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特許7254091検査システム、リソグラフィ装置、及び検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】検査システム、リソグラフィ装置、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230331BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230331BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20230331BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 521
G01N23/2251
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020545673
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2019054630
(87)【国際公開番号】W WO2019174899
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】18162351.3
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポリャコフ,アレクセイ,オレゴヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】スマクマン,エルウィン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ニキペロフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】マングナス,アルベルタス,ヴィクター,ゲラルドス
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041080(JP,A)
【文献】特開2017-198657(JP,A)
【文献】特開2017-214654(JP,A)
【文献】特開2002-261146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G03F 7/20
G01N 23/2251
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを受け取り、材料を前記サンプル上に選択的に堆積させるように構成された選択的堆積ツールと、
前記堆積された材料を有する前記サンプルに対して検査プロセスを行うように構成された検査ツールと、
前記選択的堆積ツール及び前記検査ツールを封入するように構成された筐体と、
を含み、
前記選択的堆積ツールは、前記サンプル上の第1の露出表面上に前記材料を堆積し、前記サンプル上の第2の露出表面上には前記材料の堆積を生じさせないようにさらに構成され、
前記検査プロセスにおいて、前記第1の露出表面の可視性が増加又は減少され、これにより前記第1の露出表面及び前記第2の露出表面の測定コントラストが増加される、検査システム。
【請求項2】
前記選択的堆積ツールが、前記筐体の第1のチャンバ内に配置され、前記検査ツールが、前記筐体の第2のチャンバ内に配置され、前記検査システムが、前記第1のチャンバ内のある場所から前記第2のチャンバ内のある場所へと前記サンプルを移送するためのサンプル移送システムを更に含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロックを更に含む、請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記筐体が、前記サンプルを投入し、及び取り出すためのポートと、前記筐体内の前記サンプルを取り扱うためのハンドリングシステムとを含む、請求項に記載の検査システム。
【請求項5】
前記ポートと前記第1のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロック、及び/又は前記ポートと前記第2のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロックを更に含む、請求項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記選択的堆積ツールが、原子層堆積ツール、及び/又は物理蒸着ツール、及び/又は化学蒸着ツールを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
前記原子層堆積ツールが、洗浄ユニットを含む、請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記原子層堆積ツール、前記洗浄ユニット、及び前記検査ツールが、一列に並んで配置される、請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
前記検査ツールが、電子ビーム検査ツールを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査システムが、前記筐体内で調整雰囲気を維持するように構成される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項11】
前記選択的堆積ツール及び前記検査ツールが、共通ベースフレームに取り付けられる、請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
前記検査ツールが、
サンプルのプロービングを行うための電子ビームを生成するように構成されたeビーム源と、
前記サンプルからの応答信号を検出するように構成された検出器と、
を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項13】
前記検査システムが、前記サンプルを調整するための調整ツールを更に含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項14】
前記選択的堆積ツールが、前記サンプルの材料特性及び/又はトポグラフィに基づいて、前記材料を前記サンプル上に選択的に堆積させるように構成された、請求項1に記載の検査システム。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の検査システムを用いた検査方法であって、
前記検査システムによってサンプルを受け取ることと、
前記選択的堆積ツールを用いて材料を前記サンプル上に選択的に堆積させることと、
前記検査ツールを使用して、前記材料が上に堆積された前記サンプルを検査することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、2018年3月16日に出願された欧州特許出願公開第18162351.3号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本発明は、検査システム、検査方法、及びリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] リソグラフィ装置は、基板に、通常は基板のターゲット部分に所望のパターンを付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。そのような場合、ICの個々の層に形成すべき回路パターンを生成するために、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用してもよい。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つのダイの一部又はいくつかのダイを含む)に転写することができる。パターンの転写は、典型的には、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像により行われる。概して、単一の基板は、連続的にパターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含む。従来のリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を1回で露光することにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、照射ビームによりパターンを所与の方向(「スキャン」方向)にスキャンすると同時に基板をこの方向に平行又は反平行に同期してスキャンすることにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。基板上にパターンをインプリントすることによりパターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
[004] 典型的にはリソグラフィ装置で付与される放射ビームは、例えば、DUV放射ビーム(例えば、248nm若しくは193nmの波長を有する)又はEUV放射ビーム(例えば、11nm若しくは13.5nmの波長を有する)でもよい。
【0005】
[005] 集積回路の製造は、典型的には、複数の層のスタッキングを必要とする場合があり、それによって、層が正確に位置合わせされる必要がある。かかるアライメントがなければ、層間の必要とされる接続に欠陥が生じる場合があり、集積回路の故障につながる。
【0006】
[006] 典型的には、集積回路の1つ又は複数の底層は、トランジスタ又はそれらのコンポーネントなどの最小構造を含む。後続の層の構造は、典型的にはより大きく、且つ外部との底層における構造の接続を可能にする。そこで、2つの層のアライメントが、集積回路の底部分において最大の課題となる。
【0007】
[007] 回路又は回路層が適切にパターン形成されることを確実にするために、基板は、eビーム検査ツールなどの検査ツールを使用して、検査に供されることが多い。このようなツールは、例えば、例えばリソグラフィ装置によって行われた特定のプロセスステップが期待通りに実行されたか否かをアセスメントするために適用することができる。
