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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】光造形用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20230404BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20230404BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20230404BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230404BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20230404BHJP
   C08F 20/30 20060101ALI20230404BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230404BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C08F2/44 A
B29C64/124
B29C64/314
B33Y80/00
C08F2/48
C08F20/30
C08K3/013
C08L33/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022545385
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036797
(87)【国際公開番号】W WO2022075312
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020170363
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】有賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】西澤 茂年
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509321(JP,A)
【文献】特開2009-084388(JP,A)
【文献】特開2007-237683(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0044315(KR,A)
【文献】特開2020-147623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/00-64/40;
67/00-67/08;
67/24-69/02;
73/00-73/34,
B29D 1/00-29/10;
33/00;99/00,
B33Y10/00-99/00,
C08F20/20,
C08F 2/00-2/60,
C08K 3/00-13/08,
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化樹脂(A)、無機顔料(B)、及び光重合開始剤を配合してなる光造形用樹脂組成物であって、
前記無機顔料(B)が、比重2.0≦ρであり、かつ粒径D50≦5μm、D90≦20μmの粒度分布を有し、かつ光造形用樹脂組成物の25℃における粘度が100mPa・s以上であり、
前記無機顔料(B)の含有量が、前記紫外線硬化樹脂(A)100質量部に対して0.質量部以上0.205質量部以下の範囲であり、
前記光重合開始剤の含有量が、前記紫外線硬化樹脂(A)100質量部に対して5質量部以下の範囲であること
を特徴とする光造形用樹脂組成物。
【請求項2】
前記紫外線硬化樹脂(A)が、
下記式(I):
【化1】
で表され、R1は水素原子又はメチル基を示し、同一分子中の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、m+nが4~40である、変性ビスフェノールAジメタクリレート、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の光造形用樹脂組成物。
【請求項3】
前記光重合開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の光造形用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光造形用樹脂組成物を光硬化させた樹脂造形物。
【請求項5】
前記樹脂造形物の全光線透過率が、光線照射方向厚み1mmの試料切片を用いて測定した際に60%未満であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂造形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形物を形成するために用いられる光造形用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学的立体造形法により様々な造形物が成形され、幅広い用途で用いられている。これらの造形物としては、例えば歯科材料や義肢など需要者個々の要求特性に合わせたパーソナルユースの製品が多く製造されている。
このような光学的立体造形法に用いられる光造形用樹脂としては光硬化型樹脂と作業効率を上げる目的で顔料などの色材や微粒子成分を添加することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-505525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光学的立体造形法による成形を行う際に、添加した微粒子が沈降し造形物に色ムラが生じる、微粒子が光を過度に遮蔽し造形性が低下するなどの問題が存在した。
【0005】
本発明は、色ムラの発生が抑えられ、良好な造形性が得られる光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紫外線硬化樹脂(A)及び無機顔料(B)を配合してなる光造形用樹脂組成物であって、前記無機顔料(B)が、比重2.0≦ρであり、かつ粒径D50≦5μm、D90≦20μmの粒度分布を有し、かつ光造形用樹脂組成物の25℃における粘度が100mPa・s以上であること、を特徴とする光造形用樹脂組成物により前記課題を解決した。
【0007】
さらに本発明は、前記紫外線硬化樹脂(A)が、下記式(I):
