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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】シリコン部品を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230403BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
H01L21/306 D
H01L21/302 101H
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017151219
(22)【出願日】2017-08-04
(65)【公開番号】P2018026560
(43)【公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】15/235,660
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン・シュウ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・コーシィ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ダウガティ
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・スリニバサン
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】鈴木 聡一郎
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6890861(US,B1)
【文献】特開2013-145896(JP,A)
【文献】特開2012-43919(JP,A)
【文献】特開平11-008216(JP,A)
【文献】特開2003-126795(JP,A)
【文献】特開2016-051900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン部品を調整するための方法であって、
重量にして少なくとも99%の純度のシリコンである前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃で300°と800°の間の温度に加熱し、
前記シリコン部品をウェットバスに入れ、前記ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液であり、前記ウェットバスは、実質的にHFと水から成る、
ことを備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、ガス孔を伴うプラズマ処理チャンバシリコンシャワーヘッドであり、前記ガス孔の内表面は、前記加熱によってシリコン酸化物にされ、前記ウェットバスは、前記ガス孔の前記内表面上に形成された前記シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品を加熱する間に酸素を添加することを備える方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して無限に選択的にエッチングする、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、電極である、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、前記シリコン部品上にポリマ堆積物を堆積させ、前記シリコン部品の加熱は、前記ポリマ堆積物を熱分解又は気化する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、OPOP積層体をエッチングすることを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品を加熱する間に酸素を添加することを備える方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して無限に選択的にエッチングする、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの中で使用するための電極、シャワーヘッド、エッジリング、又はCシュラウドである、方法。
【請求項12】
シリコン部品を調整するための方法であって、
重量にして少なくとも99%の純度のシリコンである前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃で300°と800°の間の温度に加熱し、
前記シリコン部品をHFウェットバスに入れ、前記HFウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする、
ことを備える方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
【請求項14】
シリコン部品を調整するための方法であって、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品上にポリマが堆積され、
前記シリコン部品を前記プラズマ処理チャンバから取り外し、
重量にして少なくとも99%の純度のシリコンである前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃で300°と800°の間の温度に加熱し、これは、前記堆積されたポリマを除去し、
前記シリコン部品をHFウェットバスに入れ、前記HFウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングし、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
【請求項15】
請求項7に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、OPOP積層体をエッチングすることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、シリコン部品を調整するための方法に関する。より具体的には、本開示は、プラズマ処理チャンバの中で使用するためのシリコン部品を調整するための方法に関する。
