IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-ガス監視システム 図1
  • 特許-ガス監視システム 図2A
  • 特許-ガス監視システム 図2B
  • 特許-ガス監視システム 図3
  • 特許-ガス監視システム 図4
  • 特許-ガス監視システム 図5
  • 特許-ガス監視システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ガス監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/036 20060101AFI20230331BHJP
   H01S 3/041 20060101ALN20230331BHJP
【FI】
H01S3/036
H01S3/041
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020563605
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019032615
(87)【国際公開番号】W WO2019240906
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】62/684,352
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドロバンツ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】バーバン,シュレイヤス
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-243242(JP,A)
【文献】特開平02-278887(JP,A)
【文献】特開平07-335961(JP,A)
【文献】特開2007-149915(JP,A)
【文献】特開2000-151002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光ビームを放出するように構成された光源であって、1つ以上のチャンバを備え、前記1つ以上のチャンバの各々はガス状利得媒質を保持するように構成されており、前記ガス状利得媒質は想定されるガス寿命と関連付けられている、光源と、
前記パルス光ビームに関係するデータを受信及び分析するように、及び、前記パルス光ビームに関係する前記データに基づいてビーム品質メトリックを生成するように、構成された少なくとも1つの検出モジュールと、
前記ビーム品質メトリックを分析するように、前記ビーム品質メトリックの前記分析に基づいて前記ガス状利得媒質の健康状態を判定するように、及び、前記判定された健康状態に基づいて、前記想定されるガス寿命を超えて前記ガス状利得媒質の使用を延長するか又は前記ガス状利得媒質の使用を終了するかを示す状態信号を生成するように、構成された監視モジュールと、を備え
前記ビーム品質メトリックには、複数のとり得る値があり、
前記複数のとり得る値は、前記パルス光ビームが予め定義された仕様を満たさないことを示す第1の値を備え、
前記ビーム品質メトリックを分析するように構成された前記監視モジュールは、ある期間又は有限数のパルスにわたって前記第1の値の発生を計数するように構成され、
前記ガス状利得媒質の前記健康状態を判定するように構成された前記監視モジュールは、前記発生の回数を閾値と比較するように構成され、
前記生成される状態信号は、前記発生の回数が前記閾値を超える場合、前記ガス状利得媒質の使用を終了することを示す、システム。
【請求項2】
前記ビーム品質メトリックを分析することは、前記パルス光ビームが所定の仕様を満たすかどうかを判定することを備え、
前記ビーム品質メトリックは、前記パルス光ビームの光エネルギ、前記パルス光ビームのスペクトル帯域幅、及び/又は、前記パルス光ビームの波長を備える、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出モジュールは、複数の検出モジュールを備え、
前記複数の検出モジュールは、
前記1つ以上のチャンバのいずれかにおける放電事象の発生を検出するように及びある期間にわたる放電事象の回数を示す信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールと、
前記パルス光ビームのスペクトル帯域幅を検出するように及び前記パルス光ビームのスペクトル帯域幅を示す信号を生成するように構成された帯域幅検出モジュールと、
前記パルス光ビームのエネルギを検出するように及び前記パルス光ビームのエネルギを示す信号を生成するように構成されたエネルギ検出モジュールと、
前記パルス光ビームの波長を検出するように及び前記パルス光ビームの前記波長を示す信号を生成するように構成された波長検出モジュールと、
前記1つ以上のチャンバ内に噴射されるガス混合物の量を検出するように及び前記噴射されるガス混合物の前記量を示す信号を生成するように構成されたガス検出モジュールと、を備え、
前記帯域幅検出モジュール、前記エネルギ検出モジュール、及び前記波長検出モジュールの各々は、前記帯域幅検出モジュールによって生成された前記信号、前記エネルギ検出モジュールによって生成された前記信号、及び前記波長検出モジュールによって生成された前記信号にそれぞれ基づいて、ビーム品質メトリックを生成し、
前記監視モジュールは、前記帯域幅検出モジュール、前記エネルギ検出モジュール、及び前記波長検出モジュールからの前記ビーム品質メトリックを分析することによって前記ビーム品質メトリックを分析し、
前記監視モジュールは、前記分析されたビーム品質メトリック、前記ガス検出モジュールによって生成された前記信号、及び前記放電検出モジュールによって生成された前記信号に基づいて前記健康状態を判定するように構成されている、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記複数の検出モジュールは更に、フッ素を検出するように及び前記ガス状利得媒質中のフッ素の濃度を示す信号を生成するように構成されたセンサを備え、
前記監視モジュールは、前記センサによって生成された前記信号に基づいて前記健康状態を判定するように構成されている、請求項3のシステム。
【請求項5】
前記光源は、2つのチャンバを備え、
前記2つのチャンバのうち一方は、主発振器を備え、
前記2つのチャンバのうち他方は、パワー増幅器を備え、
前記システムは更に、前記主発振器及び前記パワー増幅器における放電事象を制御するように構成されたタイミングコントローラを備え、
前記複数の検出モジュールは更に、前記主発振器における放電事象と前記パワー増幅器における放電事象との間の時間の差を監視するように構成されたタイミング検出モジュールを備える、請求項3のシステム。
【請求項6】
前記パルス光ビームを前記光源から受けるように構成された光リソグラフィシステムを更に備え、
前記検出モジュールのうち少なくともいくつかが、前記パルス光ビームに関係するデータを前記光リソグラフィシステムから受信するように構成されている、請求項1のシステム。
【請求項7】
光源を備え、前記光源は、ガス状利得媒質を保持するように構成された少なくとも1つのチャンバを備え、前記ガス状利得媒質は、想定されるガス寿命と関連付けられている、リソグラフィシステムと、
前記リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された監視データインターフェイスと、1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、前記1つ以上のルールの各々は前記ガス状利得媒質の一態様を前記モジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、を備える監視システムと、
を備えるシステムであって、
前記監視システムは、少なくとも1つのルールにアクセスするように、前記アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、及び、前記特定されたモジュールと前記リソグラフィシステムからの情報とを用いて前記光源における前記ガス状利得媒質の健康状態を判定するように、構成されており、
前記モジュールは、コンピュータプログラム又はサブルーチンを形成する命令のセットであってコマンド信号を生成し、
前記ガス状利得媒質の前記想定されるガス寿命は、前記ガス状利得媒質を保持する前記チャンバにおける放電事象の発生の最大数に対応する時間であり、
前記システムは更に、前記ガス状利得媒質を保持する前記チャンバにおける放電事象の発生を検出するように及び放電事象計数信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールを備え、
前記放電事象計数信号は、ある期間にわたる放電事象の回数を示す、システム。
【請求項8】
前記監視システムは更に、前記判定された健康状態に基づいて状態信号を生成するように構成されており、
前記状態信号は、前記ガス状利得媒質の使用を前記想定されるガス寿命を超えて延長するかそれとも前記ガス状利得媒質の使用を終了するかを示す、請求項のシステム。
【請求項9】
前記状態信号が前記ガス状利得媒質の使用を終了することを示すとき、前記監視システムは更に、コマンド信号をガス補充システムに提供するように構成されており、
前記コマンド信号は、前記ガス補充システムに前記チャンバから前記ガス状利得媒質を除去させると共に前記チャンバ内に新たなガスを追加するものである、請求項のシステム。
【請求項10】
前記リソグラフィシステムは更に、リソグラフィツールを備え、
前記リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された前記監視システムは、前記リソグラフィツール及び/又は前記光源から情報を受信するように構成された前記監視システムを備える、請求項のシステム。
【請求項11】
前記リソグラフィシステムからの前記情報は、複数のディテクタからのデータを備え、
各ディテクタは、前記光源によって生成される光ビームの特定の態様を監視するように、及び、前記光ビームの前記特定の態様に関係するデータを備える信号を生成するように、構成されており、
前記電子記憶装置は、複数のルールを記憶し、
前記ルールは、前記複数のディテクタの各々と関連付けられた少なくとも1つのルールを備え、
前記モジュールのライブラリは、複数の決定モジュールを備え、
各決定モジュールは、前記複数のディテクタのうち1つからの前記光ビームの前記特定の態様に関係する前記データを、前記データを各基準と比較することによって分析するように、前記光ビームの前記特定の態様が仕様内であるかそれとも仕様外であるかを判定するように、及び、前記特定の態様の状態インジケータを出力するように、構成されており、
前記監視システムは、前記決定モジュールによって出力された全ての前記状態インジケータを分析することによって前記ガス状利得媒質の前記健康状態を判定するように構成されている、請求項7のシステム。
【請求項12】
記少なくとも1つのルールは、前記放電事象の回数を前記モジュールのライブラリ内の少なくとも第1のモジュール及び第2のモジュールと関連付けるガスベースラインルールを少なくとも備え、
前記第1のモジュールは、前記光源の動作に関係するパラメータをベースライン測定値として測定及び記憶するように、並びに、前記健康状態をベースライン状態として判定するように、構成されており、
前記第2のモジュールは、測定されたパラメータを前記記憶されたベースライン測定値と比較するように、及び、少なくとも前記測定されたパラメータに基づいて前記健康状態を判定するように、構成されており、
前記ガスベースラインルールは、前記放電事象の回数を閾値と比較し、前記回数が前記閾値未満である場合には前記第1のモジュールを特定し、又は、前記メトリックが前記閾値以上である場合には前記第2のモジュールを特定する、請求項7のシステム。
【請求項13】
複数のリソグラフィシステムと通信するように構成された監視データインターフェイスであって、前記複数のリソグラフィシステムの各々が想定されるガス寿命と関連付けられたガス状利得媒質を保持するように構成された光源を備える、監視データインターフェイスと、
1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、前記1つ以上のルールの各々は前記ガス状利得媒質の一態様を前記モジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、
を備える監視システムであって、
前記監視システムは、少なくとも1つのルールにアクセスするように、前記アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、リソグラフィシステムの第1のグループが複数のリソグラフィシステムのうち少なくとも1つを備えるところ、前記第1のグループにおける前記ガス状利得媒質の健康状態を、前記特定されたモジュールと前記第1のグループからの情報とを用いて判定するように、及び、リソグラフィシステムの第2のグループが複数のリソグラフィシステムのうち前記第1のグループとは異なるリソグラフィシステムの1つ以上を備えるところ、前記判定された健康状態に基づいて、前記第2のグループにおける前記ガス状利得媒質の前記使用を前記想定されるガス寿命を超えて延長するかどうかを判定するように、構成されており、
前記モジュールは、コンピュータプログラム又はサブルーチンを形成する命令のセットであってコマンド信号を生成し、
前記監視システムは、1つの光源について特定の不健康なシグネチャが検出された場合に、前記監視システムに連結された他の全ての光源について同じ不健康なシグネチャを探す、監視システム。
【請求項14】
前記特定されたモジュールは、前記第1のグループからの前記情報をデータ閾値と比較して前記ガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されており、
前記データ閾値は、前記リソグラフィシステムの動作中に適応的に変化するように構成されている、請求項13の監視システム。
【請求項15】
同じデータ閾値が、全ての前記リソグラフィシステムからの情報に適用され、
全ての前記リソグラフィシステムの前記データ閾値は、前記第1のグループからのデータに基づいて、前記リソグラフィシステムの動作中に適応的に変更される、請求項14の監視システム。
【請求項16】
前記リソグラフィシステムの各々は更に、光リソグラフィ装置を備え、
記第1のグループからの前記情報は、前記第1のグループの各リソグラフィシステムの前記光源から及び前記第1のグループの各光リソグラフィ装置からの情報を備える、請求項13の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は2018年6月13日に提出されガス監視システムと題された米国出願第62/684,352号の優先権を主張するものであり、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本開示は光リソグラフィシステムのためのガス監視システムに関する。