【0008】
[008] eビームベースの検査ツールなどの検査ツールの性能を向上させることが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
[009] eビーム検査ツールの性能を向上させることが望ましく、具体的には、eビーム検査ツールなどの検査ツールによって行われる測定に基づいて、リソグラフィ装置又はプロセスの性能に関するより詳細なフィールドバックを取得することが望ましい。これらの懸案事項に対処するために、本発明の一態様によれば、
選択的堆積ツールであって、
サンプルを受け取り、
材料をサンプル上に選択的に堆積させるように構成された選択的堆積ツールと、
堆積された材料を有するサンプルに対して検査プロセスを行うように構成された検査ツールと、
選択的堆積ツール及び検査ツールを封入するように構成された筐体と、
を含む検査システムが提供される。
【0010】
[0010] 本発明の別の態様によれば、先行する項に記載の検査システムを用いた検査方法であって、
検査システムによってサンプルを受け取ることと、
選択的堆積ツールを用いて材料をサンプル上に選択的に堆積させることと、
検査ツールを使用して、材料が上に堆積されたサンプルを検査することと、
を含む、方法が提供される。
【0011】
[0011] ここで、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら、本発明の実施形態を、単に例示として、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を描く。
図2】[0013]本発明の一実施形態による検査ツールを描く。
図3a】[0014]本発明による検査システムの上面図を概略的に描く。
図3b】[0014]本発明による検査システムの側面図を概略的に描く。
図4】[0015]本発明による検査システムの上面図を概略的に描く。
図5】[0016]本発明による検査システムの選択的堆積ツールによって適用され得るような選択的堆積プロセスを概略的に描く。
図6】[0016]本発明による検査システムの選択的堆積ツールによって適用され得るような選択的堆積プロセスを概略的に描く。
図7】[0016]本発明による検査システムの選択的堆積ツールによって適用され得るような選択的堆積プロセスを概略的に描く。
図8】[0016]本発明による検査システムの選択的堆積ツールによって適用され得るような選択的堆積プロセスを概略的に描く。
図9】[0017]構造の2つの層間のオーバーレイを決定するための本発明の使用を示す。
図10】[0017]構造の2つの層間のオーバーレイを決定するための本発明の使用を示す。
図11】[0018]ライン形状構造への導電性コーティングの付与を示す。
図12】[0019]本発明による検査ツールのより詳細な実施形態を概略的に描く。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に描いている。装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又は他の任意の好適な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、且つ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決めデバイスPMに接続されたマスク支持構造(例えばマスクテーブル)MTを含む。装置はまた、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、且つ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板サポート」を含む。装置は、放射ビームBに付与されるパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)にパターニングデバイスMAにより投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを更に含む。
【0014】
[0021] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型又は他のタイプの光学コンポーネント、又はこれらの任意の組み合わせなどの、種々のタイプの光学コンポーネントを含み得る。
【0015】
[0022] マスク支持構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。マスク支持構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び例えばパターニングデバイスが真空環境内に保持されるかどうかなどの他の条件に応じた様式でパターニングデバイスを保持する。マスク支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式又は他のクランプ技術を使用することができる。マスク支持構造は、例えば、必要に応じて固定され得る又は移動可能であり得る、フレーム又はテーブルであってもよい。マスク支持構造は、パターニングデバイスが、例えば投影システムに対して、所望の位置にあることを確実にし得る。本明細書での「レチクル」又は「マスク」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なしてよい。
【0016】
[0023] 本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する目的で放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できる任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合に、放射ビームに付与されるパターンが基板のターゲット部分における所望のパターンに厳密には対応しない場合があることを留意すべきである。通例、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路のなどのデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0017】
[0024] パターニングデバイスは、透過型又は反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィにおいて周知であるとともに、バイナリ、レベルソン型位相シフト、及び減衰型位相シフトなどのマスクタイプ、並びに種々のハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリクス配列が用いられ、小型ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜させることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリックスにより反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0018】
[0025] 本明細書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に適したもの、又は液浸液の使用若しくは真空の使用などのその他の要因に適したものとして、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型及び静電型光学システム、又はこれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈されるべきである。本明細書での「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「投影システム」と同義であると見なしてよい。
【0019】
[0026] ここで描かれているように、装置は、透過型(例えば、透過型マスクを用いる)である。代替的に、装置は、反射型(例えば、上で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを用いるか、又は反射マスクを用いる)であってもよい。
【0020】
[0027] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル若しくは「基板サポート」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル若しくは「マスクサポート」)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」機械では、追加のテーブル又はサポートを並行して使用してもよく、或いは、1つ若しくは複数の他のテーブル又はサポートを露光のために使用している間に、1つ若しくは複数のテーブル又はサポートに対して予備ステップを実行してもよい。
【0021】
[0028] リソグラフィ装置はまた、投影システムと基板との間の空間を満たすために、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で基板の少なくとも一部分が覆われ得るタイプであってもよい。液浸液はまた、リソグラフィ装置内の他の空間に、例えば、マスクと投影システムとの間に適用されてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用することができる。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が液体に浸されなければならないことを意味するのではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が位置することを意味するに過ぎない。
【0022】