【0002】
半導体デバイスの作成では、基板を処理するためにプラズマ処理チャンバが使用される。プラズマ処理チャンバには、電極、シャワーヘッド、エッジリングなどのシリコン部品を有するものがある。
【発明の概要】
【0003】
上記を実現するために、及び本開示の目的にしたがって、シリコン部品を調整するための方法が提供される。シリコン部品は、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱される。シリコン部品は、ウェットバス(洗浄槽)に入れられ、該バスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液である。
【0004】
別の一形態において、シリコン部品を調整するための方法が提供される。シリコン部品は、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱される。シリコン部品は、HFウェットバスに入れられ、該HFバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする。シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの一部として装着される。基板が、プラズマ処理チャンバの中に配置される。プラズマ処理チャンバの中で、基板のプラズマ処理が提供され、ここで、シリコン部品は、プラズマ処理を受ける。
【0005】
別の一形態において、シリコン部品を調整するための方法が提供される。シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの一部として装着される。基板が、プラズマ処理チャンバの中に配置される。プラズマ処理チャンバの中で、基板のプラズマ処理が提供され、ここで、シリコン部品上に、ポリマが堆積される。シリコン部品は、プラズマ処理チャンバから取り出される。シリコン部品は、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱され、これは、堆積されたポリマを除去する。シリコン部品は、HFウェットバスに入れられ、該HFバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする。シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの一部として装着される。基板が、プラズマ処理チャンバの中に配置される。プラズマ処理チャンバの中で、基板のプラズマ処理が提供され、ここで、シリコン部品は、プラズマ処理を受ける。
【0006】
本開示のこれらの及びその他の特徴が、詳細な説明の中で以下の図面と関連付けて更に詳しく後述される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、添付の図面の中で、限定的なものではなく例示的なものとして示され、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【0008】
図1】一実施形態を示したハイレベルフローチャートである。
【0009】
図2】一実施形態で使用されるシリコン部品を示した上面図である。
【0010】
図3】一実施形態で使用されるオーブンを示した説明図である。
【0011】
図4】一実施形態で使用されるウェットバスを示した説明図である。
【0012】
図5】一実施形態で使用されえるエッチングリアクタを示した説明図である。
【0013】
図6A】一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
図6B】一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
図6C】一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
【0014】
図7A】別の一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
図7B】別の一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
図7C】別の一実施形態にしたがって処理されるシリコン部品を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面に例示されるような幾つかの好ましい実施形態を参照にして、本開示の詳細な説明がなされる。以下の説明では、本開示の完全な理解を与えるために、具体的詳細が特定されている。しかしながら、当業者にならば、本開示が、これらの具体的詳細の一部又は全部を伴わずに実施されてもよいことが明らかである。また、本開示を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程及び/又は構造の詳細な説明は省略される。
【0016】
図1は、一実施形態を示したハイレベルフローチャートである。この実施形態では、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、シリコン部品が、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱される(工程104)。シリコン部品は、ウェットバスに入れられ、該ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液である(工程108)。シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの中に装着される(工程112)。基板が、プラズマ処理チャンバの中に配置される(工程116)。基板は、プラズマ処理チャンバの中でプラズマ処理を施される(工程120)。
【0017】
実施例
