(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液晶組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 19/54 20060101AFI20230404BHJP
C09K 19/38 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/24 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20230404BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20230404BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230404BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C09K19/54 Z
C09K19/38
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/24
C09K19/30
C09K19/32
C09K19/34
G02F1/13 500
G02F1/1337 520
(21)【出願番号】P 2019560952
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2018044884
(87)【国際公開番号】W WO2019124093
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2017245026
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018151584
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】栗沢 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小坂 翔太
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188005(WO,A1)
【文献】特開2017-141424(JP,A)
【文献】特開2017-036382(JP,A)
【文献】特開2016-108310(JP,A)
【文献】特開2016-011346(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208953(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/183248(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/145611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/
G02F 1/13
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(N-1-10)及び一般式(N-1-11)
【化1】
(式中、
R
N1101、R
N1102、R
N1111及びR
N1112は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上と、
下記一般式(P)
【化2】
(上記一般式(P)中、
R
p1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Sp
p2-P
p2を表し、
P
p1及びP
p2はそれぞれ独立して、一般式(P
p1-1)~式(P
p1-9)
【化3】
(式中、
R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、
W
p11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、
t
p11は、0、1又は2を表すが、
分子内にR
p11、R
p12、W
p11及び/又はt
p11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Sp
p1及びSp
p2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
Z
p1及びZ
p2はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-、-CO-、-C
2H
4-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH
2-、-CH
2OCOO-、-OCH
2CH
2O-、-CO-NR
ZP1-、-NR
ZP1-CO-、-SCH
2-、-CH
2S-、-CH=CR
ZP1-COO-、-CH=CR
ZP1-OCO-、-COO-CR
ZP1=CH-、-OCO-CR
ZP1=CH-、-COO-CR
ZP1=CH-COO-、-COO-CR
ZP1=CH-OCO-、-OCO-CR
ZP1=CH-COO-、-OCO-CR
ZP1=CH-OCO-、-(CH
2)
z-COO-、-(CH
2)
2-OCO-、-OCO-(CH
2)
2-、-(C=O)-O-(CH
2)
2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF
2-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CF
2CH
2-、-CH
2CF
2-、-CF
2CF
2-又は-C≡C-(式中、R
ZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にR
ZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
A
p2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、
A
p2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Sp
p2-P
p2で置換されていても良く、
A
p1は(A
p1-11)~(A
p1-19)
【化4】
(式中、
★でSp
p1又はZ
p1と結合し、
★★でZ
p1と結合し、
構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Sp
p2-P
p2によって置換されていても良い。)
で表される基を表し、
A
p3は(A
p3-11)~(A
p3-19)
【化5】
(式中、
★でZ
p2と結合し、
★★でR
p1又はZ
p2と結合し、
構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Sp
p2-P
p2によって置換されていても良い。)
で表される基を表し、
m
p2及びm
p3はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、
m
p1及びm
p4はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、
分子内にP
p1、Sp
p1、A
p1、Z
p1、Z
p2、A
p3及び/又はR
p1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上と、
重合性基と、吸着基とを有する自発配向性化合物の1種又は2種以上とを含有する
誘電率異方性(Δε)が負の液晶組成物であって、
前記自発配向性化合物が、前記吸着基として下記の吸着基群から選ばれる吸着基を有する下記一般式(al-1-1)で表される化合物である、及び/又は、下記の自発配向性化合物群から選ばれる化合物である液晶組成物。
〇一般式(al-1-1)で表される化合物
【化6】
(上記一般式(al-1-1)中、
R
al3は炭素原子数1~12の直鎖状のアルキル基を表し、
当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の-CH
2-は、-O-又は-CH=CH-で置換されてもよく、
L
al5、L
al6、L
al7及びL
al8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~12個のアルキル基、ハロゲン原子又はP
al-Sp
al-を表し、
当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の-CH
2-は、-O-又は-CH=CH-で置換されてもよく、
P
alは、下記一般式(P-I)
、(P-III)~(P-IX)
【化7】
(式中、
R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、
W
p11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、
t
p11は、0、1又は2を表す。)
で表される群より選ばれる基を表し、
Sp
alは、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20個のアルキレン基を表し、
当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH
2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
環A
al3は、1,4-シクロへキシレン又は1,4-フェニレンを表し、
R
ala又はR
albはそれぞれ独立して、水素原子又はP
al-Sp
al-を表し、
R
ala又はR
albの少なくとも一つがP
al-Sp
al-を表し、
Z
al3は、単結合、-CH
2-CH
2-、-CH
2-O-又はO-CH
2-を表し、
R
al4は、下記吸着基群から選ばれる吸着基を表し、
p
al3及びp
al4は、それぞれ独立して、0又は1を表す。)
〇吸着基群
【化8】
(上記式中、
R
tcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又はP
al-Sp
al-を表し、
分子内の水素原子はP
al-Sp
al-に置換されてもよく、
*は結合手を表す。)
【化9】
【化10】
(上記式中、
R
tcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又はP
al-Sp
al-を表し、
分子内の水素原子はP
al-Sp
al-に置換されてもよく、
*は結合手を表す。)
【化11】
【化12】
(上記式中、
R
tcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又はP
al-Sp
al-を表し、
分子内の水素原子はP
al-Sp
al-に置換されてもよく、
*は結合手を表す。)
【化13】
(上記式中、
R
tcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又はP
al-Sp
al-を表し、
分子内の水素原子はP
al-Sp
al-に置換されてもよく、
*は結合手を表す。)
【化14】
(上記式中、
R
t11a、R
t16a及びR
t151aはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、
R
t151b及びR
t151cはそれぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数1~3のシアノ化アルキル基を表し、
X
a及びX
bは、-O-、-S-または-CH
2-を表し、
L
t151a及びL
t151aはそれぞれ独立して、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ビニリデン基、ビニレン基、イソプロペニレン基またはエチリデン基を表し、
n
t11c、n
t151c、n
t16c、n
t151d、n
t151e、n
t151f及びn
t151gはそれぞれ独立して、0又は1を表し、
n
t11a、n
t11b、n
t16a、n
t16b、n
t151a及びn
t151bはそれぞれ独立して、1~11の整数を表し、
*は結合手を表す。)
〇自発配向性化合物群
【化15】
【請求項2】
前記一般式(P)で表される化合物として、下記一般式(P-1-2)及び(P-1-8)
【化16】
(式中、
P
p11、P
p12、Sp
p11及びSp
p12は、それぞれ独立して、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1及びSp
p2と同じ意味を表す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含有する請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
前記一般式(N-1-10)で表される化合物の含有量が5質量%以上である及び/又は一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量が5質量%以上である請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
前記一般式(P)で表される化合物の含有量が0.01質量%以上である請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
下記一般式(L-1)、(L-2)、(L-3)、(L-4)、(L-5)、(N-1-3)及び(N-1-18)
【化17】
(式中、
R
L11、R
L12、R
L21、R
L22、R
L31、R
L32、R
L41、R
L42、R
L51及びR
L52は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
R
N131、R
N132、R
N1181及びR
N1182は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)
で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
前記自発配向性化合物の含有量が0.02質量%以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いたVA型、IPS型、FFS型、PSA型又はPSVA型の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は2枚の基板間に挟持された液晶組成物を電圧印加により、その配向を制御することで光学的な特性を変化させ表示を行っている。液晶組成物は電圧を印加することにより、初期の配向状態から変化する。この初期の配向状態はラビングしたポリイミドを用いた配向膜により制御されていたが、ラビングしたポリイミドは、配向状態の分割が難しいことから、重合性化合物を用い、プレチルトを制御する方法が開発され、実用化された。また、配向膜自体を使用せず、自発配向性化合物により初期の配向状態を制御する方法も検討されるようになってきた。しかし、これら方法では、液晶組成物の配向を制御するため重合性化合物の重合物を用いている。
【0003】
これら液晶表示素子は、液晶組成物に重合性化合物を含有した重合性液晶組成物を基板に滴下し、もう一枚の基板を狭持した状態で、紫外線を照射し、重合性化合物を重合させる。この基板に重合性液晶組成物を滴下すると、表示素子とした際にその滴下した場所に表示不良(滴下痕)が発生することがある。このため、この滴下痕が生じない重合性液晶組成物の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、誘電率異方性(Δε)が負であり、通常液晶組成物に求められる広い温度範囲での表示、高速応答性及び低電圧駆動性を満たしつつ、液晶表示素子とした際に
表示不良が無いか極めて少ない重合性液晶組成物を提供することであり、該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)
【0007】
【0008】
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d) 1,4-シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、
TN31は-CH2-又は酸素原子を表し、
nN11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11~AN32、ZN11~ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上及び重合性化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性(Δε)が負の液晶組成物を提供し、併せて該重合性液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【0009】
本願の重合性液晶は特にアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子として有用である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶表示素子製造時の滴下痕が生じないか又は発生を抑えられる重合性液晶組成物及び滴下痕に起因する表示不良がない又は抑えられたVA型、IPS型、FFS型、PSA型又はPSVA型の液晶表示素子の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】液晶表示素子の一実施形態を模式的に示す図である。
【
図2】
図1におけるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の液晶組成物は、負の誘電率異方性を有し、ネマチック相-等方性液体の転移温度が60℃以上であり、誘電率異方性の絶対値が1.5以上であり、下記一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有する。
【0013】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当する。
【0014】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0015】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0016】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0017】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0018】
【0019】
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0020】
【0021】
トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0022】
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して-CH2O-、-CF2O-、-CH2CH2-、-CF2CF2-又は単結合を表すことが好ましく、-CH2O-、-CH2CH2-又は単結合が更に好ましく、-CH2O-又は単結合が特に好ましい。
【0023】
XN21はフッ素原子が好ましい。
【0024】
TN31は酸素原子が好ましい。
【0025】
nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0026】
本願において%は特別な記載がない場合には、質量%を意味する。
【0027】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0028】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0029】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0030】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0031】
一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)~(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0032】
