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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
G01N35/00 C
G01N35/00 F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020513150
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011508
(87)【国際公開番号】W WO2019198445
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2018077392
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】河 治國
(72)【発明者】
【氏名】有賀 洋一
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051672(WO,A1)
【文献】特開2013-76619(JP,A)
【文献】特開2010-107478(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0179293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬容器保管部と、
試薬と検体とを反応容器に分注する分注機構と、
前記反応容器に収容された前記試薬と前記検体との反応液の特性を測定する測定部と、
前記試薬容器保管部に前記試薬容器を収納し、前記試薬容器保管部に保持された前記試薬容器を前記試薬容器保管部から排出するオートローダと、
表示部と、
前記試薬容器保管部に保持された複数の前記試薬容器の保持位置情報及び複数の前記試薬容器に収容された試薬の管理情報を記憶し、前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、前記制御部は、前記試薬容器保管部に保持された複数の前記試薬容器のそれぞれの保持位置に対応して、複数の前記試薬容器のそれぞれに収容された試薬の前記管理情報を表示する複数の試薬管理項目表示領域をマトリックス状に配置し、かつ、前記オートローダで排出される予定の試薬を表示する、前記オートローダの試薬容器収納数分の表示領域を表示する排出予定試薬表示領域を配置した第1画面を前記表示部に表示させることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記第1画面で表示された前記複数の試薬管理項目表示領域のそれぞれには、前記試薬容器の保持位置情報を含む複数の表示領域を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記複数の表示領域は、前記試薬容器の保持位置情報、試薬残量、分析項目名称、試薬の状態に関する情報のうちのいずれかを表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記管理情報を表示する文字若しくは数字の色、または前記表示領域の背景色を、前記試薬の前記管理情報に応じて、予め設定した表示色とすることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項3に記載の自動分析装置において、
前記第1画面は、予め定めた種類の試薬を選択する選択ボタンを有し、前記選択ボタンにより選択された種類の試薬の試薬管理項目表示領域のみ、前記試薬容器の保持位置情報、試薬残量、分析項目名称、試薬の状態に関する情報を表示し、
前記選択ボタンにより選択されていない種類の試薬の試薬管理項目表示領域は、前記試薬容器の保持位置情報に関する情報のみ表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の自動分析装置において、
前記第1画面の前記複数の試薬管理項目表示領域のそれぞれは、表示画面切替えのためのボタン機能を有し、前記複数の試薬管理項目表示領域のうちの選択された試薬管理項目表示領域の前記ボタン機能により、前記選択された試薬管理項目表示領域の試薬の詳細情報を表示する第2画面が前記第1画面から切り替り表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動分析装置において、
