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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ガラス板の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/23 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
C03B5/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019079527
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020176032
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 一樹
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537285(JP,A)
【文献】実開昭63-123641(JP,U)
【文献】実開昭64-037441(JP,U)
【文献】特開2012-101991(JP,A)
【文献】特開2003-095663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 5/16-5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の製造装置であって、
溶融ガラスを清澄する清澄槽と、
該清澄槽から排出される前記溶融ガラスが流れる配管と、
冷却手段と、
を有し、
前記冷却手段は、外界と分離された冷媒空間に流通される冷媒により、前記配管に流れる前記溶融ガラスを冷却するように、前記配管とともに二重管を構成し、
前記二重管の内側管は、外表面および内表面を有し、前記外表面および前記内表面は、径方向の畝および溝を有しない、製造装置。
【請求項2】
前記溶融ガラスは、前記二重管の前記内側管の内部に流れ、前記冷媒は、前記二重管の外側管と前記内側管の間に流れる、請求項に記載の製造装置。
【請求項3】
前記二重管の外側管は、貴金属または耐熱セラミックスを有する、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記二重管の前記内側管は、貴金属または耐熱セラミックスを有する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造装置。
【請求項5】
前記冷媒は、空気または水である、請求項1乃至のいずれか一つに記載の製造装置。
【請求項6】
さらに、前記配管を加熱する加熱手段を有する、請求項1乃至のいずれか一つに記載の製造装置。
【請求項7】
さらに、前記清澄槽の下流に、前記溶融ガラスを撹拌する撹拌室を有し、
前記冷却手段は、
(i)前記撹拌室の下流、
(ii)前記清澄槽と前記撹拌室の間、または
(iii)前記(i)と前記(ii)の両方
に設置される、請求項1乃至のいずれか一つに記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガラス板の製造装置は、溶融ガラス中に含まれる気泡を除去する清澄部、および溶融ガラスを成形する成形部を有する。両部分は、溶融ガラスを流通させるための配管などによって、相互に接続される。
【0003】
製造されるガラス板の品質を維持するためには、清澄部から成形部に流通する溶融ガラスの温度管理が重要となる。このため、溶融ガラスが流れる配管の近傍には、ヒータなどの加熱装置が設けられる。
【0004】
加熱装置を設けることにより、配管を流れる過程で溶融ガラスの温度が低下しても、配管を加熱して、溶融ガラスを所望の温度に維持することができる。
【0005】
一方、配管を流れる溶融ガラスを冷却するための冷却手段は、通常設置されていない。これは、溶融ガラスの冷却は、自然冷却、すなわち配管からの自然放熱で実施可能なためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2012-517398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、ガラス板の製造効率向上の観点から、生産量の急激なおよび/または大幅な変更、ならびにガラス板の種類の変更に迅速に対応できる製造装置が求められるようになってきた。