【0033】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf12は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe11は単結合又はエチレンを表すが分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は一般式(N-1-1)~(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0034】
一般式(N-1-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0035】
【0036】
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0037】
一般式(N-1-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0038】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0039】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0040】
さらに、一般式(N-1-1)で表される化合物は、式(N-1-1.1)から式(N-1-1.25)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)~(N-1-1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)及び式(N-1-1.3)で表される化合物が好ましい。
【0041】
【0042】
式(N-1-1.1)~(N-1-1.25)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0043】
一般式(N-1-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0044】
【0045】
(式中、RN121及びRN122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。RN122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0046】
一般式(N-1-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0047】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0048】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、37%であり、40%であり、42%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、48%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%である。
【0049】
さらに、一般式(N-1-2)で表される化合物は、式(N-1-2.1)から式(N-1-2.25)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)、式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)、式(N-1-2.13)及び式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)で表される化合物が好ましく、TNIの改良を重視する場合には式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)及び式(N-1-2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0050】
【0051】
式(N-1-2.1)から式(N-1-2.25)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0052】
一般式(N-1-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0053】
【0054】
(式中、RN131及びRN132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数3~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、1-プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0055】
一般式(N-1-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0056】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0057】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0058】
さらに、一般式(N-1-3)で表される化合物は、式(N-1-3.1)から式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)~(N-1-3.7)及び式(N-1-3.21)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)、式(N-1-3.2)、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)で表される化合物が好ましい。
【0059】
【0060】
式(N-1-3.1)~式(N-1-3.4)、式(N-1-3.6)及び式(N-1-3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N-1-3.1)及び式(N-1-3.2)の組み合わせ、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0061】
一般式(N-1-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0062】
【0063】
(式中、RN141及びRN142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN141及びRN142はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0064】
一般式(N-1-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0065】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0066】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
【0067】
さらに、一般式(N-1-4)で表される化合物は、式(N-1-4.1)から式(N-1-4.24)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)~(N-1-4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)、式(N-1-4.2)及び式(N-1-4.4)で表される化合物が好ましい。
【0068】
【0069】
式(N-1-4.1)~(N-1-4.24)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
【0070】
一般式(N-1-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0071】
【0072】
(式中、RN151及びRN152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN151及びRN152はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0073】
一般式(N-1-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0074】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0075】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0076】
さらに、一般式(N-1-5)で表される化合物は、式(N-1-5.1)から式(N-1-5.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物が好ましい。
【0077】
【0078】
式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0079】
一般式(N-1-10)で表される化合物は下記の化合物である。
【0080】
【0081】
(式中、RN1101及びRN1102はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1101は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。RN1102は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0082】
一般式(N-1-10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0083】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0084】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0085】
さらに、一般式(N-1-10)で表される化合物は、式(N-1-10.1)から式(N-1-10.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)~(N-1-10.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物が好ましい。
【0086】
【0087】
式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0088】
一般式(N-1-11)で表される化合物は下記の化合物である。
【0089】
【0090】
(式中、RN1111及びRN1112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。RN1112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0091】
一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0092】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0093】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0094】
さらに、一般式(N-1-11)で表される化合物は、式(N-1-11.1)から式(N-1-11.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-11.1)~(N-1-11.14)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-11.2及び式(N-1-11.4)で表される化合物が好ましい。
【0095】
【0096】
式(N-1-11.2)及び式(N-1-11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0097】
一般式(N-1-12)で表される化合物は下記の化合物である。
【0098】
【0099】
(式中、RN1121及びRN1122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0100】
一般式(N-1-12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0101】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0102】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-12)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0103】
一般式(N-1-13)で表される化合物は下記の化合物である。
【0104】
【0105】
(式中、RN1131及びRN1132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0106】
一般式(N-1-13)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0107】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0108】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-13)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0109】
一般式(N-1-14)で表される化合物は下記の化合物である。
【0110】
【0111】
(式中、RN1141及びRN1142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1141は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1142は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0112】
一般式(N-1-14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0113】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0114】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-14)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0115】
一般式(N-1-15)で表される化合物は下記の化合物である。
【0116】
【0117】
(式中、RN1151及びRN1152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1151は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1152は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0118】
一般式(N-1-15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0119】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0120】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-15)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0121】
一般式(N-1-16)で表される化合物は下記の化合物である。
【0122】
【0123】
(式中、RN1161及びRN1162はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1161は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1162は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0124】
一般式(N-1-16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0125】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0126】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-16)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0127】
一般式(N-1-17)で表される化合物は下記の化合物である。
【0128】
【0129】
(式中、RN1171及びRN1172はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1171は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1172は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0130】
一般式(N-1-17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0131】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0132】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-17)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0133】
一般式(N-1-18)で表される化合物は下記の化合物である。
【0134】
【0135】
(式中、RN1181及びRN1182はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1181は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1182は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0136】
一般式(N-1-18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0137】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0138】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-18)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0139】
さらに、一般式(N-1-18)で表される化合物は、式(N-1-18.1)から式(N-1-18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-18.1)~(N-1-11.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-18.2及び式(N-1-18.3)で表される化合物が好ましい。
【0140】
【0141】
一般式(N-1-20)で表される化合物は下記の化合物である。
【0142】
【0143】
(式中、RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0144】
一般式(N-1-20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0145】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0146】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-20)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0147】
一般式(N-1-21)で表される化合物は下記の化合物である。
【0148】
【0149】