好ましい一実施形態では、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、シリコン部品が、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱される(工程104)。図2は、一実施形態で使用されるシリコン部品204を示した上面図である。この実施形態では、シリコン部品204は、複数のガス入口穴212を伴う円盤の形状をしたシリコンボディ208を含む。穴212は、実施形態をよりよく例示するために、縮尺どおりに描かれていない。様々な実施形態において、穴212は、円状に配置されるなどの様々なパターンを有してよい。しかしながら、これらのパターンは、実施形態の働きには関係しない。図6Aは、ガス入口穴212の周囲のシリコン部品204を拡大して示した断面図である。ガス入口穴212は、ワイヤ電極が微小な火花によって材料を局所的に焼き払う放電加工機(EDM)を使用して形成された。ガス入口穴212の形成は、ガス入口穴212の周囲に損傷604層を生じる。その他の製造プロセスによって、シリコン部品204のその他の部分の表面損傷608が生じることもある。この例では、ガス入口穴の形成によって生じる損傷604が、その他のプロセスによってシリコン部品204のその他の部分に生じる表面損傷608よりも大きい。
【0018】
一実施形態では、シリコン部品の加熱は、複数のその他のシリコン部品とともに、バッチ単位でなされる。図3は、複数のシリコン部品204を加熱するためのオーブン300を示した説明図である。オーブン300は、複数のシリコン部品204が中に配置されるオーブンチャンバ304を有する。オーブン300は、また、ヒータ308と、酸素源312と、排出部316と、を含む。ヒータ308は、オーブンチャンバ304の内部を800℃の温度に加熱するために、オーブンチャンバ304の内部に熱を提供する。酸素源312は、オーブンチャンバ304に酸素を流し込む。排出部は、オーブンチャンバ304からガスを放出させる。この実施形態では、酸素源によって提供される酸素はO2である。オーブン300によって提供される熱及び酸素は、シリコン部品204の表面をシリコンからシリコン酸化物に変換させる。熱処理レシピの一具体例は、温度が800℃に到達するまで毎時400℃の一定速度で温度を上昇させ、そこで少なくとも30分、好ましくは4時間にわたって温度を維持するレシピである。図6Bは、シリコン部品204の加熱が完了した後におけるガス入口穴212の周囲のシリコン部品204を拡大して示した断面図である。シリコン部品の表面上の損傷区域が酸化され、シリコン酸化物612を形成している。
【0019】
シリコン部品は、バスに入れられ、該バスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液である(工程108)。図4は、ウェットバス400を示した説明図である。ウェットバス400は、複数のシリコン部品204が中に配置されるバス容器404を有する。ウェットバス溶液が、溶液源408からバス容器404に流し込まれ、次いで、溶液除去システム412へ流し出される。一部の実施形態では、バスは、流動的である代わりに静的であってよい。好ましくは、ウェットバスは、実質的にHFの水溶液から成る溶液である。本明細書及び特許請求の範囲では、ウェットバスは、それがもし、実質的にHFの水溶液から成る溶液と同程度に選択的であれば、そのようなバスは、シリコンの除去がほぼ認識されることなくシリコン酸化物を除去するので、シリコンに対してシリコン酸化物をエッチングするにあたって「無限に選択的である」と定義される。バスは、基本的に、HF対脱イオン(ID)水の比率が重量百分率にして1:10であるHFとDI水との溶液で構成される。図6Cは、シリコン酸化物が無限に選択的にエッチング除去された後におけるガス入口穴212の周囲のシリコン部品204を拡大して示した断面図である。
【0020】
シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの中に装着される(工程112)。図5は、一実施形態で使用されえるエッチングリアクタを示した説明図である。1つ又は複数の実施形態において、エッチングリアクタ500は、ガス入口を提供するシャワーヘッド204と、ESC508とを、チャンバ壁550によって囲われたエッチングチャンバ549内に含む。エッチングチャンバ549内では、積層体が上に形成される基板504が、ESC508の上に配置される。ESC508は、ESC源548からバイアスを提供してよい。エッチングチャンバ549には、シャワーヘッド204を通じてガス源528が接続される。ESC温度コントローラ554が、ESC508に接続され、ESC508の温度制御を提供する。この例では、第1の接続510が、ESC508の内側ゾーンを加熱するための内側ヒータ511に電力を供給し、第2の接続514が、ESC508の外側ゾーンを加熱するための外側ヒータ512に電力を提供する。RF源530が、下部電極534にRF電力を提供する。この実施形態では、RF源530は、2MHz、27MHz、及び60MHzの電力を提供する。この実施形態では、RF源530は、それぞれ周波数が1つずつである3つのRF発生器を含む。この実施形態では、シャワーヘッド204は、接地電極である。その他の実施形態では、RF発生器が、それぞれ別々のRF源の中にあってよい、又は個々のRF発生器が、それぞれ異なる電極に接続されてよい。その他の実施形態では、その他の配置のRF源及び電極が使用されてよい。基板504の周囲には、シリコンエッジリング564が配置される。好ましい実施形態では、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporation(商標)によって作成されたFlex(登録商標)誘電体エッチングシステムが使用されてよい。この実施形態では、オーブン及びウェットバスを経たシャワーヘッド204の1つが、図に示されるように、エッチングリアクタ500の中に搭載される。
【0021】
基板504が、上述されたように、プラズマ処理チャンバの中に配置される(工程116)。プラズマ処理チャンバは、基板を処理するために使用される(工程120)。この実施形態では、エッチングリアクタ500であるプラズマ処理チャンバは、基板504の上の積層体をエッチングするために使用される。
【0022】