[0029] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば、放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とが別体であってもよい。そのような場合に、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、放射ビームは、例えば、好適な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILに渡される。他の場合では、放射源は、例えば放射源が水銀ランプである場合、リソグラフィ装置の一体部であってもよい。必要であればビームデリバリシステムBDと共に、放射源SO及びイルミネータILは、放射システムと呼ばれることがある。
【0023】
[0030] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含み得る。通例では、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれσ外側及びσ内側と呼ばれる)を調節することができる。加えて、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの、他の種々のコンポーネントを含み得る。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を有するように放射ビームを調節するために使用されてもよい。
【0024】
[0031] 放射ビームBは、マスク支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持される、パターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射して、パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通り抜けた後に、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは基板Wのターゲット部分Cにビームの焦点を合わせる。第二位置決めデバイスPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ又は静電容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTは、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動させることができる。同様に、第一位置決めデバイスPM及び別の位置センサ(図1には明示的に描かれていない)は、例えば、マスクライブラリの機械検索後に、又はスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用することができる。概して、マスクテーブルMTの移動は、第一位置決めデバイスPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現されてもよい。同様に、基板テーブルWT又は「基板サポート」の移動は、第二位置決めデバイスPWの一部を形成する、ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現されてもよい。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、又は固定されてもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされてもよい。図示の基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、基板アライメントマークはターゲット部分間の空間に位置してもよい(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、2つ以上のダイがマスクMA上に設けられる状況では、マスクアライメントマークがダイの間に位置してもよい。
【0025】
[0032] 描かれている装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つのモードで使用することができる。
1.ステップモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」は基本的に静止状態に維持され、その一方で、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち、単一静的露光)。次いで、基板テーブルWT又は「基板サポート」は、異なるターゲット部分Cを露光させることができるようにX方向及び/又はY方向にずらされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズにより、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」及び基板テーブルWT又は「基板サポート」は同期してスキャンされ、その一方で、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMT又は「マスクサポート」に対する基板テーブルWT又は「基板サポート」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により決定されてもよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズにより単一動的露光でのターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、それに対して、スキャン動作の長さによりターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決定される。
3.別のモードでは、マスクテーブルMT又は「マスクサポート」は、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、且つ放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間に基板テーブルWT又は「基板サポート」が移動又はスキャンされる。このモードでは、通例はパルス放射源が用いられ、且つプログラマブルパターニングデバイスが基板テーブルWT又は「基板サポート」の毎回の移動後に又はスキャン中の連続する放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイなどの、プログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0026】
[0033] 上で説明した使用モードの組み合わせ及び/若しくは変形、又は全く異なる使用モードも用いることができる。
【0027】
[0034] 図示した実施形態では、リソグラフィ装置は、本発明による検査システムITを更に含む。かかる検査システムITは、例えば、構造、例えばリソグラフィ装置によって処理される基板Wの関心のあるエリアの上又は中に存在する埋込構造の特性を決定することを可能にし得る。一実施形態では、以下により詳細に論じるように、検査システムは、基板を検査するための電子ビーム源を含み得る。
【0028】
[0035] 一実施形態では、第二位置決めデバイスPWは、基板Wを検査ツールITの動作範囲内に位置決めするように構成され得る。かかる実施形態では、検査ツールITは、例えば、言及した構造の特性、例えば、電気特性、材料特性、及び/又は幾何学的特性を決定するように構成され得る。一実施形態では、この情報は、後にリソグラフィ装置の制御ユニットに提供され、及び露光プロセス中に、例えば、情報に基づいて、照明システム、投影システム、又は位置決めデバイスの一方の1つ又は複数を制御することによって使用され得る。
【0029】
[0036] 図示した実施形態では、リソグラフィ装置は、放射ビームに関してDUV放射を付与するように構成され得る。この場合、パターニングデバイスMAは、透過型パターニングデバイスでもよく、投影システムPSは、1つ又は複数のレンズを含み得る。
【0030】
[0037] 代替的に、本発明によるリソグラフィ装置は、放射ビームに関してEUV放射を付与するように構成されてもよい。この場合、パターニングデバイスMAは、反射型パターニングデバイスでもよく、投影システムPSは、1つ又は複数のミラーを含み得る。かかる実施形態では、装置は、照明システムIL及び/又は投影システムPSを収納する1つ又は複数の真空チャンバを含み得る。
【0031】
[0038] 本発明の一態様によれば、リソグラフィ装置は、処理すべき又は処理済みの基板のインライン又はオフライン検査を行うために、本発明による検査システムを含み得る。
【0032】
[0039] 本発明の一態様によれば、本発明によるリソグラフィ装置及び検査システムを含むリソグラフィシステムが提供される。このような構成では、検査システムは、スタンドアロンツールとも呼ばれることがあるオフライン検査システムでもよい。
【0033】
[0040] 本発明の一態様によれば、半導体基板などのオブジェクトを検査するように構成された検査システムが提供される。
【0034】
[0041] 本発明によれば、検査システムは、原子層堆積(ALD)ツール及びeビーム検査ツールなどの選択的堆積ツールを含む。本発明によれば、選択的堆積ツール及びeビーム検査ツールは、筐体内に配置される。このようにすることで、検査プロセス全体の制御の向上を実現することができる。一実施形態では、筐体は、共通筐体でもよい。
【0035】
[0042] 本発明による検査システムは、検査システムのeビーム検査ツールの性能を高めるために有利に使用することができる。eビーム検査ツールを選択的堆積ツールと組み合わせることによって、選択的堆積ツールによって処理されたサンプルがeビーム検査ツールによって検査される際に、関心のあるエリアの結像の向上を得ることができる。両ツールを統合する(例えば、両ツールを共通筐体内に配置する)ことによって、サンプルを検査する全時間を減らすことができる。更に、スタンドアロン選択的堆積ツールからスタンドアロンeビーム検査ツールへとサンプルを移送する悪影響を回避することができる。特に、両ツールを共通筐体内に配置することによって、本発明の一実施形態では、サンプル移送中の温度又は汚染の悪影響を軽減又は回避することができるように、共通筐体内で調整雰囲気を維持することができる。このような悪影響は、酸化、水分吸収、又は他の有害な化学変換プロセスの場合もある。
【0036】