(式中、RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0150】
一般式(N-1-21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0151】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0152】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0153】
一般式(N-1-22)で表される化合物は下記の化合物である。
【0154】
【0155】
(式中、RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0156】
一般式(N-1-22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0157】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0158】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-1-21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、5%である。
【0159】
さらに、一般式(N-1-22)で表される化合物は、式(N-1-22.1)から式(N-1-22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.4)で表される化合物が好ましい。
【0160】
【0161】
一般式(N-3)で表される化合物は一般式(N-3-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0162】
【0163】
(式中、RN321及びRN322はそれぞれ独立して、一般式(N-3)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN321及びRN322は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基又はペンチル基が好ましい。
【0164】
一般式(N-3-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0165】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0166】
本発明の組成物の総量に対しての式(N-3-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%である。
【0167】
さらに、一般式(N-3-2)で表される化合物は、式(N-3-2.1)から式(N-3-2.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0168】
【0169】
液晶組成物中に含有する一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物におけるZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基であり、ZN21及びZN22の少なくとも一方が単結合以外の連結基であり、ZN31及びZN32の少なくとも一方が単結合以外の連結基である化合物を含有することが好ましいが、ZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基である一般式(N-1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0170】
ZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基である一般式(N-1)で表される化合物としては、一般式(N-1d)、(N-1e)及び(N-1f)で表される化合物が好ましく、一般式(N-1d)及び(N-1e)で表される化合物が好ましく、一般式(N-1d)で表される化合物が好ましい。
【0171】
また、一般式(N-1-10)、(N-1-11)、(N-1-12)、(N-1-13)、(N-1-14)、(N-1-15)、(N-1-16)、(N-1-17)、(N-1-18)、(N-1-20)、(N-1-21)及び(N-3-2)で表される化合物が好ましく、一般式(N-1-10)、(N-1-11)、(N-1-12)、(N-1-13)、(N-1-18)、(N-1-20)及び(N-1-21)で表される化合物が好ましく、一般式(N-1-10)、(N-1-11)、(N-1-18)、(N-1-20)及び(N-1-21)で表される化合物が好ましく、一般式(N-1-10)、(N-1-11)及び(N-1-18)で表される化合物が好ましい。
【0172】
誘電率異方性が負の化合物の合計の含有量における、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の合計の含有量は80%以上であることが好ましく、85%以上であることが好ましく、87%以上であることが好ましく、90%以上であることが好ましく、93%以上であることが好ましく、96%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましく、実質的に100%以上であることが好ましい。実質的にとは、製造時の不純物等の意図せずに含有する化合物を除くという意味である。
【0173】
液晶組成物中に含有する一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物におけるZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基であり、ZN21及びZN22の少なくとも一方が単結合以外の連結基であり、ZN31及びZN32の少なくとも一方が単結合以外の連結基である化合物の含有量の合計が、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対して50~95%が好ましく、60~90%が好ましく、65~90%が好ましく、70~90%が好ましい。
【0174】
液晶組成物中に含有する一般式(N-1)で表される化合物におけるZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基である化合物の含有量の合計が、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対して50~95%が好ましく、60~90%が好ましく、65~90%が好ましく、70~90%が好ましい。
【0175】
液晶組成物中に含有する一般式(N-1-10)及び(N-1-11)で表される化合物の含有量の合計が、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対して50~95%が好ましく、60~90%が好ましく、65~90%が好ましく、70~90%が好ましい
液晶組成物中に含有する一般式(N-1)で表される化合物におけるZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基である化合物の含有量の合計が、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対して50~95%が好ましく、60~90%が好ましく、65~90%が好ましく、70~90%が好ましい。
【0176】
一般式(N-1d)で表される化合物の含有量の合計が、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対して50~95%である液晶組成物。
【0177】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対する一般式(N-1)で表される化合物におけるZN11及びZN12の少なくとも一方が単結合以外の連結基である化合物の含有量及び一般式(N-1d)で表される化合物の含有量の好ましい下限値は、50%であり、60%であり、65%であり、70%である。同様に好ましい上限値は88%であり、86%であり、82%であり、78%であり、75%であり、72%である。
【0178】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物の含有量の合計に対する一般式(N-1-10)、(N-1-11)及び(N-1-18)で表される化合物の含有量の好ましい下限値は、50%であり、60%であり、65%であり、70%である。同様に好ましい上限値は88%であり、86%であり、82%であり、78%であり、75%であり、72%である。
【0179】
上記含有量を調整することにより、本願発明の液晶組成物を用いて液晶表示素子を作成した際に、
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が-2~2)に該当する。このため、分子内に有する、ハロゲン等の極性基の個数を2個以下とした方が好ましく、1個以下とした方が好ましく、有さない方が好ましい。
【0180】
【0181】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
nL1は0、1、2又は3を表し、
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZL1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
nL1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0182】
本発明の組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0183】
本発明の組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0184】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0185】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0186】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0187】
RL1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0188】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0189】
【0190】
nL1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0191】
AL1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0192】
【0193】
トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0194】
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0195】
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0196】
一般式(L)で表される化合物は一般式(L-1)~(L-7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0197】
一般式(L-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0198】
【0199】
(式中、RL11及びRL12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0200】
一般式(L-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0201】
好ましい含有量の下限値は、本発明の組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。
【0202】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0203】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0204】
【0205】
(式中RL12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(L-1-1)で表される化合物は、式(L-1-1.1)から式(L-1-1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-1.2)又は式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-1-1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0206】
【0207】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0208】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0209】
【0210】
(式中RL12は一般式(L-1)における意味と同じ意味を表す。)
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
【0211】
さらに、一般式(L-1-2)で表される化合物は、式(L-1-2.1)から式(L-1-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-2.2)から式(L-1-2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-2.2)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1-2.3)又は式(L-1-2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1-2.3)及び式(L-1-2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30%以上にすることは好ましくない。
【0212】
【0213】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、38%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
【0214】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-1.3)で表される化合物及び式(L-1-2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
【0215】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0216】
【0217】
(式中RL13及びRL14はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
RL13及びRL14は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0218】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、30%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、27%であり、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
さらに、一般式(L-1-3)で表される化合物は、式(L-1-3.1)から式(L-1-3.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)又は式(L-1-3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1-3.1)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.13)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20%以上にすることは好ましくない。
【0219】
【0220】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
【0221】
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-4)及び/又は(L-1-5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0222】
【0223】
(式中RL15及びRL16はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基を表す。)
RL15及びRL16は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0224】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
【0225】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
【0226】
さらに、一般式(L-1-4)及び(L-1-5)で表される化合物は、式(L-1-4.1)から式(L-1-5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1-4.2)又は式(L-1-5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0227】
【0228】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
【0229】
式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)、式(L-1-3.11)及び式(L-1-3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)、式(L-1-3.4)及び式(L-1-4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本発明の組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、上限値は、本発明の組成物の総量に対して、80%であり、70%であり、60%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%である。組成物の信頼性を重視する場合には、式(L-1-3.1)、式(L-1-3.3)及び式(L-1-3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(L-1-1.3)、式(L-1-2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
一般式(L-1)で表される化合物は一般式(L-1-6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0230】
【0231】
(式中RL17及びRL18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本発明の組成物の総量に対しての式(L-1-6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
【0232】
さらに、一般式(L-1-6)で表される化合物は、式(L-1-6.1)から式(L-1-6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0233】
【0234】
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0235】
【0236】
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL21は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0237】