【0008】
この点、例えば、ガラス板の生産量が大きく低下した際は、前述の加熱装置により、配管の温度調整ができる。すなわち、ガラス板の生産量の低下に伴い、配管に流れる溶融ガラスの量が減少し、配管が必要な温度まで上昇しなくなっても、この場合、加熱装置によって、配管の温度を高めることができる。
【0009】
これに対して、製造装置の稼働中に、ガラス板の生産量が大きく上昇した場合は、配管に流れる溶融ガラスの量が急増し、配管の温度が急激に上昇する。この場合、自然冷却では、配管の温度を十分に低下させることは難しくなり得る。また、その結果、成形部の入口において、溶融ガラスの温度を所望の温度まで低下させることが難しくなってしまう。
【0010】
また、製造するガラス板の組成が変更された際には、清澄部および成形部における溶融ガラスのプロセス温度も変化する。従って、これに伴い、溶融ガラスが流れる配管の温度を、所定の条件に迅速に変更する必要が生じ得る。
【0011】
しかしながら、配管の自然冷却では、そのような迅速な温度変更に対応できない場合が生じ得る。
【0012】
なお、特許文献1には、ガラス板の製造装置において、清澄槽の上流または下流の冷却耐火性管に、冷却フィンを設けることが記載されている。
【0013】
しかしながら、そのような冷却フィンは、配管の表面積を高める効果はあるものの、冷却効果の観点からは、未だ不十分である。特に、前述のような、製造装置の稼働中に配管の温度が急上昇するような作動条件では、冷却フィンを用いても、配管の温度を効果的に低下させることは難しいという問題がある。
【0014】
このように、生産量の急激なおよび/または大幅な変更、ならびにガラス板の組成の変更などに迅速に対応できる製造装置が、今もなお要望されている。
【0015】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、生産量の変更およびガラス板の組成の変更が生じた場合であっても、製造プロセスを比較的迅速に適正化できるガラス板の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、ガラス板の製造装置であって、
溶融ガラスを清澄する清澄槽と、
該清澄槽から排出される前記溶融ガラスが流れる配管と、
冷却手段と、
を有し、
前記冷却手段は、外界と分離された冷媒空間に流通される冷媒により、前記配管に流れる前記溶融ガラスを冷却するように構成される、製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、生産量の変更およびガラス板の組成の変更が生じた場合であっても、製造プロセスを比較的迅速に適正化できるガラス板の製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるガラス板の製造装置の構成を概略的に示した図である。
図2】冷却手段の別の構成例を模式的に示した断面図である。
図3】本発明の別の実施形態によるガラス板の製造装置の構成を概略的に示した図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態によるガラス板の製造装置の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
(本発明の一実施形態によるガラス板の製造装置)
図1を参照して、本発明の一実施形態によるガラス板の製造装置ついて説明する。
【0021】
図1には、本発明の一実施形態によるガラス板の製造装置(以下、「第1の製造装置」と称する)を模式的に示す。
【0022】
図1に示すように、第1の製造装置100は、装置の上流側から、溶解部110、清澄部130、および成形部180を有する。
【0023】
溶解部110は、ガラス原料を溶解して溶融ガラスMGを形成する区画である。清澄部130は、溶融ガラスMGに含まれるガス成分を除去する区画である。成形部180は、溶融ガラスMGを成形してガラスリボンGRを形成する区画である。
【0024】
また、図1には示されていないが、第1の製造装置100は、さらに、成形部180で形成されたガラスリボンGRを徐冷する徐冷部、およびガラスリボンGRを切断する切断部を有し得る。
【0025】
溶解部110は、ガラス原料を溶解して溶融ガラスを形成する溶解炉112を有する。
【0026】
清澄部130は、溶融ガラスMGからガス成分を除去する清澄槽132を有する。