前記第2画面は、前記第1画面の前記ボタン機能により、前記選択された試薬管理項目表示領域の試薬と組み合わせて使用する試薬情報も、表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記排出予定試薬表示領域は、ボタン機能を有し、前記排出予定試薬表示領域を前記ボタン機能により選択することにより選択された対象試薬の詳細情報が前記表示部に表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記複数の試薬管理項目表示領域のそれぞれは、試薬の状態に関する情報表示領域を有し、前記情報表示領域には、試薬に使用制限がかかっている場合に、制限の理由、あるいは制限解除のためのアクションが表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記情報表示領域には試薬の状態に対して推奨されるアクションが表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記情報表示領域には、前記使用制限の理由として、対象の試薬を使用して行う分析に他の試薬も組み合わせる必要のある場合に、組み合わせる相手の試薬が前記試薬容器保管部に存在しないとき、又は、試薬の使用に当たって必要とされる精度管理試料の測定、あるいは検量線の作成のための標準試料の測定が未実施であるときは、その内容が略記して表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記複数の試薬管理項目表示領域のそれぞれには、前記試薬容器の保持位置情報と試薬残量と分析項目名称とが表示されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の自動分析装置において、
前記第1画面は、予め定めた種類の試薬を選択する試薬フィルタ表示領域を有し、選択された種類の試薬以外の前記試薬管理項目表示領域に示されていた前記試薬残量と前記分析項目名称と前記試薬の状態に関する情報とは非表示とされることを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記試薬容器保管部と、前記分注機構と、前記測定部と、前記オートローダとを有する分析装置を複数備え、前記複数の分析装置のそれぞれが保持する試薬の状況を示す試薬状況表示用のアイコンが前記表示部に表示され、前記アイコンは前記複数の分析装置のそれぞれが保持する試薬の状況に応じた表示色が付されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項15】
請求項9に記載の自動分析装置において、
前記複数の試薬管理項目表示領域のそれぞれは、ボタン機能を有しており、前記試薬管理項目表示領域を前記ボタン機能により選択することにより対象試薬の詳細情報が表示され、前記詳細情報が表示された画面には前記使用制限がかかっている試薬に関して制限の詳細内容を表示する試薬マスク情報詳細表示領域を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項16】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記試薬容器収納数分の表示領域には、前記オートローダに収納された前記試薬容器に対応する試薬のテスト名が表示され、前記オートローダに収納中の試薬が無い場合にはテスト名は空欄であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項17】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記オートローダは複数の前記試薬容器を収納可能であり、前記試薬容器収納数分の表示領域には前記オートローダの試薬ポジションが表示されていることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体試料の定性・定量分析を行なう自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動分析装置で測定できる項目の増加に伴い、自動分析装置に搭載できる試薬設置数も増えてきており、画面上に表示される試薬情報が増加している。さらに処理能力の増加に伴い、試薬交換や追加の作業頻度が増加している。その一方、作業の対象となる画面の多岐化により画面遷移の時間や手間(クリック動作)がかかるため、操作性の向上が望まれている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、各試薬に関する情報を表形式の表示として、1試薬あたりの情報を1行に表示している。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、試薬ディスク上の試薬保持領域への試薬配置に対応して、円盤状の画面に試薬情報を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO01/067113号公報
【文献】WO15/186446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、画面に表示され得る行数が同時に1画面に表示し得る試薬数であり、それ以上表示できる試薬数を増加することが困難であった。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、全試薬の情報を一画面で表示する場合、試薬の配置を模して表示する方法が一例として示されているが、各試薬で必要とする量の文字情報を表示することが困難で、選択した試薬について拡大表示を行うなど、同時一括表示の機能を制限する必要があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、同一画面に表示できる試薬数を減少することなく、試薬管理に必要な情報を表示し、試薬情報の閲覧性を向上した自動分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は次のように構成される。