一般式(L-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0238】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0239】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0240】
さらに、一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-2.1)、式(L-2.3)、式(L-2.4)及び式(L-2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0241】
【0242】
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0243】
【0244】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0245】
一般式(L-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0246】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
【0247】
高い複屈折率を得る場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0248】
さらに、一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-3.2)から式(L-3.5)で表される化合物であることが好ましい。
【0249】
【0250】
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0251】
【0252】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0253】
本発明の組成物において、一般式(L-4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0254】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。
【0255】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0256】
【0257】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.1)で表される化合物を含有していても、式(L-4.2)で表される化合物を含有していても、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいても良い。本発明の組成物の総量に対しての式(L-4.1)又は式(L-4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
【0258】
式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0259】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L-4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0260】
【0261】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.4)で表される化合物を含有していても、式(L-4.5)で表される化合物を含有していても、式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0262】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-4.4)又は式(L-4.5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%である。好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
【0263】
式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明の組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
【0264】
一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-4.9)で表される化合物が好ましい。
【0265】
【0266】
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0267】
【0268】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0269】
一般式(L-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0270】
本発明の組成物において、一般式(L-5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0271】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0272】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0273】
【0274】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0275】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0276】
【0277】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L-5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0278】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0279】
【0280】
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0281】
【0282】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
RL61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
【0283】
一般式(L-6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0284】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0285】
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0286】
【0287】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種~3種類含有することが好ましく、1種~4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L-6.1)又は(L-6.2)で表される化合物から1種類、式(L-6.4)又は(L-6.5)で表される化合物から1種類、式(L-6.6)又は式(L-6.7)で表される化合物から1種類、式(L-6.8)又は(L-6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L-6.1)、式(L-6.3)式(L-6.4)、式(L-6.6)及び式(L-6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0288】
さらに、一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L-6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0289】
【0290】
本発明の組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
【0291】
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0292】
【0293】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO-が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
【0294】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0295】
本発明の組成物において、一般式(L-7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0296】
本発明の組成物の総量に対しての式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%である。本発明の組成物の総量に対しての式(L-7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、10%であり、5%である。
【0297】
本発明の組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L-7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0298】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0299】
【0300】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0301】
【0302】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物である。式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【0303】
【0304】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.31)又は/及び式(L-7.32)で表される化合物であることが好ましい。
【0305】
【0306】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.41)又は/及び式(L-7.42)で表される化合物であることが好ましい。
【0307】
【0308】
さらに、一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【0309】
【0310】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(i)、一般式(ii)、一般式(L)及び(N)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
【0311】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(i)、一般式(ii)、一般式(L-1)から(L-7)及び(M-1)から(M-8)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
【0312】
本願発明の組成物は、分子内に過酸(-CO-OO-)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0313】
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0314】
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0315】
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
【0316】
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0317】
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0318】
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
【0319】
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2~5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4~5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0320】
本発明に使用される液晶組成物の平均弾性定数(KAVG)は10から25が好ましいが、その下限値としては、10が好ましく、10.5が好ましく、11が好ましく、11.5が好ましく、12が好ましく、12.3が好ましく、12.5が好ましく、12.8が好ましく、13が好ましく、13.3が好ましく、13.5が好ましく、13.8が好ましく、14が好ましく、14.3が好ましく、14.5が好ましく、14.8が好ましく、15が好ましく、15.3が好ましく、15.5が好ましく、15.8が好ましく、16が好ましく、16.3が好ましく、16.5が好ましく、16.8が好ましく、17が好ましく、17.3が好ましく、17.5が好ましく、17.8が好ましく、18が好ましく、その上限値としては、25が好ましく、24.5が好ましく、24が好ましく、23.5が好ましく、23が好ましく、22.8が好ましく、22.5が好ましく、22.3が好ましく、22が好ましく、21.8が好ましく、21.5が好ましく、21.3が好ましく、21が好ましく、20.8が好ましく、20.5が好ましく、20.3が好ましく、20が好ましく、19.8が好ましく、19.5が好ましく、19.3が好ましく、19が好ましく、18.8が好ましく、18.5が好ましく、18.3が好ましく、18が好ましく、17.8が好ましく、17.5が好ましく、17.3が好ましく、17が好ましい。消費電力削減を重視する場合にはバックライトの光量を抑えることが有効であり、液晶表示素子は光の透過率を向上させることが好ましく、そのためにはKAVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合にはKAVGの値を高めに設定することが好ましい。
【0321】
本発明に係る重合性化合物としては、以下の一般式(P)
【0322】
【0323】
(上記一般式(P)中、Rp1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1~15のアルケニルオキシ基又は-Spp2-Pp2を表し、
Pp1及びPp2はそれぞれ独立して、一般式(Pp1-1)~式(Pp1-9)
【0324】
【0325】
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表すが、分子内にRp11、Rp12、Wp11及び/又はtp11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
Zp1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-OCH2CH2O-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH2)z-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-(C=O)-O-(CH2)2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF2-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-又は-C≡C-(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
Ap2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Ap2は無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2で置換されていても良く、
Ap1は(Ap1-11)~(Ap1-19)
【0326】
【0327】
(式中、★でSpp1又はZp1と結合し、★★でZp1と結合し、構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)で表される基を表し、
Ap3は(Ap3-11)~(Ap3-19)
【0328】
【0329】
(式中、★でZp2と結合し、★★でRp1又はZp2と結合し、構造中の1又は2以上の水素原子は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は-Spp2-Pp2によって置換されていても良い。)で表される基を表し、
mp2及びmp3はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp1及びmp4はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、分子内にPp1、Spp1、Ap1、Zp1、Zp2、Ap3及び/又はRp1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物が好ましい。また、当該重合性モノマーは1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0330】
本発明に係る一般式(P)において、Rp1は-Spp2-Pp2であることが好ましい。
【0331】
Pp1及びPp2はそれぞれ独立して式(Pp1-1)~式(Pp1-3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1-1)であることが好ましい。
【0332】
Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0333】
mp1+mp4は2以上であることが好ましく、2又は3が好ましい。
【0334】
Zp1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-CF2-、-CF2O-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-、-OCF2-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-又は-C≡C-が好ましく、分子内に存在する1つのみが-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-又は-C≡C-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-又は-OCO-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
【0335】
また、分子内に存在するZp1及びZp2の1つのみが、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-O-CO-(CH2)2-、-COO-(CH2)2-からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
【0336】
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~30のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の-CH2-は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1~10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
【0337】
Ap2は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、mp2+mp3が0の時にはフェナントレン-2,7-ジイル基が好ましく、mp2+mp3が1、2又は3の時には1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基が好ましい。Ap2は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0338】
