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特許7254620半導体装置の製造方法、部品の管理方法、基板処理装置及び基板処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、部品の管理方法、基板処理装置及び基板処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230403BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230403BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 Z
C23C16/455
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019094748
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020004957
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018121147
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 政哉
(72)【発明者】
【氏名】嶋 信人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明博
(72)【発明者】
【氏名】桑田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢一
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-339071(JP,A)
【文献】特開2017-066511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0284848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/44
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ガスを処理炉内に供給して基板を処理するプロセスレシピを実行する工程と、前記処理ガスを前記処理炉に供給する処理ガス供給ラインに設けられる供給バルブの容量係数を確認する補正レシピを実行する工程とを有し、
前記補正レシピを実行する工程は、
前記処理炉の排気側に設けられた処理炉内の圧力を調整する調整バルブを全開にした状態で、前記処理ガス供給ラインに一定時間不活性ガスを供給する工程と、
前記調整バルブを全開にした状態で、前記処理ガス供給ラインに前記不活性ガスを供給しつつ前記供給バルブが設けられる供給菅内の圧力値を検出する工程と、
検出された前記圧力値に基づいて前記供給バルブの容量係数を算出する工程と、
を少なくとも有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
更に、反応ガスを前記処理炉内に供給する反応ガス供給ラインを前記処理ガス供給ラインとは別に設け、
前記調整バルブを全開にした状態で、前記処理ガス供給ラインと前記反応ガス供給ラインの各々に前記不活性ガスを供給するパージ工程と、を更に有し、
前記不活性ガスを供給する工程と、前記圧力値を検出する工程と、前記容量係数を算出する工程では、前記反応ガス供給ラインに設けられ、前記反応ガスを供給するバルブを閉にするよう構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記補正レシピは、前記プロセスレシピを1回または複数回実行する毎に実施するよう構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記補正レシピは、ボートロード工程と、パージ工程と、ボートアンロード工程とを少なくとも含み、
前記パージ工程は、前記プロセスレシピを実行する工程と同じ条件を含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記パージ工程は、前記プロセスレシピを実行する工程の圧力、温度及び処理時間よりなる群から選択される少なくとも一つと同じである請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記補正レシピは、前記供給バルブの交換後に実行されるように構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記補正レシピは、前記プロセスレシピの処理条件が変更された後に実行されるように構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記補正レシピは、前記供給バルブを加熱する加熱部材の保守作業後に実行されるように構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記補正レシピは、前記供給バルブに設けられる加熱部材により、前記不活性ガスを加熱する工程を有するように構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記不活性ガスを加熱する工程は、前記容量係数を算出する工程と並行して実行されるように構成されている請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記不活性ガスを加熱する工程では、過去に前記供給バルブの容量係数を算出したときの前記供給バルブの温度に維持するように構成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