で表され、Rは水素原子又はメチル基を示し、同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、m+nが4~40である、変性ビスフェノールAジメタクリレート、を含むことを特徴としてもよい。
【0008】
さらに、本発明の光造形用樹脂組成物は長波長光重合開始剤を含んでもよい。
【0009】
また、本発明は前記光造形用樹脂組成物を光硬化させた樹脂造形物に関する。
【0010】
加えて、前記光造形用樹脂組成物を光硬化させた樹脂造形物は、光線照射方向厚み1mmの試料切片を用いて測定した際の全光線透過率が60%未満であることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、色ムラの発生が抑えられ、良好な造形性が得られる光造形用樹脂組成物を提供することを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明は、紫外線硬化樹脂(A)及び無機顔料(B)を配合してなる光造形用樹脂組成物であって、前記無機顔料(B)が、比重2.0≦ρであり、かつ粒径D50≦5μm、D90≦20μmの粒度分布を有し、かつ光造形用樹脂組成物の25℃における粘度が100mPa・s以上であること、を特徴とする光造形用樹脂組成物に関する。
【0014】
本発明の紫外線硬化樹脂(A)としては、本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、単官能や多官能のアクリル基含有重合性化合物などの光ラジカル重合性化合物や、エポキシ化合物、オキセタン化合物などの光カチオン重合性化合物を用いることができる。前記のように各種紫外線硬化樹脂を用いることができるが、光造形後の樹脂造形物の反りを抑制するとともに、十分な強靱性及び機械物性が得られることから光ラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
【0015】
本発明において用いる紫外線硬化樹脂(A)としては 下記式(I):
で表され、Rは水素原子又はメチル基を示し、同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、m+nが4~40である、変性ビスフェノールAジメタクリレートを用いると、色ムラの発生を好適に抑制でき、良好な造形性が得られることから特に好ましい。
【0016】
また、前記式(I)中のRは水素原子又はメチル基を示し、同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、m及びnはそれぞれ独立に1以上の整数を示し、m+nが4~40である。前記変性ビスフェノールAジメタクリレートは、式(I)中のRが水素原子であるとき、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレートと称されることがあり、Rがメチル基であるとき、プロプレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレートと称されることがある。
【0017】
前記変性ビスフェノールAジメタクリレートにおいて、m+n(変性量)が4以上であることにより、形成される立体造形物の強靭性及び強度が顕著に向上する。同様の観点から、m+nは6以上、又は10以上であってもよい。また、m+nは30以下であってもよい。紫外線硬化樹脂(A)が、m+nの異なる式(1)の変性ビスフェノールAジメタクリレートを複数種含む場合、それらの平均が4~40であればよく、本発明の効果が得られる範囲において、光重合性成分としてその他の紫外線硬化樹脂を添加して用いることができる。
【0018】
本発明で用いる紫外線硬化樹脂(A)としては、例えば市販品名としてMIRAMER M241、MIRAMER M2101、MIRAMER M2301(いずれも製品名。Miwon Specialty Chemical社製)の名称で販売される紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0019】
本発明における紫外線硬化樹脂(A)の含有量は、本発明の効果が得られる範囲において特に制限されるものではないが、造形物の強度が良好なものになることから光造形用樹脂組成物中15質量%以上70質量%以下であることが好ましく、さらに造形物の弾性率及び強靭性が向上することから20質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、造形精密度が向上することから30質量%以上50質量%以下であることが特に好ましい。
また、紫外線硬化樹脂(A)の含有量を前記範囲とすると臭気及び造形物の反り抑制の点でもより優れた効果が得られ易い。なお、以後本明細書における質量%は光造形用樹脂組成物全体を100質量%とした場合の割合を意味する。
【0020】
本発明で用いられる無機顔料(B)は、比重が2.0≦ρであり、かつ粒径D50≦5μm、D90≦20μmの粒度分布を有することを特徴とするものである。無機顔料として前記比重、粒径の条件を満たす顔料を含有すると、経時的な沈降が良好に抑制され、さらには造形時に好適な造形性を得ることができる。
【0021】
本発明において無機顔料の比重はJIS Z 8807:2012 個体の密度及び比重の測定方法を用い測定した。また、粒径は、JIS Z8825「粒子径解析―レーザー回折・散乱法」により測定を行い、無機顔料の粒度分布を求めた。
【0022】
本発明において用いる無機顔料(B)は比重が2.0≦ρである。さらに沈降抑制の観点から比重が2.0≦ρ≦6.0であることが好ましく、2.0≦ρ≦4.0であることが最も好ましい。
【0023】
本発明において用いる無機顔料(B)は粒径D50≦5μm、D90≦20μmの粒度分布を有する。さらに沈降抑制および硬化効率の向上の観点からD50≦4μm、D90≦10μmであることがより好ましい。なお前記のD50及びD90は、前記求めた粒度分布において、粒子の積算値が50%、90%となる粒径を意味する。
【0024】
本発明で用いる無機顔料は前記の比重、D50及びD90粒径の条件を満たすものであれば特に限定されず、各種無機顔料を用いることができる。これら無機顔料としては酸化チタン、酸化鉄、亜鉛華、弁柄、コバルトブルー、群青、鉄黒、チタンイエロー等を用いることができ、沈降抑制の効果が良好となり、造形性も良好となることから酸化チタン、酸化鉄を用いることが特に好ましい。
【0025】