Ap1は式(Ap1-15)、(Ap1-16)、(Ap1-17)又は(Ap1-18)が好ましい。Ap1は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0339】
Ap3は式(Ap1-14)、(Ap1-15)、(Ap1-16)、(Ap1-17)又は(Ap1-18)が好ましい。Ap3は、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0340】
mp2+mp3は0、1、2又は3が好ましく、1又は2が好ましい。
【0341】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、0.05~10%含んでいることが好ましく、0.1~8%含んでいることが好ましく、0.1~5%含んでいることが好ましく、0.1~3%含んでいることが好ましく、0.2~2%含んでいることが好ましく、0.2~1.3%含んでいることが好ましく、0.2~1%含んでいることが好ましく、0.2~0.56%含んでいることが好ましい。
【0342】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
【0343】
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
【0344】
含有量が少ないと一般式(P)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
【0345】
一般式(P)で表される化合物は、一般式(P-1)、一般式(P-2)、一般式(P-3)及び一般式(P-4)で表される化合物が好ましい。
【0346】
【0347】
(式中、Pp11、Pp12、Pp21、Pp22、Pp31、Pp32、Pp41及びPp42はそれぞれ独立して、一般式(P)におけるPp1と同じ意味を表し、
Spp11、Spp12、Spp21、Spp22、Spp31及びSpp32、Spp41及びSpp42はそれぞれ独立して、一般式(P)におけるSpp1と同じ意味を表し、
Ap11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、インダン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、Ap11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、無置換であるか又は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~12のアルコキシ基、炭素原子数1~12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は一般式(P)における-Spp2-Pp2で置換されていても良く、
Ap41は、一般式(P)のAp1と同じ意味を表し、
Ap43は、一般式(P)のAp3と同じ意味を表し、
Zp21、Zp22、Zp41及びZp42は、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-OCH2CH2O-、-CO-NRZP1-、-NRZP1-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CRZP1-COO-、-CH=CRZP1-OCO-、-COO-CRZP1=CH-、-OCO-CRZP1=CH-、-COO-CRZP1=CH-COO-、-COO-CRZP1=CH-OCO-、-OCO-CRZP1=CH-COO-、-OCO-CRZP1=CH-OCO-、-(CH2)z-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-(C=O)-O-(CH2)2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF2-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-又は-C≡C-(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)を表すが、分子内に存在するZp21及びZp22の少なくとも1つは、単結合以外を表す。)
Pp11、Pp12、Pp21、Pp22、Pp31、Pp32、Pp41及びPp42は、それぞれ独立して一般式(P)におけるPp1と同様に式(Pp1-1)~式(Pp1-3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1-1)であることが好ましく、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
【0348】
Spp11、Spp12、Spp21、Spp22、Spp31及びSpp32、Spp41及びSpp42はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1~30のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の-CH2-は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1~10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
【0349】
Ap11、Ap12、Ap13、Ap21、Ap22、Ap23、Ap32及びAp42はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、アントラセン-2,6-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基又はナフタレン-2,6-ジイル基が好ましい。一般式(P-1)及び(P-2)においてはそれぞれ独立して1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基が好ましく、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。一般式(P-3)においてはフェナントレン-2,7-ジイル基が好ましく、液晶化合物との相溶性を改善するために、その構造中の1又は2以上の水素原子がメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はフッ素原子に置換されていても良い。
【0350】
Zp21は、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-CF2-、-CF2O-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-、-OCF2-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-又は-C≡C-が好ましく、分子内に存在する1つのみが-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-、-OCO-、-COOC2H4-、-OCOC2H4-、-C2H4OCO-、-C2H4COO-、-CH=CH-、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-OCO-(CH2)2-、-CH=CH-COO-、-COO-CH=CH-、-OCOCH=CH-、-COO-(CH2)2-又は-C≡C-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、-OCH2-、-CH2O-、-C2H4-、-COO-又は-OCO-であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
【0351】
また、分子内に存在するZp21の1つのみが、-(CH2)2-COO-、-(CH2)2-OCO-、-O-CO-(CH2)2-、-COO-(CH2)2-からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
【0352】
本発明に係る一般式(P-1)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-1-1)~式(P-1-46)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
【0357】
【0358】
(式中、Pp11、Pp12、Spp11及びSpp12は、一般式(P-1)におけるPp11、Pp12、Spp11及びSpp12と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-2)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-2-1)~式(P-2-12)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0359】
【0360】
(式中、Pp21、Pp22、Spp21及びSpp22は、一般式(P-2)におけるPp21、Pp22、Spp21及びSpp22と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-3)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-3-1)~式(P-3-15)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0361】
【0362】
【0363】
(式中、Pp31、Pp32、Spp31及びSpp32は、一般式(P-3)におけるPp31、Pp32、Spp31及びSpp32と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P-4)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P-4-1)~式(P-4-15)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0364】
【0365】
【0366】
【0367】
【0368】
(式中、Pp41、Pp42、Spp41及びSpp42は、一般式(P-4)におけるPp41、Pp42、Spp41及びSpp42と同じ意味を表す。)
本発明に係る組成物は更に垂直配向性を付与するため、自発配向性化合物を含有することが好ましい。自発配向性化合物は、従来のポリイミド等の液晶配向膜を基板の片方又は両方に用いることなく、液晶組成物の配向性を制御する化合物である。
【0369】
自発配向性化合物は、主として液晶組成物に添加して用いられ、当該液晶組成物を含む液晶層と直接当接する部材(電極(例えば、ITO)、基板(例えば、ガラス基板、アクリル基板、透明基板、フレキシブル基板等)、樹脂層(例えば、カラーフィルター、配向膜、オーバーコート層等)、絶縁膜(例えば、無機材料膜、SiNx等))に対して相互作用し、液晶層の液晶分子のホメオトロピック配列又はホモジニアス配向を誘起する機能を備えている。特に液晶組成物を基板に対し、垂直又は略垂直に配向することが出来る化合物が好ましい。
【0370】
自発配向性化合物は、重合するための重合性基と、液晶分子と類似するメソゲン基と、液晶層と直接当接する部材と相互作用可能な吸着基と、液晶分子の配向を誘起する屈曲基を有することが好ましい。
【0371】
自発配向性化合物は、以下の一般式(SAL)で表される化合物が好ましい。
【0372】
【0373】
(上記式中、Palは、一般式(P-I)~一般式(P-IX)
【0374】
【0375】
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表す。)
で表される基を表し、
Spalは単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20個のアルキレン基を表すが、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
Tは吸着基を表し、
MGはメソゲン基を表し、
Cgは水素原子、前記吸着基、前記-Spal-Pal又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、Cg、MG及びTのいずれも上記重合性基である-Spal-Pal-に置換されてもよく、
nsal1、nsal2及びnsal3はそれぞれ独立して、1~5の自然数を表す。)
本発明に係る重合性基は、Palで表される基であり、直接又は必要に応じスペーサー基を介して他の構造と結合する。重合性基は、Pal-Spal-で表されることが好ましい。
【0376】
Palは、以下の一般式(P-I)~一般式(P-IX)で表される群より選ばれる基であることが好ましい。
【0377】
【0378】
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、-O-、-COO-又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表す。)
上記Pa1は、以下の一般式(P-I)~一般式(P-IX)で表される群より選ばれる基であることが好ましく、一般式(P-I)であることが好ましい。
【0379】
本発明に係る自発配向性化合物において、Pal-Spal-は、メソゲン基、吸着基及び/又は屈曲基に対して結合してもよい。
【0380】
また、本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基は、メソゲン基、吸着基又は屈曲基に対して直接又はスペーサー基を介して結合することが好ましく、メソゲン基又は吸着基に対して直接又はスペーサー基を介して結合することがより好ましい。
【0381】
上記スペーサー基(Spal)は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20個のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1~20個のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2~10個のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、上記スペーサー基(Spal)において、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。
【0382】
本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基(Pal-Spal-)の数は、1以上5以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましく、2又は3であることがさらに好ましく、2であることがよりさらに好ましい。
【0383】
Pal-Spal-中の水素原子は、重合性基、吸着基及び/又は屈曲基で置換されていても良い。
【0384】
本発明に係るメソゲン基は、剛直な部分を備えた基、例えば環式基を1つ以上備えたものをいい、環式基を2~4個を有していることが好ましく、環式基を3~4個を有していることがより好ましく、必要に応じ環式基は連結基で連結されていても良い。メソゲン基は液晶層に使用される液晶化合物と類似の骨格であることが好ましい。
【0385】
なお、本明細書において「環式基」は、構成する原子が環状に結合した原子団をいい、炭素環、複素環、飽和又は不飽和環式構造、単環、2環式構造、多環式構造、芳香族、非芳香族などを含む。また、環式基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、さらに、少なくとも1つの置換基(ハロゲン原子、反応性官能基、有機基(アルキル、アリール等)によって置換されてもよい。環式基が単環である場合には、メソゲン基は2以上の単環を含んでいることが好ましい。
【0386】
上記メソゲン基は、例えば、一般式(AL)で表されることが好ましい。
【0387】
【0388】
(式中、ZALは、単結合、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2-CH2COO-、-OCOCH2―CH2-、-CH=C(CH3)COO-、-OCOC(CH3)=CH-、-CH2-CH(CH3)COO-、-OCOCH(CH3)-CH2-、-OCH2CH2O-又は炭素原子数1~20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよく、
AALは、2価の環式基を表し、
ZAL及びAAL中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、吸着基、Pal-Spal-又は1価の有機基で置換されていてもよく、
ZAL及びAALがそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、mALは、1~5の整数を表し、
上記式中の左端の*及び右端の*は結合手を表す。)
一般式(AL)中、ZALは、単結合又は炭素原子数2~20のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数2~10のアルキレン基がより好ましい。上記アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよい。さらに、棒状分子の直線性を目的とする場合は、環と環とが直接連結した形態である単結合や環と環とを直接結ぶ原子の数が偶数個の形態が好ましい。例えば、-CH2-CH2COO-の場合、環と環とを直接結ぶ原子の数は4つである。
【0389】
一般式(AL)中、環式基は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基-、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,4-ナフチレン基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b‘]ジチオフェン-2,6-ジイル基、ベンゾ[1,2-b:4,5-b‘]ジセレノフェン-2,6-ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2-b]チオフェン-2,7-ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2-b]セレノフェン-2,7-ジイル基及びフルオレン-2,7-ジイル基からなる群から選択される1種の構造を表すことが好ましく、これらの構造は非置換又は置換されていてもよく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、2,6-ナフチレン基又はフェナントレン-2,7-ジイル基がより好ましく、1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基が好ましい。また、環式基中の1個又は2個以上の水素原子はハロゲン原子、吸着基、Pal-Spal-又は1価の有機基で置換されてもよい。
【0390】
一般式(AL)中、一価の有機基とは、有機化合物が1価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を1つ取り除いてなる原子団をいい、例えば、炭素原子数1~15のアルキル基、炭素原子数2~15のアルケニル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基、炭素原子数2~15のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1~15のアルキル基又は炭素原子数1~14のアルコキシ基が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は-O-、-COO-又は-OCO-で置換されてもよい。さらには、上記一価の有機基は、後述の屈曲基としての役割を有しても良い。
【0391】
上記一般式(AL)中、mALは、2~4の整数であることが好ましい。
【0392】
上記メソゲン基のうち特に好ましい形態は、以下の一般式(AL-1)又は(AL-2)で表され、式(AL-1)がより好ましい。