【0010】
自動分析装置において、試薬を収容する複数の試薬容器を保持する試薬容器保管部と、試薬と検体とを反応容器に分注する分注機構と、前記反応容器に収容された前記試薬と前記検体との反応液の特性を測定する測定部と、表示部と、前記試薬容器保管部に保持された複数の前記試薬容器の保持位置情報及び複数の前記試薬容器に収容された試薬の管理情報を記憶し、前記表示部に表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記試薬容器保管部に保持された複数の前記試薬容器のそれぞれの保持位置に対応して、複数の前記試薬容器のそれぞれに収容された試薬の管理情報を表示する複数の試薬管理項目表示領域をマトリックス状に配置した第1画面を前記表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同一画面に表示できる試薬数を減少することなく、試薬管理に必要な情報を表示し、試薬情報の閲覧性を向上した自動分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例が適用される自動分析装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施例1における生化学分析装置の試薬管理項目を一覧表示した画面(第1画面)を示す図である。
図3】実施例1の第1画面における試薬管理項目の詳細説明図である。
図4図2に示した試薬管理項目のうちの一つの試薬に関する表示領域を拡大して示す図である。
図5図2における試薬状況表示に表示する表示色の例を記載した表を示す図である。
図6】各試薬の状態に応じて変化させる試薬管理項目の背景色を記載した表を示す図である。
図7】実施例1における対象試薬の詳細表示画面(第2画面)を示す図である。
図8】実施例2における免疫分析装置についての第1画面を示す図である。
図9図8に示した試薬管理項目のうちの一つの試薬に関する表示領域を拡大して示す図である。
図10】実施例2における対象試薬の詳細表示画面(第2画面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【実施例
【0014】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例が適用される自動分析装置の概略構成図である。
【0015】
図1において、自動分析装置は、イオン選択電極を用いて検体中の電解質濃度を測定するISE分析装置8と、検体と試薬を反応ディスク14上に架設された反応容器42内で混合・反応させ、検体と試薬との反応液の吸光度を光源43からの光を用いて光度計44で測定して検体中の生化学成分の分析を行う生化学分析装置9と、インキュベータ21上に架設された反応容器45内で試薬と検体とを混合・反応させ、ホルモン等の血液中の微量成分を高感度分析するための免疫分析装置16とを備える。
【0016】
自動分析装置は、さらに、上記分析装置8、9及び16に検体を供給するために検体ラック3を供給する検体ラック供給部6と、検体ラック供給部6から分析装置8、9および16に検体ラック3を供給する検体搬送ライン4及び5と、測定終了後の検体ラック3を収納する検体ラック収納部7と、さらにそれらを制御するための制御部とを備える。
【0017】
制御部は、制御用PC1、ISE分析装置8が有するコンピュータ5-1、生化学分析装置9が有するコンピュータ9-1及び免疫分析装置16が有するコンピュータ16-1から構成される。制御用PC1はモニタ(表示部)2を備えている。
【0018】
なお、コンピュータ5-1、9-1、16-1は、図示の関係で、各分析装置8、9、16の外部に配置されているように示したが、各分析装置8、9、16に内蔵されている。
【0019】
検体ラック供給部6は患者検体を収容した検体容器46が複数保持された検体ラック3を、検体搬送ライン4を介して分析装置8、9、16に供給し、各分析装置8、9、16は供給された検体ラック3上の検体容器46から検体プローブ13あるいは検体プローブ20によって検体を吸引して分析処理を実施する。その後、検体ラック3は検体ライン5上を搬送されて検体ラック収納部7に収納される。
【0020】
次に、生化学分析装置9と免疫分析装置16の分析動作の概要について説明する。このうち生化学分析装置9では上述の通り試薬と検体からなる反応液の吸光度を分析するが、検体ラック3に載置された検体容器46が分注される順番に従って検体プローブ13の下まで移動し、検体プローブ13により検体が吸引され、反応容器42に所定量分注される。
【0021】