【0003】
[0003] フォトリソグラフィとは、半導体回路をシリコンウェーハなどの基板上にパターニングするプロセスである。光源が、ウェーハ上のフォトレジストを露光させるために用いられる深紫外(DUV)光を発生させる。DUV光は、例えば、約100ナノメートル(nm)から約400nmまでの波長を含み得る。光源はレーザ源(例えばエキシマレーザ)でありDUV光はパルスレーザビームであることが多い。光源からのDUV光は投影光学系と相互作用し、投影光学系はマスクを通してシリコンウェーハ上のフォトレジスト上にビームを投影する。このようにして、フォトレジスト上にチップ設計の層がパターニングされる。フォトレジスト及びウェーハはその後エッチングされて洗浄され、次いでフォトリソグラフィプロセスが繰り返される。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一態様においては、システムは、パルス光ビームを放出するように構成された光源であって、1つ以上のチャンバを含み、その1つ以上のチャンバの各々はガス状利得媒質を保持するように構成されており、ガス状利得媒質は想定されるガス寿命と関連付けられている、光源と、パルス光ビームに関係するデータを受信及び分析するように、及びそのパルス光ビームに関係するデータに基づいてビーム品質メトリックを生成するように構成された少なくとも1つの検出モジュールと、ビーム品質メトリックを分析するように、そのビーム品質メトリックの分析に基づいてガス状利得媒質の健康状態(health status)を判定するように、及び判定された健康状態に基づいて、想定されるガス寿命を超えてガス状利得媒質の使用を延長するかそれともガス状利得媒質の使用を終了するかを示す状態信号を生成するように構成された監視モジュールと、を含む。
【0005】
[0005] 実施形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ビーム品質メトリックを分析することはパルス光ビームが所定の仕様を満たすかどうかを判定することを含んでいてもよく、ビーム品質メトリックはパルス光ビームの光エネルギ、パルス光ビームのスペクトル帯域幅、及び/又はパルス光ビームの波長を含み得る。少なくとも1つの検出モジュールは複数の検出モジュールを含んでいてもよく、複数の検出モジュールは、1つ以上のチャンバのいずれかにおける放電事象の発生を検出するように及びある期間にわたる放電事象の回数を示す信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールと、パルス光ビームのスペクトル帯域幅を検出するように及びパルス光ビームのスペクトル帯域幅を示す信号を生成するように構成された帯域幅検出モジュールと、パルス光ビームのエネルギを検出するように及びパルス光ビームのエネルギを示す信号を生成するように構成されたエネルギ検出モジュールと、パルス光ビームの波長を検出するように及びパルス光ビームの波長を示す信号を生成するように構成された波長検出モジュールと、1つ以上のチャンバ内に噴射されるガス混合物の量を検出するように及び噴射されるガス混合物の量を示す信号を生成するように構成されたガス検出モジュールと、を含む。帯域幅検出モジュール、エネルギ検出モジュール、及び波長検出モジュールの各々は、帯域幅検出モジュールによって生成された信号、エネルギ検出モジュールによって生成された信号、及び波長検出モジュールによって生成された信号にそれぞれ基づいて、ビーム品質メトリックを生成する。監視モジュールは、帯域幅検出モジュール、エネルギ検出モジュール、及び波長検出モジュールからのビーム品質メトリックを分析することによってビーム品質メトリックを分析し、監視モジュールは、分析されたビーム品質メトリック、ガス検出モジュールによって生成された信号、及び放電検出モジュールによって生成された信号に基づいて健康状態を判定するように構成されている。いくつかの実施例においては、複数の検出モジュールは更に、フッ素を検出するように及びガス状利得媒質中のフッ素の濃度を示す信号を生成するように構成されたセンサを含み、こうした実施例においては、監視モジュールは、センサによって生成された信号に基づいて健康状態を判定するように構成されていてもよい。
【0006】
[0006] また、いくつかの実施例においては、光源は2つのチャンバを含み、2つのチャンバのうち一方は主発振器であり、2つのチャンバのうち他方はパワー増幅器であり、システムは更に、主発振器及びパワー増幅器における放電事象を制御するように構成されたタイミングコントローラを含む。こうした実施例においては、複数の検出モジュールは更に、主発振器における放電事象とパワー増幅器における放電事象との間の時間の差を監視するように構成されたタイミング検出モジュールを含む。
【0007】
[0007] 光源は複数のパラメータと関連付けられていてもよく、パラメータの各々は許容可能な値の範囲を有し、複数の検出モジュールからの生成された信号を分析するために、監視モジュールは、各信号のビーム品質メトリックがそのパラメータと関連付けられた許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されていてもよい。
【0008】
[0008] いくつかの実施例においては、システムは更に、パルス光ビームを光源から受けるように構成された光リソグラフィシステムを含む。こうした実施例においては、検出モジュールのうち少なくともいくつかが、パルス光ビームに関係するデータを光リソグラフィシステムから受信するように構成されている。
【0009】
[0009] いくつかの実施例においては、ビーム品質メトリックがとり得る値は2つのみである。
【0010】
[0010] いくつかの実施例においては、ビーム品質メトリックには複数のとり得る値があり、その複数のとり得る値はパルス光ビームが予め定義された仕様を満たさないことを示す第1の値を含み、ビーム品質メトリックを分析するように構成された監視モジュールは、ある期間又は有限数のパルスにわたって第1の値の発生を計数するように構成された監視モジュールを含む。こうした実施例においては、ガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成された監視モジュールは、発生の回数を閾値と比較するように構成された監視モジュールを含んでいてもよく、生成される状態信号は、発生の回数が閾値を超える場合、ガス状利得媒質の使用を終了することを示し得る。
【0011】
[0011] 別の一態様においては、システムは、リソグラフィシステムであって、光源を含み、光源はガス状利得媒質を保持するように構成された少なくとも1つのチャンバを含み、ガス状利得媒質は想定されるガス寿命と関連付けられている、リソグラフィシステムと、監視システムであって、リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された監視データインターフェイスと、1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、1つ以上のルールの各々はガス状利得媒質の一態様をモジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、を含む監視システムと、を含み、監視システムは、少なくとも1つのルールにアクセスするように、アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、及び特定されたモジュールとリソグラフィシステムからの情報とを用いて光源におけるガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されている。
【0012】
[0012] 実施例は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。監視システムは更に、判定された健康状態に基づいて状態信号を生成するように構成されていてもよく、状態信号は、ガス状利得媒質の使用を想定されるガス寿命を超えて延長するかそれともガス状利得媒質の使用を終了するかを示す。いくつかの実施例においては、システムは、少なくとも1つのチャンバに流体結合されたガス補充システムも含み、こうした実施例においては、状態信号がガス状利得媒質の使用を終了することを示すとき、監視システムは更に、コマンド信号をガス補充システムに提供するように構成されていてもよく、コマンド信号は、ガス補充システムにチャンバからガス状利得媒質を除去させると共にチャンバ内に新たなガス混合物を追加するのに十分である。ガス状利得媒質の想定されるガス寿命は、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生の最大数であってもよく、システムは更に、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生を検出するように及び放電事象計数信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールを含んでいてもよく、放電事象計数信号はある期間にわたる放電事象の回数を示す。こうした実施例においては、状態信号がガス状利得媒質の使用を終了することを示すとき、監視システムは更に、コマンド信号をガス補充システムに提供するように構成されていてもよく、コマンド信号は、ガス補充システムにチャンバからガス状利得媒質を除去させると共にチャンバ内に新たなガスを追加するのに十分である。監視システムは更に、その期間にわたる放電事象の回数を初期分析閾値と比較するように構成されていてもよく、初期分析閾値は想定されるガス寿命未満であり、監視システムは、ガス状利得媒質の健康状態を判定するように、及びその期間にわたる放電事象の回数が初期分析閾値を上回る場合にのみ状態信号を生成するように構成されていてもよい。
【0013】
[0013] 特定されたモジュールは、光学系からの情報をデータ閾値と比較してガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されていてもよく、データ閾値はリソグラフィシステムの動作中に適応的に変化するように構成されている。
【0014】
[0014] いくつかの実施例においては、リソグラフィシステムは更にリソグラフィツールを含み、リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された監視システムは、リソグラフィツール及び/又は光源から情報を受信するように構成された監視システムを含む。
【0015】
[0015] リソグラフィシステムからの情報は複数のディテクタからのデータを含んでいてもよく、各ディテクタは、光源によって生成される光ビームの特定の一態様を監視するように、及び光ビームのその態様に関係するデータを含む信号を生成するように構成されており、電子記憶装置は複数のルールを記憶していてもよく、ルールは複数のディテクタの各々と関連付けられた少なくとも1つのルールを含み、モジュールのライブラリは複数の決定モジュールを含んでいてもよく、各決定モジュールは、複数のディテクタのうち1つからの光ビームの特定の一態様に関係するデータを、そのデータを各基準と比較することによって分析するように、その光ビームの特定の一態様が仕様内であるかそれとも仕様外であるかを判定するように、及びその特定の態様の状態インジケータを出力するように構成されており、監視システムは、決定モジュールによって出力された状態インジケータの全てを分析することによってガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されている。
【0016】
[0016] ガス状利得媒質の想定されるガス寿命はガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生の最大数であってもよく、システムは、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生を検出するように、及び放電事象計数信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールも含んでいてもよく、放電事象計数信号はある期間にわたる放電事象の回数を示し、少なくとも1つのルールは、放電事象の回数をモジュールのライブラリ内の少なくとも第1のモジュール及び第2のモジュールと関連付けるガスベースラインルールを少なくとも含んでいてもよく、第1のモジュールは、光源の動作に関係するパラメータをベースライン測定値として測定及び記憶するように、並びに健康状態をベースライン状態として判定するように構成されていてもよく、第2のモジュールは、測定されたパラメータを記憶されたベースライン測定値と比較するように、及び少なくとも測定されたパラメータに基づいて健康状態を判定するように構成されていてもよく、ガスベースラインルールは、放電事象の回数を閾値と比較してもよく、回数が閾値未満である場合には第1のモジュールを特定し、又は、メトリックが閾値以上である場合には第2のモジュールを特定する。
【0017】
[0017] 別の一態様においては、監視システムは、複数のリソグラフィシステムと通信するように構成された監視データインターフェイスであって、複数のリソグラフィシステムの各々が想定されるガス寿命と関連付けられたガス状利得媒質を保持するように構成された光源を含む、監視データインターフェイスと、1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、1つ以上のルールの各々はガス状利得媒質の一態様をモジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、を含み、監視システムは、少なくとも1つのルールにアクセスするように、アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、リソグラフィシステムの第1のグループが複数のリソグラフィシステムのうち少なくとも1つを含むところ、リソグラフィシステムの第1のグループにおけるガス状利得媒質の健康状態を、特定されたモジュールとリソグラフィシステムの第1のグループからの情報とを用いて判定するように、及び判定された健康状態に基づいて、リソグラフィシステムの第2のグループにおけるガス状利得媒質の使用を想定されるガス寿命を超えて延長するかどうかを判定するように構成されている。リソグラフィシステムの第2のグループは、複数のリソグラフィシステムのうちリソグラフィシステムの第1のグループにはない1つ以上を含む。
【0018】