処理ガスを処理炉に供給する供給バルブの容量係数を算出する補正レシピを実行する制御部を備えた基板処理装置において、
前記制御部は、
前記処理炉の排気側に設けられた前記処理炉内の圧力を調整する調整バルブを全開にした状態で、前記供給バルブが設けられる処理ガス供給ラインに一定時間不活性ガスを供給する手順と、
前記調整バルブを全開にした状態で前記不活性ガスを供給しつつ前記処理ガス供給ラインに設けられた前記供給バルブが設けられる供給菅内の圧力値を検出する手順と、
検出された前記圧力値に基づいて前記供給バルブの容量係数を算出する手順と、
を有する前記補正レシピを実行するように構成されている基板処理装置。
【請求項13】
処理ガスを処理炉に供給する供給バルブの容量係数を確認する補正レシピを実行させる手順を有し、
該補正レシピを実行させる手順は、
前記処理炉の排気側に設けられた処理炉内の圧力を調整する調整バルブを全開にした状態で、前記供給バルブが設けられる処理ガス供給ラインに一定時間不活性ガスを供給する手順と、
前記調整バルブを全開にした状態で前記処理ガス供給ラインに前記不活性ガスを供給しつつ前記供給バルブが設けられる供給菅内の圧力値を検出する手順と、
検出された前記圧力値に基づいて前記供給バルブの容量係数を算出する手順と、
をコンピュータに実行させる基板処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、部品の管理方法、基板処理装置及び基板処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウエハなどの基板に薄膜を形成して、半導体装置を製造する基板処理装置や半導体装置の製造方法が開発されている。
【0003】
この基板処理装置の一種として、半導体デバイスを製造する一工程(以下、基板処理工程)を実行する半導体製造装置がある。この半導体製造装置としての基板処理装置は、例えば、DCSガスとNH3ガスでSiN膜を基板(以下、ウエハ)に形成することが行われている。例えば、特許文献1参照。
【0004】
従来、特にタンク内にガスをチャージしてから吹き出す縦型半導体製造装置で、タンク後段(下流)のバルブのCv値(いわゆるバルブの容量係数であり、流体がある前後差圧においてバルブを流れるときの容量を表す値)によって成膜結果が変動することがわかっており、厳密にCv値を測定したバルブを使用することがある。しかしバルブ開閉回数によりCv値が変動する問題やその他バルブ温度変動などの外乱によってもCv値が変動してしまい、成膜結果に影響することがある。
また初期状態のバルブCv値が同じであっても装置環境の差でCv値が変動してしまい複数装置の膜厚や均一性のマッチングが問題になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-72260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、長期運用や外的要因で特性値が変動しても、バルブの特性値の変動による製品ロットアウトの発生を防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、処理ガスを処理炉内に供給して基板を処理するプロセスレシピを実行する工程と、前記処理ガスを前記処理炉に供給する処理ガス供給ラインに設けられる供給バルブの特性値を確認する補正レシピを実行する工程とを有し、
前記補正レシピを実行する工程は、前記処理炉の排気側に設けられた処理炉内の圧力を調整する調整バルブを全開にした状態で、前記処理ガス供給ラインに一定時間不活性ガスを供給する工程と、前記調整バルブを全開にした状態で、前記処理ガス供給ラインに前記不活性ガスを供給しつつ前記供給バルブが設けられる供給菅内の圧力値を検出する工程と、検出された前記圧力値に基づいて前記供給バルブの特性値を算出する工程と、を少なくとも有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、長期運用や外的要因によるバルブの特性値の変動に起因する製品ロットアウトの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る基板処理装置の縦型処理炉の概略を示す縦断面図である。
図2図1におけるA-A線概略横断面図である。
図3】本実施の形態に係る基板処理装置の一部を示す概略図である。
図4】本実施の形態に係る基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図5】本実施の形態に係るCv値の確認のための補正レシピの概略を示す説明図である。
図6】本実施の形態に係るCv値の確認結果の一例であって、(A)はバルブヒータA、(B)はバルブヒータBのCv値の確認結果の一例を示す説明図である。
図7】本実施の形態に係るCv値の確認を行った概略説明図であって、(A)はバルブヒータAであって、温度測定位置をバルブから離れた位置に設定し、(B)はバルブヒータBであって、温度測定位置をバルブ内側に設定したものを示す縦断面図である。
図8図7の確認結果における膜厚データを折れ線グラフにした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2は、本開示が実施される処理装置の一例である基板処理装置に用いられる縦型の処理炉29を示すものである。
【0011】
先ず、図1により本開示が適用される基板処理装置の動作の概略を説明する。
【0012】