検体が分注された反応容器42が架設された反応ディスク14は、一定温度に制御された反応槽中を回動可能に配置されており、反応容器42を試薬添加位置まで移動させ、試薬プローブ12により試薬容器15から吸引された試薬が所定量加えられる。試薬添加後の反応容器42は、反応ディスク14上の攪拌位置まで移動し、攪拌が行われる。複数回の試薬の添加がある場合、上記のような試薬の添加-攪拌がさらに行われる。
【0022】
検体・試薬の混合物が攪拌された反応容器42は光源43から発した光束中を通過し、通過時の吸光度が光度計44により測定される。光源43と光度計44とにより反応液の特性を測定する測定部が形成される。測定された吸光度は、検体測定前に作成した検量線を基に対象とする分析項目の成分濃度が求められる。
測光の終了した反応容器42は、やはり反応ディスク14の近傍に配置されている反応容器42の洗浄位置まで移動し、反応容器42内の液が排出される。さらに反応容器42は洗剤で洗浄後に水で洗浄され、次の分析に使用される。
【0023】
試薬を収容した試薬容器15は試薬の保管温度に温度管理された試薬ディスク10(試薬保管部)上に着脱自在に保持・収納されている。また、液体の吸引吐出を行う移動可能な試薬プローブ12を備える分注機構と、回動可能な試薬ディスク10とにより任意の試薬を吸引し、反応容器42に吐出することを可能にしている。なお、試薬容器15の保持・収納の手段はディスク型に限定されず、試薬容器15を一列以上の列に配置したシリアル方式、もしくはマトリックス方式でも良い。
【0024】
本実施例1の生化学分析装置9では、試薬ディスク10上の試薬の自動交換のためのオートローダ11を備えており、分析動作を中断させずに試薬ディスク10上の試薬容器15を排出、および新規に使用する試薬容器15を試薬ディスク10上に収納することが可能である。
【0025】
一方、免疫分析装置16でも、生化学分析装置9と同じく分注機構(試薬プローブ19、検体プローブ20)と試薬ディスク17(試薬容器保管部)との組み合わせにより任意の試薬をインキュベータ21上の反応容器45に吐出することと、さらにオートローダ18による分析動作中の試薬容器22の交換が可能なように構成されている。
【0026】
免疫分析では反応容器45への検体と試薬の分注と混合により反応液を作成し、反応容器45を一定温度に制御されたインキュベータ21上に所定時間載置することで反応を進展させる。
【0027】
その後、反応液を反応容器45から抽出して検出部23に移送し、反応液中で発光標識と結合している対象物質の成分濃度を、標識の発光を検出する(測定する)ことによりもとめる。検出部23は反応液の特性を測定する測定部を形成する。
【0028】
本実施例1の免疫分析装置16では、発光を検出するための検出部23は独立して検出処理を実施可能な検出ユニットを2チャンネル備えており、後述する試薬管理項目で扱う情報の中に各検出ユニット別に管理される項目が含まれることがある。
【0029】
ISE分析装置8、生化学分析装置9、免疫分析装置16ではそれぞれ異なる分析用試薬を使用しており、試薬の収納は各装置8、9、16とも個別に行う一方、分析用試薬の情報の管理、表示は制御用PC1で行っている。
【0030】
制御用PC1が管理しなければならない分析用試薬の情報(以下、試薬管理項目と記載)としてどのようなものがあるかについて、以下に説明する。なお、以下の試薬管理項目は必ずしも全ての情報を含むわけではなく少なくとも以下の1つの項目である。
【0031】
まず、その試薬を使用して行う分析項目、試薬容器15、22に収容されている試薬の個体ID、製造時のロットID、さらに製造日時と使用有効期限などが挙げられ、分析項目によっては複数の試薬の組み合わせを必要とすることから、その場合には組み合わせの相手となる試薬の分析項目が含まれる。他に、その試薬容器15、22に収容している試薬の液量があるが、これは使用時点での残量と初期時点での収容量であり、体積、重量、もしくは分析回数(テスト数)のいずれかで管理される。
【0032】
これら試薬管理項目は個別の試薬容器15、22に付属する書替え可能、もしくは読出し専用の記憶媒体に記憶されているか、あるいは試薬ディスク10、17上に収納されている全試薬の情報を一括して制御用PC1が記憶する(制御用PC1が有する記憶手段に記憶して管理される)。制御用PC1に記憶される試薬管理項目には、その試薬を収容する試薬容器15、22が保持されている位置情報、およびその試薬の状態に関する情報が含まれる。試薬容器15、22は分析装置へ搬入される際、試薬容器15、22に付された記憶媒体から試薬管理項目が読み込まれて制御部1、5-1、9-1、16-1に転送され、試薬ディスク10、17上の他の試薬容器15、22の試薬管理項目に関する情報と合わせて一括管理される。
【0033】
次に、本発明の実施例1における試薬管理項目の表示について、図2から4を用いて説明する。図2は、実施例1における生化学分析装置9の複数の試薬管理項目表示領域28を制御用PC1のモニタ2の表示画面100に一覧表示した画面(第1画面)を示す図である。表示画面の名称は、表示画面名称領域24に表示された“Overview” (一覧表示画面)である。図2において、各試薬管理項目表示領域28は、試薬容器保持部である試薬ディスク10に保持された試薬容器15の位置に対応する番号順に、n行m列(n、mは2以上の整数)のマトリックス状に配置され、表示される。