[0018] 実施例は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。特定されたモジュールは、リソグラフィシステムの第1のグループからの情報をデータ閾値と比較してガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されていてもよく、データ閾値はリソグラフィシステムの動作中に適応的に変化するように構成されている。同じデータ閾値が全てのリソグラフィシステムからの情報に適用されてもよく、全てのリソグラフィシステムのデータ閾値は、リソグラフィシステムの第1のグループからのデータに基づいて、リソグラフィシステムの動作中に適応的に変更されてもよい。
【0019】
[0019] リソグラフィシステムの第1のグループからの情報は、リソグラフィシステムの第1のグループの各リソグラフィシステムの光源からの情報を含んでいてもよい。
【0020】
[0020] いくつかの実施例においては、リソグラフィシステムの各々は更に光リソグラフィ装置を含み、リソグラフィシステムの第1のグループからの情報は、リソグラフィシステムの第1のグループの各リソグラフィシステムの光源から及びリソグラフィシステムの第1のグループの各光リソグラフィ装置からの情報を含む。
【0021】
[0021] 上述の及び本明細書に記載された技術のうちいずれの実施例も、プロセス、装置、制御システム、非一時的機械可読コンピュータ媒体に記憶された命令、及び/又は方法を含み得る。1つ以上の実施例の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。他の特徴は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】[0022] リソグラフィ装置及び光源を含むシステムの一例のブロック図である。
図2A】[0023] リソグラフィ装置及び光源を含むシステムの別の一例のブロック図である。
図2B】[0024] 図2Aのリソグラフィ装置において用いられ得る投影光学系の一例のブロック図である。
図3】[0025] リソグラフィ装置及び光源を含むシステムの別の一例のブロック図である。
図4】[0026] 監視システムの一例のブロック図である。
図5】[0027] 複数の光リソグラフィシステムを監視する監視システムの一例のブロック図である。
図6】[0028] 監視システムによって実施される処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0029] 深紫外(DUV)光リソグラフィシステム(又はフォトリソグラフィシステム)のためのガス監視システムが開示される。図1はシステム100のブロック図である。図1の例において、2つの要素を接続する実線はデータ経路を示し、これを介してデータ(例えば情報及び/又はコマンド信号)が流れる。破線は光路を示し、これに沿って光が伝搬する。システム100は、光源(optical source)105(又は光源(light source)105)とリソグラフィ装置180とを含むリソグラフィシステム101を含む。光源105はリソグラフィ装置180にパルス光ビーム160を提供する。リソグラフィ装置180は、スキャナ又はリソグラフィツールとも称され得る。リソグラフィ装置180はパルス光ビーム160を使用してウェーハを露光させる。
【0024】
[0030] 監視システム150は、ガス状利得媒質119の使用を最適化するために、光源105及び/又はリソグラフィ露光装置180を監視する。監視システム150は、リソグラフィシステム101の性能をガス状利得媒質119の健康と関係させ、それによってガス状利得媒質119の健康状態を評価することができる。ガス状利得媒質119の健康状態を評価することによって、監視システム150は、ガス状利得媒質119がより効率的に使用されることを可能にすると共に、システム100のダウンタイムを短縮し得る。
【0025】
[0031] パルス光ビーム160は光のパルス列であり、各パルスはガス状利得媒質119を励起することによって形成されている。パルス光ビーム160はある反復率を有する。反復率とは、ある時間の単位内に発生する光のパルスの数である。例えば、反復率は、1秒以内に発生する光のパルスの数であってもよい。反復率は、その時間の単位内にガス状利得媒質119が励起される回数によって決定される。また、パルス光ビーム160は、パルス光ビーム160の品質に関係する1つ以上の仕様に関連付けられている。仕様は、例えば、パルス光ビーム160の様々な特性の許容可能な値及び/又は値の範囲を含み得る。例えば、仕様は、パルスエネルギ、波長、反復率、及び/又はパルス長に関係する値、あるいはこれらの特性のうちいずれかの測定から求められる値を含んでいてもよい。パルス光ビーム160が仕様内にあるときには、手近な用途にとって関心の対象となる特性の全てが、仕様に規定された特性の範囲内にあるか又は値に等しい。パルス光ビーム160が仕様内にないときには、手近な用途にとって関心の対象となる特性のうち1つ以上がその特性の範囲外にあるか又は値に等しくない。システム100は、光ビーム160が仕様内にあるときに最適性能を有する。
【0026】
[0032] ガス状利得媒質119は実際のガス寿命と想定されるガス寿命とを有する。実際のガス寿命とは、ガス状利得媒質119が仕様内の光のパルスを生成することができる期間である。想定されるガス寿命及び実際のガス寿命は、例えば、ガス状利得媒質119によって生成されるパルスの総数又は光源105が特定の反復率で動作する合計時間として測定され得る。ガス状利得媒質119がその実際のガス寿命の終わりに達すると、ガス状利得媒質119はもはや仕様内の光のパルスを生成することができない。
【0027】
[0033] 想定されるガス寿命とは、光源105に類似した光学系の性能の知見に基づく実際のガス寿命の控えめな見積もりである。想定されるガス寿命は、特定のタイプのガス状利得媒質を使用する全ての光源について同一である。そして、想定されるガス寿命は、いずれの光源のガス状利得媒質も想定される寿命より短い実際の寿命を有することが考えにくいようなものである。もっとも、個々の光源及びガス状利得媒質は、動作使用中に様々な条件を経験する。したがって、ある特定のガス状利得媒質(利得媒質119など)の実際のガス寿命は、別のガス状利得媒質の実際のガス寿命とは異なり得る。また、想定されるガス寿命は控えめな見積もりであるから、通常の動作条件下で用いられるある特定のガス状利得媒質の実際のガス寿命は、想定されるガス寿命よりも長いことが十分に考えられる。
【0028】
[0034] 典型的な光源においては、ガス状利得媒質119は、想定される寿命に達すると、補充手順と呼ばれる手順を用いて交換される。補充手順は、ガス状利得媒質119を除去すること及び交換することを含む。光源105は、補充手順の間は動作できない。したがって、光源105に対して行われる補充手順の数は少なくするのが望ましい。図1のシステム100においては、監視システム150が1つ以上のシステム性能メトリック及び/又はパルス光ビーム160の測定された特性に基づいてガス状利得媒質119の健康状態を判定する。監視システム150は、その健康状態を用いて、想定されるガス寿命が発生したとしてもガス状利得媒質119の使用を延長するかどうかを判定する。
【0029】
[0035] また、監視システム150がガス状利得媒質119の使用が延長されるべきであると判定した後、監視システム150は、ガス状利得媒質119の健康状態を判定し続ける。換言すれば、ガス状利得媒質110の使用を延長する判定は、ガス状利得媒質119が可能な限り用いられるように、しかし過使用はされないように、2回以上実施され得る。このように、監視システム150は、光源105がガス状利得媒質119の使用を最適化することを可能にする。こうして、監視システム150は、資源の保全を促すと共に補充回数を少なくする可能性を提供する。
【0030】
[0036] 健康状態は、システム性能メトリック及び/又はパルス露光ビーム160の測定された特性に基づいて判定される。システム100は、パルス光ビーム160に関係するデータを受信及び分析するように、並びにビーム品質メトリックを生成するように構成された検出モジュール170を含む。図1の例においては、検出モジュール170は、パルス光ビーム160に関係するデータをセンサ171から受信する。センサ171は、パルス光ビーム160の特性を測定することができる任意のセンサである。例えば、センサ171は、エネルギセンサ、波長センサ、及び/又はビーム160のスペクトル帯域幅を測定するセンサであってもよい。センサ170によって受信及び分析されるデータは、パルス光ビーム160の特性に関係する任意のデータである。例えば、データは、帯域幅、波長、エネルギ、及び/又はドーズの測定値であってもよい。センサ171は、ビーム160が検知され得る任意の場所に位置決めされ得る。例えば、センサ171は、光源105内、光源105とリソグラフィ装置180との間、又はリソグラフィ装置180内にあってもよい。
【0031】
[0037] ビーム品質メトリックは、パルス露光ビーム160の特性が仕様を満たすかどうかに関係する(又はそれを判定するために用いることのできる)任意の情報である。例えば、ビーム品質メトリックは、とり得る値が2つのみであるバイナリ数値データであってもよく、値の一方はパルス露光ビーム160の特性が仕様を満たすことを示し、値の他方はパルス露光ビーム160の特性が仕様を満たさないことを示す。いくつかの実施例においては、ビーム品質メトリックは、バイナリではない数値データである。例えば、ビーム品質メトリックは、センサ171によって検出される測定値であってもよい。更に別の一例においては、ビーム品質メトリックは、測定値と期待値又は理想値との差を表す数値であってもよい。
【0032】
[0038] 検出モジュール170は、ビーム品質メトリックを監視システム150に提供すると共に、ビーム品質メトリックをリソグラフィ装置180にも提供し得る。監視システム150は、ビーム品質メトリックを分析してガス状利得媒質119の健康状態を判定する分析モジュール又は監督モジュール152を含む。いくつかの実施例においては、分析モジュール152は、システム性能メトリック又はコントローラ107の動作に関係するデータも受信し、この情報を分析して健康状態を判定する。また、分析モジュール152は、光源105及び/又はリソグラフィ装置180の他の部分からも情報を受信してもよく、この情報も利得媒質119の健康状態を判定するためのものであり得る。
【0033】
[0039] ガス状利得媒質119の健康状態とは、利得媒質119が追加的な光のパルスを発生させるのに適しているかどうか、又は利得媒質119がその実際のガス寿命の終わりに近づいているかもしくは達したかの表示である。健康状態が、ガス状利得媒質119が実際のガス寿命の終わりにあることを示す場合には、監視システム150は、ガスサブシステム108に、補充動作を実施するようにコマンド信号を提供する。このように、監視システム150によって判定される健康状態は、想定されるガス寿命に基づいているのではなく、光ビーム160及び/又はシステム性能データに関係する測定値に基づいている。よって、ガス状利得媒質119が想定されるガス寿命を上回る実際のガス寿命を有する状況では、監視システム150は、ガス状利得媒質が最大限用いられることを可能にし、それによって補充動作の頻度を低減させると共にシステム100の動作時間を増大させる。
【0034】
[0040] 図1の例においては、ガス状利得媒質119はガスサブシステム108の一部である。ガスサブシステム108は、ガス状利得媒質119を保持するチャンバ、ガス状利得媒質119を励起するための電極、及びガスが中を通ってチャンバ内に噴射され又はチャンバから除去される導管など、他の構成要素を含んでいてもよい。図2Aは、チャンバ、電極、及び導管の例を示す。光源105は、光源105の動作中にガスサブシステム108の低レベルの態様を制御するコントローラ107も含む。例えば、ガス状利得媒質119は、光のパルスを生成することによって空乏化されたハロゲンガス成分を含み得る。この例においては、コントローラ107は、ガス状利得媒質119への追加的なハロゲンガスの噴射を管理して、ある特定の量のハロゲンガスを媒質119中に維持する。噴射は、光源105の通常動作中に発生し、補充動作とは別である。コントローラ107は、例えば、ガス状利得媒質119中へのハロゲンガス成分の噴射の量及び頻度を制御し得る。ハロゲンガス成分の噴射の量及び頻度を制御するコントローラ107は既知であり、いくつかの先行するシステムに存在している。
【0035】
[0041] 一方、システム100は、コントローラ107の能力を超える能力を有する監視システム150も含む。監視システム150は、コントローラ107とは別個であるが、コントローラ107と相互作用する。例えば、コントローラ107は、ガス状利得媒質119がある一定及び所定の閾値数のパルスを生成したときに補充動作を引き起こすようにプログラムされ得る。しかしながら、ガス状利得媒質119が想定されるガス寿命を超えた使用に適していることを健康状態が示す場合には、監視システム150はコントローラ107に、たとえ一定及び所定の閾値数のパルスが生成されていても補充動作を実施しないように命令する。
【0036】
[0042] コントローラ107は、例えば、組み込みプロセッサに実装されたフィードバック又はフィードフォワードコントローラであってもよい。監視システム150は、組み込みプロセッサではなく汎用コンピュータに実装される。監視システム150には、コントローラ107にはない能力がある。組み込みプロセッサは、典型的には汎用コンピュータよりも小さく、より少ない電力を使用する。汎用コンピュータは、組み込みプロセッサよりも複雑な計算を行うと共により大量のデータを記憶することができる。したがって、監視システム150は、光源105からのデータをより大量に記憶すると共にそのデータを組み込みプロセッサで可能であるよりも高度な手法で分析することができる。
【0037】
[0043] また、コントローラ107は、監視システム150とは異なる別個のタイムスケジュールで動作する。例えば、コントローラ107は比較的短い時間枠で動作してもよく、例えば、コントローラ107はガス状利得媒質119の実際の寿命の間に多くの噴射動作を実施してもよい。監視システム150は、光リソグラフィシステム101、コントローラ107、及び/又は光源105を、コントローラ107がガスサブシステム108上で動作する頻度よりも、コントローラ107より長い期間にわたって監視してもよい。例えば、監視システム150は、コントローラ107、光リソグラフィシステム101、及び/又は光源105を、数日、数週、又は数か月の期間にわたって監視してもよい。
【0038】
[0044] また、図4に関して更に述べるように、分析モジュール152は、ガス状利得媒質119の1つ又は複数の態様をモジュールのライブラリ155内の様々なモジュールと関連付けるルール153の集まりを採用する。ガス状利得媒質119の健康によって影響を受ける光源105及び/又はリソグラフィ装置180の性能に関係するものは何でも、ガス状利得媒質119の一態様であり得る。ルール153は、リソグラフィシステム101の性能がガス状利得媒質119の健康状態に関係する手法で特徴づけられることを可能にする。