[0043] 代替的に、検査システムの筐体は、選択的堆積ツールを封入する第1のチャンバ、及び検査ツールを封入する第2のチャンバを含んでもよく、それによって、検査システムは、第1のチャンバ内のある場所から第2のチャンバ内のある場所へとサンプルを移送するためのサンプル移送システムを更に含む。
【0037】
[0044] 図2は、本発明による検査システムにおいて適用され得るような検査ツール10の一実施形態を概略的に示す。図示した実施形態では、検査ツール10は、以下でeビーム源11とも呼ばれる電子ビーム源11を含む。かかるeビーム源11は、一般に知られており、本発明において、オブジェクト又はサンプル13(例えば、検査される必要がある半導体基板)のエリア上に電子ビーム12を投影するために適用され得る。図示したような実施形態においては、オブジェクト13は、クランプ機構13.4(例えば、真空クランプ又は静電クランプ)を用いてオブジェクトテーブル13.2に取り付けられる。eビームが投影されるオブジェクトのエリアは、サンプルとも呼ばれ得る。かかるeビーム源11は、例えば、0.2keV~100keVの範囲のエネルギーを有する電子ビーム12を生成するために使用され得る。eビーム源11は、典型的には、直径が約0.4~5nmのスポットに電子ビーム12の焦点を合わせるための1つ又は複数のレンズを有し得る。一実施形態では、eビーム源11は、電子ビーム12を偏向させ得る1つ又は複数の走査コイル又は偏向器板を更に含み得る。このようにすることで、電子ビーム12は、例えば、オブジェクトのエリアがスキャンされ得るように、X軸及びY軸(X軸及びZ軸に垂直な)に沿って(XY面は、オブジェクトの表面に平行である)偏向され得る。
本発明の一実施形態では、電子ビーム源は、複数の電子ビームを関心のあるエリアのそれぞれの複数のサブエリア上に投影するように構成される。このようにすることで、単位時間当たりに調べることができる、又は検査することができる関心のあるエリアを拡大することができる。更に、本発明の一実施形態では、電子ビーム源は、異なるエネルギーレベルを有する電子ビームを生成するように構成され得る。1つ又は複数のeビームに関して付与されるエネルギーレベルに応じて、異なる部分又は構造(例えば、埋込構造)を調べることができる。
かかるeビーム12が表面に衝突すると、表面上の相互作用及び表面下の材料との相互作用が生じ、露光表面が放射及び電子の両方を放出する結果となる。典型的には、電子ビーム12がサンプルと相互作用すると、ビームを構成する電子が、相互作用体積として知られるティアドロップ形体積内で、散乱及び吸収によりエネルギーを失う。電子ビームとサンプルとの間のエネルギー交換は、典型的には、
-非弾性散乱による二次電子の放出と、
-サンプルとの弾性散乱相互作用による相互作用体積の中から反射又は後方散乱される電子の放出と、
-X線の放出と、
-例えば、深紫外線~赤外線の範囲内の電磁放射の放出と、
の組み合わせをもたらす。
電磁放射の後者の放出は、一般に、カソードルミネセンス光又はCL光と呼ばれる。
本発明の一実施形態では、検査ツール10は、二次電子の検出用の検出器15、及びサンプルによって放出されるような後方散乱電子用の検出器15.1を更に含む。図2では、矢印14は、放出された二次電子又は後方散乱電子を表す。
【0038】
[0045] 図示したような実施形態では、検査ツールは、例えば、検出器15及び15.1によって検出されるような放出された二次電子又は後方散乱電子を処理するためのマイクロプロセッサ又はコンピュータなどを含む制御ユニット17又は処理ユニットを更に含む。
【0039】
[0046] 一実施形態では、制御ユニット17は、検出器15、15.1から信号15.2を受信するための入力端子17.2を含み、信号15.2は、検出された放出二次電子又は後方散乱電子を表す。
【0040】
[0047] 一実施形態では、制御ユニットは、eビーム源11を制御するための制御信号11.2を出力するための出力端子17.4を更に有し得る。一実施形態では、制御ユニット17は、検査すべきオブジェクト(例えば、半導体基板)の関心のあるエリア上にeビーム12を投影するようにeビーム源11を制御し得る。
一実施形態では、制御ユニット17は、関心のあるエリアをスキャンするためにeビーム源11を制御するように構成され得る。
【0041】
[0048] オブジェクトの関心のあるエリアのかかるスキャン中に、検出器は、関心のあるエリアの異なる部分から二次電子又は後方散乱電子14を受け取り得る。一例として、付与されるeビームは、例えば、直径が1~4nmの断面を有し得るが、関心のあるエリアは、100nm×100nmである。そのため、関心のあるエリアがスキャンされると、関心のあるエリアにわたるeビームに対する応答が、検出器15、15.1によって捕捉されている場合があり、検出された信号は、照明ピクセル当たりの検出された電子から成る。ピクセルサイズは、例えば、eビームの断面よりも小さくても、或いは大きくてもよい。
【0042】
[0049] 図3A及び3Bは、本発明の一実施形態による検査システム50の上面図及び断面図を概略的に描く。図示した実施形態は、筐体51、調べられるオブジェクトを受け取り、及び調べられたオブジェクトを取り出すインターフェースとして機能する一対のロードポート52を含む。図示した実施形態は、ロードポートへの、及びロードポートからのオブジェクトの取り扱い及び/又は輸送を行うように構成されたオブジェクト移送システム53を更に含む。図示した実施形態では、オブジェクト移送システム53は、検査システム50のロードポートとロードロック55との間でオブジェクトを輸送するように構成されたハンドラロボット54を含む。ロードロック55は、筐体51の外で生じる大気状態と、検査システム50の選択的堆積ツール60の内部の状態との間のインターフェースである。一実施形態では、このような選択的堆積ツール60は、例えば、原子層堆積ツール又は化学層堆積ツールでもよい(これによって、例えばプラズマにより、及び前駆体の使用により、特定の材料の層がサンプル上に選択的に堆積される)。図示した実施形態では、サンプル60.1は、プラズマ60.2に供され、それによってサンプル60.1上に材料を堆積させることができる。
【0043】
[0050] 一実施形態では、選択的堆積ツール60は、複数の堆積ツールの組み合わせも含み得る。このようなツールを使用して、選択的堆積(例えば選択的コーティング)の生成は、逐次堆積プロセス(任意選択的にエッチングステップも伴う)の結果となり得る。このような実施形態では、これらの堆積プロセスの少なくとも1つは、気体又は液体ベースの原子層堆積(ALD)又は分子層堆積(MLD)を伴い得る。このようなALD又はMLDステップは、選択的に堆積された材料(例えば、堆積されたコーティング)の特定の特徴の発展又は調整を可能にするために、1つ又は複数のCVD又はPVD(物理蒸着)ステップが後に続き得る。このような特徴は、例えば、電気伝導率、材料組成、厚さ、密度などを含み得る。
【0044】
[0051] 図示した実施形態では、検査システム50は、選択的堆積ツール60と検査ツール57(例えばeビーム検査ツール)との間のインターフェースとして機能する第2のロードロック56を更に含む。一実施形態では、このようなロードロック56は、選択的堆積ツール60から検査ツール57へとサンプルを移送するための移送システムの一部であってもよい。典型的には、電子ビーム検査ツールの場合には、検査は、真空状態下で生じる。そのため、本発明の一実施形態では、検査ツール57は、電子ビームを生成するように構成された電子ビーム源57.2を封入する真空チャンバ57.1を含む。図示した実施形態では、真空チャンバ57.1は、被検査オブジェクト57.3(例えば、半導体基板又はウェーハ)上にeビームを投影するように構成された電子光学系システム57.4を更に含む。eビーム検査ツール57は、電子光学系システム57.4によって生成されたeビームに対してオブジェクト57.3を変位させるように構成された位置決めデバイス58を更に含む。
【0045】
[0052] 一実施形態では、位置決めデバイスは、実質的に水平面にオブジェクトを位置決めするためのXYステージ、及び垂直方向にオブジェクトを位置決めするためのZステージなどの複数のポジショナのカスケード配置を含んでもよい。
【0046】
[0053] 一実施形態では、位置決めデバイスは、比較的長い距離にわたりオブジェクトの粗動位置決めを提供するように構成された粗動ポジショナ、及び比較的短い距離にわたりオブジェクトの微動位置決めを提供するように構成された微動ポジショナの組み合わせを含み得る。
【0047】
[0054] 一実施形態では、位置決めデバイス58は、検査ツール57によって行われる検査プロセス中にオブジェクトを保持するためのオブジェクトテーブルを更に含む。このような実施形態では、オブジェクトは、静電クランプなどのクランプを用いてオブジェクトテーブル上にクランプされ得る。このようなクランプは、オブジェクトテーブルに組み込まれてもよい。
【0048】
[0055] オブジェクト又はサンプルが検査ツール57によって検査されると、オブジェクト又はサンプルは、例えば移送経路62を通してハンドラロボット54へと戻され得る。一実施形態では、このような移送経路は、例えば第1の調整雰囲気(例えば、高真空雰囲気)から第2の調整雰囲気(例えば、大気又は低真空状態)へとサンプルを持っていくように構成されたロードロックを含み得る。オブジェクト又はサンプルは、次いで、ハンドラロボット54によってポート52を通して取り出され得る。代替的に、検査ツール57によって検査されたオブジェクトを受け取るために、第2のハンドラロボット63が設けられてもよく、ロボット63は、取出口64を通してオブジェクトを取り出すように構成される。
【0049】
[0056] 当業者には理解されるように、共通筐体内の選択的堆積ツール(SDT)及びeビーム検査ツール(EIT)のこの特定の配置は、多くの選択肢の1つに過ぎない。
【0050】