本発明で用いる無機顔料(B)は所望に応じて各種溶媒に分散させた分散液として用いることもできる。これら分散液を製造する際に用いる溶媒としては本発明の効果が得られる範囲において特に制限されるものではなく、水、アルコールなどの無機溶媒、その他各種有機溶媒を用いることができる。また分散性を良好にするために分散助剤を添加しても良い。
【0026】
また、無機顔料(B)は光造形時の活性エネルギー線による硬化効率を向上させるものを用いることが好ましく、硬化時に用いる活性エネルギー線の波長に応じて適宜選択することができる。活性エネルギー線による硬化効率を向上させる着色剤としては酸化チタン、酸化鉄、亜鉛華、弁柄、コバルトブルー、群青、鉄黒、チタンイエロー等を用いることができる。
【0027】
本発明において用い得る無機顔料(B)としては例えばSunChemical社COD-8001、COD-8005、COD-8008等が挙げられる。
【0028】
本発明において、無機顔料(B)の含有量は本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが0.005質量%以上10質量%以下であることが好ましく、紫外線硬化が良好に進むことから0.01質量%以上5質量%以下であることが更に好ましく、色ムラの発生が最も抑制されることから0.01質量%以上3質量%以下であることが最も好ましい。
【0029】
本発明で用いられる長波長光重合開始剤は、波長385nm以上の光に対して硬化開始を促す重合開始剤であればよく、本発明で用いる紫外線硬化樹脂(A)の光ラジカル重合を開始できる化合物であれば、特に限定されるものではないが、385nm又は405nmの波長に対し良好な重合開始反応を示す長波長重合開始剤が好ましい。
【0030】
本発明で用いる長波長光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、及びジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドから選択される少なくとも1種であることができる。
【0031】
前記長波長光重合開始剤の含有量は本発明の効果が得られる範囲において特に限定されるものではないが、光重合性成分100質量部に対して0.1~15質量部であってよく、良好な造形性が得られることから0.5~10質量部が特に好ましい。
【0032】
本発明で用いられる長波長光重合開始剤としては、例えば「Omnirad819」(製品名。IGM Resin社製)、「OmniradTPO」(製品名。IGM Resin社製)、「KAYACURE DETX-S」(製品名。日本化薬社製)等を用いることができる。
【0033】
本発明の光造形用樹脂組成物は、前記紫外線硬化樹脂(A)及び無機顔料(B)を含み、25℃における粘度が100mPa・s以上であることを特徴とする。前記(A)及び(B)の条件を満たし、更に光造形用樹脂組成物の粘度が前記の範囲であると色ムラの発生が好適に抑制される。光造形用樹脂組成物の粘度は前記のように100mPa・s以上であればよいが、より色ムラの発生が抑制されることから400、Pa・s以上であることが好ましい。
【0034】
本発明の光造形用樹脂組成物は、粘度調整等の目的で各種溶媒を含んでいてもよいが、実質的に無溶剤であってもよい。例えば、光造形用樹脂組成物全量に対する溶媒の割合が5質量%未満、3質量%未満、又は1質量%未満であってもよい。
【0035】
本発明の光造形用樹脂組成物は、以上挙げた成分に加えて、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、紫外線安定剤、重合禁止剤、酸化防止材、安定材、レベリング材、消泡材、増粘剤、難燃材、増感剤、表面活性剤、染料、(B)成分以外の無機顔料、有機顔料、蛍光色素、無機 フィラー、及び有機フィラー等が挙げられる。
【0036】
本発明の光造形用樹脂組成物を順次光硬化させることを繰り返す光学的立体造形方法により、立体造形物を短時間で容易に製造することができる。光学的立体造形の方式は、特に限定されないが、例えば面露光方式(DLP:Digital Light Processing)であってもよい。形成された立体造形物を、光照射により後硬化してもよい。
【0037】
本発明は前記光造形用樹脂組成物を各種光学的立体造形により硬化させた樹脂組成物(以下、硬化樹脂組成物という)としても良い。このように硬化させた本発明の硬化樹脂組成物は、光線照射方向厚み1mmの試料切片を用いて測定した際の全光線(orUV)線透過率が60%未満であることを特徴としても良い。造形後の全光線透過率が前記範囲となることで硬化樹脂組成物表面のコントラストが向上し造形物の外観が良好となる。
【0038】
本発明の硬化樹脂組成物は、所望の用途に応じて成形し用いられる。これらの用途の例としては義歯、インレー、ブリッジ、マウスガード、クラウン、サージカルガイド等の歯科用品や、義肢等の身体補助具、宝飾品のキャストモデル等の用途が挙げられる。
【実施例
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。(以下、各成分の量に関して記載される「部」は、「質量部」を意味する。)
【0040】
(実施例1)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 819」;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド)2質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(1)を得た。
【0041】
(実施例2)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 819」;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド)1.4質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部、酸化鉄分散体(酸化鉄含有量50%。酸化鉄の比重:5.0、D50:1.5μm、D90:20μm)0.11質量部、レーキ顔料分散体(レーキ顔料含有率40%。レーキの比重:1.6、D50:1.0μm、D90:12μm)0.03質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(2)を得た。
【0042】