【0027】
清澄槽132は、流通路120により、溶解炉112と接続され、これにより、溶解炉112から清澄槽132への溶融ガラスMGの流通が可能となる。
【0028】
成形部180は、溶融金属MMが収容された浴槽182を有する。成形部180に供給された溶融ガラスMGは、溶融金属MM上を搬送中に冷却され、ガラスリボンGRが形成される。
【0029】
清澄槽132と浴槽182との間には、配管140が設けられる。配管140により、清澄部130から排出された溶融ガラスMGが成形部180に供給される。
【0030】
配管140は、例えば、貴金属または耐熱セラミックスで構成される。貴金属としては、白金(白金合金を含む)、金(金合金を含む)、イリジウム(イリジウム合金を含む)、またはロジウム(ロジウム合金を含む)などが使用されてもよい。また、耐熱セラミックスとしては、耐火性レンガ、アルミナ質セラミックス、およびジルコニア質セラミックス等が挙げられる。
【0031】
なお、図1には示されていないが、流通路120および配管140の近傍には、加熱装置が設けられても良い。
【0032】
このような第1の製造装置100を用いてガラス板を製造する際には、まず、溶解部110にガラス原料が供給される。ガラス原料は、溶解炉112内で溶解され、溶融ガラスMGとなる。この溶融ガラスMGは、流通路120を介して、清澄部130に供給される。
【0033】
清澄部130に供給された溶融ガラスMGは、清澄槽132内で所望の温度に加熱される。
【0034】
清澄槽132における溶融ガラスMGの温度、すなわち清澄温度Tは特に限られないが、例えば、1100℃~1750℃の範囲である。清澄温度Tは、1500℃~1650℃の範囲であることが好ましい。
【0035】
清澄部130において溶融ガラスMGを清澄温度Tに加熱するのは、溶融ガラスMGに含まれるガス成分を効率的に除去するためである。すなわち、通常、酸素のようなガス成分は、溶融ガラスMGが高温になるほど溶解度が低下する傾向にある。従って、溶融ガラスMGの温度を高めることにより、溶融ガラスMGに含まれるガス成分を効率的に除去することができる。
【0036】
なお、溶融ガラスMGは、清澄槽132に供給される前、すなわち流通路120において、加熱装置(図示されていない)により予め加熱されてもよい。
【0037】
次に、脱ガスされた溶融ガラスMGは、配管140を通り成形部180に供給される。
【0038】
成形部180の浴槽182には、例えば溶融スズのような溶融金属MMが予め収容されている。このため、成形部180に供給された溶融ガラスMGは、溶融金属MM上に設置される。その後、溶融ガラスMGは、溶融金属MM上を浴槽182の上流から下流に向かって移動し、その過程でガラスリボンGRに成形される。
【0039】
成形部180の入口における溶融ガラスMGの温度は、ガラス組成などによっても変化するが、例えば、700℃~1500℃の範囲である。この温度は、800℃~1450℃の範囲が好ましい。
【0040】
なお、溶融ガラスMGの成形部180の入口における温度が上記範囲を下回る場合、配管140は、加熱装置(図示されていない)により加熱されてもよい。
【0041】
その後、ガラスリボンGRは、成形部180の出口から搬出され、徐冷部(図示されていない)に搬入され、徐冷される。さらに、徐冷されたガラスリボンGRは、切断部(図示されていない)の切断機で、所定のサイズに切断される。
【0042】
第1の製造装置100では、このような方法で、ガラス板を製造することができる。
【0043】
ところで、ガラス板の生産中に、生産量の急激なおよび/または大幅な変更が要求される場合がある。しかしながら、従来の製造装置では、その際に、しばしば、変更後のガラス板の生産に適した条件に、プロセス条件を調整することが難しくなる。
【0044】
例えば、ガラス板の生産量が低減すると、配管に流れる溶融ガラスの量が減少し、配管の温度が十分に上昇しなくなる場合がある。ただし、そのような状況では、配管の近傍に設置された加熱装置を用いて配管を加熱することにより、配管を所定の温度まで加熱することができる。従って、この場合、溶融ガラスの温度を比較的速やかに調整できる。
【0045】
一方、ガラス板の生産量を高めた場合は、配管に流れる溶融ガラスの量が増加し、配管の温度が上昇する。そのような状況では、配管からの自然冷却のみでは、配管さらには内部に流通する溶融ガラスの温度を十分に低下させることが難しくなり得る。特に、生産量が急激に、および/または大幅に増加された場合、自然冷却により溶融ガラスを所定の温度まで低下させることは、極めて難しくなってしまう。