保持具としてのボート32に所定枚数の被処理体としてのウエハ31が移載されると、ボートエレベータによりボート32が上昇され、ボート32が処理炉29内部に挿入される。完全にボート32が装入された状態では、シールキャップ35により処理炉29が気密に閉塞される。気密に閉塞された処理炉29内では、選択された処理レシピに従い、ウエハ31が加熱されると共に処理ガスが処理炉29内に供給され、ガス排気管66から図示しない排気装置によって処理室2の雰囲気が排出されつつ、ウエハ31に処理がなされる。
【0013】
次に、図1図2により処理炉29について説明する。
【0014】
加熱装置(加熱手段)であるヒータ42の内側に反応管1が設けられ、反応管1の下端には、例えばステンレス等によりマニホールド44が気密部材であるOリング46を介して連設され、マニホールド44の下端開口部(炉口部)は蓋体であるシールキャップ35により気密部材であるOリング18を介して気密に閉塞され、少なくとも、反応管1、マニホールド44及びシールキャップ35により処理室2を画成している。
【0015】
シールキャップ35にはボート支持台45を介してボート32が立設され、ボート支持台45はボート32を保持する保持体となっている。
【0016】
処理室2へは複数種類、ここでは2種類の処理ガスを供給する供給経路としての2本のガス供給管(第1ガス供給管47、第2ガス供給管48)が設けられている。
【0017】
第1ガス供給管47には上流から順に、原料ユニット71、バルブ81、液体の流量制御装置(流量制御手段)である第1マスフローコントローラ(以後、MFCともいう。)49、バルブ82、タンクとしての貯留部51、及び開閉弁であるバルブ52が設けられる。バルブ82と貯留部51との間には、圧力センサとしての圧力計80と、バルブ84とが設けられている。特に、ガス供給バルブとしてのバルブ52の下流側には、キャリアガスを供給する第1キャリアガス供給管53が合流される。第1キャリアガス供給管53には上流から順に、キャリアガス源72、流量制御装置(流量制御手段)である第2MFC54、及び開閉弁であるバルブ55が設けられている。又、第1ガス供給管47の先端部には、反応管1の内壁に沿って下部から上部に亘り、第1ノズル56が設けられ、第1ノズル56の側面にはガスを供給する第1ガス供給孔57が設けられている。第1ガス供給孔57は、下部から上部に亘って等ピッチで設けられ、それぞれ同一の開口面積を有している。なお、キャリアガス源72から供給される不活性ガスであるキャリアガス(例えば、N2ガス)は、バルブ77を介して原料ユニット71とバルブ81の間の供給菅47aに、供給配管76により供給可能に構成されている。
【0018】
また、本実施の形態では、特に図示していないが、気化器が設けられてあり、この気化器は、第1MFC49と、液体原料を貯留するタンクを含む貯留部51と、液体原料を加熱するヒータとを有している。この図示しないヒータは、貯留部51に設けられており、液体原料を気化するのに用いられる。また、本実施形態ではバルブ52にも、加熱部材の一例として後述するバルブヒータ(以後、単にヒータということもある)が設けられている。
本実施形態の説明においては、第1ガス供給管47のうち、貯留部51よりも上流であって、原料ユニット71との間に設けられた配管を供給管47aとする。また、第1ガス供給管47のうち、貯留部51の下流側を供給管47bとする。
なお、図3は、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガスを供給するための供給管47aの要部を拡大した図である。DCSガスを供給するための供給管47aは、図3に示すように、DCSガスを貯めるタンクとしての貯留部51とその上流側及び下流側にバルブ52、82、84が有り、圧力計80が取り付けられている。貯留部51内のDCSガスを処理炉29内に流す時は、余計な配管があるとDCSガスがスムーズに流れないため、図3のように貯留部51上流に圧力センサ80が取り付けられている。これら圧力計80およびバルブ84の部品については後述する。
【0019】
ここで、第1ガス供給管47、第1MFC49、貯留部51、バルブ52、バルブ81、バルブ82をまとめて第1ガス供給部(第1ガス供給ライン)と呼ぶ。また、ノズル56を含めて第1ガス供給部としてもよい。尚、キャリアガス供給管53、第2MFC54、バルブ55を第1ガス供給部に含めても良い。更には、原料ユニット71、キャリアガス源72を第1ガス供給部に含めても良い。
【0020】
第2ガス供給管48には上流方向から順に、反応ガス源73、流量制御装置(流量制御手段)である第3MFC58、開閉弁であるバルブ59が設けられ、バルブ59の下流側にキャリアガスを供給する第2キャリアガス供給管61が合流されている。第2キャリアガス供給管61には上流から順に、キャリアガス源74、流量制御装置(流量制御手段)である第4MFC62、及び開閉弁であるバルブ63が設けられている。第2ガス供給管48の先端部には、第1ノズル56と平行に第2ノズル64が設けられ、第2ノズル64の側面にはガスを供給する供給孔である第2ガス供給孔65が設けられている。第2ガス供給孔65は、下部から上部に亘って等ピッチで設けられ、それぞれ同一の開口面積を有している。
【0021】
ここで、第2ガス供給管48、第3MFC58、バルブ59、ノズル64をまとめて第2ガス供給部(第2ガス供給ライン)と呼ぶ。尚、キャリアガス供給管61、第4MFC62、バルブ63を第2ガス供給部に含めても良い。更には、反応ガス源73、キャリアガス源74を第2ガス供給部に含めても良い。
【0022】