【0034】
図2に示した第1画面では、試薬管理項目表示領域28の表示領域のほかに表示する試薬を分析装置ごとに指定する分析モジュール選択表示領域(分析装置選択表示領域)25、分析モジュール(分析装置)を選択するための分析モジュール選択ボタン25-1、表示する試薬の種別を表示する試薬種別選択表示領域26、試薬の種別を選択するための試薬種別選択ボタン26-1、さらに表示する試薬をその状態でフィルタし、表示/非表示を指定するための試薬フィルタ表示領域27、試薬フィルタ表示領域選択ボタン27-1を備えている。
【0035】
上記選択ボタン25-1、26-1、27-1を制御PC1が有するマウスの操作、もしくはモニタ2のタッチパネルを介して操作することにより選択候補のリストを表示させ、その中から選択指示することができる。
【0036】
図3は、実施例1の第1画面における複数の試薬管理項目表示領域28の詳細説明図であり、各表示領域25、26、27の選択候補例を記載した表1を示す図である。また、図4は、図2に示した試薬管理項目表示領域28のうちの一つの試薬に関する表示領域を拡大して示した図である。
【0037】
図3において、例として、試薬フィルタ表示領域27の欄に示した表示項目(All、Calibration Request、QC Request、Required Action)のうちのいずれかを選択すると、表示対象以外の試薬(予め定めた種類の試薬)に関する表示領域28では、図4に示した試薬ポジション表示領域28-1以外の項目(試薬残量表示領域28-2、テスト名表示領域28-3、リコメンド28-4)を非表示にできる。
【0038】
図2に示した第1画面では、他に試薬に関連する状況表示のための表示領域として試薬状況表示30が表示される。試薬状況表示30には本実施例1が備える各分析装置、Module-A(ISE分析装置)、Module-B(生化学分析装置)、Module-C(免疫分析装置)で使用する試薬容器の形状を模したアイコンが表示されており(図2では左からModule-A(ISE分析装置)、Module-B(生化学分析装置)、Module-C(免疫分析装置)の順に表示している)、各分析装置が保持する試薬の状況についてアイコンの表示色で示している。図5は、試薬状況表示30に表示する表示色の例を記載した表2を示す図である。
【0039】
複数の試薬に関する試薬管理項目表示領域28のそれぞれは、図4に示すように次の4つの項目で構成されている。まず、試薬容器15の保持されている試薬ディスク10上の位置を示す「試薬ポジション」表示領域28-1、試薬の現時点での残量を示す「試薬残量」表示領域28-2、分析項目を示す「テスト名」表示領域28-3、さらに現状の試薬の状態に関する情報、もしくはその試薬状態に対して推奨されるアクションを示す「リコメンド」表示領域(試薬の状態に関する情報表示領域)28-4である。
【0040】
上記項目のうち「試薬ポジション」28-1欄は試薬ディスク10の試薬容器保持位置に対して順に付されている一連番号に対応付けられており、本実施例1の試薬ディスク10では60箇所の試薬容器保持位置を備えていることから、1から60までの数字が割り当てられている。
【0041】
次に、「残量」28-2の欄は対象の試薬の残量を液量(mL)、もしくは残テスト数のいずれかで表示される。どちらで表示されるかは、液量であれば単位である「mL」の表示と一緒に表示され、残テスト数であれば数字のみが表示されることで識別される。「テスト名」28-3の欄の表示は分析項目の名称(図2中ではEco-D、NaOHD、等を例示)を表示する。「リコメンド」28-4欄には後述する、試薬が何らかの理由で使用制限がかかっている場合に、制限の理由、あるいは制限解除のためのアクションが記述されている。「リコメンド」28-4欄に表示される使用制限の例としては、対象の試薬を使用して行う分析に他の試薬も組み合わせる必要のある場合に、組み合わせる相手の試薬が試薬ディスク10上に存在しない場合、試薬の使用に当たって必要とされる、精度管理試料(コントロール)の測定、あるいは検量線の作成のための標準試料(キャリブレータ)の測定が未実施であった場合、などが挙げられ、それぞれの場合に、上記内容が「リコメンド」28-4欄に略記される。
【0042】
これらの各試薬の管理項目の表示領域は、画面遷移のためのボタンとしての機能も備えており、その表示領域を選択(制御用PC1に接続したマウスによるクリック操作、キーボード上のキーを組み合わせた指示操作、あるいは表示がタッチパネルタイプのモニタ2に表示されている場合はタッチ操作など)することにより第1画面から切り替り、対象試薬の詳細表示画面(図7に示す第2画面)を表示する。図6は、各試薬の状態に応じて変化させる試薬管理項目表示領域28の各領域の背景色を記載した表3を示す図である。図7は対象試薬の詳細表示画面(第2画面)を示す図である。
【0043】
図7に示した第2画面には画面終了(Close)ボタン37が表示されており、画面終了ボタン37を選択することにより第1画面の表示に復帰する。