ガスを均等に分配するために、微小な穴の配列を伴うシリコン電極が、誘電体エッチングプロセスで広く使用されている。Si電極の表面品質、とりわけ穴表面の表面品質は、ウエハ欠陥を減らしてデバイスのパフォーマンスを保証するために不可欠である。ガス穴内の不安定な特徴は、処理中に、高圧ガス流によってなぎ倒されてウエハ欠陥を生じる恐れがある。多数の微小な穴を伴うSi電極の製造は、ワイヤ電極が微小な火花によって材料を局所的に焼き払う放電加工機(EDM)を使用し、これは、多量の微小な穴を生産拠点で穿孔することができる。しかしながら、EDMは、溶融シリコンの再凝固を伴う烈しい処理であり、熱による微細亀裂の誘導及びEDMワイヤ材料の埋め込みを生じるので、EDMによって穿孔された穴は、穴品質の問題に見舞われるのが常である。穴の表面品質を向上するために、穿孔後処理が、常に必要とされる。損傷されたSi表面を除去し、表面品質を向上する及び埋め込まれた汚染物質を洗浄するために、通常は、硝酸と、フッ化水素酸と、酢酸と、水と、の混合を使用する混合酸エッチング(MAE)が使用される。穴表面から不安定な構造(張り出しや格子模様)を完全に除去することは、以下の理由から、非常に困難である。1)MAEエッチングは、Siエッチング用に設計されており、1つの電極全域にわたる及び/又は複数の電極にわたる百を超える数の穴に対してエッチングの終点を制御することが非常に困難である。これは、MAEによるガス穴の過剰なエッチングを招き、エッチングプロセスのシフトという許容できない高いリスクを伴う。2)MAEエッチングは、純粋に液体プロセスであり、エッチング速度を厳密に制御することが極めて困難である。例えば、局所バス温度、酸濃度、バス経年劣化、高アスペクト比特徴内における物質移動などの、多くのパラメータが、エッチング速度及びエッチング速度均一性に影響するだろう。3)EDM方法は、遥かに小さい穴を穿孔する大きな潜在性を有するが、この潜在性は、MAEプロセスの制御不良ゆえに、完全に実現されたことがなかった。なぜならば、小サイズの穴を穿孔するときは、MAEエッチング速度の小さな揺らぎが大幅に増幅されるからである。
【0023】
穴の品質を向上するために、ホーニング方法(DS0と称される)が開発されている。ここでは、損傷された層を小サイズの各穴から局所的に除去するために、その穴に摩耗性のワイヤが通される。この方法は、依然として完璧ではない。なぜならば、1)これは、バッチ式のプロセスではなく、スループットが低いから、2)精確なワイヤ誘導システムを備えたホーニング機器への投資は、高くつくから、及び3)ワイヤ上の摩耗性媒体のサイズ選択次第では、特に、大きめの粒度を使用するときは、ホーニングプロセスの結果として依然として何らかの損傷が残るからである。
【0024】
この実施形態では、酸化プロセスが、損傷されたSi表面の優先的酸化によって低品質のSi表面を清掃する一方で、その優先的に酸化された損傷されたSi表面を、以下のHF工程が、下層のSiに対して無限の選択性でもって完全に除去することができる。HFの選択性が無限であるゆえに、HFによるオーバーエッチングはもはや問題にならず、限界寸法を台無しにすることはない。更に、これは、化学的方法であるゆえに、HFによる酸化物除去によって損傷が引き起こされることはない。この損傷の低減が、実験によって示された一方で、約400nmのSiO2の成長によって除去されるSi部品の表面は、約180nmに過ぎない。また、シリコン部品の表面上の不純物が、酸化によって捕捉されて、ウェットバスによって除去されてよい。損傷されたSi層の除去が、精確で且つ予測可能であるゆえに、200μm以下の穴をEDMによって穿孔することによる利点が実現できる。したがって、この方法を使用すれば、穴のサイズが台無しになる危険がない。
【0025】
別の一実施形態では、図5に示されるように、シリコン部品は、先ずプラズマ処理チャンバの中に装着される。幾枚かの基板が、プラズマ処理チャンバの中で処理される。この実施形態では、基板の上に、複数のシリコン酸化物層とポリシリコン層とからなる3D NAND積層体(OPOP)が形成される。この積層体は、エッチングされる。このような積層体をエッチングし、波形の形成を抑制するためには、エッチング特徴の側壁にポリマ堆積物を堆積させることによって、それらの側壁を厚く不動態化する必要がある。ポリマ堆積物は、プラズマ処理チャンバの表面上にも堆積する。一部のプロセスでは、プラズマに接触しているハードウェア上に、30分間のNANDエッチングプロセス中に5ミクロンのポリマが堆積される。プラズマに接触している表面上の堆積物の大部分を洗浄するために、プラズマ洗浄プロセスが使用されてよい。しかしながら、チャンバの中の特定の場所は、プラズマ洗浄によって十分に洗浄されない。このようなシリコン部品は、チャンバ外での更なる洗浄のために、プラズマ処理チャンバから取り出されてよい。
【0026】
図7Aは、ガス入口穴712を伴うシャワーヘッドの形態をとるシリコン部品704を拡大して示した断面図であり、シリコン部品704に被膜をもたらす複数のプロセス後に尚且つプラズマ洗浄後にプラズマ処理チャンバから取り出された後の状態を示している。入口穴712のかどが、プラズマ処理中に削られるだろう。洗浄用のプラズマは、このように小さい入口穴712の長さ全てを洗浄することはできないので、入口穴712内には、ポリマ堆積物716が残る。
【0027】
シリコン部品は、シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱される(工程104)。上述の実施形態で使用されたのと同じ方法及びシステムが、シリコン部品を加熱するために使用されてよい。その他の実施形態では、その他の方法及びシステムが、シリコン部品を加熱するために使用されてよい。図7Bは、シリコン部品704の加熱が完了した後における、ガス入り口712の周囲のシリコン部品704を拡大して示した断面図である。加熱は、ポリマ堆積物を熱分解及び気化した。同時に、シリコン部品704の表面上の損傷区域及びシリコン部品704の表面上のその他の区域が酸化されて、シリコン酸化物720を形成している。
【0028】
シリコン部品は、ウェットバスに入れられ、該バスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液である(工程108)。上述の実施形態で使用されたのと同じ方法及びシステムが、シリコン酸化物を選択的にエッチングするために使用されてよい。その他の実施形態では、その他の方法及びシステムが、シリコン部品の表面上のシリコン酸化物を選択的にエッチングするために使用されてよい。図7Cは、シリコン酸化物が無限に選択的にエッチングされて除去された後における、ガス入り口712の周囲のシリコン部品704を拡大して示した断面図である。
【0029】
シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの中に再び装着される(工程112)。基板が、プラズマ処理チャンバの中に配置される(工程116)。基板は、プラズマ処理チャンバの中でプラズマ処理を施される(工程120)。