原料ユニット71から供給される液体原料は、バルブ81、第1MFC49、バルブ82を介し、更に貯留部51、及びバルブ52を介し、第1キャリアガス供給管53と合流し、更に第1ノズル56を介して処理室2内に供給される。なお、処理室2内に供給される際は、気化器(図示せず)にて気化された状態の液体原料が供給される。反応ガス源73から供給される反応ガスは、第3MFC58、バルブ59を介し、第2キャリアガス供給管61と合流し、更に第2ノズル64を介して処理室2に供給される。
【0023】
処理室2は、ガスを排気するガス排気管66を介して排気装置(排気手段)である真空ポンプ68に接続され、真空排気される様になっている。また、ガス排気管66には、バルブを介して炉内圧力計としての圧力センサと、圧力調整バルブとしてのバルブ67がそれぞれ設けられる。バルブ67は弁を開閉して処理室2の真空排気及び真空排気停止ができ、更に圧力センサにより検出される圧力値に基づき、弁開度を調節し、所定圧力に調整可能となっている開閉弁である。
【0024】
シールキャップ35にはボート回転機構69が設けられ、ボート回転機構69は処理の均一性を向上する為にボート32を回転する様になっている。
【0025】
図4に示すように、基板処理装置は、各部の動作を制御するコントローラ41を有している。
【0026】
コントローラ41の概略を図4に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ41は、CPU(Central Processing Unit)41a、RAM(Random Access Memory)41b、記憶装置41c、I/Oポート41dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM41b、記憶装置41c、I/Oポート41dは、内部バス41eを介して、CPU41aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ41には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置411や、外部記憶装置412が接続可能に構成されている。更に、上位装置75にネットワークを介して接続される受信部413が設けられる。受信部413は、上位装置75から他の装置の情報を受信することが可能である。
【0027】
記憶装置41cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置41c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピや、補正レシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピや、補正レシピは、基板処理モードで実施される基板処理工程や、特性確認工程における各手順をコントローラ41に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピや、補正レシピのみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM41bは、CPU41aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート41dは、昇降部材、ヒータ、マスフローコントローラ、バルブ等に接続されている。
【0029】
制御部であるコントローラ41は、MFCの流量調整、バルブの開閉動作、ヒータの温度調整、真空ポンプの起動及び停止、ボート回転機構の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、圧力計80の動作制御等が行われる。
【0030】
なお、コントローラ41は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ等)412を用意し、係る外部記憶装置412を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ41を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置412を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置412を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置41cや外部記憶装置412は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置41c単体のみを含む場合、外部記憶装置412単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0031】
次に、基板を処理する例について説明する。ここでは、半導体デバイスの製造工程の一例として、ソース(原料)とリアクタント(反応ガス)を交互に処理室に供給することで膜処理を行うサイクル処理を説明する。本実施形態においては、ソースとしてのDCSガスを用い、リアクタントとしてアンモニア(NH)ガスを用いて基板上でシリコン窒化膜(Si膜、以下、SiN膜ともいう)を形成する例を記す。なお、DCSは液体原料の一例である。
【0032】
本実施形態における成膜処理では、処理室2のウエハ31に対してDCSガスを供給する工程(ステップ1)と、処理室2からDCSガス(残留ガス)を除去するパージ工程(ステップ2)と、処理室2のウエハ31に対してNHガスを供給する工程(ステップ3)と、処理室2からNHガス(残留ガス)を除去するパージ工程(ステップ4)と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ31上にSiN膜を形成する。