[0057] 図4は、異なるレイアウトを有する本発明による検査システムの上面図を概略的に描く。検査システム100は、検査システムによる処理を必要とするサンプル又は基板を受け取り、及び取り出すためのロードポート110を含む。検査システム100は、サンプル又は基板を取り扱うためのハンドリングシステム120を更に含み、このような取扱いは、例えば、ロードポートから検査システム100の選択的堆積ツール(SDT)及び/又はeビーム検査ツール(EIT)へとサンプル又は基板を輸送することを伴う。図示した実施形態では、選択的堆積ツール(SDT)及びeビーム検査ツール(EIT)は共に、検査システム100の共通筐体140内に配置される。図示した実施形態では、ロードロック150は、SDTからEITへとサンプル又は基板を移送するために設けられる。図示した実施形態では、SDTは、洗浄ユニット又は材料除去ユニット160を備える。このようなユニットは、例えば、選択的堆積プロセスの一部として堆積された材料を除去するためにSDTによって適用され得る。これは、以下により詳細に論じる。
【0051】
[0058] ある代替実施形態では、検査システム100は、例えばハンドリングシステムの近くに配置された更なる洗浄ユニット(不図示)を含み得る。ある代替実施形態では、検査システムは、EITによるサンプル又は基板の検査後に堆積された材料を除去するために適用され得る洗浄システム(不図示)を含む。なお、この機能性は、洗浄ユニット又は材料除去ユニット160によっても実現することができる。このような構成では、検査システム100は、堆積された材料を除去するために、EITによって検査されたサンプル又は基板をSDTに戻すように構成され得る。
【0052】
[0059] 一実施形態では、検査システム100は、エッチングツール(不図示)又はベークアウトツールなどの追加の処理又は調整ツールを更に含み得る。
【0053】
[0060] 共通筐体140内にSDT及びEITを配置することにより、サンプル又は基板の輸送及び取り扱いを最小限に抑えることができる。そのようにすることで、スタンドアロン選択的堆積ツールからスタンドアロン電子ビーム検査ツールへのサンプル又は基板の輸送中に生じ得るあらゆる擾乱(例えば、熱擾乱又は機械的擾乱)を回避又は軽減することができる。
【0054】
[0061] 本発明の一実施形態では、SDT及びEITは、共通ベース又はベースフレームに取り付けられる。
【0055】
[0062] 一実施形態では、SDT及びEITは、共通筐体の床面に取り付けられる。
【0056】
[0063] 一実施形態では、SDT及びEITは、共通筐体のベースフレーム又は床面に取り付けられた共通分離フレームに取り付けられる。このような実施形態では、共通分離フレームは、1つ又は複数の振動アイソレータによって支持され得る。
【0057】
[0064] ある代替実施形態では、SDT及びEITは、それぞれ別個の専用分離フレームに取り付けられ、各フレームは、1つ又は複数の振動アイソレータを用いてベースフレーム又は床面から分離される。このようにすることによって、これらのツールの一方内でのサンプル又は基板の取り扱い、輸送、又は取り換えなどの機械的動作が、他方のツール内での振動に影響を与えず、又は他方のツール内で振動を生じさせない。このようにすることによって、両ツールにおけるサンプル又は基板の同時処理を実現することができる。
【0058】
[0065] 一実施形態では、EITは、別個の分離フレーム(例えば、1つ又は複数の振動アイソレータを用いてベースフレーム又は床面から分離されたフレーム)に取り付けられる。この点において、典型的に本発明による検査システムで適用されるような検査ツールは、擾乱の影響を最も受け得ることを指摘することができる。これにより、複数のサンプルが並行して検査システムによって処理される場合に注意が払われるべきである。当業者には理解されるように、原則として、別のサンプルがEITで処理される間に、SDTで1つのサンプルを処理することができる。このような手法を用いた場合、擾乱を回避するために、注意が払われる必要がある。具体的には、あるサンプルの処理シーケンスは、別のサンプルが検査ツールEITによって検査を受けている間は、当該サンプルが、輸送、移動、又は移送されないようなものでもよい。従って、一例として、処理シーケンスは、SDTのオブジェクトテーブルへのサンプルの輸送を含み、擾乱/振動が小さくなるのを待ち、その後検査ツールEITを用いて別のサンプルを検査し得る。サンプルに対する堆積プロセス又は堆積プロセスの特定のステップは、別のサンプルに対して行われる検査プロセスと並行して行われ得ることを指摘することができる。
【0059】
[0066] 一実施形態では、共通筐体140は、SDT及びEITの両方を封入する磁気シールド、並びにサンプル又は基板をSDTからEITへと移送する任意の移送システム又はハンドリングシステムを含む。従って、移送中にも電磁擾乱を軽減することができる。
【0060】
[0067] 好適な実施形態では、検査ツールEITは、検査ツールの外でハンドリングシステム又は移送システムによって引き起こされる擾乱を回避するために、専用の電磁シールドを備える。
【0061】
[0068] 本発明による検査システムは、リソグラフィ露光プロセスなどの1つ又は複数のプロセスに供された半導体基板(サンプルとも呼ばれる)を検査するために有利に適用することができる。
【0062】
[0069] 典型的には、このようなサンプルは、走査電子顕微鏡(SEM)、低エネルギー電子顕微鏡(LEEM)、又はスピン偏極低エネルギー電子顕微鏡(SPLEEM)などのeビーム検査ツールを用いて調べられ、又は検査される。電子ビームを使用してサンプルのプロービングを行い、上記プロービングに対する応答を観察(すなわち検出)することによって、サンプルに関する情報を取得することができる。上記情報は、例えば、サンプル又は材料特性に関する幾何学的又はトポグラフィ情報を含み得る。上記情報は、サンプル上に設けられた表面又は最上層の特性に関係し得るが、サンプルの表面の下に存在する埋込構造、又はパターン形成若しくは構造化層の特性にも関係し得る。
【0063】
[0070] 半導体プロセスの確度に関する条件がより厳しくなるにつれ、これらのプロセスを評価することができる確度も向上されるべきである。eビーム検査ツールを用いた半導体基板又はサンプルの検査は、例えば不十分な信号対雑音比により、又は不十分なコントラストにより、時に難しいことがある。特に、使用された異なる材料間で得られる低コントラストにより、例えば2~10nm離れたライン、ホール、切り込み、ビア、又は論理デバイスなどの構造の品質を正確にアセスメントするために従来のeビーム検査ツールを使用することは難しいことがある。
【0064】
[0071] 半導体サンプル上で行われたプロセスのより正確なアセスメントを可能にするために、eビーム検査ツール及び選択的堆積ツールを検査システムに統合することが提案される。
【0065】
[0072] 具体的には、このようなシステムを使用して、半導体基板又はサンプルは、第1のステップにおいて、選択的堆積ツールによって処理され得る。上記第1のステップ中は、材料が、サンプルの関心のあるエリア上に選択的に堆積される。
【0066】
[0073] 本発明によれば、様々なタイプの選択的堆積ツールが、検査システムにおける適用に適し得る。このような選択的堆積ツールの例は、CVD(化学蒸着)ツール及びALD(原子層堆積)ツールである。
【0067】
[0074] このような選択的堆積ツールは、一般に、基板上に材料を選択的に堆積させる化学的技術を利用する。本発明の意義の範囲内で、サンプル上の材料の選択的堆積は、サンプルの特定のエリア又は表面を材料で覆い、他のエリア又は表面は、その材料で実質的に覆われないままであるプロセスを指す。
【0068】
[0075] 本発明の一実施形態では、選択的堆積プロセスの選択性は、材料ベースの選択性と呼ばれ得る。このような実施形態では、堆積されるべき付与材料が特定のエリア又は表面上に実際に堆積されるか否かは、上記表面の材料特性に左右される。これを図5に概略的に示す。図5の上部は、材料510及び520を含む構造500の断面図を概略的に示し、従って、構造の上面は、材料510が露出された(表面510.1)又は材料520(表面520.1)が露出されたエリア又は表面を有する。
材料ベースの選択的堆積は、堆積が露出表面の材料に左右されるプロセスを指す。図5の下部に概略的に示すように、材料ベースの選択的堆積は、例えば、材料510の露出表面510.1上への材料層530の堆積をもたらすことができ、材料520の露出表面520.1上では実質的に堆積が生じない。
代替的に、材料ベースの選択的堆積は、例えば、材料510の露出表面510.1上への材料層の堆積をもたらすことができ、材料520の露出表面520.1上では実質的に堆積が生じない。
【0069】
[0076] 本発明の一実施形態では、サンプル上への材料のこのような材料ベースの選択的堆積は、サンプルの特定のエリアの又は構造又は材料の可視性又は可検出性を増加又は減少させるために使用され得る。一例として、電気絶縁体として特性化することができる材料を用いて特定のエリア又は表面を覆うことによって、この材料で覆われたサンプルのエリアは、覆い隠され、又は見えにくい。その結果、サンプルが例えば電子ビームを用いた検査プロセスに供される際の、覆われていないエリア又は表面の可視性(例えばコントラストによって特性化される)が向上し得る。
【0070】
[0077] 本発明の一実施形態では、選択的堆積プロセスの選択性は、トポグラフィベースの選択性と呼ばれ得る。このような実施形態では、堆積されるべき付与材料がサンプルの特定のエリア又は表面上に実際に堆積されるか否かは、表面のトポグラフィ特性に左右される。これを図6に概略的に示す。図6の上部は、材料610で作られ、且つ複数のホール又はトレンチ620を含む構造600の断面図を概略的に示す。従って、トポグラフィ的に、構造中に2種類の表面を識別することができる。具体的には、X方向(例えば、水平面の方向)に延在する表面610.1、及びY方向に延在する表面610.2(すなわち、垂直方向に沿った表面)。トポグラフィベースの選択的堆積は、堆積が露出表面のトポグラフィに左右されるプロセスを指す。図6の下部に概略的に示すように、トポグラフィベースの選択的堆積は、例えば、材料610の露出表面610.1上への材料層630の堆積をもたらすことができ、材料610の露出表面610.2上では実質的に堆積が生じない。代替的に、トポグラフィベースの選択的堆積は、例えば、材料610の露出表面610.2(すなわち、垂直配向表面)上への材料層の堆積をもたらすことができ、材料610の露出表面610.1上では実質的に堆積が生じない。