【0046】
また、製造するガラス板の種類が変更された際には、清澄部および成形部における溶融ガラスのプロセス温度も変化する。従って、これに伴い、溶融ガラスが流れる配管の温度を、所定の条件に迅速に変更する必要が生じ得る。しかしながら、前述のように、配管の自然冷却では、溶融ガラスの迅速な温度調整ができなくなる場合が生じ得る。
【0047】
これに対して、第1の製造装置100は、配管140の周囲に、冷却手段150を有するという特徴を有する。
【0048】
本願において、「冷却手段」とは、外界と分離された冷媒空間に流通する冷媒により、配管に流通する溶融ガラスMGを冷却することが可能な手段全般を意味する。また、そのような冷媒は、設置環境において適正に使用できる限り、特に限られない。冷媒は、例えば、水(もしくは水蒸気)または空気であってもよい。
【0049】
例えば、図1に示した例では、冷却手段150は、配管140の周囲に巻き付けられたらせん管152で構成され、該らせん管152の内部に冷媒が流通される。
【0050】
第1の製造装置100では、このような冷却手段150により、配管140、さらにはその内部に流通する溶融ガラスMGを効果的に冷却することができる。
【0051】
また、冷却手段150は、冷媒空間に供給される冷媒の流速および/または流量を自由に調整できる。このため、溶融ガラスMGの冷却を、状況に応じて的確に行うことができる。
【0052】
例えば、ガラス板の生産量を少しだけ高めた場合、配管140に流れる溶融ガラスMGの量は増加するものの、その増加量は僅かである。従って、配管140の温度は、それほど顕著には上昇しない。そのような場合、冷却手段によって流通される冷媒の量を僅かに高めることにより、配管140の適正な冷却が行える。
【0053】
一方、ガラス板の生産量が大きく上昇した場合、配管140に流れる溶融ガラスMGの量が著しく増加するため、配管140の温度は急激に上昇する。しかしながら、そのような場合も、冷媒の流速および流量を十分に高めることにより、配管140の適正な冷却が行える。
【0054】
このように、冷却手段150を用いた場合、冷媒の流速および流量を調整することにより、状況に適した配管140および溶融ガラスMGの冷却を行うことができる。
【0055】
このような冷却手段150の効果により、第1の製造装置100では、ガラス板の生産量の急激なおよび/または大幅な変更、ならびにガラス板の種類の変更が生じても、配管140を所望の温度に比較的迅速に調整できる。また、これにより、第1の製造装置100では、製造プロセスを比較的迅速に適正化することができ、これによりガラス板の製造効率を高めることができる。
【0056】
(冷却手段150について)
図1に示した例では、冷却手段150は、配管140の周囲に巻き付けられたらせん管152を有する。
【0057】
らせん管152は、例えば、貴金属または耐熱性のセラミックス等で構成される。貴金属としては、例えば、貴金属としては、白金(白金合金を含む)、金(金合金を含む)、イリジウム(イリジウム合金を含む)、またはロジウム(ロジウム合金を含む)などが使用できる。
【0058】
なお、図1に示した例では、らせん管152は、配管140に直接巻き付けられている。しかしながら、らせん管152は、配管140の外周に設置された介在物を介して、配管140に巻き付けられてもよい。
【0059】
らせん管152を配管140に直接巻き付けた場合、両者の接触点で、局部的に大きな熱交換が生じ得る。このような大きな熱交換が生じると、配管140が変形する場合がある。しかしながら、らせん管152を介在物を介して巻き付けた場合、そのような局部的な熱交換が回避される。
【0060】
介在物は、薄いシート状の耐熱部材であってもよい。
【0061】
ここで、図1に示したらせん管152は、冷却手段150の単なる一例に過ぎない。冷却手段150は、配管140に流れる溶融ガラスMGを適正に冷却できる限り、その構成は特に限られないことに留意する必要がある。
【0062】
以下、図2を参照して、冷却手段150の別の構成例について説明する。
【0063】
図2には、冷却手段150の別の構成例の断面を模式的に示す。
【0064】