(実施例3)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(IGM社製「TPO-H」;ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)1.1質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部、レーキ顔料分散体(レーキ顔料含有率40%。レーキの比重:1.6、D50:1.0μm、D90:12μm)0.01質量部を配合し、を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(3)を得た。
【0043】
(実施例4)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 819」;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド)2質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部、酸化鉄分散体(酸化鉄含有量50%。酸化鉄の比重:5.0、D50:1.5μm、D90:20μm)0.11質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(4)を得た。
【0044】
(実施例5)
攪拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(東京化成工業社製「DETX」;2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン)5質量部と、EPA8質量部、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部、酸化鉄分散体(酸化鉄含有量50%。酸化鉄の比重:5.0、D50:1.5μm、D90:20μm)0.11質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(5)を得た。
【0045】
(実施例6)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート50質量部、PPG400-DMA(NKエステル9PG)40質量部、PPG2000(ユニオールD2000)10質量部、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 819」;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド)2質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.2質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(6)を得た。
【0046】
(比較例1)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート50質量部、PPG400-DMA(NKエステル9PG)40質量部、PPG2000(ユニオールD2000)10質量部、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 819」;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシド)2質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、比較光造形用樹脂組成物(1)を得た。
【0047】
(比較例2)
撹拌機を備えた容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性(4モル付加)ジメタクリレート100質量部と、光重合開始剤(IGM社製「Om-814」;1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン)2質量部と、酸化チタン分散体(酸化チタン含有量50%。酸化チタンの比重:4.0、D50:1.2μm、D90:15μm)0.3質量部、酸化鉄分散体(酸化鉄含有量50%。酸化鉄の比重:5.0、D50:1.5μm、D90:20μm)0.11質量部、レーキ顔料分散体(レーキ顔料含有率40%。レーキの比重:1.6、D50:1.0μm、D90:12μm)0.03質量部を配合し、液温度60℃に制御しながら1時間攪拌混合し、均一に溶解することで、光造形用樹脂組成物(2)を得た。
【0048】
上記調整した光造形用樹脂組成物(1)~(6)、及び比較光造形用樹脂組成物(1)~(2)について以下の相溶性評価を行った。
【0049】
(相溶性評価)
光造形用樹脂組成物(1)~(6)、及び比較光造形用樹脂組成物(1)~(2)をバイアル瓶に入れ、遮光環境で24時間静置後、目視にて色別れの有無を3人で評価した。
(評価基準)
〇(3人が色別れ無しと評価)
×(1人でも色別れ有りと評価)
【0050】
上記調整した光造形用樹脂組成物(1)~(6)、及び比較光造形用樹脂組成物(1)~(2)について以下の工程で樹脂造形物の作成を行い、硬化性、全光線透過率の評価を行った。
【0051】
(樹脂造形物の作製)
光造形用樹脂組成物(1)~(6)、及び比較光造形用樹脂組成物(1)~(2)について面露光方式(DLP)の光造形システム(ASIGA社製のDLPプリンタ)を用いて光硬化性樹脂組成物で所定の形状の樹脂造形物を生成した。光造形の積層ピッチは0.05~0.1mm、照射波長400~410nm、光照射時間は1層当たり2~20秒とした。形成された樹脂造形物を、エタノール中で超音波洗浄し、その後、高圧水銀ランプを用いて、立体造形物の表面及び裏面に積算光量が10000-2000mJ/cm2になるように光照射して、立体造形物を後硬化させた。
【0052】
(硬化性の評価)
硬化性:3Dプリンタで造形後、エタノール洗浄した樹脂造形物表面のベタツキを3人で官能評価。
(評価基準)
〇(3人がベタツキなしと評価)
×(1人でもベタツキありと評価)
【0053】
(全光線透過率の評価)
上記の樹脂造形物の作製法に従い、厚み1mmの光造形用樹脂組組成物のバルクを光造形用樹脂組成物(1)~(6)、及び比較光造形用樹脂組成物(1)~(2)について作製した。作製した各種サンプルをJIS K 7375:2008に従いヘイズメータを用いて透過率を測定した。
【0054】
上記試験の結果を表1及び表2に記載する。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1及び表2に示されるように、実施例1~7の光造形用樹脂組成物は、色ムラの発生が抑制され、良好な造形性を示した。一方比較例1、2の光造形用樹脂組成物は硬化性不良や相溶性が悪いことによる色ムラの発生が観測され、さらに造形性における評価にも劣るものであった。