【0039】
[0045] ガス状利得媒質119の態様は、光ビーム160の観察可能な特性及び/又は光ビーム160の観察可能な特性から得られる光ビーム160、光源105、及び/又はリソグラフィ装置180についての情報を含み得る。態様は、光ビーム160の生成に関係するシステム性能メトリックも含み得る。例えば、直近の補充動作以降に生成されたパルスの数は、ガス状利得媒質119の一態様であり得る。別の一例においては、補給ガス混合物の噴射の大きさ及び頻度がガス状利得媒質119の一態様であり得る。更に別の一例においては、パルスの光エネルギがガス状利得媒質119の一態様であり得る。
【0040】
[0046] ルール153は、態様のうち1つ以上をモジュールのライブラリ155に記憶されたモジュールと関連付ける。監視システム150は、ルール153を使用してモジュールのライブラリ155から特定の1つ又は複数のモジュールを選択する。監視システム150は、選択された1つ又は複数のモジュールを実行して利得媒質119の健康状態を判定し、光源105及び/又はコントローラ107のコマンド信号を発生させてもよい。健康状態が、利得媒質119が想定されるガス寿命に達したが実際のガス寿命には達していないことを示すときには、コマンド信号は、補充動作を防止するように及び利得媒質119が想定されるガス寿命を超えて使用され続けることを可能にするように、光源105に作用する。
【0041】
[0047] 監視システム150について図4に関してより詳細に述べる前に、光源105及びリソグラフィ装置180の例示的な実施例について述べる。図1の例は、単一の検出モジュール170を示す。しかしながら、システム100には検出モジュール170の2つ以上のインスタンス(instance)が含まれていてもよい。図2Aは、光源205及びリソグラフィ装置280を含むシステム200の一例であって、これは2つ以上の検出モジュールを含むシステムの一例である。図2Bはリソグラフィ装置280をより詳細に示す。図3は、2ステージ光源305を含むシステム300の一例である。監視システム450の一例については、図4に関してより詳細に述べる。
【0042】
[0048] 図2A及び2Bを参照すると、光学系200は、光ビーム260をリソグラフィ装置280に提供する光源(又は光源(light source))205を含む。光源205は光源105(図1)の例示的な一実施例である。リソグラフィ装置280はリソグラフィ装置180(図1)の例示的な一実施例である。リソグラフィ装置280は、ウェーハ282を露光光ビーム291で露光する。ウェーハはウェーハホルダ又はステージ283に収容される。露光光ビーム291は、光ビーム260に投影光学系281を通過させることによって形成される。光ビーム260はガス状利得媒質219を励起することによって発生される。監視システム250は、ガス状利得媒質219の健康状態を判定すると共に、想定されるガス寿命を超えてガス状利得媒質219の使用を延長するようにコントローラ207に命令し得る。コントローラ207はコントローラ107(図1)に類似している。監視システム250は監視システム150の実施例の一例である。監視システム250は分析モジュール252を含む。
【0043】
[0049] 光源205は、カソード214aと、アノード214bと、ガス状利得媒質219とを封入する放電チャンバ210を含む。カソード214aとアノード214bとの間の電位差がガス状利得媒質219中に電界を形成する。電界は、反転分布を引き起こすと共に誘導放出を介して光のパルスの発生を可能にするのに十分なエネルギを利得媒質219に提供する。そのような電位差を繰り返し作り出すことによって、光ビーム260を構成する光のパルスの列が形成される。「放電事象」とは、ガス状利得媒質219における放電と光のパルスの放出とを引き起こすのに十分な電位差を形成する電圧の印加である。ガス状利得媒質219の想定されるガス寿命及び実際のガス寿命は放電事象において測定され得る。
【0044】
[0050] 放電チャンバ210,利得媒質219、及びガス供給システム290は、コントローラ207によって制御されるガスサブシステム208の一部である。コントローラ207は、放電チャンバ210に流体結合された導管289を通るガスの流れを制御することによって、放電チャンバ210からガスを除去するように又は同チャンバ内にガスを噴射するようにガス供給システム290を制御する。図2Aには1つのガス放電チャンバ210しか示されていない。しかしながら、光源205は、2つ以上の放電チャンバを含むように実装されてもよい。2つの放電チャンバを含む光源(light source)の一例が図3に示されている。
【0045】
[0051] リソグラフィ装置280は、ウェーハ282に到達する前に光ビーム260が通過する投影光学系281と、センサ271_2を含むセンサシステム又はメトロロジ(計測)システムとを含む。センサ271_2は、例えば、ウェーハ282における光ビーム260の像を捕捉することのできるカメラ又は他のデバイス、あるいは、ウェーハ282におけるx-y平面内の光エネルギの量を記述するデータを捕捉することのできるエネルギディテクタであってもよい。リソグラフィ装置280は液浸システム又は乾式システムであり得る。
【0046】
[0052] ウェーハ282上には、例えばウェーハ282上の放射感応性フォトレジスト材料の層を露光ビーム291で露光することによって、マイクロ電子フィーチャが形成される。図2Bも参照すると、投影光学系281は、スリット284と、マスク285と、レンズシステム286を含む投影対物系とを含む。レンズシステム286は1つ以上の光学素子を含む。光ビーム260はリソグラフィ装置280に進入してスリット284に衝突し、ビーム260の少なくともいくらかがスリット284を通過して露光ビーム291を形成する。図2A及び2Bの例においては、スリット284は長方形であり、光ビーム260を細長の長方形状の光ビーム(露光ビーム291)に成形する。マスク285上にはパターンが形成され、そのパターンが、成形された光ビームのどの部分がマスク285によって透過されどの部分がマスク285によって遮られるのかを決定する。パターンの設計はウェーハ282上に形成される具体的なマイクロ電子回路設計によって決定される。
【0047】
[0053] 光学系200は検出モジュール270_1及び270_2も備えており、これらはいずれも監視システム250にデータを提供する。検出モジュール270_1は、コントローラ207によって収集されたシステム性能データを提供する。例えば、検出モジュール270_1は、噴射動作の大きさ及び頻度に関係するデータを提供してもよい。別の一例においては、検出モジュール270_1は、利得媒質219の成分の濃度を測定するように構成されたセンサであってもよく又はそのセンサを含んでいてもよい。例えば、利得媒質219はフッ素を含んでいてもよく、検出モジュール270_1は放電チャンバ210内のフッ素の濃度を測定するように構成されたセンサであってもよい。室温では、フッ素は二原子分子のガスであり、その分子構造Fによって表される。したがって、本例において用いられる「フッ素」という用語は分子フッ素Fを指し、センサはFセンサ又はFディテクタである。Fセンサは、例えば、放電チャンバ210とは別個であるが放電チャンバ210の内部と流体結合されている反応チャンバ(図示しない)の中にあってもよい。このようにすれば、Fセンサは、フッ素の濃度を検知すると共にフッ素の濃度についてのデータを提供することができる。
【0048】
[0054] 検出モジュール270_1はソフトウェアモジュールとして実装されてもよい。例えば、検出モジュール270_1が噴射動作の大きさ及び頻度に関係するデータを提供する実施例においては、噴射動作の大きさ及び頻度を記述するデータは、コントローラ207上のメモリに記憶され、検出モジュール270_1によってアクセスされてもよい。例えば、検出モジュール270_1は、コントローラ207を定期的にポーリングしてもよい。いくつかの実施例においては、コントローラ207は、噴射動作が実施される度に検出モジュール270_1にデータをプッシュする。光源205の構成によっては、他のデータがコントローラ207から受信されてもよい。例えば、いくつかの実施例においては、コントローラ207は、例えば電極214a,bに一定の間隔で電圧を印加することによって、電極214a,bの動作も制御する。こうした実施例においては、検出モジュール270_1は、放電チャンバ210の直近の補充以降に放電事象が何回起こったかを示すデータを検索又は受信し得る。
【0049】
[0055] 検出モジュール270_2は、センサ271_1から光ビーム260に関係するデータを受信する。センサ271_1は、例えば帯域幅、エネルギ、パルス長、及び/又は波長など、光ビーム260の特性を測定する。測定された特性は検出モジュール270_2に提供され、これが測定されたデータからビーム品質メトリックを判定すると共にそのビーム品質メトリックを監視システム250に提供する。
【0050】
[0056] ビーム品質メトリックは、光ビーム260の特性に関係する任意の分量である。例えば、ビーム品質メトリックは、センサ271_1からの測定されたデータ又はセンサ271_1からの測定されたデータに基づいて処理されたデータであってもよい。例えば、ビーム品質メトリックは、特定の期間にわたってセンサから受信されたデータの平均であってもよい。いくつかの実施例においては、ビーム品質メトリックは、とり得る2つの値のうち1つのみを有し得るバイナリ数値データである。例えば、センサ271_1は、ドーズを測定するために用いられるエネルギセンサであってもよく、ビーム品質メトリックは、一方はドーズが仕様内であることを示し他方はドーズが仕様内にないことを示す2つの値を有していてもよい。ドーズとは、ある領域に送出される光エネルギの量である。ドーズを判定するために、エネルギセンサは、ある期間にわたってエネルギの量を測定すると共に、その期間にわたって放電チャンバ210から放出されるパルスの数も計数する。こうした実施例においては、センサ271_1は、エネルギを測定するディテクタと、光ビーム260の経路内にあるビームスプリッタとを備え得る。ビームスプリッタは各パルスの光の一部をディテクタへと誘導する。ディテクタはある期間にわたってエネルギの量を測定する。また、その期間にわたって発生するパルスの数は、ディテクタによって測定されたエネルギから求められ得る。例えば、検出されるエネルギが閾値よりも大きい場合には、パルスは存在するものとみなされる。検出されるエネルギが閾値よりも低い場合には、パルスは存在しない。このように、センサ271_1からのデータは、ドーズに基づいてビーム品質メトリックを判定するために用いられ得る。
【0051】
[0057] システム200はリソグラフィ装置280の内部にあるセンサ271_2も含む。センサ271_2は、ウェーハ282における露光光ビーム291の特性を監視するメトロロジシステムの一部である。センサ271_2は、例えば、露光ビーム291の像を捕捉するカメラ及び/又はウェーハ282におけるエネルギを測定するエネルギセンサであってもよい。センサ271_2は検出モジュール270_2にデータを提供する。検出モジュール270_2はそのデータを分析してビーム品質メトリックを生成する。ビーム品質メトリックは、例えば、ある期間又は予め定義されたパルス数にわたる、ウェーハ282におけるエネルギの総量又は平均量であってもよい。ビーム品質メトリックは監視システム250に提供される。
【0052】
[0058] 図2Aの例は検出モジュール270_1及び270_2という2つの検出モジュールを含む。しかしながら、他の例においては、より多くの又はより少ない検出モジュールが使用されてもよい。例えば、システムが合計で3つの検出モジュールを含むように、センサ271_1及び271_2の各々が別個の検出モジュールにデータを提供してもよい。また、システム200は図2Aの例よりも多くのセンサを含んでいてもよく、それらのセンサの各々が別個の検出モジュールを有していてもよい。更に、いくつかの実施例においては、1つの検出モジュールのみが使用される。こうした例においては、センサ及び/又はコントローラによって収集された全てのデータが単一の検出モジュールに提供され、この検出モジュールがその様々な受信データに基づいてビーム品質メトリックを生成する。
【0053】
[0059] また、検出モジュールは、図2Aに示されるものとは異なる手法で実装されてもよい。図2Aの例においては、検出モジュール270_1及び270_2は、監視システム250とは別個のものとして示されている。しかしながら、いくつかの実施例においては、検出モジュールのうち1つ以上は監視システム250の一部として実装される。更に、検出モジュールは、センサの一部、又は、それがデータを受信する制御システムの一部、として実装されてもよい。
【0054】
[0060] 図3を参照すると、システム300のブロック図が示されている。システム300は、システム200(図2A)の実施例の一例である。システム300は2ステージ光源305を含む。光源305はパルス光ビーム360を生成し、このパルス光ビームはリソグラフィ装置280に提供される。システム300は監視システム250も含み、これは光源305の構成要素とリソグラフィ装置280とに接続されて、システム300の様々な態様を監視すると共に利得媒質319_1及び/又は利得媒質319_2の健康状態を判定する。
【0055】
[0061] 光源305は、シード光ビーム360’をパワー増幅器(PA)302に提供する主発振器(MO)301を含む2ステージレーザシステムである。MO301及びPA302は、光源305のサブシステムであるか、又は光源305の一部であるシステムである。パワー増幅器302は、主発振器301からシード光ビーム360’を受けてそのシード光ビーム360’を増幅し、リソグラフィ装置280で使用する光ビーム360を発生させる。例えば、主発振器301は、毎パルスおよそ1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギを有するパルスシード光ビームを放出し得るものであり、これらのシードパルスはパワー増幅器302によって約10乃至15mJに増幅され得る。
【0056】