【0030】
一部の実施形態では、熱加熱およびウェットバスが、定期的に繰り返されてよい。その他の実施形態では、酸化中に提供される酸素が、水蒸気又は反応性O2プラズマの形態であってよい。
【0031】
別の一実施形態では、シリコン部品は、シャワーヘッドではない別のタイプの電極である。別の一実施形態では、シリコン部品は、シリコンエッジリング又はSi製のCシュラウド(覆い)である。エッジリングは、基板の外周を取り巻いてよい。本明細書及び特許請求の範囲において、シリコン部品は、重量にして少なくとも99%の純度のシリコンであるとして定義される。より好ましくは、シリコン部品は、重量にして少なくとも99.99%の純度である。
【0032】
本開示は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、本開示の範囲内に入るものとして、代替形態、変更形態、置換形態、及び代わりとなる様々な等価形態がある。また、本開示の方法及び装置を実現するには多くの代替のやり方があることも、留意するべきである。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲に入るものとして、このような代替形態、変更形態、置換形態、及び代わりとなる様々な等価形態の全てを含むと解釈されることを意図している。
本開示は、以下の適用例としても実現可能である。
<適用例1>
シリコン部品を調整するための方法であって、
前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱し、
前記シリコン部品をウェットバスに入れ、前記バスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする溶液である、
ことを備える方法。
<適用例2>
適用例1に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
<適用例3>
適用例2に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、ガス孔を伴うプラズマ処理チャンバシリコンシャワーヘッドであり、前記ガス孔の内表面は、前記加熱によってシリコン酸化物にされ、前記ウェットバスは、前記ガス孔の前記内表面上に形成された前記シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングする、方法。
<適用例4>
適用例3に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品を加熱する間に酸素を添加することを備える方法。
<適用例5>
適用例4に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して無限に選択的にエッチングする、方法。
<適用例6>
適用例4に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、HFウェットバスである、方法。
<適用例7>
適用例4に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、実質的にHFと水から成る、方法。
<適用例8>
適用例2に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、電極である、方法。
<適用例9>
適用例2に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、前記シリコン部品上にポリマ堆積物を堆積させ、前記シリコン部品の加熱は、前記ポリマ堆積物を熱分解又は気化する、方法。
<適用例10>
適用例9に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、OPOP積層体をエッチングすることを含む、方法。
<適用例11>
適用例1に記載の方法であって、更に、
前記シリコン部品を加熱する間に酸素を添加することを備える方法。
<適用例12>
適用例1に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して無限に選択的にエッチングする、方法。
<適用例13>
適用例1に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、HFウェットバスである、方法。
<適用例14>
適用例1に記載の方法であって、
前記ウェットバスは、実質的にHFと水から成る、方法。
<適用例15>
適用例1に記載の方法であって、
前記シリコン部品は、プラズマ処理チャンバの中で使用するための電極、シャワーヘッド、エッジリング、又はCシュラウドである、方法。
<適用例16>
シリコン部品を調整するための方法であって、
前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱し、
前記シリコン部品をHFウェットバスに入れ、前記HFバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングし、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
<適用例17>
シリコン部品を調整するための方法であって、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品上にポリマが堆積され、
前記シリコン部品を前記プラズマ処理チャンバから取り外し、
前記シリコン部品の外表面をシリコン酸化物にするために、前記シリコン部品を酸素の存在下で少なくとも300℃の温度に加熱し、これは、前記堆積されたポリマを除去し、
前記シリコン部品をHFウェットバスに入れ、前記HFバスは、シリコン酸化物をシリコンに対して選択的にエッチングし、
前記シリコン部品をプラズマ処理チャンバの一部として装着し、
基板を前記プラズマ処理チャンバの中に配置し、
前記プラズマ処理チャンバの中で前記基板のプラズマ処理を提供し、ここで、前記シリコン部品は、前記プラズマ処理を受ける、
ことを備える方法。
<適用例18>
適用例9に記載の方法であって、
前記プラズマ処理の提供は、OPOP積層体をエッチングすることを含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C