(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-29
(45)【発行日】2023-04-06
(54)【発明の名称】積層型半導体集積回路およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230330BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20230330BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20230330BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230330BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230330BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230330BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L25/08 Y
H01L27/04 T
H01L29/78 613Z
(21)【出願番号】P 2019025391
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 義則
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/022457(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/087003(WO,A1)
【文献】特開2014-157885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 25/07
H01L 21/822
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記支持基板上の所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路であって、
前記所定領域外において、1層目集積回路と、前記1層目集積回路の上に積層された2層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第1アライメントマークセットと、
前記所定領域外において、前記2層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に積層された3層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第2アライメントマークセットと、
前記所定領域外において、前記第2アライメントマークセットの下に配置された遮光層と、を備え、
前記第2アライメントマークセットは、前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上に配置されて
おり、
前記第1アライメントマークセットは、
前記1層目集積回路の上面に埋め込まれた下側1層目アライメントマークと、
前記2層目集積回路の下面に前記下側1層目アライメントマークと対向するように埋め込まれた上側2層目アライメントマークと、を備え、
前記第2アライメントマークセットは、
前記2層目集積回路の上面に埋め込まれた下側2層目アライメントマークと、
前記3層目集積回路の下面に前記下側2層目アライメントマークと対向するように埋め込まれた上側3層目アライメントマークと、を備え、
前記下側2層目アライメントマークの下面は、前記遮光層に接合している、積層型半導体集積回路。
【請求項2】
支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記支持基板上の所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路であって、
前記所定領域外において、1層目集積回路と、前記1層目集積回路の上に積層された2層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第1アライメントマークセットと、
前記所定領域外において、前記2層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に積層された3層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第2アライメントマークセットと、
前記所定領域外において、前記第2アライメントマークセットの下に配置された遮光層と、を備え、
前記第2アライメントマークセットは、前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上に配置されており、
前記アライメントマークの材質は、前記集積回路同士を接合して前記配線同士を電気的に接続する埋め込み電極の材質と同じである、積層型半導体集積回路。
【請求項3】
前記アライメントマークの材質は、前記集積回路同士を接合して前記配線同士を電気的に接続する埋め込み電極の材質と同じである、請求項
1に記載の積層型半導体集積回路。
【請求項4】