図2に示すように、この冷却手段150は、二重管構造160の一部として構成される。
【0065】
具体的には、二重管構造160は、内側管162および外側管164を有する。また、内側管162の内部には第1の流路166が構成され、内側管162と外側管164の間には、第2の流路168が構成される。
【0066】
このような二重管構造160では、第1の流路166に、溶融ガラスMGまたは冷却手段150用の冷媒を流通させ、第2の流路168に、第1の流路166とは逆の流体を流通させることができる。従って、内側管162および外側管164の一方を配管140として利用し、他方を冷却手段150として利用することが可能となる。
【0067】
例えば、内側管162を、第1の流路166に溶融ガラスMGが流れる配管140として利用し、外側管164を、第2の流路168に冷媒が流れる冷却手段150として利用した場合、冷媒により、溶融ガラスMGを効率的に冷却することができる。
【0068】
二重管構造160において、内側管162および/または外側管164は、貴金属または耐熱性のセラミックス等で構成されてもよい。貴金属としては、前述のような材料が使用できる。
【0069】
(本発明の別の実施形態によるガラス板の製造装置)
次に、図3を参照して、本発明の別の実施形態によるガラス板の製造装置ついて説明する。
【0070】
図3には、本発明の別の実施形態によるガラス板の製造装置(以下、「第2の製造装置」と称する)を示す。
【0071】
図3に示すように、第2の製造装置200は、前述の図1に示した第1の製造装置100と同様の構成を有する。
【0072】
従って、第2の製造装置200において、第1の製造装置100と同様の部分または部材には、図1に示した参照符号に100を加えた参照符号が使用されている。例えば、第2の製造装置200は、溶解部210、清澄部230、および成形部280を有する。
【0073】
ただし、第2の製造装置200は、清澄部230と成形部280の間に、撹拌部270を有する点が、第1の製造装置100とは異なっている。
【0074】
撹拌部270は、溶融ガラスMGを撹拌して、溶融ガラスMGを均質化する区画である。このため撹拌部270は、溶融ガラスMGを撹拌することが可能な撹拌機272を有する。なお、撹拌機272の構成は特に限られず、撹拌機272として、従来より使用されている撹拌機が使用されてもよい。
【0075】
清澄槽232と撹拌機272との間には、第1の配管240が設けられる。溶融ガラスMGは、第1の配管240を介して、清澄槽232から撹拌機272に供給される。
【0076】
また、撹拌機272と浴槽282の間には、第2の配管275が設けられる。第2の配管275により、撹拌部270から排出された溶融ガラスMGが成形部280に供給される。
【0077】
第1の配管240および/または第2の配管275は、例えば、貴金属または耐熱セラミックスで構成される。貴金属としては、白金(白金合金を含む)、金(金合金を含む)、イリジウム(イリジウム合金を含む)、またはロジウム(ロジウム合金を含む)などが使用されてもよい。
【0078】
なお、第2の製造装置200の動作については、前述の第1の製造装置100に関する記載が参照できる。従って、ここでは、これ以上説明しない。
【0079】
ここで、第2の製造装置200では、第1の配管240に冷却手段250が設けられている。
【0080】
なお、図3に示した例では、冷却手段250はらせん管252を有する。しかしながら、冷却手段250の構成は、特に限られない。冷却手段250は、例えば、図2に示したような二重管で構成されてもよい。
【0081】
このような冷却手段250を有する第2の製造装置200においても、前述の第1の製造装置100と同様の効果が得られることは、当業者には明らかであろう。
【0082】
すなわち、第2の製造装置200においても、冷却手段250により、第1の配管240に流れる溶融ガラスMGを迅速に冷却することができる。このため、第2の製造装置200では、ガラス板の生産量の急激なおよび/または大幅な変更、ならびにガラス板の種類の変更が生じても、配管240を所望の温度に比較的迅速に調整できる。また、これにより、第2の製造装置200では、製造プロセスを比較的迅速に適正化することができ、これによりガラス板の製造効率を高めることができる。
【0083】
(本発明のさらに別の実施形態によるガラス板の製造装置)
次に、図4を参照して、本発明のさらに別の実施形態によるガラス板の製造装置ついて説明する。