【0071】
[0078] 本発明の一実施形態では、サンプル上への材料のこのようなトポグラフィベースの選択的堆積は、特定のトポグラフィを有するサンプルの特定のエリアの又は構造の可視性又は可検出性を増加又は減少させるために使用され得る。一例として、電気絶縁体として特性化することができる材料を用いて特定のエリア又は表面を覆うことによって、この材料で覆われたサンプルのエリアは、覆い隠され、又は見えにくい。その結果、サンプルが例えば電子ビームを用いた検査プロセスに供される際の、覆われていないエリア又は表面の可視性(例えばコントラストによって特性化される)が向上し得る(すなわち、強調され得る)。
【0072】
[0079] 本発明の一実施形態では、サンプルの特定のエリア又は表面を選択的に覆うために付与されるような材料は、導電体として特性化される。そのようにすることによって、サンプルが例えば電子ビームを用いた検査プロセスに供される際の、この材料によって覆われているエリア又は表面の可視性(例えばコントラストによって特性化される)が向上し得る(すなわち、強調され得る)。
【0073】
[0080] 図5及び6に示すような選択的堆積プロセスは、1つの堆積ステップを適用し、それによって、サンプルの特定のエリア又は表面が、堆積された材料によって覆われ、又は覆われない。
【0074】
[0081] 本発明の一実施形態では、検査システムの選択的堆積ツールによって適用されるような選択的堆積プロセスは、2つの堆積ステップを含む。このような実施形態を図7に概略的に示す。
【0075】
[0082] 図7の部分(a)は、材料710及び720を含む構造700の断面図を概略的に示し、従って、構造の上面は、材料710が露出された(表面710.1)又は材料720(表面720.2)が露出されたエリア又は表面を有する。
【0076】
[0083] 図7の部分(b)は、材料730が材料710の表面710.1上にのみ堆積される第1の材料ベースの選択的堆積プロセスの結果を概略的に示す。2つの堆積ステップのプロセスにおいて、このステップは、例えば、選択されたエリア又は表面が特定の材料又は分子の堆積に対して引き付けられる、又は反発する状態にされるエリア活性化ステップ又はエリア不活性化ステップと呼ばれ得る。通常、表面又は分子のこの特徴は、表面上で利用可能な極性及び結合によって定義される。
【0077】
[0084] 図7の部分(c)に示す第2の堆積ステップでは、第2の材料740がサンプル上に堆積され、第2の材料740で覆われたエリア(すなわち、サンプルの表面720.2)、並びに第1の材料730及び第2の材料740の両方で覆われたエリア(すなわち、エリア710.1)がもたらされる。図示したような第2の堆積ステップに関して、このステップは、選択的ステップである必要はない(すなわち、堆積される材料(すなわち、材料740)がサンプル全体に堆積されてもよい)ことに注目されたい。これは、この材料740の材料選択に関する柔軟性の向上をもたらし得る。但し、第2の堆積ステップは、材料740が例えばサンプルのエリア又は表面720.2上にのみ堆積される選択的堆積ステップ(例えば、材料ベースの選択的堆積ステップ)でもよいことが注目され得る。このような場合、選択性は、例えば第2の材料740が第1の材料に十分に付着しないという事実により、例えば第1の材料730の堆積に起因したものであるかもしれない。
【0078】
[0085] 第2の堆積ステップ後に、第1の材料730が除去される除去ステップが適用される。この除去ステップは、第1の材料730及びそれに付着し得る材料740が除去され、又は洗い流される洗浄ステップとも呼ばれ得る。このような除去又は洗浄ステップの結果を図7の部分(d)に概略的に示す。その結果、材料740によって覆われた選択的エリア又は表面(具体的には、エリア又は表面720.2)が得られる構造又はサンプルが取得される。
【0079】
[0086] 本発明の一実施形態では、単一ステップのプロセスによって、又は2つの堆積ステップのプロセスによって選択的に堆積された材料が導電体として特性化される。そのようにすることによって、導電層が、サンプルの選択されたエリア又は基板上(具体的には、後続の検査ステップに関して関心のあるエリア又は表面上)にのみ選択的堆積される。選択的に堆積されるのに適した材料には、例えば、銅又はコバルトが含まれ得る。
【0080】
[0087] その結果、選択されたエリア又は表面は、電子ビーム検査ツールを用いて検査される際に向上した又は改善された可視性を有する。既に示したように、材料の堆積は、例えば、CVDツール、PVD(物理蒸着)ツール、又はALD(原子層堆積)ツールを用いて行うことができる。ALDツールの適用は、ALDによって、他に述べた技術の場合よりも、堆積された層のより良い品質を得ることができるという利点をもたらし得ることに言及する価値がある。ALDの適用は、堆積された原子層の正確な厚さ制御ももたらす。
【0081】
[0088] 1つ又は複数の選択的堆積ステップの適用に関して、このようなステップで提供される選択性は、一般に、使用される前駆体及び材料の化学的特徴によって生じることに言及することができる(前駆体は、一般に、所望の堆積を生じさせるためにサンプルの表面上で反応する材料、又は分解する材料を表現するために使用される)。
【0082】
[0089] 選択的堆積の結果として、例えば本発明による検査システムで提供されるような検査ツール(例えば、SEMなどのeビーム検査ツール)によって行われる次の検査ステップにおいて、(例えば導電性材料で覆われた)選択されたエリアのみが目に見える、又は強調される。これは、測定のコントラストを上げることを許容し、より良いプロセス制御を可能にするはずである。一実施形態では、堆積された分子は、後に(例えば材料除去ユニット又は洗浄ユニットにおいて)除去することができる。本発明の一実施形態では、基板又はサンプルの後続の検査を改善し、向上させ、又は容易にするために付与された堆積材料は、非破壊方法で除去され、従って、基板又はサンプルの更なる処理が可能となる。
【0083】
[0090] 一例として、選択的堆積プロセス及び後続の検査プロセスは、現像された、又は部分的に現像された(すなわち、ベークされるが、洗い落とされていない)レジストを依然として有した状態でサンプル(例えば、基板)に適用されてもよく、後に、レジストが、選択的に付与された材料と共に除去され、サンプルは、別のツール又は複数の他のツール(例えば、新しいレジスト層を堆積させるツール及び新しい露光プロセスを行うためのリソグラフィ装置)による再加工のために送られてもよい。
【0084】
[0091] 従って、本発明による検査方法の一実施形態では、選択的堆積ステップは、例えば選択的堆積ツールと同じ筐体内に配置された電子ビーム検査ツールによって行われる検査ステップが後に続く。
【0085】
[0092] そのようにすることによって、スタンドアロン電子ビーム検査ツールへのスタンドアロン選択的堆積ツールのサンプルの輸送中に生じ得るあらゆる擾乱(例えば、熱擾乱、化学的擾乱、又は機械的擾乱)を回避又は軽減することができる。
【0086】
[0093] 本発明による検査システムは、リソグラフィ装置などの半導体デバイスの製造に関与する装置の性能を評価するために有利に適用され得る。具体的には、このような装置によって行われるリソグラフィプロセスは、本発明による検査システムを用いて、より簡単且つ正確にアセスメントされ得る。
【0087】
[0094] 以下に、本発明による検査システムが有利に適用され得る特定の適用例又は使用例の選択を論じる。
【0088】
[0095] 第1の例として、本発明は、比較的密な(すなわち、構造が比較的互いの近くに配置される)半導体構造の検査に有利に適用され得る。このような構造の例には、例えばたった2~10nm離れたライン、コンタクトホールなどのホール、切り込み又はビア、論理デバイスが含まれる。このような構造は、付与された材料間の低コントラストにより、光学CD(クリティカルディメンジョン)技術、又は使用される材料によっては、従来のSEM若しくはCD-SEMを用いて目に見えるようにすることはできない。このような材料は、例えば、Si、SiO2、HfO2、又は将来的な適用例としてIII-V若しくはII-VI半導体材料でもよい。
【0089】
[0096] 第2の例として、本発明は、高アスペクト比を有する構造の検査に有利に適用され得る。この点において、高アスペクト比とは、構造の幅又は水平寸法と比較した構造の高さ又は深さの比を指す。高アスペクト比を有する構造の例は、例えば、コンタクトホール又は格子構造でもよい。高アスペクト比構造は、3DのNANDデバイスにおいても見られる。図6に概略的に示すようなホール又はトレンチ620は、高アスペクト比構造の例と見なすことができる。このような構造に関して決定される関連のパラメータは、側壁角(SWA)である。本発明が高アスペクト比を有する構造の上記パラメータ又は他のパラメータをより正確に決定することを可能にすると考えられる。典型的に高アスペクト比構造がエッチングの結果であることが注目され得る。この点において、本発明による検査システムを用いて行われるような検査方法は、単にリソグラフィ露光ステップだけでなく、むしろ構造を生じさせる異なる製造ステップの組み合わせを特性化し得る。
【0090】
[0097] このような製造プロセスをアセスメントするために、本発明による検査ツールで使用されるような選択的堆積ツールは、材料(例えば、導電性材料)を構造の側壁又は垂直面上に選択的に堆積させるように構成され得る。このような選択的堆積プロセスを図8に概略的に示す。図8(a)は、高アスペクト比(すなわち、高い高さ(又は深さD)/幅比)を有する構造800を概略的に示し、構造は、非ゼロ側壁角(SWA)を有する。
【0091】
[0098] このパラメータをより良くアセスメントするために、以下の選択的堆積プロセスが行われ得る。
【0092】