【0393】
【0394】
(上記式中、Xa11~Xal18はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、Pal-Spal-、吸着基又は屈曲基を表し、環A及び環Bはそれぞれ独立して、シクロヘキサン環又はベンゼン環を表し、
Xa11~Xal18のいずれか1種又は2種以上が前記吸着基に置換されており、
Xa11~Xal18のいずれか1種又は2種以上が前記屈曲基に置換されており、
前記吸着基および前記屈曲基は前記Pal-Spal-に置換されていてもよく、
一般式(AL-1)又は一般式(AL-2)のそれぞれに前記Pal-Spal-を1種又は2種以上有する。)
上記式(AL-1)において、Xa11又はXa18~Xa112の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることが好ましく、Xa11又はXa110の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることがより好ましい。なお、この場合、前記吸着基はPal-Spal-に置換されてもよい。特に、環Aがシクロヘキサン環の場合は、Xa110が吸着基に置換されていることが好ましい。
【0395】
上記式(AL-1)において、Xa16~Xa114の少なくとも1種又は2種以上が重合性基に置換されていることが好ましく、Xal9又はXa111のいずれか一方がPal-Spal-に置換されていることがより好ましい。
【0396】
上記式(AL-1)において、Xa11~Xa13、Xa6~Xa114、Xa117~Xa118の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましく、Xa11~Xa13、Xa6~Xa19、Xa111~Xa114またはXa117~Xa118の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましい。Xa11が屈曲基に置換されており、かつXa6~Xa19またはXa111~Xa114のいずれか1種が屈曲基に置換されていることがより好ましい。この場合、前者のXa11における屈曲基の方が後者の屈曲基より炭素原子数が多い方がさらに好ましい。屈曲基はPal-Spal-に置換されてもよい。
【0397】
上記式(AL-2)において、Xa11又はXa16~Xa110の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることが好ましく、Xa11又はXa18が吸着基に置換されていることがより好ましい。なお、この場合、吸着基はPal-Spal-に置換されてもよい。特に、環Aがシクロヘキサン環の場合は、Xa18が吸着基に置換されていることが好ましい。
【0398】
上記式(AL-2)において、Xal6~Xa110のいずれか1種又は2種以上がPal-Spal-に置換されていることが好ましく、Xal7又はXa19のいずれか一方がPal-Spal-に置換されていることがより好ましい。
【0399】
上記式(AL-2)において、Xa16~Xa110の少なくとも1種又は2種以上がPal-Spal-に置換されていることが好ましく、Xa17又はXa14のいずれか一方がPal-Spal-に置換されていることがより好ましい。
【0400】
上記式(AL-2)において、Xa11~Xa17又はXa9~Xa114の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましく、Xa11、Xa4~Xa17又はXa19~Xa112の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましい。Xa11が屈曲基に置換されており、かつXal4~Xa17またはXa19~Xa112のいずれか1種が屈曲基に置換されていることがより好ましい。この場合、前者のXa11における屈曲基の方が後者の屈曲基より炭素原子数が多い方がさらに好ましい。屈曲基はPal-Spal-に置換されてもよい。
【0401】
上記メソゲン基の好ましい形態としては、以下の式(AL-1-1)~(AL-2-)が挙げられる。一般式(AL)は、これらの構造中の2個の水素原子が脱離した構造である。
【0402】
これら一般式(AL-1-1)~(AL-2-3)中のシクロヘキサン環、ベンゼン環、ピラン環又はジオキサン環中の水素原子の1つ又は2つ以上は、ハロゲン原子、Pal-Spal-、1価の有機基(例えば、炭素原子数1~15のアルキル基、炭素原子数1~14のアルコキシ基)、吸着基又は屈曲基に置換されてもよい。
【0403】
【0404】
上記メソゲン基のうち好ましい形態は、一般式(AL-1-1)、一般式(AL-1-4)、一般式(AL-1-7)、一般式(AL-2-1)又は一般式(AL-2-3)で表される構造であり、一般式一般式(AL-1-4)、一般式(AL-1-7)又は一般式(AL-2-3)で表される構造であり、一般式一般式(AL-1-4)又は一般式(AL-1-7)で表される構造である。
【0405】
本発明に係る吸着基は、基板、膜、電極などの吸着媒と吸着する役割を備えた基である。吸着は、一般的に、化学結合(共有結合、イオン結合又は金属結合)をつくって吸着媒と吸着質との間で吸着する化学吸着、又は当該化学吸着以外の物理吸着に分別され、本明細書の吸着は化学吸着又は物理吸着のいずれでもよいが、物理吸着により吸着媒と吸着することが好ましい。そのため、本発明に係る吸着基は、吸着媒と物理吸着可能な基であることが好ましく、当該吸着基は分子間力により吸着媒と結合することがより好ましい。当該分子間力により吸着媒と結合する形態としては、永久双極子、永久四重極子、分散力、電荷移動力又は水素結合などの相互作用により吸着媒と結合していることが挙げられる。本発明に係る吸着基の好ましい形態としては、水素結合により吸着媒と結合可能な形態が挙げられる。この場合、本発明に係る吸着基が水素結合を介在するプロトンのドナー若しくはアクセプターになってもよく、また両方であってもよい。
【0406】
本発明に係る吸着基は、炭素原子とヘテロ原子とが連結した原子団を有する極性要素を含む基であることが好ましい。本明細書でいう極性要素とは、炭素原子とヘテロ原子とが直接連結した原子団をいう。上記ヘテロ原子としては、N、O、S、P、B及びSiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N及びOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Oであることが好ましい。
【0407】
また、本発明に係る自発配向性化合物において、本発明に係る極性要素の価数は、一価、二価、三価など特に制限されず、また吸着基中の極性要素の個数も特に制限されることは無い。
【0408】
本発明に係る自発配向性化合物において、上記吸着基は、一分子中に1~8個有することが好ましく、1~4個有することがより好ましく、1~3個有することがさらに好ましい。
【0409】
なお、本発明に係る吸着基は、Pal-Spal-及び屈曲基は除く。
【0410】
本発明に係る吸着基は、1又は2以上の極性要素を含み、吸着基は環式基型と鎖式基型に大別される。環式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含む形態であり、鎖式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含まない形態である。鎖式基は直鎖又は分岐した鎖状基中に極性要素を有する形態であり、この一部に極性要素を含まない環状構造を有していても良い。
【0411】
本発明に係る吸着基が環式基を含む形態であるとは、少なくとも1つの極性要素が環状の原子配列内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における環式基とは、上述した通りである。そのため、本発明に係る吸着基が環式基を含む形態の場合は、極性要素を含む環式基さえ含んでいればよく、吸着基全体としては分岐しても直鎖状であってもよい。
【0412】
本発明に係る吸着基が鎖式基の形態とは、分子内に極性要素を含む環状の原子配列がなく、かつ少なくとも1つの極性要素が線状の原子配列(枝分かれしてもよい)内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における鎖式基とは、構造式中に環状の原子配列のない、構成する原子が線状(分岐してもよい)に結合した原子団をいい、非環式基をいう。換言すると、直鎖状又は分枝状の脂肪族基を言い、飽和結合又は不飽和結合のどちらを含んでもよく、例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、エステル、エーテル又はケトンなどを含み、少なくとも1つの置換基(反応性官能基(ビニル基、アクリル基、メタクリル基等)、鎖状有機基(アルキル、シアノ等)によって置換されてもよい概念である。また、本発明の鎖式基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
【0413】
本発明に係る吸着基は、鎖式基又は環式基を有することが好ましく、吸着能を重視する場合は鎖式基が好ましく、液晶組成物に対する安定性の観点では環式基が好ましい。
【0414】
本発明に係る吸着基が環式基の場合は、炭素原子数3~20個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3~20個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がより好ましく、炭素原子数3~12個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3~12個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がさらに好ましく、5員環複素芳香族基、5員環複素脂肪族基、6員環複素芳香族基又は6員環複素脂肪族基を表すことがよりさらに好ましく、これらの環構造中の水素原子はハロゲン原子、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はアルキルオキシ基に置換されてもよい。
【0415】
本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20個のアルキル基中の水素原子や-CH2-が極性要素に置換されることが好ましく、当該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH2-は、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。また、本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、端部に極性要素を含むまたは2個以上の極性要素を含むことが好ましい。
【0416】
本発明に係る吸着基の水素原子は、重合性基に置換されてもよい。
【0417】
本発明に係る極性要素の種類は、具体的には、酸素原子を含む極性要素(以下、含酸素極性要素)、窒素原子を含む極性要素(以下、含窒素極性要素)、リン原子を含む極性要素(以下、含リン極性要素)、ホウ素原子を含む極性要素(以下、含ホウ素極性要素)、ケイ素原子を含む極性要素(以下、含ケイ素極性要素)又は硫黄原子を含む極性要素(以下、含硫黄極性要素)で表される部分構造であることが好ましく、吸着能の観点から、含窒素極性要素、含窒素極性要素又は含酸素極性要素がより好ましく、含酸素極性要素がさらに好ましい。
【0418】
上記含酸素極性要素としては、水酸基(-OH)、アルキロール基(-Rt-OH;Rtはアルキレン基)、アルコキシ基(-OR;但し、Rはアルキル基)、ホルミル基(-CHO)、カルボキシル基(-COOH)、エーテル基(-RtORt’-;但し、Rt、Rt’はアルキレン基又はアルケニレン基)、カルボニル基(-Rt-C(=O)-Rt’-;但し、Rt、Rt’はアルキレン基又はアルケニレン基)、カーボネート基(-O-C(=O)-O-)及びエステル基(-COORt’-;但しRt’はアルキレン基又はアルケニレン基)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0419】
上記含窒素極性要素としては、シアノ基(-CN)、1級アミノ基(-NH2)、2級アミノ基(-NH-)、3級アミノ基(-NRR’;但し、R,R’はアルキル基)、ピリジル基、カルバモイル基(-CONH2)及びウレイド基(-NHCONH2)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0420】
上記含リン極性要素としては、ホスフィニル基(-CX2-P(=O)H2)及びリン酸基(-CX2-OP(=O)(OH)2)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0421】
上記含ホウ素極性要素としては、ホウ酸基(-B(OH)2)が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0422】
上記含ケイ素極性要素としては、-Si(OH)3基又は-Si(OR)(OR’)(OR’’);但し、R,R’,R’’はアルキル基)基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0423】
上記含硫黄極性要素としては、メルカプト基(-SH)、スルフィド基(-S-)、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-SO2-)、スルホンアミド基(-SO2NH2)、スルホ酸基(-SO3H)及びスルフィノ基(-S(=O)OH)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0424】
そのため、本発明に係る吸着基は、環式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素環式基)、環式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素環式基)、環式基が含リン極性要素を備えた基(以下、含リン環式基)、環式基が含ホウ素極性要素を備えた基(以下、含ホウ素環式基)、環式基が含ケイ素極性要素を備えた基(以下、含ケイ素環式基)、環式基が含硫黄極性要素を備えた基(以下、含硫黄環式基)、鎖式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素鎖式基)、鎖式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素鎖式基)、鎖式基が含リン極性要素を備えた基(以下、含リン鎖式基)、鎖式基が含ホウ素極性要素を備えた基(以下、含ホウ素鎖式基)、鎖式基が含ケイ素極性要素を備えた基(以下、含ケイ素鎖式基)及び鎖式基が含硫黄極性要素を備えた基(以下、含硫黄鎖式基)からなる群から選択される1種又は2種以上の基自体または当該基を含むことが好ましく、吸着能の観点から含酸素環式基、含硫黄環式基、含酸素鎖式基及び含窒素鎖式基からなる群から選択される1種又は2種以上の基を含むことがより好ましい。
【0425】
本発明に係る吸着基としては、以下の一般式(T)で表される基が好ましい。
【0426】
【0427】
(上記一般式(T)中、Xt1は、炭素原子数1~18個の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は-NH2を表し、前記アルキル基中の水素原子はシアノ基、Pal-Spal-に置換されてもよく、又は前記アルキル基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-、-CH=CH-に置換されてもよく、
上記Rt1は、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基又はZt1と結合してもよい炭素原子数1~8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はZt1と結合してもよい炭素原子数2~8個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、上記Zt2は、単結合、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、
Zt1は、単結合、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、またXt1が-Zt2-O-Rat基であり、かつRatがアルキレン基又はアルケニレン基の場合、Zt1の水素原子を置換してRt1と結合してもよく
Wt0は、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-CH=CH-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、また前記アルキレン基の水素原子は一般式(T)に置換されてもよく、
Wt1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、
nt1は0以上4以下の整数を表し、
分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T)において、好ましいXt1は、炭素原子数1~17個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、-NH2又は-Zt2-O-Rt1基を表し、当該アルキル基中の水素原子はシアノ基、Pal-Spal-に置換されてもよく、上記Rt1は、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基又はZt1と結合してもよい炭素原子数1~8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はZt1と結合してもよい炭素原子数2~8個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、上記Zt2は、単結合、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい。
【0428】
上記一般式(T)において、吸着基(一般式(T))が吸着基(一般式(T))で置換されてもよい形態としては、上記一般式(T)が以下の一般式(t)で表される基が挙げられる。
【0429】
【0430】
(上記一般式(t)中、Xt1、Zt1、Wt1およびnt1は、上記一般式(T)における記号と同じであり、
Wt2は単結合又は2価~4価の有機基を表し、
mt1は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(t)中の「-Wt2-Any」は、Wt2が単結合~多価基を表し、結合手が1価~多価(Any)であることを示す。
【0431】
上記一般式(t)において、2~4価の有機基とは、有機化合物が2~4価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を2~4つ取り除いてなる原子団をいう。
【0432】
上記一般式(t)において、2価~4価の有機基である-Wt2-Anyは、鎖状の有機基が好ましく、例えば、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個~10個のアルキレン基(当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい)、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個~10個のアルキレン多価基(当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい)、-PH-、-POH-、-NH-、窒素原子又はリン原子などが挙げられる。当該アルキレン多価基は、アルキレン基からさらに水素原子を1~2つ除いてできる3価又は4価の基をいい、いわゆる炭化水素鎖に遊離原子価がある3~4価の基をいう。
【0433】
上記一般式(t)で表される基は、一般式(T)におけるWt0の好ましい態様、すなわち吸着基(一般式(T))が吸着基(一般式(T))で置換されてもよい形態の一態様であり、上記一般式(t)で表される基の好ましい形態としては、例えば、Wt2が3価の有機基の場合、すなわちmt1’が2であり、Wt2が窒素原子又はアルキレン多価基の場合、例えば以下の一般式(t-a)又は(t-b)が挙げられる。