[0062] 主発振器301は、2つの細長い電極314a_1及び314b_1と、ガス混合物である利得媒質319_1と、そのガス混合物を電極314a_1,314b_1間で循環させるための送風機(図示しない)とを有する放電チャンバ310_1を含む。放電チャンバ310_1の一方の側のライン狭隘化モジュール395と放電チャンバ310_1の第2の側の出力カプラ396との間には共振器が形成される。ライン狭隘化モジュール395は、放電チャンバ310_1のスペクトル出力を微調整する格子などの回折光学素子を含み得る。光源305は出力カプラ396から出力光ビームを受ける線中心分析モジュール398も含む。線中心分析モジュール398は、シード光ビーム360’の波長を測定又は監視するために用いられ得る測定システムである。線中心分析モジュール398は、光源305内の他の場所に設置されてもよいし、又は光源305の出力に設置されてもよい。線中心分析モジュール398はデータを検出モジュール370に提供してもよく、この検出モジュールがそのデータに基づいてビーム品質メトリックを判定すると共にそのビーム品質メトリックを監視システム250に提供する。
【0057】
[0063] ガス状利得媒質319_1を励起するために、電極314a_1と電極314b_1との間に電位差が形成される。ガス状利得媒質319_2を励起するために、電極314a_2と電極314b_2との間に電位差が形成される。媒体319_2が励起されてシード光ビーム360’を増幅することができる時刻にシード光ビーム360’がガス状利得媒質319_2を通過するように、これらの2つの電位差は異なる時刻に形成される。時刻間の実際の差はΔtである。時刻間の最適な差はΔt_oppであり、実際の時間差と最適な時間差との間の差(Δt-Δt_opp)はMOPA動作点と称される。MOPA動作点は、光源305のシステム性能メトリックであり、ガス状利得媒質319_1及び319_2の態様にも関係する。このように、MOPA動作点を含むデータが監視システム250に提供され得る。
【0058】
[0064] 図3の例においては、タイミングコントローラ375が利得媒質319_1及び318_2の励起を制御する。例えば、タイミングコントローラ375は、電極314a_1と電極314b_1との間にいつ電位差が形成されるか及び電極314a_2と電極314b_2との間にいつ電位差が形成されるかを制御する。タイミングコントローラ375はMOPA動作点も追跡してデータを検出モジュール370に提供し、検出モジュールはMOPA動作点データ及び/又はMOPA動作点に基づくデータを監視システム250に提供する。
【0059】
[0065] ガス状利得媒質319_1は、用途に必要な波長及び帯域幅の光ビームを生成するのに適当な任意のガスであり得る。エキシマ光源の場合には、ガス状利得媒質318_1は、例えばアルゴン又はクリプトンのような貴ガス(希ガス)、例えばフッ素又は塩素のようなハロゲン、及びヘリウムのようなバッファガスを除く少量のキセノンを含有していてもよい。ガス混合物の具体例は、約193nmの波長の光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長の光を放出するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長の光を放出する塩化キセノン(XeCl)を含む。エキシマ利得媒質(ガス混合物)は、細長い電極314a_1,314b_1への電圧の印加によって、高電圧放電における短い(例えばナノ秒)電流パルスでポンピングされる。
【0060】
[0066] パワー増幅器302は、主発振器301からシード光ビーム360’を受けてそのシード光ビーム360’を放電チャンバ310_2を通じてビーム折り返し光学素子399へと誘導するビーム結合光学系397を含み、ビーム折り返し光学素子は、シード光ビーム360’の方向を、放電チャンバ310_2内へと送り返されるように修正又は変更する。ビーム折り返し光学素子399及びビーム結合光学系397は循環閉ループ経路を形成し、その経路内ではリング増幅器への入力がビーム結合光学系397でリング増幅器の出力と交差する。
【0061】
[0067] 放電チャンバ310_2は、1対の細長い電極314a_2,314b_2と、ガス状利得媒質319_2と、ガス状利得媒質319_2を電極314a_2,314b_2間で循環させるための送風機(図示しない)とを含む。ガス状利得媒質319_2はガス状利得媒質319_1と同一であってもよい。
【0062】
[0068] 出力光ビーム360は、リソグラフィ装置280に到達する前に、ビーム準備システム385を通って誘導され得る。ビーム準備システム385は、ビーム360の様々な(帯域幅又は波長など)を測定する帯域幅分析モジュールを含み得る。ビーム準備システム385は、出力光ビーム360の各パルスを時間的に拡張するパルスストレッチャ(図示しない)も含み得る。ビーム準備システム385は、例えば反射及び/又は屈折光学要素(例えばレンズ及びミラーなど)、フィルタ、並びに光学的開口(自動シャッタを含む)など、ビーム360に対して作用することのできる他の構成要素も含み得る。
【0063】
[0069] システム300は1つ以上のコントローラ307も含み、その各々がシステム300のサブシステムを制御する。例えば、コントローラ307のあるインスタンスは光源305がいつ光のパルス又は1つ以上の光のパルスを含む光パルスのバーストを放出するのかを制御してもよく、コントローラ307の別のインスタンスはリソグラフィ装置280の様々な態様を制御してもよい。別の一例において、コントローラ307のあるインスタンスは、ウェーハ282(図2A)の露光を制御してもよく、ひいては電子フィーチャがウェーハ282上にどのように印刷されるのかを制御するために用いられ得る。いくつかの実施例においては、コントローラ307のあるインスタンスは、x-y平面(図2A)におけるウェーハ282及び/又はマスク285の動きを制御することによって、ウェーハ282のスキャンを制御する。また、チャンバ310_1及び310_2における放電事象の発生を制御するタイミングコントローラ375は、コントローラ307のインスタンスであると考えられてもよい。
【0064】
[0070] リソグラフィ装置280は、例えば、(空調デバイス及び/又は加熱デバイスなどの)温度制御デバイス、及び/又は様々な電気部品のための電源も含み得る。制御システム307のあるインスタンスはこれらの構成要素も制御し得る。いくつかの実施例においては、コントローラ307は2つ以上のサブ制御システムを制御するように実装され、少なくとも1つのサブ制御システム(リソグラフィコントローラ)はリソグラフィ装置280の態様の制御に特化される。
【0065】
[0071] ガス状利得媒質319_1又はガス状利得媒質319_2の利得媒質が電極314a_1,314b_1又は314a_2,314b_2にそれぞれ電圧を印加することによってポンピングされると、ガス状利得媒質319_1及び/又は319_2は光を放出する。電極に規則的な時間的間隔を空けて電圧が印加されると、光ビーム360はパルス化する。このように、パルス光ビーム360の反復率は、電圧が電極に印加される率によって決定される。パルスの反復率は、ほとんどの用途に関して約500乃至6,000Hzに及ぶであろう。いくつかの実施例においては、反復率は6,000Hzより大きくてもよく、例えば12,000Hz以上であってもよい。
【0066】
[0072] 図3の例には1つの検出モジュール370のみが図示されている。検出モジュール370は、図3に示されるように、2つ以上のソースからのデータを受信及び処理する単一の検出モジュールで実現されてもよい。しかしながら、システム300には検出モジュール370の2つ以上のインスタンスが含まれていてもよい。例えば、検出モジュール370のあるインスタンスが、コントローラ307のインスタンスの各々から、ビーム準備システム385から、及び/又はタイミングコントローラ375からデータを受信してもよい。このように、システム300は検出モジュール370の多くの別個のインスタンスを含み得る。また、図3の例にはコントローラ307の1つのインスタンスしか図示されていないが、システム300はコントローラ307の2つ以上のインスタンスを含んでいてもよく、これらのインスタンスの各々がシステム300の別個のサブシステムを制御してもよい。
【0067】
[0073] 図4は、ガス状利得媒質419の使用を延長するか否かを判定するために用いられる監視システム450のブロック図である。監視システム450は監視システム150の実施例の一例である。監視システム450は、システム200(図2A)又はシステム300(図3)と共に用いられてもよい。図4の例においては、監視システム450はデータ接続404を通じて光リソグラフィシステム401の光源405に連結されている。図4の例においては、監視システム450と光リソグラフィシステム401とは同じプラント492内に位置している。このプラントは、例えば、ウェーハの製造設備、製造室、又は製造場所であり得る。いくつかの実施例においては、プラント492は、物理的には別個である(異なる建物など)が同じ電子ファイアウォールによって保護される場所を含み得る。
【0068】
[0074] リソグラフィシステム401は光源405及びリソグラフィ装置280を含む。光源405は光源105又は205(図1及び2A)と類似している。光源405はガス状利得媒質419を含む。光源405はリソグラフィ装置280に光ビーム460を提供する。光ビーム460は、反転分布を引き起こすのに十分なエネルギを利得媒質419に提供することによって発生される。光源405は、光ビーム460に関係するデータ及び/又は性能データを受信するとともにそのデータをデータ接続404を介して監視システム450に提供する1つ以上の検出モジュール470を含む。
【0069】
[0075] 図4の例において、監視システム450は、データ接続404及びデータインターフェイス406を通じて、光源405から情報449を受信すると共に光源405にコマンド信号451を提供する。監視システム450は光源405から受信した情報449に基づいてコマンド信号451を発生させる。光源405から受信した情報は、1つもしくは複数のビーム品質メトリック及び/又はシステム性能データを含む。ビーム品質メトリックは光ビーム460の特性に関係しており、ビーム品質メトリックは、光ビーム460のある特性が仕様を満たすか否かを表す(又はそれを判定するために用いられ得る)データである。システム性能データは、光源405の性能に関係する任意のデータである。システム性能データはビーム460にも関係するが、システム性能データは、光ビーム460の観察可能な特性以外のデータを含む。例えば、システム性能データは、噴射動作の際に光源405に提供される補給ガスの噴射の大きさ及び率並びに/又は直近の補充動作以降に生成されたパルスの数を含み得る。
【0070】
[0076] いくつかの実施例においては、リソグラフィ装置280は、監視システム450もリソグラフィ装置280からの情報を受信するように、データインターフェイス406に類似のデータインターフェイス(図4には図示しない)を含む。こうした実施例においては、監視システム450は、データインターフェイス406に類似のデータ接続を用いて光源405及びリソグラフィ装置280から情報449を受信する。リソグラフィ装置280から受信したデータは、ビームメトリック及び/又はシステム性能データを含み得る。
【0071】
[0077] 監督モジュール452は、ルールの集合453と、モジュールのライブラリ455と、監視パラメータ457とを含む。モジュールのライブラリ455は、コマンド信号エンジン454によって実行されたときにコマンド信号451を生成し得る1つ以上のモジュールを含む。モジュール455の各々は、例えば、コンピュータプログラム又はサブルーチンを形成する命令のセットであってもよい。モジュール455は、光リソグラフィシステム401からの情報449を処理及び/又は分析して利得媒質419の健康状態を判定する。具体的には、モジュールは、利得媒質419が、利得媒質419の想定されるガス寿命を超えて光のパルスを生成し続けるのに適しているかどうかを判定する。
【0072】
[0078] コマンド信号エンジン454は利得媒質419の健康状態に基づいてコマンド信号451を発生させる。健康状態が、利得媒質419が想定されるガス寿命を超えて使用され得ることを示す場合には、コマンド信号451は補充動作を実施することなく光源405に光ビーム460を生成し続けさせるのに十分である。健康状態が、利得媒質419が想定されるガス寿命を超える使用に適さないことを示す場合には、コマンド信号451は補充動作を引き起こすのに十分である。いくつかの実施例においては、健康状態はバイナリ信号として表され、一方の値は光のパルスを生成できる健康状態を示し、他方の値は光のパルスを生成できない健康状態を示す。健康状態信号は数値データを含んでいてもよく、例えば「1」及び「0」という値をとり得る。あるいは、健康状態信号は文字データを含んでいてもよく、例えば「良い」又は「悪い」又は「延長」又は「補充」という値をとり得る。
【0073】
[0079] 任意の所与の時刻に、コマンド信号エンジン454はモジュールのライブラリ455内のモジュールのうち1つ以上を実行する。いくつかの実施例においては、コマンド信号エンジン454は一度に1つのモジュールを実行する。図4においては、コマンド信号エンジン454によって実行されるモジュールは、破線の長方形で示されると共に458と標識されている。ルールの集合453は、コマンド信号エンジン454がどの1つ又は複数のモジュールを実行するかを支配する。
【0074】
[0080] ルールの集合453の各ルールは、モジュールのライブラリ455内の1つ以上のモジュールをガス状利得媒質419の一態様に関係する実行基準と関連付ける。ルールの集合453は、例えば、時間ベースのルールと事象ベースのルールとを含み得る。時間ベースのルールの実行基準は予め定義された時間の量の経過に基づく。事象ベースのルールの実行基準は光リソグラフィシステム401内での事象の発生に基づく。例えば、時間ベースのルールは、コマンド信号エンジン454がモジュールのライブラリ455からある特定のモジュールを、毎週又はそのモジュールの前回の実行から定義された時間の量が経過した後に実行することを示し得る。事象ベースのルールは、コマンド信号エンジン454がモジュールのライブラリ455からある特定のモジュールを、設定数の光のパルスがリソグラフィ装置280に提供されたことを光リソグラフィシステム401からの情報449が示すときに実行することを示し得る。
【0075】
[0081] 監督モジュール452は監視パラメータ457も含む。監視パラメータ457は、モジュールのライブラリ455内のモジュールが実行されるときにコマンド信号エンジン454によって実施されるアクションを支配する変数、設定、及び/又は分量である。監視パラメータ457のいずれもが、モジュールのライブラリ455内のモジュールのうち2つ以上によって用いられ得る。監視パラメータ457は、モジュールのうち1つ以上によって呼び出され又は参照される変数であると考えられてもよい。監視パラメータ457は、例えば、モジュール構成パラメータ、時間ベースもしくは事象ベースのルールの構成、データフィードルール、及び/又は保護フィルタを含み得る。