[0099] 図8(b)に示す第1のステップでは、材料820が、構造の水平面上に選択的に堆積される(すなわち、トポグラフィベースの選択的堆積が行われる)。このような選択性を実現するために、構造の壁810に付着しない材料が付与される(なぜなら、これらの材料の結合タイプ(ファンデルワールス結合)が、角度に依存するためである)。
【0093】
[00100] 図8(c)に示される第2のステップでは、異なる材料830の分子が、例えば原子層堆積(ALD)によって構造上のあらゆる場所に堆積される。
【0094】
[00101] 第3のステップでは、構造を含むサンプル又は基板をパージすることができ、その結果、付着していない分子が除去される。このパージングの結果を図8(d)に示す。
【0095】
[00102] 第4のステップでは、材料820が除去され、又は洗い流され、それによって、材料820に付着する材料830も除去される。この洗浄ステップの結果を図8(e)に概略的に示す。
【0096】
[00103] 図示したようなプロセスを用いて、高アスペクト比を有する構造の側壁に導電性材料830の薄層を付与することができる。堆積された層を含むこのような構造が、例えば電子ビームベースの検査ツールを用いて後に検査される際に、図8(f)に概略的に示されるような像を取得することができ、これによって、構造の側壁面を明瞭に識別することができる。
【0097】
[00104] このような像(具体的には、深さ「D」などの構造の既知の他のパラメータと組み合わせた図示のような距離「a」の値)に基づいて、側壁角SWAを決定することができる。
【0098】
[00105] 第3の例として、本発明による検査システム又は検査方法を適用した場合に、構造の異なるフィーチャ又は層の関連位置のアセスメントをより詳細に、又はより正確に調べることができる。具体的には、構造又は半導体デバイスの製造プロセスの中間ステップとして検査ステップが後に続く選択的堆積ステップを適用することによって、構造又はデバイスのクリティカルフィーチャがどの程度アライメントするかを決定又はチェックすることを可能にする。このようなアライメントチェックの一例として、構造の表面上にパターン形成された層と、構造の埋込層との間のオーバーレイの決定に言及することができる。図9は、どのように本発明がこのようなオーバーレイの決定を可能にすることができるか、又は容易にすることができるかを概略的に示す。
【0099】
[00106] 図9(a)は、絶縁材料910.2(例えば、低k材料)と交互の金属コンタクト910.1を含む埋込層910を含む構造900を概略的に示す。埋込層は、層930によって覆われ、層930は、パターン形成された層940(レジスト層)によって覆われる。図示した実施形態では、レジスト層は、リソグラフィ装置において露光又はパターン形成されており、露光された又はパターン形成された層は、層940においてスルーホール又はキャビティ940.1を作成するように現像されている。スルーホールを備えたこのパターン形成された層の目標又は目的は、ホール又はアパーチャが埋込層910の金属コンタクト910.1とアライメントするように、層930においてホール又はアパーチャをエッチングすることである。
【0100】
[00107] エッチングステップの適用に先立って、層940のスルーホール又はキャビティ940.1が実際に金属コンタクト910.1とアライメントしているか否かをチェックすることは有益である。
【0101】
[00108] これを実現するために、本発明の一実施形態は、材料(例えば導電層950)が、スルーホール940.1の底部に(すなわち、層930上に)堆積される選択的堆積ステップ(具体的には、材料ベースの選択的堆積ステップ)に構造900などの構造を供することをもたらし、層930は、典型的には、レジスト層940とは異なる材料で作られる。この堆積ステップの結果を図9(b)に概略的に示す。
【0102】
[00109] この選択的堆積ステップが実行されると、次に、サンプル又は構造900は、検査ツール(例えば、本発明による検査システムにおいて適用され得るような電子ビームベースの検査ツール)によって検査することができる。このようなツールでは、構造の表面を電子ビーム960によってスキャンすることができ、ビーム960の構造の材料との相互作用が生じる。上記に示したように、電子ビーム960の構造との相互作用は、典型的には、印加される電子ビームのエネルギーに左右される。図9(b)に示す所与の例では、比較的低エネルギーの電子ビームの使用は、層940及び930と主に相互作用する相互作用体積(涙形体積)を有する電子ビームを生じさせ、これによって、この電子ビーム及び材料950の相互作用により、二次電子が生成され得る。比較的高エネルギーの電子ビームの使用は、より大きな相互作用体積(涙形体積)(例えば、層940及び930、並びに埋込層910とも相互作用する相互作用体積)を有する電子ビームを生じさせる。このような相互作用の結果として、この電子ビーム及び材料950の相互作用により二次電子が生成され、電子ビームの金属コンタクト910.1との相互作用により、後方散乱電子が生成され得る。堆積される材料950(例えば、導電性材料)を適切に選択することによって、コントラストを強調することができる(具体的には、層940によって発せられる信号と、層930によって発せられる信号との間のコントラストは、典型的には、層940と堆積された材料950との間のコントラストよりも小さくなり、従って、スルーホール940.1の位置のより正確なアセスメントが可能となる)。そのため、本発明による検査システムの検査ツールにより、生成された二次電子及び後方散乱電子の両方を観察することによって、材料950及び金属コンタクト910.1の相対位置を決定することができ、この相対位置は、スルーホール940.1及び金属コンタクト910.1のオーバーレイ又はアライメントOVLを表す。このオーバーレイ値OVLが十分でない場合には、材料950及びレジスト層940の両方を除去し、リソグラフィ装置によって露光プロセスを繰り返すことができる。
【0103】
[00110] 図9に示すような実施形態では、スルーホール940.1が形成され、これらのスルーホールが層930にまで延在するようにレジスト層940が現像されたと仮定している。
【0104】
[00111] 本発明の一実施形態では、選択的堆積ステップは、現像ステップの前に行われ得る。これを図10に概略的に示す。図10(a)は、スルーホール940.1が形成される現像ステップより前の構造900を概略的に示す。この現像ステップより前では、レジスト層は、材料940.2及び940.3から構成される(その差は一方が露光されており、他方が露光されていないことだけである)。材料特徴又は特性におけるこの差は、材料940.3のみが材料950(例えば導電性材料)の層で覆われる材料ベースの選択的堆積プロセスを適用するために有利に使用することができる。その結果生じる構造を図10(b)に概略的に示す。図9に関して論じたのと同様に、本発明による検査システムにおいて適用されるような電子ビーム検査ツールなどの検査ツールを次に使用して、検出された二次電子及び後方散乱電子に基づいて、レジスト層940と埋込層910との間の相対位置又はオーバーレイ値OVLを決定することができる。
【0105】
[00112] 第4の例として、本発明は、ライン形状構造のラインエッジラフネス(LER)又はライン幅ラフネス(LWR)などのパラメータの決定を容易にし得る。
【0106】
[00113] 図11(a)は、このような一様でないエッジ及びライン厚さを有するライン形状構造1100のこのような3Dビューを概略的に示す。従来の電子ビーム検査ツールを用いた場合、これらのパラメータは、構造の側壁面と最上面との間で得られる低コントラストにより、決定することが難しい。
【0107】
[00114] これらのパラメータをより良くアセスメントするために、本発明による検査システムで適用されるような選択的堆積ツールは、構造の側面上に導電層1110を選択的に堆積させるように構成することができ(図11(b)を参照)、このような導電層は、例えば、Pt、Ti、Cu、Ni、又はCrを含む。このようにすることによって、側壁からの検出信号が強調され、その結果、LER又はLWRパラメータのより良い決定が可能となる。
【0108】
[00115] 代替的に、本発明による検査システムで適用されるような選択的堆積ツールは、構造の最上面及び底面上に層を選択的に堆積させるように構成され得る。本発明による検査システムで適用されるような検査ツール(例えばSEM)を次に使用して、最上面及び底面を結像することができる。このような像に基づいて、LER及び/又はLWRパラメータを決定することができる。
【0109】
[00116] 当業者には理解されるように、本発明(本発明による検査システム又は検査方法)は、他の状況又は使用例においても有利に適用され得る。
【0110】
[00117] 図12は、本発明による検査方法を行うように構成することができる、本発明による検査システムにおいて適用され得るような検査ツール200のより詳細な実施形態を概略的に描く。検査ツール200は、電子銃210と呼ばれるeビーム源、及び結像システム240を含む。
【0111】
[00118] 電子銃210は、電子源212、サプレッサ電極214、アノード216、アパーチャ218の一セット、及びコンデンサ220を含む。電子源212は、上記で論じたようなショットキーエミッタ又は改良ショットキーエミッタでもよい。アノード216の正電荷により、電子ビーム202を抽出することができ、電子ビーム202は、アパーチャの外で不要な電子ビームを無くすための異なるアパーチャサイズを有し得る調整可能アパーチャ218を用いて制御され得る。電子ビーム202を集光するために、コンデンサ220が電子ビーム202に用いられ、これは、拡大も提供する。図12に示されるコンデンサ220は、例えば、電子ビーム202を集光することができる静電レンズでもよい。一方、コンデンサ220は、磁気レンズでもよい。
【0112】
[00119] 結像システム240は、例えば、ブランカー、アパーチャ242の1セット、検出器244、偏向器の4セット250、252、254、及び256、一対のコイル262、ヨーク260、及び電極270を含み得る。電極270は、電子ビーム202を遅延させ、及び偏向させるために使用され、並びに静電レンズ機能を更に有し得る。その上、コイル262及びヨーク260が、磁気対物レンズとなるように構成され得る。