【0033】
先ず、上述した様にウエハ31をボート32に装填し、処理室2に搬入する。このとき、図2に記載のように、貯留部51は原料ユニット71に接続される。ボート32を処理室2に搬入後、後述する4つのステップを順次実行する。
【0034】
(ステップ1)
ステップ1では、ヒータ42を稼働させた状態で、DCSガスとキャリアガスを流す。まずバルブ55、バルブ67、バルブ81、バルブ82を開ける。DCSガスは供給管47aからMFC49により流量調整され、配管を介して貯留部51に供給される。DCSガスは貯留部51のタンクに貯留されると共に、図示しないヒータによって気化される。気化されたガス状のDCSガスは、バルブ52を開にしてバルブ81、バルブ82を閉にして供給管47bに供給される。供給管47bでは、第1キャリアガス供給管53から第2MFC54により流量調整されたキャリアガスが混合される。この混合ガスを第1ノズル56の第1ガス供給孔57から処理室2内に供給しつつガス排気管66から排気する。これによりウエハ31上にSiを含む膜が形成される。
【0035】
(ステップ2)
ステップ2では、第1ガス供給管47のバルブ52及び第1キャリアガス供給管53のバルブ55を閉めて、DCSガスとキャリアガスの供給を止める。ガス排気管66のバルブ67は開いたままにし、真空ポンプ68により、処理炉29を20Pa以下に排気し、残留DCSガスを処理室2内から排除する。又、この時には不活性ガス、例えばキャリアガスとして使ったN2ガスを処理炉29に供給すると、更に残留DCSガスを排除する効果が高まる。
【0036】
(ステップ3)
ステップ3では、NHガスとキャリアガスを流す。まず第2ガス供給管48に設けたバルブ59、第2キャリアガス供給管61に設けたバルブ63を共に開けて、第2ガス供給管48から第3MFC58により流量調整されたNHガスと、第2キャリアガス供給管61から第3MFC62により流量調整されたキャリアガスとを混合し、第2ノズル64の第2ガス供給孔65から処理室2内に供給しつつガス排気管66から排気する。NHガスの供給により、ウエハ31の下地膜上のSiを含む膜とNHガスとが反応して、ウエハ31上にSiN膜が形成される。
【0037】
(ステップ4)
ステップ4では、膜を形成後、バルブ59及びバルブ63を閉じ、真空ポンプ68により処理室2内を真空排気し、成膜に寄与した後に残留するNHガスを排除する。又、この時には不活性ガス、例えばキャリアガスとして使ったN2ガスを処理室2内に供給すると、更に残留するNHガスを処理室2から排除する効果が高まる。
【0038】
又、上述したステップ1~4を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰返すことにより、ウエハ31上に所定の膜厚のSiN膜を形成することができる。
【0039】
上述したように、プロセスレシピでは、バルブ81、82を開状態、バルブ52を閉状態にして、DCSガスを貯留部51のタンクに溜める。その後、バルブ81、82を閉状態にしてから、バルブ52を開状態にし、貯留部51のタンク内のDCSガスを反応管1の処理室2に流す。この処理を数百サイクル繰り返すことで成膜している。
このとき、バルブ52の特性値としてのCv値(いわゆる容量係数)がDCSガスの噴き出し流量、速度に影響するため、結果的に膜厚に影響がある。
【0040】
次に、この本実施形態における管理対象となっている部品としてのバルブ52の特性値(Cv値)を確認する補正レシピを実行する工程について図5を用いて説明する。図5に示す補正レシピをバッチ毎に実行させることで、バルブ52の容量係数であるCv値の変動を確認することができる。ここで、圧力差は1次側(圧力計80)と2次側(圧力センサ)の差となる。但し、本実施形態では、ガス排気管66に設けられる圧力センサの値は数十Paと十分に小さいので、計算上はゼロとしている。
【0041】
なお、この図5に示す補正レシピの条件は、実際にウエハ31を処理する条件とは異なるが、Cv値は、測定条件で数値が変動するため、Cv値を測定するための条件を固定しておく必要がある。このため、図1に示すように、少なくともバルブ52の上流側(好ましくは、バルブ52とバルブ82の間)の第1ガス供給菅47aに圧力計80が設けられ、更に原料ユニット71からの原料ガスと隔離するためのバルブ84が設けられると共に、上述のようにキャリアガス源72から不活性ガス(Nガス)をバルブ81上流側の第1ガス供給菅47aに供給される構成になっている。このような構成により、予め定めた固定条件で図5に示す補正レシピを実施可能な構成にしている。
【0042】
図5に示す補正レシピが実行されると、所定の待機状態が確認され、ウエハ31を移載しないでボートエレベータによりボート32が上昇され、ボート32が処理炉29内部に挿入される(ボートロード工程)。ボート32が装入された状態で、シールキャップ35により処理炉29が気密に閉塞される。気密に閉塞された処理炉29内では、プロセスレシピと同様に、真空引きやN2パージが実施される(パージ工程)。そして、ガス排気管66に設けられた圧力調整用のバルブ67を全開にした状態で、一定流量のN2ガスが処理炉29内に供給され、圧力計80の圧力値が検出される。そして、予め組み込まれたプログラムにより演算処理が行われ、該圧力値からCv値が算出される。Cv値が正常であれば、プロセスレシピ同様に、処理炉29を大気圧でN2置換され、ボートアンロードされ、スタンバイ状態に戻る(ボートアンロード工程)。次にステップ毎に説明する。
【0043】