【0076】
[0082] モジュール構成パラメータは、モジュールがとる振る舞い又はアクションの詳細を具体化するために用いられる任意の値である。構成パラメータは、例えば、光リソグラフィシステム401からの情報に閾値テストを適用して光源405にある特定の条件が存在するかどうかを判定するモジュールによって用いられる値の範囲であってもよい。いくつかの実施例においては、光源405の態様を監視するモジュールが、データをその値の範囲と比較することによって、光リソグラフィシステム401からの情報を分析してもよい。例えば、モジュールは、仕様に対する光ビーム460の帯域幅、エネルギ、及び/又は波長を示すデータを分析してもよい。この例においては、予め定義された値の範囲は光源405と関連付けられた性能仕様である。帯域幅、エネルギ、及び/又は波長が仕様に等しくないことを光源405からのデータが示す場合には、健康状態は悪いものと判定され、コマンド信号451が発生され光源405に提供されて補充動作をトリガする。
【0077】
[0083] いくつかの実施例においては、モジュールは、光リソグラフィシステム401からのデータを仕様と比較し、エラーメトリックを決定する。ビーム460の任意の特定の特性のエラーメトリックは、例えば、特定値又は期待値と測定値との間の差であってもよい。エラーメトリックはエラー閾値と比較される。各特性には対応するエラーメトリックがあってもよく、各特性のエラーメトリックは異なる値であってもよい。ある特定の特性のエラーメトリックがそのエラーメトリックのエラー閾値未満である場合には、その特性は仕様を満たすものと考えられる。ある特定の特性のエラーメトリックがそのエラーメトリックのエラー閾値以上である場合には、その特性は仕様外であるか又は仕様を満たさないものと考えられる。
【0078】
[0084] 2つ以上の特性がガス状利得媒質419の健康状態を判定するものと考えられ得る。例えば、光ビーム460の帯域幅、エネルギ、及び波長(及び/又はこれらの特性に対応するエラーメトリック)は、健康状態を判定することの一部と考えられ得る。いくつかの実施例においては、エラーメトリックの閾値数が各エラー閾値未満であれば、健康状態は「良い」と考えられる。
【0079】
[0085] また、光ビーム460の特性に直接関係するデータ以外のデータがガス状利得媒質419の健康状態を判定するために用いられてもよい。例えば、システム性能データ(後述するコントローラ407からのデータなど)も、監視システム450によって、利得媒質419の健康状態を判定するために用いられ得る。別の一例においては、直近の補充事象以降に生成されたパルスの総数の計数も、ガス状利得媒質419の健康状態を判定するために用いられるか、又はそもそも健康状態を判定するかどうかを判定するために用いられる。更に、監視システム450は、例えば組み込みプロセッサに実装されたシステムよりも遥かに大量のデータを処理することができる。後述するように、監視システム450の大量のデータを処理する能力は、監視システム450が、例えば組み込みプロセッサ(コントローラ407など)に実装されたシステムで実用的であるよりも長い期間にわたって、リソグラフィシステム401を監視することを可能にする。そして、この強化されたデータ処理能力は、監視システム450がリソグラフィシステム401の複数のインスタンスを監視することを可能にする。
【0080】
[0086] また、モジュールは他のアクションを実施し得る。例えば、モジュールは、電子記憶装置462に記憶されるログファイルを生成し得る。別の一例では、モジュール構成パラメータが、モジュールのライブラリ455内のどのモジュールがアクティブ状態にあるかについての情報を含み得る。つまり、モジュール構成パラメータが、モジュールのライブラリ455内の1つ以上のモジュールを有効又は無効にするために用いられ得る。
【0081】
[0087] 監視パラメータ457は、モジュールのライブラリ455からのモジュールをコマンド信号エンジン454によって実行させる時間ベース及び事象ベースのルールの構成も含み得る。一例では、時間ベースのルールの構成は、あるモジュールがどの位の頻度で実行されるべきかを指定する特定の時間の量である。別の一例では、事象ベースのルールの構成は、光リソグラフィシステム401の動作パラメータの特定の値であり、対応するモジュールを実行するためにはこの値を超えなければならない。例えば、いくつかの実施例においては、ガス状利得媒質419は、想定されるガス寿命のある特定の一部については「良い」と想定される。こうした実施例においては、ビーム品質メトリック及び/又はシステム性能メトリックは、光源405によってある特定の数の光のパルスが発生されるまで分析されない。
【0082】
[0088] データフィードルールは別のタイプの監視パラメータ457を包含し、この監視パラメータは、ある事象又はある特定の時間の量の経過に基づいて起こるべきデータ転送アクション(例えば、光リソグラフィシステム401から監視システム450へのデータ接続404を介したデータの転送)を指定する。例えば、データフィードルールは、ある特定の事象の発生又はある特定の時間の量の経過に基づいて光リソグラフィシステム401のある特定の動作パラメータがデータ接続404を経由して監視システム450に転送されるべきであることを指定し得る。
【0083】
[0089] いくつかの実施例においては、監視パラメータ457の全て又はいくつかは監視システム450のオペレータにとってアクセス可能であり、したがってオペレータはルール及び/又はモジュールのライブラリ455内のモジュールを修正及び/又は追加することができる。他の実施例においては、監視パラメータ457は監視システム450のオペレータにとってアクセス可能ではなく、監視システム450が委託される時点で製造業者によって設定される。更に他の実施例においては、監視パラメータ457は、オペレータにとってアクセス可能ではないが、監視システムが委託される時に存在する予め定義された内部規定に基づいて変更されてもよい。
【0084】
[0090] 監視システム450は、電子プロセッサ461、電子記憶装置462、及びI/Oインターフェイス463を含む汎用コンピュータに実装される。電子プロセッサ461は、汎用又は専用マイクロプロセッサのようなコンピュータプログラムの実行に適した1つ以上のプロセッサと、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサとを含む。一般に、電子プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又はその両方から命令及びデータを受信する。電子プロセッサ461はどんなタイプの電子プロセッサであってもよい。電子プロセッサ461は、監督モジュール452、コマンド信号エンジン454、ルールの集合453の中のルール、及びモジュールのライブラリ455内のモジュールを構成する命令を実行する。
【0085】
[0091] 電子記憶装置462は、RAMなどの揮発性メモリであってもよいし、又は不揮発性メモリであってもよい。いくつかの実施例においては、電子記憶装置462は、不揮発性及び揮発性の部分又は構成要素を含む。電子記憶装置462は監視システム450の動作において用いられるデータ及び情報を記憶し得る。例えば、電子記憶装置462は、ルールの集合453と、モジュールのライブラリ455と、監視パラメータ457とを記憶し得る。監督モジュール452及びコマンド信号エンジン454を実装する命令(例えばコンピュータプログラムの形をとる)も電子記憶装置462に記憶され得る。電子記憶装置462は、光リソグラフィシステム401から受信した情報449及び/又は光源405に提供されるコマンド信号451も記憶し得る。
【0086】
[0092] 電子記憶装置462は、実行時にプロセッサ461に光源405内の構成要素及び/又はリソグラフィ装置280との通信を行わせる命令も、恐らくはコンピュータプログラムとして、記憶し得る。例えば、命令は、電子プロセッサ461に、コマンド信号エンジン454によって生成されたコマンド信号451を光源405に提供させる命令であってもよい。別の一例においては、電子記憶装置462は、実行時に監視システム450を別個の機械と相互作用させる命令を記憶し得る。例えば、監視システム450は同じプラント492内の他の光リソグラフィシステムと相互作用してもよい。2つ以上の光リソグラフィシステムと相互作用する監視システムの一例について、図5に関連して述べる。
【0087】
[0093] いくつかの実施例においては、監視システム450はデータリンク494を介して遠隔局493にデータを送信し得る。遠隔局493は、例えば、コンピュータサーバであってもよい。遠隔局493はプラント492内にはなく、遠隔局493は光源405又は光リソグラフィシステム401の他のどの部分にもコマンドを提供するように構成されてはいない。データリンク494は、プラント492からプラント492の外部の場所へデータを伝送することのできる任意の通信チャネルであり得る。データリンク494は、監視制御及びデータ収集(SCADA)プロトコル又はセキュアシェル(SSH)もしくはハイパーテキストトランスファープロトコル(HTTP)など別のサービスプロトコルを介してデータを伝送してもよい。
【0088】
[0094] I/Oインターフェイス463は、監視システム450がオペレータ、光源405、光源405の1つ以上の構成要素、リソグラフィ装置280、及び/又は別の電子デバイス上で動作する自動化されたプロセスとデータ及び信号を授受することを可能にする、任意の種類の電子インターフェイスである。例えば、監視パラメータ457が編集され得る実施例においては、その編集はI/Oインターフェイス463を通じて行われ得る。I/Oインターフェイス463は、視覚的表示、キーボード、並びにパラレルポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続及び/又は例えばイーサネットのような任意のタイプのネットワークインターフェイスなどの通信インターフェイスのうち1つ以上を含み得る。I/Oインターフェイス463は、例えばIEEE802.11、Bluetooth、又は近距離通信(NFC)接続を通じて、物理的接触のない通信も可能にし得る。I/Oインターフェイス463は監視システム450をデータリンク494及び遠隔局493に接続するためにも用いられ得る。
【0089】
[0095] コマンド信号451はデータ接続404を通じて光源405に提供される。データ接続404は、物理的なケーブルもしくは他の物理的なデータ導管(IEEE802.3に基づくデータの伝送をサポートするケーブルなど)、無線データ接続(IEEE802.11又はBluetoothを介してデータを提供するデータ接続など)、又は有線及び無線データ接続の組み合わせであってもよい。データ接続を経由して提供されるデータは、任意のタイプのプロトコル又はフォーマットを通じて設定され得る。例えば、ファイル転送プロトコル(FTP)又は共通オブジェクトリクエストブローカアーキテクチャ(CORBA)が、コマンド信号451を光源405に伝送するため及び/又は光源405から情報449を受信するために用いられてもよい。
【0090】
[0096] データ接続404は監視システム450のデータインターフェイス456及び光源405のデータインターフェイス406に接続される。データインターフェイス456及び406は、データを送信及び受信することのできる任意の種類のインターフェイスであり得る。例えば、データインターフェイス456及び406は、イーサネットインターフェイス、シリアルポート、パラレルポート、又はUSB接続であってもよい。データインターフェイス456及び406は無線データ接続を通じたデータ通信を可能にし得る。例えば、データインターフェイス456及び406は、IEEE811.11トランシーバ、Bluetooth、又はNFC接続であってもよい。データインターフェイス456及び406は同一のデータインターフェイスであってもよいし、又は、データインターフェイス456及び406は各々が異なる形態を有していてもよい。例えば、データインターフェイス456はイーサネットインターフェイスであってもよく、データインターフェイス406はパラレルポートであってもよい。図4の例においては、データインターフェイス406は光源405と共に示されている。しかしながら、リソグラフィ装置280も、監視システム450と通信するように構成されたデータインターフェイスを有し得る。
【0091】
[0097] 光源405は、データインターフェイス406と、データインターフェイス406と通信する制御システム407と、制御システム407によって制御されるサブシステム408とを含む。図4は、1つのデータインターフェイス406、制御システム407、及びサブシステム408を示している。しかしながら、光源405は2つ以上のデータインターフェイス406、制御システム407、及び/又はサブシステム408を含んでいてもよい。
【0092】
[0098] サブシステム408は、光ビーム460を発生させ及び/もしくは誘導するように並びに/又は利得媒質419を制御するように制御可能な任意のタイプのシステムである。サブシステム408は、コントロール可能な物理デバイス、ソフトウェアに実装されたシステム、又はハードウェア及びソフトウェア態様を含むシステムを含み得る。例えば、サブシステム408は、光源405内で及び/又はリソグラフィ装置280に向かって光ビーム460を合焦させ且つ操縦する光学素子(プリズム、ミラー、及び/又はレンズ並びに関連する機械的構成要素)の集合であってもよい。この例においては、制御システム407は光学コンポーネントを配向させるために機械的な構成要素の姿勢、場所、及び/又は配向などサブシステム408に関係する動作パラメータを修正し得る。別の一例においては、サブシステム408は、光源405に特定の補充速度で光のパルスを生成させるタイミングシステムであってもよい。タイミングシステムは、例えば、制御システム407と通信する光源405内の現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)にソフトウェアとして実装され得る。この例においては、制御システム407は、反復率が変更されるようにタイミングシステムの動作パラメータを変更し得る。更に別の一例においては、制御システム407は、電極間の電位差の形成、噴射動作、及び補充動作など、ガス状利得媒質419の態様を制御する。
【0093】