【0434】
【0435】
(上記式(t-a)及び(t-b)中、Rtcは水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個~10個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、
Zt1及びZt1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZt1と同じ意味を表し、
Xt1及びXt1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZt1と同じ意味を表し、
Wt1は、一般式(T)中のWt1と同じ意味を表し、
nt1及びnt1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のnt1と同じ意味を表し、
分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
一般式(t)において、例えば、-Wt2-Anyが4価の有機基の場合、すなわちmt1’が3であり、-Wt2-Anyがアルキレン多価基の場合、例えば以下の一般式(t-c)が挙げられる。
【0436】
【0437】
(上記式(t-c)中、Zt1、Zt1’及びZt1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZt1と同じ意味を表し、
Xt1、Xt1’及びXt1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のXt1と同じ意味を表し、
Wt1は、一般式(T)中のWt1と同じ意味を表し、
nt1、nt1’及びnt1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のnt1と同じ意味を表し、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(t)において、mt1’は1又は2が好ましく、mt1’は1がより好ましい。また、上記一般式(t-a)、一般式(t-b)、一般式(t-c)で表される形態のうちでは、上記一般式(t-a)で表される形態が好ましい。
【0438】
上記一般式(t)において、-Wt2-Anyは、単結合又は2価~3価の有機基が好ましく、単結合、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~8個のアルキレン基(当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-に置換されてもよい。)、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~8個のアルカントリイル基(当該アルカントリイル基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-に置換されてもよい。)又は直鎖状若しくは分岐状のアルキル-イリデン基(当該アルキル-イリデン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-に置換されてもよい。)がより好ましい。例えば、以下の基が挙げられる。
【0439】
【0440】
(上記式中、Rtcは、炭素原子数1~8個のアルキル基又は重合性基(Pal-Spal-)を表し、nt0は、1~7の整数を表し、*は結合手を表す。)また、Wt2の水素原子に重合性基(Pal-Spal-)を置換してもよい。
【0441】
上記一般式(t)において、mt1は1または2を表すことが好ましい。
【0442】
上記一般式(T)または一般式(t)において、Wt1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~8個のアルキレン基(単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい。)を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~7個のアルキレン基(単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-に置換されてもよい。)を表すことがより好ましい。またWt1は、メソゲン基、重合性基又は屈曲基の水素原子に置換して結合してもよい。
【0443】
上記一般式(T)または一般式(t)において、Xt1はZt1と結合しない形態(鎖式基)と、Xt1はZt1と結合して環を形成する形態(環式基)とを含んでいる。
【0444】
前者の形態の場合、炭素原子数1~8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、-NH2、-Zt2-O-Rt1基又はシアノ基で置換された炭素原子数1~7個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~7個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、-Zt2-O-Rt1基、シアノ基で置換された炭素原子数1~7個の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましい。また前者の形態の場合、前記Rt1はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~5個のアルキル基を表し、上記Zt2は、単結合、炭素原子数1~10個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~10個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基が好ましい(当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい)。
【0445】
後者の形態の場合、nt1が1以上、Xt1は-Zt2-O-Rt1であり、Rt1が炭素原子数1~7個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~7個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基であり、Zt1の水素原子を置換してRt1と結合することが好ましく、例えば、以下の一般式(T’)で表されることが好ましい。
【0446】
【0447】
(上記一般式(T’)中、Rt1’はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~8の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、
Zt2’はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~10の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、
Zt1’は、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン3価基又は炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン3価基を表し、当該アルキレン3価基又はアルケニレン3価基の-CH2-は、酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-又はOCO-に置換されてもよく、
Wt2は、単結合又は2価~4価の有機基を表し、
-Wt1-は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、
nt1’は1以上4以下の整数を表し、
mt1’は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
当該アルキレン3価基は、アルキレン基からさらに水素原子を1つ除いてできる3価の基をいう。当該アルケニレン3価基は、アルケニレン基からさらに水素原子を1つ除いてできる3価の基をいい、いわゆる炭化水素鎖に遊離原子価がある3価の基、例えばアルカントリイル基やアルキル-イリデン基などを含む。
【0448】
上記一般式(T)において、Xt1はZt1と結合しない形態(鎖式基)の場合、Zt1は、単結合、炭素原子数1~12個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~12個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基の-CH2-は-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよい。
【0449】
上記一般式(T)において、Xt1はZt1と結合する形態(環式基)の場合は上記一般式(T’)の通りである。
【0450】
上記一般式(T)において、nt1は0以上3以下の整数を表すことが好ましく、nt1は0以上2以下の整数を表すことがより好ましい。
【0451】
上記一般式(T)は、一般式(T-1-1)~(T-4-1)で表される環式基及び一般式(T-5-1)~(T-6-1)で表される鎖式基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。本発明に係る一般式(T)で表される吸着基が環式基を選択する場合、吸着能および液晶組成物に対する相溶性の観点から、一般式(T-1-1)又は一般式(T-2-1)が好ましい。本発明に係る一般式(T)で表される吸着基が鎖式基を選択する場合、吸着能および液晶組成物に対する安定性の観点から、一般式(T-5-1)又は一般式(T-6-1)が好ましい。
【0452】
【0453】
(式中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、-O-、-S-又はCH2-を表し、
Rt5は、炭素原子数1~8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シアノ化アルキル基又は炭素原子数1~8個の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を表し、これらのアルキル基中の少なくとも2個以上の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-CH=CH-、-C≡C-、-O-又は-NH-に置換されてもよく、
Zt3は、単結合、炭素原子数1~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2~18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように-O-、-COO-、-C(=O)-、-OCO-に置換されてもよく、
Wt2は、単結合又は1価~4価の有機基を表し、
Wt1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、
nt1は0以上4以下の整数を表し、
mt1は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T-1-1)~(T-4-1)において、Xta又はXtbのいずれかが-O-であることが好ましく、Xta及びXtbが-O-であることがより好ましい。
【0454】
上記一般式(T-1-1)~(T-4-1)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【0455】
【0456】
(上記式中、Rtcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T-5-1)は、一般式(T-5-2)を表すことが好ましい。
【0457】
【0458】
(上記一般式(T-5-2)中、Wt1は上記一般式(T-5)中のWt1と同じ意味を表し、Rt51及びRt52はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はシアノ化アルキル基を表し、これらのアルキル基中の少なくとも2個以上の-CH2-は酸素原子が直接隣接しないように、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、又は-NH-で置換されてもよく、Rtcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、nt1、nt2及びnt3はそれぞれ独立して0又は1を表し、分子内の水素原子はPal-Spal-に置換されてもよい。)
上記一般式(T-5-1)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【0459】
【0460】
【0461】
(上記式中、Rtcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
【0462】
【0463】
【0464】
(上記式中、Rcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよい。)(*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T-6-1)の具体例としては、以下の例が挙げられる。
【0465】
【0466】
(上記式中、Rcは、水素原子、炭素原子数1~7個のアルキル基又は重合性基Pal-Spal-で表され、分子内の水素原子は上記重合性基Pal-Spal-に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
本発明に係る自発配向性化合物において、吸着基に含まれる極性要素や重合性基に含まれる極性要素を局在化する形態が好ましい。吸着基は液晶組成物を垂直配向させるために重要な構造であり、吸着基と重合性基とが隣接していることで、より良好な配向性が得られ、また液晶組成物への良好な溶解性を示す。具体的には、メソゲン基の同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態が好ましい。この場合、1以上の重合性基及び1以上の吸着基がそれぞれ同一環上に結合している形態と、1以上の重合性基の少なくとも一つ又は1以上の吸着基の少なくとも一つのうち、一方が他方に結合して、同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態とを含む。また、この場合、重合性基のスペーサー基の水素原子が吸着基で置換されていてもよく、さらには吸着基の分子の水素原子が重合性基のスペーサー基と結合する形態も含む。
【0467】
また、本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基の1以上の水素原子は、吸着基に置換されてもよい。この場合の好ましい形態としては、重合性基Pal又は必要により当該重合性基に連結されるSpalの1以上の水素原子が吸着基に置換されている形態が挙げられ、より好ましい形態としては、重合性基(Pa1-Spa1-)中の1以上の水素原子が上記一般式(T)で表される吸着基に置換されている形態が挙げられる。
【0468】
例えば、吸着基と重合性基とが連結した好適な形態としては、以下の式(T-1-1.1)、(T-6-1.1)又は(T-5-1.1)が挙げられる。
【0469】
【0470】
(上記式中、Rt11a、Rt16a及びRt151aはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Rt151b及びRt151cはそれぞれ独立して、炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数1~3のシアノ化アルキル基を表し、
Xa及びXbは、-O-、-S-または-CH2-を表し、
Lt151a及びLt151aはそれぞれ独立して、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ビニリデン基、ビニレン基、イソプロペニレン基またはエチリデン基を表し、
nt11c、nt151c、nt16c、nt151d、nt151e、nt151f及びnt151gはそれぞれ独立して、0又は1を表し、nt11a、nt11b、nt16a、nt16b、nt151a及びnt151bはそれぞれ独立して、1~11の整数を表し、*はメソゲン基への結合手を表す。)
上記式(T-1-1.1)において、XaまたはXbのいずれか一方が-O-であることが好ましく、Xta及びXtbが-O-であることがより好ましい。
【0471】
上記式(T-5-1.1)において、Lt151a及びLt151aはそれぞれ独立して、メチレン基、エチレン基、ビニリデン基、ビニレン基、イソプロペニレン基またはエチリデン基が好ましい。
【0472】
上記式(T-1-1.1)、(T-6-1.1)及び(T-5-1.1)において、
nt11a、nt11b、nt16a、nt16b、nt151a及びnt151bはそれぞれ独立して、1~8の整数であることが好ましく、1~5の整数であることがより好ましい。
【0473】
本発明に係る屈曲基は、液晶分子の配向を誘導する機能を有しており、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1~20のアルキレン基を表すことが好ましく、直鎖状の炭素原子数1~20のアルキレン基を表すことがより好ましく、直鎖状の炭素原子数2~15のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。
【0474】
自発配向性化合物が液晶層に対していわゆる両親媒性を備えている観点から上記屈曲基は、メソゲン基に結合していることが好ましい。
【0475】
本発明に係る自発配向性化合物において、上記屈曲基は、1~6つ有することが好ましく、1~4つ有することがより好ましく、1~3つ有することがさらに好ましい。
【0476】
上記自発配向性化合物において、液晶層となじみにくい吸着基や重合性基などの極性部と、液晶層となじみやすいメソゲン基や屈曲基などの非極性部とは、分子内で偏在していることが好ましく、いわゆる液晶層に対して両親媒性を示すことが好ましい。そのため、本発明に係る自発配向性化合物は、メソゲン基の一方の端部に液晶分子を配向させる屈曲基を有し、メソゲン基の他方の端部に重合性基及び吸着基を有する構造が好ましい。液晶層と基板との界面近傍では界面自由エネルギーが高くなるため、液晶層に対して親和性がある非極性部と、液晶層に対して親和性が低い極性部とを一分子内に有する物質が界面上に並ぶことにより、界面自由エネルギーを低下させると考えられる。
【0477】
本発明の液晶組成物における自発配向性化合物の含有量の下限は、0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.12質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.17質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.22質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.27質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.32質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.37質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.42質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。本発明の液晶組成物における一般式(I)で表される重合性化合物の含有量の上限は、2.5質量%が好ましく、2.3質量%が好ましく、2.1質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.8質量%が好ましく、1.6質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.4質量%が好ましい。
【0478】
本発明に係る自発配向性化合物の特に好適な具体例は、以下の一般式(al-1-1)で表される化合物である。
【0479】
【0480】