前記遮光層は、前記第1アライメントマークセットの外形よりも大きな外形状を有する、請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の積層型半導体集積回路。
【請求項5】
前記遮光層の材質は、前記配線と同じ材料である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層型半導体集積回路。
【請求項6】
支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記支持基板上の所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路の製造方法であって、
支持基板上に半導体素子が形成された複数の集積回路を準備する準備工程と、
1層目集積回路の上に配置される2層目集積回路において前記アライメントマークを形成する領域の下に遮光層を形成する遮光層形成工程と、
前記1層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に配置される3層目集積回路と、に対して前記アライメントマークをそれぞれ形成すると共に、前記2層目集積回路の前記遮光層の上に前記アライメントマークを形成する接合前アライメントマーク形成工程と、
前記1層目集積回路に形成されたアライメントマークと、前記2層目集積回路の遮光層上に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする第1アライメントマークセットとして用いて、前記1層目集積回路と前記2層目集積回路とを接合する第1接合工程と、
前記1層目集積回路に接合された2層目集積回路から前記支持基板を除去する除去工程と、
前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上であって、前記支持基板が除去された2層目集積回路の前記遮光層上にアライメントマークを形成する接合後アライメントマーク形成工程と、
前記接合後アライメントマーク形成工程で形成されたアライメントマークと、前記3層目集積回路に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする第2アライメントマークセットとして用いて、前記2層目集積回路と前記3層目集積回路とを接合する第2接合工程と、を含む、積層型半導体集積回路の製造方法。
【請求項7】
前記2層目集積回路に形成された遮光層は、前記第1アライメントマークセットの外形よりも大きな外形状を有する、請求項6に記載の積層型半導体集積回路の製造方法。
【請求項8】
前記アライメントマークが、前記集積回路同士を接合して前記配線同士を電気的に接続する埋め込み電極を形成する工程と同時に、前記埋め込み電極と同じ材料で形成される、請求項6または請求項7に記載の積層型半導体集積回路の製造方法。
【請求項9】
前記遮光層が、前記2層目集積回路に配線を形成する工程と同時に、前記配線と同じ材料で形成される、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の積層型半導体集積回路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型半導体集積回路およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路を高集積化するために、別個に製造した複数の集積回路を積層してなる、積層型半導体集積回路が実用化されている。例えば、受光部と信号処理回路を積層した積層型イメージセンサがある。積層型半導体集積回路の製造方法は、上下の集積回路の位置を合わせて接合した後、上下の回路を接続するシリコン貫通電極を形成する方法や、あらかじめ表面に接続用の電極を形成した集積回路の位置を合わせて接合する方法(ハイブリッドボンディングやバンプ接合)など、多様な製造方法が実用化されている。例えば特許文献1には、2つの半導体基板がバンプ接合された固体撮像素子が記載されている。この固体撮像素子の製造工程では、十字形状のアライメントマークに照射したレーザ光の反射光を検出するなどして、露光マスクの位置決めなどを行っている。
【0003】
また、積層型半導体集積回路においては、いっそうの高集積化のために、3層以上の多層積層が有効である。一般に、N層の積層を行うためには、集積回路の位置を合わせて接合する工程が、(N-1)回必要になる。回路の位置合わせに必要となるアライメントマークの例を
図5に示す。本例では、
図5(a)は1層目のアライメントマーク101を示し、
図5(b)は2層目のアライメントマークを示す。
図5(d)は
図5(a)のD-D線断面矢視図であり、
図5(e)は
図5(b)のE-E線断面矢視図である。
【0004】
1層目の回路基板には、支持基板103の上の絶縁層104の中に、配線と同様の金属材料からなるアライメントマーク101が形成されている。アライメントマーク101は、平面視において4個の正方形から成り、これら4個の正方形は全体としてより大きな正方形の4角に配置される。2層目の回路基板には、支持基板103の上(
図5(e)においては下)の絶縁層104の中に、配線と同様の金属材料からなるアライメントマーク102が形成されている。アライメントマーク102は、平面視において十字形状である。
【0005】
また、アライメントマーク101,102が形成された絶縁層104同士を対向させて、