先ず、図5に示す補正レシピの工程では、第1ステップとして、反応管1内(処理室2)の温度を通常の待機状態の温度に設定する。そして、バルブ55、81、82、52、67を開状態にして、N2パージを行う。すなわちキャリアガスとして使った不活性ガスであるN2ガスを処理室2に供給することで、残留するDCSガスを排除する。要するに、通常の待機(スタンバイ)状態になっているか確認される。
【0044】
次に第2ステップとして、ボート32を装填する。このボート32を装填するのは、Cv値を測定するために、処理室2内を真空引きした状態で、対象バルブ(バルブ52)に決められたN2ガスを流したときの圧力計80の数値を読み取る必要があるためである。なお、その際、ボート32にウエハ31は載置されていないものである。
【0045】
次に第3ステップとして、バルブ81、82、52、84を閉状態にして、処理室2を真空ポンプ68で処理炉29内の真空引きを実施する。プロセスレシピと同様に真空引きチェックをしてもよい。なお、本ステップを実行するとき、上述のように第1ガス供給ラインだけでなく第2ガス供給ラインに設けられる各バルブが閉状態であるのは言うまでもない。
【0046】
次に第4ステップとして、第1ガス供給ラインにおけるバルブ81、82、52、84を開状態にして、N2パージを行う。すなわちキャリアガスとして使った不活性ガスであるN2ガスを処理室2に供給する。ここで、本ステップでは、処理炉29内のアウトガスやパーティクル除去を目的として、貯留部51のある第1ガス供給ラインも含めて全ラインでN2パージを実施する。
【0047】
次に第5ステップとして、引き続きバルブ81、82、52、84、67を開状態にして、第1ガス供給ラインにN2ガスを流しつつ、他のガス供給ラインのN2パージを停止する。つまり、他のガス供給ラインの影響を無くすために、第1ガス供給ラインのみにNガスを流してCv値を算出する。当該Nパージを30分以上実施することで、バルブ52内部のシート材としてのダイヤフラムの温度を安定させることが可能である。そして、ダイヤフラムの温度を安定化させることで、ダイヤフラムが温度に敏感に反応して、伸び縮みすることによるCv値の変動を回避することができる。なお、この際、コントローラ41によるバルブ67の開閉状態はフルオープンの状態にする。
【0048】
上述のNパージを30分以上実施後、圧力計80の圧力値から予め組み込まれたプログラムにより演算処理が行われ、Cv値を算出する。この算出されたCv値は、作業者に報知可能に形成されている。そして、コントローラ41は、算出されたCv値と基準となる値または範囲と比較し、適正か判断する。
【0049】
本実施形態では、第5ステップにおいて、製品の膜厚に大きな影響を及ぼさないCv値の適正範囲を予め設定しておき、このCv値を記憶装置41cに記憶しておき、適正範囲から測定したCv値が外れた場合には、Cv値が適正範囲から外れた旨の警告文を入出力装置411の液晶表示装置の画面上に表示させるよう構成することができる。また、適正範囲から測定したCv値が外れた場合には、警告ランプや警告音等の報知手段により、作業者に報知することができるようにしてもよい。長期運用であれば、例えば、バルブCv値がズレてきたということなので、対象部品(バルブ)の交換を促すよう通知させることができる。また、バルブ温度でCv値を変更することが可能なので、バルブ温度調整を促すよう通知させることができる。
【0050】
なお、この第5ステップでのN2ガスの流量と、第4ステップでのN2ガス流量は、同一に設定されている。具体的には、例えば、MFCのフルスケール10slmにおいて流量制御安定性を考慮して、その90%に相当する9slmに設定するようなものが含まれる。また、Nガス流量だけでなく、圧力、温度等を同一条件に設定するのが好ましい。これにより、第4ステップ(パージ工程)において、特別な処理条件を設定する必要がなく、他のガス供給ラインに設けられるバルブを閉にするだけで、第4ステップ終了後第5ステップを直ぐに開始できるので、ステップ処理時間の短縮を図ることができる。
【0051】
更に、この第5ステップでの圧力、温度、流量、処理時間等は、プロセスレシピの処理工程における圧力、温度、流量、処理時間等と同じにすれば、バルブ52のCv値をプロセスレシピに近い処理条件で算出することができ、算出したCv値の信頼性を向上させることができるので好ましい。これにより、第5ステップにおいて、プロセスレシピの処理条件に合わせるために、処理室2を減圧した状態でCv値を算出することができる。
【0052】
特に、本実施形態では、バルブ52に設けられた加熱部材であるバルブヒータを介して、Nガスを加熱する工程を有している。これにより、バルブヒータを用いることで、ある設定温度で一定に保持することができるため、不活性ガスの温度の影響を受けることが抑制される。よって、バルブ52内のダイヤフラムの温度管理を簡易に且つ適切に行うことができる。
【0053】
Cv値を測定するための条件が予め固定されているため、少なくとも第5ステップにおけるCv値を算出するステップの条件が固定される。例えば、ガス種としてNガス、Nガス流量、圧力、温度等が予め設定される。また、Cv値測定時、例えば、対象部品であるバルブが加熱されていた場合、同様にバルブを加熱する必要がある。
【0054】
次に第6ステップとして、処理室2の圧力を大気圧まで復帰させる。
なお、上記第3ステップ、第4ステップ及び第6ステップは、処理室2を真空引きするために必要となるステップである。
【0055】
次に第7ステップとして、プロセスレシピのボートアンロード工程と同様に処理室2下部を開口して、ボート32を処理室2の外部へ搬出する。
【0056】