【0113】
[00120] 偏向器250及び256は、電子ビーム202を広視野にスキャンするために用いることができ、偏向器252及び254は、電子ビーム202を狭視野にスキャンするために使用することができる。全ての偏向器250、252、254、及び256は、電子ビーム202のスキャン方向を制御することができる。偏向器250、252、254、及び256は、静電偏向器又は磁気偏向器でもよい。ヨーク260の開口は、サンプル300に対向し、これが、磁場をサンプル300内に浸漬させる。一方、電極270は、ヨーク260の開口の下に配置され、従って、サンプル300は、ダメージを受けない。電子ビーム202の色収差を補正するために、位相板270、サンプル300、及びヨーク260又はその一部が、電子ビーム202の色収差を無くすためのレンズを形成し得る。検査ツール200は、例えばプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、又はコンピュータとして具現化され得る処理ユニット310を更に含み、処理ユニット310は、検査ツールの1つ又は複数の検出器(例えば検出器244)から応答信号を受信し、応答信号をスキャンされた又は調べられた構造又はサンプル300の像へと処理するように構成される。
【0114】
[00121] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な言及がなされ得るが、本明細書で説明するリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造などの、他の用途を有し得ることを理解すべきである。当業者であれば、そのような代替的な用途の文脈では、本明細書での「ウェーハ」又は「ダイ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「基板」又は「ターゲット部分」とそれぞれ同義であると見なされ得ることを認識するであろう。本明細書で言及される基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書における開示は、そのような基板プロセシングツール及び他の基板プロセシングツールに適用されてもよい。更に、基板は、例えば、積層ICを生成するために、2回以上処理され得るので、本明細書で使用される基板という用語は、処理された複数の層を既に含む基板を指すこともある。
【0115】
[00122] 光リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用についての具体的な言及が上記でなされたが、本発明が他の用途、例えばインプリントリソグラフィに使用され得ることと、文脈が許す限り、本発明が光リソグラフィに限定されないことが認識されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスにおけるトポグラフィが基板上に生成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し込まれてもよく、その後、電磁放射、熱、圧力又はこれらの組み合わせを加えることによりレジストを硬化させる。パターニングデバイスは、レジストが硬化された後に、レジストから外されて、レジストにパターンを残す。
【0116】
[00123] 本発明による検査システムは、リソグラフィ装置の制御ループだけでなく、エッチングツール、堆積チャンバ、及びIC製造に使用される他のツールの制御ループにおいても有利に適用され得る。
【0117】
[00124] 実施形態は、以下の条項を使用して更に記述することができる。
1. 選択的堆積ツールであって、
サンプルを受け取り、
材料をサンプル上に選択的に堆積させるように構成された選択的堆積ツールと、
堆積された材料を有するサンプルに対して検査プロセスを行うように構成された検査ツールと、
選択的堆積ツール及び検査ツールを封入するように構成された筐体と、
を含む検査システム。
2. 選択的堆積ツールが、筐体の第1のチャンバ内に配置され、検査ツールが、筐体の第2のチャンバ内に配置され、検査システムが、第1のチャンバ内のある場所から第2のチャンバ内のある場所へとサンプルを移送するためのサンプル移送システムを更に含む、条項1に記載の検査システム。
3. 第1のチャンバと第2のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロックを更に含む、条項2に記載の検査システム。
4. 筐体が、サンプルを投入し、及び取り出すためのポートと、筐体内のサンプルを取り扱うためのハンドリングシステムとを含む、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
5. ポートと第1のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロック、及び/又はポートと第2のチャンバとの間のインターフェースとなるロードロックを更に含む、条項4に記載の検査システム。
6. 選択的堆積ツールが、原子層堆積ツール、及び/又は物理蒸着ツール、及び/又は化学蒸着ツールを含む、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
7. 原子層堆積ツールが、洗浄ユニットを含む、条項6に記載の検査システム。
8. 原子層堆積ツール、洗浄ユニット、及び検査ツールが、一列に並んで配置される、条項7に記載の検査システム。
9. 検査ツールが、SEM、LEEM、又はSPLEEMなどの電子ビーム検査ツールを含む、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
10. 検査システムが、筐体内で調整雰囲気を維持するように構成される、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
11. 選択的堆積ツール及び検査ツールが、共通ベースフレームに取り付けられる、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
12. 検査ツールが、
サンプルのプロービングを行うための電子ビームを生成するように構成されたeビーム源と、
サンプルからの応答信号を検出するように構成された検出器と、
を含む、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
13. 検査システムが、サンプルを調整するための調整ツールを更に含む、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
14. 選択的堆積ツールが、サンプルの材料特性及び/又はトポグラフィに基づいて、材料をサンプル上に選択的に堆積させるように構成された、先行する条項の何れか一項に記載の検査システム。
15. 先行する条項の何れか一項に記載の検査システムを用いた検査方法であって、
検査システムによってサンプルを受け取ることと、
選択的堆積ツールを用いて材料をサンプル上に選択的に堆積させることと、
検査ツールを使用して、材料が上に堆積されたサンプルを検査することと、
を含む、方法。
16. サンプルを検査した後に、堆積された材料を除去するステップを更に含む、条項15に記載の検査方法。
17. 堆積された材料を除去した後に、サンプルを再加工するステップを更に含む、条項16に記載の検査方法。
18. サンプルが、高アスペクト比を有する構造を含み、サンプル上に材料を選択的に堆積させるステップが、高アスペクト比を有する構造の側壁上に導電性材料を選択的に堆積させることを含む、条項15~17の何れか一項に記載の検査方法。
19. サンプルを検査するステップが、高アスペクト比を有する構造の側壁角、ラインエッジラフネス、又はライン幅ラフネスを決定することを含む、条項18に記載の方法。
20. サンプルが、パターン形成された、及び/又は現像されたレジスト層と、パターン形成された、及び/又は現像されたレジスト層の下に構造を有する埋込層とを含み、サンプル上に材料を選択的に堆積させるステップが、パターン形成された、及び/又は現像されたレジスト層上に材料を選択的に堆積させることを含み、サンプルを検査するステップが、パターン形成された、及び/又は現像されたレジスト層と埋込層との間のオーバーレイを決定することを含む、条項15に記載の検査方法。
21. 材料が、高密度材料又は導電性材料を含む、条項20に記載の検査方法。
22. リソグラフィ装置及び条項1~14の何れか一項に記載の検査システムを含む、リソグラフィシステム。
【0118】
[00125] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157若しくは126nm又はそれらの近辺の波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの、粒子ビームを含む、全てのタイプの電磁放射を包含する。
【0119】
[00126] 「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光学コンポーネントを含む、種々のタイプの光学コンポーネントの任意の1つ又は組み合わせを指すことがある。
【0120】
[00127] 本発明の具体的な実施形態を上で説明してきたが、上で説明した以外の仕方で本発明が実施され得ることが認識されよう。例えば、本発明は、上で開示した方法を記述する機械可読命令の1つ若しくは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はかかるコンピュータプログラムが記憶されたデータ記録媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク若しくは光ディスク)の形態をとってもよい。
【0121】
[00128] 上の説明は、限定的なものではなく例示的なものと意図されている。したがって、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本発明に修正を加え得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】
図12