【0044】
また、上記各試薬管理項目表示領域28は試薬の状態に応じて図6に示した表3に記載した背景色で表示され、さらに表示する文字または数字の表示色は有効期限切れの場合に赤色表示、また、試薬ポジションに試薬容器が存在しない場合には「試薬ポジション」28-1のみ白抜きの数字で表示される。
【0045】
図2に示した排出予定試薬表示領域29には、上記のオートローダ11で排出される予定の試薬が表示される。本実施例1の生化学分析装置9では、オートローダ11には5つの試薬容器15を収納可能であるため、各表示領域には図2に示すように1から5までの試薬ポジション28-1が表示されている。排出予定試薬表示領域29内には試薬ポジションのほかに対象の試薬の「テスト名」が表示されるが、図示した例ではオートローダ11内に収納中の試薬がないため、「テスト名」は空欄で、試薬ポジション28-1が白抜きフォントで表示される。また、排出予定試薬表示領域29は、試薬管理項目表示領域28と同じく画面遷移のためのボタン機能を備えており、その表示領域を選択することにより対象試薬の第2画面を表示する。
【0046】
本実施例1では、試薬管理項目表示領域28と排出予定試薬表示領域29にはそれぞれ試薬ディスク10上の試薬容器保持位置の数、もしくはオートローダ11の試薬容器収納数分の表示領域が表示される一方、該当する位置に試薬がない場合、もしくは試薬フィルタ表示領域27により表示対象外とされた項目については、試薬ポジション28-1のみ白抜きフォントで表示し、表示位置は変更しないこととしている。ただし、別方式として上記の2つの例では試薬ポジション28-1を含めて表示せず、表示対象の試薬の試薬管理項目表示領域28、排出予定試薬表示領域29のみを表示するようにしても良い。その場合には、非表示の試薬管理項目表示領域28及び排出予定試薬表示領域29では、表示スペースが生じるので、表示している試薬表示領域の間のスペースを詰めれば、表示スペースを圧縮することができる。
【0047】
第2画面は図7に示すように、選択された試薬の詳細情報(表示画面名称(詳細表示画面)31)を表形式で表示したもので、画面内では指定された試薬の分析項目ごとの表示が分析項目別情報表示領域32に表形式で表示される。また、分析項目によらず共通の情報は共通情報表示領域33に表示される。
【0048】
分析項目別情報表示領域32に表示される情報には分析項目名(Test)、リコメンド情報(Recommend)、試薬残量(Remainig)、キャリブレーション実施日時(Calibrated)、キャリブレーション方法(Calibration Type)のいずれかが含まれる。
【0049】
また、共通情報表示領域33には、試薬ポジション(Position(28-1と共通))、試薬種別カテゴリ(Category)、Lot番号(Lot)、有効期限(Expiry Date)、装置への収納・登録日(First Registration)等のうちのいずれかを表示する。
【0050】
第2画面には他に使用制限がかかっている試薬に関して、制限の詳細内容を表示する試薬マスク情報詳細表示領域34を備えている。また、上記の画面終了ボタン37と合わせてオートローダ11により排出する試薬を選択するための排出試薬選択ボタン35(Unload)、ユーザにより試薬の使用制限のON/OFFを選択する試薬マスク選択ボタン36(R.Pack Mask)を配置しており、これらのボタンを、制御用PC1のマウス操作等で選択状態にすることにより上記処理を指示することができる。
【0051】
以上のように、本実施例1によれば、図2に示した第1画面上で1試薬当たりの表示項目数、表示するテキスト量を限定することにより表示面積を圧縮するとともに、各試薬をマトリックス状に配置して表示することにより1画面当たりに表示できる試薬管理項目を拡大することができる。
【0052】
さらに、試薬管理項目の各表示領域を選択ボタンとし、そのボタンを選択することにより対象の試薬の詳細情報表示画面(図7に示した第2画面)を表示することで、詳細情報を容易に入手することが可能であり、1画面に表示可能な試薬数の拡大と試薬管理に必要な詳細情報の入手とを両立させることができる。
【0053】
したがって、搭載している試薬を表示する際の、同一画面に表示できる試薬数を減らすことなく試薬管理に必要な情報を取得し、さらに状況に応じてより詳細な情報を得るための画面を円滑に表示することが可能な自動分析装置を実現することができる。
【0054】
(実施例2)
次に、第1画面の表示に関する実施例2について、図8から10を用いて説明する。
【0055】
図8は、実施例2における免疫分析装置16についての、第1画面を示す図であり、実施例1で説明した分析モジュール選択ボタン25でModule-C(免疫分析装置16)を選択し、“Module-C”を示す分析モジュール選択表示領域38が表示された例の図である。また、図9は、図8に示した試薬管理項目のうちの一つの試薬に関する表示領域を拡大して示す図である。
【0056】