次に第8ステップとして、通常の待機状態に戻す。以上で補正レシピの処理工程が終了する。
【0057】
上述したように、補正レシピを実行する工程は、処理炉29内の圧力を調整するバルブ67を全開にして、バルブ52が設けられるガス供給ラインに一定量のN2ガスを供給する工程と、このN2ガスを供給しつつガス供給ラインの圧力値を検出する工程と、検出された圧力値に基づいてCv値を算出する工程とを有するものである。
【0058】
本実施の形態によれば、適正範囲にないCv値が算出された場合には、作業者は、直ぐに処理工程における温度、流量、処理時間等の設定に異常が無いか点検することができる。各設定条件に異常が無い場合には、当該Cv値を測定した対象部品であるバルブの修理、交換等を検討することができる。これにより、長期運用や、外的要因によるCv値のズレが発生して、膜厚変動による製品ロットアウトの発生を防止することができる。
【0059】
図5に示すようなバルブ52のCv値を確認する補正レシピの処理をバッチ毎に実行させることで、バルブ52のCv値の変動を確認することができる。なお、プロセスレシピを1回実行する毎に補正レシピを実施するようにしてもよいが、生産性との兼ね合いもあるので、そのような頻度に限定されるものではなく、例えば、プロセスレシピを予め定めた所定回数(1回または複数回)実行するごとに実施するようにして、プロセスレシピの実行に伴うバルブ52のCv値の変動を知ることができる。また、補正レシピを、週に1回や、月に1回等のように所定周期毎に実行するような運用にすることも可能であり、これにより、所定周期でバルブ52のCv値の変動を知ることができる。
【0060】
本実施形態における補正レシピは、たとえば、図3に示すような処理炉29の各要素、部材等を交換する等の保守(メンテナンス)の後に実行される。特に、Cv値を測定する対象部品であるバルブ52の交換の後に補正レシピを実行することで、部品交換に伴うバルブ52のCv値の変動を知ることができる。
【0061】
このような観点からは、本実施形態は、対象部品のCv値を管理しているので、部品の管理方法でもある。供給バルブであるバルブ52を交換した場合には、このバルブ52の交換後に補正レシピを実行することで、新規に装着されたバルブ52の使用前段階でCv値を知ることができる。
【0062】
また、加熱部材であるバルブヒータの保守作業後に補正レシピを実行することも可能である。これにより、保守作業後のバルブヒータに対応させて、バルブ52のCv値の変動を知ることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、プロセスレシピの処理条件を変更することが可能であり、補正レシピは、プロセスレシピの処理条件が変更された後に実行するように構成することができる。これにより、処理条件の変更前後のプロセスレシピに対応して、バルブ52のCv値の変動を知ることができる。
【0064】
また、補正レシピは、たとえば、処理炉29に対する保守レシピに組み込まれるように実行される。この保守レシピは、処理炉29の全体あるいは各要素に対し点検や動作の安定化、初期化等の保守作業を行うレシピであり、処理炉29に対しパージを行うレシピ(パージレシピ)も含まれる。補正レシピとパージレシピの明確な違いは、補正レシピにおけるステップ5がパージレシピには無い点である。従い、補正レシピをパージレシピを組み込む際に、このステップ5を追加するだけでよい。よって、補正レシピを保守レシピ(パージレシピを含む)に組み込むことで、特に新規のレシピを補正レシピとして作成する必要がなく、既存のレシピを活用して、補正レシピを実行できる。
【0065】
パージレシピは、たとえば、処理炉29のパーティクル対策として実行される。一例として、プロセスレシピを所定回数実行した後、又はメンテナンスの後にパージレシピが実行される。バルブ52のCv値を確認するレシピである補正レシピを、このパージレシピに組み込むと、パージレシピを実行するタイミングで補正レシピも同時に実行するよう構成できる。パージレシピを実行する都度、補正レシピでバルブ52のCv値を確認できるので、たとえば、経時変化によるCv値のズレを抑制することができる。このように、Cv値のズレ(例えば、基板の膜厚異常)が発生してから補正レシピを実行するのではなく、Cv値のズレが発生する前(基板の膜厚異常が発生する前)に補正レシピが実行される。
【0066】
図6の棒グラフは、図7に示すような温度測定位置での実験によるCv値の確認結果の一例である。
図7は、バルブヒータの加熱領域を二点鎖線で示し、同一のバルブ52に対し、バルブヒータの温度センサによる温度測定位置TDを、(A)と(B)とで異なる位置としたことを示す図である。すなわち、図7(A)は、バルブヒータの温度センサによる温度測定位置TDがバルブ52から離れた位置であることを示し、図7(B)は、バルブ52の温度を直接測定したことを示す。そして、バルブ52の温度を直接測定した図7(B)においては、バルブ52の温度を、100℃と120℃の2種として、それぞれCv値を確認している。なお、図7(A)においては、バルブの温度を120℃に固定している。図6(A)の棒グラフが、図7(A)に対応し、図6(B)の2つの棒グラフが、図7(B)におけるバルブ52の2種の温度にそれぞれ対応している。
【0067】
図6(A)及び(B)から、バルブヒータの温度測定位置を変更したことで、Cv値に差があることがわかる。また、図6(B)における2つの棒グラフの比較から、バルブヒータの温度設定を変更した場合でも、Cv値に差があることがわかる。すなわち、このように僅かな条件が異なることでCv値に差があることがわかる。
【0068】