【0084】
図4には、本発明のさらに別の実施形態によるガラス板の製造装置(以下、「第3の製造装置」と称する)を示す。
【0085】
図4に示すように、第3の製造装置300は、前述の図3に示した第2の製造装置200と同様の構成を有する。
【0086】
従って、第3の製造装置300において、第2の製造装置200と同様の部分または部材には、図3に示した参照符号に100を加えた参照符号が使用されている。例えば、第3の製造装置300は、溶解部310、清澄部330、撹拌部370、および成形部380を有する。
【0087】
ただし、第3の製造装置300では、冷却手段350の設置位置が、第2の製造装置200とは異なっている。すなわち、図4に示すように、冷却手段350は、撹拌機372と浴槽382を接続する第2の配管375に設けられている。
【0088】
一般に、撹拌部370では、撹拌機372の内部に含まれる溶融ガラスMGが高温ほど、すなわちガラス粘性が低いほど、均質化処理を実施し易くなる。このため、撹拌機372内の溶融ガラスMGの温度は、なるべく高い方が好ましい。
【0089】
この点、第3の製造装置300では、第2の製造装置200とは異なり、冷却手段350は、撹拌部370の下流側に配置される。このため、第3の製造装置300では、撹拌部370に供給される溶融ガラスMGに温度の低下が生じ難く、より効率的な均質化処理を実施することが可能となる。
【0090】
図4に示した例では、冷却手段350はらせん管352を有する。しかしながら、冷却手段350の構成は、特に限られない。冷却手段350は、例えば、図2に示したような二重管で構成されてもよい。
【0091】
このような冷却手段350を有する第3の製造装置300においても、前述の第1の製造装置100および第2の製造装置200と同様の効果が得られることは、当業者には明らかであろう。
【0092】
すなわち、第3の製造装置300においても、冷却手段350により、第2の配管375に流れる溶融ガラスMGを迅速に冷却することができる。このため、第3の製造装置300では、ガラス板の生産量の急激なおよび/または大幅な変更、ならびにガラス板の種類の変更が生じても、第2の配管375を所望の温度に比較的迅速に調整できる。また、これにより、第3の製造装置300では、製造プロセスを比較的迅速に適正化することができ、これによりガラス板の製造効率を高めることができる。
【0093】
以上、第1の製造装置100~第3の製造装置300を例に、本発明の一実施形態について説明した。
【0094】
しかしながら、これらの構成は、単なる一例であって、本発明によるガラス板の製造装置は、これらとは異なる構成を有しても良い。
【0095】
例えば、図3に示した第2の製造装置200では、冷却手段250は、第1の配管240の周囲に設置される。しかしながら、これとは異なり、冷却手段250は、第1の配管240と第2の配管275の両方に設置されてもよい。
【0096】
また、第1の製造装置100~第3の製造装置300では、溶解炉と清澄槽は、相互に分離され、流通管で接続された別々の部材として示されている。しかしながら、これとは異なり、溶解炉と清澄槽は、相互に直接接続された構成、または一体化された構成を有してもよい。この場合、流通管は不要となる。
【0097】
この他にも、本発明から逸脱しない範囲で、各種変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 第1の製造装置
110 溶解部
112 溶解炉
120 流通路
130 清澄部
132 清澄槽
140 配管
150 冷却手段
152 らせん管
160 二重管構造
162 内側管
164 外側管
166 第1の流路
168 第2の流路
180 成形部
182 浴槽
200 第2の製造装置
210 溶解部
212 溶解炉
220 流通路
230 清澄部
232 清澄槽
240 第1の配管
250 冷却手段
252 らせん管
270 撹拌部
272 撹拌機
275 第2の配管
280 成形部
282 浴槽
300 第3の製造装置
310 溶解部
312 溶解炉
320 流通路
330 清澄部
332 清澄槽
340 第1の配管
350 冷却手段
352 らせん管
370 撹拌部
372 撹拌機
375 第2の配管
380 成形部
382 浴槽
GR ガラスリボン
MG 溶融ガラス
MM 溶融金属
図1
図2
図3
図4