図5(c)に示すように、1層目のアライメントマーク101と2層目のアライメントマーク102とが平面的に重なるように調整して回路基板同士が接合される。なお、平面的に重なるとは、平面視においてアライメントマーク102が、アライメントマーク101を構成する4個の正方形が配置されていない隙間領域に配置されることである。ここで、
図5(f)は
図5(c)のF-F線断面矢視図であり、太い破線は接合面を示している。なお、アライメントマーク101,102は、集積回路の配線を利用して形成されることが多いが、視認できれば、絶縁層や支持基板に凹凸をつけることで形成してもよい。
【0006】
アライメント手法の一例について
図6(a)~
図6(c)を参照して説明する。ここでは、
図6(a)に示すように右向きにX軸、上向きにZ軸、XZ平面に垂直な奥行き方向にY軸を有する座標系を想定する。例えば
図6(a)に示す状態では、カメラ111に光軸が一致したカメラ112が、上に配置された可動ステージ108に固定された基板106の左側領域に形成されたアライメントマーク102Lを撮影する。また、カメラ114に光軸が一致したカメラ113が、下に配置された可動ステージ107に固定された基板105の右側領域に形成されたアライメントマーク101Rを撮影する。また、例えば
図6(b)に示す状態では、カメラ111が、下に配置された可動ステージ107に固定された基板105の左側領域に形成されたアライメントマーク101Lを撮影する。また、カメラ114が、上に配置された可動ステージ108に固定された基板106の右側領域に形成されたアライメントマーク102Rを撮影する。なお、各カメラは可視光カメラである。
【0007】
こうして光軸の一致したカメラ2セット(計4台)を用いて、上下に配置された可動ステージ107,108をXY方向に移動しながら調整を行い、X方向の移動のみで全てのアライメントマークがカメラの視野の中心に来るようにする。すなわち、アライメントマーク101Lとアライメントマーク102Lとが対向し、アライメントマーク101Rとアライメントマーク102Rとが対向するようにする。例えばアライメントマーク102L(または102R)は十字形状で、アライメントマーク101L(または101R)を構成する4個の正方形が配置されていない隙間領域に一致するように配置される。ここで、カメラセットごとに、カメラと可動ステージの相対位置は分かっているので、上下に配置された可動ステージ107,108を所望の距離だけX方向に移動することで、2つの基板105,106の位置を合わせることができる。その後、
図6(c)に示すように、上に配置された可動ステージ108をZ方向に下降させ、2つの基板105,106を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
積層型半導体集積回路において、積層数を3層に増やすためには、
図7(a)に示すように、2層目の集積回路の支持基板103を除去し、その後に、2層目の集積回路と3層目の集積回路とを接合する。ただし、2層目の集積回路の上に3層目の集積回路を接合する際に、1層目と2層目の接合に使用したアライメントマークを使うことができない。これは、上下のアライメントマークが重なることで、視認性が非常に悪くなるからである。したがって、
図7(b)に示すように、1層目と2層目の接合用のアライメントマーク121とは別の場所に、2層目と3層目の接合用のアライメントマーク122を形成しておく必要がある。4層目以降の接合も同様であり、例えばN層の接合を行うためには、(N-1)セットのアライメントマークを別々の場所に形成しておく必要がある。このことは、積層型半導体集積回路にとって、高集積化の妨げになる。
【0010】
具体的に、
図8(a)に示すイメージセンサ131Aのように、1層目の信号処理回路(図示省略)の上に、2層目として受光部を備えるシリコンウェハ132Aを積層して積層型イメージセンサを製造する場合を想定する。イメージセンサ131Aの場合、1μm程度の画素133が多数配置される画素エリア134の外側に、数十μm~数百μmのサイズを有したアライメントマーク135が配置される。また、通常、イメージセンサの場合、シリコンウェハ132Aの四辺に多数の電極パッド136を形成し、電極パッド136にワイヤ137を接合して配線を図示しない筐体側に引き出しているのが現状である。
【0011】
一方、
図8(b)に示すイメージセンサ131Bは、信号処理回路(図示省略)を2層にして合計3層の集積回路を備えている。一般的に、アライメントマークの視認性を良くするために、アライメントマークの直下には配線や回路を形成できない。したがって、従来の積層型半導体集積回路の製造方法では、3層目として受光部を備えるシリコンウェハ132Bには、アライメントマーク135とは別の場所にアライメントマーク135Bを形成しておく必要がある。このため、従来の製造方法では、積層数を増すにしたがって、シリコンウェハの限られた面積の中においてアライメントマークに占有される面積が増える。このことは、シリコンウェハにおいて、回路レイアウトに使えない無効なエリアが増加することを意味する。その結果、従来の製造方法では、集積度の向上に支障をきたすことになる。また、電極パッド136のためのエリアが不足したり、増加したアライメントマークがワイヤボンディングの邪魔になったりする、という製造上の懸念もある。さらに、アライメントマーク自体のサイズを小さくすると、カメラによる位置合わせの精度が悪くなるので、マークサイズの縮小にも限界がある。