[0099] 制御システム407は組み込みプロセッサ409に実装された電子及びソフトウェアベースの制御システムである。組み込みプロセッサ409には、監視システム450の電子プロセッサ461とは異なる特徴がある。組み込みプロセッサ409は、光源405によって発生される光のパルス毎に少なくとも1回制御システムを実行するのに十分な速さの実時間プロセッサである。また、組み込みプロセッサ409はより少ない電力を消費し得ると共に、電子プロセッサ461よりも小さいであろう。組み込みプロセッサ409は中央処理装置(CPU)及びメモリを含み得る。しかしながら、組み込みプロセッサ409は電子プロセッサ461よりも一般的な処理能力が少なく、電子記憶装置462と比較して利用可能なメモリが少ない。したがって、監視システム450は、組み込みプロセッサ409よりも複雑な演算を実施することができると共に、より多くのデータを記憶することができる。これにより、監視システム450は、組み込みプロセッサ409には実施することが困難又は不可能なデータ分析を実施することができる。例えば、監視システム450は、数日、数週、及び数か月の期間にわたって光源405から収集されたデータを分析し得る。
【0094】
[0100] 制御システム407は監視システム450とは別個であり、制御システム407はコマンド信号451とは独立してサブシステム408を制御することができる。しかしながら、制御システム407はデータインターフェイス406と通信し、データインターフェイス406を通じて監視システム450から情報又はコマンドを受信し得る。例えば、制御システム407は、コマンド信号451内の情報に基づいて、監視システム450が制御システム407を一時的に制御することができるようにサブシステム408内の動作パラメータを変更し得る。別の一例においては、コマンド信号451は制御システム407の動作パラメータを変更し得る。
【0095】
[0101] 図5はシステム500のブロック図である。システム500は監視システム450を含む。図5は2つ以上の光リソグラフィシステムを監視するために用いられる監視システム450の一例を示している。図5の例においては、監視システム450は各データ接続504_1から504_nを介して光リソグラフィシステム501_1から501_n(各々がそれぞれ光源505_1から505_nを含む)に連結されている。光源505_1から505_nの各々は、それぞれガス状利得媒質519_1から519_nを含有しており、光源105(図1)、光源205(図2A)、光源305(図3)、又は光源405(図4)に類似していてもよい。データ接続504_1から504_nの各々はデータ接続304(図3)に類似していてもよい。
【0096】
[0102] 光リソグラフィシステム501_1から501_nはグループ503の一部である。グループ503は光リソグラフィシステムを含む。ただし、nはゼロよりも大きい任意の数である。図5に示される例においては、光リソグラフィシステム501_1から501_nは同じプラント592内にある。プラント592は、例えば、ウェーハの製造設備、製造室、又は製造場所であり得る。いくつかの実施例においては、プラント592は、物理的には別個である(異なる建物など)が同じ電子ファイアウォールによって保護される場所を含み得る。いくつかの実施例においては、グループ503のシステム501_1から501_nは、いくつかの異なるプラントに分散されてもよい。例えば、システム501_1から501_nは、同じ法人によって所有されるシステムであってもよいし、又は所有権又は場所に関係なく同じように使用されるシステムであってもよい。
【0097】
[0103] 監視システム450は、光リソグラフィシステム501_1から501_nのいずれか又は全てから情報を受信し、データを分析し、光源505_1から505_nのいずれか又は全てにコマンド信号を提供する。いくつかの実施例においては、監視システム450はデータリンク494を介して遠隔局493にデータを提供し得る。
【0098】
[0104] 監視システム450は、このように、単一のリソグラフィシステム又は複数のリソグラフィシステムを監視することができる。複数のリソグラフィシステムを監視することによって、監視システム450は、1つのリソグラフィシステムの特徴及び振る舞いを学習することができ、その学習した特徴及び振る舞いに基づいて他の類似のリソグラフィシステムを制御し得る。例えば、監視システム450は、同一の光源からなるグループの1つのサブセットのガス状利得媒質を監視すると共にそれらの光源の利得媒質が想定されるガス寿命を超えて使用可能であると判定し得る。すると、監視システム450は、そのグループ内にあるがそのサブセット内にはない他の光源のガス状利得媒質も想定されるガス寿命を超えて延長されるべきであると判定し得る。監視システム450の、2つ以上のリソグラフィシステムを監視する能力は、性能上の利益を提供し得る。例えば、1つの光源について特定の不健康なシグネチャが検出されるかもしれず、すると監視システム450は、監視システムに連結された他の全ての光源について同じ不健康なシグネチャを探すことができ、それによって全ての光源の性能が向上する。このように、監視システム450は、単一の光学系しか監視されないシステムと比較してより速い及び/又はより効率的な調節を可能にすることにより、システム400の全体的な性能を向上させる。
【0099】
[0105] 図6を参照すると、プロセス600のフローチャートが示されている。プロセス600は監視システム150又は450によって実施され得るプロセスの一例である。プロセス600について、監視システム450(図4及び5)及びシステム200(図2A及び2B)に関して述べる。以下の議論では、システム200で用いられる光源は、主発振器とパワー増幅器という2つのチャンバを含む。
【0100】
[0106] 検出モジュールからデータが受信される(610)。監視システム250は検出モジュール270_1又は検出モジュール270_2からデータを受信し得る。受信されるデータはガス状利得媒質に関係する任意のタイプのデータであり得る。図6の例においては、検出モジュール270_2から受信されるデータは、ビーム品質メトリック及び/又はシステム性能データである。検出モジュール270_1から受信されるデータはシステム性能データである。ビーム品質メトリックは光ビーム260の測定された特性に基づいて判定されるメトリックである。図6の例においては、ビーム品質メトリックは光ビーム260の測定された帯域幅及び光ビーム260の測定されたエネルギに基づいている。したがって、センサ271_1及び/又はセンサ271_2は、帯域幅、エネルギディテクタ、及び/又は時間ディテクタを含む。
【0101】
[0107] 後述する例においては、ビーム品質メトリックは、帯域幅、エネルギ誤差、帯域幅アンロック(bandwidth unlock)、及びエネルギアンロック(energy unlock)である。帯域幅はE95帯域幅であり、これは光のパルスの総エネルギの95%を含むスペクトル帯域幅である。エネルギ誤差とは、パルスの測定されるエネルギと期待される(又は特定の)エネルギとの間の差である。アンロックとは、仕様外にあるエネルギ又は帯域幅に関係する条件に対応する単一の発生(single occurrence)である。例えば、帯域幅アンロックは、パルスのE95帯域幅がE95帯域幅の仕様を超えるときに発生する。
【0102】
[0108] 図6の例は、ビーム品質メトリック以外のデータに基づくシステム性能メトリックも使用して健康状態を判定する。この例においては、システム性能メトリックはMOPA動作点及びガス噴射の大きさである。上記の通り、図6の意図するところでは、光源205は2ステージシステムであって主発振器及びパワー増幅器を含む。システム性能メトリックはMOPA動作点を含み、これはΔt_opp(主発振器における放電事象とパワー増幅器における放電事象との間の理想的な時間差)とΔt(主発振器における放電事象とパワー増幅器における放電事象との間の実際の時間差)との間の隔たりである。コントローラ207はタイミング情報を検出モジュール270_1に提供し、この検出モジュールがMOPA動作点データを判定すると共にデータを監視システム250に提供する。もう一方のシステム性能メトリックは光源205の動作中に行われるガス噴射の大きさである。コントローラ207は光源205の動作中に行われる補給ガス噴射の大きさに関するデータを検出モジュール270_1に提供する。
【0103】
[0109] 検出モジュール270_2は、センサ271_1及び/又はセンサ271_2から受信した帯域幅及びエネルギデータに基づいてビーム品質メトリックを判定する。この例においては、帯域幅ビーム品質メトリックは2つの信号を含み、一方は有限期間にわたる帯域幅の最大値に関係し、他方は有限期間にわたる帯域幅の最小値に関係する。帯域幅の仕様は、理想的な帯域幅を中心とする値の範囲であってもよい。利得媒質219が健康なときには、最小及び最大帯域幅はいずれも理想の帯域幅に近い。したがって、最高の特定の帯域幅と最大の測定帯域幅との差及び最低の特定の帯域幅と最小の測定帯域幅との差は、利得媒質219が健康であるかどうかの表示を提供し、利得媒質219が健康であれば、利得媒質219が不健康にどれほど近いかの表示を提供する。
【0104】
[0110] 検出モジュール270_2はエネルギ誤差ビーム品質メトリックも判定する。エネルギ誤差ビーム品質メトリックを判定するために用いられるデータは光のパルスの測定エネルギであり、エネルギ誤差ビーム品質メトリックは期待される又は特定のエネルギと測定エネルギとの間の差を表す値である。また、検出モジュール270_2は、ある期間にわたるエネルギアンロック及びある期間にわたる帯域幅アンロックの発生を計数することによって、エネルギアンロック及び帯域幅アンロックのビーム品質メトリックを判定する。
【0105】
[0111] 別の一例においては、検出モジュール270_2は、測定エネルギ及び/又は測定帯域幅から求められるデータからビーム品質メトリックを判定する。例えば、エネルギシグマと呼ばれる分量が測定エネルギから求められ得ると共にビーム品質メトリックを判定するために用いられ得る。エネルギシグマを判定するためには、エネルギが複数のパルスの各々について測定される。各パルスのエネルギは、各パルスについてのエネルギ誤差を判定するために、特定の又は期待されるエネルギと比較される。複数のパルスの全てにわたるエネルギ誤差の標準偏差が各パルスのエネルギ誤差から判定され、その標準偏差がエネルギシグマである。エネルギシグマはシステム200の動作中に継続的に判定されてもよい。換言すれば、各々が同数のパルスを有する異なるパルスのセットに基づくエネルギシグマがシステム200の動作の間中ずっと判定され得る。エネルギシグマは特定値も有する。ビーム品質メトリックを判定するためには、他の求められるメトリック及び分量が用いられてもよい。例えば、エネルギ又はエネルギシグマの移動平均が、ビーム品質メトリックを判定するために用いられ得る。
【0106】
[0112] 検出モジュール270_1及び270_2から受信されたデータは分析される(620)。例えば、ビーム品質メトリック及びシステム性能メトリックの各々は、数値データを含む少なくとも1つの信号を含む。データは、各信号中のデータをそのタイプのデータに特有の閾値と比較することによって分析され得る。例えば、帯域幅アンロックの数は帯域幅アンロックに特有の閾値と比較され、閾値を割り込む数は健康な利得媒質219を示し、閾値以上の数は不健康な利得媒質219を示す。この例においては、ビーム品質メトリックの分析は、取り得る値が2つのみであるバイナリ信号を生成し、その一方は帯域幅アンロックが閾値を超えたか又は満たしたことを示し、他方は閾値よりも少ない数の帯域幅アンロックがあったことを示す。
【0107】
[0113] システム性能データも監視システム250によって分析される。例えば、ガス噴射データは、噴射されるガスの量が閾値を超えるかどうかを判定するために分析される。閾値を超えることは、利得媒質219が適量の1つ以上のガス成分を有さないことを示し得る。したがって、この例においては、閾値を超えることは利得媒質219が不健康であり得ることを示す。
【0108】
[0114] いくつかの実施例においては、閾値は適応的であり、システム200の動作中に変化することができる。例えば、監視システム250がシステム200の2つ以上のインスタンスを監視する実施例では、データが比較される閾値又は仕様は、システム200の他のインスタンス及び/又はシステム200の構成要素の他のインスタンスから得られる情報に基づいて変化し得る。別の一例においては、補充事象後のある特定の回数の放電事象については、ガス状利得媒質219が理想的又は略理想的であると見なされる。したがって、補充の後に生成される光ビーム260も最適であると見なされる。光源205からの情報が、性能データ(噴射動作に関係する情報など)がこの期間の間閾値を上回り、ビーム260の特性のほとんど又は全てが仕様内にあることを示す場合には、それは、性能データに関係する既存の閾値が正確でなく、測定中の特性の現在の値が許容可能であることを反映するように変更され得ることの表示である。
【0109】
[0115] 利得媒質219の健康状態は分析されたデータに基づいて判定される(630)。図6の例においては、分析されたデータは、分析されたビーム品質メトリック及びシステム性能メトリックを含む。分析されたデータの全てが所定の基準に基づいて健康状態を判定するために用いられてもよい。例えば、ある基準は、ビーム品質メトリックのうちいずれか2つが利得媒質219が健康でないことを示す場合、健康状態は「0」、「悪い」、又は「不健康」であることを特定し得る。別の一例においては、基準は、任意のタイプのメトリックのうちいずれかが利得媒質219が健康でないことを示す場合、健康状態は「0」、「悪い」、又は「不健康」であることを特定し得る。更に別の一例においては、基準は、メトリックのうち1つのみが利得媒質219が健康でないことを示す場合、健康状態は「1」、「良い」、又は「延長」であることを特定し得る。この例においては、利得媒質219の使用は想定されるガス寿命を超えて延長され、利得媒質219の使用は、その後の、利得媒質219が劣化しもはや健康ではなくなる任意の時点で終了される。
【0110】
[0116] (640)では、利得媒質219の使用が想定されるガス寿命を超えて延長されるべきか否か又は想定されるガス寿命に関わりなく使用され続けるべきか否かが判定される。(630)において判定された健康状態は、利得媒質219の使用を延長するか否かを判定するために、健康状態の既知のとり得る値と比較される。例えば、利得媒質219は、健康状態が「良い」又は「1」であれば延長される。利得媒質は、健康状態が「悪い」又は「0」であれば、延長されず又は使用され続けない。
【0111】
[0117] 健康状態が良いと判定されない場合には、監視システム250は、補充動作を発生させる(650)コマンド信号451を発する。光源205はシャットダウンされ、補充動作の準備のために光ビーム260の生成を停止する。補充動作の後、光源205は通常動作を再開し、再び光ビーム260を生成する。
【0112】
[0118] 健康状態が良いと判定される場合には、監視システム250は、想定される寿命が終わっても光源205が光ビーム260を生成し続けるように、コントローラ207における設定を無効にするコマンド信号451を発する(660)。プロセス600は利得媒質219の健康状態が健康でないと判定されるまで継続し、その時点で監視システム250が補充動作を発生させる(650)コマンド信号451を発する。