(上記一般式(al-1-1)中、Ral3は炭素原子数1~12の直鎖状のアルキル基を表し、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は、-O-又は-CH=CH-で置換されてもよく、
Lal5、Lal6、Lal7及びLal8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~12個のアルキル基、ハロゲン原子又は上記Pal-Spal-を表し、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の-CH2-は、-O-又は-CH=CH-で置換されてもよく、
環Aal3は、1,4-シクロへキシレン又は1,4-フェニレンを表し、
Rala又はRalbはそれぞれ独立して、水素原子又は上記Pal-Spal-を表し、Rala又はRalbの少なくとも一つが上記Pal-Spal-を表し、
Zal3は、単結合、-CH2-CH2-、-CH2-O-又はO-CH2-を表し、
Ral4は、上記一般式(T)で表される吸着基を表し、
pal3及びpal4はそれぞれ独立して、0又は1を表す。)
上記一般式(al-1-1)において、Lal7及びLal8の一方が、炭素原子数1~5個のアルキル基を表すことが好ましい。
【0481】
上記一般式(al-1-1)において、Rala及びRalbは上記Pal-Spal-を表すことが好ましい。
【0482】
上記一般式(al-1-1)において、Ral4は、上記一般式(T-1-1)~(T-7-1)又は式(T-1-1.1)、(T-6-1.1)又は(T-5-1.1)が好ましい。
【0483】
好ましい化合物としては、以下の式(AL-1.1)~(AL-3.6)で表される化合物が挙げられる。
【0484】
【0485】
【0486】
【0487】
【0488】
【0489】
【0490】
【0491】
【0492】
本発明における組成物は、さらに、信頼性を向上させるため添加剤として化合物(Q)を1種又は2種以上含有することができる。化合物(Q)は下記の構造を有することが好ましい。
【0493】
【0494】
(式中、RQは水酸基、水素原子、炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-で置換されてよく、*で他の構造と結合する。)
RQは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、-COO-、-C≡C-、-CF2O-、-OCF2-で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-又は-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-又は-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH2基が-OCO-又は-COO-に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が-OCO-又は-COO-に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。MQはトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基又は単結合を表すが、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましい。
【0495】
化合物(Q)は、より具体的には、下記の一般式(Q-a)から一般式(Q-d)で表される化合物が好ましい。
【0496】
【0497】
式中、RQ1は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ2は炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ3は炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、LQは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q-a)から一般式(Q-d)で表される化合物中、一般式(Q-c)及び一般式(Q-d)で表される化合物が更に好ましい。
【0498】
本願発明の組成物において、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1%であることが好ましく、0.001から0.1%が更に好ましく、0.001から0.05%が特に好ましい。
【0499】
また、本発明に使用できる酸化防止剤又は光安定剤としてより具体的には以下の(Q-1)~(Q-44)で表される化合物が好ましい。
【0500】
【0501】
【0502】
【0503】
【0504】
【0505】
(式中、nは0から20の整数を表す。)
【0506】
(液晶表示素子)
本実施形態の液晶組成物は、液晶表示素子に適用される。以下、
図1,2を適宜参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子の例を説明する。
【0507】
図1は、液晶表示素子の構成を模式的に示す図である。
図1では、説明のために便宜上、各構成要素を離間させて示している。本実施形態に係る液晶表示素子1は、
図1に示すように、対向するように配置された第一基板2及び第二基板3と、第一基板2と第二基板3との間に設けられた液晶層4とを備えており、液晶層4は前述した本実施形態の液晶組成物により構成される。
【0508】
第一基板2には、液晶層4側の面に画素電極層5が形成されている。第二基板3には、液晶層4側に共通電極層6が形成されている。第一基板2及び第二基板3は、一対の偏光板7,8により挟持されていてもよい。第二基板3の液晶層4側には、カラーフィルタ9が更に設けられていてもよい。
【0509】
すなわち、一実施形態に係る液晶表示素子1は、第一偏光板7と、第一基板2と、画素電極層5と、液晶組成物を含む液晶層4と、共通電極層6と、カラーフィルタ9と、第二基板3と、第二偏光板8と、がこの順に積層された構成を有している。
【0510】
第一基板2及び第二基板3は、例えばガラス又はプラスチック等の柔軟性をもつ材料で形成されている。第一基板2及び第二基板3の少なくとも一方は透明な材料で形成されており、他方は透明な材料で形成されていても、金属やシリコン等の不透明な材料で形成されていてもよい。第一基板2及び第二基板3は、周縁領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって互いに貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー、又はフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0511】
第一偏光板7及び第二偏光板8は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することができ、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、第一偏光板7及び第二偏光板8のうちいずれかは、電圧無印加時の液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置されることが好ましい。
【0512】
カラーフィルタ9は、光の漏れを防止する観点で、ブラックマトリクスを形成することが好ましく、薄膜トランジスタに対応する部分にブラックマトリクス(図示せず)を形成することが好ましい。
【0513】
ブラックマトリクスは、アレイ基板と反対側の基板にカラーフィルタと共に設置されてもよく、アレイ基板側にカラーフィルタと共に設置されてもよく、ブラックマトリクスがアレイ基板に、カラーフィルタがもう一方の基板にそれぞれ別に設置されてもよい。また、ブラックマトリクスは、カラーフィルタと別に設置されてもよいが、カラーフィルタの各色を重ねることで透過率を低下させるものであってもよい。
【0514】
図2は、
図1における第一基板2上に形成された画素電極層5の一部であるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。
図2に示すように、第一基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む画素電極層5では、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン11と表示信号を供給するための複数のデータバスライン12とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。なお、
図2には、一対のゲートバスライン11,11及び一対のデータバスライン12,12のみが示されている。
【0515】
複数のゲートバスライン11と複数のデータバスライン12とにより囲まれた領域により、液晶表示素子の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極13が形成されている。画素電極13は、互いに直交して十字形状をなす二つの幹部と、各幹部から延在する複数の枝部とを備える、いわゆるフィッシュボーン構造を有している。また、一対のゲートバスライン11,11の間には、ゲートバスライン11と略平行にCs電極14が設けられている。また、ゲートバスライン11とデータバスライン12とが互いに交差している交差部近傍には、ソース電極15及びドレイン電極16を含む薄膜トランジスタが設けられている。ドレイン電極16には、コンタクトホール17が設けられている。
【0516】
ゲートバスライン11及びデータバスライン12は、好ましくはそれぞれ金属膜で形成されており、より好ましくはAl、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金で形成されており、更に好ましくはMo、Al又はその合金で形成されている。
【0517】
画素電極13は、透過率を向上させるために、好ましくは透明電極である。透明電極は、酸化物半導体(ZnO、InGaZnO、SiGe、GaAs、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、TiO、AZTO(AlZnSnO)等)をスパッタリング等することにより形成される。この際、透明電極の膜厚は、10~200nmであってよい。また、電気的抵抗を低減するために、アモルファスのITO膜を焼成することにより多結晶のITO膜として透明電極を形成することもできる。
【0518】
本実施形態の液晶表示素子は、例えば、第一基板2及び第二基板3上にAl又はその合金等の金属材料をスパッタリングすることにより配線を形成し、画素電極層5及び共通電極層6をそれぞれ形成することができる。また、カラーフィルタ9は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルタの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルタ用の画素部を作成することができる。また、カラーフィルタ9は、TFT等を有する基板側に設置してもよい。
【0519】
第一基板2及び第二基板3は、画素電極層5及び共通電極層6がそれぞれ内側となるように対向させるが、その際にスペーサーを介して、第一基板2及び第二基板3の間隔を調整してもよい。このときは、液晶層4の厚さが、例えば1~100μmとなるように調整するのが好ましい。
【0520】
偏光板7,8を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶層4の屈折率異方性Δnと液晶層4の厚さとの積を調整することが好ましい。また、二枚の偏光板7,8がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。さらに、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0521】
2枚の基板2,3間に組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又は滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等を用いることができるが、真空注入法においては滴下痕が発生しないものの、注入の跡が残る課題を有しているものであるが、本実施形態においては、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーン又はフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本実施形態においては、ODF法において、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
【0522】
また、ODF法による液晶表示素子の製造工程においては、液晶表示素子のサイズに応じて最適な液晶注入量を滴下する必要があるが、本実施形態の液晶組成物は、例えば、液晶滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に液晶を滴下し続けることが可能であるため、液晶表示素子の歩留まりを高く保持することもできる。特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型液晶表示素子は、最適な液晶注入量が少ないために最適値からのずれを一定範囲内に制御すること自体が難しいが、本実施形態の液晶組成物を用いることにより、小型液晶表示素子においても安定した液晶材料の吐出量を実現できる。
【0523】
本実施形態の液晶組成物が重合性化合物を含有する場合、重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いてもよいし、非偏光光源を用いてもよい。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いてもよい。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hz~10kHzの交流が好ましく、周波数60Hz~10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度~89.9度に制御することが好ましい。
【0524】
照射時の温度は、本実施形態の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15~35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm2~100W/cm2が好ましく、2mW/cm2~50W/cm2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm2~500J/cm2が好ましく、100mJ/cm2~200J/cm2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させてもよい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒~3600秒が好ましく、10秒~600秒がより好ましい。
【0525】
本実施形態の液晶組成物においては、化合物(i)は上記重合性化合物の重合反応を阻害しないため、重合性化合物同士が好適に重合し、未反応の重合性化合物が液晶組成物中に残存することを抑制できる。
【0526】
重合性化合物として、例えば上記化合物(ii)を用いた場合、得られる液晶表示素子1は、二つの基板2,3と、二つの基板2,3の間に設けられた液晶組成物及び一般式(ii)で表される化合物の重合物を含む液晶層4とを備えている。この場合、一般式(ii)で表される化合物の重合物は、液晶層4中の基板2,3側に偏在していると考えられる。
【0527】
液晶表示素子1は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であってよい。液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子であってよく、好ましくはPSA型の液晶表示素子である。
【0528】
本実施形態の液晶表示素子では、化合物(i)を含有する液晶組成物が用いられているため、第一基板2及び第二基板3の液晶層4側にポリイミド配向膜等の配向膜が設けられている必要がない。すなわち、本実施形態の液晶表示素子は、二つの基板のうち少なくとも一方の基板がポリイミド配向膜等の配向膜を有さない構成をとることができる。
【実施例】
【0529】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において液晶化合物の記載について以下の略号を用いる。
(環構造)
【0530】
【0531】
(側鎖構造及び連結構造)
【0532】
【0533】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。なお測定は特別な記載がない限り、JEITA ED-2521Bに規定の方法によった。
【0534】
Tni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
K11 :25℃における弾性定数K11(pN)
K33 :25℃における弾性定数K33(pN)
γ1 :25℃における回転粘性(mPa・s)
低温保存性の評価試験:液晶組成物を濾過し、真空減圧条件にて溶存空気の除去を行った。十分に洗浄された容器投入し、-20℃の環境下で240時間静置した。その後、目視にて析出の有無を観察し、以下の2段階で判定した。
【0535】
○:析出が確認できない
×:析出が確認できる
垂直配向性の評価試験:透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルタ層を具備した配向膜を有さない第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する
画素電極層を有する配向膜を有さない第二の基板(画素電極基板)を作製した。第一の基板上に液晶組成物を滴下し、第二の基板で挟持し、シール材を硬化させ、液晶セルを得た。このときの垂直配向性を、偏光顕微鏡を用いて観察し、以下の4段階で評価した。
◎:均一に垂直配向
○:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
△:配向欠陥が有り許容できないレベル
×:配向不良がかなり劣悪
プレチルト角安定性の評価試験:上記(垂直配向性の評価試験)で使用した液晶セルに、10V、100Hzの矩形交流波を印加しながら、高圧水銀ランプを用いて、365nmにおける照度が100m/cm2であるUV光を200秒間照射した。その後、10V、100Hzの矩形交流波を印加しながらセルに物理的に外力を加え、白表示の安定性を以下の4段階で評価した。
【0536】
◎:均一に配向
○:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
△:配向欠陥が有り許容できないレベル
×:配向不良がかなり劣悪
滴下斑:上記(垂直配向性の評価試験)で使用した液晶セルに、10V、100Hzの矩形交流波を印加しながら、高圧水銀ランプを用いて、365nmにおける照度が100m/cm2であるUV光を200秒間照射した。その後、電圧無印加状態にて、滴下斑発生有無を下記の4段階で評価した。
【0537】
○:滴下斑の発生なし
△:滴下斑が僅かにあり許容できないレベル
×:滴下斑が発生しかなり劣悪
-:滴下斑の評価不能、観察不可(配向不良)
(実施例1~24、比較例1~6)
以下の表に示すLC-1~LC-7、及びLC-Aの液晶組成物を調製し、それらの物性を測定した。物性は表2のとおりであった。
【0538】
【0539】
前記の各液晶組成物を100質量部に対し、重合性化合物を表中の添加量を添加した重合性化合物含有液晶組成を調製し、低温保存性・垂直配向性及びプレチルト角安定性を確認した。本願発明の重合性液晶組成物はいずれにも優れた特性を有することが確認された。
【0540】
【0541】
【0542】
【0543】
【0544】
【0545】
【0546】
【0547】
【符号の説明】
【0548】
1…液晶表示素子、2…第一基板、3…第二基板、4…液晶層、5…画素電極層、6…共通電極層、7…第一偏光板、8…第二偏光板、9…カラーフィルタ、11…ゲートバスライン、12…データバスライン、13…画素電極、14…Cs電極、15…ソース電極、16…ドレイン電極、17…コンタクトホール。