【0012】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、3層以上に積層された半導体回路の集積度を向上させた積層型半導体集積回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の第1の観点に係る積層型半導体集積回路は、支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路であって、前記支持基板上の所定領域外において、1層目集積回路と、前記1層目集積回路の上に積層された2層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第1アライメントマークセットと、前記所定領域外において、前記2層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に積層された3層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第2アライメントマークセットと、前記所定領域外において、前記第2アライメントマークセットの下に配置された遮光層と、を備え、前記第2アライメントマークセットは、前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上に配置されており、前記第1アライメントマークセットは、前記1層目集積回路の上面に埋め込まれた下側1層目アライメントマークと、前記2層目集積回路の下面に前記下側1層目アライメントマークと対向するように埋め込まれた上側2層目アライメントマークと、を備え、前記第2アライメントマークセットは、前記2層目集積回路の上面に埋め込まれた下側2層目アライメントマークと、前記3層目集積回路の下面に前記下側2層目アライメントマークと対向するように埋め込まれた上側3層目アライメントマークと、を備え、前記下側2層目アライメントマークの下面は、前記遮光層に接合している。
また、本発明の第2の観点に係る積層型半導体集積回路は、支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記支持基板上の所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路であって、前記所定領域外において、1層目集積回路と、前記1層目集積回路の上に積層された2層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第1アライメントマークセットと、前記所定領域外において、前記2層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に積層された3層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る第2アライメントマークセットと、前記所定領域外において、前記第2アライメントマークセットの下に配置された遮光層と、を備え、前記第2アライメントマークセットは、前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上に配置されており、前記アライメントマークの材質は、前記集積回路同士を接合して前記配線同士を電気的に接続する埋め込み電極の材質と同じである。
【0014】
また、本発明に係る積層型半導体集積回路の製造方法は、支持基板上の所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に前記支持基板上の所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成る積層型半導体集積回路の製造方法であって、支持基板上に半導体素子が形成された複数の集積回路を準備する準備工程と、1層目集積回路の上に配置される2層目集積回路において前記アライメントマークを形成する領域の下に遮光層を形成する遮光層形成工程と、前記1層目集積回路と、前記2層目集積回路の上に配置される3層目集積回路と、に対して前記アライメントマークをそれぞれ形成すると共に、前記2層目集積回路の前記遮光層の上に前記アライメントマークを形成する接合前アライメントマーク形成工程と、前記1層目集積回路に形成されたアライメントマークと、前記2層目集積回路の遮光層上に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする第1アライメントマークセットとして用いて、前記1層目集積回路と前記2層目集積回路とを接合する第1接合工程と、前記1層目集積回路に接合された2層目集積回路から前記支持基板を除去する除去工程と、前記第1アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上であって、前記支持基板が除去された2層目集積回路の前記遮光層上にアライメントマークを形成する接合後アライメントマーク形成工程と、前記接合後アライメントマーク形成工程で形成されたアライメントマークと、前記3層目集積回路に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする第2アライメントマークセットとして用いて、前記2層目集積回路と前記3層目集積回路とを接合する第2接合工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