図8において、免疫分析装置16における各試薬に関する試薬管理項目表示領域39の表示のうち、「リコメンド」欄(図9に示すリコメンド表示領域(Ch1)39-4、リコメンド表示領域(Ch2)39-5)は、2つの領域に分けて表示される。これは、本実施例2の免疫分析装置16が上述のように2つの検出ユニット(2チャンネルの検出ユニット)を備えていることに対応した表示領域の構成であり、「リコメンド」欄39-4、39-5の表示内容のうち、検出ユニットに関連付くものを検出ユニット別(Ch1、Ch2)に表示するものである。
【0057】
例えば、キャリブレーション、もしくは精度管理などは検出ユニットごとに行われるため、その要否、実施・未実施に関する情報は検出ユニット別に管理、表示されることになる。
【0058】
本実施例2の免疫分析装置16が備える試薬ディスク17では48箇所の試薬容器保持位置を備えていることから、試薬容器保管部である試薬ディスク17に保管された試薬容器の保持位置に対応して、試薬管理項目表示領域39は8行×6列=48箇所が表示され、試薬ポジション表示領域39-1には1から48までの数字が割り当てられている。残テスト数表示領域39-2には、残テスト数が表示される。
【0059】
なお、試薬種別選択表示領域、試薬フィルタ表示領域は、実施例1に示した生化学分析装置9の場合と共通の機能を備え、図3に示した選択候補(表1)を表示する。
【0060】
図10は、実施例2における詳細表示画面(第2画面)を示す図である。図10において、第2画面では、分析項目別情報表示領域40に表示される情報のうち、キャリブレーション実施日時(Calib.Date)、キャリブレーション方法(Calib.Type)に関しては、第1画面のリコメンド欄39-4、39-5(図9参照)と同じく、検出ユニット(Ch1、Ch2)毎に分けて表示する。
【0061】
また、組み合わせ試薬情報表示領域41は、試薬管理項目表示領域39のテスト名表示領域39-3に表示される試薬と組み合わせて使用する、別の試薬に関する表示欄であり、実施例2では分析の前処理(Pretreatment)のための試薬(Reagent)に関する情報を表示している。
【0062】
組み合わせ試薬情報表示領域41に表示される情報としては、分析項目名(Test)、組み合わせる相手の試薬の搭載状況(Link Status)、試薬のシリアル番号(Serial No.)、試薬ポジション(Position)などの情報のいずれかが含まれる。
【0063】
本実施例2における他の表示については、実施例1と同様である。
【0064】
本実施例2によれば、実施例1と同様な効果を得ることができる他、表示する試薬の情報として試薬管理項目表示領域39に表示される試薬の情報に加え、さらに表示された試薬と組み合わせて使用する試薬がある場合の情報についても容易に検索することが可能であり、各分析装置(ISE分析装置8、生化学分析装置9、免疫分析装置16)に搭載している試薬に関する詳細情報を把握することができる。
【0065】
なお、試薬プローブ12及び検体プローブ13は、試薬と検体とを反応容器42に分注するための分注機構と定義することができる。また、試薬プローブ19及び検体プローブ20は、試薬と検体とを反応容器45に分注するための分注機構と定義することができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・制御用PC、2・・・モニタ、3・・・検体ラック、4、5・・・検体搬送ライン、5-1、9-1、16-1・・・コンピュータ、6・・・検体ラック供給部、7・・・検体ラック収納部、8・・・ISE分析装置、9・・・生化学分析装置、10、17・・・試薬ディスク、11、18・・・オートローダ、12、19・・・試薬プローブ、13、20・・・検体プローブ、14・・・反応ディスク、15、22・・・試薬容器、16・・・免疫分析装置、21・・・インキュベータ、23・・・検出部、24・・・表示画面名称領域(一覧表示画面)、25・・・分析モジュール選択表示領域、25-1・・・分析モジュール選択ボタン、26・・・試薬種別選択表示領域、26-1・・・試薬種別選択ボタン、27・・・試薬フィルタ表示領域、27-1・・・試薬フィルタ表示領域選択ボタン、28・・・試薬管理項目表示領域、28-1、39-1・・・試薬ポジション表示領域、28-2・・・試薬残量表示領域、28-3、39-3・・・テスト名表示領域、29・・・排出予定試薬表示領域、30・・・試薬状況表示、31・・・表示画面名称(詳細表示画面)、32・・・分析項目別情報表示領域、33・・・共通情報表示領域、34・・・試薬マスク情報詳細表示領域、35・・・排出試薬選択ボタン、36・・・試薬マスク選択ボタン、37・・・画面終了ボタン、38・・・分析モジュール選択表示領域、39・・・試薬管理項目表示領域、39-2・・・残テスト数表示領域、39-4・・・リコメンド表示領域(Ch1)、39-5・・・リコメンド表示領域(Ch2)、40・・・分析項目別情報表示領域、41・・・組み合わせ試薬情報表示領域、42、45・・・反応容器、43・・・光源、44・・・光度計、46・・・検体容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10