御すると共に、様々な大きさの様々なゼオライトを用いてペリクルの厳密な構造を変更することができる。得られるペリクルは90%を超えるEUV透過率を有し、リソグラフィ装置で使用するのに充分な強さである。
【0060】
[00059] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含すると見なすことができる。EUV放射は、10nm未満の波長、例えば4~10nmの範囲内、例えば6.7nm又は6.8nmの波長を有し得る。
【0061】
[00060] 本発明の特定の実施形態について上述したが、記載した以外の態様で本発明を実施してもよいことは認められよう。上記の説明は例示であって限定ではないことが意図される。従って、以下に述べる特許請求の範囲及び条項から逸脱することなく、記載した本発明に変更を実行してもよいことは、当業者には認められよう。
[条項1]
リソグラフィ装置のためのペリクルを製造する方法であって、前記ペリクルを3次元テンプレートにおいて成長させることを含む方法。
[条項2]
前記テンプレートはゼオライトである、条項1に記載の方法。
[条項3]
前記ゼオライトは、Zeolite A、Zeolite beta、モルデナイト、Zeolite Y、ZSM-5、又は菱沸石から選択される、条項2に記載の方法。
[条項4]
前記ゼオライトは改質ゼオライトである、条項2又は条項3に記載の方法。
[条項5]
前記改質ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされたゼオライトを含む、条項4に記載の方法。
[条項6]
前記方法は、炭素源を提供することと、前記炭素源を前記3次元テンプレートの材料内に進入させることを含む、条項1から5のいずれかに記載の方法。
[条項7]
前記気体状炭素源は少なくとも1つの飽和又は不飽和のC1~C4炭化水素を含む、条項6に記載の方法。
[条項8]
前記気体状炭素源は、メタン、エタン、エテン、エチン、プロパン、プロペン、プロパジエン、プロピン、ブタン、ブテン、ブタジエン、ブタトリエン、及びブチンのうち少なくとも1つを含み、好ましくはエチンを含む、条項7に記載の方法。
[条項9]
前記方法は、前記3次元テンプレートを第1の温度まで加熱して前記炭素源を炭化させることを含む、条項6から8のいずれかに記載の方法。
[条項10]
前記第1の温度は約350℃から約800℃である、条項9に記載の方法。
[条項11]
前記3次元テンプレートは前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱される、条項9又は10に記載の方法。
[条項12]
前記第2の温度は約850℃である、条項11に記載の方法。
[条項13]
前記3次元テンプレートを溶解させて前記炭素質ペリクルを解放する、条項9から12のいずれかに記載の方法。
[条項14]
前記3次元テンプレートは、強酸、好ましくはフッ酸又は塩酸に暴露することで溶解され、任意選択的に、次いで水酸化ナトリウムのような高温塩基性溶液に暴露することで溶解される、条項13に記載の方法。
[条項15]
前記3次元テンプレートは、シリコンウェーハ、好ましくは単結晶シリコンを用いて生成される、条項1から14のいずれかに記載の方法。
[条項16]
前記シリコンウェーハの少なくとも一部がゼオライトに変換されるか、又は前記シリコンウェーハの表面上にゼオライト膜が堆積される、条項15に記載の方法。
[条項17]
前記ゼオライトの厚さは約50から約150nmであり、好ましくは約80から約120nmであり、最も好ましくは約100nmである、条項16に記載の方法。
[条項18]
前記ゼオライトはイオン交換によってドーピングされている、条項5から17のいずれかに記載の方法。
[条項19]
ペリクル、好ましくは炭素質ペリクルの製造における3次元テンプレートの使用。
[条項20]
前記3次元テンプレートはゼオライトである、条項19に記載の使用。
[条項21]
前記ゼオライトは改質ゼオライトであり、前記改質ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされている、条項20に記載の使用。
[条項22]
ペリクルの製造のための3次元テンプレートであって、前記テンプレートはゼオライトを含み、好ましくは前記ペリクルは炭素質ペリクルである、3次元テンプレート。
[条項23]
前記ゼオライトは、ランタン、亜鉛、モリブデン、イットリウム、カルシウム、タングステン、バナジウム、チタン、ニオブ、クロム、タンタル、及びハフニウムのうち1つ以上がドーピングされている、条項22に記載の3次元テンプレート。
[条項24]
ゼオライトの内部細孔構造に実質的に対応する3次元構造を有するペリクル。
[条項25]
前記ペリクルは炭素質である、条項24に記載のペリクル。
[条項26]
条項1から18のうちいずれかに記載の方法によって得られるか又は得ることができるリソグラフィ装置のためのペリクル。
[条項27]
条項1から18のいずれかに記載の方法によって製造された、又は、条項24から26のいずれかに記載のペリクルのリソグラフィ装置における使用。
図1