積層型半導体集積回路によれば、アライメントマークセットが同軸上に配置されたことにより、積層数が増えてもアライメントマークの占有面積が増えることがない。そのため、積層型半導体集積回路は、3層以上に積層された半導体回路の集積度を向上させることができる。
また、積層型半導体集積回路の製造方法によれば、3層以上に積層された半導体回路の集積度を向上させた積層型半導体集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る積層型集積回路装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】集積回路の積層前に形成されるアライメントマークの説明図であって、(a)~(c)は1層目集積回路、(d)~(f)は2層目集積回路を模式的に示している。
【
図3】
図1の積層型集積回路装置の製造工程を模式的に示す断面図であり、(a)は2層目の接合工程、(b)は薄膜化工程を模式的に示している。
【
図4】
図1の積層型集積回路装置の製造工程を模式的に示す断面図であり、(a)は積層後のアライメントマークの形成工程、(b)は3層目集積回路のアライメントマークを模式的に示している。
【
図5】(a)~(f)は、従来のアライメントマークを模式的に示す説明図である。
【
図6】(a)~(c)は、従来の基板接合手法を模式的に示す説明図である。
【
図7】従来の3層基板接合手法を模式的に示す断面図であり、(a)は支持基板の除去工程、(b)は3層目の接合工程を示している。
【
図8】従来のイメージセンサを模式的に示す平面図であり、(a)は2つの集積回路を積層したタイプ、(b)は3つの集積回路を積層したタイプを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[積層型半導体集積回路の構成]
まず、積層型半導体集積回路の構成について
図1を参照して説明する。
積層型半導体集積回路1は、所定領域に半導体素子および配線が形成されると共に所定領域外にアライメントマークが形成された3以上の所定枚数の集積回路を板厚方向に接合して成るものである。積層型半導体集積回路1は、1層目集積回路201と、1層目集積回路201の上に積層された2層目集積回路202と、2層目集積回路202の上に積層された3層目集積回路203と、を備えている。
【0018】
この積層型半導体集積回路1は、第1アライメントマークセット361と、第2アライメントマークセット362と、第2アライメントマークセット362の下に配置された遮光層352と、を備え、第2アライメントマークセット362は、第1アライメントマークセット361に対して板厚方向の同軸上に配置されている。
【0019】
第1アライメントマークセット361は、1層目集積回路201と2層目集積回路202との位置を合わせるアライメントマーク361A、361Bから成る。
アライメントマーク361Aは、
図5(c)に示す十字形状のアライメントマーク102と同様に構成されている。アライメントマーク361Bは、
図5(c)に示す4個の正方形からなるアライメントマーク101と同様に構成されている。アライメントマーク361A、361Bは対向して配置されている。
アライメントマーク361Bは、第1アライメントマークセット361において下側に配置され、かつ、1層目集積回路201の上面に埋め込まれているので、下側1層目アライメントマークともいう。
アライメントマーク361Aは、第1アライメントマークセット361において上側に配置され、かつ、2層目集積回路202の下面に埋め込まれているので、上側2層目アライメントマークともいう。
【0020】
第2アライメントマークセット362は、2層目集積回路202と3層目集積回路203との位置を合わせるアライメントマーク362A、362Bから成る。
アライメントマーク362Aは、
図5(c)に示す十字形状のアライメントマーク102と同様に構成されている。アライメントマーク362Bは、
図5(c)に示す4個の正方形からなるアライメントマーク101と同様に構成されている。アライメントマーク362A、362Bは対向して配置されている。
アライメントマーク362Bは、第2アライメントマークセット362において下側に配置され、かつ、2層目集積回路202の上面に埋め込まれているので、下側2層目アライメントマークともいう。
アライメントマーク362Aは、第2アライメントマークセット362において上側に配置され、かつ、3層目集積回路203の下面に埋め込まれているので、上側3層目アライメントマークともいう。
【0021】
1層目集積回路201は、第1基板301上に、半導体素子としてのトランジスタ331と、配線341と、遮光層351と、下側1層目アライメントマーク361Bと、埋め込み電極371Bと、絶縁層381と、を備えている。
2層目集積回路202は、埋め込み酸化膜322と、半導体素子としてのトランジスタ332と、配線342と、上側2層目アライメントマーク361Aと、遮光層352と、下側2層目アライメントマーク362Bと、埋め込み電極371Aと、埋め込み電極372Bと、絶縁層382と、を備えている。