図8は、図7(A)と、図7(B)の2種の温度設定のそれぞれの場合における膜厚データをグラフ化したものである。図8の横軸は、図7(A)及び(B)で示される条件で処理したウエハ31の面内で所定の複数箇所測定した膜厚値(単位はオングストローム)の平均値である。図8の縦軸は、ボート32に所定枚数保持されるウエハ31の移載方向(縦型方向)でのモニタ位置であり、ボートスロット(Boat slot)の「180」は、ボート32のウエハ31を保持する基板保持領域の上端の位置を示し、ボートスロットの「0」は同様に下端の位置を示すものである。
【0069】
図6(A)及び(B)の中で最もCv値が低いのは、バルブヒータB、120℃の場合である。この場合、図8から、いずれのモニタ位置においても膜厚が最も薄くなることが分かる。また、図6(A)及び(B)の中で最もCv値が高いものは、バルブヒータB、100℃の場合であり、図8から、いずれのモニタ位置においても膜厚が最も厚くなっていることが分かる。このように、図6に示すような微小なCv値の差が膜厚に影響しており、僅かな条件の相違によっても、Cv値の変動が発生するものであり、この僅かなCv値の相違により、膜厚に影響を及ぼすものである。従い、本実施の形態のように、補正レシピによりCv値をチェックすることの重要性や有効性を理解することができる。
【0070】
本実施の形態のように、プロセスレシピを所定回数(1回または複数回)実行する毎に補正レシピを実行することにより、Cv値を確認することができるので、このCv値のズレによる膜厚の変動を事前に予測することができ、Cv値の変動による製品ロットアウトを防止することができる。
また、本実施の形態により、長期運用や外的要因によるCv値のズレに起因する製品ロットアウトを防止することが可能となる。
【0071】
(本開示の他の実施形態)
以上、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0072】
上述の各実施形態において、図5に示す補正レシピのNパージ用のガス源がキャリアガス源72としていたが、キャリアガス源74でもよく、また、補正レシピのN2パージ用のガス源を別に設けるようにしてもよく、また、図5に示す補正レシピでは、空のボート32を使用していたが、製品基板を処理している場合と同様にボートスロットにダミー基板をボートに装填してもよく、また、バルブ52と貯留部51に加熱部材(ヒータ)を設けるようにしていたが、第1ガス供給ライン全体に加熱部材(ヒータ)を設けるようにしてもよく、少なくともバルブ52、貯留部51、貯留部51より下流側の第1ガス供給菅47に加熱部材(ヒータ)を設けるようにしてもよい。更に、上述の各実施形態において、対象部品がバルブ52であったがこれに限らず第1ガス供給ラインに設けられるバルブであればよく、また、開閉動作により処理に寄与するガスの供給・停止を行うバルブであればよい。
【0073】
更に、適正範囲にないCv値が算出された場合、Cv値を適正範囲内にするようにバルブの温度を設定変更して、上述の第5ステップを繰り返し実行するようにしてもよい。
【0074】
例えば、上述の各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理として、ソース(液体原料)としてDCSガスを用い、リアクタント(反応ガス)としてNHガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ上にSiN膜を形成する場合を例にあげたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、ソースとしては液体原料を用いていれば良く、リアクタントとしてはソースと反応して膜処理を行うガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本開示を適用することが可能である。
【0075】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として半導体装置における成膜処理を例にあげたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。
さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。
【0076】
また、例えば、上述した各実施形態は、半導体製造プロセスについて説明したが、それに限るものではなく、化学工業分野における液体の高清浄度を必要とする液体を貯留する液体原料タンクや中間貯蔵タンク、気化器に内蔵する液体タンク等に用いても良い。ここでいう化学工業分野における液体とは、例えば純水、過酸化水素水、アンモニア水、アルコール類、有機酸類である。
【0077】
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0078】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとして、Nガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。但し、この場合、希ガス源の準備が必要である。また、この希ガス源を第1ガス供給菅47に繋ぎ、バルブ81から希ガスを導入可能なように構成する必要がある。
【符号の説明】
【0079】
29 処理炉
31 ウエハ
32 ボート
41 コントローラ
47、48 ガス供給管
49、54、62、58 MFC
51 貯留部
52、55、59、63、67、81、82、84 バルブ
80 圧力計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8