【0113】
[0119] 上記は説明として提供されているに過ぎず、プロセス600においては追加的な及び/又は異なるデータが用いられてもよい。例えば、いくつかの実施例においては、プロセス600は、直近の補充動作以降に光源205によって閾値数のパルスが生成された後にのみ実施される。こうした実施例においては、監視システム250は、検出モジュール270_1及び/又は270_2から生成されたパルスの数の表示も受信し、その生成されたパルスの数が閾値を超える場合にのみ(620)及び(630)を実施する。
【0114】
[0120] また、プロセス600は、図5に図示されるように監視システム450が2つ以上のリソグラフィシステムを監視するシステムに適用されてもよい。
【0115】
[0121] 実施形態は更に、以下の項を用いて記載することもできる。
1.パルス光ビームを放出するように構成された光源であって、1つ以上のチャンバを備え、1つ以上のチャンバの各々はガス状利得媒質を保持するように構成されており、ガス状利得媒質は想定されるガス寿命と関連付けられている、光源と、
少なくとも1つの検出モジュールであって、
パルス光ビームに関係するデータを受信及び分析するように、及び
パルス光ビームに関係するデータに基づいてビーム品質メトリックを生成するように構成された少なくとも1つの検出モジュールと、
監視モジュールであって、
ビーム品質メトリックを分析するように、
ビーム品質メトリックの分析に基づいてガス状利得媒質の健康状態を判定するように、及び
判定された健康状態に基づいて、想定されるガス寿命を超えてガス状利得媒質の使用を延長するか又はガス状利得媒質の使用を終了するかを示す状態信号を生成するように構成された監視モジュールと、
を備える、システム。
2.ビーム品質メトリックを分析することはパルス光ビームが所定の仕様を満たすかどうかを判定することを備え、ビーム品質メトリックはパルス光ビームの光エネルギ、パルス光ビームのスペクトル帯域幅、及び/又はパルス光ビームの波長を備える、条項1のシステム。
3.少なくとも1つの検出モジュールは複数の検出モジュールを備え、複数の検出モジュールは、
1つ以上のチャンバのいずれかにおける放電事象の発生を検出するように及びある期間にわたる放電事象の回数を示す信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールと、
パルス光ビームのスペクトル帯域幅を検出するように及びパルス光ビームのスペクトル帯域幅を示す信号を生成するように構成された帯域幅検出モジュールと、
パルス光ビームのエネルギを検出するように及びパルス光ビームのエネルギを示す信号を生成するように構成されたエネルギ検出モジュールと、
パルス光ビームの波長を検出するように及びパルス光ビームの波長を示す信号を生成するように構成された波長検出モジュールと、
1つ以上のチャンバ内に噴射されるガス混合物の量を検出するように及び噴射されるガス混合物の量を示す信号を生成するように構成されたガス検出モジュールと、を備え、
帯域幅検出モジュール、エネルギ検出モジュール、及び波長検出モジュールの各々は、帯域幅検出モジュールによって生成された信号、エネルギ検出モジュールによって生成された信号、及び波長検出モジュールによって生成された信号にそれぞれ基づいて、ビーム品質メトリックを生成し、
監視モジュールは、帯域幅検出モジュール、エネルギ検出モジュール、及び波長検出モジュールからのビーム品質メトリックを分析することによってビーム品質メトリックを分析し、
監視モジュールは、分析されたビーム品質メトリック、ガス検出モジュールによって生成された信号、及び放電検出モジュールによって生成された信号に基づいて健康状態を判定するように構成されている、条項2のシステム。
4.複数の検出モジュールは更に、フッ素を検出するように及びガス状利得媒質中のフッ素の濃度を示す信号を生成するように構成されたセンサを備え、監視モジュールは、センサによって生成された信号に基づいて健康状態を判定するように構成されている、条項3のシステム。
5.光源は2つのチャンバを備え、2つのチャンバのうち一方は主発振器を備え、2つのチャンバのうち他方はパワー増幅器を備え、システムは更に、主発振器及びパワー増幅器における放電事象を制御するように構成されたタイミングコントローラを備え、複数の検出モジュールは更に、主発振器における放電事象とパワー増幅器における放電事象との間の時間の差を監視するように構成されたタイミング検出モジュールを備える、条項3のシステム。
6.光源は複数のパラメータと関連付けられており、パラメータの各々は許容可能な値の範囲を有し、複数の検出モジュールからの生成された信号を分析するために、監視モジュールは、各信号のビーム品質メトリックがそのパラメータと関連付けられた許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されている、条項5のシステム。
7.パルス光ビームを光源から受けるように構成された光リソグラフィシステムを更に備え、検出モジュールのうち少なくともいくつかが、パルス光ビームに関係するデータを光リソグラフィシステムから受信するように構成されている、条項1のシステム。
8.ビーム品質メトリックがとり得る値は2つのみである、条項1のシステム。
9.ビーム品質メトリックには複数のとり得る値があり、複数のとり得る値はパルス光ビームが予め定義された仕様を満たさないことを示す第1の値を備え、
ビーム品質メトリックを分析するように構成された監視モジュールは、ある期間又は有限数のパルスにわたって第1の値の発生を計数するように構成された監視モジュールを備え、
ガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成された監視モジュールは、発生の回数を閾値と比較するように構成された監視モジュールを備え、
生成される状態信号は、発生の回数が閾値を超える場合、ガス状利得媒質の使用を終了することを示す、条項1のシステム。
10.リソグラフィシステムであって、光源を備え、光源はガス状利得媒質を保持するように構成された少なくとも1つのチャンバを備え、ガス状利得媒質は想定されるガス寿命と関連付けられている、リソグラフィシステムと、
監視システムであって、
リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された監視データインターフェイスと、
1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、1つ以上のルールの各々はガス状利得媒質の一態様をモジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、を備える監視システムと、
を備えるシステムであって、監視システムは、
少なくとも1つのルールにアクセスするように、
アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、及び
特定されたモジュールとリソグラフィシステムからの情報とを用いて光源におけるガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されている、システム。
11.監視システムは更に、判定された健康状態に基づいて状態信号を生成するように構成されており、状態信号は、ガス状利得媒質の使用を想定されるガス寿命を超えて延長するかそれともガス状利得媒質の使用を終了するかを示す、条項10のシステム。
12.少なくとも1つのチャンバに流体結合されたガス補充システムを更に備え、状態信号がガス状利得媒質の使用を終了することを示すとき、監視システムは更に、コマンド信号をガス補充システムに提供するように構成されており、コマンド信号は、ガス補充システムにチャンバからガス状利得媒質を除去させると共にチャンバ内に新たなガス混合物を追加するのに十分である、条項11のシステム。
13.ガス状利得媒質の想定されるガス寿命は、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生の最大数であってもよく、システムは更に、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生を検出するように及び放電事象計数信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールを備え、放電事象計数信号はある期間にわたる放電事象の回数を示す、条項11のシステム。
14.状態信号がガス状利得媒質の使用を終了することを示すとき、監視システムは更に、コマンド信号をガス補充システムに提供するように構成されており、コマンド信号は、ガス補充システムにチャンバからガス状利得媒質を除去させると共にチャンバ内に新たなガスを追加するのに十分である、条項13のシステム。
15.監視システムは更に、期間にわたる放電事象の回数を初期分析閾値と比較するように構成されており、初期分析閾値は想定されるガス寿命未満であり、監視システムは、ガス状利得媒質の健康状態を判定するように、及び期間にわたる放電事象の回数が初期分析閾値を上回る場合にのみ状態信号を生成するように構成されている、条項14のシステム。
16.特定されたモジュールは、光学系からの情報をデータ閾値と比較してガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されており、データ閾値はリソグラフィシステムの動作中に適応的に変化するように構成されている、条項10のシステム。
17.リソグラフィシステムは更にリソグラフィツールを備え、リソグラフィシステムから情報を受信するように構成された監視システムは、リソグラフィツール及び/又は光源から情報を受信するように構成された監視システムを備える、条項10のシステム。
18.リソグラフィシステムからの情報は複数のディテクタからのデータを備え、各ディテクタは、光源によって生成される光ビームの特定の一態様を監視するように、及び光ビームの態様に関係するデータを備える信号を生成するように構成されており、
電子記憶装置は複数のルールを記憶し、ルールは複数のディテクタの各々と関連付けられた少なくとも1つのルールを備え、
モジュールのライブラリは複数の決定モジュールを備え、各決定モジュールは、
複数のディテクタのうち1つからの光ビームの特定の一態様に関係するデータを、データを各基準と比較することによって分析するように、
光ビームの特定の一態様が仕様内であるかそれとも仕様外であるかを判定するように、及び
特定の態様の状態インジケータを出力するように構成されており、
監視システムは、決定モジュールによって出力された全ての状態インジケータを分析することによってガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されている、条項10のシステム。
19.ガス状利得媒質の想定されるガス寿命は、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生の最大数であり、システムは更に、ガス状利得媒質を保持するチャンバにおける放電事象の発生を検出するように及び放電事象計数信号を生成するように構成された放電回数検出モジュールを備え、放電事象計数信号はある期間にわたる放電事象の回数を示し、
少なくとも1つのルールは、放電事象の回数をモジュールのライブラリ内の少なくとも第1のモジュール及び第2のモジュールと関連付けるガスベースラインルールを少なくとも備え、
第1のモジュールは、光源の動作に関係するパラメータをベースライン測定値として測定及び記憶するように、並びに健康状態をベースライン状態として判定するように構成されており、
第2のモジュールは、測定されたパラメータを記憶されたベースライン測定値と比較するように、及び少なくとも測定されたパラメータに基づいて健康状態を判定するように構成されており、
ガスベースラインルールは、放電事象の回数を閾値と比較し、回数が閾値未満である場合には第1のモジュールを特定し、又は、メトリックが閾値以上である場合には第2のモジュールを特定する、条項10のシステム。
20.複数のリソグラフィシステムと通信するように構成された監視データインターフェイスであって、複数のリソグラフィシステムの各々が想定されるガス寿命と関連付けられたガス状利得媒質を保持するように構成された光源を備える、監視データインターフェイスと、
1つ以上のルールとモジュールのライブラリとを記憶するように構成された電子記憶装置であって、1つ以上のルールの各々はガス状利得媒質の一態様をモジュールのライブラリ内の少なくとも1つのモジュールと関連付ける、電子記憶装置と、
を備える監視システムであって、監視システムは、
少なくとも1つのルールにアクセスするように、
アクセスされたルールに基づいてモジュールのライブラリから1つのモジュールを特定するように、
リソグラフィシステムの第1のグループが複数のリソグラフィシステムのうち少なくとも1つを備えるところ、リソグラフィシステムの第1のグループにおけるガス状利得媒質の健康状態を、特定されたモジュールとリソグラフィシステムの第1のグループからの情報とを用いて判定するように、及び
リソグラフィシステムの第2のグループが複数のリソグラフィシステムのうちリソグラフィシステムの第1のグループにはない1つ以上を備えるところ、判定された健康状態に基づいて、リソグラフィシステムの第2のグループにおけるガス状利得媒質の使用を想定されるガス寿命を超えて延長するかどうかを判定するように構成されている、監視システム。
21.特定されたモジュールは、リソグラフィシステムの第1のグループからの情報をデータ閾値と比較してガス状利得媒質の健康状態を判定するように構成されており、データ閾値はリソグラフィシステムの動作中に適応的に変化するように構成されている、条項20の監視システム。
22.同じデータ閾値が全てのリソグラフィシステムからの情報に適用され、全てのリソグラフィシステムのデータ閾値は、リソグラフィシステムの第1のグループからのデータに基づいて、リソグラフィシステムの動作中に適応的に変更される、条項21の監視システム。
23.リソグラフィシステムの第1のグループからの情報は、リソグラフィシステムの第1のグループの各リソグラフィシステムの光源からの情報を備える、条項20の監視システム。
24.リソグラフィシステムの各々は更に光リソグラフィ装置を備え、リソグラフィシステムの第1のグループからの情報は、リソグラフィシステムの第1のグループの各リソグラフィシステムの光源から及びリソグラフィシステムの第1のグループの各光リソグラフィ装置からの情報を備える、条項20の監視システム。
【0116】
[0122] 他の実施例は特許請求の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6