3層目集積回路203は、第3基板303と、半導体素子としてのトランジスタ333と、配線343と、遮光層353と、上側3層目アライメントマーク362Aと、埋め込み電極372Aと、絶縁層383と、を備えている。
【0022】
第1基板301は、SOI(Silicon on insulator)基板からなり、支持基板311と、埋め込み酸化膜321と、を備えている。第3基板303も、SOI基板からなり、支持基板313と、埋め込み酸化膜323と、を備えている。なお、2層目集積回路202の埋め込み酸化膜322は、製造過程において、SOI基板からなる第2基板から支持基板が除去された部材である。
【0023】
トランジスタ331は、完全空乏型SOIトランジスタであって、絶縁層381と埋め込み酸化膜321とに取り囲まれている。トランジスタ332は、完全空乏型SOIトランジスタであって、絶縁層382と埋め込み酸化膜322とに取り囲まれている。トランジスタ333は、完全空乏型SOIトランジスタであって、絶縁層383と埋め込み酸化膜323とに取り囲まれている。ここでは、トランジスタは、例えばNチャネルMOSトランジスタやPチャネルMOSトランジスタであるものとする。ただし、トランジスタ331等の構造は、本発明の効果を発揮できる構造である限り、問わない。
【0024】
配線341~343の材料としては、例えば、Al、Cu、Au、Wなどの金属を用いることができる。遮光層351~353の材料としては、例えば、Al、Cu、Au、Wなどの金属を用いることができる。遮光層の材質は、配線と同じ材料であることが好ましい。一例として、配線および遮光層の材質はAlであるものとする。遮光層352は、第1アライメントマークセット361の外形よりも大きな外形状を有する。遮光層352の大きさは、第1アライメントマークセット361を平面視したとき、第1アライメントマークセット361のすべての領域が隠れる大きさであることが好ましい。
【0025】
アライメントマーク361A、361B、362A,362Bの材料としては、例えばCuやAuなどの金属を用いることができる。アライメントマークの材質は、埋め込み電極の材質と同じであることが好ましい。一例として、アライメントマークおよび埋め込み電極の材質はCuであるものとする。アライメントマーク362Bの下面は、遮光層352に接合している。
【0026】
埋め込み電極371は、埋め込み電極371Aと埋め込み電極371Bとが接合されて成る電極である。埋め込み電極371は、集積回路201,202同士を接合して回路の配線341,342同士を電気的に接続する。埋め込み電極372は、埋め込み電極372Aと埋め込み電極372Bとが接合されて成る電極である。埋め込み電極372は、集積回路202,203同士を接合して回路の配線342,343同士を電気的に接続する。埋め込み電極371,372の材料としては、接合に適した材料、例えばCuやAuなどの金属を用いることができる。絶縁層381,382,383の材料としては、例えばSiO2やAl2O3等の酸化膜や、Si3N4やMgF2等を用いることができる。
【0027】
[積層型半導体集積回路の製造方法]
次に、積層型半導体集積回路1の製造方法について
図2~
図4を参照(適宜、
図1参照)して説明する。積層型半導体集積回路1の製造方法は、準備工程と、遮光層形成工程と、接合前アライメントマーク形成工程と、第1接合工程と、除去工程と、接合後アライメントマーク形成工程と、第2接合工程と、を含んでいる。
【0028】
(準備工程)
準備工程は、支持基板上に半導体素子が形成された複数の集積回路を準備する工程である。この工程では、一般的な半導体集積回路プロセスにより、SOI基板上にトランジスタや配線等からなる集積回路(1層目、2層目、3層目)を形成する。
1層目集積回路の一例として、
図2(a)に、SOI基板からなる第1基板301上にトランジスタ331や配線341が形成された回路基板を模式的に示している。また、1層目集積回路の上に配置される2層目集積回路の一例として、
図2(d)に、SOI基板からなる第2基板302上にトランジスタ332や配線342が形成された回路基板を模式的に示している。なお、
図2(a)および
図2(d)では、1層目と2層目の回路の断面を同じように描いているが、一般的にはこれらの回路レイアウトは異なる。また、2層目集積回路の上に配置される3層目集積回路も同様な構造なので、ここでは、図示していない。
【0029】
(遮光層形成工程)
遮光層形成工程は、2層目集積回路においてアライメントマーク361Aを形成する領域の下に遮光層352を形成する工程である。この工程では、平面視において、遮光層352の大きさが、1層目集積回路に形成されるアライメントマーク361Bよりも大きく、かつ、2層目集積回路に形成されるアライメントマーク361Aよりも大きくなるように遮光層352を形成する。遮光層352は、2層目集積回路に配線342を形成する工程と同時に、配線342と同じ材料で形成されることが好ましい。合計して3層の集積回路を積層する場合、2層目集積回路には遮光層が必要であるが、2層目以外の他の集積回路においては、遮光層は必ずしも必要はない。ただし、遮光層は、各層の集積回路においてアライメントマークを埋め込むためのホールのエッチングストップとしての下地層となるので、各層に形成しておくことが望ましい。ここでは、1層目集積回路に配線341を形成する工程と同時に、配線341と同じ材料で遮光層351を形成することとした。
【0030】
(接合前アライメントマーク形成工程)
接合前アライメントマーク形成工程は、
図2(b)および
図2(c)に示すように、1層目集積回路にアライメントマーク361Bを形成すると共に、
図2(e)および
図2(f)に示すように、2層目集積回路の遮光層352の上にアライメントマーク361Aを形成する工程である。なお、この接合前アライメントマーク形成工程では、3層目集積回路にもアライメントマークを同様に形成するが、ここでは、図示していない。
【0031】
例えば1層目集積回路に形成されるアライメントマーク361Bは、埋め込み電極371Bを形成する工程と同時に、埋め込み電極371Bと同じ材料で形成されることが好ましい。
図2(c)に示すように、絶縁層381には、埋め込み電極371Bが配線341に接続するように形成される。このとき、
図2(b)および
図2(c)に示すように、アライメントマーク361Bが同時に形成される。
図2(b)は、遮光層351とアライメントマーク361Bを平面視した図である。
【0032】
また、2層目集積回路に形成されるアライメントマーク361Aは、埋め込み電極371Aを形成する工程と同時に、埋め込み電極371Aと同じ材料で形成されることが好ましい。
図2(f)に示すように、絶縁層382には、埋め込み電極371Aが配線342に接続するように形成される。このとき、
図2(e)および
図2(f)に示すように、アライメントマーク361Aが同時に形成される。
図2(e)は、遮光層352とアライメントマーク361Aを平面視した図である。
【0033】
さらに、
図4(b)に示すように、3層目集積回路に形成されるアライメントマーク362Aもまた、埋め込み電極372Aを形成する工程と同時に、埋め込み電極372Aと同じ材料で形成されることが好ましい。
各層の集積回路において、埋め込み電極およびアライメントマークは、ダマシン法で形成することが一般的である。また、埋め込み電極を形成した基板の表面は、後続の工程で接合が行えるよう、平坦化しておくことが好ましい。平坦化の方法としては、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)等を用いることができる。
【0034】
(第1接合工程)
第1接合工程は、第1アライメントマークセット361を用いて1層目集積回路と2層目集積回路とを接合する工程である。この工程では、
図3(a)に示すように、1層目集積回路に形成されたアライメントマーク361Bと、2層目集積回路の遮光層352上に形成されたアライメントマーク361Aとを対向させて光学的に位置合わせして、1層目集積回路と2層目集積回路を直接接合する。このとき、アライメントマークの材質(例えばCu)と遮光層の材質(例えばAl)とが異なるので、色や反射率の差により、アライメントマークは容易に視認できる。また、本実施形態では、絶縁層381と絶縁層382との接合と、埋め込み電極371Bと埋め込み電極371Aとの接合と、を同時に実行するハイブリッドボンディングの手法で接合を行っている。
【0035】
(除去工程)
除去工程は、
図3(b)に示すように、1層目集積回路に接合された2層目集積回路から支持基板312を除去するする工程である。支持基板312を除去する方法としては、一般的な除去方法、すなわち、研削や研磨による手法を用いることができる。
【0036】
(接合後アライメントマーク形成工程)
接合後アライメントマーク形成工程は、
図4(a)に示すように、第1アライメントマークセット361に対して板厚方向の同軸上であって、遮光層352上にアライメントマーク362Bを形成する工程である。アライメントマーク362Bは、埋め込み電極372Bを形成する工程と同時に、埋め込み電極372Bと同じ材料で形成されることが好ましい。このときのアライメントマークの形成方法は、接合前アライメントマーク形成工程と同様なので、これ以上の説明を省略する。
【0037】
(第2接合工程)
第2接合工程は、第2アライメントマークセット362を用いて2層目集積回路と3層目集積回路とを接合する工程である。ここで用いる3層目集積回路は、別途、
図4(b)に示すように、3層目の基板に対して、絶縁層383中に、埋め込み電極372Aおよびアライメントマーク362Aを形成しておいたものである。なお、ここでは、3層目集積回路に配線343を形成する工程と同時に、配線343と同じ材料で遮光層353を形成することとした。そして、第2接合工程では、
図1に示すように、2層目集積回路に形成されたアライメントマーク362Bと、3層目集積回路に形成されたアライメントマーク362Aとを対向させて光学的に位置合わせして、2層目集積回路と3層目集積回路を直接接合する。これにより、
図1に示す3層の積層型半導体集積回路1を製造することができる。
【0038】
本実施形態によれば、各アライメントマークセット361,362は全て同軸上に配置されているので、集積回路の積層数が増えてもアライメントマークの占有面積が増えることが無く、有効に回路の集積度を高めることができる。
また、第1アライメントマークセット361と第2アライメントマークセット362とが、遮光層352を挟んで配置されているため、多層積層の位置合わせをする際に、下層の第1アライメントマークセット361の存在により視認性が阻害されることがない。また、遮光層とアライメントマークの材質が異なるため、アライメントマークは容易に視認できる。
【0039】
以上、本発明の実施形態に係る積層型半導体集積回路について説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、アライメントマークセットを同軸上に配置するとは、アライメントマークセットの中心点がすべて一致している場合を含むほか、アライメントマークの中心点を本発明の同様の効果が得られる範囲でずらして配置した場合も含んでいる。
【0040】
また、配線と遮光層は、各集積回路につき1レイヤーの形態を図示して説明したが、マルチレイヤーの配線でも構わない。例えば、
図4(a)には、1レイヤーの遮光層352に対して、アライメントマーク361Aと、アライメントマーク362Bとの両方が接している。ただし、マルチレイヤー配線とする場合には、それぞれのアライメントマークについて遮光層を別々に形成してもよい。具体的には、マルチレイヤー配線が2層の配線である場合、2層目集積回路は、面内方向の配線342の代わりに、面内方向の配線として、例えば1層目側の配線と2層目側の配線を備える。この場合、これに対応するように、2層目集積回路は、遮光層352として、例えば1層目側の遮光層と2層目側の遮光層とを備える。そして、1層目側の遮光層がアライメントマーク361Aだけに接し、2層目側の遮光層がアライメントマーク362Bだけに接することとなる。
【0041】
また、
図1には、3層の積層型半導体集積回路1を図示したが、4層以上の積層型半導体集積回路としてもよい。
一例として、所定枚数をN、4以上N以下の整数をk(4≦k≦N)としたとき、N層の積層型半導体集積回路は、第(k-1)アライメントマークセットと、第(k-1)アライメントマークセットの下に配置された遮光層と、をさらに備える。ここで、第(k-1)アライメントマークセットは、(k-1)層目集積回路と、k層目集積回路と、の位置を合わせるアライメントマークから成る。そして、第(k-1)アライメントマークセットは、第(k-2)アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上に配置されている。なお、整数kは、4から順次Nまでのすべての整数をとることとする。
また、第(k-1)アライメントマークセットの下に配置された遮光層は、第(k-2)アライメントマークセットの外形よりも大きな外形状を有する。
また、第(k-1)アライメントマークセットは、(k-1)層目集積回路の上面に埋め込まれた下側(k-1)層目アライメントマークと、k層目集積回路の下面に埋め込まれた上側第k層目アライメントマークと、を備えることができる。
【0042】
また、3層の積層型半導体集積回路1の製造方法と同様の工程を繰り返すことで、4層以上の積層型半導体集積回路を製造することができる。
一例として、所定枚数をN、4以上N以下の整数をk(4≦k≦N)としたとき、N層の積層型半導体集積回路の製造法は、以下の工程を含むことができる。なお、整数kは、4から順次Nまでのすべての整数をとることとする。
遮光層形成工程では、(k-1)層目集積回路においてアライメントマークを形成する領域の下層に必ず遮光層を形成する。
接合前アライメントマーク形成工程では、(k-1)層目集積回路の遮光層の上にアライメントマークを形成すると共に、N層目集積回路に対してアライメントマークを形成する。なお、第(k-2)接合工程では、(k-2)層目集積回路に形成されたアライメントマークと、(k-1)層目集積回路の必須の遮光層上に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする(k-2)アライメントマークセットとして用いて、(k-2)層目集積回路と(k-1)層目集積回路とを接合する。
除去工程では、(k-2)層目集積回路に接合された(k-1)層目集積回路から支持基板を除去する。
接合後アライメントマーク形成工程では、(k-2)アライメントマークセットに対して板厚方向の同軸上であって、支持基板が除去された(k-1)層目集積回路の遮光層上にアライメントマークを形成する。
第(k-1)接合工程では、直前に行われた接合後アライメントマーク形成工程で形成されたアライメントマークと、k層目集積回路に形成されたアライメントマークと、を対向させて光学的に位置合わせする第(k-1)アライメントマークセットとして用いて、(k-1)層目集積回路とk層目集積回路とを接合する。
【符号の説明】
【0043】
1 積層型半導体集積回路装置
201 1層目集積回路
202 2層目集積回路
203 3層目集積回路
301 第1基板
302 第2基板
303 第3基板
311~313 支持基板
321~323 埋め込み酸化膜
331~333 トランジスタ(半導体素子)
341~343 配線
351~353 遮光層
361 第1アライメントマークセット
361A アライメントマーク(上側2層目アライメントマーク)
361B アライメントマーク(下側1層目アライメントマーク)
362 第2アライメントマークセット
362A アライメントマーク(上側3層目アライメントマーク)
362B アライメントマーク(下側2層目アライメントマーク)
371、371A、371B 埋め込み電極
372、372A、372B 埋め込み電極
381~383 絶縁層